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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】フィルムオープナー
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/00 20060101AFI20241126BHJP
   B65C 3/14 20060101ALI20241126BHJP
   B65C 3/16 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65B53/00 D
B65C3/14
B65C3/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020157558
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051210
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】仁井 聖
(72)【発明者】
【氏名】植月 晶
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-227082(JP,A)
【文献】特開平05-132036(JP,A)
【文献】国際公開第2019/043967(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/027385(WO,A1)
【文献】特開2015-143109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00
B65C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状フィルムを開口して対象物に装着するフィルム装着装置に搭載されるフィルムオープナーであって、
シート状に折り畳まれた前記筒状フィルムの一面側および該一面とは反対側の他面側を、前記筒状フィルムの幅方向に所定間隔をあけてそれぞれ吸引する、前記筒状フィルムの長さ方向に延びる複数の吸引管を備え、
前記吸引管の各々は、
前記吸引管の長さ方向へ延びる溝が形成された、前記筒状フィルムに吸着する吸着面と、
前記吸引管の内部に形成された吸引路と、
前記溝と前記吸引路とを連通する複数の連通孔と、を含み、
前記溝の各々は、シート状に折り畳まれた前記筒状フィルムを前記吸着面で挟持した状態で互いに正対しない位置に配置されるフィルムオープナー。
【請求項2】
前記複数の連通孔は、前記溝の底部に沿って形成されている請求項に記載のフィルムオープナー。
【請求項3】
前記吸着面に、前記吸引管の先端側に周方向へ延びる補助溝がさらに形成され、
前記補助溝は、前記複数の連通孔と連通している請求項1または2に記載のフィルムオープナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状に折り畳まれた筒状フィルムを開口して瓶またはボトル等に装着するフィルムオープナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、瓶またはボトル等の対象物の外周囲に、シュリンクラベルまたはストレッチラベル等の筒状フィルム(筒状ラベル)を装着(被嵌)するフィルム装着装置が知られている。フィルム装着装置には、通常、シート状に折り畳まれた長尺帯状の筒状フィルムを切断して形成された所定長の筒状フィルムが順次供給される。このため、フィルム装着装置には、シート状に折り畳まれた状態で供給される筒状フィルムを開口するためのフィルムオープナーが搭載される。
【0003】
この種のフィルム装着装置に関して、例えば、特許文献1には、3重管構造の吸引管を有するフィルムオープナーが開示されている。この吸引管は、筒状フィルムのサイズに合わせて吸引管の各ブロック(各パイプ)の向きを変更することにより、折径が異なる複数種類のフィルムおよびカット長が異なる複数種類のフィルムの双方に対応可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-147592号公報(2015年8月20日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術では、一定間隔をあけて複数の吸引孔が一列に並ぶ吸引孔列によって筒状フィルムを吸引する。このため、吸引孔列のうち吸引孔がない部分(即ち、隣り合う吸引孔に挟まれた間の部分)において筒状フィルムへの吸引力が作用しない。その結果、吸引孔列のうち吸引孔がない部分から筒状フィルムが剥がれる可能性がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも吸引力を向上させたフィルムオープナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るフィルムオープナーは、筒状フィルムを開口して対象物に装着するフィルム装着装置に搭載されるフィルムオープナーであって、シート状に折り畳まれた前記筒状フィルムの一面側および該一面とは反対側の他面側を、その幅方向に所定間隔をあけてそれぞれ吸引する、前記筒状フィルムの長さ方向に延びる複数の吸引管を備え、前記吸引管の各々は、前記吸引管の長さ方向へ延びる溝が形成された、前記筒状フィルムに吸着する吸着面と、前記吸引管の内部に形成された吸引路と、前記溝と前記吸引路とを連通する複数の連通孔とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、従来よりも吸引力を向上させたフィルムオープナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係るラベルオープナーを搭載したラベル装着装置を示す側面図である。
図2図1のX-X線矢視断面図である。
図3】3001は上記ラベルオープナーがシート状に折り畳まれた筒状ラベルを挟持した状態を示す模式図であり、3002は上記ラベルオープナーが筒状ラベルLを開口した状態を示す模式図である。
図4】4001は図3の3001に示す吸引管の側面図であり、図4の4002および4003は4001に示す縦溝の深さを説明するための模式図であり、4004は4001に示す領域Rの拡大図であり、4005は4004のA-A線矢視断面図であり、4006は4004のB-B線矢視断面図である。
図5図4の4001に示す吸引管の変形例を示す側面図である。
図6】6001は実施形態2に係る吸引管を示す先端側の拡大図であり、6002は6001のC-C線矢視断面図であり、6003は6001のD-D線矢視断面図である。
図7図6に示す吸引管を搭載したラベルオープナーによって筒状ラベルを開口した状態を示す模式図であり、7001は折径が小径の筒状ラベルを開口した状態を示し、7002は折径が中径の筒状ラベルを開口した状態を示し、7003は折径が大径の筒状ラベルを開口した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明の一態様に係るラベルオープナーを搭載したラベル装着装置の一例について説明する。
【0011】
(ラベル装着装置の概要)
図1は本実施形態に係るラベルオープナー(フィルムオープナー)1を搭載したラベル装着装置(フィルム装着装置)100を示す側面図であり、図2図1のX-X線矢視断面図である。ラベル装着装置100は、シート状に折り畳まれた状態で供給される筒状ラベル(筒状フィルム)Lを開口してボトル(対象物)Bの外周囲に装着する装置である。筒状ラベルLは、例えばシュリンクラベルまたはストレッチラベル等の各種ラベルである。また、ボトルBは、例えば瓶、缶またはPETボトル等の各種容器等である。
【0012】
このラベル装着装置100には、筒状ラベルLを開口し、ボトルBに装着させるラベルオープナー1が搭載される。図1に示す符号TUは、ラベル受け渡しユニットを構成するテイクアップ部材を示している。このテイクアップ部材TUが、図示しない公知のラベル供給装置から供給されるシート状に折り畳まれた筒状ラベルLを受け取り、該筒状ラベルLをラベルオープナー1へ引き渡すようになっている。
【0013】
(ラベルオープナーの構成)
図1および図2に示すように、ラベルオープナー1は、ベース部材11に固定された本体ユニット12と、本体ユニット12を昇降させるカム機構43とを含む。ベース部材11には、支持フレームSFに固定されたスライドレールSRに沿って移動するスライドガイド42が取り付けられる。これにより、本体ユニット12はスライドレールSRに沿って昇降可能になっている。
【0014】
図2に示すように、この本体ユニット12は、互いに対向して配置される1組の吸引ブロック17・17と、先端部が内側に屈曲した鉤形の1組の第1開閉アーム(移動部)18・18および1組の第2開閉アーム(移動部)19・19と、開閉機構27(図1参照)とを含む。開閉機構27は、第1開閉アーム18・18および第2開閉アーム19・19を同時に開閉させる機構である。
【0015】
第1開閉アーム18・18および第2開閉アーム19・19の各々の先端部の下面には、下方側に延びる吸引管20(第1吸引管20A・第2吸引管20B・第3吸引管20C・第4吸引管20D)が取り付けられる。吸引管20は、その内部に形成された吸引路24(図4参照)を通じてエア〈空気〉を吸引することにより、吸着面21において筒状ラベルLを吸着させる管状の構造体である。吸引管20の詳細については後述する。
【0016】
吸引ブロック17・17の各々の内部には、吸引管20の吸引路24に通じる吸引路が形成されており、この吸引路に支持円盤SDから立ち上がる伸縮可能な吸引パイプ44が接続される。吸引パイプ44は、図示しない吸引装置と接続されている。また、第1開閉アーム18・18および第2開閉アーム19・19の各々の内部には、吸引ブロック17・17を介して吸引パイプ44と連通する吸引路が形成される。このような構造により、吸引パイプ44を介してエアが吸引されることにより、最終的に吸引管20の吸引路24の内部が負圧となる。
【0017】
開閉機構27は、図2に示す第1開閉アーム18・18の第1回転軸18a・18aをそれぞれ逆方向に回転させ、第2開閉アーム19・19の第2回転軸19a・19aをそれぞれ逆方向に回転させる。これにより、互いに向き合っている第1開閉アーム18・18と、互いに向き合っている第2開閉アーム19・19とが、互いに連動して開閉する。
【0018】
本体ユニット12を昇降させるカム機構43は、ベース部材11に取り付けられたカムフォロア43aと、このカムフォロア43aが嵌り込む、円筒体CBに形成されたカム溝43bとを含む。カムフォロア43aがカム溝43bに沿って昇降することで、ベース部材11に取り付けられているスライドガイド42がスライドレールSRに沿って昇降する。これに伴って、ベース部材11に取り付けられる本体ユニット12が昇降する。
【0019】
図3の3001はラベルオープナー1がシート状に折り畳まれた筒状ラベルLを挟持した状態を示す模式図であり、図3の3002はラベルオープナー1が筒状ラベルLを開口した状態を示す模式図である。図3の3001に示すように、第1開閉アーム18の一方に第1吸引管20Aが取り付けられ、第1開閉アーム18の他方に第3吸引管20Cが取り付けられる。また、第2開閉アーム19の一方に第2吸引管20Bが取り付けられ、第2開閉アーム19の他方に第4吸引管20Dが取り付けられる。
【0020】
第1吸引管20Aと第3吸引管20Cとは、シート状に折り畳まれた筒状ラベルLを挟んで互いに向かい合って配置される。同様に、第2吸引管20Bと第4吸引管20Dとは、シート状に折り畳まれた筒状ラベルLを挟んで互いに向かい合って配置される。また、第1吸引管20Aと第2吸引管20Bとは、筒状ラベルLの一面La側に筒状ラベルLの幅方向に間隔をあけて配置される。同様に、第3吸引管20Cと第4吸引管20Dとは、一面Laとは反対側の筒状ラベルLの他面LB側に筒状ラベルLの幅方向に間隔をあけて配置される。これにより、シート状に折り畳まれた状態で供給された筒状ラベルLは、該筒状ラベルLの幅方向の一端側が第1吸引管20Aと第3吸引管20Cとによって挟持され、幅方向の他端側が第2吸引管20Bと第4吸引管20Dとによって挟持される。
【0021】
そして、図3の3002に示すように、1組の第1開閉アーム18・18と1組の第2開閉アーム19・19とが連動して開くことによって、互いに対向する第1吸引管20Aと第3吸引管20C、並びに、互いに対向する第2吸引管20Bと第4吸引管20Dとが相互に離反する。これにより、シート状に折り畳まれた筒状ラベルLが開口されることになる。
【0022】
(吸引管の構成)
図4の4001は図3の3001に示す第1吸引管20Aおよび第2吸引管20Bの側面図であり、図4の4002および4003は4001に示す縦溝の深さを説明するための模式図であり、図4の4004は4001に示す領域Rの拡大図であり、図4の4005は4004に示すA-A線矢視断面図であり、図4の4006は4004に示すB-B線矢視断面図である。
【0023】
各吸引管20(第1吸引管20A~第4吸引管20D)の構成は概ね同じである。このため、以下では、主に第2吸引管20Bを例にして吸引管20の構成を説明する。また、以下では、シート状に折り畳まれた筒状ラベルLの長さ方向のサイズをカット長CL(図中、筒状ラベルLの上下両端間の距離)と称し、シート状に折り畳まれた筒状ラベルLの幅方向のサイズを折径LF(図中、筒状ラベルLの左右両端間の距離)と称する場合がある。
【0024】
図4の4001に示すように、吸引管20(第1吸引管20A・第2吸引管20B)は、筒状ラベルLの長さ方向に延びて配置される。吸引管20は、断面が略矩形の単管構造の管であり、4つの側面のうちの1つとして、シート状に折り畳まれた筒状ラベルLに吸着する吸着面21を含む。この吸着面21には、吸引管20の長さ方向に延びる縦溝22が形成される。縦溝22の底部には、縦溝22が形成する空間と、吸引管20の内部に形成された吸引路24とを連通する複数の連通孔23が、縦溝22に沿って間隔をあけて形成される。
【0025】
複数の連通孔23は、吸引管20の長さ方向において、吸引管20の先端(下端)側に偏在して配置される。具体的には、ラベルオープナー1によって装着される各種サイズの筒状ラベルLのうち、最大のカット長CLを最大カット長CL(max)、最小のカット長CLを最小カット長CL(min)とした場合、複数の連通孔23は、最小カット長CL(min)に対応する位置に偏在して配置される。
【0026】
ここで、最小カット長CL(min)を超えた範囲に連通孔23を配置した場合、カット長CLが短い筒状ラベルLを吸引した際に一部(例えば上端側)の連通孔23が筒状ラベルLに覆われずに露出することがある。連通孔23は吸引路24と直接連通しているため、露出した連通孔23からエアが流入して吸引管20の圧力損失が生じ、ラベルオープナー1全体の吸引力の低下を招く。そこで、最小カット長CL(min)を超えない範囲に複数の連通孔23を配置することにより、吸引時に連通孔23が露出することがないため上述した吸引力の低下を抑えることができる。一方、縦溝22は、連通孔23を介して吸引路24と連通しており、吸引路24とは直接連通していない。このため、吸引時に縦溝22の一部が露出したとしても、残りの縦溝22が筒状ラベルLによって塞がれるため、露出した縦溝22からエアが流入し難く、吸引力の低下を最小限に抑えることができる。従って、最小カット長CL(min)を超えた範囲に縦溝22を形成することが可能である。
【0027】
一方、一定間隔をあけて複数の吸引孔が一列に並ぶ吸引孔列によって筒状ラベルLを吸引する従来の吸引管では、各吸引孔が吸引路24に直接連通している。このため、吸引時に一部の吸引孔が筒状ラベルLに覆われずに露出した場合、露出した吸引孔から吸引路24へエアが直接流入して吸引力の低下を招く。従って、従来の吸引管では、吸引時に各吸引孔が露出しないように、筒状ラベルLのカット長CLに合わせて各ブロック(各パイプ)の向きを変更する型替え作業を行う必要性があった。これに対し、本実施形態に係る吸引管20では、最小カット長CL(min)を超えない範囲に連通孔23を配置するため、吸引時に連通孔23が露出することがない。また、吸引時に筒状ラベルLが縦溝22の内面に密着するため、縦溝22の一部が露出したとしても、縦溝22にエアが流入し難くなっている。これにより、上記従来の吸引管のような吸引孔の露出に起因する吸引力の低下が抑えられるため、型替え作業を行う必要性がない。
【0028】
また、上記従来の吸引管では、吸引孔列のうち吸引孔がない部分で吸引力が途切れるという問題があった。これに対して、本実施形態に係る吸引管20では、一連の縦溝22を吸着面21に形成することにより、縦溝22によって吸引力が途切れることなく筒状ラベルLを線状に吸引することができる。この構成により、吸引孔がない部分で吸引力が途切れるようなことがなく、強い吸引力が得られる。なお、縦溝22が吸引路24に直接繋がる(連通する)と、筒状ラベルLが吸引路24内に吸い込まれる。このため、吸引管20では、連通孔23を介して縦溝22が吸引路24と連通するようになっている。これにより、縦溝22の一部に吸引路24と連通しない部分が形成されるため、筒状ラベルLが吸引路24内に吸い込まれることを防ぐことができる。
【0029】
また、上記従来の吸引管は3重管構造を採用しているため、管同士の間に隙間が生じる。この隙間により吸引管の圧力損失が生じ、吸引力の低下を招く。これに対して、吸引管20は単管構造を採用しているため、上述した隙間に起因する圧力損失が生じず、吸引力の低下が抑えられる。
【0030】
さらに、上記従来の吸引管では、カット長CLが長い筒状ラベルLの場合、カット長CLに応じて吸引孔の数が増える。このため、1つの吸引孔当たりの吸引力が弱くなる。特に吸引管の下端側に配置される吸引孔において、吸引力が低下し易い。これに対して、吸引管20では、最小カット長CL(min)に対応する吸引管20の先端側に偏在して比較的少数(本実施形態では4つ)の連通孔23が配置される。このため、1つの連通孔23当たりの吸引力が、上記従来の吸引管に比べて強くなる。
【0031】
よって、吸引管20の先端側に偏在して複数の連通孔23を配置した場合であっても、筒状ラベルLの下端側が一連の縦溝22によって強く吸引保持される。従って、筒状ラベルLをボトルBに装着する際に筒状ラベルLが吸着面21から剥がれ難く、筒状ラベルLをボトルBに装着することが可能となる。このため、吸引管20では、従来のように筒状ラベルLのカット長CLに合わせて各ブロック(各パイプ)の向きを変更し、カット長CLに応じた吸引孔列に切り替える型替え作業が不要となる。従って、筒状ラベルLのカット長CLに応じた型替え作業を省略でき、作業者の型替えミスもなくなる。また、従来よりも吸引管20の構造を簡略化することができるため、部品数を減らして、ラベルオープナー1の製造コストを低減することができる。
【0032】
なお、筒状ラベルLを吸引管20によって吸引したとき、筒状ラベルLが縦溝22の内面に密着するため、筒状ラベルLによって縦溝22が塞がれる。このため、図4の4001および4004に示すように、仮に縦溝22の上端側が最小カット長CL(min)の筒状ラベルLに覆われずに露出した場合であっても、筒状ラベルLが縦溝22の内面に密着しているため、縦溝22の上端側からのエアの流入および流出が低減される。従って、吸引力の低下を抑えることができる。
【0033】
すなわち、吸引管Dでは、筒状ラベルLを吸引管20によって吸引したとき、筒状ラベルLが縦溝22の内面に密着し易いように、縦溝22の幅および深さが設定されている。図4の4002に示すように、縦溝22の深さが大きすぎる場合、筒状ラベルLが縦溝22の内面に密着せず、筒状ラベルLと縦溝22との間に隙間が生じる。この場合、縦溝22の上端側が筒状ラベルLに覆われずに露出した場合、上記隙間からエアの流入または流出が生じ、吸引力が低下する。そこで、吸引管20では、図4の4003に示すように、筒状ラベルLを吸引管20によって吸引したとき、筒状ラベルLが縦溝22の内面に概ね密着するように、縦溝22の幅および深さが設定される。これにより、縦溝22の上端側が筒状ラベルLに覆われずに露出した場合であっても、筒状ラベルLによって縦溝22が塞がれているため、縦溝22の上端側からのエアの流入および流出を低減することができる。
【0034】
図4の4004~4006に示すように、吸引管20は、その中心に吸引路24が形成され、先端(下端)側が閉塞された横断面矩形の筒状部材である。吸引管20の1つの側面に縦溝22が形成されており、該側面がラベルLを吸着させる吸着面21として機能する。本実施形態では、縦溝22に沿って4つの連通孔23が形成される。これら4つの連通孔23によって、縦溝22と吸引路24とが連通する。4つの連通孔23の各々は、例えば円筒形状であり、当該円筒形状の一端が縦溝22の底部と接続されるように形成されている。これらの連通孔23は、当該円筒形状の中心軸が吸着面21に対して略垂直になるように形成される。連通孔23の各々は、縦溝22の底部から吸着面21とは反対側の吸引管20の裏面25まで至り、該裏面25に開口部を形成する。このため、連通孔23の開口部を塞ぐカバー26が裏面25に設けられ、このカバー26によって裏面25側からのエアの流入および流出が防止される。
【0035】
なお、吸引管20に形成される連通孔23の数は特に限定されないが、連通孔23を縦溝22に沿って複数形成することが好ましい。これにより、吸引管20の吸引力を高めることができる。また、連通孔23の直径(横断寸法)は、吸着面21を平面視したときの縦溝22の幅よりも大きいことが好ましい。これにより、連通孔23を流れるエアの流量が大きくなり、吸引管20の吸引力をさらに高めることができる。ただし、連通孔23の直径は、縦溝22の幅以下であっても構わない。これにより、縦溝22の底部と吸引路24とを連通する連通孔23を吸着面21側から形成することができ、連通孔23を形成し易くなる。連通孔23の形状は、円筒形状に限定されず、縦溝22と吸引路24とを連通可能な形状であればよい。また、連通孔23が形成される間隔は、一定間隔でなくともよい。さらに、連通孔23が形成される間隔は、一定間隔でなくともよい。さらに、連通孔23は、その中心軸が吸引路24に対して直角ではなく、斜めになるように形成されていてもよい。
【0036】
(ラベルオープナーの動作)
次に、ラベルオープナー1の動作例を説明する。シート状に折り畳まれた筒状ラベルLがテイクアップ部材TUからラベルオープナー1へ引き渡されると、ラベルオープナー1は、筒状ラベルLを両面から吸引保持する(図3の3001参照)。具体的には、ラベルオープナー1は、筒状ラベルLの幅方向の一端側を第1吸引管20Aと第3吸引管20Cとによって挟持し、幅方向の他端側を第2吸引管20Bと第4吸引管20Dとによって挟持する。
【0037】
ここで、ラベルオープナー1では、筒状ラベルLを挟持した場合、第1吸引管20Aの縦溝22と第3吸引管20Cの縦溝22とは、互いに正対しないように僅かにずれて配置される。同様に、第2吸引管20Bの縦溝22と第4吸引管20Dの縦溝22とは、互いに正対しないように僅かにずれて配置される。これにより、筒状ラベルLの一面Laおよび他面Lbのうち、互いに正対しない僅かにずれた位置が吸引管20によって吸引されるため、一面Laおよび他面Lbが離反し易くなり、より的確に筒状ラベルLを開口することができる。
【0038】
なお、一面Laおよび他面Lbのうち、互いに正対する位置を吸引管20によって吸引した場合、筒状ラベルLの一面Laおよび他面Lbは、静電気等で互いに密着しているため、一面Laおよび他面Lbの両面がどちらか一方の縦溝22に入り込み易い。このため、入り込んだ一方の縦溝22に両面が留まり、筒状ラベルLを開口することが困難となる。
【0039】
次に、筒状ラベルLの両面を吸引保持した状態で、第1吸引管20Aと第3吸引管20Cを互いに離間する方向に移動させると共に、第2吸引管20Bと第4吸引管20Dとを互いに離間する方向に移動させる。これにより、シート状に折り畳まれた筒状ラベルLを開口する(図3の3002参照)。上述の通り、第1吸引管20A~第4吸引管Dの各々は、一連の縦溝22によって筒状ラベルLを吸引する。このため、縦溝22に沿って、筒状ラベルLの縦方向(長さ方向)に折Lcが生じる。
【0040】
次に、カム機構43(図1参照)が、本体ユニット12を支持円盤SDに載置されたボトルBに向かって下降させる。これにより、第1吸引管20A~第4吸引管20Dに吸引保持された筒状ラベルLをボトルBの外周囲に装着する。このとき、筒状ラベルLに生じた折Lcによって筒状ラベルLの縦方向の座屈強度が向上するため、筒状ラベルLをボトルBに装着する際に筒状ラベルLの折れ込み等が発生し難くなる。従って、腰の弱い肉薄の筒状ラベルLであっても、ボトルBの外周囲に的確に装着することができる。
【0041】
(ラベルオープナーの効果)
このように、本実施形態に係るラベルオープナー1は、吸引管20を備える。この吸引管20は、筒状ラベルLに吸着する吸着面21に吸引管20の長さ方向に延びる縦溝22が形成されており、縦溝22と吸引路24とは複数の連通孔23によって連通している。
【0042】
吸引管20は、該吸引管20の長さ方向に延びる一連の縦溝22によって筒状ラベルLを線状に吸引する。このため、一定間隔をあけて複数の吸引孔が一列に並ぶ吸引孔列によって筒状ラベルLを吸引する従来の吸引管のように吸引孔がない部分で吸引力が途切れるようなことがなく、強い吸引力が得られる。従って、従来よりも吸引管20の吸引力を向上させることができる。
【0043】
また、一連の縦溝22によって筒状ラベルLを吸引することにより、筒状ラベルLの縦方向(長さ方向)に折Lcが生じる。このため、筒状ラベルLの縦方向の座屈強度が向上し、筒状ラベルLをボトルBに装着する際に筒状ラベルLの折れ込み等が発生し難くなる。さらに、従来よりも吸引管20の構造を簡略化することができるため、部品数を減らして、吸引管20の製造コストを低減することができる。
【0044】
吸引管20においては、縦溝22と吸引路24とを直接連通させるのではなく、連通孔23を介して縦溝22と吸引路24とを連通させている。この構成により、縦溝22の底部には、連通孔23と連通する開口部が形成されている部分と、前記開口部が形成されていない平坦面の部分とが形成される。縦溝22が形成する空間全体は負圧になり、縦溝22の全体に亘って吸引力が発揮されるが、前記開口部が形成されていない平坦面があるために、吸引管20の内部(吸引路24)まで筒状ラベルLが入り込むことを防止することができる。
【0045】
(変形例)
図5は、図4の4001に示す吸引管20の変形例を示す側面図である。図4では、縦溝22を吸引管20の先端側から最小カット長CL(min)を若干超えた位置まで形成する構成例を示した。しかし、図5に示すように、複数の連通孔23を最小カット長CL(min)に対応する位置に偏在して配置し、縦溝22を吸引管20の先端側から例えば最大カット長CL(max)に対応する位置まで形成してもよい。
【0046】
最大カット長CL(max)に対応する位置まで溝22を形成することにより、最大カット長CL(max)の筒状ラベルLを縦溝22によって的確に吸引することができる。従って、最大カット長CL(max)の筒状ラベルLが吸着面21から剥がれ難くなる。
【0047】
なお、図4に示すように、縦溝22を最小カット長CL(min)近傍に対応する位置に形成した場合であっても、最大カット長CL(max)の筒状ラベルLの下端側が一連の縦溝22によって強く吸引保持されるため、ボトルBの外周囲に装着することが可能である。ただし、図5に示すように、縦溝22を最長カット長CL(max)に対応する位置に形成することにより、最長カット長CL(max)にわたって筒状ラベルLが縦溝22によって吸引される。このため、ボトルBの外周囲に筒状ラベルLをよりスムーズに装着することができる。
【0048】
上述の通り、吸引管20では、縦溝22が吸引路24とは直接連通しておらず、また、吸引時に筒状ラベルLが縦溝22の内面に密着するように溝22の幅および深さが設定される。このため、縦溝22の一部が露出したとしても、露出した縦溝22からエアが流入または流出し難く、吸引力の低下を最小限に抑えることができる。従って、吸引管20は、最小カット長CL(min)の筒状ラベルL、および最大カット長CL(max)の筒状ラベルLの双方に対応することが可能であり、カット長CLが異なる複数種類の筒状ラベルLの吸引に吸引管20を兼用することができる。このため、従来のように筒状ラベルLのカット長CLに合わせて各ブロック(各パイプ)の向きを変更し、カット長CLに応じた吸引孔列に切り替える型替え作業が不要となる。
【0049】
また、図4では、吸引管20が単管構造である構成例を示した。しかし、吸引管20は、二重管構造であってもよい。この場合、吸引管20は、縦孔(スリット)が形成された吸着面21を構成する外筒と、この外筒の内部に配置される内筒であって、縦孔および内筒の外周面によって形成された空間(縦溝)と、内筒の内部の吸引路24とを連通する複数の連通孔23が形成された内筒とを備える。このように、外筒と内筒との2重管構造とすることにより、本発明に係る吸引管を製造し易くなる。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
(吸引管の構成)
図6の6001は本実施形態に係る吸引管120を示す先端側の拡大図であり、図6の6002は6001のC-C線矢視断面図であり、図6の6003は6001のD-D線矢視断面図である。本実施形態に係る吸引管120は、先端側の吸着面21に周(横)方向に延びる補助溝(横溝)128が形成されている点において、上述した吸引管20と主に異なる。
【0052】
図6の6001に示すように、本実施形態では、縦溝22に沿って5つの連通孔23が形成される。吸引管120の吸着面21は、先端側が幅方向の一方へ延出した延出部127を含む幅広形状となっている。この延出部127を含む幅広の先端側に、縦溝22を横断するように複数の補助溝128が形成される。補助溝128が形成する空間は、吸引路24へ連通する。具体的には、補助溝128が形成する空間は、吸引管120の最も下端側に位置する連通孔23を介して吸引路24へ連通する。また、補助溝128が形成する空間は、縦溝22を経由して他の連通孔23を介して吸引路24へ連通する。
【0053】
図6の6002に示すように、補助溝128は、吸引管120の周方向に互いに略平行に並んで形成される。本実施形態では、吸引管120の先端側の吸着面21に、5つの補助溝128が形成される。補助溝128は、吸引した筒状ラベルLが入り込み難い深さに形成される。補助溝128を形成することにより、筒状ラベルLの下端側の開口形状を確保し易くなり、筒状ラベルLをボトルBに装着し易くなる。なお、補助溝128の数は特に限定されない。ただし、補助溝128を複数形成することにより、より強い吸引力が得られる。
【0054】
また、図6の6003に示すように、本実施形態では、縦溝22の底部に、隆起部129が形成される。図示の例では、隆起部129は、縦溝22のうち、複数の連通孔23が形成されている箇所よりも上端側(鉛直上側)に形成される。この隆起部129は、縦溝22の深さを制限しつつ、縦溝22を流れるエアの流量を確保する役割を果たす。すなわち、縦溝22の深さは、隆起部129が形成されている部分において、隆起部129が形成されていない部分よりも浅くなる。このため、仮に縦溝22の深さを大きくした場合であっても、吸引時に隆起部129の上面に筒状ラベルLが密着して筒状ラベルLの入り込みが抑えられる。また、隆起部129を挟んでその両側に隙間が形成されるため、縦溝22を流れるエアの流量を十分に確保して、吸引力を上げることができる。
【0055】
なお、隆起部129は、補助溝128の底部に形成されていてもよい。隆起部129が補助溝128の底部に形成されることにより、補助溝128の深さが浅くなり、筒状ラベルLが密着し易くなる。このため、吸引時に補助溝128の一部が筒状ラベルLに覆われない場合であっても、筒状ラベルLによって補助溝128が塞がれているため、補助溝128からのエアの流入および流出が低減される。
【0056】
(ラベルオープナーの動作)
図7図6に示す吸引管120を搭載したラベルオープナー101によって筒状ラベルLを開口した状態を示す模式図である。図7の7001は折径LFが小径の筒状ラベルLを開口した状態を示し、図7の7002は折径LFが中径の筒状ラベルLを開口した状態を示し、図7の7003は折径LFが大径の筒状ラベルLを開口した状態を示す。
【0057】
図7に示すように、ラベルオープナー(フィルムオープナー)101は、第1吸引管120A~第4吸引管120Dの4つの吸引管120を備える。第1吸引管120Aと第2吸引管120Bとは、筒状ラベルLの一面La側に、各々の延出部127を向き合わせて配置される。また、第3吸引管120Cと第4吸引管120Dとは、筒状ラベルLの他面Lb側に、各々の延出部127を向き合わせて配置される。
【0058】
図7の7001に示すように、ラベルオープナー101によって折径LFが小径の筒状ラベルLを開口する場合、補助溝128のうちの延出部127側で筒状ラベルLを吸引することができる。また、図7の7002に示すように、ラベルオープナー101によって折径LFが中径の筒状ラベルLを開口する場合、補助溝128全体で筒状ラベルLを吸引することができる。さらに、図7の7003に示すように、ラベルオープナー101によって折径LFが大径の筒状ラベルLを開口する場合、補助溝128のうちの延出部127とは反対側で筒状ラベルLを吸引することができる。
【0059】
なお、筒状ラベルLを吸引管120によって吸引したとき、筒状ラベルLが補助溝128の内面に密着するため、筒状ラベルLによって補助溝128が塞がれる。このため、図7の7001および7003に示すように、仮に補助溝128の一部が筒状ラベルLに覆われずに露出した場合であっても、筒状ラベルLによって補助溝128が塞がれているため、補助溝128の側端側からのエアの流入および流出が低減される。従って、吸引力の低下を抑えることができる。
【0060】
このように、吸引管120は、折径LFが異なる複数種類の筒状ラベルLを吸引可能なように、補助溝128の形状(溝長、溝幅)が設定されている。このため、吸引管120は、折径LFが異なる複数種類の筒状ラベルLの吸引に兼用することができる。
【0061】
なお、吸引管120の吸着面21に形成される延出部127は必須ではなく、省略することも可能である。例えば、吸着面21が、補助溝128を形成可能な十分な幅(横幅)を有する場合、吸着面21に延出部127を形成しなくてもよい。
【0062】
また、ラベルオープナー101では、筒状ラベルLを挟持した場合、第1吸引管120Aの補助溝128と第3吸引管120Cの補助溝128とは、互いに正対しないように吸引管120の長さ方向に僅かにずれて配置されてもよい。同様に、第2吸引管120Bの補助溝128と第4吸引管120Dの補助溝128とは、互いに正対しないように吸引管120の長さ方向に僅かにずれて配置されてもよい。これにより、筒状ラベルLの一面Laおよび他面Lbのうち、互いに正対しない僅かにずれた位置が吸引管120によって吸引されるため、一面Laおよび他面Lbが離反し易くなり、より的確に筒状ラベルLの下端側を開口することができる。
【0063】
(ラベルオープナーの効果)
このように、本実施形態に係るラベルオープナー101は、吸引管120を備える。この吸引管120は、先端側の吸着面21に、吸引管120の周方向に延びる補助溝128が形成されており、補助溝128と吸引路24とは複数の連通孔23によって連通している。
【0064】
吸引管120は、一連の補助溝128によって筒状ラベルLの幅方向に沿って筒状ラベルLを吸引するため、筒状ラベルLの開口形状を確保し易くなり、筒状ラベルLを対象物に装着し易くなる。
【0065】
また、補助溝128を形成することにより、従来のように筒状ラベルLの折径LFに合せて各ブロック(各パイプ)の向きを変更し、折径LFに応じた吸引孔列に切り替える型替え作業が不要となる。このため、筒状ラベルLの折径LFに応じた型替え作業を省略でき、作業者の型替えミスもなくなる。
【0066】
さらに、従来よりも吸引管120の構造を簡略化することができるため、部品数を減らして、吸引管120の製造コストを低減することができる。
【0067】
特に、本実施形態に係る吸引管120は、吸引管120の長さ方向に延びる縦溝22と、吸引管120の先端側に周(横)方向に延びる補助溝とが吸着面21に形成される。このため、1種類の吸引管120によって、異なるカット長CLおよび折径LFの筒状ラベルLに対応することが可能である。従って、筒状ラベルLのサイズに応じた型替え作業を省略でき、作業者の型替えミスをなくすことができる。
【0068】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るフィルムオープナーは、筒状フィルムを開口して対象物に装着するフィルム装着装置に搭載されるフィルムオープナーであって、シート状に折り畳まれた前記筒状フィルムの一面側および該一面とは反対側の他面側を、その幅方向に所定間隔をあけてそれぞれ吸引する、前記筒状フィルムの長さ方向に延びる複数の吸引管を備え、前記吸引管の各々は、前記吸引管の長さ方向へ延びる溝が形成された、前記筒状フィルムに吸着する吸着面と、前記吸引管の内部に形成された吸引路と、前記溝と前記吸引路とを連通する複数の連通孔と、を含む。
【0070】
前記構成では、フィルムオープナーが備える吸引管は、該吸引管の長さ方向に延びる一連の溝によって筒状フィルムを線状に吸引する。このため、一定間隔をあけて複数の吸引孔が一列に並ぶ吸引孔列によって筒状フィルムを吸引する従来の吸引管のように吸引孔がない部分で吸引力が途切れるようなことがなく、強い吸引力が得られる。従って、従来よりも吸引力を向上させることができる。
【0071】
また、吸引管の長さ方向に延びる一連の溝によって筒状フィルムを吸引することにより、筒状フィルムの縦方向(長さ方向)に折が生じる。このため、筒状フィルムの縦方向の座屈強度が向上し、筒状フィルムを対象物に装着する際に筒状フィルムの折れ込み等が発生し難くなる。
【0072】
さらに、前記構成では、従来よりも吸引管の構造を簡略化することができるため、部品数を減らして、フィルムオープナーの製造コストを低減することができる。
【0073】
また、本発明の態様2に係るフィルムオープナーでは、上記態様1において、前記複数の連通孔は、前記溝の底部に沿って形成されている。
【0074】
前記構成によれば、溝の底部に形成された複数の連通孔が吸引路と連通することにより、吸引管の長さ方向に延びる溝によって筒状フィルムを吸引することができる。また、溝の底部と吸引路とを複数の連通孔によって連通することにより、吸引した筒状フィルムを溝で吸着保持し、吸引管の内部に筒状フィルムが入り込むことを防止することができる。
【0075】
また、本発明の態様3に係るフィルムオープナーでは、上記態様1または2において、縦孔が形成された前記吸着面を構成する外筒と、前記外筒の内部に配置され、前記縦孔と前記吸引路とを連通する複数の連通孔が形成された内筒とを備える。
【0076】
前記構成によれば、外筒と内筒との2重管構造とすることにより、本発明に係る吸引管を製造し易くなる。
【0077】
また、本発明の態様4に係るフィルムオープナーでは、上記態様1から3において、前記複数の連通孔は、前記吸引管の長さ方向において、前記吸引管の先端側に偏在して配置される。
【0078】
上述の通り、吸引管の長さ方向に延びる一連の溝によって筒状フィルムを吸引することにより、従来よりも強い吸引力が得られる。このため、前記構成のように、筒状フィルムの下端側を吸引する吸引管の先端側に偏在して複数の連通孔を配置することにより、筒状フィルムのカット長が異なる場合であっても該筒状フィルムの少なくとも下端側が補助溝によって強く吸引保持される。このように、筒状フィルムの少なくとも下端側を補助溝によって強く吸引保持することにより、筒状フィルムを対象物に装着する際の筒状フィルムと対象物との接触による摩擦抵抗によって筒状フィルムが吸着面から剥がれることなく、筒状フィルムを対象物に装着することが可能となる。
【0079】
従って、前記構成では、カット長が異なる複数種類の筒状フィルムFの吸引に吸引管の兼用することができるため、従来のように筒状フィルムのカット長に合わせて各ブロック(各パイプ)の向きを変更し、カット長に応じた吸引孔列に切り替える型替え作業が不要となる。このため、筒状フィルムのカット長に応じた型替え作業を省略でき、作業者の型替えミスもなくなる。
【0080】
なお、仮に筒状フィルムの上端側を吸引する吸引管の後端側に偏在して複数の連通孔を配置した場合、筒状フィルムの下端側が吸引保持されない。このため、筒状フィルムを対象物に装着する際の筒状フィルムと対象物との接触による摩擦抵抗によって筒状フィルムの下端側に折れ込み等が発生し、筒状フィルムを対象物に装着することが困難となる。
【0081】
本発明の態様5に係るフィルムオープナーでは、上記態様1から4において、前記溝の各々は、シート状に折り畳まれた前記筒状フィルムを前記吸着面で挟持した状態で互いに正対しない位置に配置される。
【0082】
前記構成によれば、シート状に折り畳まれた筒状フィルムの一面および他面のうち、正対しない位置が吸引される。このため、一面および他面が離反し易くなり、より的確に筒状フィルムを開口することができる。
【0083】
本発明の態様6に係るフィルムオープナーは、筒状フィルムを開口して対象物に装着するフィルム装着装置に搭載されるフィルムオープナーであって、シート状に折り畳まれた前記筒状フィルムの一面側および該一面とは反対側の他面側を、その幅方向に所定間隔をあけてそれぞれ吸引する、前記筒状フィルムの長さ方向に延びる複数の吸引管を備え、前記吸引管の各々は、前記吸引管の先端側に周方向へ延びる補助溝が形成された、前記筒状フィルムに吸着する吸着面と、前記吸引管の内部に形成された吸引路と、前記補助溝と前記吸引路とを連通する複数の連通孔と、を含む。
【0084】
前記構成では、フィルムオープナーが備える吸引管は、吸引管の先端側の吸着面に形成された吸引管の周方向に延びる一連の補助溝によって筒状フィルムを線状に吸引する。このため、補助溝によって吸引力が途切れることなく筒状フィルムを吸引することができ、強い吸引力が得られる。従って、筒状フィルムの開口形状を確保し易くなり、筒状フィルムを対象物に装着し易くなる。
【0085】
また、補助溝を形成することにより、折径が異なる複数種類の筒状フィルムの吸引に吸引管を兼用することができる。このため、従来のように筒状フィルムの折径に合わせて各ブロック(各パイプ)の向きを変更し、折径に応じた吸引孔列に切り替える型替え作業が不要となる。従って、筒状フィルムの折径に応じた型替え作業を省略でき、作業者の型替えミスもなくなる。
【0086】
さらに、前記構成では、従来よりも吸引管の構造を簡略化することができるため、部品数を減らして、吸引管の製造コストを低減することができる。
【0087】
本発明の態様7に係るフィルムオープナーは、上記態様1から6において、前記吸引管は、前記筒状フィルムの吸引時において、前記溝の内面と前記筒状フィルムとを密着させる、または、前記補助溝の内面と前記筒状フィルムとを密着させる。
【0088】
前記構成では、筒状フィルムの吸引時において、筒状フィルムが溝の内面または補助溝の内面に密着するため、筒状フィルムによって溝または補助溝が塞がれる。このため、仮に溝または補助溝の一部が筒状フィルムに覆われずに露出した場合であっても、溝または補助溝からのエアの流入および流出が低減される。従って、吸引力の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0089】
1,101 ラベルオープナー(フィルムオープナー)
18 第1開閉アーム(移動部)
19 第2開閉アーム(移動部)
20A,120A第1吸引管
20B,120B 第2吸引管
20C,120C 第3吸引管
20D,120D 第4吸引管
100 ラベル装着装置(フィルム装着装置)
128 補助溝
B ボトル(対象物)
L 筒状ラベル(筒状フィルム)
La 一面
Lb 他面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7