IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特許7593722ドーラン・ブリッジ量子ジョセフソン接合デバイスの製品に適した製造のためのクラスタ・ツール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ドーラン・ブリッジ量子ジョセフソン接合デバイスの製品に適した製造のためのクラスタ・ツール
(51)【国際特許分類】
   H10N 60/01 20230101AFI20241126BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20241126BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H10N60/01 K
H10N60/01 C
H10N60/01 J
C23C16/04
C23C14/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022523065
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020081208
(87)【国際公開番号】W WO2021089742
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】16/675,651
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ベデル、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ホルメス、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ニン
(72)【発明者】
【氏名】サダナ、デヴェンドラ
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253316(JP,A)
【文献】特開2007-294190(JP,A)
【文献】特開平08-045032(JP,A)
【文献】国際公開第2011/058812(WO,A1)
【文献】特開2019-137895(JP,A)
【文献】特開2019-189908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/01
C23C 16/04
C23C 14/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜システムであって、
成膜源と、
前記成膜源の成膜経路内に配置された走査ステージであって、上にあるウエハを支持するように構成された支持プラットフォームと、前記支持プラットフォームに結合されており前記支持プラットフォームを前記成膜源に対して移動させるように構成された機械式アクチュエータとを備えた前記走査ステージと、
前記成膜源の前記成膜経路内において前記成膜源と前記走査ステージとの間に配置されており、スリットを画定する近接マスクと、
前記走査ステージと通信し、成膜角度が実質的に一定に維持されるように前記ウエハを前記スリットに対して移動させるように前記機械式アクチュエータを制御するように構成されたコントローラとを備え、
前記機械式アクチュエータが、前記ウエハの成膜面に対して傾斜した角度の方向に前記支持プラットフォームを移動させるように構成されており、
動作中には、前記近接マスクが、前記スリットから外れている軌道を有する成膜源物質が前記ウエハと接触することを防止する、成膜システム。
【請求項2】
前記成膜源が前記スリットの長さに及ぶ、請求項1に記載の成膜システム。
【請求項3】
前記スリットの長さが調整可能である、請求項1または2に記載の成膜システム。
【請求項4】
前記スリットが、前記近接マスクの長さよりも短い長さを有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の成膜システム。
【請求項5】
前記成膜角度が選択可能であり、前記成膜システムが、前記成膜角度の選択を可能にするために、前記成膜源に対する前記近接マスクの位置を解除可能に固定するように構成された近接マスク固定具をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の成膜システム。
【請求項6】
前記成膜経路に対する前記支持プラットフォームの角度が選択可能である、請求項1ないし5のいずれかに記載の成膜システム。
【請求項7】
前記成膜源が金属蒸着源である、請求項1ないしのいずれかに記載の成膜システム。
【請求項8】
前記成膜源を照射するように構成されたレーザをさらに備え、
パルス・レーザ成膜によって成膜源物質を成膜するように構成されている、請求項1ないしのいずれかに記載の成膜システム。
【請求項9】
気体を前記成膜システムが配置されているチャンバに導入し前記気体を前記チャンバから除去するように構成された気体入口と気体出口とをさらに備え、
前記成膜システムが、スパッタリング成膜によって成膜源物質を成膜するように構成されている、請求項1ないしのいずれかに記載の成膜システム。
【請求項10】
成膜チャンバをさらに備え、
前記成膜源と、前記走査ステージと、前記近接マスクとが、前記成膜チャンバに配置されている、請求項1ないしのいずれかに記載の成膜システム。
【請求項11】
クラスタ・ツールであって、複数の選択可能な製造ツールを備え、前記複数の選択可能な製造ツールが、成膜システムを備え、
前記成膜システムが、
成膜源と、
前記成膜源の成膜経路内に配置された走査ステージであって、上にあるウエハを支持するように構成された支持プラットフォームと、前記支持プラットフォームに結合されており前記支持プラットフォームを前記成膜源に対して移動させるように構成された機械式アクチュエータとを備えた前記走査ステージと、
前記成膜源の前記成膜経路内において前記成膜源と前記走査ステージとの間に配置されており、スリットを画定する近接マスクと、
前記走査ステージと通信し、成膜角度が実質的に一定に維持されるように前記ウエハを前記スリットに対して移動させるように前記機械式アクチュエータを制御するように構成されたコントローラとを備え、
動作中には、前記近接マスクが、前記スリットから外れている軌道を有する成膜源物質が前記ウエハと接触することを防止し、前記複数の選択可能な製造ツールがさらに、
前記ウエハ上に誘電層を形成するように構成された誘電源を備えた誘電システムを備え
第2の成膜システムをさらに備え、前記第2の成膜システムが、
第2の成膜源と、
前記第2の成膜源の成膜経路内に配置された第2の走査ステージであって、上にある前記ウエハを支持するように構成された第2の支持プラットフォームと、前記第2の支持プラットフォームに結合されており前記第2の支持・プラットフォームを前記第2の成膜源に対して移動させるように構成された第2の機械式アクチュエータとを備えた前記第2の走査ステージと、
前記第2の成膜源の前記成膜経路内において前記第2の成膜源と前記第2の走査ステージとの間に配置されており、第2のスリットを画定する第2の近接マスクと、
前記第2の走査ステージと通信し、第2の成膜角度が実質的に一定に維持されるように前記ウエハを前記第2のスリットに対して移動させるように前記第2の機械式アクチュエータを制御するように構成された第2のコントローラとを備え、
動作中には、前記第2の近接マスクが、前記第2のスリットから外れている軌道を有する成膜源物質が前記ウエハと接触することを防止し、
最初に記載された前記成膜角度が、前記第2の成膜角度と異なる、クラスタ・ツール。
【請求項12】
前記ウエハをアニールするように構成された熱源を備えたアニール・システムをさらに備える、請求項11に記載のクラスタ・ツール。
【請求項13】
前記ウエハの成膜面をクリーニングするように構成されたクリーニング・システムをさらに備える、請求項11または12に記載のクラスタ・ツール。
【請求項14】
前記クリーニング・システムが、SICONIクリーニング・システム、スパッタリング・クリーニング・システム、反応性イオン・エッチング・クリーニング・システム、またはプラズマ・クリーニング・システムを備える、請求項13に記載のクラスタ・ツール。
【請求項15】
前記ウエハ上にカプセル化層を配置するように構成されたカプセル化システムをさらに備える、請求項11ないし14のいずれかに記載のクラスタ・ツール。
【請求項16】
前記カプセル化システムが、スパッタリング・カプセル化システム、ALDカプセル化システム、MOCVDカプセル化システム、またはプラズマ・カプセル化システムを備える、請求項15に記載のクラスタ・ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子デバイスの製造のためのツールに関し、より詳細には、ドーラン・ブリッジ(Dolan bridge)・ジョセフソン接合デバイスの製品に適した製造(production-worthy fabrication)のためのクラスタ・ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合量子ビットの製造は、現在、ウエハの小さな断片を扱うことはできるがウエハの全体を扱うことはできない、非製造ベースの装置で開発されている。この処理の一様性は、量子チップの製造と一貫性を有する公差を備えた画像形成を可能にするには、不十分である。現在の製造技術では、結果的に、蒸着角度(angle of evaporation)が一貫しないことに起因する画像サイズの変動と、プロセス制御が不十分であることに起因する接合誘電体の変動とを、生じさせる可能性がある。接合誘電体の変動は、量子ビットなど量子デバイスの周波数を変更させ得るし、また量子デバイスに結合し得る接合誘電体に欠陥を生じさせ得るため、デバイスのコヒーレンス時間を短縮してしまう。したがって、量子デバイスをウエハ全体のスケールで製造するためのシステムおよび方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明のある実施形態によると、成膜システム(deposition system)が、成膜源と、成膜源の成膜経路内に配置された走査ステージとを含む。走査ステージは、上にあるウエハを支持するように構成された支持プラットフォームと、支持プラットフォームに結合された機械式アクチュエータとを含む。この機械式アクチュエータは、支持プラットフォームを、成膜源に対して移動させるように構成されている。この成膜システムは、成膜源の成膜経路内において成膜源と走査ステージとの間に配置された近接マスクを含んでおり、この近接マスクは、スリットを画定している。この成膜システムは、走査ステージと通信するコントローラを含んでおり、このコントローラは、成膜角度が実質的に一定に維持されるようにウエハをスリットに対して移動させるように、機械式アクチュエータを制御するように構成されている。動作中には、近接マスクが、スリットから外れている軌道を有する成膜源物質がウエハと接触することを防止する。この成膜システムは、完全なウエハ製造を可能にする化学的な成膜の一様性を提供し、ウエハの表面の全体にわたって形成される一連の一様な特徴(features)を可能にする。ウエハは、後で、個々のチップに分割されることが可能である。
【0004】
本発明のある実施形態によると、クラスタ・ツールが、複数の選択可能な製造ツールを含む。これらの複数の選択可能な製造ツールは、成膜源と成膜源の成膜経路内に配置された走査ステージとを含む成膜システムを含む。走査ステージは、上にあるウエハを支持するように構成された支持プラットフォームと、支持プラットフォームに結合された機械式アクチュエータとを含む。機械式アクチュエータは、支持プラットフォームを成膜源に対して移動させるように構成されている。成膜システムは、成膜源の成膜経路内において成膜源と走査ステージとの間に配置された近接マスクを含んでおり、この近接マスクは、スリットを画定する。成膜システムは、走査ステージと通信するコントローラを備えており、このコントローラは、成膜角度が実質的に一定に維持されるようにウエハをスリットに対して移動させるように、機械式アクチュエータを制御するように構成されている。動作中には、近接マスクが、スリットから外れている軌道を有する成膜源物質がウエハと接触することを防止する。これらの複数の選択可能な製造ツールは、また、ウエハ上に誘電層を形成するように構成された誘電源を備えた誘電システムを備えている。成膜システムによって与えられる化学的成膜制御を提供することに加えて、クラスタ・ツールは、真空破壊を生じさせることなく、ウエハ上の構造の完全な処理を可能にする。
【0005】
本発明のある実施形態によると、角度付きの成膜を実行するための方法が、成膜源を用意することと、成膜源の成膜経路に、成膜源に対する第1の位置にスリットを有する近接マスクを配置することと、を含む。この方法は、成膜角度が実質的に一定に維持されるように、そしてスリットから外れた軌道を有する成膜源物質がウエハと接触することを近接マスクが防止するように、成膜源物質の成膜の間、スリットに対してウエハを移動させることを、さらに含む。この方法は、ウエハの表面など、より大きな表面積の全体にわたって、高い一様性を保ちながら、角度付きの蒸着を可能にする。この方法は、量子チップの製造との一貫性を有する公差を備えた画像形成を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明のある実施形態による成膜システムの概略的な図解である。
図2図1の成膜システムとは異なる成膜角度を有する、本発明のある実施形態による成膜システムの概略的な図解である。
図3】ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の概略的な図解である。
図4A】第1の層とその上に形成された第2の層とを有するリフトオフ・マスクを備えた基板の平面図の概略的な図解である。
図4B】第1の層とその上に形成された第2の層とを有するリフトオフ・マスクを備えた基板の断面図の概略的な図解である。
図5A】リフトオフ・マスクの第2の層の上と露出された基板の上とに成膜された金属層を備えた基板の平面図の概略的な図解である。
図5B】リフトオフ・マスクの第2の層の上と露出された基板の上とに成膜された金属層を備えた基板の断面図の概略的な図解である。
図6A】基板の上に成膜された金属層の部分の上に形成された誘電層の平面図の概略的な図解である。
図6B】基板の上に成膜された金属層の部分の上に形成された誘電層の断面図の概略的な図解である。
図7A】方向性成膜によって形成された第2の金属層の平面図の概略的な図解である。
図7B】方向性成膜によって形成された第2の金属層の断面図の概略的な図解である。
図8】方向性成膜の概略的な図解である。
図9】物質をウエハ上に配置する成膜源の概略的な図解である。
図10】上にマスクが形成されたウエハの概略的な図解である。
図11】本発明のいくつかの実施形態による成膜源と近接マスクとの平面図の概略的な図解である。
図12】本発明のいくつかの実施形態による成膜源と近接マスクとの平面図の概略的な図解である。
図13】成膜経路に対する支持プラットフォームの角度が選択可能な成膜システムの概略的な図解である。
図14】成膜チャンバを含む成膜システムの概略的な図解である。
図15】本発明のいくつかの実施形態によるクラスタ・ツールの概略的な図解である。
図16】本発明のいくつかの実施形態による角度付き成膜を実行するための方法の概略的な図解である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明のある実施形態による成膜システム100の概略的な図解である。成膜システム100は、成膜源102と、成膜源102の成膜経路106内に配置された走査ステージ104とを含む。走査ステージ104は、上にあるウエハ110を支持するように構成された支持プラットフォーム108を含む。走査ステージ104は、また、支持プラットフォーム108に結合された機械式アクチュエータ112も含む。機械式アクチュエータ112は、成膜源102に対して支持プラットフォーム108を移動させるように構成されている。成膜システム100は、成膜源102の成膜経路106内において成膜源102と走査ステージ104との間に配置される近接マスク114を含む。近接マスク114は、スリット116を画定している。成膜システム100は、走査ステージ104と通信するコントローラ118を含む。コントローラ118は、成膜角度120が実質的に一定に維持されるようにスリット116に対してウエハ110を移動させるように、機械式アクチュエータ112を制御するように構成されている。動作中は、近接マスク114が、スリット116から外れている軌道を有する成膜源材料がウエハ110と接触することを防止する。
【0008】
「実質的に一定」という用語は、成膜角度が±10度以下の範囲で変動し得ることを意味するように意図されている。いくつかの実施形態によると、成膜角度は、±5度以下の範囲で変動してもよい。
【0009】
図2は、本発明のある実施形態による成膜システム200の概略的な図解である。図2では、近接マスク202は、スリット204が成膜源206の真下に配置されるように構成されている。この実施形態では、成膜角度208は、90度である。本発明のいくつかの実施形態によると、成膜角度は、ウエハ212の成膜面210と、成膜源206とウエハ212とを結びスリット204の中心を通過する直線214と、の間の角度として定義される。
【0010】
図1および図2に概略的に図解されている成膜システムは、ウエハ上に一様の構造を形成するのに用いられ得る。例えば、このシステムは、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合を形成するのに用いられ得る。図3は、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合300の概略的な図解である。ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合300は、基板304上に形成された第1のリード302を含む。ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合300は、第1のリード302上に形成された第2のリード306を含んでおり、第1のリード302と第2のリード306との間には、誘電層が形成されている。
【0011】
図4A図7Bは、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合を形成するための例示的なプロセスを概略的に図解している。図4Aおよび図4Bは、第1の層402とその上に形成された第2の層404とを有するリフトオフ・マスクを備えた基板400の平面図と断面図との概略的な図解である。第1の層402と第2の層404とは、その上にドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合が形成されることになる基板400の部分406、408を露出させるように、例えばリソグラフィによるパターニングを用いて、パターニングされる。第1の層402と第2の層404とは、エッチングが第2の層404における開口の面積よりも大きな基板400の部分を露出させるように、選択され得る。第1の層402は、例えば、有機ポリマまたは有機溶媒に溶解可能な物質を含み得る。第2の層404は、例えば、チタンまたはシリコンを含み得る。第1の層402と第2の層404とは、例えば、反応性イオン・エッチングを用いて、エッチングされ得る。このエッチングは、第2の層404よりも第1の層402を、より高速にエッチングし得る。
【0012】
このプロセスは、マスクと露出された基板との上に金属を成膜することを含み得る。ある例では、この金属は、90度成膜を用いて、成膜される。図5Aおよび図5Bは、金属層502がリフトオフ・マスクの第2の層504の上と露出された基板500の上とに成膜された基板500の平面図と断面図との概略的な図解である。基板500上に成膜された金属層502の部分506は、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の第1のリードを形成する。金属層502は、例えば、アルミニウム、鉛、チタン、タンタル、タンタル窒化物、チタン窒化物、バナジウム、またはニオブを含み得る。
【0013】
このプロセスは、基板上に成膜された金属層の部分の上に誘電層を形成することを含み得る。これは、金属層の上に誘電材料を成膜すること、または誘電層を形成するために金属層を酸素に露出させることを含み得る。図6Aおよび図6Bは、基板608上に成膜された金属層604の部分602の上に形成された誘電層600の平面図と断面図との概略的な図解である。
【0014】
このプロセスは、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の第1のリードを形成するのに用いた成膜角度とは異なる成膜角度で、方向性成膜を用いて第2の金属層を形成することを含み得る。例えば、成膜源は、45度と60度との間の成膜角度を有するように、配置され得る。図7Aおよび図7Bは、方向性成膜によって形成された第2の金属層700の平面図と断面図との概略的な図解である。第2の金属層700の部分702は、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の第2のリードを形成し得る。重なり合う第1のリード704と誘電層706と第2のリード702とが、ジョセフソン接合708を形成する。金属成膜の方向性を有する性質に起因して、追加的な金属の特徴710が、90度成膜によって第1のリード704を生成するのに用いられる開口を通過して、基板上に成膜され得る。さらに、第1のリード704上に形成された誘電層706のいくつかの部分が、図7Aに概略的に図解されているように、露出されたまま維持される。第2の金属層700は、例えば、アルミニウム、鉛、チタン、タンタル、タンタル窒化物、チタン窒化物、バナジウム、またはニオブを含み得る。
【0015】
図8は、方向性成膜の概略的な図解である。図8では、成膜物質の軌道を示す2つの直線800、802は平行であり、基板804上における特徴の制御された形成を可能にする。マスク806は、成膜角度808が実質的に逸脱することを防止する。この設定は、単一のチップ上にある特徴を成膜するには十分かもしれないが、ウエハ全体において複数の特徴をパターニングするには、不十分である。古典的なコンピュータ・チップは、半導体ウエハ上に形成され、その半導体ウエハが、その後で、チップに分割される。量子コンピューティングが進歩するにつれて、1つの量子プロセッサにおける量子ビット数を増やすことが絶え間なく追い求められている。大量の量子ビット・チップを信頼できる様態で形成することを可能にする機械加工技術が、必要とされている。しかし、図8に示されている方向性成膜技術は、成膜角度808を制御する能力に依存している。大きな面積の全体に金属を成膜するのに単一の成膜源が用いられるときには、図9に示されているように、成膜角度が変化し得る。
【0016】
図9は、ウエハ902上にある物質を成膜する成膜点源900の概略的な図解である。3つの矢印904、906、908によって表されているように、成膜角度は、ウエハ902の表面の全体で著しく変動し、その結果、ウエハ902上での特徴のサイズが変動し、同様に、特徴の相対的位置も変動する。図10は、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合を作成するのに用いられる図4Bのマスク402、404など、マスク1002がその上に形成されているウエハ1000の概略的な図解である。図10は、マスク1002における3つの開口のそれぞれに対して、成膜角度がどのように異なるかを図解している。角度が変動すると、その結果として、ウエハ1000上に形成される特徴のサイズと相対位置とが変動することになる。したがって、ウエハ1000が複数のチップに分割されるときに、チップの上の特徴が、チップごとに変動することになる。
【0017】
図1に概略的に図解されている成膜システムは、成膜角度の変動という問題に対処している。システム100は、成膜源102とウエハ110との間に、近接マスク114を含んでおり、近接マスク114におけるスリットの全体でのウエハ110の走査を可能にしている。システム100は、成膜角度120と成膜源102からウエハ110までの距離とが、ウエハ110の全体にわたり実質的に一定に維持されることを保証する。よって、成膜の後で、ウエハ110が、実質的に同一のチップに分割されることが可能になる。システム100は、コリメートされた蒸着源を必要とせず、システムの設計を単純化している。
【0018】
成膜源102から近接マスク114までの距離は、比較的に短くすることで、物質の損失とツールの接地面積とを低下させてもよい。スリット116は、例えば、約2cm以下の幅を、有し得る。スリット116のサイズを縮小させると、角度の制御を向上させられるが、スループットを犠牲にすることになる。逆に、スリット116のサイズを増大させると、より高速での成膜が可能になるが、角度制御の劣化という結果が生じる。近接マスク114とウエハ110との間の距離Dは、約2cm以下であり得る。距離Dが大きすぎると、物質が、スリット116を通過した後で、拡散することになる。いくつかの実施形態によると、近接マスク114とウエハ110との間の距離Dは、約1cmであり得る。
【0019】
図11は、本発明のいくつかの実施形態による成膜源1100と近接マスク1102との平面図の概略的な図解である。成膜源1100は、近接マスク1102におけるスリット1104の長さに及んでいる。成膜源1100は、ボートまたはトレイに配置された連続的な成膜源であってもよく、または一連の点源でもあってもよい。あるいは、成膜源1100は、ある方向度数を有する超高真空(UHV)スプレイ/スパッタ源であってもよい。図11では、成膜源1100は、近接マスク1102におけるスリット1104の長さLに等しい長さLを有する。いくつかの実施形態では、成膜源1100は、スリット1104よりも短くてもよく、または長くてもよい。しかし、成膜源1100をスリット1104に及ぶように構成することにより、ウエハ上での成膜源の物質の均一な成膜が保証され得る。
【0020】
近接マスク1102は、歪むことなく(without warping)高熱に耐えることが可能な物質を含み得る。近接マスク1102は、例えば、金属、セラミック、または熱的に安定な炭素を含み得る。成膜システムは、剥離を生じさせる(flaking)またはウエハを移動させウエハ上の欠陥の原因となるブロブを形成することなく、成膜物質が成膜チャンバと近接マスク1102とに接着することを助けるため、成膜チャンバまたは近接マスク1102あるいはその両方の側面を冷却するように構成された冷却システムを含み得る。近接マスク1102は、スリット1104から外れた軌道を有する成膜物質の接着を促進するため、近接マスク1102の冷却を助けるヒート・シンクを含み得る。本発明のいくつかの実施形態によると、このシステムは、成膜源1100と近接マスク1102との間に、コリメートされた要素を含み得る。例えば、所望の成膜角度から逸脱した軌道を有する成膜物質を捕捉するために、金属ブラケットまたはハニカム構造が、成膜源1100の近くに配置されることがあり得る。
【0021】
図12は、本発明のいくつかの実施形態による、成膜源1200と近接マスク1202との平面図の概略的な図解である。成膜源1200は、近接マスク1202におけるスリット1204の長さLに及ぶ。しかし、スリット1204は、近接マスク1202の長さLには及ばない。その代わり、スリット1204は、ウエハの一部のみを垂直方向に露出させており、スリット1204に沿ったより優れた角度制御を可能にしている。図12に示されている構成は、一度の走査でウエハの全体にわたりチップのローを成膜するのに用いられることが可能である。例えば、ウエハは、一度の走査でチップの第1の組のローがウエハの全体にわたって成膜されるように、スリット1204に位置合わせすることが可能であり、それにより、スリット1204またはウエハのいずれかを別の組のローに進めて、そのチップの第2の組のローの上での成膜のために、ウエハをスリット1204の全体にわたって再び走査することが可能となる。近接マスク1202は、スリット1204の長さLと位置との調整を可能にする調整可能な部分1206、1208を含み得る。
【0022】
図13は、成膜システム1300の概略的な図解であり、成膜経路1306に対する支持プラットフォーム1304の角度1302が、選択可能である。この実施形態では、機械式アクチュエータが、支持プラットフォーム1304をウエハ1310の成膜面1308に対して傾斜した角度となる方向に移動させるように、構成され得る。走査ステージ1314は、角度1302が調整されることを可能にする調整機構を含み得る。支持プラットフォーム1304は、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の第1のリードの成膜のための第1の構成を有し得るが、その場合、角度1302は、ドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の第2のリードの成膜のための第2の構成に調整されることが可能である。成膜システム1300は、ビームにおいて原子のコリメーションを提供するために、スリット1316に先立って、電子銃を含み得る。イオン化されたビームはコリメーションを強化することができ得、コリメーションをさらに向上させるために、スリットを有する第2の近接マスクが、ウエハ1310の成膜面1308に密接に近接させて、追加されてもよい。あるいは、イオン注入源が用いられてもよい。コリメーションを提供するためには、基板の上方に電子グリッドを備えた高電流の例えばプラズマ注入を用いて、成膜に先立ちビームを中性化することもあり得る。スリット1316は、コリメートされたスリットであり得る。図13に概略的に図解されている構成は、追加的な化学的成膜制御技術を用いる場合があり得るが、その理由は、ウエハ1310からスリット1316までのギャップが著しく変動するためである。
【0023】
成膜システムは、成膜チャンバを含み得る。図14は、成膜チャンバ1402を含む成膜システム1400の概略的な図解である。成膜源1404と、走査ステージ1406と、近接マスク1408とが、成膜チャンバ1402に配置されている。成膜システム1400は、成膜角度1412の選択を可能にするために、成膜源1404に対する近接マスク1408の位置を解除可能に固定するように構成された近接マスク固定具1410を含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によると、成膜源1404は、金属蒸着源である。いくつかの実施形態によると、成膜源1404は、スパッタリング成膜源である。スパッタリング成膜源は、膜厚の制御と、正確な誘電物質の成膜と、多元素物質のための正確な原子組成とを可能にし得る。いくつかの実施形態によると、成膜源1404は、ホロー・カソード・プラズマ・ジェット(HCPJ)スパッタリング成膜源である。成膜チャンバ1402と支持プラットフォーム1414とは、接地され得る。いくつかの実施形態で、成膜システム1400は、成膜源1404を照射するように構成されたレーザ1416を含んでおり、成膜システム1400は、パルス・レーザ成膜によって成膜源物質を成膜するように構成される。いくつかの実施形態によると、成膜チャンバ1402は、気体を成膜チャンバ1402に導入し気体を成膜チャンバ1402から除去するように構成された気体入口1418と気体出口1420とを含んでおり、成膜システム1400は、スパッタリング成膜によって成膜源物質を成膜するように構成されている。図14の成膜チャンバ1402は、上述した特徴のそれぞれを有するものとして概略的に図解されているが、成膜チャンバ1402は、用いられている成膜方法に応じて、これらの特徴の全部を有してもよく、またはその部分集合を有してもよい。いくつかの実施形態によると、成膜システム1400は、成膜源1404と近接マスク1408との間に、物質のイオン化とビーム制御とのための電子銃を含む。成膜システム1400は、また、成膜物質を誘導するための電極板も含むことで、より高速の膜形成とより優れた角度制御とを、潜在的に結果として生じさせるようにしてもよい。本発明の実施形態は、本明細書に記載されている成膜方法に限定されることはない。本明細書に記載の成膜方法は、非限定的な例として、提供されている。
【0025】
図15は、本発明のいくつかの実施形態によるクラスタ・ツール1500の概略的な図解である。クラスタ・ツール1500は、複数の選択可能な製造ツール1502~1518を含む。製造ツール1502~1518は、成膜システム1502を含む。例えば、成膜システム1502は、図1に概略的に図解されている成膜システム100の特徴を含み得る。成膜システム1502は、第1の成膜角度でウエハ上に成膜源物質を成膜させるように、構成され得る。製造ツール1502~1518は、また、誘電システム1504も含む。誘電システム1504は、ウエハ上に誘電層を形成するように構成された誘電源1522を含む。誘電源1522は、例えば、スパッタリング成膜、分子ビーム・エピタクシ、または化学気相成長を用いる成膜のための誘電物質のソースであり得る。あるいは、誘電源1522は酸素源であってもよく、この酸素源を使用して、ウエハ上の金属を酸化させることにより酸化物層を形成してもよい。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によると、クラスタ・ツール1500は、また、第2の成膜システム1506も含む。第2の成膜システム1506は、第2の成膜角度でウエハ上に成膜源物質を成膜させるように、構成され得る。第2の成膜角度は、第1の成膜角度とは異なり得る。例えば、第1の成膜角度と第2の成膜角度との一方が90度、他方で、第1の成膜角度と第2の成膜角度との他方が90度未満、ということがあり得る。第2の成膜システム1506は、コリメートされたスリットだけでなく、蒸着シールドを含むことがあり得る。
【0027】
成膜システム1502と、誘電システム1504と、第2の成膜システム1506とは、ウエハ上に複数のドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合を形成するのに用いられ得る。例えば、成膜システム1502は、図5Aおよび図5Bにおける第1のリード506のような、複数のドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の複数の第1のリードを形成し得る。それに続き、誘電システム1504は、図6Aおよび図6Bにおける誘電層600のような、誘電層を第1のリードの上に形成し得る。次に、第2の成膜システム1506は、図7Aおよび図7Bにおける第2のリード702のような、複数のドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合の複数の第2のリードを形成し得る。成膜システム1502、1506のそれぞれにおける、近接マスクと走査ステージとの組合せにより、複数の一様な特徴がウエハの表面上に形成されることが可能になる。ウエハは、後で、個々のチップに分割されることが可能である。例えば、ウエハが、約200mmの直径を有し得、20mm×20mmのチップに分割されることがあり得る。
【0028】
クラスタ・ツール1500は、ウエハの準備のために、追加的な製造ツールを含む場合があり得る。例えば、クラスタ・ツール1500は、アニール・システム1508を含むことがあり得る。アニール・システム1508は、ウエハをアニールするように構成された熱源1524を含み得る。アニール・システム1508は、例えば、高速熱アニール・システムまたはレーザ・アニール・システムであり得る。クラスタ・ツール1500は、ウエハの成膜面のクリーニングを行うように構成されたクリーニング・システムを含み得る。例えば、クラスタ・ツール1500は、SICONIクリーニング・システム1510を含み得る。SICONIクリーニング・システムは、酸化されたシリコンを除去する化学的プロセスを介して動作するシステムを含み得る。より具体的には、SICONIクリーニング・システムとは、真空処理チャンバにおけるマイルドなHF源として、フッ化アンモニウムを用いるプロセスを指し得る。HF物質は、ウエハ表面上の酸化シリコンと反応し、ウエハ表面から容易に除去可能な揮発性の副産物としてSiFと水とを生成する。クラスタ・ツール1500は、また、スパッタリング・クリーニング・システム、反応性イオン・エッチング・クリーニング・システム、またはプラズマ・クリーニング・システム1512も、含み得る。クラスタ・ツール1500は、また、スパッタリング金属成膜システムまたはスパッタリング・カプセル化システム1514も含み得る。
【0029】
クラスタ・ツール1500は、ウエハ上にカプセル化層を成膜させるように構成されたカプセル化システム1516を含み得る。カプセル化システム1516は、例えば、原子層成膜(ALD)もしくは有機金属化学気相成長(MOCVD)カプセル化システム、またはプラズマ・カプセル化システムであり得る。カプセル化物質の成膜は、指向性を有することができ、例えば、酸化シリコンまたは酸化アルミニウムの膜を用いてウエハをカプセル化することを含んでもよい。
【0030】
クラスタ・ツール1500は、追加的な反応性イオン・エッチング・プロセスおよびクリーニング・システム1518を含み得る。クラスタ・ツール1500は、処理のためにウエハを受け取りいったん処理が完了するとウエハを出力するように構成された入力/出力1520を、含み得る。クラスタ・ツール1500は、ある製造ツールから別の製造ツールにウエハを移動させるように構成されている、自動化された移動システムを含み得る。例えば、クラスタ・ツール1500は、入力/出力1520においてウエハを受け取り、複数の選択可能な製造ツール1502~1518でウエハを処理し得る。ウエハは、選択可能な製造ツール1502~1518のそれぞれで、または選択可能な製造ツール1502~1518の部分集合において、処理され得る。本発明のある実施形態によると、クラスタ・ツール1500は、入力/出力1520においてウエハを受け取り、SICONIクリーニング・システム1510を用いてウエハをクリーニングし、成膜システム1502を用いて第1のドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合のリードを成膜し、誘電システム1504を用いて誘電層を形成し、第2の成膜システム1506を用いて第2のドーラン・ブリッジ・ジョセフソン接合のリードを成膜し得る。クラスタ・ツール1500は、次に、アニール・システム1508を用いてウエハをアニールし、入力/出力1520においてウエハを出力する。このプロセスは、非限定的な例として、提供されている。クラスタ・ツール1500は、追加的な、図15に図解されているよりも少数のまたは代替的な製造ツールを含んでもよく、製造ツールの位置と順序とは、図15に図解されているものと異なってもよい。
【0031】
クラスタ・ツール1500は、複数のウエハを同時に処理するように、構成され得る。例えば、それぞれの選択可能な製造ツール1502~1518は、所与の時刻に1つまたは複数のウエハを保持するように、構成され得る。ウエハは、複数のウエハが生産プロセスにおける異なる複数のステージで同時に存在するように、ある製造ツールから次の製造ツールへ送られ得る。クラスタ・ツール1500は、真空破壊をすることのないウエハの生産を可能にし得る。
【0032】
クラスタ・ツール1500は、プロセス制御と、その場での計測(in situ metrology)とを可能にする。金属層の厚さは、成膜中の成膜チャンバとウエハとの温度と同様に、制御可能である。例えば、成膜システム1502、1506は、原子の凝集(atomic aggregation)に起因して、成膜された膜にランプおよびバンプが形成することを防止するため、成膜中にウエハを冷却する冷却システムを含み得る。この冷却システムは、ウエハを、例えば、摂氏-30度以下まで冷却し得る。
【0033】
クラスタ・ツール1500は、また、誘電層の厚さの制御を可能にし、近接マスクにおけるスリット全体にわたる金属成膜の一様性を保証する。クラスタ・ツール1500は、完全なウエハの生産が可能な化学的成膜の一様性を提供し、各処理ステップの最適化を可能にする。クラスタ・ツール1500は、複数の選択可能な製造ツール1502~1518のそれぞれと互換的なリソグラフィ物質を用い得る。さらに、図4Bに概略的に図解されている第1の層402と第2の層404とを有するリフトオフ・マスクのようなリフトオフ・マスクが、クラスタ・ツール1500にウエハを入力する前に、ウエハ上に形成され得る。
【0034】
図16は、本発明のいくつかの実施形態による、角度付きの成膜を実行するための方法1600の概略的な図解である。方法1600は、成膜源を用意すること1602を含む。方法1600は、成膜源の成膜経路に近接マスクを配置すること1604を含み、この近接マスクは、成膜源に対する第1の位置にスリットを有する。方法1600は、成膜角度が実質的に一定に維持されるように、そして、スリットから外れた軌道を有する成膜源物質がウエハと接触することを近接マスクが防止するように、成膜源物質の成膜の間にスリットに対してウエハを移動させること1606を含む。
【0035】
いくつかの実施形態によると、方法1600は、さらに、ウエハ上に成膜された成膜源物質の上に誘電層を形成することを含む。方法1600は、さらに、成膜源に対するスリットの位置を、第1の位置とは異なる第2の位置に変更することと、第2の成膜角度が実質的に一定に維持されるように、そして、スリットから外れた軌道を有する成膜源物質がウエハと接触することを近接マスクが防止するように、成膜源物質の第2の成膜の間にスリットに対してウエハを移動させることと、を含み得る。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によると、蒸着ユニットが、金属成膜の間、走査することが可能なウエハ・ステージと、成膜源に対してある角度を有する近接マスクとを含む。蒸着ユニットは、伸長した蒸着コリメーション開口を通過してウエハが走査されるときに一様なウエハ・コーティングを可能にするため、伸長したコリメーション・シールドの全体にわたる一様な物質供給を可能にする、伸長した成膜源物質コンテナを含み得る。本発明のいくつかの実施形態によると、クラスタ・ツールが、真空破壊を生じさせることなく、現場でのデバイス・モジュール構造の完全な処理を可能にする。クラスタ・ツールは、ウエハのクリーニング、金属の成膜、誘電体の成膜、アニール、製品に適した厳密な寸法制御を伴う完全なウエハ走査による角度付きの金属蒸着、およびカプセル化のためのツールを含む。
【0037】
以上では、本発明の様々な実施形態に関する説明を、例示の目的で呈示してきたが、網羅的であること、または開示されている実施形態に限定されることは、意図されていない。当業者にとっては、説明された実施形態の範囲と思想とから逸脱することなく、多くの修正と変更とが明らかだろう。本明細書において用いられている用語は、実施形態の原理、実際的な応用、もしくは市場において見出される技術に対する技術的優位を最も適切に説明するように、または他の当業者が本明細書に開示されている実施形態を理解することを可能にするように、選択されたものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16