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特許7593787クリーニングヘッド及びマスククリーニング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】クリーニングヘッド及びマスククリーニング方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20241126BHJP
   B41F 15/12 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B41F35/00 C
B41F15/12 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020189712
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078787
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】福代 勝
(72)【発明者】
【氏名】名取 武治
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-112993(JP,A)
【文献】特開平9-193362(JP,A)
【文献】特開平11-157053(JP,A)
【文献】特開2011-73352(JP,A)
【文献】実開平4-105581(JP,U)
【文献】特開2002-192703(JP,A)
【文献】特開2001-130160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/00-35/06
B41F 15/00-15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電板上の縦型電極部品に接続材料を供給するためのマスクであって、一面側に孔を有し、他面側に第1凹部を有し、前記孔が前記第1凹部の底部を貫通する前記マスクに、シート状のクリーニング部材を押し付けて、前記孔から前記第1凹部に供給されて付着した前記接続材料を除去するクリーニングヘッドであって、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の前記マスク側の先端部に形成された第2凹部に、前記ヘッド本体から突出して設けられた軟質材と、を備え、
前記ヘッド本体は、一端が前記先端部に形成された前記第2凹部の底面に開口する第一吸引孔を有し、
前記ヘッド本体が前記クリーニング部材を前記他面に押し付けることにより、前記軟質材が前記第1凹部に押し付けられて前記第1凹部の形状に沿って変形
前記軟質材は、前記軟質材を貫通し前記第一吸引孔に連通する第二吸引孔を有する、クリーニングヘッド。
【請求項2】
導電板上の縦型電極部品に接続材料を供給するためのマスクであって、一面側に孔を有し、他面側に凹部を有し、前記孔が前記凹部の底部を貫通する前記マスクの前記他面に、クリーニングヘッドによって、シート状のクリーニング部材を押し付けて、前記孔から前記凹部に供給されて付着した前記接続材料を除去する、マスククリーニング方法であって、
前記クリーニングヘッドは、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の前記マスク側の先端部に、前記ヘッド本体から突出して設けられた軟質材と、を備え、
前記ヘッド本体が前記クリーニング部材を前記他面に押し付けることにより、前記軟質材が前記凹部に押し付けられて前記凹部の形状に沿って変形し、
前記接続材料を除去した後、前記凹部にブラックライトを照射して前記マスクを前記他面側から撮影し、
撮影画像に基づいて、付着物の有無を検査する、マスククリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングヘッド及びマスククリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電極部品(横型電極部品)を配線基板に接続するため、配線基板に印刷マスクを用いてはんだペースト等の接続材料を印刷する。配線基板への印刷が完了した印刷マスクは、配線基板に面する側(基板面側)の接続材料のニジミや残り材などがクリーニングされる。クリーニングは、マスクの基板面側平面に、タオルをクリーニングヘッドにて押し付け、溶剤を塗布し、バキュームすることにより、自動で行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-166315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リードフレーム(金属端子)とブリッジとの間にダイオードチップを配置したダイオードコネクタにおいては、リードフレームに塗布された接続材料上に実装されたダイオードチップ等の縦型電極部品の上部電極に、接続材料を印刷する。縦型電極部品に干渉しないように接続材料を印刷供給するために、下面に凹部(ハーフエッチ構造)を有した印刷マスクが用いられる。
【0005】
しかしながら、ハーフエッチ構造を有した印刷マスクをクリーニングする際、マスクの基板側平面にタオルを押し付けても、ハーフエッチ構造の底部(ハーフエッチ底部)にタオルが到達できずハーフエッチ底部をクリーニングできない。この状態で印刷が継続されると、ハーフエッチ底部に残留した接続材料が縦型電極部品に付着する不具合(縦型電極部品の張り付き不具合)が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、マスクのハーフエッチ底部の付着物を除去して、縦型電極部品がマスクに張り付く不具合を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るクリーニングヘッド及びマスククリーニング方法は、下記(1)~()を特徴としている。
(1)導電板上の縦型電極部品に接続材料を供給するためのマスクであって、一面側に孔を有し、他面側に第1凹部を有し、前記孔が前記第1凹部の底部を貫通する前記マスクに、シート状のクリーニング部材を押し付けて、前記孔から前記第1凹部に供給されて付着した前記接続材料を除去するクリーニングヘッドであって、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の前記マスク側の先端部に形成された第2凹部に、前記ヘッド本体から突出して設けられた軟質材と、を備え、
前記ヘッド本体は、一端が前記先端部に形成された前記第2凹部の底面に開口する第一吸引孔を有し、
前記ヘッド本体が前記クリーニング部材を前記他面に押し付けることにより、前記軟質材が前記第1凹部に押し付けられて前記第1凹部の形状に沿って変形
前記軟質材は、前記軟質材を貫通し前記第一吸引孔に連通する第二吸引孔を有する、クリーニングヘッド。
)導電板上の縦型電極部品に接続材料を供給するためのマスクであって、一面側に孔を有し、他面側に凹部を有し、前記孔が前記凹部の底部を貫通する前記マスクの前記他面に、クリーニングヘッドによって、シート状のクリーニング部材を押し付けて、前記孔から前記凹部に供給されて付着した前記接続材料を除去する、マスククリーニング方法であって、
前記クリーニングヘッドは、
ヘッド本体と、
前記ヘッド本体の前記マスク側の先端部に、前記ヘッド本体から突出して設けられた軟質材と、を備え、
前記ヘッド本体が前記クリーニング部材を前記他面に押し付けることにより、前記軟質材が前記凹部に押し付けられて前記凹部の形状に沿って変形し、
前記接続材料を除去した後、前記凹部にブラックライトを照射して前記マスクを前記他面側から撮影し、
撮影画像に基づいて、付着物の有無を検査する、マスククリーニング方法。
【0008】
上記(1)の構成のクリーニングヘッド及び上記()の構成のマスククリーニング方法によれば、ヘッド本体がクリーニング部材を他面に押し付けることにより、軟質材が凹部に押し付けられて凹部の形状に沿って変形するので、クリーニング部材を凹部の底部に押し付けて、底部の付着物を除去することができる。よって、縦型電極部品がマスクに張り付く不具合を防止できる。尚、本開示において、縦型電極部品は、電子素子の上部及び下部にそれぞれ電極(上部電極、下部電極)を有する部品を意味する。
【0009】
更に、上記()の構成のクリーニングヘッドによれば、ヘッド本体及び軟質材に設けた第一及び第二吸引孔を介して、底部の付着物を真空吸引により確実に除去できる。
【0010】
更に、上記()の構成のマスククリーニング方法によれば、クリーニング実施後に、底部の付着物の有無を検査するので、クリーニング効果を担保して、縦型電極部品のマスク12への張り付きを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マスクのハーフエッチ底部の付着物を除去して、縦型電極部品が印刷マスクに張り付く不具合を防止できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第一実施形態に関し、リードフレーム上の縦型電極部品にマスクを用いて接続材料を供給した例を示す図である。
図2図2は、第一実施形態のクリーニングヘッドの概略構成を示す側面図である。
図3図3は、図2のクリーニングヘッドの先端部近傍の拡大図である。
図4図4は、ハーフエッチ構造をクリーニングしている様子を示す図である。
図5図5は、本発明の第二実施形態に係るマスクの構成を示す図である。
図6図6は、第二実施形態に係るマスクの変形例1を示す図である。
図7図7は、第二実施形態に係るマスクの変形例2を示す図である。
図8図8は、第二実施形態に係るマスククリーニング方法を示す図である。
図9図9は、本発明の第三実施形態に係るマスク及び検査用カメラの配置を示す図である。
図10図10は、第三実施形態に係る検査用カメラの動作を示す図である。
図11図11は、第三実施形態に係る検査用カメラの動作を示す図である。
図12図12は、第三実施形態に係るマスクのハーフエッチ構造底部に付着物が存在する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。以下、例えば、ダイオードチップと金属端子(リードフレーム)とを収納したダイオードコネクタの製造時等、電子素子の上下に電極が配置された縦型電極部品の組み立て時に発生する不具合の防止策について説明する。すなわち、接続材料の印刷用マスクへの付着による縦型電子部品の張り付き不具合を抑制するための、クリーニングヘッド、ハーフエッチ構造付マスク、及びマスククリーニング方法について説明する。
【0015】
<第一実施形態>
<ハーフエッチ構造17を有するマスク12を用いた接続材料16の印刷>
図1は、本発明の第一実施形態に関し、リードフレーム14上の縦型電極部品15にマスク12を用いて接続材料16を供給した例を示す図であり、マスク12の厚み方向に切断した端面を示す。リードフレーム14(導電板)の上面には、はんだペーストやフラックス等の接続材料13が配置され、接続材料13上に縦型電極部品15が実装されている。
【0016】
マスク12は、上面12a(一面)側に孔18を有し、下面12b(他面)側にハーフエッチ構造17(凹部)を有する。ハーフエッチ構造17は、マスク12の下面12bに開口した開口部20と、開口部20と略同一のサイズの底部19と、を有し、マスク12の厚み方向における断面が矩形状の凹部(直方体形状の凹部)を有する。すなわち、ハーフエッチ構造17は、底部19の周囲に、直角のエッチング壁を有する。上面12a側に開口した孔18が、ハーフエッチ構造17の底部19を貫通する。孔18は、一例として、底部19Aの中心に対応する位置に設けられる。
【0017】
マスク12を、リードフレーム14上に実装された縦型電極部品15の上部電極が、マスク12の孔18の直下に位置するように、リードフレーム14上にマスク12の下面12bを接触させて配置する。そして、マスク12の上面12aにおいてスキージ11を摺動させることで、マスク12の孔18を介して縦型電極部品15の上部電極に、はんだペーストやフラックス等の接続材料16が印刷供給される。マスク12がハーフエッチ構造17を有するので、マスク12とリードフレーム14上の縦型電極部品15との干渉が防止される。尚、マスク12には、一又は複数の縦型電極部品15と同数のハーフエッチ構造17が設けられる。
【0018】
<ハーフエッチ構造17のクリーニングについて>
図1を参照して説明したように、ハーフエッチ構造17を有するマスク12を用いてリードフレーム14上の縦型電極部品15に接続材料16を印刷する際、ハーフエッチ構造17の底部19に、接続材料が付着する。図2図4を参照して、マスク12の下面12bのクリーニングについて説明する。
【0019】
図2は、第一実施形態のクリーニングヘッドCHの概略構成を示す側面図であり、図3は、図2のクリーニングヘッドCHの先端部1a近傍の拡大図である。クリーニングヘッドCHは、ヘッド本体1と、クリーニングタオル2と、軟質材3と、ローラー4a、4bと、支持体5とが、例えば直方体状の筐体内に収容される。クリーニングタオル2は、シート状のクリーニング部材であり、モーターにより回転駆動されるローラー4a、4bの間に架け渡される。尚、クリーニングタオル2に代えて、クリーニングペーパーを用いてもよい。また、クリーニングタオル2及びローラー4a、4bは、クリーニングヘッドCHに内蔵されなくてもよい。支持体5は、ヘッド本体1を下方から支持する。クリーニングヘッドCHは、図示しない制御装置によって、マスク12の下方において、上下方向及び左右方向に移動される。尚、クリーニングヘッドCHは、図2の紙面に垂直な前後方向にも移動可能である。
【0020】
ヘッド本体1は、直方体の上側の二辺が面取りされた、略直方体形状を有し、上側(マスク12側)の先端部1aの凹部に、軟質材3を有する。ヘッド本体1は、ローラー4a、4bの間の、溶剤が塗布されたクリーニングタオル2を、上方に押し上げて、マスク12の下面12bに押し付ける。ローラー4a、4bの回転により、クリーニングタオル2の使用済み部分が巻き取られ、クリーニングタオル2の未使用部分がマスク12の下面12b又は底部19に当接する。ヘッド本体1は、一端が先端部1aに開口する吸引孔6a(第一吸引孔)及び溶剤供給孔6bを有する。吸引孔6aは、ヘッド本体1を上下方向に貫通し、他端が支持体5内の吸引機構に接続される。溶剤供給孔6bは、ヘッド本体1を上下方向に貫通し、他端が支持体5内の溶剤供給機構に接続される。
【0021】
軟質材3は、先端部1aにおいて、ヘッド本体1から上方に突出して設けられる。軟質材3は、ヘッド本体1よりも軟質な、例えば発泡系エラストマー等の樹脂材料で構成される。軟質材3は、ヘッド本体1がクリーニングタオル2をマスク12の下面12bに押し付けることにより、図3に示すように、軟質材3がハーフエッチ構造17に押し付けられてハーフエッチ構造17の形状に沿って変形する。溶剤供給機構から溶剤供給孔6bを介して供給されたエタノール等の溶剤は、ヘッド本体1の先端部1a及び軟質材3を覆うクリーニングタオル2の部位にしみわたり、マスク12の下面12b及びハーフエッチ構造17の底部19に塗布される。クリーニングヘッドCHにより、マスク12(底部19)へのクリーニングタオル2の押し付け及び溶剤塗布による付着物の拭き取りが実現される。
【0022】
軟質材3は、軟質材3を貫通し吸引孔6aに連通する吸引孔7(第二吸引孔)を有する。吸引孔7は、図3に示すように、吸引孔6aの上部に位置し、吸引孔6aよりもサイズが小さい。軟質材3は、左右の幅が、ハーフエッチ構造17(底部19及び開口部20)の左右の幅よりも大きい。軟質材3がハーフエッチ構造17の底部19に押し付けられると、ヘッド本体1及び軟質材3に設けられた吸引孔6a、7を介して、底部19に付着した接続材料が真空吸引されて除去される。
【0023】
<ハーフエッチ構造17のクリーニング方法>
クリーニングヘッドCHのヘッド本体1を押し上げて、クリーニングタオル2をマスク12の下面12bに押し付けて、下面12bに付着した接続材料を除去する。図3に示すように、軟質材3がハーフエッチ構造17に入り込み、底部19に付着した接続材料を除去する。
【0024】
以上説明したように、本実施形態のクリーニングヘッドCHによれば、軟質材3がハーフエッチ構造17に入り込んで底部19に摺接することにより、底部19に付着した接続材料(付着物)を除去できる。また、クリーニングヘッドCHは、ヘッド本体1及び軟質材3に設けた吸引孔6a、7を介して、底部19に付着した接続材料を真空吸引により確実に除去できる。
【0025】
<第一実施形態の課題>
図4は、ハーフエッチ構造17をクリーニングしている様子を示す図であり、図4(a)はマスク12の厚み方向に切断した端面を示し、図4(b)はマスク12の下面12b側から視たハーフエッチ構造17を示す。図1に示した接続材料16の印刷が繰り返し行われた後、クリーニングタオル2による底部19のクリーニングが行われる。ハーフエッチ構造17が直方体形状に窪み、底部19の周囲が下面12bに垂直なエッチング壁で囲まれることから、クリーニングの際、底部19の隅にクリーニングタオル2が到達できず、接続材料の付着物16aが残る場合がある。この付着物16aが、縦型電極部品15と接触する領域Rに進入することにより、縦型電極部品15がマスク12におけるハーフエッチ構造17の底部19に張り付く不具合が発生する。そこで、第二実施形態では、この不具合の発生を防止する技術について説明する。
【0026】
<第二実施形態>
図5は、本発明の第二実施形態に係るマスク12Aの構成を示す図であり、図5(a)はマスク12Aの厚み方向に切断した端面を示し、図5(b)はマスク12Aの下面12b側から視たハーフエッチ構造17Aを示す。第一実施形態のマスク12がハーフエッチ構造17を有していたのに対し、本実施形態のマスク12Aは開放形のハーフエッチ構造17Aを有する点が異なる。本実施形態において、第一実施形態で説明した部材・部位と同一の部材・部位には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0027】
図5に示すマスク12Aのハーフエッチ構造17Aは、図4に示したハーフエッチ構造17と同じ深さを有し、ハーフエッチ構造17の底部19と、同じ形状、同じ面積の底部19Aを有する。ハーフエッチ構造17Aは、底部19Aから下面12b(リードフレーム14側、図1参照)に向けて放射状に広がるようにエッチングされた、開放形のハーフエッチ構造17Aを有する。ハーフエッチ構造17Aは、矩形状の底部19Aと、下面12bに開口した矩形状の開口部20Aと、底部19Aから開口部20Aに向かって広がるように傾斜するテーパ部21、22と、を有する。すなわち、ハーフエッチ構造17Aは、図5に示すように、マスク12Aの厚み方向の切断面が台形形状を有する。
【0028】
テーパ部21は、底部19Aにおける、クリーニングタオル2が摺動する方向(図5(a)、(b)における左右方向)に交差する二辺19Aa、19Abから、開口部20Aの互いに対向する二辺20Aa、20Abにそれぞれ延びる。テーパ部22は、底部19Aにおける他の二辺19Ac、19Adから、開口部20Aの他の二辺20Ac、20Adにそれぞれ延びる。下面12bとテーパ部21、22とは、クリーニングタオル2が底部19Aの全面に接触可能となる程度の角度を有し、この角度は周囲の開口部との関係により適宜定められる。一例として、下面12bとテーパ部21とのなす角T1は、120~135度である。
【0029】
図6及び図7に、ハーフエッチ構造17Aと形状が異なるハーフエッチ構造17A-1、17A-2を有するマスク12A-1、12A-2をそれぞれ示す。図6(a)、図7(a)はマスク12A-1、12A-2の厚み方向に切断した端面をそれぞれ示し、図6(b)、図7(b)はマスク12A-1、12A-2の下面12b側から視たハーフエッチ構造17A-1、17A-2をそれぞれ示す。
【0030】
図5に示すハーフエッチ構造17Aが底部19の四辺から下面12bの開口部20の四辺に向かってそれぞれ広がるように傾斜するテーパ部21、22を有するのに対し、図6に示すハーフエッチ構造17A-1は、テーパ部22を有しない。すなわち、ハーフエッチ構造17A-1は、底部19A-1の互いに対向する二辺19A-1a、19A-1bから開口部20A-1の二辺20A-1a、20A-1bに向かって傾斜する一対のテーパ部21を有する。一方、ハーフエッチ構造17A-1における、底部19A-1の他の二辺19A-1c、19A-1dから開口部20A-1の二辺20A-1c、20A-1dへは傾斜しない鉛直部とされている。ハーフエッチ構造17A-1はハーフエッチ構造17Aと同じ深さを有し、底部19A-1は、底部19Aと同様に、図4に示したハーフエッチ構造17の底部19と、同じ形状、同じ面積を有する。下面12bとテーパ部21とは、クリーニングタオル2が底部19A-1の隅部を含む全面に接触可能となる程度の角度を有し、この角度は周囲の開口部との関係により適宜定められる。下面12bとテーパ部21とのなす角T2は、一例として、120~135度である。
【0031】
図7に示すハーフエッチ構造17A-2は、円形状の底部19A-2と、下面12bに開口した円形状の開口部20A-2と、底部19A-2から開口部20A-2に向かって広がるように傾斜するテーパ部23と、を有する。ハーフエッチ構造17A-2は、ハーフエッチ構造17Aと同じ深さを有し、底部19A-2は、底部19Aと同程度の面積を有する。下面12bとテーパ部23とは、クリーニングタオル2が底部19A-2の隅部を含む全面に接触可能となる程度の角度を有し、この角度は周囲の開口部との関係により適宜定められる。下面12bとテーパ部23とのなす角T3は、一例として、120~135度である。
【0032】
<ハーフエッチ構造17Aのクリーニング方法>
図8は、第二実施形態に係るマスククリーニング方法を示す図であり、図5に示したハーフエッチ構造17Aを拡大して模式的に示す。図8(a)に示すように、ハーフエッチ構造17Aの底部19Aに接続材料の付着物16aが付着している。ハーフエッチ構造17Aの右側から、クリーニングタオル2を押圧部Wによりテーパ部21及び底部19Aに押し付ける。クリーニングタオル2は、ハーフエッチ構造17Aの表面から浮くことなくテーパ部21及び底部19Aに接触して、左側へ摺動しながら付着物16aをかき取る。押圧部Wは、自動印刷機の場合には、図2及び図3に示した軟質材3に相当し、手動の場合には作業者の指に相当する。
【0033】
図8(b)に示すように、押圧部W及びクリーニングタオル2が底部19Aを左方向へ移動すると、クリーニングタオル2にかき取られた付着物16aが、左方向へ移動される。さらに、押圧部W及びクリーニングタオル2が底部19Aを左方向へ移動すると、図8(c)に示すように、クリーニングタオル2によってハーフエッチ構造17Aから付着物16aがかき出されて、排除される。このとき、クリーニングタオル2の新規表面(未使用表面)が底部19Aに接触しており、仕上げクリーニングが同時に行われる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のマスク12Aのハーフエッチ構造17Aがテーパ部21、22を有する開放形であることにより、底部19Aの全面にクリーニングタオル2を接触させて、底部19Aの隅部に付着した付着物16aをもかき取ることができる。このように、ハーフエッチ構造17Aの底部19Aの全面において付着物16aを完全に除去できるので、縦型電極部品15のマスク12Aへの張り付き不具合を抑制できる。尚、図6及び図7に示したハーフエッチ構造17A-1、17A-2についても、テーパ部21、23を有する開放形であることから、クリーニングタオル2を底部19A-1、19A-2の全面に接触させて、隅部の付着物16aを完全に除去できる。
【0035】
<第三実施形態>
第三実施形態では、第一及び第二実施形態で説明した、マスク12、12A、12A-1、12A-2のクリーニング後に実施される、付着物の有無を画像検査する方法について説明する。尚、以下、マスク12の画像検査方法を説明するが、他のマスク12A、12A-1、12A-2についても同様に画像検査を行うことができる。
【0036】
図9は、第三実施形態に係るマスク12及び検査用カメラ31の配置を示す図であり、図10及び図11は、検査用カメラ31の動作を示す図である。また、図12は、マスク12のハーフエッチ構造17の底部19に付着物Fが存在する状態を示す図である。
【0037】
前述したように、ハーフエッチ構造17を有するマスク12を用いた接続材料の印刷供給が繰り返し行われると、ハーフエッチ構造17の底部19に接続材料がニジミ付着し、縦型電極部品がマスク12に付着する不具合が発生する。そこで、印刷が、任意に設定された回数行われる毎に、マスク12のクリーニングを実施し、不具合を抑制している。
【0038】
図12において、接続材料がフラックスのみの場合の付着物Fを二点鎖線で示す。孔18の周りにニジミ付着した接続材料がはんだペーストの場合には、はんだ粒子を目視又は画像にて確認できるが、ニジミ付着した接続材料が微小フラックスの場合には付着物Fが透明色のため認識できない。このため、マスク12がクリーニングされた後、次のクリーニングが実施されるまでの間に、マスク12に縦型電極部品が張り付く不具合が発生する場合がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、図12に示す微小フラックスの付着物Fに、ブラックライトを照射してカメラ認識を実施することにより、フラックス中の樹脂分を白色化させて、認識可能とする。
【0040】
図9は、図1に示したようにリードフレーム14上の縦型電極部品15に接続材料16を印刷した後、リードフレーム14が印刷機より搬出された後の状態を示す。マスク12は、ハーフエッチ構造17と、次に搬入されるリードフレーム14と孔18の位置とを画像上で位置合わせするための位置合わせマーク30と、を有する。マスク12の下方には、検査用カメラ31が設けられ、少なくとも左右方向に移動可能とされる。検査用カメラ31は、ブラックライト及びLEDライトの切替照明機能を有する。
【0041】
検査用カメラ31は、通常印刷時には、図9に示す位置で待機する。新規のリードフレーム14が搬入されると、図10に示すように、検査用カメラ31は、位置合わせマーク30を認識するための所定位置に移動し、新規のリードフレーム14とマスク12の孔18との位置合わせのために、LED照明により画像撮影及び認識を行う。
【0042】
リードフレーム14上の縦型電極部品15に接続材料16が印刷され、リードフレーム14が搬出されると、図11に示すように、検査用カメラ31は、ハーフエッチ構造17の直下、すなわち、孔18の中心位置の直下に移動する。検査用カメラ31は、マスク12の下面12b側からハーフエッチ構造17にブラックライトを照射して、マスク12を下面12b側から撮影する。
【0043】
検査用カメラ31は、この撮影画像に基づいて、付着物Fの有無を検出する。ブラックライト照明によりフラックス中の樹脂分が白色化されて認識可能となる。検査用カメラ31又は制御装置等が付着物Fの面積を算出することにより、縦型電極部品15のマスク12への接着力を算出でき、張り付き有無の閾値を算出できる。この閾値(許容面積)以上の付着物Fの面積が検出された場合にハーフエッチ構造17の底部19のクリーニングを実施することにより、縦型電極部品15のマスク12への張り付き不具合を未然に防止できる。尚、接続材料16がはんだ粒子を含む場合には、ブラックライト照明ではなくLED照明に切り替えてカメラ認識を実施することで、付着物の有無及び付着物の面積を認識できる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の画像検査方法によれば、新規リードフレーム14への接続材料16の印刷が完了する都度、ハーフエッチ構造17の底部19にブラックライトを照射して撮影した画像に基づいて、付着物Fの有無を検査することにより、フラックス中の樹脂分を白色化させて認識が可能となる。よって、付着物Fがある場合には底部19のクリーニングを実施することにより、縦型電極部品15のマスク12への張り付き不具合を未然に防止できる。
【0045】
また、付着物Fの面積を算出することにより、縦型電極部品15のマスク12への張り付き有無の閾値が算出されるため、閾値以上の付着物Fの面積が検出された場合に底部19のクリーニングを実施する等により、クリーニング頻度を調整できる。
【0046】
さらに、本実施形態の画像検査方法は、第一実施形態及び第二実施形態で説明したマスククリーニングの実施後に行うことができる。マスククリーニングの実施後に、ハーフエッチ構造17、17A、17A-1、17A-2の底部19、19A、19A-1、19A-2における付着物の有無を検査することにより、クリーニング効果を担保して、縦型電極部品15のマスク12への張り付きを確実に防止できる。
【0047】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るクリーニングヘッド及びマスククリーニング方法の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]導電板(リードフレーム14)上の縦型電極部品(15)に接続材料(16)を供給するためのマスク(12)であって、一面(上面12a)側に孔(18)を有し、他面(下面12b)側に凹部(ハーフエッチ構造17)を有し、前記孔が前記凹部の底部(19)を貫通する前記マスクに、シート状のクリーニング部材(クリーニングタオル2)を押し付けて、前記孔から前記凹部に供給されて付着した前記接続材料を除去するクリーニングヘッド(CH)であって、
ヘッド本体(1)と、
前記ヘッド本体の前記マスク側の先端部(1a)に、前記ヘッド本体から突出して設けられた軟質材(3)と、を備え、
前記ヘッド本体が前記クリーニング部材を前記他面に押し付けることにより、前記軟質材が前記凹部に押し付けられて前記凹部の形状に沿って変形する、クリーニングヘッド(CH)。
[2]前記ヘッド本体は、一端が前記先端部に開口する第一吸引孔(吸引孔6a)を有し、
前記軟質材は、前記軟質材を貫通し前記第一吸引孔に連通する第二吸引孔(吸引孔7)を有する、[1]に記載のクリーニングヘッド。
[3]上記[1]又は[2]に記載のクリーニングヘッドによって、前記クリーニング部材を前記他面に押し付けて、前記凹部に付着した前記接続材料を除去する、マスククリーニング方法。
[4]前記接続材料を除去した後、前記凹部にブラックライトを照射して前記マスクを前記他面側から撮影し、
撮影画像に基づいて、付着物の有無を検査する、上記[3]に記載のマスククリーニング方法。
【符号の説明】
【0048】
1 ヘッド本体
1a 先端部
2 クリーニングタオル
3 軟質材
4a、4b ローラー
5 支持体
6a、7 吸引孔
6b 溶剤供給孔
11 スキージ
12、12A、12A-1、12A-2 マスク
12a 上面
12b 下面
13、16 接続材料
14 リードフレーム
15 縦型電極部品
16a 付着物
17、17A、17A-1、17A-2 ハーフエッチ構造
18 孔
19、19A、19A-1、19A-2 底部
20、20A、20A-1、20A-2 開口部
21、22、23 テーパ部
30 位置合わせマーク
31 検査用カメラ
CH クリーニングヘッド
F 付着物
R 領域
W 押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12