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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】水栓用ハンドル
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/042 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
E03C1/042 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020178297
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069225
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】笠原 直之
(72)【発明者】
【氏名】蒲 将也
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕也
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-214482(JP,A)
【文献】特開平11-021958(JP,A)
【文献】特開2003-129533(JP,A)
【文献】特開2012-072558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓の操作軸に嵌合する嵌合部材と、該嵌合部材が固定されるハンドル本体と、を備え、前記ハンドル本体には、前記操作軸の軸線方向に開口部を有して前記嵌合部材を内側に収容する収容凹部が設けられた水栓用ハンドルであって、
前記操作軸の径方向外側を囲む位置において前記収容凹部の内側に設けられた周面部と、
前記周面部に係合するリング部材と、を備え、
前記嵌合部材は、
前記収容凹部の内側で前記ハンドル本体に係合することにより、該ハンドル本体に対する前記操作軸周りの相対回転及び前記操作軸の径方向における相対移動が規制されるとともに、
前記リング部材に当接することにより、前記周面部に対する前記リング部材の係合力に基づいて、前記操作軸の軸線方向における前記ハンドル本体に対する相対移動が規制される水栓用ハンドル。
【請求項2】
前記リング部材が拡縮可能に構成されている請求項1に記載の水栓用ハンドル。
【請求項3】
前記周面部には、周方向に延在して前記リング部材を内側に配置することにより前記操作軸の軸線方向における前記リング部材の相対移動を規制する係合溝が設けられている
請求項2に記載の水栓用ハンドル。
【請求項4】
前記リング部材は、前記周面部に設けられた螺子部に螺合するナット部材である
請求項1に記載の水栓用ハンドル。
【請求項5】
前記収容凹部には、前記嵌合部材が嵌合する嵌合凹部を有して前記収容凹部の開口方向に突出する保持突部が設けられ、
前記周面部は、前記保持突部の外周面であるとともに、
前記嵌合凹部は、前記保持突部の先端に開口する先端開口部と、該先端開口部に連続して前記保持突部の外周面に開口する側方開口部と、を有する
請求項1~請求項の何れか一項に記載の水栓用ハンドル。
【請求項6】
前記嵌合部材は、
前記操作軸に対する係合部を有して前記嵌合凹部の内側に配置される本体部と、
前記本体部から前記操作軸の径方向外側に突出することにより前記側方開口部を介して前記嵌合凹部の外側に配置される係合突部と、を備える
請求項5に記載の水栓用ハンドル。
【請求項7】
前記周面部は、前記収容凹部の内周面である
請求項1~請求項6の何れか一項に記載の水栓用ハンドル。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れか一項に記載の水栓用ハンドルを備えた水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓用ハンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、水栓用ハンドルは、水栓本体に設けられた操作軸に固定されることにより、この操作軸と一体に操作される。例えば、特許文献1に記載の水栓用ハンドルは、操作軸の軸線方向に開口する収容凹部を備えている。また、この水栓用ハンドルは、収容凹部に設けられた操作軸の固定部を有している。更に、この水栓用ハンドルは、その収容凹部内に軸端が挿入される操作軸の径方向において、この収容凹部の内外を連通する孔部を有している。そして、この孔部を用いることにより、その収容凹部内に設けられた固定部に対する操作軸の固定作業を行う構成になっている。
【0003】
また、図17に示すように、従来、水栓用ハンドル80には、水栓の操作軸81に嵌合する嵌合部材82と、この嵌合部材82が固定されるハンドル本体83と、を備えるものがある。例えば、この水栓用ハンドル80の嵌合部材82は、可撓性を有した弾性爪84を備えている。そして、操作軸81に対して軸線方向から嵌着されることにより、この弾性爪84が、その操作軸81の軸端に係合する構成になっている。
【0004】
また、この水栓用ハンドル80のハンドル本体83は、その操作軸81の軸線方向に開口する収容凹部85の内側に設けられた保持突部86と、この保持突部86に設けられた嵌合凹部87と、を備えている。そして、この従来例の水栓用ハンドル80は、その嵌合凹部87に嵌合部材82が嵌合する状態で、この嵌合部材82が、その保持突部86に対して螺子止めされる構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-71082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように収容凹部85内に嵌合部材82を螺子止めする構成では、その螺子部材88のねじ込み代を確保するため、この収容凹部85の内側に設けられた螺子部材88の締結部が、水栓本体の取付部に干渉しやすいという問題がある。例えば、上記従来例においては、螺子部材88の締結部となる保持突部86が、その嵌合部材82に嵌合する操作軸81の軸線方向及び径方向に大きくなる。そして、これを回避すべく、予め収容凹部85を大きく設計することで、その水栓用ハンドル80の小型化が難しくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する水栓用ハンドルは、水栓の操作軸に嵌合する嵌合部材と、該嵌合部材が固定されるハンドル本体と、を備え、前記ハンドル本体には、前記操作軸の軸線方向に開口部を有して前記嵌合部材を内側に収容する収容凹部が設けられた水栓用ハンドルであって、前記操作軸の径方向外側を囲む位置において前記収容凹部の内側に設けられた周面部と、前記周面部に係合するリング部材と、を備え、前記嵌合部材は、前記収容凹部の内側で前記ハンドル本体に係合することにより、該ハンドル本体に対する前記操作軸周りの相対回転及び前記操作軸の径方向における相対移動が規制されるとともに、前記リング部材に当接することにより、前記周面部に対する前記リング部材の係合力に基づいて、前記操作軸の軸線方向における前記ハンドル本体に対する相対移動が規制される。
【0008】
上記構成によれば、ハンドル本体に設けられた収容凹部内に嵌合部材を収容した状態で、その収容凹部の開口方向から、この収容凹部内に設けられた周面部に対してリング部材を係合させることにより、そのハンドル本体に嵌合部材を固定することができる。その結果、螺子部材を用いて収容凹部内に嵌合部材を固定するための締結部が不要になる。そして、これにより、収容凹部内に水栓本体との干渉を回避するためのスペースを確保しつつ、その水栓用ハンドルの小型化を図ることができる。
【0009】
上記課題を解決する水栓用ハンドルは、前記リング部材が拡縮可能に構成されていることが好ましい。
即ち、リング部材の径を変更することで、容易に、このリング部材を周面部に装着することができる。そして、リング部材の装着後、再び、このリング部材の径を変更することで、その周面部に対する高い係合力を確保することができる。
【0010】
上記課題を解決する水栓用ハンドルにおいて、前記周面部には、周方向に延在して前記リング部材を内側に配置することにより前記操作軸の軸線方向における前記リング部材の相対移動を規制する係合溝が設けられていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、装着容易、且つ簡素な構成にて、より確実に、その周面部に対するリング部材の係合力に基づいて、嵌合部材をハンドル本体に固定することができる。
上記課題を解決する水栓用ハンドルにおいて、前記リング部材は、前記周面部に設けられた螺子部に螺合するナット部材であることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、「係合」の一形態として、その周面部に螺着されたナット部材の高い係合力に基づいて、確実に、そのハンドル本体に嵌合部材を固定することができる。
上記課題を解決する水栓用ハンドルにおいて、前記収容凹部には、前記嵌合部材が嵌合する嵌合凹部を有して前記収容凹部の開口方向に突出する保持突部が設けられ、前記周面部は、前記保持突部の外周面であるとともに、前記嵌合凹部は、前記保持突部の先端に開口する先端開口部と、該先端開口部に連続して前記保持突部の外周面に開口する側方開口部と、を有することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、リング部材と同じく収容凹部の開口方向から、その保持突部に設けられた嵌合凹部に対して嵌合部材を嵌合させることができる。そして、この嵌合凹部に対する嵌合部材の嵌合状態に基づいて、そのハンドル本体に対する操作軸周りの相対回転及び操作軸の径方向における相対移動を規制することが可能になる。更に、その側方開口部を用いることにより、嵌合凹部に嵌合部材が嵌合した状態で、この嵌合部材を部分的に保持突部の径方向外側に配置することができる。そして、この保持突部外に配置された部分に、その保持突部の外周面に係合したリング部材を当接させることにより、操作軸の軸線方向における嵌合部材とハンドル本体との相対移動を規制することができる。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、確実に嵌合部材をハンドル本体に固定することができる。加えて、その固定作業を効率化することができるという利点がある。
【0014】
上記課題を解決する水栓用ハンドルにおいて、前記嵌合部材は、前記操作軸に対する係合部を有して前記嵌合凹部の内側に配置される本体部と、前記本体部から前記操作軸の径方向外側に突出することにより前記側方開口部を介して前記嵌合凹部の外側に配置される係合突部と、を備えることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、より安定的に、その操作軸に対する嵌合状態及びハンドル本体に対する固定状態を確保することができる。
上記課題を解決する水栓用ハンドルにおいて、前記周面部は、前記収容凹部の内周面であることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、構成の簡素化を図ることができる。
上記課題を解決する水栓は、上記何れかの水栓用ハンドルを備える。
上記構成によれば、水栓用ハンドルの操作自由度を確保しつつ、その小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ハンドル本体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】水栓の側面図。
図2】水栓の平面図。
図3】水栓の分解斜視図。
図4】水栓の断面図(図2におけるIV-IV断面)。
図5】水栓用ハンドルの下面図。
図6】水栓用ハンドルの分解斜視図。
図7】水栓用ハンドルの断面図(図2におけるVII-VII断面)。
図8】第2の実施形態における水栓用ハンドルの下面図。
図9】第2の実施形態における水栓用ハンドルの断面図(図8におけるIX-IX断面)。
図10】第3の実施形態における水栓用ハンドルの分解斜視図。
図11】第3の実施形態における水栓用ハンドルの下面図。
図12】第3の実施形態における水栓用ハンドルの断面図(図11におけるXII-XII断面)。
図13】第4の実施形態における水栓用ハンドルの下面図。
図14】第4の実施形態における水栓用ハンドルの断面図(図13におけるXIV-XIV断面)。
図15】第4の実施形態における水栓用ハンドルの分解斜視図。
図16】別例のリング部材及びその周面部に対する係合状態を示す説明図。
図17】従来技術の水栓用ハンドルにおける嵌合部材の固定構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、水栓用ハンドルに関する第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1図3に示すように、本実施形態の水栓1は、図示しない給水配管が挿入される配管挿入部2と、その給水配管から供給される流水を吐出する吐出口3と、を有した水栓本体10を備えている。
【0020】
具体的には、本実施形態の水栓1において、この水栓本体10は、上下方向(図1及び図3中、上下方向)に延在する略円筒状の胴部11を備えている。また、水栓本体10は、この胴部11から分岐して径方向に延びるとともに、その先端部分が下方に折れ曲がった略L字円管状の側方延伸部12を備えている。更に、本実施形態の水栓本体10は、その胴部11の下端11bに配管挿入部2を有するとともに、その側方延伸部12の先端12aに吐出口3を有している。そして、本実施形態の水栓1においては、この水栓本体10を構成する胴部11の上端11aに、その水栓用ハンドル20が設けられている。
【0021】
詳述すると、図3及び図4に示すように、本実施形態の水栓本体10は、その胴部11の上端11aが、上方(各図中、上側)に臨む開口端21となっている。また、この開口端21の内側には、その胴部11内に収容された弁ユニット22の上端部分が配置されている。更に、本実施形態の水栓本体10は、この弁ユニット22に連結されることにより、その軸端25aが水栓本体10の開口端21から上方に突出する操作軸25を備えている。そして、本実施形態の水栓本体10は、この操作軸25に対して、その水栓用ハンドル20が固定される構成になっている。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態の水栓用ハンドル20は、操作軸25に固定されることにより、この操作軸25と一体に傾動操作される。また、この水栓用ハンドル20は、その操作軸25の軸線周りに回動操作される。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、その吐出口3から吐出される流水の流量及び温度を自在に調節することが可能になっている。
【0023】
尚、図3及び図4に示すように、本実施形態の水栓本体10は、その開口端21を構成する胴部11の上端11aに、上方に向かって凸となるドーム状の球面座26を備えている。更に、この球面座26には、操作軸25が挿通される孔部26xが設けられている。そして、本実施形態の水栓1は、これにより、その操作軸25と一体に操作される水栓用ハンドル20が、この球面座26上を摺動することで、その水栓用ハンドル20と水栓本体10との間に隙間が形成され難くなっている。
【0024】
さらに詳述すると、図3図7に示すように、本実施形態の水栓用ハンドル20は、操作軸25の軸端25aに嵌合する嵌合部材30と、この嵌合部材30が固定されるハンドル本体31と、を備えている。尚、本実施形態の水栓用ハンドル20において、嵌合部材30は、樹脂を用いて形成されている。そして、ハンドル本体31は、金属を用いて形成されている。
【0025】
具体的には、本実施形態の操作軸25は、略四角軸状の外形を有している。また、本実施形態の嵌合部材30は、この操作軸25の軸端25aに対し、その軸線方向から嵌着される略四角筒状の本体部32を備えている。更に、この本体部32には、可撓性を有した複数の弾性爪33が設けられている。そして、本実施形態の嵌合部材30は、その本体部32内に操作軸25の軸端25aが挿入されることにより、これらの各弾性爪33が、その操作軸25に設けられた係合溝34に係合する構成になっている。
【0026】
即ち、本実施形態の嵌合部材30は、その本体部32に設けられた係合部35としての各弾性爪33が所謂スナップフィットを形成する。そして、本実施形態の嵌合部材30は、これにより、その操作軸25周りの相対回転、並びに、その操作軸25の軸線方向及び径方向の相対移動が規制される構成になっている。
【0027】
また、本実施形態のハンドル本体31は、このハンドル本体31に嵌合部材30が固定された状態において、その嵌合部材30に嵌合する操作軸25の軸線方向に開口部40xを有した収容凹部40を備えている。具体的には、本実施形態のハンドル本体31は、有底扁平略円筒状のカバー部41と、このカバー部41の外周から径方向外側に向かって延びるレバー部42と、を備えている。そして、本実施形態のハンドル本体31は、そのカバー部41の筒内を収容凹部40として、この収容凹部40の内側に、その嵌合部材30を収容する構成になっている。
【0028】
詳述すると、本実施形態のハンドル本体31は、その開口方向(図7中、上側)に突出する態様で収容凹部40内に設けられた保持突部43を備えている。本実施形態の水栓用ハンドル20において、この保持突部43は、略円柱状の外形を有して収容凹部40の底部40bに立設されている。また、この保持突部43には、その収容凹部40の開口方向に臨む開口部45xを有した嵌合凹部45が設けられている。そして、本実施形態の嵌合部材30は、この嵌合凹部45に嵌合する状態で、その収容凹部40の内側に収容される構成になっている。
【0029】
具体的には、本実施形態の保持突部43には、その嵌合凹部45として、この保持突部43の先端43aに開口する状態で、その略四角筒状をなす嵌合部材30の本体部32を内側に配置する略四角枠状の断面形状を有した中央嵌合部46が設けられている。更に、この保持突部43には、その中央嵌合部46に連続して保持突部43の外周面43sに開口する切欠き47が設けられている。そして、本実施形態の嵌合凹部45は、これにより、その保持突部43の先端43aに開口する先端開口部45xa及び保持突部43の外周面43sに開口する側方開口部45xbを有する構成になっている。
【0030】
また、本実施形態の嵌合部材30は、その本体部32の側方、換言すると、この本体部32に嵌合する操作軸25の径方向外側に向かって延設されたフランジ状の係合突部48を備えている。具体的には、本実施形態の嵌合部材30は、その本体部32の周方向における略180°離間した位置に設けられた一対の係合突部48,48を備えている。また、本実施形態の嵌合部材30において、これらの各係合突部48,48は、略四角筒状の外形を有して操作軸25が挿入される本体部32の一端側、この本体部32が保持突部43の中央嵌合部46に嵌合することにより収容凹部40の底部40b近傍に配置される側の軸方向端部に設けられている。更に、ハンドル本体31側の保持突部43もまた、この保持突部43の周方向における略180°離間した位置に設けられた一対の切欠き47,47を有している。そして、本実施形態の嵌合部材30は、これにより、これらの各切欠き47,47に対して、その各係合突部48,48が嵌合する構成になっている。
【0031】
即ち、本実施形態の水栓用ハンドル20においては、これらの各切欠き47,47と各係合突部48,48との係合関係に基づいて、その嵌合部材30に嵌合する操作軸25周りに、ハンドル本体31に対する嵌合部材30の相対回転が規制される。そして、略四角枠状をなす嵌合凹部45の中央嵌合部46と略四角筒状をなす嵌合部材30の本体部32との係合関係に基づいて、その操作軸25の径方向におけるハンドル本体31に対する嵌合部材30の相対移動が規制される構成になっている。
【0032】
さらに詳述すると、本実施形態の水栓用ハンドル20は、そのハンドル本体31の収容凹部40内に設けられた保持突部43の外周面43sに係合するリング部材50を備えている。本実施形態の水栓用ハンドル20において、このリング部材50は、その周方向の一部が切り欠かれた所謂Cリング状の環形状を有している。そして、本実施形態のリング部材50は、このCリング形状に基づいて、弾力的に、その径方向に拡縮する構成となっている。
【0033】
また、本実施形態のハンドル本体31において、保持突部43の外周面43sには、その周方向に延在する環状の係合溝51が設けられている。具体的には、本実施形態の保持突部43は、その基端側(図7中、下側)、収容凹部40の底部40b近傍に大径部52を有している。更に、本実施形態のハンドル本体31においては、この大径部52に、その係合溝51が形成されている。そして、本実施形態の水栓用ハンドル20は、この係合溝51に対して、そのリング部材50が係合する構成になっている。
【0034】
また、本実施形態の嵌合部材30は、その各係合突部48,48が収容凹部40の底部40bに当接する状態で、保持突部43に設けられた嵌合凹部45に嵌合する。更に、本実施形態の嵌合部材30は、この状態で、その各係合突部48,48の先端部48a,48aが、嵌合凹部45の側方開口部45xbを構成する各切欠き47,47を介して保持突部43の外周面43sに突出する。つまり、本実施形態の水栓用ハンドル20は、保持突部43の側方において、これら各係合突部48,48の先端部48a,48aが、その嵌合凹部45の外側に配置されるように構成されている。そして、上記係合溝51は、これら各係合突部48,48の先端部48a,48aよりも、その保持突部43の外周面43sにおける先端43a側(図7中、上側)の位置に形成されている。
【0035】
即ち、本実施形態のリング部材50は、この係合溝51の内側に配置されることにより、その保持突部43に対する軸線方向の相対移動が規制される。また、本実施形態の嵌合部材30は、その各係合突部48,48の先端部48a,48aが、嵌合凹部45の側方開口部45xbを介して保持突部43の外周面43sに突出することにより、これらの各係合突部48,48よりも保持突部43の先端43a側に位置するリング部材50に対し、その軸線方向から当接するように構成されている。そして、本実施形態の水栓用ハンドル20は、これにより、その保持突部43の外周面43sに対するリング部材50の係合力に基づいて、その操作軸25の軸線方向におけるハンドル本体31と嵌合部材30との相対移動が規制される構成になっている。
【0036】
具体的には、本実施形態の嵌合部材30は、収容凹部40の底部40bに当接することにより、その保持突部43の基端側に向かう軸線方向の相対移動が規制される。また、この嵌合部材30は、リング部材50に当接することにより、その保持突部43の先端43a側に向かう軸線方向の相対移動が規制される。そして、本実施形態の水栓用ハンドル20は、これにより、そのハンドル本体31に設けられた収容凹部40の内側に嵌合部材30が固定される構成になっている。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の水栓用ハンドル20においては、ハンドル本体31の収容凹部40内に設けられた嵌合凹部45に対し、その収容凹部40の開口方向から嵌合部材30が嵌着される。そして、これにより、その嵌合部材30に嵌合する操作軸25周りに、ハンドル本体31に対する嵌合部材30の相対回転が規制され、及び、その径方向における相対移動が規制される。
【0038】
次に、同じく収容凹部40の開口方向から、その嵌合凹部45が設けられた保持突部43の外周面43sに対してリング部材50が嵌着される。即ち、本実施形態の水栓用ハンドル20においては、この保持突部43の外周面43sが、その嵌合部材30に嵌合する操作軸25の径方向外側を囲む位置に設けられた周面部60を構成する。尚、本実施形態のリング部材50は、径方向外側に押し広げられる態様で、その保持突部43の外周面43s、詳しくは、この保持突部43の基端部側に設けられた大径部52に装着される。更に、このリング部材50は、その弾性復元力に基づき径方向内側に縮径する態様で、保持突部43の外周面43sに凹設された係合溝51に係合する。そして、これにより、操作軸25の軸線方向において、その係合溝51の内側に配置されたリング部材50の相対移動が規制される。
【0039】
更に、本実施形態の水栓用ハンドル20においては、このリング部材50が、嵌合部材30の各係合突部48,48よりも保持突部43の先端43a側に配置される。そして、これにより、その嵌合凹部45の側方開口部45xbを介して保持突部43の外周面43sに突出した各係合突部48,48の先端部48a,48aがリング部材50に当接することで、その操作軸25の軸線方向におけるハンドル本体31と嵌合部材30との相対移動が規制される。
【0040】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)水栓用ハンドル20は、水栓1の操作軸25に嵌合する嵌合部材30と、この嵌合部材30が固定されるハンドル本体31と、を備える。そして、ハンドル本体31には、その操作軸25の軸線方向に開口部40xを有して嵌合部材30を内側に収容する収容凹部40が設けられる。また、水栓用ハンドル20は、嵌合部材30に嵌合する操作軸25の径方向外側を囲む位置において、その収容凹部40の内側に設けられた周面部60と、この周面部60に係合するリング部材50と、を備える。更に、嵌合部材30は、収容凹部40の内側でハンドル本体31に係合することにより、このハンドル本体31に対する操作軸25周りの相対回転及び操作軸25の径方向における相対移動が規制される。そして、嵌合部材30は、周面部60に係合したリング部材50に当接することにより、その周面部60に対するリング部材50の係合力に基づいて、操作軸25の軸線方向におけるハンドル本体31に対する相対移動が規制される。
【0041】
上記構成によれば、ハンドル本体31に設けられた収容凹部40内に嵌合部材30を収容した状態で、その収容凹部40の開口方向から、この収容凹部40内に設けられた周面部60に対してリング部材50を係合させることにより、そのハンドル本体31に嵌合部材30を固定することができる。その結果、螺子部材を用いて収容凹部40内に嵌合部材30を固定するための締結部が不要になる。そして、これにより、収容凹部40内に水栓本体10との干渉を回避するためのスペースを確保しつつ、その水栓用ハンドル20の小型化を図ることができる。
【0042】
特に、水栓用ハンドル20と水栓本体10との間に隙間ができないように、その水栓本体10に球面座26が設けられた構成においては、この球面座26がハンドル本体31側の収容凹部40内に入り込むことになる。従って、このような構成に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0043】
また、ハンドル本体31に対する嵌合部材30の固定作業を容易化することができる。更に、螺子止めによる嵌合部材30の固定構造を採用する場合には、水栓本体10との干渉を回避するためのスペースを確保すべく螺子部材及び締結部の小型化を図ることで、その締結力が弱くなるという問題がある。この点、上記構成によれば、収容凹部40内のスペースを確保しつつ、確実に、その嵌合部材30をハンドル本体31に固定することができる。
【0044】
(2)リング部材50は、その周方向の一部が切り欠かれた所謂Cリング状の環形状を有する。そして、このリング部材50は、そのCリング形状に基づいて、弾力的に拡縮可能に構成されている。
【0045】
即ち、リング部材50の径を変更することで、容易に、このリング部材50を周面部60に装着することができる。また、リング部材50の装着後、再び、このリング部材50の径を復元させることで、その周面部60に対する高い係合力を確保することができる。そして、上記のようなCリング形状を採用することで、簡素な構成にて、その弾性力に基づいた、リング部材50の拡縮性を確保することができる。
【0046】
(3)周面部60には、その周方向に延在してリング部材50を内側に配置することにより、その操作軸25の軸線方向におけるリング部材50の相対移動を規制する係合溝51が設けられる。
【0047】
上記構成によれば、装着容易、且つ簡素な構成にて、より確実に、その周面部60に対するリング部材50の係合力に基づいて、嵌合部材30をハンドル本体31に固定することができる。
【0048】
(4)収容凹部40には、嵌合部材30が嵌合する嵌合凹部45を有して収容凹部40の開口方向に突出する保持突部43が設けられる。更に、リング部材50は、この保持突部43の外周面43sを周面部60として、その保持突部43の外周面43sに係合する。そして、嵌合凹部45は、保持突部43の先端43aに開口する先端開口部45xaと、この先端開口部45xaに連続して保持突部43の外周面43sに開口する側方開口部45xbと、を有する。
【0049】
上記構成によれば、リング部材50と同じく収容凹部40の開口方向から、その保持突部43に設けられた嵌合凹部45に対して嵌合部材30を嵌合させることができる。そして、この嵌合凹部45に対する嵌合部材30の嵌合状態に基づいて、そのハンドル本体31に対する操作軸25周りの相対回転、及び操作軸25の径方向における相対移動を規制することができる。更に、その側方開口部45xbを用いることにより、嵌合凹部45に嵌合部材30が嵌合した状態で、この嵌合部材30を部分的に保持突部43の径方向外側に配置することができる。そして、この保持突部43外に配置された部分に、その保持突部43の外周面43sに係合したリング部材50を当接させることにより、操作軸25の軸線方向における嵌合部材30とハンドル本体31との相対移動を規制することができる。従って、上記構成によれば、簡素な構成にて、確実に嵌合部材30をハンドル本体31に固定することができる。加えて、その固定作業を効率化することができるという利点がある。
【0050】
(5)嵌合部材30は、操作軸25に対する係合部35を有して嵌合凹部45の内側に配置される本体部32と、この本体部32から操作軸25の径方向外側に突出することにより側方開口部45xbを介して嵌合凹部45の外側に配置される係合突部48と、を備える。これにより、より安定的に、その操作軸25に対する嵌合状態及びハンドル本体31に対する固定状態を確保することができる。
【0051】
(6)係合突部48は、嵌合部材30が保持突部43に嵌合することにより、その収容凹部40の底部40b側に配置される本体部32の軸方向端部に設けられる。
上記構成によれば、係合突部48を収容凹部40の底部40b近傍に配置することができる。そして、これにより、その収容凹部40内に、より広いスペースを確保することができる。
【0052】
[第2の実施形態]
以下、水栓用ハンドルに関する第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0053】
図8及び図9に示すように、本実施形態の水栓ハンドル20Bにおいては、ハンドル本体31Bに設けられた収容凹部40Bの内周面40sを周面部60として、この収容凹部40Bの内周面40sにリング部材50Bが係合する。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Bは、このリング部材50Bに対して、その収容凹部40B内に配置された嵌合部材30Bが、この嵌合部材30Bに嵌合する操作軸25の軸線方向から当接することにより、その軸線方向における嵌合部材30Bとハンドル本体31Bとの相対移動が規制される構成になっている。
【0054】
詳述すると、本実施形態のハンドル本体31Bは、収容凹部40Bの底部40b近傍において、その収容凹部40Bの内周面40sに凹設された周方向に延びる環状の係合溝51Bを有している。そして、本実施形態のリング部材50Bは、この係合溝51Bに対して、そのリング部材50Bが係合する構成になっている。
【0055】
即ち、本実施形態のリング部材50Bは、径方向内側に押し縮められる態様で、収容凹部40B内に挿入される。更に、このリング部材50Bは、その弾性復元力に基づき径方向外側に拡径する態様で、収容凹部40Bの内周面40sに凹設された係合溝51Bに係合する。そして、これにより、円筒状をなす収容凹部40Bの軸線方向において、その係合溝51Bの内側に配置されたリング部材50Bの相対移動が規制される。
【0056】
また、本実施形態の嵌合部材30Bは、操作軸25に対する係合部35を構成する一対の弾性爪33,33を有して操作軸25の軸端25aが挿入される略四角筒状の本体部32Bと、この本体部32Bから径方向外側に延設された略円板状のフランジ部61を備えている。更に、本実施形態の水栓ハンドル20Bにおいて、嵌合部材30Bは、そのフランジ部61が、収容凹部40Bの底部40bに当接する状態で、この収容凹部40B内に収容される。そして、本実施形態の嵌合部材30Bは、この状態において、そのフランジ部61の周縁部61aが収容凹部40Bの内周面40s近傍に配置される構成になっている。
【0057】
即ち、本実施形態の水栓ハンドル20Bは、そのフランジ部61の周縁部61aが、このフランジ部61よりも収容凹部40Bの開口部40x側に位置するリング部材50Bに対し、その軸線方向から当接するように構成されている。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Bにおいてもまた、その周面部60を構成する収容凹部40Bの内周面40sに対するリング部材50Bの係合力に基づいて、嵌合部材30Bの本体部32Bに嵌合する操作軸25の軸線方向における嵌合部材30Bとハンドル本体31Bとの相対移動が規制される構成になっている。
【0058】
また、本実施形態の嵌合部材30Bは、そのフランジ部61の周縁部61aに設けられた互いに平行する二辺62,62が形成する二面幅部63を有している。更に、収容凹部40Bの底部40bには、その二面幅部63を形成するフランジ部61の二辺62,62に当接する一対の側壁部64,64が設けられている。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Bは、これにより、その嵌合部材30Bに嵌合する操作軸25周りに、ハンドル本体31Bに対する嵌合部材30Bの相対回転が規制され、及び、その径方向における相対移動が規制される構成になっている。
【0059】
以上、本実施形態の構成を採用しても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、その収容凹部40Bの内周面40sを周面部60に用いることで、構成の簡素化を図ることができる。
【0060】
[第3の実施形態]
以下、水栓用ハンドルに関する第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0061】
図10図12に示すように、本実施形態の水栓ハンドル20Cにおいては、ハンドル本体31Cに設けられた収容凹部40Cの内側において、その開口方向に突出する保持突部43Cの外周面43sに螺子部70が設けられている。そして、本実施形態のリング部材50Cは、その保持突部43Cの外周面43sを周面部60として、この保持突部43Cの外周面43sに設けられた螺子部70に螺合するナット部材71としての構成を有している。
【0062】
即ち、本実施形態の水栓ハンドル20Cは、「係合」の下位概念として「螺合」を利用する。具体的には、本実施形態の水栓ハンドル20Dにおいては、収容凹部40Cの開口方向に臨む嵌合凹部45Cが設けられた保持突部43Cの外周面43sに対し、そのナット部材71としての構成を有したリング部材50Cが螺着される。更に、このリング部材50Cが、その嵌合凹部45Cに嵌合する状態で収容凹部40C内に配置された嵌合部材30Cに対して、収容凹部40Cの開口方向側から当接する。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Cは、これにより、その嵌合部材30Cに嵌合する操作軸25の軸線方向における嵌合部材30Cとハンドル本体31Cとの相対移動が規制される構成になっている。
【0063】
詳述すると、本実施形態の嵌合部材30Cは、その保持突部43Cの直径よりも僅かに大きな内径を有するリング部72と、このリング部72の内周から、その軸方向に突出する態様で設けられた一対の弾性爪33C,33Cと、を備えている。また、この嵌合部材30Cは、そのリング部72内に保持突部43Cを挿入する態様で、この保持突部43Cに嵌着される。そして、本実施形態の嵌合部材30Cは、これにより、その嵌合凹部45Cの側方開口部45xbを構成する各切欠き47C,47C内に、その各弾性爪33C,33Cが配置される構成になっている。
【0064】
また、本実施形態の水栓ハンドル20Cにおいて、嵌合凹部45Cの中央嵌合部46Cは、略四角軸状の外形を有する操作軸25の断面形状に対応した略四角枠状の断面形状を有している。尚、本実施形態の中央嵌合部46Cは、その断面形状の大きさが、操作軸25の断面形状と略等しい、詳しくは僅かに大きく設定されている。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Cは、この嵌合凹部45Cの中央嵌合部46Cに操作軸25の軸端25aが挿入されることにより、その嵌合部材30Cの各弾性爪33C,33Cが所謂スナップフィットを形成する態様で、この嵌合部材30Cが操作軸25に嵌合する構成になっている。
【0065】
即ち、本実施形態の水栓ハンドル20Cにおいては、嵌合部材30Cのリング部72が収容凹部40Cの底部40bに立設された保持突部43Cに外嵌されることにより、この嵌合部材30Cに嵌合する操作軸25の径方向において、そのハンドル本体31Cに対する嵌合部材30Cの相対移動が規制される。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Cは、嵌合部材30Cの各弾性爪33C,33Cが嵌合凹部45Cの側方開口部45xbを構成する各切欠き47C,47Cに嵌合することにより、その操作軸25周りにハンドル本体31Cに対する嵌合部材30Cの相対回転が規制される構成になっている。
【0066】
また、本実施形態の水栓ハンドル20Cにおいて、嵌合部材30Cは、そのリング部72が収容凹部40Cの底部40bに当接する状態で、保持突部43Cに嵌着される。更に、嵌合部材30Cのリング部72が、このリング部72よりも保持突部43Cの先端43a側に位置するリング部材50Cに対して、その軸線方向から当接する。そして、本実施形態の水栓用ハンドル20は、これにより、その保持突部43Cの外周面43sに設けられた螺子部70に螺合するリング部材50Cの係合力に基づいて、操作軸25の軸線方向におけるハンドル本体31Cと嵌合部材30Cとの相対移動が規制される構成になっている。
【0067】
以上、本実施形態の構成を採用しても、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、「係合」の一形態として、その周面部60に螺着されたナット部材71としての構成を有するリング部材50Cの高い係合力に基づいて、確実に、そのハンドル本体31Cに嵌合部材30Cを固定することができる。
【0068】
[第4の実施形態]
以下、水栓用ハンドルに関する第4の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1~第3の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0069】
図13図15に示すように、本実施形態の水栓ハンドル20Dにおいては、その収容凹部40Dの内周面40sに螺子部70Dが設けられている。そして、本実施形態のリング部材50Dは、その収容凹部40Dの内周面40sを周面部60として、この収容凹部40Dの内周面40sに設けられた螺子部70Dに螺合するナット部材71Dとしての構成を有している。
【0070】
即ち、本実施形態の水栓ハンドル20Dは、「係合」の下位概念として「螺合」を利用する。具体的には、本実施形態の水栓ハンドル20Dにおいては、ハンドル本体31Dに設けられた収容凹部40Dの内周面40sに対し、そのナット部材71Dとしての構成を有したリング部材50Dが螺着される。更に、このリング部材50Dが、収容凹部40D内に収容された嵌合部材30Dに対し、その収容凹部40Dの開口方向から当接する。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Dは、これにより、その嵌合部材30Dに嵌合する操作軸25の軸線方向における嵌合部材30Dとハンドル本体31Dとの相対移動が規制される構成になっている。
【0071】
詳述すると、本実施形態のハンドル本体31Dは、その収容凹部40Dの底部40bに立設された略四角筒状の保持突部43Dを備えている。また、この保持突部43Dは、上記第3の実施形態における保持突部43Cに設けられた嵌合凹部45Cと同様の嵌合凹部45Dを備えている。具体的には、この嵌合凹部45Dもまた、略四角軸状の外形を有する操作軸25の断面形状に対応する略四角枠状の断面形状を有した中央嵌合部46Dを有している。そして、本実施形態の嵌合凹部45Dは、この中央嵌合部46Dに連続して、その保持突部43の側方に開口する一対の切欠き47D,47Dを有している。
【0072】
また、本実施形態の嵌合部材30Dは、保持突部43Dの断面形状に対応する四角孔75を有した円板部76と、この円板部76の軸線方向に突出する態様で、その四角孔75の周縁部に立設された一対の弾性爪33D,33Dと、を備えている。尚、本実施形態の四角孔75は、その断面形状の大きさが、保持突部43Dの断面形状と略等しい、詳しくは僅かに大きく設定されている。そして、本実施形態の嵌合部材30Dは、その円板部76に設けられた四角孔75内に保持突部43Dを挿入する態様で、この保持突部43Dに嵌着される構成になっている。
【0073】
更に、本実施形態の水栓ハンドル20Dもまた、その嵌合部材30Dの各弾性爪33D,33Dが、嵌合凹部45Dの側方開口部45xbを構成する各切欠き47D,47D内に配置される。そして、これにより、その嵌合凹部45Dの中央嵌合部46Dに操作軸25の軸端25aが挿入されることで、嵌合部材30Dの各弾性爪33D,33Dが所謂スナップフィットを形成する態様で、その嵌合部材30Dが操作軸25に嵌合する構成になっている。
【0074】
即ち、本実施形態の水栓ハンドル20Dにおいては、その保持突部43Dと嵌合部材30Dとの嵌合状態に基づいて、この嵌合部材30Dに嵌合する操作軸25周りに、そのハンドル本体31Dに対する嵌合部材30Dの相対回転が規制され、及び径方向の相対移動が規制される。
【0075】
また、本実施形態の嵌合部材30Dは、収容凹部40Dの底部40bに円板部76が当接する状態で、この収容凹部40D内に収容されるとともに、その円板部76の周縁部76aが収容凹部40Dの内周面40s近傍に配置されるように構成されている。更に、本実施形態の水栓ハンドル20Dは、この円板部76の周縁部76aが、その収容凹部40Dの開口部40x側に位置するリング部材50Dに対し、その軸線方向から当接するように構成されている。そして、本実施形態の水栓ハンドル20Dもまた、その収容凹部40Dの内周面40sに設けられた螺子部70Dに螺合するリング部材50Dの係合力に基づいて、その操作軸25の軸線方向におけるハンドル本体31Dと嵌合部材30Dとの相対移動が規制される構成になっている。
【0076】
以上、本実施形態の構成を採用しても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。そして、「係合」の一形態として、その周面部60に螺着されたナット部材71Dとしての構成を有するリング部材50Dの高い係合力に基づいて、確実に、そのハンドル本体31Dに嵌合部材30Dを固定することができる。
【0077】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
・上記各実施形態では、水栓用ハンドル20は、操作軸25と一体に傾動操作及び回動操作されることとしたが、傾動操作又は回動操作の何れかの態様で用いられる構成に適用してもよい。
【0079】
・上記各実施形態では、ハンドル本体31は、有底扁平略円筒状のカバー部41を備える。そして、そのカバー部41の筒内を収容凹部40として、この収容凹部40の内側に、その嵌合部材30を収容することとした。しかし、これに限らず、ハンドル本体31及び収容凹部40の形状は、任意に変更してもよい。そして、その収容凹部40の軸線に対して操作軸25の軸線方向が傾いていてもよい。
【0080】
・上記各実施形態では、周面部60に係合したリング部材50と収容凹部40の底部40bとの間に、その嵌合部材30の一部分が挟み込まれることとしたが、二本のリング部材に嵌合部材30が挟み込まれる構成であってもよい。
【0081】
・上記第1及び第2の実施形態では、リング部材50,50Bは、周方向の一部が切り欠かれた所謂Cリング状の環形状を有する。そして、そのCリング形状に基づいて、弾力的に拡縮することにより、その周面部60に設けられた係合溝51,51Bに係合することとした。しかし、これに限らず、例えば、周方向の両端部分が重複したコイル形状を有するものであってもよい。また、例えば、周方向の何れかに関節を有する等、弾性変形に依らず、その径を変更させることのできる構成を採用してもよい。このような構成を採用しても、その拡縮による装着の容易性及び高い係合力を確保することができる。更に、リング部材50,50Bは、必ずしも係合溝51,51Bに係合しなくともよい。そして、例えば、圧入嵌合等、必ずしもリング部材50,50Bが拡縮しない構成であってもよい。
【0082】
・また、図16に示す水栓用ハンドル20Eのように、周面部60に装着されたリング部材50Eを回転させることにより、このリング部材50Eが周面部60に係合する構成としてもよい。
【0083】
具体的には、この図16に示す例において、リング部材50Eは、ハンドル本体31Eに設けられた収容凹部40Eの内周面40sを周面部60として、その開口部40xから収容凹部40E内に挿入される。尚、この水栓用ハンドル20Eは、上記第2の実施形態における嵌合部材30Bと同様の本体部32E及びフランジ部61Eを有した嵌合部材30Eを備えている。また、リング部材50Eは、その周面部60側となる径方向外側に開口する一対の切欠き部77,77を備えている。そして、周面部60には、この切欠き部77よりも小さな一対の係合突部78,78が設けられている。
【0084】
即ち、この別例のリング部材50Eは、その切欠き部77内を各係合突部78,78が通過する態様で、これらの各係合突部78,78よりも収容凹部40Eの底部40b側に移動する。更に、このリング部材50Eは、その後、回動操作されることにより、その各係合突部78,78が、周面部60側の係合突部78,78から周方向にズレた位置に移動する。そして、この別例の水栓用ハンドル20Eは、これにより、各係合突部78,78に対してリング部材50Eが軸線方向から当接することで、その収容凹部40Eの開口方向に向かう相対移動が規制される態様で、周面部60にリング部材50Eが係合する構成となっている。このような構成を採用しても上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
・嵌合凹部45の側方開口部45xbを構成する切欠き47の数は、任意に変更してもよい。そして、この切欠き47に嵌合する係合突部48の数についてもまた、任意に変更してもよい。
【0086】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記リング部材は、周方向の一部が切り欠かれた環形状を有する。これにより、簡素な構成にて、その弾性力に基づいた拡縮性を確保することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…水栓、20…水栓用ハンドル、25…操作軸、30…嵌合部材、31…ハンドル本体、40…収容凹部、40x…開口部、50…リング部材、60…周面部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17