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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/42 20060101AFI20241126BHJP
   G01F 1/115 20060101ALI20241126BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20241126BHJP
【FI】
G01F1/42 C
G01F1/115
G01F1/00 S
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021018966
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022121957
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】成田 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 亮
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-096791(JP,A)
【文献】特開2017-117062(JP,A)
【文献】特開2017-118623(JP,A)
【文献】特開2017-155669(JP,A)
【文献】特開2017-155668(JP,A)
【文献】特開2022-121954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00-9/02
G05D 7/00-7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン流路を形成するメイン管の第1部位に接続される上流端と、前記メイン管の前記第1部位よりも下流の第2部位に接続される下流端とを備え、前記メイン流路をバイパスするバイパス流路を形成するバイパス管と、
前記バイパス流路に配置され、前記バイパス流路を流れる流体により回転する回転体と、
前記回転体の角速度及びトルクに基づいて、前記バイパス流路の前記回転体よりも上流側の流体圧力と前記回転体よりも下流側の流体圧力との差圧を導出するように構成された差圧導出部と、
前記差圧導出部により導出された前記差圧と、前記メイン管の前記第1部位と前記第2部位との間に配置されて前記メイン流路の開口面積を制御するメイン側弁体の開度とに基づいて、前記メイン流路を流れる流体の流量を導出するように構成された流量導出部と、
を備える流量計。
【請求項2】
前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、
前記差圧導出部は、前記角速度と前記トルクと前記バイパス側弁体の開度とに基づいて前記差圧を導出するように構成されている、
請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記流量導出部は、前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記バイパス流路を流れる流体の流量を導出し、導出した前記メイン流路の前記流量と前記バイパス流路の前記流量とを加算して、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を導出するように構成されている、
請求項1又は2に記載の流量計。
【請求項4】
前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、
前記流量導出部は、前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方と、前記バイパス側弁体の開度と、に基づいて、前記バイパス流路を流れる前記流体の流量を導出するように構成されている、
請求項3に記載の流量計。
【請求項5】
前記回転体としてタービンを備え、前記タービンの回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行う発電機を備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の流量計。
【請求項6】
前記流量導出部は、前記発電機を駆動して前記タービンのトルクを制御することで前記バイパス流路を流れる流体の流量を制御するように構成されている、
請求項5に記載の流量計。
【請求項7】
前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、
前記流量導出部は、前記発電機を駆動して前記タービンのトルクと、前記バイパス側弁体の開度とを制御することで前記バイパス流路を流れる流体の流量を制御するように構成されている、
請求項6に記載の流量計。
【請求項8】
前記流量導出部は、
前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記バイパス流路を流れる流体の流量を導出し、
前記メイン流路の前記流量と前記バイパス流路の前記流量とを加算して、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を導出し、
前記総流量をフィードバック値として、少なくとも前記タービンの前記トルクと前記メイン側弁体の開度とを制御することにより、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を制御する、ように構成されている、
請求項6又は7に記載の流量計。
【請求項9】
前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、
前記流量導出部は、
前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方と、前記バイパス側弁体の開度と、に基づいて、前記バイパス流路を流れる前記流体の流量を導出し、
前記総流量をフィードバック値として、前記タービンの前記トルクと前記メイン側弁体の開度と前記バイパス弁体の開度とを制御することにより、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を制御する、ように構成されている、
請求項8に記載の流量計。
【請求項10】
前記メイン管をさらに備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の流量計。
【請求項11】
前記バイパス管は、前記メイン管と別体に設けられ、前記メイン管と接続可能な形状に構成されている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を流れる流体の流量を計測する流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流量計として、特許文献1に開示されているような流量制御弁が知られている。この流量制御弁は、流体が流れる流路における、弁体の上流側と下流側との差圧と、弁体の開度と、に基づいて、当該流路を流れる流体の流量を計測し、計測した流量をフィードバック値として弁体の開度を調整することで流体の流量を制御する。この流量制御弁では、流路の内壁における弁体の上流側及び下流側の各位置に設けられた2つの圧力センサにより差圧が計測される。なお、差圧は、圧力センサの一種である差圧センサで計測されることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-39534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の流量制御弁では、圧力センサが、流路を構成するバルブボディに搭載されるため、圧力センサの設置環境は比較的厳しいことがある。また、圧力センサが故障したときなどを考慮して、圧力センサを用いずに流体の流量を計測する手段を確保しておきたい場合もある。
【0005】
本発明は、圧力センサを用いずに流体の流量を計測することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る流量計は、メイン流路を形成するメイン管の第1部位に接続される上流端と、前記メイン管の前記第1部位よりも下流の第2部位に接続される下流端とを備え、前記メイン流路をバイパスするバイパス流路を形成するバイパス管と、前記バイパス流路に配置され、前記バイパス流路を流れる流体により回転する回転体と、前記回転体の角速度及びトルクに基づいて、前記バイパス流路の前記回転体よりも上流側の流体圧力と前記回転体よりも下流側の流体圧力との差圧を導出するように構成された差圧導出部と、前記差圧導出部により導出された前記差圧と、前記メイン管の前記第1部位と前記第2部位との間に配置されて前記メイン流路の開口面積を制御するメイン側弁体の開度とに基づいて、前記メイン流路を流れる流体の流量を導出するように構成された流量導出部と、を備える。
【0007】
前記流量計は、前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、前記差圧導出部は、前記角速度と前記トルクと前記バイパス側弁体の開度とに基づいて前記差圧を導出するように構成されている、ようにしてもよい。
【0008】
前記流量導出部は、前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記バイパス流路を流れる流体の流量を導出し、導出した前記メイン流路の前記流量と前記バイパス流路の前記流量とを加算して、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を導出するように構成されている、ようにしてもよい。
【0009】
前記流量計は、前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、前記流量導出部は、前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方と、前記バイパス側弁体の開度と、に基づいて、前記バイパス流路を流れる前記流体の流量を導出するように構成されている、ようにしてもよい。
【0010】
前記流量計は、前記回転体としてタービンを備え、前記タービンの回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行う発電機を備える、ようにしてもよい。
【0011】
前記流量導出部は、前記発電機を駆動して前記タービンのトルクを制御することで前記バイパス流路を流れる流体の流量を制御するように構成されている、ようにしてもよい。
【0012】
前記流量計は、前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、
前記流量導出部は、前記発電機を駆動して前記タービンのトルクと、前記バイパス側弁体の開度とを制御することで前記バイパス流路を流れる流体の流量を制御するように構成されている、ように構成されてもよい。
【0013】
前記流量導出部は、前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方に基づいて、前記バイパス流路を流れる流体の流量を導出し、前記メイン流路の前記流量と前記バイパス流路の前記流量とを加算して、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を導出し、前記総流量をフィードバック値として、少なくとも前記タービンの前記トルクと前記メイン側弁体の開度とを制御することにより、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を制御する、ように構成されている、ようにしてもよい。
【0014】
前記流量計は、前記バイパス流路の開口面積を制御するバイパス側弁体をさらに備え、前記流量導出部は、前記差圧導出部により導出された前記差圧と前記角速度及び前記トルクとの少なくともいずれか一方と、前記バイパス側弁体の開度と、に基づいて、前記バイパス流路を流れる前記流体の流量を導出し、前記総流量をフィードバック値として、前記タービンの前記トルクと前記メイン側弁体の開度と前記バイパス弁体の開度とを制御することにより、前記メイン流路及び前記バイパス流路を流れる流体の総流量を制御する、ように構成されている、ようにしてもよい。
【0015】
前記流量計は、前記メイン管をさらに備える、ようにしてもよい。
【0016】
前記バイパス管は、前記メイン管と別体に設けられ、前記メイン管と接続可能な形状に構成されている、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧力センサを用いずに流体の流量を計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る流量計を適用したタービン式流量制御装置を用いた空調制御システムの構成図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る流量計を適用したタービン式流量制御装置を模式的に示した構成図である。
図3図3は、図2のタービン式流量制御装置における発電機の要部を抜き出して示した斜視図である。
図4図4は、図2のタービン式流量制御装置の要部のブロック図である。
図5図5は、第1実施形態の変形例に係るタービン式流量制御装置の要部のブロック図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係るタービン式流量制御装置を模式的に示した構成図である。
図7図7は、図6のタービン式流量制御装置の要部のブロック図である。
図8図8は、第2実施形態の変形例に係るタービン式流量制御装置の要部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る流量計をタービン式流量制御装置に適用した実施形態及びその変形例について、図面を参照して説明する。下記の実施形態及びその変形例それぞれで、同じ、類似、又は、対応する部材乃至要素については同じ符号を付し重複説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る流量計を適用したタービン式流量制御装置10は、図1に示すように、部屋R(制御対象空間)の空調を制御する空調制御システム1に適用されている。以下、空調制御システム1を説明してから、タービン式流量制御装置10を説明する。
【0021】
空調制御システム1は、タービン式流量制御装置10の他、FCU(Fan Coil Unit)2と、配管3と、温度センサ4と、空調コントローラ5と、を備える。
【0022】
FCU2は、部屋Rに、調和された空気を供給するように構成されており、ファン2Aと、熱交換器(冷温水コイル)2Bとを備えている。ファン2Aは、部屋Rの空気をFCU2内に取り込み、その後部屋Rに吐き出す。他方、熱交換器2Bには冷温水を循環させる配管3が接続されている。熱交換器2Bは、配管3から流れ込む冷温水と、ファン2Aにより取り込まれた空気と、で熱交換を行う。冷房時の冷温水は、不図示の室外機等により冷却された冷水であり、暖房時の冷温水は、不図示の室外機等により温められた温水である。冷房時には、冷水と空気との熱交換によりFCU2から冷たい空気が吐き出される。暖房時には、温水と空気との熱交換によりFCU2から暖かい空気が吐き出される。
【0023】
タービン式流量制御装置10は、配管3の途中に配置されており、配管3内を流れる冷温水の流量をタービン35A(図2)により制御する(詳細は後述)。
【0024】
温度センサ4は、部屋R内に設けられ、部屋R内の温度を計測する。計測された温度は、空調コントローラ5へ送られる。
【0025】
空調コントローラ5は、PLC(Programmable Logic Controller)等のコンピュータからなる。空調コントローラ5は、温度センサ4で計測された温度と、部屋Rの室温の設定値との偏差を零とする制御出力として、FCU2の熱交換器2Bへの冷温水の流量設定値Qspを演算し、この演算した流量設定値Qspをタービン式流量制御装置10に送る。タービン式流量制御装置10は、空調コントローラ5からの流量設定値Qspに基づいて配管3を流れる冷温水の流量を制御する。空調コントローラ5からの冷温水の流量設定値Qspが変化すると、すなわち冷温水の供給先の負荷変動によって冷温水の流量設定値Qspが変化すると、タービン式流量制御装置10は、この変化に追従して、配管3を流れる冷温水の流量を変化させる。
【0026】
次に、タービン式流量制御装置10を、図2及び図3を参照して説明する。なお、以下の説明において、タービン式流量制御装置を単に流量制御装置10とも呼ぶ。
【0027】
図2に示すように、流量制御装置10は、メイン管部20と、バイパス管部30と、コントローラ40と、蓄電池50と、を備える。
【0028】
メイン管部20は、メイン管21と、弁体(メイン側弁体)22と、弁軸23と、モータ24と、弁体開度センサ25と、を備える。
【0029】
メイン管21は、その両端が配管3に接続されることで、配管3の途中に配置される。メイン管21は、配管3の流路3Aとともに冷温水の循環路を構成するメイン流路21Aを形成する。メイン流路21Aは、メイン管21の中空部であり、配管3の流路3Aとほぼ同じ断面(流路の中心軸に直交する方向に切った断面。以下、断面について同じ。)を有する。
【0030】
弁体22は、メイン流路21Aに配置されている。弁体22は、回転することでメイン流路21Aの開口面積を変化させ、これにより、メイン流路21Aを流れる冷温水の流量を調整する。弁体22にはモータ24により回転する弁軸23が接続されており、弁体22は、モータ24により回転する。弁体開度センサ25は、弁軸23の回転位置を検出することで、メイン流路21Aの開口面積を規定する弁体22の開度である弁体開度D1を検出する。
【0031】
バイパス管部30は、バイパス管31と、ゲート弁(バイパス側弁体)32と、リニアモータ33と、ゲート弁開度センサ34と、発電機35と、位置センサ36と、を備える。
【0032】
バイパス管31は、メイン管21に接続され、メイン管21のメイン流路21Aをバイパスするバイパス流路31Aを形成している。バイパス管31とメイン管21とは溶接等により接合されており、一体となっている。バイパス管31の上流端31Mは、メイン管21の弁体22よりも上流側の第1部位21Mに接続されている。バイパス管31の下流端31Nは、メイン管21の弁体22よりも下流側の第2部位21Nに接続されている。弁体22は、メイン管21の後述の第1部位21Mと第2部位21Nとの間に配置されている。以上のような構成により、配管3の流路3Aからメイン流路21Aを流れる冷温水の一部は、弁体22よりも上流の位置でバイパス流路31Aに流入し、弁体22よりも下流の位置で再度メイン流路21Aに流入する。バイパス流路31Aの断面は、メイン流路21Aの断面よりも小さい。換言すると、バイパス流路31Aは、メイン流路21Aよりも細い。
【0033】
ゲート弁32は、バイパス流路31Aに配置されている。ゲート弁32は、リニアモータ33により直線移動することで、バイパス流路31Aの開口面積を変化させる。ゲート弁開度センサ34は、リニアモータ33の可動子の位置を検出することで、バイパス流路31Aの開口面積を規定するゲート弁32の開度であるゲート弁開度D2を検出する。なお、ゲート弁32を直線移動させる機構は、リニアモータ33に限定されない。この機構は、例えば、モータと、モータの回転を直線移動に変換させる変換機構(例えば、ピニオンギア及びラックギア)とを含んで構成されてもよい。このような場合、ゲート弁開度センサ34は、例えば、モータにより回転する軸の回転位置を検出することで、ゲート弁開度D2を検出する。
【0034】
発電機35は、バイパス管31の途中の、ゲート弁32よりも上流側の位置に配置されている。発電機35は、バイパス流路31Aを流れる冷温水により発電を行う。発電機35は、バイパス流路31Aを流れる冷温水により回転するロータであるタービン35Aと、タービン35Aの外周を囲み、タービン35Aの回転エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電を行うステータ35Bと、を備える。
【0035】
図3に示すように、タービン35Aは、リング35AAと、リング35AAの内側の位置にリング35AAと一体的に設けられた羽根車35ABとから構成されている。リング35AAには、永久磁石が組み込まれている。羽根車35ABは、バイパス流路31Aを流れる冷温水を受けて、リング35AAとともに回転する。
【0036】
ステータ35Bは、円筒状の鉄心と、鉄心に固定子巻線として巻き回された複数のコイルとを備え(図示略)、冷温水を受けて回転するタービン35Aの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。これにより、タービン35Aの回転による発電が行われる。
【0037】
後述のように、発電機35には、外部から電力Eが供給される場合がある。この場合、ステータ35Bの固定子巻線に電流が流れ、発電機35は、タービン35Aのトルクを制御するモータとして機能する。このように発電機35は、外部からの電気エネルギーをタービン35Aの回転エネルギーに変換することも可能である。タービン35Aのトルク制御により、バイパス流路31Aを流れる冷温水の流量が制御される。なお、この実施の形態では、冷温水の流量の制御は、タービン35Aのトルク制御とゲート弁32の開度制御とにより行われる。
【0038】
ステータ35Bには、位置センサ36が取り付けられている。位置センサ36は、タービン35Aの回転位置Rtを検出する。位置センサ36としては、例えば、インクリメンタルエンコーダが採用されるが、どのようなセンサが採用されてもよい。位置センサ36は、タービン35Aのリング35AAに組み込まれた永久磁石の磁極を検出することで、回転位置Rtを検出するセンサであってもよい。
【0039】
図2に戻り、コントローラ40は、メイン管部20のモータ24と、バイパス管部30のリニアモータ33及び発電機35と、を制御することで、メイン流路21A及びバイパス流路31Aの冷温水の総流量を制御する。これにより、配管3の流路3Aを流れる冷温水の流量が制御される。コントローラ40は、バイパス流路31Aを流れる冷温水の流量を制御する際、ゲート弁32のゲート弁開度を制御するとともに、発電機35のタービン35Aのトルクを制御することでバイパス流路31Aを流れる冷温水の流量を制御する。コントローラ40は、タービン35Aのトルクを制御する際、発電機35に電気エネルギー(電力E)を与えて発電機35を駆動してタービン35Aにトルクを与える力行制御と、発電機35に電気エネルギーを与えずに発電機35により発電を行わせて電気エネルギーを回収する回生制御と、を行う。コントローラ40は、バイパス流路31Aの流量を増加させるときには、例えば、ゲート弁開度を増加させる制御、及び、タービン35Aの角速度を増加させる制御のうちの少なくとも一方を行う。コントローラ40は、バイパス流路31Aの流量を減少させるときには、例えば、ゲート弁開度を減少させる制御、及び、タービン35Aの角速度を減少させる制御のうちの少なくとも一方を行う。コントローラ40は、回収した電気エネルギーにより蓄電池50を充電する制御も行う。
【0040】
コントローラ40は、図4に示すように、データ通信部41と、システム制御部42と、流量制御部43と、発電機制御部44と、インバータ45と、電源回路48と、を備えている。システム制御部42と流量制御部43と発電機制御部44とは、例えば、メモリと、このメモリに記録されたプログラムを実行する1又は複数のプロセッサとを含む各種のコンピュータにより構成される。システム制御部42と流量制御部43と発電機制御部44とは、コンピュータ以外の各種回路により構成されてもよい。
【0041】
データ通信部41は、各種の通信モジュールにより構成され、空調コントローラ5と有線通信を行う通信機能を有する。ここでは、データ通信部41は、空調コントローラ5とデジタルデータで通信するものとする。
【0042】
システム制御部42は、タービン式流量制御装置10のシステム全体を制御する。システム制御部42は、データ通信部41を介して空調コントローラ5から各種の設定値等の各種データを受信し、データ通信部41を介して空調コントローラ5にタービン式流量制御装置10の内部状態等の各種データを送信する。システム制御部42は、前記設定値のうちの1つとして、空調コントローラ5からの流量設定値Qspを流量制御部43へ出力する。
【0043】
流量制御部43には、システム制御部42が出力した流量設定値Qspと、発電機制御部44が出力したタービン35Aの現在の角速度ωおよびトルクT(詳細は後述)と、が入力される。さらに、流量制御部43には、弁体開度センサ25が検出した弁体開度D1と、ゲート弁開度センサ34が検出したゲート弁開度D2と、が入力される。流量制御部43は、入力された上記各データに基づいて、モータ24、リニアモータ33、発電機35等を制御し、メイン流路21Aを流れる冷温水とバイパス流路31Aを流れる冷温水の総流量を制御する。
【0044】
流量制御部43は、メイン流路21Aを流れる冷温水の実流量Q1、バイパス流路31Aを流れる冷温水の実流量Q2を導出する。流量制御部43は、実流量Q1と実流量Q2とを加算して、メイン流路21Aとバイパス流路31Aを流れる冷温水の総実流量Q3を導出する。この例を以下に説明する。なお、「導出」には、計算で導出対象を得ることの他、コントローラ40に適宜設けられるメモリに格納されたテーブルを参照することで導出対象を得ることも含まれる。計算式又はテーブルの内容は、流体力学の法則、次元解析(バッキンガムのπ定理等)、タービン35A等の各種部材の仕様、実験等により予め定められる。
【0045】
ここでの実流量Q1及びQ2の導出には、無次元化された変数が使用される。この変数は、次元解析により得られる。具体的に、バイパス流路31Aを流れる冷温水の流量Q2と、バイパス流路31Aのタービン35Aを挟んだ上流側と下流側の間の差圧ΔPと、タービン35AのトルクT及び角速度ωとに注目し、バッキンガムのπ定理により次元解析を行うと、下記の式(1)~(3)が得られる。πqは無次元流量、πpは無次元差圧、πtは無次元トルク、ρは冷温水の密度、dはタービン35Aの直径を表す。
πq=Q2/(d*ω)・・・(1)
πp=ΔP/(ρ*d*ω)・・・(2)
πt=T/(ρ*d*ω)・・・(3)
【0046】
実験により、特定ピッチ開度ごとのゲート弁開度D2において、無次元トルクと無次元流量、又は、無次元トルクと無次元差圧の関係が均等になるように、タービン35Aの角速度ωを操作して、バイパス流路31Aの流量Q2及び差圧ΔPと、タービン35AのトルクTを実際に測定する。特に、流量Q2及び差圧ΔPについては、各種のセンサにより測定される。その後、測定結果に基づいて、無次元流量πq及び無次元差圧πpを、無次元トルクπt及びゲート弁開度D2の関数として、下記式(4)及び(5)を定義する。
πq=fq(πt,D2)・・・(4)
πp=fp(πt,D2)・・・(5)
【0047】
流量制御部43は、バイパス流路31Aの実流量Q2を導出する際には、まず、角速度ωおよびトルクTとゲート弁開度D2とに基づいて、上記式(3)及び(4)から無次元流量πqを算出する。上記密度ρ及び直径dは、固定値として予め用意されてものとする。なお、密度ρについては、不図示のセンサにより検出される冷温水の温度に基づいて導出されてもよい。これらは、他の計算についても同様である。その後、流量制御部43は、無次元流量πqと、角速度ωとに基づいて上記式(1)を変形した下記式(6)から実流量Q2を算出する。これら算出に必要な式のデータは例えばメモリに格納されているものとする(他の計算についても同じ)。
Q2=d*ω*πq・・・(6)
【0048】
流量制御部43は、メイン流路21Aの実流量Q1を導出する際には、実差圧ΔPを導出し、導出した実差圧ΔPに基づいて実流量Q1を導出する。角速度ωおよびトルクTとゲート弁開度D2とに基づいて、上記式(3)及び(5)から無次元差圧πpを算出する。その後、流量制御部43は、無次元差圧πpと角速度ωとに基づいて上記式(2)を変形した下記式(7)から実差圧ΔPを算出する。
ΔP=ρ*d*ω*πp・・・(7)
【0049】
ここで、バイパス管31のタービン35Aを挟んだ上流側にある上流端31M及び下流側にある下流端31Nは、メイン管21の弁体22を挟んだ第1部位21M及び第2部位21Nにそれぞれ接続されている。このため、バイパス流路31Aの両端は、メイン流路21Aの弁体22を挟んだ位置にそれぞれ繋がっている。従って、上記の実差圧ΔPは、メイン流路21Aにおける弁体22の上流側と下流側との間の冷温水の差圧と同じ又は一定の関係を有する。そして、メイン流路21Aの実流量Q1は、差圧ΔP及び弁体開度D1に応じた値となる。そこで、流量制御部43は、弁体開度D1と、バイパス流路31Aの実差圧ΔPとに基づいて、メイン流路21Aを流れる冷温水の実流量Q1を導出する。
【0050】
実流量Q1の導出については、例えば、弁体開度D1と実差圧ΔPとメイン管21の容量係数Cvvとの関係を実験等により求めてテーブル化しておく。流量制御部43は、弁体開度D1と実差圧ΔPとに基づいて前記のテーブルを参照して容量係数Cvvを取得し、当該容量係数Cvvに実差圧ΔPの平方根を乗じた値(Cvv*√ΔP)に所定の係数を乗じて実流量Q1を算出する。このような技術は、例えば、「流量計測・制御機能付きバルブの開発」(azbil Technical Review 2009年12月号発行号、42~48頁)に開示の技術を利用できる。
【0051】
さらに、流量制御部43は、実流量Q1と実流量Q2とを加算してメイン流路21A及びバイパス流路31Aの総実流量Q3を導出する。
【0052】
上述のように、実流量Q2は、角速度ω、トルクT、及び、ゲート弁開度D2の各値に依存する。そこで、実験により、バイパス管部30において、角速度ω及びゲート弁開度D2を変化させたときのトルクT及び実流量Q2を実際に測定し、これらの関係を予め関数又はテーブルで定義し、メモリに格納しておいてもよい。この場合、流量制御部43は、角速度ωおよびトルクTとゲート弁開度D2とに基づいて、前記の関数又はテーブルを参照して、実流量Q2を導出してもよい。同様に、実差圧ΔPは、角速度ω、トルクT、及び、ゲート弁開度D2の各値に依存する。そこで、実験により、バイパス管部30において、角速度ω及びゲート弁開度D2を変化させたときのトルクT及び実差圧ΔPを実際に測定し、これらの関係を予め関数又はテーブルで定義し、メモリに格納しておいてもよい。なお、流量制御時はゲート弁32を全開に固定してタービン35Aによりバイパス流路31Aの流量を制御してもよく、この場合には、ゲート弁開度D2を用いないか、ゲート弁開度を全開の値で固定してもよい。
【0053】
実流量Q1の導出についても、弁体開度D1と実差圧ΔPと実流量Q1との関係を実験等により予め求めて、テーブル及び又は関数式としてメモリに用意しておき、流量制御部43は、弁体開度D1と実差圧ΔPとに基づいてテーブル及び又は関数式を用いて実流量Q1を導出してもよい。
【0054】
以上のように、コントローラ40、特に流量制御部43は、角速度ω及びトルクTと、ゲート弁開度D2とに基づいて実差圧ΔPを導出する差圧導出部として動作し、さらに、各実流量Q1~Q3を導出する流量導出部として動作する。つまり、コントローラ40、特に流量制御部43は、差圧導出部及び流量導出部ともいえる。
【0055】
総実流量Q3の導出後、流量制御部43は、総実流量Q3をフィードバック値として、総実流量Q3を流量設定値Qspに近づけるように、弁体22の弁体開度、ゲート弁32のゲート弁開度、及び、発電機35のタービン35Aのトルクを、流量制御則(PI制御)により制御する。流量制御部43は、発電機35のタービン35Aのトルクについては、前記の流量制御則によりトルク設定値Tspを導出して発電機制御部44に出力する。これにより、流量制御部43は、発電機35のタービン35Aのトルクを、発電機制御部44を介して制御する(詳細は後述)。流量制御部43は、前記の流量制御則による制御を行う際、弁体開度センサ25からの弁体開度D1をフィードバック値としてモータ24を駆動することで弁体22の弁体開度を制御する。流量制御部43は、前記の流量制御則による制御を行う際、ゲート弁開度センサ34からのゲート弁開度D2をフィードバック値としてリニアモータ33を駆動することでゲート弁32のゲート弁開度を制御する。ゲート弁開度及び弁体開度は、全開~中間開度~全閉に変化することで、冷温水の流量を変化させる。実流量Q2は、ゲート弁32とタービン35Aとにより制御されるが、ゲート弁32の全開時は、タービン35Aのみにより制御されてもよい。
【0056】
発電機制御部44には、位置センサ36が検出した発電機35のタービン35Aの回転位置Rtと、インバータ45が出力する相電圧値Vおよび相電流値Iと、が入力される。後述のように、インバータ45は、発電機制御部44に制御され、発電機35のステータ35Bの各固定子巻線にタービン35Aのトルクを制御するための電力Eを供給する。インバータ45は、電力Eの供給時に発電機35に入力される相電圧及び相電流の値を相電圧値V及び相電流値Iとして検出して発電機制御部44に出力する。これに加えて、インバータ45は、発電機35が発電時に出力する相電圧及び相電流の値も相電圧値V及び相電流値Iとして検出して発電機制御部44に出力してもよい。この場合、この実施の形態で説明される相電圧値V及び相電流値Iは、電力E供給時及び発電時の各相電圧値及び相電流値を含む。
【0057】
発電機制御部44は、位置センサ36が検出する発電機35のタービン35Aの回転位置Rtに基づいて、タービン35Aの現在の角速度(回転速度)を角速度ωとして導出する。発電機制御部44は、相電圧値Vおよび相電流値Iに基づいてタービン35AのトルクTを導出する。発電機制御部44は、導出したトルクTをフィードバック値として、トルクTが、発電機制御部44からのトルク設定値Tspとなるようにトルク制御則(PI制御)によりインバータ45を制御する。発電機制御部44は、角速度ωおよびトルクTを流量制御部43へ出力する。
【0058】
発電機制御部44は、相電流値Iに基づいてタービン35AのトルクTを導出してもよい。また、発電機制御部44は、相電圧値Vおよび相電流値Iと、角速度ωとに基づいてトルクTを導出してもよい。また、流量制御部43は、トルク設定値Tspの代わりに前記の流量制御則により角速度設定値ωspを導出し、発電機制御部44は、角速度ωが角速度設定値ωspとなるようにフィードバック制御(PI制御)によりインバータ45を制御してもよい。
【0059】
インバータ45は、電源回路48からの主電力により、かつ、発電機制御部44による制御のもとで動作し、発電機35のタービン35Aのトルクを制御するための電力Eを発電機35のステータ35Bの固定子巻線に出力する。これにより、ステータ35Bの固定子巻線に相電流が流れ、タービン35Aにトルクが与えられる。インバータ45は、発電機制御部44による制御のもと、発電機35のステータ35Bが、バイパス流路31Aを流れる冷温水により回転するタービン35Aの回転エネルギーを電気エネルギーに変換するようにも動作する。これらにようにして動作制御されるタービン35Aにより、バイパス流路31Aを流れる冷温水の流量が制御され、最終的に、メイン流路21Aの冷温水とバイパス流路31Aの冷温水の総実流量Q3が空調コントローラ5からの流量設定値Qspとなるようにバイパス流路31Aの冷温水の流量が制御される。
【0060】
インバータ45は、上記の変換で得られる電力を、蓄電池50に供給し、蓄電池50を充電するようにも構成されている。また、インバータ45は、相電流値I及び相電圧値Vを検出して出力する。この相電流値I及び相電圧値Vは、電力供給時に発電機35に入力される相電流値I及び相電圧値Vの他、上述のように発電時に発電機35から出力される相電流値I及び相電圧値Vを含んでもよい。
【0061】
電源回路48は、商用電源等の外部電源U1からの電力と、蓄電池50に蓄積されている蓄電電力とを合わせた電力を、タービン式流量制御装置10内で使用される電力として分配する。この例では、電源回路48は、インバータ45への電力を主電力とし供給し、データ通信部41、システム制御部42、流量制御部43、発電機制御部44などにも電力を供給する。電源回路48は、外部電源U1からの電力よりも蓄電池50の蓄電電力が優先して消費されるよう、蓄電電力を優先的に分配する。電源回路48は、蓄電池50に蓄積されている蓄電電力で不足が生じる場合に、外部電源U1から供給される電力と合わせた電力を分配する。また、電源回路48は、蓄電池50に蓄えられた電力を商用電源に供給せずに電力分配を行う。これにより、蓄電池50に蓄えられた電力は、流量制御装置10内で消費される。電源回路48は、有線で外部電源U1を接続されている。
【0062】
以上のように、本実施形態では、コントローラ40、特に流量制御部43は、差圧導出部として動作して、タービン35Aの角速度ω及びトルクTとゲート弁32のゲート弁開度D2とに基づいて、バイパス流路31Aのタービン35Aよりも上流側の流体圧力と、タービン35Aよりも下流側の流体圧力との実差圧ΔPを導出する。なお、ゲート弁32は流量制御装置10の動作中において常に全開に制御されてもよく、また、ゲート弁32は必ずしも必要ではないため省略してもよい。この場合、差圧導出部は、ゲート弁開度D2を用いずに、角速度ω及びトルクTに基づいて実差圧ΔPを導出するように構成されてもよい。この場合、上記式(4)及び(5)において、ゲート弁開度D2を全開の数値としてもよいし、式(4)及び(5)を無次元流量又は無次元差圧と無次元トルクとの関数としてもよい。さらに、コントローラ40、特に流量制御部43は、流量導出部として動作して、実差圧ΔPと、メイン流路21Aの弁体22の弁体開度D1とに基づいて、メイン流路21Aを流れる冷温水の実流量Q1を導出する。これにより、メイン流路21Aの流量が計測される。従って、この実施形態によれば、圧力センサを用いずに、メイン流路21Aの冷温水の流量を計測できる。なお、実差圧ΔPの求め方は任意である。
【0063】
また、コントローラ40(流量導出部)は、角速度ω及びトルクTとゲート弁32のゲート弁開度D2とに基づいてバイパス流路31Aの実流量Q2を導出し、導出した実流量Q1と実流量Q2とを加算して、総実流量Q3を導出する。従って、この構成により、総実流量Q3、換言すると、メイン流路21Aに繋がる配管3の流路3Aを流れる冷温水の流量を、圧力センサを用いずに計測できる。なお、上記のようにゲート弁32が省略等される場合、コントローラ40(流量導出部)は、ゲート弁開度D2を用いずに、角速度ω及びトルクTに基づいて実流量Q2を導出するように構成されてもよい。また、コントローラ40(流量導出部)は、実流量Q1と同様にして、実差圧ΔPとゲート弁開度D2とのうちの少なくとも前者に基づいて実流量Q2を導出してもよい。コントローラ40(流量導出部)は、角速度ω及びトルクTと実差圧ΔPとに基づいて実流量Q2を導出してもよい。当然、ゲート弁開度D2がさらに用いられてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、タービン35Aが発電機35の一部として形成され、タービン35Aの回転により発電が行われる。これにより、タービン35Aが有効利用される。
【0065】
さらに、上記実施の形態では、コントローラ40(流量導出部)が、発電機35を駆動してタービン35Aのトルクを制御することでバイパス流路31Aの実流量Q2を制御するので、タービン35Aがさらに有効利用される。この実施の形態では、コントローラ40(流量導出部)が、さらにゲート弁32の開度も制御しており、これにより、より実流量Q2が好適に制御される。
【0066】
さらに、コントローラ40(流量導出部)は、総実流量Q3をフィードバック値として、タービン35Aのトルクと、弁体22の開度と、ゲート弁32の開度とを制御することにより総実流量Q3を制御する。これにより、流量導出のみならず、流量の制御も可能となっている。なお、上述のように、ゲート弁32が全開で固定の場合等では、ゲート弁32の開度は制御されなくてもよい。
【0067】
流量制御装置10は、バイパス管31の他、メイン管21もさらに備えるので、配管3への接続が容易である。さらに、配管3の途中に従来設けられていた流量制御バルブの代わりに流量制御装置10を設けることもできる。また、弁体22の開度を制御する制御バルブを本実施形態の構造に設計変更することで、圧力センサを追加することなく、流量を計測して制御することができる流量制御弁が得られる。
【0068】
さらに、タービン35Aがメイン管21でなくバイパス管31に設けられていることで、配管3が太く構成されることに伴ってメイン管21が太く構成されたとしても、タービン35A及び発電機35はそれよりも細いバイパス管31に設けられているため、メイン管21に設けられるよりもタービン35A及び発電機35の大型化が抑制される。さらに、流量制御装置10の設置先に応じてメイン管21の太さを変更する必要があったとしても、バイパス管31の太さは固定できるため、発電機35の共通化も図れる。発電機35の大型化の抑制及び共通化により、流量制御装置10の小型化、コストの削減が実現できる。
【0069】
また、本実施形態では、発電機35により発電され蓄電池50に蓄電された電力が、商用電源に供給されずつまり売電されずに、流量制御装置10内で消費されるように流量制御装置10が構成されている。従って、発電機35の大型化が抑制されることにより、発電機35の発電量が必要以上に多くなることも抑制される。これにより、流量制御装置10に、余剰電力を消費するハードウェア等の大型化が抑制でき、装置の大型化、及び、製造コストの上昇が抑制される。
【0070】
さらに、本実施形態では、バイパス管31にタービン35A等を設けたため、流量制御装置10の配置先の配管3のサイズ(特に太さ)に応じてメイン管21のサイズを設計変更する必要があっても、バイパス管31、タービン35A等についてはサイズを固定できるので、流量制御装置10の設計変更に係るコストを削減できる。また、流量制御装置10の小型化も可能となる。また、バイパス流路31Aが細いために、発電時の冷温水の流量も少なくできる。
【0071】
また、この実施の形態では、バイパス管31の途中に、バイパス流路31Aにはゲート弁32が設けられている。このゲート弁32により、バイパス流路31Aの開口面積が制御される。さらに、ゲート弁32を採用したことにより、バイパス管31の太さはメイン管21の太さに関係なく、さらにメイン管21の太さに比較して細いので、初期発電のためにバイパス管31のゲート弁32を全開にしても、初期導水時のポンプの圧力低下を削減することができる。
【0072】
[第1実施形態の変形例]
[変形例1]
コントローラ40と空調コントローラ5との接続、及び、電源回路48と外部電源U1との接続のうちの一方又は両方を無線接続としてもよい。例えば、図5に示すタービン式流量制御装置110(以下、単に流量制御装置110ともいう)のように、データ通信部41の代わりに、空調コントローラ5と無線で通信する無線データ通信部141が設けられてもよい。無線データ通信部141は、アンテナを備え、空調コントローラ5に対して送信するデータを変調し、変調したデータを前記のアンテナから空調コントローラ5に送信する。無線データ通信部141は、アンテナを介して空調コントローラ5から受信したデータを復調して、システム制御部42に出力する。このような構成により、データ通信についてワイヤレス化が実現される。
【0073】
さらに、図5に示すように、流量制御装置110は、外部電源U1からの電力を無線で受け取るように構成されてもよい。外部電源U1は無線給電部U2に接続されている。流量制御装置110は、無線受電部149を備える。無線給電部U2及び無線受電部149は、電力を無線で供給する各種回路等により構成されている。外部電源U1からの電力は、無線給電部U2を介して無線で無線受電部149に供給される。無線受電部149は、受電した電力を電源回路48に供給する。このような構成により、電力供給についてワイヤレス化が実現される。電源回路48は、無線受電部149が受電する電力よりも蓄電池50に蓄えられる電力を優先してインバータ45及び流量制御部43等に分配する。これにより、コントローラ40は、無線受電部149が受電する電力よりも蓄電池50に蓄えられる電力を優先して消費する。これにより、無線で受電する電力を少なくすることができる。
【0074】
データ通信及び電力供給のいずれもワイヤレス化することで、流量制御装置110への配線を全てなくせる。これにより、配線材料及び配線工数の撤廃等のワイヤレス化による環境負荷低減への貢献が期待できる。
【0075】
[変形例2]
図5に示すように、流量制御装置110は、蓄電池50が蓄える電力の残量を検出する残量計160を備えてもよい。流量制御部43つまりコントローラ40は、残量計160により検出された蓄電池50の電力の残量に応じて、少なくともタービン35Aのトルクと弁体22の開度とを制御してもよい。例えば、コントローラ40は、蓄電池50の電力の残量が第1閾値よりも低ければ、発電機35に発電を行わせる一方、弁体22の開度を制御することで、メイン流路21A及びバイパス流路31Aを流れる冷温水の総実流量Q3を流量設定値Qspに近づける。他方、コントローラ40は、蓄電池50の電力の残量が第2閾値よりも多ければ、発電機35に発電を行わせないで、かつ、弁体22の開度を制御して総実流量Q3を流量設定値Qspに近づける。このようにすることで、好適な発電及び流量制御が行われる。なお、コントローラ40は、蓄電池50の電力の残量に応じて、さらに、ゲート弁32の開度を制御してもよい。例えば、コントローラ40は、発電時に、発電に必要な冷温水の流量を確保するため、ゲート弁32を全開又は所定の開度以上の開度に固定するように制御をしてもよいし、所定の開度以上の開度でゲート弁32の開度を変化させて総実流量Q3を制御してもよい。また、コントローラ40は、発電機35に発電を行わせないときには、弁体22とゲート弁32の各開度を制御して総実流量Q3を流量設定値Qspに近づけてもよい。
【0076】
[第2実施形態]
図6に示すように、第2実施形態に係るタービン式流量制御装置210(以下、単に流量制御装置210ともいう)は、メイン管部220と、バイパス管部230と、を備える。流量制御装置210は、メイン管部220として、従来の流量制御弁又は開度制御弁が組み込まれたものであってもよい。流量制御装置210は、バイパス管部230を備える一方、メイン管部220を備えなくてもよい。この場合、メイン管部220として、従来又は既設の流量制御弁又は開度制御弁が使用されてもよい。
【0077】
メイン管部220は、メイン管21等の各部品21~26の他、上記コントローラ40の一部機能を有するメイン側コントローラ240Aを備える。メイン管21は、その両端がバイパス管部230の後述のバイパス管231の両端を介して配管3に接続されることで、配管3の途中に配置される。
【0078】
バイパス管部230は、ゲート弁32等の各部品32~36の他、蓄電池50を備え、バイパス管31に代えてバイパス管231を備え、さらに、上記コントローラ40の一部機能を有するバイパス側コントローラ240Bを備える。
【0079】
バイパス管231は、バイパス流路31Aを形成しているバイパス管本体231Hと、当該バイパス管本体231Hの両端にそれぞれ接続されている上流端231M及び下流端231Nと、を備える。上流端231Mは、上流側の配管3と、メイン管21の弁体22よりも上流側の端部である第1部位21Mと、に接続されている。下流端231Nは、下流側の配管3と、メイン管21の弁体よりも下流側の端部である第2部位21Nと、に接続されている。このように、バイパス管31は、メイン管21と別体に設けられ、かつ、メイン管21と接続可能な形状に構成されている。なお、ここでの前記各接続は、各管に設けられたフランジをボルト及びナットで締結することにより行われる。これらの接続は、別に設けられた菅継手等によって行われてもよい。上流端231M及び下流端231Nは、メイン流路21Aと配管3の流路3Aとに接続される流路231B及び231Cをそれぞれ形成している。流路231B及び231Cの断面は、メイン流路21A及び流路3Aの各断面と一致している。バイパス流路31Aは、流路231B及び231Cを介してメイン管21のメイン流路21Aに接続され、メイン流路21Aをバイパスしている。配管3の流路3Aから流路231Bに流れた冷温水の一部は、バイパス流路31Aに流れる。当該冷温水の残りは、メイン流路21Aを流れる。
【0080】
メイン側コントローラ240Aは、モータ24を制御することでメイン流路21Aを流れる冷温水の流量を制御する。バイパス側コントローラ240Bは、リニアモータ33及び発電機35を制御することでバイパス流路31Aを流れる冷温水の流量を制御する。両コントローラ240A及び240Bは、協働して、メイン流路21A及びバイパス流路31Aの冷温水の総流量を制御する。バイパス側コントローラ240Bは、コントローラ40と同様に、タービン35Aのトルク、発電機35による発電、及び、ゲート弁32の開度を制御する。以下、バイパス側コントローラ240Bを先に説明してから、メイン側コントローラ240Aを説明する。
【0081】
バイパス側コントローラ240Bは、発電機制御部44及びインバータ45の他、データ通信部241B、システム制御部242B、流量制御部243B、及び、電源回路248Bを備える。これらの説明は、基本的に、第1実施形態のデータ通信部41、システム制御部42、流量制御部43、及び、電源回路48と同様であるが、以下の点において異なる。
【0082】
データ通信部241Bは、空調コントローラ5と通信可能な他、メイン側コントローラ240Aのデータ通信部241Aとも有線で通信可能である。データ通信部241Bは、弁体22の弁体開度D1を受信する。データ通信部241Bは、弁体開度D1を、システム制御部242Bを介して流量制御部243Bに供給する。システム制御部242Bは、バイパス管部230のシステム全体を制御する。システム制御部242Bは、データ通信部241Bを介してバイパス管部230の内部状態等の各種データを送信する。
【0083】
流量制御部243Bは、流量制御部43と同様に、メイン流路21A及びバイパス流路31Aの各実流量Q1及びQ2、各流路21A及び31Aの総実流量Q3を導出する。ここで、第1実施形態の流量制御部43は、上述のように、総実流量Q3を流量設定値Qspに近づけるように、弁体22の弁体開度、ゲート弁32のゲート弁開度、及び、発電機35のタービン35Aのトルクを制御する。他方、本実施形態では、弁体22がメイン管部220に設けられているため、流量制御部243Bは、弁体22の弁体開度を直接制御できない。そこで、流量制御部243Bは、総実流量Q3を流量設定値Qspに近づけるように、ゲート弁32のゲート弁開度、及び、発電機35のタービン35Aのトルクを制御し、かつ、弁体開度の目標値として弁体開度設定値を導出する。導出された弁体開度設定値は、システム制御部242B及びデータ通信部241Bを介して、メイン側コントローラ240Aのデータ通信部241Aに供給される。
【0084】
電源回路248Bは、商用電源等の外部電源U1からの電力と、蓄電池50に蓄積されている蓄電電力とを合わせた電力の一部を、メイン側コントローラ240Aの後述の電源回路248Aに有線により分配する。電源回路248Bは、第1実施形態の電源回路48と同様に、外部電源U1からの電力よりも蓄電池50の蓄電電力が優先して消費されるよう、蓄電電力を優先的に分配する。
【0085】
メイン側コントローラ240Aは、データ通信部241A、システム制御部242A、流量制御部243A、及び、電源回路248Aを備える。
【0086】
データ通信部241Aは、各種の通信モジュールにより構成され、バイパス管部230のデータ通信部241Bと有線通信を行う通信機能を有する。システム制御部242Aは、メイン管部220のシステム全体を制御する。システム制御部242Aは、データ通信部241A及び241Bを介して空調コントローラ5から各種の設定値等の各種データを受信し、これらを介してメイン管部220の内部状態等の各種データを空調コントローラ5に送信する。データ通信部241Aに供給された上記の弁体開度設定値は、システム制御部242Aを介して流量制御部243Aに供給される。
【0087】
流量制御部243Aには、弁体開度センサ25が検出した弁体開度D1が入力される。流量制御部243Aは、入力された弁体開度D1を、システム制御部242A及びデータ通信部241Aを介してバイパス側コントローラ240Bに送信する。流量制御部243Aは、入力された弁体開度D1をフィードバック値として、弁体開度D1を弁体開度設定値に近づけるように、弁体22の弁体開度を流量制御則(PI制御)により制御する。
【0088】
以上のように、メイン側及びバイパス側のコントローラ240A及び240Bは、協働して、メイン流路21A及びバイパス流路31Aを流れる冷温水の総流量を、空調コントローラ5からの流量設定値Qspに近づける制御を行う。また、バイパス側コントローラ240Bが、タービン35Aのトルク及びゲート弁32の開度を制御するとともに、メイン側コントローラ240Aを介して弁体22の開度を制御することで、前記総流量を流量設定値Qspに近づける制御を行っているともいえる。
【0089】
以上のように、第2実施形態でも、コントローラ240Bが上記差圧導出部及び流量導出部として機能して、メイン流路21Aの実流量Q1、バイパス流路31Aの実流量、及び、両者の総実流量Q3を導出できる。これにより、圧力センサを用いずに、これら流量を計測できる。また、これら流量も制御できる。なお、第1実施形態と同様に、ゲート弁32及びゲート弁の開度は、不要であってもよい。
【0090】
また、本実施形態のように、メイン管部220とバイパス管部230とを別にして組み合わせ可能としたことにより、バイパス管部230のみを追加し、既存の流量を計測可能な流量制御弁又は流量を計測できずに外部からの開度の入力により弁体22の開度を制御する開度制御弁をメイン管部220として利用することもできる。このため、低コストで流量制御装置210を導入できる。さらに、今までの設備も活用でき、流量制御装置210の設置についての開発工数も少なくてすむ。さらに、上記実施形態のように、メイン管部220に弁体開度設定値(弁体22の開度の目標値)を入力して弁体22の開度を制御する構成により、メイン管部220を既存の開度制御弁としてバイパス管部230(流量制御装置10)を導入することができ、既存の開度制御弁を、流量を自立して制御可能な流量制御装置10にグレードアップすることができる。
【0091】
[第2実施形態の変形例]
第1実施形態の変形例と同様に、バイパス側コントローラ240Bと空調コントローラ5との接続、及び、電源回路248Bと外部電源U1との接続のうちの一方又は両方を無線接続としてもよい。例えば、図8に示すタービン式流量制御装置310(以下、単に流量制御装置110ともいう)のように、データ通信部241Bの代わりに、空調コントローラ5と無線で通信する無線データ通信部141と同様の無線データ通信部341Bが設けられてもよい。さらに、コントローラ240Aのデータ通信部241Aの代わりに、無線データ通信部341Aを設け、無線データ通信部341Aと無線データ通信部341Bとで無線通信を行ってもよい。このような構成により、データ通信についてワイヤレス化が実現される。
【0092】
さらに、図8に示すように、流量制御装置310は、外部電源U1からの電力を無線で受け取るように構成されてもよい。外部電源U1は無線給電部U2に接続されている。流量制御装置310は、無線受電部149と同様の無線受電部149BAを備える。外部電源U1からの電力は、無線給電部U2を介して無線で無線受電部149BAに供給される。無線受電部149BAは、受電した電力を電源回路248Bに供給する。このような構成により、電力供給についてワイヤレス化が実現される。さらに、図8に示すように、コントローラ240A及び240Bに、無線給電部149BB及び無線受電部149AAをそれぞれ設け、電源回路248Bから電源回路248Aに供給される電力も無線で送信されてもよい。
【0093】
上記第1実施形態の変形例2を第2実施形態に適用してもよい。
【0094】
[第1実施形態、第2実施形態などについての変形例]
上記実施形態の空調コントローラ5は、流量設定値Qspをデジタルデータとして出力するが、流量設定値Qspを、4-20mA又は0-10Vなどのアナログデータの形で出力してもよい。この場合、流量制御装置10等の側で、適宜、アナログ、デジタル変換がなされる。このような変形例を採用するときは、空調コントローラ5からの指令が、流量設定値Qspのみであり、流量制御装置10等の側のデータ通信部41等から空調コントローラ5に伝達するデータがなく、通信が有線通信であるとよい。
【0095】
発電機35の一部は、バイパス管31の外部に配置されてもよい。例えば、ステータ35Bは、上記実施形態等ではバイパス管31の途中に配置されているが、バイパス管31の外部にバイパス管31とは別体に配置されてもよい。この場合、発電機35は、例えば、バイパス管31内のバイパス流路31Aの途中に配置されたタービン35Aと、タービン35Aの回転をバイパス管31の外部に伝達する伝達機構と、を備える。さらに、発電機35は、バイパス管31の外部に配置され、当該伝達機構により伝達されたタービン35Aの回転により回転するロータと、バイパス管31の外部に配置され、ロータの回転エネルギーを電気エネルギーに変換するステータ35Bとを備えて構成される。
【0096】
メイン流路21Aに設けられたメイン側弁体である弁体22は、メイン流路21Aの開口面積を制御するものであれば、どのような弁体であってもよい。バイパス流路31Aに設けられたバイパス側弁体であるゲート弁32についても、バイパス流路31Aの開口面積を制御する他の各種の弁体に変更してもよい。バイパス流路31Aの流量を制御する際、ゲート弁32などの弁体は全開となっていてもよい。ゲート弁32などの弁体は、全開と全閉とのいずれかの状態を取り、中間開度で止まらないように制御されてもよい。ゲート弁32等の弁体を省略してもよい。蓄電池50に蓄えられた電力は、必要に応じて、電源回路48又は248B等を介して外部電源U1を構成する商用電源に売電されてもよい。メイン流路の実流量Q1の導出に使用される部材は、タービン35A以外の回転体であってもよい。例えば、発電を行わない羽根車などが使用されてもよい。角速度ω及びトルクTは、任意の方法で検出されればよい。コントローラ40等による流量制御等で使用される上記各制御則は、現代制御則など制御対象を適切に制御できる制御則であればどのような制御則でもよく、PI制御則に限られない。コスト削減のため、メイン管21側に圧力センサが設けられない方がよいが、メイン管21に圧力センサが設けられてもよい。このような場合であっても、圧力センサが壊れた時のため、バイパス管部30がメイン流路21Aの流量を計測するとよい。
【0097】
本発明は、空調制御システムの流量制御装置に限らず、他のシステムで使用される流量制御装置に適用でき、さらには一般産業機器までにも拡大して適用することができる。本発明は、流量制御装置として使用される流量計以外の各種の流量計に適用できる。流量を計測又は制御する流体も冷温水などの液体に限られるものではなく、ガスなどの気体であっても構わない。
【0098】
[本発明の範囲]
以上、実施形態及び変形例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、本発明には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る、上記実施形態及び変形例に対する様々な変更が含まれる。上記実施形態及び変形例に挙げた各構成は、矛盾の無い範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0099】
1…空調制御システム、2…FCU、3…配管、3A…流路、5…空調コントローラ、10,110,210,310…タービン式流量制御装置(流量計)、20,220…メイン管部、21…メイン管、21A…メイン流路、21M…第1部位、21N…第2部位、22…弁体、23…弁軸、24…モータ、25…弁体開度センサ、30,230…バイパス管部、31,231…バイパス管、31A…バイパス流路、31M,231M…上流端、31N,231N…下流端、231H…バイパス管本体、231B,231C…流路、32…ゲート弁、33…リニアモータ、34…ゲート弁開度センサ、35…発電機、35A…タービン、35B…ステータ、36…位置センサ、40…コントローラ、50…蓄電池、240A…メイン側コントローラ、240B…バイパス側コントローラ。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8