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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】マルチベイ電源の充電均衡
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022579110
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021038897
(87)【国際公開番号】W WO2021262979
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】63/043,858
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スタンケ、ザカリー、ジー.
(72)【発明者】
【氏名】シークス、サミュエル
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110741(JP,A)
【文献】特開2013-081315(JP,A)
【文献】特開2019-187065(JP,A)
【文献】特開2014-057415(JP,A)
【文献】特開2008-311213(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0083948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチベイ電源であって、
複数のエネルギー貯蔵装置と、
前記複数のエネルギー貯蔵装置から周辺機器に電力供給すべく構成された電力出力と、
電子プロセッサを含むコントローラであって、
前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を判定し、
前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を第1の設定可能な時間にわたり放電させることにより前記周辺機器に電力供給し、
前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち、いずれかのエネルギー貯蔵装置の充電状態が前記最大充電状態の公差内にあるかを判定し、
前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置、及び前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が前記最大充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置を放電させることにより前記周辺機器に電力供給すべく構成された
コントローラとを含む
マルチベイ電源。
【請求項2】
前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置及び前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が前記最大充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置が第2の設定可能な時間にわたり放電される、請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項3】
前記コントローラが更に、前記第2の設定可能な時間が経過した後で、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電値が更新されたエネルギー貯蔵装置の充電状態を読み取るべく構成されている、請求項2に記載のマルチベイ電源。
【請求項4】
前記コントローラが、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が前記最大充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置と前記周辺機器との間の各電流経路に設けられたスイッチング素子をONにすることにより、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が前記最大充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置を放電すべく構成されている、請求項2に記載のマルチベイ電源。
【請求項5】
前記複数のエネルギー貯蔵装置が再充電可能な電動工具バッテリーパックを含んでいる、請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項6】
前記コントローラが、充電状態が前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置と前記周辺機器との間の電流経路に設けられたスイッチング素子をONにすることにより、前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を放電すべく構成されている、請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項7】
前記周辺機器が電熱衣料品である、請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項8】
複数のエネルギー貯蔵装置ベイを更に含み、前記複数のエネルギー貯蔵装置の各々が前記複数のエネルギー貯蔵装置ベイの各1個に電気的に接続可能である、
請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項9】
前記複数のエネルギー貯蔵装置ベイが前記マルチベイ電源の筐体内に設置されている、請求項8に記載のマルチベイ電源。
【請求項10】
前記複数のエネルギー貯蔵装置に含まれるエネルギー貯蔵装置が並列に電気的に接続可能である、請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項11】
前記公差が前記最大充電状態の百分率である、請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項12】
前記公差が、前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置の電圧値と、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち他のいずれかのエネルギー貯蔵装置の電圧値との許容可能な差を表すスカラー値である、請求項1に記載のマルチベイ電源。
【請求項13】
マルチベイ電源を放電させる方法であって、前記マルチベイ電源は複数のエネルギー貯蔵装置と、前記複数のエネルギー貯蔵装置から周辺機器に電力供給すべく構成された電力出力と、電子プロセッサを含むコントローラを含み、前記方法が、
前記コントローラを用いて、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を判定するステップと、
前記コントローラを用いて、前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動して、前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置から前記周辺機器への電力流を可能にするステップと、
前記コントローラを用いて、前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を第1の設定可能な時間にわたり放電させるステップと、
前記コントローラを用いて、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち、いずれかのエネルギー貯蔵装置の充電状態が前記最大充電状態の公差内にあるかを判定するステップと、
前記コントローラを用いて、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が前記最大充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置を起動して、充電状態が前記公差内にあるエネルギー貯蔵装置から前記周辺機器への電力流を可能にするステップと、
前記コントローラを用いて、前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置、及び充電状態が前記公差内にあるエネルギー貯蔵装置を第2の設定可能な時間にわたり放電させるステップと
を含んでいる方法。
【請求項14】
前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動するステップが、前記コントローラにより、前記最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置から前記周辺機器への電流経路に設けられたスイッチをONにするステップを含んでいる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コントローラにより、前記第2の設定可能な時間が経過した後で、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電値が更新されたエネルギー貯蔵装置の充電状態を読み取るステップを更に含んでいる、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記周辺機器が電熱衣料品である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
マルチベイ電源を充電する方法であって、前記マルチベイ電源は、複数のエネルギー貯蔵装置と、外部電源から前記複数のエネルギー貯蔵装置に電力供給すべく構成された電力入力と、電子プロセッサを含むコントローラを含み、前記方法が、
前記コントローラを用いて、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を判定するステップと、
前記コントローラを用いて、前記最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動して、前記外部電源から前記最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置への電力流を可能にするステップと、
前記コントローラを用いて、前記最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を第1の設定可能な時間にわたり充電するステップと、
前記第1の設定可能な時間の後に、
前記コントローラを用いて、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうちいずれエネルギー貯蔵装置が前記最低充電状態を有する前記エネルギー貯蔵装置の充電状態の公差内にあるかを判定するステップと、
前記コントローラを用いて、前記最低充電状態を有する前記エネルギー貯蔵装置の前記充電状態の前記公差内にある前記充電状態を有する前記複数のエネルギー貯蔵装置のうちのいずれかのエネルギー貯蔵装置を起動して、前記外部電源から前記最低充電状態を有する前記エネルギー貯蔵装置の前記充電状態の前記公差内にある充電状態を有する前記エネルギー貯蔵装置への電力流を可能にするステップと、
前記コントローラを用いて、前記最低充電状態を有する前記エネルギー貯蔵装置、及び前記最低充電状態を有する前記エネルギー貯蔵装置の前記充電状態の前記公差内にある充電状態を有する前記エネルギー貯蔵装置を第2の設定可能な時間にわたり充電するステップと、を含む
方法。
【請求項18】
前記最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動するステップが、前記コントローラにより、前記外部電源から前記最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置への電流経路に設けられたスイッチをONにするステップを含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コントローラにより、前記第2の設定可能な時間が経過した後で、前記複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電値が更新されたエネルギー貯蔵装置の充電状態を読み取るステップを更に含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記電力入力がUSB-Cポートを含んでいる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年6月25日出願の米国仮特許出願第63/043858号の優先権を主張するものであり、その全内容を本明細書に引用している。
【0002】
本明細書に記述する複数の実施形態はマルチベイ電源に関する。
【背景技術】
【0003】
マルチベイバッテリー又はバッテリーパックシステム(すなわちマルチベイ電源)は複数のバッテリー又は複数のバッテリーパックを含んでいてよい。しかし、単一のバッテリーパックとは異なり、マルチベイバッテリーシステムに含まれる個々のバッテリー又はバッテリーパックシステム内のパックが同じ古さ、容量又は充電状態である保証は無い。これにより、マルチベイ電源の動作中、複数のバッテリー又はバッテリーパックの各々から引き出される電流により、異なるバッテリー又はバッテリーパックの充電レベル間に不均衡が生じる恐れがある。充電レベル間の不均衡が大きい場合、マルチベイ電源の稼働時間が短縮する恐れがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記述するマルチベイ電源は、複数のエネルギー貯蔵装置、当該複数のエネルギー貯蔵装置から周辺機器に電力供給すべく構成された電力出力、及び電子プロセッサを含むコントローラを含んでいる。コントローラは、複数のエネルギー貯蔵装置のうち最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を判定し、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を第1の設定可能な時間にわたり放電させることにより周辺機器に電力供給して、複数のエネルギー貯蔵装置のうち、いずれかのエネルギー貯蔵装置の充電状態が最大充電状態の公差内にあるかを判定すべく構成されている。コントローラは更に、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置、及び複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が最大充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置を放電させることにより周辺機器に電力供給すべく構成されている。
【0005】
本明細書に記述する方法はマルチベイ電源の放電を実行する。マルチベイバッテリー電源は複数のエネルギー貯蔵装置、当該複数のエネルギー貯蔵装置から周辺機器に電力供給すべく構成された電力出力、及び電子プロセッサを含むコントローラを含んでいる。本方法は、コントローラを用いて、複数のエネルギー貯蔵装置のうち最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を判定するステップと、コントローラを用いて、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動して、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置から周辺機器への電力流を可能にするステップと、コントローラを用いて、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を第1の設定可能な時間にわたり放電させるステップを含んでいる。本方法は更に、コントローラを用いて、複数のエネルギー貯蔵装置のうち、いずれかのエネルギー貯蔵装置の充電状態が最大充電状態の公差内にあるかを判定するステップと、コントローラを用いて、複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が最大充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置を起動して、充電状態が受容可能な公差内にあるエネルギー貯蔵装置から周辺機器への電力流を可能にするステップと、コントローラを用いて、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置、及び充電状態が受容可能な公差内にあるエネルギー貯蔵装置を第2の設定可能な時間にわたり放電させるステップを含んでいる。
【0006】
本明細書に記述する方法はマルチベイ電源の充電を実行する。マルチベイ電源は、複数のエネルギー貯蔵装置、外部電源から複数のエネルギー貯蔵装置に電力供給すべく構成された電力入力、及び電子プロセッサを含むコントローラを含んでいる。本方法は、コントローラを用いて、複数のエネルギー貯蔵装置のうち最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を判定するステップと、コントローラを用いて、最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動して、外部電源から最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置への電力流を可能にするステップと、コントローラを用いて、最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を第1の設定可能な時間にわたり放電させるステップを含んでいる。本方法は更に、コントローラを用いて、複数のエネルギー貯蔵装置のうち、いずれかのエネルギー貯蔵装置の充電状態が最低充電状態の公差内にあるかを判定するステップと、コントローラを用いて、複数のエネルギー貯蔵装置のうち充電状態が最低充電状態の公差内にあるエネルギー貯蔵装置を起動して、外部電源から充電状態が受容可能な公差内にあるエネルギー貯蔵装置への電力流を可能にするステップと、コントローラを用いて、最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置、及び充電状態が受容可能な公差内にあるエネルギー貯蔵装置を第2の設定可能な時間にわたり充電するステップを含んでいる。
【0007】
複数の実施形態のいずれかについて詳細に説明する前に、当該実施形態が以下の記述に開示する、又は添付の図面に示す要素の構成及び配置の詳細事項への適用に限定されないことを理解されたい。これらの実施形態は様々な仕方で実施又は実行することでできる。また、本明細書で用いる語法及び用語が説明目的にであって本発明を限定するものと考えるべきでない点を理解されたい。「含む」か、「包含する」又は「有する」及びこれらの変形の使用は、以降に列挙する項目及びそれらの等価物並びに追加的項目を包含するものとする。別途指定又は限定されない限り、用語「載置された」「接続された」、「支持された」、及び「結合された」及びそれらの変形は広義に用いられ、直接及び間接的な載置、接続、支持、及び結合を含んでいる。
【0008】
また、複数の実施形態がハードウェア、ソフトウェア、及び電子要素又はモジュールを含んでいてよいが、説明目的のため、大多数の要素が専らハードウェアだけで実装されているかの如く図示及び記述される場合がある点を理解されたい。しかし、当業者には、この詳細説明の読解に基づき、少なくとも1個の実施形態において、電子的態様がマイクロプロセッサ及び/又は特定用途向け集積回路(「ASIC」)等の1個以上の処理ユニットにより実行可能な(例えば非一時的コンピュータ可読媒体に保存された)ソフトウェアで実装され得ることが認識されよう。このように、複数のハードウェア及びソフトウェア方式の機器、及び複数の異なる構造的要素を用いてこれらの実施形態を実装できる点に注意されたい。例えば、本明細書の記述する「サーバ」、「計算装置」、「コントローラ」、「プロセッサ」等は、1個以上の処理ユニット、1個以上のコンピュータ可読媒体モジュール、1個以上の入出力インターフェース、及び要素を接続する各種の接続部(例えば、システムバス)を含んでいる。
【0009】
量又は状態との関連で用いる相対用語、例えば「約」、「ほぼ」、「実質的に」等が宣言された値を含み、文脈で言及された意味を有する(例えば、用語が少なくとも測定精度関連付けられた誤差、特定の値に関連付けられた公差[例えば、製造、組み立て、使用等]等)ことが当業者には理解されよう。このような用語はまた、2個の終点の絶対値により定義される範囲を示すものと考えるべきである。例えば、「約2~約4」という表現は「2~4」の範囲を示している。相対用語は、示された値のある百分率(例えば、1%、5%、10%以上)の増減を指す場合がある。
【0010】
本明細書において1個の要素により実行されるものと記述する機能は複数の構成要素により分散的に実行することができる。同様に、複数の要素により実行される機能は統合されて単一の要素により実行することができる。同様に、特定の機能を実行するものと記述する要素もまた本明細書に記述しない追加的な機能を実行することができる。例えば、特定の仕方で「構成された」装置又は構造は少なくともその仕方で構成されているが、明示的に列挙しない複数の仕方で構成されていてもよい。
【0011】
本発明の他の態様も詳細記述及び添付図面を考慮することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】バッテリーパックが取り付けられたマルチベイバッテリーパックシステムの透視図である。
図1B】バッテリーパックが取り付けられていない図1Aのマルチベイバッテリーパックシステムの透視図を示す。
図2】本明細書に記述する複数の実施形態による、図1のマルチベイバッテリーパックシステム前部のユーザーインターフェースを示す。
図3】本明細書に記述する複数の実施形態による、図1のマルチベイバッテリーパックシステムに電力供給するバッテリーパックの透視図である。
図4】本明細書のいくつかの実施形態による、マルチベイバッテリーシステムの透視図である。
図5】本明細書に記述する複数の実施形態による、図4のマルチベイバッテリーシステム電力供給する単一セル再充電可能バッテリーの透視図である。
図6】マルチベイ電源の制御システムを示す。
図7図1のマルチベイバッテリーパックシステム又は図4のマルチベイバッテリーシステムの模式図を示す。
図8図1のマルチベイバッテリーパックシステム又は図4のマルチベイバッテリーシステムを放電させる処理である。
図9図1のマルチベイバッテリーパックシステム又は図4のマルチベイバッテリーシステムを充電する処理である。
図10】複数の理想ダイオード及び理想ダイオードコントローラを含む図1のマルチベイバッテリーパックシステム又は図4のマルチベイバッテリーシステムの模式図を示す。
図11図10の理想ダイオード及び理想ダイオードコントローラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1A~1Bに、いくつかの実施形態によるマルチベイバッテリーパックシステム又はマルチベイ電源100を示す。マルチベイバッテリーパックシステム100は、電動工具、屋外ツール、及び他の電動設備(例えば、照明、コードレスバッテリーの充電器、電熱衣料品)等の異なる電子機器に電力供給すべく動作可能である。マルチベイバッテリーパックシステム100は、マルチベイバッテリーパックシステム100の筐体115上に載置及び/又は筐体115内に設置された1個以上のバッテリーパック又はエネルギー貯蔵装置ベイ110に収納された1個以上のバッテリーパック又はエネルギー貯蔵装置105により電力供給される。バッテリーパック105(図示する構造では4個)毎に1個のバッテリーパックベイ110が筐体115上に載置及び/又は筐体115内に設置されている。各バッテリーパック105は電気的に接続され、各バッテリーパックベイ110に着脱可能に結合されていて、他のバッテリーパック105と直列及び/又は並列に電気的に接続されていてよい。マルチベイバッテリーパックシステム100が4個のバッテリーパック105及び4個のバッテリーパックベイ110を支持するように図示しているが、マルチベイバッテリーパックシステム100が任意の所望個数のバッテリーパック105により電力供給され得ることを理解されたい。例えば、マルチベイバッテリーパックシステム100は4個よりも多くの又は少ないバッテリーパック105及びバッテリーパックベイ110を支持することができる。
【0014】
図示するマルチベイバッテリーパックシステム100の筐体115は、最上部116、底部118、前部120、後部122、及び対向する側面124、126を含んでいる。フレーム130が筐体115に接続されている。ハンドル132がフレーム130の複数の部分に接続されていて、ハンドル132はマルチベイバッテリーパックシステム100が移動する間のユーザーの握持、快適性等を向上させるべくエラストマー材料を含んでいてよい。フレーム130の上で(例えば、コーナーを覆う)筐体115の底部118にゴム足が取り付けられていてよい。フィートは、マルチベイバッテリーパックシステム100が作業現場の床等の表面に置かれた場合に滑り難く、かき傷が生じない面を提供する。
【0015】
図2に、筐体115の前部120に配置されたユーザーインターフェース200を示す。図示する例において、ユーザーインターフェース200は電源投入ボタン205、ディスプレイ210、電力入力パネル215、及び電力出力パネル220を含んでいる。電源投入ボタン205は、プッシュボタン、双方向スイッチ、タッチボタン等として実装されていてよい。電源投入ボタン205は、ユーザーインターフェース200への電力出力を制御すべく用いられ、マルチベイバッテリーパックシステム100をON又はOFFにすべく起動することができる。電源投入ボタン205を用いてマルチベイバッテリーパックシステム100をONにしたならば、電力出力パネル220を介した電力出力及びディスプレイ210が起動される。電源投入ボタン205を用いてマルチベイバッテリーパックシステム100をOFFにしたならば、電力出力パネル220を介した電力出力及びディスプレイ210が停止される。しかし、電力入力パネル215を介した電力入力は依然として有効である。
【0016】
ディスプレイ210は、マルチベイバッテリーパックシステム100の状態をユーザーに提示すべく構成されている。ディスプレイ210は、例えば液晶ディスプレイ(「LCD」)、発光ダイオード(「LED」)ディスプレイ、有機LED(「OLED」)ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ(「ELD」)、表面伝導電子エミッタディスプレイ(「SED」)、電界放出ディスプレイ(「FED」)、薄膜トランジスタ(「TFT」)LCD等であってよい。図示する実施形態において、ディスプレイ210は燃料計212、温度超過インジケータ213、及び過負荷インジケータ214を含んでいる。燃料計212は、マルチベイバッテリーパックシステム100に接続された1個以上のバッテリーパック105の充電状態を示すべく構成されている。温度超過インジケータ213は、マルチベイバッテリーパックシステム100又はバッテリー105の温度が所定の温度閾値を超えた場合に起動する。過負荷インジケータ214は、マルチベイバッテリーパックシステム100の負荷出力が所定の負荷閾値を超えた場合に起動する。いくつかの実施形態において、ディスプレイ210は図示する実施形態よりも多くの又は少ないインジケータを含んでいる。
【0017】
図示する実施形態において、電力入力パネル215は、交流入力216、USB-Cポート217、及びUSB-Aポート218等の、但しこれらに限定されない複数の電気接続インターフェースを含んでいる。いくつかの実施形態において、電力入力パネル215は、図2に示さない追加的な電気接続インターフェースを含んでいる。電気接続インターフェースは、外部電源から電力を受電すべく構成されている。いくつかの実施形態において、外部電源は直流電源、例えば太陽電池(例えば、ソーラーパネル)であっても、又は電源は交流電源、例えば従来の壁面コンセントであってもよい。いくつかの実施形態において、電力入力パネル215は従来の壁面コンセントに差し込むべく構成されたケーブルで代替されるか、又は追加的に含んでいる。電力入力パネル215が受電した電力を用いて、マルチベイバッテリーパックシステム100の各バッテリーパックベイ110に電気的に接続されたバッテリーパック105を充電する。
【0018】
電力出力パネル220は1個以上の電力コンセントを含んでいる。図示する実施形態において、電力出力パネル220は、複数の交流電力コンセント221、直流接続ジャック222、及びUSB-Aポート223を含んでいる。電力出力パネル220に含まれる電力コンセントの個数が図2に示す電力コンセントに限定されいないことを理解されたい。例えば、マルチベイバッテリーパックシステム100のいくつかの実施形態において、電力出力パネル220は、マルチベイバッテリーパックシステム100の図示する実施形態に含まれる電力コンセントよりも多くの又は少ない電力コンセントを含んでいる。電力出力パネル220は、バッテリーパック105から1個以上の周辺機器に電力供給すべく構成されている。1個以上の周辺機器は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯音楽プレーヤ、電動工具、電動工具バッテリーパック、電動工具バッテリーパック充電器等であってよい。周辺機器は、電力出力パネル220から直流及び/又は交流電力を受電すべく構成されていてよい。また、周辺機器は、電力入力パネル215に含まれるUSB-Cポート217及びUSB-Aポート218から直流電力を受電すべく構成されていてよい。
【0019】
図3に、バッテリーパック105が再充電可能バッテリーパック305であるバッテリーパック105の一実施形態を示す。再充電可能バッテリーパック305は、1個以上のセルを支持する筐体306を含んでいる。バッテリーパック端子307はバッテリーセルを、バッテリーパックベイ110に含まれる端子を介してマルチベイバッテリーパックシステム100に電気的に接続する。バッテリーパック端子307は再充電可能バッテリーパック305とマルチベイバッテリーパックシステム100との間で電力を転送すべく動作可能な電力端子、及び再充電可能バッテリーとマルチベイバッテリーパックシステム100との間で情報を送信すべく動作可能な通信端末を含んでいてよい。
【0020】
再充電可能バッテリーパック305は、所望の出力放電電圧(例えば、名目電圧[例えば、12V、18V、20V、24V、40V、60V、80V、120V等]及び電流容量)を供給すべく各々が直列、並列、又は直列と並列の組み合わせで接続されたある個数のバッテリーセル(例えば、5個のバッテリーセル)を有するセルストリングに構成された1個以上のセルを含んでいる。再充電可能バッテリーパック305は、平行に(例えば2個のセルストリング「5S2P」、3個のセルストリング「5S3P」等)接続されるある個数のセルストリングを含んでいてよい。他の複数の実施形態において、バッテリーセルの他の組み合わせ(直列、並列、直列と並列を組み合わせた構成)も可能である。
【0021】
各バッテリーセルは、名目電圧が1V~5V、及び名目容量が約1Ah~約5Ah以上(例えば、最大約9Ah)であってよい。バッテリーセルは、任意の種類の再充電可能なバッテリーセル化合物、例えばリチウム(「Li」)、リチウム-イオン(「Liイオン」)、他のリチウムを主成分とする化合物、ニッケル-カドミウム(「NiCd」)、ニッケル金属水素化物(「NiMH」)等であってよい。
【0022】
図4に、別の実施形態によるマルチベイバッテリー又はエネルギー貯蔵装置システム400を示す。マルチベイバッテリーシステム400は、電動工具、屋外ツール、及び他の電動設備(例えば、照明、コードレスバッテリーの充電器、電熱衣料品)等の異なる配線機器に電力を供給すべく動作可能である。マルチベイバッテリーシステム400は1個以上のバッテリー又はエネルギー貯蔵装置により電力供給され、当該電力はマルチベイバッテリーシステム400の筐体410内に設置された1個以上のバッテリー又はエネルギー貯蔵装置ベイ(図示せず)により受電される。特に、バッテリーベイは筐体410の底部415内に設置されていて、筐体410の最上部420を取り外すことによりアクセスすることができる。いくつかの実施形態において、最上部420は回転軸回りにピボット回転可能なように底部415に固定されているため、筐体410の底部415内に設置されたバッテリーベイにアクセスすべく最上部420を回転させることができる。いくつかの実施形態において、最上部420は筐体の後部から取り外すことができない。このような実施形態において、筐体410の後側に配置されたパネルを取り外すによりバッテリーベイにアクセスすることができる。
【0023】
図示する例において、最上部420は電源投入ボタン425、ディスプレイ430、電力入力パネル435、及び電力出力パネル440を含んでいる。電源投入ボタン425は、プッシュボタン、双方向スイッチ、タッチボタン等として実装されていてよい。電源投入ボタン425は電力出力を制御すべく用いられ、マルチベイバッテリーシステム400をON又はOFFにすべく起動することができる。電源投入ボタン425を用いてマルチベイバッテリーパックシステム400をONにしたならば、電力出力パネル440を介した電力出力及びディスプレイ430が起動される。電源投入ボタン425を用いてマルチベイバッテリーパックシステム400をOFFにしたならば、電力出力パネル440を介した電力出力及びディスプレイ430が停止される。しかし、電力入力パネル435を介した電力入力は依然として有効である。
【0024】
ディスプレイ430は、マルチベイバッテリーシステム400の状態をユーザーに提示すべく構成されている。図示する実施形態において、ディスプレイ430はマルチベイバッテリーシステム400内に設置されたバッテリー105の状態を示すべく構成された3個のインジケータを含んでいる。ディスプレイ430は、例えば液晶ディスプレイ(「LCD」)、発光ダイオード(「LED」)ディスプレイ、有機LED(「OLED」)ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ(「ELD」)、表面伝導電子エミッタディスプレイ(「SED」)、電界放出ディスプレイ(「FED」)、薄膜トランジスタ(「TFT」)LCD等であってよい。いくつかの実施形態において、ディスプレイ430は、図示する実施形態よりも多くの又は少ないインジケータを含んでいる。
【0025】
図示する実施形態において、電力入力パネル435は、USB-Cポートを含んでいる。いくつかの実施形態において、電力入力パネル435は交流入力子及びUSB-Aポート等、但しこれらに限定されない複数の電気接続インターフェースを含んでいる。電力入力パネル435は外部電源から電力を受電すべく構成されている。いくつかの実施形態において、外部電源は直流電源、例えば太陽電池(例えば、ソーラーパネル)であってよく、又は電源は交流電源、例えば従来の壁面コンセントであってよい。電力入力パネル435が受電した電力を用いて、マルチベイバッテリーシステム400内に設置された各バッテリーベイに電気的に接続されたバッテリー105を充電する。
【0026】
図示する実施形態において、電力出力パネル440は直流接続ジャック及びUSB-Aポートを含んでいる。マルチベイバッテリーシステム400のいくつかの実施形態において、電力出力パネル440は、マルチベイバッテリーシステム400の図示する実施形態に含まれる電力コンセントよりも多くの又は少ない電力コンセントを含んでいてよい。電力出力パネル440は、バッテリーから1個以上の周辺機器に電力供給すべく構成されている。例えば、直流接続ジャックを用いて1個以上の電熱衣料品(例えば、電熱ジャケット)に電力供給することができる。1個以上の周辺機器はまた、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯音楽プレーヤ、電動工具、電動工具バッテリーパック、電動工具バッテリーパック充電器等を含んでいてよい。周辺機器はまた、電力入力パネル435に含まれるUSB-Cポートから直流電力を受電すべく構成されていてよい。
【0027】
図5に、単一セル再充電可能バッテリー又はエネルギー貯蔵装置505の一実施形態を示す。単一セル再充電可能バッテリー505は円筒筐体510に収納される。円筒筐体510は、単一セル再充電可能バッテリー505をマルチベイバッテリーシステム400に電気的に接続する正極端子515及び負極端子520を含んでいる。いくつかの実施形態において、端子はUSBポート及びケーブルとして実装されている。単一セル再充電可能バッテリー505は、名目電圧が1V~5V、及び名目容量が約1Ah~約15Ah以上であってよい。単一セル再充電可能バッテリー505は、任意の種類の化合物、例えばリチウム(「Li」)、リチウム-イオン(「Liイオン」)、他のリチウムを主成分とする化合物、ニッケル-カドミウム(「NiCd」)、ニッケル金属水素化物(「NiMH」)等であってよい。
【0028】
図6は、マルチベイ電源、例えばマルチベイバッテリーパックシステム100又はマルチベイバッテリーシステム400のコントローラ600の全般的模式図である。コントローラ600がマルチベイバッテリーパックシステム100又はマルチベイバッテリーシステム400に含まれていてよいが、マルチベイバッテリーパックシステム100に含まれる要素に関してコントローラ600を記述していることを理解されたい。コントローラ600は、マルチベイバッテリーパックシステム100の各種のモジュール又は要素に電気的及び/又は通信可能に接続されている。例えば、図示するコントローラ600は、バッテリーパック105A~105N、電源投入ボタン205、ディスプレイ210、電力入力パネル215、及び電力出力パネル220に接続されている。コントローラ600とバッテリーパック105Aとの(及びバッテリーパック105B~105Nとの)電気的及び/又は通信可能な接続は、コントローラ600と、バッテリーパック105Aに含まれるバッテリーセル又はセンサ等の、但しこれらに限定されないバッテリーパック105Aの複数の要素の電気的及び/又は通信可能な接続を含んでいる。
【0029】
コントローラ600はまた、ネットワーク通信モジュール605、複数のセンサ610、複数のスイッチング素子705、及び充電回路710に電気的及び/又は通信可能に接続されている。ネットワーク通信モジュール605は、コントローラ600をネットワークの周辺機器、例えばスマートフォン又はサーバと通信可能にすべくネットワーク615に接続されている。センサ610は、例えば、1個以上の電圧センサ、1個以上の電流センサ、1個以上の温度センサ等を含んでいる。各々のセンサ610は、処理及び評価のためコントローラ600に提供される1個以上の出力信号を生成する。
【0030】
コントローラ600は、特に、マルチベイバッテリーパックシステム100の動作を制御し、ネットワーク615を介して通信し、ユーザーインターフェース200を介してユーザーからの入力を受信し、ディスプレイ210等を介してユーザーに情報に提供すべく動作可能であるハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを含んでいる。例えば、コントローラ600は、特に、処理ユニット620(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、電子プロセッサ、電子コントローラ、又は別の適当なプログラム可能機器)、メモリ625、入力装置630、及び出力装置635を含んでいる。処理ユニット620は、特に、制御ユニット640、算術論理ユニット(「ALU」)645、及び複数のレジスタ650(図6にレジスタ群として示す)を含み、公知のコンピュータアーキテクチャ(例えば、修正ハーバードアーキテクチャ、フォンノイマンアーキテクチャ等)を用いて実装されている。処理ユニット620、メモリ625、入力ユニット630、及び出力ユニット635、並びにコントローラ600に接続された各種のモジュール又は回路は、1個以上の制御及び/又はデータバス(例えば、共有バス655)により接続されている。制御及び/又はデータバスを説明目的で図6に一般的に示す。図6でコントローラ600を1個のコントローラとして示しているが、コントローラ600はまた、マルチベイバッテリーパックシステム100の所望の制御レベルを協働して実現すべく構成された複数のコントローラを含んでいてよい。このように、コントローラ600に関して本明細書に記述する任意の制御機能及び処理はまた、分散的に機能する2個以上のコントローラにより実行されてもよい。
【0031】
メモリ625は、非一時的計算機可読媒体であって、例えばプログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでいる。プログラム記憶領域及びデータ記憶領域は、読出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(例えば、ダイナミックRAM[「DRAM」]、同期DRAM[「SDRAM」]等)、電気的に消去可能なプログラム可能ROM(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、又は他の適当な磁気、光、物理、又は電子メモリ素子等、異なる種類のメモリの組み合わせを含んでいてよい。処理ユニット620はメモリ625に接続されていて、(例えば実行中に)メモリ625のRAM、(例えば一般に永続的な)メモリ625のROM、又は別のメモリ又はディスク等の非一時的計算機可読媒体に保存可能なソフトウェア命令を実行すべく構成されている。マルチベイバッテリーパックシステム100及びコントローラ600の実装に含まれるソフトウェアはコントローラ600のメモリ625に保存することができる。ソフトウェアは、例えば、ファームウェア、1個以上のアプリケーション、プログラムデータ、フィルタ、ルール、1個以上のプログラムモジュール、及び他の実行可能な命令を含んでいる。コントローラ600は、特に、本明細書に記述する制御処理及び方法に関する命令をメモリ625から取り出して実行すべく構成されている。他の複数の実施形態において、コントローラ600は追加的な、より少ない、又は異なる要素を含んでいる。
【0032】
図7はマルチベイ電源700の全般的模式図である。図7に示す全般的模式図が(単一セル再充電可能バッテリー505を含む)マルチベイバッテリーパックシステム100及びマルチベイバッテリーシステム400の代表例であるが、マルチベイバッテリーパックシステム100に含まれる要素に関して全般的模式図を記述することを理解されたい。図7に示すように、マルチベイバッテリーパックシステム100は複数のバッテリーパック105A~105Nを含んでいる。マルチベイバッテリーパックシステム100を動作させるのに1個のバッテリーパック105だけが必要であるが、マルチベイバッテリーパックシステム100は、任意の所望の個数Nのバッテリーパック105A~105Nを含んでいてよい。
【0033】
バッテリーパック105A~105Nは、充電回路710及び/又は変換器回路715のいずれかと接地との間で選択的に並列接続されていることを示している。特に、個々のバッテリーパック105は、各スイッチング素子705により充電回路710及び/又は変換器回路715に電気的に接続されている。コントローラ600は、個々のバッテリーパック105に接続された各スイッチング素子705を制御することにより、個々のバッテリーパック105を充電回路710及び/又は変換器回路715と電気的に接続/切断すべく構成されている。バッテリーパック105A~105Nは電気的に並列接続された状態で示しているが、直列、並列、及び/又はこれらを組み合わせて電気的に接続されていてよい。
【0034】
バッテリーパック105A~105Nのうち1個以上を結合した電力出力が、変換器回路715により1個以上の周辺機器に電力供給すべく電力出力パネル220に供給される。変換器回路715は、電力出力パネル220の交流コンセントに接続された周辺機器に電力供給すべくバッテリーパック105A~105Nのうち1個以上により供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータを含んでいてよい。例えば、バッテリーパック105A~105Nが再充電可能バッテリーパック305として実装されている場合、インバータはバッテリーパック電圧を120Vの交流電圧(例えば、壁面コンセントから供給される従来の交流電力)に変換する。逆変換された120Vの交流電圧が、電力出力パネル220の交流電力コンセント221に接続された1個以上の周辺機器に供給される。変換器回路715はまた、バッテリーパック105A~105Nのうち1個以上により電力出力パネル220に電気的に接続された1個以上の周辺機器に供給される直流電圧を降圧及び/又は昇圧する直流-直流変換器を含んでいてよい。
【0035】
図7に更に示すように、バッテリーパック105A~105Nは充電回路710により電力入力パネル215に電気的に接続されている。充電回路710は、外部電源から供給される交流電力を、バッテリーパック105A~105Nを充電するための直流電力に変換する整流器を含んでいてよい。例えば、バッテリーパック105が各々の名目電圧が18Vである再充電可能バッテリーパック305として実装されている場合、整流器は従来の壁面コンセントから供給される120Vの交流電圧を18Vの直流電圧に変換する。18Vの直流電圧はバッテリーパック105A~105Nに充電のため供給される。充電回路710は更に、外部の直流電源から1個以上のバッテリーパック105A~105Nに供給される直流電圧を降圧及び/又は昇圧する直流-直流変換器を含んでいてよい。
【0036】
マルチベイ電源は放電モード及び充電モードで動作すべく構成されている。マルチベイバッテリーパックシステム100及びマルチベイバッテリーシステム400が共に上述の動作モードで動作すべく構成されているが、説明目的のため動作モードをマルチベイバッテリーパックシステム100に含まれる要素に関して記述することを理解されたい。マルチベイバッテリーパックシステム100の動作中、コントローラ600は、マルチベイバッテリーパックシステム100に接続されたバッテリーパック105A~105Nの各々の電圧値、又は充電状態(SOC)を読み取る。バッテリーパック105A~105Nの検知された電圧値は、例えば、コントローラ600の処理ユニット620に含まれる複数のレジスタ650に保存される。いくつかの実施形態において、バッテリーパック105A~105Nの電圧値はメモリ625のRAMに保存される。バッテリーパック105A~105Nの電圧値は、連続的に、又は周期的に更新されてよい。例えば、コントローラ600は、1Hz等の選択可能又は設定可能なサンプリングレートでバッテリーパック105Aの更新された電圧値を読み取るべく構成されている。
【0037】
放電動作モードで動作している場合、コントローラ600は、1個以上のバッテリーパック105A~105Nから電力出力パネル220に接続された1個以上の周辺機器に選択的に電力供給すべく設定される。例えば、放電動作モードで動作中、バッテリーパック105A~105Nのうち2個以上が直列又は並列に放電されて電力出力パネル220に電気的に接続された電動工具(例えば、丸鋸)に電力供給することができる。バッテリーパック105A~105Nのうち2個以上を直列又は並列に放電させることにより、長時間にわたり大量の電力を電動工具に供給することが可能になる。いくつかの実施形態において、周辺機器は電力出力パネルに電気的に接続されていない電動工具である。このような実施形態において、電動工具は2個以上のバッテリーパック105を直接収容すべく構成されている。電動工具は、後述する均衡がとれた放電処理を用いて2個以上のバッテリーパック105を並列に放電させるべく構成された電子プロセッサを有するコントローラを含んでいる。
【0038】
放電モードで動作中、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nのどれが最大充電状態にあるかを判定し、最大充電状態にあるバッテリーパック105から設定可能な時間にわたり1個以上の周辺機器に電力供給する。例えば、バッテリーパック105A~105Cが各々18V、17.8V~17.5Vの電圧を有する再充電可能バッテリーパック305である場合、バッテリーパック105Aが最大充電状態にある。これにより、コントローラ600は、スイッチング素子705B及び705CをOFFに維持したままスイッチング素子705AをONにして、バッテリーパック105Aから1個以上の周辺機器への電力供給を可能にする。いくつかの実施形態において、設定可能な時間は0.5秒等、ユーザー設定可能な時間である。いくつかの実施形態において、設定可能な時間は、バッテリーパック105A~105Nの充電状態の関数である。
【0039】
最大充電状態にあるバッテリーパック105が設定可能な時間にわたり放電された後で、コントローラ600はバッテリーパック105A~105Nの各々の充電値の更新された状態を読み取る。充電値の更新された状態に基づいて、コントローラ600はバッテリーパック105A~105Nのうち、いずれかの充電状態が最大充電状態の受容可能な閾値又は公差の範囲内にあるかを判定する。バッテリーパック105A~105Nのうち、いずれかの充電状態が最大充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定する場合、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nの電圧値と最大充電状態にあるバッテリーパック105の電圧レベルの差を計算すべく設定される。いくつかの実施形態において、バッテリーパック105A~105Nのうち、いずれかの充電状態が最大充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定する場合、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nの充電率の状態と最大充電状態にあるバッテリーパック105の充電率の状態の差を計算すべく設定される。
【0040】
計算された電圧差を受容可能な公差と比較する。受容可能な公差は、特定のバッテリーパック105A~105Nの充電状態が、最大充電状態にあるバッテリーパック105とは異なる仕方で動作することなく最大充電状態と異なり得る量である。受容可能な公差は、コントローラ600のメモリ625に保存できる設定可能な値である。いくつかの実施形態において、受容可能な公差は0.5ボルト等のスカラー電圧値である。他の複数の実施形態において、受容可能な公差は設定可能な百分率値である。例えば、受容可能な公差は、バッテリーパック105A~105Nの電圧値と、最大充電状態にあるバッテリーパック105の電圧値との百分率差、例えば1%である。別の例において、受容可能な公差は、最大充電状態の設定可能な百分率値、例えば1%であってよい。このような例において、充電状態が最大充電状態の1%以内にあるバッテリーパック105A~105Nはいずれも受容可能な公差内にある。
【0041】
コントローラ600は、対応するスイッチング素子705A~705NをONにすることにより、電圧レベルが最大充電状態の受容可能な公差内にあるバッテリーパック105A~105Nを起動すべく設定される。このように、最大充電状態にあるバッテリーパック105を含む、充電状態が受容可能な公差内にあるバッテリーパック105A~105Nが放電されて、電力出力パネル220に接続された周辺機器に電力供給する。充電状態が受容可能な公差内にないバッテリーパック105A~105Nの各スイッチング素子705A~705NはOFFに維持される。従って、充電状態が受容可能な公差外にあるバッテリーパック105A~105Nは、1個以上の周辺機器に電力供給するために放電されない。
【0042】
最大充電状態にあるバッテリーパック105及び充電状態が受容可能な公差内にあるバッテリーパック105A~105Nは第2の設定可能な時間にわたり放電される。第2の設定可能な時間は、最大充電状態にあるバッテリーパック105が自身により放電された時間と同じであっても異なっていてもよい。第2の設定可能な時間が経過した後で、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nの各々充電値の更新された状態を読み取る。上述の均衡がとれた放電処理は、マルチベイバッテリーパックシステム100が放電動作モードで動作する限り繰り返されてよい。追加的又は代替的に、上述の均衡がとれた放電処理は、出力パネル220に接続された1個以上の周辺機器にバッテリーパック105A~105Nが電力供給できなくなるまで繰り返されてよい。
【0043】
バッテリーパック105A~105Cの電圧レベルが各々18V、17.8V~17.5Vである上述の例を参照するに、コントローラ600はバッテリーパック105Aが最大充電状態にあると判定した。これにより、コントローラ600は、設定可能な時間にわたりバッテリーパック105Aから1個以上の周辺機器に電力供給すべく、スイッチング素子705B、705CをOFFに維持したままスイッチング素子705AをONにする。バッテリーパック105Aが設定可能時間(例えば、0.5秒)にわたり放電された後で、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Cの更新された電圧値を読み取り、バッテリーパック105B又は105Cの充電状態がバッテリーパック105Aの充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定する。
【0044】
例示目的のため、受容可能な公差は0.3Vに等しいと仮定し、バッテリーパック105Aの電圧は設定可能な時間にわたり放電された後で17.9Vに低下する。従って、コントローラ600は、バッテリーパック105Bの電圧17.8Vが受容可能な公差内にあると判定する。コントローラ600は更に、バッテリーパック105Cの電圧17.5Vが受容可能な公差内にないと判定する。従って、コントローラ600は、バッテリーパック105A、105Bが1個以上の周辺機器に電力供給すべく第2の設定可能時間にわたり放電されるようにスイッチング素子705BをONにする。例示目的のため、第2の設定可能な時間のために放電されるときに、バッテリーパック105A、105Bの電圧が各々0.3Vだけ低下する仮定すれば、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Cの更新された電圧値が各々17.6V、17.5V、及び17.5Vであると判定する。従って、均衡がとれた放電処理の次のサイクルが実行される間、コントローラ600はスイッチング素子705CをONにする。これにより、バッテリーパック105A~105Cは1個以上の周辺機器に電力供給すべく第2の設定可能時間にわたり同時に放電される。
【0045】
上の例は3個のバッテリーパック105A~105Cを含むマルチベイバッテリーパックシステム100に関して示されているが、コントローラ600は任意の個数のバッテリーパック105A~105Nを有するマルチベイバッテリーパックシステム100に対して均衡がとれた放電処理を実行することができる。また、上の説明では受容可能な公差が0.3Vのスカラー電圧値であるとしているが、受容可能な公差は任意の所望のスカラー電圧値であってよい。更に、受容可能な公差は最大充電状態又は電圧レベルの百分率であってよい。例えば、受容可能な公差は、最大充電状態又は電圧値の3%に等しくてよい。従って、最大充電状態にあるバッテリーパック105の電圧レベルが18Vである場合、電圧が17.46V以上のバッテリーが受容可能な公差内にある。
【0046】
図8は、マルチベイ電源の放電モードでの動作中に複数のバッテリー又はバッテリーパックに均衡がとれた放電を行わせる処理800を示すフロー図である。説明目的のため、バッテリー及びバッテリーパックを全般的にエネルギー貯蔵装置として記述する。処理800に開示するステップの順序が、図8に示す順序とは異なり得ること理解されたい。処理800は、コントローラ600が、複数のエネルギー貯蔵装置のうち最大充電状態にあるものを判定(ステップ805)することから始まる。コントローラ600は次いで、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動すべく設定される。図7に関して上で述べたように、コントローラ600は、各スイッチング素子705をONにすることにより、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置から1個以上の周辺機器への電力流を起動(ステップ810)すべく設定される。コントローラ600は、1個以上の周辺機器に電力供給されている間、設定可能な時間にわたり待機(ステップ815)する。設定可能な時間が経過した後で、コントローラ600は、いずれかのエネルギー貯蔵装置の充電状態が、最大充電状態にあるエネルギー貯蔵装置の充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定(ステップ820)する。ステップ820でコントローラ600が、他のいずれのエネルギー貯蔵装置の充電状態も最大充電状態の受容可能な公差内にないと判定したならば、処理はステップ815に戻り、コントローラ600は、起動されたエネルギー貯蔵装置から1個以上の周辺機器に電力供給すべく設定される。ステップ820でコントローラ600が1個以上のエネルギー貯蔵装置の充電状態が最大充電状態の受容可能な公差内にあると判定したならば、コントローラ600は、充電状態が受容可能な公差内にあるエネルギー貯蔵装置を起動すべく設定される。図7に関して上で述べたように、コントローラ600は、各スイッチング素子705A~705NをONにすることにより、充電状態が受容可能な公差内にあるエネルギー貯蔵装置からの電力流を起動(ステップ825)すべく設定される。処理はステップ815に戻り、コントローラ600は、起動されたエネルギー貯蔵装置から1個以上の周辺機器に電力供給すべく設定される。均衡がとれた放電処理800は、マルチベイ電源が放電動作モードで動作する限り繰り返される。追加的又は代替的に、均衡がとれた放電処理800は、エネルギー貯蔵装置が出力パネル220に接続された1個以上の周辺機器に電力供給できなくなるまで繰り返されてよい。
【0047】
充電動作モードで動作する場合、コントローラ600は、例えば電力入力パネル215に接続された1個以上の外部電源から、マルチベイバッテリーパックシステム100に接続された複数のバッテリーパック105A~105Nに、選択的に電力供給すべく設定される。例えば、マルチベイバッテリーパックシステム100を、単一の充電回路710によりバッテリーパック105A~105Nを充電するための充電器バンクとして用いられてよい。
【0048】
充電動作モードで動作する間、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nのうち最低充電状態にあるものを判定して、1個以上の外部電源から最低充電状態にあるバッテリーパック105に設定可能な時間にわたり電力供給する。例えば、バッテリーパック105A~105Cが各々18V、17.8V~17.5Vの電圧を有する再充電可能バッテリーパック305である場合、バッテリーパック105Cは最低充電状態にある。従って、コントローラ600は、1個以上の外部電源から最低充電状態にあるバッテリーパック105Cに電力供給できるようにスイッチング素子705A、705BをOFFに維持したまま705Cスイッチング素子をONにする。いくつかの実施形態において、設定可能な時間は0.5秒等、ユーザー設定可能な時間である。いくつかの実施形態において、設定可能な時間は、バッテリーパック105A~105Nの充電状態の関数である。
【0049】
最低充電状態にあるバッテリーパック105が設定可能な時間にわたり充電された後で、コントローラ600は各バッテリーパック105A~105Nの充電値の更新された状態を読み取る。充電値の更新された状態に基づいて、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nのいずれかの充電状態が最低充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定する。バッテリーパック105A~105Nのいずれかの充電状態が最低充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定する場合、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nの電圧値と最低充電状態にあるバッテリーパック105の電圧レベルの差を計算すべく設定される。いくつかの実施形態において、バッテリーパック105A~105Nのいずれかの充電状態が、最低充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定する場合、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nの電圧値と最低充電状態にあるバッテリーパック105の電圧レベルの差を計算すべく設定される。
【0050】
計算された電圧差を受容可能な公差と比較する。受容可能な公差は、特定のバッテリーパック105A~105Nの充電状態が、最低充電状態にあるバッテリーパック105とは異なる仕方で動作することなく最低充電状態と異なり得る量である。受容可能な公差は、コントローラ600のメモリ625に保存できる設定可能な値である。いくつかの実施形態において、受容可能な公差は0.5ボルト等のスカラー電圧値である。他の複数の実施形態において、受容可能な公差は設定可能な百分率値である。例えば、受容可能な公差は、バッテリーパック105A~105Nの電圧値と最低充電状態にあるバッテリーパック105の電圧値の百分率差、例えば1%である。別の例において、受容可能な公差は、最低充電状態の設定可能な百分率値、例えば1%であってよい。このような実施形態において、充電状態が最低充電状態の1%以内にあるバッテリーパック105A~105Nはいずれも受容可能な公差内にある。
【0051】
コントローラ600は、対応するスイッチング素子705A~705NをONにすることにより、電圧レベルが最低充電状態の受容可能な公差内にあるバッテリーパック105A~105Nを起動すべく設定される。従って、最低充電状態にあるバッテリーパック105を含む、充電状態が受容可能な公差内にあるバッテリーパック105A~105Nが、電力入力パネル215に接続された1個以上の外部電源により充電される。充電状態が受容可能な公差内にないバッテリーパック105A~105Nの各スイッチング素子705A~705NはOFFに維持される。従って、充電状態が受容可能な公差外にあるバッテリーパック105A~105Nには1個以上の外部電源から充電用に電力供給されない。
【0052】
最低充電状態にあるバッテリーパック105、及び充電状態が受容可能な公差内にあるバッテリーパック105A~105Nは第2の設定可能な時間にわたり同時に充電される。第2の設定可能な時間は、最低充電状態にあるバッテリーパック105が自身により充電された時間と同じであっても異なっていてもよい。第2の設定可能な時間が経過した後で、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Nの各々充電値の更新された状態を読み取る。上述の均衡がとれた充電処理は、マルチベイバッテリーパックシステム100が充電動作モードで動作する限り繰り返されてよい。追加的又は代替的に、上述の均衡がとれた充電処理は、バッテリーパック105A~105Nが最大容量に充電されるまで繰り返されてよい。
【0053】
バッテリーパック105A~105Cの電圧レベルが各々18V、17.8V、及び17.5Vである上述の例を参照するに、コントローラ600はバッテリーパック105Cが最低充電状態にあると判定した。これにより、コントローラ600は、1個以上の外部電源から設定可能な時間にわたりバッテリーパック105Cに電力供給すべく、スイッチング素子705A、705BをOFFに維持したままスイッチング素子705CをONにした。バッテリーパック105Cに設定可能時間(例えば、0.5秒)にわたり充電した後で、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Cの更新された電圧値を読み取り、バッテリーパック105A又は105Bの充電状態がバッテリーパック105Cの充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定する。
【0054】
説明目的のため、受容可能な公差は0.3Vに等しいと仮定し、バッテリーパック105Cの電圧は設定可能な時間にわたり充電された後で17.6Vに上昇する。従って、コントローラ600は、バッテリーパック105Bの電圧17.8Vが受容可能な公差内にあると判定する。コントローラ600は更に、バッテリーパック105Aの電圧18Vが受容可能な公差内にないと判定する。コントローラ600は、バッテリーパック105B、105Cが第2の設定可能な時間(例えば1分)にわたり1個以上の外部電源により充電されるようにスイッチング素子705BをONにする。例示的な目的のため、バッテリーパック105B、105Cが設定可能な時間にわたり充電されている際に各々の電圧が0.3V上昇すると仮定すれば、コントローラ600は、バッテリーパック105A~105Cの更新された電圧値が各々18V、18.1V、及び17.9Vであると判定する。従って、均衡がとれた充電処理の次のサイクルが実行される間、コントローラ600はスイッチング素子705AをONにする。これにより、バッテリーパック105A~105Cは1個以上の外部電源により供給される電力から同時に充電される。
【0055】
上の例は3個のバッテリーパック105A~105Cを含むマルチベイバッテリーパックシステム100に関して示されているが、コントローラ600は任意の個数のバッテリーパック105A~105Nを有するマルチベイバッテリーパックシステム100に対して均衡がとれた放電処理を実行することができる。また、上の説明では受容可能な公差が0.3Vのスカラー電圧値であるとしているが、受容可能な公差は任意の所望のスカラー電圧値であってよい。更に、当業者には、受容可能な公差が最大充電状態又は電圧レベルの百分率であってよいことが理解されよう。例えば、受容可能な公差は、最低充電状態又は電圧値の1%に等しくてよい。従って、最低充電状態にあるバッテリーパック105の電圧レベルが17.5Vである場合、電圧が17.65V以下のバッテリーパックは受容可能な公差内にある。
【0056】
図9は、マルチベイ電源の充電モードでの動作中に複数のバッテリー又はバッテリーパックに均衡がとれた充電を行う処理900を示すフロー図である。説明目的のため、バッテリー及びバッテリーパックを全般的にエネルギー貯蔵装置として記述する。処理900に開示するステップの順序が、図9に示す順序とは異なり得ることを理解されたい。処理900は、コントローラ600が、複数のエネルギー貯蔵装置のうち最低充電状態にあるものを判定(ステップ905)することから始まる。コントローラ600は次いで、最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置を起動すべく設定される。図7に関して上で述べたように、コントローラ600は、各スイッチング素子705をONにすることにより、電力入力パネルに接続された外部電源から最低充電状態にあるバッテリー105への電力流を起動(ステップ910)すべく設定される。コントローラ600は、1個以上の起動されたエネルギー貯蔵装置が充電される間、設定可能な時間にわたり待機(ステップ915)する。設定可能な時間が経過した後で、コントローラ600は、いずれかのエネルギー貯蔵装置の充電状態が、最低充電状態にあるエネルギー貯蔵装置の充電状態の受容可能な公差内にあるかを判定(ステップ920)する。ステップ920でコントローラ600が、どのエネルギー貯蔵装置の充電状態も最低充電状態の受容可能な公差内にないと判定したならば、処理はステップ915に戻り、コントローラ600は、起動されたエネルギー貯蔵装置に外部電源から電力供給すべく設定される。ステップ920でコントローラ600が、1個以上のエネルギー貯蔵装置の充電状態が最低充電状態の受容可能な公差内にあると判定したならば、コントローラ600は、充電状態が受容可能な範囲内にあるエネルギー貯蔵装置を起動すべく設定される。図7に関して上で述べたように、コントローラ600は、各スイッチング素子705A~705NをONにすることにより、充電状態が受容可能な公差内にあるエネルギー貯蔵装置への外部電源からの電力流を起動(ステップ925)すべく設定される。処理はステップ915に戻り、コントローラ600は、起動されたエネルギー貯蔵装置に外部電源から電力供給すべく設定される。均衡がとれた充電処理900は、マルチベイバッテリーパックシステム100が充電動作モードで動作する限り繰り返される。追加的又は代替的に、均衡がとれた充電処理900は、エネルギー貯蔵装置が最大容量に充電されるまで繰り返されてよい。
【0057】
図10は、上述のマルチベイ電源の変形であるマルチベイ電源1000の全般的模式図である。マルチベイ電源1000がマルチベイバッテリーパックシステム100に含まれる要素及び/又は(単一セル再充電可能バッテリー505を含む)マルチベイバッテリーシステム400に含まれる要素により実装されてよいが、マルチベイ電源1000をマルチベイバッテリーパックシステム100に含まれる要素に関して記述することを理解されたい。以下により詳細に述べるように、マルチベイ電源1000は一般に上述のソフトウェア制御されたマルチベイ電源システムのハードウェアに基づく実装である。
【0058】
図10に示すように、マルチベイ電源1000は複数のバッテリーパック105A~105Nを含んでいる。マルチベイ電源1000を動作させるのに1個のバッテリーパック105だけでよいが、マルチベイ電源1000は任意の所望の個数Nのバッテリーパック105A~105Nを含んでいてよい。バッテリーパック105A~105Nは、充電回路710及び/又は変換器回路715のいずれかと接地との間で選択的に並列接続された状態で示している。特に、個々のバッテリーパック105は、各々の理想ダイオード1005により充電回路710及び/又は変換器回路715に電気的に接続されている。
【0059】
マルチベイ電源1000はまた、理想ダイオードコントローラ1010を含んでいる。理想ダイオードコントローラ1010は、例えば、上述のソフトウェアに基づく均衡がとれた充電及び放電方法を実装すべく構成された論理回路(例えば、潜在的にANDゲート、ORゲート、NANDゲート、演算増幅器等を含んでいる)を含むハードウェアに基づくコントローラである。例えば、理想ダイオードコントローラ1010の論理回路は、バッテリーパック105A~105Nの充電状態間の相対的な差を判定すべく構成された電圧比較器を含んでいる。図10に示すように、バッテリーパック105A~105Nの直流電圧レベルは理想ダイオードコントローラ1010に直接供給されてもよい。バッテリーパック105A~105Nの充電状態間の判定された差に応じて、理想ダイオードコントローラ1010は各々の理想ダイオード1005A~1005NにON及び/又はOFFゲート信号を印加すべく構成されている。
【0060】
図11に示すように、理想ダイオード1005は、第1のボディダイオード1020を有する第1のスイッチング素子1015及び第2のボディダイオード1030を有する第2のスイッチング素子1025を含んでいる。理想ダイオード1005に直列に接続されたバッテリーパック105が充電されている場合、理想ダイオード1005を通って充電回路710からバッテリーパック105に電流が流れる。例えば、電流は第2のスイッチング素子1025のドレインからソースまで第1のボディダイオード1020を通って、充電回路710からバッテリーパック105への経路を流れる。理想ダイオード1005に直列に接続されたバッテリーパック105が放電されている場合、理想ダイオード1005を通ってバッテリーパック105から出力変換器回路715に電流が流れる。特に、電流は第1のスイッチング素子1015のドレインからソースまで第2のボディダイオード1030を通って、バッテリーパック105から充電回路への経路を流れる。理想ダイオード1005に含まれるスイッチング素子を、ソース同士の直列接続で接続された2個のNチャネルMOSFETとして示しているが、理想ダイオードが、上述のように、双方向の電流の流れを可能にするスイッチング素子の任意の組み合わせも含んでいてよいことを理解されたい。例えば、理想ダイオードは、直列に配置された2PチャネルMOSFET、直列に配置された2個のIGBT等を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、双方向の電流の流れが要求又は所望されていなければ、理想ダイオードを標準ダイオード、パワーダイオード、ショットキーダイオード等で代替してよい。
【0061】
上述のマルチベイバッテリーパックシステム100と同様に、マルチベイ電源1000は、放電モード及び充電モードで動作すべく構成されている。放電動作モードで動作している場合、理想ダイオードコントローラ1010内の論理回路は、1個以上のバッテリーパック105A~105Nから電力出力パネル220に接続された1個以上の周辺機器に電力供給されるように理想ダイオード1005A~1005Nを選択的にONにすべく構成されている。特に、ハードウェアに基づく論理回路を用いて、マルチベイ電源1000の理想ダイオードコントローラ1010は、コントローラ600により実行される上述の均衡がとれた放電方法を実行すべく動作可能である。充電動作モードで動作している場合、理想ダイオードコントローラ1010内の論理回路は、電力入力パネル215に接続された1個以上の外部電源からマルチベイ電源1000に接続された複数のバッテリーパック105A~105Nに電力供給されるように、選択的に理想ダイオード1005A~1005NをONにすべく設定される。特に、ハードウェアに基づく論理回路を用いて、マルチベイ電源1000の理想ダイオードコントローラ1010は、コントローラ600により実行される上述の均衡がとれた充電方法を実行すべく動作可能である。いくつかの実施形態において、理想ダイオードコントローラ1010は上述のコントローラ600で代替することができる。このような実施形態において、コントローラ600は、バランスがとれた充電及び放電動作中に理想ダイオード1005A~1005Nを制御すべく構成されている。
【0062】
このように、本明細書に記述する複数の実施形態は、特に、均衡がとれたバッテリー放電及び充電を含むマルチベイ電源を提供する。様々な特徴及び利点は、後述の特許請求の範囲に示されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11