(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/20 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
B66F9/20 A
(21)【出願番号】P 2022126387
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木綿 啓介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 広之
(72)【発明者】
【氏名】佐野 祐造
(72)【発明者】
【氏名】坂本 豪
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-048028(JP,A)
【文献】特開2003-054894(JP,A)
【文献】特開2004-262629(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125574(WO,A1)
【文献】特開平11-288324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体の前側に設けられたマスト装置と、
前記マスト装置を前後方向に傾動させるティルト装置と、
前記マスト装置を昇降させるリフト装置と、
前記ティルト装置を操作するためのティルトレバーと、
前記ティルトレバーとは独立して設けられた、前記リフト装置を操作するためのリフトレバーと、
作動油の流量を制御するためのコントロールバルブと、
を備える産業車両であって、
前記ティルトレバーは前後方向に操作可能に構成され、前記ティルトレバーを前方向に傾けると前記マスト装置が前傾し、前記ティルトレバーを後方向に傾けると前記マスト装置が後傾し、
前記リフトレバーは上下方向に操作可能に構成され、前記リフトレバーを上昇させると前記マスト装置が上昇し、前記リフトレバーを下降させると前記マスト装置が下降
し、
前記ティルト装置および前記リフト装置は、前記コントロールバルブを介して供給される前記作動油によって駆動する油圧装置であり、
前記コントロールバルブは、
前記リフトレバーに接続される第1スプールと、
前記ティルトレバーに接続される第2スプールと、を備え、
前記リフトレバーは、
上下方向に操作可能に構成された第1レバー部と、
前記第1レバー部の上下方向の運動を回転運動に変換する第1リンク部と、
前記第1リンク部の回転運動に応じて、前記第1スプールにロッド軸方向の力を加える第1ロッド部と、を備え、
前記ティルトレバーは、
前後方向に操作可能に構成された第2レバー部と、
前記第2レバー部に接続された第2リンク部と、
前記第2リンク部に接続され、前記第2レバー部の前後方向の運動に応じて、前記第2スプールにロッド軸方向の力を加える第2ロッド部と、を備える
ことを特徴とする産業車両。
【請求項2】
前記リフトレバーは、先端に上面および下面を有するグリップ部を備え、
前記グリップ部の前記上面は、平坦な形状または上に凸の湾曲した形状であり、
前記グリップ部の前記下面は、オペレータが親指を引っ掛けて前記リフトレバーを上昇させることが可能な指掛用の凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の産業車両。
【請求項3】
前記車両本体は、前記ティルトレバーおよび前記リフトレバーが配置されたダッシュボードを備え、
前記ダッシュボードには、筒形状のガイド部が設けられ、
前記リフトレバーは、前記ガイド部に沿って上下方向に移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフト等の産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトには、オペレータが座った状態で操縦するカウンターバランスタイプのフォークリフト(例えば、特許文献1参照)と、オペレータが立った状態で操縦するリーチタイプのフォークリフト等が存在する。
【0003】
図6(A)および(B)に、一般的なカウンターバランスタイプの従来のフォークリフト1Bを示す。フォークリフト1Bは、車両本体2の前側に設けられたマスト装置3と、マスト装置3を前後方向に傾動させる動作(ティルト動作)を行うための油圧式のティルトレバー41と、マスト装置3を昇降させる動作(リフト動作)を行うための油圧式のリフトレバー42とを備える。
【0004】
図6(A)に示すように、ティルトレバー41は前後方向に操作可能に構成され、ティルトレバー41を前方向に傾けるとマスト装置3が前傾し、ティルトレバー41を後方向に傾けるとマスト装置3が後傾する。このように、ティルトレバー41の挙動とマスト装置3の挙動が一致するため、フォークリフト1Bのオペレータは、直感的にティルトレバー41を操作することができる。
【0005】
一方、
図6(B)に示すように、リフトレバー42も前後方向に操作可能に構成されており、リフトレバー42を前方向に傾けるとマスト装置3が下降し(具体的には、インナーマストがアウターマストに沿って下降し)、リフトレバー42を後方向に傾けるとマスト装置3が上昇する(具体的には、インナーマストがアウターマストに沿って上昇する)。このように、リフトレバー42の挙動とマスト装置3の挙動が一致しないため、フォークリフト1Bのオペレータは、直感的にリフトレバー42を操作することができない。特に、荷役作業に不慣れなオペレータは、リフトレバー42の操作に慣れるのに一定の時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、リフトレバーの直感的な操作を可能とするフォークリフト等の産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る産業車両は、
車両本体と、
前記車両本体の前側に設けられたマスト装置と、
前記マスト装置を前後方向に傾動させるティルト装置と、
前記マスト装置を昇降させるリフト装置と、
前記ティルト装置を操作するためのティルトレバーと、
前記ティルトレバーとは独立して設けられた、前記リフト装置を操作するためのリフトレバーと、
を備える産業車両であって、
前記ティルトレバーは前後方向に操作可能に構成され、前記ティルトレバーを前方向に傾けると前記マスト装置が前傾し、前記ティルトレバーを後方向に傾けると前記マスト装置が後傾し、
前記リフトレバーは上下方向に操作可能に構成され、前記リフトレバーを上昇させると前記マスト装置が上昇し、前記リフトレバーを下降させると前記マスト装置が下降することを特徴とする。
【0009】
この構成では、リフトレバーの挙動とマスト装置の挙動が一致するため、フォークリフトのオペレータは、リフトレバーの直感的な操作が可能となる。
【0010】
前記産業車両において、
前記リフトレバーは、先端に上面および下面を有するグリップ部を備え、
前記グリップ部の前記上面は、平坦な形状または上に凸の湾曲した形状であり、
前記グリップ部の前記下面は、オペレータが親指を引っ掛けて前記リフトレバーを上昇させることが可能な指掛用の凹部が形成されていることが好ましい。
【0011】
前記産業車両において、
前記車両本体は、前記ティルトレバーおよび前記リフトレバーが配置されたダッシュボードを備え、
前記ダッシュボードには、筒形状のガイド部が設けられ、
前記リフトレバーは、前記ガイド部に沿って上下方向に移動するよう構成できる。
【0012】
前記産業車両において、
作動油の流量を制御するためのコントロールバルブを備え、
前記ティルト装置および前記リフト装置は、前記コントロールバルブを介して供給される前記作動油によって駆動する油圧装置であり、
前記コントロールバルブは、
前記リフトレバーに接続される第1スプールと、
前記ティルトレバーに接続される第2スプールと、を備え、
前記リフトレバーは、
上下方向に操作可能に構成された第1レバー部と、
前記第1レバー部の上下方向の運動を回転運動に変換する第1リンク部と、
前記第1リンク部の回転運動に応じて、前記第1スプールにロッド軸方向の力を加える第1ロッド部と、を備え、
前記ティルトレバーは、
前後方向に操作可能に構成された第2レバー部と、
前記第2レバー部に接続された第2リンク部と、
前記第2リンク部に接続され、前記第2レバー部の前後方向の運動に応じて、前記第2スプールにロッド軸方向の力を加える第2ロッド部と、を備えるよう構成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リフトレバーの直感的な操作を可能とするフォークリフト等の産業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフォークリフトの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るフォークリフトの荷役制御系の構成を示す図であって、(A)はエンジンフォークリフトの場合の図であり、(B)はバッテリフォークリフトの場合の図である。
【
図3】(A)本発明のリフトレバーおよびティルトレバーの一例を示す図である。(B)本発明のリフトレバーのグリップ部の一例を示す図である。
【
図4】本発明のリフトレバーの構成を示す図である。
【
図5】本発明のティルトレバーの構成を示す図である。
【
図6】(A)従来のフォークリフトにおけるティルトレバーの挙動とマスト装置の挙動を示す図である。(B)従来のフォークリフトにおけるリフトレバーの挙動とマスト装置の挙動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る産業車両の実施形態について説明する。
【0016】
図1に、本発明の一実施形態に係るフォークリフト1A(本発明の「産業車両」に相当)を示す。フォークリフト1Aは、カウンターバランスタイプのエンジンフォークリフトまたはバッテリフォークリフトであって、車体フレームを含む車両本体2と、車両本体2の前部に設けられたマスト装置3と、マスト装置3に沿って昇降するフォーク4とを備える。マスト装置3は、左右一対のアウターマストと、左右一対のアウターマストをガイドとして昇降する左右一対のインナーマストとを含む。なお、
図1は、エンジンフォークリフトの図である。
【0017】
フォークリフト1Aは、リフト装置5と、ティルト装置6とを備える。リフト装置5は、油圧シリンダ(リフトシリンダ)を含む油圧装置であり、油圧シリンダの伸縮動作により、マスト装置3のインナーマストをフォーク4とともに昇降させる。ティルト装置6は、油圧シリンダ(ティルトシリンダ)を含む油圧装置であり、油圧シリンダの伸縮動作により、マスト装置3を前後方向に傾動させる。
【0018】
フォークリフト1Aは、車両本体2の上部に設けられた運転席7と、運転席7の上方を覆うように車両本体2に設けられたヘッドガード8と、運転席7の前方に設けられたダッシュボード9とを備える。ダッシュボード9には、操舵輪(後輪)を操舵させるためのハンドル10と、荷役レバー(本実施形態では、リフトレバー20およびティルトレバー30)とが設けられている。
【0019】
図2に、フォークリフト1Aの荷役制御系の構成を示す。
図2の(A)はエンジンフォークリフトの構成であり、(B)はバッテリフォークリフトの構成である。フォークリフト1Aは、荷役制御系の構成として、エンジンE(バッテリフォークリフトの場合は、荷役制御部11と、荷役用インバータ12と、荷役用モータ13)と、荷役用ポンプ14と、コントロールバルブ15とを備える。
【0020】
エンジンEは、不図示のトランスミッションを介して、荷役用ポンプ14を駆動させる。すなわち、荷役制御系において、エンジンEは荷役用ポンプ14の動力源となる。エンジンEは、オペレータによるアクセルの操作量(例えば、アクセルペダルの踏み込み量)に応じて、回転速度が制御される。
【0021】
荷役制御部11は、例えば、コントローラで構成される。荷役制御部11は、リフトレバー20の操作信号および/またはティルトレバー30の操作信号に応じて、荷役用インバータ12の制御を行う。荷役用インバータ12は、荷役制御部11の制御下で荷役用モータ13を回転させる。荷役用モータ13は、荷役用ポンプ14を駆動させる。
【0022】
荷役用ポンプ14は、作動油が貯められたタンク(不図示)から、コントロールバルブ15を介してリフト装置5の油圧シリンダ(リフトシリンダ)および/またはティルト装置6の油圧シリンダ(ティルトシリンダ)に作動油を供給したり、リフト装置5の油圧シリンダおよび/またはティルト装置6の油圧シリンダから、コントロールバルブ15を介して上記タンクに作動油を戻したりする。
【0023】
コントロールバルブ15は、荷役用ポンプ14とリフト装置5とを接続する油路、および荷役用ポンプ14とティルト装置6とを接続する油路に設けられる。コントロールバルブ15は、リフトレバー20に接続される第1スプールと、ティルトレバー30に接続される第2スプールとを備える。
【0024】
図3(A)に、リフトレバー20およびティルトレバー30を示す。リフトレバー20およびティルトレバー30は、ダッシュボード9に並んで配置される。本実施形態では、リフトレバー20の左側にティルトレバー30が配置され、ティルトレバー30の左側に
図3(A)では不図示のハンドル10が配置される。リフトレバー20およびティルトレバー30は、それぞれ独立して設けられている(すなわち、リフトレバー20およびティルトレバー30は、独立した各1本のレバーである)。リフトレバー20およびティルトレバー30の配置は、逆でもよく、ティルトレバー30の左側にリフトレバー20を配置し、かつリフトレバー20の左側にハンドル10を配置してもよい。
【0025】
リフトレバー20は、上下方向に操作可能に構成される。ここで、上下方向とは、厳密な鉛直方向でなくてもよく、斜めに傾いた方向も含むものとする。リフトレバー20を上昇させるとマスト装置3のインナーマストが上昇し、リフトレバー20を下降させるとマスト装置3のインナーマストが下降する。リフトレバー20が中立位置の時(上昇も下降もさせない位置の時)は、マスト装置3のインナーマストは停止する(昇降しない)。なお、リフトレバー20には中立位置に戻るためのバネが設けられており、リフトレバー20の操作中にオペレータが手を離すと、リフトレバー20は自動的に中立位置に戻る。
【0026】
ティルトレバー30は、従来と同様、前後方向に操作可能に構成され、ティルトレバー30を前方向に傾けるとマスト装置3が前傾し、ティルトレバー30を後方向に傾けるとマスト装置3が後傾する。ティルトレバー30が中立位置の時(前傾も後傾もさせない位置の時)は、マスト装置3は停止する(傾動しない)。
【0027】
リフトレバー20は、先端に第1グリップ部21を備える。
図3(B)に示すように、第1グリップ部21は、上面21aおよび下面21bを有する。上面21aは、オペレータが手のひらで押し易いように平坦な形状になっているが、上に凸の湾曲した形状でもよい。下面21bは、大部分が平坦な形状になっており、かつオペレータが親指を引っ掛けてリフトレバー20を上昇させることができるように、左端部に指掛用の凹部21cが形成されている。このように、第1グリップ部21は、上下方向の操作に適した形状になっている。
【0028】
ティルトレバー30は、先端に第2グリップ部31を備える。第2グリップ部31は、オペレータが握り易いように球形状になっている。なお、第2グリップ部31の形状は、前後方向に操作し易い形状であれば、適宜変更してもよい。
【0029】
図4に、リフトレバー20の構成を示す。リフトレバー20は、第1グリップ部21と、第1レバー部22と、ガイド部23と、第1上側リンク部24と、第1下側リンク部25と、第1ロッド部26とを備える。
【0030】
第1グリップ部21は、第1レバー部22の先端に設けられている。第1レバー部22は、逆L字形状に形成され、基端が第1上側リンク部24の一端に接続される。ガイド部23は、第1レバー部22の基端近傍の外周面を覆うように円筒形状に形成され、ダッシュボード9に設けられている。ガイド部23は、ダッシュボード9と一体的に構成されていてもよいし、ダッシュボード9とは別体で構成されていてもよい。第1レバー部22は、ガイド部23に沿って上下方向に移動可能になっている。
【0031】
第1上側リンク部24の他端は、第1下側リンク部25の一端に接続される。第1下側リンク部25の他端は、原動軸となるように、固定プレート16を介して車両本体2の車体フレームに取り付けられる。第1上側リンク部24および第1下側リンク部25は、第1レバー部22の上下方向の運動を回転運動に変換し、第1上側リンク部24と第1下側リンク部25との接続点は、円形の回転軌道を描く。すなわち、第1上側リンク部24および第1下側リンク部25は、本発明の「第1リンク部」に相当し、ガイド部23とともにスライダクランク機構を構成する。
【0032】
第1ロッド部26は、一端が第1上側リンク部24と第1下側リンク部25との接続点に接続され、他端がコントロールバルブ15の第1スプールに接続される。第1ロッド部26は、上記接続点の回転運動に応じて、第1スプールに第1ロッド部26のロッド軸方向の力を加える(
図4の矢印参照)。
【0033】
オペレータの操作により、第1グリップ部21および第1レバー部22が上側に移動すると、第1上側リンク部24と第1下側リンク部25との接続点が時計回りに回転し、第1ロッド部26が斜め上側に移動して、コントロールバルブ15の第1スプールを斜め上側に移動させる。これにより、コントロールバルブ15のタンクからリフト装置5への流路が開状態になり、タンクからリフト装置5へ作動油が流れ、リフト装置5が駆動してマスト装置3のインナーマストを上昇させる。
【0034】
一方、オペレータの操作により、第1グリップ部21および第1レバー部22が下側に移動すると、第1上側リンク部24と第1下側リンク部25との接続点が反時計回りに回転し、第1ロッド部26が斜め下側に移動して、コントロールバルブ15の第1スプールを斜め下側に移動させる。これにより、コントロールバルブ15のリフト装置5からタンクへの流路が開状態になり、リフト装置5からタンクへ作動油が流れ、リフト装置5が駆動してマスト装置3のインナーマストを下降させる。
【0035】
図5に、ティルトレバー30の構成を示す。ティルトレバー30は、第2グリップ部31と、第2レバー部32と、第2リンク部33と、第2ロッド部34とを備える。なお、ティルトレバー30は、従来と同様の構成である。
【0036】
第2グリップ部31は、第2レバー部32の先端に設けられている。第2レバー部32は、前後方向に操作可能に構成され、基端が第2リンク部33介して第2ロッド部34の一端に接続される。第2リンク部33は、固定プレート16を介して車両本体2の車体フレームに取り付けられており、第2レバー部32の前後方向の運動を第2ロッド部34の直線運動に変換する。第2ロッド部34は、他端がコントロールバルブ15の第2スプールに接続され、第2レバー部32の前後方向の運動に応じて、第2スプールに第2ロッド部34のロッド軸方向の力を加える(
図5の矢印参照)。
【0037】
オペレータの操作により、第2グリップ部31および第2レバー部32が前方向に傾けられると、第2リンク部33を介して第2ロッド部34が斜め下方向の力を第2スプールに加え、第2スプールを斜め下方向に移動させる。これにより、ティルト装置6が駆動してマスト装置3を前傾させる。
【0038】
一方、オペレータの操作により、第2グリップ部31および第2レバー部32が後方向に傾けられると、第2リンク部33を介して第2ロッド部34が斜め上方向の力を第2スプールに加え、第2スプールを斜め上方向に移動させる。これにより、ティルト装置6が駆動してマスト装置3を後傾させる。
【0039】
本実施形態に係るフォークリフト1Aでは、上記のとおり、リフトレバー20を上昇させるとマスト装置3のインナーマストが上昇し、リフトレバー20を下降させるとマスト装置3のインナーマストが下降する。このように、リフトレバー20の挙動とマスト装置3の挙動が一致するため、フォークリフト1Aのオペレータは、リフトレバー20の直感的な操作が可能となる。その結果、荷役作業に不慣れなオペレータであっても、従来と比較して、正確かつ高速に荷役作業を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態に係るリフトレバー20の第1グリップ部21は、上面21aが手のひらで押し易い平坦な形状になっており、下面21bが親指を引っ掛けてリフトレバー20を上昇させることができるように、左端部に指掛用の凹部21cが形成されている。このため、本実施形態に係るフォークリフト1Aでは、リフトレバー20の操作性を向上させることができる。
【0041】
さらに、本実施形態に係るフォークリフト1Aでは、第1上側リンク部24および第1下側リンク部25がガイド部23とともにスライダクランク機構を構成し、スライダクランク機構の回転運動に応じて、第1ロッド部26がコントロールバルブ15の第1スプールにロッド軸方向の力を加える。このように、第1スプールに加わる力の方向が従来と同じであるため、本実施形態に係るリフトレバー20を採用してもコントロールバルブ15の構成を変更する必要はなく、従来と同様の構成のコントロールバルブ15を用いることができる。
【0042】
以上、本発明に係る産業車両の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0043】
本発明に係る産業車両は、車両本体と、車両本体の前側に設けられたマスト装置と、マスト装置を前後方向に傾動させるティルト装置と、マスト装置を昇降させるリフト装置と、ティルト装置を操作するためのティルトレバーと、ティルトレバーとは独立して設けられた、リフト装置を操作するためのリフトレバーと、を備える産業車両であって、ティルトレバーは前後方向に操作可能に構成され、ティルトレバーを前方向に傾けるとマスト装置が前傾し、ティルトレバーを後方向に傾けるとマスト装置が後傾し、リフトレバーは上下方向に操作可能に構成され、リフトレバーを上昇させるとマスト装置が上昇し、リフトレバーを下降させるとマスト装置が下降するのであれば、適宜構成を変更することができる。
【0044】
例えば、上記実施形態に係るリフトレバー20の第1グリップ部21の形状は、適宜変更できる。また、リフトレバー20では、スライダクランク機構を採用しているが、これに換えて任意のリンク機構を採用できる。
【0045】
本発明の産業車両について、上記実施形態ではカウンターバランスタイプのフォークリフトで説明したが、リーチタイプのフォークリフトでもよいし、その他のタイプのフォークリフトでもよい。また、本発明の産業車両は、フォークリフト以外のものでもよく、例えば、搬送車、建設機械、または農業機械でもよい。
【符号の説明】
【0046】
1A フォークリフト
2 車両本体
3 マスト装置
4 フォーク
5 リフト装置
6 ティルト装置
7 運転席
8 ヘッドガード
9 ダッシュボード
10 ハンドル
E エンジン
11 荷役制御部
12 荷役用インバータ
13 荷役用モータ
14 荷役用ポンプ
15 コントロールバルブ
16 固定プレート
20 リフトレバー
21 第1グリップ部
21a 上面
21b 下面
21c 凹部
22 第1レバー部
23 ガイド部
24 第1上側リンク部
25 第1下側リンク部
26 第1ロッド部
30 ティルトレバー
31 第2グリップ部
32 第2レバー部
33 第2リンク部
34 第2ロッド部