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特許7593810芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料の生産の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料の生産の方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20241126BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241126BHJP
   A23C 9/127 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A23L2/00 F
A23L33/135
A23L2/52
A23C9/127
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020566253
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019034169
(87)【国際公開番号】W WO2019231910
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】201810520602.8
(32)【優先日】2018-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391026058
【氏名又は名称】ザ コカ・コーラ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Coca‐Cola Company
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,トゥーシャー
(72)【発明者】
【氏名】バート,プラハント
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-225721(JP,A)
【文献】国際公開第2009/116864(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0116344(KR,A)
【文献】特表2002-522393(JP,A)
【文献】特表2012-505663(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1507812(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0175459(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0313951(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0015464(US,A1)
【文献】辻薦,食品の無菌化製造について,食品と開発9月号,第15巻, 第9号,1980年,23-30頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/
A23L 33/135
A23C 9/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料の生産の方法であって、
(i)ヨーグルトを含む酸性飲料を、23~33秒間の75℃~110℃に対応する滅菌条件下で滅菌するステップと;
(ii)バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を調製するために、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を滅菌水に分散させるステップと;
(iii)前記バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を、27~33秒間の75~78℃に対応する低温殺菌条件下で低温殺菌するステップと、
(iv)続いて、滅菌に続いて得られる前記酸性飲料、及び低温殺菌に続いて得られる前記芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を一緒に混合し、缶のパッケージ中に入れ、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料を得るステップと、
を含み、
前記室温酸性飲料に加えた芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の最初の濃度は1×10cfu/mlに対応し、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の濃度が、28℃の温度にて6カ月以内に10cfu/mlを下回らない、ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記室温酸性飲料のpH値が、2.0~4.4の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液の前記低温殺菌が、75~78℃にて27~33秒間行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
殺菌に続いて得られる前記酸性飲料、及び前記芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液は、滅菌充填又は熱充填によって、缶のパッケージ内に入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
滅菌に続いて得られる前記酸性飲料、及び低温殺菌に続いて得られる前記芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液が、インライン式混合に供された、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱充填が、70~88℃の充填温度にて行われ、二重充填機器が、滅菌に続いて得られる前記酸性飲料、及び低温殺菌に続いて得られる前記芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を缶のパッケージ内に入れるために使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
熱充填に続いて72℃にて180秒間又は65℃にて600秒間、容器内低温殺菌を行う、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年5月28日に出願された参照により本明細書中にその全体が組み込まれている中国特許出願第201810520602.8号に対する優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、飲料調製の技術分野に関する。さらに具体的には、本発明は、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料の生産の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
プロバイオティクスは、宿主に有益な活性微生物を指し、有益菌という用語は、ヒトの腸及び生殖器系にコロニー形成する有益な活性微生物を指すために使用される一般用語であり、同定可能な健康上の利益を生じさせ、宿主の微生物バイオームのバランスを改善し、有益な役割を果たすことができる。所与の人体が十分なプロバイオティクスを含有するとき、対応する人は、健康な状態にある。一旦、体内のミクロフローラがバランスを失い、例えば、異なる微生物種の比率が非常に変化するか、又は正常な範囲を超えるとき、対応する人は、一連の疾患、例えば、下痢、アレルギー、食欲不振、疲労、及び低免疫に直面し、人体自体の健康は悪影響を受ける。上記の場合、プロバイオティクスを含有する食物の適正な消費は、体内に含有されるミクロフローラのバランスをとることを助け、健康を回復させることができる。しかし、大部分の有益菌種は、芽胞を形成せず、乏しい耐酸性及び耐熱性、並びに加熱した食物又は加熱した酸性飲料においてこのような種を使用できないことをもたらす。
【0004】
飲料中にプロバイオティクスを導入することによって、体の水分補給を補充するだけでなく、体が必要としているプロバイオティクスを同時に補充することが可能となる。現在、商業市場で販売されている発酵性飲料は、滅菌(生きていない)飲料又は滅菌していない(生きている)飲料として分類される。滅菌(生きていない)飲料は、活性プロバイオティクスを含有しない。滅菌していない飲料は、発酵乳から直接ブレンド及び調製される。ブレンドに続いて滅菌が行われないため、全ての他の生の成分は溶解及び混合に続いて滅菌に供されるという事実にもかかわらず、微生物による汚染がブレンド及び充填プロセスの間に容易に起こる。したがって、滅菌していない飲料は、低温で貯蔵及び輸送しなくてはならず、2~10℃で貯蔵されたとき、典型的には3~30日のみの短い保存寿命を有する。
【0005】
「Regulations Pertaining to the Evaluation and Approval of Probiotic Health Foods」のセクション2、項目10は、「液体形態のプロバイオティクス及び有益菌健康食品の生産は推奨されない」ことを明確に記述している。上記のポリシーガイドライン、並びに生産プロセス及び製品特徴についての制限は、室温酸性飲料におけるプロバイオティクスの使用を限定してきており、商業市場で販売されている活性プロバイオティクスを含有する長保存寿命の飲料は現在存在しない。
【0006】
バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、通性嫌気性細菌のファミリーに属する有益菌の重要な種である。これは好気性及び嫌気性環境の両方において成長することができ、低酸素の腸環境に適応することができ、相対的に高い耐酸性及び胆汁耐性を示し、乳酸発酵を行い、腸のpHを低下させるL-乳酸を生成し、有害な細菌を阻害し、有益な細菌、例えば、ビフィズス菌の成長及び繁殖を促進することができる。バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、芽胞を形成することができ、他の乳酸と関連がないバチルス(Bacillus)種と比較して胃腸管のミクロ生態学的バランスを回復させるために有益である。バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、人体において約4~6時間で発芽することができ、細菌の85%は、消化器系を通過し、腸において最終的に発芽及び繁殖し得る。芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、芽胞が熱安定であり、胃液分泌において生存することができ、腸に付着したとき、十分な量の乳酸と病原菌の成長を拮抗的に阻害する他の物質とを生成するため、消費の前にそれらの生存率を保持することが既に見出されてきた。現在、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、低い含水量の食物、例えば、ビスケット、キャンディーなどにおいて既に使用されているが、生産プロセスなどにおける制限によって、長い保存寿命のドリンクにおけるバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の使用に関する研究はまだ行われていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、室温酸性飲料におけるバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の適用のための方法を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明の第1の目的は、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料の生産の方法を提供することであり、ここで、2ステップ滅菌プロセスを用いることによって、前記方法は、酸性飲料の安定性を効果的に維持し、且つ酸性飲料の保存寿命を相当に延長させるのに十分な滅菌に酸性飲料を供する間に、活性芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の濃度が関連性のある標準に一致することを確実にする。
【0009】
本発明の第2の目的は、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料を提供することであり、ここで、前記室温酸性飲料は、高い安定性を示し、棚上で室温にて貯蔵することができる。
【0010】
本発明の第1の目的に従って、本発明は、下記のステップを含む、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料の生産の方法を提供する:酸性飲料は、23~33秒間の75℃~110℃に対応する滅菌条件下で調製及び滅菌される。
【0011】
次いで、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を滅菌水に分散させ、このように得られたバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を、23~33秒間の70~90℃に対応する低温殺菌条件下で低温殺菌し;ここで、前記低温殺菌条件は、好ましくは、27~33秒間の75~78℃に対応すべきである。
【0012】
滅菌に続いて得られる酸性飲料、及び低温殺菌に続いて得られる芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を一緒に混合し、缶のパッケージ中に入れ、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料を得る。
【0013】
バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、好気性及び嫌気性環境の両方において成長することができ、低酸素の腸環境に適応することができ、相対的に高い耐酸性及び胆汁耐性を示す、通性嫌気性細菌の1タイプである。細菌は、乳酸発酵を行い、腸のpHを低下させるL-乳酸を生成し、有害な細菌を阻害し、有益な細菌、例えば、ビフィズス菌の成長及び繁殖を促進することができる。バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、芽胞を形成することができ、他の乳酸と関連がないバチルス(Bacillus)種と比較して胃腸管のミクロ生態学的バランスを回復させ、且つこれを消費する個体の健康を促進するのに有益である。バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は芽胞を形成することができるため、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)は、他の一般のプロバイオティクスと比較して強い耐熱性及び耐酸性の特徴を示す。
【0014】
本発明において、粉末のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を滅菌水に分散させ、一方では、製品中の細菌の分散性を改善させ、他方では、液体形態のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液は、好ましくは、1:5の細菌ストックと水の比で低温殺菌に供することができる。
【0015】
バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液の低温殺菌を行う、本発明において特定したバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の低温殺菌条件を使用することによって、相対的に高温を使用して酸性飲料を最初に十分に滅菌し、次いで、より低い温度にてバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を独立に処理し、缶のパッケージ中に入れることが完了した後、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)培養物の完全な生存を観察することが可能であるか、又は対数減少0.2を被るのみである。国際標準によると、完成製品の段階において、活性乳酸飲料は、1×10cfu/ml~1×1012cfu/mlの活性細菌を含有しなくてはならない。本発明によって提供される芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の添加のための方法を使用することによって、滅菌が行われる後でさえ活性細菌含量の標準をやはり満足させることが可能であるが、ただし、加えたバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の最初の濃度は適切である。
【0016】
さらに、酸性飲料の相対的に完全な滅菌が達成されるため、本発明によって構成される添加方法によって得られる室温酸性飲料は、室温にて少なくとも6カ月間安定に貯蔵することができ、相対的に長い保存寿命を有する。
【0017】
本発明の状況において、室温は、温度が28℃を超えない環境を指すことに留意すべきである。
【0018】
好ましくは、前記室温酸性飲料は、室温のヨーグルト、ジュース、フレーバー付き水、ジュースをベースとする茶飲料若しくはスポーツ飲料に対応すべきであるか、又は芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を加えることができる任意の他の酸性飲料に対応すべきである。
【0019】
好ましくは、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の耐酸性を鑑みて、本発明の状況において、室温酸性飲料のpHは、2.0~4.4の範囲であるべきであり、より好ましくは、前記室温酸性飲料のpH値は、3.7~4.3の範囲であるべきである。
【0020】
好ましくは、本発明の特定の実施形態では、前記室温酸性飲料に加えた芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の最初の濃度が、1×10cfu/mlに対応するとき、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の濃度が、28℃の温度にて6カ月以内に10cfu/mlの下に低下しないことを確実にすべきである。
【0021】
好ましくは、滅菌に続いて得られる酸性飲料、及び低温殺菌に続いて得られる芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を缶のパッケージ中に入れるために使用される方法は、滅菌充填又は熱充填を含むべきである。
【0022】
好ましくは、前記滅菌充填方法において、滅菌に続いて得られる酸性飲料、及び低温殺菌に続いて得られる芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液は、インライン式混合に供されるべきである。
【0023】
好ましくは、前記熱充填方法は、70~88℃の充填温度で行うべきであり、二重充填機器を使用して、滅菌に続いて得られる酸性飲料、及び低温殺菌に続いて得られる芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を缶のパッケージ中に入れるべきである。
【0024】
好ましくは、前記室温酸性飲料の生産のために使用される方法はまた、熱充填に続いて容器内低温殺菌を行うことが関与すべきであり、ここで、滅菌は、72℃にて180秒間又は65℃にて600秒間行われる。容器内低温殺菌は、生産プロセスの間に製品を汚染している他の微生物をさらに死滅させ、前記室温酸性飲料の安定性を増進し得る。
【0025】
本発明の第2の目的に従って、本発明はまた、室温酸性飲料、例えば、上記で特定したものの生産のための方法によって調製された、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する室温酸性飲料を提供する。前記室温酸性飲料中の病原菌は、効果的に除去することができ、心地良いテクスチャーを残し、飲む人の健康に利益を与える。
【0026】
本発明の利点は、下記の通りである。本発明は、芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を室温酸性飲料に加える方法を提供し、ここで、適切な量の芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を、前記方法の部分として最初に加え、2ステップ滅菌プロセスを用いることによって、前記方法は、酸性飲料を十分な滅菌に供して、酸性飲料のフレーバー及びテクスチャーに影響を与えることなく、生産の間に飲料を汚染している有害な細菌を除去し、酸性飲料の安定性を効果的に維持し、酸性飲料の保存寿命を相当に延長させる一方で、活性芽胞バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の濃度が、関連性のある標準に一致することを確実にする。本発明はまた、前記添加方法によって調製した酸性飲料を提供し、ここで、前記飲料は、好ましいテクスチャー及び良好な安定性を有し、棚上で室温にて少なくとも6カ月間貯蔵することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
特定の実施形態
本発明をより明確に例示するために、本発明を、対応する好ましい実施形態と併せて下記でさらに説明する。下記の詳細な説明は、例示的なものであり、限定されるものではないことを意図し、本発明の保護範囲を限定すると解釈すべきではないことを当業者は理解すべきである。
【0028】
本発明者らは、本発明によって構成されるバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を、ヨーグルト、酸性乳製品及びヨーグルト飲料(ジュースを伴う若しくは伴わない)における適用を含めた、異なる粘度及びテクスチャーの長保存寿命の酸性飲料に加えるための方法を適用した。前記製品は、pHが3.7~4.3の範囲であり、タンパク質含量が0.5~2.7%の範囲であり、脂肪含量が0.5~2.7%の範囲であった。本発明に含まれる実施例及び比較例について、2つの異なる供給業者によって提供された芽胞タイプのバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)で試験を行った。
【0029】
下記の実施例及び比較例において加えたバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の最初の量を、表1に示す。
【実施例
【0030】
実施例1
1.原料
長保存寿命のヨーグルト(2.7%のタンパク質を含有)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、滅菌水。
2.方法
2.1.環境的に長保存寿命のヨーグルトを、75℃にて25秒間滅菌した。
2.2.(1:5の細菌ストックと水の比で)バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を滅菌水に分散させ、溶液を75℃にて25秒間低温殺菌した。
2.3.ステップ2.1において得た滅菌ヨーグルト、及びステップ2.2において得たバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)溶液を、インライン式混合に供し、缶のパッケージ中へと滅菌して供給し、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する完成品のヨーグルト製品を得た。
3.結果
長保存寿命のヨーグルト自体は少数のみの微生物を含有するため、これは75℃にて25秒間完全に滅菌することができる。本明細書に記載されている方法によって生産されたバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有する長保存寿命のヨーグルトは、心地良いテクスチャー及び口あたりを示した。試験は、最終製品のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の数において対数減少を示さなかった。
【0031】
実施例2
1.原料
ヨーグルトベース(2.0%のタンパク質を含有)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、滅菌水を含有するヨーグルトドリンク。
2.方法
2.1.ヨーグルトドリンクを調製し、110℃の温度にて30秒間滅菌に供した。
2.2.(1:5の細菌ストックと水の比で)バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を滅菌水に分散させ、これを88℃の温度にて30秒間低温殺菌した。
2.3.上記の2ステップにおいて得られた溶液を、88℃の温度にて熱充填に供し、最終のヨーグルトドリンク製品を得た。
3.結果
バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有するヨーグルトドリンクは、好ましいテクスチャー及び口あたりを示した。試験は、最終製品中のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)において対数減少0.2を示した。
【0032】
実施例3
1.原料
フレーバー付きヨーグルトドリンク(1.0%のタンパク質を含有)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、滅菌水。
2.方法
2.1.フレーバー付きヨーグルトドリンクを調製し、110℃の温度にて30秒間滅菌に供した。
2.2.(1:5の細菌ストックと水の比で)バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を滅菌水に分散させ、これを78℃の温度にて30秒間低温殺菌した。
2.3.上記の2ステップにおいて得た溶液を、78℃の温度で熱充填に供した。
2.4.第2の容器内低温殺菌を65℃の温度にて600秒間行い、完成品のフレーバー付きヨーグルトドリンク製品を得た。
3.結果
バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有するフレーバー付きヨーグルトドリンクは、好ましいテクスチャー及び口あたりを示した。試験は、最終製品のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)において対数減少を示さなかった。
【0033】
実施例4
1.原料
ヨーグルトベース(2.0%のタンパク質を含有)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、滅菌水を含有するヨーグルトドリンク。
2.方法
2.1.ヨーグルトベース(2.0%のタンパク質を含有)を含有するヨーグルトドリンクを調製し、低温殺菌に110℃の温度で30秒間供した。
2.2.(1:5の細菌ストックと水の比で)バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を滅菌水に分散させ、これを78℃の温度にて30秒間低温殺菌した。
2.3.上記の2ステップにおいて得た溶液を、78℃の温度にて熱充填に供した。
2.4.容器内低温殺菌を72℃にて180秒間行い、ヨーグルトベースを含有する完成品のヨーグルト製品を得た。
3.結果
バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)を含有するヨーグルトドリンクは、好ましいテクスチャー及び口あたりを示した。試験は、最終製品のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)において対数減少を示さなかった。
【0034】
比較例1
1.原料
ヨーグルトベース(2.0%のタンパク質を含有)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、滅菌水を含有するヨーグルトドリンク。
2.方法
2.1.バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)をヨーグルトベース(2.0%のタンパク質を含有)を含有するヨーグルトドリンクに加え、1×10cfu/mlのバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)濃度を有する均一な製品を得た。
2.2.従前のステップにおいて得た均一な製品を、110℃の温度にて30秒間滅菌し、熱充填を行った。
3.結果
滅菌したヨーグルトドリンクは、好ましいテクスチャー及び口あたりを示した。しかし、試験は、最終製品中のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)において対数減少7を示した。
【0035】
比較例2
1.原料
フレーバー付きヨーグルトドリンク(1.0%のタンパク質を含有)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)、滅菌水。
2.方法
2.1.バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)をフレーバー付きヨーグルトドリンク(1.0%のタンパク質を含有)に加え、1×10cfu/mlのバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)濃度を有する均一な製品を得た。
2.2.従前のステップにおいて得た均一な製品を、110℃の温度にて30秒間滅菌し、熱充填を行った。
3.結果
滅菌したヨーグルト製品は、好ましいテクスチャー及び口あたりを示した。しかし、試験は、最終製品中のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)において対数減少7を示した。
【0036】
試験例
本発明者らは、実施例及び比較例において得た酸性飲料中のバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の最大の生存率を試験し、試験結果を下記の表において示す。
【0037】
【表1】
【0038】
上記の試験結果は、本発明において提供する方法によって生産された酸性飲料について、汚染物質である細菌は、その中に含有されているバチルスコアグランス(Bacillus coagulans)の数についての国際標準を同時に満足させる一方で、完全に除去することができることを示し、2ステップ滅菌方法は、酸性飲料のフレーバー及びテクスチャーに影響を与えることなく、酸性飲料の安定性を効果的に維持し、酸性飲料の保存寿命を延長することができる。本発明はまた、前記添加方法によって調製された酸性飲料を提供し、ここで、前記飲料は、好ましいテクスチャー及び良好な安定性を有し、棚上で室温にて少なくとも6カ月間貯蔵することができる。
【0039】
本発明に関する上記の実施例は、本発明の単に例示であり、本発明の実施形態の範囲を限定することを意図しないことは明らかであるはずである。当業者は上記の説明に対して様々な変更及び修正を行ってもよく、実施形態の完全なリストは本明細書で提供することはできない。本発明によって構成される技術的解決法に対して行われる任意の明らかな変更又は修正は、本発明の保護範囲内に含まれる。