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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ハンドル
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
B62D1/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020176726
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067875
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】浅野 巌
(72)【発明者】
【氏名】佐野 みさを
(72)【発明者】
【氏名】諏訪間 貴博
(72)【発明者】
【氏名】清 大樹
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-076556(JP,A)
【文献】特開2016-016790(JP,A)
【文献】特開2019-196114(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0355391(US,A1)
【文献】特表2013-520366(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102781762(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00-1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を有するハンドルであって、
前記把持部は、
溝部を有する基材層と、
前記溝部を含む前記基材層の表面に沿って配置された機能部品と、
前記溝部に一部が収容されて前記基材層と前記機能部品とを覆うシート状の被覆部材と、を備え、
前記機能部品は、長手状かつシート状の基材を有し、
前記基材は、長手方向に沿う側縁部を切り欠いて形成され、前記機能部品を前記溝部の側壁及び底部の形状に落とし込んで沿わせるように配置した状態で前記溝部に収容されるように前記長手方向における幅が設定された切り欠き部を備え、
前記切り欠き部の先端部は、円弧状に形成されている
ことを特徴とするハンドル。
【請求項2】
機能部品は、センサ機能を有する
ことを特徴とする請求項1記載のハンドル。
【請求項3】
機能部品は、ヒータ機能を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載のハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被覆部材を備えるハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ステアリングホイールのリム部には、乗員がリム部を把持したことを検出するセンサ、あるいは、寒冷地で乗員の手指を温めるヒータなどの機能部品が配置されることがある。このような機能部品は、リム部の表面を被覆部材により覆う仕様のステアリングホイールの場合、被覆部材の裏側、すなわち被覆部材とリム部の樹脂層との間に配置される。被覆部材は、複数の分割片の縫い合わせにより構成する場合、その縫い合わせ部分を、ステアリングホイールのリム部の基材層に形成した溝部に機能部品の一部とともに収容する。
【0003】
このような構成において、機能部品がセンサの場合、電極線が配置されるシート状の基材として、クロロプレンゴムが使用されることがある。クロロプレンゴムは、機能部品の基材として使用される素材としては比較的硬質であり、ウレタンなどからなるリム部の樹脂層に貼り付ける際の作業性が困難な場合がある。
【0004】
そこで、機能部品において、溝部に収容される部分を、溝部に応じてカットすることで、機能部品が溝部を横切る範囲を低減させることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-196114号公報 (第4-7頁、図3-5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機能部品をカットする際、通常は角部を有する形状にカットする。しかしながら、クロロプレンゴムのような比較的硬質な素材を基材としている場合、機能部品をリム部の樹脂層の形状に沿わせて貼り付ける際に基材が変形量を吸収しにくく、カットした部分の角部に盛り上がりが生じることがある。この盛り上がりは、被覆部材により機能部品を被覆した後でも凸形状として被覆部材の表面に露出し、外観を損なう要因となる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、基材層に配置した機能部品を被覆部材により覆う仕様としつつ、外観を向上したハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のハンドルは、把持部を有するハンドルであって、前記把持部は、溝部を有する基材層と、前記溝部を含む前記基材層の表面に沿って配置された機能部品と、前記溝部に一部が収容されて前記基材層と前記機能部品とを覆うシート状の被覆部材と、を備え、前記機能部品は、長手状かつシート状の基材を有し、前記基材は、長手方向に沿う側縁部を切り欠いて形成され、前記機能部品を前記溝部の側壁及び底部の形状に落とし込んで沿わせるように配置した状態で前記溝部に収容されるように前記長手方向における幅が設定された切り欠き部を備え、前記切り欠き部の先端部は、円弧状に形成されているものである。
【0009】
請求項2記載のハンドルは、請求項1記載のハンドルにおいて、機能部品は、センサ機能を有するものである。
【0010】
請求項3記載のハンドルは、請求項1または2記載のハンドルにおいて、機能部品は、ヒータ機能を有するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のハンドルによれば、機能部品の一部を溝部の側壁及び底部の形状に落とし込んで沿わせるように配置した状態で、切り欠き部の先端部に加わる力を分散させ、機能部品を溝部の形状に追従させることができるため、機能部品の基材が、溝部の縁部で盛り上がりにくくなるので、基材層に配置した機能部品を被覆部材により覆う仕様としつつ、溝部の縁部の位置が被覆部材の表面に凸形状として露出しにくくなり、外観を向上できる。
【0012】
請求項2記載のハンドルによれば、請求項1記載のハンドルの効果に加えて、機能部品がセンサ機能を有することで、外観を向上したハンドルの把持部に、例えば乗員の把持などを検出する機能を持たせることができる。
【0013】
請求項3記載のハンドルによれば、請求項1または2記載のハンドルの効果に加えて、機能部品がヒータ機能を有することで、外観を向上したハンドルの把持部を把持した乗員の指を効果的に温めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態のハンドルを示し、(a)は機能部品の展開図、(b)は(a)の部分拡大図である。
図2】(a)は同上ハンドルの基材層の一部を示す斜視図、(b)は(a)の基材層に機能部品を配置した状態を示す斜視図、(c)は(b)を被覆部材により覆った状態を示す斜視図である。
図3】(a)は同上ハンドルの把持部の縦断面図、(b)は把持部の横断面図である。
図4】同上ハンドルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図4において、10は例えば車両としての自動車のハンドル(ステアリングハンドル)であるステアリングホイールである。ステアリングホイール10は、ハンドル本体であるステアリングホイール本体11、及び、ステアリングホイール本体11の乗員側に装着されるモジュール12などを備えている。なお、ステアリングホイール10は、通常傾斜した状態で車両に備えられるステアリングシャフトに装着されるものであるが、以下、ステアリングホイール10を運転者(乗員)側から見て、矢印U方向を上側、矢印D方向を下側、車両の前側すなわち前側上方のフロントガラス側を前側あるいは背面側、車両の後側すなわち後側下方を後側、手前側あるいは正面側として説明する。また、ステアリングホイール本体11の各部の上下左右などの配置は、ステアリングホイール10の中立(ニュートラル)位置を基準とする。
【0017】
ステアリングホイール本体11は、把持部としてのリム部(グリップ部)15と、リム部15の内側に位置するボス部16と、これらリム部15とボス部16とを連結する複数のスポーク部17とを有する。
【0018】
リム部15は、運転者(乗員)により把持操作される部分である。リム部15は、少なくとも一部が円弧状に形成されている。好ましくは、リム部15は、環状に形成されている。本実施の形態において、リム部15は、円環状に形成されている。
【0019】
ボス部16は、ステアリングシャフトと連結される部分である。また、ボス部16の乗員側には、モジュール12が取り付けられる。さらに、ボス部16は、背面側がカバー体により覆われる。カバー体は、裏カバー、下部カバーあるいはボディカバーとも呼ばれ、合成樹脂などにより形成されている。
【0020】
スポーク部17は、本実施の形態において、左右2本形成されている。これに限らず、スポーク部17は、3本、4本、あるいはそれ以上の本数が形成されていてもよい。
【0021】
モジュール12としては、例えばエアバッグ装置、あるいは衝撃吸収体を収容したものなどのパッド体を用いることができる。なお、モジュール12には、スイッチ装置としてのホーンスイッチ機構などが一体的に組み込まれていてもよい。
【0022】
次に、ステアリングホイール本体11の構造について説明する。
【0023】
図3(a)及び図3(b)に示すように、ステアリングホイール本体11は、芯金20と、芯金20を覆う基材層である樹脂層21と、樹脂層21に配置された機能部品22と、これら樹脂層21及び機能部品22を覆う被覆部材23と、を有する。
【0024】
芯金20は、例えばアルミニウムやマグネシウムなどの金属製である。芯金20は、リム部15の一部をなす把持部芯金部であるリム芯金部25と、ボス部16の一部をなすボス芯金部と、を少なくとも有する。また、芯金20は、スポーク部17の一部をなすスポーク芯金部を有していてもよい。
【0025】
リム芯金部25は、リム部15の形状に対応する形状に形成されている。すなわち、このリム芯金部25は、リム部15の形状に応じて、例えば少なくとも一部が円弧に沿って形成された環状をなしている。本実施の形態において、このリム芯金部25は、円環状に形成されている。
【0026】
ボス芯金部は、ステアリングシャフトと歯合するセレーション構造を備えたボスに、芯体を構成するボスプレートが一体的に固着されて構成されている。
【0027】
スポーク芯金部は、ボス芯金部のボスプレートから放射状に延びて形成されている。スポーク芯金部は、必ずしもすべてのスポーク部17に対応していなくてもよく、少なくとも一部のスポーク部17は、スポーク芯金部を備えずにフィニッシャやカバー体などにより構成されていてもよい。
【0028】
樹脂層21は、少なくともリム芯金部25を覆って形成されている。そのため、樹脂層21は、少なくとも一部が円弧状に形成され、本実施の形態では環状、または、円環状に形成されている。樹脂層21は、例えば断面円形状(断面略円形状も含む)に形成されている。樹脂層21は、例えば軟質の発泡ポリウレタン樹脂を微細発泡させたものが使用される。また、樹脂層21には、溝部30が形成されている。
【0029】
図2(a)及び図3(a)に示す溝部30は、機能部品22及び被覆部材23の一部が収容されるとともに、これら機能部品22及び被覆部材23を樹脂層21に対し位置決めする。溝部30は、後述する被覆部材23の連結部の逃がし形状となっている。溝部30は、リム部15の長手方向と交差する方向に沿って樹脂層21に形成されている。溝部30は、リム部15の経線(メリディアン)方向に沿って樹脂層21に形成されている。つまり、溝部30は、リム部15の小径方向に形成されている。本実施の形態において、溝部30は、リム部15の経線に対して傾斜している。図示される例では、溝部30は、それぞれ左右方向に形成されている。溝部30は、全周に亘り連なっていてもよいし、断続的でもよい。溝部30は、樹脂層21の表面にて少なくとも一部が乗員側である後側(正面側)に位置している。
【0030】
溝部30は、単数でも複数でもよいが、本実施の形態では複数形成されている。図示される例では、溝部30は、4つ形成されている。溝部30は、樹脂層21の周方向に互いに離れて位置している。例えば、溝部30は、ステアリングホイール本体11を正面から見て、リム部15において、アナログ時計の2時、4時、8時、10時方向にそれぞれ配置されている。溝部30は、上側の両側部と下側の両側部とにそれぞれ配置されている。なお、溝部30は、例えば樹脂層21を成形する際に同時に形成されてもよいし、樹脂層21の成形後に加工されて形成されてもよい。溝部30は、底部30aから側壁30b,30bが立ち上げられて形成されている。底部30aは、樹脂層21の表面から所定の深さの位置に形成されている。本実施の形態において、底部30aは、樹脂層21の表面と平行(略平行も含む)に形成されている。図示される例では、底部30aは、樹脂層21の経線方向に連なって形成されている。
【0031】
図1(a)、図1(b)及び図2(b)に示す機能部品22は、シート状に形成され、センサ、及び/または、ヒータなどの機能を有する。機能部品22は、ステアリング用マットなどとも呼ばれるもので、樹脂層21の少なくともリム芯金部25を覆う位置に配置される。機能部品22は、シート状に形成された被覆部材本体としての基材であるシート部材(マット部)40と、シート部材40に保持された被保持体としての線材41と、を備える。また、機能部品22は、この機能部品22を外部の回路などと電気的に接続するための配線部42を備える。図2(b)及び図3(a)に示すように、機能部品22は、樹脂層21の表面を覆い、この樹脂層21の表面に対し例えば接着剤により貼り付けられて固定されている。
【0032】
シート部材40は、軟質の合成樹脂により帯状に形成されている。本実施の形態において、シート部材40は、例えばクロロプレンゴムにより帯状に形成されている。シート部材40は、長方形状に形成されている。シート部材40は、自然長で、長手寸法が樹脂層21の緯線(ロンジチュード)方向の長さと所定の対応関係を有する長さに設定されている。また、シート部材40は、自然長で、短辺の長さである短手寸法が、樹脂層21の経線方向の寸法と等しく(略等しく)形成されている。シート部材40の厚みは、機能部品22の機能に応じて任意に設定してよい。
【0033】
シート部材40には、両縁部に凹部45が形成されている。凹部45は、シート部材40の長辺において短手方向に互いに対向する位置に、短手方向に窪むように切り欠き形成された切り欠き部である。本実施の形態において、凹部45は、シート部材40の短手方向に対し傾斜する方向に沿って形成されている。この凹部45の傾斜角度は、経線方向に対する溝部30の傾斜角度と等しい(略等しい)。凹部45は、シート部材40の両縁部から短手方向の4等分線を超えて形成されている。つまり、凹部45の先端部45aは、凹部45の基端部すなわちシート部材40の両縁部からの距離よりも、シート部材40の短手方向の中央部からの距離のほうが短い。凹部45の先端部45aは、円弧状に形成されている。すなわち、先端部45aは、その外縁が、同一円周上に位置する形状となっている。つまり、凹部45の先端部45aの外縁は、一側から他側へと、円弧状に滑らかに連なっている。本実施の形態において、先端部45aは、凹部45の先端側に凸状の円弧状となっている。したがって、凹部45の先端部45aには角部が形成されておらず、凹部45は先端部45aから基端側へと外縁が滑らかに連なっている。
【0034】
そして、シート部材40は、凹部45,45間が幅狭の括れ部46として形成され、括れ部46を除く部分が一般部47として形成される。括れ部46は、溝部30を横切って配置される部分である。つまり、括れ部46は、溝部30の一の側壁30bから、底部30a及び他の側壁30bに沿って、すなわち溝部30の凹形状に沿って折り曲げられて溝部30内に配置される被配置部である。図示される例では、括れ部46は、溝部30の数に応じて、4つ形成されている。
【0035】
なお、シート部材40は、複数の機能部品分割片としてのシート部材片を長手方向に縫製などによって接合することにより形成されていてもよい。
【0036】
線材41は、図示しない制御回路や給電源などに対して配線部42により直接、または間接的に接続される。本実施の形態では、機能部品22が、通電されることで使用者がリム部15を把持したことを検出する。線材41は、シート部材40に対して所定の面状の領域を占めるように配置されている。また、線材41のシート部材40に対する位置は、任意に設定してよいが、外観品質上、シート部材40の内部、あるいは、シート部材40の樹脂層21側に設定されることが好ましい。
【0037】
配線部42は、線材41と電気的に接続され、シート部材40の長辺側から延出されている。本実施の形態において、配線部42は、シート部材40の一般部47の位置から延出する延出部48に配置されている。
【0038】
図2(c)、図3(a)及び図3(b)に示す被覆部材23は、運転者(乗員)により直接把持される部分であり、ステアリングホイール10の加飾部である。被覆部材23は、例えば天然皮革や合成皮革などの皮革、あるいは合成樹脂などによりシート状に形成されている。本実施の形態において、被覆部材23は、機能部品22を含む樹脂層21の表面全体を連続的に覆うように配置されている。被覆部材23は、複数の分割片50の端縁部50a同士が互いに屈曲されて突き当てられ、縫製などにより連結されて一体的に形成されている。また、被覆部材23は、分割片50の端縁部50a同士の連結部が溝部30の位置にそれぞれ落とし込まれて、リム部15の運転者(乗員)側に、いわゆる木目込み風の意匠を構成する意匠部51を構成している。すなわち、被覆部材23の分割片50の数に応じて樹脂層21の溝部30が形成されている。
【0039】
そして、ステアリングホイール10を製造する際には、まず、予め成形された芯金20を成形型にセットした後、キャビティに対して、合成樹脂原料を攪拌混合して射出する。この結果、合成樹脂原料が発泡を伴いながら反応してポリウレタンとなりつつ流動末端に向かって流れていく。
【0040】
次いで、キャビティ内で樹脂層21がリム芯金部25を覆って形成された第1中間体を、成形型から脱型し、ばりなどをカットする。
【0041】
さらに、第1中間体の樹脂層21の表面に、別途形成した機能部品22を貼り付けて固定する。このとき、機能部品22は、図2(b)及び図3(a)に示すように、シート部材40の括れ部46を溝部30の一の側壁30b、底部30a、及び、他の側壁30bに亘り落とし込んで沿わせ、一般部47を、溝部30を除く樹脂層21の表面に経線方向に巻き付けて、樹脂層21を覆う。
【0042】
その後、樹脂層21及び機能部品22を被覆部材23により覆う。このとき、被覆部材23は、予め複数の分割片50の端縁部50a同士を縫製などにより連結して機能部品22と同様の長手状としておき、これら連結部を溝部30にそれぞれ落とし込むとともに、両端部同士を一つの溝部30に対応する位置で縫製などにより接合し、溝部30に落とし込んで固定してもよいし、分割片50の端縁部50aをそれぞれ溝部30の位置で接合しつつ溝部30に落とし込んで固定してもよい。括れ部46の両側部に位置する凹部45の先端部45aが円弧状であるため、図2(b)に示す矢印のようにシート部材40の剛性による応力が分散され、樹脂層21の形状に沿った貼り込みとなる。
【0043】
そして、ステアリングホイール本体11において、機能部品22を制御回路と電気的に接続した後、ステアリングホイール本体11にモジュール12やカバー体などを取り付けて、ステアリングホイール10が完成する。
【0044】
このように、第1の実施の形態によれば、機能部品22のシート部材40において、樹脂層21に形成した溝部30に収容される部分の外縁部を切り欠く凹部45の先端部45aを円弧状としたことにより、機能部品22の一部を溝部30に配置した状態で、凹部45の先端部45aに加わる力を分散させ、機能部品22を溝部30の側壁30b,30b及び底部30aの形状に追従させることができる。そのため、機能部品22(シート部材40)が、溝部30の縁部、つまり樹脂層21の表面と側壁30bとが連なる角部の位置で盛り上がりにくくなるので、樹脂層21に配置した機能部品22を被覆部材23により覆う仕様としつつ、溝部30の縁部の位置が被覆部材23の表面に凸形状として露出しにくくなり、外観を向上できる。また、使用者がリム部15を把持したときに、表面の被覆部材23に凸状を感じにくく、不快感を与えにくい。
【0045】
また、機能部品22を樹脂層21に貼り付ける作業者毎のばらつき、あるいは位置ずれが生じたとしても、凹部45の先端部45aの形状によって盛り上がりが生じにくくなり、品質が向上する。
【0046】
また、機能部品22がセンサ機能を有する場合、外観を向上したステアリングホイール10のリム部15に、例えば乗員の把持などを検出する機能を持たせることができる。
【0047】
さらに、機能部品22がヒータ機能を有する場合、外観を向上したステアリングホイール10のリム部15を把持した乗員の指を効果的に温めることができる。
【0048】
また、機能部品22は、凹部45により括れた括れ部46を溝部30に収容する構成とすることで、溝部30の縁部、つまり樹脂層21の表面と側壁30bとが連なる角部の位置で盛り上がりにくい状態に機能部品22を樹脂層21に取り付ける作業が容易となる。
【0049】
なお、上記の一実施の形態において、シート部材40の材質は、クロロプレンゴムに限らず、その他の伸縮しにくい任意の部材であっても、上記の一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0050】
また、溝部30は、ステアリングホイール10のデザインなどに応じて、その位置や数を任意に設定できる。
【0051】
さらに、リム部15は、円弧状であれば円環の全体でも一部でもよい。すなわち、リム部15は、円弧状であれば円環でなくてもよい。
【0052】
そして、ステアリングホイール10は、自動車などの車両だけでなく、任意の乗物のステアリング用のハンドルとして用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば電気自動車などの自動車のステアリングホイールとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 ハンドルであるステアリングホイール
15 把持部であるリム部
21 基材層である樹脂層
22 機能部品
23 被覆部材
30 溝部
40 基材であるシート部材
45 切り欠き部である凹部
45a 先端部
図1
図2
図3
図4