(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】無人航空機のための衝突回避システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64C 13/20 20060101AFI20241126BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20241126BHJP
G08G 5/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B64C13/20 B
B64C39/02
G08G5/04 A
(21)【出願番号】P 2019536047
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(86)【国際出願番号】 US2018012588
(87)【国際公開番号】W WO2018129321
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2021-01-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500461860
【氏名又は名称】オーロラ フライト サイエンシズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キュンチ, ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】ケーレンベック, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ, ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】サルドニーニ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スコット, エドワード
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/008026(WO,A1)
【文献】特公昭48-40240(JP,B1)
【文献】特開2003-127997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C13/20, 39/02
G08G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(200)内に衝突
回避を提供するための方法であって、
航空機(200)に位置決めされ且つプロセッサ(314,340)と動作可能に接続されたセンサ(210)からセンサ入力を受け取ることであって、前記センサ(210)が視界の範囲内で障害物(122)を特定するように構成されている、センサ入力を受け取ること、
パイロットからパイロットコマンドストリームを受け取ること、
少なくとも部分的に前記センサ入力に基づいて前記視界の範囲内の障害物(122)を特定すること、
前記視界の範囲内の複数の領域(618,620,622)から前記障害物(122)が位置している領域(618,620,622)を決定することであって、前記領域(618,620,622)が少なくとも部分的に前記センサ入力に基づいて決定される、領域を決定すること、
前記決定する
ことにおいて決定された前記領域(618,620,622)に応じて制御入力を設定すること、
前記制御入力を比例‐微分(PD)コントローラに入力して、制御データを生成すること、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御データに応じて制御コマンドストリームを生成すること、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御コマンドストリームを前記パイロットコマンドストリームと比較して、前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であるか否かを判定すること、及び
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全でないと判定されたときに、前記パイロットコマンドストリームの代わりに前記航空機(200)の飛行コントローラ(206,306)に前記制御コマンドストリームを通信することを含む、方法。
【請求項2】
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であると判定されたときに、前記パイロットコマンドストリームが、前記航空機(200)の前記飛行コントローラ(206,306)に通信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサ入力が、レンジレート予測又はレンジ予測を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記パイロットコマンドストリームが、人間のパイロットからのものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パイロットコマンドストリームが、自動操縦装置からのものである、請求項1から
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の領域(618,620,622)が、第1の領域(622)、第2の領域(620)、及び第3の領域(618)を含み、前記第1の領域(622)が、センサ(210)最大距離と第1の閾値との間の領域として規定され、前記第2の領域(620)が、前記第1の閾値と第2の閾値との間の領域として規定され、前記第3の領域(618)が、前記第2の閾値と航空機(200)との間の領域として規定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
パイロットコマンドストリームが、(1)前記航空機(200)と前記障害物(122)との間の距離を低減させること、又は(2)前記航空機(200)のレートを前記制御データによって設定されたレート上限より上に増加させることを試みるように、前記プロセッサ(314,340)によって解釈され得るならば、前記パイロットコマンドストリームが、安全でないと判定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
航空機(200)内に衝突
回避を提供するためのナビゲーションシステムであって、
前記航空機(200)に接続され且つ視界の範囲内の障害物(122)を特定するように構成されたセンサ(210)と、
前記センサ(210)及びメモリデバイスと動作可能に接続されたプロセッサ(314,340)と
を備え、前記プロセッサ(314,340)は、パイロットからパイロットコマンドストリームを受け取るように構成され、更に、
少なくとも部分的に前記センサ(210)からのセンサ入力に基づいて前記視界の範囲内の障害物(122)を特定するように構成され、
前記視界の範囲内の複数の領域(618,620,622)から前記障害物(122)が位置している領域(618,620,622)を決定するように構成され、前記領域(618,620,622)が少なくとも部分的に前記センサ入力に基づいて決定され、
前
記決定された前記領域(618,620,622)に応じて制御入力を設定するように構成され、
前記制御入力を比例‐微分(PD)コントローラに入力して、制御データを生成するように構成され、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御データに応じて制御コマンドストリームを生成するように構成され、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御コマンドストリームを前記パイロットコマンドストリームと比較して、前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であるか否かを判定するように構成されており、
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全でないと判定されたときに、前記制御コマンドストリームが、前記パイロットコマンドストリームの代わりに前記航空機(200)の飛行コントローラ(206,306)に通信される、ナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であると判定されたときに、前記パイロットコマンドストリームが、前記航空機(200)の前記飛行コントローラ(206,306)に通信される、請求項8に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記センサ入力が、レンジレート予測又はレンジ予測を含む、請求項8又は9に記載のナビゲーションシステム。
【請求項11】
前記パイロットコマンドストリームが、人間のパイロットからのものである、請求項8から10のいずれか一項に記載のナビゲーションシステム。
【請求項12】
前記パイロットコマンドストリームが、自動操縦装置からのものである、請求項8から
10のいずれか一項に記載のナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月6日に出願された米国仮特許出願第62/443,087号の35USC§119(e)に基づく利益を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、広くは、自律的な輸送体のナビゲーションに関し、特に、静止した物体及び/又は移動する物体を検出しそれらの周りを自動的にナビゲートするためのシステム、方法、及び技術に関する。本開示は、物体を検出しそれらの周りを自動的にナビゲートするための、センサを選ばず(sensor-agnostic)且つ輸送体を選ばない(vehicle-agnostic)システム、方法、及び技術にも関する。
【背景技術】
【0003】
無人航空機(UAV)の技術は、諜報、調査、偵察、及びペイロードの搬送を含むミッションプロファイルにとって、役に立つツールであることが立証されてきた。低高度の都市偵察などの状況では、マイクロ航空輸送体(「MAV」)などのUAVは、固定され又は移動している可能性があり且つその位置が事前に知られていない大きい障害物と小さい障害物の両方に遭遇し得る。更に、UAV及びMAVは、制約のある混雑した環境内で飛行する傾向があるので、それらは、物体にぶつかったり又は衝突したりすることがある。更に、UAV及びMAVは、概して、従来の航空輸送体より安価であり、したがって、より普及していて、しばしば、熟練していないパイロットによって利用され、衝突を引き起こす場合がある。全地球測位システム(「GPS」)などの、UAV及びMAVが物体及び他の障害物と衝突することを防止するための既存の技術は、概して、不十分なものである。何故ならば、多くの物体はGPSデバイスを介して認識できないからであり、地形に応じて、GPSの精度性能は環境にわたり大幅に変動するからである。
【0004】
したがって、混雑したナビゲーション環境内で変化する未知の障害物に反応することができる、改善された自律的な輸送体のナビゲーションシステム及び障害物回避システムが絶えず必要とされている。更に、輸送体に通信されたナビゲーションコマンドを増強し且つ/又は優先させるための、自律的輸送体ナビゲーションシステム又は障害物回避システムも必要である。
【発明の概要】
【0005】
自律的な輸送体は、複数のセンサ(例えば、音響センサ、視覚センサなど)を有する飛行制御システムを用いて改善され得る。複数のセンサは、「Panoptes(商標)」衝突回避システムなどの、より一般的には、動的障害物回避システムと呼ばれる小さい航空輸送体のための衝突回避解決法と併せて採用され得る。
【0006】
第1の態様によれば、航空機内に衝突保護を提供するための方法が、航空機に位置決めされ且つプロセッサと動作可能に接続されたセンサからセンサ入力を受け取ることであって、センサが視界の範囲内で障害物を特定するように構成されている、センサ入力を受け取ること、パイロットからパイロットコマンドストリームを受け取ること、少なくとも部分的に前記センサ入力に基づいて視界の範囲内の障害物を特定すること、視界の範囲内の複数の領域から障害物が位置している領域を決定することであって、該領域が少なくとも部分的にセンサ入力に基づいて決定される、領域を決定すること、該決定するステップにおいて決定された領域に応じて制御入力を設定すること、該制御入力を比例‐微分(PD)コントローラに入力して、制御データを生成すること、プロセッサを介して、該制御データに応じて制御コマンドストリームを生成すること、及び、プロセッサを介して、制御コマンドストリームをパイロットコマンドストリームと比較して、パイロットからのパイロットコマンドストリームが安全であるか否かを判定することを含む。
【0007】
第2の態様によれば、航空機内に衝突保護を提供するためのナビゲーションシステムが、航空機に接続され且つ視界の範囲内の障害物を特定するように構成されたセンサ、センサ及びメモリデバイスと動作可能に接続されたプロセッサであって、パイロットからパイロットコマンドストリームを受け取るように構成され、更に、少なくとも部分的に前記センサからのセンサ入力に基づいて視界の範囲内の障害物を特定するように構成され、視界の範囲内の複数の領域から障害物が位置している領域を決定するように構成され、該領域が少なくとも部分的にセンサ入力に基づいて決定され、該決定するステップにおいて決定された領域に応じて制御入力を設定するように構成され、該制御入力を比例‐微分(PD)コントローラに入力して、制御データを生成するように構成され、プロセッサを介して、該制御データに応じて制御コマンドストリームを生成するように構成され、プロセッサを介して、制御コマンドストリームをパイロットコマンドストリームと比較して、パイロットからのパイロットコマンドストリームが安全であるか否かを判定するように構成されたプロセッサを備える。
【0008】
特定の態様では、パイロットからのパイロットコマンドストリームが安全でないと判定されたときに、制御コマンドストリームが、パイロットコマンドストリームの代わりに航空機の飛行コントローラに通信される。
【0009】
特定の態様では、パイロットからのパイロットコマンドストリームが安全であると判定されたときに、パイロットコマンドストリームが、航空機の飛行コントローラに通信される。
【0010】
特定の態様では、センサ入力が、レンジレート予測(range-rate estimate)又はレンジ予測(range estimate)を含む。
【0011】
特定の態様では、パイロットコマンドストリームが、人間のパイロットからのものである。
【0012】
特定の態様では、パイロットコマンドストリームが、自動操縦装置からのものである。
【0013】
特定の態様では、複数の領域が、インカミング(incoming)領域、パニック領域、及び/又は危機的な領域などの、第1の領域、第2の領域、及び第3の領域を含む。
【0014】
特定の態様では、第1の領域が、センサ最大距離と第1の閾値(例えば、インカミング閾値)との間のエリアとして規定される。
【0015】
特定の態様では、第2の領域が、第1の閾値と第2の閾値との間のエリアとして規定される。
【0016】
特定の態様では、第3の領域が、第2の閾値(例えば、パニック閾値)と航空機との間のエリアとして規定される。
【0017】
特定の態様では、パイロットコマンドストリームが、(1)航空機と障害物との間の距離を低減させること、又は(2)航空機レートを制御データによって設定されたレート上限より上に増加させることを試みるように、プロセッサによって解釈され得るならば、パイロットコマンドストリームは、安全でないと判定される。
【0018】
特定の態様では、パイロット優先(オーバーライド:override)コマンドがパイロットから受け取られ得る。パイロット優先コマンドは、制御コマンドストリームに対して優先する。
【0019】
特定の態様では、プロセッサが、ターゲットフィルタリング動作を実行するように構成されている。
【0020】
特定の態様では、ターゲットフィルタリング動作が、航空機の見通し線の範囲内の障害物に対する距離及び大きさデータをRADARシステムから受け取るステップ、プロセッサを介して、少なくとも部分的に距離及び大きさデータに基づいて、大きさが満たされているか否かを判定するステップ、プロセッサを介して、時間にわたる距離及び大きさデータを反映したトレース(trace)の少なくとも一部分の標準偏差を計算するステップ、プロセッサを介して、該トレースに対する新しい距離ポイントを決定するステップ、プロセッサを介して、該トレースに対する新しい距離ポイントと着信データから割り当てられた距離との間の最小差を計算するステップ、並びに、プロセッサを介して、臨界減衰ローパスフィルタ(LPF)によって信頼及びローパス値を計算するステップを含む。
【0021】
特定の態様では、信頼及びローパス値が、信号平均、標準偏差、及び大きさから導き出される統計的な項の重み付け平均を使用して計算される。
【0022】
特定の態様では、重み付け平均が、所望のフィルタ性能に対してオペレータによって規定される。
【0023】
第3の態様によれば、航空機内に精度を高めるターゲットフィルタリングを提供するための方法が、航空機の見通し線の範囲内の障害物に対する距離及び大きさデータをRADARシステムから受け取ること、プロセッサを介して、所定の数の障害物の各々に対して、少なくとも部分的に距離及び大きさデータに基づいて、大きさが満たされているか否かを判定することであって、大きさが満たされているならばプロセッサが距離を既知の適切な値(good value)に設定するように構成されている、大きさが満たされているか否かを判定すること、プロセッサを介して、時間にわたる距離及び大きさデータを反映したトレースの少なくとも一部分の標準偏差を計算すること、プロセッサを介して、該トレースに対する新しい距離ポイントを決定すること、プロセッサを介して、該トレースに対する新しい距離ポイントと着信データから割り当てられた距離との間の最小差を計算すること、プロセッサを介して、複数の条件の各々が満たされているか否かを判定することであって、複数の条件のうちの1以上が満たされていないならばプロセッサが直線回帰(linear regression)を使用して新しいフィルタリングされた距離ポイントを計算するように構成されている、複数の条件の各々が満たされているか否かを判定すること、反復カウンターをインクリメントすること、並びに、プロセッサを介して、臨界減衰ローパスフィルタ(LPF)によって信頼及びローパス値を計算することを含む。
【0024】
特定の態様では、該ステップの各々が、航空機の見通し線の範囲内の所定の数の障害物の各々に対して実行され又は繰り返される。
【0025】
特定の態様では、所定の数の障害物が、航空機の見通し線の範囲内の最も目立つ5つの障害物を含む。
【0026】
特定の態様では、標準偏差が、20ポイントの直線回帰を通るトレースのうちの最新の20ポイントの標準偏差である。
【0027】
特定の態様では、最小差が、トレースの最新の距離と着信データから割り当てられた距離との間の差である。
【0028】
特定の態様では、複数の条件が、(1)最小差が、標準偏差の3.5倍より大きいか否か、及び(2)最小差が、0.4より大きいか否かを含む。
【0029】
特定の態様では、複数の条件が、(1)標準偏差が、0.2未満であるか否か、及び(2)反復カウンターが、15未満であるか否かを更に含む。
【0030】
特定の態様では、信頼及びローパス値が、信号平均、標準偏差、及び大きさから導き出される統計的な項の重み付け平均を使用して計算される。
【0031】
特定の態様では、重み付け平均が、所望のフィルタ性能に対してオペレータによって規定される。
【0032】
本明細書で説明されるデバイス、システム、及び方法の上述の或いは他の目的、特徴、及び利点は、それらの特定の実施形態の以下の説明から明らかとなる。その際に、添付の図面が示され、類似の番号が類似の構造物を指す。図面は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、その代わりに、本明細書で説明されるデバイス、システム、及び方法の原理を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】動的衝突回避システムを使用する自律的なナビゲーションのための環境を示す。
【
図2a】動的衝突回避システムを有する第1の例示的な自律的輸送体を示す。
【
図2b】動的衝突回避システムを有する第2の例示的な自律的輸送体を示す。
【
図2c】下向きに面する構成で位置決めされたそのセンサを有する自律的な輸送体を示す。
【
図2d】前向きに面する構成で位置決めされたそのセンサを有する自律的な輸送体を示す。
【
図2e】前向きに面する構成と下向きに面する構成の両方で位置決めされたそのセンサを有する自律的な輸送体を示す。
【
図3】自律的な輸送体のための動的衝突回避及びナビゲーションシステムのブロック図である。
【
図4】ある位置から目標に輸送体をナビゲートするときに動的衝突回避システムを使用するための方法のフローチャートである。
【
図5】
図5aから
図5cは、例示的なRADAR飛行制御/衝突回避(RFCA)モジュールを示す。
【
図6a】パイロット優先を有する例示的な3つの領域の衝突保護機能のフローチャートである。
【
図6b】3つの領域に向き合っている航空機の図である。
【
図7】例示的な着陸支援モジュールのフローチャートである。
【
図8】例示的なターゲットフィルタの入力及び出力の図である。
【
図9】例示的なターゲットフィルタリング機能のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の実施形態が、添付の図面を参照しながら以下で説明されることとなる。以下の説明では、周知の機能又は構造は詳細に説明されない。何故ならば、それらは、不必要な詳細によって本開示を不明確にし得るからである。本明細書で説明されるのは、自律的な輸送体ナビゲーションのための、特に、障害物回避の複数の方法を使用するナビゲーションのためのデバイス、システム、及び方法である。
【0035】
本明細書で挙げられる全ての文書は、それらの全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。それとは異なるように明記されているか又は文脈から明らかである場合を除き、単一の項目に対する参照は、複数の項目を含むと理解されるべきであり、その逆もその通りである。それとは異なるように述べられているか又は文脈から明らかである場合を除き、文法的な接続詞は、接続された句、文、単語などの全ての選択的及び接続的な組み合わせを表現することを意図している。したがって、「又は(or)」は、概して、「及び/又は(and/or)」などを意味すると理解されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中の他のところで示されない限り、範囲内に入る任意の及び全ての値を個別に参照することを制限するものではなく、そのような範囲内の各個別の値は、本明細書で個別に挙げられているように本明細書の中に組み込まれる。
【0036】
「約」、「近似的に」などの用語は、数値に付随しているときに、意図された目的のために満足に動作すると当業者によって認められた偏差を示すものと解釈されるべきである。値及び/又は数値の範囲は、例示的なものとしてのみ本明細書で提供され、説明される実施形態の範囲の限定を構成しない。本明細書で使われているあらゆる実施例又は例示を表す文言(「例えば」、「など」、又はそれらと同様なもの)は、単に実施例をより良く説明することを意図したものであり、実施形態の範囲を限定するものではない。明細書中のいかなる文言も、特許請求されていない任意の要素が各実施形態を実施するために必須であると、解釈すべきではない。以下の記載では、「第1の」「第2の」「頂部」「底部」「側部」「前」「後」などといった用語は、利便性のための用語であって、限定する用語と解釈すべきではない。本願に関しては、以下の用語及び定義が適用される。
【0037】
「航空輸送体」及び「航空機」という用語は、限定しないが、固定翼航空機、無人航空機、可変翼機、及び垂直離着陸(VTOL)航空機を含む、飛行が可能な機械を指す。
【0038】
本明細書で使用する場合、「伝達する」及び「通信する」という用語は、データを発信元から送付先へ送信もしくは他の方法で伝えることと、データを送付先へ伝えるために、通信媒体、システム、チャネル、ネットワーク、装置、回線、ケーブル、ファイバー、回路、及び/又はリンクに送達することとの、両方を意味する。
【0039】
「回路」(「circuits」及び「circuitry」)という用語は、物理的な電子部品(すなわち、ハードウェア)、並びに、ハードウェアを設定し、ハードウェアによって実行され、及び/又はハードウェアに関連付けられ得る、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)を意味する。本明細書で使用する場合、具体的なプロセッサ及びメモリは、第1のセットの1つ以上の命令行を実行するときには第1の「回路」を備えていてよく、第2のセットの1つ以上の命令行を実行するときには第2の「回路」を備えていてよい。
【0040】
本明細書で使用される際に、「コンピュータ」という用語は、非限定的に、パーソナルコンピュータ(例えば、Gateway(登録商標)、Hewlett-Packard(登録商標)、IBM(登録商標)、Sony(登録商標)、Toshiba(登録商標)、Dell(登録商標)、Apple(登録商標)、Cisco(登録商標)、Sun(登録商標)などから購入可能なもの)、携帯型のもの、プロセッサベースのデバイス、及びプロセッサ又はマイクロプロセッサが装備された任意の他の電子デバイスを含む、数学的又は論理的動作のシーケンスを連続的に且つ自動的に実行するように設計されたプログラム可能なデバイスを指す。
【0041】
「例示的な」という用語は、非限定的な実施例、事例、又は実例として機能することを意味する。本明細書で使用される際に、「例えば(e.g.)」及び「例えば(for example)」という用語は、1以上の非限定的な実施例、事例、又は実例のリストを強調している。本明細書で使用される際に、(例えば、オペレータが構成可能な設定、工場での調整などによって)機能の実行が不可能であるか又は可能でないか否かに関わりなく、回路が機能を実行するために必要なハードウェア及び(もし必要ならば)コードを備えるときはいつでも、回路は機能を実行するために「動作可能」である。
【0042】
本明細書で使用される際に、「プロセッサ」という用語は、ハードウェアとして実装されているか、有形に具体化されたソフトウェアとして実装されているか、その両方であるか、及びプログラム可能であるか否かに関わらず、処理用のデバイス、装置、プログラム、回路、構成要素、システム、及びサブシステムを指す。本明細書で使用される際に、「プロセッサ」という用語は、1以上のコンピュータ、配線回路、信号修正デバイス及びシステム、システムを制御するためのデバイス及び機械、中央処理装置、プログラマブルデバイス及びシステム、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、チップ上のシステム、離散した要素及び/又は回路を備えたシステム、状態機械、仮想機械、並びにデータプロセッサを含むが、それらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書で使用される際に、「ナビゲーションコマンド」という用語は、輸送体を誘導するための指示命令を指す。ナビゲーションコマンドは、飛行制御システムによって、デジタル又はアナログデータ指示命令又は信号として表され、又は提供され得る。ナビゲーションコマンドは、非限定的に、自動操縦装置、(局所的に置かれているか遠隔に置かれているかを問わず)パイロット、及び/又は障害物回避システムによって創出され得る。ナビゲーションコマンドは、例えば、コントローラ又は操縦機構に通信され得る。
【0044】
本開示は、衝突脅威を検出することによって、自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避を容易にするためのシステム及び方法を提供しようとするものである。本明細書で開示されるように、自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避は、とりわけ、物体/障害物(例えば、静止している及び/又は移動している非協力的なターゲット)を検知するための、聴覚的な技術(例えば、反響定位センサ)、視覚的な技術、又はそれらの組み合わせを使用して、1以上の衝突脅威を検出することによって容易にされ得る。そのような衝突脅威の例は、非限定的に、鳥、人間、他の輸送体、構造物(例えば、建物、橋、塔など)、枝葉(例えば、木、草など)などの、障害物を含み得る。自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避機能(例えば、任意のハードウェア及び/又は関連方法)は、その初期設計及び製作の間に航空輸送体の制御システム(例えば、人間の操縦によるものか自動操縦装置によるものかを問わず、飛行制御システム)に組み込まれ得るが、そのような機能は、既存の飛行制御システムを制御し、又は既存の飛行制御システムに対して優先するように構成された補助システム(例えば、アドオンシステム又は「組み付け式(retrofit)」システム)を介して、代替的に提供され得る。補助システムが採用されたときに、それらは、既存の飛行制御システム(例えば、元々のナビゲーション構成要素)又は航空輸送体の構造に対する修正を必要としないことが好ましく、それによって、任意の構成要素の認可、許可などを継続している間の、望ましくない設置時間及び費用を軽減させる。
【0045】
特定の態様では、自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避機能は、輸送体を選ばず且つセンサを選ばない場合がある。実際、一般的な小型UAVでは、聴覚センサ及び視覚センサの最大距離と、それらのセンサが有効である固定された障害物又は移動する物体に対する閉塞率(closure rate)との間に重複が存在する。したがって、自律的輸送体ナビゲーション、障害物及び/又は衝突回避機能は、距離/範囲の測定のために聴覚センサ及び/又は視覚センサを採用し得る。例えば、UAV及びMAVは、電子音響的、光学的、RADAR、及び/又は自動の従属監視放送(「ADS-B」)を採用するもの(例えば、ADS-B受信器)を含む、センサを備え得る。
【0046】
自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避システムは、センサを選ばない場合があり、全地球的な環境の予測を生成するために、様々なセンサから受け取った集められた情報(すなわち、データ)を融合し得る。全地球的な環境の予測を使用して、障害物検出及びナビゲーションアルゴリズム又は衝突回避アルゴリズムに関連する特徴が抽出され、データベース内に記憶され得る。アルゴリズムバンクは、衝突脅威を検出した際に衝突を避けるべく動作が行われなければならないか否かを判定するために、データベースにアクセスし得る。アルゴリズムバンクは、動作が必要であると見なされたならば、どのような動作が行われなければならないかを決定するためにも、データベースにアクセスし得る。
【0047】
動作が必要であるならば、自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避システムは、衝突を避けるために、既に存在している輸送体のインフラ(例えば、既存の飛行制御システム)と相互作用し得る。実際、自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避システムと既存のシステムとの間の相互作用は、輸送体を選ばない場合があり、それによって、自律的輸送体ナビゲーション及び/又は障害物回避システムが、既に存在している航空輸送体を含む様々な航空輸送体に接続されることを可能にする。
【0048】
図1は、本開示の障害物回避システムを採用する自律的なナビゲーションのための例示的な環境100を示している。該システムは、概して動的衝突回避システムとも称され、電子バンパー(「e-bumper」)機能を容易にし得る。環境100は、目標102、1以上の道路110、及び、建物112、ユーティリティーライン114、電柱116、及び木々118などの任意の数の障害物を含み得る。環境100は、更に、経路に沿って予測できない障害物122を更に含み、それらは、動的正徳回避システムを使用して動的に検出され得る。示されているように、航空輸送体は、目標102に向けて1以上のナビゲーション経路(例えば、ナビゲーション経路104、106、108)を辿るように構成され得る。各経路は、例えば、自動操縦装置を介して提供され又は決定され、1以上の障害物に対処するように構成されている。
【0049】
少なくとも1つの態様によれば、航空輸送体は、自動操縦装置によって誘導されているか又は遠隔制御されているかを問わず、動的衝突回避システムを使用して予測できない障害物122を動的に避けるように構成され得る。特に、衝突脅威(例えば、予測できない障害物122)の検出に際して、動的衝突回避システムは、例えば複数のセンサから受け取った測定値に基づいて、航空輸送体に(例えば、飛行制御システムを介した)自動操縦装置又はパイロットからの任意のコマンドを無効にして、予測できない障害物122を避け、最終的にはナビゲーション経路に戻るように指示命令し得る。
【0050】
図2a及び
図2bは、動的衝突回避システムと共に使用されるのに適した輸送体(例えば、自律的な輸送体)の斜視図を示している。
図2aで示されている航空機200は、機体202、着陸装置204、(
図3で示されている)電子モジュール300、及び1以上の推力生成器206(例えば、プロペラと動作可能に連結されたタービン、モータ、又はエンジンなど)を備え得る。電子モジュール300は、機体202と一体化され得るか、又は個別のハウジング若しくはポッドを介して設けられ得る。
図2bは、
図2aの航空機200と実質的に同じである第2の輸送体を示しているが、第2の輸送体のセンサ210は、輸送体の中心のより近くに位置決めされ、個別のハウジング208内に配置されている。具体的には、1つのハウジングは特定の用途に適しているだろうが、2つ以上の個別のハウジング208(例えば、
図5aから
図5cとの関連で説明されるような組み付け式のナビゲーションモジュール)は、航空輸送体の飛行線に方向付けられた視界を提供するために、航空機200の外周に位置決めされ得る。個別のハウジング208は、機体202から取り外し可能であり、電子モジュール300、又は電子モジュール300の部分を収容するように更に構成され得る(例えば、電子モジュール300のハウジングとして機能する)。更に、個別のハウジング208の機能は、元々のナビゲーション構成要素又は航空輸送体に常在する構造物に対する修正を必要としない適切なやり方で供給され得る。
【0051】
したがって、センサ210は、下方の妨害物を検出するために、
図2cで示されているような下向きに面した構成で航空機200に位置決めされ、航空機200の前方の妨害物を検出するために、
図2dで示されているように前向きに面する構成で航空機200に位置決めされ、又は
図2eで示されているようにそれらの組み合わせであり得る。理解され得るように、センサ210は、更に、航空機200に対して全ての方向にある障害物及び他の脅威を検出するために、航空機200の側部、後部、及び/又は上端部に位置決めされ得る。したがって、センサ210の位置は、特定の目的、センサの種類、及び/又は動作に対して必要とされるように設計者によって決定され、したがって、本開示で描かれているレイアウトに限定されるべきではないことに留意されたい。着陸装置204は、示されているように単純なスキッド、又は、航空機200が飛行していないときに航空機200を支持することができ、一方で、航空機200が損傷なしに離着陸及び/又はタクシングすることを可能にする、車輪、スキッド、スキー、フロート、又はそれらの組み合わせなどの、任意の他のデバイスであり得る。着陸装置204は、飛行しているときの抵抗を低減させるために格納可能でもあり得る。
【0052】
航空機200のロール、ピッチ、及びヨーを調整することによって制御された飛行を容易にするために、航空機200は、ナビゲーションコマンドを受け取り、適切に応答するように構成された、1以上の操縦機構304又はそれと同等な操縦システムを更に備え得る。この目的のために、操縦機構304は、コントローラと動作可能に接続され、又はナビゲーションコマンドを受け取りナビゲーションコマンドに応答することができる、1以上のプロセッサ、アクチュエータ、モータ、及び/又は他のデバイス(例えば、電気的又は電気機械的なデバイス)を含み得る。適切な操縦機構304は、非限定的に、従来の飛行操縦翼面(例えば、フラップ、エルロン、エレベータ、ラダー、スポイラー、エアブレーキ、及び/又は他の飛行操縦翼面)、並びにベクトル推力(vectored-thrust)制御システムなどの他の飛行制御機構を含む。ベクトル推力制御機能は、推力を所望の方向に向けるために推力生成器206を動かすこと、したがって、飛行を制御することによって容易にされ得る。例えば、関節接合された電気モータ配置が、ベクトル推力制御を採用して、推力ベクトルを直接的に変更し得る。実際、独立して推力ベクトルモータポッドを関節接合することにより、垂直飛行と水平飛行との間の急速な移行が可能になる。特定の態様では、航空機200は、特に固定翼航空輸送体に対して、2つ以上のフィン(例えば、垂直安定板及び/又は水平安定板)を更に備え得る。
【0053】
航空機200は、データを集めるために、諜報、調査、偵察(「ISR」)ペイロードを更に備え得る。例えば、航空機200には、1以上のカメラ、音響デバイス、及び他のセンサを備えたペイロードポッドが装備され得る。UAV106によって収集された任意のビデオ、画像、音響、テレメトリ、及び/又は他のセンサデータ(「調査データ」)は、ローカルに記憶され得るか、又は送受信器などの搭載型無線通信デバイスと接続されたアンテナを使用して、リアルタイムで航空機200から遠隔位置に無線通信され得る。代替的に、調査データは、(例えば、繋がれているときに、又は地上にあるときに、運航後に)有線接続を介して、遠隔位置又は別のパーティに通信され得るか又は他の方法で伝達され得る。
【0054】
図2aから
図2eで描かれている輸送体200は、垂直離着陸(「VTOL」)航空輸送体であるが、本明細書で説明される自律的な輸送体は、そうでないことが明記されているか又は文章から明らかである場合を除いて、非限定的に、任意の無人輸送体、有人輸送体、航空輸送体、地上輸送体、水上水中輸送体、宇宙輸送体、遠隔制御される輸送体、大きい輸送体、小さい輸送体などを含む、本明細書で開示される動的衝突回避システムの原理を使用して有用にナビゲートされ得る、任意の輸送体、デバイス、構成要素、要素などを含み得ることを理解されたい。例えば、本明細書で説明される自律的な輸送体は、揚力のために水平なプロペラを使用するヘリコプター又は他の輸送体などを含み得る。本明細書で説明される自律的な輸送体は、追加的に又は代替的に、固定翼航空輸送体などの前方飛行能力を有する航空輸送体も含み得る。更なる情報として、他の適切な自律的輸送体が、「Modular Miniature Unmanned Aircraft With Vectored-Thrust Control」という名称の共同所有された米国特許第8,500,067号、及び米国特許公開公報第2015/0260526号「Autonomous Vehicle Navigation System And Method」でより詳細に開示されている。例えば、米国特許公開公報第2015/0260526号は、重なり合った視界を有するカメラと反響定位センサの両方から利益を得る、改善されたナビゲーションシステムを提供する、航空機及びセンサペイロードを説明している。
【0055】
概して、電子モジュールは、輸送体のアビオニクス、電源(例えば、推進バッテリ、発電機など)、センサペイロード、及び通信デバイス又はシステムを収容するために使用され得る。上述のように、電子モジュールは、機体202と一体化され得るか又は個別のハウジング内に包含され得る。個別のハウジングは、機体202に対する剛性を提供する可能性もあり得る。したがって、電子モジュールは、機体202から除去可能であり、機体202に対して交換可能であり、本明細書で考慮されるような電子バンパーの任意のシステム若しくはサブシステム及び/又はナビゲーションシステムを収容し得る。電子モジュールは、電子バンパー及びナビゲーションシステム並びに方法を支持する又は容易にするために使用される、電子機器及びハードウェアを備え得る。しかし、特定の電子機器及び/又はハードウェアは、電子モジュールハウジングの外側に構成され得る。例えば、航空機200は、自律的な飛行を容易にするために使用される1以上のセンサ210を更に含み得る。1以上のセンサ210は、非限定的に、反響定位センサ、超音波センサ、赤外線センサ、RADARなどを含み得る。センサ210は、機能を可能にするために、航空機200に適切に設置され得る。例えば、特定のセンサ(例えば、視覚センサ又は音響ベースのセンサ)の配置は、(使用されるならば)電子モジュールハウジングの外側で航空機200の上に構成され得る。何故ならば、電子モジュールハウジング内に特定のセンサを配置することは、センサ機能を妨げ又は邪魔するからである。例えば、
図2a及び
図2bで示されているように、センサ210は、機体202の表面(例えば、上、底、端など)に且つ/又は電子モジュールハウジング(例えば、個別のハウジング208)の上に位置決めされ得る。
【0056】
センサ210は、1以上の反響定位センサを採用し得る。それらのセンサは、概して、可聴周波数を環境内に放出すること、及び、障害物から反響定位センサの近くに戻る可聴周波数の任意の反響を検出することによって機能する。反響の強度及び/又は反響戻りの方向を使用して、その反響は、障害物を見つける且つ/又は特定するために使用され得る。今度は、(特定された)障害物が、航空輸送体に方向を変更させて、1以上の障害物との衝突を避け得る。
【0057】
採用されるセンサ210の種類に関わらず、動的衝突回避システムは、遠隔にあるパイロットからのコマンドが航空機200を障害物と衝突させ得るときに、そのようなコマンドを無効にし又は減衰させるように構成され得る。したがって、動的衝突回避システムは、(1)衝突へ導き得るオペレータ入力の減衰、及び(2)必要ならば物体の方向にある速度成分の能動的な低減を提供する。
【0058】
この目的のために、センサは、輸送体の移動の方向にある視界を得るように位置決めされ、それによって、航空機200の経路内の潜在的な障害物を特定し得る。例えば、単一のセンサ(又はセンサの単一の群)は、輸送体の経路内の衝突の脅威(例えば、妨害物又は障害物)を検出するように輸送体の前部に設けられ得る。更に、複数のセンサ210(又はセンサの複数の群)は、航空機200の外周(並びに/又は上及び下)に位置決めされて、航空機200の飛行線に方向付けられた視界を提供し得る。したがって、複数のセンサ210は、航空機200が航空機200の任意の側にある衝突の脅威を検出することを可能にし得る。
【0059】
本明細書で説明されるように、センサ210は、とりわけ、非限定的に、超音波センサなどを含む、当該技術分野で知られている又は当該技術分野で知られることとなる、任意の視覚ベースのセンサ又は反響定位センサを含み得る。一態様では、カメラ206が使用されて、オプティカルフロー(optical flow)などの3次元再構成技術を通じてより大きな物体を特定することができる。これが、自律的ナビゲーションのための有用な情報を提供し得る一方で、光学撮像に関連した処理待ち時間、並びに様々な種類の物体の可視性に対する感度は、輸送体の飛行線内にある小さい急速に接近してくる物体を検出するための光学検知技術の利用性を制限し得る。センサ210を飛行線に向けて方向付けることにより、音響検出は、光学的検出を補完し、輸送体による即応性のある操作の実行を誘発するべき緊急の妨害物を検出するために使用され得る。
【0060】
音響センサの1つの目的は、直接に飛行経路(又は他の移動線)内ある障害物、特に、視覚検出又は他の技術を使用して検出されないかもしれない障害物の即時の検出を提供することであることが理解されるだろう。それに応じて、センサ210の1つの目的は、特定の方向(例えば、輸送体の任意の方向)にある障害物、特に、視覚検出又は他の技術を使用して確実に検出されないかもしれない障害物の即時の検出を提供することであることを理解されたい。反響定位アレイがこの状況で良く動作する一方で、追加的に又は代替的に、レーザーベースの技術、又は光学的、音響的、無線周波数、若しくは他の検知様式を使用する任意の他の適切な技術などの、他のセンサシステムも、障害物の急速で正確な検出のために適切に採用され得る。自律的な輸送体内に実装されるために適切な任意のそのような技術は、妨害物を正確に且つ素早く特定することができ、本明細書で考慮されるシステム及び方法において反響定位センサの代わりに使用され得る。したがって、動的衝突回避システムは、概して、センサを選ばず、その点で様々なセンサ技術又はそれらの組み合わせのうちの1つを採用するように構成され得る。例えば、動的衝突回避システムは、視覚ベース及び音響ベースのセンサの組み合わせを採用し得る。
【0061】
電子モジュールは、単一のハウジングとして設けられ得るが、その代わりに、電子モジュールは、複数のハウジング又は「サブハウジング」を備えてもよい。例えば、電子モジュールは、2つのハウジングに分割され得る。バッテリなどのより重い構成要素のための第1のハウジングと、アビオニクス、調査ペイロード、センサペイロード、及び任意の他の電子装備などの、より繊細な構成要素のための第2のハウジングである。構成要素は、機体202にわたる所望の重量分散を提供するように、分散され又はハウジングの間で分割され得る。
【0062】
飛行制御システムは、航空機200を制御及び/又はナビゲートするために使用され得る。飛行制御システムは、輸送体上の個別の物理的な物品である必要はなく、むしろ、より大きなナビゲーションシステムの構成要素であり得るか、又はそれ自体がナビゲーションシステムの構成要素全体を含み得る。それとは異なるように明記されているか文脈から明らかである場合を除き、ナビゲーションシステムを参照しながら説明される任意の構成要素も、飛行制御システムによって使用され得るか又は飛行制御システム内に含まれ得る。その逆も可能である。動作では、飛行制御システムが、ナビゲーションシステムの構成要素から受信した信号に基づいて、航空機200が所望の位置に到達するためにナビゲーション経路を辿るように、決定し及び/又は航空機200に指示命令する。例えば、飛行制御システムは、自動操縦装置の機能を容易にし且つ/又は遠隔のナビゲーションコマンドに応答し得る。この目的のために、飛行制御システム306は、航空機200を遠隔位置と通信可能に接続し、航空機200と遠隔位置との間で信号を送受信(例えば、信号が行ったり来たり)するように構成され得る。ナビゲーションモジュールの機能は、飛行制御システム内の構成要素、航空機200内のそれ以外の構成要素、及び/又は遠隔に位置付けられた構成要素の間で、任意の適切なやり方で分散され得る。更に、適切な電子インターフェース、機械インターフェース、及び通信インターフェースが提供されて、機体202に対する電子モジュールの除去及び交換を容易にし得る。
【0063】
図3は、飛行制御システム306、動的衝突回避システム302、電子モジュール300、及び操縦機構304を有する、航空機200(例えば、自律的な輸送体)のブロック図である。より具体的には、
図3が、輸送体の飛行制御システム306、電源336(例えば、推進用バッテリ)、センサペイロード(例えば、ISRペイロード334)、及び(1以上の)通信デバイス338を収容する又はさもなければ包含するように使用される、電子モジュール300を示している。しかし、
図3で特定の配置が示されているとしても、構成要素の配置は変動し得ることが理解されよう。例えば、飛行制御システム306及び/又は動的衝突回避システム302は、1以上の専用ハウジング内に位置付けられ得るか且つ/又は航空機200から除去可能であり得る。例えば、動的衝突回避システムの機能は、(例えば、機体を介して)輸送体に除去可能且つ非恒久的に接続された組み付け式のナビゲーションモジュールを介して提供され得る。そのような組み付け式のナビゲーションモジュールは、本明細書で開示されるように、信号又はナビゲーションコマンドをインターセプト及び修正するように構成され得る。
【0064】
代替的に、飛行制御システム306及び/又は動的衝突回避システム302は、航空機200の中に統合され、電子モジュール300及び/又は操縦機構304と通信可能に接続され得る。特定の実施形態では、飛行制御システム306及び/又は動的衝突回避システム302が、メモリ、センサ、プロセッサ、又はコントローラなどの、構成要素を共有し得る。更に、電子モジュール300は、任意の望ましいやり方で、航空機200と除去可能に接続され得るか又は航空機200の胴体などの中に統合され得る。したがって、様々な構成要素の配置は、設計者又はオペレータによって所望なように構成され、したがって、本明細書で説明され又は図示されている特定の実施例に限定されるべきではない。例えば、飛行制御システム306及び/又は動的衝突回避システム302は、輸送体の外装に取り付けられ得るか、又は全体的に若しくは部分的に輸送体の範囲内に配置され得る。飛行制御システム306及び/又は動的衝突回避システム302は、除去可能且つ交換可能なパッケージ若しくは輸送体から除去可能且つ輸送体に対して交換可能なモジュールであり、又は輸送体に恒久的に接続され若しくは輸送体の中に統合され得る。
【0065】
モジュール式のハウジングは、電子モジュール300、飛行制御システム306、及び/又は動的衝突回避システム302のうちの1以上の構成要素を包み込み得る。モジュール式のハウジングは、プラスティック、金属、木材、複合材料、セラミック、又は特定の輸送体の目的又は輸送体の種類に対して適切な任意の材料から構築され得る。モジュール式のハウジングは、取り外し可能若しくは取り出し可能であり得るか、又は輸送体に恒久的に接続され得る。モジュール式のハウジングは、当業者に知られている任意のやり方で輸送体に取り付けられ得る。モジュール式のハウジングは、センサ210などのセンサのための開口部を含み得る。
【0066】
電子モジュール300
上述されたように、電子モジュール300は、輸送体200のアビオニクス(例えば、飛行制御システム206)、電源336、ISRペイロード334などのセンサペイロード、及び通信デバイス又はシステム338を収容するために使用され、機体202と一体化され得るか又は個別のハウジング内に包含され得る。特定の態様では、電子モジュール300が、動的衝突回避システム302、又は動的衝突回避システム302の機能を更に備え得る。
【0067】
操縦機構304
操縦機構304は、本明細書で考慮されるように、目標に至るナビゲーション経路上で(自律的であるか又は人間によって制御されているかを問わず)航空機200を操縦するように構成され得る。航空機200は、本明細書で参照される又はさもなければ当該技術分野で知られている(若しくは当該技術分野で知られることとなる)任意の輸送体であり得る。同様に、操縦機構304は、本明細書で参照される又はさもなければ当該技術分野で知られている(若しくは当該技術分野で知られることとなる)任意の操縦の形態にあり得る。概して、操縦機構304は、飛行操縦システム306からの信号に応答する。飛行操縦システム306は、航空機200を意図された経路に沿って正確に導くためのフィードバック又は他の制御システムを採用し得る。
【0068】
上述されたように、操縦機構304は、例えば、航空機200の後部にラダー及びエレベータを含み、更に、垂直飛行する輸送体のための任意の他の適切な操縦翼面を含み得る。そのような操縦翼面には、結合されたケーブル、アクチュエータなどが伴う。操縦機構304は、追加的に又は代替的に、自律的な輸送体を操縦するための任意の機構を含み得る。例えば、航空輸送体に対して、操縦機構304は、より一般的には、ラダー、エレベータ、フラップ、エルロン、スポイラー、エアブレーキ、及び他の操縦翼面を含み得る。ヘリコプターなどの他の航空輸送体に対して、操縦機構304は、フォイル及び他の操縦翼面と共に幾つかのローターを含み得る。幾つかのローターは、固定されたローター又は可動なローターであり得る。操縦機構304は、ベクトル推力制御を採用する関節接合された電気モータも含み、推力ベクトルを直接的に変更し得る。地上ベースの輸送体に対して、操縦機構304は、ラック及びピニオンシステム、可変回転トレッド、再循環ボールシステムなどを含み得る。操縦機構304は、追加的に又は代替的に、方向制御と共に、推力、航空機200の加速、及び減速を提供する任意の構成要素を含み得る。輸送体は、一般的に、駆動及び誘導のために個別の又は一体化された構成要素を使用し得るが、輸送体の動きに対する制御を容易にする全てのそのような組み合わせは、本明細書で考慮される「操縦機構」の範囲内に含まれることが意図されている。
【0069】
動的衝突回避システム302
電子バンパーモジュールは、概して、障害物回避システムの電子バンパー機能を容易にするための回路を含む。実際、飛行制御システム306及び動的衝突回避システム302は協働して、障害物回避システムを提供し得る。本明細書で開示されるように、動的衝突回避システム302は、1以上のセンサ210を含み得る。その場合、各センサ210は、音響的な視界(「FOV」)を有し得る。しかし、センサ210は、本明細書で参照される又はそれ以外の反響定位センサのうちの何れかであり得る。これらのセンサ210を使用して、動的衝突回避システム302は、予測できない障害物122を検出し、前記予測できない障害物122を避けるために、応答ナビゲーションコマンドを前記飛行制御システム306に通信し得る。
【0070】
例えば、
図2a及び
図2bで示されているように、動的衝突回避システム302の機能は、プロセッサ340(又は他の比較可能な論理)、メモリ342、航空機200の機体202の上、底、及び/又は外周(例えば、1以上の端部)に沿って位置決めされた1以上のセンサ210(例えば、音響センサ、視覚センサ、若しくはそれらの組み合わせ)を使用する、飛行制御システム306又は独立したシステムを介して容易にされ得る。動的衝突回避システム302が使用されて、航空機200の任意の方向において、輸送体に対する物体の任意の相対位置に対して、障害物との衝突の可能性を低減させ得る。より具体的には、動的衝突回避システム302は、複数のセンサ210を通じて設けられ得る。複数のセンサ210は、様々な障害物を検出するために使用され得る。一般的に、動的衝突回避システム302は、例えば、センサ210からの検知されたデータ及び/又は派生的なコマンド(例えば、検知されたデータ又は全地球的環境の予測値に応答し且つ予測できない障害物122を避けるように構成された制御コマンドであり得る、代替的なナビゲーション経路、減衰したナビゲーション信号、又は即応性のある操作などの、修正されたナビゲーションコマンド)を提供するために、操縦機構304(又はコントローラを介した)及び/又は飛行制御システム306と直接に通信し得る。したがって、動的衝突回避システム302は、障害物の近傍での動作を含むミッションにおいて特に有用である。
【0071】
動的衝突回避システム302の特定の利益及び寄与は、(1)個々のセンサ入力に基づいて全地球的環境の予測を生成するために使用され得る、センサを選ばない方法、(2)輸送体を選ばないアプローチで既存の輸送体制御のインフラと相互作用するために使用され得る、センサを選ばない方法、及び(3)電子バンパー機能を実行するために必要なナビゲーションアルゴリズムを含む。例えば、動的衝突回避システム302は、航空機200の中へ統合され、操縦機構304、飛行制御システム306、光学システム、センサ210、又はそれらの組み合わせと通信可能に接続され得る。
【0072】
動的衝突回避システム302は、物体からの距離に応じて、各構成要素、すなわち、オペレータ入力、距離に対する比例積分微分(「PID」)、自動操縦装置コマンドなどの影響を起動し、拡大縮小し、又は起動解除するような比較的単純な状態機械を採用し、それによって、エラーのリスクを低減させるという点でも有利である。更に、完全な状態機械の予測値は、わずか4つの反響定位センサを用いてまとめることができる。しかし、特定の実施形態(例えば、ただ1つの方向だけがモニタされる必要があるとき)では、障害物回避システムが、輸送体の前端に置かれた単一のセンサのみを使用して提供され得る。本明細書で開示されるように、動的衝突回避システム302の別の利点は、動的衝突回避システム302が、任意の協働するターゲットセンサを必要としないことである。すなわち、対応するセンサを障害物上に置く必要がなく、それによって、動的衝突回避システム302の有用性を大幅に高める。更に、動的衝突回避システム302は、航空輸送体データ情報又は衝突回避アルゴリズムを要求しない。
【0073】
様々な物理的構成が可能であり、動的衝突回避システム302は、追加的に又は代替的に、輸送体300、飛行制御システム306に統合され、又は本明細書で説明される任意の構成要素も含み得る。この目的のために、
図2a及び
図2bに関して説明されたように、センサ210は、輸送体300の外殻の範囲内に統合され得る。センサ210の統合は、幾つかの利点を提供する。例えば、センサ210の統合により、(例えば、サイズ及び重量において)コンパクトなパッケージを提供することができる。その一方で、反響定位センサの干渉(クロストーク)を避けることができ、更に/それと共に、電磁干渉(「EMI」)及びプロペラの音響ノイズを避けることができる。更に、航空機200の外殻は、精密な配置、低い抵抗力、及び(センサが損傷を受けたならば、又はそれ以外の理由でセンサを交換/更新することが望ましいならば)センサ210の容易な交換を可能にする。例えば、1以上のセンサのために輸送体の外殻の範囲内に凹部が設けられ、それによって、望ましくない抵抗力を軽減することができる。センサは、更に保護カバーで覆われ得る。しかし、保護カバーは、センサの機能/信頼性を妨げないように構成されるべきである。例えば、音響ベースのセンサが採用されたときに、保護カバーは、音響的に不可視であるべきである(例えば、薄い弾性膜によって覆われた、規則的な間隔を空けて小さな孔が設けられた布地又は反射体)。音響的に不可視な反射体材料の一例が、Jong Jin Parkらによる「Giant Acoustic Concentration by Extraordinary Transmission in Zero Mass Metamaterials」という名称のPhys.Rev.Lett.110, 244302から(2013年6月13日に)出版されたものの中で説明されている。同様に、視覚ベースのセンサが採用されたときに、保護カバーは、透明であるか又は他の方法で視認可能に設計されるべきである。
【0074】
現在の動的衝突回避システム302は、センサ210として反響定位センサを使用するものであると説明されているが、動的衝突回避システム302は、(非限定的に、本明細書で説明される反響定位センサであるか又は別の種類のものであるかを問わず)任意のセンサから受け取った測定値を採用し、それらの受け取ったデータを融合して、全地球的環境の予測を生成することができる。全地球的環境の予測から、アルゴリズムに対して関心がある特徴が抽出され、ターゲットデータベース内に記憶され得る。全地球的環境の予測は、センサが航空機の周りで検出しているものの要約であり得る。例えば、同じ状態の測定値(例えば、障害物までの距離)を提供する複数のセンサが利用可能であるならば、それらの状態値は融合される。複数の異なる状態(例えば、障害物までの距離、及び障害物の速度/閉塞率)を提供する複数のセンサが利用可能であるならば。上述のように、この全地球環境の予測を検知されたデータの要約として例示することによって、ターゲットデータベースは、一連のアルゴリズムによってアクセス可能な単一のインターフェースとして働く。
【0075】
このターゲットデータベースは、動的衝突回避システム302又は別の自律的輸送体ナビゲーション若しくは障害物回避システムによって使用され得る、任意のアルゴリズムに対する共通のインターフェースとして働き得る。動的衝突回避システム302の場合では、衝突脅威を与えると判定された物体が、動的衝突回避システム302の専用アルゴリズムにパスされる。
【0076】
上述されたように、動的衝突回避システム302は、航空機200の既存のシステムを修正することなしに、輸送体の自動操縦装置(又は人間による制御)の状態を知ることを要求せずに、飛行制御システム306の輸送体制御インターフェースを介して、航空機200に統合され得る。例えば、Arduino(著作権)マイクロプロセッサなどの埋め込まれた論理デバイス又はプロセッサ340は、(1)元々のナビゲーションコマンド(例えば、パイロット又は自動操縦装置による飛行コマンド)をインターセプトし、(2)所定の電子バンパーアルゴリズムに従って減衰させ、(3)新しい又は修正されたナビゲーションコマンド(例えば、動的衝突回避システムによって生成された減衰されたコマンド)を交換又は優先ナビゲーションコマンドとして輸送体の飛行制御システム306(例えば、自動操縦装置)又は操縦機構304に供給することができる。更に、動的衝突回避システム302は、自動操縦装置から推力生成器206(例えば、パルス幅変調(「PWM」)信号を介した電気モータ)への制御信号(例えば、ナビゲーションコマンド)をインターセプトし、それらの信号を修正した後に、それらの修正した信号を飛行制御システム306及び/又は推力生成器206(例えば、モータ、タービンなど)に送信する。現在開示されている動的衝突回避システム302の利益は、航空機200に対する変更を要求することなしに障害物回避という目的を達成すること、すなわち、動的衝突回避システム302は、輸送体を選ばないということである。特定の態様では、システム内の大幅な遅延が航空機200の望ましくない動作をもたらし得るので、動的衝突回避システム302の埋め込まれたデバイスに実装されたソフトウェアは、実行速度を絶えずモニタされ得る。
【0077】
全地球環境の予測及び輸送体制御インターフェースを適所に配置し調整することによって、動的衝突回避システム302は、輸送体が物体に衝突することをもたらし得る(パイロット又は自動操縦装置によるものなどの)ナビゲーションコマンドに集中し得る。PID距離コントローラは、(輸送体の)位置を保持し、望ましくないオペレータ入力(例えば、障害物回避)を拒絶することもできる。パイロット入力(例えば、ナビゲーションコマンド)は、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、及び帯域通過フィルタ、フィードフォーワードアプローチ、並びに高利得積分器を用いて、拒絶又は修正され得る。更に、利得スケジューリング技術は、ロバスト制御のために実装される。例えば、輸送体のオペレータによる制御入力のために輸送体が予測できない障害物122に接近した場合に、動的衝突回避システムは、物体との距離に応じてそれらの制御入力の有効性を低減させ得る。輸送体が、予測できない障害物122に接近し続けるならば、動的衝突回避システムは、結局、物体の方向における全ての制御入力を完全に減衰させ且つ/又は物体が近づいてくる速度を能動的に低減させる。同様に、環境条件(例えば、風又は突風)のために輸送体が物体に向けて移動して、衝突の危険性を生成するならば、動的衝突回避システムは、輸送体の位置が物体からの所定の安全距離未満に入らないことを確実にするためにナビゲーションコマンドを提供する。動的衝突回避システムが、物体との距離に応じてそれらの制御入力(例えば、ナビゲーションコマンド)の有効性を低減させるように、減衰が調整され得る。例えば、逆距離‐減衰関数が採用され、それによって、輸送体と物体との間の距離が減少するにつれて、制御入力が効果的に低減され、無視され、又は逆にされるように、制御入力減衰が増加する。更に、特定の状態では、動的衝突回避システムが、予測できない障害物122に影響を与える危険なしに物体が近距離で体系的に調査されることを可能にするために、輸送体を物体から一定の距離に維持するように従事することができる。物体に対する距離を保持する能力又は飛行中に障害物回避を実行する能力の両方を含む、動的衝突回避システム302の二重モードの能力は、動的衝突回避システム302を幅広い範囲のオペレータにとって有用なものにする。すなわち、輸送体と物体との間の距離を保持することは、障害物回避が経験の浅いパイロットを支援する一方で、データ収集のために有利である。
【0078】
動的衝突回避システム302は、武装/非武装特徴を更に含み得る。武装/非武装特徴は、例えば、電子バンパーが離着陸中に地上を検出した際に、誤って衝突の信号を発することを防止するために使用され得る。実際、飛行、離陸、及び着陸の様々なフェーズにおいて動的衝突回避システム302を武装化し非武装化する安全対策は、航空機200のロバスト性及び安全性を更に高める。例えば、動的衝突回避システム302は、コントローラによって手動で作動され得る(例えば、パイロットが輸送体を操作する)か、又は輸送体の距離、位置、高度、飛行時間などに応じて自動的に武装化/非武装化され得る。特定の態様では、動的衝突回避システム302が、複数の動作モードのうちの1つの間で切り替えられるように構成され得る。所望の動作モードは、例えば、航空輸送体に位置決めされた物理的スイッチを使用して、遠隔でオペレータインターフェース/デバイスを介して(例えば、遠隔コントローラ/地上点を介して)、又はそれらと同様なやり方などで選択され得る。例示的な動作モードは、非限定的に、動作しないモード(すなわち、システムがオフになっている)、精密モード、性能モードなどを含む。例えば、精密モードでは、動的衝突回避システム302が、自動離陸、誤ったオペレータ入力の拒絶、障害物回避、調整された入力制御/航空機応答マッピングを通じた航空機の精密な制御などの、特徴を可能にし得る。精密モードは、UAVが性能モードよりも近く(例えば、約1から10フィート、より好適には約3から7フィート、又は約4.5フィート)障害物に接近することを可能にするようにも設計され得る。性能モードでは、動的衝突回避システム302が、精密モードと同じ利益を提供し得るが、より速い飛行体制(flight regime)に対して最適化され得る。例えば、性能モードでは、航空機が、精密モードより遠い距離で物体を避けることができる。更に、回避操作は、より速い運航速度に対して保護するために、精密モードの操作よりも積極的であり得る。
【0079】
飛行制御システム306
飛行制御システム306は、ナビゲーションシステムの構成要素から受信した信号に基づいて、航空機200が所望の位置に到達する1以上のナビゲーション経路を決定し得る。飛行制御システム306は、ナビゲーションコマンド(例えば、データ信号)を計算し、生成し、操縦機構304に送って、航空機200をナビゲーション経路に沿って所望の位置へ導くことができる。飛行制御システム306は、個別のハウジングの内側、機体202の内側、又はそれらの組み合わせに、全体的に又は部分的に配置され得る。飛行制御システム306は、例えば、
図3を参照しながら説明された、動的衝突回避システム302又は飛行制御システム306の構成要素のうちの何れかを更に含み得る。実際、飛行制御システム306及び動的衝突回避システム302は、概して、航空機200内の1以上の操縦機構304に指示し又はさもなければ航空機200内の1以上の操縦機構304を制御するように構成されている。飛行制御システム306は、航空機200及び遠隔位置と通信可能に接続され、通信デバイス338を介して航空機200及び遠隔位置に信号を送信し航空機200及び遠隔位置から信号を受信するように構成され得る。例えば、通信デバイス338は、無線送受信器及びアンテナであり得る。
【0080】
一般的に、飛行制御システム306は、操縦システム308、地図システム310、GPSシステム312、プロセッサ314、ジャイロスコープ316、コントローラ318、加速度計320、及び/又はメモリ330を含み得る。飛行制御システム306は、他のセンサ332のみならず、無人航空輸送体又は他の自律的に若しくは手動で操縦される輸送体の動作に対して必要な又は有用な、任意の他の従来の飛行計器、センサ、処理回路、通信回路、カメラを含む光学システムなどの、電子モジュール300のハウジング内に配置されるように上述された構成要素も含み得る。飛行制御システム306の構成要素のうちの1以上は、電子モジュール300のハウジング内に収容され得る。
【0081】
飛行制御システム306は、1以上の操縦機構304及び/又は動的衝突回避システム302と通信可能に接続され得る。例えば、操縦システム308は、航空機200を意図された経路に沿って導くために、飛行制御システム306(又は動的衝突回避システム302)から信号を受信し、輸送体の操縦機構304に適切な制御信号を提供するように構成され得る。
【0082】
地図システム310は、エリア内の天然の特徴及び人工の特徴についての位置情報を提供する、地図ベースの飛行制御システムの部分であり得る。これは、例えば、地形的地図、すなわち、道路、建物、河川などを特定する一般的な二次元地図、又は木々、彫像、公共インフラ、建物などの、様々な天然の妨害物及び人工の妨害物の高さ及び形状を特徴付ける詳細な三次元データを含む、任意の詳細さのレベルにある情報を含み得る。一態様では、地図システム310が、周囲の状況の視覚的検証のために光学システムと協働し、又は、地図システム310が、経路決定などの目的で環境内の様々な障害物についての情報を提供するためにGPSシステム312と協働し得る。一態様では、地図システム310が、GPS拒否又はGPS障害の環境内で捕捉的なナビゲーション的支援を提供することができる。GPSが部分的に又は全体的に使えないときに、地図システム310は、光学センサ、慣性センサなどの他のセンサ332と協働して、GPS信号が回復できるまで位置情報を提供することができる。
【0083】
地図システム310は、より一般的に、本明細書で考慮される輸送体のナビゲーションを支持するために、飛行制御システム306の他の構成要素と通信することができる。これは、経路の計算のために地図情報を提供することを含み得るが、これは、独立したナビゲーション能力も含み得る。例えば、地図システム310は、1以上の目的を含む動作環境の地図を記憶する地図ベースのナビゲーションシステムを提供し得る。地図ベースのナビゲーションシステムは、カメラに接続され、記憶された物体を可視環境と比較することによって輸送体の位置を決定するように構成され得る。可視環境は、GPSデータ又は他の位置情報がない場合に位置データを提供し得る。
【0084】
GPSシステム312は、電子モジュール300又は航空機200の位置を決定するように構成された全地球測位システムの部分であり得る。GPSシステム312は、従来のシステム、衛星ベースのシステム、並びに、公的又は私的に操作されるビーコン、位置信号などを使用する他のシステムを含む、当該技術分野で知られているか又は当該技術分野で知られることとなる任意のGPS技術を含み得る。GPSシステム312は、位置を計算することにおいて使用されるためのデータを検出する1以上の送受信器を含み得る。GPSシステム312は、飛行制御システム306の他の構成要素と協働して、航空機200の動作を制御し、輸送体を意図された経路に沿ってナビゲートすることができる。
【0085】
ジャイロスコープ316は、電子モジュール300又は電子モジュール300が接続されている航空機200の回転を検出するように構成されたデバイスであり得る。ジャイロスコープ316は、航空機200と一体化され得るか、又は電子モジュール300のハウジングの内側若しくは外側に配置され得る。ジャイロスコープ316は、当該技術分野で知られているか又は当該技術分野で知られることとなる任意のジャイロスコープ又はそれらの変形例(例えば、ジャイロスタット、微小電気機械システム(「MEMS」)、光ファイバージャイロスコープ、振動型ジャイロスコープ、動的に調整されるジャイロスコープなど)を含み得る。ジャイロスコープ316は、飛行制御システム306の他の構成要素と協働して、航空機200の動作を制御し、輸送体を意図された経路に沿ってナビゲートすることができる。
【0086】
加速度計320は、電子モジュール300又は航空機200の直線的な動作を検出するように構成された任意のデバイスであり得る。加速度計320は、航空機200と一体化され得るか、又は電子モジュール300のハウジングの内側若しくは外側に配置され得る。加速度計320は、当該技術分野で知られている任意の加速度計(例えば、容量性、抵抗、スプリングマスベース、直流(「DC」)応答、電気機械サーボ、レーザー、磁気誘導、圧電、光学、低周波数、振子型積分ジャイロ加速度計、共振、歪ゲージ、表面音響波、MEMS、熱、真空ダイオードなど)、又は当該技術分野で知られることとなる任意の加速度計を含み得る。加速度計320は、飛行制御システム306の他の構成要素と協働して、航空機200の動作を制御し、輸送体を意図された経路に沿ってナビゲートすることができる。
【0087】
他のセンサ(又はセンサシステム)332又はセンサ210も、同様に採用され得る。例えば、航空機200(又は輸送体の飛行制御システム306、動的衝突回避システム302、又は電子モジュール300)は、赤外線センサ、RADAR(すなわち、無線探知及び測距)センサ、LiDAR(すなわち、光探知及び測距)センサなどを採用し得る。以上の何れのものも、単独で、又は本明細書で説明される他のシステム及びセンサと組み合わせて使用されて、輸送体のナビゲーションを増強する。プロセッサ314は、コントローラ318、航空機200、飛行制御システム306、操縦機構304、並びに、本明細書で説明される他の様々な構成要素、システム、及びサブシステムと通信可能に接続され得る。プロセッサ314は、航空機200若しくは飛行制御システム306の内部プロセッサ、本明細書で考慮される様々なナビゲーション機能を支持する電子モジュール300内の更なるプロセッサ、局所的に若しくは遠隔に航空機200及び飛行制御システム306に接続されたデスクトップコンピュータなどのプロセッサ、データネットワークを介して航空機200及び飛行制御システム306に接続されたサーバー若しくは他のプロセッサ、又は任意の他のプロセッサ若しくは処理回路であり得る。一般的に、プロセッサ314は、航空機200又は飛行制御システム306の動作を制御し、ナビゲーションを支持するために様々な処理及び計算機能を実行するように構成され得る。プロセッサ314は、本明細書で説明されるステップを実行するために協働する幾つかの異なるプロセッサを含み得る。例えば、ハウジング内のプロセッサが光データ及び反響定位データを前処理する間に、航空機200の内部プロセッサが航空機200の動作を制御する場合などである。
【0088】
プロセッサ314は、例えば、位置情報、移動情報、動的衝突回避システム302のデータなどを含む様々な入力に基づいて、ある位置への航空機200のナビゲーション経路を決定し又は改訂するように構成され得る。それらの入力は、GPSシステム312、地図システム310、ジャイロスコープ316、加速度計320、及び任意の他のナビゲーション入力、並びに光学システム及び反響定位システムに、様々に基づき得る。光学システム及び反響定位システムは、航空機200の周りの環境内の障害物についての情報を提供し得る。例えば、初期経路は、GPSシステム312によって提供される位置情報のみに基づいて、ジャイロスコープ316、加速度計320などによって検出された動きに基づく飛行中の調整を伴って決定され得る。プロセッサ314は、光学ナビゲーションシステムを利用するようにも構成され得る。その場合、プロセッサは、例えば、オプティカルフローを使用して画像のシーケンスを処理し且つGPSシステム312を回避し、航空機200を可視障害物の周りで位置に向かってナビゲートするように、光学システムのFOVの範囲内の可視障害物を特定するように構成されている。プロセッサ314は、通常は輸送体の飛行線の範囲内で、動的衝突回避システム302のFOVの範囲内の障害物を特定するように更に構成され、GPSシステム312及び光学ナビゲーションシステムを回避して、障害物の周りで航空機200を導き、航空機200を位置に向けて以前のコースに戻す、即応性のある操作(responsive maneuver)を実行するように更に構成され得る。
【0089】
コントローラ318は、操縦機構304などの、航空機200及び飛行制御システム306の構成要素を制御するように動作可能であり得る。コントローラ318は、プロセッサ314、航空機200、飛行制御システム306、操縦機構304、並びに、本明細書で説明されるデバイス及びシステムの他の様々な構成要素と、電気的に又はさもなければ通信可能に接続され得る。コントローラ318は、制御信号、駆動信号、電力信号、センサ信号などを通信するための入力部及び出力部を伴って、非限定的に、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、並びに任意の他のデジタル及び/又はアナログ構成要素、更に、以上のものの組み合わせを含む、本明細書で説明される航空機200及び飛行制御システム306の様々な構成要素を制御するために適切なソフトウェア及び/又は処理回路の任意の組み合わせを含み得る。一態様では、これが、搭載型プロセッサなどの、航空機200及び飛行制御システム306と直接且つ物理的に結合された回路を含み得る。別の一態様では、これが、本明細書で説明されるプロセッサ314などのプロセッサであり得る。プロセッサは、例えば、有線又は無線接続を通じて、航空機200及び飛行制御システム306と接続されたパーソナルコンピュータ又は他の計算デバイスと結合され得る。同様に、本明細書で説明される様々な機能は、航空機200、飛行制御システム306、及び個別のコンピュータのための搭載型プロセッサの間で割り振られ得る。全てのそのような計算デバイス及び環境は、異なる意味が明記されているか又はさもなければ文脈から明らかな場合を除き、本明細書で使用される「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語の意味に含まれると意図される。
【0090】
メモリ330は、非限定的に、検知された障害物の位置、地図、画像、配向、速度、ナビゲーション経路、操縦仕様、GPS座標、センサの読み取り値などを含む、飛行制御システム306のためのデータのログを記憶する、局所的なメモリ又は遠隔の記憶デバイスを含み得る。メモリ322は、追加的に又は代替的に、特定の輸送体の幾つかのナビゲーションから集められたデータ、又は異なる輸送体の幾つかのナビゲーションから集められたデータのログも記憶し得る。メモリ322は、追加的に又は代替的に、光学システム及び動的衝突回避システム302からのセンサデータ、関連するメタデータなども記憶し得る。メモリ330内に記憶されたデータは、プロセッサ314、コントローラ318、遠隔処理資源(remote processing resource)などによってアクセスされ得る。
【0091】
図4は、動的衝突回避システムを使用して輸送体をナビゲートするための方法400のフローチャートである。動的衝突回避システムは、ステップ402で開始し、又は起動される。一旦起動されると、動的衝突回避システムは、1以上のセンサを使用して(例えば、自由度の各方向において)環境をモニタする。上述されたように、センサは、例えば、反響定位センサであり得る。ステップ404で示されているように、方法400は、予測できない障害物122を検出することを含み得る。
【0092】
ステップ404で示されているように、方法400は、1以上の反響定位センサ(又は他の適切なセンサ)を使用して障害物を検出することを含み得る。ステップ404は、音響信号を出力すること、それらの音響信号の反響を検出すること、及び検出された反響を使用して障害物のサイズ及び位置を決定することを含み得る。一般的に、これは、その位置から目標までの輸送体のナビゲーション経路を妨げる、部分的に妨げる、不明瞭にする、危険に晒すなどの、聴覚的な流れを通じて検出することができる任意の障害物であり得る。障害物は、建物、木々、電線、岩などの、任意の物理的な障害物であり得る。より一般的に、第1の障害物は、輸送体が避けるべき任意の位置又は経路であり得る。
【0093】
ステップ406で示されているように、方法400は、ナビゲーションコマンドを減衰させるか否かを判定することを含み得る。ステップ412でナビゲーションコマンドを減衰させるか又はステップ408で即応性のある操作を計算するかに関する判定は、障害物の距離に基づき得る。例えば、障害物までの距離が、所定の距離閾値を満たす又は超えるならば、ステップ412で、動的衝突回避システムのプロセッサは、ナビゲーションコマンドを減衰させ得る。障害物までの距離が所定の距離閾値未満であるならば、それはより差し迫った衝突を示唆するものであり、ステップ408で、動的衝突回避システムのプロセッサは、即応性のある操作を計算し得る。
【0094】
ステップ412で示されているように、方法400は、ナビゲーションコマンドを減衰させることを含み得る。例えば、輸送体のオペレータ又は自動操縦装置による制御入力のために輸送体が障害物に接近した場合に、動的衝突回避システムは、物体までの距離に基づいて制御入力を調整し得る。輸送体が、障害物に接近し続けるならば、動的衝突回避システムは、結局、物体の方向における全ての制御入力を完全に拒絶し且つ/又は物体が近づいてくる速度を能動的に低減させる。
【0095】
ステップ414で示されているように、方法400は、障害物を避ける即応性のある操作を計算することを含み得る。一態様では、即応性のある操作が、改訂されたコースからの一時的な逸脱を提供し、即応性のある操作が実行された後で直ちに改訂されたコースに戻る、所定の即応性のある操作であり得る。別の一態様では、これが、障害物についての情報に従って幾つかの所定の即応性のある操作の中から選択すること、又は反響定位システムからのフィードバックに従って即応性のある操作を動的に生成することを含み得る。必要に応じて、即応性のある操作は、検出された障害物の状況により良く反応するために、GPSデータ、光学データ、又は他のセンサデータなどの、他のデータに更に適合させることができる。どの様な計算が行われるとしても、即応性のある操作を計算せよとの指示命令は、対応する実行のために輸送体の操縦システムに送信され得る。
【0096】
ステップ410で示されているように、方法400は、ステップ412での減衰又はステップ414での即応性のある操作の結果として、障害物が範囲外となったか否かを判定することを含み得る。障害物が範囲外ならば、方法400は、ステップ416で終了し得るか、又は代替的に将来的な障害物を避けるためにステップ402で再スタートし得る。障害物が未だ範囲内ならば、方法400は、ステップ404に戻り得る。
【0097】
RADAR飛行制御/衝突回避(RFCA)モジュール500
動的衝突回避システム302は、矩形ビーム整形器を有するマイクロRADARセンサなどのセンサ210のうちの1つとしてRADARを使用する、RADAR飛行制御/衝突回避(RFCA)モジュール500として具現化され得る。
図5aから
図5cで示されているように、RFCAモジュール500は、無線周波数大規模集積(RFLSI)構成要素502、1以上のメモリデバイス504(例えば、RAMとROM)及びセンサ210のうちの1以上に接続されたマイクロコントローラ(MCU)508、絶えず動作している(on-the-go)USBコネクタなどのケーブル入力部506、及び航空機200とのインターフェースコネクタ510を含み得る。RFCAモジュール500は、信号及び電圧を取り扱うための様々な電子構成要素512(例えば、コンデンサ、コイル、低ドロップアウト(LDO)調整器など)を更に備え得る。センサ210(例えば、矩形ビーム整形器を有するマイクロRADARセンサ)のうちの1つは、同じPCB514上に位置付けられ、又は遠隔に置かれ且つ電子伝導体若しくは無線送受信器を介してPCB514に接続され得る。
【0098】
インターフェースコネクタ510は、電力、及びRFCAモジュール500と航空機200との間のユニバーサル非同期受信器/送信器(UART)機能を提供し得る。RFCAモジュール500は、好適にはコンパクトであり、部分的に輸送体及びセンサを選ばないので、インターフェースコネクタ510を介して航空機200の既存の飛行制御システム306及び/又は(1以上の)操縦機構304に接続する部品(retrofit)として働くように構成されている。動作では、センサ210が、マイクロコントローラ508に入力測定値を提供する。マイクロコントローラ508は、1以上のソフトウェアプログラム(例えば、ナビゲーション、高度維持、着陸支援、及び衝突保護ソフトウェア/機能)を実行するように構成されている。マイクロコントローラ508は、航空機200の飛行制御システム306にコマンドを出力する。RFCAモジュール500は、それが、(例えば、1以上のセンサ210からの)生データをキャプチャするための単一のモジュール、信号処理、及び検出アルゴリズムとして動作し得る、信頼でき且つ柔軟なアーキテクチャを提供するという点で有利である。RFCAモジュール500と航空機200との間のデータ通信は、単一の双方向通信チャネルを介して容易にされ得る。単一の双方向通信チャネルは、例えば、MAVリンクアプリケーションプログラムインターフェース(API)を通じて構成可能であり得る。
【0099】
RFCAモジュール500は、下向きに面する構成、前向きに面する構成、又はそれらの組み合わせで、航空機200に設置され得る。下向きに面する構成では、
図2cで示されているように、RFCAモジュール500が、高度維持及び(例えば、着陸支援モジュールを介して)着陸支援機能を容易にし得る。例えば、RFCAモジュール500は、高度維持機能を介して、下方に検出された妨害物に対して(地上から)所定の高度を維持するように航空機200に命令し、又は着陸支援機能において、下方に検出された妨害物を避けるように着陸操作を実行するように航空機200に命令し得る。前向きに面する構成では、
図2dで示されているように、RFCAモジュール500が、検出された妨害物との衝突を避けるために、(例えば、ブレーキとして働く)前方向の飛行操作を命令することによって衝突保護を提供する。予備的な試験は、RFCAモジュール500が、静止しているか又は移動しているかを問わず、検出された最も近い物体に対して、1~10メートルの距離、5m/sまでの速度、40Hzの更新レート、(前向きに面する構成で)70度の視界(FOV)及び(下向きに面する構成で)60度の視界、8cmの解像度を提供する。
【0100】
RFCAモジュール500は、好適にはコンパクト且つ軽量であり、それによって、航空機200に対する負荷及び負担を最小化する。例えば、RFCAモジュール500は、10mmと50mmの間、より好適には20mmと40mmの間、最も好適には約30mmの長さ(L)を有し、一方で、幅(W)は、10mmと40mmの間、より好適には15mmと30mmの間、最も好適には約20mmであり、高さ(H)は、1mmと10mmの間、より好適には3mmと7mmの間、最も好適には約5mmであり得る。例えば、20×30×5mmを有するRFCAモジュール500は、25グラム未満の重量及び1ワット(W)未満の電力消費を有することを示した。
【0101】
3つの領域の衝突保護機能
特定の態様では、動的衝突回避システム302のプロセッサ340が、パイロット優先特徴を有する3つの領域の衝突保護機能を実行し得る。しかし、特定の態様では、3つの領域の衝突保護機能を容易にするための回路を含む個別のモジュールが提供され得る。3つの領域の衝突保護機能は、その環境/範囲内に物体を有する航空機200の軽率な衝突を防止するための、センサ及び航空機を選ばない技術を提供する。言い換えると、3つの領域の衝突保護機能は、「検出及び回避」能力並びに/又は「検知及び回避」能力を航空機200に提供する。それらの能力は、パイロットを介するにせよ又は自律的な飛行であるにせよ、航空機のナビゲーションにとって必須のものである。
【0102】
(例えば、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600を介して)3つの領域の衝突保護機能を採用する航空機200の利点は、能動的に操縦されている航空機100のための効果的な衝突保護システムを提供するために、低コスト及び低忠実度(low fidelity)の距離測定を利用することができるということである。3つの領域の衝突保護機能は、その設計においてセンサを選ばないと共に航空機を選ばない特徴を維持したままで、1以上のセンサ210からのセンサ入力を拡大縮小することもでき、それによって、3つの領域の衝突保護機能が、事実上全ての航空機で採用されることを可能にする。
【0103】
例示的な3つの領域の衝突保護機能は、
図6aで示されている3つの領域の衝突保護アルゴリズム600を使用することで容易になり得る。図示されているように、1以上のセンサ210、人間のパイロット、又は自動操縦装置から3つの領域の衝突保護アルゴリズム600への入力は、ステップ602で受け取られる。その入力は、レンジレート予測、レンジ予測、及び入力パイロットコマンドストリーム(すなわち、パイロットコマンド)を含み得る。入力パイロットコマンドストリームは、人間のオペレータ又は自動操縦装置からのコマンドストリームであり得る。これらの3つの入力を使用して、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600は、ステップ604で、物理的な空間内の複数の領域からターゲットが現在位置しているある領域を決定する。説明されることとなるように、その領域は、輸送体200とセンサ210の動作範囲(例えば、最大動作距離)との間のセンサ210の視界によって通常規定される空間のエリア又はその部分である。ある実施形態では、3つの領域が、インカミング領域622、危機的な領域620、又はパニック領域618として特定される。3つの領域は、例えばステップ606で提供される公式を使用して特定され得る。
【0104】
他の実施形態では、
図6bで示されているように、3つの領域が、オペレータによって決定されるセンサ距離閾値(例えば、第1及び第2の距離閾値624、626)に基づいて特定され得る。それらの閾値は、距離の境界を決める。図示されているように、第1の領域(インカミング領域622)は、センサ最大距離とインカミング閾値626(例えば、第1の閾値/距離)との間のエリアに及び、第2の領域(危機的な領域)は、インカミング閾値626とパニック閾値624との間のエリアに及び、第3の領域(パニック領域618)は、パニック閾値624(例えば、第2の閾値/距離)と輸送体自体との間のエリアに及ぶ。理解され得るように、センサ最大距離は、そのポイントで所与のセンサが物体/ターゲットを適切な信頼性を伴って検出することができる最大距離を指し得る。図示されているように、各領域の形状は、視界(FOV)の形状に応じて決定され得る。センサ距離閾値624、626は、オペレータから航空機200によって受け取られ得る。例えば、ターゲットがインカミング領域又は危機的な領域の何れかに位置付けられるならば、オペレータによって設定された距離閾値と領域のレンジレート上限を使用して、レート上限曲線が、レンジ、レンジレートドメイン内で計算される。ステップ606では、これらの決定に基づいて、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600が、制御入力(例えば、Rate
set及び/又はK
p)を設定する。続いて、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600は、ステップ606からのRate
set及び/又はK
p制御入力を、ステップ608で比例‐微分(PD)コントローラに入力して、制御データを出力する。ステップ610では、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600が、ステップ608からの制御データ(すなわち、無次元の-1から1までの範囲)を、制御コマンドストリーム(すなわち、PWMパルス長などの、ステップ602から入力されたパイロットコマンド単位では、1000から2000の範囲)に変換する。ステップ612では、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600が、ステップ610からの制御コマンドストリームを、パイロットコマンドストリーム(すなわち、パイロットコマンド、つまりステップ602の入力パイロットコマンドストリーム)と比較して、パイロットコマンドが安全であるか否かを判定する。コマンドが、輸送体からターゲットまでの距離を低減させるか、又は輸送体レートを606で設定されたレート上限(例えば、Rate
set)より上に増加させようとしていると解釈され得るならば、パイロットコマンドは危険だと推定される。パイロットコマンドが安全ではない(すなわち、危険だ)と判定されたならば、ステップ614で、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600は、ステップ610からの制御コマンドストリームを出力する。パイロットコマンドが安全であると判定されたならば、ステップ616で、3つの領域の衝突保護アルゴリズム600は、ステップ602からの入力パイロットコマンドストリームを出力する。
【0105】
図6bは、3つの領域、すなわち、パニック領域618、危機的な領域620、及びインカミング領域622の例示的な実施形態を示している。航空機200は、
図6bで示されている視界を有し得る。この実施形態では、視界が、センサ最大距離までのセンサの視界を表している。視界は、パニック閾値624及びインカミング閾値626などの、オペレータの閾値入力に基づいて、3つの領域に分割され得る。そのようにして、航空機200の制御は、航空機200が3つの領域の各々に入る際に、独自に制限され得る。実施例のやり方によって、輸送体200の最大速度、加速度、及び/又はレート上限(rate limit)は、航空機200が3つの領域618、620、622の各々に入る際に、異なって制限され得る。一旦航空機200がパニック領域618に位置付けられると、システムは、航空機200の速度を落とすように制御し得る。航空機200が危機的な領域620に入る際に、航空機200は、更に速度を落とすか又はブレーキをかけ得る。最後に、航空機200がインカミング領域622内に位置付けられる(例えば、航空機200が視界内の障害物に向けて最も近い領域にある)ときに、ブレーキをかけるコマンドが発行され且つ/又はオペレータによる前進コマンド入力が無視されて、航空機200を前方に操作する任意の制御コマンドを無効にし得る。コマンド/制御を制限するこれらの及び他の様々な実施例は、本開示を考慮すれば当業者に明らかであろう。
【0106】
着陸支援モジュール
着陸支援モジュールは、着陸動作中に操縦機構304及び/又はスロットルを自律的に制御することによって、オペレータからの公称入力を用いて航空機200を自律的に着陸させるための回路を含む。しかし、特定の態様では、動的衝突回避システム302のプロセッサ340が、着陸支援機能を実行し得る。着陸支援モジュールは、航空機200が妨害物上に着陸すること及び/又は(例えば、障害物のために)衝突又は航空機200に対する他の危険をもたらし得る位置に着陸することを抑止するためのセンサフィードバックから利益を受ける。着陸支援モジュールは、着陸操作中にセンサ入力を使用してループを閉じ、滑らかで安全な着陸を確実にする。より具体的には、着陸支援モジュールが、航空機200の下方の複数のターゲットまでの距離を測定することができる1以上のセンサ210からの入力を採用する。例えば、1以上のセンサ210は、RADAR、LiDAR、(2つ以上のカメラを介した)ステレオビジョンなどであり得る。
【0107】
着陸支援システムは、ビーコン又は基準監督(fiducial overseer)を必要とすることなしに、閉ループ制御及び安全な着陸確認を、航空機200の飛行制御システム306に提供する。(例えば、目標102において)着陸場所を調査すること、及び、(以下で説明される)ターゲットフィルタに基づいて信頼値を計算することによって、航空機200は、(動的衝突回避システム302/RFCAモジュール500などを介して)航空機200の下方のエリアが閉ループの自律的着陸のために使用され得るか否かを判定することができる。安全着陸区域を特定し且つ/又は確認することに加えて、着陸支援モジュールは、操縦機構304のためのスロットルコマンド及び/又は制御コマンドを生成して、航空機200を滑らかに着陸させることもできる。
【0108】
着陸支援モジュールは、高度クリアランス及び閉ループスロットルコマンドを通じて、航空機200の安全な動作を維持する。着陸支援モジュールは、1以上のセンサ210を通じて航空機200の高度を測定し、航空機200の閉ループスロットル制御を実行して、着陸支援を提供する。(例えば、下向きに面する構成のRFCAモジュール500又は別のセンサ210によって)障害物が検出された事象では、着陸の延期が実行され、それによって、航空機200はその着陸を中止し且つ/又は新しい着陸エリアを特定することができる。更に、先ず着陸ターゲットを決定し、次いで閉ループスロットル制御/制御コマンドを生成し、最後に着陸パラメータ(例えば、信頼度、最大距離、及び降下率)を満たさない自律的な着陸を「延期」(例えば、中止)するために、距離測定値がフィルタリングされる。RFCAモジュール500は、続いてセンサ測定値に基づいて新しい着陸区域を特定し、又は着陸区域が危険であると推定されたときにホバリング以外の操作を実行し得る。
【0109】
図7は、着陸支援モジュールの着陸支援機能のための例示的な着陸支援フローチャート700を示している。図示されているように、ステップ702で、着陸支援モジュールに対する入力が受け取られる。入力は、人間のオペレータ又は自動操縦装置の何れかによって生成され得る、距離アレイ(range array)及び着陸パラメータを含み得る。
【0110】
ステップ704では、着陸ターゲットフィルタが、距離アレイからターゲットの数を決定する。ステップ706において、着陸支援モジュールは、ターゲットの数が1つより多いか否かを判定する。ターゲットの数が1つより多いならば、着陸支援モジュールはステップ708に進み、そうでなければ、着陸支援モジュールはステップ710に進む。ステップ708では、着陸支援モジュールが、ターゲットを最小(距離_アレイ)と等しくなるように設定し、ステップ710に進む。ステップ710において、着陸支援モジュールは、ターゲットが着陸パラメータを満たすか否かを判定する。ターゲットが着陸パラメータを満たすならば、着陸支援モジュールはステップ712に進み、そうでなければ、着陸支援モジュールはステップ716に進む。ステップ712では、着陸支援モジュールが、着陸_状態を誤りに設定し、ステップ714に進む。ステップ714では、着陸支援モジュールが、例えば、飛行制御システム306に着陸_状態を出力する。ステップ716では、着陸支援モジュールが、着陸_状態を正しいに設定し、ステップ718に進む。ステップ718では、着陸支援モジュールが、比例‐積分‐微分(PID)コントローラを採用して、制御信号を生成し、ステップ720に進む。ステップ720では、着陸支援モジュールが、ステップ718からの制御信号を、スロットル_Cmd単位に変換する。ステップ722では、着陸支援モジュールが、例えば、飛行制御システム306に着陸_状態及びステップ720からのスロットル_Cmdを出力する。その後、輸送体の飛行制御システムは、着陸_状態を問い合わせて、適切な動作を取り、スロットル_Cmdを適切な制御ループに適用することができる。
【0111】
着陸支援モジュールからのデフォルト出力は、例えば、以下のものを含む。すなわち、高度_クリアランス、パイロット_推力_コマンド、及び着陸_状態である。しかし、出力は、特定のニーズを満たすようにカスタマイズされ得る。カスタム出力は、例えば、以下のものを含み得る。すなわち、高度_相対、ターゲット_VZ(Z方向の速度)である。着陸支援モジュールのパラメータは、APIを通じて構成され得る。
【0112】
ターゲットフィルタリングモジュール
RADARセンサの問題は、大きなエリアにわたり物体を検出するためのRADARセンサの能力のために、出力が通常散乱し無秩序なデータとなることである。結局、殊に、ナビゲーション決定プロセスに対して、RADARセンサから戻ってきたデータを解析することは困難であり得る。動作では、RADARセンサが、その見通し線の範囲内の5つの最も目立った物体を測定し、物体の相対距離とRADARが検出している大きさの両方を出力し得る。これらの値は、通常大きさの降順で出力されるが、フィードバックのこの方法は、衝突回避及び自律的飛行に対して不適切である。というのも、動的な環境では、妨害物が(RADARによって見られるように)絶えず大きさで互いを上回り、報告される距離は相互交換され、したがって、閉ループコントローラに深刻な影響を与えるフィードバックの大幅なジャンプをもたらすからである。
【0113】
解決策は、実際の物体対ノイズを検出し、クリーンなフィードバック信号が航空機200に戻るように物体を追跡するための、ターゲットフィルタリングアルゴリズムを実装する回路を含む、ターゲットフィルタリングモジュールを採用することである。ターゲットフィルタリングモジュールは、ジャンプを防止し、出力を滑らかにし、信頼値を報告するためのターゲットフィルタリングアルゴリズムを実装する。信頼値は、衝突回避システムの誤検出を防止するために使用され得る。5つの距離、5つの大きさのRADAR装置のターゲットフィルタリング及び最適化は、したがって、RADARセンサから得られたデータを使用して、妨害物を特定及び追跡することを可能にする。ターゲットフィルタリングモジュールは、したがって、航空機200に対する5つの距離、5つの大きさのRADARセンサペイロードのフィルタリング及び最適化を提供し、5つの物体を同時に追跡することを可能にすることによってこの問題に対処し得る。
【0114】
物体追跡を実行する能力は、自律的なナビゲーション及び衝突回避の両方を向上させる。特定の態様では、動的衝突回避システム302のプロセッサ340が、開示されたターゲットフィルタリング機能を実行し得る。したがって、ターゲットフィルタリングモジュールは、不安定且つノイズが多いRADAR測定値を、自律的な飛行のフィードバックのみならず衝突回避のために利用されることができるクリーンな信号へと変換する。ターゲットフィルタリングモジュールは、航空機200の性能を最適化するために、RADARモジュールの欠点を減衰させながら、RADARモジュールの利点を強調する。類似の解決策が、現在のアルゴリズムの小規模な変形によって導き出され得る。サブ機能の選択(すなわち、デジタルフィルタの種類、直線的対多項式曲線適合、ガウス対二項予測分布など)において、幾らかの柔軟性が存在する。
【0115】
図8は、例示的なターゲットフィルタモジュールの入力及び出力
図800を示している。例示的なターゲットフィルタモジュールは、ターゲットフィルタアルゴリズム812を使用して、1以上のセンサ210からのセンサデータを組み合わせて、対応する信頼値を有するフィルタリングされた距離を生成するための回路を含む。1以上のセンサ210は、高度測定値802、RADAR大きさ804、及びRADAR距離806を集めるための、RADAR及び高度計を含み得る。信号プロパティ抽出技術810を使用して、ターゲットフィルタアルゴリズム812は、RADARからの異常測定値を検出し、誤ったデータポイントを消去することができる。距離割り当て値及び信頼値が、信号プロパティ、RADAR大きさ、及び暗騒音(ground noise)の予測値の重み付け平均を使用して計算される。
【0116】
図9は、ターゲットフィルタリングモジュールを使用して、ターゲットフィルタリング機能を提供するための例示的なフローチャート900を示している。ここで、Std_Devは、これらの20ポイントの直線回帰を通るトレースのうちの最新の20ポイントの標準偏差である。Min_Diffは、トレースの最新の距離と着信データからの割り当てられた距離との間の最小差である。反復_カウンター(反復カウント又はカウンター)は、連続した外挿(consecutive extrapolation)の数である。最後に、信頼値は、実際のターゲットである距離の信頼度である。その信頼度は、大きさとStd_Devの重み付けされた合計を使用して計算される。
【0117】
ステップ902では、ターゲットフィルタリングモジュールが、見通し線の範囲内の最も目立った5つの物体に対して、RADARから5つの新しい距離及び大きさのうちの第1のものを受け取り、ステップ904に進む。ステップ904では、ターゲットフィルタリングモジュールが、大きさが満たされたか否かを判定する。ステップ904で、大きさが満たされたならば、ターゲットフィルタリングモジュールは、ステップ906で、距離を以前に知られていた適切な値(good value)に設定し、ステップ908に続く。ステップ904で、大きさが満たされていないならば、ターゲットフィルタリングモジュールは、ステップ908に続く。ステップ908では、ターゲットフィルタリングモジュールが、Std_Devを計算し、ステップ910に進む。ステップ910では、ターゲットフィルタリングモジュールが、現在のトレースに対して最も良く適合する新しい距離ポイントを計算及び/又は特定し、ステップ912に進む。ステップ912では、ターゲットフィルタリングモジュールが、Min_Diffを計算し、ステップ914に進む。ステップ914では、ターゲットフィルタリングモジュールが、4つの条件が満たされているか否かを判定する。4つの条件は、(1)Min_DiffがStd_Devの3.5倍より大きいか否か、(2)Min_Diffが0.4より大きい否か、(3)Std_Devが0.2未満であるか否か、及び(4)反復_カウンターが15未満であるか否かである。ステップ914で、各4つの条件が満たされたならば、ターゲットフィルタリングモジュールは、ステップ916に進み、そうでなければ、ターゲットフィルタリングモジュールは、ステップ920に進む。
【0118】
ステップ916では、ターゲットフィルタリングモジュールが、直線回帰を使用して、新しいフィルタリングされた距離ポイントを計算し、ステップ918に進む。ステップ918では、ターゲットフィルタリングモジュールが、反復_カウンターをインクリメントし、ステップ924に進む。
【0119】
ステップ920では、ターゲットフィルタリングモジュールが、RADARからの最適なデータポイントを割り当てて、出力距離をフィルタリングし、ステップ922に進む。ステップ922では、ターゲットフィルタリングモジュールが、潜在的にトレース内で使用されている距離から割り当てられた距離を除去し、ステップ924に進む。
【0120】
ステップ924では、ターゲットフィルタリングモジュールが、臨界減衰(critically damped)ローパスフィルタ(LPF)を使用して信頼度及びローパスを計算し、ステップ926に進む。信頼値及びローパス値は、入力距離信号(例えば、信号平均、標準偏差、及び大きさ)から導き出される統計的な項の重み付け平均を使用して計算され得る。信頼度の計算における項の重み付けは、オペレータによって決定され(すなわち、オペレータが規定し)、(例えば、オペレータによって)所望のフィルタ性能に対して調整され得る。ステップ926では、ターゲットフィルタリングモジュールが、距離2~5の各々に対して(ステップ902で開始する)以上のことを繰り返して、距離1~5の全てが完了したときに、ステップ928に進む。ステップ928では、ターゲットフィルタリングモジュールが、フィルタリングされた距離及び信頼値を戻す。
【0121】
ある実施形態において、信頼値及びローパス値は、航空機200が一般的に運航される環境に基づいて決定され得る。例えば、雪が一般的である動作環境では、雪の反射率が、ノイズのレベルが検出される一般的な原因であると考えられ得る。そのようにして、システムは、それに応じて信頼値及び/又はローパス値を設定し、RADARによって検出される許容可能なノイズレベルを調整し得る。同様に、機械学習アルゴリズムが、今説明されたシステムのターゲットフィルタリング機能を用いて適用され得る。
【0122】
本明細書で説明されるシステムは、クライアントデバイスも含み得る。クライアントデバイスは、ナビゲーションシステム又は自律的な輸送体を初期化し、管理し、モニタし、制御し、又はさもなければそれらと相互作用するために、オペレータによって操作される任意のデバイスを含み得る。これは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットワークコンピュータ、タブレット、又は本明細書で考慮されるシステム内に入り得る任意の他の計算デバイスを含み得る。クライアントデバイスは、オペレータインターフェースを含み得る。オペレータインターフェースは、オペレータインターフェースとしてグラフィカルユーザインターフェース(GUI)、テキスト若しくはコマンドラインインタフェース、音声制御インターフェース、及び/又はナビゲーションシステム若しくは自律的な輸送体の動作を制御するためのジェスチャーベースのインターフェースを含み得る。オペレータインターフェースは、例えば、ナビゲーションシステム又は自律的輸送体からのデータ及びステータス情報を受け取る、クライアントデバイスのうちの1つで局所的に実行されるアプリケーションによって維持され得る。オペレータインターフェースは、オペレータ相互作用のためのクライアントデバイス上に、適切なディスプレイを生成し得る。例えば、オペレータインターフェースは、光学システム内のカメラからの光景をリアルタイムで表示し、又はナビゲーションシステム内の他のセンサからの他のデータを表示するディスプレイを含み得る。他の実施形態では、オペレータインターフェースが、クライアントデバイスのうちの1つで遠隔にサービスされ且つ提示され得る。例えば、ナビゲーションシステム又は自律的な輸送体が、ウェブサーバを含む場合である。ウェブサーバは、クライアントデバイスのうちの1つで実行されるウェブブラウザ又は類似のクライアント内で表示され得る、1以上のウェブページなどを通じて情報を提供する。一態様では、オペレータインターフェースが、オペレータから話されたコマンドを受け取り且つ/又はオペレータに話されたフィードバックを提供する、音声制御されたインターフェースを含み得る。
【0123】
上述のシステムは、主として航空輸送体に適用されるように説明されたが、そのようなシステム、方法、及び技術は、自動車、倉庫設備、建築設備、クレーン、電動車椅子、空港設備などの、他のテクノロジーを用いて採用され得ることを、当業者は理解するだろう。
【0124】
上述のシステム、デバイス、方法、プロセスなどは、本明細書で説明される制御、データ取得、及びデータ処理に対して適切な、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実現され得る。これは、内部及び/若しくは外部メモリと共に、1以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、埋め込まれたマイクロコントローラ、プログラマブルデジタル信号プロセッサ、又は他のプログラマブルデバイス若しくは処理回路内での実現を含む。これは、追加的に又は代替的に、1以上の特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理構成要素、又は電子信号を処理するように構成され得る任意の他の1以上のデバイスを含み得る。上述されたプロセス又はデバイスの実現は、プロセッサの異種組み合わせ、プロセッサアーキテクチャ、又は異なるハードウェアとソフトウェアの組み合わせのみならず、上述のデバイスのうちの1つで実行されるように記憶され、編集され、又は翻訳され得る、(アセンブリ言語、ハードウェア記述言語、並びにデータベースプログラミング言語及び技術を含む)Cなどの構造化されたプログラミング言語、C++などのオブジェクト指向のプログラミング言語、又は任意の他の高レベル若しくは低レベルのプログラミング言語を使用して生成される、コンピュータ実行可能コードを含み得ることが更に理解されるだろう。同時に、処理は、上述の様々なシステムなどのデバイスにわたり分散され得るか、又はその機能のうちの全てが、専用スタンドアローンデバイスの中に統合され得る。全てのそのような変形及び結合は、本開示の範囲内に入ることが意図されている。
【0125】
本明細書で開示される実施形態は、1以上の計算デバイスで実行されたときに、上述された制御システムのステップのうちの何れか及び/又は全てを実行する、コンピュータ実行可能コード又はコンピュータ使用可能コードを備えた、コンピュータプログラム製品を含み得る。コードは、コンピュータメモリ内に非一過性のやり方で記憶され得る。コンピュータメモリは、そこからプログラムが実行する(プロセッサに結合されたランダムアクセスメモリなどの)メモリ、或いはディスクドライブ、フラッシュメモリ、又は任意の他の光学、電磁気、磁気、赤外線、又は他のデバイス若しくはデバイスの組み合わせなどの、記憶デバイスであり得る。別の一態様では、上述のシステム及び方法のうちの何れかは、コンピュータ実行可能コード及び/又は任意の入力若しくはそれからの出力を運ぶ、任意の適切な送信若しくは伝播媒体内で具現化され得る。
【0126】
本明細書で説明される実施態様の方法ステップは、異なる意味が明瞭に提示されるか又はさもなければ文脈から明らかである場合を除き、1以上の他のパーティ若しくはエンティティに、以下の特許請求の範囲の特許性と一貫した、ステップを実行させる任意の適切な方法を含むことが意図されている。そのようなパーティ又はエンティティは、任意の他のパーティ又はエンティティの指示又は制御の下にあることを必要とせず、特定の管轄内に位置付けられる必要もない。
【0127】
本明細書で挙げられる任意の特許、特許公報、又は記事は、それらの全体を参照することによって本明細書に組み込まれている。上述の方法及びシステムは、実施例のやり方で非限定的に説明されていることが理解されよう。多くの変形、追加、省略、及び他の修正が、当業者には明らかであろう。更に、上述の及び添付の図面の方法ステップの順序又は表現は、特定の順序が必要とされることを明記されているか又はさもなければ文脈から明らかである場合を除き、この順序で挙げられているステップを実行することを要求することを意図していない。したがって、特定の実施形態が図示され説明されたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更及び修正が行われ得ること、及び、それらの変更及び修正が以下の特許請求の範囲によって規定される本発明の一部分を形成することが意図されていること、特許請求の範囲は、法律によって許容される最も広い意味で解釈されることが、当業者には明らかであろう。
また、本発明は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
航空機(100,200)内に衝突保護を提供するための方法であって、
航空機(100,200)に位置決めされ且つプロセッサ(314,340)と動作可能に接続されたセンサ(210,323)からセンサ入力を受け取ることであって、前記センサ(210,323)が視界の範囲内で障害物(122)を特定するように構成されている、センサ入力を受け取ること、
パイロットからパイロットコマンドストリームを受け取ること、
少なくとも部分的に前記センサ入力に基づいて前記視界の範囲内の障害物(122)を特定すること、
前記視界の範囲内の複数の領域(618,620,622)から前記障害物(122)が位置している領域(618,620,622)を決定することであって、前記領域(618,620,622)が少なくとも部分的に前記センサ入力に基づいて決定される、領域を決定すること、
前記決定するステップにおいて決定された前記領域(618,620,622)に応じて制御入力を設定すること、
前記制御入力を比例‐微分(PD)コントローラに入力して、制御データを生成すること、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御データに応じて制御コマンドストリームを生成すること、及び
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御コマンドストリームを前記パイロットコマンドストリームと比較して、前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であるか否かを判定することを含む、方法。
(態様2)
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全でないと判定されたときに、前記制御コマンドストリームが、前記パイロットコマンドストリームの代わりに前記航空機(100,200)の飛行コントローラ(206,306)に通信される、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であると判定されたときに、前記パイロットコマンドストリームが、前記航空機(100,200)の飛行コントローラ(206,306)に通信される、態様1又は2に記載の方法。
(態様4)
前記センサ入力が、レンジレート予測又はレンジ予測を含む、態様1から3のいずれかに記載の方法。
(態様5)
前記パイロットコマンドストリームが、人間のパイロットからのものである、態様1から4のいずれかに記載の方法。
(態様6)
前記パイロットコマンドストリームが、自動操縦装置からのものである、態様1から5のいずれかに記載の方法。
(態様7)
前記複数の領域(618,620,622)が、第1の領域(618,620,622)、第2の領域(618,620,622)、及び第3の領域(618,620,622)を含む、態様1から6のいずれかに記載の方法。
(態様8)
前記第1の領域(618,620,622)が、センサ(210,323)最大距離と第1の閾値との間のエリアとして規定される、態様7に記載の方法。
(態様9)
前記第2の領域(618,620,622)が、第1の閾値と第2の閾値との間のエリアとして規定される、態様7又は8に記載の方法。
(態様10)
前記第3の領域(618,620,622)が、第2の閾値と前記航空機(100,200)との間のエリアとして規定される、態様7から9のいずれかに記載の方法。
(態様11)
パイロットコマンドストリームが、(1)前記航空機(100,200)と前記障害物(122)との間の距離を低減させること、又は(2)前記航空機(100,200)のレートを前記制御データによって設定されたレート上限より上に増加させることを試みるように、前記プロセッサ(314,340)によって解釈され得るならば、前記パイロットコマンドストリームが、安全でないと判定される、態様1から10のいずれかに記載の方法。
(態様12)
前記パイロットからパイロット優先コマンドを受け取るステップを更に含み、前記パイロット優先コマンドが、前記制御コマンドストリームに対して優先する、態様1から11のいずれかに記載の方法。
(態様13)
航空機(100,200)内に衝突保護を提供するためのナビゲーションシステムであって、
前記航空機(100,200)に接続され且つ視界の範囲内の障害物(122)を特定するように構成されたセンサ(210,323)と、
前記センサ(210,323)及びメモリデバイスと動作可能に接続されたプロセッサ(314,340)と
を備え、前記センサ(210,323)は、パイロットからパイロットコマンドストリームを受け取るように構成され、更に、
少なくとも部分的に前記センサ(210,323)からのセンサ入力に基づいて前記視界の範囲内の障害物(122)を特定するように構成され、
前記視界の範囲内の複数の領域(618,620,622)から前記障害物(122)が位置している領域(618,620,622)を決定するように構成され、前記領域(618,620,622)が少なくとも部分的に前記センサ入力に基づいて決定され、
前記決定するステップにおいて決定された前記領域(618,620,622)に応じて制御入力を設定するように構成され、
前記制御入力を比例‐微分(PD)コントローラに入力して、制御データを生成するように構成され、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御データに応じて制御コマンドストリームを生成するように構成され、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記制御コマンドストリームを前記パイロットコマンドストリームと比較して、前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であるか否かを判定するように構成されている、ナビゲーションシステム。
(態様14)
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全でないと判定されたときに、前記制御コマンドストリームが、前記パイロットコマンドストリームの代わりに前記航空機(100,200)の飛行コントローラ(206,306)に通信される、態様13に記載のナビゲーションシステム。
(態様15)
前記パイロットからの前記パイロットコマンドストリームが安全であると判定されたときに、前記パイロットコマンドストリームが、前記航空機(100,200)の飛行コントローラ(206,306)に通信される、態様13又は14に記載のナビゲーションシステム。
(態様16)
前記センサ入力が、レンジレート予測又はレンジ予測を含む、態様13から15のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様17)
前記パイロットコマンドストリームが、人間のパイロットからのものである、態様13から16のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様18)
前記パイロットコマンドストリームが、自動操縦装置からのものである、態様13から17のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様19)
前記複数の領域(618,620,622)が、第1の領域(618,620,622)、第2の領域(618,620,622)、及び第3の領域(618,620,622)を含む、態様13から18のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様20)
前記第1の領域(618,620,622)が、センサ最大距離と第1の閾値との間のエリアとして規定される、態様19に記載のナビゲーションシステム。
(態様21)
前記第3の領域(618,620,622)が、第2の閾値と前記航空機(100,200)との間のエリアとして規定される、態様19又は20に記載のナビゲーションシステム。
(態様22)
前記第2の領域(618,620,622)が、第1の閾値と前記第2の閾値との間のエリアとして規定される、態様21に記載のナビゲーションシステム。
(態様23)
前記パイロットコマンドストリームが、(1)前記航空機(100,200)と前記障害物(122)との間の距離を低減させること、又は(2)航空機(100,200)のレートを前記制御データによって設定されたレート上限より上に増加させることを試みるように、前記プロセッサ(314,340)によって解釈され得るならば、前記パイロットコマンドストリームが、安全でないと判定される、態様13に記載のナビゲーションシステム。
(態様24)
前記プロセッサ(314,340)が、前記制御コマンドストリームに対して優先する前記パイロットからのパイロット優先コマンドを受け取るように構成されている、態様13から23のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様25)
前記航空機(100,200)が、垂直離着陸(VTOL)航空機(100,200)である、態様13から24のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様26)
前記航空機(100,200)の下方で検出された妨害物を避けるように着陸操作を実行するように前記航空機(100,200)に指示命令する着陸支援モジュールを更に備える、態様13から25のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様27)
前記プロセッサ(314,340)が、ターゲットフィルタリング動作を実行するように構成されている、態様13から26のいずれかに記載のナビゲーションシステム。
(態様28)
前記ターゲットフィルタリング動作が、
前記航空機(100,200)の見通し線の範囲内の障害物(122)に対する距離及び大きさデータをRADARシステムから受け取るステップ、
前記プロセッサ(314,340)を介して、少なくとも部分的に前記距離及び大きさデータに基づいて、前記大きさが満たされているか否かを判定するステップ、
前記プロセッサ(314,340)を介して、時間にわたる前記距離及び大きさデータを反映したトレースの少なくとも一部分の標準偏差を計算するステップ、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記トレースに対する新しい距離ポイントを決定するステップ、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記トレースに対する前記新しい距離ポイントと着信データから割り当てられた距離との間の最小差を計算するステップ、並びに
前記プロセッサ(314,340)を介して、臨界減衰ローパスフィルタ(LPF)によって信頼及びローパス値を計算するステップを含む、態様27に記載のナビゲーションシステム。
(態様29)
前記信頼及びローパス値が、信号平均、標準偏差、及び大きさから導き出される統計的な項の重み付け平均を使用して計算される、態様28に記載のナビゲーションシステム。
(態様30)
前記重み付け平均が、所望のフィルタ性能に対してオペレータによって規定される、態様29に記載のナビゲーションシステム。
(態様31)
航空機(100,200)内に精度を高めるターゲットフィルタリングを提供するための方法であって、
前記航空機(100,200)の見通し線の範囲内の障害物(122)に対する距離及び大きさデータをRADARシステムから受け取ること、
プロセッサ(314,340)を介して、少なくとも部分的に前記距離及び大きさデータに基づいて、前記大きさが満たされているか否かを判定することであって、前記大きさが満たされているならば前記プロセッサが距離を既知の適切な値に設定するように構成されている、前記大きさが満たされているか否かを判定すること、
前記プロセッサ(314,340)を介して、時間にわたる前記距離及び大きさデータを反映したトレースの少なくとも一部分の標準偏差を計算すること、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記トレースに対する新しい距離ポイントを決定すること、
前記プロセッサ(314,340)を介して、前記トレースに対する前記新しい距離ポイントと着信データから割り当てられた距離との間の最小差を計算すること、
前記プロセッサ(314,340)を介して、複数の条件の各々が満たされているか否かを判定することであって、前記複数の条件のうちの1以上が満たされていないならば前記プロセッサ(314,340)が直線回帰を使用して新しいフィルタリングされた距離ポイントを計算するように構成されている、複数の条件の各々が満たされているか否かを判定すること、
反復カウンターをインクリメントすること、並びに
前記プロセッサ(314,340)を介して、臨界減衰ローパスフィルタ(LPF)によって信頼及びローパス値を計算することを含む、方法。
(態様32)
態様31で挙げられているステップの各々が、前記航空機(100,200)の見通し線の範囲内の所定の数の障害物(122)の各々に対して実行される、態様31に記載の方法。
(態様33)
前記所定の数の障害物が、前記航空機(100,200)の見通し線の範囲内の最も目立つ5つの障害物(122)を含む、態様32に記載の方法。
(態様34)
前記標準偏差が、20ポイントの直線回帰を通る前記トレースのうちの最新の20ポイントの標準偏差である、態様31又は32に記載の方法。
(態様35)
前記最小差が、前記トレースの最新の距離と着信データから割り当てられた距離との間の差である、態様34に記載の方法。
(態様36)
前記複数の条件が、(1)前記最小差が、前記標準偏差の3.5倍より大きいか否か、及び(2)前記最小差が、0.4より大きいか否かを含む、態様35に記載の方法。
(態様37)
前記複数の条件が、(1)前記標準偏差が、0.2未満であるか否か、及び(2)前記反復カウンターが、15未満であるか否かを更に含む、態様36に記載の方法。
(態様38)
前記信頼及びローパス値が、信号平均、標準偏差、及び大きさから導き出される統計的な項の重み付け平均を使用して計算される、態様31から37のいずれかに記載の方法。
(態様39)
前記重み付け平均が、所望のフィルタ性能に対してオペレータによって規定される、態様31から38のいずれかに記載の方法。