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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】乾燥装置セット
(51)【国際特許分類】
   F26B 9/06 20060101AFI20241126BHJP
   D06F 58/14 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
F26B9/06 R
D06F58/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021009126
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022113033
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2023-06-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】筒泉 佳菜子
(72)【発明者】
【氏名】奥村 明彦
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-150294(JP,A)
【文献】実開昭54-104567(JP,U)
【文献】特開2001-190898(JP,A)
【文献】特開2002-306899(JP,A)
【文献】登録実用新案第3074163(JP,U)
【文献】登録実用新案第3097710(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 9/06
D06F 58/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風を吐出するための吐出部を備える乾燥装置と、
前記吐出部を接続され且つ被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋と
を備え、
前記乾燥袋は、有底筒状の袋本体と、前記袋本体の開口側に設けられ且つ被懸架部材に付け外し可能な懸架体とを備え、
前記袋本体は、前記開口の大きさを調整可能とする開口調整手段を有する
乾燥装置セット。
【請求項2】
温風を吐出するための吐出部を備える乾燥装置と、
前記吐出部を接続され且つ被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋と
を備え、
前記乾燥袋は、有底筒状の袋本体と、前記袋本体の開口側に設けられ且つ被懸架部材に付け外し可能な懸架体とを備え、
前記袋本体は、前記乾燥装置の前記吐出部を前記袋本体の外側から出し入れ可能に収容する収容部と、前記収容部における前記吐出部用の挿入口の大きさを調整可能とする挿入口調整手段とを有し、
前記挿入口調整手段は、伸縮自在な弾性体と、前記弾性体よりも伸縮しない紐体とを備え、
前記弾性体及び前記紐体は、前記挿入口の周辺部であって前記挿入口を囲繞するように設けられている
乾燥装置セット。
【請求項3】
前記袋本体は、筒状部に形成された開口部分と、前記開口部分を開閉する開閉手段とを有する
請求項1又は2に記載の乾燥装置セット。
【請求項4】
前記袋本体は、底部の周縁部に底部の形状を保持する形状保持手段を有する
請求項1又は2に記載の乾燥装置セット。
【請求項5】
前記形状保持手段は、使用者の操作により形状が変化し、1つの形状がリング状である
請求項に記載の乾燥装置セット。
【請求項6】
前記袋本体は、前記乾燥装置の前記吐出部を前記袋本体の外側から出し入れ可能に収容する収容部と、前記収容部における前記吐出部用の挿入口の大きさを調整可能とする挿入口調整手段とを有する
請求項1に記載の乾燥装置セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被乾燥物を収容する乾燥袋を備える乾燥装置セットに関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥袋として、例えば、「耐熱性及び非通気性を有する柔軟性シートにより、被乾燥物を吊したハンガーに上記被乾燥物を覆った状態で吊り掛け可能な袋状に形成され、温風を吹き込むための給気口と、吹き込まれた温風を排出するための排気口とを備えてなることを特徴とする衣類乾燥袋」が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-196795号公報(請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記衣類乾燥袋では、被乾燥物を吊したハンガーを衣類乾燥袋で覆った状態で、ハンガーの吊り金具を被吊り掛け部材(被懸架部材)に吊り掛けるため、作業性が悪いという欠点がある。
本発明は、作業性のよい乾燥袋を備える乾燥装置セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る乾燥装置セットは、温風を吐出するための吐出部を備える乾燥装置と、前記吐出部を接続され且つ被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋とを備え、前記乾燥袋は、有底筒状の袋本体と、前記袋本体の開口側に設けられ且つ被懸架部材に付け外し可能な懸架体とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、乾燥袋を被懸架部材に懸架した状態で作業できるため、作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る乾燥装置セットの斜視図である。
図2】乾燥袋の説明図である。
図3】懸架状態の乾燥袋を下方から見た図である。
図4】乾燥袋の折り畳みを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一態様に係る第1の乾燥装置セットは、温風を吐出するための吐出部を備える乾燥装置と、前記吐出部を接続され且つ被乾燥物が出し入れ可能に収容される乾燥袋とを備え、前記乾燥袋は、有底筒状の袋本体と、前記袋本体の開口側に設けられ且つ被懸架部材に付け外し可能な懸架体とを備える。
実施形態の一態様に係る第2の乾燥装置セットは、第1の乾燥装置セットにおいて、前記袋本体は、前記開口の大きさを調整可能とする開口調整手段を有する。これにより、吐出部から吐出された温風が開口から流出するのを防止でき、効率よく被乾燥物を乾燥できる。
実施形態の一態様に係る第3の乾燥装置セットは、第1又は第2の乾燥装置セットにおいて、前記袋本体は、筒状部に形成された開口部分と、前記開口部分を開閉する開閉手段とを有する。これにより、被乾燥物を乾燥袋に対し容易に出し入れできる。また、吐出部から吐出された温風が開口部分から流出するのを防止でき、効率よく被乾燥物を乾燥できる。
【0009】
実施形態の一態様に係る第4の乾燥装置セットは、第1~第3の何れかの乾燥装置セットにおいて、前記袋本体は、底部の周縁部に底部の形状を保持する形状保持手段を有する。これにより、底部の形状が安定し、乾燥袋と被乾燥物とが接触するのを回避できる。これにより、乾燥袋を衛生的に使用できる。
実施形態の一態様に係る第5の乾燥装置セットは、第4の乾燥装置セットにおいて、前記形状保持手段は、使用者の操作により形状が変化し、1つの形状がリング状である。これにより、乾燥袋を折り畳むことができ、コンパクトに収容できる。
実施形態の一態様に係る第6の乾燥装置セットは、第1~第5の何れかの乾燥装置セットにおいて、前記袋本体は、前記乾燥装置の前記吐出部を前記袋本体の外側から出し入れ可能に収容する収容部と、前記収容部における前記吐出部の挿入口の大きさを調整可能とする挿入口調整手段とを有する。これにより、吐出部を安定した状態で収容できる。
実施形態の一態様に係る第7の乾燥装置セットは、第6の乾燥装置セットにおいて、前記挿入口調整手段は、伸縮自在な弾性体と、前記弾性体よりも伸縮しない紐体とを備え、前記弾性体及び前記紐体は、前記挿入口の周辺部であって前記挿入口を囲繞するように設けられている。これにより、弾性体により吐出部を収容部に一旦保持でき、両手を使って紐体を操作することができる。
【0010】
<実施形態>
1.概要
乾燥装置セットXは、図1に示すように、例えば、乾燥装置1と乾燥袋3とを備える。
乾燥装置1の吐出部は、乾燥袋3に付け外し可能に接続され、乾燥袋3内に温風を吐出する。
乾燥袋3は被乾燥物Pを出し入れ可能に収容する。乾燥袋3は、例えば、バー等の被懸架部材7に自在に懸架可能である。これにより、乾燥袋3を被懸架部材7に懸架した状態で、ハンガー、パラソルハンガー、ピンチハンガー、洗濯用ハンガー等の吊り掛け体8を介して被乾燥物Pを被懸架部材7に懸架でき、作業性を高めることができる。
以下、各部について説明する。
【0011】
2.各部
(1)乾燥装置
乾燥装置1は、装置本体10及び1本又は複数本のホース体11を備える。装置本体10は、吸気口10aから吸引した空気を加熱手段で加熱し、送風手段により吐出口から吐出する。
ホース体11は、伸縮可能であって屈曲可能なホース12と、ホース12の一端に設けられ且つ装置本体10の吐出口に接続される接続部13と、ホース12の他端に設けられ温風を吐出する吐出部14(図3参照)とを有する。
【0012】
(2)乾燥袋
乾燥袋3は、袋本体4と、袋本体4に設けられた懸架体6とを備える。以下、主に、図2を用いて説明する。
(2-1)袋本体
袋本体4は、耐熱性を有するシート材(布材も含む)から構成されている。実施形態では、合成樹脂繊維を利用した織物材が利用されている。合成樹脂繊維は、例えば、ポリエステル繊維である。これにより、繊維が吸水するのを防止できる共に、被乾燥物Pからの水分を袋本体4の外部に徐放できる。
袋本体4は、上記シート材を利用することで、折り畳んだり、丸めたり、その形状が自在に変更可能とされている。このため、懸架体6を介して袋本体4を被懸架部材7に懸架した状態であって、被懸架部材7側の開口を最大にした状態を基準にして説明する。なお、この状態を懸架状態といい、図1に示す状態である。
【0013】
袋本体4は、全体として有底筒状をし、筒状部40と底部41とを有する。ここでは、筒状部40の上端に開口40aがあり、筒状部40の下端に底部41が形成されている。なお、開口40aの引き出し線は、筒状部40の引き出し線と区別するために、矢印としている。
袋本体4は、筒状部40の開口40aの大きさを調整可能とする開口調整手段42を開口40a側に有している。
袋本体4は、筒状部40に形成された開口部分46と、当該開口部分46を開閉する開閉手段47とを有している。なお、開口部分46の引き出し線は、筒状部40の引き出し線と区別するために、矢印としている。
袋本体4は、底部41の周縁部に底部41の形状を保持する形状保持手段50を有している。
袋本体4は、乾燥装置1の吐出部14を袋本体4の外側から出し入れ可能に収容する収容部53を有している。
袋本体4は、収容部53における吐出部14の挿入口の大きさを調整可能とする挿入口調整手段54を有する。なお、袋本体4は、収容部53と挿入口調整手段54との両方を有する方が、作業性向上の観点から好ましいが、収容部53だけであってもよい。
【0014】
筒状部40は、四角筒状等の多角筒状や円筒状等の筒状をしている。実施形態では、円筒状をしている。これにより、袋本体4の向き等を気にせずに使用できる。袋本体4は、筒状部40の筒軸が上下方向となるように懸架されるため、上下方向に長くなり、使い勝手が向上する。また、筒軸と重力の作用する方向が一致するため、筒状部40の形状が安定する。
開口調整手段42は、筒状部40の開口40a側に形成された挿通部43と、挿通部43内を挿通する紐体44とにより構成されている。なお、挿通部43は、後述の下挿通部55と区別するために、便宜上、「上挿通部」とする。
実施形態では、紐体44が緩むのを防止する紐止め45が設けられている。上挿通部43は、例えば、シート体における筒状部40の開口側となる部分を、筒状部40の上端縁となる位置で下側に折り返し、折り返した部分を筒状部40の端縁となる位置から下側に離れた部位で筒状部40に固定することで、形成される。固定は、例えば縫製により行われている。実施形態では、上挿通部43は、筒状部40の筒軸側(内面側)に形成されている。上挿通部43は、筒軸と直交する方向、換言すると周方向に沿って形成されている。これにより、筒状部40の上端が水平方向に延び、懸架状態の被乾燥物Pを下方から容易に覆うことができる。
紐体44は、1本又は複数本利用され、上挿通部43も紐体44の本数に対応して設けられている。ここでは、紐体44は2本あり、上挿通部43も2本ある。上挿通部43の長さは、開口40aの半周分である。1本の紐体44は、1本の上挿通部43の挿通方向の両端に形成された2つの開口を利用して上挿通部43内に挿通されている。
開口40aを小さくする場合、各上挿通部43内の紐体44を引き出すことで行われる。小さく絞られた開口40aを大きく又はもとに戻す場合、挿通方向に縮んだ上挿通部43を周方向に伸ばすことで行われる。
紐止め45は、紐体44における上挿通部43から導出された部分を挟持するように構成されている。紐止め45は、例えば、コードロック、コードストッパ等を利用できる。紐止め45は2本の紐体44に対応して2個ある。各紐止め45は、2本の紐体44の一方側の端部同士を挟持する。なお、紐止め45がなくても、紐体44を結ぶことで、同様の効果が得られる。
【0015】
筒状部40の開口部分46は、例えば、懸架状態において、吊り掛け体8や被乾燥物Pを保持する吊り掛け体8(以下、単に、「被乾燥物P」とする)の通過が許容される大きさに構成されている。なお、ここでの通過には、被乾燥物Pを例えば半分に折る等により被乾燥物Pを小さくした状態で通過させる場合、被乾燥物Pをそのままの状態で通過させる場合等を含む。
開口部分46は、筒状部40の筒軸の延伸する方向(以下、「筒軸方向」ともいう)に長い矩形状をしている。開口部分46は、筒状部40の下端から上方に延びるように構成されている。これにより、長い衣服等の被乾燥物Pを開口部分46を介して出し入れが容易となる。
開口部分46は、筒状部40に形成された1本又は複数本の貫通溝48により形成される。ここでの貫通溝48は1本である。貫通溝48は、両端が筒状部40の下端にあり、逆「U」字状をしている。これにより、開口部分46を開けた際に、開口部分46を塞いでいた閉塞部分49が下方に垂れ下がり、被乾燥物Pの出し入れが容易に行える。
開閉手段47は、例えば、ファスナー、ホック、ボタンとフック、マジックテープ(登録商標)等を利用できる。実施形態ではファスナーを利用している。これにより、袋本体4内の密閉性を高めることができる。ファスナーは、スライダ47aが2つある、頭合わせタイプが好ましい。これにより、小さい被乾燥物Pを出し入れする際に、スライダ47aを移動させる距離を短くできる。
【0016】
形状保持手段50は底部41に設けられている。実施形態では、形状保持手段50は、筒状部40と底部41との境界部分に設けられている。形状保持手段50は、リング状をし、懸架状態の底部41の周縁と同じ形状及び同じ大きさをしている。形状保持手段50は、底部41の周縁に形成された保持部51と、保持部51内に配されるリング体52とにより構成されている。
保持部51は、例えば、シート体における底部41の周縁側となる部分を、底部41の周縁となる位置で内側に折り返し、折り返した部分を底部41の周縁となる位置から内側に離れた部位で底部41に固定することで、形成される。固定は、例えば縫製により行われる。ここでは、折り返した部分は、筒状部40の下端部と共に底部41に固定される。実施形態では、保持部51は、底部41の内側(袋本体4の内部側)に形成されている。
リング体52は、筒状部40の筒軸が上下方向となるように、筒状部40の下端が最下位置になるような重量を有している。これにより、筒状部40が下方に延び、乾燥袋3を素早く懸架状態にできる。リング体52は、使用者の操作により形状が変化し、1つの形状(懸架状態の形状)がリング状である。これにより、懸架状態において、筒状部40と被乾燥物Pとが接触するのを少なくできる。リング体52は、弾性変形可能な材料により構成されている。このような材料として、樹脂材料、金属材料等がある。実施形態では、ばね鋼材により構成され、円環状をしている。
【0017】
リング体52は、図4の(b)、(d)に示すように、「8」の字状にも変形でき、「8」の字の交差部分で折り曲げて重ねることで、二重円となり、コンパクトにできる。
袋本体4は、形状保持手段50の周辺に、図4の(d)に示すように、リング体52を二重円にした際に、復元しようとするのを規制する復元規制手段58を有する。実施形態では、復元規制手段58は、例えば、2個の懸架体6の下方に設けられている。復元規制手段58は、フック、マジックテープ(登録商標)等を利用できる。実施形態では、被係止具(例えば、ボタン)58aと、被係止具58aに係止する係止具(例えば、ゴム紐)58bとにより構成されている。
【0018】
底部41は、ここでは、円形状をしている。底部41は、中央部分に乾燥装置1の吐出部14と接続する接続部を有している。実施形態では、吐出部14の吐出口を袋本体4の内部に向けた状態の吐出部14を収容する収容部53により構成されている。
収容部53は、筒状をし、その筒軸は、懸架状態において上下方向と平行となる。収容部53は、底部41の中央から下方に突出するように設けられている。これにより、袋本体4にシート材を利用しても、収容部53を容易に形成できる。
収容部53は、吐出部を支持できればよく、吐出部の全長よりも長くてもよいし、短くてもよい。実施形態では、吐出部の大部分を収容する。これにより、安定した状態で、吐出部の姿勢を維持できる。なお、収容部53の下方の開口が、吐出部14を出し入れ可能とする挿入口である。
【0019】
挿入口調整手段54は、挿入口の周辺部であって挿入口を囲繞するように設けられている。挿入口調整手段54は、収容部53の挿入口に形成された挿通部55と、挿通部55内に配され且つ伸縮可能なゴム紐59と、挿通部55内を挿通し且つゴム紐59よりは伸縮しない紐体56とにより構成されている。なお、挿通部55は、上挿通部43と区別するために、便宜上、「下挿通部」とする。
実施形態では、紐体56が緩むのを防止する紐止め57が設けられている。下挿通部55は、例えば、シート体における収容部53の挿入口側となる部分を、収容部53の下端縁となる位置で上側に折り返し、折り返した部分を収容部53の下端縁となる位置から上側に離れた部位で収容部53に固定することで、形成される。固定は、例えば縫製により行われている。また、実施形態では、下挿通部55は、収容部53の筒軸側(内側)に形成されている。
【0020】
紐体56は、1本が利用され、下挿通部55の挿通方向の両端に形成された2つの開口を利用して下挿通部55内に挿通されている。換言すると、紐体56の一端と他端は、下挿通部55の開口から導出されている。
挿入口を小さくする場合、下挿通部55内の紐体56を引き出すことで行われる。小さくされた挿入口を大きく又はもとに戻す場合、挿通方向に縮んだ下挿通部55を伸ばすことで行われる。
紐止め57は、紐体56における下挿通部55から導出された部分を挟持するように構成されている。紐止め57は、例えば、コードロック、コードストッパ等を利用できる。なお、紐止め57がなくても、紐体56を結ぶことで、同様の効果が得られる。
ゴム紐59は、弾性体であり、ここでは、環状をしている。通常状態では、環状の大きさは吐出部14より小さい。つまり、通常状態では吐出部14の通過が許容されず、吐出部14を収容部53に挿入する際には、ゴム紐59を伸ばして挿入口を大きくする。これにより、収容部53に収容された吐出部14を下方から支持(仮固定である)できる。このように、ゴム紐59は、広げられた挿入口を、その復元力で小さくすることで、吐出部14を仮止め状態で支持できるため、仮止め部、係止部、支持部として機能する。
【0021】
(2-2)懸架体
懸架体6は、袋本体4の底部41と反対側の開口40a側に設けられている。懸架体6は、被懸架部材7に付け外し可能に構成されている。懸架体6は、ここでは、「?」状の係合具(フック)が利用されている。換言すると、懸架体6は、被懸架部材7に係合する係合部を有している。懸架体6は筒状部40の開口40a側に固定されている。懸架体6は、係合部の他に、袋本体4に固定される固定部を有している。実施形態では、係合部は、固定部に対して上下方向を回転軸として回転可能に設けられている。
懸架体6は複数個ある。複数個の懸架体6は、筒状部40の開口40aの端縁において、点対称又は線対称となる位置に設けられている。これにより、バランスよく袋本体4を懸架できる。なお、点対称の場合は筒状部40の中心(筒軸)が基準となり、線対称の場合は筒状部40の中心を通過する仮想直線が基準となる。
懸架体6は実施形態では2個ある。2個の懸架体6は、図1に示すように、筒状部40の中心を挟んで対向するように設けられている。つまり、2個の懸架体6は、筒状部40の中心を通る仮想直線と、筒状部40の上端との交差位置又はその周辺位置に設けられている。これにより、例えば、図1に示すように、被懸架部材7が棒状(パイプ状も含む)をしている場合、容易に懸架できると共に安定した懸架状態が得られる。
懸架体6は、係合具により構成されているため、開口40aを小さくする際には、懸架体6を被懸架部材7に沿ってスライドさせればよく、容易に行える。
【0022】
3.使用
乾燥装置セットXの使用について説明する。なお、ここでの例は、一例であり、作業の手順等を入れて換えてもよい。
(1)乾燥袋
乾燥袋3が折り畳まれている場合、乾燥袋3を展開し、乾燥袋3の懸架体6を被懸架部材7に係合させる。この際、リング体52を一重の環状にしておく方が、被乾燥物Pを被懸架部材7に懸架しやすい。また、懸架状態において、2個の懸架体6の間隔を大きくする方が、被乾燥物Pを被懸架部材7に懸架しやすい。
乾燥袋3を懸架すると、開口部分46が閉じている場合、開閉手段47の一例であるファスナーのスライダ47aを移動させて、開口部分46を開ける。
開口部分46を開けると、被乾燥物Pが吊り掛けられた吊り掛け体8を開口部分46から袋本体4内に挿入し、筒状部40の上端の開口40aを利用して被懸架部材7に懸架する。
すべての被乾燥物Pの懸架を終了すると、ファスナーのスライダ47aを移動させて開口部分46を閉じる。また、筒状部40の上端の開口40aを開口調整手段42を利用して小さくする。具体的には、紐体44を引き出して上挿通部43を縮ませると共に懸架体6を互いに近づける。これにより、袋本体4の下部に接続された乾燥装置1の吐出部14からの温風が開口40aから袋本体4の外部に漏れるのを防止でき、効率的に被乾燥物Pを乾燥できる。
なお、被乾燥物Pを被懸架部材7に先に懸架させた場合でも、袋本体4の上端に開口40aを有するため、袋本体4の開口を被乾燥物Pの下方から上方に移動させることで、袋本体4を懸架できる。また、この際、形状保持手段50を有するため、袋本体4を手で拡幅する必要がない。
【0023】
(2)乾燥装置
乾燥装置1のホース体11の先端である吐出部14を袋本体4の下部の収容部53の挿入口から挿入し、挿入口調整手段54を利用して、吐出部14を収容・保持する。具体的には、吐出部14を挿入する際にゴム紐59を伸ばして吐出部14を収容部53内に挿入する。これにより、吐出部14は、収容部53内でゴム紐59により仮止め状態で支持される。そして、紐体56を下挿通部55から引き出して挿入口をさらに小さくし、紐止め57で紐体56を固定する。
この際、吐出部14は、収容部53内でゴム紐59により仮固定されているため、使用者は両手を使って、紐体56を引き出したり、紐止め57で固定したり等の作業を行える。
また、収容部53が底部41から下方に延出しているため、挿入口からの吐出部14の挿入及び保持を容易に行える。
最後に、乾燥装置1を操作して、吐出部から温風を吐出させる。
【0024】
(3)乾燥袋
乾燥袋3の収容について図4を用いて説明する。
まず、図4の(a)のように乾燥袋3を広げ、底部41のリング体52を図4の(b)のように「8」の字状に捩じる。
次に、「8」の字状のリング体52の上に、筒状部40を例えば破線で示す位置で折り畳み(この状態が、図4の(c)である)、図4の(d)に示すように、折り畳んだ筒状部40を挟むように、「8」の字状のリング体52を折り曲げて重さねる。
最後に、復元規制手段58を利用して、係止具58bを被係止具58aに係止する。これにより、乾燥袋3をコンパクトに収容できる。
【0025】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0026】
<変形例>
(1)実施形態では、乾燥装置1について特に説明していないが、給気した空気を加熱して吐出部14から吐出できればよく、その構成を特に限定するものではない。
吐出部14は、一例としてホース体11の先端に設けられていたが、ホース体の先端部により構成されてもよい。また、吐出部は、ホース12に代えて、屈曲不可能なパイプの先端に設けられてよいし、パイプの先端部で構成されてもよい。また、吐出部14は、1個であったが、複数個あってもよい。
また、袋本体4の収容部53を長くして、乾燥装置1の装置本体10の吐出口に直接接続するようにしてもよい。
(2)袋本体4は、全体として、懸架状態において円筒状をしていたが、他の形状であってもよい。また、筒軸方向に形状が変わってもよい。
袋本体4は、被乾燥物Pの被懸架部材7への懸架を考慮すると、上端に開口40aを有することが好ましいが、開口部分46に関する操作性、懸架状態の袋本体4の形状維持、吐出部14の収容のすくなくとも1つに着目する場合、開口40aの大きさを調整する開口調整手段42は有してもよいし、有さなくてもよい。
【0027】
(3)袋本体4は、筒状部40の状態に開口40aを有し、被乾燥物Pを乾燥する際に開口40aを小さくしていたが、開口調整手段42を有さずに、例えば、中央に懸架体6を挿通するための開口を有する閉塞体を、筒状部の上端部にファスナー等を利用して固定するようにしてもよい。
(4)開口調整手段は、2本の紐体44を備えていたが、例えば、1本の紐体を備え、1本の紐体で全周を縮めるようにしてもよい。なお、この場合、上挿通部43は1本となる。紐体44は、ほとんど伸縮しない紐体であってもよいし、ゴム紐のように伸縮可能な紐体であってもよい。
また、紐体は、紐状の形態だけでなく、紐よりも幅の広い帯状の形態も含むとしてもよい。
(5)筒状部40の開口部分46は、逆「U」字状の貫通溝48により構成されていたが、「U」字状の貫通溝で構成してもよいし、横を向いた「U」字状の貫通溝で構成してもよいし、「V」字状に構成してもよいし、円形状、矩形状等の多角形状に構成してもよい。但し、円形状又多角形状の場合、開口部分を開閉自在にする構成が必要となるが、例えば、ファスナーを全周に亘って設けることで実施できる。
【0028】
(6)形状保持手段50は、保持部51によりリング体52が保持されていたが、例えば、リング体は、取り外し可能としてもよい。形状保持手段50は、筒状部40における底部41側の端部又は底部41に設けられていたが、さらに、筒状部40に設けてもよい。つまり形状保持手段50は複数設けてもよい。1個の形状保持手段50を設ける場合、筒状部40に設けてもよいし、底部41に設けてもよい。
(7)収容部53は、底部41から下方に突出するように設けられているが、吐出部14の構造が、例えば、筒状の周壁部分から温風を吹き出す(吐出部の筒軸と直交する方向に吐出する)ような場合、吐出部14の筒軸を上下方向と直交するようにしてもよく、収容部53は、上下方向と直交するように設けられてもよいし、底部41に載置するような構成であってもよい。収容部53は、例えば、乾燥装置1の吐出部14が複数個ある場合に、複数あってもよい。これにより、袋本体4の内部の広い範囲に温風が行き渡りやすくでき、乾燥ムラを少なくできる。
(8)挿入口調整手段54は、伸縮可能な弾性体としてゴム紐59と紐体56とを備えていたが、挿入口の周縁の長さよりも短い環状の伸縮可能な紐体(例えば、ゴム紐である)を備え、紐体56を備えない構成としてもよい。
また、伸縮可能であって挿通部を挿通する弾性体(例えばゴム紐)と紐止めとを備え、吐出部14を挿入する前に、弾性体を引き出し(必要であれば紐止めで仮固定しておく)て挿入口をあらかじめ小さくしておき、吐出部14を収容した後(この状態で仮固定されている)に、弾性体をさらに引き出して紐止めで固定するようにしてもよい。この場合においても、使用者は吐出部14を手で支持する必要がなく、両手を使って作業できる。
なお、ゴム紐59は、環状(リング状)をしているが、例えば、ゴム紐59の両端を袋本体4に固定しても、環状と同じように利用することができる。
また、挿入口調整手段は、弾性体を備えず、紐体56と紐止め57とにより構成してもよいし、紐体56のみで構成してもよい。
なお、弾性体及び紐体は、1本であってもよいし、複数本で1本に相当するように複数本あってもよい。また、弾性体は、環状の弾性体を複数本(多重で)備えてもよい。
(9)懸架体6は、2個あったが、3個以上であってもよい。また、懸架体6は、乾燥袋3を被懸架部材7に懸架できればよく、袋本体4に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
X 乾燥装置セット
1 乾燥装置
3 乾燥袋
4 袋本体
6 懸架体
7 被懸架部材
図1
図2
図3
図4