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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】水路
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/02 20060101AFI20241126BHJP
   E02B 13/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
E02B5/02 G
E02B13/00 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020074962
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021071041
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2019193884
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】藤本 雄充
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 孝一郎
(72)【発明者】
【氏名】松野 智幸
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-076659(JP,A)
【文献】特開2006-104864(JP,A)
【文献】特開2016-020726(JP,A)
【文献】特開2007-085000(JP,A)
【文献】実開昭54-015430(JP,U)
【文献】米国特許第06273640(US,B1)
【文献】特開平07-286358(JP,A)
【文献】特開2000-034773(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0135392(US,A1)
【文献】特開2008-082072(JP,A)
【文献】特開2016-141944(JP,A)
【文献】実開平02-047284(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00-11/00
E02B 5/00-7/18
E02B 9/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波形鋼板が接合されて断面U字状に形成される水路であって、
底部と、前記底部における水路の延伸方向に直交する幅方向の両端から上方に向けて折り曲げられる一対の立ち上がり部と、を有する一枚の波形鋼板からなる1波形鋼板と、
一方の前記立ち上がり部に重ね合わされて上下方向に接合される一枚の波形鋼板からなる第2波形鋼板と、
一方の前記立ち上がり部と前記第2波形鋼板とが、前記延伸方向に並べて設けられる複数の接合部材により接合される第1接合部と、
一の前記第1波形鋼板に前記延伸方向に隣接する他の前記第1波形鋼板と、
他の前記第1波形鋼板と上下方向に接合される他の前記第2波形鋼板と、
他の前記第1波形鋼板における一方の前記立ち上がり部と他の前記第2波形鋼板とが、前記延伸方向に並べて設けられる複数の接合部材により接合される他の前記第1接合部と、を備え、
一の前記第1接合部と他の前記第1接合部とは、
上下方向の位置を異ならせて配置されること、及び、幅方向の位置を異ならせて配置されること、の少なくとも何れかを満たし、
一の前記第1波形鋼板と、一の前記第2波形鋼板と、他の前記第1波形鋼板との3枚の波形鋼板を重ね合わせて連結する連結部を有すること
を特徴とする水路。
【請求項2】
一の前記第1波形鋼板における一方の前記立ち上がり部と、これに前記延伸方向に隣接する他の前記第1波形鋼板における一方の前記立ち上がり部と、を連結する第1の連結部と、
一の前記第1波形鋼板に接合される一の前記第2波形鋼板と、他の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部又は他の前記第1波形鋼板に接合される他の前記第2波形鋼板と、を連結する第2の連結部と、を備え、
前記第1の連結部と前記第2の連結部とは、前記延伸方向における位置が揃って配置されること
を特徴とする請求項1記載の水路。
【請求項3】
前記第2波形鋼板は、上端に折り曲げられて形成される第1フランジ部を有し、
前記第1波形鋼板は、他方の前記立ち上がり部の上端に折り曲げられて形成される第2
フランジ部を有し、
前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部に取り付けられる一対の腹起し材と、
一対の前記腹起し材同士を繋ぐ切梁と、を更に備えること
を特徴とする請求項1又は2記載の水路。
【請求項4】
他方の前記立ち上がり部に重ね合わされて上下方向に接合される一枚の波形鋼板からなる第3波形鋼板と、
他方の前記立ち上がり部と前記第3波形鋼板とを、前記延伸方向に並べて設けられる複数の接合部材により接合する第2接合部と、を備えること
を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の水路。
【請求項5】
前記第2波形鋼板は、上端に折り曲げられて形成される第1フランジ部を有し、
前記第3波形鋼板は、上端に折り曲げられて形成される第2フランジ部を有し、
前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部に取り付けられる一対の腹起し材と、
一対の前記腹起し材同士を繋ぐ切梁と、を更に備えること
を特徴とする請求項記載の水路。
【請求項6】
一の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部の上端の高さは、これに前記延伸方向
に隣接する他の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部の上端の高さと、異なること
を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の水路。
【請求項7】
前記第2波形鋼板は、一の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部と、これに前記延伸方向に隣接する他の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部と、に跨って配置されること
を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の水路。
【請求項8】
前記第1接合部は、接合部材が上下方向に複数段に配置されること
を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の水路。
【請求項9】
前記第1接合部は、接合部材が前記延伸方向に千鳥状に配置されること
を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の水路。
【請求項10】
前記第1接合部は、前記第1波形鋼板と前記第2波形鋼板とが合わせて3枚以上重なり合わされた部分を連結する連結部材に延伸方向Xに隣接する接合部材が、上下方向に複数段に配置されること
を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の水路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、灌漑用水路、農業用水路、工業用水路等の水路が知られている。このような水路は、U字状の鋼板が用いられて、地面に掘られた溝に設置される。水路に関する技術としては、例えば特許文献1~2の開示技術が開示されている。
【0003】
特許文献1の角度部用ステンレス水路材の製造方法は、流路方向に波形断面をなす波付けステンレス材からなる複数のステンレス水路材を流路方向に連結して構成するステンレス水路における角度部用のステンレス水路材を製造する方法である。
【0004】
特許文献2の水路は、波付け方向と直交する方向にU字状に折り曲げられた波形鋼板からなる水路本体と、水路本体の上縁部に、水路本体の長手方向に沿って取り付けられた腹起し材と、腹起し材間に取り付けられた切梁とから構成される水路において、腹起し材は、緩衝部材を介して水路本体に取り付けられていることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-169056号公報
【文献】特開2018-76659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水路における流量を増加させる場合には、水路に用いられる部材を大型化して、流路断面を大きくする必要がある。しかしながら、水路に用いられる部材は工場で製作されてから現場に搬入されるものであることから、1枚の波形鋼板をU字状に形成した部材を大型化してしまうと運搬性が著しく低下してしまう。このため、1枚の波形鋼板をU字状に形成した部材は大型化ができない、という問題点があった。
【0007】
特許文献1~2の開示技術では、流路断面において複数の波形鋼板を接合してU字状に形成される。これにより、大型化には対応することができる。例えば、特許文献1の図12に開示された、底面が平面の波板とL字状の波板からなる構成の水路が、今までの大型水路である。この構成によれば底面の平板を幅広くする、又は、繋ぎ合わせることで大型化に対応可能である。また、L字状の波板を含めて積み重ね性がよいため、運搬効率が良く多用されてきた。しかしながら、特許文献1~2の開示技術では、波形鋼板同士が底部において流路方向に複数並べられたボルト等により接合されてU字状に形成される。
【0008】
このように、波形鋼板同士が水路の底部において接合されることにより、水路の底部の上側から波形鋼板同士を接合する必要があり、施工がしにくいという問題点があった。また、波形鋼板が用いられる水路は、不同沈下等の発生しやすい軟弱地盤に設けられ、地盤の変動に追従できるように、ある程度の変形が許容されるものである。しかしながら、波形鋼板同士の接合部分が水路の底部に設けられることにより、波形鋼板が変形した際には、波形鋼板同士の接合部分等から漏水してしまうおそれがあった。また、波形鋼板同士が水路の底部において接合されることにより、接合部分に草木やごみ等が堆積しやすく、定期的に堆積物を清掃等の維持管理が必要となる。清掃等する際には、スコップやバックホウ等が用いられるが、波形鋼板同士の接合部分が水路の底部にあることにより、清掃等の維持管理がしにくいという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる水路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る水路は、複数の波形鋼板が接合されて断面U字状に形成される水路であって、底部と、前記底部における水路の延伸方向に直交する幅方向の両端から上方に向けて折り曲げられる一対の立ち上がり部と、を有する一枚の波形鋼板からなる第1波形鋼板と、一方の前記立ち上がり部に重ね合わされて上下方向に接合される一枚の波形鋼板からなる第2波形鋼板と、一方の前記立ち上がり部と前記第2波形鋼板とが、前記延伸方向に並べて設けられる複数の接合部材により接合される第1接合部と、一の前記第1波形鋼板に前記延伸方向に隣接する他の前記第1波形鋼板と、他の前記第1波形鋼板と上下方向に接合される他の前記第2波形鋼板と、他の前記第1波形鋼板における一方の前記立ち上がり部と他の前記第2波形鋼板とが、前記延伸方向に並べて設けられる複数の接合部材により接合される他の前記第1接合部と、を備え、一の前記第1接合部は他の前記第1接合部とは、上下方向の位置を異ならせて配置されること、及び、幅方向の位置を異ならせて配置されること、の少なくとも何れかを満たし、一の前記第1波形鋼板と、一の前記第2波形鋼板と、他の前記第1波形鋼板との3枚の波形鋼板を重ね合わせて連結する連結部を有することを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る水路は、第1発明において、一の前記第1波形鋼板における一方の前記立ち上がり部と、これに前記延伸方向に隣接する他の前記第1波形鋼板における一方の前記立ち上がり部と、を連結する第1の連結部と、一の前記第1波形鋼板に接合される一の前記第2波形鋼板と、他の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部又は他の前記第1波形鋼板に接合される他の前記第2波形鋼板と、を連結する第2の連結部と、を備え、前記第1の連結部と前記第2の連結部とは、前記延伸方向における位置が揃って配置されることを特徴とする。
【0013】
発明に係る水路は、第1発明又は第2発明において、前記第2波形鋼板は、上端に折り曲げられて形成される第1フランジ部を有し、前記第1波形鋼板は、他方の前記立ち上がり部の上端に折り曲げられて形成される第2フランジ部を有し、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部に取り付けられる一対の腹起し材と、一対の前記腹起し材同士を繋ぐ切梁と、を更に備えることを特徴とする。
【0014】
発明に係る水路は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、他方の前記立ち上がり部に重ね合わされて上下方向に接合される一枚の波形鋼板からなる第3波形鋼板と、他方の前記立ち上がり部と前記第3波形鋼板とを、前記延伸方向に並べて設けられる複数の接合部材により接合する第2接合部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
発明に係る水路は、第発明において、前記第2波形鋼板は、上端に折り曲げられて形成される第1フランジ部を有し、前記第3波形鋼板は、上端に折り曲げられて形成される第2フランジ部を有し、前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部に取り付けられる一対の腹起し材と、一対の前記腹起し材同士を繋ぐ切梁と、を更に備えることを特徴とする。
【0016】
発明に係る水路は、第1発明~第発明の何れかにおいて、一の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部の上端の高さは、これに前記延伸方向に隣接する他の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部の上端の高さと、異なることを特徴とする。
【0017】
発明に係る水路は、第1発明~第発明の何れかにおいて、前記第2波形鋼板は、一の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部と、これに前記延伸方向に隣接する他の前記第1波形鋼板における前記立ち上がり部と、に跨って配置されることを特徴とする。
【0018】
発明に係る水路は、第1発明~第発明の何れかにおいて、前記第1接合部は、接合部材が上下方向に複数段に配置されることを特徴とする。
【0019】
発明に係る水路は、第1発明~第発明の何れかにおいて、前記第1接合部は、接合部材が前記延伸方向に千鳥状に配置されることを特徴とする。
【0020】
10発明に係る水路は、第1発明~第発明の何れかにおいて、前記第1接合部は、前記第1波形鋼板と前記第2波形鋼板とが合わせて3枚以上重なり合わされた部分を連結する連結部材に延伸方向に隣接する接合部材が、上下方向に複数段に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第1実施形態に係る水路の一例を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る水路の一例を示す側面図である。
図3図3は、図2の2A-2A断面図である。
図4図4は、図3の拡大図である。
図5図5は、第2実施形態に係る水路の第1例を示す側面図である。
図6図6(a)は、図5の5A-5A断面図であり、図6(b)は、図5の5B-5B断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る水路の第2例を示す断面図であり、図7(a)は、一方の水路部材の断面図であり、図7(b)は、他方の水路部材の断面図である。
図8図8は、第3実施形態に係る水路の一例を示す側面図である。
図9図9は、第4実施形態に係る水路の一例を示す断面図である。
図10図10は、第5実施形態に係る水路の一例を示す拡大断面図である。
図11図11は、第6実施形態に係る水路の一例を示す側面図である。
図12図12(a)は、図11の11A-11A断面図であり、図12(b)は、図11の11B-11B断面図である。
図13図13は、第7実施形態に係る水路の一例を示す断面図である。
図14図14は、第8実施形態に係る水路の一例を示す拡大断面図である。
図15図15は、第9実施形態に係る水路の一例を示す側面図である。
図16図16は、第10実施形態に係る水路の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用した水路を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る水路100の一例を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る水路100の一例を示す側面図である。図3は、図2の2A-2A断面図である。図4は、図3の拡大図である。以下、水路100の延伸方向Xとし、延伸方向Xに直交する方向を幅方向Yとし、延伸方向Xと幅方向Yとに直交する方向を上下方向Zとする。なお、図3においては、連結部材91の記載を省略している。
【0025】
水路100は、不同沈下や液状化等が発生しやすい軟弱地盤等の地面に設けられる。水路100は、延伸方向Xに直交する断面において、断面U字状に形成される複数の水路部材1と、水路部材1の上端に設けられる補強部材101とを備える。水路100は、複数の水路部材1が延伸方向Xにボルトナット等の連結部材91により連結される。
【0026】
水路部材1は、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、第3波形鋼板30と、第1接合部4、第2接合部5と、を備える。
【0027】
第1波形鋼板10は、一枚の波形鋼板からなる。第1波形鋼板10は、地面に設けられる底部11と、底部11における幅方向Yの両端から略鉛直上方に湾曲させて折り曲げられる一対の立ち上がり部(第1立ち上がり部12と、第2立ち上がり部13)とを有する。
【0028】
第1波形鋼板10は、第1立ち上がり部12の上端12aの高さと、第2立ち上がり部13の上端13aの高さと、が略同じとなる。
【0029】
第2波形鋼板20は、一枚の波形鋼板からなる。第2波形鋼板20は、第1波形鋼板10の第1立ち上がり部12の内面側に当接されて、第1立ち上がり部12に接合される。第2波形鋼板20は、上端20aに、水路100の外側に向けて折り曲げられて形成される第1フランジ部21を有する。
【0030】
第3波形鋼板30は、一枚の波形鋼板からなる。第3波形鋼板30は、第1波形鋼板10の第2立ち上がり部13の内面側に当接されて、第2立ち上がり部13に接合される。第3波形鋼板30は、上端30aに、水路100の外側に向けて折り曲げられて形成される第2フランジ部31を有する。
【0031】
第1接合部4は、第1波形鋼板10の第1立ち上がり部12の上端12a近傍と第2波形鋼板20の下端20b近傍とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材41により接合するものである。接合部材41は、例えばボルト、ナットが用いられる。第1接合部4は、複数の接合部材41が、第1立ち上がり部12において上下方向Zに1段になるように、延伸方向Xに一列に並べて設けられる。
【0032】
第2接合部5は、第1波形鋼板10の第2立ち上がり部13の上端13a近傍と第3波形鋼板30の下端30b近傍とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材51により接合するものである。接合部材51は、例えばボルト、ナットが用いられる。第1接合部4は、複数の接合部材41が、第2立ち上がり部13において上下方向Zに1段になるように、延伸方向Xに一列に並べて設けられる。
【0033】
延伸方向Xに互いに隣接する水路部材1を、それぞれ水路部材1-1、水路部材1-2とする。水路部材1-1と水路部材1-2とは、ボルトナット等の連結部材91により、連結される。連結部材91としての連結部材91bは、延伸方向Xにおいて互いに重なり合わされた2枚の波形鋼板同士を連結するものである。また、連結部材91としての連結部材91dは、延伸方向Xにおいて互いに重なり合わされた4枚の波形鋼板同士を連結するものである。
【0034】
例えば、連結部材91bは、水路部材1-1における第1波形鋼板10と、水路部材1-2における第1波形鋼板10とにおける、それぞれの延伸方向Xの端部同士が重なり合わされた部分を連結するものである。連結部材91bは、水路部材1-1における第2波形鋼板20と、水路部材1-2における第2波形鋼板20とにおける、それぞれの延伸方向Xの端部同士が重なり合わされた部分を連結するものである。連結部材91dは、延伸方向Xに隣接する2枚の第1波形鋼板10と、延伸方向Xに隣接する2枚の第2波形鋼板20とにおける、それぞれの延伸方向Xの端部同士が重なり合わされた部分を連結するものである。
【0035】
水路部材1-1における第1接合部4の上下方向における位置は、水路部材1-2における第1接合部4の上下方向における位置と、略同じとなる。また、水路部材1-1における第2接合部5の上下方向における位置は、水路部材1-2における第2接合部5の上下方向における位置と、略同じとなる。
【0036】
補強部材101は、第1腹起し材6と、第2腹起し材7と、切梁8と、を備える。
【0037】
第1腹起し材6は、第1フランジ部21に載置され、第1フランジ部21にボルトナット等の取付部材61により取り付けられる。第1腹起し材6は、延伸方向Xに延びて形成され、例えばH形鋼が用いられる。第1腹起し材6は、断面L字状に形成されるアングル材、断面コの字状に形成されるC形鋼等であってもよい。
【0038】
第2腹起し材7は、第2フランジ部31に載置され、第2フランジ部31にボルトナット等の取付部材71により取り付けられる。第2腹起し材7は、延伸方向Xに延びて形成され、例えばH形鋼が用いられる。第2腹起し材7は、断面L字状に形成されるアングル材、断面コの字状に形成されるC形鋼等であってもよい。
【0039】
切梁8は、第1腹起し材6と第2腹起し材7とを繋ぐ。切梁8は、幅方向Yに延びて形成され、例えば鋼管が用いられる。切梁8は、L字状に形成されるアングル材、角形鋼管、丸鋼、H鋼等であってもよい。切梁8は、両端に設けられる板材からなる取付プレート81を介して第1腹起し材6と第2腹起し材7とにそれぞれボルトナット等により接合される。なお、図示は省略するが、取付プレート81は、板材以外に、L字状のアングル材等が用いられてもよい。
【0040】
本実施形態によれば、水路部材1は、第1波形鋼板10の第1立ち上がり部12と第2波形鋼板20とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材41により接合する第1接合部4と、第1波形鋼板10の第2立ち上がり部13と第3波形鋼板30とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材51により接合する第2接合部5と、を備える。これにより、水路100の流路断面を大型化したとしても、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、第3波形鋼板30とをそれぞれ別部材に分けた状態で、現場に搬入することが可能となる。このため、運搬性を更に向上させることができ、水路100の流路断面を大型化することが可能となる。
【0041】
本実施形態によれば、水路部材1は、第1波形鋼板10の第1立ち上がり部12と第2波形鋼板20とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材41により接合する第1接合部4と、第1波形鋼板10の第2立ち上がり部13と第3波形鋼板30とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材51により接合する第2接合部5と、を備える。すなわち、第1接合部4と第2接合部5とが、底部11に設けられないものとなる。これにより、作業者は、水路100の側面の内側と外側とから、第1接合部4と第2接合部5とを施工することができる。このため、作業者の作業空間を確保することができ、施工性を向上させることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態によれば、第1接合部4と第2接合部5とが、底部11に設けられないものとなる。これにより、不同沈下等の発生しやすい軟弱地盤等に設けられて地盤の変動に追従できるように第1波形鋼板10が変形したとき、底部11からの漏水を抑制することができる。このため、水密性を向上させることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態によれば、第1接合部4と第2接合部5とが、底部11に設けられないものとなる。これにより、底部11に草木やごみ等が堆積しにくくなる。更に、底部11に堆積物が堆積して清掃等する場合であっても、第1接合部4と第2接合部5とが底部11に設けられないため、スコップやバックホウ等を用いて清掃等を容易に行うことができる。このため、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0044】
本実施形態によれば、第1フランジ部21及び第2フランジ部31に取り付けられる一対の腹起し材6、7と、一対の腹起し材6、7同士を繋ぐ切梁8と、を更に備える。これにより、水路100全体としての変形抵抗性を向上させることができる。
【0045】
本実施形態によれば、第2波形鋼板20は、上端20aに折り曲げられて形成される第1フランジ部21を有し、第3波形鋼板30は、上端30aに折り曲げられて形成される第2フランジ部31を有し、第1フランジ部21に取り付けられる第1腹起し材6と、第2フランジ部31に取り付けられる第2腹起し材7と、第1腹起し材6と第2腹起し材7とを繋ぐ切梁8とを、備える。すなわち、第1フランジ部21と第1腹起し材6とが直接取り付けられ、第2フランジ部31と第2腹起し材7とが直接取り付けられることとなる。
【0046】
これにより、水路部材1と第1腹起し材6との間、並びに、水路部材1と第2腹起し材7との間、にサイドアングル等の部材を介在させる必要がなくなり、水路部材1に、第1腹起し材6と第2腹起し材7とを連結する作業を短時間で行うことができる。このため、施工性を向上させることが可能となる。
【0047】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る水路100の第1例を示す側面図である。図6(a)は、図5の5A-5A断面図であり、図6(b)は、図5の5B-5B断面図である。なお、図6においては、連結部材91の記載を省略している。
【0048】
第2実施形態に係る水路100は、一の第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12の上端12aの高さは、一の第1波形鋼板10-1に延伸方向Xで隣接する他の第1波形鋼板10-2における第1立ち上がり部12の上端12aの高さと、異なり、低く設定されている。このとき、連結部材91としての連結部材91cは、延伸方向Xにおいて互いに重なり合わされた3枚の波形鋼板同士を連結することとなる。例えば、第1波形鋼板10-2における第1立ち上がり部12は、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12と、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12に接合される第2波形鋼板20と、に跨るように配置されて連結部材91cにより連結されることとなる。
【0049】
また、第2実施形態に係る水路100は、一の第1波形鋼板10-1における第2立ち上がり部13の上端13aの高さは、一の第1波形鋼板10-1に延伸方向Xで隣接する他の第1波形鋼板10-2における第2立ち上がり部13の上端13aの高さと、異なり、低く設定されている。このため、第1波形鋼板10-2における第2立ち上がり部13は、第1波形鋼板10-1における第2立ち上がり部13と、第1波形鋼板10-1における第2立ち上がり部13に接合される第3波形鋼板30と、に跨るように配置されて連結部材91により連結されることとなる。
【0050】
第1例に係る水路100は、図6(a)及び図6(b)に示すように、水路部材1-1及び水路部材1-2の何れにおいても、第1波形鋼板10は、第1立ち上がり部12の上端12aの高さと、第2立ち上がり部13の上端13aの高さと、が略同じとなる。
【0051】
図7は、第2実施形態に係る水路100の第2例を示す断面図であり、図7(a)は、一方の水路部材1-1の断面図であり、図7(b)は、他方の水路部材1-2の断面図である。図7(a)は、図5中の5A-5A断面図に対応し、図7(b)は、図5中の5B-5B断面図に対応する。なお、図7においては、連結部材91の記載を省略している。
【0052】
第2例に係る水路100は、図7(a)に示すように、水路部材1-1において、第1波形鋼板10-1は、第1立ち上がり部12の上端12aの高さが、第2立ち上がり部13の上端13aの高さよりも低くなる。このため、第1接合部4の高さは、第2接合部5の高さよりも低い位置に配置されることとなる。
【0053】
また、水路部材1-2において、図7(b)に示すように、第1波形鋼板10-2は、第1立ち上がり部12の上端12aの高さが、第2立ち上がり部13の上端13aの高さよりも高くなる。このため、第1接合部4の高さは、第2接合部5の高さよりも高い位置に配置されることとなる。
【0054】
このように、第2例では、水路部材1-1及び水路部材1-2の何れにおいても、第1波形鋼板10は、第1立ち上がり部12の上端12aの高さと、第2立ち上がり部13の上端13aの高さと、が異なる。
【0055】
本実施形態によれば、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0056】
特に、本実施形態によれば、第1波形鋼板10-2における第1立ち上がり部12は、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12と、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12に接合される第2波形鋼板20とに、連結される。すなわち、水路部材1-1における第1接合部4の上下方向Zにおける位置と、水路部材1-2における第1接合部4の上下方向Zにおける位置と、を異ならせることができる。これにより、水路部材1-1の変形抵抗性と、水路部材1-2の変形抵抗性と、異ならせることができる。このため、水路100全体としての変形抵抗性を向上させることができる。
【0057】
同様に、本実施形態によれば、第1波形鋼板10-2における第2立ち上がり部13は、第1波形鋼板10-1における第2立ち上がり部13と、第1波形鋼板10-1における第2立ち上がり部13に接合される第3波形鋼板30とに、連結される。すなわち、水路部材1-1における第2接合部5の上下方向Zにおける位置と、水路部材1-2における第2接合部5の上下方向Zにおける位置と、を異ならせることができる。これにより、水路部材1-1の変形抵抗性と、水路部材1-2の変形抵抗性と、異ならせることができる。このため、水路100全体としての変形抵抗性を向上させることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第1波形鋼板10-2における第1立ち上がり部12は、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12と、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12に接合される第2波形鋼板20とに、連結部材91cにより、連結される。これにより、連結部材91cは、延伸方向Xにおいて重なり合わされる3枚の波形鋼板を連結するものとなる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、第1波形鋼板10-2における第2立ち上がり部13は、第1波形鋼板10-1における第2立ち上がり部13と、第1波形鋼板10-1における第2立ち上がり部13に接合される第3波形鋼板30とに、連結部材91cにより、連結される。これにより、連結部材91cは、延伸方向Xにおいて重なり合わされる3枚の波形鋼板を連結するものとなる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0060】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る水路100の一例を示す側面図である。
【0061】
第3実施形態に係る水路100では、第2波形鋼板20は、第1波形鋼板10-1の第1立ち上がり部12と、これに延伸方向Xで隣接する第1波形鋼板10-2の第1立ち上がり部12と、に跨るように配置されてそれぞれに接合される。このとき、延伸方向Xで隣接する第1波形鋼板10、10同士が連結部材93により連結される第1連結部92を有することとなる。第1連結部92は、延伸方向Xで互いに重なり合わされた2枚の波形鋼板(第1波形鋼板10-1、10-2)を連結する連結部材93bと、延伸方向Xで互いに重なり合わされた3枚の波形鋼板(第1波形鋼板10-1、10-2、第2波形鋼板20)を連結する連結部材93cとを有する。そして、延伸方向Xで隣接する第2波形鋼板20、20同士が連結部材95により連結される第2連結部94を有することとなる。第2連結部94は、延伸方向Xで互いに重なり合わされた2枚の波形鋼板(第2波形鋼板20、20)を連結する連結部材95を有する。
【0062】
また、第3実施形態に係る水路100では、第3波形鋼板30は、第1波形鋼板10-1の第2立ち上がり部13と、これに延伸方向Xで隣接する第1波形鋼板10-2の第2立ち上がり部13と、に跨るように配置されてそれぞれに接合される。上記同様、第1連結部は、延伸方向Xで互いに重なり合わされた3枚の波形鋼板(第1波形鋼板10、10、第3波形鋼板30)を連結する連結部材を有することとなる。
【0063】
第1波形鋼板10-1において、第1立ち上がり部12の上端12aの高さと、第2立ち上がり部13の上端13aの高さと、が略同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1波形鋼板10-2において、第1立ち上がり部12の上端12aの高さと、第2立ち上がり部13の上端13aの高さと、が略同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
本実施形態によれば、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0065】
特に、本実施形態によれば、第2波形鋼板20は、第1波形鋼板10-1の第1立ち上がり部12と、これに延伸方向Xで隣接する第1波形鋼板10-2の第1立ち上がり部12と、に接合される。すなわち、延伸方向Xで隣接する第1波形鋼板10、10同士がボルトナット等の連結部材93により連結される第1連結部92と、延伸方向Xで隣接する第2波形鋼板20、20同士がボルトナット等の連結部材95により連結される第2連結部94と、が延伸方向Xにおいて異なる位置に配置されることとなる。これにより、第1連結部92を有する断面における変形抵抗性を向上させることができる。このため、第1連結部92における水密性を向上させることができる。
【0066】
同様に、本実施形態によれば、第3波形鋼板30は、第1波形鋼板10-1の第2立ち上がり部13と、これに延伸方向Xで隣接する第1波形鋼板10-2の第2立ち上がり部13と、に接合される。これにより、第1連結部92を有する断面における変形抵抗性を向上させることができる。このため、第1連結部92における水密性を向上させることができる。
【0067】
(第4実施形態)
図9は、第4実施形態に係る水路100の一例を示す断面図である。なお、図9においては、連結部材91の記載を省略している。
【0068】
第4実施形態に係る水路100では、水路部材1は、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、第3波形鋼板30と、第1接合部4、第2接合部5と、を備える。このように、水路100では、補強部材101(第1腹起し材6と、第2腹起し材7と、切梁8)が省略されていてもよい。
【0069】
第2波形鋼板20は、上端20aから下端20bまでが上下方向Zに延びて形成される。このように、第2波形鋼板20は、第1フランジ部21が省略されてもよい。
【0070】
第3波形鋼板30は、上端30aから下端30bまでが上下方向Zに延びて形成される。このように、第3波形鋼板30は、第2フランジ部31が省略されてもよい。
【0071】
水路部材1において、第1波形鋼板10は、第1立ち上がり部12の上端12aの高さと、第2立ち上がり部13の上端13aの高さと、が略同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0072】
本実施形態によれば、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0073】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態に係る水路100の一例を示す拡大断面図である。
【0074】
第5実施形態に係る水路100では、水路部材1は、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、第3波形鋼板30と、第1接合部4、第2接合部5と、備える。補強部材101は、第1腹起し材6と、第2腹起し材7と、切梁8と、を備える。
【0075】
第2波形鋼板20は、上端20aから下端20bまでが上下方向Zに延びて形成される。第2波形鋼板20は、上端20a近傍に、サイドアングル62がボルトナット等により取り付けられる。サイドアングル62は、断面L字状に形成されるアングル材、断面コの字状に形成されるC形鋼等が用いられる。
【0076】
第3波形鋼板30は、上端30aから下端30bまでが上下方向Zに延びて形成される。第3波形鋼板30は、上端30a近傍に、サイドアングル72がボルトナット等により取り付けられる。サイドアングル72は、断面L字状に形成されるアングル材、断面コの字状に形成されるC形鋼等が用いられる。
【0077】
第1腹起し材6は、サイドアングル62に載置され、載置したサイドアングル62に取付部材61により取り付けられる。
【0078】
第2腹起し材7は、サイドアングル72に載置され、載置したサイドアングル72に取付部材71により取り付けられる。
【0079】
本実施形態によれば、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0080】
(第6実施形態)
図11は、第6実施形態に係る水路100の一例を示す側面図である。図12(a)は、図11の11A-11A断面図であり、図12(b)は、図11の11B-11B断面図である。なお、図12においては、連結部材91の記載を省略している。
【0081】
水路部材1は、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、第1接合部4と、を備える。このように、水路100では、第3波形鋼板30と、第2接合部5と、が省略されていてもよい。
【0082】
第1波形鋼板10は、第2立ち上がり部13の上端13aに、水路100の外側に向けて折り曲げられて形成される第2フランジ部14を有する。
【0083】
水路部材1-1において、図12(a)に示すように、第2フランジ部14に第2腹起し材7が載置され、この第2腹起し材7は、第2フランジ部14にボルトナット等の取付部材71により取り付けられる。
【0084】
水路部材1-2において、図12(b)に示すように、第2フランジ部14に第1腹起し材6が載置され、この第1腹起し材6は、第2フランジ部14にボルトナット等の取付部材61により取り付けられる。水路部材1-2において、第1フランジ部21に第2腹起し材7が載置され、この第2腹起し材7は、第1フランジ部21にボルトナット等の取付部材71により取り付けられる。
【0085】
本実施形態によれば、水路部材1は、第1波形鋼板10の第1立ち上がり部12と第2波形鋼板20とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材41により接合する第1接合部4と、を備える。これにより、水路100の流路断面を大型化したとしても、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、をそれぞれ別部材に分けた状態で、現場に搬入することが可能となる。このため、運搬性を向上させることができ、水路100の流路断面を大型化することが可能となる。
【0086】
本実施形態によれば、水路部材1は、第1波形鋼板10の第1立ち上がり部12と第2波形鋼板20とを、延伸方向Xに並べて設けられる複数の接合部材41により接合する第1接合部4と、を備える。すなわち、第1接合部4が、底部11に設けられないものとなる。これにより、作業者は、水路100の側面の内側と外側とから、第1接合部4を施工することができる。このため、作業者の作業空間を確保することができ、施工性を向上させることが可能となる。
【0087】
また、本実施形態によれば、第1接合部4が、底部11に設けられないものとなる。これにより、不同沈下等の発生しやすい軟弱地盤等に設けられて地盤の変動に追従できるように第1波形鋼板10が変形したとき、底部11からの漏水を抑制することができる。このため、水密性を向上させることが可能となる。
【0088】
また、本実施形態によれば、第1接合部4が、底部11に設けられないものとなる。これにより、底部11に草木やごみ等が堆積しにくくなる。更に、底部11に堆積物が堆積して清掃等する場合であっても、第1接合部4が底部11に設けられないため、スコップやバックホウ等を用いて清掃等を容易に行うことができる。このため、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0089】
特に、本実施形態によれば、第2接合部5が省略されるため、施工性を更に向上させることができる。
【0090】
上記した実施形態では、延伸方向Xで隣接する水路部材1毎に、第1立ち上がり部12と第2立ち上がり部13とを幅方向Yで反転させて、第2波形鋼板20の延伸方向Xの端部と、第1立ち上がり部12及び第2立ち上がり部13の何れか一方の延伸方向Xの端部と、を連結部材91により、連結する態様である。
【0091】
このとき、第1波形鋼板10-2における第2立ち上がり部13は、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12と、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12に接合される第2波形鋼板20と、に連結部材91cにより連結されることとなる。
【0092】
これにより、連結部材91cは、延伸方向Xにおいて重なり合わされる3枚の波形鋼板を連結するものとなる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0093】
なお、図示は省略するが、延伸方向Xで隣接する水路部材1毎に、第1立ち上がり部12と第2立ち上がり部13とを幅方向Yで反転させることなく、延伸方向Xに連結してもよい。このとき、水路部材1-1における第2波形鋼板20と、水路部材1-2における第2波形鋼板20とを、延伸方向Xの端部同士を重ね合わせて、連結部材91により、連結してもよい。
【0094】
(第7実施形態)
図13は、第7実施形態に係る水路100の一例を示す断面図である。
【0095】
第7実施形態に係る水路100では、水路部材1は、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、第3波形鋼板30と、第1接合部4、第2接合部5と、を備える。このように、水路100では、補強部材101(第1腹起し材6と、第2腹起し材7と、切梁8)が省略されていてもよい。
【0096】
第2波形鋼板20は、上端20aから下端20bまでが上下方向Zに延びて形成される。このように、第2波形鋼板20は、第1フランジ部21が省略されてもよい。
【0097】
本実施形態によれば、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0098】
本実施形態では、延伸方向Xで隣接する水路部材1毎に、第1立ち上がり部12と第2立ち上がり部13とを幅方向Yで反転させて、第2波形鋼板20の延伸方向Xの端部と、第1立ち上がり部12及び第2立ち上がり部13の何れか一方の延伸方向Xの端部と、を連結部材91により、連結してもよい。
【0099】
このとき、第1波形鋼板10-2における第2立ち上がり部13は、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12と、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12に接合される第2波形鋼板20と、に連結部材91cにより連結されることとなる。
【0100】
これにより、連結部材91cは、延伸方向Xにおいて重なり合わされる3枚の波形鋼板を連結するものとなる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0101】
上記した実施形態では、延伸方向Xで隣接する水路部材1毎に、第1立ち上がり部12と第2立ち上がり部13とを幅方向Yで反転させて、第2波形鋼板20の延伸方向Xの端部と、第1立ち上がり部12及び第2立ち上がり部13の何れか一方の延伸方向Xの端部と、を連結部材91により、連結する態様である。
【0102】
なお、図示は省略するが、延伸方向Xで隣接する水路部材1毎に、第1立ち上がり部12と第2立ち上がり部13とを幅方向Yで反転させることなく、延伸方向Xに連結してもよい。このとき、水路部材1-1における第2波形鋼板20と、水路部材1-2における第2波形鋼板20とを、延伸方向Xの端部同士を重ね合わせて、連結部材91により、連結することとなる。
【0103】
(第8実施形態)
図14は、第8実施形態に係る水路100の一例を示す拡大断面図である。
【0104】
第8実施形態に係る水路100では、水路部材1は、第1波形鋼板10と、第2波形鋼板20と、第1接合部4と、を備える。補強部材101は、第1腹起し材6と、第2腹起し材7と、切梁8と、を備える。
【0105】
第1波形鋼板10は、第2立ち上がり部13の上端13a近傍に、サイドアングル72がボルトナット等により取り付けられる。
【0106】
第2波形鋼板20は、上端20aから下端20bまでが上下方向Zに延びて形成される。第2波形鋼板20は、上端20a近傍に、サイドアングル62がボルトナット等により取り付けられる。
【0107】
なお、図示は省略するが、第2立ち上がり部13の上端13a近傍に、サイドアングル62がボルトナット等により取り付けられてもよい。このとき、第2波形鋼板20は、上端20a近傍に、サイドアングル72がボルトナット等により取り付けられる。
【0108】
本実施形態によれば、大型化することが可能であり、施工性を向上させ、水密性を向上させ、維持管理を容易に行うことが可能となる。
【0109】
特に、本実施形態によれば、第2接合部5が省略されるため、施工性を更に向上させることができる。
【0110】
本実施形態では、延伸方向Xで隣接する水路部材1毎に、第1立ち上がり部12と第2立ち上がり部13とを幅方向Yで反転させて、第2波形鋼板20の延伸方向Xの端部と、第1立ち上がり部12及び第2立ち上がり部13の何れか一方の延伸方向Xの端部と、を連結部材91により、連結してもよい。
【0111】
このとき、第1波形鋼板10-2における第2立ち上がり部13は、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12と、第1波形鋼板10-1における第1立ち上がり部12に接合される第2波形鋼板20と、に連結部材91cにより連結されることとなる。
【0112】
これにより、連結部材91cは、延伸方向Xにおいて重なり合わされる3枚の波形鋼板を連結するものとなる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0113】
なお、図示は省略するが、延伸方向Xで隣接する水路部材1毎に、第1立ち上がり部12と第2立ち上がり部13とを幅方向Yで反転させることなく、延伸方向Xに連結してもよい。このとき、水路部材1-1における第2波形鋼板20と、水路部材1-2における第2波形鋼板20とを、延伸方向Xの端部同士を重ね合わせて、連結部材91により、連結してもよい。
【0114】
(第9実施形態)
図15は、第9実施形態に係る水路100の一例を示す側面図である。第9実施形態に係る水路100は、主に、第1接合部4と、第2接合部5が、第2実施形態に係る水路100と相違する。
【0115】
第1接合部4は、接合部材41として、第1波形鋼板10において延伸方向Xの端部側に配置される端部側接合部材41aと、延伸方向Xで離間した端部側接合部材41a同士の間に配置される下段側接合部材41bと、上段側接合部材41cとを有する。
【0116】
端部側接合部材41aは、連結部材91cに延伸方向Xに隣接して配置され、上下方向Zにおいて複数段(図15では2段)に配置される。下段側接合部材41bは、下段側に配置される端部側接合部材41aと略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。上段側接合部材41cは、上段側に配置される端部側接合部材41aと略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。つまり、下段側接合部材41bと上段側接合部材41cとは、延伸方向Xに向けて千鳥状に配置される。
【0117】
なお、図示は省略するが、第2接合部5は、接合部材51として、第1波形鋼板10において延伸方向Xの端部側に配置される端部側接合部材と、延伸方向Xで離間した端部側接合部材同士の間に配置される下段側接合部材と、上段側接合部材とを有していてもよい。
【0118】
このとき、第2接合部5においても第1接合部4と同様に、端部側接合部材は、連結部材91に延伸方向Xに隣接して配置され、上下方向Zにおいて複数段に配置される。下段側接合部材は、下段側に配置される端部側接合部材と略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。上段側接合部材は、上段側に配置される端部側接合部材と略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。つまり、下段側接合部材と上段側接合部材とは、延伸方向Xに向けて千鳥状に配置される。
【0119】
ここで、連結部材91としての連結部材91cは、延伸方向Xに隣接する2枚の第1波形鋼板10と1枚の第2波形鋼板20とを連結することとなる。また、連結部材91としての連結部材91cは、1枚の第1波形鋼板10と延伸方向Xに隣接する2枚の第2波形鋼板20とを連結することとなる。つまり、連結部材91cは、3枚重なり合わされた波形鋼板を連結することとなる。そして、これら連結部材91cに延伸方向Xに隣接して配置される端部側接合部材41aは、上下方向に複数段に配置されて、第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とを接合するものであり、互いに重なり合わされた2枚の波形鋼板を接合することとなる。
【0120】
本実施形態によれば、第1接合部4は、第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とが合わせて3枚以上重なり合わされた部分を連結する連結部材91cに、延伸方向Xに隣接する端部側接合部材41aが、上下方向Zに複数段に配置される。これにより、3枚以上の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、2枚の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、の間に生じる隙間を少なくすることができる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0121】
本実施形態によれば、第2接合部5は、第1波形鋼板10と第3波形鋼板30とが合わせて3枚以上重なり合わされた部分を連結する連結部材91に、延伸方向Xに隣接する端部側接合部材が、上下方向Zに複数段に配置される。これにより、3枚以上の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、2枚の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、の間に生じる隙間を少なくすることができる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0122】
本実施形態によれば、第1接合部4は、接合部材41が上下方向Zに複数段に配置される。これにより、上下方向Zにおいて第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とが重なり合わされる部分を広くすることができる。このため、接続部の強度、および、水密性を更に向上させることができる。第2接合部5において、接合部材51が上下方向Zに複数段に配置される場合も同様である。
【0123】
本実施形態によれば、第1接合部4は、下段側接合部材41bと上段側接合部材41cとが延伸方向Xにおいて千鳥状に配置される。これにより、第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とを接合する接合部材41の数を減らしつつ、上下方向Zにおいて第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とが重なり合わされる部分を広くすることができる。このため、接続部の強度を更に向上させるとともに、施工性も向上させることができる。
【0124】
本実施形態によれば、第2接合部5では、下段側接合部材と上段側接合部材とが延伸方向Xにおいて千鳥状に配置される。これにより、第1波形鋼板10と第3波形鋼板30とを接合する接合部材51の数を減らしつつ、上下方向Zにおいて第1波形鋼板10と第3波形鋼板30とが重なり合わされる部分を広くすることができる。このため、接続部の強度を更に向上させるとともに、施工性も向上させることができる。
【0125】
(第10実施形態)
図16は、第10実施形態に係る水路100の一例を示す側面図である。第10実施形態に係る水路100は、主に、第1接合部4と、第2接合部5が、第3実施形態に係る水路100と相違する。
【0126】
第1接合部4は、接合部材41として、第1波形鋼板10において延伸方向Xの端部側に配置される端部側接合部材41aと、延伸方向Xで離間した端部側接合部材41a同士の間に配置される下段側接合部材41bと、上段側接合部材41cとを有する。
【0127】
端部側接合部材41aは、連結部材93cに延伸方向Xに隣接して配置され、上下方向Zにおいて複数段(図16では2段)に配置される。下段側接合部材41bは、下段側に配置される端部側接合部材41aと略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。下段側接合部材41bは、上段側に配置される端部側接合部材41aと略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。つまり、下段側接合部材41bと上段側接合部材41cとは、延伸方向Xに向けて千鳥状に配置される。
【0128】
図示は省略するが、第2接合部5は、接合部材51として、第1波形鋼板10において延伸方向Xの端部側に配置される端部側接合部材と、延伸方向Xで離間した端部側接合部材同士の間に配置される下段側接合部材と、上段側接合部材とを有していてもよい。
【0129】
このとき、第2接合部5においても第1接合部4と同様に、端部側接合部材は、連結部材93に延伸方向Xに隣接して配置され、上下方向Zにおいて複数段に配置される。下段側接合部材は、下段側に配置される端部側接合部材と略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。上段側接合部材は、上段側に配置される端部側接合部材と略同じ高さに配置され、延伸方向Xに一列に並べて複数配置される。つまり、下段側接合部材と上段側接合部材とは、延伸方向Xに向けて千鳥状に配置される。
【0130】
ここで、連結部材93としての連結部材93cは、延伸方向Xに隣接する2枚の第1波形鋼板10と1枚の第2波形鋼板20とを連結することとなる。つまり、連結部材93cは、3枚以上重なり合わされた波形鋼板同士を連結することとなる。そして、この連結部材93cに延伸方向Xに隣接して配置される端部側接合部材41aは、上下方向Zに複数段に配置されて、第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とを接合するものであり、互いに重なり合わされた2枚の波形鋼板を接合することとなる。
【0131】
本実施形態によれば、第1接合部4では、第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とが合わせて3枚以上重なり合わされた部分を連結する連結部材93cに、延伸方向Xに隣接する端部側接合部材41aが、上下方向Zに複数段に配置される。これにより、3枚以上の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、2枚の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、の間に生じる隙間を少なくすることができる。このため、水密性を更に向上させることができる。
【0132】
本実施形態によれば、第2接合部5では、第1波形鋼板10と第3波形鋼板30とが合わせて3枚以上重なり合わされた部分を連結する連結部材93cに、延伸方向Xに隣接する端部側接合部材が、上下方向Zに複数段に配置される。これにより、3枚以上の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、2枚の波形鋼板同士が重なり合わされる部分と、の間に生じる隙間を少なくすることができる。このため、接続部の強度、および、水密性を更に向上させることができる。
【0133】
本実施形態によれば、第1接合部4では、下段側接合部材41bと上段側接合部材41cとが延伸方向Xにおいて千鳥状に配置される。これにより、第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とを接合する接合部材41の数を減らしつつ、上下方向Zにおいて第1波形鋼板10と第2波形鋼板20とが重なり合わされる部分を広くすることができる。このため、接続部の強度を更に向上させるとともに、施工性も向上させることができる。
【0134】
本実施形態によれば、第2接合部5では、下段側接合部材と上段側接合部材とが延伸方向Xにおいて千鳥状に配置される。これにより、第1波形鋼板10と第3波形鋼板30とを接合する接合部材51の数を減らしつつ、上下方向Zにおいて第1波形鋼板10と第3波形鋼板30とが重なり合わされる部分を広くすることができる。このため、接続部の強度を更に向上させるとともに、施工性も向上させることができる。
【0135】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0136】
100 :水路
1 :水路部材
10 :第1波形鋼板
11 :底部
12 :立ち上がり部
12a :上端
13 :立ち上がり部
13a :上端
14 :第2フランジ部
20 :第2波形鋼板
20a :上端
20b :下端
21 :第1フランジ部
30 :第3波形鋼板
30a :上端
30b :下端
31 :第2フランジ部
4 :第1接合部
41 :接合部材
5 :第2接合部
51 :接合部材
101 :補強部材
6 :第1腹起し材
61 :取付部材
62 :サイドアングル
7 :第2腹起し材
71 :取付部材
72 :サイドアングル
8 :切梁
81 :取付プレート
91 :連結部材
92 :第1連結部
93 :連結部材
94 :第2連結部
95 :連結部材
X :延伸方向
Y :幅方向
Z :上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16