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7593803計算機システム、計算機、及び搬送システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】計算機システム、計算機、及び搬送システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/10 20060101AFI20241126BHJP
   B65G 43/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65G43/10
B65G43/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020212029
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098578
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木村 宣隆
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/108347(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/10
B65G 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送システムと、前記搬送システムと通信可能に接続される制御システムとを備える計算機システムであって、
前記搬送システムは、物品を搬送するための搬送手段を有する搬送モジュールを複数含み、
前記複数の搬送モジュールは、前記物品を搬送するために、搬送ラインを構成する前記搬送モジュール間を自律走行が可能な移動搬送モジュールを含み、
前記制御システムは、演算装置、前記演算装置に接続される記憶装置、及び前記演算装置に接続される通信装置を有する計算機を少なくとも一つ含み、
前記移動搬送モジュールは、
前記搬送ラインを構成する前記複数の搬送モジュールの各々の、前記搬送モジュール間の接続に関する連接情報を取得する取得手段を有し、
前記複数の搬送モジュールが配置される空間を走行し、前記取得手段を用いて、前記複数の搬送モジュールの各々の前記連接情報を取得し、
前記制御システムに前記複数の搬送モジュールの各々の前記連接情報を送信し、
前記制御システムは、複数の前記連接情報に基づいて、前記搬送システムを制御することを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計算機システムであって、
前記連接情報は、第1搬送モジュールの識別情報、前記第1搬送モジュールと接続する第2搬送モジュールの識別情報、前記第1搬送モジュールに対する前記第2搬送モジュールの接続方向、及び前記第2搬送モジュールに対する前記第1搬送モジュールの接続方向を含むことを特徴とする計算機システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記制御システムは、
前記複数の搬送モジュールの構造を管理するための搬送モジュール基本情報を保持し、
前記搬送モジュール基本情報及び前記複数の連接情報を用いて、前記搬送システムに構築された前記搬送ラインの構造を管理するための搬送ラインモデル情報を生成することを特徴とする計算機システム。
【請求項4】
請求項2に記載の計算機システムであって、
前記制御システムは、
前記複数の搬送モジュールの構造を管理するための搬送モジュール基本情報を保持し、
前記搬送モジュール基本情報及び前記複数の連接情報を用いて、前記搬送システムに構築された前記搬送ラインにおける搬送経路を生成することを特徴とする計算機システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計算機システムであって、
前記複数の搬送モジュールの各々には、前記搬送手段の基本的な制御方法を定義した基本制御ロジックが設定され、
前記制御システムは、
前記搬送経路に基づいて、前記基本制御ロジックの他に追加の制御ロジックを設定する必要がある前記搬送モジュールを特定し、
特定された前記搬送モジュールに設定する特殊制御ロジックを生成し、
前記特定された搬送モジュールに前記特殊制御ロジックを設定することを特徴とする計算機システム。
【請求項6】
物品を搬送するための搬送手段を有する複数の搬送モジュールを有する搬送システムと通信可能に接続される計算機であって、
演算装置、前記演算装置に接続される記憶装置、及び前記演算装置に接続される通信装置を備え、
前記演算装置は、
前記通信装置を介して、前記搬送システムから、搬送ラインを構成する前記複数の搬送モジュールの各々の、前記搬送モジュール間の接続に関する連接情報を取得し、
複数の前記連接情報に基づいて、前記搬送システムを制御し、
前記連接情報は、前記物品を搬送するために、前記搬送ラインを構成する前記搬送モジュール間を自律走行が可能な移動搬送モジュールが、前記複数の搬送モジュールが配置される空間を走行し、前記連接情報を取得する取得手段を用いて取得することを特徴とする計算機。
【請求項7】
請求項6に記載の計算機であって、
前記連接情報は、第1搬送モジュールの識別情報、前記第1搬送モジュールと接続する第2搬送モジュールの識別情報、前記第1搬送モジュールに対する前記第2搬送モジュールの接続方向、及び前記第2搬送モジュールに対する前記第1搬送モジュールの接続方向を含むことを特徴とする計算機。
【請求項8】
請求項7に記載の計算機であって、
前記記憶装置は、前記複数の搬送モジュールの構造を管理するための搬送モジュール基本情報を格納し、
前記演算装置は、前記搬送モジュール基本情報及び前記複数の連接情報を用いて、前記搬送システムに構築された前記搬送ラインの構造を管理するための搬送ラインモデル情報を生成し、前記記憶装置に格納することを特徴とする計算機。
【請求項9】
請求項7に記載の計算機であって、
前記記憶装置は、前記複数の搬送モジュールの構造を管理するための搬送モジュール基本情報を格納し、
前記演算装置は、前記搬送モジュール基本情報及び前記複数の連接情報を用いて、前記搬送システムに構築された前記搬送ラインにおける搬送経路を生成し、前記記憶装置に前記搬送経路の情報を格納することを特徴とする計算機。
【請求項10】
請求項9に記載の計算機であって、
前記複数の搬送モジュールの各々には、前記搬送手段の基本的な制御方法である、基本制御ロジックが設定され、
前記演算装置は、
前記搬送経路の情報に基づいて、前記基本制御ロジックの他に追加の制御ロジックを設定する必要がある前記搬送モジュールを特定し、
特定された前記搬送モジュールに設定する特殊制御ロジックを生成し、
前記特定された搬送モジュールに前記特殊制御ロジックを設定することを特徴とする計算機。
【請求項11】
搬送システム及び制御システムを含む計算機システムが実行する搬送システムの制御方法であって、
前記搬送システムは、物品を搬送するための搬送手段を有する複数の搬送モジュールを含み、
前記複数の搬送モジュールは、前記物品を搬送するために、搬送ラインを構成する前記搬送モジュール間を自律走行が可能な移動搬送モジュールを含み、
前記移動搬送モジュールは、前記搬送ラインを構成する前記複数の搬送モジュールの各々の、前記搬送モジュール間の接続に関する連接情報を取得する取得手段を有し、
前記制御システムは、演算装置、前記演算装置に接続される記憶装置、及び前記演算装置に接続される通信装置を有する計算機を少なくとも一つ含み、
前記搬送システムの制御方法は、
前記移動搬送モジュールが、前記複数の搬送モジュールが配置される空間を走行し、前記取得手段を用いて、前記複数の搬送モジュールの各々の前記連接情報を取得する第1のステップと、
前記移動搬送モジュールが、前記制御システムに前記複数の搬送モジュールの各々の前記連接情報を送信する第2のステップと、
前記制御システムが、前記搬送システムから前記複数の搬送モジュールの各々の前記連接情報を取得する第3のステップと、
前記制御システムが、前記連接情報に基づいて、前記搬送システムを制御する第4のステップと、を含むことを特徴とする搬送システムの制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の搬送システムの制御方法であって、
前記連接情報は、第1搬送モジュールの識別情報、前記第1搬送モジュールと接続する第2搬送モジュールの識別情報、前記第1搬送モジュールに対する前記第2搬送モジュールの接続方向、及び前記第2搬送モジュールに対する前記第1搬送モジュールの接続方向を含むことを特徴とする搬送システムの制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の搬送システムの制御方法であって、
前記記憶装置は、前記複数の搬送モジュールの構造を管理するための搬送モジュール基本情報を格納し、
前記複数の搬送モジュールには、前記搬送手段の基本的な制御方法である、基本制御ロジックが設定され、
前記第4のステップは、
前記制御システムが、前記搬送モジュール基本情報及び複数の前記連接情報を用いて、前記搬送システムに構築された前記搬送ラインにおける搬送経路を生成するステップと、
前記制御システムが、前記搬送経路に基づいて、前記基本制御ロジックの他に追加の制御ロジックを設定する必要がある前記搬送モジュールを特定するステップと、
前記制御システムが、特定された前記搬送モジュールに設定する特殊制御ロジックを生成するステップと、
前記制御システムが、前記特定された搬送モジュールに前記特殊制御ロジックを設定するステップと、を含むことを特徴とする搬送システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送システムの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送システムでは、ローラコンベア等の装置を接続した搬送ラインを用いて製品、部品、及び商品等の物品が搬送される。事業の拡大、事業の変化、及び需要の変化等にあわせて搬送ラインの構成を設計及び変更するための技術が注目されている。例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1には「モータを有したローラコンベア装置の一部を構成する直線搬送装置、又は直角搬送装置を制御可能なコントローラであって、前記直線搬送装置は、制御ゾーンに区分されていて各制御ゾーンにモータを備え搬送物を直線方向に搬送する装置であり、前記直角搬送装置は、複数のモータを備えていて搬送物の搬送方向を変更可能な装置であり、モータ制御基板を有し、モータ制御基板は、複数のモータ駆動回路と、直線搬送装置、又は直角搬送装置を制御する書き換え可能な搬送プログラムが記憶された書き換え可能なメモリと、CPUとを有し、且つ前記直線搬送装置及び直角搬送装置に設けられた複数の検知手段からの信号を受信可能な入出力回路を有するコントローラにおいて、プログラム作成支援プログラムを使用して搬送プログラムを作成することが可能であり、前記プログラム作成支援プログラムは、一つ又は複数の動作が組み合わされて成る一連の動作の名称として、ユーザが任意に決めた名称を入力する名称項目と、名称項目に入力された前記一連の動作が実行される条件を入力する条件項目と、前記一連の動作の具体的内容を入力する動作項目と、前記一連の動作に続いて実行される一連の動作に対応する名称項目に記載の名称を入力する次工程項目とを入力可能であり、一つの条件項目と一つの動作項目とが一対の条件動作対として処理されると共に、前記条件動作対が1又は複数の次工程項目と一つの名称項目とに関連付けてプログラムテーブルを構成するものであることを特徴とするコントローラ。」が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術を用いることによって、ユーザは、設計用の計算機を用いて搬送ラインの設計し、当該設計に基づいて装置をつなぎ合わせることによって搬送ラインを構築し、稼働させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-230881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、ユーザが、設計にしたがって、搬送ラインを構成するコンベア等の装置を人手で接続する必要がある。また、特殊な制御ロジックを設定する場合、ユーザは装置の識別情報を確認し、手動で制御ロジックを設定する必要がある。
【0007】
従来技術では、搬送システム側で搬送ラインの設計を変更した場合、搬送ラインの変更が制御システムに反映されないという問題がある。この場合、制御システム側の搬送ラインと、搬送システム側の搬送ラインとの間に齟齬が生じ、システム全体として正しく機能しない可能性がある。
【0008】
本発明は搬送システムに構築された搬送ラインの設計の変更に関する情報を制御システムに反映する技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、搬送システムと、前記搬送システムと通信可能に接続される制御システムとを備える計算機システムであって、前記搬送システムは、物品を搬送するための搬送手段を有する搬送モジュールを複数含み、前記複数の搬送モジュールは、前記物品を搬送するために、搬送ラインを構成する前記搬送モジュール間を自律走行が可能な移動搬送モジュールを含み、前記制御システムは、演算装置、前記演算装置に接続される記憶装置、及び前記演算装置に接続される通信装置を有する計算機を少なくとも一つ含み、前記移動搬送モジュールは、前記搬送ラインを構成する前記複数の搬送モジュールの各々の、前記搬送モジュール間の接続に関する連接情報を取得する取得手段を有し、前記複数の搬送モジュールが配置される空間を走行し、前記取得手段を用いて、前記複数の搬送モジュールの各々の前記連接情報を取得し、前記制御システムに前記複数の搬送モジュールの各々の前記連接情報を送信し、前記制御システムは、複数の前記連接情報に基づいて、前記搬送システムを制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、搬送システムにおける搬送ラインの設計の変更に関する情報を制御システムに反映できる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1のシステムの構成例を示す図である。
図2A】実施例1の搬送モジュールの一例を示す図である。
図2B】実施例1の搬送モジュールの一例を示す図である。
図2C】実施例1の搬送モジュールの一例を示す図である。
図3A】実施例1の搬送モジュールの具体的な構造を示す図である。
図3B】実施例1の搬送モジュールの具体的な構造を示す図である。
図3C】実施例1の搬送モジュールの具体的な構造を示す図である。
図4】実施例1の搬送モジュール基本情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5】実施例1の連接情報のデータ構造の一例を示す図である。
図6】実施例1の統合制御計算機が実行する処理の一例を説明するフローチャートである。
図7】実施例1の搬送システムに構築される搬送ラインの一例を示す図である。
図8】実施例2の搬送モジュールの具体的な構造を示す図である。
図9】実施例2の搬送システムに構築される搬送ラインの一例を示す図である。
図10】実施例2の搬送システムに構築される搬送ラインの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0013】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
【0015】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、及び範囲等は、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、及び範囲等を表していない場合がある。したがって、本発明では、図面等に開示された位置、大きさ、形状、及び範囲等に限定されない。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1のシステムの構成例を示す図である。
【0017】
システムは、統合制御計算機100及び搬送システム101から構成される。統合制御計算機100及び搬送システム101はネットワーク102を介して互いに接続される。ネットワーク102は、WAN(Wide Area Network)及びLAN(Local Area Network)等であり、接続方式は有線及び無線のいずれでもよい。
【0018】
搬送システム101は、複数の搬送モジュール140から構成される。搬送システム101には、搬送手段及び形状等が異なる複数の種類の搬送モジュール140が含まれる。なお、搬送システム101はエッジ装置等を含んでもよい。
【0019】
搬送システム101では、搬送モジュール140を用いて搬送ラインが構築される。物品は、搬送ライン上の搬送経路にしたがってスタート地点からゴール地点へ搬送される。ここで、搬送経路は搬送ラインにおける物品の搬送順番(搬送計画)を表す。
【0020】
搬送モジュール140は、物品の搬送作業を行う装置であり、コントローラ150、搬送作業装置群151、通信装置152、及び連接情報取得装置153を有する。
【0021】
コントローラ150は、搬送モジュール140全体を制御するデバイスであり、プロセッサ及びメモリを含む。メモリには搬送作業装置群151の基本的な動作を実現するための基本制御ロジックが格納される。
【0022】
搬送モジュール140は、搬送ラインが構築された後、基本制御ロジックに基づいて自動的に物品を搬送する。なお、統合制御計算機100から特殊制御ロジックが設定された場合、搬送モジュール140は特殊制御ロジックにしたがって物品を搬送する。
【0023】
このように、本実施例の搬送モジュール140は、基本制御ロジックに基づいて自律的に稼働することができる。そのため、統合制御計算機100は、搬送ラインを構成する全ての搬送モジュール140に対して制御ロジック(特殊制御ロジック)を設定する必要がない。したがって、搬送ラインの設定に要する計算コストを削減できるという利点がある。また、制御ロジックを設定するための通信量も削減できるという利点がある。
【0024】
搬送作業装置群151は、搬送作業を行うための装置群である。搬送作業装置群151は、例えば、ローラ、ベルト、センサ、モータ、リフト、アーム、及びタイヤ等である。なお、本発明は搬送作業装置群151に含まれる装置に限定されない。
【0025】
通信装置152は、他の装置と通信するための装置である。
【0026】
連接情報取得装置153は、連接情報130を取得するための装置である。ここで、連接情報130は搬送ラインを構成する搬送モジュール140間の接続に関する情報である。連接情報130の具体的なデータ構造については図5を用いて説明する。
【0027】
実施例1の搬送モジュール140は、連接情報取得装置153を用いて、自搬送モジュール140と他搬送モジュール140との接続に関する連接情報130を取得する。また、搬送モジュール140は、通信装置152を用いて、統合制御計算機100に連接情報130を送信する。
【0028】
なお、搬送作業装置群151に含まれる装置が連接情報取得装置153として機能してもよい。
【0029】
統合制御計算機100は、搬送システム101を制御する計算機であり、プロセッサ110、メモリ111、及び通信装置112を有する。なお、統合制御計算機100は、HDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を有してもよいし、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の入力装置を有してもよいし、また、ディスプレイ等の出力装置を有してもよい。
【0030】
プロセッサ110は、メモリ111に格納されるプログラムを実行する。プロセッサ110がプログラムにしたがって処理を実行することによって、特定の機能を実現する機能部として動作する。以下の説明では、機能部を主語に処理を説明する場合、プロセッサ110が当該機能部を実現するプログラムを実行していることを示す。メモリ111は、プロセッサ110が実行するプログラム及びプログラムが使用する情報を格納する。また、メモリ111はワークエリアとしても用いられる。通信装置112は、他の装置と通信するための装置である。
【0031】
実施例1のメモリ111は、制御部120を実現するプログラム及び搬送モジュール基本情報121を格納する。
【0032】
制御部120は、搬送ラインの構造を管理するための搬送ラインモデル情報の生成、搬送経路の生成、及び制御ロジックの設定等の各種制御を行う。
【0033】
搬送モジュール基本情報121は、様々な種別の搬送モジュール140の構造等を管理するための情報である。搬送モジュール基本情報121の具体的なデータ構造については図4を用いて説明する。
【0034】
なお、複数の計算機を用いて、統合制御計算機100が有する機能を実現するシステムを構成してもよい。
【0035】
図2A図2B、及び図2Cは、実施例1の搬送モジュール140の一例を示す図である。
【0036】
図2Aに示す搬送モジュール140-1は短直進コンベアである。図2Aの(1)は搬送モジュール140-1の斜視図であり、図2Aの(2)は搬送モジュール140-1の上面図である。なお、斜視図及び上面図に記している軸は説明のために付したものである。
【0037】
搬送モジュール140-1は、二方向(方向A、方向B)のいずれかの方向から二方向のいずれかの方向に物品を搬送する搬送手段を有する。なお、方向A及び方向Bは、搬送モジュール140-1に対して一意に定められている。
【0038】
図2Bに示す搬送モジュール140-2は長直進コンベアである。図2Bの(1)は搬送モジュール140-2の斜視図であり、図2Bの(2)は搬送モジュール140-2の上面図である。なお、斜視図及び上面図に記している軸は説明のために付したものである。
【0039】
搬送モジュール140-2は、二方向(方向A、方向B)のいずれかの方向から二方向のいずれかの方向に物品を搬送する搬送手段を有する。なお、方向A及び方向Bは、搬送モジュール140-2に対して一意に定められている。
【0040】
図2Cに示す搬送モジュール140-3は分岐コンベアである。図2Cの(1)は搬送モジュール140-3の斜視図であり、図2Cの(2)は搬送モジュール140-3の上面図である。なお、斜視図及び上面図に記している軸は説明のために付したものである。
【0041】
搬送モジュール140-3は、四方向(方向A、方向B、方向C、方向D)のいずれかの方向から四方向のいずれかの方向に物品を搬送する搬送手段を有する。なお、方向A、方向B、方向C、及び方向Dは、搬送モジュール140-3に対して一意に定められている。
【0042】
なお、図2A図2B、及び図2Cに示す搬送モジュール140は一例であって、これに限定されない。上下に物品を搬送するコンベア(レベルチェンジャ)及びピッキング作業を行うピッキングロボット等も搬送モジュール140に含まれる。
【0043】
図3A図3B、及び図3Cは、実施例1の搬送モジュール140の具体的な構造を示す図である。
【0044】
図3Aは、搬送モジュール140-1(短直進コンベア)の具体的な構造を示す斜視図である。なお、斜視図に記している軸は説明のために付したものである。
【0045】
搬送モジュール140-1は、ローラ301、在荷センサ302、バーコードリーダ303、IDマーカ304、在荷表示LED305、照明306、及びカメラ307を有する。
【0046】
ローラ301は、一定方向に回転することによって物品を搬送する。物品はトレイに収容して搬送されてもよい。この場合、一つのトレイに二以上の物品が収容されてもよい。
【0047】
在荷センサ302は、搬送モジュール140-1上の物品の有無を計測する。在荷表示LED305は、在荷センサ302の計測結果に基づいて、搬送モジュール140-1上の物品の有無を示す信号を出力する。例えば、搬送モジュール140-1上に物品が存在する場合、在荷表示LED305は点灯し、搬送モジュール140-1上に物品が存在しない場合、在荷表示LED305は消灯する。
【0048】
バーコードリーダ303は、物品又はトレイに付されたバーコードを読み取る。バーコードは、搬送先及び物品の種別等を識別するために付されたものである。
【0049】
IDマーカ304は、搬送モジュール140の識別情報及び方向を示すマーカである。搬送モジュール140-1には、方向A及び方向BのそれぞれにIDマーカ304が付されている。
【0050】
照明306は、カメラ307が鮮明な画像を取得するために用いられる。カメラ307は、他の搬送モジュール140のIDマーカ304及び在荷表示LED305の信号を読み取る。
【0051】
ローラ301、在荷センサ302、バーコードリーダ303、在荷表示LED305、及びカメラ307は、搬送作業装置群151の一例である。カメラ307は、連接情報取得装置153の一例である。
【0052】
搬送モジュール140-1には、例えば、以下のような基本制御ロジックが設定される。搬送モジュール140-1は、自搬送モジュール140-1に物品が存在しない場合、任意方向から搬送された物品を受け取り、接続される搬送モジュール140の在荷表示LED305が消灯している場合、当該搬送モジュール140に物品を搬送する。
【0053】
図3Bは、搬送モジュール140-3(分岐コンベア)の具体的な構造を示す斜視図である。なお、斜視図に記している軸は説明のために付したものである。
【0054】
搬送モジュール140-3は、ローラ301、在荷センサ302、バーコードリーダ303、IDマーカ304、在荷表示LED305、照明306、及びカメラ307を有する。
【0055】
搬送モジュール140-3は、回転方向が異なるローラ301を有する。また、搬送モジュール140-3には、方向A、方向B、方向C、及び方向DのそれぞれにIDマーカ304が付されており、また、四つの方向のそれぞれに照明306及びカメラ307を有する。その他の構成は搬送モジュール140-1と同一である。
【0056】
搬送モジュール140-3には、例えば、以下のような基本制御ロジックが設定される。搬送モジュール140-3は、自搬送モジュール140-3に物品が存在しない場合、任意方向から搬送された物品を受け取り、接続される搬送モジュール140の在荷表示LED305が消灯している場合、当該搬送モジュール140に物品を搬送する。
【0057】
図3Cは、搬送モジュール140-4(ピッキングロボット)の具体的な構造を示す斜視図である。搬送モジュール140-4は、物品のピッキング作業を行うロボットである。なお、斜視図に記している軸は説明のために付したものである。
【0058】
搬送モジュール140-4は、バーコードリーダ303、IDマーカ304、照明306、カメラ307、ハンド310、照明311、RGBDカメラ312、及び吸盤313を有する。
【0059】
ハンド310は、ピッキング作業を行うために様々な方向に動く。照明311は、RGBDカメラ312が鮮明な画像を取得するために用いられる。RGBDカメラ312は、隣接する他の搬送モジュール140上の商品を識別する。吸盤313は物品を把持する。
【0060】
搬送モジュール140-4には、四方向のそれぞれにIDマーカ304が付され、また、各方向のそれぞれに在荷表示LED305、照明306、及びカメラ307を有する。その他の構成は搬送モジュール140-1と同一である。
【0061】
搬送モジュール140-4には、例えば、以下のような基本制御ロジックが設定される。搬送モジュール140-4は、接続される搬送モジュール140の在荷表示LED305が点灯している場合、ハンド310を移動させて物品を把持する。
【0062】
実施例1では、搬送モジュール140が、カメラ307を用いてIDマーカ304を撮影することによって連接情報を取得する。
【0063】
ただし、搬送モジュール140による連接情報の取得方法は一例であってこれに限定されない。例えば、赤外通信を用いて搬送モジュール140間でID等を通知してもよい。また、搬送モジュール140がRFIDタグ及びリーダを有し、リーダでRFIDタグを読み取ることによって連接情報を取得してもよい。また、搬送モジュール140のフレーム等に配線を設け、フレーム同士を接触させて結線又は短絡させることによって、接続方向を特定してもよい。
【0064】
図4は、実施例1の搬送モジュール基本情報121のデータ構造の一例を示す図である。
【0065】
搬送モジュール基本情報121は、種別401、形状402、搬送制御403、及びID範囲404から構成されるエントリを格納する。一つのエントリが一つの種類の搬送モジュール140に対応する。なお、エントリに含まれるフィールドは一例であって、これに限定されない。
【0066】
種別401は、搬送モジュール140の種別を示す値を格納するフィールドである。例えば、搬送モジュール140の型番及び名称等が格納される。
【0067】
形状402は、搬送モジュール140の形状に関する値を格納するフィールドである。例えば、搬送モジュール140の大きさ等が示す値が格納される。
【0068】
搬送制御403は、物品の基本的な搬送方法に関する値を格納するフィールドである。例えば、搬送方向を示す値が格納される。
【0069】
ID範囲404は、同じ種類の搬送モジュール140に付与されるIDの範囲を格納するフィールドである。
【0070】
図5は、実施例1の連接情報130のデータ構造の一例を示す図である。
【0071】
連接情報130は、第1搬送モジュールID501、第1搬送モジュール連接方向502、第2搬送モジュールID503、及び第2搬送モジュール連接方向504から構成される。
【0072】
第1搬送モジュールID501は、第1搬送モジュール140のIDを格納するフィールドである。実施例1では、自搬送モジュール140のIDが、第1搬送モジュールID501に格納される。ここで、自搬送モジュール140は、連接情報130を生成する搬送モジュール140を表す。
【0073】
第1搬送モジュール連接方向502は、第1搬送モジュール140に対する第2搬送モジュール140の接続方向を示す値を格納するフィールドである。実施例1では、自搬送モジュール140に対する他搬送モジュール140の接続方向を示す値が、第1搬送モジュール連接方向502に格納される。ここで、他搬送モジュール140は、自搬送モジュール140に接続される搬送モジュール140を表す。
【0074】
第2搬送モジュールID503は、第2搬送モジュール140のIDを格納するフィールドである。実施例1では、他搬送モジュール140のIDが、第2搬送モジュールID503に格納される。
【0075】
第2搬送モジュール連接方向504は、第2搬送モジュール140に対する第1搬送モジュール140の接続方向を示す値を格納するフィールドである。実施例1では、他搬送モジュール140に対する自搬送モジュール140の接続方向を示す値が、第2搬送モジュール連接方向504に格納される。
【0076】
自搬送モジュール140に二つの他搬送モジュール140が接続されている場合、自搬送モジュール140は、各接続に対して連接情報130を生成し、統合制御計算機100に送信する。
【0077】
図6は、実施例1の統合制御計算機100が実行する処理の一例を説明するフローチャートである。図7は、実施例1の搬送システム101に構築される搬送ラインの一例を示す図である。
【0078】
統合制御計算機100は、搬送システム101から連接情報130を取得する(ステップS101)。実施例1では、各搬送モジュール140が連接情報130を送信する。統合制御計算機100は、受信した連接情報130をメモリ111に格納する。
【0079】
次に、統合制御計算機100は、搬送モジュール基本情報121と、受信した連接情報130とを用いて、搬送ラインモデル情報を生成する(ステップS102)。
【0080】
搬送ラインモデル情報は、搬送システム101に構築された搬送ラインの構造を管理するための情報である。搬送ラインモデル情報には、例えば、搬送ラインを構成する搬送モジュール140の接続関係を示すデータが含まれる。統合制御計算機100は、搬送ラインモデル情報に基づいて、図7に示すような図を表示することができる。なお、搬送ラインモデル情報は生成されなくてもよい。
【0081】
図7の搬送モジュール140の太文字の数値はIDを示す。搬送経路700、701は、搬送ライン上に設定された搬送経路を示す。ここでは、搬送経路700は、A社の物品を搬送するため搬送経路とし、搬送経路701は、B社の物品を搬送する搬送経路とする。
【0082】
次に、統合制御計算機100は、搬送ライン上の搬送経路(搬送計画)を生成する(ステップS103)。
【0083】
統合制御計算機100は、予め、搬送ラインのスタート地点、エンド地点、及び中継地点等の地点の情報、及び搬送ラインを用いて搬送する物品の種別等に関する情報を受け付けているものとする。搬送ラインのスタート地点、エンド地点、及び中継地点等は、搬送モジュール140の識別情報及び方向を用いて指定される。図7では、「10015、B」、「10020、A」、「10017、A」が搬送経路700のスタート地点、エンド地点、及び中継地点として入力され、「10015、B」、「10020、A」、「10018、A」が搬送経路701のスタート地点、エンド地点、及び中継地点として入力される。
【0084】
統合制御計算機100は、ダイクストラ法等の公知の経路探索アルゴリズムに基づいて、入力された地点を結ぶ搬送経路を生成する。なお、本発明は、搬送経路の探索方法に限定されない。なお、一つの搬送ライン上に二つ以上の搬送経路が生成されてもよい。
【0085】
次に、統合制御計算機100は、特殊制御ロジックを設定する必要がある搬送モジュール140を特定する(ステップS104)。
【0086】
例えば、統合制御計算機100は、以下の条件のいずれかに合致する搬送モジュール140を特定する。
(1)物品を受け取ってから一定期間停止し、その後、物品を搬送する経路が設定されている。これは、物品を受け取ってから一定期間停止させ、所定の条件を満たした場合、物品を搬送する特殊制御ロジックを設定する必要があるためである。
(2)同一方向から受け取った物品の搬送先が異なる経路が二つ以上設定されている。これは、どのタイミングで、どの物品を、どの方向に搬送するかを制御する特殊制御ロジックを設定する必要があるためである。
【0087】
図7に示すIDが「10017」、「10018」の搬送モジュール140-1は物品を受け取ってから一定期間停止し、物品を搬送する経路が設定されているため、条件(1)を満たす。IDが「10033」、「10037」の搬送モジュール140-3は、搬送先が異なる経路が二つ設定されているため、条件(2)を満たす。
【0088】
なお、上記の条件は一例であってこれに限定されない。基本制御ロジックでは制御が困難である搬送モジュール140を特定できる条件であればよい。
【0089】
次に、統合制御計算機100は、特定された搬送モジュール140に設定する特殊制御ロジックを生成し、当該搬送モジュール140に設定する(ステップS105)。
【0090】
図7に示す搬送経路の場合、IDが「10017」の搬送モジュール140-1には、以下のような制御を行うための特殊制御ロジックが生成される。
(1)物品を受け取って停止する。
(2)一定時間経過又は所定の条件を満たした場合、受け取った方向と同じ方向に物品を搬送する。
【0091】
図7に示す搬送経路の場合、IDが「10033」の搬送モジュール140-3には、以下のような制御を行うための特殊制御ロジックが生成される。
(1)ID「10031」の搬送モジュール140-3からA社の物品を受け取った場合、ID「10021」の搬送モジュール140-2に当該物品を搬送する。
(2)ID「10031」の搬送モジュール140-3からB社の物品を受け取った場合、ID「10035」の搬送モジュール140-3に当該物品を搬送する。
(3)ID「10021」の搬送モジュール140-2から物品を受け取るまで、A社の物品を受け取らない。B社の物品は受け取る。
(4)ID「10021」の搬送モジュール140-2から物品を受け取った場合、ID「10035」の搬送モジュール140-3に当該物品を搬送する。
【0092】
実施例1によれば、搬送モジュール140は、自搬送モジュール140と他搬送モジュール140との接続関係を示す連接情報130を統合制御計算機100に送信することができる。これによって、統合制御計算機100は、搬送システム101に構築される搬送ラインを把握することができる。また、統合制御計算機100は、搬送システム101から受信した連接情報130に基づいて、搬送ラインモデル情報の生成、搬送経路の生成、及び特殊制御ロジックの設定等を自動的に行うことができる。
【実施例2】
【0093】
実施例2では、自律走行する搬送車が搬送モジュール140として含まれる。以下、実施例1との差異を中心に実施例2について説明する。
【0094】
実施例2のシステムの構成は実施例1の構成と同一である。実施例2の統合制御計算機100の構成は実施例1の構成と同一である。実施例2の搬送システム101の構成は実施例1と同様であるが、搬送車が搬送モジュール140-5として含まれる。搬送車は、物品を受け取り、目的の搬送モジュール140まで自律走行を行って移動し、当該搬送モジュール140に物品を搬送する。
【0095】
実施例2の搬送モジュール基本情報121のデータ構造は実施例1のデータ構造と同一である。実施例2の連接情報130のデータ構造は実施例1のデータ構造と同一である。
【0096】
実施例2の搬送モジュール140-1、140-2、140-3、140-4は、連接情報取得装置153を有していない。一方、搬送車(搬送モジュール140-5)は連接情報取得装置153を有する。
【0097】
実施例2の搬送モジュール140-1、140-2、140-3、140-4の構造は実施例1の構造と同一である。ただし、実施例2では、カメラ307はIDマーカ304の読み取りには使用されない。
【0098】
図8は、実施例2の搬送モジュール140-5の具体的な構造を示す図である。
【0099】
搬送モジュール140-5は、ローラ301、在荷センサ302、バーコードリーダ303、IDマーカ304、在荷表示LED305、照明306、及びカメラ307を有する。また、搬送モジュール140-5は、図示しない距離センサと、自律走行するためのタイヤとを備える。
【0100】
搬送モジュール140-5は、回転方向が異なるローラ301を有する。また、搬送モジュール140-5には、方向A、方向B、方向C、及び方向DのそれぞれにIDマーカ304が付されており、また、四つの方向のそれぞれに在荷表示LED305、照明306、及びカメラ307を有する。その他の構成は、搬送モジュール140-1と同一である。
【0101】
搬送モジュール140-5のコントローラ150には移動空間の地図情報が格納される。搬送モジュール140-5は、地図情報及び距離センサの計測結果に基づいて、自己の位置を推定しながら、移動空間を走行する。搬送モジュール140-5はランダムに移動空間を走行してもよいし、予め設定されたポリシに基づいて移動空間を走行してもよい。
【0102】
搬送モジュール140-5は、走行中、カメラ307を用いて、搬送ラインを構成する搬送モジュール140に付されたIDマーカ304を読み取り、連接情報130を生成する。このとき、搬送モジュール140-5は、接続される搬送モジュール140のいずれか一方を第1搬送モジュールに決定する。例えば、走行方向にしたがって第1搬送モジュールを決定する。搬送モジュール140-5は統合制御計算機100に連接情報130を送信する。
【0103】
実施例2の統合制御計算機100が実行する処理は実施例1と同一である。ただし、実施例2では、搬送モジュール140-5を用いることによって、独立した搬送ラインから構成される大規模な搬送ラインを構築できる。独立した搬送ライン間の物品の搬送は搬送モジュール140-5によって行われる。
【0104】
図9は、実施例2の搬送システム101に構築される搬送ラインの一例を示す図である。
【0105】
図9に示す搬送ラインは、四つの搬送ライン900-1、900-2、900-3、900-4から構成される。なお、搬送ライン900-3は一つの搬送モジュール140-1から構築される搬送ラインである。
【0106】
搬送ライン900-1、900-2、900-4は、台座911のレールに沿って移動可能なロボット910を含む。ロボット910は、棚920からケース921を取り出し、又は、棚920にケース921を収容する。搬送モジュール140-5は、搬送ライン900-1、900-2、900-3間でケース921を搬送する。搬送モジュール140-5は、搬送ラインを構成する搬送モジュール140としては扱われない。
【0107】
図9に示す搬送ラインは、物品の仕分け業務を行うために構築される搬送ラインである。例えば、搬送ライン900-1、900-2では、物品が収容されたケース921が棚920から取り出され、搬送モジュール140-5によってケース921が搬送ライン900-3に搬送される。搬送ライン900-3の搬送モジュール140-1に接続される搬送モジュール140-4は、搬送ラインに設定された搬送経路にケース921を振り分け、ロボット910は、搬送経路のエンド地点に到着したケース921を把持し、棚920に収容する。
【0108】
なお、ロボット910には予め制御ロジックが設定される。また、搬送モジュール140-5には特殊制御ロジックが設定される。
【0109】
図10は、実施例2の搬送システム101に構築される搬送ラインの一例を示す図である。
【0110】
図10に示す搬送ラインは、四つの搬送ライン1000-1、1000-2、1000-3、1000-4から構成される。なお、搬送ライン1000-3は一つの搬送モジュール140-1から構築される搬送ラインである。
【0111】
搬送ライン1000-1、1000-2、1000-4は、製造用ロボット1010を含む。ロボット1010は、物品1011の加工、溶接、組立等の物品の製造を行うロボットである。搬送モジュール140-5は、搬送ライン1000-1、1000-2、1000-3間で製造された物品の搬送を行う。搬送モジュール140-5は、搬送ラインを構成する搬送モジュール140としては扱われない。
【0112】
図10に示す搬送ラインは、物品の製造業務を行うために構築される搬送ラインである。例えば、搬送ライン1000-1、1000-2では、物品1011の加工等の作業が行われ、搬送モジュール140-5によって物品が搬送ライン1000-3に搬送される。搬送ライン1000-3の搬送モジュール140-1に接続される搬送モジュール140-4は、搬送ラインに設定された搬送経路に物品を振り分け、ロボット1010は、搬送経路のエンド地点に到着した物品に対し加工等の作業を実施する。
【0113】
なお、ロボット1010には予め制御ロジックが設定される。また、搬送モジュール140-5には特殊制御ロジックが設定される。
【0114】
実施例2によれば、搬送モジュール140-5は、搬送システム101の移動空間を走行することによって連接情報130を取得し、統合制御計算機100に送信することができる。これによって、統合制御計算機100は、搬送システム101に構築される搬送ラインを把握することができる。また、統合制御計算機100は、搬送システム101から受信した連接情報130に基づいて、搬送ラインモデル情報の生成、搬送経路の生成、及び特殊制御ロジックの設定等を自動的に行うことができる。
【0115】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0116】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0117】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Python、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0118】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0119】
上述の実施例において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0120】
100 統合制御計算機
101 搬送システム
102 ネットワーク
110 プロセッサ
111 メモリ
112 通信装置
120 制御部
121 搬送モジュール基本情報
130 連接情報
140 搬送モジュール
150 コントローラ
151 搬送作業装置群
152 通信装置
153 連接情報取得装置
301 ローラ
302 在荷センサ
303 バーコードリーダ
304 IDマーカ
305 在荷表示LED
306 照明
307 カメラ
310 ハンド
311 照明
312 RGBDカメラ
313 吸盤
700、701 搬送経路
900、1000 搬送ライン
910、1010 ロボット
911 台座
920 棚
921 ケース
1011 物品
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10