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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ビーズクッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20241126BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A47C27/00 Q
A47C27/00 K
A47C31/02 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021165220
(22)【出願日】2021-10-07
(65)【公開番号】P2023056107
(43)【公開日】2023-04-19
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518108678
【氏名又は名称】株式会社南郷包装
(74)【復代理人】
【識別番号】100108626
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】川野 純一
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3092204(JP,U)
【文献】特開2005-198856(JP,A)
【文献】特開2005-230137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00
A47C 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各辺がX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に沿った六面体として構成された袋体と、該袋体の内部に充填された樹脂ビーズとを備えたビーズクッションであって、
前記袋体の前記Y軸方向で互いに対向する一対の面は前記X軸方向の伸縮度が前記Z軸方向の伸縮度より大きい第1の生地で構成されており、前記Z軸方向で互いに対向する一対の面は前記Y軸方向の伸縮度が前記X軸方向の伸縮度より大きい第2の生地で構成されており、前記X軸方向で互いに対向する一対の面は前記Y軸方向の伸縮度が前記Z軸方向の伸縮度より大きい第3の生地で構成されていることを特徴とするビーズクッション。
【請求項2】
前記第3の生地の前記Y軸方向の伸縮度が前記第1の生地の前記X軸方向の伸縮度より大きく、前記第3の生地の前記Z軸方向の伸縮度が前記第1の生地の前記Z軸方向の伸縮度より大きいことを特徴とする請求項1に記載のビーズクッション。
【請求項3】
前記第1の生地が、前記X軸方向に対応する方向の伸縮度が前記Z軸方向に対応する方向の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されており、前記第2の生地が、前記Y軸方向に対応する方向の伸縮度が前記X軸方向に対応する方向の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されており、前記第3の生地が、前記Y軸方向に対応する方向の伸縮度が前記Z軸方向に対応する方向の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のビーズクッション。
【請求項4】
前記第1の生地が、前記X軸方向に対応する方向の糸の伸縮度が前記Z軸方向に対応する方向の糸の伸縮度より大きい横糸及び縦糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されており、前記第2の生地が、前記Y軸方向に対応する方向の糸の伸縮度が前記X軸方向に対応する方向の糸の伸縮度より大きい横糸及び縦糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されており、前記第3の生地が、前記Y軸方向に対応する方向の糸の伸縮度が前記Z軸方向に対応する方向の糸の伸縮度より大きい横糸及び縦糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のビーズクッション。
【請求項5】
前記樹脂ビーズが、均一粒径の発泡樹脂ビーズであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のビーズクッション。
【請求項6】
前記発泡樹脂ビーズが、発泡前の粒径が0.35~0.5mm、発泡後の粒径が0.9~1.4mmの発泡樹脂ビーズであることを特徴とする請求項5に記載のビーズクッション。
【請求項7】
前記発泡樹脂ビーズが、発泡ポリスチレンビーズであることを特徴とする請求項5又は6に記載のビーズクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション、ソファ又は椅子等として使用され、内部に樹脂ビーズが充填されているビーズクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
ビーズクッションは、一般に、袋体の内部に発泡樹脂ビーズを充填して構成されている。例えば、特許文献1には、立体形状を有するビーズクッションとして、内部に発泡樹脂ビーズを充填し、ファスナー部材を掛合わせて非伸縮性の第2袋生地を伸縮性の第1袋生地の内部に押込み状態で包むことによって、使用目的に即した形態変化の自由度が得られるビーズクッションソファが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3100276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載のビーズクッションソファは、構造が複雑であり、また、使用目的に対応した柔軟度を有する形態に変化させる場合には、ファスナー部材の開閉や、第二袋生地を第一袋生地内部へ押し込む等の操作が必要であり、煩雑な操作を要していた。
【0005】
従って本発明の目的は、使用目的に応じた少なくとも3種類の柔軟度を得ることができ、しかも、その柔軟度の切り替えを極めて容易に行うことができるビーズクッションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のビーズクッションは、各辺がX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に沿った六面体として構成された袋体と、この袋体の内部に充填された樹脂ビーズとを備えている。袋体のY軸方向で互いに対向する一対の面はX軸方向の伸縮度がZ軸方向の伸縮度より大きい第1の生地で構成されており、Z軸方向で互いに対向する一対の面はY軸方向の伸縮度がX軸方向の伸縮度より大きい第2の生地で構成されており、X軸方向で互いに対向する一対の面はY軸方向の伸縮度がZ軸方向の伸縮度より大きい第3の生地で構成されている。
【0007】
なお、本明細書において、「X軸方向」、「Y軸方向」及び「Z軸方向」とは、ビーズクッションの12個の辺がそれぞれ沿っている互いに90度異なる方向である。ただし、実際のビーズクッションの辺は直線状態ではないため、これら「X軸方向」、「Y軸方向」及び「Z軸方向」は象徴的に表した方向である。また、「横方向」及び「縦方向」とは、ビーズクッションの座面(上面)に配置した生地において、前方から見た場合の左右方向を「横方向」、前後方向を「縦方向」とした。
【0008】
本発明のビーズクッションの向き(姿勢)を変えることにより、X軸方向の伸縮度がZ軸方向の伸縮度より大きい第1の生地で構成した対向する一対の面がビーズクッションの上下面となるようにしてその上面を座面とし、Y軸方向の伸縮度がX軸方向の伸縮度より大きい第2の生地で構成した対向する一対の面がビーズクッションの前後面となるようにして座面の横面とし、Y軸方向の伸縮度がZ軸方向の伸縮度より大きい第3の生地で構成した対向する一対の面がビーズクッションの左右面となるようにして座面の横面とし、上述した座面に座ると、柔軟度が小さく(柔軟度小)、ハードな座り心地を得ることができる。また、ビーズクッションの向き(姿勢)を変えて、第1の生地で構成した対向する一対の面と第2の生地で構成した対向する一対の面とがビーズクッションの左右面及び前後面にそれぞれなるようにして座面の横面とし、第3の生地で構成した一対の面が上下面となるようにしてその上面からなる座面に座ると、柔軟度が比較的大きく(柔軟度中)、ある程度ソフトな座り心地を得ることができる。さらに、ビーズクッションの向き(姿勢)を変えて、第1の生地で構成した対向する一対の面がビーズクッションの前後面となるようにして座面の横面とし、第3の生地で構成した一対の面が左右面となるようにして座面の横面とし、第2の生地で構成した対向する一対の面がビーズクッションの上下面となるようにしてその上面を座面とし、座面に座ると、柔軟度が大きく(柔軟度大)、ソフトな座り心地を得ることができる。このように、1つのビーズクッションで柔軟度小、柔軟度中及び柔軟度大の3種の柔軟度を切り替えることができ、しかも、その柔軟度の切り替えをクッションの向き(姿勢)を90度変えるだけで行えるので、柔軟度の切り替え操作を極めて容易に行うことができる。
【0009】
第3の生地のY軸方向の伸縮度が第1の生地のX軸方向の伸縮度より大きく、第3の生地のZ軸方向の伸縮度が第1の生地のZ軸方向の伸縮度より大きいことが好ましい。
【0010】
第1の生地が、X軸方向に対応する方向の伸縮度がZ軸方向に対応する方向の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されており、第2の生地が、Y軸方向に対応する方向の伸縮度がX軸方向に対応する方向の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されており、第3の生地が、Y軸方向に対応する方向の伸縮度がZ軸方向に対応する方向の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されていることも好ましい。
【0011】
第1の生地が、X軸方向に対応する方向の糸の伸縮度がZ軸方向に対応する方向の糸の伸縮度より大きい横糸及び縦糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されており、第2の生地が、Y軸方向に対応する方向の糸の伸縮度がX軸方向に対応する方向の糸の伸縮度より大きい横糸及び縦糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されており、第3の生地が、Y軸方向に対応する方向の糸の伸縮度がZ軸方向に対応する方向の糸の伸縮度より大きい横糸及び縦糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されていることも好ましい。
【0012】
樹脂ビーズが、均一粒径の発泡樹脂ビーズであることも好ましい。
【0013】
発泡樹脂ビーズが、発泡前の粒径が0.35~0.5mm、発泡後の粒径が0.9~1.4mmの発泡樹脂ビーズであることも好ましい。
【0014】
発泡樹脂ビーズが、発泡ポリスチレンビーズであることも好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つのビーズクッションで柔軟度小、柔軟度中及び柔軟度大の3種の柔軟度を切り替えることができ、しかも、その柔軟度の切り替えを、クッションの向き(姿勢)を90度変えるだけで行えるので、柔軟度の切り替え操作を極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のビーズクッションの一実施形態において、座る前の外観構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1のビーズクッションの内部構造を示す部分破断斜視図である。
図3図1のビーズクッションの使用形態の一例を示す斜視図である。
図4図1のビーズクッションの使用形態の一例を示す斜視図である。
図5図1のビーズクッションの使用形態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明のビーズクッションの一実施形態において、座る前の外観構成を概略的に示しており、図2はこのビーズクッションの内部構造を部分破断で示している。
【0018】
これらの図に示すように、本実施形態のビーズクッションは、袋体10と、その内部に収容された発泡樹脂ビーズ15とを備えている。袋体10は、異なる3種類の生地である第1の生地11、第2の生地12及び第3の生地13を縫製して六面体となるように形成されている。以下、本実施形態におけるビーズクッションの方向を明確にするため、「X軸方向」、「Y軸方向」及び「Z軸方向」を図1に示すように定義する。また、各生地の「横方向」及び「縦方向」を、ビーズクッションの座面に配置した生地において、座面の前方から見た場合の左右方向を「横方向」、前後方向を「縦方向」と定義する。即ち、図1の場合、第1の生地11の左右方向が横方向11aであり、前後方向が縦方向11bである。
【0019】
図1のビーズクッションにおいて、互いに対向する一対の面である上面及び下面は第1の生地11で構成されており、これら対向する一対の面とは直交する方向で互いに対向する他の一対の面である前面及び後面は第2の生地12で構成されており、これら対向する一対の面及び対向する他の一対の面と、共に直交する方向で互いに対向する一対の面である左面及び右面は第3の生地13で構成されている。
【0020】
袋体10は各辺がX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に沿った六面体として構成されており、その寸法は、単なる一例であるが、例えば65cm×65cm×45cmである。本実施形態では、第1の生地11が65cm×45cm、第2の生地12が65cm×45cm、第3の生地13が65cm×65cmであるが、これに限定されるものではない。この六面体は、各辺の長さが同一の立方体として構成しても良い。
【0021】
第1の生地11、第2の生地12及び第3の生地13は、横方向の伸縮度と縦方向の伸縮度とが異なる生地であり、以下のように縫製されて袋体10を構成している。即ち、本実施形態のビーズクッションを図1に示すような姿勢に配置した場合、第1の生地11は横方向11a(X軸方向)の伸縮度が縦方向11b(Z軸方向)の伸縮度より大きくなるように縫製されており、第2の生地12は縦方向12a(Y軸方向)の伸縮度が横方向12b(X軸方向)の伸縮度より大きくなるように縫製されており、第3の生地13は縦方向13a(Y軸方向)の伸縮度が横方向13b(Z軸方向)の伸縮度より大きくなるように縫製されている。
【0022】
第1の生地11は、横方向11a(X軸方向)の伸縮度が縦方向11b(Z軸方向)の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されているか、又は横方向11a(X軸方向)に対応する横糸の伸縮度が縦方向11b(Z軸方向)に対応する縦糸の伸縮度より大きい横糸及び縦糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されている。
【0023】
第2の生地12は、縦方向12a(Y軸方向)の伸縮度が横方向12b(X軸方向)の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されているか、又は縦方向12a(Y軸方向)に対応する縦糸の伸縮度が横方向12b(X軸方向)に対応する横糸の伸縮度より大きい縦糸及び横糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されている。第1の生地11を90度回転させれば、第2の生地12と同じ機能を有することとなる。
【0024】
第3の生地13は、縦方向13a(Y軸方向)の伸縮度が横縦方向13b(Z軸方向)の伸縮度より大きくなるように作製された織布又はニット生地で構成されているか、又は縦方向13a(Y軸方向)に対応する縦糸の伸縮度が横方向13b(Z軸方向)に対応する横糸の伸縮度より大きい縦糸及び横糸を用いて作製された織布又はニット生地で構成されている。具体的には、本実施形態において、第3の生地13の縦方向の伸縮度は、第1の生地11の横方向の伸縮度及び第2の生地12の縦方向の伸縮度よりやや大きく、第3の生地13の横方向の伸縮度は第1の生地11の縦方向の伸縮度及び第2の生地12の横方向の伸縮度よりやや大きく設定されているが、これに限定されるものではない。
【0025】
図2に示すように、袋体10の内部には、伸縮度に関して方向性のない生地で作成されたビーズ収容袋14が設けられており、このビーズ収容袋14の内部に発泡樹脂ビーズ15が充填されている。袋体10内に充填された発泡樹脂ビーズ15の重量は、本実施形態においては、単なる一例であるが、5.7kgである。袋体10は、図示しないファスナー又は面ファスナー等によって開口を開閉可能に構成し、発泡樹脂ビーズ15の補充や交換を容易にするように構成することが望ましい。
【0026】
発泡樹脂ビーズ15は、本実施形態では、発泡ポリスチレンビーズで構成されている。発泡樹脂ビーズとして発泡ポリスチレンビーズを用いることが最も望ましいが、これに限定されることなく、例えば、ポリエチレン発泡樹脂ビーズやポリプロピレン発泡樹脂ビーズ、アクリル系発泡樹脂ビーズ又はその他の発泡樹脂ビーズを用いても良い。
【0027】
発泡樹脂ビーズ15の粒径は、限りなく均一であることが望ましい発泡ポリスチレンビーズの場合、発泡前の粒径が0.35~0.5mm、発泡倍率が32~40倍、発泡後の粒径が0.9~1.4mmであることが望ましい。発泡樹脂ビーズ15は、独立した粒形状であれば、例えば、球状、俵状、パイプ状又はその他の形状であっても良い。
【0028】
次に、本実施形態のビーズクッションの使用形態例について説明する。
【0029】
ビーズクッションを使用する際の柔軟度に関して、本願発明者の考察によると、ビーズクッションの横面の生地が横方向(ビーズクッションの前後又は左右方向)に大きく伸縮する場合に柔軟度がより高くなることが分かった。
【0030】
図3は、本実施形態のビーズクッションの使用形態の一例として、柔軟度小(ハード)の座り心地を得ようとする場合である。ただし、図3(A)は座る前のクッションの状態を示しており、図3(B)は座っている際のクッションの状態を示している。
【0031】
この場合、ビーズクッションの向き(姿勢)を変えることにより、図3(A)に示すように、ビーズクッションの対向する上下の面に横方向11a(X軸方向)の伸縮度が縦方向11b(Z軸方向)の伸縮度より大きい第1の生地11が位置するように配置し、ビーズクッションの対向する前後の面に縦方向12a(Y軸方向)の伸縮度が横方向12b(X軸方向)の伸縮度より大きい第2の生地12が位置するように配置し、ビーズクッションの対向する左右の面に縦方向13a(Y軸方向)の伸縮度が横方向13b(Z軸方向)の伸縮度より大きい第3の生地13が位置するように配置した。
【0032】
このようなビーズクッション110の上面を座面として座ると、図3(B)に示すように、横面の生地である第2の生地12が横方向(ビーズクッションの左右方向、X軸方向)にあまり伸縮せず、横面の生地である第3の生地13も横方向(ビーズクッションの前後方向、Z軸方向)にあまり伸縮しないため、クッションはさほど沈むことはなく、ハードな(柔軟度小の)座り心地を得ることができた。
【0033】
図4は、本実施形態のビーズクッションの使用形態の他の例として、柔軟度中(ややソフト)の座り心地を得ようとする場合である。ただし、図4(A)は座る前の状態を示しており、図4(B)は座っている際のクッションの状態を示している。
【0034】
この場合、ビーズクッションの向きを図3の状態から90度変えることにより、図4(A)に示すように、ビーズクッションの対向する上下の面に横方向13a(Y軸方向)の伸縮度が縦方向13b(Z軸方向)の伸縮度より大きい第3の生地13が位置するように配置し、ビーズクッションの対向する左右の面に縦方向11a(X軸方向)の伸縮度が横方向11b(Z軸方向)の伸縮度より大きい第1の生地11が位置するように配置し、ビーズクッションの対向する前後の面に横方向12a(Y軸方向)の伸縮度が縦方向12b(X軸方向)の伸縮度より大きい第2の生地12が位置するように配置した。

【0035】
このようなビーズクッション210の上面を座面として座ると、図4(B)に示すように、横面の生地である第2の生地12が横方向(ビーズクッションの左右方向、Y軸方向)に大きく伸縮しようとするが、横面の生地である第1の生地11が横方向(ビーズクッションの前後方向、Z軸方向)にさほど伸縮しないため、クッションはある程度は沈み込むが抑えられたものとなり、ややソフトな(柔軟度中の)座り心地を得ることができた。
【0036】
図5は、本実施形態のビーズクッションの使用形態のさらに他の例として、柔軟度大(かなりソフト)の座り心地を得ようとする場合である。ただし、図5(A)は座る前のクッションの状態を示しており、図5(B)は座っている際のクッションの状態を示している。
【0037】
この場合、ビーズクッションの向きを図3又は図4の状態から90度変えることにより、図5(A)に示すように、ビーズクッションの対向する上下の面に縦方向12a(Y軸方向)の伸縮度が横方向12b(X軸方向)の伸縮度より大きい第2の生地12が位置するように配置し、ビーズクッションの対向する前後の面に横方向11a(X軸方向)の伸縮度が縦方向11b(Z軸方向)の伸縮度より大きい第1の生地11が位置するように配置し、ビーズクッションの対向する左右の面に横方向13a(Y軸方向)の伸縮度が縦方向13b(Z軸方向)の伸縮度より大きい第3の生地13が位置するように配置した。
【0038】
このようなビーズクッション310の上面を座面として座ると、図5(B)に示すように、横面の生地である第1の生地11が横方向(ビーズクッションの左右方向、X軸方向)に大きく伸縮し、横面の生地である第3の生地13も横方向13a(Y軸方向)に大きく伸縮するため、クッションは大きく沈み込み、かなりソフトな(柔軟度大の)座り心地を得ることができた。
【0039】
なお、上述した使用形態のように、座面をビーズクッションの上下、左右又は前後の面とはせず、面と面との境界部、例えば第1の生地11と第2の生地12との境界の縫製部、とすれば、上述した柔軟度とは異なる種類の柔軟度を得ることが可能である。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のビーズクッションは、1つのビーズクッションで柔軟度小、柔軟度中及び柔軟度大の少なくとも3種の柔軟度を切り替えることができ、しかも、その柔軟度の切り替え操作はクッションの姿勢をわずかに、90度、変えるのみで良く、極めて容易に行うことができる。
【0041】
本発明の効果を検証するため、X軸方向で互いに対向する一対の面を、Y軸方向の伸縮度がZ軸方向の伸縮度より大きい第3の生地13と、Z軸方向の伸縮度がY軸方向の伸縮度より大きい生地とで構成した比較用のビーズクッションを作成した。なお、この比較用のビーズクッションにおいては、Y軸方向で互いに対向する一対の面は前述の実施形態の場合と同様に、X軸方向の伸縮度がZ軸方向の伸縮度より大きい第1の生地11で構成し、Z軸方向で互いに対向する一対の面は前述の実施形態の場合と同様に、Y軸方向の伸縮度がX軸方向の伸縮度より大きい第2の生地12で構成した。この比較用のビーズクッションの向き(姿勢)を変えて座っても、柔軟度がさほど変化せず、座り心地の変化はさほど生じなかった。
【0042】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0043】
10 袋体
11 第1の生地
12 第2の生地
13 第3の生地
11a、12b、13a 横方向
11b、12a、13b 縦方向
14 ビーズ収容袋
15 発泡樹脂ビーズ
図1
図2
図3
図4
図5