(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】糊噴射装置、ケース製造装置、およびケース製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 51/02 20060101AFI20241126BHJP
B31B 50/62 20170101ALI20241126BHJP
B31B 50/04 20170101ALI20241126BHJP
【FI】
B65B51/02 B
B31B50/62
B31B50/04
B65B51/02 D
(21)【出願番号】P 2021044204
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】長松 純一
(72)【発明者】
【氏名】土居川 範幸
(72)【発明者】
【氏名】山内 純也
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 徹
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-094094(JP,A)
【文献】米国特許第05188695(US,A)
【文献】特開昭59-174406(JP,A)
【文献】特開2004-067107(JP,A)
【文献】特開昭57-037504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/00
B31B 50/00
B65B 5/00
B65B 7/00
B05B 1/00
B05C 5/00
B05C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を上流から下流へと搬送方向に
一定の速度で搬送されるシートにおける所定の領域の塗布面にノズルから糊を噴射する糊噴射装置であって、
前記搬送方向に沿って配置される前記塗布面に前記ノズルが対向している噴射位置において前記糊を噴射し、
前記糊噴射装置は、
前記噴射位置と、前記噴射位置よりも前記上流の退避位置とに、周期的に変位可能に構成されて
おり、
前記糊噴射装置の少なくとも一部は、前記糊の噴射時において、前記噴射位置よりも前記下流で折り曲げられて前記塗布面に重ねられる重ね領域の前記搬送方向から見たときの軌跡の範囲に配置されており、
前記シートには、前記搬送方向に並ぶ一対の前記塗布面と、一対の前記塗布面に対応する一対の前記重ね領域とが設定されており、
一対の前記塗布面のうち下流側の前記塗布面に前記ノズルが対向する前記下流側の前記噴射位置、上流側の前記塗布面に前記ノズルが対向する前記下流側の前記噴射位置よりも前記上流の前記上流側の前記噴射位置、および、前記上流側の前記噴射位置よりも前記上流の前記退避位置の順序で、周期的に変位可能に構成されている、
糊噴射装置。
【請求項2】
前記糊噴射装置を前記噴射位置と前記退避位置とに前記搬送方向に進退させる駆動部が備えられる、
請求項1に記載の糊噴射装置。
【請求項3】
前記ノズルと一体に変位し、前記ノズルに付着した前記糊を下方から受ける糊受けを備える、
請求項1
または2に記載の糊噴射装置。
【請求項4】
搬送路を搬送方向に
一定の速度で搬送されるシートから糊の塗布および折り曲げにより成形されるケースの製造装置であって、
前記シートにおける第1の領域の前記搬送方向に対して交差する第1の塗布面に前記糊を噴射する第1の糊噴射装置と、
前記シートを前記搬送方向に搬送する搬送装置と、
前記第1の領域を折り曲げて前記第1の塗布面に前記シートにおける他の領域を配置する第1の折り曲げ機構と、
前記シートにおける第2の領域の前記搬送方向に沿って配置される第2の塗布面に前記糊を噴射する請求項1から
3のいずれか一項に記載の糊噴射装置である第2の糊噴射装置と、
前記シートにおいて前記第2の塗布面に重ねられる重ね領域を前記噴射位置よりも前記下流で折り曲げて前記第2の塗布面に配置する第2の折り曲げ機構と、を備え、
前記第2の糊噴射装置の少なくとも一部は、前記糊の噴射時において、前記重ね領域の前記搬送方向から見たときの軌跡の範囲に配置されている、ケース製造装置。
【請求項5】
搬送路を上流から下流へと搬送方向に
一定の速度で搬送されるシートから糊の塗布および折り曲げにより成形されるケースの製造方法であって、
前記シートにおける第1の領域の前記搬送方向に対して交差する第1の塗布面に第1の糊噴射装置により前記糊を噴射する第1の噴射ステップと、
前記第1の領域を第1の折り曲げ機構により折り曲げて前記第1の塗布面に前記シートにおける他の領域を配置する第1の折り曲げステップと、
前記シートにおける第2の領域の前記搬送方向に沿って配置される第2の塗布面に第2の糊噴射装置により前記糊を噴射する第2の噴射ステップと、
前記第2の塗布面に前記糊を噴射する噴射位置よりも前記上流へ前記第2の糊噴射装置を退避させる退避ステップと、
前記シートにおいて前記第2の塗布面に重ねられる重ね領域を第2の折り曲げ機構により折り曲げて前記第2の塗布面に配置する第2の折り曲げステップと、を含
み、
前記シートには、前記搬送方向に並び、前記第2の糊噴射装置により前記糊が順次噴射される一対の前記第2の塗布面と、一対の前記第2の塗布面に対応する一対の前記重ね領域とが設定され、
前記第2の噴射ステップは、
一対の前記第2の塗布面のうち、上流側の前記第2の塗布面に先行して下流側の前記第2の塗布面に前記第2の糊噴射装置により前記糊を噴射する先噴射ステップと、
前記上流側の前記第2の塗布面に前記第2の糊噴射装置により前記糊を噴射する後噴射ステップと、を含み、
前記退避ステップは、
前記先噴射ステップの後、前記下流側の前記第2の塗布面に前記糊を噴射する前記下流側の前記噴射位置よりも前記上流へ前記第2の糊噴射装置を退避させる先退避ステップと、
前記後噴射ステップの後、前記上流側の前記第2の塗布面に前記糊を噴射する前記上流側の前記噴射位置よりも前記上流へ前記第2の糊噴射装置を退避させる後退避ステップと、を含む、
ケース製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物に糊を噴射して塗布する装置、糊付けを行うケース製造装置、および糊付けの工程を含むケース製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば飲料製品の缶やボトルの包装としての段ボールシートは、製造ラインにおいて、箱状に折り曲げられ、ホットメルトを用いて糊付けされる(例えば、特許文献1)。例えば、コンベヤにより箱を一定のピッチで搬送しながら、所定の糊付け位置において、箱の上端部で起立した糊付け領域(シーム)に対して、シームよりも上流側に位置する噴射ガンのノズルから糊を噴射する。そして、段ボールシートの他の領域を折り曲げてシームの糊の塗布面に配置する。このとき、搬送路の幅方向におけるシームの両側には、内フラップおよび外フラップが突出している。シームの糊付け後、搬送方向に並ぶ一対の内フラップを折り曲げ、搬送方向に沿って配置される内フラップの塗布面に他の噴射ガンにより糊を噴射する。その後、上下方向に並ぶ外フラップを折り曲げて内フラップと糊付けする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送方向に沿って配置される塗布面における所定の位置に糊を噴射した後、他の領域を折り曲げて当該塗布面に重ねるまでの間に糊が垂れると、糊がシートの内面やシートの内側の製品に付着する可能性がある。
そこで、本発明は、シートの塗布面に塗布された糊の垂れを抑えて、糊による汚損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る糊噴射装置は、搬送路を上流から下流へと搬送方向に搬送されるシートにおける所定の領域の塗布面にノズルから糊を噴射する糊噴射装置であって、搬送方向に沿って配置される塗布面にノズルが対向している噴射位置において糊を噴射する。この糊噴射装置は、噴射位置と、噴射位置よりも上流の退避位置とに、周期的に変位可能に構成されている。
【0006】
また、本開示に係るケースの製造装置は、搬送路を搬送方向に搬送されるシートから糊の塗布および折り曲げにより成形されるケースの製造装置であって、シートにおける第1の領域の搬送方向に対して交差する第1の塗布面に糊を噴射する第1の糊噴射装置と、シートを搬送方向に搬送する搬送装置と、第1の領域を折り曲げて第1の塗布面にシートにおける他の領域を配置する第1の折り曲げ機構と、シートにおける第2の領域の搬送方向に沿って配置される第2の塗布面に糊を噴射する請求項1から5のいずれか一項に記載の糊噴射装置である第2の糊噴射装置と、シートにおいて第2の塗布面に重ねられる重ね領域を噴射位置よりも下流で折り曲げて第2の塗布面に配置する第2の折り曲げ機構と、を備える。
第2の糊噴射装置の少なくとも一部は、重ね領域の搬送方向から見たときの軌跡の範囲に配置されている。
【0007】
さらに、本開示に係るケースの製造方法は、搬送路を上流から下流へと搬送方向に搬送されるシートから糊の塗布および折り曲げにより成形されるケースの製造方法であって、シートにおける第1の領域の搬送方向に対して交差する第1の塗布面に第1の糊噴射装置により糊を噴射する第1の噴射ステップと、第1の領域を第1の折り曲げ機構により折り曲げて第1の塗布面にシートにおける他の領域を配置する第1の折り曲げステップと、シートにおける第2の領域の搬送方向に沿って配置される第2の塗布面に第2の糊噴射装置により糊を噴射する第2の噴射ステップと、第2の塗布面に糊を噴射する噴射位置よりも上流へ第2の糊噴射装置を退避させる退避ステップと、シートにおいて第2の塗布面に重ねられる重ね領域を第2の折り曲げ機構により折り曲げて第2の塗布面に配置する第2の折り曲げステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、糊噴射装置が、糊を噴射する噴射位置と、噴射位置よりも上流の退避位置とに周期的に変位可能であるため、噴射位置よりも上流へ噴射装置を退避させることにより、搬送方向に沿って配置されている塗布面への糊の噴射を終えた直後に重ね領域の折り曲げを開始することができる。そうすると、塗布面に塗布された糊が垂れて周囲に広がらないうちに塗布面と重ね領域とを糊付けすることができるので、ケースの内側への糊による汚損を防ぐことができる。その上、重ね領域の折り曲げを早期に開始することで、ケースの成形に要する時間を短縮することができるから、ケース製造装置の能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るケーサによる箱詰めの過程(a)と、シートの展開図(b)とを示す図である。
【
図2】
図1(a)にIIで示す箇所に設置される第1の糊噴射装置と、搬送路を搬送されるシートと、第1の折り曲げ機構の一部とを側方から示す図である。
【
図3】
図2のIII線矢視図であり、第1の糊噴射装置のノズルおよびシートの塗布面を示す図である。
【
図4】
図2に示す第1の糊噴射装置およびその変位の軌跡と、搬送路上のシートとを示す図である。
【
図5】糊噴射装置が円形の軌跡に沿って変位する様子を示す図である。
【
図6】ケースの製造工程の一部であり、
図2に示すステップの下流で行われる一連のステップを示す図である。内フラップに糊を噴射する第2の糊噴射装置、シート、および折り曲げ機構の一部が模式的に示されている。(a)は上面図、(b)は側面図である。
【
図7】
図6(b)のVII矢視による模式図である。
【
図8】(a)~(e)は、内フラップの折り曲げから外フラップの折り曲げまでの各ステップを説明するための上面図である。
【
図9】(a)は、
図8(d)のIXa矢視図である。(b)は、
図8(e)のIXb矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態について説明する。
飲料製品等の内容物を箱詰めするケーサ1(
図1)は、平坦なシート2を糊の塗布および折り曲げにより成形してケースCを得るとともに、ケースCの内側に内容物3を収容する。
【0011】
(箱詰めの工程およびケーサの概要)
図1(a)には、ケーサ1による箱詰めの工程の一例が示されている。ケーサ1は、シート2の供給源4から搬送路5に供給されるシート2を搬送しつつ順次折り曲げ、シート2の所定の箇所を糊付けして箱状(直方体状)のケースCに成形しながら、集積された内容物3をケースCの内側に収容する。
【0012】
シート2は、ケースCの展開図である
図1(b)に示すように、ケースCの6つの面C1~C6に相当する部分およびシーム21(糊代)を含む所定の形状に段ボール等の素材から形成されているとともに、折り曲げ易いように複数の折り目Fが与えられている。
ケースCの一対の側面C5,C6はそれぞれ、4つのサイドフラップからなる。側面C5は、ケースCに成形されたときに内側に配置される一対の内フラップ23と、外側に配置される一対の外フラップ22とからなる。側面C6も同様である。
【0013】
ケーサ1は、
図2に示す噴射装置10(第1の糊噴射装置)と、搬送路5をなすコンベヤ装置等の搬送装置50と、複数の折り曲げ機構6,7,8,61(
図2および
図6)等と、
図6に示す噴射装置60(第2の糊噴射装置)と、ケーサ1の各装置の動作を制御する制御装置9とを備えている。
搬送装置50の具体的な図示は省略する。搬送装置50は、例えばチェーンコンベヤ装置であり、位置や速度の制御が可能なサーボモータと、サーボモータにより駆動されるスプロケットと、スプロケットに掛け回されて搬送路5をなすチェーンと、チェーンの幅方向両側に設置されるガイドとを備えている。シート2は、搬送路5上に一定のピッチに配置されて下流へと搬送される。
【0014】
図1(a)に示すように、供給源4から図示しない吸引ユニット等により1枚ずつ、例えばL字状に取り出されるシート2(P1)は、シーム21が上流に向いている状態で搬送路5に配置されると、搬送路5の上流から内容物3の集合を受け入れる(P2)。その後、別の複数の折り曲げ機構により所定の領域が順次折り曲げられ、糊付けされながら(P3~P6)、搬送路5を一定の速度で搬送方向xに搬送される。
なお、
図2以降の各図においては、シート2の内側に存在する内容物3の図示が省略されている。
【0015】
折り曲げ機構6~8(
図2)および折り曲げ機構61(
図6)を含め、ケーサ1に備えられる複数の折り曲げ機構はそれぞれ、搬送されるシート2における対応する領域を折り曲げるために必要な形状が与えられている。一部の折り曲げ機構(例えば7)は、軸を中心に、シート2の位置と同期して周期的に回転動作するように構成されている。
【0016】
図1(a)に示す例では、シート2上に配置された内容物3を包み込むようにシート2を折り曲げ、噴射装置10により糊が塗布されるシーム21と上面C4とを糊付けする(P3~P4)。面C1の上端から起立したシーム21の塗布面に糊が塗布されると、折り曲げ機構7によりシーム21を下流に向けて折り曲げながら、シーム21と上面C4とを糊付けする。シーム21において糊が塗布される第1の塗布面21A(
図2および
図3)には、糊が点状に塗布される複数の塗布位置Aが設定されている。
【0017】
ケーサ1は、本実施形態とは異なり、シート2からケースCを成形した後、ケースCに内容物3を収容するものであってもよい。
【0018】
シーム21と上面C4とが糊付けされたとき、2つの内フラップ23は搬送方向xに対向し、2つの外フラップ22は上下方向zに対向している(P4)。2つの内フラップ23を上下方向zに沿った折り目Fに沿って、互いに近接する向きに折り曲げ、内フラップ23に後述する噴射装置60により糊を塗布した後、外フラップ22を折り曲げて内フラップ23の上に重ねて配置すると、内フラップ23と外フラップ22とが糊付けされる。
シート2を折り曲げる処理および糊の塗布は、搬送装置50のサーボモータに設けられているエンコーダを用いて、シート2の位置に同期させて適時に行われる。
【0019】
(第1の糊噴射装置の構成および作用)
図2~
図5を参照し、噴射装置10について説明する。噴射装置10は、流動性を有する糊を噴射し、シーム21の塗布面21Aにおける塗布位置Aに点状に糊を塗布する。シーム21は、面C1から連なり上方へ起立した、搬送路5の幅方向yに長い領域である。シーム21の上流側の塗布面21Aに、搬送路5の上流から噴射装置10により糊が噴射される。このとき下流から上流へ折り曲げられている上面C4により、シート2の内面が覆われている。塗布面21Aは、シート2の反りにより位置のばらつきはあるものの、基本的には搬送方向xに対して直交している。
【0020】
噴射装置10は、搬送路5上の例えば
図1に示す位置IIで搬送装置50のガイド等に設置されている。
【0021】
糊は、例えば、エチレン酢酸ビニル等の樹脂材料からなる所謂ホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤は、常温における固体の状態から、加熱により所定の粘度域に溶融される。
【0022】
噴射装置10は、糊貯留部11と、ノズル12と、糊受け13と、電磁弁14と、電磁弁14の開閉による圧縮空気の給排および図示しない戻しバネによりノズル12の内部の経路を開閉させる図示しない弁体と、噴射装置10を周期的に変位させる駆動機構30とを備えている。
糊貯留部11は、糊の供給源から図示しないホース等を通じて供給される溶融した糊を内側に溜める。電磁弁14が開かれると、糊貯留部11に溜められている糊に圧縮空気の圧力が作用するとともにノズル12の経路が開き、ノズル12の噴射口12Aから塗布面21Aに向けて糊が噴射される。
【0023】
噴射装置10は、駆動機構30により、円形状の軌跡16に沿って、塗布面21Aに近接した状態(第1状態101)と、後続のシート2から退避した状態(
図4に示す第2状態102)とに周期的に変位する。軌跡16は、搬送方向xおよび上下方向zに延在するxz面上に設定されている。軌跡16の寸法および位置は、シート2と噴射装置10との相対位置、シート2のピッチp、シート2および噴射装置10のそれぞれの移動速度等に基づいて決められている。
【0024】
図2に示すように、塗布面21Aに近接しているノズル12の噴射口12Aから糊Gが一方向に、下流に位置する塗布面21Aに向けて若干下向きに噴射されると、糊Gは空間を移動して塗布面21Aの一箇所に到達する。
図3に示すように、塗布面21Aに分布している塗布位置Aと同数のノズル12が使用される。本実施形態の塗布面21Aには、搬送路5の幅方向yに6つの塗布位置Aが分布している。幅方向yの一方側に配置される噴射装置10-1は、3つの塗布位置Aに個別に対応する3つのノズル12を備えている。幅方向yの他方側に配置される噴射装置10-2も同様である。塗布位置Aの数や位置、塗布面21Aの広さ等に応じて、1以上の任意の数の噴射装置10を用いることができる。
【0025】
糊受け13は、ノズル12に付着した糊を下方から受ける。糊受け13は、上端が開口した箱の形状に形成され、ノズル12の噴射口12Aの直下に、噴射される糊Gの軌跡からは離して配置されている。棚受け13は、
図3に示すように、3つのノズル12の下を幅方向yに延在し、各ノズル12から滴下した糊等を受け止めて貯留する。なお、噴射装置10が、ノズル12に個別に対応する複数の棚受け13を備えていてもよい。
【0026】
糊受け13は、ノズル12から噴射された糊の飛沫、ノズル12から滴下した糊、あるいは、ノズル12から糸状に引き出された後、切れてノズル12に戻ってきた糊を受ける。糊受け13に溜まった糊は、整備時に回収される。糊の回収や清掃を行い易いように、糊受け13は噴射装置10に着脱可能に設けられていることが好ましい。
【0027】
糊受け13は、ノズル12の噴射口12Aよりも下流へ突出しているので、ノズル12よりも塗布面21Aに近接している。そうすると、糊の飛沫を十分に捕集することが可能であるとともに、シーム21が上流側に反っていた場合に、当該シーム21に対して糊受け13がノズル12よりも先に当たるので、ノズル12の噴射口12Aを保護することができる。また、上流側に反っているシーム21が糊受け13のガイド部13Aにより下流へ押されることで、シーム21の位置を補正することができる。ガイド部13Aは上下方向zに起立しており、上下方向zに直立しているシーム21に対し、軌跡16の一部において近接する。そのため、シーム21が正規の位置に対して所定の角度以上にノズル12側に傾斜しているならば、ガイド部13Aは軌跡16の一部においてシーム21に接触する。
【0028】
糊貯留部11、ノズル12、糊受け13、および電磁弁14は、駆動機構30により、変位の周期に亘り一定の姿勢に維持されつつ一体に変位する。噴射装置10の姿勢が変位の周期に亘り一定に維持されるならば、搬送路5を搬送されるシート2や、例えば折り曲げ機構6,7等の他の部材と干渉させずに、噴射装置10を収まりよく設置することができる。その上、糊受け13の姿勢が変わらないので、糊受け13に溜まった糊が糊受け13から溢れ出ることを避けることができる。
噴射装置10が軌跡16を変位する際に、糊受け13の下を搬送されるシート2に糊受け13が干渉しないように、糊受け13の深さは適切に設定されている。糊受け13は、塗布面21Aと面C1との境界21Bを超えて面C1の上端部まで延在している。
【0029】
なお、噴射装置10の変位に必要なスペースの制約が少ない場合は、駆動機構30に代えて、噴射装置10を所定の軸の周りに揺動させる駆動機構を採用することができる。
【0030】
駆動機構30の具体的な図示は省略する。駆動機構30は、噴射装置10(10-1)が固定される取付部34(
図2)と、噴射装置10(10-2)が固定される取付部34とを備えている。
また、駆動機構30は、製造品種の切り替え(型替え)による塗布位置Aの変更に対応するため、取付部34を幅方向yに駆動する駆動部と、取付部34を上下方向zに駆動する駆動部とを備えている。
なお、後述する駆動部70も、型替えによる塗布位置Bの変更に対応するための機構を備えていることが好ましい。
【0031】
駆動機構30に備わるモータの位置や速度が制御装置9からの指令により制御されることで、噴射装置10-1,10-2の変位はシート2のピッチp(
図2)に対応している。本実施形態の噴射装置10は、変位の周期に亘り一定の速度で移動する。軌跡16の長さがピッチpよりも長いため、噴射装置10が変位する速度は、搬送されるシート2の移動速度よりも大きい。
噴射装置10の移動速度は、軌跡16やシート2のピッチp、シート2の移動速度等を考慮して適宜に定めることができる。噴射装置10の移動速度が、変位の周期に亘り必ずしも一定である必要はない。
【0032】
噴射装置10の変位の軌跡16は、円形状には限らず、例えば三角形や四角形等の直線状であってもよい。噴射装置10が、例えば、xz面上を塗布面21Aに向けて直線的に変位する場合、噴射装置10には、噴射装置10を塗布面21Aに対して搬送方向xに変位させる電動シリンダ等の第1軸駆動部と、噴射装置10を上下方向zに変位させる電動シリンダ等の第2軸変位駆動部とが備えられている。
【0033】
図5(a)は、噴射装置10が糊を噴射する直前の状態を示し、
図5(b)は、塗布面21Aにノズル12を距離Lまで近接させた状態でノズル12から糊を噴射させる第1の噴射ステップS01を示している。ノズル12から噴射された糊Gは、距離Lを移動して塗布面21Aの塗布位置Aに付着する。このとき糊受け13はシーム21に近接あるいは接触している。ノズル12を塗布面21Aに近接させており、糊受け13もノズル12と一体に変位するからこそ、糊受け13によりシーム21を押してシーム21を正規の位置に配置することができる。
【0034】
塗布面21Aに糊が塗布されたならば、噴射装置10をシート2の投影範囲R2から退避させるとともに(第1の退避ステップ)、シーム21を折り曲げ機構7により上面C4と共に折り曲げ、塗布面21Aに上面C4を配置する(
図1の9第1の折り曲げステップP4)。
図5(c)に示すように噴射装置10が退避している間に、
図5(b)において糊が塗布されたシート2(2-1)に続くシート2(2-2)が噴射装置10の下方を通過するので、当該シート2-2の塗布面21Aに近づいて糊を噴射する。噴射装置10による糊の噴射は、シート2のピッチpに対応する時間の間隔で繰り返される。
【0035】
(シームへの糊の塗布に関する主な効果)
噴射装置10が、投影範囲R1にノズル12が含まれる第1状態101と、投影範囲R2から退避した第2状態102とに周期的に変位可能に構成されていることにより、搬送されるシート2に噴射装置10が干渉することなく、塗布面21Aに対して極力近い位置から糊を噴射して塗布することができる。そうすると、ノズル12から糊が離れて移動する距離が短いので、糊が移動する軌跡のばらつきを抑えることができるから、塗布位置Aに位置精度良く糊を塗布することができる。
【0036】
しかも、糊の移動距離が短いと、ノズル12から糊が糸状に引き出された場合の糊の長さが短いので、切れてノズル12に戻る糊の量が少ない。そのため、噴射口12Aの近傍に付着する糊や、糊受け13に溜まり過ぎた糊による糊の移動軌跡への影響が少ない点でも、塗布位置Aのばらつきを抑えることができ、固着した糊による噴射口12Aの目詰まりの発生も抑えることができる。
糊の移動距離が短いことによれば、噴射口12Aの近傍に糊が固着したり塵埃が付着したりした場合でも、塗布位置Aのばらつきを抑えて塗布状態の安定を図ることができる。
【0037】
塗布位置Aの位置精度が高められることによれば、若干シーム21が反っていたとしても、正規の塗布位置Aに対してずれが許容される位置に糊を塗布することができる。糊受け13によりシーム21の位置が補正される場合は塗布位置Aの精度をより向上させることができる。
塗布位置Aの位置精度の向上により、噴射された糊がケースCの内側に入り込むといった、糊による汚損の発生を防ぐことができる。
【0038】
(サイドフラップの糊付け)
次に、
図6~
図9を参照し、塗布面21Aと上面C4との糊付けの後に行われるサイドフラップ(22,23)の糊付けについて説明する。
図6(a)は、搬送方向xに所定のピッチpで搬送されるシート2の上面図である。
図6(b)は、同様に搬送されるシート2の側面図である。
図7は、
図6(b)のVII矢視による模式図である。外フラップ22の搬送方向xから見たときの軌跡の範囲を示している。1つの外フラップ22の軌跡の範囲には斜線パターンが付されている。
図8(a)~(e)は、内フラップ23の折り曲げから、外フラップ22の折り曲げまでの各ステップを説明するための上面図である。
図9(a)は、
図8(d)のIXa矢視図である。(b)は、
図8(e)のIXb矢視図である。
【0039】
ケーサ1は、上述の噴射装置10、搬送装置50、および折り曲げ機構7等に加え、内フラップ23の塗布面23Aに糊を噴射する噴射装置60と、塗布面23Aに重ねられる外フラップ22(重ね領域)を折り曲げて塗布面23Aに配置する折り曲げ機構61(
図6)とを備えている。
噴射装置60は、内フラップ23の塗布面23Aに近接させて、搬送路5の幅方向y両側に位置するガイドにそれぞれ設置されている。
【0040】
(第2の糊噴射装置の構成および作用)
噴射装置60は、
図9(a)および(b)に示すように、上述の噴射装置10と同様に、糊貯留部11、ノズル62、糊受け13、電磁弁(図示しない)、および駆動部70を備えている。ノズル62は、塗布面23Aに対してy方向に対向している。噴射装置60は、搬送方向xに沿って配置される塗布面23Aにノズル62が対向している噴射位置601において塗布位置B(
図6および
図9)を目標に糊を噴射する。
上述のノズル12と同様に、ノズル62は塗布面23Aに近接して配置されているので、ノズル62から糊が離れて移動する距離が短い。そのため、塗布位置Bのばらつきを抑えて塗布状態の安定を図ることができる。
【0041】
噴射位置601は、一対の内フラップ23のそれぞれの塗布面23Aのうち、下流側の塗布面23A(23A-1)にノズル62が対向する下流側の噴射位置601-1(
図8(b))と、上流側の塗布面23A(23A-2)にノズル62が対向する上流側の噴射位置601-2(
図8(d))とに相当する。
噴射装置60は、駆動部70により、下流側噴射位置601-1、上流側噴射位置601-2、および、上流側噴射位置601-2よりも上流の退避位置602(
図8(e))の順序で、周期的に変位可能に構成されている。
【0042】
塗布面23Aとノズル62との距離が近いと、1つの多条ノズルから複数の塗布位置Bに糊を到達させることが難しい。そのため、搬送方向xにおける同一位置に存在する複数の塗布位置Bのそれぞれに個別にノズル62を対応させている。これはシーム21の塗布位置Aについても同様である。噴射装置60は、幅方向yの両側に2つずつ、上下方向zに並んで設置される(
図6および
図7参照)。
【0043】
駆動部70としては、例えば、噴射装置60を搬送方向xに進退させる電動シリンダ71(
図9)を用いることができる。電動シリンダ71は、搬送装置50のガイド等に組み付けられ、図示しないモータと、搬送方向xに対して平行に配置される出力軸71Aを備えている。出力軸71Aは、噴射装置60に取り付けられた取付部34に固定されている。出力軸71Aの進退により、下流側噴射位置601-1、上流側噴射位置601-2、および退避位置602を含め、搬送方向xにおける任意の位置に噴射装置60を変位させることができる。
【0044】
制御装置9(
図1)からの指令により、電動シリンダ71のモータの動作がシート2の位置に同期して制御されることで、噴射装置60は、シート2のピッチpに合わせて、下流側噴射位置601-1と、上流側噴射位置601-2と、退避位置602とに周期的に変位する。このとき、噴射装置60の姿勢は一定に維持される。
【0045】
シーム21の糊付けおよびサイドフラップ(22,23)の糊付けに係る一連の処理の一例を説明する。
上述の噴射装置10による第1の噴射ステップS01、噴射装置10をシート2から退避させる第1の退避ステップ、およびシーム21を折り曲げつつ上面C4を塗布面21Aに配置する第1の折り曲げステップ(
図1のP4)を経ることで、シーム21と上面C4とが糊付けされる。このとき、内フラップ23は、前面C3および後面C1からそれぞれ、幅方向yの両側に突出している(
図1のP3参照)。同様に、外フラップ22も、上面C4および下面C2からそれぞれ、幅方向yの両側に突出している。
【0046】
その後、
図6および
図8(a)に示すように、搬送方向xに並んでいる一対の内フラップ23が、図示しない折り曲げ機構により互いに近接する向きに折り曲げられる(s01)。このとき、内フラップ23の塗布面23Aは、搬送方向xに沿って配置されている。好ましくは、塗布面23Aが搬送方向xに対して平行である。
【0047】
次に、塗布面23A(23A-1,23A-2)における塗布位置Bに噴射装置60のノズル62から糊を噴射し(第2の噴射ステップs02)、塗布面23Aへの糊の噴射を終えたならば、直ちに、噴射装置60を搬送路5の上流へ退避させる(第2の退避ステップs03)。噴射装置60をシート2の変位の向きとは逆向き(上流側)に退避させることによれば、シート2と噴射装置60との相対速度が増加するので、噴射装置60の位置をシート2が早期に通過する。
【0048】
図7に示すように、噴射装置60の少なくとも一部は、糊の噴射時において、外フラップ22の搬送方向xから見たときの軌跡26の範囲に配置されている。そのため、塗布面23Aに噴射装置60が対向していると、塗布面23Aに向けて軌跡26を変位する外フラップ22に噴射装置60が干渉するため、外フラップ22を折り曲げて内フラップ23の塗布面23Aに配置することはできない。
ここで、シート2は搬送方向xに搬送されているから、塗布面23Aに糊を噴射した後、いずれシート2が噴射装置60の位置を下流へ通過する。つまり、仮に噴射装置60を上流へ退避させないとしても、シート2が噴射装置60の位置を下流へ通過したならば、外フラップ22に噴射装置60を干渉させずに外フラップ22を折り曲げて塗布面23Aに配置することができる。但し、シート2が噴射装置60の位置を通過するまで待つ必要がある。
【0049】
噴射装置60を上流へ退避させることによれば、噴射装置60が塗布面23Aに近いために、軌跡26の範囲に噴射装置60の少なくとも一部が含まれるとしても、折り曲げ機構61により外フラップ22の折り曲げを早期に開始して、塗布面23Aへの糊の噴射を終えた直後に外フラップ22を塗布面23Aに重ねることができる(第2の折り曲げステップs04,s05)。
なお、軌跡26の範囲に噴射装置60が含まれていなくとも、軌跡26の範囲の近傍に噴射装置60が配置されているため、シート2の寸法誤差、位置誤差等によっては噴射装置60と外フラップ22との干渉が起こりうる場合は、それを避けるため、塗布面23Aへの糊の噴射を終えた噴射装置60を上流へ退避させることが好ましい。
【0050】
本実施形態では、
図8(b)および(d)に示すように、搬送方向xに並んでいる一対の内フラップ23-1,23-2のそれぞれの塗布面23A-1,23A-2に順次、糊を噴射する。したがって、第2の噴射ステップs02は、上流側の塗布面23A-2に先行して下流側の塗布面23A-1に下流側噴射位置601-1で噴射装置60により糊を噴射する先噴射ステップs02-1と、上流側の塗布面23A-2に上流側噴射位置601-2で噴射装置60により糊を噴射する後噴射ステップs02-2とを含む。
【0051】
また、本実施形態では、少なくとも、下流側噴射位置601-1から、上流側噴射位置601-2を経て、退避位置602までの間に亘り、駆動部70により噴射装置60を連続して上流へ後退させる。噴射装置60を連続的に上流へ退避させているので、噴射装置60は、下流側噴射位置601-1から、上流側噴射位置601-2に至るまでの間にも、上流へ退避している。
したがって、退避ステップs03は、先噴射ステップs02-1の後、下流側噴射位置601-1よりも上流へ噴射装置60を退避させる先退避ステップs03-1と、後噴射ステップs02-2の後、上流側噴射位置601-2よりも上流へ、噴射装置60を退避させる後退避ステップs03-2とを含む。
【0052】
図8(a)に示すように一対の内フラップ23が折り曲げられた後、
図8(b)に示すように噴射装置60により下流側噴射位置601-1で塗布面23A-1に糊Gを噴射する(ステップs02-1)。
【0053】
図8(c)に示すように、噴射装置60は、下流側噴射位置601-1から上流へと退避するので(ステップs03-1)、噴射装置60を上流へ退避させない場合と比べ、噴射装置60が上流側塗布面23A-2に対向する上流側噴射位置601-2に早期に到達して(
図8(d))、塗布面23A-2に糊が噴射される(ステップs02-2)。
そうすると、その後の上流側塗布面23A-2への糊の噴射、および外フラップ22の折り曲げを経て、外フラップ22が内フラップ23-1,23-2と糊付けされるまでの間に、先に糊が噴射された下流側塗布面23A-1において糊が垂れることを抑えることができる。その上、下流側塗布面23A-1に糊が噴射されてから、上流側塗布面23A-2に糊が噴射されるまでに要する時間の短縮により、ケースCの成形に要する時間を短縮することができるから、ケーサ1の能力向上に寄与することができる。
【0054】
塗布面23A-2への糊の塗布完了時においては、
図8(d)および
図9(a)に示すように、噴射装置60が上流側塗布面23A-2に対向しているとしても、噴射装置60は上流側噴射位置601-2から退避位置602へと退避するので(ステップs03-2)、
図8(e)および
図9(b)に示すように、噴射装置60の位置を上流側塗布面23A-2が早期に通過する。そうすると、上流側塗布面23A-2への糊の噴射(ステップs02-2)を終えた直後に外フラップ22を折り曲げて一対の内フラップ23の塗布面23A-1,23A-2に重ねることができる(ステップs04,s05)。
上流側塗布面23A-2への糊の噴射後、噴射装置60がまだ上流側塗布面23A-2に対向しているうちに外フラップ22の折り曲げを開始することが許容される。その場合、外フラップ22が塗布面23A-1,23A-2に向けて近接する間に、外フラップ22と塗布面23A-1,23A-2との間から上流へ噴射装置60を退避させるとよい。
【0055】
退避ステップs03-2の後、噴射装置60の変位の向きを駆動部70により下流側に切り替え、次のシート2の下流側塗布面23A-1に対向する下流側噴射位置601-1まで噴射装置60を前進させる。
以降においても、下流側噴射位置601-1と、上流側噴射位置601-2と、退避位置602とに噴射装置60を周期的に進退させながら内フラップ23と外フラップ22との糊付けが行われる。
【0056】
本実施形態では、噴射装置60の1周期の変位量がシート2のピッチpよりも長いため、噴射装置60の移動速度がシート2の移動速度よりも大きい。
噴射装置60の速度は、前進および後退の往復変位量やシート2のピッチp、シート2の移動速度等を考慮して適宜に定めることができる。噴射装置60の速度は、変位の周期に亘り必ずしも一定である必要はない。
【0057】
(サイドフラップの糊付けに関する主な効果)
以上で説明したように、噴射装置60が、糊を噴射する噴射位置601(601-1,601-2)と、噴射位置601よりも上流(噴射位置601-2よりも上流)の退避位置602とに周期的に変位可能であることによれば、噴射位置601よりも上流へ噴射装置60を退避させることにより、内フラップ23の塗布面23A-1,23A-2への糊の噴射を終えた後、外フラップ22の折り曲げを早期に開始することができる。そうすると、塗布面23A-1,23A-2に塗布された糊が垂れて周囲に広がらないうちに塗布面23A-1,23A-2と外フラップ22の裏面とを糊付けすることができるので、ケースCの内側への糊による汚損を防ぐことができる。その上、外フラップ22の折り曲げを早期に開始することで、ケースCの成形に要する時間を短縮することができるから、ケーサ1の能力を向上させることができる。
【0058】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
サイドフラップの糊付けにあたり、噴射装置60により内フラップ23の一対の塗布面23A-1,23A-2に順次、糊を噴射することは前提ではない。例えば、下流側塗布面23A-1の塗布位置Bから、上流側塗布面23A-2の塗布位置Bまでに亘り搬送方向xに延在した噴射装置を用いて、塗布面23A-1,23A-2に同時に糊を噴射することが可能である。その場合は、上述した糊を噴射するステップs02-1,s02-2が一つの噴射ステップs02-1に集約され、噴射装置60を退避させるステップs03-1,s03-2が一つの退避ステップs03-2に集約される。
【0059】
搬送方向xに沿って配置される塗布面23Aに対して噴射装置60により糊を噴射する構成は、塗布面23Aが、上記実施形態のようにケースCの側面C5,C6に配置される場合だけでなく、上面C4に配置される場合にも適用可能である。
【0060】
(付記)
以上で説明した糊噴射装置、ケース製造装置、およびケース製造方法は、以下のように把握される。
〔1〕搬送路5を上流から下流へと搬送方向xに搬送されるシート2における所定の領域(23)の塗布面(23A)にノズル62から糊を噴射する糊噴射装置(60)は、搬送方向xに沿って配置される塗布面23Aにノズル62が対向している噴射位置601において糊を噴射する。この糊噴射装置(60)は、噴射位置601と、噴射位置601よりも上流の退避位置602とに、周期的に変位可能に構成されている。
〔2〕糊噴射装置(60)には、糊噴射装置(60)を噴射位置601と退避位置602とに搬送方向xに進退させる駆動部70が備えられる。
〔3〕糊噴射装置(60)の少なくとも一部は、糊の噴射時において、噴射位置601よりも下流で折り曲げられて塗布面23Aに重ねられる重ね領域(22)の搬送方向xから見たときの軌跡26の範囲に配置されている。
〔4〕シート2には、搬送方向xに並ぶ一対の塗布面23Aと、一対の塗布面23Aに対応する一対の重ね領域(23)とが設定されている。
〔5〕糊噴射装置(60)は、一対の塗布面23Aのうち下流側の塗布面23A-1にノズル62が対向する下流側の噴射位置601-1、上流側の塗布面23A-2にノズル62が対向する上流側の噴射位置601-2、および、上流側の噴射位置601-2よりも上流の退避位置602の順序で、周期的に変位可能に構成されている。
〔6〕糊噴射装置(60)は、ノズル62と一体に変位し、ノズル62に付着した糊を下方から受ける糊受け13を備える。
〔7〕搬送路5を搬送方向xに搬送されるシート2から糊の塗布および折り曲げにより成形されるケースCの製造装置(1)は、シート2における第1の領域(21)の搬送方向xに対して交差する第1の塗布面21Aに糊を噴射する第1の糊噴射装置(10)と、シート2を搬送方向xに搬送する搬送装置50と、第1の領域(21)を折り曲げて第1の塗布面21Aにシート2における他の領域(C4)を配置する第1の折り曲げ機構7と、シート2における第2の領域(23)の搬送方向xに沿って配置される第2の塗布面23Aに糊を噴射する糊噴射装置である第2の糊噴射装置(60)と、シート2において第2の塗布面23Aに重ねられる重ね領域(22)を噴射位置601よりも下流で折り曲げて第2の塗布面23Aに配置する第2の折り曲げ機構61と、を備える。第2の糊噴射装置(60)の少なくとも一部は、糊の噴射時において、重ね領域(22)の搬送方向xから見たときの軌跡26の範囲に配置されている。
〔8〕搬送路5を上流から下流へと搬送方向xに搬送されるシート2から糊の塗布および折り曲げにより成形されるケースCの製造方法は、シート2における第1の領域(21)の搬送方向xに対して交差する第1の塗布面21Aに第1の糊噴射装置(10)により糊を噴射する第1の噴射ステップS01と、第1の領域(21)を第1の折り曲げ機構7により折り曲げて第1の塗布面21Aにシート2における他の領域(C4)を配置する第1の折り曲げステップ(P4)と、シート2における第2の領域(23)の搬送方向xに沿って配置される第2の塗布面23Aに第2の糊噴射装置(60)により糊を噴射する第2の噴射ステップs02と、第2の塗布面23Aに糊を噴射する噴射位置601よりも上流へ第2の糊噴射装置(60)を退避させる退避ステップs03と、シート2において第2の塗布面23Aに重ねられる重ね領域(22)を第2の折り曲げ機構61により折り曲げて第2の塗布面23Aに配置する第2の折り曲げステップs04,s05と、を含む。
〔9〕シート2には、搬送方向xに並び、第2の糊噴射装置(60)により糊が順次噴射される一対の第2の塗布面23Aと、一対の第2の塗布面23Aに対応する一対の重ね領域(22)とが設定される。第2の噴射ステップs02は、一対の第2の塗布面23Aのうち、上流側の第2の塗布面23A-2に先行して下流側の第2の塗布面23A-1に第2の糊噴射装置(60)により糊を噴射する先噴射ステップs02-1と、上流側の第2の塗布面23A-2に第2の糊噴射装置(60)により糊を噴射する後噴射ステップs02-2と、を含む。退避ステップs03は、先噴射ステップs02-1の後、下流側の第2の塗布面23A-2に糊を噴射する下流側の噴射位置601-1よりも上流へ第2の糊噴射装置(60)を退避させる先退避ステップs03-1と、後噴射ステップs02-2の後、上流側の第2の塗布面23A-2に糊を噴射する上流側の噴射位置601-2よりも上流へ第2の糊噴射装置(60)を退避させる後退避ステップs03-2と、を含む。
【符号の説明】
【0061】
1 ケーサ(ケース製造装置)
2 シート
3 内容物
4 供給源
5 搬送路
6~8,61 折り曲げ機構
9 制御装置
10 噴射装置(第1の糊噴射装置)
11 糊貯留部
12 ノズル
12A 噴射口
13A ガイド部
14 電磁弁
16 軌跡
21 シーム(第1の領域)
21A 塗布面(第1の塗布面)
21B 境界
22 外フラップ(重ね領域)
23 内フラップ(領域、第2の領域)
23A 塗布面(第2の塗布面)
23A-1 下流側塗布面
23A-2 上流側塗布面
26 軌跡
30 駆動機構
34 取付部
50 搬送装置
60 噴射装置(糊噴射装置、第2の糊噴射装置)
62 ノズル
70 駆動部
71 電動シリンダ
71A 出力軸
101 第1状態
102 第2状態
601 噴射位置
601-1 下流側噴射位置
601-2 上流側噴射位置
602 退避位置
A,B 塗布位置
C ケース
C1 後面
C2 下面
C3 前面
C4 上面
C5,C6 側面
F 折り目
G 糊
L 距離
p ピッチ
R1 投影範囲
R2 投影範囲
S01 第1の噴射ステップ
s02 第2の噴射ステップ
s02-1 先噴射ステップ
s02-2 後噴射ステップ
s03 第2の退避ステップ
s03-1 先退避ステップ
s03-2 後退避ステップ
s04,s05 第2の折り曲げステップ
x 搬送方向
y 幅方向
z 上下方向