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特許7593715電気コンタクト要素を製造するための、レーザ溶接用窓を備えた半製品、電気コンタクト要素を製造するための方法、および電気コンタクト要素
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  • 特許-電気コンタクト要素を製造するための、レーザ溶接用窓を備えた半製品、電気コンタクト要素を製造するための方法、および電気コンタクト要素 図1
  • 特許-電気コンタクト要素を製造するための、レーザ溶接用窓を備えた半製品、電気コンタクト要素を製造するための方法、および電気コンタクト要素 図2
  • 特許-電気コンタクト要素を製造するための、レーザ溶接用窓を備えた半製品、電気コンタクト要素を製造するための方法、および電気コンタクト要素 図3
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  • 特許-電気コンタクト要素を製造するための、レーザ溶接用窓を備えた半製品、電気コンタクト要素を製造するための方法、および電気コンタクト要素 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電気コンタクト要素を製造するための、レーザ溶接用窓を備えた半製品、電気コンタクト要素を製造するための方法、および電気コンタクト要素
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/16 20060101AFI20241126BHJP
   B23K 26/22 20060101ALI20241126BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20241126BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01R43/16
B23K26/22
B23K26/21 N
H01R43/02 B
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022137383
(22)【出願日】2022-08-31
(65)【公開番号】P2023037603
(43)【公開日】2023-03-15
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】10 2021 122 892.1
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリ ディートリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ゼンケ ザックス
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-149282(JP,A)
【文献】特開2013-062230(JP,A)
【文献】特開平06-020736(JP,A)
【文献】特開2015-111569(JP,A)
【文献】特開2008-173657(JP,A)
【文献】特開昭63-140786(JP,A)
【文献】特開平01-162588(JP,A)
【文献】特開2001-146187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/00-13/35
H01R 43/00-43/28
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コンタクト要素(1)を製造するための半製品(15)であって、
前記半製品(15)は、第1の金属ワークピース(17)と第2の金属ワークピース(19)とを備え、
前記第1の金属ワークピース(17)は、前面(25)と、前記前面(25)とは反対側に配置された後面(27)とを有し、前記後面(27)は前記前面(25)よりも前記第2の金属ワークピース(19)の近くに配置され、
前記半製品(15)は、少なくとも前記第1の金属ワークピース(17)を貫通する少なくとも1つの窓(23)を備え、前記窓(23)を通して、前記第1の金属ワークピース(17)から前記第2の金属ワークピース(19)の表面(29)にアクセスでき、
前記窓(23)は、前記第1の金属ワークピース(17)の前記前面(25)から始まって、前記第2の金属ワークピース(19)に向かって大きくなるベース領域(33)を有しており
前記第2の金属ワークピース(19)は、前記表面(29)に凹部を有し、
前記窓(23)は、前記第2の金属ワークピース(19)の前記表面(29)の前記凹部内に延びており、
前記半製品(15)は、前記第2の金属ワークピース(19)の前記表面(29)の前記凹部と前記第1の金属ワークピース(17)の前記後面(27)との間に間隙(43)を有し、
前記間隙(43)は、レーザ光(47)を捕捉するための少なくとも1つのトラップ(45)である、半製品(15)。
【請求項2】
前記レーザ光(47)を捕捉するための前記少なくとも1つの光トラップ(45)が、前記第1の金属ワークピース(17)の前記前面(25)で前記窓(23)を囲む境界(41)と、前記窓(23)を通してアクセスできる前記第2の金属ワークピース(19)の前記表面(29)との間に延びている、
請求項1に記載の半製品(15)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光トラップ(45)は、前記第1の金属ワークピース(17)および前記第2の金属ワークピース(19)間に形成されている前記間隙(43)である
請求項2に記載の半製品(15)。
【請求項4】
前記金属ワークピース(17、19)のうちの一方が1枚のシートメタル(21)であり、他方の前記金属ワークピース(17、19)が前記電気コンタクト要素(1)のコンタクト部(5)である、
請求項1に記載の半製品(15)。
【請求項5】
少なくとも、前記窓(23)を通してアクセスできる前記第2の金属ワークピース(19)の前記表面(29)に、少なくとも1つの凸状湾曲(59)が設けられている、
請求項1に記載の半製品(15)。
【請求項6】
少なくとも、前記窓(23)を通してアクセスできる前記第2の金属ワークピース(19)の前記表面(29)に、前記表面(29)の粗さを増加させるように構成される微細構造(49)が設けられている、
請求項に記載の半製品(15)。
【請求項7】
少なくとも、前記窓(23)を通してアクセスできる前記第2の金属ワークピース(19)の前記表面(29)に、前記表面(29)の粗さを増加させるように構成される微細構造(49)が設けられている、
請求項5に記載の半製品(15)。
【請求項8】
前記レーザ光(47)を捕捉するための前記少なくとも1つの光トラップ(45)を画定する前記第1の金属ワークピース(17)の前記後面(27)に、前記後面(27)の粗さを増加させるように構成される微細構造(49)が設けられている、
請求項5に記載の半製品(15)。
【請求項9】
前記レーザ光(47)を捕捉するための前記少なくとも1つの光トラップ(45)を画定する前記第1の金属ワークピース(17)の前記後面(27)に、前記後面(27)の粗さを増加させるように構成される微細構造(49)が設けられている、
請求項6に記載の半製品(15)。
【請求項10】
前記第1の金属ワークピース(17)の前記前面(25)における前記窓(23)の内寸(35)は、前記前面(25)から離間した位置における前記窓(23)の内寸(37)よりも小さく、
前記第1の金属ワークピース(17)は、前記前面(25)を有する第1の側と、前記後面(27)を有する第2の側を有し、
前記第2の金属ワークピース(19)は、前記表面(29)を有する第3の側を有し、
前記第1の金属ワークピース(17)の前記第2の側は、前記第2の金属ワークピース(19)の前記第3の側に当接している、
請求項1に記載の半製品(15)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の半製品(15)を使用した
電気コンタクト要素(1)。
【請求項12】
前記窓(23)の縁部(57)に配置されており、2つの前記金属ワークピース(17、19)の材料からなる材料継手を含む少なくとも1つの溶接スポット(55)を含み、
2つの前記金属ワークピース(17、19)が、前記少なくとも1つの溶接スポット(55)において互いに接合されている、
請求項11に記載の電気コンタクト要素(1)。
【請求項13】
1枚のシートメタル(21)を使用したコンタクト本体(3)と、少なくとも1つのコンタクト部(5)とを備え、
前記コンタクト本体(3)の材料および前記コンタクト部(5)の材料からなる材料継手を含む少なくとも1つの溶接スポット(55)をさらに含み、
前記コンタクト部(5)は、少なくとも部分的に前記コンタクト本体(3)内に配置され、前記少なくとも1つの溶接スポット(55)において、前記コンタクト本体(3)に接合されている、
請求項11に記載の電気コンタクト要素(1)。
【請求項14】
レーザ溶接によって第1の金属ワークピース(17)を第2の金属ワークピース(19)に接合するための方法であって、
少なくとも前記第1の金属ワークピース(17)は、前面(25)と、前記前面(25)とは反対側に配置された後面(27)とを有し、
前記後面(27)は、前記前面(25)よりも前記第2の金属ワークピース(19)の近くに配置され、
少なくとも1つのレーザビーム(47)が、少なくとも前記第1の金属ワークピース(17)を貫通する窓(23)を通して前記第2の金属ワークピース(19)に向けられ、前記第2の金属ワークピース(19)から前記第1の金属ワークピース(17)の前記後面(27)に反射され、
前記金属ワークピース(17、19)のうちの一方が1枚のシートメタル(21)であり、他方の前記金属ワークピース(17、19)が電気コンタクト要素(1)のために予め形成されたコンタクト部(5)であり、
前記予め形成されたコンタクト部(5)は、レーザ溶接によって、少なくとも1つの溶接スポット(55)で前記1枚のシートメタル(21)に接合され、前記1枚のシートメタル(21)は、前記予め形成されたコンタクト部(5)の周りで成形される、
方法。
【請求項15】
前記第1の金属ワークピース(17)の前記前面(25)の前記窓(23)は、ベース領域(33)と、前記ベース領域(33)に垂直な面法線(51)とを有し、前記レーザビーム(47)と前記面法線(51)との間に45°未満の角度(53)が形成される、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コンタクト要素を製造するための半製品、およびレーザ溶接によって第1の金属ワークピースを第2の金属ワークピースに接合するための方法に関する。本発明はさらに、電気コンタクト要素に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コンタクト要素が知られている。電気コンタクト要素を使用して、コネクタに導電接続を確立することができる。電気コンタクト要素は、例えば、コンタクトピンまたはコンタクトピン用レセプタクルを備えることができる。電気コンタクト要素は、いくつかの部品から構成されることが多い。これにより、個々の部品を、求められる特性、例えば、導電性、耐食性、耐摩耗性、または弾性に応じて製造することができる。電気コンタクト要素の製造中、2つの部品はワークピースと呼ばれる。一般に、2つのワークピースは、ある程度まで別々に製造され、製造プロセスのある時点で嵌合または接合される。嵌合もしくは接合された、または接合されるワークピースの構成は、個々のワークピースの完成度に関わらず、半製品と呼ばれる。
その後、電気コンタクト要素が半製品から製造される。電気コンタクト要素の使用分野に応じて、コンタクト要素の2つの部品を互いに導電的および/または機械的に接続する必要があり得る。特に大量生産において、この接続は複雑であるため高価になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、いくつかの部品から組み立てられる電気コンタクト要素の製造を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、第1の金属ワークピースと第2の金属ワークピースとを備える半製品であって、第1のワークピースは、前面と、前面とは反対側に配置された後面とを有し、後面は第2のワークピースの近くに配置され、半製品は、少なくとも第1のワークピースを貫通する少なくとも1つの窓を有し、この窓を通して、第1のワークピースから、特にレーザビームによって溶接される第2のワークピースの表面にアクセスでき、窓は、第1のワークピースの前面から始まって、第2のワークピースに向かって大きくなるベース領域を有する、半製品によって果たされる。目的は、本発明による電気コンタクト要素について、電気コンタクト要素が本発明による半製品から製造され、かつ/または、本発明による方法を使用して製造されるという点で果たされる。
上記の目的は、本発明による方法について、少なくとも第1のワークピースが、前面と、前面とは反対側に配置された後面とを有し、後面が、前面よりも第2のワークピースの近くに配置され、少なくとも1つのレーザビームが、少なくとも第1のワークピースを貫通する窓を通して第2のワークピースに向けられ、第2のワークピースから第1のワークピースの後面に反射されるという点で果たされる。
【0005】
本発明による解決策により、互いに接合すべき2つの金属ワークピースを、レーザ溶接によって迅速かつ容易に接合することができる。レーザビームを、少なくとも第1のワークピースを貫通する窓を通して第2のワークピースの表面に向けることができる。レーザビームは、この表面で反射され、第1のワークピースの後面に当たる。これは、半製品について、窓のベース領域が、第1のワークピースの前面よりも第2のワークピースに向かって大きくなるという点で実現される。したがって、窓を通してアクセスできる第2のワークピースの表面は、窓のベース領域よりも大きくなり得る。窓内に放射され、第2のワークピースの表面で反射されたレーザビームは、再び窓外に反射されるのではなく、第1のワークピースの後面で反射される。
この領域で、両方のワークピースは、レーザビームによって加熱されるため、窓の一縁部で融合し、溶接スポット(weld spot)を形成することができる。本発明による解決策は、一方または両方のワークピースの幾何形状により、2つのワークピース間に位置する間隙内への側方照射(lateral irradiation)が不可能であるときに、特に有用である。2つのワークピースを互いに溶接接続することにより、一方または両方のワークピースの事前被覆を不要にすることができる。少なくとも2つのワークピースが接触している領域において、普通なら2つのワークピース間の恒久的に良好な電気的接続を保証し、かつ腐食を防ぐために必要になる被覆を、不要にすることができる。その結果、製造を簡略化し、コストを削減することができる。
【0006】
「窓」という用語は、少なくとも第1のワークピースを貫通する通路開口部を指す。通路開口部または窓はそれぞれ、少なくとも部分的に第2のワークピースの材料内にも延びることができる。窓の「ベース領域」という用語は、「窓領域」という用語と同義に使用することができる。窓のベース領域の拡大は、急(sudden)であっても連続的(continuous)であってもよい。第2のワークピースに向かう窓の拡大は、窓の内寸が、第1のワークピースの前面よりも第1のワークピースの前面から離間した位置で大きいという点でも説明することができる。前面から離間した位置は、第1のワークピースの前面よりも第2のワークピースの近くに、または第2のワークピースに配置される。
本発明による方法を実施するときに、互いに接合される2つのワークピースは、本発明による半製品の2つのワークピースであることが好ましい。本発明による半製品の場合、かつ/または、本発明による方法の実施中に、第1のワークピースの後面は、少なくとも窓の近くで第2のワークピースに当接していることが好ましい。以下の記述において、レーザビームという用語とレーザ光という用語とは同義に使用される。窓を通してアクセスできる第2のワークピースの表面を、少なくとも部分的に、レーザビームの反射面とみなすこともできる。
【0007】
本発明による解決策は、それ自体有利であってランダムに組み合わせることができる様々な構成によって、さらに改良することができる。これらの構成およびそれに関連する利点について以下で説明する。
【0008】
半製品の第1の有利な構成によれば、レーザ光を捕捉するための少なくとも1つの光トラップが、第1のワークピースの前面で窓を囲む境界と、窓を通してアクセスできる第2のワークピースの表面との間に延びている。この光トラップまたは光トラッピング容積(light trapping volume)は、対向して配置された2つのワークピースの面の間に配置された容積であり、レーザ溶接中にレーザビームを閉じ込めて吸収することができる。光トラップは、レーザ光を2つのワークピース間の光トラップ内で複数回反射させることができるように構成されることが好ましい。光トラップは、2つのワークピースを加熱することによって生じる溶融物を収容することもできる。光トラップは、窓を形成する通路開口部の一部または窓の一部のいずれかであるキャビティである。言い換えると、窓は、2つのワークピース間に配置された光トラップに開口している。
【0009】
少なくとも1つの光トラップは、2つのワークピース間に隙間を形成することかできる。隙間は、特に間隙または凹部の形状を有することができる。光トラップは、窓から延びる第1のワークピースおよび/または第2のワークピースの材料のアンダカットとして説明することもできる。光トラップの領域における第1のワークピースの後面の表面は、第1のワークピースの前面に平面平行(plane-parallel)であることが好ましいが、これは必須ではない。
【0010】
2つのワークピースのうちの一方が1枚のシートメタルであり、他方のワークピースが、その後のコンタクト要素の予め形成されたコンタクト部であることが好ましい。コンタクト部は、例えば、ピン、フラットコンタクト、またはばねによって形成することができる。1枚のシートメタルは、既に予め打ち抜かれ、場合により、少なくとも部分的に予め形成されていてもよい。本発明により、既に予め形成された部品を、少なくともまだ完全には成形によって所望の形状をとるようにされていない部品に接合することができる。2つのワークピースがレーザ溶接によって互いに接合されると、まだ予め形成されていない部品、またはまだ完全には予め形成されていない部品を、曲げまたは他の金属成形プロセスによって所望の形状をとるようにすることができる。
【0011】
予め形成された部品とまだ予め形成されていない部品との上記の接合の代わりに、両方のワークピースを、まだ完全には予め形成されていないシートメタルまたは他のブランクもしくは半製品から形成してもよい。さらなる代替案は、両方の部品を特に打抜きおよび曲げによって予め形成し、互いに接してかつ/または互いの内部に配置した後に、レーザ溶接によって互いに接合することである。この場合、両方のワークピースは、予め形成された部品、特にコンタクト要素の部品である。
【0012】
レーザ溶接の効率をさらに高めるために、少なくとも、窓を通してアクセスできる第2のワークピースの表面に、表面構造(surface structure)を設けることができる。
【0013】
窓を通してアクセスできる表面に、例えば凸状湾曲(convex curvature)を設けることができる。これにより、レーザビームが反射する向きが、2つのワークピース間の領域、特に光トラップ内になるようにすることができる。湾曲は、その頂点が窓に向かって突出していることが好ましい。
【0014】
凸状湾曲の代わりにまたはこれに加えて、第2のワークピースの表面に微細構造を設けることができる。微細構造は、例えば、エンボス加工、エッチング、電子ビームボンバード(electron beam bombardment:電子ビーム衝撃、電子ビーム照射)、またはエングレービング(engraving:彫り加工)によって得られる。
【0015】
光トラップを画定する第1のワークピースの表面に、同様に微細構造を設けることが特に好ましい。微細構造は、ワークピースの表面における吸収を高めることができる。
【0016】
窓は、窓を通してアクセスできる第2のワークピースの表面に略垂直に延びる、レーザ溶接用のチャネルを形成することができる。レーザ溶接を、2つのワークピースの表面に略垂直に行うことができる。言い換えると、レーザビームを、窓を通してアクセスできる第2のワークピースの表面における面法線に対して略平行に向けることができる。レーザビームは、この面法線と45°未満の角度を形成することが好ましい。
【0017】
少なくとも1つの窓は、全体として矩形の断面を有することができる。その代わりに、他の断面、例えば、多角形、円形、楕円形、三角形、スリット状、またはここに挙げない他の断面も可能である。
【0018】
窓は、レーザ溶接用のレーザビームの直径よりもわずかにのみ大きい内寸を有することができる。例えば、窓は、レーザ溶接用のレーザビームの直径の1.5倍よりも小さい、好ましくは1.3倍よりも小さい内寸を有することができる。
【0019】
金属ワークピースを、異なる金属材料から、または同じ金属材料から形成することができる。金属材料とは、純金属および様々な金属の合金を意味する。例えば、ワークピースのうちの一方を鋼から形成することができ、他方を銅または銅を含む合金から形成することができる。
【0020】
本発明は、既知のように、単なる機械的接触によって電気的に接合することが難しい金属材料から形成されたワークピースを互いに接合するのにも有利であり得る。この一例はアルミニウムであり、アルミニウムは、酸化物層の形成により表面の導電性を失うことがある。2つの金属ワークピースを互いに溶接することにより、ワークピースのうちの一方または両方がアルミニウムまたはアルミニウムを含む合金から形成されていても、この問題を防ぐことができる。
【0021】
上記の利点に加えて、少なくとも1つの窓を品質保証のために使用してもよい。溶接の前に、窓を使用して、第2のワークピースの露出した表面を検査することができ、および/または、溶接後に形成された溶接継手を検査することができる。
【0022】
電気コンタクト要素は、少なくとも1つの溶接スポットを含むことができ、この溶接スポットにより、コンタクト要素の2つのワークピースが、窓の縁部においてポジティブ材料フィット(positive substance-fit manner)で互いに接合されている。言い換えると、少なくとも1つの溶接スポットは、窓の縁部において、コンタクト要素の2つのワークピース間に材料継手(material joint)を形成することができる。少なくとも1つの溶接スポットは、特に、光トラップが前に位置していた所に位置することができる。両方のワークピースの材料を溶融させることにより光トラップを埋めることができるため、光トラップはキャビティとして存在しなくなる。2つのワークピースのポジティブ材料フィット接続により、2つのワークピース間の良好な導電性および高い機械的安定性をもたらす。
【0023】
電気コンタクト要素は、シートメタルから金属成形によって形成されたコンタクト本体と、少なくとも1つのコンタクト部とを備え、このコンタクト部は、少なくとも部分的にコンタクト本体内に配置され、少なくとも1つの溶接スポットにより、ポジティブ材料フィットでコンタクト本体に接合され、すなわち、少なくとも1つのコンタクト部とコンタクト本体と間に材料継手を形成することが好ましい。
【0024】
コンタクト本体を、特に半製品の第1のワークピースから形成することができる。コンタクト本体は、コンタクト部のケージを形成することができ、例えば、支持機能(support function)を呈することができる。加えて、コンタクト本体に、例えば圧着翼部に電線を接続するための接続オプションを設けることができる。
【0025】
コンタクト部は、半製品の第2のワークピースから形成されることが好ましい。コンタクト部は、例えば、コンタクトピン、フラットコンタクト、ピンもしくはフラットコンタクトを受け入れるためのコンタクトばね、または別の部品であってよい。コンタクト部は、相手側コンタクト要素に間接的に接触して電気的接続を確立する、コンタクト要素の部品であってよい。
【0026】
上記の構成の代わりに、コンタクト本体を第2のワークピースから形成してもよく、これに対応して、コンタクト部を第1のワークピースから形成してもよい。それぞれの関連は、部品の幾何形状に応じて決まる。
【0027】
本発明による方法は、レーザ溶接の前に、窓を第1のワークピースおよび/または第1と第2のワークピースに形成するという点でさらに改良することができる。窓は、例えば、打抜きまたは他の方法によって形成することができる。
【0028】
さらなる方法ステップは、2つのワークピースを、予め形成された部品として、互いに接して配置または互いの内部に配置して半製品を形成し、続いて、レーザ溶接を使用して少なくとも1つの溶接スポットを形成することによって、互いに接合することであってよい。
【0029】
第1のワークピースの前面の窓は、ベース領域と、このベース面に垂直な面法線とを有し、レーザ溶接中のレーザビームと面法線との間に45°未満の角度が形成されることが好ましい。言い換えると、レーザビームを窓のベース領域に略垂直に向けることができる。その結果、製造するコンタクト要素の複雑な構造がフラットな照射を妨げる場合にも、2つのワークピースを互いに溶接することができる。
【0030】
以下で、図面を参照しながら、有利な実施形態を使用して、本発明を例としてより詳細に説明する。例として実施形態に示す特徴の組合せを、特定の適用に求められる本発明のデバイスの特性に従って、上記の説明によるさらなる特徴によって補足することができる。
【0031】
個々の特徴の効果が特定の適用の場合に無関係であれば、その特徴を、上記の説明に従って説明する実施形態において省略してもよい。図中、同一の参照数字は、常に、同一の機能および/または同一の構造を有する要素に対して使用される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】例としての電気コンタクト要素の概略図である。
図2】電気コンタクト要素を製造するための例示的な半製品の詳細図である。
図3】窓の領域における半製品の詳細図である。
図4図3の窓の上面図である。
図5】溶接点が導入された、図3の窓を示す図である。
図6】窓の第2の実施形態を示す図である。
図7】窓の第3の実施形態を示す図である。
図8図7の窓の上面図である。
図9】半製品の第3の実施形態を示す図である。
図10】半製品の第2の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、電気コンタクト要素1を、単に例として、長手方向断面図に概略的に示す。電気コンタクト要素は、2つの部品、すなわち、コンタクト本体3と、コンタクト本体3内に配置されたコンタクト部5とから構成されている。コンタクト部5は、単に例として、ばね7として示され、このばね7は、相補的に構成されている相手側コンタクト要素11(図1に破線で示す)のコンタクト部9を受け入れて、コンタクト部9と導電接続を確立するように機能することができる。この代わりに、電気コンタクト要素1は、ばね7に代わって、ピン、フラットコンタクト、または任意の他の適切な構造を備えることができる。
【0034】
コンタクト本体3は、コンタクト要素1を電線に接続するための圧着翼部13を含む。したがって、コンタクト本体3は、コンタクト部5を受け入れるだけでなく、圧着翼部13に受け入れられる電線とコンタクト部5との電気的接続を提供するようにも機能する。
【0035】
コンタクト部5とコンタクト本体3との間に、十分に良好で、さらに恒久的かつ腐食のリスクのない電気的接続を生じさせるために、これら2つの部品は少なくとも1つの溶接スポットにより互いに接合される。これについて、以下で詳細に説明する。
【0036】
図2は、半製品15の詳細を長手方向断面図に示す。図2に示す半製品15を使用して、図1を参照して説明した電気コンタクト要素1と同様の構造の電気コンタクト要素1を製造することができる。
【0037】
半製品15は、第1の金属ワークピース17と第2の金属ワークピース19とを備える。第1の金属ワークピース17は、その後のコンタクト要素1のコンタクト本体3を形成することができるように、単に例として示されている。第2のワークピース19も、ばね7の形のコンタクト部5を形成することができるように、単に例として示されている。
【0038】
半製品15は、まだ完全にはコンタクト要素1を形成するように製造されていないことを特徴とする。2つのワークピース17、19は既に、図2に示す状態で一方が他方の内部に配置されているが、まだ少なくとも1つの溶接スポットにより互いに接合されていない。
【0039】
部品17、19の大部分が既に予め形成されている図2に示す半製品15の形状の代わりに、2つのワークピースのうちの一方、特に第1のワークピース17が、上記の例の意味で、コンタクト本体3になるようにまだ形成されていない、1枚のシートメタル21(図2に破線で示す)であることも考えられる。例えば、予め形成された部品、特にコンタクト部5を、第2のワークピース19として、まだ溶接接続によって接合されていない1枚のシートメタル21に接合することができる。その後、第1のワークピース17または1枚のシートメタル21を、金属成形によって、必要な形状をとるように、例えば、コンタクト本体3となるようにすることができる。
【0040】
2つのワークピース17、19を溶接接続によって接合するために、窓23が設けられ、この窓は、第1のワークピース17を貫通して第2のワークピース19の方向に、場合によっては、第2のワークピース19内に延びている。
【0041】
図2の領域Aの拡大図が図3に示されている。以下で、図2および図3を参照しながら、窓23について説明する。
【0042】
第1のワークピース17は、前面25と、前面25とは反対側に配置された後面27とを有する。半製品15では、第1のワークピース17の後面27は第2のワークピース19の近くに配置されている。後面27は、第2のワークピース19に、少なくとも窓23を囲む領域で接触していることが特に好ましい。
【0043】
この説明の文脈において、「窓」23という用語は、第1のワークピース17の前面25から始まって半製品15内に延びるキャビティ全体を指す。
【0044】
窓は、第1のワークピース17を端から端まで貫通している。図3に示す例では、窓23は第2のワークピース19内にも延びている。第2のワークピース19の表面29が、窓23を通して外側に露出している。表面29には、窓23を通して外側からアクセスできる。表面29には、窓23のみを通して外側からアクセスできることが好ましい。表面29は、レーザ光の反射面31となる。
【0045】
窓23はベース領域33を有する。ベース領域33は、第2のワークピース19に向かって大きくなる。言い換えると、前面25における窓23の内寸35は、前面25から離間した点における内寸37よりも小さい。
【0046】
窓23は、第2のワークピース19において、より大きい内寸37を有する。例として示す実施形態において、ベース領域33は急に大きくなるため、アンダカット39が第2のワークピース19に形成されている。
【0047】
言い換えると、前面25で窓23を囲む境界41と、窓23を通してアクセスできる表面29との間に、間隙43が延びている。間隙43を、隙間または凹部と呼ぶこともできる。
【0048】
間隙43は、レーザ光を閉じ込めるための光トラップ45として機能することができる。光トラップ45は、レーザ光を表面29から第1のワークピース17の後面27に反射させることのできるキャビティを提供する。特に、レーザ光を表面29と後面27との間で複数回反射させることができる。レーザ光は吸収され、両方のワークピース17、19の材料は溶融して互いに接合される。これにより、溶接スポットを形成することができる。
【0049】
図3に、本発明による方法を示すためにレーザビーム47が破線で示されている。レーザビーム47は、反射面31として機能する表面29から第1のワークピース17の後面27に反射され、再び後面27から表面29に反射される。両方の表面間のさらなる反射が続いてもよい。
【0050】
放射されるエネルギーの大部分は、これらの複数回の反射によって吸収される。その結果、両方のワークピース17、19の材料は加熱され、溶接接続が生じる。
【0051】
レーザビームを、表面29の異なる位置に、次々にまたは連続して向けることができる。いくつかのレーザビームを、表面29の異なる位置に同時に向けることもできる。しかしながら、わかりやすくするために、図3には1つのレーザビーム47のみが示されている。
【0052】
光トラップ45を画定する表面におけるレーザ光47の吸収を高めるために、少なくとも光トラップ45の領域において、表面29および/または後面27に対して加工を施すことができる。
【0053】
図3に微細構造49が示されている。微細構造49は、例えば、ワークピース17、19のうちの少なくとも一方の表面の粗さを増加させることにより、レーザ光の吸収を高めることができる。微細構造49は、表面構造50の一形態を表す。
【0054】
レーザビーム47は、光トラップ45が広がる間隙43に垂直に延びることが好ましい。言い換えると、レーザビーム47は、ベース領域33の面法線51に略平行に延びることが好ましい。この意味で、略平行とは45°未満の角度53であることを意味する。
【0055】
図4は、面法線51に沿って見た窓23の領域の上面図である。
【0056】
窓23は、全体として矩形の断面を有することができる。その代わりに、他の断面、例えば、多角形、円形、楕円形、三角形、スリット状、または他の断面も可能である。
【0057】
面法線51に沿って見ると、光トラップ45は、第1のワークピース17の材料の後方に延びている。これは、図4に点線で示されている。
【0058】
図5は、レーザ溶接後の図3および図4の窓を示す。
【0059】
ここでは、光トラップ45が前に位置していた領域に配置された少なくとも1つの溶接スポット55がある。図5には2つの溶接スポット55が示されている。1つまたは複数の点状溶接スポット55を形成することができる。窓23の周りの元の光トラップ45に完全にまたは部分的に沿って延びる、端から端までの溶接スポット55を形成することもできる。
【0060】
溶接スポット55は、2つのワークピース17、19の材料が溶融した後に冷却することによって生じる。溶接スポット55は、2つのワークピース17、19間に恒久的な導電接続部および機械的接続部を形成する。溶接スポット55は、窓23の縁部57に配置される。
【0061】
図6は、半製品15の一部における、本発明による窓23の第2の実施形態を示す。図3図5を参照して前述した実施形態との違いのみを以下で説明する。
【0062】
面法線51を横切る方向に見ると、窓23は、前の実施形態で説明した窓23と同様の断面を有する。しかしながら、窓23は、第1のワークピース17のみに配置され、第2のワークピース19の表面29を露出させている。言い換えると、窓23は、第1のワークピース17の2段階孔として形成され、内寸35に対応するより小さい直径を有する第1の段が、前面25からワークピース17内に延び、第2の段が、第1の段から始まって後面27に通じ、そこで内寸37に対応するより大きい直径を有する。本実施形態においては、第2のワークピース19における凹部の形成を不要にすることができる。
【0063】
以下で、図7および図8を参照して、半製品15の窓23のさらなる有利な実施形態について説明する。ここでも、簡潔にするために、図3図5を参照して説明した実施形態との違いのみを説明する。
【0064】
窓23は、第1の実施形態と略同様に、第1のワークピース17を貫通して第2のワークピース19内に延びている。第1の実施形態との違いは、第2のワークピース19に、凸状湾曲59の形態の加工を施した表面29が設けられていることである。凸状湾曲59は、表面構造50のさらなる形態を表す。凸状湾曲50を、図3を参照して説明した微細構造49と組み合わせてもよい。
【0065】
凸状湾曲59は、第1のワークピース17の前面25に向かって突出している。凸状湾曲29により、レーザビーム47を光トラップ45内に向けることを容易にすることができる。図7に、複数の反射を伴うレーザビーム47が破線で示されている。
【0066】
図9に、半製品15のさらなる実施形態が示されている。窓23は、図7を参照して説明した実施形態と同様である。これは、窓23が、凸状湾曲59の形態の表面構造50が設けられた第2のワークピース19の表面29を露出させることを意味する。
【0067】
第2のワークピース19に表面構造50、光トラップ45、および大きい内寸37が設けられる、図7を参照して説明した実施形態とは対照的に、図9の実施形態では、ワークピース17に大きい内寸37が設けられている。
【0068】
表面29の凸状湾曲59は、少なくとも窓23の領域において、第2のワークピース19の材料を第1のワークピース17に向かって曲げるまたはエンボス加工するという点で実現することができる。言い換えると、第2のワークピース19はエンボス60を有し、このエンボス60によって凸状湾曲59が形成される。このようなエンボス60を、例えば、図9に概略的に示すパンチ62によって形成することができる。エンボス60は、ワークピース17、19が互いに位置決めされる前または後に設けることができる。
【0069】
図10に、半製品15のさらなる実施形態が断面で示されている。
【0070】
半製品15は、コンタクト本体3を形成する第1のワークピース17と、ばね7の形のコンタクト部5を形成する第2のワークピース19とを備える。ばね7は、いくつかのスラット61を有する。
【0071】
コンタクト部5を、フラットコンタクトとの接続のために使用することができ、フラットコンタクトをその後のコンタクト要素1で使用するときに、フラットコンタクトにスラット61が接触する。窓23は、第1のワークピース17を貫通し、ばね7の2つの隣接するスラット61の表面29を露出させる。
【0072】
光トラップ45が、各スラット61と窓23の境界41との間に形成されている。両方のスラット61を第1のワークピース17に同時に溶接するために、2つのレーザビーム47を、窓を通して光トラップ45内に同時に放射することができる。
【0073】
この代わりに、レーザビーム47を、窓23を通して続けて放射してもよい。
【0074】
レーザ溶接用に2つのレーザビーム47を同時に発生させるために、単一のレーザビームを、二焦点レンズを通して放射することにより、分割してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 電気コンタクト要素
3 コンタクト本体
5 コンタクト部
7 ばね
9 コンタクト部
11 コンタクト要素
13 圧着翼部
15 半製品
17 第1のワークピース
19 第2のワークピース
21 1枚のシートメタル
23 窓
25 前面
27 後面
29 表面
31 反射面
33 ベース領域
35 内寸
37 内寸
39 アンダカット
41 境界
43 間隙
45 光トラップ
47 レーザビーム
49 微細構造
50 表面構造
51 面法線
53 角度
55 溶接スポット
57 縁部
59 凸状湾曲
60 エンボス
61 スラット
62 パンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10