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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/65 20200101AFI20241126BHJP
【FI】
D06F33/65
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021066559
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161617
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小倉 隼人
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-081352(JP,A)
【文献】特開2011-087763(JP,A)
【文献】特開2018-033842(JP,A)
【文献】特開2014-087467(JP,A)
【文献】特開2021-029931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有する筐体と、
前記筐体内部に設けられた水槽と、
前記水槽内部に回転可能に設けられて前記水槽と共に乾燥室を構成する回転槽と、
前記回転槽を回転させる駆動部と、
本運転として、衣類を洗濯する洗濯運転と、衣類を乾燥する乾燥運転と、前記洗濯運転及び前記乾燥運転を含む洗濯乾燥運転と、の少なくともいずれかを実行する制御装置と、
前記回転槽内部に供給する蒸気を生成する蒸気発生装置と、
前記筐体内に設けられて前記乾燥室と接続されて内部に空気を通す循環風路と、
前記循環風路中に設けられて前記乾燥室に前記空気を送風する送風機と、を備え、
前記制御装置は、本運転終了後所定期間に前記送風機を駆動して前記乾燥室に前記空気を供給しながら前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる前工程を実行し、前記所定期間に前記回転槽からの衣類の取り出しの有無を判定する判定処理を実行し、前記判定処理の結果衣類の取り出しがあると判定しなければ、前記蒸気発生装置により前記回転槽に蒸気を供給する蒸気供給工程を実行し、
前記蒸気供給工程実行後の期間において再度前記前工程を実行し、前記所定期間に前記判定処理の結果衣類の取り出しがあると判定しなければ、再度前記蒸気供給工程を実行する、
洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記開口部を開閉する扉と、
前記扉の開閉を検知可能な検知部と、を備え、
前記制御装置は、前記判定処理において、前記検知部が前記扉が開いたことを検知した場合衣類の取り出しがあると判定し、前記検知部が前記扉が開いたことを検知しなければ衣類の取り出しがないと判定する
請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記所定期間は、前記回転槽内の衣類の重量に応じて異なる値に設定されている
請求項1又は2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記所定期間は、前記本運転が前記洗濯運転と、前記乾燥運転と、前記洗濯乾燥運転のいずれであるかに応じて異なる値に設定されている
請求項1からのいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記所定期間は、前記回転槽内の衣類の布質に応じて異なる値に設定されている
請求項1からのいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
記循環風路中に設けられて前記空気を前記循環風路外部に排出する排気口と、
前記排気口を開閉する開閉装置と、を備え、
前記制御装置は、前記蒸気供給工程終了後かつ前記前工程実行前に、前記開閉装置を開状態とすると共に前記送風機を駆動して前記乾燥室に前記空気を供給しながら前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる第1蒸気乾燥工程を実行する
請求項1からのいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
記循環風路中に設けられて前記空気を加熱する加熱装置と、を備え、
前記制御装置は、前記蒸気供給工程終了後かつ前記前工程実行前に、前記加熱装置と前記送風機とを駆動して前記乾燥室内に前記加熱装置により加熱した前記空気を供給しながら前記駆動部を駆動して前記回転槽を回転させる第2蒸気乾燥工程を実行する
請求項1からのいずれか一項に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類乾燥機として、衣類の洗濯機能と乾燥機能とを備えた洗濯乾燥機が知られている。乾燥運転時は、回転を回転させながら、ヒーター方式やヒートポンプ方式によって発生させた温風を乾燥室となる水槽及び回転槽に供給することで、乾燥室内の衣類を乾燥する。
【0003】
乾燥運転時に衣類が遠心力により回転槽に押し付けられることで、乾燥後の衣類にしわが付いたり、ごわつきが生じたりすることがある。そのため、乾燥運転の後半に蒸気を回転槽に導入し、衣類のしわつき及びごわつきを抑制した洗濯乾燥機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-39436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、洗濯運転後や乾燥運転終了後すぐにユーザが衣類を取り出さないこともある。このような場合、乾燥運転終了後に衣類が積み重なった状態で長時間放置されることによって、衣類の自重により再度衣類にしわが付く虞がある。また、衣類が濡れた状態では乾燥した状態よりも重量が大きくなるため一層衣類にしわが付きやすくなる。そのため、乾燥工程を経ない脱水工程後の衣類は、積み重なった状態で長時間放置されることによって、深いしわが付く虞がある。
【0006】
そこで、運転終了後すぐに衣類を取り出さなくても衣類のしわ付きを抑制することができユーザの利便性が向上した衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の衣類乾燥機は、前面に開口部を有する筐体と、前記筐体内部に設けられた水槽と、前記水槽内部に回転可能に設けられて前記水槽と共に乾燥室を構成する回転槽と、前記回転槽を回転させる駆動部と、本運転として、衣類を洗濯する洗濯運転と、衣類を乾燥する乾燥運転と、前記洗濯運転及び乾燥運転を含む洗濯乾燥運転と、の少なくともいずれかを実行する制御装置と、前記回転槽内部に供給する蒸気を生成する蒸気発生装置と、を備える。前記制御装置は、本運転終了後前記回転槽からの衣類の取り出しの有無を判定する判定処理を実行し、本運転終了後所定期間経過するまでに前記判定処理の結果衣類の取り出しがあると判定しなければ、前記蒸気発生装置により前記回転槽に蒸気を供給する蒸気供給工程を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による洗濯乾燥機の一例について概略構成を示す側面図
図2】一実施形態による洗濯乾燥機の一例について概略構成を示す背面図
図3】一実施形態による洗濯乾燥機の一例について冷凍サイクルを示す概略図
図4】一実施形態による洗濯乾燥機の一例の電気的構成を示すブロック図
図5】一実施形態による洗濯乾燥機の一例の蒸気発生装置と給水装置とを備える洗濯乾燥機の上部周辺を示す概略側面図
図6】一実施形態による洗濯乾燥機の一例の蒸気発生装置を示す概略図
図7】一実施形態による洗濯乾燥機の一例の特別運転における各期間と工程とを示すチャート
図8】一実施形態による洗濯乾燥機の本運転が乾燥運転又は洗濯乾燥運転である場合における衣類の重量と衣類の布質に応じた第1期間の一例を示すチャート
図9】一実施形態による洗濯乾燥機の本運転が洗濯運転である場合における衣類の重量と衣類の布質に応じた第1期間の一例を示すチャート
図10】一実施形態による洗濯乾燥機の各工程の運転条件の一例を示すチャート
図11】一実施形態による洗濯乾燥機の一例のしわ取りコースが選択された場合の制御装置による制御の内容の一例を示すフローチャート
図12】一実施形態による洗濯乾燥機の一例の前工程開始処理における制御装置による制御の内容を示すフローチャート
図13】一実施形態による洗濯乾燥機の一例の第1しわ取り工程における制御装置による制御の内容を示すフローチャート
図14】一実施形態による洗濯乾燥機の一例の第2しわ取り工程における制御装置による制御の内容を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一の実施形態による衣類乾燥機について、図面を参照して説明する。本実施形態は、図1に示す横軸又は斜め軸型のドラム式洗濯機、及び図示しない縦軸型の洗濯機のいずれにも適用することができる。
【0010】
洗濯乾燥機10は、図1図4に示すように、筐体11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、扉15、ベローズ16、給水機構17、排水部18、操作パネル19、及び示す制御装置20を備えている。洗濯乾燥機10は、ヒートポンプ方式の乾燥機能を備えた衣類乾燥機でもあり、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。なお、本実施形態において、筐体11に対して扉15側を洗濯乾燥機10の前側つまりユーザ側とする。また、重力方向つまり鉛直方向を洗濯乾燥機10の上下方向とし、前後方向及び上下方向に直交する水平方向を左右方向とする。
【0011】
筐体11は、洗濯乾燥機10の外殻を構成するものであり、例えば鋼板等によってほぼ矩形の箱状に形成されている。筐体11は、図1に示すように、前面の概ね中央に設けられた開口部111が扉15によって開閉される。
【0012】
水槽12は、筐体11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12及び回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。
【0013】
同様に、回転槽13は、円筒状の一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。開口部131は、傾斜した回転槽13において回転槽端板132よりも上側に位置している。回転槽13の開口部131は、水槽12の開口部121に周囲を覆われている。水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯室及び乾燥室として機能する。
【0014】
回転槽モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。回転槽モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。回転槽モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、回転槽モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。回転槽モータ14は、制御装置20に電気的に接続され、制御装置20による制御により駆動する。
【0015】
扉15は、図示しないヒンジを介して筐体11の外面側に設けられている。扉15は、ヒンジを支点に回動し、筐体11の前面に形成された開口部111を開閉する。ベローズ16は、開口部111と水槽12の開口部121とを接続する。衣類等の洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
【0016】
給水機構17は、図5に示すように、例えば筐体11内の水槽12の上方左奥部に設けられている。給水機構17は、例えば水道等の給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う。
【0017】
排水部18は、水槽12の重力方向の下側に位置する底部の後端部側に設けられている。排水部18は、排水口123、排水弁181、及び排水ホース182を含んで構成されている。排水口123は、水槽12の最底部となる後端部に設けられており、水槽12の内部と外部とを連通している。排水弁181は、例えば電磁式の液体用の開閉弁で構成されており、排水口123と排水ホース182との間に設けられている。排水弁181は、制御装置20に電気的に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉する。排水ホース182は、排水口123と機外つまり筐体11の外部とを繋いでおり、水槽12内の水を外部に排水するための排水経路として機能する。この場合、排水弁181は、排水口123と排水ホース182との間すなわち排水経路を開閉する。つまり、排水弁181が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁181及び排水ホース182を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
【0018】
操作パネル19は、例えば図1に示すように筐体11の上面部における前部に設けられており、制御装置20に電気的に接続されている。各種操作キー等が設けられている。
操作パネル19は、例えばタッチパネル式の液晶パネルを含んで構成され、洗濯乾燥機10に関する種々の情報を表示することができる。なお、操作パネル19は、液晶パネルに限らず、他の実施形態では、例えば有機ELパネルを含んで構成されていても良い。
【0019】
各種操作キーは、洗濯乾燥機10の運転に関するユーザによる各種の操作を受け付ける。操作キーは、操作パネル19に表示された画面に含まれるタッチキーで構成されている。ユーザは、操作パネル19に表示された操作キーに手指等で触れることにより、洗濯乾燥機10の運転に関する各種の入力操作を行うことができる。
【0020】
操作パネル19を構成するタッチパネルとしては、例えばユーザの手指が触れた際に発生する静電容量の変化を感知する静電容量方式のタッチパネルを適用することができる。なお、操作パネル19を構成するタッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルに限らず、他の実施形態では、例えば抵抗膜方式のタッチパネルなど、各種の方式のタッチパネルを適用することができる。また、各種操作キーは、静電タッチ式に限られず、他の実施形態では、ボタン式であっても良い。
【0021】
制御装置20は、図4に示すように、例えばCPU201や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリなどの記憶領域202を有するマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯乾燥機10全体の制御を行う。本実施形態の場合、制御装置20は、回転槽モータ14、及び排水弁181、操作パネル19、並びに後述する送風機39のファンモータ391、及び圧縮機43の駆動を制御する。
【0022】
なお、洗濯乾燥機10は、図示しない外部のルータを介して例えばインターネットや携帯電話回線網等の電気通信回線に接続可能に構成されていても良い。この場合、図示しない通信部は、ルータ及び電気通信回線を介して、外部機器である例えばスマートフォンやタブレット、パソコン等の外部の情報端末や、企業等に設置されたサーバ等に通信可能に接続される。またこの場合、通信部は、情報端末等と有線又は無線によって直接接続されても良い。制御装置20は、外部機器である情報端末やサーバに例えば洗濯乾燥機10の運転状況等の各種情報を送信することができる。また、通信部は、情報端末やサーバ等から各種指示を受信することができる。
【0023】
図1から図3に示すように、水槽12は、空気出口21と、空気入口22とを有している。空気出口21は、例えば水槽12の筒状部分を構成する周壁にあって上部前寄り部分に設けられている。空気入口22は、水槽端板122にあって、該水槽端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられている。空気出口21及び空気入口22は、水槽12の内部と外部とを連通している。空気出口21は、乾燥室である水槽12及び回転槽13からの空気の出口である。空気入口22は、乾燥室である水槽12及び回転槽13への空気の入口である。空気出口21と空気入口22とは、いずれも排水口123よりも上方に位置している。
【0024】
図1に示すように、回転槽13は、複数の孔23と、複数の連通口24とを有している。孔23及び連通口24は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔23は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。連通口24は、回転槽端板132の全域に形成されている。孔23及び連通口24は、洗い工程、排水工程、すすぎ工程及び脱水工程を含む洗濯運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。なお、図1では、簡単のため複数の孔23及び連通口24のうち一部のみを示している。
【0025】
洗濯乾燥機10は、図1図3に示すように循環風路30及びヒートポンプユニット40を備えている。循環風路30は、水槽12の外側に設けられており、空気出口21と空気入口22とを繋いでいる。具体的には、循環風路30は、排気ダクト31、フィルタ装置32、接続ダクト33、熱交換部34、及び給気ダクト35を有して構成されている。
【0026】
排気ダクト31は、図1及び図3に示すように、水槽12の空気出口21とフィルタ装置32とを接続している。排気ダクト31は、例えば蛇腹状のホースで構成されている。フィルタ装置32は、筐体11の内側上部にあって、水槽12及び回転槽13の上方に設けられている。フィルタ装置32内には、フィルタ321が設けられている。フィルタ装置32は、空気出口21から排気された空気をフィルタ321に通過させることで、空気出口21から排気された空気に含まれるリント等の異物を取り除く。フィルタ装置32は、接続ダクト33を介して熱交換部34の上流側に接続されている。熱交換部34は、筐体11の内側下部にあって、水槽12及び回転槽13の下方に設けられている。
【0027】
更に、循環風路30は、図1から図3に示すように排気口36と、開閉装置37と、吸気口38と、を有する。排気口36は、接続ダクト33において、フィルタ装置32側に設けられている。排気口36は、接続ダクト33の一部の上部を例えば複数のスリット形状に開口して形成されていて、接続ダクト33ひいては循環風路30の内部と外部とを接続する。開閉装置37は、排気口36の外部側に設けられている。開閉装置37は、いわゆるダンパであり、一端を支点に図示しないモータにより回動して排気口36を開閉することができる。開閉装置37は、制御装置20に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉駆動される。
【0028】
吸気口38は、熱交換部34の上部に設けられている。吸気口38は、熱交換部34の一部を開口して形成されていて、熱交換部34ひいては循環風路30の内部と外部とを接続する。開閉装置37を開いて開状態とすると、図1に矢印A1で示すように循環風路30内の空気の一部は排気口36を通って循環風路30外に排出される。すると、循環風路30内が減圧となるため、吸気口38を通して循環風路30外の空気が循環風路30に吸入される。この場合、循環風路30内に負圧が発生することにより、ベルヌーイの定理により循環風路30内の風量が増加する。つまり、水槽12及び回転槽13に供給される乾燥空気の風量が増加する。また、排気口36から温められた空気の一部を排出して吸気口38から循環風路30外部の空気を取り入れると、循環風路30内の空気の温度が下がりやすくなる。
【0029】
ヒートポンプユニット40は、循環風路30のうち熱交換部34の内部を通過する空気を除湿及び加熱することで乾燥した温風を生成する機能を有する。熱交換部34内には、ヒートポンプユニット40の一部を構成する蒸発器41及び凝縮器42が設けられている。蒸発器41は、乾燥運転時における熱交換部34内の空気の流れに関して、凝縮器42よりも上流側に設けられている。熱交換部34内を通る空気は、蒸発器41によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器41によって除湿された空気は、その後、凝縮器42によって加熱されて温風になる。
【0030】
循環風路30のうち熱交換部34の下流側は、給気ダクト35を介して水槽12の空気入口22に接続されている。熱交換部34と給気ダクト35との接続部分には、送風機39が設けられている。送風機39は、図2に示すように、ファンモータ391とファン392とを有して構成されている。
【0031】
送風機39は、熱交換部34内の空気を吸い込み、給気ダクト35側へ吐出する。これにより、図1図2、及び図3の矢印Aで示すように、水槽12及び循環風路30を循環する空気の流れが生じる。この場合、循環風路30内の空気の流れについてみると、空気出口21が最上流側となり、空気入口22が最下流側となる。
【0032】
この構成において、圧縮機43及び送風機39を駆動させると、熱交換部34内で除湿及び加熱された温風は、送風機39の送風作用により、給気ダクト35を介して空気入口22から水槽12内へ供給される。その後、温風は、主に連通口24から回転槽13内へ入り、回転槽13内の洗濯物の温度を上昇させると共に洗濯物から湿気を奪った後、主に孔23から回転槽13の外側へ出る。そして、湿気を含んだ空気は、空気出口21から循環風路30に吸い込まれる。循環風路30に吸い込まれた空気は、まず排気ダクト31及びフィルタ装置32を通過する。その後、空気は、接続ダクト33を介して熱交換部34へ流れる。このように、水槽12から循環風路30に入った空気は、循環風路30内で除湿及び加熱された後、再び水槽12内に供給される。
【0033】
次に、ヒートポンプユニット40について説明する。ヒートポンプユニット40は、水槽12から循環風路30内に流入した空気を、除湿及び加熱して乾いた温風にし、再び水槽12内に供給するための温風供給装置として機能する。
【0034】
ヒートポンプユニット40は、図3に示すように、蒸発器41及び凝縮器42の他、圧縮機43と、減圧装置44と、アキュムレータ45とを備えている。圧縮機43と、減圧装置44と、アキュムレータ45は、熱交換部34の外側に設けられている。冷媒は、図3に示す矢印Bのように、ヒートポンプユニット40内を循環する。ヒートポンプユニット40は、圧縮機43を基準とした冷媒が流れる方向に対して順に、凝縮器42、減圧装置44、蒸発器41、及びアキュムレータ45を環状に接続して構成されている。
【0035】
蒸発器41及び凝縮器42は、例えば微小な間隔で設けられた多数のフィンを有する管で構成されており、この管の内部に冷媒を通すことで、フィン間を通る空気と冷媒との熱交換を行う。蒸発器41及び凝縮器42は、熱交換器として機能する。
【0036】
圧縮機43は、圧送により冷媒を凝縮器42へ供給する。圧縮機43は、制御装置20に接続され、制御装置20の制御により駆動及び停止される。減圧装置44は、凝縮器42から吐出された高圧で液状の冷媒を、減圧して低圧の気液混合状態にする。この場合、減圧装置44は、例えばキャピラリチューブ等で構成されているが、制御装置20の制御によって開閉可能な電磁開閉式の膨張弁等であっても良い。
【0037】
洗濯乾燥機10は、図1、及び図4から図6に示すように、蒸気発生装置50を備える。蒸気発生装置50は、回転槽13に蒸気を供給する機能を有する。蒸気発生装置50は、筐体11内部であり、水槽12外部に設けられている。本実施形態では、蒸気発生装置50は、水槽12の上方であって洗濯乾燥機10上部の前端部に設けられ、水槽12及び回転槽13の上前方から開口部121及び開口部131を通して回転槽13内の衣類に蒸気を吹き付ける。
【0038】
蒸気発生装置50は、蒸気発生部51と、噴霧部52とを含んで構成されている。蒸気発生部51は、給水機構17を通して外部の水源から供給された水を加熱して回転槽13に供給する蒸気を生成する。噴霧部52は、蒸気発生部51で発生した蒸気を微細化して回転槽13内に噴霧する。本実施形態では、噴霧部52は、例えば静電噴霧によって蒸気を微細化する。他の実施形態では、噴霧部52は静電噴霧方式に限らず、例えば超音波を用いて蒸気を微細化しても良い。
【0039】
図5には、洗濯乾燥機10のうち蒸気発生装置50が設けられた上部が示されている。図5に示すように、給水機構17は、給水弁171と、給水経路172とを有する。なお、図1では給水経路172の上流側部分と給水弁171とは省略されている。給水弁171は、制御装置20に接続されており、制御装置20の制御を受けて開閉駆動される。制御装置20は、給水弁171を開閉駆動することにより、外部の水源からの水を、給水弁171、及び給水経路172を介して蒸気発生部51へ供給する。なお、給水機構17は、例えば水道などの給水源からの水を受けて水槽12内への給水を行う図示しない給水経路と、当該給水経路を開閉する図示しない給水弁とを別途有する。
【0040】
図6に示すように、蒸気発生部51は、タンク511と、加熱部512と、注水口513と、吐出口514とを有する。タンク511は、容器状に形成され、内部に給水経路172を通して供給された水を貯水する。タンク511は、耐熱性で熱伝導率の高い金属ダイキャスト、例えばアルミニウムダイキャストで形成されている。加熱部512は、タンク511の下方に設けられてタンク511内の水を加熱する。注水口513は、この場合タンク511上部に設けられて、タンク511と給水経路172とを接続する。吐出口514は、タンク511に設けられて、タンク511と噴霧部52とを接続する。
【0041】
噴霧部52は、放電電極521を含んで構成されている。放電電極521は、前記吐出口514から吐出された蒸気が通過する位置に設けられている。高圧電源装置53からの高電圧を放電電極521間に印加し、蒸気発生部51から吐出された蒸気が放電電極521によって発生する電界を通過することで、蒸気の水粒子は、電荷を帯びて分裂を繰り返すいわゆるレイリー分裂により表面積を増やして微細化する。これにより、蒸気は更に微細化して霧化した蒸気となって噴霧速度を増して回転槽13内に吐出される。
【0042】
洗濯乾燥機10は、図4に示すように、重量検知部61、布質検知部62、及び扉開閉検知部63、を備える。制御装置20は、CPU201において制御プログラムを実行することにより、図4に示す重量検知部61、及び布質検知部62をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、制御装置20は、重量検知部61、及び布質検知部62を集積回路等のハードウェアにより実現しても良いし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現しても良い。
【0043】
重量検知部61は、制御装置20の記憶領域202にアクセス可能に構成されている。重量検知部61は、回転槽13内部の洗濯物の重量を検知する。また、制御装置20は、検知した洗濯物の重量を記憶領域202に記憶させる。本実施形態では、重量検知部61は、洗い工程から排水工程までの間に、洗濯物の重量を検知することができる。重量検知部61は、例えば回転槽モータ14のベクトル制御におけるq軸電流を測定することによって回転槽モータ14に作用している現在の負荷を検知し、その負荷に基づいて回転槽13内部の洗濯物の重量を測定することができる。なお、重量検知部61は、指令した回転数と実際の回転数との差から回転槽モータ14への負荷を検知しても良い。
【0044】
布質検知部62は、制御装置20の記憶領域202にアクセス可能に構成されている。布質検知部62は、回転槽13内部の洗濯物の布質を検知する。また、制御装置20は、検知した洗濯物の布質を記憶領域202に記憶させる。布質検知部62は、例えば洗濯物が吸収した水分の含有量に基づいて洗濯物の布質を検知、例えば綿が主体であるか化学繊維が主体であるかや綿と化学繊維との割合等を検知することができる。本実施形態では、布質検知部62は、洗い工程から排水工程までの間に、重量検知部61が検知した乾燥時の洗濯物の重量と水を含んだ洗濯物の重量とを比較して、洗濯物の布質を検知する。
【0045】
布質検知部62は、洗濯物の布質を複数区分に分類する。布質の区分は、例えば布を構成する繊維の吸水特性やしわの付きやすさなどによって設定することができる。本実施形態では、布質検知部62は、例えば洗濯物の布質を綿系衣類が主体であることを示す「綿系」、及び化学繊維系衣類が主体であることを示す「化学繊維系」の2区分に判定する。また、別の実施形態では、布質検知部62は、例えば洗濯物の布質を綿の割合が多く化学繊維の占める割合が少ない順に「ほぼ綿」、「主に綿」、「主に化学繊維」及び「ほぼ化学繊維」の4区分に判定しても良い。
【0046】
扉開閉検知部63は、扉15の開閉状態を検知する。扉開閉検知部63は、詳細は図示しないが、例えば機械式のスイッチであっても良い。この場合、例えば扉15が筐体11の開口部111を閉鎖する位置にあるつまり扉15が閉じている状態では、扉15の一部が扉開閉検知部63と接触し、これにより電気回路を閉路又は開路する構成としても良い。扉15が筐体11の開口部111を閉鎖しない位置にある場合つまり扉15が開いている状態では、扉15の一部が扉開閉検知部63と接触せず、そのため電気回路は開路又は開路する構成としても良い。
【0047】
制御装置20は、本運転として、洗濯運転と乾燥運転と洗濯乾燥運転とを選択的に実行可能である。洗濯乾燥運転は、洗濯運転の後に続けて乾燥運転を行う態様である。
【0048】
洗濯運転は、洗い工程、濯ぎ工程、脱水工程のうち少なくともいずれか1つの工程を含む。洗い工程は、給水機構17によって水槽12に水を供給し、回転槽モータ14によって回転槽13を回転させて洗剤と水とで衣類を洗う工程である。濯ぎ工程は、給水機構17によって水槽12に水を供給し、回転槽モータ14によって回転槽13を回転させて衣類を濯ぐ工程である。脱水工程は、回転槽モータ14を駆動させて回転槽13を回転させることで衣類が吸った水を除去する工程である。
【0049】
乾燥運転は、衣類を乾燥する工程を含む。乾燥工程において、制御装置20は、回転槽モータ14と、送風機39と、圧縮機43とを駆動する。乾燥工程は、圧縮機43を駆動することで空気を蒸発器41及び凝縮器42によって加熱及び除湿し、加熱した乾燥空気を送風機39によって乾燥室に送風して、回転槽モータ14を駆動して衣類を回転させながら乾燥させる工程である。また、乾燥運転は、乾燥仕上げ工程を含んでいても良い。乾燥仕上げ工程は、乾燥工程に続いて行われる。乾燥仕上げ工程においても制御装置20は回転槽モータ14と、送風機39と、圧縮機43とを駆動する。
【0050】
乾燥仕上げ工程における給気温度は、乾燥工程における給気温度以下に設定されている。より具体的には、乾燥仕上げ工程における給気温度の最高温度t1は、乾燥工程における給気温度の最高温度t0未満に設定されている。例えば、乾燥工程における給気温度の最高温度t0は65℃~75℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、乾燥工程における給気温度の最高温度t0は60℃に設定されている。乾燥仕上げ工程における給気温度の最高温度t1は、例えば55℃~65℃の範囲内に設定されている。本実施形態では、乾燥仕上げ工程における給気温度の最高温度t1は、60℃に設定されている。
【0051】
また、制御装置20は、洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転を実行する際に、しわ取りコースと通常コースと、を選択的に実行可能である。しわ取りコースは、洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転から選ばれる本運転の終了後に特別運転を追加で実行するコースである。通常コースは、本運転の終了後に特別運転を追加で実行しないコースである。
【0052】
ユーザは、操作パネル19を操作して、本運転として洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかを選択すると共に、しわ取りコース又は通常コースのいずれかを選択する。制御装置20は、ユーザの操作パネル19への操作に基づいて、各種コースを設定して各種運転を実行する。なお、ユーザは、例えばスマートフォン等の外部の情報端末を操作して、本運転として洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかを選択できると共に、しわ取りコース又は通常コースのいずれかを選択して制御装置20に実行させることができる構成であっても良い。
【0053】
通常コースが選択されて本運転として洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかが実行された場合、当該本運転が終了すると、制御装置20は、洗濯乾燥機10の電源をオフにする。しわ取りコースが選択されて本運転洗濯運転、乾燥運転、又は洗濯乾燥運転のうちいずれかが実行された場合、当該本運転が終了すると、制御装置20は、特別運転を実行する。特別運転は、前工程、蒸気供給工程、第1蒸気乾燥工程及び第2蒸気乾燥工程を含んでいる。本明細書において第1及び第2蒸気乾燥工程を区別する必要がない場合、併せて蒸気乾燥工程と称することがある。なお、前工程を実行している間にユーザによる衣類の取り出しがある場合、制御装置20はその後の蒸気供給工程、蒸気乾燥工程を実行しない。
【0054】
特別運転を実行する期間は、図7に示すように、第1期間T1と、第2期間T2と、第3期間T3と、第4期間T4と、第5期間T5とを含んでいる。制御装置20は、第1期間T1と、第2期間T2と、第3期間T3と、第4期間T4と、第5期間T5とを、図7に示す順番に繰り返す処理を実行する。
【0055】
第1期間T1は、制御装置20が前工程を実行する期間である。前工程は、本運転終了後つまり特別運転開始後又は蒸気乾燥工程後に実行される。つまり第1期間T1は、特別運転開始後であって第2期間T2前の期間、又は第2期間T2後であって第4期間T4前の期間、第5期間T5後であって第4期間前の期間である。
【0056】
第2期間T2は、第1期間T1経過後の期間であって、制御装置20が蒸気供給工程を実行する期間である。第3期間T3は、少なくとも初回の蒸気供給工程後の期間であって、制御装置20が第1蒸気乾燥工程を実行する期間である。本実施形態では、第3期間T3は、初回の蒸気供給工程後の期間であって、2回目の前工程開始前の期間である。
【0057】
第4期間T4は、制御装置20が少なくとも2回目以降に蒸気供給工程を実行する期間である。本実施形態では、第4期間T4は、制御装置20が2回目以降に蒸気供給工程を実行する期間である。第5期間T5は、少なくとも2回目以降の蒸気供給工程後の期間つまり第4期間T4経過後の期間であって、制御装置20が第2蒸気乾燥工程を実行する期間である。本実施形態では、第4期間T4は、2回目以降の蒸気供給工程後の期間であって、3回目以降の前工程前の期間である。
【0058】
第2期間T2に実行される蒸気供給工程と、第3期間T3に実行される蒸気乾燥工程とを合わせて、第1しわ取り工程と称する。また、第4期間T4に実行される蒸気供給工程と、第5期間T5に実行される蒸気供給工程とを合わせて、第2しわ取り工程と称する。更に、第1しわ取り工程と第2しわ取り工程とを区別する必要がない場合、併せてしわ取り工程と称することがある。
【0059】
前工程は、蒸気発生装置50を駆動せずにいわば待機状態とする工程である。前工程中に衣類が洗濯乾燥機10から取り出されない場合、制御装置20は、蒸気供給工程を実行する。蒸気供給工程は、蒸気発生装置50を駆動して回転槽13内に蒸気を投入する工程である。蒸気供給工程により、回転槽13内に収容された衣類に蒸気が浸透する。蒸気乾燥工程は、蒸気供給工程で衣類に浸透した蒸気を乾燥させる工程である。蒸気乾燥工程により、衣類から蒸気が蒸発する際に衣類についたしわが取れ、又は軽減する。
【0060】
前工程において、制御装置20は、回転槽モータ14を駆動して衣類を穏やかに攪拌する。また、制御装置20は、送風機39を駆動して衣類に回転槽13に空気を送り衣類をほぐしやすくする。前工程において、制御装置20は蒸気発生装置50を駆動せず、加熱装置としてのヒートポンプユニット40を駆動しない。つまり、前工程において、制御装置20は、回転槽13及び回転槽13内の衣類を積極的に加熱しない。前工程において、制御装置20は、開閉装置37を制御して排気口36を閉じる。なお、別の実施形態では、前工程において制御装置20は開閉装置37を制御して排気口36を開く構成であっても良い。
【0061】
蒸気供給工程において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動する。また、制御装置20は、回転槽モータ14を駆動して衣類を穏やかに攪拌する。また、制御装置20は、送風機39を駆動して衣類に回転槽13に空気を送り衣類をほぐしやすくする。前工程において、制御装置20は、開閉装置37を制御して排気口36を閉じる。これにより、回転槽13に投入した蒸気が排気口36から機外に排出されることを抑制できる。本実施形態では、蒸気供給工程において、制御装置20はヒートポンプユニット40を駆動しない。つまり、本実施形態では、蒸気供給工程において回転槽13に加熱した空気は供給されない。なお、別の実施形態では、蒸気供給工程において、制御装置20はヒートポンプユニット40を駆動して加熱した空気を回転槽13に供給する構成であっても良い。
【0062】
第1及び第2蒸気乾燥工程において、制御装置20は、回転槽モータ14を駆動して衣類を穏やかに攪拌する。また、制御装置20は、送風機39を駆動して衣類に回転槽13に空気を送り衣類をほぐしやすくする。制御装置20は、蒸気乾燥工程において蒸気発生装置50を駆動しない。
【0063】
第3期間T3に実施する第1蒸気乾燥工程において、制御装置20は加熱装置であるヒートポンプユニット40を駆動しない。また、制御装置20は開閉装置37を制御して排気口36を開く。これにより、余分な蒸気を排気口36から機外に排出することができる。また、加熱しない空気を循環させることによって、蒸気供給工程で供給された蒸気の熱で衣類が熱くなり過ぎた場合、空気によって衣類を冷却することができる。
【0064】
第5期間T5に実施する第蒸気乾燥工程において、制御装置20は加熱装置であるヒートポンプユニット40を駆動する。これにより、循環空気を加熱して、衣類の乾燥を促進することができる。また、適度に衣類を加熱することで、早期に効率よくしわを取り除いたり又は低減したりすることができる。第5期間T5の前期において、制御装置20は開閉装置37を制御して排気口36を閉じる。これにより、循環空気の温度を維持して、効率よく衣類を加熱及び乾燥することができる。また、第5期間T5の後期において制御装置20は開閉装置37を制御して排気口36を開く。これにより、余分な蒸気を排気口36から機外に排出することができる。
【0065】
なお、他の実施形態では、第3期間T3に実施する第1蒸気乾燥工程つまり初回の蒸気供給工程の後の蒸気乾燥工程から、ヒートポンプユニット40を駆動することで循環空気を加熱する構成であっても良い。
【0066】
前工程における送風機39の回転数n1は、蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程における送風機39の回転数n2よりも低速に設定されている。送風機39の回転数n1は、例えば1500rpm~2500rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、前工程における送風機39の回転数n1は2000rpmに設定されている。送風機39の回転数n2は、例えば3000rpm~4000rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では送風機39の回転数n2は、3500rpmに設定されている。
【0067】
また、前工程において、制御装置20は、送風機39を断続的に運転する。例えば、制御装置20は、送風機39を10秒間駆動した後50秒間停止するサイクルを繰り返す。これにより、所定期間のうち送風機39が駆動している期間を短くして、洗濯乾燥機10が発生する騒音を低減することができる。
【0068】
前工程における回転槽モータ14の回転数m1は、蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程における回転槽モータ14の回転数m2よりも低速に設定されている。前工程における回転槽モータ14の回転数m1は、回転槽13内の衣類が上下反転し互いに入れ替わるが、衣類が重力に逆らって回転槽13の全体に広がるほどの遠心力を発生しない程度の回転数である。回転槽モータ14の回転数m1は例えば15rpm~25rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、前工程における回転槽モータ14の回転数m1は20rpmに設定されている。
【0069】
蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程における回転槽モータ14の回転数m2は、衣類が回転槽13の全体に広がるが、遠心力によって回転槽13の側壁には押し付けられない程度の回転数である。蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程における回転槽モータ14の回転数m2は、例えば30rpm~50rpmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程における回転槽モータ14の回転数m2は、42rpmに設定されている。また、蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程において、制御装置20は、回転槽モータ14を例えば180秒を1周期として正逆反転させる。この場合、回転槽モータ14は、90秒間正回転した後に、90秒間逆回転することを繰り返す。回転槽モータ14の正逆回転の周期は、適宜変更することができる。
【0070】
また、前工程において、制御装置20は、回転槽モータ14を断続的に運転する。例えば、制御装置20は、回転槽モータ14を10秒間駆動した後50秒間停止するサイクルを繰り返す。これにより、所定期間のうち回転槽モータ14が駆動している期間を短くして、洗濯乾燥機10が発生する騒音を低減することができる。なお、制御装置20は、送風機39の駆動サイクルと、回転槽モータ14の駆動サイクルとを同期させている。これにより、送風機39のファンモータ391及び回転槽モータ14のいずれの騒音も発生しない期間を長くすることができるため、洗濯乾燥機10の静音性を向上することができる。なお、また、送風機39と回転槽モータ14との駆動サイクルは、適宜変更することができる。
【0071】
また、制御装置20は、1サイクル毎に回転槽モータ14の回転方向を正逆反転させる。これにより、回転槽13内の衣類がまんべんなくかき混ぜられ、一部の衣類のみが常に回転槽13の壁に押し付けられてしわが発生しやすくなる事態を抑制することができる。
【0072】
更に、第2蒸気乾燥工程における給気温度は、乾燥運転における給気温度よりも低い温度に設定されている。例えば、第2蒸気乾燥工程における給気温度は、乾燥仕上げ工程における給気温度と同程度或いは乾燥仕上げ工程における給気温度よりも低い温度に設定されている。これにより、衣類が乾燥し過ぎることを抑制して、しわの再発生を低減することができる。
【0073】
この場合、第2蒸気乾燥工程における給気温度の最高温度t2は、乾燥仕上げ工程における給気温度の最高温度t1以下に設定することができる。例えば、第2蒸気乾燥工程における給気温度の最高温度t2は、例えば45℃~65℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、第2蒸気乾燥工程における給気温度の最高温度t1は、55℃に設定されている。
【0074】
第1期間T1は、本運転の種類によって設定される。図8は、本運転が乾燥運転又は洗濯乾燥運転の場合の第1期間T1を示す。図9は、本運転が洗濯運転の場合の第1期間T1を示す。本運転が洗濯運転の場合、本運転が乾燥運転又は洗濯乾燥運転の場合と比較して第1期間T1を短く設定することができる。例えば、本実施形態では、同じ衣類の重量及び衣類の布質同士で比較すると、本運転が乾燥運転又は洗濯乾燥運転の場合、第1期間T1は、本運転が洗濯運転の場合よりも5分ずつ短く設定されている。
【0075】
本運転が洗濯運転である場合、本運転終了後に、回転槽13内の衣類は濡れた状態である。本運転が乾燥運転又は洗濯乾燥運転である場合、本運転終了後に、回転槽13内の衣類は乾いた状態である。衣類が濡れている場合、水を吸っているため衣類と水との総重量が重くなり、衣類にしわが付きやすい状態となる。したがって、本運転が洗濯運転の場合、乾燥運転又は洗濯乾燥運転の場合と比較して第1期間T1を短くすることで、濡れて総重量が重くなった衣類にしわが発生することを効果的に抑制することができる。
【0076】
更に、第1期間T1つまり制御装置20が蒸気供給工程を実行するまでの期間は、衣類の重量又は衣類の布質の少なくともいずれか一方に応じて設定される。本実施形態では、第1期間T1は、一例を図8及び図9に示すように衣類の重量及び衣類の布質の両方に応じて設定される。
【0077】
図8に示す場合、本運転として乾燥運転又は洗濯乾燥運転が実行され、本運転終了後に回転槽13内の衣類は乾燥した状態である。衣類の布質が化繊系の場合、衣類の重量が2kgから12kgまで増加するにつれて、第1期間T1は、50分から20分まで短くなるように設定されている。衣類の布質が綿系の場合、衣類の重量が2kgから12kgまで重くなるにつれて、第1期間T1は、40分から10分まで短くなるように設定されている。衣類の重量が重いほどしわが付きやすくなる。そのため衣類の重量が重いほど本運転の終了後蒸気を早期に供給することで、しわをつきにくくすることができる。
【0078】
図9に示す場合、本運転として洗濯運転が実行され、本運転終了後に回転槽13内の衣類は濡れた状態である。衣類の布質が化繊系の場合、衣類の重量が2kgから12kgまで増加するにつれて、第1期間T1は、45分から15分まで短くなるように設定されている。衣類の布質が綿系の場合、衣類の重量が2kgから12kgまで重くなるにつれて、第1期間T1は、35分から5分まで短くなるように設定されている。
【0079】
衣類の布質が化繊系の場合と綿系の場合とで比較すると、図8及び図9に示すように、衣類の重量が同等の場合、第1期間T1は衣類の布質が綿系の方が化繊系よりも短く設定されている。本実施形態では、第1期間T1は、各重量において衣類の布質が綿系の方が化繊系よりもそれぞれ10分短く設定されている。綿系の衣類は、化繊系の衣類よりもしわが付きやすい性質がある。そのため、衣類の布質が綿系の場合、本運転の終了後蒸気を早期に供給することで、しわの発生を効果的に抑制することができる。
【0080】
蒸気供給工程の期間である第2期間T2及び第4期間T4は、第1期間T1未満に設定することができる。また、蒸気供給工程の期間は、第2期間T2と第4期間T4とで変更しても良い。この場合、蒸気供給工程の期間は、蒸気供給工程の実行回数が小さいほど長く設定される。例えば、少なくとも初回の蒸気供給工程を実行する第2期間T2は、所定の複数回目以降の蒸気供給工程を実行する第4期間T4よりも長く設定される。本実施形態では、初回の蒸気供給工程を実行する第2期間T2は、2回目以降の蒸気供給工程を実行する第4期間T4よりも長く設定される。
【0081】
特別運転が開始されて間もない期間には、蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程はまだ実行されていないか、繰り返し回数が少ない。そのため、衣類には多くのしわが付いている可能性がある。また、本運転が乾燥工程を含む場合、特別運転が開始されて間もない期間には、衣類の温度が常温よりも高く、投入した蒸気が衣類に十分浸透する前に蒸発してしまう虞もある。一方、蒸気供給工程及び蒸気乾燥工程を繰り返すと、繰り返した回数分、衣類についたしわが取り除かれ又は軽減されることになる。そのため、第2期間T2よりも第4期間T4を短くし、蒸気供給工程の実行回数が増加すれば蒸気供給工程の期間を短くすることで、余計な電力の消費を抑制し、また、運転時間も短くすることができる。
【0082】
例えば、初回の蒸気供給工程を実行する期間である第2期間T2は、5分から15分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、第2期間T2は、10分に設定されている。例えば、2回目以降の蒸気供給工程を実行する期間である第4期間T4は、3分から10分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、第4期間T4は、5分に設定されている。
【0083】
第3期間T3は、第1期間T1よりも短く設定することができる。また、第3期間T3は、第2期間T2未満に設定することができる。第3期間T3は、例えば3分から10分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、第3期間T3は5分に設定されている。
【0084】
本実施形態では、衣類の重量や衣類の布質、本運転の種類に関わらず一律に第3期間T3が設定されているが、他の実施形態では、第3期間T3を、衣類の重量や衣類の布質、本運転の種類に応じて設定しても良い。この場合、衣類に浸透した蒸気が蒸発しにくいほど、第3期間T3を長く設定することができる。例えば、衣類の重量が大きいほど第3期間T3が大きくなるように設定しても良い。また、衣類の布質が綿系の方が化繊系よりも第3期間T3が大きくなるように設定しても良い。一方、本運転が乾燥工程を含まない場合つまり、本運転終了後に衣類が濡れた状態の場合、蒸気乾燥工程において蒸気を蒸発させることにさほど意味がないため、本運転が乾燥工程を含む場合と比較して第3期間T3を短く設定しても良い。
【0085】
第5期間T5は、第2期間T2又は第4期間T4及び第3期間T3よりも長く設定することができる。第5期間T5は、例えば15分から25分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、第5期間T5は20分に設定されている。
【0086】
本実施形態では、衣類の重量や衣類の布質、本運転の種類に関わらず一律に第5期間T5が設定されているが、他の実施形態では、第5期間T5を、衣類の重量や衣類の布質、本運転の種類に応じて設定しても良い。この場合、衣類に浸透した蒸気が蒸発しにくいほど、第5期間T5を長く設定することができる。例えば、衣類の重量が大きいほど第5期間T5が大きくなるように設定しても良い。また、衣類の布質が綿系の方が化繊系よりも第5期間T5が大きくなるように設定しても良い。一方、本運転が乾燥工程を含まない場合つまり、本運転終了後に衣類が濡れた状態の場合、蒸気乾燥工程において蒸気を蒸発させることにさほど意味がないため、本運転が乾燥工程を含む場合と比較して第5期間T5を短く設定しても良い。
【0087】
制御装置20は、本運転終了後、回転槽13からの衣類の取り出しがあるか否かを判定する判定処理を実行する。衣類の取り出しがあると判定しなければ、前工程、蒸気供給工程、第1及び第2蒸気乾燥工程を順次実行する。制御装置20は、本実施形態では、衣類の取り出しがあるか否かを、例えば扉15が開いた開状態となったことを扉開閉検知部63が検知したかどうかで判定することができる。また、別の実施形態では、制御装置20は、重量検知部61の検知重量に基づいて、回転槽13から衣類の取り出しがあるか否かを判定しても良い。更に別の実施形態では、制御装置20は、操作パネル19に対するユーザの操作や、図示しない情報端末から送信された情報に基づいて、回転槽13から衣類の取り出しがあるか否かを判定しても良い。
【0088】
なおこの場合、制御装置20は、扉開閉検知部63が扉15の開状態が所定の期間以上維持されたことを検知した場合に衣類の取り出しがあると判定しても良い。この場合、所定の期間は、例えば1秒から5秒の範囲内に設定することができる。所定の期間は、例えば2秒に設定することができる。これによって、例えばユーザが本運転終了後誤って扉15を開放してしまったものの特別運転の継続を望む場合には、所定の期間が経過する以前にユーザが扉15を閉じることで、衣類の取り出しがあったと判定されず、特別運転が継続される。
【0089】
続いて、図11図14を参照して、制御装置20による本運転及び特別運転の制御を説明する。図11のスタート時において、洗濯乾燥機10の電源はONとなっており、洗濯運転、乾燥運転又は洗濯乾燥運転から選ばれる本運転例えばこの場合洗濯乾燥運転が設定されているものとする。また、ユーザによってしわ取りコースが選択されているものとする。
【0090】
ユーザの操作又は予約運転の実行等により運転が開始されると(スタート)、制御装置20は、ステップS11において重量検知部61によって回転槽13内の重量を検知する。そして、制御装置20は、ステップS12において、重量検知部61の検知した重量やユーザの操作パネル19に対する操作などに予知設定された情報に従って、本運転を実行する。本運転が終了すると、ステップS13において、制御装置20は図8図9等に示す条件等に従って第1期間T1、第2期間T2、第3期間T3、第4期間T4、第5期間T5等を設定する。そして、特別運転が開始される。
【0091】
ステップS14において、制御装置20は、図12に示す前工程開始処理を実行する。前工程開始処理として、制御装置20は、ステップS31において送風機39を回転数n1で断続的に駆動する。これにより、衣類に空気を含ませて衣類にしわが付きにくくする。ステップS32において、制御装置20は、回転槽モータ14を回転数m1で断続的に駆動する。これにより、衣類を穏やかに攪拌して、一部の衣類のみが常に回転槽13の壁に押し付けられることを抑制する。
【0092】
また、ステップS33において、制御装置20は、開閉装置37を閉じる。これにより、排気口36からの空気の排出が抑制される。なお、この場合開閉装置37を閉じる処理には、開閉装置37が開いた状態から開閉装置37を閉じる処理と、開閉装置37が閉じた状態を維持する処理との両方が含まれる。そして、制御装置20は、前工程開始処理を終了して(リターン)、図11のステップS15に処理を進める。
【0093】
ステップS15において、制御装置20は、判定処理を実行する。衣類の取り出しがあると判定した場合(ステップS16でYes)、制御装置20は、処理をステップS17に進める。ステップS17において、制御装置20は、洗濯乾燥機10の電源をオフにして全ての運転を終了する。
【0094】
衣類の取り出しがないと判定した場合(ステップS16でNo)、制御装置20は、処理をステップS18に進める。ステップS18において、制御装置20は、本運転終了後第1期間T1が経過したか否かを判定する。第1期間T1が経過していない場合(ステップS18でNo)、制御装置20は、処理をステップS14に戻す。第1期間T1が経過している場合(ステップS18でYes)、制御装置20は、処理をステップS19に進める。なお、ステップS14からステップS18までは、前工程に含まれる。
【0095】
ステップS19において、制御装置20は、図13に示す第1しわ取り工程を実行する。第1しわ取り工程は、蒸気供給工程と、第1蒸気乾燥工程とを含む工程である。ステップS41において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動する。これにより、蒸気発生装置50から回転槽13内に蒸気が供給される。ステップS42において、制御装置20は、送風機39を回転数n2で駆動する。これにより、蒸気を含んだ空気が循環風路30と回転槽13を含む乾燥室とを循環し、衣類に蒸気が浸透する。ステップS43において、制御装置20は、回転槽モータ14を回転数m2で駆動する。これにより、衣類がかき混ぜられ、衣類全体に蒸気が浸透しやすくなる。
【0096】
ステップS44において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動してから第2期間T2が経過したか否かを判定する。第2期間T2経過していない場合(ステップS44でNo)、制御装置20は、ステップS44の処理を繰り返す。第2期間T2経過している場合(ステップS44でYes)、制御装置20は、処理をステップS45に進める。なお、ステップS41からステップS44までは、蒸気供給工程に含まれる。
【0097】
ステップS45において、制御装置20は、蒸気発生装置50を停止する。これにより、回転槽13への蒸気の供給が停止する。ステップS46において、制御装置20は、開閉装置37を開く。これにより、衣類に浸透しなかった蒸気や、衣類から蒸発した蒸気が排気口36から筐体11外部に排出される。
【0098】
ステップS47において、制御装置20は、蒸気発生装置50を停止してから第3期間T3が経過したか否かを判定する。第3期間T3経過していない場合(ステップS47でNo)、制御装置20は、ステップS47の処理を繰り返す。第3期間T3経過している場合(ステップS47でYes)、制御装置20は第1しわ取り工程を終了し(リターン)、処理を図11のステップS20に進める。なお、ステップS45からステップS47までは、第1蒸気乾燥工程に含まれる。
【0099】
ステップS20において、制御装置20は前工程開始処理を実行する。ステップS21において、制御装置20は、判定処理を実行する。衣類の取り出しがあると判定した場合(ステップS22でYes)、制御装置20は、処理をステップS17に進める。
【0100】
衣類の取り出しがないと判定した場合(ステップS22でNo)、制御装置20は、処理をステップS23に進める。ステップS23において、制御装置20は、前工程開始処理を実行後、第1期間T1が経過したか否かを判定する。第1期間T1が経過していない場合(ステップS23でNo)、制御装置20は、処理をステップS20に戻す。第1期間T1が経過している場合(ステップS23でYes)、制御装置20は、処理をステップS24に進める。なお、ステップS20からステップS23までは、前工程に含まれる。
【0101】
ステップS24において、制御装置20は、図14に示す第2しわ取り工程を実行する。第2しわ取り工程は、蒸気供給工程と、第2蒸気乾燥工程とを含む工程である。ステップS51において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動する。これにより、蒸気発生装置50から回転槽13内に蒸気が供給される。ステップS52において、制御装置20は、送風機39を回転数n2で駆動する。これにより、蒸気を含んだ空気が循環風路30と回転槽13を含む乾燥室とを循環し、衣類に蒸気が浸透する。ステップS53において、制御装置20は、回転槽モータ14を回転数m2で駆動する。これにより、衣類がかき混ぜられ、衣類全体に蒸気が浸透しやすくなる。ステップS54において、制御装置20は開閉装置37を閉じる。これにより、蒸気発生装置50から供給された蒸気が、衣類に浸透せずに排気口36から筐体11外部に排出されることを抑制する。
【0102】
ステップS55において、制御装置20は、蒸気発生装置50を駆動してから第4期間T4が経過したか否かを判定する。第4期間T4経過していない場合(ステップS55でNo)、制御装置20は、ステップS55の処理を繰り返す。第4期間T4経過している場合(ステップS55でYes)、制御装置20は、処理をステップS56に進める。なお、ステップS51からステップS55までは、蒸気供給工程に含まれる。
【0103】
ステップS56において、制御装置20は、蒸気発生装置50を停止する。これにより、回転槽13への蒸気の供給が停止する。ステップS57において、制御装置20は、圧縮機43を駆動する。これにより、循環風路30を通る空気が熱交換部34で除湿されて温められる。
【0104】
ステップS58において、制御装置20は、衣類が所定の乾燥度合いに達したか否かを判定する。この場合、例えば、蒸気発生装置50を停止してから第6期間T6が経過したことで衣類が所定の乾燥度合いに達したと判定しても良い。第6期間T6は、第2蒸気乾燥工程の動作期間である第5期間T5の内、開閉装置37を閉じている期間である。この場合、第6期間T6は、例えば第4期間T4の1/3~4/5の範囲内に設定することができる。第6期間T6は、例えば、10分に設定することができる。
【0105】
また、別の実施形態では、図示しない排気温度センサの検知結果が所定の温度に達したことで衣類が所定の乾燥度合いに達したと判定しても良い。この場合、排気温度センサは、例えば乾燥室である水槽12及び回転槽13から排気されて排気ダクト31内を通る空気の温度を検出する。また更に別の実施形態では、湿度センサの検知結果が所定の湿度まで低下したことで衣類が所定の乾燥度合いに達したと判定しても良い。この場合、湿度センサは、排気ダクト31の空気出口21近傍に設けられていても良い。
【0106】
衣類が所定の乾燥度合いに達していないと判定した場合(ステップS58でNo)、制御装置20は、ステップS58の処理を繰り返す。衣類が所定の乾燥度合いに達したと判定した場合(ステップS58でYes)、ステップS59において、制御装置20は、開閉装置37を開く。これにより、衣類から蒸発した蒸気が排気口36から筐体11外部に排出される。
【0107】
ステップS60において、制御装置20は、蒸気発生装置50を停止してから第5期間T5が経過したか否かを判定する。第5期間T5経過していない場合(ステップS60でNo)、制御装置20は、ステップS60の処理を繰り返す。第5期間T5経過している場合(ステップS60でYes)、制御装置20は、処理をステップS61に進める。
【0108】
制御装置20は、ステップS61において圧縮機43を停止する。制御装置20は第2しわ取り工程を終了し(リターン)、処理を図11のステップS21に進める。なお、ステップS56からステップS61までは、第2蒸気乾燥工程に含まれる。
【0109】
このようにして、制御装置20は、第1期間T1、第2期間T2、第3期間T3、第1期間T1、第4期間T4、第5期間T5、再び第1期間T1の順に、前工程と、蒸気供給工程と、蒸気乾燥工程とを繰り返し、特別運転を実行する。特別運転は、衣類の取り出しがあるまで実行され、衣類が回転槽13から取り出されるまでの間にしわの発生を抑制し、発生したしわを低減することができる。
【0110】
以上説明した本実施形態によれば、衣類乾燥機としての洗濯乾燥機10は、筐体11と、水槽12と、回転槽13と、駆動部としての回転槽モータ14と、制御装置20と、蒸気発生装置50とを備える。筐体11は、前面に開口部111を有する。水槽12は、筐体11内部に設けられている。回転槽13は、水槽12内部に回転可能に設けられて水槽12と共に乾燥室を構成する。回転槽モータ14は、回転槽13を回転させる。制御装置20は、本運転として、衣類を洗濯する洗濯運転と、衣類を乾燥する乾燥運転と、前記洗濯運転及び乾燥運転を含む洗濯乾燥運転と、の少なくともいずれかを実行可能に構成されている。蒸気発生装置50は、回転槽13内部に供給する蒸気を生成する。制御装置20は、本運転終了後回転槽13からの衣類の取り出しの有無を判定する判定処理を実行する。制御装置20は、本運転終了後所定期間この場合第1期間T1経過するまでに判定処理の結果衣類の取り出しがあると判定しなければ、蒸気発生装置50により回転槽13に蒸気を供給する蒸気供給工程を実行する。
【0111】
これによれば、洗濯運転、乾燥運転又は洗濯乾燥運転の終了後、ユーザがすぐに衣類を洗濯乾燥機10から取り出さない場合、衣類に蒸気を浸透させて、しわが付くことを抑制したり付いたしわを軽減したりすることができる。そのため、運転終了後すぐに衣類が取り出されなくても衣類のしわ付きを抑制することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0112】
また、洗濯乾燥機10は、扉15と、検知部としての扉開閉検知部63と、を備える。扉15は、開口部111を開閉する。扉開閉検知部63は、扉15の開閉を検知可能に構成されている。制御装置20は、判定処理において、扉開閉検知部63が扉15が開いたことを検知した場合衣類の取り出しがあると判定し、扉開閉検知部63が扉15が開いたことを検知しなければ衣類の取り出しがないと判定する。
【0113】
洗濯乾燥機10から衣類を取り出すためには、扉15を開ける必要がある。そのため、衣類の取り出しの有無の判定を、扉15の開閉の有無に基づいて実行することにより、制御装置20は、蒸気供給工程と蒸気乾燥工程とを含むしわ取り工程の実行の要否を判定することができる。したがってユーザによる操作パネル19等に対する追加の操作を要さないため、ユーザの利便性が更に向上する。
【0114】
更に、制御装置20は、蒸気供給工程実行後、更に所定の期間である第1期間T1経過するまでに衣類の取り出しがあると判定しなければ、蒸気供給工程を実行する。
【0115】
これによれば、本運転の終了後、回転槽13内に定期的に蒸気が供給される。そのため、本運転の終了後、長期間にわたって衣類が回転槽13内に収容された状態となっても、衣類が取り出されるまで、定期的にしわの発生を抑制しまた発生したしわを低減することができる。そのため、いつユーザが衣類を洗濯乾燥機10から取り出しても、衣類のしわ付きが抑制されており、ユーザの利便性が更に向上する。
【0116】
更にまた、所定期間である第1期間T1は、回転槽13内の衣類の重量に応じて異なる値に設定されている。この場合、衣類の重量が重いほど第1期間T1は短く設定されている。
【0117】
これによれば、衣類の重量が重く自重によるしわが発生しやすい場合と、衣類の重量が軽くしわが発生しにくい場合とで、蒸気供給工程までの待機時間が変更される。そのため、しわが付きやすい場合には周期を短くして蒸気供給工程の頻度を上げることができ、しわの発生をより効果的に抑制することができる。一方、しわが付きにくい条件では周期を長くして、過度な電力消費を抑制することができる。
【0118】
所定期間である第1期間T1は、本運転が洗濯運転と、乾燥運転と、洗濯乾燥運転のいずれであるかに応じて異なる値に設定されている。つまり、第1期間T1は、本運転の終了後に衣類が濡れた状態であるか乾いた状態であるかに応じて異なる値に設定されている。この場合、本運転の終了後に衣類が濡れた状態では、衣類が乾いた状態よりも第1期間T1は短く設定されている。
【0119】
これによれば、吸水によって衣類の総重量が重くなり自重によるしわが発生しやすくなる濡れた状態と、水分が蒸発して衣類の総重量が軽くなる乾いた状態とで、蒸気供給工程までの待機時間が変更される。そのため、しわが付きやすい場合には周期を短くして蒸気供給工程の頻度を上げることができ、しわの発生をより効果的に抑制することができる。一方、しわが付きにくい条件では周期を長くして、過度な電力消費を抑制することができる。
【0120】
更にまた、所定期間である第1期間T1は、回転槽13内の衣類の布質に応じて異なる値に設定されている。この場合、衣類の布質が綿系の方が化繊系よりも第1期間T1は短く設定されている。
【0121】
これによれば、吸水しやすく自重によるしわが発生しやすい綿系の衣類と、綿系の衣類よりも吸水しにくい化繊系の衣類とで、蒸気供給工程までの待機時間が変更される。そのため、しわが付きやすい場合には周期を短くして蒸気供給工程の頻度を上げることができ、しわの発生をより効果的に抑制することができる。一方、しわが付きにくい条件では周期を長くして、過度な電力消費を抑制することができる。
【0122】
更にまた、洗濯乾燥機10は、循環風路30と、送風機39とを備える。循環風路30は、筐体11内に設けられて乾燥室である水槽12及び回転槽13と接続されて内部に空気を通す機能を有する。送風機39は、循環風路30中に設けられて水槽12及び回転槽13に空気を送風する機能を有する。制御装置20は、本運転終了後又は蒸気供給工程終了後の所定期間である第1期間T1に送風機39を駆動して水槽12及び回転槽13に空気を供給しながら回転槽モータ14を駆動して回転槽13を回転させる前工程を実行する。
【0123】
これによれば、制御装置20は、本運転終了後、又は蒸気供給工程と蒸気乾燥工程とを含むしわ取り工程が終了後、再度しわ取り工程が開始するまでの待機期間、衣類に空気を当てながら攪拌し、衣類をほぐすことができる。そのため、しわ取り工程までの待機期間に一部の衣類が常に回転槽13の壁に押し付けられることでしわが発生してしまう事態を抑制することができる。したがって、ユーザの利便性が更に向上する。なお、待機期間つまり第1期間T1の間、ユーザは任意の時期に扉15を開けて、回転槽13から衣類を取り出すことができる。
【0124】
更にまた、洗濯乾燥機10は、排気口36と、開閉装置37とを備える。排気口36は、循環風路30中に設けられて空気を循環風路30外部つまり筐体11外部に排出する機能を有する。開閉装置37は、排気口36を開閉する機能を有する。制御装置20は、蒸気供給工程終了後、開閉装置37を開状態とすると共に送風機39を駆動して乾燥室である水槽12及び回転槽13に空気を供給しながら回転槽モータ14を駆動して回転槽13を回転させる第1蒸気乾燥工程を実行する。
【0125】
これにより、蒸気供給工程によって衣類に浸透した蒸気の蒸発を促し、更に蒸気の洗濯乾燥機10外への排出を促すことができる。したがって、しわ取り工程終了後の衣類の仕上がりを向上することができる。また、蒸気供給工程において蒸気によって衣類が過度に熱せられた場合には、第1蒸気乾燥工程において衣類を冷却する効果も期待される。
【0126】
更にまた、洗濯乾燥機10は、加熱装置としてのヒートポンプユニット40を備える。ヒートポンプユニット40は、循環風路30中に設けられて空気を加熱する機能を有する。制御装置20は、蒸気供給工程終了後、ヒートポンプユニット40の圧縮機43と送風機39とを駆動して水槽12及び回転槽13内にヒートポンプユニット40により加熱した空気を供給しながら回転槽モータ14を駆動して回転槽13を回転させる第2蒸気乾燥工程を実行する。
【0127】
これによれば、蒸気供給工程によって衣類に浸透した蒸気の蒸発を、ヒートポンプユニット40によって加熱乾燥した空気で更に促すことができる。そのため、衣類に供給された蒸気が多めで衣類が一定以上湿ったとしても、第2蒸気乾燥工程後には十分乾燥し、望ましい仕上がりとすることができる。特に、複数回に亘って蒸気供給工程が実行された場合には、衣類には比較的多量の蒸気が供給されているため、第2蒸気乾燥工程を実行して乾燥させることが望ましい。
【0128】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、蒸気発生装置50は、水槽12の上方であって洗濯乾燥機10上部の前端部に設けられ、開口部121及び開口部131を通して上前方から回転槽13内の衣類に蒸気を吹き付ける構成としたが、これに限らない。例えば、別の実施形態では、蒸気発生装置50を回転槽端板132及び水槽端板122の後方に配置し、循環風路30内この場合給気ダクト35内に蒸気を吹き付ける構成としても良い。この場合、蒸気の吹き付け方向と送風機39による送風方向とが一致するので、蒸気が回転槽13内の衣類に浸透しやすくなる。
【0129】
以上、本発明の一の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
10…洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、11…筐体、12…水槽(乾燥室)、13…回転槽(乾燥室)、14…回転槽モータ(駆動部)、15…扉、20…制御装置、30…循環風路、36…排気口、37…開閉装置、39…送風機、40…ヒートポンプユニット(加熱装置)、50…蒸気発生装置、61…重量検知部、62…布質検知部、63…扉開閉検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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