(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】フィルタ回路、デュプレクサ、及び通信機器
(51)【国際特許分類】
H01P 1/20 20060101AFI20241126BHJP
H03H 9/64 20060101ALN20241126BHJP
【FI】
H01P1/20 Z
H03H9/64 Z
(21)【出願番号】P 2022531599
(86)(22)【出願日】2020-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2020132536
(87)【国際公開番号】W WO2021104505
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】201911211785.6
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】グゥ,ジエン
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ウエイビヤオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジーユイ
(72)【発明者】
【氏名】ターン,チーンウー
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,レイ
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-504931(JP,A)
【文献】特開2018-101964(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0191015(US,A1)
【文献】国際公開第2008/009274(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P1/20-7/10
H03H3/007-3/10
H03H9/00-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ回路であって、入力ポートと、複数の直列共振器ユニットと、
1つの並列共振器ユニットと、出力ポートと、を含み、
前記入力ポートは、無線周波数信号を受信するよう構成され、
前記直列共振器ユニットは、前記入力ポートと前記出力ポートとの間に結合され、
前記並列共振器ユニットは、互いに並列に結合されるM個の並列共振器支流を含み、前記M個の並列共振器支流は、前記入力ポートと前記出力ポートとの間の第1ノードと、グランド端子との間に
のみ結合され、前記M個の並列共振器支流の各々は、少なくとも1つの並列共振器を含み、前記第1ノードは、前記複数の直列共振器ユニットのうちの前記出力ポートに最も近い直列共振器ユニットと2番目に近い直列共振器ユニットとの間の
1つのノードであ
り、Mは2より大きい自然数であり、前記直列共振器ユニットが前記並列共振器ユニットと協働して、
前記無線周波数信号の受動相互変調(Passive Inter Modulation)3干渉の大きさを抑制するように前記無線周波数信号をフィルタリングした後に、前記無線周波数信号は前記出力ポートから出力され、
各並列共振器は、第1極性の第1電極、及び第2極性の第2電極を含み、
各並列共振器支流の中の前記第1ノードに結合された電極は、前記第1極性の第1電極であるか、又は、
各並列共振器支流の中の前記第1ノードに結合された電極は、前記第2極性の第2電極である、フィルタ回路。
【請求項2】
各並列共振器支流が2つ以上の共振器を含むとき、前記2つ以上の並列共振器は直列に結合される、請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項3】
各並列共振器支流がN個の共振器を含むとき、前記並列共振器支流の中の2つの並列共振器は、直列に結合され、Nは2である、請求項2に記載のフィルタ回路。
【請求項4】
各並列共振器支流がN個の共振器を含むとき、前記並列共振器支流の中の3個の並列共振器は、直列に結合され、Nは3である、請求項2に記載のフィルタ回路。
【請求項5】
各並列共振器支流の中の直列に結合された並列共振器の数は、異なる、請求項1に記載のフィルタ回路。
【請求項6】
前記直列共振器ユニットは、反共振周波数において高インピーダンス特性を有し、前記並列共振器ユニットは、共振周波数において高インピーダンス特性を有し、前記直列共振器ユニット及び前記並列共振器ユニットは、帯域通過フィルタを形成し、前記帯域通過フィルタの中心周波数は、前記直列共振器ユニットの前記共振周波数、又は前記並列共振器ユニットの前記反共振周波数である、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ回路。
【請求項7】
前記フィルタ回路は、表面音響波フィルタである、請求項6に記載のフィルタ回路。
【請求項8】
前記フィルタ回路は、バルク音響波フィルタである、請求項6に記載のフィルタ回路。
【請求項9】
デュプレクサであって、請求項1~8のいずれか一項に記載の2つのフィルタ回路を含み、前記2つのフィルタ回路は、各々、無線周波数信号受信方向及び無線周波数信号送信方向で、無線周波数信号をフィルタリングする、デュプレクサ。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタ回路を含む通信機器。
【請求項11】
アンテナを更に含み、前記アンテナは前記フィルタ回路に結合される、請求項10に記載の通信機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、参照により全体がここに組み込まれる、中国特許出願番号201911211785.6号、中国特許庁に2019年11月29日に出願、名称「FILTER CIRCUIT, DUPLEXER, AND COMMUNICATION APPARATUS」の優先権を主張する。
【0002】
[技術分野]
本願の実施形態は、無線周波数通信技術の分野に関し、特に、フィルタ回路、デュプレクサ、及び通信機器に関する。
【背景技術】
【0003】
人々の生活の中で通信機器が広く適用されるに伴い、通信機器の重要なパラメータとして、無線信号の品質は、通信機器の全体的品質を測定するために使用されている。通信機器においける無線信号の送信及び受信の両方は、フィルタリングのためのフィルタを必要とする。従って、フィルタは、無線信号の品質に大きな影響を与える。
【0004】
現在、通信機器における無線信号チャネルの数が増大するにつれ、各無線信号チャネルにおけるフィルタ間の受動相互変調(Passive Inter Modulation, PIM)干渉が大きくなっている。従って、各チャネルで送信される無線周波数信号の大きな受動相互変調干渉ノイズが引き起こされ、通信機器の全体的品質が更に影響を受ける。
【発明の概要】
【0005】
前述の問題を解決するために、本願の実施形態は、フィルタ回路、デュプレクサ、及び通信機器を提供する。フィルタ回路の出力ポートに最も近いレベルの並列共振器ユニット内の回路構造は、フィルタ回路の干渉抑制能力を効果的に向上するよう調整される。その結果、フィルタ回路の受動相互変調が望ましくなる。
【0006】
第1の態様によると、本願の実施形態は、フィルタ回路を提供する。フィルタ回路は、入力ポート、直列共振器ユニット、並列共振器ユニット、及び出力ポートを含む。入力ポートは、無線周波数信号を受信するよう構成される。直列共振器ユニットは、入力ポートと出力ポートの間に結合される。直列共振器ユニットが、並列共振器ユニットと協働して、無線周波数信号をフィルタリングした後に、無線周波数信号は出力ポートから出力される。並列共振器ユニットは、互いに並列に結合されたM個の並列共振器支流を含み、M個の並列共振器支流は、入力ポートと出力ポートとの間の第1ノードと、グランド端子との間に結合され、M個の並列共振器支流の各々は、少なくとも1つの並列共振器を含み、並列共振器ユニットは、出力ポートに最も近いレベルの並列共振器ユニットであり、Mは2以上の自然数である。
【0007】
各並列共振器は、第1極性の第1電極と、第2極性の第2電極と、を含む。各並列共振器支流の中の、第1ノードに結合される電極は、第1極性の第1電極であるか、又は、各並列共振器支流の中の、第1ノードに結合される電極は、第2極性の第2電極である。
【0008】
出力ポートに最も近いレベルの並列共振器ユニットは、2個の並列共振器支流を含むので、受動相互変調におけるPIM3が向上でき、フィルタ回路により全体的に生成される干渉は効果的に抑制され、それにより、フィルタリングを通じて得られるワイヤレス無線周波数信号の品質を保証する。更に、2個の並列共振器支流の中の並列共振器の第1ノードに結合される複数の電極は、同じであり、その結果、並列共振器支流の構成がより簡易且つ便利になる。更に、第1ノードに1つの並列共振器だけを配置することにより、干渉が効果的に抑制されるので、フィルタ回路の全体的な体積は効果的に縮小される。
【0009】
本願の実施形態では、各並列共振器支流が2つ以上の共振器を含むとき、2つ以上の並列共振器は直列に結合される。並列共振器が直列に結合されるので、並列共振器の結合方法はより簡易且つ便利である。
【0010】
本願の実施形態では、各並列共振器支流が2又は3個の共振器を含むとき、並列共振器ユニットの中の並列共振器の数、及び干渉抑制能力が最良の平衡点に達することができるように、並列共振器ユニットの設計は平衡を取られる必要がある。具体的には、この場合には、並列共振器の数が少ないので、フィルタ回路はより良い干渉抑制性能を有し、フィルタ回路の全体的体積はより小さい。
【0011】
本願の実施形態では、各並列共振器支流の中の直列に結合される並列共振器の数は、異なり、フィルタ回路の干渉抑制能力は、各並列共振器支流の中の並列共振器の数を調整することにより、調整される。その結果、フィルタ回路の干渉抑制能力が柔軟に調整できる。
【0012】
本願の実施形態では、直列共振器ユニットは、反共振周波数において高インピーダンス特性を有し、並列共振器ユニットは、共振周波数において高インピーダンス特性を有し、直列共振器ユニット及び並列共振器ユニットは、帯域通過フィルタを形成し、帯域通過フィルタの中心周波数は、直列共振器ユニットの共振周波数、又は並列共振器ユニットの反共振周波数である。フィルタ回路が、受信した無線周波数信号をフィルタリングしながら、更に効果的に干渉を抑制できるように、直列共振器ユニットは並列共振器ユニットと協働する。
【0013】
本願の実施形態では、フィルタ回路は、各々低干渉で表面音響波の形式又はバルク音響波の形式で送信される信号をフィルタリングする表面音響波フィルタ又はバルク音響波フィルタであってよい。
【0014】
第2の態様によると、本願の実施形態は、より良い受動相互変調を有するデュプレクサを提供する。デュプレクサは、上述の2個のフィルタ回路を含む。2個のフィルタ回路は、各々、無線周波数信号受信方向及び無線周波数信号送信方向で無線周波数信号をフィルタリングする。その結果、送信方向と受信方向の両方で無線周波数信号に対してフィルタリングが実行されるとき、干渉は良好に抑制でき、受動相互変調は良好である。
【0015】
第3の態様によると、本願の実施形態は、通信機器を提供する。通信機器は、少なくとも前述のフィルタ回路を含む。フィルタ回路は、送信周波数帯域又は受信周波数帯域で無線周波数信号をフィルタリングするときに生成される干渉を良好に抑制でき、良好な受動相互変調を保証できる。その結果、通信機器において送信される信号の品質が良好である。
【0016】
本願の実施形態では、通信機器はアンテナを更に含む。アンテナは、フィルタ回路に結合される。アンテナは、フィルタ回路によりフィルタリングされるべき無線周波数信号を受信し、フィルタ回路により実行されるフィルタリングを通じて得られた無線周波数信号を送信するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】無線周波数通信モジュールの機能モジュール図である。
【0018】
【
図2】本願の実施形態によるデュプレクサの機能モジュール図である。
【0019】
【
図3】本願の実施形態による
図1に示される無線周波数通信モジュールが適用される通信機器の構造の概略図である。
【0020】
【
図4】本願の実施形態による
図1に示される無線周波数通信モジュールが適用される通信機器の構造の概略図である。
【0021】
【
図5】本願の実施形態による
図1に示されるフィルタの回路構造の概略図である。
【0022】
【
図6】サブ直列共振器ユニットの動作特性の中の無線周波数信号波形の概略図である。
【0023】
【
図7】第1並列共振器ユニットの動作特性の中の無線周波数信号波形の概略図である。
【0024】
【
図8】図
5に示されるフィルタの動作特性の中の無線周波数信号波形の概略図である。
【0025】
【
図9】本願の別の実施形態による
図1に示されるフィルタの回路構造の概略図である。
【0026】
【
図10】本願の別の実施形態による
図1に示されるフィルタの回路構造の概略図である。
【0027】
【
図11】本願の別の実施形態による
図1に示されるフィルタの回路構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、無線周波数通信モジュールの機能モジュール図である。
図1に示されるように、無線周波数通信モジュール10は、フィルタ回路100、アンテナ101、及び信号増幅器103を含む。フィルタ回路100は、アンテナ101と信号増幅器103との間に結合される。本実施形態における結合は、電気的導体線を用いて実施される電気的結合であり、それを通じて電気信号が送信できる。
【0029】
アンテナ101は、無線信号を異なる周波数で別の通信機器へ送信し、又は別の通信機器から無線信号を受信するよう構成される。本実施形態では、フィルタ回路100は、信号増幅器103からアンテナ101へ送信周波数帯域で信号を供給するよう構成される。或いは、本願の別の実施形態では、フィルタ回路100は、アンテナ20から信号増幅器103へ受信周波数帯域で信号を供給するよう構成される。更に、フィルタ回路100は、受信周波数帯域又は送信周波数帯域内の種々の周波数を抑制でき、言い換えると、受信周波数帯域内の無線周波数信号をフィルタリングできる。
【0030】
本実施形態では、フィルタ回路100は、フィルタリングするために適用される。言い換えると、フィルタ回路100は、受信周波数帯域又は送信周波数帯域内の無線周波数信号をフィルタリングするフィルタである。
【0031】
本実施形態では、
図1は、1つのみの信号増幅器103を示すが、信号増幅器103は、受信周波数帯域内の処理を実行する低雑音増幅器、及び送信周波数帯域内の電力増幅器を含んでよい。増幅器の段の数、及び段の間のフィルタの数は、実際の状況に基づき設定されてよい。
【0032】
留意すべきことに、本実施形態では、フィルタ回路100は、単一チャネル上の無線周波数信号をフィルタリングする。つまり、フィルタ回路100は、送信周波数帯域内の無線周波数信号を別個にフィルタリングするか、又は受信周波数帯域内のビデオ信号を別個にフィルタリングする。
【0033】
図2に示されるように、本願の実施形態では、2個のフィルタ回路100が、2個のチャネル上のフィルタリングを実行するデュプレクサ100aを形成する。勿論、本願の別の実施形態では、3個以上のフィルタ回路100がマルチチャネルマルチプレクサを形成してよい。
【0034】
具体的に、
図2に示されるように、デュプレクサ100a内の2個のフィルタ回路100は、異なる方向の無線周波数信号を別個に受信し、次にフィルタリングを実行する。例えば、フィルタ回路100のうちの1つは、送信周波数帯域(TX)内の、外部へ送信されるべき、アンテナ101に送信される必要のある無線周波数信号をフィルタリングし、次に、他方のフィルタ回路100は、受信周波数帯域(RX)内の、アンテナ101により提供される無線周波数信号をフィルタリングする。更に、デュプレクサ100は、受信周波数帯域から送信周波数帯域を分離するよう構成される(図示されない)機能回路を更に含む。しかしながら、本実施形態では、2個のフィルタ回路100の回路構造は、基本的に同じである。
【0035】
フィルタ回路100又はフィルタ回路100を含むデュプレクサ100aを、通信装置又はネットワーク装置の設計に含めることにより、フィルタ回路100は、送信周波数帯域内の無線周波数信号又は受信周波数帯域内の無線周波数信号における無線周波数信号内の干渉を低減できる。
【0036】
本実施形態では、フィルタ回路100は、表面音響波(Surface Acoustic Wave, SAW)フィルタに適用されてよい。本願の別の実施形態では、フィルタ回路100は、代替として、バルク音響波(Bulk Acoustic Wave, BAW)フィルタに適用されてよい。
【0037】
図3は、本願の実施形態による
図1に示される無線周波数通信モジュール10が適用される通信機器1の構造の概略図である。
【0038】
本実施形態では、通信機器1はネットワーク装置である。ネットワーク装置は、基地局(base station, BS)を含む。基地局は、
図1に示される無線周波数通信モジュール10を含む。基地局は、無線アクセスネットワークの中に配置され、端末との無線通信を実行できる装置であってよい。基地局は、マクロ基地局、マイクロ基地局、中継局、及びアクセスポイントのような複数の形式であってよい。例えば、本願の実施形態における基地局は、5Gにおける基地局、又はLTEにおける基地局であってよい。5Gにおける基地局は、送受信ポイント(transmission reception point, TRP)又はgNBとも呼ばれてよい。本願の実施形態では、ネットワーク装置機能を実装するよう構成される機器は、ネットワーク装置であってよく、又は、ネットワーク装置が機能を実装するのを支援できる機器、例えばチップシステムであってよい。機器は、ネットワーク装置内に設置されてよい。
【0039】
図4は、本願の実施形態による
図1に示される無線周波数通信モジュール10が適用される通信機器1の構造の概略図である。
【0040】
本実施形態では、通信機器1は、携帯電話機又はタブレットコンピュータのようなモバイル通信装置であってよい。モバイル通信装置は、
図1に示される無線周波数通信モジュール10を含んでよい。
【0041】
図5は、本願の実施形態による
図1に示されるフィルタ回路100の回路構造の概略図である。
【0042】
図5に示すように、フィルタ回路100は、入力ポートIn、インダクタL、直列共振器ユニット110、並列共振器ユニット120、及び出力ポートOutを含む。
【0043】
本実施形態では、入力ポートInは、
図1に示される信号増幅器103に結合され、通信機器内で信号増幅器103により提供されるワイヤレス無線周波数信号を受信するよう構成される。出力ポートOutは、アンテナ101に結合され、無線周波数通信モジュール10が配置される端末内の機能モジュールにより提供されるワイヤレス無線周波数信号をフィルタリングし、次に、アンテナ101を用いて、フィルタリングを通じて得たワイヤレス無線周波数信号を送信する。
【0044】
勿論、本願の別の実施形態では、入力ポートInは、代替として、アンテナ101に結合されてよく、アンテナ101からワイヤレス無線周波数信号を受信するよう構成され、出力ポートOutは、信号増幅器103に結合され、アンテナ101により受信されたワイヤレス無線周波数信号をフィルタリングし、ワイヤレス無線周波数信号を端末内の別の機能モジュールに提供する。
【0045】
直列共振器ユニット110は、入力ポートInと出力ポートOutの間に直列に結合される。並列共振器ユニット120は、入力ポートInと出力ポートOutの間の任意のノードと、グランド端子GNDと、の間に電気的に結合される。
【0046】
本実施形態では、第1直列共振器ユニット110は、直列に直列結合される少なくとも1つのサブ直列共振器ユニットを含む。サブ直列共振器ユニットの数は、フィルタ回路100の実際の要件パラメータに基づき設定されてよい。例えば、図5に示される第1直列共振器ユニット110は、直列に直列結合される4個のサブ直列共振器ユニットを含み、入力ポートInについては、最後の位置に配置されたサブ直列共振器ユニットは、第1ノードNoutと出力ポートOutとの間に結合される。本実施形態では、説明を容易にするために、4個のサブ直列共振器ユニットがサブ直列共振器ユニットSR1、サブ直列共振器ユニットSR2、サブ直列共振器ユニットSR3、及びサブ直列共振器ユニットSR4として定義される。各サブ直列共振器ユニットSR1、サブ直列共振器ユニットSR2、サブ直列共振器ユニットSR3、及びサブ直列共振器ユニットSR4は、低域通過フィルタリング特性を有する。
【0047】
より具体的には、サブ直列共振器ユニットSR1、サブ直列共振器ユニットSR2、サブ直列共振器ユニットSR3、及びサブ直列共振器ユニットSR4は、入力ポートInから出力ポートOutに直列に直列結合され、入力ポートInについては、最後の位置に配置されたサブ直列共振器ユニットSR4が、第1ノードNoutと出力ポートOutとの間に結合される。言い換えると、サブ直列共振器ユニットSR3とサブ直列共振器ユニットSR4との間のノードは、第1ノードNoutと定義される。
【0048】
本願の本実施形態では、第1ノードNoutは、入力ポートInと出力ポートOutとの間の任意のノードであり、第1ノードNoutと出力ポートOutとの間に配置される並列共振器ユニット120に結合されたノードは無い。言い換えると、1つの並列共振器ユニット120が入力ポートInと出力ポートOutとの間の1つのノードに結合されるので、フィルタ回路100に含まれる並列共振器ユニットの数に拘わらず、入力ポートInについては、第1ノードNoutは、最後の位置にある、並列共振器ユニット120に結合するよう構成されるノードである。更に、出力ポートOutについて、第1ノードNoutは、また、最も近い位置にある、並列共振器ユニット120に結合するよう構成されるノードである。
【0049】
例えば、第1ノードNoutは、代替として、別の並列共振器ユニットが第1ノードNoutと出力ポートOutとの間のノードとグランド端子GNDとの間に配置されない限り、サブ直列共振器ユニットSR1とサブ直列共振器ユニットSR2との間に、又はサブ直列共振器ユニットSR2とサブ直列共振器ユニットSR3との間に配置されてよい。
【0050】
各サブ直列共振器ユニットは、少なくとも1つの直列共振器を含む。本実施形態では、入力ポートInに結合される直列共振器ユニットSR1は、直列に結合される2個の直列共振器SR11及びSR12を含み、出力ポートOutに結合される直列共振器ユニットSR4は、直列に結合される2個の直列共振器SR41及びSR42を含む。サブ直列共振器ユニットSR1とサブ直列共振器ユニットSR4との間の他のサブ直列共振器ユニットSR2及びSR3は、直列共振器SR21及びSR31を含む。言い換えると、入力ポートIn又は出力ポートOutに直接結合されないサブ直列共振器ユニットは、1つの直列共振器を含む。
【0051】
本実施形態では、直列共振器SR11、直列共振器SR12、直列共振器SR21、直列共振器SR31、及び直列共振器SR41及びSR42の動作パラメータ及び構造は、フィルタ回路100の実際のパラメータ要件に基づき、同じに設定され又は完全に同じでなくてよい。
【0052】
本願の別の実施形態では、各サブ直列共振器ユニットに含まれる直列共振器の数は、実際の要件に基づき調整されてよく、それに限定されない。
【0053】
インダクタLは、入力ポートInとサブ直列共振器ユニットSR1との間に結合される。更に、インダクタLは、サブ直列共振器ユニットSr4と出力ポートOutとの間にも配置される。インダクタLは、直列共振器ユニット110及び並列共振器ユニット120とのパラメータ整合を実行するよう構成される。勿論、本願の別の実施形態では、代替として、実際の要件に基づきインダクタLが配置される必要がない。
【0054】
本実施形態では、並列共振器ユニット120は、入力ポートInと出力ポートOutとの間に結合され、出力ポートOutに最も近いレベルの並列共振器ユニットである。言い換えると、並列共振器ユニット120は、入力ポートInへの最後のレベルの並列共振器ユニットである。従って、並列共振器ユニット120と出力ポートOutとの間に並列共振器ユニットは存在しない。
【0055】
並列共振器ユニット120は、互いに並列に結合される少なくとも2つの並列共振器支流120a及び120bを含む。並列共振器支流120a及び120bは、各々、少なくとも1つの並列共振器を含む。
【0056】
並列共振器支流120a及び120bは、両方とも、同じ第1ノードNoutとグランド端子GNDとの間に結合される。言い換えると、並列共振器支流120aに結合されるノードへの電圧入力は、並列共振器支流120bに結合されるノードへの電圧入力と同じである。つまり、サブ直列共振器ユニットは、並列共振器支流120aと120bとの間に配置される。
【0057】
並列共振器支流の数Mは、各並列共振器支流に含まれる並列共振器の数Nと同じ又は異なってよい。Mは2以上の自然数であり、Nは1以上の自然数である。
【0058】
より具体的には、MとNが同じ、例えば両方ともiであるとき、並列共振器ユニット120の中の並列共振器は、i×iマトリクスの形式で配置され、iは2以上の自然数であり、M及びN以下である。
【0059】
例えば、並列共振器支流の数M、及び各並列共振器支流の中の並列共振器の数Nが、両方とも2であるとき、並列共振器ユニット120の中の並列共振器は、2×2マトリクスの形式に配置される。
【0060】
本実施形態では、並列共振器支流120a及び120bの各々に含まれる並列共振器の数Nは、2以上であり、並列共振器支流120a及び120bの各々の中の並列共振器は、直列に直列結合される。並列共振器支流120a及び120bは、同じ数、例えば2又は3個の並列共振器を含んでよい。或いは、並列共振器支流120a及び120bは、異なる数の並列共振器を含んでよい。例えば、並列共振器支流120aは、2個の直列の並列共振器を含み、並列共振器支流120aは、3個の直列の並列共振器を含む。
【0061】
本実施形態では、並列共振器支流120a及び120bは、各々、2個の直列の並列共振器を含み、並列支流120aは、第1ノードNoutとグランド端子GNDとの間に直列に結合される第1並列共振器PR1及び第2並列共振器PR2を含み、並列支流120bは、第1ノードNoutとグランド端子GNDとの間に直列に結合される第4並列共振器PR4及び第5並列共振器PR6を含む。
【0062】
より具体的には、第1並列共振器PR1は、第1極性の第1電極PR1Tと、第2極性の第2電極PR1Bとを含み、第2並列共振器PR2は、第1極性の第3電極PR2Tと、第2極性の第4電極PR2Bとを含む。第1電極PR1Tは第1ノードNoutに結合され、第2電極PR1Bは第3電極PR2Tに結合され、第4電極PR2Bはグランド端子GNDに結合される。第1極性は第2極性の反対であり、並列共振器内の2つの異なる極性の電極は反対位相で動作する。
【0063】
第4並列共振器PR4は、第7電極PR4T及び第8電極PR4Bを含む。第5並列共振器PR5は、第9電極PR5T及び第10電極PR5Bを含む。第7電極PR4Tは第1ノードNoutに結合され、第8電極PR4Bは第9電極PR5Tに結合され、第10電極PR5Bはグランド端子GNDに結合される。
【0064】
並列共振器支流120a及び120bの中の並列共振器の中の、第1位置に配置される、同じ極性の電極は、第1ノードNoutに結合される。例えば、図5に示されるように、並列共振器支流120a及び120bの中の並列共振器内の、第1位置に配置される、第1極性の第1電極PR1T及び第7電極PR4Tは、第1ノードNoutに結合される。代替として本願の別の実施形態では、並列共振器支流120a及び120bの中の並列共振器内の、第1位置に配置される、第2極性の第2電極PR1B及び第8電極PR4Bは、第1ノードNoutに結合される。
【0065】
具体的に、本実施形態では、並列共振器支流120a及び120bの中の、第1位置に配置される、第1極性の第1電極PR1T及び第7電極PR4Tは、第1ノードNoutに結合される。更に、並列共振器支流120a及び120bの中の最後の位置に配置される、第2極性の第4電極PR2B及び第10電極PR5Bは、グランド端子GNDに結合される。
【0066】
本願の別の実施形態では、並列共振器支流120a及び120bの中の第1位置に配置される、第1極性の第1電極PR1T及び第7電極PR4Tは、第1ノードNoutに結合される。更に、並列共振器支流120a及び120bの中の最後の位置に配置される、第2極性の第4電極PR2B及び第10電極PR5Bは、グランド端子GNDに結合される。
【0067】
本実施形態では、第1極性の第1電極PR1T、第3電極PR2T、第7電極PR4T、及び第9電極PR5Tは、上の電極であり、第2極性の第2電極PR1B、第4電極PR2B、第8電極PR4B、及びPR5Bは、下の電極である。
【0068】
更に、本実施形態では、並列共振器ユニット120の中の複数のサブ直列共振器ユニット及び複数の並列共振器は、表面音響波共振器である。
【0069】
図5を参照して、フィルタ回路100のフィルタリング動作原理が詳細に説明される。
【0070】
複数のサブ直列共振器ユニットの動作原理及び特性は、
図6に示される。
図6では、X軸は周波数であり、Y軸は散乱パラメータ(伝送損失を表す)であり、記号ωasは直列共振器の反共振周波数であり、記号ωrsは直列共振器の共振周波数である。
図6に示されるように、各直列の並列共振器ユニットの中の直列共振器(Series Resonator)は、反共振周波数ωasにおいて高インピーダンス特性を有し、共振周波数ωrsにおいて低インピーダンス特性を有する。本実施形態では、全部の直列共振器は低域通過フィルタリング特性を有する。高い抑制能力を有する低域通過フィルタリング特性は、複数の直列共振器を直列に結合することにより、表される。言い換えると、周波数ωrsより低い周波数を有する信号は、直列共振器ユニット110を通じて送信できる。
【0071】
留意すべきことに、直列共振器は、入力ポートInと出力ポートOutとの間に直列に結合され、反共振周波数ωasにおいて高インピーダンス特性を有し、共振周波数ωrsにおいて低インピーダンス特性を有する。その結果、直列共振器に入力される無線周波数信号の中で、低周波数を有する無線周波数信号は、直列共振器を通じて送信でき、高周波数を有する無線周波数信号は直列共振器によりブロックされ又は抑制され、送信できない。
【0072】
本実施形態では、各サブ直列共振器ユニットの中の直列共振器の動作特性は、同じである。つまり、各直列共振器の反共振周波数及び共振周波数は同じである。従って、各サブ直列共振器ユニットの反共振周波数は、サブ直列共振器ユニットに含まれる直列共振器の反共振周波数と重なり合い、各サブ直列共振器ユニットの共振周波数は、サブ直列共振器ユニットに含まれる直列共振器の共振周波数と重なり合う。更に、各サブ直列共振器ユニットのインピーダンス特性は、サブ直列共振器ユニットに含まれる直列共振器のインピーダンス特性と同じである。
【0073】
並列共振器ユニット120の中の並列共振器(Parallel Resonator)の動作原理及び特性は、
図7に示される。
図7では、X軸は周波数であり、Y軸は散乱パラメータであり、記号ωapは並列共振器の反共振周波数であり、記号ωrpは並列共振器の共振周波数である。並列共振器ユニットの中の並列共振器は、共振周波数ωrpにおいて高インピーダンス特性を有し、反共振周波数ωapにおいて低インピーダンス特性を有する。本実施形態では、並列共振器ユニット120の中の複数の並列共振器は、全部、高域通過特性を有する。高い抑制能力を有する高域通過フィルタリング特性は、並列に結合され複数の並列共振器を含む複数の並列共振器支流を使用して表される。言い換えると、周波数ωapより高い周波数を有する信号は、並列共振器ユニット120を通じて送信できる。
【0074】
留意すべきことに、並列共振器は、入力ポートInと出力ポートOutとの間のノードと、グランド端子GNDとの間に電気的に結合され、共振周波数ωrpにおいて高インピーダンス特性を有し、反共振周波数ωapにおいて低インピーダンス特性を有する。その結果、並列共振器に入力される無線周波数信号の中で、高周波数を有する無線周波数信号は、並列共振器を通じて出力でき、低周波数を有する無線周波数信号は並列共振器によりブロックされ又は抑制され、出力できない。
【0075】
本実施形態では、並列共振器ユニット120の中の並列共振器の動作特性は、同じである。つまり、各並列共振器の反共振周波数及び共振周波数は同じである。従って、並列共振器ユニット120の反共振周波数は、並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器の反共振周波数と重なり合い、並列共振器ユニット120の共振周波数は、並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器の共振周波数と重なり合う。更に、並列共振器ユニット120のインピーダンス特性は、並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器のインピーダンス特性と同じである。
【0076】
複数のサブ直列共振器ユニット及び並列共振器ユニット120の共振周波数及び反共振周波数を別個に制御することにより、フィルタ回路100により無線周波数信号をフィルタリングする原理は、
図8に示される。複数の直列共振器ユニット低インピーダンス周波数ωrsが並列共振器ユニット120の低インピーダンス反共振周波数ωapとほぼ重なり合うとき、低インピーダンス周波数ωrs及び低インピーダンス反共振周波数ωapは、フィルタ回路通過帯域の中心周波数を形成する。複数のサブ直列共振器ユニットの共振周波数と並列共振器ユニット120の反共振周波数との間の差が、予め設定された差の範囲内にあるとき、帯域通過回路の中心周波数は、複数のサブ直列共振器ユニットの共振周波数又は並列共振器ユニット120の反共振周波数である。本実施形態では、予め設定された差の範囲は、0%~30%ωrs、又は0%~30%ωapである。
【0077】
本実施形態では、複数のサブ直列共振器ユニット及び並列共振器ユニット120の高インピーダンス周波数は、各々、フィルタ回路通過帯域の外側の強力な抑制点を形成する。
【0078】
更に、深い研究を通じて、受動相互変調PIM干渉におけるPIM干渉信号は、各共振器の電力に強く関連していることが分かった。具体的には、各共振器の電力が大きいほど、通常、強いPIM干渉信号を生成する。
【0079】
本実施形態では、無線周波数信号は、電圧分割及び低域通過フィルタリング処理のために、複数のサブ直列共振器ユニットSR1~SR4を通じて流れる。更に、無線周波数信号は、また、電流分割及び高域通過フィルタリング処理のために、並列共振器ユニット120を通じて流れる。更に、電流分割は、並列共振器支流120a及び120bにより、並列共振器ユニット120に入る無線周波数信号に対して実行され、電圧分割は、各並列共振器支流の中の直列に結合された2個の並列共振器により実行される。従って、各並列共振器により伝達される電圧及び電流は、効果的に低減される。その結果、並列共振器ユニット120の中の各並列共振器の電力は、最大の程度まで低減され、PIM干渉信号の大きさは最大の程度まで低減される。各並列共振器の電力が低減されるので、フィルタ回路100の受動相互変調干渉は効果的に抑制される。
【0080】
更に、フィルタ回路100では、無線周波数信号が入力ポートInを通じてフィルタ回路100に入った後に、無線周波数により通過された各サブ直列共振器ユニット及び各並列共振器ユニットは、PIM干渉信号を生成し、PIM干渉信号は次第に蓄積される。並列共振器ユニット120が無線周波数信号に対して最後のレベルのフィルタリングを実行するとき、並列共振器ユニット120は、入力ポートInと並列共振器ユニット120との間の並列共振器ユニットの中の全部の共振器により生成されたPIM干渉信号を抑制でき、フィルタ回路100全体により生成された殆どのPIM干渉信号をフィルタリング除去し、更にフィルタ回路100のPIM干渉信号を低減できる。
【0081】
更に、第1並列共振器120の後に、受動相互変調干渉を生成し続ける他の並列共振器ユニットはない。従って、フィルタ回路100の相互変調生成物(PIM干渉信号)は、出力ポートOutに最も近いノードに並列共振器ユニットを配置するだけで、効果的に低減できる。
【0082】
従って、本実施形態では、2個の並列共振器が、並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器支流120a及び120bの各々の中に直列に結合されるので、受動相互変調においてPIM3(3rd Passive Inter Modulation、第3受動相互変調)を向上できる。フィルタ回路のPIM3は、PIM干渉の主な成分なので、PIM3干渉が抑制された後、フィルタ回路100により全体的に生成される干渉は効果的に低減され、それにより、フィルタリングを通じて得られるワイヤレス無線周波数信号の品質を保証する。更に、1つのみの並列共振器ユニット120が第1ノードNoutに配置されるだけでよいので、フィルタ回路100の体積が効果的に低減される。
【0083】
本実施形態では、2個のフィルタ回路100を含むデュプレクサ100aの動作原理は、基本的に同じである。詳細は、本実施形態では説明しない。
【0084】
本実施形態では、フィルタ回路100が表面音響波(Surface Acoustic Wave, SAW)フィルタに適用されるとき、並列共振器及び直列共振器の両方は、表面音響波共振器であってよい。フィルタ回路100がバルク音響波(Bulk Acoustic Wave, BAW)フィルタに適用されるとき、並列共振器及び直列共振器の両方は、バルク音響波表面共振器であってよい。表面音響波フィルタ及びバルク音響波フィルタは、各々低干渉で表面音響波の形式又はバルク音響波の形式で送信される信号をフィルタリングする。表面音響波は、弾性オブジェクトの表面で生成され、表面に沿って伝わる音響波である。バルク音響波は、弾性オブジェクトの内部で長さ方向に伝わる音響波である。
【0085】
図9は、本願の別の実施形態による
図1に示されるフィルタ回路200の回路構造の概略図である。本実施形態では、フィルタ回路200の構造は、
図5に示されるフィルタ回路100の構造と基本的に同じである。相違点は、フィルタ回路200が、並列共振器ユニット120に加えて、第2並列共振器ユニット140及び第3並列共振器ユニット150を更に含むことである。勿論、フィルタ回路200に含まれる並列共振器ユニットの数は、実際の状況に基づき調整されてよい。例えば、第4並列共振器ユニットが更に配置されてよい。説明を容易にするために、
図9に示される並列共振器ユニット120は、第1並列共振器ユニット120として定義されてよい。
【0086】
本実施形態では、第2並列共振器ユニット140及び第3並列共振器ユニット150は、2つの近隣サブ直列共振器ユニットの間のノードと、グランド端子GNDとの間に結合され、第2並列共振器ユニット140と第3並列共振器ユニット150は、各々1つの並列共振器を含む。
【0087】
本実施形態では、入力ポートInと出力ポートOutとの間の距離関係の観点から、第1並列共振器ユニット120、第2並列共振器140、及び第3並列共振器ユニット150のシーケンスは、入力ポートInに最も近いレベルの並列共振器ユニットであってよく、又は、第2レベルの並列共振器ユニットであってよく、第2並列共振器ユニット140は、第2レベルの並列共振器ユニットであり、第1並列共振器ユニット120は、入力ポートInに対して最後のレベルの並列共振器ユニットであり、言い換えると、第1共振器ユニット120は、出力ポートOutに最も近いレベルの並列共振器ユニットである。
【0088】
第2並列共振器ユニット140及び第3並列共振器ユニット150と比べて、第1並列共振器ユニット120は、出力ポートOutに最も近いレベルの並列共振器ユニットである。従って、第1並列共振器ユニット120と出力ポートOutとの間に別の並列共振器ユニットは存在しない。第1並列共振器ユニット120以外の並列共振器ユニットは、入力ポートInと第1並列共振器ユニット120との間に配置される。
【0089】
例えば、
図9に示されるように、第2並列共振器ユニット140は、サブ直列共振器ユニットSR1とサブ直列共振器ユニットSR2との間のノードN1と、グランド端子GNDとの間に結合され、第3並列共振器ユニット140は、サブ直列共振器ユニットSR2とサブ直列共振器ユニットSr3の間のノードN2と、グランド端子GNDとの間に結合される。本実施形態では、第1ノードNoutとノードN1との間の電圧は、第1ノードNoutとノードN2との間の電圧と異なる。この場合、第1ノードNout、ノードN1、及びノードN3において、入力ポートInについて、第1ノードNoutは、並列共振器ユニットに結合するよう構成される、最後の位置にあるノードである。更に、出力ポートOutについて、第1ノードNoutは、また、最も近い位置にある、並列共振器ユニットに結合するよう構成されるノードである。
【0090】
具体的には、第2並列共振器ユニット140に含まれる並列共振器PR04は、ノードN1とグランド端子GNDとの間に結合され、第3並列共振器ユニット150に含まれる並列共振器PR05は、ノードN2とグランド端子GNDとの間に結合される。各並列共振器ユニットに含まれる全部の並列共振器の動作パラメータ及び構造は、フィルタ回路100の実際のパラメータ要件に基づき、同じに設定され又は完全に同じでなくてよい。
【0091】
例えば、並列共振器PR04、並列共振器PR05、及び第1~第4並列共振器PR1~PR4の動作パラメータ、形状、及び構造は、同じであってよい。勿論、フィルタ回路100の実際のパラメータが調整される必要があるとき、並列共振器PR04、並列共振器PR05、及び第1~第4並列共振器PR1~PR4の動作パラメータ、形状、及び構造は、完全に同じでなくてよい。
【0092】
本実施形態では、第1ノードNoutとグランド端子GNDとの間に配置される並列共振器ユニット120、及び第1ノードNoutと出力ポートOutとの間に結合されるサブ直列共振器ユニットSR4に加えて、第2並列共振器ユニット140は、更に、2つのランダムな近隣サブ直列共振器ユニットの間のノードと、グランド端子GNDとの間に配置される。その結果、フィルタ回路100により生成される相互変調生成物(相互変調干渉信号)は、更に低減でき、無線周波数信号の高域通過フィルタリング効果は、効果的に向上する。
【0093】
本実施形態では、2個の並列共振器が、並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器支流120a及び120bの各々の中に直列に結合されるので、受動相互変調においてPIM3(3rd Passive Inter Modulation、第3受動相互変調)を効果的に向上できる。フィルタ回路のPIM3は、PIM干渉の主な成分なので、PIM3干渉が抑制された後、フィルタ回路100により全体的に生成される干渉は効果的に低減され、それにより、フィルタリングを通じて得られるワイヤレス無線周波数信号の品質を保証する。
【0094】
図10は、本願の別の実施形態による
図1に示されるフィルタ回路300の回路構造の概略図である。本実施形態では、フィルタ回路300の構造は、
図9に示されるフィルタ回路200の構造と基本的に同じである。相違点は、フィルタ回路300では、並列共振器支流120a及び120bの各々において直列内に結合される並列共振器の数Nが3であることである。言い換えると、並列共振器支流120a及び120bは各々、直列に結合された3個の並列共振器を含む。
【0095】
具体的には、
図10に示されるように、並列支流120aは、第1ノードNoutとグランド端子GNDとの間に直列に結合される第1並列共振器PR1、第2並列共振器PR2、及び第3並列共振器PR3を含み、並列支流120bは、第1ノードNoutとグランド端子GNDとの間に直列に結合される第4並列共振器PR4、第5並列共振器PR5、及び第6並列共振器PR6を含む。
【0096】
より具体的には、第1並列共振器PR1は、第1極性の第1電極PR1Tと、第2極性の第2電極PR1Bとを含み、第2並列共振器PR2は、第1極性の第3電極PR2Tと、第2極性の第4電極PR2Bとを含み、第3並列共振器PR3は、第1極性の第5電極PR3Tと、第2極性の第6電極PR3Bとを含む。
【0097】
第1電極PR1Tは第1ノードNoutに結合され、第2電極PR1Bは第3電極PR2Tに結合され、第4電極PR2Bは第5電極PR3Tに結合され、第6電極PR3Bはグランド端子GNDに結合される。
【0098】
第4並列共振器PR4は、第7電極PR4T及び第8電極PR4Bを含む。第5並列共振器PR5は、第9電極PR5T及び第10電極PR5Bを含む。第6並列共振器PR6は、第11電極PR6T及び第12電極PR6Bを含む。
【0099】
第7電極PR4Tは出力ポートOutに結合され、第8電極PR4Bは第9電極PR5Tに結合され、第11電極PR5Bは第11電極PR6Tに結合され、第12電極PR6Bはグランド端子GNDに結合される。
【0100】
並列共振器支流120a及び120bの中の並列共振器の中の、第1位置に配置される、同じ極性の電極は、出力ポートOutに結合される。本実施形態では、並列共振器支流120a及び120bの中第1位置に配置される、第1極性の第1電極PR1T及び第7電極PR4Tは、第1ノードNoutに結合される。更に、並列共振器支流120a及び120bの中の最後の位置に配置される、第2極性の第6電極PR3B及び第12電極PR6Bは、グランド端子GNDに結合される。
【0101】
本願の別の実施形態では、並列共振器支流120a及び120bの中の第1位置に配置される、第1極性の第1電極PR1T及び第7電極PR4Tは、グランド端子GNDに結合される。更に、並列共振器支流120a及び120bの中の最後の位置に配置される、第2極性の第6電極PR3B及び第12電極PR6Bは、第1ノードNoutに結合される。
【0102】
本実施形態では、並列共振器ユニット120内の各並列共振器支流は直列に結合された3個の並列共振器を含むので、無線周波数信号に対して電圧分割が更に実行できる。その結果、各並列共振器における電流及び電圧は、更に低減され、フィルタ回路100により生成される相互変調生成物(PIM干渉信号)は、更に低減できる。本実施形態では、3個の並列共振器が、並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器支流120a及び120bの各々の中に直列に結合されるので、受動相互変調においてPIM3(3rd Passive Inter Modulation、第3受動相互変調)を効果的に向上できる。フィルタ回路のPIM3は、PIM干渉の主な成分なので、PIM3干渉が抑制された後、フィルタ回路100により全体的に生成される干渉は効果的に低減され、それにより、フィルタリングを通じて得られるワイヤレス無線周波数信号の品質を保証する。
【0103】
図11は、本願の別の実施形態による
図1に示されるフィルタ回路400の回路構造の概略図である。本実施形態では、フィルタ回路400の構造は、
図9に示されるフィルタ回路200の構造と基本的に同じである。相違点は、フィルタ回路300では、第1並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器支流の数Mが3であり、各並列共振器支流に含まれる並列共振器の数Nが2であることである。言い換えると、第1並列共振器ユニット120は、3個の並列共振器支流を含み、各並列共振器支流は、直列に結合された2個の並列共振器を含む。
【0104】
具体的に、
図11に示されるように、第1並列共振器ユニット120は、互いに並列に結合される少なくとも3個の並列共振器支流120a、120b、及び120cを含む。
図11に示される並列共振器支流120a及び120bの回路構造及び結合方法は、図
5に示される並列共振器支流120a及び120bの回路構造及び結合方法と同じである。詳細は、本実施形態では説明しない。
【0105】
並列共振器支流120cは、出力ポートOutとグランド端子GNDとの間に直列に結合される第7並列共振器PR7及び第8並列共振器PR8を含む。
【0106】
第7並列共振器PR7は、第1極性の第13電極PR7Tと、第2極性の第14電極PR7Bと、を含む。第8並列共振器PR8は、第1極性の第15電極PR8Tと、第2極性の第16電極PR2Bと、を含む。
【0107】
第13電極PR7Tは出力ポートOutに最も近いノードNoutに結合され、第14電極PR7Bは第15電極PR8Tに結合され、第16電極PR2Bはグランド端子GNDに結合される。
【0108】
本実施形態では、2個の並列共振器が、並列共振器ユニット120に含まれる並列共振器支流120a、120b、及び120cの各々の中で直列に結合される。従って、並列共振器ユニット120は、3個の並列共振器支流を含むので、無線周波数信号に対して電流分割が更に実行でき、各並列共振器における電流及び電力は更に低減される。その結果、受動相互変調におけるPIM3(3rd Passive Inter Modulation、第3相互変調)は更に向上し、フィルタ回路100により全体的に生成される干渉は効果的に抑制され、それにより、フィルタリングを通じて得られるワイヤレス無線周波数信号の品質を保証する。
【0109】
以上は、本願の実施形態において提供される受動相互変調を向上するフィルタを詳細に記載した。本願明細書では、本願の原理及び実施形態を説明するために特定の例が使用された。前述の実施形態における説明は、単に本願の方法及び核である思想を理解するのを助けるために使用された。更に、当業者は、本願の思想に基づき特定の実施形態及び本願の範囲に変更を行うことができる。結論として、本願明細書の内容は、本願を限定するものとして考えられるべきではない。