(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】呼吸音検出装置及びこれを用いた呼吸音検出方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/08 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
A61B5/08
(21)【出願番号】P 2021045141
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智昭
【審査官】村田 泰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-204788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0130568(US,A1)
【文献】国際公開第2015/029501(WO,A1)
【文献】特開2020-078728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に装着可能な装着部と、
前記装着部に支持され、前記装着部を装着したユーザの呼吸音を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、呼吸音により振動する
第一の振動板と、
前記
第一の振動板と離間して前記ハウジングに取り付けられ、前記
第一の振動板を通して呼吸音を集音する集音部と、を含み、
前記集音部は、前記第一の振動板と離間した第二の振動板を含み、
前記ハウジングの内面、前記
第一の振動板、及び前記
第二の振動板により、前記ハウジングの内部に
、密閉内部空間が画定される、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の呼吸音検出装置であって、
前記密閉
内部空間が不活性ガス又はドライ空気で満たされる、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項3】
請求項1から2までのいずれか1項に記載の呼吸音検出装置であって、
前記
第一の振動板の共振周波数は、100Hzから600Hzまでの値である、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の呼吸音検出装置であって、
前記検出部で検出された呼吸音が、呼気音であるか吸気音であるかを判別する判別部をさらに備える、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の呼吸音検出装置であって、
前記判別部は、検出部で検出された呼吸音の振幅強度の差に基づいて判別を行う、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の呼吸音検出装置であって、
前記
第一の振動板は、前記装着部がユーザの頭部に装着された状態で、ユーザの鼻に接するように配置される、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の呼吸音検出装置であって、
前記装着部は、前記装着部に対する前記検出部の配置を調整可能な調整部を含む、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の呼吸音検出装置であって、
前記装着部は、メガネ型の形状を有する、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の呼吸音検出装置であって、
前記検出部の検出結果に関する情報を無線送信可能な送信部をさらに備える、
ことを特徴とする呼吸音検出装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の呼吸音検出装置を用いて前記呼吸音検出装置を装着したユーザの呼吸音を検出する検出工程を含む、ことを特徴とする呼吸音検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸音検出装置及びこれを用いた呼吸音検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの頭部に装着してユーザの呼吸に関する測定を行う装置が知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-125682号公報
【文献】登録実用新案第3131597号公報
【文献】特開2014-064675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
呼吸音の測定においては、ノイズの影響を排除しつつ、効果的に呼吸音を集音することが望まれる。
【0005】
本発明は、ノイズの影響を排除しつつ、効果的に呼吸音を集音する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
ユーザの頭部に装着可能な装着部と、
前記装着部に支持され、前記装着部を装着したユーザの呼吸音を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、呼吸音により振動する第一の振動板と、
前記第一の振動板と離間して前記ハウジングに取り付けられ、前記第一の振動板を通して呼吸音を集音する集音部と、を含み、
前記集音部は、前記第一の振動板と離間した第二の振動板を含み、
前記ハウジングの内面、前記第一の振動板、及び前記第二の振動板により、前記ハウジングの内部に、密閉内部空間が画定される、
ことを特徴とする呼吸音検出装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノイズの影響を排除しつつ、効果的に呼吸音を集音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る呼吸音検出装置の概略を示す図。
【
図2】呼吸音検出装置の検出部及びその周辺部の拡大図。
【
図4】呼吸音検出装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【
図5】呼吸音検出装置による呼吸音の波形解析の一例を説明する図。
【
図6】CPUにより実行される処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<1.呼吸音検出装置の構成>
<1.1.概略>
図1は、一実施形態に係る呼吸音検出装置1(以下、装置1と表記することがある)の概略を示す図である。また、
図2は、装置1の検出部14及びその周辺部の拡大図である。装置1は、ユーザの呼吸音を検出するための装置である。装置1は、装着部12と、検出部14と、信号処理部16と、無線送信部18と、を含む。
【0011】
装着部12は、ユーザの頭部に着脱可能に構成される。本実施形態では、装着部12は、メガネ型の形状を有する。このため、ユーザは装着部12を容易に着脱することができる。なお、本実施形態の説明では、頭部は人の首より上の部分を指す。また、装着部12の形状は例示であって、適宜変更可能である。例えば、装着部12は、ヘルメット型の形状を有していてもよい。装着部12は、フレーム部121と、延長部122と、調整部123とを含む。
【0012】
フレーム部121は、装置1の各種構成部品を支持する。フレーム部121は、例えば金属材料又は樹脂材料で形成される。延長部122は、フレーム部121から延長するように設けられ、フレーム部121と検出部14とを接続するための部材である。延長部122は、ユーザが装置1を装着した状態で、ユーザの眉間の辺りから鼻へと向かうに、フレーム部121から下方に延びて設けられている。調整部123は、装着部12に対する検出部14の配置を調整可能に構成される。調整部123は、延長部122側の支持部材1231と、検出部14側の変位部材1232とを含む。そして、変位部材1232が支持部材1231に対して変位することで、変位部材1232と接続する検出部14の配置を装着部12に対して調整することができる。例えば、調整部123は、ユニバーサルジョイントや球面軸受等であってもよく、変位部材1232が支持部材1231に対して揺動可能に支持されてもよい。
【0013】
検出部14は、装着部12に支持され、装着部12を装着したユーザの呼吸音を検出する。検出部14は、呼吸音の信号波形を示す電気信号を信号処理部16に対して出力する。なお、本実施形態では、検出部14は、ユーザの鼻の右側に接触又は近接するように1つ設けられている。しかしながら、検出部14は、ユーザの鼻の左側に接触又は近接するように設けられてもよいし、ユーザの鼻の両側に接触又は近接するように2つ設けられてもよい。検出部14の詳細な構成については後述する(
図3)。
【0014】
信号処理部16は、検出部14から出力された電気信号の処理を行う。信号処理部16の詳細な構成については後述する(
図4)。
【0015】
無線送信部18は、検出部14の検出結果に関する情報を無線送信可能に構成される。例えば、無線送信部18は、Bluetooth(商標登録)、Wi‐Fi(商標)又はその他の公知の無線通信方式により外部の装置と通信する。なお、無線送信部18が送信する情報は、検出部14が出力した情報そのものであってもよいし、信号処理部16によって処理された後の情報であってもよい。
なお、装置1は、上述した構成の他、各構成要素に電力を供給するバッテリ等を含み得る。
【0016】
<1.2.検出部>
図2と併せて
図3を参照する。
図3は、検出部14の内部構造を示す断面図である。検出部14は、ハウジング141と、振動板142と、集音部143とを含む。
【0017】
ハウジング141は、検出部14の外形を構成する部材である。ハウジング141は、周壁1411と、底壁1412とを含む。周壁1411は、筒状の形状を有し、筒状の形状の両端には開口1411a及び開口1411bが形成されている。また、周壁1411の内面1411cには、集音部143の軸方向の位置決めを行うための段差1411dが形成されている。この段差1411dにより、組み立て時に振動板142と集音部143との間隔を一定の値にすることができる。底壁1412は、開口1411bを覆うように周壁1411に対して取り付けられるとともに、変位部材1232と接続するように設けられる。ハウジング141の材料には金属材料や樹脂材料等公知の材料を適宜採用可能である。例えば、ハウジング141はアルミニウムで形成されてもよい。また、周壁1411は円筒形状であるが、形状は適宜変更可能である。
【0018】
振動板142は、呼吸音により振動する板状の部材である。振動板142は、例えばダイヤフラムである。振動板142は、ハウジング141に取り付けられる。具体的には、振動板142は、周壁1411の開口1411aを塞ぐように、周壁1411に対して取り付けられる。振動板142は、例えばエポキシ樹脂系の接着剤による接着等、公知の態様で周壁1411に固定される。
【0019】
また、本実施形態では、振動板142は、装着部12がユーザの頭部に装着された状態で、ユーザの鼻に接するように配置される。これにより、振動板142は、ノイズとなる外部の音は集音部143に伝達せずに、鼻との接触部分から呼吸音を集音部143へと伝達することができる。したがって、SN比が低減される。振動板142の接触位置は、より詳細には、装着者であるユーザの鼻根から鼻尖までのいずれかの部分の鼻表面であってもよい。また、振動板142がユーザの鼻の骨の無い部分に接触するように配置されることにより、検出可能な音圧が大きくなり、SN比がより低減される。
【0020】
なお、装着部12がユーザの頭部に装着された状態で、振動板142がユーザの頭部に接触せずに所定の間隔で離間する構成も採用可能である。このような場合には、振動板142は、声による骨伝導又は皮膚伝導による振動板142の振動は集音部143に伝達することなく呼吸音を集音部143に伝達することができる。
【0021】
振動板142は、その共振周波数が100Hzから600Hzまでの値となるように構成されてもよい。さらに言えば、振動板142の共振周波数は200Hzから500Hzまでの間であってもよい。ここで、共振周波数f(Hz)は、
f=(Kt/2πd2)*√(E/3ρ(1-σ2)) 式(1)
(K:節円係数、t:厚さ(m)、d:半径(m)、E:ヤング率(Pa)、ρ:密度(kg/m3)、σ:ポアソン比)
で表される。よって、上記式(1)に基づいて、振動板142の厚さ(t)、半径(d)、材料(E、ρに影響)等が設定されてもよい。振動板142の共振周波数を呼吸音の周波数帯に含まれるような値にすることにより、検出部14が効果的に呼吸音を検出することができる。一実施形態において、振動板142はアルミニウムであってもよい。
【0022】
集音部143は、振動板142を通して呼吸音を集音する。詳細には、集音部143は、振動板142を介して入力された呼吸音の音波を電気信号に変更する。集音部143は、例えばマイクロフォンであってもよく、詳細にはコンデンサマイク又はMEMS(Micro Electronics Mechanical System)マイクロフォン等であってもよい。集音部143は、周壁1411の内部において、振動板142と離間して配置されている。すなわち、集音部143の構成部品として振動板が設けられる場合、それとは異なる振動板である振動板142が、集音部143と離間して設けられている。
【0023】
本実施形態では、ハウジング141の周壁1411の内面1411c、振動板142及び集音部143により、ハウジング141の内部に内部空間141aが画定される。このように、外部と区画された内部空間141aを介して振動板142から集音部143へと呼吸音が伝達されるので、ノイズの発生を抑制しつつ、呼吸音を集音することができる。
【0024】
また、内部空間141aは密閉空間であってもよく、不活性ガス又はドライ空気で満たされてもよい。これにより、内部空間141aにおける呼吸音の伝達性を向上することができる。例えば、周壁1411に振動板142が取り付けられた状態で、ドライ空気雰囲気にて集音部143が周壁1411に接着や機械封止等により固定されることにより、内部空間141aがドライ雰囲気で満たされる。不活性ガスは、窒素又はヘリウム等であってもよい。
【0025】
<1.3.制御構成>
図4は、装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。検出部14は、集音部143により、集音された呼吸音を信号波形(以下、波形と表記することがある)に変換して信号処理部16に出力する。信号処理部16は、検出部14から受け付けた呼吸音の波形に所定の処理を行う。無線送信部18は、信号処理部16から受け付けた情報を外部の装置へと無線送信する。
【0026】
信号処理部16は、増幅回路161と、AD変換回路162と、CPU(Central Processing Unit)163と、メモリ164とを含む。増幅回路161は、検出部14から受け付けた呼吸音の波形を増幅させる。AD変換回路162は、増幅回路161によって増幅された波形をアナログ信号からデジタル信号に変換する。CPU163は、AD変換回路162による変換後の波形に対して所定の処理を実行する。メモリ164は、例えばROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)等を含み、CPU163が実行するプログラムを記憶したり、CPU163のワーキングメモリとして用いられたりする。すなわち、本実施形態では、CPU163がメモリ164に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、検出部14の検出結果に対して所定の処理を行うための機能が実現される。
【0027】
CPU163が実行する処理としては、AD変換回路162による変換後の波形に対するフィルタ処理、包絡線解析処理等が挙げられる。また、CPU163は、包絡線解析の解析結果に基づいて、呼吸周期の特定や、呼気と吸気の判別等を実行する。
【0028】
なお、CPU163が実現する機能は、PLD(Programmable Logic Device)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、公知の半導体装置により実現されてもよい。また、ここでは信号処理部16を単一の要素として示すが、信号処理部16は必要に応じて2以上の要素に分けられてもよい。
【0029】
<2.呼吸音検出装置による波形解析>
図5は、装置1による呼吸音の波形解析の一例を説明する図である。ここで、波形20は、検出部14により検出され、増幅回路161による増幅、AD変換回路162によるアナログ‐デジタル変換、又はCPU163によるフィルタ処理等の所定の処理がなされた呼吸音の模式的な波形である。また、包絡線22は、波形20の包絡線である。また、
図6は、CPU163により実行される処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、CPU163が検出部14の検出結果に基づき取得した波形20の呼吸周期を特定するための処理である。例えば、本フローチャートはCPU163がメモリ164に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実行される。
【0030】
ステップS1(以下単にS1と表記し、他のステップも同様とする)で、CPU163は、波形20の包絡線22を生成する。なお包絡線22の生成は、専用の回路等によって実行されてもよい。包絡線を生成することによって音圧の変化を検知しやすくなるため、ノイズの影響を受けずに呼吸周期を求めることができる。
【0031】
S2で、CPU163は、吸気のピークP1~P3を検出する。本実施形態の検出部14により検出される呼吸音の波形では、振幅強度の大きい領域(吸気)と振幅強度が小さい領域(呼気)とが一対となって現れる。そこで、CPU163は、振幅強度の差に基づいて、振幅のピークが吸気のピークP1~P3であるか呼気のピークP11~P13であるかを判別し、吸気のピークP1~P3を検出する。一例として、CPU163は、検出した振幅のピークの振幅強度と閾値とを比較し、振幅強度が閾値を超えるピークを吸気のピークP1~P3であると判別し、振幅強度が閾値を以下のピークを呼気のピークP11~P13であると判別してもよい。
【0032】
S3で、CPU163は、呼吸周期を特定する。具体的には、CPU163は、S2で検出した吸気のピークP1~P3同士の間隔を計測することにより、呼吸周期C1~C2を特定する。
【0033】
このように、本実施形態によれば、信号処理部16は検出部14の検出結果に基づき呼吸周期を特定することができる。なお、信号処理部16は、包絡線22に基づいて各周期における吸気と呼気それぞれの期間等を特定してもよい。また、前述した波形解析は例示であって、信号処理部16は他の公知の技術を用いて検出部14により検出された波形に対する処理を行ってもよい。例えば、信号処理部16は、包絡線22の生成を行わずに波形20に基づいて吸気のピークP1~P3を検出し、呼吸周期C1~C2を特定してもよい。すなわち、信号処理部16は、検出部14により検出された音圧に基づいて呼吸周期を求めてもよい。これにより、包絡線の生成を行う場合と比べて低コストで呼吸周期の特定を行うことができる。
【0034】
<3.実施形態のまとめ>
上記実施形態は、以下の呼吸音検出装置(1)及び呼吸音検出方法を少なくとも開示する。
【0035】
1.上記実施形態の呼吸音検出装置は、
ユーザの頭部に装着可能な装着部(12)と、
前記装着部に支持され、前記装着部を装着したユーザの呼吸音を検出する検出部(14)と、を備え、
前記検出部は、
ハウジング(141)と、
前記ハウジングに取り付けられ、呼吸音により振動する振動板(142)と、
前記振動板と離間して前記ハウジングに取り付けられ、前記振動板を通して呼吸音を集音する集音部(143)と、を含み、
前記ハウジングの内面、前記振動板、及び前記集音部により、前記ハウジングの内部に内部空間(141a)が画定される。
【0036】
この実施形態によれば、呼吸音による振動板の振動がハウジングの内部に画定される内部空間を介して集音部に伝達される。よって、ハウジングによって外部の音を遮音しつつ振動板から集音部に呼吸音が伝達されるので、ノイズの影響を排除しつつ、効果的に呼吸音を集音することができる。
【0037】
2.上記実施形態によれば、
前記内部空間は密閉空間であり、
前記密閉空間が不活性ガス又はドライ空気で満たされる。
【0038】
この実施形態によれば、振動板から集音部への振動の伝達をより効果的に行うことができる。
【0039】
3.上記実施形態によれば、
前記振動板の共振周波数は、100Hzから600Hzまでの値である。
【0040】
この実施形態によれば、振動板の共振周波数が呼吸音の特徴的な周波数帯域に含まれるので、検出部が効果的に呼吸音を検出することができる。
【0041】
4.上記実施形態によれば、
前記検出部で検出された呼吸音が、呼気音であるか吸気音であるかを判別する判別部(163,S2)をさらに備える。
【0042】
この実施形態によれば、検出部で検出された呼吸音を呼気と吸気とに判別することができる。
【0043】
5.上記実施形態によれば、
前記判別部は、検出部で検出された呼吸音の振幅強度の差に基づいて判別を行う。
【0044】
この実施形態によれば、呼気と吸気の振幅強度の差から、呼吸音を呼気と吸気とに判別することができる。
【0045】
6.上記実施形態によれば、
前記振動板は、前記装着部がユーザの頭部に装着された状態で、ユーザの鼻に接するように配置される。
【0046】
この実施形態によれば、振動板がユーザの鼻に接することで、振動板が呼吸音以外の音によって振動してその振動を集音部に伝達することを抑制することができる。
【0047】
7.上記実施形態によれば、
前記装着部は、前記装着部に対する前記検出部の配置を調整可能な調整部(123)を含む。
【0048】
この実施形態によれば、ユーザの頭部の形状等に応じて検出部の配置を調整することができる。
【0049】
8.上記実施形態によれば、
前記装着部は、メガネ型の形状を有する。
【0050】
この実施形態によれば、ユーザが装着部を容易に着脱することができる。
【0051】
9.上記実施形態によれば、
前記検出部の検出結果に関する情報を無線送信可能な送信部(18)をさらに備える。
【0052】
この実施形態によれば、外部の装置に検出結果に関する情報を送信することができる。
【0053】
10.上記実施形態の呼吸音検出方法は、
上述の1.~9.呼吸音検出装置を用いて前記呼吸音検出装置を装着したユーザの呼吸音を検出する検出工程を含む。
【0054】
この実施形態によれば、ノイズの影響を排除しつつ、効果的に呼吸音を集音することができる。
【0055】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1:呼吸音検出装置、12:装着部、14:検出部、141:ハウジング、142:振動板、143:集音部