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特許7593806車両操作システム、車両制御装置、車両操作方法及び車両操作プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】車両操作システム、車両制御装置、車両操作方法及び車両操作プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241126BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20241126BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G05D1/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020219114
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104107
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】510084297
【氏名又は名称】株式会社ブロードリーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】平野 喜丈
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-195941(JP,A)
【文献】特開2016-175586(JP,A)
【文献】特開2017-200125(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0214240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両を制御する車両制御装置と、記車両の周囲画像情報撮像する複数の撮像装置と、記車両を操作する操作装置と、を備え両操作システムであって、
前記操作装置は、
前記画像情報を表示可能な表示部と、
前記撮像装置で撮像された前記画像情報を前記表示部で表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報を入力する入力部と、
前記車両制御装置と情報を送受信する第2通信部と、を具備し、
前記入力部によって入力された前記レイアウト情報を前記車両制御装置に送信する処理を実行し、
前記車両制御装置は、
記操作装置情報を送受信する第1通信部を具備し
前記第1通信部を介して前記操作装置から前記レイアウト情報を受信する処理と、
前記車両の進行方向を取得する処理と、
前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、を実行し、
前記第1通信部は、前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記操作装置に送信可能であって、
前記操作装置の前記表示部、前記第1通信部を具備する前記車両制御装置との通信路を介して前記車両制御装置から前記第2通信部受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示する両操作システム。
【請求項2】
記撮像装置は、前記車両の第1進行方向を撮像する第1方向撮像装置と、前記第1進行方向とは異なる第2進行方向を撮像する第2方向撮像装置と、を含み、
前記レイアウト情報は、前記第1方向撮像装置が撮像した前記第1進行方向における画像情報と、前記第2進行方向における画像情報とを表示する位置及び大きさが定められており
前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理は、前記第1方向撮像装置で撮像した画像情報又は前記第2方向撮像装置で撮像した画像情報に、当該進行方向とは異なる他の進行方向の画像情報を重畳して合成画像情報を生成する請求項1に記載の車両操作システム。
【請求項3】
記第1通信部は、遠距離通信回線の基地局と複数の通信回線により接続可能であり、
前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理は、
前記レイアウト情報に基づく画像情報を送信する必要な帯域が変更されたことによって前記帯域が減少した場合、変更前の前記画情報に比べて低解像度の前記画像情報を生成し、前記変更によって前記帯域が増加した場合、変更前の前記画像情報に比べて高解像度の前記画像情報を生成する請求項1又は2に記載の車両操作システム。
【請求項4】
車両を制御する車両制御装置であって、
前記車両制御装置は、車両の周囲の画像情報を撮像する複数の撮像装置と、前記車両を操作する操作装置と接続されており、
前記車両制御装置は、
前記操作装置と情報を送受信する第1通信部を具備し、
前記第1通信部を介して前記操作装置から、前記撮像装置で撮像された前記画像情報を前記操作装置で表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報を受信する処理と、
前記車両の進行方向を取得する処理と、
前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、
前記操作装置の表示部で表示される、前記レイアウト情報に基づく画像情報を、前記操作装置との通信路を介して送信する処理と、を実行する車両制御装置。
【請求項5】
車両を制御する第1コンピュータと、記車両を操作する第2コンピュータとによって実行される車両操作方法であって、
前記第2コンピュータは、
複数の撮像装置で撮像された前記車両の周囲の画像情報を表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報の入力を受け付けることと、
受け付けた前記レイアウト情報を前記第1コンピュータに送信することを実行し、
前記第1コンピュータ
前記第2コンピュータから前記レイアウト情報を受信することと、
前記車両の進行方向を取得することと、
前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成することと、
前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記第2コンピュータに送信することと、を実行し、
前記第2コンピュータが、記第1コンピュータとの通信路を介して前記第1コンピュータから受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示することを実行する両操作方法。
【請求項6】
車両を制御する第1コンピュータに、
複数の撮像装置で撮像された前記車両の周囲の画像情報を表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報の入力を受け付ける処理と、受け付けた前記レイアウト情報を前記第1コンピュータに送信する処理と、前記第1コンピュータから受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示する処理とを実行する第2コンピュータから、前記レイアウト情報を受信する処理と、
前記車両の進行方向を取得する処理と、
前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、
前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記第2コンピュータに送信する処理と、を実行させる、車両操作プログラム。
【請求項7】
車両を操作する第2コンピュータに、
複数の撮像装置で撮像された前記車両の周囲の画像情報を表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報の入力を受け付ける処理と、
受け付けた前記レイアウト情報を、前記車両を制御する第1コンピュータに送信する処理と、
前記第2コンピュータから前記レイアウト情報を受信する処理と、前記車両の進行方向を取得する処理と、前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記第2コンピュータに送信する処理とを実行する前記第1コンピュータから、前記レイアウト情報に基づく画像情報を受信する処理と、
前記第1コンピュータから受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示する処理と、を実行させる、車両操作プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両操作システム、車両制御装置、両操作方法及び車両操作プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の安全性、快適性を実現するために、車両自体が周囲の外部環境の情報を把握し、運転者に代わって車両の走行を制御するADAS(先進運転支援システム)を搭載した自動運転するための車両が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-164056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に知られた車両に不具合が生じて走行障害が発生したときに、特許文献1には、安全に停車させたり、走行を継続させたりするために、ネットワークを介した通信によって車両の走行を操作する遠隔運転の技術が開示されている。
【0005】
本発明の目的は、車両周囲の画像をより確実に送信することが可能な車両操作システム、車両制御装置、両操作方法及び車両操作プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両操作システムによれば、両を制御する車両制御装置と、記車両の周囲画像情報撮像する複数の撮像装置と、記車両を操作する操作装置と、を備え両操作システムであって、前記操作装置は、前記画像情報を表示可能な表示部と、前記撮像装置で撮像された前記画像情報を前記表示部で表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報を入力する入力部と、前記車両制御装置と情報を送受信する第2通信部と、を具備し、前記入力部によって入力された前記レイアウト情報を前記車両制御装置に送信する処理を実行し、前記車両制御装置は、記操作装置情報を送受信する第1通信部を具備し前記第1通信部を介して前記操作装置から前記レイアウト情報を受信する処理と、前記車両の進行方向を取得する処理と、前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、を実行し、前記第1通信部は、前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記操作装置に送信可能であって、前記操作装置の前記表示部、前記第1通信部を具備する前記車両制御装置との通信路を介して前記車両制御装置から前記第2通信部受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示することとしている。
また、本発明の車両制御装置によれば、車両を制御する車両制御装置であって、前記車両制御装置は、車両の周囲の画像情報を撮像する複数の撮像装置と、前記車両を操作する操作装置と接続されており、前記車両制御装置は、前記操作装置と情報を送受信する第1通信部を具備し、前記第1通信部を介して前記操作装置から、前記撮像装置で撮像された前記画像情報を前記操作装置で表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報を受信する処理と、前記車両の進行方向を取得する処理と、前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、前記操作装置の表示部で表示される、前記レイアウト情報に基づく画像情報を、前記操作装置との通信路を介して送信する処理と、を実行することとしている。
【0007】
また、本発明の車両操作方法によれば、車両を制御する第1コンピュータと、記車両を操作する第2コンピュータとによって実行される車両操作方法であって、前記第2コンピュータは、複数の撮像装置で撮像された前記車両の周囲の画像情報を表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報の入力を受け付けることと、受け付けた前記レイアウト情報を前記第1コンピュータに送信することを実行し、前記第1コンピュータ前記第2コンピュータから前記レイアウト情報を受信することと、前記車両の進行方向を取得することと、前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成することと、前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記第2コンピュータに送信することと、を実行し、前記第2コンピュータが、記第1コンピュータとの通信路を介して前記第1コンピュータから受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示することを実行している。
また、本発明の車両操作プログラムによれば、車両を制御する第1コンピュータに、複数の撮像装置で撮像された前記車両の周囲の画像情報を表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報の入力を受け付ける処理と、受け付けた前記レイアウト情報を前記第1コンピュータに送信する処理と、前記第1コンピュータから受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示する処理とを実行する第2コンピュータから、前記レイアウト情報を受信する処理と、前記車両の進行方向を取得する処理と、前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記第2コンピュータに送信する処理と、を実行させている。
また、本発明の車両操作プログラムによれば、車両を操作する第2コンピュータに、複数の撮像装置で撮像された前記車両の周囲の画像情報を表示する位置及び大きさを定めたレイアウト情報の入力を受け付ける処理と、受け付けた前記レイアウト情報を、前記車両を制御する第1コンピュータに送信する処理と、前記第2コンピュータから前記レイアウト情報を受信する処理と、前記車両の進行方向を取得する処理と、前記進行方向に応じて、前記撮像装置それぞれから取得した画像情報と、前記レイアウト情報とをもとに前記レイアウト情報に基づく画像情報を生成する処理と、前記レイアウト情報に基づく画像情報を前記第2コンピュータに送信する処理とを実行する前記第1コンピュータから、前記レイアウト情報に基づく画像情報を受信する処理と、前記第1コンピュータから受信した、前記レイアウト情報に基づく画像情報を表示する処理と、を実行させている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両操作システム、車両制御装置、両操作方法及び車両操作プログラムによれば、車両周囲の映像をより確実に送信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の車両遠隔操作システム全体を示す構成図である。
図2】車両遠隔操作システム(操作装置を除く)のハードウェア構成を示す図である。
図3】操作装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】車両制御装置及び操作装置の機能を示す図である。
図5A】操作装置の表示モニタで表示する合成画像を示す説明図であり、複数の撮像装置により取得された画像情報を配置する位置や大きさの例を示す図である。
図5B】合成画像の別例を示す説明図である。
図5C】バック走行時に操作装置の表示モニタで表示する合成画像の一例を示す説明図である。
図6】合成画像を表示する流れを示すシーケンス図である。
図7】通信状態により送信する合成画像の解像度を選択する工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図1図7を参照して説明する。
本実施形態の車両遠隔操作システムSは、図1に示すように、走行する車両Vの外部環境を把握し、運転者に代わって車両Vの走行経路を計画し、当該走行経路に基づいて車両Vを制御することで走行させる「自動運転」と、車両Vの外部にいるオペレータHが車両Vを遠隔操作(外部操作)することで走行させる「遠隔運転」とを実現するシステムである。また、車両遠隔操作システムSは、自動運転モードと遠隔運転モードの間で切り替える「モード切替処理」を行うことが可能となっている。このほか、車両Vに乗車して運転操作を行う手動運転モード(詳細については後述)があり、上記モード切替処理では、この手動運転モードと自動運転モードを切り替えるほか、手動運転モードと遠隔運転モードを切り替えることも可能である。
なお、オペレータHはヒトでなくてもよく、例えばAI(人工知能)であってもよい。
【0011】
<<車両遠隔操作システムSのハードウェア構成>>
車両遠隔操作システムSは、図1に示すように、主に車両Vの車両制御装置1と、操作装置50と、から構成される。車両制御装置1は、車両Vに搭載され車両Vの走行を総合的に制御する装置である。操作装置50は、車両制御装置1とネットワークN(デジタル通信路)を介して接続されネットワークNを介した通信によって車両Vを操作する装置である。もちろん、車両制御装置1と操作装置50とが直接通信を行うこととしてもよい。
【0012】
車両Vは、車載センサ10と、車載ロケータ20と、車載ECU30と、車載通信装置40とを備える。車載センサ10は、車両Vの周囲の外部環境を検出する装置である。車載ロケータ20は、人工衛星SA及び基準局STからGNSS信号を受信し、車両Vの現在位置を測定する装置である。車載ECU30は、車両Vの操舵及び加減速等を制御する装置である。車載通信装置40は、車両Vの外部に設置された操作装置50又は外部機器と通信する装置である。
図2に示すように、車両Vに搭載された車両制御装置1、車載センサ10、車載ロケータ20、車載ECU30及び車載通信装置40は、車載ネットワーク(CAN:Controller Area Network)を介して接続されている。
なお、より詳細に述べると、車載ロケータ20、車載通信装置40、車載センサ10の撮像装置11及びライダ13は、RS232Cコネクタ、USB(ユニバーサルシリアルバス)コネクタ等の通信インタフェースを用いて、車両制御装置1にシリアル通信可能に接続されている。
【0013】
車両制御装置1は、データの演算・制御処理装置としてのCPUと、記憶装置としてのROM、RAM及びHDD(SSD)と、CAN等を介して情報データの送受信を行う通信インタフェースと、を備えたコンピュータ(第1コンピュータ)である。
車両制御装置1の記憶装置には、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムに加えて、車両制御プログラムや車両遠隔操作プログラムが記憶されている。これらプログラムがCPUによって実行されることにより、車両制御装置1の機能が発揮される。
【0014】
車両制御装置1は「自動運転」を実行すべく、車載センサ10から得られる外部環境の情報と、車載ロケータ20から得られる現在位置の情報とに基づいて車載ECU30(より詳細には総合ECU31)を制御することで、車両Vの走行を制御する。
また、車両制御装置1は「遠隔運転」を実行すべく、車載通信装置40を通じて操作装置50と、無線通信回線等を含むネットワークN(デジタル通信路)を介して接続され、外部環境の情報と、現在位置の情報とを操作装置50に向けて送信する。
言い換えれば、車両制御装置1は「自動運転機能(車載センサ10、車載ロケータ20、車載ECU30)」を予め搭載した車両Vに新たに搭載されることで、既存の「自動運転機能」の性能を高め、また、搭載した車両Vに新たに「遠隔運転機能」を付与するものである。
なお、詳細については後述するが、操作装置50は、車両制御装置1から遠隔運転機能に必要な外部環境の情報及び現在位置の情報等を受信して外部環境の情報を表示モニタ51に表示するほか、操作装置50のオペレータHに向けて情報の報知等を行うことができる。
【0015】
「自動運転機能」を実現する車載センサ10、車載ロケータ20、車載ECU30について説明する。
【0016】
<車載センサ10>
車載センサ10は、車両Vの周囲の外部環境として車両V周辺の移動物体(他の車両や歩行者等)、各種の構造物、道路形状等(以下、対象物体と呼ぶ場合がある)を検出する装置である。具体的には、図2に示すように、車体に設置された、複数の撮像装置11、複数のレーダ12及び複数のライダ13から構成されている。なお、車載センサ10は、撮像装置11、レーダ12、ライダ13以外のセンサをさらに有してもよい。
【0017】
撮像装置11は、車両Vの周囲を撮像し画像情報として取得する撮影カメラ(広角カメラ)であり、例えば、CCD又はCMOS等の固体撮像素子を利用した小型のデジタルカメラである。撮像装置11は、車両Vの走行制御向けの「センシング機能」と、運転者(オペレータH)向けの「モニタリング機能」を実行すべく、外部映像データを作成し、外部映像データ(以下、画像情報)を、USBケーブルで接続された車両制御装置1にシリアル通信で送信する。
【0018】
撮像装置11は、図2に示すように、所定位置に取り付けられた9台の撮像装置(第1撮像装置11a~第9撮像装置11i、以下、これらを総称して撮像装置11と呼ぶ場合がある)により構成されている。
本実施形態の場合、第1撮像装置11a、第2撮像装置11b及び第3撮像装置11cが、車両Vの前方、右斜め前方、左斜め前方を撮像しており、それらは車両Vのルーフ前部でフロントウインドウ(フロントガラス)の車室内側に取り付けられている。
第4撮像装置11dが、車両Vの後方を撮像しており、車両Vのリアバンパー(バックバンパ―)の中央に取り付けられている。第5撮像装置11e、第6撮像装置11fが、車両Vの左右にあるサイドミラーに取り付けられ、車両Vの右斜め後方と左斜め後方とを撮像する。第1撮像装置11a~第6撮像装置11fは、車両Vの周囲において主となる部分を撮像するメインカメラである。
【0019】
また、撮像装置11は、サブカメラとして、第7撮像装置11g、第8撮像装置11h及び第9撮像装置11iを有する。第7撮像装置11gは、車両Vのフロントバンパーに取り付けられ、車両Vの前方を撮像する。また、第8撮像装置11h及び第9撮像装置11iは、車両Vの左右のバックライトの周辺に取り付けられ、車両Vの右斜め後方及び左斜め後方を撮像する。サブカメラである第7撮像装置11g、第8撮像装置11h及び第9撮像装置11iは、メインカメラの第1撮像装置11a~第6撮像装置11fでは撮像することができない死角となる部分を撮像する。
なお、サブカメラの別例として、第7撮像装置11gが、車両Vのバックガラス(リアガラス)の上部に取り付けられ、その位置から車両Vの後方を撮像してもよい。また、第8撮像装置11hが車両Vの右側のAピラー~Cピラーに取り付けられ、第9撮像装置11iが左側のAピラー~Cピラーに取り付けられてもよい。
【0020】
上述のように、第1撮像装置11a~第9撮像装置11iは、シリアル通信により車両制御装置1と接続されており、撮像した画像情報を車両制御装置1に送信するように構成されている。なお、本実施形態の車両Vに取り付けられた撮像装置11の個数及び位置は一例であり、個数及び位置については車両Vの形状又は用途によって変更可能である。
なお、車両制御装置1は、撮像装置11が撮像した画像情報を解析することにより、車両Vの周囲にある対象物体の輪郭を抽出したり、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出したりしてもよい。
【0021】
レーダ12は、照射方向を連続的に変化させながら電波を発信し、対象物体からの反射波を受信することで対象物体を検出し、対象物体の位置と速度を測定することにより、3次元の空間イメージングを行うセンサである。本実施形態の車両Vには、電波として30~300GHz帯のミリ波を用いたミリ波レーダが用いられている。レーダ12は、ミリ波を用いることにより、撮像装置11及びライダ13と比較して、視界が悪い夜間や悪天候のような環境状況であっても対象物体を精度良く検出することができる。
【0022】
レーダ12は、上記対象物体の検出結果データ(検出信号)を取得し、CANを介して車両制御装置1に検出結果データを送信する。レーダ12と車両制御装置1とをUSBケーブルで接続し、レーダ12は、シリアル通信により検出結果データを車両制御装置1に送信してもよい。
レーダ12は、図2に示すように、車両Vの所定位置に取り付けられた4台のレーダ12(第1レーダ12a~第4レーダ12d)により構成されている。
第1レーダ12a及び第2レーダ12bは、車両Vの左右のフロントライトの周辺に取り付けられ、第3レーダ12c及び第4レーダ12dは、車両Vの左右のバックライトの周辺に取り付けられている。
なお、レーダ12は、ミリ波レーダに特に限定されることなく、レーザレーダ、超音波センサ等のレーダであってもよい。
【0023】
ライダ13は、レーザー光を照射し、対象物体からの反射光を受光することで対象物体までの距離を測定し、3次元の空間イメージングを行うリモートセンサである。撮像装置11やレーダ12と比較して、周囲の対象物体との距離を数センチ単位で測定することができる。
ライダ13は、上記対象物体との距離を測定した距離測定データを取得する。ライダ13は、USBケーブルにより車両制御装置1と接続されており、距離測定データをシリアル通信で車両制御装置1に送信する。なお、ライダ13は、CANにより車両制御装置1と接続している場合、CANを介して車両制御装置1に距離測定データを送信してもよい。
ライダ13は、図2に示すように、車両Vの所定位置に取り付けられた5台のライダ13(第1ライダ13a~第5ライダ13e)により構成されている。
第1ライダ13a、第2ライダ13bは、車両Vの左右のフロントライトの周辺に取り付けられている。第3ライダ13cは、車両Vのバックバンパ―に取り付けられている。第4ライダ13d、第5ライダ13eは、車両Vの左右のテールライトの周辺に取り付けられている。第4ライダ13d、第5ライダ13eは、車両Vのバックライトの周辺に取り付けられてもよい。
【0024】
なお、撮像装置11と同様、レーダ12及びライダ13の個数及び取り付け位置は一例であり、取り付ける個数及び位置については変更可能である。
【0025】
<車載ロケータ20>
車載ロケータ20は、人工衛星SA及び基準局STを用いた衛生測位システムを利用して車両Vの現在位置を測定し、また現在位置の測定精度を高めるべく、車両Vの加速度及び角速度を測定するものである。
車載ロケータ20は、具体的には、複数の人工衛星SAからGNSS電波(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム、GPS電波)を受信するGNSS受信機21と、車両Vの加速度及び角速度を測定する慣性計測装置22とから構成されている。
【0026】
GNSS受信機21は、具体的には、RTK-GNSS受信機であって、図1に示すように複数(具体的には4個)の人工衛星SAからGNSS電波を受信し、単独測位に必要な「GNSS情報」を生成する。また、外部の基準局STから相対測位に必要な「GNSS補正情報」を受信する。
なお、基準局STは、既知点に設定された固定基準局であって、複数の人工衛星SAからGNSS電波を受信し、「GNSS補正情報」を生成して車載ロケータ20のGNSS受信機21に向けて送信する。
「GNSS情報」とは、複数の人工衛星SAとGNSS受信機21との距離情報であり、「GNSS補正情報」とは、既知点に位置する基準局STがGNSS電波を受信し、基準局STとGNSS受信機21が通信することで、「GNSS情報」の計測誤差を補正した距離情報である。
【0027】
慣性計測装置22は、IMU(Inertial Measurement Unit)とも呼ばれ、3軸のジャイロセンサ(角速度計)と、3軸の加速度センサ(加速度計)とを備える。慣性計測装置22は、車両Vの3次元の角速度及び加速度を測定し、車両制御装置1に車両Vの加速度及び角速度の情報を送信する。
車両制御装置1は、GNSS受信機21から受信したGNSS情報(GNSS補正情報)と、慣性計測装置22から受信した車両Vの角速度及び加速度の情報とを組み合わせて測位することで、より小さい誤差範囲で車両Vの現在位置を測定することができる。
【0028】
<車載ECU30>
車載ECU30は、例えば、ADAS用ECUであり、車両制御装置1と接続され、各種データの送受信を行う上位階層の総合ECU31を備える。また、車載ECU30は、車両Vの操舵及び加減速等を細分化して制御する下位階層としてのハンドルECU32と、アクセルECU33と、ブレーキECU34とを備える。ハンドルECU32と、アクセルECU33と、ブレーキECU34のそれぞれは、上位階層の総合ECU31に接続される。図2に示すように、総合ECU31と、ハンドルECU32、アクセルECU33及びブレーキECU34とにより階層構造が形成されている。
なお、ハンドルECU32は、ドライビングサポートコンピュータとも呼ばれ、アクセルECU33及びブレーキECU34は、パワーマネジメントコントロールユニットとも呼ばれている。
【0029】
総合ECU31は、車両制御装置1と接続し、車両制御装置1と各種データの送受信を行う。総合ECU31は、ドライビングサポートコンピュータとも呼ばれ、ハンドルECU32、アクセルECU33及びブレーキECU34を総合的に制御する機能を果たす。また、パワーマネジメント(各種コンピュータの電力管理)の機能を果たす。
【0030】
ハンドルECU32、アクセルECU33及びブレーキECU34は、車両Vの操舵及び加減速等を細分化して制御するコンピュータである。
【0031】
ハンドルECU32は、総合ECU31からの指示に従って車両Vの電動パワーステアリングV1を動作させることにより、車両Vの進行方向を制御する装置である。
電動パワーステアリングV1は、車両Vの前輪を操舵する操舵機構を備えている。電動パワーステアリングV1は、手動運転の場合、運転者によるハンドルV1aの操舵操作に従って車両Vの前輪を操舵する。
【0032】
アクセルECU33は、総合ECU31からの指示に従って車両Vの電動スロットルV2を動作させることにより、主に車両Vの加減速を制御する装置である。
電動スロットルV2は、車両Vの駆動車輪を回転させる駆動力を出力する駆動機構を備えている。電動スロットルV2は、手動運転の場合、運転者によるアクセルペダルV2aのアクセル操作に従ってエンジンの出力を調整する。
【0033】
ブレーキECU34は、総合ECU31からの指示に従って車両Vの電磁ブレーキ装置V3を動作させることにより、車両Vの減速及び停止を制御する装置である。
電磁ブレーキ装置V3は、車両Vの各車輪に取り付けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両Vを減速又は停止させる機構を備えている。電磁ブレーキ装置V3は、手動運転の場合、運転者によるブレーキペダルV3aのブレーキ操作に従って電磁ブレーキ装置V3の作動を調整する。
【0034】
なお、総合ECU31と接続される個々のECUの数や機能については、ハンドルECU32、アクセルECU33及びブレーキECU34に特に限定されることなく、これらのECUと同階層でその他のECUをさらに備えていてもよい。
【0035】
<車載通信装置40>
「自動運転機能」を実現する車載通信装置40及び操作装置50について説明する。
車載通信装置40は、車両Vの外部に設置された操作装置50及び不図示の外部サーバとネットワークNを通じて情報通信する装置である。例えば「遠隔運転」に必要な情報として車両制御装置1の撮像装置11によって撮像された画像情報(合成画像)及び位置情報を操作装置50に送信したり、操作装置50から車両Vの運転操作情報を受信したりする。
また、車載通信装置40は、不図示の外部サーバと情報通信を行い、例えば、最新の交通情報及び天候情報等を受信することもできる。
車載通信装置40は、3台の無線通信可能な通信装置41(第1通信装置41a~第3通信装置41c、以下、まとめて通信装置41と称する場合がある)から構成されていて、3台の通信装置41それぞれが無線基地局RB(基地局)と通信することが可能になっている。
【0036】
第1通信装置41a~第3通信装置41cは、それぞれが別の無線基地局RBに接続しても、同じ無線基地局RBに接続してもよい。車両Vの移動に伴い、接続中の無線基地局RBとの距離が変化するため、通信状態も変化する。電波強度が所定の閾値よりも小さくなり画像情報を送信する帯域を確保することができなくなった場合、第1通信装置41a~第3通信装置41cは、別の無線基地局RBを探索して接続することを試みる。接続可能な別の無線基地局RBが見つかった場合、接続を切り替える。
複数台の通信装置を用いて無線基地局RBと接続することから、いずれか一つの通信装置が無線基地局RBと接続が切れた場合であっても他の通信装置が無線基地局RBと接続しているため、1台の通信装置のみで接続している場合と比較して、接続が切断され難くなっている。
なお、本実施形態では3台の通信装置41(第1通信装置41a~第3通信装置41c)を用いて無線基地局RBと接続しているが、通信装置41の数は3台に限定されず、2台でも4台以上であってもよい。すなわち、通信装置41により接続する無線通信回線の回線数は3回線に限定されず、2回線でも4回線以上であってもよい。また、通信環境がよい場合は1回線で通信してもよい。
また、詳細は後述するが、車載通信装置40は、通信状況が低下し「合成画像」を送信するための帯域を確保できなくなった場合、送信する「合成画像」の画質を下げる、すなわち送信前の「合成画像」よりも低解像の「合成画像」を生成することでデータ量を削減し送信する。
【0037】
また、第1通信装置41a~第3通信装置41cは、第4世代移動通信システム(4G)の遠距離通信回線と第3世代移動通信システム(3G)の遠距離通信回線とを切り替えて無線基地局RBと接続することができる。3Gの通信回線(第2通信回線)は、4Gの通信回線(第1通信回線)と比較して広い範囲で受信可能であるものの、4Gの通信回線のほうが、通信速度が高速であるか通信品質が優秀である。そのため、通信装置41は、4Gの通信回線に優先的に接続し、遅延が少ない環境下で通信を行うよう構成されている。通信装置41は、無線基地局RBと4Gの通信回線で接続できなかった場合に3Gの通信回線を用いて接続する。なお、通信装置41は、4G回線よりさらに高速で通信品質が高い第5世代移動通信システム(5G)の通信回線と接続可能な場合、5Gの通信回線により通信してもよい。
【0038】
また、車載通信装置40は、複数の通信事業者の無線通信回線(遠距離通信回線)を介してネットワークNに接続可能に構成されてもよい。車載通信装置40は、全ての通信機器において、通信中の無線通信回線の電波強度が予め定められた閾値α未満となった場合、他の通信事業者の無線通信回線との電波強度を測定し、測定した電波強度が閾値α以上である場合、接続する無線通信回線を切り替える。複数の通信事業者が検出された場合は、最も高い電波強度の通信事業者と接続するのが望ましいが、最も早く検出した通信事業者の無線通信回線と接続するようにしてもよい。
【0039】
<<操作装置50のハードウェア構成>>
操作装置50は、遠隔運転機能を有する車両Vに対して遠隔運転サービスを提供するための装置であり、図1に示すように遠隔操作される車両Vとは別の場所に位置している。
操作装置50は、車両Vの車両制御装置1とネットワークNを介して接続され、ネットワークNを介した通信によって車両Vを操作する。
【0040】
操作装置50は、図3に示すようにデータ演算・制御処理装置としてCPUと、記憶装置としてのROM、RAM、及びHDD(又はSSD)と、インターネット又はイントラネット等のネットワークNを介して通信を行う通信インタフェースと、を備えたコンピュータ(第2コンピュータ)である。
操作装置50の記憶装置には、コンピュータとして必要な機能を果たすメインプログラムに加えて、車両遠隔操作プログラム及び画像情報表示プログラム等が記憶されている。これらプログラムがCPUによって実行されることにより、操作装置50の機能が発揮される。
【0041】
操作装置50は通信インタフェースを介して通信装置60と接続している。通信装置60は、車両Vの車両制御装置1及び不図示の外部サーバとネットワークNを通じて情報通信する装置である。通信装置60は、車両制御装置1から送信される「遠隔運転」に必要な情報、例えば、車両Vの進行方向、速度、車両周辺の画像情報及び車両Vの位置情報等を受信したり、車両制御装置1に運転操作情報を送信したりする。また、通信装置60は、外部サーバと情報通信を行い、車両Vが走行している道路の交通情報や天候情報を受信してもよい。
【0042】
操作装置50は、図1及び図3に示すように、出力装置として、表示モニタ51、ナビ表示モニタ52、スピーカ59を備え、それらはオペレータHが椅子61に着座した際、オペレータHの前方に位置するよう設けられている。
操作装置50は、図1及び図3に示すように、入力装置としてハンドル53、アクセルペダル54、ブレーキペダル55、操作スイッチ56、タッチパネル57、マイク58を備えている。オペレータHは、椅子61に座った状態で前方に配置された表示モニタ51の映像を見ながら、ハンドル53等を用いて走行する車両Vを遠隔操作する。
【0043】
<表示モニタ51>
表示モニタ51は、遠隔運転をするための視覚情報を出力する装置であり、主に車両制御装置1から受信した情報を表示する。
車両制御装置1から受信した情報には、総合ECUから受信したCANデータ、メータ用の速度、スロットル開度、ブレーキ踏み込み量、舵角、電気的に配線したシフト位置、ウインカ等の車両情報も含まれており、それらを表示モニタ51に表示することも可能である。
操作装置50の表示モニタ51は、図1及び図3に示すように、3台の液晶モニタから構成されている。より詳細に述べると、オペレータHの前に配置された第1モニタ51a、第1モニタ51aの右側に隣接して配置された第2モニタ51b、及び、第1モニタ51aの左側に隣接して配置された第3モニタ51cから構成されている。第2モニタ51bと第3モニタ51cは、オペレータHが見やすいよう表示画面がオペレータHに向くよう傾斜して配置されている。第1モニタ51a~第3モニタ51cのそれぞれは所定の解像度、例えば、1920×1080(フルHD、2K)の解像度を有する液晶モニタである。第1モニタ51a~第3モニタ51cは4K、8K等の解像度を有する高解像度モニタであってもよい。
【0044】
図3に示す3台の液晶モニタから構成された表示モニタ51は一例であり、表示モニタ51は、1台の液晶モニタで構成されてもよい。また、2台又は4台以上の液晶モニタで構成されてもよい。また、表示モニタ51は湾曲した横方向に細長い液晶モニタで構成されもよい。また、表示モニタ51は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末で実現されてもよい。表示モニタ51は、オペレータHの頭部に装着されるVRゴーグルであってもよい。
【0045】
<ナビ表示モニタ52>
ナビ表示モニタ52は、車両制御装置1から受信した車両Vの位置情報に基づいて、車両Vの位置を地図情報と共に表示する装置である。
【0046】
<ハンドル53、アクセルペダル54、ブレーキペダル55>
ハンドル53は、走行する車両Vの操舵角(操舵量)を調整するために用いられる操作部である。アクセルペダル54は、走行する車両Vのアクセルペダル開度を入力するために用いられる。ブレーキペダル55は、車両Vのブレーキペダル開度を入力するために用いられる。
入力された操舵量、アクセルペダル開度、ブレーキペダル開度は、通信装置60により車両Vの車両制御装置1に向けて送信される。上述のように、車両Vの車両制御装置1は、受信した操舵量、アクセルペダル開度、ブレーキペダル開度に基づいて車両Vの総合ECU介してハンドルECU32、アクセルECU33、ブレーキECU34を操作する。
【0047】
<操作スイッチ56>
操作スイッチ56は、例えばシフトレバーとしての役割を有し、オペレータHがスイッチを押下することにより車両Vに対して前進させるかバック走行させるかを指示することができる。オペレータHが、操作スイッチ56を押下することで、車両Vのエンジンの始動又は停止、鍵の開閉、ホーン、ウインカ操作等を指示してもよい。
【0048】
<タッチパネル57>
タッチパネル57は、表示モニタ51に表示させる画像情報の位置や大きさ示すレイアウト情報等を入力するための装置である。
<マイク58>
マイク58は音声を入力する装置であり、マイク58により入力された音声信号は、通信装置60により、車両制御装置1に送信される。音声信号は、例えば車両Vのスピーカ59により車両Vの乗員に向けて発せられ、音声を伝えることができる。
<スピーカ59>
スピーカ59は聴覚情報を提供する音響装置である。スピーカ59により、車両制御装置1から受信した音声情報、例えば、車両Vの乗車者からの音声及び車両V周囲の音をオペレータHに報知することができる。
【0049】
また、操作装置50は、オペレータHが直感的に車両Vを遠隔操作できるよう、ハンドル53、アクセルペダル54、ブレーキペダル55等の形を模した入力装置を備えているが、これらの入力装置は、ゲーム機用のコントローラ、PC用のキーボード、タッチ入力可能な携帯端末のモニタ画面であってもよい。
操作装置50のオペレータHは人間であるが、AI(人工知能)が操作主体であってもよく、その場合、人間はAIの動作と表示モニタ51等に表示された車両Vの情報を監視する。
【0050】
<<車両遠隔操作システムSの機能構成>>
図4を用いて、車両遠隔操作システムSを機能面から説明する。車両制御装置1は、記憶部100、外部情報取得部101、位置特定部107、通信部108(第1通信部)、車両制御部109、画像処理部110、進行方向取得部111を構成要素としている。
これらの機能は、車両制御装置1のCPU、ROM、RAM、HDD、通信インタフェース、及び各種プログラム等によって実現されている。
【0051】
操作装置50は、記憶部500、通信部501、表示部502、入力部503、通信制御部504、音声出力部505を構成要素としている。
これらの機能は、操作装置50のCPU、ROM、RAM、HDD、通信インタフェース、及び各種プログラム等によって実現されている。
【0052】
車両制御装置1の機能について説明する。
<記憶部100>
記憶部100は、車両Vの進行方向の情報、複数の撮像装置11が撮像した「画像情報」、画像処理部110が合成した「合成画像」、車両Vの進行方向の情報、「レイアウト情報」等の各種データ及びプログラムを記憶する。
【0053】
<外部情報取得部101>
外部情報取得部101は、車両Vに取り付けられた車載センサ10から情報を取得し、記憶部100に取得した情報を記憶する。より詳細に述べると、車載センサ10として、図2に示すように、9台の撮像装置11(第1撮像装置11a~第9撮像装置11i)、4台のレーダ12(第1レーダ12a~第4レーダ12d)、5台のライダ13(第1ライダ13a~第5ライダ13e)が車両Vの車体に取り付けられている。外部情報取得部101は、車載センサ10から、画像情報、対象物体の検出結果データ、対象物体までの距離測定データを取得し記憶部100に記憶する。
なお、外部情報取得部101は、車載ECU30から車両Vの「車両情報」をさらに取得することとしてもよい。「車両情報」としては、例えば、ハンドルECU32から得られる「舵角の情報」、アクセルECU33から得られる「スロットル開度の情報」、ブレーキECU34から得られる「ブレーキ踏み込み量の情報」等が挙げられる。車輪速センサから「車速の情報」を得てもよい。
【0054】
<位置特定部107>
位置特定部107は、車載ロケータ20のGNSS受信機21から受信したGNSS情報と慣性計測装置22から受信した車両Vの角速度及び加速度等の情報とから、車両Vの現在位置を特定する。
なお、車両Vの現在位置を特定するにあたって、車両Vの「舵角の情報」を取得し、「舵角の情報」をさらに組み合わせて位置を特定してもよい。例えば車両Vに舵角センサを新たに搭載することで、舵角センサを通じて「舵角の情報」を取得することができる。
なお、車両Vの「速度の情報」を取得するにあたっては、車両Vに車輪速センサを新たに搭載し、車輪速センサを通じて「速度の情報」を取得してもよい。
【0055】
<通信部108>
通信部108(第1通信部)は、操作装置50に情報を送信する。本実施形態において、通信部108は、画像処理部110が生成した「合成画像」、及び、位置特定部107が特定した車両Vの「位置情報」を操作装置50に送信する。
通信部108は、車両制御装置1のCPUと車載通信装置40とにより実現されており、車載通信装置40は3台の無線通信可能な通信装置41(第1通信装置41a~第3通信装置41c)から構成されている。そのため、通信部108は、無線通信回線(遠隔通信回線)の無線基地局RBと3つの通信回線により接続することが可能である。
【0056】
3台の通信装置41のそれぞれは無線基地局RBと接続している。車両Vの移動により電波強度が変化することから、接続が維持できなくなった場合、電波強度の強い別の無線基地局RBと接続する。通常、3台の通信装置41は別々に無線基地局RBを切り替える。しかしながら、全ての通信回線において基地局との接続が切り替わる場合、同時に切り替わると、操作装置50との接続が一時的に切断される場合がある。そのため、通信部108は、3台の通信装置41が接続している無線基地局RBを同時に切り替えることがないよう、切り替えるタイミングを変更する処理が可能に構成されている。
なお、車載通信装置40に設けられる通信装置41は2台でもよく、4台以上であってもよい。通信環境等が良い場合、車載通信装置40は、1台の通信装置41で構成されてもよい。
【0057】
<車両制御部109>
車両制御部109は、外部情報取得部101によって取得された「画像情報」、「検出結果データ」、「距離測定データ」と、位置特定部107によって特定された「現在位置の情報」に基づいて総合ECU31を制御し、車両Vの「自動運転」を実行する。
また、車両制御部109は、操作装置50から取得した車両Vの「運転操作情報」に基づいて総合ECU31を制御し、車両Vの「遠隔運転」を実行する。
【0058】
<進行方向取得部111>
進行方向取得部111は、例えば、車両Vのシフトポジションの位置から車両Vの進行方向の情報を取得する。進行方向の情報は、現時点(オペレータHが車両Vの遠隔操作を開始する時点、又は、遠隔操作中の時点)において車両Vが前方に向けて走行する状態であるか、バック走行する状態であるかを示す情報である。進行方向の情報を取得する際、車両Vは停止した状態であってもよい。記憶部100に記憶される進行方向の情報は、例えば画像処理部110によって車両Vの進行方向に対応した「合成画像」を生成する際に用いられる。
【0059】
<画像処理部110>
画像処理部110は、外部情報取得部101により第1撮像装置11a~第9撮像装置11iのそれぞれから取得された「画像情報」を、記憶部100に記憶された「レイアウト情報」に基づき合成して「合成画像」を生成する。
「レイアウト情報」とは、撮像装置11から取得した「画像情報」を操作装置50の表示モニタ51で表示する際の位置及び大きさを定めたものである。言い換えれば、「合成画像」を生成するときに、撮像装置11により取得された画像情報が、「合成画像」において、どの位置に配置されるのか又はどの大きさで表示されるのかを定めた設定ファイルである。「レイアウト情報」は、オペレータHの死角を作らない、オペレータHが操作し易いレイアウトの表示態様を定めたものである。
【0060】
「レイアウト情報」は、複数のレイアウト情報を車両Vの所定の記憶部においてレイアウトID(レイアウト識別情報)を対応付けて記憶しておくことも可能である。この場合、後述する操作スイッチ等を用いてレイアウト表示に切り替え後、さらにレイアウト情報の変更操作を行うことで、操作装置50(操作スイッチ56)から車両Vに対して変更後のレイアウトIDが送信される。詳細については後述するが、このとき、車両Vでは、変更後のレイアウトIDに対するレイアウト情報に基づいて外部映像を合成した合成映像が生成され、表示モニタ51にはその合成映像が表示される。
なお、この「レイアウト情報」はネットワークNに設けられた不図示の外部サーバに記憶されてもよく、ウェブブラウザ又は専用のウェブアプリケーションを通じて外部サーバと送受信されてもよい。
【0061】
画像処理部110によって生成される「合成画像」の大きさは、操作装置50の表示モニタ51の性能によって定められる。本実施形態では、「合成画像」を表示モニタ51の三つの液晶モニタ(第1モニタ51a~第3モニタ51c)で表示させる。各液晶モニタの解像度がフルHDである場合、「合成画像」の画素数を5760×1080画素とするのがよい。なお、「合成画像」の画素数は、進行方向又は通信状況によって低解像度に変更される場合がある。
例えばバック走行する際、中央の第1モニタ51aのみを使って遠隔操作する場合、「合成画像」を1画面分の大きさ、すなわち、1920×1080画素の大きさで生成するように設定する。
通信状況が悪い場合、送信するデータ量を削減するために、「合成画像」が通常よりも低い解像度、例えば画素数が4000×800画素となるよう生成する。
画像処理部110が生成する「合成画像」の大きさの情報は、例えば、レイアウト情報に含まれており、記憶部100に予め記憶されているか、操作装置50の入力部503によって入力される。また、「合成画像」の大きさの情報は、レイアウト情報同様、不図示の外部サーバに記憶され、ウェブブラウザ又はウェブアプリケーションを通じて画像処理部110により変更されてもよい。
【0062】
車両Vに乗車して運転する場合、運転者は車両Vの前方とバックミラー及びサイドミラーにより後方の様子と見ながら運転する。車両Vを遠隔操作する場合においても、車両Vの前方の画像と後方の画像とが同時に、表示モニタ51に表示されるのが望ましい。
そのため、本実施形態の車両Vに搭載される撮像装置11は、前方方向(第1進行方向)を撮像する第1撮像装置11a~第3撮像装置11c(第1方向撮像装置)と、前方方向とは異なる後方方向(第2進行方向)を撮像する第4撮像装置11d~第6撮像装置11f(第2方向撮像装置)を含んでいる。
「レイアウト情報」は、第1撮像装置11a~第3撮像装置11cが撮像した前方方向の画像情報と、第4撮像装置11d~第6撮像装置11fが撮像した後方方向の画像情報とが、同時に表示されるよう構成されている。
【0063】
また、画像処理部110は、レイアウト情報に基づいて、第1撮像装置11a~第3撮像装置11cが撮像した前方方向の画像情報に、第4撮像装置11d~第6撮像装置11fが撮像した後方方向の画像情報を重畳して「合成画像」を生成する。これは車両Vが前方に進行する場合であり、例えば、車両Vが後方に進行する場合、後方方向の画像情報に、前方方向の画像を重畳して「合成画像」を生成する。なお、前方方向又は後方方向の画像情報に重畳する画像情報は、車両Vの左方向又は右方向を撮像した画像情報であってもよい。
【0064】
「合成画像」の例を、図5A図5Cに示す。
図5Aに示す「合成画像」では、車両Vの前方を撮像する第1撮像装置11aの画像情報FMが中央の第1モニタ51aに表示されるよう配置される。また、車両Vの右斜め前方を撮像する第2撮像装置11bの画像情報FRが、右側の第2モニタ51bに表示され、車両Vの左斜め前方を撮像する第3撮像装置11cの画像情報FLが、左側の第3モニタ51cに表示される。
【0065】
車両Vの後方を撮像する第4撮像装置11dの画像情報BMが、第1モニタ51aの上部に縮小された状態で表示されるよう、前方を撮像した画像情報FMに重畳される。車両Vの右斜め後方を撮像する第5撮像装置11eの画像情報BRが、第2モニタ51bの左側上部に縮小された状態で表示されるよう、画像情報FRに重畳される。車両Vの左斜め後方を撮像する第6撮像装置11fの画像情報BLが、第3モニタ51cの右側上部に縮小された状態で表示されるよう、画像情報FLに重畳される。
【0066】
また、サブカメラである第7撮像装置11gの画像情報FMsが、第1モニタ51aの下側に縮小した状態で表示されるよう、画像情報FMに重畳される。
第8撮像装置11hの画像情報BRsが、第2モニタ51bの右側上部に縮小された状態で表示されるよう、画像情報FRに重畳される。
第9撮像装置11iの画像情報BLsが、第3モニタ51cの左側上部に縮小された状態で表示されるよう、画像情報FRに重畳される。
【0067】
図5Bに「合成画像」の別例を示す。
第1撮像装置11a~第3撮像装置11cが撮像した画像情報FM、FL、FRの表示位置は同じであるが、他の画像情報FMs、BM、BL、BR、BLs、BRsを表示する範囲が、図5Aに示す「合成画像」と比較して大きくなるよう設定されている。
【0068】
図5Cは、バック走行時に生成する「合成画像」の例である。
進行方向情報が後方である場合、すなわちバック走行時においては、第1モニタ51aのみを用いて車両Vの後方を表示してもよい。この場合、第4撮像装置11dにより取得した画像情報BMを第1モニタ51aに表示されるよう配置する。第1撮像装置11aにより取得した前方の画像情報FMが、第1モニタ51aの上部に縮小した状態で表示されるよう、画像情報BMに重畳される。
なお、前方の画像情報FMが必要ない場合は、後方の画像情報BMのみを表示するよう設定されてもよい。
このように「合成画像」中、撮像装置から取得した画像情報を表示する大きさや位置に関する情報がレイアウト情報に設定されている。
【0069】
「レイアウト情報」には、画像処理部110が、車両Vの進行方向に応じて、異なる合成映像を生成することができるよう構成されている。例えば、図5A及び図5Bに示す車両Vが前方に進行している場合に、「合成画像」を生成する設定と、図5Cに示すように後方に進行している場合に、「合成画像」を生成する設定との両方が含まれている。前方と後方の設定が含まれることで、画像処理部110は、車両Vの進行方向に応じた、「合成画像」を生成することができ、操作装置50の表示モニタ51には、進行方向に応じた「合成画像」が表示されるようになる。
【0070】
なお、図5A図5Cに示す合成画像のレイアウトは一例であり、例えば、表示モニタ51の一部に車両情報等を示し、その周囲に画像情報を表示するようにしてもよい。また、車両の停止中に周囲の状況が確認できるよう、車両の左右の状況を示す画像情報BR、BLが表示モニタ51の中心に示すように設定されてもよい。
【0071】
なお、本実施形態において、前方を撮像する第1撮像装置11a、第2撮像装置11b及び第3撮像装置11cは、車両Vのボンネット及びフェンダを画像情報に含むよう撮像している。また、画像処理部110は、車両Vの一部が含まれた画像情報を用いて、車両Vの一部を表示した状態で「合成画像」を生成する。車両Vの一部が「合成画像」に含まれることにより、オペレータHは、車体の大きさ及び位置が把握できると共に、「合成画像」の車両Vの一部を目印にして車両Vを遠隔操作することができる。
【0072】
上記合成映像を生成し、生成した合成映像データを操作装置50に向けて送信することで、複数の外部映像データを送信する場合と比較して送信するデータ量を少なくし、データ通信にかかるコストを削減することができる。すなわち、データ量が少ないことにより、送信に必要な帯域が確保しやすくなり、少ない回線数で送信することが可能となる。
【0073】
操作装置50の機能について説明する。
<記憶部500>
記憶部500は、車両制御装置1から受信した「合成画像」、車両Vの進行方向の情報、入力部503により入力された「レイアウト情報」等の各種データ及びプログラムを記憶する。なお、レイアウト情報等の各種データは、ネットワークNに設けられた外部サーバに保存され、WEBブラウザ又はWEBアプリケーション等により送受信されてもよい。
【0074】
<通信部501>
通信部501(第2通信部)は、車両制御装置1から情報を受信する。本実施形態において、通信部501は、車両制御装置1から「合成画像」、車両Vの「位置情報」を受信する。通信部108は、操作装置50のCPUと通信装置60とにより実現されている。
【0075】
<表示部502>
表示部502は、通信部501が受信した情報を、表示モニタ51又はナビ表示モニタ52に表示する。表示部502は、車両制御装置1から受信した「合成画像」を表示モニタ51に表示し、ナビ表示モニタ52に車両Vの位置を地図情報に重ねて表示する。
【0076】
<入力部503>
入力部503は、オペレータHによってレイアウト情報を処理する。入力されたレイアウト情報は、通信部501によって、車両制御装置1に送信される。レイアウト情報が複数あり対応したレイアウトIDが定められいる場合は、レイアウトIDを送信してもよい。
【0077】
<通信制御部504>
通信制御部504は、通信部501が車両制御装置1から「合成画像」に係る情報を受信したとき、車両制御装置1の通信部108(第1通信部)との通信路を確立する。
車両遠隔操作システムは、複数の車両Vと複数の操作装置50とから構成されている。車両Vを遠隔操作する際、複数の操作装置50から1つの操作装置50が選択される。そのとき、車両Vに接続される操作装置50との接続は、遠隔操作が終了するまで通信路を保持しておく必要があり、この通信路は、最も高い優先通信先として、通信路が確保されるようになっている。この通信路を確保する手段として、車両Vは、複数台の通信装置を用いて、複数の通信回線と接続可能となっている。
【0078】
<音声出力部505>
音声出力部505は、車両制御装置1から受信した音声情報を処理する。音声情報は、スピーカ59から出力される。
【0079】
<<車両遠隔操作方法・プログラム>>
次に、車両制御装置1及び操作装置50により実行される車両遠隔操作方法(車両遠隔操作プログラム)について、図6のシーケンス図に基づいて説明する。
なお、本実施形態に係る車両遠隔操作方法は、車両制御装置1のCPU(第1コンピュータ)と、操作装置50のCPU(第2コンピュータ)とがプログラムにより実行する。すなわち、上記方法は、上述した車両制御装置1及び操作装置50の機能的な構成要素として、上述した機能を実現する各種プログラムを集約させたユーティリティプログラムにより実行される。
なお、上記方法・プログラムは、車両遠隔操作システムのオペレータHからの操作指示を受け付けて実行されるものである。
【0080】
遠隔操作を開始するとき、操作装置50のオペレータHが、表示モニタ51に表示させる「合成画像」の生成に用いられる「レイアウト情報」を入力する(レイアウト情報入力ステップS101)。「レイアウト情報」は、例えばタッチパネル57を介してオペレータHにより入力される。記憶部500が一旦「レイアウト情報」記憶する。「レイアウト情報」は手元にある複数のスイッチを用いて、予め定められたフォームからオペレータHが選択するようにしてもよい。オペレータHにより常時使うフォームがあり車両制御装置1の記憶部100に記憶されている場合は、オペレータHが特定された時点において自動で設定されてもよい。また、所定のフォームが、車両制御装置1又は操作装置50に記憶されている場合は、この工程を省略してもよい。
【0081】
操作装置50は、入力部503により「レイアウト情報」が入力された後、遠隔運転を開始する前に、通信部501により「レイアウト情報」を車両制御装置1に送信する(レイアウト情報送信ステップS102)。車両制御装置1の通信部108は、ネットワークNを介して遠隔操作の開始指示と共に「レイアウト情報」を受信する(レイアウト情報受信ステップS201)。
【0082】
「レイアウト情報」を受信した後、車両制御装置1の記憶部100が「レイアウト情報」を記憶する(レイアウト情報記憶ステップS202)。
次に、進行方向取得部111により、車両Vの進行方向の情報を取得する。進行方向によって、操作装置50の表示モニタ51に表示する画像が異なるからである。進行方向は車両Vのシフトポジションの位置によって判断する(進行方向取得ステップS203)。
【0083】
次に、車両制御装置1の画像処理部110が、外部情報取得部101により車両Vに搭載された9台の撮像装置11から撮像した画像情報を取得する(画像情報取得ステップS204)、記憶部100に記憶された「レイアウト情報」に基づいて、複数の画像情報を合成し、「合成画像」を生成する(合成画像生成ステップS205)。このとき、車両Vの進行方向によって「合成画像」を生成する「レイアウト情報」を切り替える。例えば、車両Vが前方に進行する場合は、車両の前方を撮像する第1撮像装置11a~第3撮像装置11cの画像をメインとした「合成画像」を生成する(図5A図5B参照)。車両Vがバック走行する場合は、車両の後方を撮像する第4撮像装置11dにより撮像した画像がメインとなるよう「合成画像」を生成する(図5C参照)。車両制御装置1の画像処理部110により「合成画像」を生成して送信するため、送信する画像の解像度が一定となり、送信に必要なデータ量が増加しないことから、送信する際に必要とされる通信回線の帯域を確保し易くなる。
【0084】
次に、車両制御装置1は、通信部108を用いて、画像処理部110が生成した「合成画像」を操作装置50に送信する(合成画像送信ステップS206)。この際、「合成画像」のデータ量を削減するために、「合成画像」のエンコードを実行してもよい。通信部108は、エンコードされた「合成画像」を操作装置50に送信する。
【0085】
この場合、車両制御装置1は、ハードウェア的にエンコードを行うエンコーダを備えてもよい。
エンコーダは、例えば、「合成画像」を映像符号化方式に従ってエンコードする。映像符号化方式は、例えば、MPEG(Moving Picture Expert Group)-2、H.264、H.265、VP8、VP9、AOMedia Video 1(AV1)等がある。エンコーダは、ハードウェアエンコーディングにより、「合成画像」からエンコードした映像データを生成する。ただし、エンコーダは、ソフトウエアエンコーディングにより、映像データを生成してもよい。
【0086】
次に、操作装置50は、通信部501が車両制御装置1から「合成画像」を受信したタイミングで、通信制御部504により車両制御装置1の通信部108との通信路を確立する(通信路確立ステップS103)。通信路を確立することで、車両Vの遠隔操作が終了するまで通信路を保持して、最も高い優先通路先として通信路を確保するようにする。
なお、通信制御部504による通信路の確立は、遠隔操作を開始した時点、又は、操作装置50が「レイアウト情報」を車両制御装置1に送信したときに実行されてもよい。
【0087】
操作装置50は、通信部501が、車両制御装置1の通信部108との通信路を確立した後、「合成画像」を受信する(合成画像受信ステップS104)。受信された「合成画像」は、表示部502によって、表示モニタ51に表示される(合成画像表示ステップS105)。受信した「合成画像」がエンコードされた映像データである場合、表示部502は、映像データを用いられた映像符号化方式に従ってデコードして表示する。
従来のように複数の撮像装置から直接画像情報を受信する場合、操作装置50は、操作装置50側で画像情報を配置して表示モニタに表示していた。操作装置50は、車両制御装置1により生成された「合成画像」を受信して表示するので、送信に必要な通信回線も少なく、また、受信するデータ量も少なくすることができる。車両制御装置1で生成された「合成画像」を受信するため、一部の画像が欠けることもなく、確実に受信することができる。また、進行方向に応じた「合成画像」を受信するため、進行方向を切り替えることで自動的に適切なレイアウトで「合成画像」を表示させることができる。
【0088】
<<解像度の切り替え>>
車両遠隔操作システムSでは、車両Vから送信された「合成画像」を表示モニタ51に表示することで、オペレータHは視覚的に車両周辺の状況を確認しながら、車両Vを遠隔操作している。そのため、車両Vの車両制御装置1は可能な限り、操作装置50に「合成画像」を送信する必要がある。そのため、車両制御装置1は、生成する「合成画像」の解像度を変更することで、通信環境に変化があった場合でも、送信可能なよう調整機能を有している。通信環境に応じて変更する流れについて図7を用いて説明する。
【0089】
まず、車両制御装置1の通信部108は、4Gの通信回線である第1通信回線で接続された車載通信装置40の3台の通信装置41(第1通信装置41a~第3通信装置41c)の通信状態を確認する。具体的には3つの通信回線それぞれの電波強度を計測する。通信回線の電波強度が所定の閾値αより大きい場合、「合成画像」を送信するのに十分な帯域が確保されていると判断する(S302でYes)。通信部108は、「合成画像」を縮小することなく高解像度の全面画像として、操作装置50に送信する(S303)。
【0090】
いずれかの通信装置41で電波強度が閾値αより低い場合、無線基地局RBとの接続が切断され、通信できない可能性がある。S302でNoの場合、3台の通信装置41が接続している無線基地局RBを変える可能性があるか判断する(S304)。3台の通信装置41が無線基地局RBを変える可能性がある場合(S0304でYes)、3台の通信装置41が無線基地局RBを同時に変えると、その瞬間において操作装置50との通信路が確保されなくなる可能性があることから、通信部108は、3台の通信装置41が同時に無線基地局RBを切り替えることないよう、回線切り替えのタイミングを変更する処理を実施する(S305)。
【0091】
次に、車両制御装置1は、4G回線(第1通信回線)で接続可能な回線数を計測する(S306)。1つの通信回線が切断され、2つの通信回線で通信可能な場合(S307でYes)は、3つの通信回線と接続する場合よりも「合成画像」を送信するの帯域が減少することから、変更前の「合成画像」と比べて低解像度の「合成画像」を3画面に表示するよう生成して送信するようにする(S308)。
【0092】
2つの通信回線が切断され、1回戦で接続可能かを判断する(S309)。1つの通信回線でのみ通信可能な場合(S309でYes)は、「合成画像」を送信可能な帯域がさらに減少することから、変更前の「合成画像」と比べて低解像度の「合成画像」を1画面に表示するよう生成して送信するようにする(S310)。
【0093】
全ての通信回線で4Gの通信回線で接続できなかった場合(S309でNo)、3Gの通信回線で接続することを試みる(S311)。3Gの通信回線で接続可能である場合(S311でYes)は、さらに高遅延・低解像度の1画面画像を送信する(S312)。3Gの通信回線で接続できない場合(S311でNo)は、通信路が確保できず「合成画像」を送信できないため、画像送信を停止して遠隔操作を中止する(S313)。
【0094】
なお、車両Vの移動に伴い、4G回線で接続可能な数が、2回線から3回線に増加した場合は、送信可能な帯域が増加するため、変更前の「合成画像」と比べて高解像度の「合成画像」を送信する。1回線から2回線、3回線に増加した場合も同様である。3Gの通信回線から4Gの通信回線に切り替わった場合も同様に、より高解像度の「合成画像」を送信する。
【0095】
このように、複数の無線通信回線を用いて、接続している回線数に応じて送信する車両周辺の「合成画像」の品質を調整することにより、車両Vの車両制御装置1は、可能な限り操作装置50に「合成画像」を送信することが可能となる。
【0096】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、図2に示すように、車両遠隔操作システムSが、車両制御装置1と、車載ECU30とを備えており、「自動運転機能(車載ECU30)」を搭載した車両Vに対して「遠隔運転機能(車両制御装置1)」を新たに付与するものであったが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、車両制御装置1が車載ECU30の機能も備えることとしてもよい。すなわち、車両遠隔操作システムSが、車両制御装置1(車載ECU30の機能を含む)と、車載センサ10と、車載ロケータ20と、車載通信装置40と、操作装置50と、から主に構成されていてもよい(車載ECU30を構成から外してもよい)。
【0097】
上記実施形態では、図2に示すように、車両遠隔操作システムSが、車両制御装置1と、車載ロケータ20とを備えているが、特に限定されることなく、車両制御装置1が車載ロケータ20を有することとしてもよい。
【0098】
上記実施形態では、車両制御装置1が読み取り可能な記録媒体に車両遠隔操作プログラムが記憶されており、車両制御装置1が当該プログラムを読み出して実行することによって処理が実行される。ここで車両制御装置1が読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。
その他、車両制御装置1となる端末(携帯端末)を利用して専用ウェブアプリケーションを起動させて、ウェブブラウザ上で車両遠隔操作プログラムが実行されることとしてもよい。
【0099】
上記実施形態では、主として本発明に係る車両遠隔操作システム及び車両遠隔操作方法に関して説明した。
車両遠隔操作システムSによれば、複数の撮像装置11のそれぞれから画像情報を取得し、車両制御装置1の画像処理部110がレイアウト情報に基づき合成画像を生成して操作装置50に送信することにより、撮像した全ての画像情報を送信する場合よりも、送信するデータ量を削減することができる。そのため、合成画像の送信に必要な帯域が一定となることから、通信コストを増加させることなく車両周囲の画像情報を送信することができる。また、通信に必要な帯域を確保し易くなり、より確実に送信することができる。また、車両側で合成した合成画像を操作装置50に送信するので、一部の通信回線が切断されることにより画像が欠けることがない。
なお、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0100】
S 車両遠隔操作システム
V 車両
V1 電動パワーステアリング
V1a ハンドル
V2 電動スロットル
V2a アクセルペダル
V3 電磁ブレーキ装置
V3a ブレーキペダル
1 車両制御装置
10 車載センサ
11 撮像装置
11a~11i 第1撮像装置~第9撮像装置
12 レーダ(ミリ波レーダ)
12a~12d 第1レーダ~第4レーダ
13 ライダ
13a~13e 第1ライダ~第5ライダ
20 車載ロケータ
21 GNSS受信機(RTK-GNSS受信機)
22 慣性計測装置(IMU)
30 車載ECU
31 総合ECU
32 ハンドルECU
33 アクセルECU
34 ブレーキECU
40 車載通信装置
41、41a、41b、41c 通信装置、第1通信装置、第2通信装置、第3通信装置
50 操作装置
51 表示モニタ
51a、51b、51c 第1モニタ、第2モニタ、第3モニタ
52 ナビ表示モニタ
53 ハンドル
54 アクセルペダル
55 ブレーキペダル
56 操作スイッチ
57 タッチパネル
58 マイク
59 スピーカ
60 通信装置
61 椅子
100 記憶部
101 外部情報取得部
107 位置特定部
108 通信部
109 車両制御部
110 画像処理部
500 記憶部
501 通信部
502 表示部
503 入力部
504 通信制御部
505 音声出力部
SA 人工衛星
ST 基準局
RB 無線基地局
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7