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特許7593619ヘロイン依存症及び物質使用障害のためのマジンドール治療
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ヘロイン依存症及び物質使用障害のためのマジンドール治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4035 20060101AFI20241126BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K31/4035
A61K9/22
A61P25/04
A61P25/36
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020513594
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 IB2018001138
(87)【国際公開番号】W WO2019058172
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-04-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】62/555,469
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518314039
【氏名又は名称】エヌエルエス-1 ファルマ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツヴァイヤー アレクサンダー シー.
【合議体】
【審判長】前田 佳与子
【審判官】井上 千弥子
【審判官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第91/11184(WO,A1)
【文献】特表2003-504303(JP,A)
【文献】特表2013-523757(JP,A)
【文献】特表2010-537990(JP,A)
【文献】特表2010-529022(JP,A)
【文献】特開2015-199687(JP,A)
【文献】European Journal of Pharmacology 340(1997),249-258
【文献】Neuroscience and Biobehavioral Reviews 37(2013),2081-2086
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/4035
CAPlus/EMBASE/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの物質使用障害の治療に使用するための、マジンドール含有組成物であって、
前記物質がヘロインであり、
1日あたりのマジンドール投与量が3mg~mgとなるように毎日投与されるように用いられる、
組成物。
【請求項2】
薬学的に許容可能な担体又は賦形剤及び/又は希釈剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記マジンドールを含む組成物が、経口投与のための組成物である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
錠剤の形態である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記錠剤は、1mg~6mgのマジンドールを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、
マジンドール及び少なくとも1種の希釈剤を含む少なくとも1つの即時放出性(IR)層と、
マジンドール及び少なくとも1種の持続放出性でpH非依存性かつ水不溶性のポリマーを含む少なくとも1つの持続放出性(SR)層と、
を含む多層マトリックス型錠剤の形態である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記IR層と前記SR層との重量比は、40:60から80:20の間、50:50から70:30の間、あるいは50:50である、請求項に記載の組成物。
【請求項8】
前記錠剤は、1時間で60%から80%の間の溶解性及び2時間で70%から90%の間の溶解性を有する、請求項6又は7に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本PCT国際出願は、2017年9月7日付けで出願された米国仮特許出願第62/555,469号の優先権の利益を主張し、その主題は、引用することによりその全体が本出願の一部をなす。
【0002】
本発明は、オピオイド依存症及び物質使用障害の治療におけるマジンドールの使用、並びにオピオイド依存症及び物質使用障害の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘロインは、μ-オピオイド受容体、κ-オピオイド受容体及びδ-オピオイド受容体に結合するモルヒネから作られたオピオイド薬である。長い時間にわたる精神活性物質の持続的使用は、依存症及び/又は物質使用障害を引き起こす可能性がある。レクリエーショナルドラッグとして一般的に使用される精神活性物質には、アルコール、コカイン、アンフェタミン関連誘導体及びオピオイド物質が含まれる。脳の中脳皮質辺縁系内の快楽報酬シグナル伝達を増加させるあらゆる物質は、嗜癖型行動等の長期的な行動の変化を引き起こすシナプス変化に陥らせる可能性がある。
【0004】
物質使用障害の社会への影響は、有害でもあると共に費用もかかる。2015年に、米国社会での物質乱用のコストは、アルコールに対して2490億ドル、違法薬物に対して1930億ドルである(1)。これらのコストは、医療、犯罪及び仕事の生産性の損失に関連している。具体的には、オピオイド過剰摂取、オピオイド乱用及びオピオイド依存症関連行動だけで、米国において2009年に785億ドルのコストがかかっている(2)。
【0005】
物質使用障害の治療に現在使用されている方法には、維持療法又はデトックスが含まれ、そこではヘロイン依存症及びヘロイン嗜癖のためのメタドン等の代替薬が与えられる。投与量は、代替薬の投与がなくなるまで次第に減らされ得る。物質乱用障害の治療には、セラピー及び行動カウンセリングも使用される。
【0006】
離脱症状を軽減するために、抗不安薬及び抗うつ薬の投与等の薬理学的介入が物質使用障害の治療の一部として使用される場合もある。被験体が物質の投与を断つ又は減らすと、離脱症状が通常現れる。離脱症状は非常に不快であり、場合によっては命にかかわるものである。症状には、易怒性、不安、発汗、吐き気、嘔吐、下痢、倦怠、振戦、頭痛、不眠及び集中力の喪失が含まれる。重症の場合には、幻覚、発作及び死亡の可能性がある。
【0007】
再発もまた物質使用障害に苦しむ人々に共通している。再発は、被験体が物質からの節制期間後に乱用物質の投与に戻ると起こる。残念なことに、物質投与の節制又は低減は、その物質に対する被験体の耐性を減らし得るが、渇望は同じままである。したがって、再発が起こると、被験体は渇望を満たす量を投与し得るが、生理学的耐性の低下により有害であり、命にかかわる場合さえもあり得る。
【0008】
メタドンは、物質使用障害の治療における代替ヘロインとして使用される合成オピオイド化合物である。しかしながら依存が起こる場合があり、被験体がヘロイン等の他のオピオイドと同じようにメタドンを乱用することは珍しくない。メタドン使用の副作用には、不安、不眠、嗜眠、吐き気、嘔吐、下痢、呼吸抑制及び低血圧が含まれる。メタドンは、特にアルコール、ベンゾジアゼピン類及びコカイン等の他の薬物と混ぜた場合に多くの致命的な過剰摂取に結び付く。
【0009】
ナルトレキソンは、μ-オピオイド受容体、κ-オピオイド受容体及びδ-オピオイド受容体の拮抗薬である。ナルトレキソンは、オピオイド使用によって経験される多幸感を防ぐことで、最終的にオピオイド乱用の兆候を示す使用者の渇望を減らすために使用することができる。ナルトレキソンは、アルコール嗜癖の治療にも使用されている。しかしながら、ナルトレキソンは、オピオイドからの節制の初期期間が達成された場合に物質使用障害の治療に使用することが推奨されているにすぎない。これは、オピオイド乱用からの急性の有害な離脱症状を避けるためである。
【0010】
ブプレノルフィンは、他のオピオイドの「高い」又は危険な副作用を生ずることなく薬物渇望を軽減する部分オピオイド作動薬である。ブプレノルフィンは、ナロキソン(オピオイド拮抗薬)と組み合わせて使用することもでき、ナロキソンによる離脱症状を防ぐために経口又は舌下で摂取することができる。
【0011】
オピオイド物質使用障害を治療するために、最適化されたヘロイン-破傷風トキソイド免疫複合体を含むワクチンも開発されている(3)。前臨床研究により、このワクチンはヘロインの陶酔効果を減らすことができることが実証されており、それにより該ワクチンがオピオイド嗜癖の渇望面を防ぐための実行可能な治療であり得ることを示唆している。しかしながら、このワクチンは前臨床試験中であり、ヒトでの使用にはまだ承認されていない。
【0012】
したがって、メタドン投与及びナルトレキソン投与等の現在の治療に関連する問題を避ける、物質使用障害、特にオピオイド乱用障害の治療が求められている。これらの問題としては、物質乱用の治療に使用されている物質に対する嗜癖、不快で有害な離脱効果の管理及び再発が挙げられる。さらに、現在ヒトでの使用が承認されており、離脱の急性期内に投与することができる治療剤が有利であると考えられる。
【0013】
マジンドールは、コカイン嗜癖の治療の潜在的な候補として調査されている(6)。しかしながら、その後の研究により、マジンドールはコカイン乱用及びコカイン依存症の治療に有効ではないと報告されている(7、8)。これらの研究における再発率、再発までの日数及びコカイン使用は、マジンドールが投与された被験体とプラセボが投与された被験体との間で違いがなかった。
【0014】
マジンドールは、現在入手可能な覚醒促進薬及び精神刺激薬とは異なる精神薬理学的作用物質であり、d-アンフェタミンのような注意欠陥多動性障害(ADHD)治療とは異なる受容体シグネチャ及び機能的活性プロファイルを有し、ドーパミン輸送体、ノルエピネフリン輸送体及び小胞モノアミン輸送体2の中程度の強さの阻害薬であり、セロトニン輸送体に対しより弱い親和性を有する。現在入手可能な精神刺激薬(例えば、アンフェタミン塩)は、物質使用障害及び有効性の低下(例えば、成人において)により中断をもたらす場合があるが、それらのどれもオピオイド嗜癖に対する調節効果を促進しない。
【0015】
腹腔内(i.p.)投与の場合のマジンドールの使用も自発痛関連行動に対するその効果について調査されている(12)。
【0016】
注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療におけるマジンドールの使用は、特許文献1に記載されている。マジンドールは、現在の薬物分類では、精神賦活薬及び食欲低下薬と見なされている。マジンドールは現在、アルゼンチン、メキシコ/中央アメリカ及び日本で肥満の治療に使用することが認可されている。マジンドールは、その三環式化学構造のため非アンフェタミン化合物である。マジンドールは、アンフェタミンに非常に近く、より乱用傾向の少ない薬理学的プロファイルを提供する。実際、マジンドールはアンフェタミン様化合物へと代謝されない。Met(2-(2-アミノエチル)-3-(p-クロロフェニル)-3-ヒドロキシフタルイミジン)は、ヒトにおけるマジンドールの主要代謝物であると確認されている(非特許文献1)。Metは、中性及びアルカリ性の水溶液中、適温でマジンドールを加水分解することで得られることが分かった(非特許文献2)。マジンドール及びMetの両方は、非常に近い薬理学的特性を示す。マジンドール及びその代謝物は、アンフェタミン類と同様にドーパミン及びノルエピネフリンの再取り込みを遮断することにより作用するが、μ-オピオイド受容体に対する親和性はより高く、κ-オピオイド受容体に対する親和性は控えめである。
【0017】
表Aは、1.0×10-05M及び各標的に特異的な放射性標識されたリガンドの結合の阻害のパーセントとして計算された化合物結合で試験されたマジンドール及びMetを開示している(Eurofins CEREP社、フランス)。
【0018】
【0019】
50%を超える阻害又は刺激は、試験化合物の顕著な効果とみなされる。50%は、更なる調査(すなわち、濃度反応曲線からのIC50値又はEC50値の決定)についての共通のカットオフである。表B及び表Cは、マジンドール及びMetについての結合プロファイルを示す。
【0020】
【0021】
【0022】
結果は、試験化合物の存在下で得られたコントロールの特異的結合のパーセントとして、
【数1】
及び試験化合物の存在下で得られたコントロールの特異的結合の阻害のパーセントとして、
【数2】
と表現される。
【0023】
IC50値(コントロールの特異的結合の最大半値阻害を引き起こす濃度)及びHill係数(nH)は、Hill方程式カーブフィッティングを使用して平均複製値で作成された競合曲線の非線形回帰分析によって決定された:
【数3】
(式中、Y=特異的結合、A=曲線の左漸近線、D=曲線の右漸近線、C=化合物濃度、C50=IC50及びnH=勾配係数)。この分析を、Cerep社で開発されたソフトウェア(Hillソフトウェア)を使用して実行し、Windows(商標)用の商用ソフトウェアSigmaPlot(商標)4.0((c)1997 SPSS Inc.社による)によって作成されたデータとの比較によって検証した。
【0024】
阻害定数(Ki)は、Cheng Prusoff (1973)の式:
【数4】
(式中、L=アッセイにおける放射性リガンドの濃度、及びKD=受容体に対する放射性リガンドの親和性)を使用して計算した。スキャッチャードプロットを使用してKDを決定した。
【0025】
さらに、動物毒物学の研究では、マジンドールの潜在毒性は非常に低いことが証明されている。特に、発癌性効果、変異原性効果及び生殖における毒物学的効果は観察されなかった。特許文献1では、単回又は反復の経口投与後に、マジンドールが2時間~4時間の最大濃度(Tmax)までの時間で吸収されることが開示されている。即時放出性製剤後のマジンドールの半減期は、健康なボランティアで9.1±1.7時間であり(非特許文献3)、したがって、約30時間~55時間後に定常状態濃度に達する。薬物動態は、1mg/日から4mg/日の間で線形(用量に依存しない)である。しかしながら、この結果はマジンドールの現在の即時放出性製剤に関連するものである。Diminex(商標)、Sanorex(商標)及びTeronac(商標)等のマジンドールの即時放出性医薬組成物は、in vitroで1時間未満の期間にわたり活性成分の放出を保証する。実際、マジンドールの即時放出性医薬組成物は、ヒト血漿中を含む中性水溶液及びアルカリ性水溶液中、適温で加水分解を受けることが報告されている。血漿は弱アルカリ性であるため、酸性緩衝液を添加することにより、ヒト血漿中のマジンドールの安定性の改善が達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】米国特許第8,293,779号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
1日1回の投薬計画(コンプライアンスのための非常に望ましい投与計画)を達成するためには、適切な血漿濃度が昼と夜とを通して達成されるが、その一方でまた、被験体を就眠させ、夜間に眠り続けさせることも保証するために、より良好な制御放出性部分が必要とされることになる。したがって、物質使用障害の治療のためには、即時放出及び持続放出を組み合わせた活性物質の放出プロファイルが改善され、患者のコンプライアンスが改善され、そして投薬間隔の間の定常状態血漿濃度の変動が低減された医薬組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上述の課題は、以下に概説される本発明の態様及び実施の形態によって解決された。
【0029】
本発明は、物質使用障害の治療に使用されるマジンドールを提供する。好ましくは、物質はオピオイドである。
【0030】
本発明はまた、マジンドールを被験体に投与することを含む、物質がオピオイドである物質使用障害を治療する方法を提供する。
【0031】
本発明はまた、オピオイド乱用障害又は疼痛を治療する方法で使用されるマジンドールを含む組成物であって、多層マトリックス型錠剤の形態である場合に、
マジンドール及び少なくとも1種の希釈剤を含む少なくとも1つの即時放出性(IR)層と、
マジンドール及び少なくとも1種の持続放出性でpH非依存性かつ水不溶性のポリマーを含む少なくとも1つの持続放出性(SR)層と、
を含む、組成物を提供する。
【0032】
本発明によれば、マジンドールは、オピオイド報酬効果及び離脱症状の両方を低減することにより、オピオイド物質使用障害の治療に有効である。
【0033】
改善された放出プロファイルを示すマジンドールを含む二層錠剤は、出願番号62/305,600及び国際出願PCT/EP2016/055048号に記載されており、これらは引用することによりその全体が本出願の一部をなす。本発明の多層マトリックス型錠剤の形のマジンドールの経口医薬単位剤形は、持続的な治療効果を達成するために患者の血流への吸収に利用可能なマジンドールの連続放出を提供する速放性部分を提供する。したがって、この組み合わせにより、製品の1日1回の投与計画を実現することができる。したがって、これは以下の利点:
嚥下が容易であることと、
製造が容易であることと、
各々の別個の層の成分を変化させることにより薬物の放出速度を制御することができることと、
カプセル剤、液剤等の他の投薬形と比較して安定性に優れていることと、
患者による投薬形の不正変更が防止されることと、
投薬間隔中の定常状態のマジンドールの血漿濃度の変動が低下することと、
安定性が高められることと、
1時間~2時間以内に発現し、食品の摂取が不必要に遅らされないことと、
心拍数の増加が抑えられることと、
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】マウスにコントロール、マジンドール又はアンフェタミンを投与した後のビヒクル関連付け(paired)(V)区画内及び薬物関連付け(D)区画内を移動した距離を示し(上側のパネル)、比較している(下側のパネル)図である。
図2】マウスにコントロール、マジンドール又はアンフェタミンを投与した後のビヒクル関連付け区画内及び薬物関連付け(D)区画内に滞在した時間を示し(上側のパネル)、比較している(下側のパネル)図である。
図3】マウスにコントロール、マジンドール又はアンフェタミンを投与した後のビヒクル関連付け(V)区画内及び薬物関連付け(D)区画内の両方を移動した全距離を示す図である。
図4】ナロキソン促進されたヘロインの離脱症候群を被ったラットにコントロール、マジンドール又はアンフェタミンを投与した後の離脱症状の全体的な総合スコアを示す図である。
図5】ナロキソン促進されたヘロインの離脱症候群を被ったラットにコントロール、マジンドール又はアンフェタミンを投与した後の体重減少(上部パネル)、逃避の試み(中央パネル)、及び身震い(下部パネル)についてのスコアを示す図である。
図6】ナロキソン促進されたヘロインの離脱症候群を被ったラットにコントロール、マジンドール又はアンフェタミンを投与した後の下痢(上部パネル)、顔面線維束性収縮又は歯闘(中央パネル)、及び大量の唾液分泌(下部パネル)についてのスコアを示す図である。
図7】マウスにコントロール、ヘロイン又はマジンドールを投与した後のビヒクル関連付け(V)区画内及び薬物関連付け(D)区画(左側のパネル)内を移動した距離を示し(左上のパネル)、比較している(右上のパネル)図である。下側のパネルは、マウスにコントロール、ヘロイン又はマジンドールを投与した後のビヒクル関連付け(V)区画内及び薬物関連付け(D)区画内に滞在した時間を示し(左下のパネル)、比較している(右下のパネル)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
マジンドール(5-(4-クロロフェニル)-2,5-ジヒドロ-3H-イミダゾ[2,1-a]イソインドール-5-オール)は、以下の化学式:
【化1】
を有する。
【0036】
本出願で使用される「物質使用障害」という用語は、乱用物質の投与、乱用物質に対する嗜癖及び乱用物質からの離脱に関連するあらゆる段階を指す。これには、物質の渇望、物質の投与及び多幸感(ハイ)、満足又はリラックスの経験が含まれる。物質からの節制に際して、被験体は、易怒性、不安、発汗、吐き気、嘔吐、下痢、倦怠、振戦、頭痛、不眠、集中力の喪失、幻覚、発作及び渇望の増加を経験し得る。これらは離脱症状としても知られる。
【0037】
本出願で使用される「依存症」という用語は、使用物質の長期使用に関連するあらゆる段階を指す。これは「物質使用障害」の用語の範囲内の段階を含む場合があり、物質の渇望、渇望を軽減する又は止めるための物質の投与を含む場合があり、物質からの節制に際して、被験体は、上記離脱症状のいずれかを経験し得る。
【0038】
物質使用障害を伴う被験体は、乱用及び依存に関連する行動を示している場合も又は示していない場合もある。
【0039】
乱用及び依存の物質には、限定されるものではないが、オピオイド類(例えば、ヘロイン、アヘン、モルヒネ、ブプレノルフィン、コデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、メタドン、トラマドール、及び任意の天然又は合成のそれらの誘導体又はそれらの関連化合物)、アルコール、コカイン、クラックコカイン、アンフェタミン類、メタンフェタミン類、ベンゾジアゼピン類、GHB、及びニコチンが含まれる。
【0040】
被験体は、2種以上のオピオイド又は他の乱用物質及び依存物質を同時に使用している又は嗜癖している場合がある。
【0041】
本発明の化合物及び組成物の使用は、全ての哺乳動物、特にヒトに適している。
【0042】
マジンドールは、メタドン、ブプレノルフィン/ナロキソン、及び/又はナルトレキソンの投与、抗不安薬の投与並びにカウンセリング等の物質使用障害に対する他の治療法と共に同時に使用することができる。
【0043】
本発明はまた、疼痛、好ましくはリウマチ痛の治療に使用されるマジンドールを提供する。疼痛は、神経障害性疼痛又は侵害受容性疼痛であり得る。疼痛は、急性疼痛又は慢性疼痛であり得る。
【0044】
マジンドールは、好ましくは、錠剤又はカプセル剤の形で被験体に経口投与される。マジンドールは、液体製剤又は粉末製剤として投与又は使用することもできる。当該マジンドールの投与又は使用は、静脈内経路、皮下経路、真皮下経路、腹腔内経路又は眼内経路を介した注射又は注入に適している。マジンドールは、好ましくは、本明細書に記載される二層錠剤等の持続放出を伴う製剤で投与される。
【0045】
好ましくは多層マトリックス型錠剤の形の錠剤又は経口医薬単位剤形は、迅速な治療的血中レベルに達成する薬物の迅速な放出と、持続的な治療効果を達成するために患者の血流への吸収に利用可能なマジンドールの連続放出を提供する持続放出性部分とを提供し得る。
【0046】
「マトリックス型錠剤」という用語は、本発明において、各層内の内部構造が層の中心から外面に向かって均質かつ同一である錠剤を指すために使用される。したがって、本発明の錠剤の層は、粉末形又は顆粒形の活性成分と圧縮マトリックスとの均質混合物からなる。
【0047】
「即時放出性(IR)層」とは、約1時間以内にマジンドールの約80重量%以上を放出する層を指す。「持続放出性(SR)層」とは、マジンドールがIR層よりも遅い速度で放出される層を意味する。そのような錠剤の1つ以上のIR層と1つ以上のSR層との重量比は、好ましくは40:60から80:20の間、より好ましくは50:50から70:30の間、最も好ましくは50:50である。
【0048】
錠剤を調製する方法は、以下の工程:
(a)IR層の配合物を準備する工程、
(b)SR層の配合物を準備する工程、
(c)工程(a)のIR配合物及び工程(b)のSR配合物を多層打錠機、好ましくは二層打錠機に加える工程、
を含み得る。
【0049】
上記の実施形態のいずれかのためのマジンドールは、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤又は希釈剤を含む追加の成分を含む組成物で提供され得る。
【0050】
希釈剤の例としては、ラクトース、ラクトース一水和物、無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、無水硫酸カルシウム、乳酸カルシウム三水和物、第一硫酸カルシウム一水和物、炭酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、可圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、粉末セルロース、デンプン、化工デンプン、デンプン加水分解物、アルファー化デンプン、微結晶性セルロース、粉末セルロース、セルロース及びセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びスクロースが挙げられ、好ましくは、ラクトース、無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース、微結晶性セルロース、粉末セルロース、セルロース及びセルロース誘導体が挙げられる。
【0051】
組成物中又は多層錠剤のIR層中の希釈剤濃度は、組成物又は多層マトリックス型錠剤中のIR層の全重量の1重量%~95重量%、好ましくは30重量%~60重量%、より好ましくは45重量%~55重量%の間で変動させることができる。
【0052】
好ましくは、本発明による単位剤形は、組成物又は錠剤層中に滑沢剤を含む。滑沢剤及び滑剤は、本出願においては、上記組成物の成分の付着又は摩擦を防止、低減、又は抑制するために使用され得る。滑沢剤及び滑剤は、上記圧縮及び所望のダイからの圧縮された組成物の排出を容易にする。滑沢剤及び滑剤は、上記医薬組成物の成分と相容性であるとともに、該医薬組成物の可溶性、硬度、化学的安定性、物理的安定性、又は生物学的活性を大きく低下させない。本発明に関する薬学的に許容可能な滑沢剤及び滑剤は、限定されるものではないが、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、水酸化カルシウム、第三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、ワックス類、グリセリド類、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、シリコーン油、硬化植物油、硬化ひまし油、軽鉱油、鉱油、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、安息香酸ナトリウム、硫酸アルキル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、コロイダルシリカ、コーンスターチ、粉末セルロース、及び/又はホウ酸を含む群から選択される。滑沢剤/滑剤の好ましい範囲は、上記組成物又は錠剤層の0%(重量/重量)から1%(重量/重量)までである。
【0053】
持続放出性でpH非依存性かつ水不溶性のポリマーも、本発明による組成物又は錠剤のSR層中に使用することができ、このポリマーは、セルロースポリマー、アリルスクロース又はペンタエリトリトールのアリルエーテルのいずれかと架橋されたアクリル酸の高分子量ポリマー(カルボポール、カルボマー)、メタクリル酸の部類からのポリマー、ポリビニルアルコール誘導体、乳酸及びグリコール酸のポリマー(PLGA)、デンプン、ワックス類、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体及びそれらの混合物からなる群において選択され、好ましくは、セルロースポリマー及びアリルスクロース又はペンタエリトリトールのアリルエーテルのいずれかと架橋されたアクリル酸の高分子量ポリマー(カルボポール、カルボマー)からなる群において選択される。セルロースポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、CMCナトリウム、エチルセルロース誘導体、例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース(例えば、商標名Avicel(商標)として供給される微結晶性セルロース)、及びエチルセルロース(例えば、商標名Aqualon(商標)エチルセルロースとして供給されるエチルセルロース)が含まれる。
【0054】
メタクリル酸の部類からのポリマーには、Eudragit(商標)RL 12.5、RL PO及びRL 100、並びにRS 12.5、RS PO及びRS 100のグレードが含まれる。デンプンには、天然デンプン、例えばコーンスターチ、及び化工デンプン、例えばプレゲルデンプンが含まれる。ワックス類には、白蝋又は黄蝋、ポリ酢酸ビニル誘導体が含まれる。
【0055】
組成物又は多層錠剤のSR層中の持続放出性でpH非依存性かつ水不溶性のポリマーの濃度は、組成物又はSR層の全重量の80重量%から99重量%の間で、好ましくは90重量%から97重量%の間で変動させることができる。
【0056】
本発明による錠剤形は、抗凝集剤(anti-agglomerant agents)を含み得る。本発明において使用される抗凝集剤には、タルク、二酸化ケイ素及びその誘導体、アクリル酸エステル、ひまし油誘導体、セルロース化合物、酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び/又はステアリン酸ナトリウムが含まれる。
【0057】
本発明による錠剤の層は、結合剤を含み得る。本発明による結合剤には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、マルトデキストリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、及び/又は微結晶性セルロースが含まれる。
【0058】
本明細書に記載されるように、層状錠剤に即時放出性層及び持続放出性層を含むマジンドールの制御放出性製剤が提供され、その製剤は摂取されると、マジンドールの初期バーストに続き、例えば(摂取から)6時間~8時間にわたり、よりゆっくりと連続的に放出され、その際にマジンドールは溶解され、結腸に到達する前に小腸で吸収され得る。
【0059】
マジンドールの初期消化吸収率(availability)は、その日の初めに十分な薬物レベルを必要とするので、患者にとって有利である。引き続き、本発明の製剤により提供されるマジンドールのゆっくりとした連続放出及び腸内での吸収は、適切な血漿濃度が昼と夜とを通して達成され、その一方で、被験体を就眠させ、夜間に眠り続けさせることも保証する。
【0060】
マジンドール又はマジンドールを含む組成物は、特に限定されないが、被験体に毎日投与することができる。1日投与量は、0.25mgから16mgまで、好ましくは1mgから9mgまで、より好ましくは1mgから3mgまでの範囲であり得る。
【0061】
ここで、本発明を以下の実施例を参照することにより説明するが、本発明は決してそれらに限定されない。
【実施例
【0062】
条件付け場所嗜好性(CPP)は、薬物の潜在的な嗜癖効果を研究するために広く使用されている手法である。CPPは、薬物によって誘発された誘因状態と以前に関連付けられた刺激に齧歯類が接近する傾向に基づいている。CPPを誘発する薬物は、嗜癖を引き起こし得る増強効果を示すことが疑われ得る。オピエート作動薬又は刺激薬等の多くの嗜癖薬は、CPP及び行動感作を誘発する。
【0063】
慢性的なオピエート使用を突然停止すると、疼痛感受性、不快感、易怒性、不穏状態、不眠症、下痢及び過換気を含む症状を伴う十分に特徴付けられた離脱症候群が起こる。現在のモデルでは、ナロキソン促進された離脱症候群は、齧歯類において測定される。動物は、薬物、例えばモルヒネ又はヘロインで慢性的に処理されている。オピエート離脱症候群は、オピエート拮抗薬のナロキソンの急性注射により惹起される。
【0064】
同様の実験手法を使用した過去の研究では、モルヒネがC57BL/6Jマウスに場所嗜好性を誘発し、Sprague-Dawleyラットにはナロキソン注射後にオピオイド離脱症候群を誘発したことが示されている。
【0065】
場所嗜好性に対するマジンドールの効果は、Schlussmann et al.(9)によって使用された方法と同様の方法を使用してC57BL/6Jマウスにおいて調査した。
【0066】
ナロキソンにより惹起されるヘロイン離脱症候群に対するマジンドールの効果は、Jiang et al.(10)によって使用された方法と同様の方法を使用してSprague-Dawleyラットにおいて調査した。
【0067】
本研究では、マジンドールの効果をメチルフェニデート及びD-アンフェタミンの効果と比較した。
【0068】
ここで、マジンドールを、2つの嗜癖の構成要素、すなわち薬物の報酬効果を測定するために広く使用されているCPPパラダイム及びナロキソンにより促進されたヘロイン離脱症状を説明する2つの齧歯類モデルにおいて試験した。これらの2つの構成要素、すなわち報酬効果及び離脱症候群は、ヘロイン等の乱用薬物への渇望の一因となる。
【0069】
本研究は、5つの実験を含んでいた。最初の4つの実験はマウスで実施した。5つ目の実験はラットで実施した。最初の実験は、場所嗜好性の尺度を乱す可能性のある顕著な運動効果を欠いたマジンドール、D-アンフェタミン及びメチルフェニデートの用量を決定することにあった。このために、自発運動活性に対するマジンドール及びD-アンフェタミンの効果をマウスで調査した。
【0070】
2つ目の実験は、最も顕著なCPPを誘発するヘロインの至適用量を決定することにあった。このために、1.25mg/kg、2.5mg/kg及び5mg/kgのヘロインにより誘発されたCPPを調査した。
【0071】
3つ目の実験は、2番目の実験の結果から選択された1.25mg/kgの用量のヘロインにより誘発された場所嗜好性に対するマジンドール及びD-アンフェタミン(研究の最初の部分の結果から選択された用量で)の効果を調査することにあった。マジンドール(0.125mg/kg、0.25mg/kg及び0.5mg/kg)及びD-アンフェタミン(0.5mg/kg)を試験した。
【0072】
実験3の結果は、マジンドール(0.25mg/kg及び0.5mg/kg)がヘロインにより誘発された場所嗜好性を減少させる傾向があることを示した。したがって、ヘロインにより誘発された場所嗜好性に対する1mg/kg及び2mg/kgのマジンドール並びに1mg/kgのD-アンフェタミンの効果を調査する追加実験を実施することを決定した。同じ実験で、マジンドール(2mg/kg)が場所嗜好性を誘発するかどうかを調査することも決定した。
【0073】
5つ目の実験は、ナロキソンによって誘発された身体的なヘロイン離脱症状に対するマジンドール及びD-アンフェタミンの効果を調査することにあった。
【0074】
1つ目の実験により、マジンドールについて0.125mg/kg、0.25mg/kg及び0.5mg/kgの用量が、そしてD-アンフェタミンについては0.5mg/kgの用量が選択された。また、マジンドールについて60分の前処理時間が、そしてD-アンフェタミンについて30分の前処理時間が選択された。
【0075】
2つ目の実験では、ヘロインが3つの試験された用量でCPPを誘発したことと、1.25mg/kgがCPPに対する治療効果を調査するのに適していることが示された。
【0076】
3つ目の実験及び4つ目の実験では、マジンドール(0.25mg/kg、0.5mg/kg)がヘロインにより誘発された場所嗜好性を減少させるが、D-アンフェタミン(0.5mg/kg、1mg/kg)は減少させないことが示された。
【0077】
5つ目の実験では、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg及び2mg/kgの用量のマジンドールがヘロインの離脱症状を減少させることが示された。それに対して、D-アンフェタミン(1mg/kg)は、ヘロインの離脱症状を減少させるのに有効でなかった。
【0078】
本研究の結果は予想外にも、マジンドールがヘロインにより誘発された場所嗜好性及びヘロインの離脱症状を減少させるが、D-アンフェタミンは減少させないことを示した。これらの結果は、マジンドールがヘロインの報酬効果及び離脱症状の両方を減少させることによりヘロイン嗜癖の有効な治療剤であるが、D-アンフェタミンはそうではないことを示している。
【0079】
動物の操作は、ストレスを最小限に抑えるために慎重に行われた。全ての実験は、実験動物を用いた実験に関するフランス農務省のガイドライン(法律2013-118)に従って実施された。実験プロトコル及び安楽死は、フランス研究省に登録された倫理委員会27(Ethical Committee 27)によって承認された。実験は、静かな条件(換気及び実験に使用された装置によって発される雑音を除いて雑音なし)で人工照明を使用して標準条件(T゜=22.0±1.5℃)で明期の間に実施した。動物は、研究の前に他の実験にはかけなかった。動物は、その行動及び薬物の効果を変化させるかもしれない豊かな環境には置かなかった。各動物は、尾に付けられたバーコードで識別された。
【0080】
【0081】
ヘロインにより誘発された場所嗜好性に対するマジンドール(0.125mg/kg~0.5mg/kg)及びD-アンフェタミン(0.5mg/kg)の効果並びにマジンドール(2mg/kg)によって誘発される場所嗜好性の決定
実験設計は、表1に示されている。馴化セッション(1日目)に続いて、動物(N=72)を、コントロール群(N=12)及びヘロイン群(N=60)の2つの群へと、装置内を移動した総距離と、灰色の区画及び縞模様の区画内に滞在した時間のパーセンテージ及びそれらの区間内を移動した距離のパーセンテージとについて2つの群間に有意差がないように疑似無作為に割り当てた。
【0082】
動物に、薬物セッションの直前に以下の治療剤を投与した:
コントロール群:ビヒクル
ヘロイン群:ヘロイン(1.25mg/kg)
【0083】
最後の条件付けセッションに続いて、ヘロイン群を、5つの群(N=12/群)へと、装置内を移動した総距離と、馴化セッションにおいて灰色の区間及び縞模様の区間内に滞在した時間のパーセンテージ及びそれらの区間内を移動した距離のパーセンテージと、条件付けセッションにおいて薬物関連付け区画及びビヒクル関連付け区画内を移動した距離と、縞模様の薬物関連付け区画の割合とについて群間で有意差がないように擬似無作為に分けた。
【0084】
動物に、嗜好性セッションの前に以下の治療剤を投与した:
コントロール群:試験60分前に腹腔内でマジンドールのビヒクル、
Hero群:試験60分前に腹腔内でマジンドールのビヒクル、
Hero-A0.5群:試験30分前に腹腔内でD-アンフェタミン(0.5mg/kg)、
Hero-Mz0.125群:試験60分前に腹腔内でマジンドール(0.125mg/kg)、
Hero-Mz0.25群:試験60分前に腹腔内でマジンドール(0.25mg/kg)、
Hero-Mz0.5群:試験60分前に腹腔内でマジンドール(0.5mg/kg)。
【0085】
【表1】
【0086】
ヘロインにより誘発された場所嗜好性に対するマジンドール(1mg/kg、2mg/kg)及びD-アンフェタミン(1mg/kg)の効果
実験設計は、表2に示されている。馴化セッション(1日目)に続いて、動物(N=72)を、コントロール群(N=12)、ヘロイン群(N=48)及びマジンドール群(N=12)の3つの群へと、装置内を移動した総距離と、灰色の区画及び縞模様の区画内に滞在した時間のパーセンテージ及びそれらの区間内を移動した距離のパーセンテージとについて3つの群間に有意差がないように疑似無作為に割り当てた。
【0087】
動物に、薬物セッションの前に以下の治療剤を投与した:
コントロール群:セッションの直前に腹腔内でビヒクル、
ヘロイン群:セッションの直前に腹腔内でヘロイン(1.25mg/kg)、
MAZ2群:セッションの60分前に腹腔内でマジンドール(2mg/kg)。
【0088】
最後の条件付けセッションに続いて、ヘロイン群を、4つの群(N=12/群)へと、装置内を移動した総距離と、馴化セッションにおいて灰色の区間及び縞模様の区間内に滞在した時間のパーセンテージ及びそれらの区間内を移動した距離のパーセンテージと、条件付けセッションにおいて薬物関連付け区画及びビヒクル関連付け区画内を移動した距離と、縞模様の薬物関連付け区画の割合とについて群間で有意差がないように擬似無作為に分けた。
【0089】
動物に、嗜好性セッションの前に以下の治療剤を投与した:
コントロール群:試験60分前に腹腔内でマジンドールのビヒクル、
Hero群:試験60分前に腹腔内でマジンドールのビヒクル、
Hero-Mz1群:試験60分前に腹腔内でマジンドール(1mg/kg)、
Hero-Mz2群:試験60分前に腹腔内でマジンドール(2mg/kg)、
Hero-A1群:試験30分前に腹腔内でD-アンフェタミン(1mg/kg)、
MAZ2群:試験60分前に腹腔内でマジンドールのビヒクル。
【0090】
【表2】
【0091】
ナロキソン促進されたヘロインの離脱症候群
以前に計画されたプロトコルでは、Jiang et al.により使用された方法に従うことが計画されていた。マウスに、1日2回のヘロインの皮下注射を漸増用量(3mg/kg~30mg/kg)で9日間連続して受けさせ、10日目に単回注射を受けさせる必要があった。この手順は、治療の初日から相当の死亡率をもたらした。本発明者らの実験とJiang et al.の研究との間の毒性の違いは、部分的にヘロインの純度の違いによりもたらされた可能性がある。したがって、明確な離脱症状と許容可能な死亡率とを観察することができる方法を開発する必要があった。この方法は以下に示されている。情報のために、該方法の開発に使用されたラットを含めて178匹のラットがこの研究に使用され、そのうち54匹が、本明細書に示される結果に含まれている。
【0092】
動物を2つの群に更に分割した。1つの群には、表3に示されるように、ヘロインを1日2回の腹腔内注射で12日間連続して投与し、13日目に単回注射で投与し(全体で25回の注射)、もう1つの群には、同じプロトコルに従ってヘロインの代わりに生理食塩水を投与した。
【0093】
【表3】
【0094】
13日目に動物に治療剤を投与し、以下のタイムスケジュールに従って試験した:
T=0:ヘロイン(15mg/kg)又はビヒクルの腹腔内注射。
T=2.5h:動物を個別に透明なプレキシガラス製観察ボックス(40cm×40cm×40cm)に入れた。
T=3.5時間:治療剤の腹腔内注射(以下参照)。
T=4時間:ナロキソン(5mg/kg)の注射、試験開始:表4に示される離脱症状の観察。
T=5時間:試験の終わり、動物をそれらのホームケージに戻した。
【0095】
動物に、以下の治療剤をT3.5時間(すなわち、ナロキソンの注射及び症状の観察の30分前)で投与した。
1)動物を、中毒期間(1日目~12日目)の間及び13日目にT0で生理食塩水により処理した。
生理食塩水群(N=8):生理食塩水(0.9%NaCl)。
2)動物を、中毒期間(1日目~12日目)の間及び13日目にT0でモルヒネにより処理した。
Hero群(N=14):生理食塩水(0.9%NaCl)
Amph1群(N=4):D-アンフェタミン(1mg/kg)
Maz0.125群(N=5):マジンドール(0.125mg/kg)
Maz0.25群(N=6):マジンドール(0.25mg/kg)
Maz0.5群(N=6):マジンドール(0.5mg/kg)
Maz1群(N=6):マジンドール(1mg/kg)
Maz2群(N=5):マジンドール(2mg/kg)
【0096】
記録された離脱症状は、表4に示されている。スコアが計算される元となる各徴候に関して重み係数を割り当てた。
【0097】
例:
ナロキソン注射前の体重=241g、ナロキソン注射後の体重=236g:
体重減少スコア=2=100×(241-236)/241
逃避の試みの回数=8:
逃避の試みについてのスコア=2
大量の唾液分泌の存在:
大量の唾液分泌についてのスコア。
【0098】
次いで、総合的離脱スコアを計算した:
総合スコア=スコアの合計。
【0099】
【表4】
【0100】
ヘロインにより誘発された場所嗜好性に対するマジンドール及びD-アンフェタミンの効果並びにマジンドールによって誘発される場所嗜好性の決定
嗜好性セッションの結果は、以下の表5に示されている。
【0101】
ヘロインの効果
薬物セッションの前に投与されたヘロイン(1.25mg/kg)は、嗜好性セッションで同じ効果を誘発した。
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差の増加
コントロール群ではなくてHero群においては、移動した距離は、ビヒクル関連付け区画内よりも薬物関連付け区画内の方が大きかった(図1、上部パネル)。
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差は、コントロール群よりもHero群の方が大きかった(図1、下部パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の増加
コントロール群ではなくてHero群においては、滞在した時間は、ビヒクル関連付け区画内よりも薬物関連付け区画内の方が大きかった(図2、上部パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の差は、コントロール群よりもHero群の方が大きかった(図2、下部パネル)。
2つの区画内を移動した全距離の有意な変化なし(図3)。
【0102】
結論:ヘロイン(1.25mg/kg)は場所嗜好性を誘発した。
【0103】
ヘロイン(1.25mg/kg)は、嗜好性セッションにおいてビヒクル関連付け区画と比較して薬物関連付け区画内を移動した距離を劇的に増加させ、薬物関連付け区画内に滞在した時間をより控えめではあるが有意に増加させた。
【0104】
ヘロインにより誘発された場所嗜好性に対するD-アンフェタミンの効果
嗜好性セッションの前に投与されたD-アンフェタミン(0.5mg/kg、1mg/kg)は、以下の効果を誘発した:
D-アンフェタミンは、薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差を有意に変化させなかった。
2つのHero-A群においては、移動した距離は、ビヒクル関連付け区画内よりも薬物関連付け区画内の方が大きかった(図1、上部パネル)。
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差は、コントロール群よりも2つのHero-A群の方が大きく、Hero-A群とHero群との間に有意差はなかった(図1、下部パネル)。
D-アンフェタミンは、0.5mg/kgで、薬物関連付け区画内に滞在した時間を減少させる傾向があったが、1mg/kgではなかった。
Hero-A0.5群において:
滞在した時間は、薬物関連付け区画とビヒクル関連付け区画との間で有意差はなかった(図2、上部パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の差は、コントロール群とHero群の両者と有意差はなかった(図2、下部パネル)。
Hero-A1群において:
滞在した時間は、ビヒクル関連付け区画内よりも薬物関連付け区画内の方が大きかった(図2、上部パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の差は、コントロール群よりも大きく、Hero群と有意差はなかった(図2、下部パネル)。
D-アンフェタミンは、0.5mg/kgで、2つの区画内を移動した全距離を減少させたが、1mg/kgでは減少させなかった(図3)。
【0105】
結論:これらの結果は、ヘロインにより誘発された場所嗜好性に対するD-アンフェタミンの確実な効果を示していない。
【0106】
D-アンフェタミン(0.5mg/kg)は、薬物関連付け区画内に滞在した時間のヘロインに誘発された増加を非有意に減少させ、薬物関連付け区画内を移動した距離のヘロインに誘発された増加に対して効果を有しなかった。
【0107】
D-アンフェタミン(1mg/kg)は、薬物関連付け区画内に滞在した時間及びその区間内を移動した距離のヘロインに誘発された増加を変化させなかった。
【0108】
ヘロインにより誘発された場所嗜好性に対するマジンドールの効果
嗜好性セッションの前に投与されたマジンドール(0.125mg/kg、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg及び2mg/kg)は、以下の効果を誘発した:
マジンドール(0.125mg/kg)は、薬物関連付け区画内を移動した距離(図1)及びその区間内に滞在した時間(図2)のヘロインに誘発された増加に対して有意な効果を有しなかった。
マジンドール(0.25mg/kg):
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差のヘロインに誘発された増加を有意に減少させたが(図1、下部パネル)、この効果は部分的であった。それというのも、Hero-Mz0.25群は、ビヒクル関連付け区画内よりも薬物関連付け区画内で多くの距離を移動したからである(図1、上側のパネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間のヘロインに誘発された増加を減少させる傾向にあった:Hero-Mz0.25群が滞在した時間は、薬物関連付け区画とビヒクル関連付け区画との間で有意差はなく(図2、上側のパネル)、コントロール群と有意差はなかったが、ヘロイン群とも有意差はなかった(図2、下部パネル)。
マジンドール(0.5mg/kg):
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差のヘロインに誘発された増加を有意に打ち消した:Hero-Mz0.5群では、移動した距離は、薬物関連付け区画とビヒクル関連付け区画との間で有意差はなく(図1、上側のパネル)、薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差は、Hero群よりも低く、コントロール群と有意差はなかった(図1、下部パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間のヘロインに誘発された増加を減少させる傾向にあった:Hero-Mz0.5群が滞在した時間は、薬物関連付け区画とビヒクル関連付け区画との間で有意差はなく(図2、上側のパネル)、コントロール群と有意差はなかったが、ヘロイン群とも有意差はなかった(図2、下部パネル)。
マジンドール(1mg/kg):
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差のヘロインに誘発された増加を有意に減少させなかった:Hero-Mz1群では、移動した距離は、薬物関連付け区画においてビヒクル関連付け区画よりも高い傾向にあり(p=0.06)(図1、上側のパネル)、薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差は、Hero群と有意差はなく、コントロール群より高かった(図1、下部パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間のヘロインに誘発された増加を有意に変化させなかった(図2)。
マジンドール(2mg)は、薬物関連付け区画内を移動した距離(図1)及びその区間内に滞在した時間(図2)のヘロインに誘発された増加に対して有意な効果を有しなかった。
【0109】
マジンドールは、2mg/kgを除き全ての試験された用量で自発運動活性を減少させた(図3)。
【0110】
結論:これらの結果は、マジンドール(0.25mg/kg、0.5mg/kg)がヘロインにより誘発された場所嗜好性を減少させたことを示している。
【0111】
薬物関連付け区間内を移動した距離のヘロインに誘発された増加は、マジンドール(0.25mg/kg)によって低減され、マジンドール(0.5mg/kg)によって打ち消された。移動した距離は、マジンドール(0.5mg/kg)で処理された動物において薬物関連付け区画とビヒクル関連付け区画との間で有意差はなく、マジンドール(0.25mg/kg、0.5mg/kg)で処理された動物において薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の有意差はなかった。マジンドール(0.125mg/kg、1mg/kg及び2mg/kg)は、薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離及び薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の変化を誘発せず、したがってヘロインにより誘発された場所嗜好性の減少を示唆する効果を誘発しなかった。
【0112】
【表5】
【0113】
マジンドールによって誘発された場所嗜好性の決定
嗜好性セッションの結果は、以下の表6に示されている。
【0114】
薬物セッションの前に投与されたマジンドール(2mg/kg)は、嗜好性セッションで以下の効果を誘発した。
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差の増加
MAZ2群だけでなくHero群においても、移動した距離は、ビヒクル関連付け区画内よりも薬物関連付け区画内の方が大きかったが、コントロール群ではそうではなかった(図7、左上パネル)。
薬物関連付け区画内を移動した距離対ビヒクル関連付け区画内を移動した距離の差は、コントロール群よりもMAZ2群の方が大きく、MAZ2群とHero群との間に有意差はなかった(図7、右上パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の増加
MAZ2群だけでなくHero群においても、滞在した時間は、ビヒクル関連付け区画内よりも薬物関連付け区画内の方が大きかったが、コントロール群ではそうではなかった(図7、左下パネル)。
薬物関連付け区画内に滞在した時間対ビヒクル関連付け区画内に滞在した時間の差は、コントロール群よりもMAZ2群の方が大きく、MAZ2群とHero群との間に有意差はなかった(図7、右下パネル)。
【0115】
結論:マジンドール(2mg/kg)は場所嗜好性を誘発した。
【0116】
マジンドール(2mg/kg)は、嗜好性セッションにおいてビヒクル関連付け区画と比較して薬物関連付け区画内を移動した距離及びその区画に滞在した時間を劇的に増加させた。これらの効果は、ヘロイン(1.25mg/kg)により誘発された効果と同程度であった。
【0117】
【表6】
【0118】
ナロキソン促進されたヘロインの離脱症候群
結果は、表7に示されている。
【0119】
ヘロインは、総合スコア(図4)の増加と体重減少、逃避の試み、身震い(図5)、下痢、顔面線維束性収縮又は歯闘、そして大量の唾液分泌(図6)についてのスコアの増加とを誘発した。
【0120】
ヘロインはまた、腹部収縮及び色素涙症についてのスコアを非有意に増加させた。
【0121】
D-アンフェタミン(1mg/kg)は、総合スコア(図4)及び種々の離脱症状(図5)(図6)を減少させなかった。反対に、D-アンフェタミンは、色素涙症の症状を増加させる傾向があった。この増加は、恐らくアンフェタミン群の被験体数が少ないため有意ではなかった。
【0122】
マジンドール:
総合スコアを減少させた:この効果は、0.125mg/kgを除き全ての用量で有意であった(図4)。
身震い(1mg/kg及び2mg/kgで有意な効果)(図5)、顔面線維束性収縮又は歯闘(2mg/kgで有意)及び大量の唾液分泌(2mg/kgを除き全ての用量で有意)(図6)についてのスコアを減少させた。
体重減少及び逃避の試みについてのスコアを有意に減少させず、反対にマジンドール(2mg/kg)によって増加させ(図5)、下痢についてのスコア(図6)を有意に減少させなかった。
【0123】
結論:マジンドールは、ヘロインの離脱症状を減少させた。
【0124】
マジンドールは、ナロキソン促進されたヘロインの離脱症状を減少させた。この効果は、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg及び2mg/kgで有意であったが、0.125mg/kgでは有意でなかった。1mg/kgのD-アンフェタミンは、ヘロインの離脱症状を減少させなかった。
【0125】
【表7】
【0126】
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