(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】再生可能な発電システム及び方法
(51)【国際特許分類】
F01K 3/18 20060101AFI20241126BHJP
F03G 6/00 20060101ALI20241126BHJP
F03G 6/06 20060101ALI20241126BHJP
F03D 9/18 20160101ALI20241126BHJP
F24S 20/20 20180101ALI20241126BHJP
F24S 60/30 20180101ALI20241126BHJP
F24S 80/20 20180101ALI20241126BHJP
F22B 1/06 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
F01K3/18
F03G6/00 551
F03G6/06
F03D9/18
F24S20/20
F24S60/30
F24S80/20
F22B1/06 Z
(21)【出願番号】P 2022554700
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(86)【国際出願番号】 US2021021332
(87)【国際公開番号】W WO2021183424
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-03-16
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522358249
【氏名又は名称】ノーター/エリクセン、インク.
【氏名又は名称原語表記】NOOTER/ERIKSEN, INC.
【住所又は居所原語表記】1509 Ocello Drive, Fenton, Missouri 63026 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】スカピニ、 ピエロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘネシー、 シャウン ピー.
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0260314(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0209365(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0038352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 3/18
F03G 6/00
F03G 6/06
F03D 9/18
F24S 20/20
F24S 60/30
F24S 80/20
F22B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能な発電システムであって、
発電機を駆動するように構成された蒸気タービンを有する蒸気動力発電システムと、
低温/中温蒸気を生成するように構成された
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムと、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された低温/中温蒸気を過熱し、過熱蒸気を前記蒸気タービンに供給して前記蒸気タービンが効率的に作動するように構成された
第2又は高温再生可能エネルギーシステムと、
を含み、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、太陽エネルギーを使用して第1作動流体を低温/中温に加熱し、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムが太陽エネルギーを受けるとき、及び長時間にわたり太陽から直接エネルギーを利用できないときの両方において、前記低温/中温蒸気を生成するのに十分な前記低温/中温に加熱された十分な量の前記第1作動流体を貯蔵するように構成され、
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、高温蓄熱媒体を高い温度に加熱するように第2再生可能エネルギー源を使用して過熱蒸気が前記蒸気タービンに供給されるように前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された前記低温/中温蒸気を過熱するために、高温熱伝達作動媒体を十分に高い温度に加熱するように、前記高温蓄熱媒体を利用するように構成される、
再生可能な発電システム。
【請求項2】
再生可能な発電システムであって、
発電機を駆動するように構成された蒸気タービンを有する蒸気動力発電システムと、
低温/中温蒸気を生成するように構成された
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムと、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された低温/中温蒸気を過熱し、過熱蒸気を前記蒸気タービンに供給して前記蒸気タービンが効率的に作動するように構成された
第2又は高温再生可能エネルギーシステムと、
を含み、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、太陽エネルギーを使用して第1作動流体を低温/中温に加熱し、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムが太陽エネルギーを受けるとき、及び長時間にわたり太陽から直接エネルギーを使用できないときの両方において、前記低温/中温蒸気を生成するのに十分な前記低温/中温に加熱された十分な量の前記第1作動流体を貯蔵するように構成され、
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、高温蓄熱媒体を高い温度に加熱できるように第2再生可能エネルギー源を使用して、ガスの高温熱伝達作動媒体を十分に高い温度に加熱するように、前記高温蓄熱媒体を使用して、前記過熱されたガスが前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された前記低温/中温蒸気を過熱できるように構成され、過熱蒸気が前記蒸気タービンに供給されるようにし、
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、電気を生成するように構成され、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって生成された電気の少なくとも一部は、前記熱伝達ガスが前記蓄熱媒体と熱伝達関係にあるときに、前記伝熱ガスを加熱するのに十分な高温まで前記高温蓄熱媒体を電気的に加熱するように構成され、
前記伝熱ガスが、前記低温/中温蒸気と、前記高温に加熱された前記蓄熱媒体の供給を保持するためのタンクと、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された前記低温/中温蒸気を過熱するための前記伝熱ガスによって加熱されて前記蒸気タービンに過熱蒸気を供給するように構成された過熱器と、を過熱できる、
再生可能な発電システム。
【請求項3】
前記第1作動流体の前記供給は、温タンクに貯蔵され、前記システムは、前記第1作動流体を前記温タンクから蒸発器に供給して前記低温/中温蒸気を生成するように構成される、請求項1又は2に記載の再生可能な発電システム。
【請求項4】
前記システムは、前記第1作動流体が前記蒸発器を出た後、太陽エネルギーが利用可能なときに前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって前記低温/中温に再加熱されるように、冷タンクに貯蔵されるように構成される、請求項3に記載の再生可能な発電システム。
【請求項5】
前記蓄熱媒体が電気加熱器によって所望の温度まで加熱され、前記電気加熱器が前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって作動するように構成される、請求項4に記載の再生可能な発電システム。
【請求項6】
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムが使用できないときに、長時間にわたり前記低温/中温蒸気を過熱できるように、十分な量の前記加熱した蓄熱媒体を保持するための蓄熱媒体貯蔵タンクを含む、請求項5に記載の再生可能な発電システム。
【請求項7】
前記システムは、前記溶融蓄熱媒体と熱伝達関係にあるように、低圧で前記蓄熱ガスを循環させるように構成され、
前記システムは、過熱蒸気を前記蒸気タービンに供給するために、前記低温/中温蒸気を過熱するのに十分な温度及び流量で前記過熱器に前記加熱した伝熱ガスを供給するように構成される、請求項6に記載の再生可能な発電システム。
【請求項8】
前記熱伝達ガスが前記低温/中温蒸気を過熱した後、前記システムは、前記高温蓄熱媒体によって再加熱されるように前記伝熱ガスを戻すように構成された、請求項7に記載の再生可能な発電システム。
【請求項9】
前記蓄熱媒体は、溶融金属又は半金属である、請求項1又は2に記載の再生可能な発電システム。
【請求項10】
前記蓄熱媒体は、砂、岩石、コンクリート、又はセラミック材料などの適切な高温固体材料である、請求項1又は2に記載の再生可能な発電システム
【請求項11】
前記システムは、前記過熱蒸気が前記蒸気タービンを駆動した後、低温蒸気及び/又は凝縮液が前記蒸気タービンから凝縮器に流れるように構成され、
前記凝縮器からの凝縮液は、前記低温/中温蒸気を生成するために蒸発器に供給される、請求項1に記載の再生可能な発電システム。
【請求項12】
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、集光型太陽光発電システム及びトラフリフレクタシステムからなる群から選択され、
前記第1作動流体は、溶融塩作動流体である、請求項1に記載の再生可能な発電システム。
【請求項13】
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、溶融蓄熱媒体を含むように構成された前記高温蓄熱媒体貯蔵タンクを含む高温部分を有するように構成され、
前記溶融蓄熱媒体、
供給される低温/中温蒸気を過熱するように構成された過熱器、及び
前記溶融蓄熱媒体によって前記伝熱ガスが過熱された後に、前記低温/中温蒸気を過熱するように前記過熱器に前記伝熱ガスを供給するように構成された配管の過度の酸化又は他の劣化を防止し、
前記高温蓄熱タンク及び前記配管は、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムの高温部分を構成し、
前記高温部分のみが特殊な高温材料で構成される必要がある、
請求項6に記載の再生可能な発電システム。
【請求項14】
前記溶融蓄熱媒体は、十分な量及び十分な温度であり、
前記溶融蓄熱媒体が、前記伝熱ガスを長時間にわたり前記低温/中温蒸気を過熱するのに十分な温度で加熱できるようにする、請求項13に記載の再生可能な発電システム。
【請求項15】
前記溶融蓄熱媒体は、半金属及びシリコンからなる群から選択される、請求項13に記載の再生可能な発電システム。
【請求項16】
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、エコノマイザ/蒸発器を含み、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、低温/中温蒸気を生成するように前記低温/中温の作動流体を前記高温貯蔵タンクから前記エコノマイザ/蒸発器に供給するように構成される、請求項3に記載の再生可能な発電システム。
【請求項17】
前記溶融熱伝達媒体は、ホウ素、シリコン、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルリウム、ポロニウム、鉛ビスマス共晶、ナトリウム、スズ、又は鉛のうちの1つを含む、請求項13に記載の再生可能な発電システム。
【請求項18】
前記過熱器は、高圧過熱器及び再熱器を含み、
前記高圧過熱器は、高温蓄熱タンク29内の前記蓄熱材料30によって高温に加熱された前記伝熱ガスによって加熱するように構成され、前記蒸発器から低温/中温蒸気を供給されることによって、前記蒸気タービンの高圧段に伝達される過熱蒸気を生成するように構成され、
前記再熱器は、前記蒸気タービンからの高圧蒸気タービン排気を受けるように構成され、さらに、前記再加熱する過熱器の前記伝熱ガスによって加熱することによって、前記蒸気タービンの中圧段に伝達される中圧蒸気を生成するように構成される、請求項3に記載の再生可能な発電システム。
【請求項19】
前記熱伝達ガスが、前記過熱器及び前記再熱器を通過した後、前記高温蓄熱材料によって再加熱されるように戻されるようにさらに構成される、請求項18に記載の再生可能な発電システム。
【請求項20】
前記蒸発器15,201は、前記タービンから凝縮液を受け取るように構成されたエコノマイザ203を含み、前記蒸発器15,201は、前記蒸発器から前記エコノマイザ203に前記第1作動流体を伝達するように構成され、前記エコノマイザは、前記凝縮液を加熱し、前記加熱された凝縮液を前記蒸発器に伝達するように構成され、
前記エコノマイザは、前記第1作動流体を使用して、前記過熱器に伝達される前記低温/中温蒸気を生成するように構成される、請求項3に記載の再生可能な発電システム。
【請求項21】
前記第1作動流体は、前記エコノマイザから排出された後、冷温貯蔵タンクに伝達される、請求項3に記載の再生可能な発電システム。
【請求項22】
前記蒸発器及び前記エコノマイザは、蒸発器及びエコノマイザの第1の対をなすように構成され、
前記再生可能エネルギーシステムは、蒸発器及びエコノマイザの第2の対をさらに含み、前記対は互いに並列に接続され、前記温タンク23から前記第1作動流体を受け取るように構成され、
各対の蒸発器及び前記タービンから凝縮液を受け取るように構成された各対のエコノマイザは、
前記各対の前記蒸発器の各々は、前記第1作動流体が前記蒸発器を通過した後、前記第1作動流体を各々のエコノマイザに供給するように構成され、
前記エコノマイザの各々は、前記エコノマイザの各々を介して流れる前記第1作動流体によって前記凝縮液を加熱し、前記加熱された凝縮液を各々の前記蒸発器に伝達するように構成され、
前記エコノマイザの各々は、前記エコノマイザから排出される前記作動流体を冷温貯蔵タンクに伝達するように構成される、請求項21に記載の再生可能な発電システム。
【請求項23】
再生可能な発電システムであって、
発電機を駆動するように構成された蒸気タービンを有する蒸気動力発電システムと、低温/中温蒸気を生成するように構成された
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムと、
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された低温/中温蒸気を過熱して過熱蒸気を前記蒸気タービンに供給するように構成された
第2又は高温再生可能エネルギーシステムと、を含み、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、太陽エネルギーを使用して第1作動流体を低温/中温に加熱し、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムが太陽エネルギーを受けるとき、及び長時間にわたり太陽からエネルギーを利用できないときの両方において、前記低温/中温蒸気を生成するのに十分な前記低温/中温に加熱された十分な量の前記第1作動流体を貯蔵するように構成され、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、前記低温/中温蒸気を生成するために蒸発器に熱を供給するように構成され、
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された前記低温/中温蒸気を過熱するように十分に高い温度で高温熱伝達作動流体を加熱するために生成可能なエネルギー源を利用するように構成され、過熱蒸気が前記蒸気タービンに供給されるようにし、
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、
過熱蒸気を生成するように前記高温の作動流体によって加熱するように構成される過熱器を含み、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、電気を生成するように構成され、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって生成された電気の少なくとも一部は、前記高温の作動流体が蓄熱媒体と熱伝達関係になったとき、前記高温の作動流体を所望の温度に加熱するために、前記高温蓄熱媒体を十分に高い温度で電気的に加熱するように構成され、前記高温の作動流体が前記過熱器と作動関係にあるときに、前記低温/中温蒸気を過熱して前記蒸気タービンに過熱蒸気を供給するようにし、前記高温に加熱された前記蓄熱媒体の供給を保持するためのタンクを含み、
前記発電システムは、
入口及び出口を有するハウジングを含むHRSG型アセンブリを有し、前記入口は、前記高温の作動流体と共に前記ハウジングから排出されて前記ハウジングを流れる前記高温蓄熱媒体によって加熱された前記高温の作動流体を受け取るように構成され、
前記出口から前記高温の作動流体を伝達されて前記高温蓄熱媒体によって再加熱されるために、前記高温の作動流体を戻すように構成される再循環システムを含み、
前記ハウジングは、前記入口から前記出口まで流れる前記高温の作動流体によって順次加熱するように前記ハウジング内に配置された複数のコイルを含み、
前記複数のコイルは、
前記高温の作動流体が前記ハウジングに入るときに前記高温の作動流体によって加熱される前記コイルのうち1番目のコイルになるように前記ハウジング内に配置される第1コイル、前記第1コイルの前記ハウジング下流に配置される第2コイル、前記2コイルの前記ハウジング下流に配置される第3コイル、及び前記第3コイルの前記ハウジング下流に配置される第4コイルを含み、前記作動流体の温度は、前記各コイルをそれぞれ通過するにつれて低下し、
前記第4コイルは、相対的に低い温度で前記タービンから蒸気が伝達され、前記蒸気を再加熱して、前記再加熱された蒸気を前記第2コイルの入口に供給するように構成され、
前記第2コイルは、前記再加熱された蒸気を再加熱して前記再加熱された蒸気を前記蒸気タービンの適切な段に供給するように構成され、
前記第3コイルは、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって加熱された前記蒸発器から蒸気を受け取るように構成された入口を有し、前記第3コイルは、前記蒸発器を出る蒸気の温度よりも幾分高い温度まで内部の前記蒸気を過熱し、前記蒸気をさらに過熱するように構成された第2過熱器を構成する前記第1コイルの入口に前記過熱蒸気を供給するように構成され、前記第1コイルは、前記過熱蒸気を前記タービンに供給する、再生可能な発電システム。
【請求項24】
再生可能な発電システムであって、
発電機7を駆動するように構成された蒸気タービン5を有する蒸気動力発電システム7と、低温/中温蒸気を生成するように構成された
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9と、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された低温/中温蒸気を過熱して過熱蒸気を前記蒸気タービン5に供給するように構成された
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11と、を含み、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9は、太陽エネルギーを使用して第1作動流体(例えば、溶融塩)を低温/中温に加熱し、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9が太陽エネルギーを受けるとき、及び長時間にわたり太陽からエネルギーを利用できないときの両方において、前記低温/中温蒸気を生成するのに十分な前記低温/中温に加熱した前記第1作動流体の十分な量を貯蔵するように構成され、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9は、前記低温/中温蒸気を生成するように蒸発器に熱を供給するように構成され、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11は、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された前記低温/中温蒸気を過熱するために高温熱伝達作動流体を十分に高い温度に加熱するように再生可能エネルギー源を使用するように構成され、過熱蒸気が前記蒸気タービンに供給されるようにし、
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11は、過熱蒸気を生成するために前記高温の作動流体によって加熱するように構成される過熱器を含み、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11は、電気を生成するように構成され、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって生成された電気の少なくとも一部は、前記高温の作動流体が前記蓄熱媒体と熱伝達関係になったとき、前記高温の作動流体を所望の高温に加熱するために、前記高温蓄熱媒体30の十分な量を十分に高い温度で電気的に加熱するように構成され、前記高温の作動流体が前記過熱器19と作動関係にあるときに、前記低温/中温蒸気を過熱して過熱蒸気を前記蒸気タービンに供給するようにし、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11が利用可能なとき、及び長時間にわたり利用できないときの両方において、前記タービンに供給される前記過熱蒸気を生成するために前記高温に加熱された前記蓄熱媒体30の十分な量を保持するためのタンク29を含み、
前記発電システム1は、
入口309,325及び出口311,327を有するハウジング307,321を各々含む第1及び第2HRSG型アセンブリ301,303を含み、前記第1HRSG型アセンブリ303のための入口325は、前記第2ハウジング321を流れて前記出口327を介して排出される前記高温の作動流体と共に前記高温蓄熱媒体によって加熱された前記高温の作動流体を受け取るように構成され、
前記第2ハウジング321の出口327から前記高温の作動流体を伝達され、前記高温蓄熱媒体30によって再加熱されるために、前記高温の作動流体を戻すように構成される再循環システム329を含み、
前記第2ハウジング321は、前記入口325から前記出口327を介して流れる前記高温の作動流体によって順次加熱するように構成された前記第2ハウジング321内に配置された複数のコイル323d,323c,323b,323aを含み、
前記複数のコイルは、前記高温の作動流体が前記ハウジング321に入るときに前記高温の作動流体によって加熱される前記コイルの中の最初になるように、前記ハウジング321内に配置される第1コイル323a、前記第1コイル323aの前記ハウジング下流に配置される第2コイル323b、前記第2コイル323bの前記ハウジング下流に配置される第3コイル323c、及び前記第3コイル323cの前記ハウジング下流に配置される第4コイル323dを含み、前記作動流体の温度は、前記コイルの各々を通過するにつれて減少し、
前記第4コイル323dは、相対的に低い温度で前記前記タービンから蒸気が伝達され、前記蒸気を再加熱して、前記再加熱された蒸気を前記第2コイル323bの入口に供給するように構成され、
前記第2コイル323bは、前記再加熱された蒸気を再加熱し、及び前記再加熱された蒸気を前記蒸気タービン5の適切な段に供給するように構成され、
前記第3コイル323cは、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9によって加熱された蒸気を受け取るように構成された入口を有し、前記第3コイル323cは、前記蒸発器15を出る蒸気の温度よりも幾分高い温度まで内部の前記蒸気を過熱し、前記蒸気をさらに再加熱するように構成された第2過熱器を構成する前記第1コイル323aの入口で前記過熱蒸気を供給するように構成されて、前記第1コイルは、前記タービンで前記過熱蒸気を供給し、
前記第1HRSG型アセンブリ301の前記ハウジング307は、内部に配置される複数のコイル305a,305b,305c,305dを有し、再循環システム313は、前記ハウジング307を介して前記入口309から前記コイルを通過して前記出口311から出る伝熱ガス(例えば、空気)を循環させるように構成され、
前記ハウジング307の前記第1及び最後のコイル305a,305dは、前記ハウジング307を介して流れる前記熱伝達ガスを加熱するために、温タンク23から溶融塩を受け取り、前記第3コイル305cは、前記給水ポンプ17から給水を受け取り、前記給水を高温に加熱して、前記加熱した給水を前記第2コイル305bの入口に供給するように構成され、前記第3コイルは、低温/中温で蒸気を形成し、上記の説明された目的のために前記第2HRSG型アセンブリ内に前記第2コイル323bの入口に前記低温/中温蒸気を供給するように構成される、再生可能な発電システム。
【請求項25】
再生可能な発電システムであって、
発電機7を駆動するように構成された蒸気タービン5を有する蒸気動力発電システム7と、低温/中温蒸気を生成するように構成された
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9と、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された低温/中温蒸気を過熱して過熱蒸気を前記蒸気タービン5に供給するように構成された
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11と、を含み、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9は、太陽エネルギーを使用して第1作動流体(例えば、溶融塩)を低温/中温に加熱し、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9が太陽エネルギーを受けるとき、及び長時間にわたり太陽からエネルギーを利用できないときの両方において、前記低温/中温蒸気を生成するのに十分な前記低温/中温に加熱した前記第1作動流体の十分な量を貯蔵するように構成され、
前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9は、前記低温/中温蒸気を生成するように前記蒸発器15に熱を供給するように構成され、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11は、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって生成された前記低温/中温蒸気を過熱するために高温熱伝達流体を十分に高い温度に加熱するように再生可能エネルギー源を使用するように構成され、過熱蒸気が前記蒸気タービンに供給されるようにし、
前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11は、過熱蒸気を生成するために前記高温の作動流体によって加熱するように構成される過熱器を含み、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11は、電気を生成するように構成され、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって生成された電気の少なくとも一部は、前記高温の作動流体が前記蓄熱媒体と熱伝達関係になったとき、前記高温の作動流体を所望の高温に加熱するために、前記高温蓄熱媒体30の十分な量を十分な高温で電気的に加熱するように構成され、前記高温の作動流体が前記過熱器19と作動関係にあるときに、前記低温/中温蒸気を過熱して過熱蒸気を前記蒸気タービンに供給するようにし、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステム11が利用可能なとき、及び長時間にわたり利用できないときの両方において、前記タービンに供給される前記過熱蒸気を生成するために前記高温に加熱された前記蓄熱媒体の十分な量を保持するためのタンク29を含み、
前記発電システム1は、
それぞれの入口413,407及び出口415,409を有するそれぞれのハウジング411,405を各々含む第1及び第2HRSG型アセンブリ401,403を含み、前記第2HRSG型アセンブリ403のための入口407は、前記第2ハウジング405を流れて前記出口409を介して排出される前記高温の作動流体と共に前記高温蓄熱媒体30によって加熱された前記高温の作動流体を受け取るように構成され、
前記第1HRSG型アセンブリ401の前記第2ハウジング411の出口415から前記高温の作動流体を伝達され、前記高温蓄熱媒体30によって再加熱されるために、前記高温の作動流体を戻すように構成される再循環システム416を含み、
前記第1HRSG型アセンブリ401の前記ハウジング411は、前記第1HRSG型アセンブリ401を介して流れる前記高温の作動流体によって順次加熱するように配置される複数のコイル417a,417b,417c,417dを含み、
前記複数のコイル417a,417b,417c,417dは、前記高温の作動流体が前記入口413を介して前記ハウジング411に入るときに前記高温の作動流体によって加熱された前記第2ハウジング411内に配置される前記コイルの中の1番目のコイルになるように、前記ハウジング411内に配置される第1コイル417a、前記第1コイル417aの前記ハウジング411下流に配置される第2コイル417b、前記第2コイル417bの前記ハウジング411下流に配置される第3コイル417c、及び前記第3コイル417cの前記ハウジング411下流に配置される第4コイル417dを含み、前記作動流体の温度は、前記コイルの各々を通過するにつれて減少し、
前記第3コイル417cは、相対的に低い温度で前記凝縮器13から凝縮液を伝達され、前記凝縮液を再加熱して、前記再加熱された凝縮液を前記第2コイル417bの入口に供給するように構成され、
前記第2コイル417bは、前記再加熱された凝縮液を蒸発させ、前記蒸気を前記第2HRSG型アセンブリ403に供給するように構成され、
前記第1及び第4コイル417a,417dは、前記第1HRSG型アセンブリ401を介して流れる前記高温の作動流体を加熱するために、前記第1作動流体を前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9によって加熱された前記温タンク23から伝達されるように構成され、
前記第2HRSG型アセンブリ403の前記ハウジング405は、内部に配置される複数のコイル411a,411b,411c,411dを含み、前記再循環システム416は、前記ハウジング407を介して前記入口407から前記コイル411a,411b,411c,411dを通過して前記出口409から出て前記第1HRSG型アセンブリ401の入口413に入る前記高温伝熱ガスの流れを循環させるように構成され、
前記ハウジング411の前記第1及び最後のコイル411a,411dは、前記ハウジング411を介して流れる前記伝熱ガスを加熱するために、温タンク23から溶融塩を受け取り、前記溶融塩が前記第1及び最後のコイルから排出された後前記溶融塩を冷タンク25に戻すように構成され、前記第3コイル417cは、前記給水ポンプ17から給水を受け取り、前記給水を高温に加熱して、前記加熱した給水を前記第3コイル417cの入口に供給するように構成され、前記第3コイル417cは、低温/中温蒸気を形成するために前記加熱した給水を蒸発させ、前記低温/中温蒸気を過熱して前記蒸気タービン5で高圧過熱蒸気を供給するための前記第2HRSG型アセンブリ403内の第3コイル411cの入口に前記低温/中温蒸気を供給するように構成される、再生可能な発電システム。
【請求項26】
発電機を駆動する蒸気タービンを有する蒸気動力発電システム、低温/中温蒸気を生成する第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム、及び前記低温/中温蒸気を過熱して過熱蒸気を蒸気タービンに供給する
第2又は高温再生可能エネルギーシステムを使用し、前記高温再生可能エネルギーシステムは、電気を生成する再生可能エネルギーシステムである、再生可能なエネルギー発電の方法であって、
a.前記第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムにおいて、太陽エネルギーを使用して第1作動流体を所望の低温/中温に加熱するステップと、
b.太陽エネルギーが利用可能な間、及び長時間にわたり太陽エネルギーを利用できないときの両方において、前記低温/中温蒸気を生成するのに十分な前記低温/中温に加熱した前記第1作動流体の量を貯蔵するステップと、
c.
第2又は高温再生可能エネルギーシステムにおいて、電気を生成するために再生可能なエネルギーを使用するステップと、
d.前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって生成された電気の少なくとも一部を使用して伝熱ガスを高温に加熱するステップと、
e.前記低温/中温蒸気を過熱して前記蒸気タービンに過熱蒸気を供給するのに十分な量で、前記高温伝熱ガスを過熱器に供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記第1作動流体は、前記
第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって前記所望の低温/中温に加熱された溶融塩であり、
前記方法は、前記所望の低温/中温に加熱された前記溶融塩の量を貯蔵するステップ、及び前記溶融塩を前記所望の低温/中温で前記低温/中温蒸気を生成するように構成された蒸発器に供給するステップをさらに含み、
前記貯蔵された溶融塩の量は、太陽エネルギーが利用可能な間、及び太陽エネルギーを短時間及び/又は長時間にわたり利用できないときの全てにおいて、前記低温/中温蒸気を生成するのに十分である、
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記低温/中温蒸気を過熱器に供給するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記伝達ガスを高温に加熱するステップは、
蓄熱媒体を高温に加熱するステップと、
前記蓄熱媒体を使用して、前記過熱器内の前記低温/中温蒸気を過熱できるように、前記伝熱ガスを十分な温度で加熱するステップと、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記高温に加熱された前記熱伝達媒体の量は、
短時間及び/又は長時間にわたり前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムからのエネルギーが利用できないときに、前記伝熱ガスを加熱するのに十分なものであり、前記蓄熱媒体が前記伝熱ガスを過熱し続け、前記短時間又は長時間にわたり前記低温/中温蒸気を過熱し続けることができる、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記高温蓄熱媒体を収容するための貯蔵タンクと、前記伝熱ガスを前記蓄熱媒体によって加熱した後に前記過熱器に伝達するための配管とを含む高温部分を有するように、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムを構成するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記蓄熱媒体によって再加熱されるために、前記過熱器から前記伝熱ガスを戻すための戻り配管を含むように前記高温部分をさらに構成するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
高温材料の前記高温部分を製造するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記高温蓄熱媒体は、金属又は半金属であり、
前記方法は、前記金属又は半金属を溶融状態に加熱するために、前記
第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって生成された電気エネルギーを使用するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記伝熱ガスを低圧レベルに加圧するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
任意の反応性ガスの解離を防止し、及び/又は前記溶融金属又は半金属の過度の酸化を防止するように、前記貯蔵タンク内に前記溶融金属又は半金属を貯蔵するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記溶融金属又は半金属を貯蔵するステップは、前記タンク内の前記溶融蓄熱媒体を前記溶融蓄熱媒体の酸化を防止できるガスで覆うステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記伝熱ガスは、不活性ガス、窒素、及び空気からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1作動流体は、パワーサイクル作動流体が、亜臨界、超臨界、又は混合相の二酸化炭素であり、前記第1作動流体は、復熱、ダブル復熱、中間冷却、又は過給などを有する又は有さない、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記第1作動流体は、有機ランキンサイクル(ORC)におけるパワーサイクルであり、前記第1作動流体は、復熱、ダブル復熱、中間冷却、又は過給を有する又は有さない、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
前記蒸気タービンは、生成された中圧及び/又は低圧蒸気を含む蒸気パワーサイクルを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
低/中温サイクル、又は高温サイクル、又はその両方からの電力に加えて、いくつかの熱が排出される、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
低/中温サイクル、又は高温サイクル、又はその両方からの電力に加えて、及び/又は電力の代りに、少なくとも一部の熱が排出される、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
2つ以上の再生可能な熱源がある、請求項26に記載の方法。
【請求項45】
前記再生可能エネルギーシステムのうちの1つ以上は、電池バックアップシステムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
前記第1再生可能エネルギー源は、太陽、風力、水力発電、地熱、又は他の再生可能エネルギーシステムであり、前記作動流体が電気的に加熱される、請求項26に記載の方法。
【請求項47】
前記第2高温貯蔵媒体は、セラミック、石材、及びコンクリートなどからなる群から選択される固体材料である、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月8日付で出願された米国仮特許出願第62/987135号に対する優先権を主張し、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、蒸気タービンなどの原動機(prime mover)を駆動するための高温の過熱蒸気を生成し、及び/又は熱、即ち高温熱を伝達するための再生エネルギーを使用するシステムに関し、再生可能エネルギーシステムの一部のみが高温の過熱蒸気を生成するのに必要な高温の作動流体に耐えられるように設計(designed)、エンジニアリング(engineered)、及び製造(fabricated)される必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
蒸気タービンに動力を供給するための過熱蒸気を生成するため、CO2を加熱するため、又は発電機を駆動するための他の作動流体を加熱するため、及び/又は高温熱を提供するための再生可能エネルギーシステムについて説明する。これらのタイプのシステムは、特定の問題、即ち、蒸気タービンに高温の過熱蒸気を供給して(又は、このような異なる作動流体媒体を高温に加熱するために)全体再生可能システムが高温で動作することを必要とせず、どのようにタービンを最も効率的に作動するようにするかという問題に直面している。上述のように、本開示は、任意の作動流体又は媒体を高温に加熱することに関するものであり、本開示では、主に再生可能なエネルギーを使用して発電機を駆動する蒸気タービンを駆動するための過熱蒸気を生成することに焦点を当てており、システムの一部のみが過熱蒸気を生成するのに必要な高温に耐えるように設計及びエンジニアリングする必要がある。しかし、当業者は、本開示が熱伝達流体又は蓄熱媒体を高温に加熱するのに適用されることを理解すべきである。
【0004】
蒸気を過熱するには、通常、再生可能エネルギーシステム全体がこのような高温で動作する必要があり、例えば、再生可能システムによって供給されるエネルギーが大量の蒸気を過熱できるように、そのような高温に耐えられるに再生可能システムを設計する必要がある。従って、これは、再生可能エネルギーシステムとその構成要素(例えば、ポンプ、バルブ、配管など)を非常に高価な高温材料(Inconel(登録商標)合金又は他の高温合金又は材料)で作られる必要があった。タワー内の作動流体を加熱する反射鏡(例えば、ヘリオスタット)を備えた集光型太陽光発電(CSP、concentrated solar power)システムの場合、ヘリオスタットフィールドを非常に大きくする必要があり、過熱蒸気をタービンに供給するために、作動流体をタワー内で加熱する必要があり、例えば、630℃(1166°F)又はそれ以上の高温でシステムに配管接続される必要がある。そのような高温で過熱蒸気を生成するために、作動流体は、生成される過熱蒸気の温度よりも実質的に高い温度まで加熱されなければならず、十分な量のそのような高温の作動流体は、再生可能システムが太陽光発電システム(solar powered electrical generating system)の場合に夜間や曇りの日、又は再生可能システムが風力発電を使用して電気を生成する場合の風が吹かないときなど、長期間利用可能でなければならない。例えば、蒸気を過熱するために使用される作動流体は、過熱蒸気の所望の温度よりも十分に高く、非常に高い温度範囲で加熱及び貯蔵されることが好ましい場合がある。しかし、CSPシステムを使用して適切な作動流体をそのような高温に加熱する場合、これは、システム全体が高温の過熱蒸気を生成するのに必要な高温に耐えられるように設計及び製造される必要があるため、システムにかなりの工学設計上の問題及びコストの発生をもたらし、かなりのエンジニアリング及びコストの問題を賦課する。
【0005】
CPSシステムによって生成された低/中熱を使用して低温/中温蒸気を生成し、次に別の区画化された再生可能エネルギーシステムを使用して低温/中温蒸気を所望の過熱状態に加熱する、再生可能なエネルギーを使用して蒸気タービンを駆動するシステムを有することは有利であることが認識された。例えば、この第2再生可能エネルギーシステムは、光電池(PV、photovoltaic)システム(又は、電気を生成する異なる再生可能エネルギーシステム)であって、PVシステムによって生成された電気の全部又は一部は、作動流体を、高温の作動流体が低温/中温蒸気を過熱し、過熱蒸気を蒸気タービンに送るために使用され、所望の高温まで局所的に加熱するために使用される。本開示によれば、この高温の作動流体は、第2再生可能エネルギーシステムによって生成された電気によって作動する電気加熱器によって電気的に加熱される高温貯蔵媒体によって加熱される伝熱ガスであり得る。このようにして、システム全体の一部のみを上述した高温で動作するように設計する必要がある。これにより、高温に対処するための高温材料の必要性が最小限に抑えられ、高温での熱損失が最小限に抑えらられる。
【0006】
本開示は、最も簡単に言えば、集光型太陽光発電(CSP)システムなどの低温/中温蒸気を生成する、低温/中温再生可能エネルギーシステムであり、第1区画(compartment)又はブロックからの熱を使用する区画化された再生可能な発電システムである。本開示によれば、第2区画又はブロックは、電気エネルギーを生産する別の再生可能エネルギーシステムである。この第2区画又はブロックは、光電池(PV)システム、風力タービンシステム、水力発電システム、又は蓄電池バンクシステムなどの任意の再生可能な発電システムであり得る。この第2再生可能エネルギーシステムによって生成された電気エネルギー(又はそのような電気エネルギーの一部分)は、システム全体のごく一部のみを高温に加熱させる必要があるように、低温/中温システムによって生成された蒸気を過熱するのに使用される高温の作動流体の温度を上昇又は強化(即ち、加熱)するのに使用される。より具体的には、2次再生可能システムからの熱は、蓄熱媒体を加熱するために使用され、次に蒸気タービンを効率的に作動するのに必要な十分な量の過熱蒸気を生成するのに十分な高温まで第2作動流体を加熱するために使用される。蓄熱媒体の量は、夜間又は風が吹いていないときなど、第2再生可能な源(source)からのエネルギーが利用できないときに、高温の作動流体を連続的に加熱し続けて過熱蒸気を生成する量である。本開示のこの区画化されたシステムでは、2つの再生可能エネルギーシステムは、2つの再生可能エネルギーシステムが蒸気タービンに動力を供給するような蒸気タービンを含む第3区画又はブロックと呼ばれる共有又はメインパワーサイクルシステム(main power cycle system)に熱を提供する。このようにして、第1再生可能エネルギーシステムは、低/中温度の蒸気を作るために低/中熱を供給し、第2再生可能エネルギーシステム(例えば、PVシステム)は、低温/中温蒸気を過熱して蒸気タービンが効率的に作動するのに必要な過熱蒸気を供給するのに十分に高い温度で作動流体を供給する。
【0007】
また、本開示によれば、第2再生可能エネルギーシステムの一部のみが蒸気タービンに供給される低温/中温蒸気を過熱するのに必要な高温の作動流体を供給するのに要求される高温に耐えられるようにエンジニアリング(engineered)される必要がある。従って、この区画化されたシステムは、他のシステムよりも設備及び構築のコストがはるかに低くなる。第1及び第2再生可能エネルギーシステムの両方は、夜間、曇りの日、又は風が吹かないときなどの再生可能エネルギーシステムが利用できない場合など、長時間にわたって(例えば、8~12時間以上)発電システムの蒸気タービンに電力を供給するのに十分な蓄熱能力を有する必要がある。
【0008】
より具体的には、本開示の好ましい実施形態は、第3ブロック、即ち発電機を駆動する蒸気タービンなどのパワーシステムに電力を供給する区画化された再生可能な発電システムを説明する。この好ましい実施形態では、低温/中温集光型太陽光発電(CSP)システムなどの第1再生可能エネルギーシステムから又はこれによって収集された熱は、溶融塩などの第1又は低温/中温の作動流体を加熱し、CSPシステムからの熱は、溶融塩作動流体を介したエネルギー貯蔵を組み込んでいる。貯蔵された第1又は低温/中温の作動流体の量は、太陽が照らさない悪天候又は夜間など、第1再生可能エネルギーシステムが効果的に作動しない長時間の間、低温/中温蒸気を生成するのに十分である。この低温/中温再生可能システムからの熱は、第2又は高温の作動流体(例えば、伝熱ガス)を加熱する第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって上昇又は強化され、第2再生可能エネルギーシステムの一部のみが蒸気タービンに過熱蒸気を供給するのに必要な高温に耐えられるように設計及び構成される必要がある。第2又は高温再生可能エネルギーシステムは、好ましくは、光電池(PV)発電システム(electricity generation system)、風力発電システム、水力発電システム、電池バックアップ蓄電システムなどの電気を生成するシステムである。第2再生可能エネルギーシステムからの電気は、電気抵抗加熱器などの蓄熱媒体を介して非常に高い温度に加熱する。蓄熱媒体は、必須ではないが、好ましくは溶融金属又は半金属の相変化を利用して高温の熱を蓄える融解潜熱蓄熱システムであることが好ましい。しかし、本開示のより広い態様では、コンクリート、砂、岩石、又はセラミック材料の塊など、相を変化させない蓄熱媒体が使用され得る。伝熱ガスは、低温/中温蒸気を過熱するのに十分な高温に加熱されるように、蓄熱媒体と熱交換関係で循環する。加熱された蓄熱媒体の熱容量は、悪天候、及び/又は太陽が照らさない、夜間、又は風が吹かない場合など、第2再生可能エネルギーシステムが利用できないとき、そのような過熱蒸気を生成するためのシステムを作動させるのに十分である。従って、2つの再生可能エネルギーシステムは、蒸気タービンに過熱蒸気を供給するために熱を提供する。重要なことは、本開示によれば、蓄熱媒体を加熱して貯蔵する第2再生可能エネルギーシステムの一部と、高温の伝熱ガスを過熱器に供給する第2システムの一部のみが高温蓄熱媒体及び伝熱ガスの高温に耐えられるようにエンジニアリングして構成される必要がある。
【0009】
前述のように、その好ましい実施形態における本開示は、集光型太陽光発電(CSP)システムなどの第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムからの熱を利用する、区画化又はセグメント化された再生可能な電力及び/又は熱生成システム及び方法である。この第1再生可能エネルギーシステムからのエネルギーは、溶融塩などの第1作動流体によって、適切な貯蔵タンクなどに貯蔵される。この相対的に低温/中温の熱は、低温/中温蒸気を生成するのに使用される。光電池(PV)発電システムなどの第2再生可能エネルギーシステムからの高温熱は、低温/中温蒸気を設定された共通の動力サイクルで蒸気タービン/発電機に供給される過熱蒸気に上昇させるのに使用される。従って、第2再生可能エネルギーシステムの一部のみを高温材料及び構成要素を有するようにエンジニアリングする必要があるため、システム全体のコストが大きく節減できる。本開示のシステムの好ましい実施形態では、第2再生可能エネルギーシステム(例えば、光電池(PV)システム)によって生成された電気の一部又は全部を使用して電気を生成することができ、このエネルギーの一部を使用して金属又は半金属を溶融するように蓄熱媒体を加熱し、高温エネルギー(溶融金属又は溶融半金属からの融解潜熱の形態で)が貯蔵タンク又は容器に適切な温度で貯蔵されるようにする。蓄熱媒体からの熱は、伝熱ガスを高温に加熱するのに使用され、これは、順に過熱器などに供給され、第1再生可能エネルギーシステムによって生成された低温/中温蒸気を過熱する。従って、これらの2つの再生可能エネルギーシステムは、共通蒸気パワーサイクルで蒸気を形成して過熱するために熱を提供するために使用され、2つの再生可能システムのエネルギー貯蔵容量は、夜間や風が吹かないような再生可能エネルギーシステム又は源からのエネルギーを直接利用できない場合に、長時間にわたって共通蒸気パワーサイクルで予想される電力を提供するのに十分である。本開示の再生可能なエネルギープラントの新規の区画化は、適切な再生工程の組み合わせを使用して、中温/低温蒸気を独立的に生成し、これを共通蒸気パワーサイクル又はシステムで蒸気タービンを駆動するために所望の高温まで過熱する。
【0010】
例えば、例示の目的において、CSPシステムなどの第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムは、例えば、470℃(878°F)までの低温/中温蒸気を生成するのに使用されてもよい。高温の過熱蒸気を作るために必要な残りの熱は、PVシステム又は電気を生成する他の再生可能システムなど、第2又は高温の再生可能エネルギーシステムから得られる。第2再生可能エネルギーシステムによって生成される電気の全部又は一部は、第2又は高温の作動流体(例えば、高温伝熱ガス)を加熱するのに使用され、第2再生可能エネルギーシステムの一部のみが非常に高い温度(例えば、1,500℃(約2,732°F)まで)で動作するように設計及び構成され、発電の全体的なコストを最小限に抑えながら、最大の効率と柔軟性を提供する。
【0011】
本開示の他の態様、目的、及び特徴は、以下に部分的に開示され、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の区画化された再生可能なパワーシステムの概略図であり、ブロックCに概略的に示すように、メインパワーサイクルシステムを含み、ブロックAに概略的に示すように、低/中集光型太陽光発電(又は他の再生可能なエネルギー)システムからの熱を使用する蒸気タービン発電機セットを含み、ブロックBに示すように、再熱器/過熱器に低温/中温蒸気を供給するエコノマイザ/蒸発器を加熱するのに十分なエネルギー貯蔵能力を有し、低温/中温蒸気は、第2再生可能エネルギーシステムによって加熱する高温の作動流体(例えば、伝熱ガス)によって過熱され、第1及び第2再生可能エネルギーシステムは、再生可能エネルギーシステムの両方が長期間作動しない期間中にシステムを稼動するのに十分な蓄熱容量を有する。
【
図2】再生可能なパワーシステムの従来技術の概略図であり、集光型太陽光発電(CSP)システムからの熱は、適切な溶融塩などの適切な作動流体を加熱し、高温貯蔵タンクに貯蔵され、高温の作動流体は、タンクから回収され、再熱器/過熱器の低温/中温蒸気を加熱して蒸気タービンに過熱蒸気を供給し、再熱器/過熱器から出る溶融塩は、過熱器に供給される前に蒸気タービンからの凝縮液を加熱するエコノマイザ/蒸発器に供給され、エコノマイザ/蒸発器からの相対的に冷たい溶融塩は、CSPシステムが作動するときにCSPシステムを介して再循環されて冷タンク(cold tank)に送られる。温タンク(hot tank)は、再生可能なパワーシステムの熱が利用できないときにシステムを作動させるのに十分な溶融塩を貯蔵する。
【
図3】
図1に示される本開示のパワーシステムをさらに示す、
図1と同様の図である。
【
図3A】
図3の線3A~3Aに沿った部分を示す図であり、101に概略的に示すように、パワーシステムに組み込まれる熱回収蒸気生成型(HRSG-like)配置を有し、HRSG型配置は、気密(gas-tight)ケーシング又はハウジング内にある1つ以上のコイルを有し、HRSG型配置内にあるコイルは、高温蓄熱タンク29に貯蔵された溶融金属蓄熱媒体によって加熱され、次に第2再生可能なエネルギー回収システム11によって加熱される。
【
図4】
図1に示されるパワーシステムを示す、
図1と同様の図である。
【
図4A】
図4の線4A~4Aに沿った部分を示す図であり、温タンク23からの溶融塩が再熱器/過熱器19に蒸気を供給するのを助けるように構成された蒸発器15、及び高圧凝縮液ポンプ17からの排出物(discharge)の間に介在した(interposed)熱交換器をさらに有する第1再生可能エネルギーシステム9によって加熱される特定の構成要素を示す。
【
図4B】
図4Aのエコノマイザ/蒸発器を示す図であり、蒸発器及びエコノマイザは、複数の平行なシェル及び管熱交換器(HXs)を有する。
【
図5】
図1に示されるパワーシステムを示す、
図1と同様の図である。
【
図5A】
図5の線5A~5Aに沿った図であり、
図1の第1及び第2再生可能エネルギーシステムの特定の構成要素を示し、第1HRSG型システム及び第2HRSG型システムの特定の構成要素が共に組み込まれ、溶融金属貯蔵タンク29からの加熱された作動流体は、第2HRSG型システムの入口に供給されて、その中のコイルを加熱し、蒸気タービン5の高圧抽出物(extraction)から蒸気を受け取り、蒸気タービン5に中圧及び高圧を供給する。
【
図6】
図1に示されるパワーシステムを示す、
図1と同様の図である。
【
図6A】
図5の線6A~6Aに沿った図であり、
図5Aの配置と類似する(しかし異なる)ものであって、蒸気タービン5に高圧及び中圧を供給するためのHRSG型システムからの特定の構成要素と組み合わせわせた第1及び第2再生可能エネルギーシステムの両方の特定の構成要素を示す。
【
図7】
図1に示されたパワーシステムの一部を示す図であり、高温タンク(high temperature tank)29内の溶融金属蓄熱媒体によって加熱された作動流体が過熱器/再熱器に熱を供給する方法、過熱器/再熱器が蒸発器と高圧蒸気タービンの排気から蒸気を受ける方法、及び過熱器/再熱器が高温の過熱蒸気を蒸気タービンの入口に中温及び高圧で供給する方法を示す。
【0013】
対応する参照符号は、図面全体にわたって対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すように、本開示の区画化又はセグメント化されたシステムは、全体が1で示される。この区画化されたシステムは、一般に3で示され、ブロックCに示されるように、主(又は1次)蒸気動力発電システムを含む。高温の過熱蒸気が蒸気タービン5(原動機)に供給され、次に発電機7を駆動する。過熱蒸気は、一般に9で示される(ブロックAに示される)ように第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステムによって部分的に生成され、部分的には、一般に11で示される(ブロックBに示される)ように第2又は高温再生可能エネルギーシステムによって生成される。第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9は、蒸気タービン5に伝達される高温の過熱蒸気を形成するために、第2又は高温再生可能エネルギーシステム11によって加熱される低温/中温蒸気を生成する。
【0015】
より具体的には、蒸気タービン5及び発電機7に加えて、主又は1次蒸気動力発電システム3は、蒸気タービン5から低温蒸気及び/又は凝縮液(condensate)を受け取る凝縮器(condenser)13を含む。凝縮器13を出た液体給水は、ポンプ17を介して低温/中温エコノマイザ/蒸発器15に供給される。以下で詳細に説明するように、第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9からの比較的に低温/中温の熱は、エコノマイザ/蒸発器15の給水を加熱して、低温/中温蒸気(例えば、約60℃又は860°F)を形成し、以後再熱器/過熱器19に供給されて第2又は高温再生可能エネルギーシステム11の高温部分20(以下に説明)によって比較的に高温(例えば、約630℃又は1166°F)で再加熱及び過熱される。過熱器に供給される伝熱ガスは、例えば、十分に高い温度(例えば、約800℃~1100℃(1472°F~2012°F))で加熱され、エコノマイザ/蒸発器15からの低温/中温蒸気を過熱して過熱蒸気をタービン5に供給し、タービンが最も効率的に稼動するようにする。第1再生可能エネルギーシステム9の全体が低温/中温で稼動し、全ての構成要素及び配管が低温/中温材料で製造され得ることに特に留意されたい。重要なことは、第2再生可能エネルギーシステム11の高温部分20のみが高温で稼動することである。これは、高温部分20の構成要素だけを第2再生可能エネルギーシステムの構築及び運用コストを低減する高温材料で、設計、エンジニアリング、及び構成する必要があることを意味する。これにより、第1再生可能エネルギーシステム及び第2再生可能エネルギーシステムの両方のコストを抑えることができる。本明細書で使用される「配管」という用語は、パイプ(pipe)に限定されず、ダクト(duct)、ライン(line)、管路(conduit)、チャネル(channel)、チューブ(tube)、及び作動流体を輸送できる他の構造を含み、これらは当業者によって理解される。また、低温/中温蒸気が再熱器/過熱器19で再加熱及び過熱されるが、本開示のより広い態様では、蒸気タービンによっては低温/中温蒸気を再加熱する必要がない場合もあり、過熱器だけが必要になる。
【0016】
図1に示すように、第1又は低温/中温再生可能エネルギーシステム9は、好ましくは、例えば、第1作動流体を約470℃又は878°Fなどの低温/中温に加熱するように、タワーの上端部にあるレシーバ21で態様光を反射するように制御される複数のヘリオスタット(図示されていないが、当業者には良く知られている)を使用する減少した温度集光型太陽光発電(CSP)システムである。この第1作動流体は、例えば、レシーバを介して循環して加熱されるCSPシステムとして周知かつ広く使用されている溶融塩であり得る。太陽が照らしている昼間にかけて、レシーバによって低温/中温(例えば、470℃又は878°F)に加熱された溶融塩は、温タンク23(又は他の適切な貯蔵容器又はリザーバ)に貯蔵される。太陽が照らしている又は照らしていない昼間、又は夜間に、このような低温/中温(例えば、470℃)で貯蔵された溶融塩は、ポンプ17によって供給された給水を加熱及び蒸発させて、低温/中温蒸気(例えば、約460℃又は860°F)を形成するために、温タンク23から回収されてエコノマイザ/蒸発器15に供給されてもよい。エコノマイザ/蒸発器15を通過した溶融塩は、冷タンク25に低温(例えば、約290℃又は554°F)で貯蔵され、この低温は、塩を溶融状態に保持するのに十分である。温タンク23に貯蔵された溶融塩の量は、例えば、太陽が低温/中温エネルギーをエコノマイザ/蒸発器15に直接供給できる昼間及び夜間や悪天候のように長時間にわたり太陽が照らさないときの両方において、エコノマイザ/蒸発器15に低温/中温エネルギーを供給するのに十分である。当業者は、システムが、太陽が照らさないとき及び/又は夜間に作動するように設計されている時間の長さに応じて、温タンク23が、より多くの又はより少ない量のそのような低温/中温の溶融塩を保持するようにサイズ設定され得ることを認識するであろう。低温/中温の溶融塩がエコノマイザ/蒸発器15で蒸気を生成した後、例えば、約290℃(554°F)であり得る、現在より低温の溶融塩は冷タンク25に貯蔵される。太陽が照らしているとき、相対的に冷たいが、依然として溶融されている冷タンク25の塩はレシーバ21に供給され、所望の高温(例えば、約470℃、878°F)で再加熱され、温タンク23に貯蔵されてもよい。当業者は、第1再生可能エネルギーシステム9が上述のヘリオスタットシステムであってもよく、又はトラフリフレクタ太陽光システムであってもよく、他のタイプの太陽光熱収集システムであってもよく、又は地熱作動流体加熱システムが使用されてもよく、又は任意の他の再生可能な熱源が使用されてもよいことを理解するであろう。もちろん、タンク23,25は、適切な断熱材で断熱されることが好ましい。
【0017】
ブロックBに示すように、第2又は高温再生可能エネルギーシステム11は、好ましくは光電池(PV)システムなどの再生可能なエネルギー発電システムを含む。しかし、風力タービン発電機、水力発電システム、又は蓄電池システムなどの他のタイプの再生可能なエネルギー発電システムが光電池システムの代わりに使用されてもよい。
図1に示される光電池(PV)システム11の場合、複数の適切なPV太陽光パネル(
図1に示されていないが、技術分野では周知である)が配置され、太陽光を受け取り、太陽光を電気に変換する。もちろん、このようなシステムの問題点は、曇りの日や夜間など、太陽が照らさないときに動作するための電気を大量に容易に貯蔵することができないことである。第2再生可能エネルギーシステム11では、PV再生可能なエネルギー電気システムによって生成された電気の全部又は一部のみがエネルギーグリッド27に直接供給されることができ、及び/又は生成された電気の一部が30に示すように大量の適切な高温蓄熱媒体を含む蓄熱タンク29(又は他の適切な貯蔵容器又はリザーバ)内に配置される電力電気加熱器28で使用されてもよい。好ましい実施形態では、この高温蓄熱媒体30は、加熱器によって溶融され、蓄熱タンク内で溶融状態に保持される金属又は半金属である。しかし、本開示のより広い態様では、蓄熱媒体は、溶融金属又は半金属である必要はなく、砂、岩石、コンクリート、又はセラミック材料などの固体蓄熱材料の量又は塊であってもよい。このような固体蓄熱材料は、溶融シリコンなどの半金属の相対的に高温ではないこともあるが、依然として作動流体を蒸気タービン5に供給される蒸気を過熱するのに必要な温度まで加熱するのに十分な熱容量を有する。高温であることに加えて、溶融シリコン蓄熱材料は、販売される蓄熱材料よりも小さな質量と小さなフットプリントを必要とする場合がある。
【0018】
第2再生可能エネルギーシステム11では、例えば、生成された電気の約75%は、エネルギーグリッド27に直接供給することができ、残りの25%は、蓄熱媒体が溶融金属又は溶融半金属であるか、又は砂、岩石、コンクリート、又はセラミックなどの固体蓄熱材料であるかに関わらず、タンク又はリザーバ29内の蓄熱材料30を加熱し、その温度を所望のレベルに保持するため、加熱器28に電力を供給するため使用され得る。もちろん、これらのパーセンテージは、100%がエネルギーグリッドに供給される場合と、100%が電気加熱器に電力を供給するために使用される場合との間で変化し得る。当業者は、電気加熱器28が、電気抵抗加熱器、誘導コイル、電気アーク炉に使用される電気アーク加熱器、マイクロ波加熱器、又は技術分野で公知の他の適切な電気加熱器であり得ることを理解するであろう。
【0019】
本開示によれば、タンク29内の高温蓄熱材料30は、温タンク23内の溶融塩の温度よりもはるかに高温に加熱され、高温蓄熱材料が第2作動流体(高温伝熱ガス)を蒸気タービン5に供給される低温/中温蒸気を過熱するのに十分な高い温度(例えば、約800℃~1100℃(1472°F~2012°F))まで上昇させる。例えば、タンク29内の高温蓄熱材料は約1,000℃(1832°F)から約1,500℃(2,732°F)の範囲に加熱することができる。従って、伝熱ガスは、所望の温度で過熱蒸気が蒸気タービン5に供給されるように、再加熱器/過熱器19内の低温/中温蒸気を過熱するのに十分な温度まで蓄熱タンク29内の蓄熱媒体によって加熱される。この高温伝熱ガスは、供給ライン31を介して再加熱器/過熱器19に供給され、蒸発器15からの低温/中温蒸気を過熱し、過熱蒸気を蒸気タービン5に十分な量及び所望の高温で供給して蒸気タービンが効率的に稼動するようにする。タンク29内の蓄熱媒体は、十分に高い熱容量及び体積を有し、太陽が照らさない夜間などの長時間にわたって、蒸気タービン5に過熱蒸気を供給するのに十分な高温である。本開示において、用語「半金属」という用語は、一部金属及び一部非金属の特性を示す化学元素又は他の物質を意味するものと定義される。
【0020】
上述のように、好ましい高温蓄熱材料は、好ましくは溶融金属又は半金属であり得る。本開示のより広い態様では、溶融金属又は半金属のいくつかの一般的な例には、ナトリウム、スズ、鉛などの金属又は半金属、又は鉛ビスマス共晶(lead bismuth eutectic)又はLBEなどのそれらの合金又は、ホウ素(boron)、シリコン(silicon)、ゲルマニウム(germanium)、ヒ素(arsenic)、アンチモン(antimony)、テルリウム(tellurium)、ポロニウム(polonium)などの半金属であり得るが、これらに限定されない。特に、好ましい高温蓄熱材料は、溶融シリコンである。上述のように、本開示のより広い態様において、熱伝達媒体は、溶融金属又は半金属である必要はなく、むしろ電気加熱器28によって高温に加熱され、タンク又はリザーバ29に貯蔵された砂、岩石、コンクリート、又はセラミック材料の塊であり得る。
【0021】
本開示によれば、高温熱伝達作動流体は、好ましくは、空気、窒素、CO
2、又は不活性ガスなどの伝熱ガスであり、内部にある蓄熱材料によって加熱される貯蔵タンク29内の蓄熱材料と熱伝達関係にあるように循環する。次に、加熱された伝熱ガスは、再熱器/過熱器19を介して流れ、エコノマイザ/蒸発器15からの低温/中温蒸気を過熱する。伝熱ガスは、必須ではないが、好ましくは、比較的低圧で、例えば、約20~40インチの水柱によって加圧されるが、当業者であれば、このガスが正圧又は真空の任意の所望の圧力に加圧され得ることを理解するであろう。適切な高温送風機又はポンプ(
図1には図示せず)は、蓄熱タンク29内の高温蓄熱媒体30と熱伝達関係にあるように、伝熱ガスを循環させるのに使用される。伝熱ガスは、蒸気タービン5に供給されるエコノマイザ/蒸発器15からの低温/中温蒸気を過熱するのに十分に高い温度及び十分な量で、再熱器/過熱器19に供給される。伝熱ガスは、タンク29内の蓄熱材料によって再び加熱されるために、戻りライン33を介してタンク29に戻される。このように、第2再生可能エネルギーシステム11の高温部分20のみが、タンク29内の高温蓄熱材料の高温に耐えられるように設計され、高温材料で構築される必要があることが理解されるであろう。具体的には、高温部分20は、タンク29、タンク29内の加熱器28、及びタンク29から再熱器/過熱器19に高温伝熱ガスを循環させる供給配管31を含む。再熱器/過熱器19の構築(construction)及び稼働(operation)により、後者は、エコノマイザ/蒸発器15から流入する低温/中温蒸気によって事実上冷却されるため、このような高温材料で構築する必要はないこともある。同様に、戻りライン33は、高温材料で構成される必要がない。また、このような伝熱ガスを使用することにより、シャットダウンが長引いた場合に、第2再生可能エネルギーシステムの高温部分20で伝熱ガスが「凍結」する危険がないことも理解されるであろう。
【0022】
必須ではないが、好ましくは、蓄熱媒体は溶融シリコン(Si)である。シリコンの融点は、1,414℃(2,577°F)であり、沸点は、2,355℃(4,270°F)であるため、溶融状態の温度範囲が広くなる。本開示によれば、融点を超える溶融シリコンのいくらかの顕熱(sensible heating)が存在する可能性があるが、この可能な顕熱による追加的な蓄熱は、典型的には、後述するように金属又は半金属の融解潜熱による蓄熱と比較したとき、比較的に小さい。伝熱ガスがタンク29内の溶融シリコンによって長時間加熱されると、シリコンの温度は、シリコンの凝固を引き起こすことなく、凝固点まで低下し得ることが理解されるであろう。これは、シリコンの大きな潜熱容量によるものである。また、溶融シリコンが酸素及び他の材料と化学的に反応することも認識されている。そのため、タンク29は、窒素などの非酸化性ガス、又はヘリウム又はアルゴンなどの不活性ガスで封止及び/又は満たされ、内部の溶融金属又は半金属が大気にさらされないようにすることが好ましい。また、伝熱ガスは、溶融蓄熱媒体の酸化又はその他の化学的劣化を低減するように、タンク29内の溶融金属又は半金属の蓄熱媒体と直接接触しないことが好ましい。もちろん、岩石、砂、コンクリート、又はセラミック材料などの固体の蓄熱媒体を使用する場合、酸化は問題にならない場合がある。
【0023】
「融解潜熱」は、固体から液体に変化するために、融点まで加熱された材料の固体に供給されなければならない熱量である。材料の非潜熱(L)は、相変化中に放出又は吸収される単位質量(m)当たりの熱エネルギー(Q)の尺度であり、材料の融解潜熱と呼ばれ、通常、ジュール/モル[J/mol]として、SI単位で表される。シリコンの溶融温度は約1414℃(2577°F)であり、シリコンの融解潜熱は50.55kJ/molであり、シリコンの気化潜熱は384.22kJ/molである。重要なことは、シリコンの融解熱(50.55kJ/mol)は、液体状態で貯蔵され得る他の金属に比べて非常に大きいことである。例えば、鉛(pb)の融解熱は4.799kJ/molであり、スズ(Sn)の融解潜熱は7.322kJ/molである。物質の特定の質量の潜熱は、Q=m×Lで算出される。
【0024】
ここで、
・Qは、物質の相変化中に放出又は吸収されるエネルギーの量(kJ又はBTU)、
・Mは、物質の質量(kg又はlb)、
・Lは、特定の物質の融解潜熱である。
【0025】
シリコンの高い融解潜熱は、相対的に小さな質量の材料が、同等な質量の他の半金属又は金属よりも多くのエネルギーを蓄えることができるため、有利である。これにより、必要な高温蓄熱媒体の質量が減り、タンク29のサイズが小さくなるため、システムのコストが低減される。溶融シリコンなどを使用するによって達成できる蓄熱媒体の質量が小さい場合でも、再熱器/過熱器19に供給される伝熱ガスの流量及び温度は、第2再生可能エネルギーシステム11からのエネルギーを利用できない場合など、長時間にわたって蒸気タービン5に供給される所望の量の過熱蒸気を過熱するために、蓄熱媒体の温度に応じて調整される。溶融シリコンの代わりに岩石、コンクリート、セラミック、又は砂などの固体の蓄熱媒体が使用される場合、蓄熱媒体の温度は溶融シリコンよりも低くなり、低温の伝熱ガスの流量が増加する必要がある。さらに、固体蓄熱材料によって加熱される伝熱ガスの温度は、再熱器/過熱器19で生成される過熱蒸気の温度よりも十分に高くなければならないことが理解されよう。
【0026】
図1を参照すると、第2再生可能エネルギーシステムにおいて、ブロックBに示すように、蓄熱媒体は、好ましくは溶融金属又は半金属であり、より好ましくは高温タンク29に貯蔵される溶融シリコンである。熱は、金属又は半金属の蓄熱媒体を溶融状態に溶融してその溶融状態を保持するために、電気抵抗加熱器28によってタンク29で生成される。適切な熱伝達作動媒体、好ましくは低圧伝熱ガス(空気、CO
2、窒素(N
2)、又は他の不活性ガス)がタンク29内の高温の溶融金属又は半金属の蓄熱媒体と熱伝達関係にあるように循環する。このようにして、伝熱ガスは、十分に高い温度(例えば、1000℃又は1832°F)に加熱され、供給ライン31を介してタンク29から再熱器/過熱器19に循環されるとき、高温のガスがエコノマイザ/蒸発器150によって再熱器/過熱器19に供給され、低温/中温蒸気を過熱する。伝熱ガスは、再熱器/過熱器19を介して流れるとき、好ましくは低温/中温蒸気を再加熱及び過熱し、タービンの効率的な稼動に必要な量、温度、及び圧力で過熱蒸気をタービンに供給する。しかし、当業者は、本開示によれば、低温/中温蒸気が再加熱することなく、過熱する必要があるときのみ必要であることを認識するであろう。伝熱ガスは、過熱器を出てタンク内の溶融金属又は半金属の蓄熱媒体によって再加熱されるように、戻りライン33を介してタンク29に再循環又は戻される。このようにして、熱は、タンク29内の高温の蓄熱媒体から再熱器/過熱器19に伝達される。蓄熱媒体、特に溶融シリコンの高い融解潜熱によって、液体から固体への状態変化なしに蓄熱媒体から大量の熱を除去できることが理解されよう。
【0027】
前述のように、タンク29及び供給配管31は、第2再生可能エネルギーシステム11の高温部分20を構成する。しかし、用途及び稼動条件に応じて、高温部分は、再熱器/過熱器19及び戻り配管33をさらに含み得る。本開示によれば、高温部分20だけを高温材料で設計及び製造する必要がある。上述のように、伝熱ガスは、比較的低圧であることが好ましいため、高温部分20及びその構成要素(配管、送風機、バルブなどを含む)は、低圧で稼動し、これらの高温の構成要素は、過度に高い内圧に耐える必要がある。当業者は、第2再生可能エネルギーシステム11の高温部分20だけがInconel(登録商標)合金などの高温材料(従って高価な)で設計及び製造される必要があることを理解するであろう。また、溶融金属又は半金属の蓄熱媒体がシリコンである場合、窒素、不活性ガス、又はそれらの混合物は、好ましい伝熱ガスであってもよく、このような混合物中の任意の反応性ガスの解離及び/又はシリコンの酸化を最小限に抑えることが理解され得る。しかし、他の溶融金属、又は半金属、又は溶融シリコンよりも温度が低く、及び/又は酸化しにくい固体蓄熱材料(例えば、砂、岩石、コンクリート、又はセラミック材料など)としては、空気が適切な伝熱ガスであり得る。例えば、溶融シリコンの溶融温度よりも低い温度で蓄熱する低温の蓄熱媒体が使用された場合、再熱器/過熱器19に供給される伝熱ガスの温度は、溶融シリコンによって加熱された場合よりも低くなり得ることが理解されるであろう。そのような場合、伝熱ガスの温度は、蒸気タービンに伝達される蒸気の所望の過熱温度よりも十分に高くなければならず、そのような低温蓄熱媒体によって加熱された低温の伝熱ガスの質量流量は、再熱器/過熱器19において、所望の量の蒸気を過熱するために増加させなければならない。
【0028】
当業者であれば、
図1に示される単一の再熱蒸気/水電気発電システム3を、複数の再熱亜臨界蒸気/水力サイクル、複数の再熱超臨界蒸気/水力サイクル、及び複数の再熱超亜臨界蒸気/水力サイクルで置換えることができることを理解するであろう。
【0029】
稼動中、本開示の区画化システム1の低温/中温再生可能エネルギーシステム9は、エコノマイザ/蒸発器15内で低温/中温蒸気を生成し、次いで再熱器/過熱器19に供給され、高温伝熱ガスによって再加熱及び過熱され(又は、単に過熱され)、タンク29内の蓄熱媒体によって加熱され、低温/中温蒸気を過熱するために供給配管31を介して再熱器/過熱器19に伝達される。上述のように、蓄熱媒体は、好ましくはシリコンであり、これは、第2再生可能エネルギーシステム11によって生成された電気エネルギーによって溶融状態に加熱される。しかし、本開示のより広い態様では、蓄熱媒体は、砂、コンクリート、又はセラミック材料などのより低温の固体材料であり得る。このような、より低温の蓄熱媒体が使用される場合、タンク29及び供給配管31を高温材料で構成する必要がなくなる。しかし、本開示のシステム及び方法は、それにもかかわらず、タービン5に過熱蒸気を供給するのに必要な熱の大部分がより低温の再生可能エネルギーシステムによって提供され、第2再生可能エネルギーシステム11は、第1再生可能エネルギーシステムによって生成された低温/中温蒸気を再加熱/過熱するために必要な高温熱を供給するだけでよいという点で、他のシステムに比べて明らかに長所を有する。
【0030】
伝熱ガスは、タンク29内の蓄熱媒体によって十分に高い温度に加熱され、伝熱ガスが供給ライン31を介して再熱器/過熱器19に伝達され、そこで伝熱ガスは、タービン5に所望の温度(例えば、約630℃又は1166°F)の過熱蒸気を供給するために、再熱器/過熱器19に供給される低温/中温蒸気を再加熱及び過熱(又は単に過熱)する。過熱器を出る伝熱ガスは、戻り配管33によってタンク29内の蓄熱媒体によって再加熱されるように戻される。第2再生可能エネルギーシステム11の高温の部分20のみが高温材料で設計及び構成される必要があり、蓄熱タンク29及びそれに関連する配管及び構成要素(例えば、バルブ及びポンプ)は低圧で稼動するため、システム11の全体的なコストを削減することができ、改善された耐用年数を有し、区画化されたシステム1の全体に対する保守及び運用コストを大幅に削減することができる。上述したように、本開示によれば、蒸気サイクル及び選択されたタービンによって低温/中温蒸気を再加熱する必要がない場合もある。
【0031】
例えば、発電サイクルの低温部分、例えば、主に蒸気/水サイクルの高圧(HP)給水加熱に熱を提供し、例えば、低い温度のCO2サイクル、又は有機ランキンサイクルシステムなどの直接発電のための「復熱(recuperation)」又はCO2サイクルの他の部分の熱源として、全体的な効率を高めることが実質的である場合、蒸気/水サイクルにおけるいくつかの場合に、追加される蒸気生成の中圧及び/又は低圧レベルに熱を提供するHRSGなどの任意の電気エネルギー源の低温サブシステムがあり得る。
【0032】
本開示の区画化されたシステム1の別の有用な利点は、メインパワーサイクルシステム3(ブロックCで示す)で有用な電力を生成することに加えて、再生可能エネルギーシステムのうちのいずれかで生成された熱を水の淡水化、化学、及び/又は石油化学工程、精油工程、又は地域暖房などの他の工程で使用できることにある。熱伝達流体、蒸気/水など、所望の任意の作動流体を使用して有用な熱を排出することができる。
【0033】
また、当業者は、本開示の区画化されたシステム1は、第2再生可能エネルギーシステム11の高温部分20のみが第1再生可能エネルギーシステムによって生成される低温/中温蒸気を再加熱/過熱するのに必要な高温に加熱する必要があるため、低温/中温で稼動することができ、第1又はCSP再生可能エネルギーシステムのコストを最小化できることを認識するであろう。これにより、本開示の第1再生可能エネルギーシステム9全体が、その構成要素を低コストの炭素鋼及び低コストの鋼又はステンレス鋼を使用できるようになり、第1再生可能エネルギーシステムのコストが低下する。Inconel(登録商標)合金及び高温ステンレス鋼材料などの現在の技術の高温材料は、高価であり、時には製造がより困難である。本開示によれば、これらの高価な材料は、第2再生可能エネルギーシステム11の高温部分20、即ち、温タンク29、供給配管31、及び伝熱ガスをタンク29内の蓄熱媒体及び再熱器/過熱器19に接続する部分に含まれる他の構成要素にのみ必要になる。溶融シリコンを蓄熱媒体として使用する本開示の好ましい実施形態では、再熱器/過熱器19は、過熱される低温/中温蒸気によって冷却されるため、高温材料で作る必要がないことも理解されよう。これにより、システム1の全体的なコストが最小限に抑えられる。しかし、再生可能システム11によって生成された電気エネルギーの一部(さらに多くの部分)は、商用グリッドに販売されるため、このシステムを最小化する必要はない。システム11の高温部分20の高温熱は、上述した電気加熱器28によって生成され、Inconelなどの高温材料が第2再生可能エネルギーシステムの高温部分20にのみ必要であり、従って第2再生可能エネルギーシステム11のサイズ及びコストは最小化される。これにより、プラント全体のコストを最小限に抑えることができる。高温蓄熱媒体、方法、及びコスト、全体的な電力、及び/又は熱の排出、貯蔵容量なども最適化できる。
【0034】
さらに、当業者は、第1再生可能エネルギーシステム9の稼動温度が蒸気タービン5に供給される蒸気を過熱するほど高くする必要はないことを認識するであろう。このようにして、システム9の全ての構成要素及び配管の全てを低温材料で作ることができ、これにより、全体の構造及び稼動コストが低減される。
【0035】
ブロックCに示すように、パワーシステム3の効率をさらに高めるために、蒸気タービン5に高温の過熱蒸気を供給することが必要である(又は非常に好ましい)ことが理解されるであろう。しかし、
図2に示すように、蒸気タービンを効率的に稼動させるのに必要な蒸気を過熱するのに十分な温度及び熱容量を有する先行技術の再生可能エネルギーシステムが利用可能であり、供給源(例えば、レシーバ)から貯蔵タンク及び過熱器に向かう高温の作動流体を処理するように設計されている。その結果、システムは、高温の作動流体に耐えるために、さらに高価な高温金属の使用を必要とし、さらに大きなヘリオスタットフィールドなどを必要とした。これらの高温、及び発電に必要とされる規模で使用するための一部の装備(例えば、高温の作動流体ポンプ)は、まだ利用できない可能性があり、開発が必要とされる。このような高温装備のコストは、非常に高く、法外なコストになる可能性がある。
【0036】
対照的に、本開示の区画化された再生可能エネルギーシステム1の利用と共に、第2再生可能エネルギーシステム11の高温部分20だけが蒸気タービンに供給される蒸気を過熱するのに必要な高温の作動流体を処理するように設計及びエンジニアリングされる必要がある。これは、本開示のシステム1全体の大幅なコストの削減、効率を改善、及び運用及び保持コストを最小限に抑える結果をもたらす。
【0037】
また、当業者には、現在の再生可能な発電市場では、PV再生エネルギーシステムが発電のために比較的安価な方法を構成することが一般に受け入れられていることも認識されるだろう。また、方法、材料、電気へのエネルギー変換効率などの進歩により、PV発電に関連するコストが継続的に減少する点も一般に認められている。そのため、本明細書に開示されるように、標準的なCSPプラント(例えば、
図2など)の最高温度の部分を、PV(又は他の発電)再生可能エネルギーシステムからの熱による高温熱生成に置き換えることが好ましい。さらに、当業者は、溶融金属又は半金属の蓄熱媒体又は作動流体の融解潜熱などの高温蓄熱システムが比較的安価であり、現在利用可能であることを認識するであろう。温タンク29などの高温蓄熱システム内の作動流体を加熱するために、低コストのPV電気を使用することは、CSP再生可能エネルギーシステム9(
図2参照)全体で高温の作動流体を生成する必要がなく、発電サイクルに高温熱を提供するための比較的安価な経路を提供する。これは、システムのCSP部分からの熱のコストが大幅に削減される可能性があり、従って、低/中又は第1再生可能エネルギーシステム9で低グレードの作動流体(例えば、溶融塩)を使用でき、構成要素及び配管を、より低温、より低コストの材料で製造できるようにする。
【0038】
さらに、本開示によれば、CSPシステムのヘリオスタットフィールドのサイズが減少する可能性があり、これにより、ヘリオスタットシステムのサイズ及びコストが低減される。これは、低温/中温蒸気を生成するための第1又は低温/中温システム9を含む区画化された再生可能エネルギーシステムを使用し、次に蓄熱媒体(例えば、溶融シリコンなど)を高温に加熱して高温蓄熱媒体を温タンク29に貯蔵する光電池(PV)及び/又は他の再生可能なエネルギー発電システムなどの第2再生可能エネルギーシステム11を使用することによって、CSPサイクルの大幅なコスト削減をもたらす。第2再生可能エネルギーシステムが稼動中、及び太陽が照らさない夜間など、第2再生可能エネルギーシステムが動作しない長時間において、第1又はより低温の再生可能エネルギーシステムによって生成される低温/中温蒸気を過熱するのに十分な高温まで伝熱ガスを加熱するだけでなく、タンク29に十分な量の蓄熱媒体があることが理解され得る。
【0039】
当業者には理解されるように、先行技術のCSPシステムは、システム入り、全体にわたって温度を上げることによって、発電サイクルの全体的な効率を上げようとする。前述のように、これは、このような高温を処理するために高温及び高コストの材料を使用する必要があり、従って、より効率的な発電サイクルを加熱するために、高温で十分なレシーバ作動流体の質量の流れを生成するために大きなヘリオスタットフィールドを必要とする。
【0040】
発電サイクル:
図1は、この場合、太陽熱生成(solar heat generation)の2つの区画又はセグメントであるCSP及びPVを結合し、共通の動力サイクルの個別の部分に熱を共に提供する例示的な蒸気/水力発電サイクルを提示する。
図2には、比較/対照のための標準(先行技術)CSP蒸気/水サイクルが示されている。
図2では、温タンクを介した太陽光レシーバからの作動流体は、直列配列の蒸気/水力サイクルの蒸気/水過熱セクションを介して処理され、冷タンクに戻り、加熱のために太陽光レシーバに戻される。これには、必要な量の過熱蒸気を供給し、蒸気タービンに過熱蒸気を供給するのに十分な温度及び圧力まで蒸気を加熱するCSPシステムが必要である。これには、CSPレシーバの一部、CSPレシーバを温タンクに接続する配管、及び温タンクから再熱器/過熱器までの配管を高温材料で設計及び構成する必要がある。レシーバから温タンクまで、及び温タンクから再熱器/過熱器まではある程度の距離がある場合があるため、システムのかなりの部分を、Inconel(登録商標)合金などのような高温材料で構成する必要がある。
【0041】
発電サイクル(power generating cycle)は、亜臨界(sub-critical)、トランス臨界(trans-critical)、及び/又は超臨界(cuper-critical)CO2パワーサイクル、ORC、又は第2パワーサイクル作動流体が、熱及び/又は電力の生成に有用な方法で、従来の太陽光レシーバ作動流体から熱を受ける多くの選択肢の1つであり得る。
【0042】
上述のメインパワーシステム3及び2つの区画化された再生可能エネルギーシステム9,11を有する上記の区画化されたシステム1が好ましい場合があるが、「電力タワー」CSPは「トラフ型」CSPシステムに置換え得ることがわかるであろう。さらに、第2再生可能エネルギーシステム11と関して説明したPVシステムは、風力、水力、又は地熱発電システムに置換えることができ、風力システムによって生成された電気の一部は、例えば、
図1に示すPVシステムの代わりに、タンク29内の高温の溶融金属作動流体を加熱するために使用される。風を使用するこのようなシステムでは、温タンク29は、十分な量の高温の蓄熱媒体(例えば、溶融金属又は溶融半金属)を貯蔵して、十分な風が利用できない期間に再熱器/過熱器19の高温の過熱蒸気を生成するために使用できるようにする。もちろん、適切な電池蓄電システムがタンク29及び溶融蓄熱媒体の代わりに使用されてもよく、又はそのような蓄電池システムが、追加の蓄熱又はバックアップの目的に使用されてもよい。もちろん、第2再生可能システム11が水力又は地熱発電システムである場合、蓄熱媒体のサイズ又はさらに必要性さえも減少又は排除することができ、伝熱ガスは、電気加熱器によって直接加熱することができる。PV、風力、及び電池バックアップの様々な組み合わせが使用され得る。また、水力発電、地熱、燃料電池、揚水貯蔵(pumped storage)、及び異なる形態の蓄熱など、異なる形態の再生可能エネルギーシステムが使用され得る。
【0043】
さらに、当業者は、
図1に示される単一の再熱蒸気/水電気発電システム3は、例えば、複数の再熱亜臨界蒸気/水力サイクル、複数の再熱超臨界蒸気/水力サイクル、又は複数の再熱超亜臨界蒸気/水力サイクルで、及び/又は次のもので置換えることができることを理解するであろう。
a.説明された高圧(HP)及び再加熱(RH)蒸気システムに加えて、中圧(IP)及び/又は低圧(LP)蒸気システムが追加され得る。
b.電力に加えて有用な熱を送りだすように、工程用の他のシステム加熱器を追加する。
c.例えば、復熱(recuperation)、中間冷却(intercooling)、過給(supercharging)、その他の全てのサイクル構成を有する及び/又は有しない亜臨界、超臨界、混合圧力CO
2サイクル。
d.例えば、復熱、中間冷却、過給、その他の全てのサイクル構成、組み合わせ、及び上記の順列を有する及び/又は有しないORCサイクル。
【0044】
図2に示すように、従来のCSP電力及び/又は熱生成及び貯蔵施設は、一般にヘリオスタットフィールドが受信機の吸収エネルギーで加熱されるCSP作動流体を含む受信機に太陽輻射線を集中させる形態である。現在のプラントでは、蒸気/水のパワーサイクル作動流体を利用して、温タンクからの作動流体から熱を吸収し、その流体を冷タンクに戻してレシーバ内のCSP作動流体を再加熱する。パワーサイクルの効率を上げるために、パワーサイクル作動流体の圧力及び温度は、利用可能な装備の設計能力の範囲内で最大化される。パワーサイクル作動流体の温度を最大化するために、CSP作動流体も非常に高温にする必要があり、実際には、パワーサイクル作動流体に必要な温度よりも高温になる。
【0045】
特に、太陽と雲が交互に発生する相対的に大きい(少なくとも従来の化学燃料プラントに比べて)負荷変化は、短時間内でライフサイクルの利用率が大幅に強化される可能性がある。これは、特に溶融塩で蒸気/水への熱交換器のCSPアプリケーションで現在一般的に使用されている厚いチューブ/シートシェルアンドチューブ熱交換器(HXs)で、急速な疲労破壊につながる可能性がある。
【0046】
雲が太陽の位置とヘリオスタットフィールドの位置との間を通過するとき、実質的に「瞬時」に消え得る太陽熱の利用可能性の特性は複合的である。これにより、CSP作動流体及びパワーサイクル作動流体の両方の質量の流れ及び温度が急速に変化する。現在、熱は一般にシェルアンドチューブ熱交換器を使用して2つの作動流体の間で伝達されるため、これらの稼動温度差勾配のライフサイクルへの影響を考慮する必要がある。通常、パワーサイクル作動流体の稼動圧力と温度が高いため、これらのシェルアンドチューブ熱交換器は、非常に特殊な設計にする必要があり、及び/又は低サイクルの疲労損傷に悩まされる。CSPレシーバの現在の状態は、シェルアンドチューブ熱交換器が正常に許容できるピーク温度にほぼ到達した状態である。同様に、CSP作動流体及びパワーサイクル作動流体の温度では、パワーサイクル作動流体(PCWF)の圧力も基本的に現在のCSPプラントのスタイルの最大値に到達している。最悪の問題は、温度が最も高く、パワーサイクル作動流体の圧力が非常に高いままのHPSHTRバンドルにある。特に温タンクでの貯蔵には問題がある。塩温度の上昇、及びこれらのより高い温度を保持できる塩の使用は、材料及び溶融塩のコストを上昇させる可能性があり、さらにシェルアンドチューブ熱交換器の問題を複雑にする。
【0047】
現在の技術は、パワーサイクルの効率性のためにCSP溶融塩出口/高温に依存している。この高温の溶融塩の温度を高めることは、2つの主な要因により非常にコストがかかる。1.レシーバ材料及び溶融塩種を、より高温で稼動できる材料及び塩に昇格する必要がある。2.ヘリオスタットフィールドへの重要な活性領域の追加。上記の両方の要因により、CSP発電施設全体にかなりのコストがかかる。追加のコストの増加は、配管、溶融塩タンク、ポンプ、及びその他の周辺機器の高合金材料への増加に関連するものである。発電ランキンサイクルのための蒸気を高めるために使用される現在の溶融塩から蒸気/水へのシェルアンドチューブ熱交換器の配置には、重大な技術的課題が存在する。他のタイプの熱伝達も使用できるが、コストが大幅に増加する。
【0048】
安価な高温溶融塩又は半金属潜熱エネルギー貯蔵と組合せて安価なPVを利用すると、塩の温度をさらに上昇させる必要がなくなり、付随する全ての問題が回避される。
【0049】
ここで
図3Aを参照すると、概略的に101で示される熱回収蒸気生成型(HRSG-like)アセンブリが、
図1に示すように再熱器/過熱器19の代替又は拡張実施形態として示されている。より具体的には、アセンブリ101は、
図1及び
図3に示すように、例えば、HRSG型装置の密閉ハウジング105内に配置された103a,103b,103c、及び103dで示される1つ以上のコイルを加熱するために、第2再生可能エネルギーシステム11から熱を供給される。本説明によれば、同じ目的又は異なる目的のために、より少ない又はより多いコイルをハウジング105に設けることができることを理解されたい。
図3Aに示すように、窒素ガスなどの作動流体は、上述のように、電気加熱器28を介して第2再生可能エネルギーシステム11によって加熱される高温貯蔵タンク29内の高温蓄熱材料30(例えば、溶融金属又は半金属)によって加熱される。作動流体は、ライン31を介して十分に高い温度及び十分に高い質量流量でタンク29を出て、後述する目的のために、コイル103a,103b,103c,103d、及び内部の流体を加熱する。もちろん、作動流体がハウジング105を介して流れると、作動流体内の熱エネルギーがコイルに伝達され、作動流体が各コイルを流れる際に冷却される。作動流体は、ハウジング105を出て、高温送風機107は、作動流体をタンク29内の蓄熱媒体30によって再加熱するように、ライン33を介してタンク29に戻される。図に示すように、タンク29を出る作動流体の温度は、例えば、約1100℃であり、送風機107を出る作動流体の温度は、約500℃であり得るが、これらの温度は単なる例示であり、状況に応じてかなり変化し得る。
【0050】
図3Aにさらに示されるように、コイル103dは、約370℃の温度でライン109を介してタービン5の高圧段から蒸気を受け取り、コイル103dを通過して熱回収蒸気発生器型(HRSG)アセンブリ101を介して流れる作動流体によって再加熱される。コイル103dによって再加熱された蒸気は、コイル103dの上流のコイル103bの入口に供給され、そこで約630℃まで過熱され、その後、ライン111を介して蒸気タービン5の中圧段に供給される。あるいは、コイル103bを出る蒸気は、蒸気タービン5の高圧段に供給されてもよい。さらに、蒸発器15からの蒸気は、ライン113を介して、第1高圧過熱器として機能するコイル103cの入口に供給される。コイル103cを出る過熱蒸気は、コイル103aの入口に供給され、コイル103aに合う際に流入する高温の作動流体(最高温度にある)によってさらに過熱される。コイル103aの出口からの過熱蒸気は、ライン113によってタービン5の高圧段に送られる。
【0051】
図4,
図4A、及び
図4Bを参照すると、
図1~
図3のエコノマイザ/蒸発器15が蒸発器201及びエコノマイザ203を含むように、より詳細に示されている。温タンク23からの溶融塩は、約470℃で蒸発器201に入り、蒸発器から排出され、より低温でライン205によってエコノマイザ203に伝達されるが、依然としてポンプ17によってエコノマイザ203に供給される給水及び凝縮液の温度よりも十分に高い。ポンプ17によって凝縮器13からエコノマイザ203に供給される給水及び/又は凝縮液は、ライン205を介してエコノマイザ203に流れる蒸発器201から出る溶融塩よりも低い温度である。
図4Aに示すように、給水及び/又は凝縮液は、エコノマイザ203内の溶融塩によって加熱される。溶融塩は、ライン207を介して約290℃の温度で冷タンク205に戻される。エコノマイザ203で加熱された給水は、ライン209を介して蒸発器201に供給される。
図3Aに示すように、蒸発器201からの蒸気は、ライン211を介して約460℃の温度で高圧過熱器103aに供給される。蒸発器201及びエコノマイザ203は、
図4Bに示すように、複数の平行なシェル及び管熱交換器を含み得ることが理解されるであろう。
【0052】
図4Bでは、一般に203a,203bで示される一対のエコノマイザ/蒸発器が示されている。それぞれは、蒸発器217a,217b及びエコノマイザ219a,219bを含む。それぞれのエコノマイザ217a,217bは、それぞれのライン221a,221bを介してポンプ17(
図1に示すように)を介して凝縮器13から高圧ボイラ給水及び/又は凝縮液を受け取り、給水がそれぞれのエコノマイザ219a,219bで加熱されるようにする。加熱された水は、それぞれのライン223a,223bによってそれぞれの蒸発器217a,217bの入口に供給される。溶融塩は、蒸発器217a,217bからそれぞれのライン225a,225bを介して排出され、凝縮器13から受け取った給水を最初に加熱するために、エコノマイザ219a,219bの入口に供給される。依然として、溶融塩は約290℃の温度でライン227を介してエコノマイザ219a,219bから冷タンク25に戻される。蒸発器217a,217bからの蒸気は、ライン229を介して
図3Aの高圧過熱器コイル103aに供給される。
【0053】
ここで
図5及び
図5Aを参照すると、
図1のエコノマイザ/蒸発器15及び再熱器/過熱器19は、それぞれ概略的に301,303で示されるように、2つの個別のHRSG型アセンブリの一部として示されている。先ず、HRSG型アセンブリ301を参照すると、温タンク23からの高温の溶融塩が、入口端309及び出口端311を有するハウジング307に配置される第1コイル305a及び最後又は第4のコイル305dに供給される。コイル305a,305dは、再循環ダクト又は通路313によって出口311から入口309に再循環される約470℃より幾分低い温度まで空気(又は別の適切な作動流体)を加熱するための溶融塩加熱器として機能する。もちろん、適切な高温ファン又は送風機(図示せず)が、加熱された空気を入口から出口まで、及び再循環ダクトを介してハウジング307を通って移動するように、再循環ダクトに組み込まれる。給水/凝縮液ポンプ17からの凝縮液及び/又は給水は、給水/凝縮液を加熱し、加熱された給水/凝縮液を第2コイル305bの入口317に供給するエコノマイザとして機能する第3コイル305cの入口315に供給される。この最後に述べたコイルは、分離器319に供給される約460℃より幾分低い温度で蒸気を生成するための蒸発器としての機能をする。HRSGアセンブリ301の熱は全て、第1再生可能エネルギーシステム9によって供給されることに留意されたい。
【0054】
HRSG型アセンブリ303は、323a,323b,323c,323dで示される複数のコイルを収容するハウジング321を含む。ハウジング321は、入口端325及び出口端327を有する。窒素などの作動流体は、タンク29に貯蔵された高温の作動流体によって高温(例えば、約1100℃)に加熱され、ハウジング321の入口端325に供給される。この高温の作動流体は、ハウジングを介して最初にコイル323aを通る又は過ぎるように連続的に流れた後、順次他のコイル323b,323c,323dを通る又は過ぎる。作動流体は、より低温(例えば、約500℃)で出口327を介してハウジングを出て、タンク29の高温蓄熱媒体30によって再加熱されるように、再循環ダクト又は通路329によってタンク29に再び再循環される。もちろん、高温送風機又はファン330は、作動流体を再循環させるために、再循環ダクトに組み込まれる。
【0055】
蒸気タービン5の高圧段からの蒸気は、再熱器として機能する第4コイル323dの入口端に供給される。再加熱コイル323dを出ると、再加熱された蒸気は、第2再熱器として機能する第2コイル323bの入口に流れる。第2再熱器コイル323bを出る蒸気は、タービン5の中間段に、又は代替的に高圧蒸気タービンの段に供給される。分離器319からの蒸気は、第1高圧過熱器として機能する第3コイル323cの入口に供給される。過熱蒸気は、コイル323cを出て、第2高圧過熱器として機能する第1コイル323aの入口に供給される。過熱された高圧蒸気は、約630℃の温度でコイル323aを出て、タービン5の高圧段に供給される。もちろん、高温の作動流体が入口325から出口327に流れ、コイル323a~323dの上を超える又通過するとき、作動流体の温度は低下する。
【0056】
ここで
図6、
図6Aを参照すると、
図1のエコノマイザ/蒸発器15及び再熱器/過熱器19を構成する本開示のシステムと幾分異なる実施形態が示されている。
図5Aに示される実施形態と同様に、
図6Aは、
図1のエコノマイザ/蒸発器15及び再熱器/過熱器19は、それぞれ概略的に401及び403で示されるように、エコノマイザ/蒸発器15の均等物を構成するアセンブリ401と、再熱器/過熱器19の均等物を構成するアセンブリ403とを有する2つの個別のHRSG型アセンブリの部分からなる。
【0057】
アセンブリ403は、入口407及び出口409を有するハウジング405と、ハウジング405内に配置される411a,411b,411c、及び411dで示された複数のコイルとを有するように
図6Aに示されている。入口407は、タンク29に貯蔵された高温蓄熱媒体30によって高温(例えば、約1100℃)に加熱された窒素などの高温の作動流体を受け取る。高温の作動流体が入口407から出口409までハウジング405を介して流れるとき、ハウジング内のコイルは、後述する目的のためにハウジング405を介して流れる作動流体によって連続的に加熱される。従って、アセンブリ403に配置されるコイルは、第2再生可能エネルギーシステム11によって加熱される。
【0058】
アセンブリ401は、入口端413及び出口端415を有するハウジング411を有する。417a,417b,417c及び417dで示されるように、複数のコイルがハウジング411内に取り付けられる。出口409を介してハウジング405から排出される作動流体は、ハウジング411の入口413に入るときに約500℃の温度を有する。作動流体がハウジング411を通って流れると、作動流体は、コイル417a~417dを連続的に加熱する。出口415から排出された作動流体は、再循環システム416に入る。より具体的には、再循環システムは、作動流体を、高温蓄熱媒体30によって再加熱されるタンク29に再び再循環させる高温ファン421を有する。
【0059】
図6Aにさらに示すように、例えば、約565℃の温度の温タンク23からの溶融塩が、第1及び第4コイル417a,417dの入口に導入され、これらの最後のコイルが、ハウジング411を介して流れるHRSG型アセンブリ403から流れる作動流体を加熱(より正確に再加熱)するようにする。アセンブリ403内の作動流体のこの再加熱は、第1再生可能エネルギーシステム9によって実行される。凝縮器13からの給水/凝縮液は、ポンプ17によって、エコノマイザとして機能する第3コイル417cの入口に導入され、ハウジング411を介して流れる作動流体によって加熱される。第3コイル417cを出る加熱された給水は、第1コイル417bの入口に導入され、そこでハウジング411を介して流れる作動流体によって蒸発され、中圧蒸気を形成する。蒸発器コイル417bで蒸発した蒸気は、蒸気を任意の液体水から分離する分離器419に流れ、液体水が凝縮器13に戻され、蒸気がアセンブリ403のコイル411cの入口に供給され、そこで蒸気が過熱されてコイル411cが第1高圧過熱器として機能するようにする。コイル411cの出口からの過熱蒸気は、第2の高圧過熱器コイル411aに供給され、続いて蒸気タービン5の高圧段に供給される。
【0060】
さらに、
図6Aに示すように、タービン5の高圧段からの蒸気がコイル411dの入口に供給され、そこでハウジング405を介して流れる作動流体によって再加熱される。再加熱された蒸気は、コイル411dを出て、コイル411bの入口に供給され、コイル411bが第2再熱器として機能するように再加熱される。コイル411bの出口からの再加熱された蒸気は、タービン5の中間段に供給される。
【0061】
ここで
図7を参照すると、
図1に関して説明した再熱器/過熱器19のより詳細な図が示されている。
図7では、再熱器/過熱器19は、2つのセクション、即ち、高圧過熱器501及び再熱器503を含むように示されている。過熱器501は、ライン505を介して約460℃の温度で蒸発器15から中圧蒸気を受け取る。
図1に示すように、再熱器/過熱器19は、ライン31を介して高温タンク29から高温の作動流体、好ましくは窒素を受け取り、ライン31は
図7にも示されている。前述したように、タンク29から供給される作動流体は高温であり、例えば約1100℃である。
図7に示すように、流入する中圧蒸気は、過熱器501で高温の作動流体によって過熱され、例えば、約630℃の高温の過熱蒸気は、ライン507を経由して蒸気タービン5の高圧段に供給される。
【0062】
高温の作動流体が過熱器501及び再熱器503を介して又はその周辺に流れるとき、その温度は、高温の作動流体が先ず過熱器の周辺に流れ、次に再熱器の周辺に流れるにつれて低下することが理解されよう。再熱器503は、例えば、約460℃の温度でライン509を介してタービン5の高圧段から排気を受け取る。この蒸気は、約630℃に再加熱され、ライン511を介してタービン5の中圧段に供給される。作動流体が再熱器509から排出されると、ライン33を介して温タンク29に再循環される。
【0063】
本開示の広い範囲から逸脱することなく、上述した構築方法に様々な変更を加えることができ、上記の説明に含まれる又は添付の図面に示される全ての事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを意図する。