(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/31 20130101AFI20241126BHJP
【FI】
G06F21/31
(21)【出願番号】P 2024511065
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2022016665
(87)【国際公開番号】W WO2023188313
(87)【国際公開日】2023-10-05
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】町田 健一
(72)【発明者】
【氏名】松井 一比良
(72)【発明者】
【氏名】田中 麻斗
【審査官】青木 重徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-293500(JP,A)
【文献】国際公開第2011/074260(WO,A1)
【文献】特開2021-158413(JP,A)
【文献】特開2009-010503(JP,A)
【文献】特開2016-119634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/00
21/30-21/46
G10L 15/00-17/26
H04L 51/00-51/58
67/00-67/75
H04M 3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して接続される第1の端末の認証に用いられたユーザIDと、前記第1の端末から送信された第1の電話番号とを対応付けた対応情報を記憶部に保持するように構成されている番号保持部と、
音声通話の音声パケットから第2の電話番号を特定するように構成されている番号特定部と、
前記記憶部に保持されている対応情報を用いて、前記第2の電話番号と一致する第1の電話番号に対応付けられているユーザIDを特定するように構成されているユーザ特定部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記音声パケットに含まれる音声データが表す音声を音声認識によりテキストに変換するように構成されている音声認識部と、
前記ユーザ特定部によって特定されたユーザIDでログオンしている第1の端末に対して、前記テキストを送信するように構成されている送信部と、を更に有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送信部は、
前記ユーザIDによって識別されるユーザを監視する監視者の第2の端末に対して、前記ユーザIDと前記テキストとを送信するように構成されている、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の電話番号と前記テキストとが少なくとも含まれるログ情報を作成し、前記ログ情報を前記記憶部に保存するように構成されているログ保存部を更に有する請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ログ保存部は、
通信ネットワークを介して接続される第3の端末上に表示された所定の画面における前記ユーザID及び前記第2の電話番号の指定に応じて、前記ユーザIDが含まれるユーザ情報と前記第2の電話番号が含まれるログ情報とを対応付ける情報を前記記憶部に保存するように構成されている、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の電話番号を用いて、前記対応情報に含まれる第1の電話番号が不正なものであるか否かを判定するように構成されている不正検知部と、
前記不正検知部によって前記第1の電話番号が不正なものであると判定された場合、前記ユーザIDによって識別されるユーザを監視する監視者の第2の端末に対して、前記対応情報におけるユーザIDと第1の電話番号との対応付けに関して前記監視者に確認を求める提示を行うための提示情報を送信するように構成されている提示部と、を更に有する請求項1乃至5の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示部は、
前記第1の電話番号によって表される通話に関する情報と、前記通話以外の情報との少なくとも1つの情報と共に前記対応付けの確認を前記監視者に求める提示を行うための提示情報を生成する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記不正検知部は、
前記音声通話の音声と、前記ユーザIDによって識別されるユーザの音声とを声紋認証により比較し、前記比較の結果を表す一致度が所定の閾値以上である場合、前記第1の電話番号は不正なものではないと判定し、前記一致度が所定の閾値未満である場合、前記第1の電話番号は不正なものであると判定するように構成されている、請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1の電話番号は、前記第1の端末が設置されているエリア又は前記ユーザIDに応じて予め決められた複数の電話番号の中から選択された電話番号である、請求項1乃至
8の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記番号保持部は、
前記第1の端末に表示された認証画面で入力された前記ユーザIDと、前記第1の端末に表示された前記認証画面又は前記認証画面での認証に成功した後に表示される画面で入力された前記第1の電話番号とを対応付けた前記対応情報を前記記憶部に保持するように構成されている、請求項1乃至
9の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
通信ネットワークを介して接続される第1の端末の認証に用いられたユーザIDと、前記第1の端末から送信された第1の電話番号とを対応付けた対応情報を記憶部に保持する番号保持手順と、
音声通話の音声パケットから第2の電話番号を特定する番号特定手順と、
前記記憶部に保持されている対応情報を用いて、前記第2の電話番号と一致する第1の電話番号に対応付けられているユーザIDを特定するユーザ特定手順と、
をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項12】
通信ネットワークを介して接続される第1の端末の認証に用いられたユーザIDと、前記第1の端末から送信された第1の電話番号とを対応付けた対応情報を記憶部に保持する番号保持手順と、
音声通話の音声パケットから第2の電話番号を特定する番号特定手順と、
前記記憶部に保持されている対応情報を用いて、前記第2の電話番号と一致する第1の電話番号に対応付けられているユーザIDを特定するユーザ特定手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンタクトセンタ(又は、コールセンタとも呼ばれる。)では、オペレータの業務支援や業務効率化、顧客満足度向上等を目的として、CTI(Computer Telephony Integration)が導入されることが多くなってきている。CTIとは、音声認識システムや顧客管理システム等といったコンピュータと電話機やPBX(Private branch exchange)
とを統合・連携させる仕組みのことである(例えば、非特許文献1)。CTIを導入することで、例えば、音声認識システムとPBXとを連携させて、コンタクトセンタの通話に対して音声認識を行うこと等が可能となる。以下、CTIを導入し、コンピュータと電話機やPBXとを連携させることを「CTI連携」とも呼ぶ。
【0003】
ところで、近年では、オペレータの着座座席に関してフリーアドレス制を採用するコンタクトセンタが増えている。フリーアドレス制とは、オペレータが固定的な座席を持たず、自由に又は何等かのルールに従って座席を選択できる仕組みのことである。フリーアドレス制ではオペレータの座席は日々変わり得るが、CTI連携によって音声認識を行うことで、音声認識された通話とオペレータとを紐付けることが可能となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】"CTIミドルウェア「CTBASE/Core」 | NTTテクノクロス",インターネット<URL:https://www.ntt-tx.co.jp/products/ctbase/core.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンタクトセンタに音声認識システムを導入して通話の音声認識を行いたい一方で、様々な事情によりCTIを導入できない場合もある。例えば、既設のPBXがCTI連携機能を備えていない又はキャパティ不足によりCTI連携が困難であるが、PBXの入れ替えコストは許容できないような場合である。
【0006】
このような場合、特にフリーアドレス制を採用しているコンタクトセンタでは、音声認識された通話とオペレータとの紐付けができない、という問題がある。このため、どの音声認識結果がどのオペレータの通話に関するものであるかを紐付けることができない。
【0007】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたもので、通話とオペレータとを紐付ける技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様による情報処理装置は、通信ネットワークを介して接続される第1の端末の認証に用いられたユーザIDと、前記第1の端末から送信された第1の電話番号とを対応付けた対応情報を記憶部に保持するように構成されている番号保持部と、音声通話の音声パケットから第2の電話番号を特定するように構成されている番号特定部と、前記記憶部に保持されている対応情報を用いて、前記第2の電話番号と一致する第1の電話番号に対応付けられているユーザIDを特定するように構成されているユーザ特定部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、通話とオペレータとを紐付ける技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一の実施形態に係るコンタクトセンタシステムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】第一の実施形態に係る通話とオペレータの紐付け方法とそれを利用した音声認識結果の送信の一例を説明するための図である。
【
図3】第一の実施形態に係るコンタクトセンタの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】第一の実施形態に係るログオン時の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】第一の実施形態に係る音声認識処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】第二の実施形態に係るコンタクトセンタの機能構成の一例を示す図である。
【
図11】第二の実施形態に係る音声認識処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図12】第二の実施形態に係るオペレータ情報・ログ対応付け処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】第二の実施形態に係るログ補完・修正処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態として第一の実施形態と第二の実施形態について説明する。以下、各実施形態では、コンタクトセンタを対象として、顧客との通話(音声通話)を音声認識する際に、CTI連携せずに、当該通話とその通話に応対しているオペレータとを紐付けることが可能なコンタクトセンタシステム1について説明する。ただし、コンタクトセンタは一例であって、コンタクトセンタ以外にも、例えば、オフィス等で勤務する担当者を対象として、通話とその通話に応対している担当者とを紐付ける場合等にも同様に適用することが可能である。より一般には、ある通話とその通話に応対している人とを紐付ける場合にも同様に適用することが可能である。
【0012】
[第一の実施形態]
まず、第一の実施形態について説明する。
【0013】
<コンタクトセンタシステム1の全体構成>
本実施形態に係るコンタクトセンタシステム1の全体構成例を
図1に示す。
図1に示すように、本実施形態に係るコンタクトセンタシステム1には、音声認識システム10と、複数のオペレータ端末20と、複数の電話機30と、1以上のスーパバイザ端末40と、1以上の管理者端末50と、PBX60と、NWスイッチ70と、顧客端末80とが含まれる。ここで、音声認識システム10、オペレータ端末20、電話機30、スーパバイザ端末40、管理者端末50、PBX60、及びNWスイッチ70は、コンタクトセンタのシステム環境であるコンタクトセンタ環境E内に設置されている。なお、コンタクトセンタ環境Eは同一の建物内のシステム環境に限られず、例えば、地理的に離れた複数の建物内のシステム環境であってもよい。
【0014】
音声認識システム10は、NWスイッチ70から送信されたパケット(音声パケット)を用いて、顧客とオペレータとの間の通話を音声認識によりテキストに変換すると共に、その通話に応対しているオペレータを特定する。
【0015】
オペレータ端末20は、オペレータが利用するPC(パーソナルコンピュータ)等の端末である。電話機30は、オペレータが利用するIP(Internet Protocol)電話機(固
定IP電話機又は携帯IP電話機等)である。ここで、以下では、コンタクトセンタではフリーアドレス制が採用されており、オペレータの座席が日々(又は、例えば、午前と午後の間、担当業務の変更等といった何等かのタイミングで)変わり得ることを想定する。また、一般的なコンタクトセンタでは、オペレータの各座席には1台のオペレータ端末20と1台の電話機30とが設置されていることが多い。そこで、本実施形態でも、このようなコンタクトセンタを想定し、フリーアドレス制が採用されており、オペレータの座席が日々変わり得ると共に、それらの各座席には1台のオペレータ端末20と1台の電話機30とが設置されているものとする。
【0016】
スーパバイザ端末40は、スーパバイザが利用するPC等の端末である。スーパバイザとは、例えば、オペレータの通話を監視し、何等かの問題が発生しそうな場合やオペレータからの要請に応じてそのオペレータの電話応対業務を支援する者のことである。通常、数人~十数人程度のオペレータの通話が1人のスーパバイザにより監視されることが一般的である。
【0017】
管理者端末50は、コンタクトセンタ環境Eのシステム管理者が利用するPC等の端末である。なお、
図1に示す例では管理者端末50が1台のみ図示されているが、管理者端末50は複数台存在してもよい。
【0018】
PBX60は、電話交換機(IP-PBX)であり、VoIP(Voice over Internet Protocol)網やPSTN(Public Switched Telephone Network)を含む通信ネットワー
ク90に接続されている。
【0019】
NWスイッチ70は、電話機30とPBX60との間でパケットを中継すると共に、そのパケットをキャプチャして音声認識システム10に送信する。
【0020】
顧客端末80は、顧客が利用するスマートフォンや携帯電話、固定電話等の各種端末である。
【0021】
なお、
図1に示すコンタクトセンタシステム1の全体構成は一例であって、他の構成であってもよい。例えば、
図1に示す例では、音声認識システム10がコンタクトセンタ環境Eに含まれているが(つまり、音声認識システム10はオンプレミス型であるが)、音声認識システム10の全部又は一部の機能がクラウドサービス等により実現されていてもよい。同様に、
図1に示す例では、PBX60はオンプレミス型の電話交換機であるが、クラウドサービスにより実現されていてもよい。
【0022】
<通話とオペレータの紐付けとその紐付けを利用した音声認識結果の送信>
本実施形態に係るコンタクトセンタシステム1で通話とオペレータとを紐付けて、その紐付けを利用して音声認識結果をそのオペレータが利用するオペレータ端末20に送信する場合について、
図2を参照しながら説明する。ここで、各オペレータは、電話応対業務を開始する際に、自身の座席を選択し、その座席のオペレータ端末20に自身のオペレータIDとそれに対応するパスワードでログオンするものとする。なお、オペレータIDはオペレータを一意に識別する識別情報である。オペレータIDの代わりに、ログオンID等といった別の識別情報とそれに対応するパスワードがログオンに用いられてもよい。
【0023】
オペレータは、典型的には、上記の座席選択及びログオンを出勤時に行うが、これに限られず、例えば、午前と午後で異なる座席を利用する場合には午前の業務開始時と午後の業務開始時に座席選択及びログオンを行ってもよい。また、担当業務の変更に応じて異なる座席を利用する場合には変更前の担当業務の開始時と変更後の担当業務の開始時に座席選択及びログオンを行ってもよい。これら以外にも、その他の何等かのタイミングで座席選択及びログオンを行ってもよい。
【0024】
なお、オペレータは、退勤時等といった業務終了時や担当業務の変更時にオペレータ端末20からログアウトするが、これは従来技術と同様であるため、本実施形態ではその説明を省略する。
【0025】
このとき、本実施形態に係るコンタクトセンタシステム1は、以下の(1-1)~(1-6)により、通話とオペレータとを紐付けて、その通話の音声認識結果をそのオペレータが利用するオペレータ端末20上に表示させる。
【0026】
(1-1)まず、オペレータ端末20は、オペレータのログオン操作に応じて、このログオン操作で入力されたログオン情報(オペレータID及びそれに対応するパスワード)を音声認識システム10に送信する。なお、オペレータIDとそれに対応するパスワード(正しいパスワード)は音声認識システム10が保持していてもよいが、これに限られるものではなく、例えば、認証システム等といった音声認識システム10以外のシステム又は装置等が保持していてもよい。
【0027】
(1-2)次に、オペレータ端末20は、オペレータによる内線番号(例えば、「XXXX」)の入力操作に応じて、その内線番号を音声認識システム10に送信する。ここで、オペレータは、自身の座席に設置されている電話機30(つまり、上記の(1-1)でログオンしたオペレータ端末20と同一座席に設置されている電話機30)の内線番号を入力する。なお、当該電話機30の内線番号は、例えば、その電話機30のディスプレイ上に表示されていてもよいし、その電話機30が設置されている座席に張り紙等されていてもよい。
【0028】
(1-3)音声認識システム10は、オペレータ端末20から送信されたログオン情報に含まれるオペレータIDと、当該オペレータ端末20から送信された内線番号とを対応付けて保持する。これにより、内線番号からオペレータIDを特定することが可能となる。
【0029】
(1-4)顧客端末80からの発信を電話機30が着信した場合、音声認識システム10は、当該顧客端末80と当該電話機30との間の通話のパケットをキャプチャし、そのパケットから当該電話機30の内線番号を特定する。これにより、その内線番号からオペレータIDを特定することができるため、当該通話とオペレータとが紐付けられたことになる。
【0030】
(1-5)音声認識システム10は、当該顧客端末80と当該電話機30との間の通話のパケットに含まれる音声データに対して音声認識を行って、当該音声データが表す音声をテキスト(以下、「音声認識テキスト」ともいう。)に変換する。
【0031】
(1-6)そして、音声認識システム10は、当該通話に紐付けられているオペレータが利用するオペレータ端末20に対して、音声認識結果である音声認識テキストを送信する。これにより、当該オペレータ端末20上に音声認識テキストをリアルタイムに表示することが可能となる。なお、この場合、音声認識システム10は、例えば、オペレータのログオン時にそのオペレータのログオンに用いられたオペレータ端末20の識別情報やIPアドレス等といったオペレータ端末情報をオペレータIDと対応付けて保持しておき、このオペレータ端末情報を用いて音声認識テキストの送信先となるオペレータ端末20を特定すればよい。以下では、特に言及しないが、上記のように、音声認識システム10が音声認識テキストの送信先のオペレータ端末20を特定した上でその音声認識テキストを送信し、この音声認識テキストを表示するための画面はオペレータ端末20で生成されるものとする。ただし、これに限られるものではなく、例えば、オペレータID等が含まれる要求をオペレータ端末20が音声認識システム20に送信し、この要求に対する応答として音声認識テキスト(やその音声認識テキストが表示される画面の情報等)が音声認識システム10から当該オペレータ端末20に返信されてもよい。
【0032】
<コンタクトセンタシステム1の機能構成>
本実施形態に係るコンタクトセンタシステム1に含まれる音声認識システム10及びオペレータ端末20の機能構成を
図3に示す。
【0033】
≪音声認識システム10≫
図3に示すように、本実施形態に係る音声認識システム10は、認証部101と、内線番号保持部102と、内線番号特定部103と、音声認識部104とを有する。これら各部は、例えば、音声認識システム10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサに実行させる処理により実現される。ま
た、本実施形態に係る音声認識システム10は、記憶部110を有する。記憶部110は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置により実現可能である。ただし、記憶部110は、例えば、音声認識システム10と通信ネットワークを介して接続される記憶装置等により実現されていてもよい。
【0034】
認証部101は、オペレータ端末20から受信したログオン情報(オペレータIDとそれに対応するパスワード)を用いて、そのオペレータ端末20の認証を行う。
【0035】
内線番号保持部102は、認証に成功したオペレータ端末20から送信された内線番号と、そのオペレータ端末20の認証に用いられたログオン情報に含まれるオペレータIDとを対応付けて記憶部110に保持する。
【0036】
内線番号特定部103は、NWスイッチ70から送信されたパケットから、顧客端末80と通話を行っている電話機30の内線番号を特定する。
【0037】
音声認識部104は、NWスイッチ70から送信されたパケットに含まれる音声データに対して音声認識を行って、当該音声データが表す音声を音声認識テキストに変換する。また、音声認識部104は、記憶部110に記憶されている内線番号とオペレータIDの対応付けを参照して、内線番号特定部103によって特定された内線番号に対応するオペレータIDを特定した上で、そのオペレータIDでログオンしているオペレータ端末20に対してその音声認識テキストを送信する。
【0038】
記憶部110には、内線番号とオペレータIDの対応付けを表す情報が格納される。これ以外にも、記憶部110には様々な情報(例えば、オペレータ端末20の認証に必要な情報等)が格納されていてもよい。
【0039】
≪オペレータ端末20≫
図3に示すように、本実施形態に係るオペレータ端末20は、ログオン要求部201と、内線番号送信部202と、UI制御部203とを有する。これら各部は、例えば、オペレータ端末20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等のプロセッサに実行させる処理により実現される。
【0040】
ログオン要求部201は、オペレータの操作に応じて、このログオン操作で入力されたログオン情報(オペレータID及びそれに対応するパスワード)を音声認識システム10に送信する。
【0041】
内線番号送信部202は、オペレータによる内線番号の入力操作に応じて、その内線番号を音声認識システム10に送信する。
【0042】
UI制御部203は、オペレータ端末20のディスプレイ上に各種画面(例えば、後述するログオン画面、内線番号入力画面、オペレータ画面等)を表示する。また、UI制御部203は、これらの各種画面において、オペレータからの各種入力操作を受け付ける。
【0043】
<ログオン時の処理>
以下、オペレータがオペレータ端末20にログオンする時の処理について、
図4を参照しながら説明する。
【0044】
オペレータ端末20のUI制御部203は、オペレータによるログオン情報の入力操作を受け付ける(ステップS101)。ここで、オペレータは、例えば、
図5に示すようなログオン画面G1000上でログオン情報の入力操作を行うことができる。すなわち、オペレータは、
図5に示すログオン画面G1000において、自身のオペレータIDをオペレータID入力欄G1001に入力すると共に、そのオペレータIDに対応するパスワードをパスワード入力欄G1002に入力した上で、OKボタンG1003を押下することで、ログオン情報の入力操作を行うことができる。
【0045】
オペレータ端末20のログオン要求部201は、上記のステップS101の入力操作によって入力されたログオン情報(オペレータID及びそれに対応するパスワード)を音声認識システム10に送信する(ステップS102)。
【0046】
音声認識システム10の認証部101は、オペレータ端末20からログオン情報を受信すると、このログオン情報を用いて当該オペレータ端末20を認証する(ステップS103)。すなわち、認証部101は、当該ログオン情報に含まれるオペレータIDとパスワードが正しいか否かを検証し、その検証に成功した場合は認証成功とし、そうでない場合は認証失敗とする。なお、オペレータIDとパスワードが正しいか否かの検証は様々な方法で行うことが可能であるが、例えば、正しいオペレータIDとパスワードが格納された認証情報テーブルを参照することで、ログオン情報に含まれるオペレータIDとパスワードが正しいか否かを検証する方法が一般的である。
【0047】
なお、認証部101は、上記の認証結果(認証成功又は認証失敗)をオペレータ端末20に返信する。以下では、認証成功を示す認証結果が返信されたものとして説明を続ける。
【0048】
オペレータ端末20のUI制御部203は、オペレータによる内線番号の入力操作を受け付ける(ステップS104)。ここで、オペレータは、例えば、
図6に示すような内線番号入力画面G2000上で内線番号の入力操作を行うことができる。すなわち、オペレータは、
図6に示す内線番号入力画面G2000において、自身の座席に設置されている電話機30の内線番号を内線番号入力欄G2001に入力した上で、OKボタンG2002を押下することで、内線番号の入力操作を行うことができる。
【0049】
オペレータ端末20の内線番号送信部202は、上記のステップS104の入力操作によって入力された内線番号を音声認識システム10に送信する(ステップS105)。
【0050】
音声認識システム10の内線番号保持部102は、オペレータ端末20から内線番号を受信すると、この内線番号と、上記のステップS103で受信したログオン情報に含まれるオペレータIDとを対応付けて記憶部110に保持する(ステップS106)。これにより、(内線番号,オペレータID)という形式で内線番号とオペレータIDとを対応付けた情報(以下、対応情報ともいう。)が記憶部110に保持される。なお、例えば、オペレータ端末20から受信した内線番号と同一の内線番号が含まれる対応情報が既に記憶部110に記憶されている場合は、内線番号保持部102は、その対応情報に含まれるオペレータIDを、上記のステップS103で受信したログオン情報に含まれるオペレータIDに更新すればよい。
【0051】
ここで、
図6に示す内線番号入力画面G2000では、オペレータは内線番号入力欄G2001に自由に内線番号を入力することが可能である。このため、内線番号の入力誤りが発生する可能性がある。また、他の座席の内線番号が入力されることで、後述するオペレータ画面におい他のオペレータの通話を参照できてしまう。そこで、自由に内線番号を入力できるのではなく、予め決められた複数の内線番号の中から選択可能となることが好ましい。
【0052】
この場合、例えば、
図6に示す内線番号入力画面G2000の代わりに、例えば、
図7に示すような内線番号入力画面G3000を表示することが考えられる。
図7に示す内線番号入力画面G3000の内線番号入力欄G30001にはプルダウンボタンG3011が存在し、オペレータがプルダウンボタンG3011を押下すると、そのオペレータが選択可能な内線番号がプルダウンメニューG3012として表示される。このため、オペレータは、プルダウンメニューG3012の中から自身の座席に設置されている電話機30の内線番号を選択した上で、OKボタンG3002を押下し、内線番号の入力操作を行うことになる。これにより、誤った内線番号が入力されてしまう事態や他の座席の内線番号が不正に入力されてしまう事態等を防止できる。
【0053】
なお、一般に、コンタクトセンタでは電話応対業務の内容(例えば、契約業務、サポート業務、営業業務等)に応じていくつかの座席がまとめて設置(つまり、いわゆる島型レイアウトで座席が設置)されていることが多い。このため、例えば、自身の電話応対業務の内容に応じて特定の座席群の中から自身の座席を選択するようなフリーアドレス制の場合、その座席群毎にオペレータが選択可能な内線番号が決められていてもよい。又は、例えば、座席又は座席群が存在するエリア毎にオペレータが選択可能な内線番号が決められていてもよい。これら以外にも、例えば、オペレータが電話応対業務の内容に応じてグループ分けされている場合は、ログオンに用いられたオペレータIDから当該オペレータが属するグループ等を特定し、そのグループに応じて選択可能な内線番号が決められてもよい。
【0054】
また、上記ではログオン画面でログオン情報を入力し、内線番号入力画面で内線番号を入力したが、これに限られるものではなく、例えば、同一画面でログオン情報と内線番号の両方が入力されてもよい。
【0055】
<音声認識処理>
以下、オペレータがオペレータ端末20にログオンしており、当該オペレータ端末20と同一座席に設置されている電話機30を用いて顧客端末80と通話しているものとする。このとき、当該通話の音声認識を行って、その結果を当該オペレータ端末20のディスプレイ上に表示する場合の処理について、
図8を参照しながら説明する。ここで、電話機30と顧客端末80との間で通話が行われている間、当該通話のパケット(音声パケット)はNWスイッチ70によってキャプチャされ、その都度又は所定のデータ量のパケットをバッファさせた後、音声認識システム10に送信される。
【0056】
NWスイッチ70でキャプチャされたパケットを受信すると(ステップS201)、音声認識システム10の内線番号特定部103は、当該パケットから、当該通話を行っている電話機30の内線番号を特定する(ステップS202)。これにより、特定した内線番号と記憶部110に格納されている対応情報からオペレータIDを特定することができるため、当該通話とオペレータとが紐付けられたことになる。
【0057】
ここで、一般にパケットには内線番号が含まれているため、内線番号特定部103は、そのパケットを解析することで、当該内線番号を特定することが可能である。ただし、例えば、パケットが暗号化されている場合やパケットのプロトコルが一般的なプロトコルではない場合等には、その解析が困難である。そこで、このような場合、電話機30のIPアドレスが固定的であるという前提の下、内線番号特定部103は、電話機30のIPアドレスとその内線番号とが格納された内線番号テーブルを参照することで、当該パケットのIPアドレスから内線番号を特定すればよい。
【0058】
次に、音声認識システム10の音声認識部104は、当該パケットに含まれる音声データに対して音声認識を行って、当該音声データが表す音声を音声認識テキストに変換する(ステップS203)。
【0059】
次に、音声認識システム10の音声認識部104は、記憶部110に記憶されている対応情報を参照して、上記のステップS202で特定された内線番号に対応するオペレータIDを特定する(ステップS204)。
【0060】
次に、音声認識システム10の音声認識部104は、上記のステップS204で特定されたオペレータIDでログオンしているオペレータ端末20に対して、上記のステップS203で得られた音声認識テキスト(音声認識結果)を送信する(ステップS205)。
【0061】
オペレータ端末20のUI制御部203は、音声認識結果を表す音声認識テキストを受信すると、この音声認識テキストをディスプレイ上に表示する(ステップS206)。例えば、当該オペレータ端末20のディスプレイ上には、
図9に示すようなオペレータ画面G4000が表示されているものとする。このオペレータ画面G4000にはオペレータと顧客の発話を表す音声認識テキストで表示される発話表示欄G4001が含まれており、音声認識テキストを受信すると、UI制御部203によって発話表示欄G4001内に当該音声認識テキストが発話者毎に時系列順で表示される。これにより、オペレータは通話中における各発話者の各発話内容をテキストでリアルタイムに確認することが可能となる。
【0062】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。上述したように、
図6に示すような内線番号入力画面G2000では内線番号の入力誤りや内線番号の不正入力が発生し得る。これに対して、
図7に示すような内線番号入力画面G3000では内線番号の入力誤りや内線番号の不正入力を防止することが可能となるが、例えば、座席群毎にオペレータが選択可能な内線番号が決められているような場合には、自身が選択した座席と同一の座席群の内線番号を入力することは可能である。このため、例えば、自身が選択した座席と同一の座席群の中の他の座席の内線番号を入力し、その他の座席に座っているオペレータの通話を不正に見ることが可能できてしまう。
【0063】
そこで、本実施形態では、上記のような不正を抑止することを目的として、不正が検知された場合はスーパバイザ等にアラートを通知する場合について説明する。また、後日の監査等のために、オペレータが入力した内線番号等を音声認識テキスト等と共にログとして保存する場合についても説明する。加えて、ログのデータ形式上、ログにオペレータIDが含まれない場合は、どのログがどのオペレータのログであるかが不明となってしまうため、そのようなログを、オペレータを表す情報(以下、オペレータ情報ともいう。)と対応付ける場合についても説明する。また、ログにオペレータIDが含まれ得るとしても、内線番号が入力されなかった場合や誤った内線番号が入力された場合等にはオペレータIDが含まれないログや誤ったオペレータIDが含まれるログが作成されてしまうため、そのようなログを補完・修正する場合についても説明する。
【0064】
なお、本実施形態では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素についてはその説明を省略する。
【0065】
<コンタクトセンタシステム1の機能構成>
本実施形態に係るコンタクトセンタシステム1に含まれる音声認識システム10、オペレータ端末20、スーパバイザ端末40、及び管理者端末50の機能構成を
図10に示す。
【0066】
≪音声認識システム10≫
図10に示すように、本実施形態に係る音声認識システム10は、不正検知部105と、ログ保存部106とを更に有する点が第一の実施形態と異なる。不正検知部105とログ保存部106は、例えば、音声認識システム10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等のプロセッサに実行させる処理により実現される。
【0067】
不正検知部105は、認証に成功したオペレータ端末20から送信された内線番号が不正なものである場合それを検知する。また、不正検知部105は、不正が検知された場合、不正な内線番号が入力された可能性があることを示す通知(以下、不正検知通知ともいう。)をスーパバイザ端末40に送信する。
【0068】
ログ保存部106は、内線番号特定部103によって特定された内線番号等と音声認識部104によって変換された音声認識テキスト等が含まれるログを作成し、通話のログとして記憶部110に保存する。ここで、ログには、例えば、時刻、内線番号、音声認識テキスト等が含まれる。ただし、これは一例であって、これに限られるものではなく、例えば、通話ID、オペレータID、当該オペレータIDによって識別されるオペレータの氏名、通話開始時刻、顧客端末80の電話番号等といった情報が含まれていてもよい。また、例えば、オペレータの出勤時刻や退勤時刻、オペレータがオペレータ端末20にログオンしたログオン時刻、ログアウトしたログアウト時刻等といった情報を含めてもよい。更に、例えば、ログによってそのログの保存期間を異ならせる場合には、保存期間等といった情報をログに含めることができてもよい。なお、ログはログIDによって識別されてもよいし、通話毎にログが作成されるため通話IDによって識別されてもよい。
【0069】
また、音声認識部104は、第一の実施形態で説明した機能に加えて、特定したオペレータIDのオペレータを監視するスーパバイザ端末40に対して、そのオペレータIDと音声認識テキストとを送信する。
【0070】
≪スーパバイザ端末40≫
図10に示すように、本実施形態に係るスーパバイザ端末40は、UI制御部401を有する。UI制御部401は、例えば、スーパバイザ端末40にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等のプロセッサに実行させる処理により実現される。
【0071】
UI制御部401は、音声認識システム10から不正検知通知を受信すると、不正な内線番号が入力された可能性があることを表すアラートを表示する。また、UI制御部401は、音声認識システム10から受信した音声認識テキスト等を所定の画面(例えば、オペレータの通話を監視するための監視画面等)上に表示する。
【0072】
≪管理者端末50≫
図10に示すように、本実施形態に係る管理者端末50は、UI制御部501を有する。UI制御部501は、例えば、管理者端末50にインストールされた1以上のプログラムが、CPU等のプロセッサに実行させる処理により実現される。
【0073】
UI制御部501は、オペレータ情報とログとを対応付けるため所定の画面(以下、オペレータ情報・ログ対応付け画面ともいう。)を表示したり、ログの補完・修正を行うための所定の画面(以下、ログ補完・修正画面ともいう。)を表示したりする。
【0074】
また、UI制御部501は、オペレータ情報・ログ対応付け画面上におけるオペレータ情報とログとの対応付けを表すオペレータ情報・ログ対応付け情報の入力操作を受け付けると共に、その操作で入力された情報が含まれるオペレータ情報・ログ対応付け情報を音声認識システム10に送信する。ここで、オペレータ情報とはオペレータIDが少なくとも含まれる情報である。オペレータ情報には、オペレータID以外にも、例えば、オペレータの氏名、そのオペレータの出勤時間帯等といった情報が含まれていてもよい。一方で、オペレータ情報・ログ対応付け情報とは、オペレータ情報とログとを対応付けるための情報であり、例えば、オペレータIDと内線番号とが少なくとも含まれる情報である。オペレータ情報・ログ対応付け情報の入力操作ではオペレータID及び内線番号等を入力することができるが、これ以外にも、様々な情報が入力できてもよい。
【0075】
更に、UI制御部501は、ログ補完・修正画面上におけるログ補完・修正情報の入力操作を受け付けると共に、その操作で入力された情報が含まれるログ補完・修正情報を音声認識システム10に送信する。ここで、ログ補完・修正情報の入力操作ではオペレータID等を入力することができるが、これ以外にも、例えば、そのオペレータIDによって識別されるオペレータの出勤時刻、退勤時刻、ログオン時刻、ログアウト時刻等といった様々な情報を入力することができてもよい。
【0076】
<音声認識処理>
以下、オペレータがオペレータ端末20にログオンしており、当該オペレータ端末20と同一座席に設置されている電話機30を用いて顧客端末80と通話しているものとする。このとき、当該通話の音声認識を行って、その結果を当該オペレータ端末20のディスプレイ上に表示する場合の処理について、
図11を参照しながら説明する。ここで、電話機30と顧客端末80との間で通話が行われている間、当該通話のパケット(音声パケット)はNWスイッチ70によってキャプチャされ、その都度又は所定のデータ量のパケットをバッファさせた後、音声認識システム10に送信される。
【0077】
図11のステップS301~ステップS304は、
図8のステップS201~ステップS204とそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0078】
ステップS304に続いて、音声認識システム10の不正検知部105は、認証に成功したオペレータ端末20から送信された内線番号が不正なものである場合それを検知する(ステップS305)。すなわち、不正検知部105は、ステップS304で特定されたオペレータIDを用いて、このオペレータIDに対応付けられている内線番号が不正なものであるか否かを判定し、不正なものであると判定された場合は不正が検知されたものとする。
【0079】
ここで、不正検知部105は、例えば、以下の方法1又は2により内線番号が不正なものであるか否かを検知すればよい。
【0080】
方法1:一般に、コンタクトセンタのオペレータはトークスクリプトと呼ばれるマニュアルに従って電話応対業務を行っている場合が多い。また、トークスクリプトには電話応対のシーン毎にオペレータの発話内容が定義されおり、電話応対開始時の「オープニング」シーンでは、一般に、「お電話ありがとうございます。〇〇〇コールセンタの×××(オペレータの氏)でございます。」といった名乗りが定義されていることが多い。そこで、方法1では、当該通話における「オープニング」シーンの「名乗り」を表す音声認識テキストと、当該オペレータIDによって識別されるオペレータの氏とを比較(マッチング)し、その音声認識テキストの中に当該オペレータの氏が含まれていればそのオペレータIDに対応付けられている内線番号は不正なものではないと判定し、含まれていなければそのオペレータIDに対応付けられている内線番号は不正なものであると判定する。なお、上記の比較(マッチング)は、例えば、文字列のパターンマッチング等により実現することができる。
【0081】
方法2:既知の声紋認証と呼ばれる技術を利用し、当該通話の音声と、当該オペレータIDによって識別されるオペレータの音声とを比較し、その一致度が所定の閾値以上である場合はそのオペレータIDに対応付けられている内線番号は不正なものではないと判定し、一致度が所定の閾値未満である場合はそのオペレータIDに対応付けられている内線番号は不正なものであると判定する。なお、当該オペレータIDによって識別されるオペレータの音声を表す音声データやオペレータの音声の特徴量を表すデータ等を予め登録しておく必要がある。声紋認証を利用することで、オペレータが遠隔地(例えば、オペレータの自宅、遠隔拠点、シェアオフィス等)で勤務している場合であっても、不正な内線番号の入力や誤った内線番号の入力を検知することが可能となる。
【0082】
上記のステップS305で不正が検知された場合、音声認識システム10の不正検知部105は、当該オペレータIDのオペレータを監視するスーパバイザ端末40に対して不正検知通知を送信する(ステップS306)。なお、この不正検知通知には、例えば、当該オペレータIDと、このオペレータIDと対応情報により対応付けられている内線番号とが含まれる。
【0083】
スーパバイザ端末40のUI制御部401は、不正検知通知を受信すると、不正な内線番号が入力された可能性があることを表すアラートをディスプレイ上に表示する(ステップS307)。このとき、UI制御部401は、不正検知通知に含まれるオペレータID及び内線番号もアラートと共に表示される。また、オペレータIDと共に、そのオペレータIDによって識別されるオペレータの氏名等が表示されてもよい。更に、当該内線番号によって表される通話に関する情報(例えば、通話開始時刻、通話終了時刻、ログ等)が表示されてもよいし、通話以外の情報(例えば、出勤時刻、退勤時刻、ログオン時刻、ログアウト時刻等)が表示されてもよい。アラートは、例えば、ポップアップウィンドウ等といった表示態様で表示されてもよいし、その他の任意の表示態様で表示されてもよい。更に、アラートは音等と共に表示されてもよいし、音声合成等の技術により音声として出力されてもよい。
【0084】
これにより、スーパバイザは、不正な内線番号が入力された場合には容易にそれを知ることができる。
【0085】
図11のステップS308~ステップS309は、
図8のステップS205~ステップS206とそれぞれ同様であるため、その説明を省略する。
【0086】
続いて、音声認識システム10の音声認識部104は、ステップS304で特定されたオペレータIDのオペレータを監視するスーパバイザ端末40に対して、そのオペレータIDと、ステップS303で得られた音声認識テキスト(音声認識結果)とを送信する(ステップS310)。
【0087】
スーパバイザ端末40のUI制御部401は、オペレータIDと音声認識テキストを受信すると、そのオペレータIDによって識別されるオペレータの氏名とその音声認識テキストを監視画面上に表示する(ステップS311)。これにより、スーパバイザは、オペレータの氏名と当該通話の通話内容をリアルタイムに確認することができるため、そのオペレータが本当にその通話を行っているのかを確認することが可能となる。このため、オペレータに対しては不正な内線番号の入力を抑止させることが可能になり、また万が一、アラートが表示されなかった場合であっても不正な内線番号の入力を発見することが可能になることが期待できる。
【0088】
一方で、音声認識システム10のログ保存部106は、ステップS302で特定された内線番号と、当該通話の音声認識テキスト(つまり、ステップS303で作成された音声認識テキスト)とが少なくとも含まれるログを作成し、このログを記憶部110に保存する(ステップS312)。また、このとき、ステップS304でオペレータIDが特定されており、かつ、ログにオペレータIDを含めることができるデータ形式である場合は、ログ保存部106は、そのオペレータIDも含まれるログを作成する。これにより、例えば、後日、不正な内線番号が入力されていないことを確認するための監査等に当該ログを利用することが可能となる。
【0089】
<オペレータ情報・ログ対応付け処理>
以下では、ログにはオペレータIDが含まれない(つまり、ログのデータ形式上、オペレータIDがログに含まれない)ものとする。この場合、どのログがどのオペレータのログであるかが不明となってしまう。そこで、以下では、オペレータ情報とログとを対応付ける場合の処理について、
図12を参照しながら説明する。
【0090】
管理者端末50のUI制御部501は、管理者によるオペレータ情報・ログ対応付け情報の入力操作を受け付ける(ステップS401)。ここで、管理者は、例えば、オペレータ情報・ログ対応付け画面上でオペレータ情報に含まれるオペレータIDとログに含まれる内線番号とを指定することで、オペレータ情報・ログ対応付け情報の入力操作を行うことができる。なお、このとき、管理者は、オペレータ情報に含まれる出勤時間帯、ログに含まれる出勤時刻や退勤時刻等を参考に、適切なオペレータIDと内線番号とを指定することができてもよい。これにより、例えば、オペレータの出勤時間帯と実際の出勤時刻及び退勤時刻とを突合し、同一時間帯における異なる内線番号のログに同一のオペレータが重複して対応付けられてしまう事態を防止したり、オペレータの不在時間にも関わらずそのオペレータにログが対応付けられてしまう事態を防止したりすることが可能となり、より精度の高い対応付けを実現することができるようになる。また、仮にオペレータによって誤った内線番号が入力されてしまった場合であっても、そのオペレータの出勤時間帯と実際の出勤時刻及び退勤時刻とを突合し、オペレータ情報とログとを正しく対応付けることが可能となる。
【0091】
管理者端末50のUI制御部501は、上記のステップS501の入力操作によって入力されたオペレータ情報・ログ対応付け情報を音声認識システム10に送信する(ステップS402)。
【0092】
音声認識システム10のログ保存部106は、オペレータ情報・ログ対応付け情報を受信すると、このオペレータ情報・ログ対応付け情報を記憶部110に保存する(ステップS403)。これにより、オペレータ情報とログとを対応付けるオペレータ情報・ログ対応付け情報が記憶部110に保存され、どのログがどのオペレータのものであるかが対応付けられたことになる。
【0093】
ここでは管理者によりオペレータ情報・ログ対応付け情報の入力操作の事例を説明したが、これに限らない。例えば、オペレータがオペレータ端末20からログオン(認証に成功)した時点で、オペレータIDと内線番号の対応付けがなされると共に、ログオンとログオフの時刻を記録する。一方で、ログには少なくも内線番号と通話開始時刻と通話終了時刻(又は、個々の発話時刻)が記録されるとする。この場合、通話開始時刻及び通話終了時刻(又は、個々の発話時刻)とログオンからログオフまでの時刻とを突合することによって、ログとオペレータ情報の対応付けを自動的に行うことができる。このため、この突合結果からオペレータ情報・ログ対応付け情報を作成及び保存できる。このようにして、ログにオペレータ情報を記録しなくても、オペレータ情報・ログ対応付け情報を作成することができる。更に、オペレータ端末20の識別情報やIPアドレス等といったオペレータ端末情報を保持している場合は、これらの情報を利用して対応付けを行ってもよい。
【0094】
<ログ補完・修正処理>
以下では、ログにはオペレータIDが含まれ得る(つまり、ログのデータ形式上、オペレータIDをログに含めることができる)ものとする。
【0095】
例えば、オペレータがオペレータ端末20にログオンしなかった場合(つまり、内線番号が入力されなかった場合)には、
図11のステップS312で作成されたログにはオペレータIDが含まれないことになる。また、例えば、誤った内線番号が入力された場合には、
図11のステップS312で作成されたログには誤ったオペレータIDが含まれてしまうことになる。そこで、以下では、ログにオペレータIDを補完したり、ログに含まれるオペレータIDを修正したりする場合の処理について、
図13を参照しながら説明する。
【0096】
管理者端末50のUI制御部501は、管理者によるログ補完・修正情報の入力操作を受け付ける(ステップS501)。ここで、管理者は、例えば、ログ補完・修正画面上で補完・修正対象のログをログID(又は通話IDでもよい。)により指定した上で、補完・修正対象となる情報(例えば、オペレータID等)を入力することで、ログ補完・修正情報の入力操作を行うことができる。なお、補完・修正対象となる情報は、上述したように、オペレータIDだけに限られず、例えば、オペレータの出勤時刻、退勤時刻、ログオン時刻、ログアウト時刻、ログの保存期間等であってもよい。
【0097】
管理者端末50のUI制御部501は、上記のステップS501の入力操作によって入力されたログ補完・修正情報を音声認識システム10に送信する(ステップS502)。
【0098】
音声認識システム10のログ保存部106は、ログ補完・修正情報を受信すると、このログ補完・修正情報により記憶部110に保存されているログを補完・修正する(ステップS503)。
【0099】
例えば、ログID「001」、オペレータID「user1」がログ補完・修正情報に含まれており、記憶部110に保存されているログID「001」のログにオペレータIDが含まれていない場合、ログ保存部106は、そのログのオペレータIDに「user1」に設定する。これにより、そのログにオペレータIDが含まれていない場合に、オペレータID「user1」が補完される。
【0100】
また、例えば、ログID「002」、オペレータID「user2」がログ補完・修正情報に含まれており、記憶部110に保存されているログID「002」のログにオペレータID「user3」が含まれている場合、ログ保存部106は、そのログのオペレータIDを「user3」から「user2」に修正する。これにより、そのログに誤ったオペレータID「user3」が含まれている場合に、そのオペレータIDが「user2」に修正される。ただし、後日の監査等のために、ログに修正前の情報(例えば、修正前のオペレータID等)を残しておいてもよい。
【0101】
これ以外にも、例えば、ログID「001」、出勤時刻「9:00」、退勤時刻「17:00」がログ補完・修正情報に含まれている場合、ログ保存部106は、記憶部110に保存されているログID「001」のログの出勤時刻を「9:00」、退勤時刻を「17:00」に設定してもよい。このように、ログが作成された後に、そのログに含まれるオペレータIDによって識別されるオペレータの出勤時刻や退勤時刻(ログオン時刻やログアウト時刻等でもよい。)等を設定することもできる。これにより、例えば、監査等により有用なログとすることができる。
【0102】
[まとめ]
以上のように、第一及び第二の実施形態に係るコンタクトセンタシステム1は、電話機30と同一座席に設置されているオペレータ端末20で入力された情報(オペレータID、その電話機30の内線番号)を用いて、通話とその通話に応対しているオペレータとを紐付けることが可能になる。これにより、第一及び第二の実施形態に係るコンタクトセンタシステム1では、CTI連携をせずに、音声認識テキストをそのオペレータ端末20上に表示させることが可能となる。なお、これ以外にも、通話とその通話に応対しているオペレータとを紐付けることで、CTI連携を行った場合に可能となる様々な機能(例えば、オペレータ毎の通話の品質評価等)を実現することが可能となる。
【0103】
このため、CTIを導入できない様々な事情(例えば、既設のPBXがCTI連携機能を備えていない又はキャパティ不足によりCTI連携が困難であるが、PBXの入れ替えコストは許容できないような場合等)がある場合であっても、例えば、オペレータの応対支援を行ったり、通話の品質評価を行ったりといった様々な機能を実現することが可能となる。
【0104】
また、第二の実施形態に係るコンタクトセンタシステム1では、第一の実施形態で発生し得る内線番号の入力誤りや不正入力等を検知することが可能となり、またそれらの誤りや不正を監査するためのログも保存することができる。このため、第一の実施形態に係るコンタクトセンタシステム1と比べて、セキュリティをより担保した運用が可能となる。
【0105】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 コンタクトセンタシステム
10 音声認識システム
20 オペレータ端末
30 電話機
40 スーパバイザ端末
50 管理者端末
60 PBX
70 NWスイッチ
80 顧客端末
90 通信ネットワーク
101 認証部
102 内線番号保持部
103 内線番号特定部
104 音声認識部
105 不正検知部
106 ログ保存部
110 記憶部
201 ログオン要求部
202 内線番号送信部
203 UI制御部
401 UI制御部
501 UI制御部
E コンタクトセンタ環境