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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】過渡電圧保護デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01T 1/20 20060101AFI20241126BHJP
   H01T 1/22 20060101ALI20241126BHJP
   H01T 2/02 20060101ALI20241126BHJP
   H01T 4/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01T1/20 F
H01T1/22
H01T2/02 F
H01T4/00 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021102228
(22)【出願日】2021-06-21
(65)【公開番号】P2023001474
(43)【公開日】2023-01-06
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚義
(72)【発明者】
【氏名】早津 匡人
(72)【発明者】
【氏名】今井 悠介
(72)【発明者】
【氏名】簗田 壮司
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/018063(WO,A1)
【文献】特開2017-073257(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018085(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 1/00 - 4/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
互いに離間して前記素体内に設けられた第一内部電極及び第二内部電極と、
前記第一内部電極と接続された第一外部電極と、
前記第二内部電極と接続された第二外部電極と、
金属を含み、前記第一内部電極及び前記第二内部電極と接すると共に、前記第一内部電極と前記第二内部電極とを互いに接続するように前記素体内に設けられた放電補助部と、を備え、
前記放電補助部は、少なくとも第一領域及び第二領域を有し、
前記第一領域の金属濃度は、前記第二領域の金属濃度よりも高く、
前記第一内部電極は、前記第二内部電極と対向している第一角部を有し、
前記第二内部電極は、前記第一内部電極と対向している第二角部を有し、
前記第二領域は、前記第一角部及び前記第二角部と接するように設けられている
過渡電圧保護デバイス。
【請求項2】
前記第一内部電極及び前記第二内部電極は、第一方向に沿って延在している側縁部をそれぞれ有し、前記側縁部同士が前記第一方向に交差する第二方向において対向するように設けられており、
前記第一領域は、前記第一角部及び前記第二角部から離間すると共に、前記第一内部電極及び前記第二内部電極それぞれの前記側縁部と接するように設けられている、
請求項に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項3】
前記第一内部電極及び前記第二内部電極は、第一方向に沿って延在し、前記第一方向の先端部同士が前記第一方向において対向するように設けられており、
前記第一領域は、前記第一角部及び前記第二角部から離間すると共に、前記第一内部電極及び前記第二内部電極それぞれの前記先端部と接するように設けられている、
請求項に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項4】
前記素体内に設けられた空洞部を更に備え、
前記第一内部電極及び前記第二内部電極は、前記空洞部に臨んでいる、
請求項1~のいずれか一項に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項5】
前記空洞部は、前記第一内部電極と前記第二内部電極との間に位置しているギャップ領域を含む、
請求項に記載の過渡電圧保護デバイス。
【請求項6】
素体と、
互いに離間して前記素体内に設けられた第一内部電極及び第二内部電極と、
前記第一内部電極と接続された第一外部電極と、
前記第二内部電極と接続された第二外部電極と、
金属を含み、前記第一内部電極及び前記第二内部電極と接すると共に、前記第一内部電極と前記第二内部電極とを互いに接続するように前記素体内に設けられた放電補助部と、
前記素体内に設けられた空洞部と、を備え、
前記放電補助部は、少なくとも第一領域及び第二領域を有し、
前記第一領域の金属濃度は、前記第二領域の金属濃度よりも高く、
前記空洞部は、前記第二領域から離れて設けられている、
過渡電圧保護デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、過渡電圧保護デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、セラミック多層基板と、セラミック多層基板内において互いに対向する一対の放電電極と、一対の放電電極と接続された一対の外部電極と、導電材料を含む補助電極と、を備えるESD(Electro-Static Discharge)保護デバイスが記載されている。このESD保護デバイスでは、補助電極が一対の放電電極間を接続する領域に設けられているので、放電を効率的に生じさせ、ESD応答性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2009/098944号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のESD保護デバイスでは、放電電極の一部に電界が集中することにより、放電電極が劣化する場合がある。
【0005】
本開示の一態様は、放電を生じさせる領域を制御することが可能な過渡電圧保護デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る過渡電圧保護デバイスは、素体と、互いに離間して素体内に設けられた第一内部電極及び第二内部電極と、第一内部電極と接続された第一外部電極と、第二内部電極と接続された第二外部電極と、金属を含み、第一内部電極及び第二内部電極と接すると共に、第一内部電極と第二内部電極とを互いに接続するように素体内に設けられた放電補助部と、を備え、放電補助部は、少なくとも第一領域及び第二領域を有し、第一領域の金属濃度は、第二領域の金属濃度よりも高い。
【0007】
上記過渡電圧保護デバイスでは、放電補助部は、少なくとも第一領域及び第二領域を有し、第一領域の金属濃度は、第二領域の金属濃度よりも高い。放電の生じ易さは、放電補助部の金属濃度に応じて変化する。したがって、第一領域及び第二領域の配置を制御することにより、放電を生じさせる領域を制御することができる。
【0008】
上記過渡電圧保護デバイスでは、第一内部電極は、第二内部電極と対向している第一角部を有し、第二内部電極は、第一内部電極と対向している第二角部を有し、第二領域は、第一角部及び第二角部と接するように設けられていてもよい。この場合、電界が集中し易い第一角部及び第二角部における放電を抑制することができる。よって、第一内部電極及び第二内部電極の劣化が抑制される。
【0009】
上記過渡電圧保護デバイスでは、第一内部電極及び第二内部電極は、第一方向に沿って延在している側縁部をそれぞれ有し、側縁部同士が第一方向に交差する第二方向において対向するように設けられており、第一領域は、第一角部及び第二角部から離間すると共に、第一内部電極及び第二内部電極それぞれの側縁部と接するように設けられていてもよい。この場合、第一角部及び第二角部における放電を抑制しながら、第一内部電極の側縁部と第二内部電極の側縁部との間における放電を促進させることができる。よって、第一内部電極及び第二内部電極の劣化を抑制しながら、高ESD耐量を実現することができる。
【0010】
上記過渡電圧保護デバイスでは、第一内部電極及び第二内部電極は、第一方向に沿って延在し、第一方向の先端部同士が第一方向において対向するように設けられており、第一領域は、第一角部及び第二角部から離間すると共に、第一内部電極及び第二内部電極それぞれの先端部と接するように設けられてもよい。この場合、第一角部及び第二角部における放電を抑制しながら、第一内部電極の先端部と第二内部電極の先端部との間における放電を促進させることができる。よって、第一内部電極及び第二内部電極の劣化を抑制しながら、高ESD耐量を実現することができる。
【0011】
上記過渡電圧保護デバイスは、素体内に設けられた空洞部を更に備え、第一内部電極及び第二内部電極は、空洞部に臨んでいてもよい。この場合、空洞部により放電が生じ易いので、高ESD耐量を実現することができる。
【0012】
上記過渡電圧保護デバイスでは、空洞部は、第一内部電極と第二内部電極との間に位置しているギャップ領域を含んでもよい。この場合、ギャップ領域により確実に放電を生じさせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、放電を生じさせる領域を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る過渡電圧保護デバイスを示す斜視図である。
図2図2は、図1の過渡電圧保護デバイスの展開斜視図である。
図3図3は、図1の過渡電圧保護デバイスを積層方向から見た透視図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、第一変形例に係る過渡電圧保護デバイスを積層方向から見た透視図である。
図6図6は、第二変形例に係る過渡電圧保護デバイスを積層方向から見た透視図である。
図7図7は、第三変形例に係る過渡電圧保護デバイスを積層方向から見た透視図である。
図8図8は、第四変形例に係る過渡電圧保護デバイスを積層方向から見た透視図である。
図9図9は、第五変形例に係る過渡電圧保護デバイスを積層方向から見た透視図である。
図10図10は、第六変形例に係る過渡電圧保護デバイスを積層方向から見た透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1図4に示される本実施形態に係る過渡電圧保護デバイス1は、図示しない電子機器に実装され、ESDなどの過渡電圧から電子機器を保護する電子部品である。保護対象の電子機器は、例えば、回路基板又は電子部品である。過渡電圧保護デバイス1は、素体2と、一対の外部電極3,4と、一対の内部電極5,6と、放電補助部7と、空洞部Sとを備える。内部電極5,6は、放電するように構成された放電電極である。内部電極5,6は、放電補助部7及び空洞部Sと共に、過渡電圧サプレッサを構成している。過渡電圧サプレッサは、過渡電圧吸収性能を有する。
【0017】
素体2は、直方体形状を呈している。直方体形状には、例えば、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。素体2は、外表面として、互いに対向している一対の端面2a,2bと、互いに対向している一対の側面2c,2dと、互いに対向している一対の側面2e,2fと、を有している。4つの側面2c,2d,2e,2fは、それぞれ端面2a及び端面2bと隣り合うと共に、端面2aと端面2bとを接続するように、端面2a,2bの対向方向に延在している。4つの側面2c,2d,2e,2fのうちの一側面は、保護対象の電子機器と対向する実装面として規定されている。
【0018】
本実施形態では、端面2a,2bの対向方向を第一方向D1、側面2e,2fの対向方向を第二方向D2、側面2c,2dの対向方向を第三方向D3とする。第一方向D1は、素体2の長さ方向であり、第二方向D2は、素体2の幅方向であり、第三方向D3は、素体2の高さ方向である。素体2の長さ(素体2の第一方向D1の長さ)は、例えば、0.6mm以上2.0mm以下である。素体2の幅(素体2の第二方向D2の長さ)は、例えば、0.3mm以上1.2mm以下である。素体2の高さ(素体2の第三方向D3の長さ)は、例えば、0.3mm以上1.2mm以下である。
【0019】
素体2は、第三方向D3において積層された複数の絶縁体層10を有している。各絶縁体層10は、矩形板状を呈している。各絶縁体層10は、電気絶縁性を有する絶縁体であり、絶縁体グリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各絶縁体層10は、その間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0020】
絶縁体層10は、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、MnCO、SrCO、CaCO、BaCO、Al、ZrO、Bなどのセラミック材料によって構成される。絶縁体層10は、単独のセラミック材料によって構成されてもよいし、二種類以上のセラミック材料を混合させることによって構成されてもよい。絶縁体層10は、ガラスを含有していてもよい。絶縁体層10は、低温焼結を可能とするために酸化銅(CuO、CuO)を含有していてもよい。
【0021】
外部電極3,4は、素体2の外表面に設けられている。外部電極3,4は、第一方向D1において互いに対向するように素体2に配置されている。外部電極3,4は、素体2の第一方向D1の両端部に設けられている。外部電極3,4は、第一方向D1において互いに離間している。
【0022】
外部電極3は、端面2aに設けられ、内部電極5と接続されている。外部電極3は、端面2aを覆うと共に、その一部が側面2c,2d,2e,2f上に回り込むように形成されている。外部電極3は、端面2aの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2a側の端部とに設けられている。
【0023】
外部電極4は、端面2bに設けられ、内部電極6と接続されている。外部電極4は、端面2bを覆うと共に、その一部が側面2c,2d,2e,2f上に回り込むように形成されている。外部電極4は、端面2bの全面と、側面2c,2d,2e,2fの端面2b側の端部とに設けられている。
【0024】
内部電極5,6は、互いに離間して素体2内に設けられている。内部電極5,6は、第一方向D1に沿って延在している。内部電極5,6は、第二方向D2において間隔をあけて並んでいる。内部電極5,6は、後述の側縁部5c,6c同士が第二方向D2において対向するように設けられている。内部電極5,6は、後述のギャップ領域Sgを介し、第二方向D2において互いに対向している。内部電極5は、側面2e寄りに配置されている。内部電極6は、側面2f寄りに配置されている。内部電極5,6は、第三方向D3において同じ高さ位置(すなわち、同じ積層位置)に配置されている。内部電極5,6は、互いに同じ絶縁体層10上に配置されている。内部電極5,6は、積層方向(第三方向D3)の略中央に設けられている。
【0025】
内部電極5,6は、平面視で(すなわち、第三方向D3から見て)、第一方向D1を長手方向とする矩形状を呈している。内部電極5,6は、例えば、互いに同じ形状を呈している。内部電極5,6の長さ(内部電極5,6の第一方向D1の長さ)は、例えば、0.5mm以上1.6mm以下である。内部電極5,6の幅(内部電極5,6の第二方向D2の長さ)は、例えば、0.1mm以上0.5mm以下である。内部電極5,6の厚さ(内部電極5,6の第三方向D3の長さ)は、例えば、3μm以上20μm以下である。
【0026】
内部電極5は、端面2aに露出すると共に、端面2b及び側面2c,2d,2e,2fから離間して設けられている。内部電極5は、接続端(接続端面)5aと、先端部5bと、一対の側縁部5c,5dと、第一面5eと、第二面5fとを有している。
【0027】
接続端5aは、端面2aに露出し、外部電極3と接続されている。先端部5bは、第一方向D1において外部電極3と反対側の端部を構成している。先端部5bは、素体2の外表面から離間している。先端部5bは、先端面だけでなく、先端面の近傍部分も含む領域として規定される。先端部5bは、第一面5e、第二面5f、側縁部5c及び側縁部5dそれぞれの先端面寄りの端部を含む。先端部5bは、内部電極5の延在方向(第一方向D1)において所定の厚みを有する。
【0028】
側縁部5c,5dは、第二方向D2において互いに対向している。側縁部5cは、側面2f寄りに配置され、側縁部5dは側面2e寄りに配置されている。側縁部5c,5dは、第一方向D1に沿って延在している。側縁部5c,5dは、内部電極5の第二方向D2の両端(第二方向D2を向く側面)だけでなく、両端の近傍部分も含む領域として規定される。側縁部5c,5dは、第一面5e及び第二面5fそれぞれの第二方向D2の端部を含む。側縁部5c,5dは、第二方向D2において所定の厚みを有する。側縁部5cは、後述のギャップ領域Sgに臨んでいる。
【0029】
第一面5eは、放電補助部7に接している。第二面5fは、第三方向D3において第一面5eと対向している。第二面5fは、空洞部Sのギャップ領域Sg以外の領域に臨んでいる。
【0030】
内部電極6は、端面2bに露出すると共に、端面2a及び側面2c,2d,2e,2fから離間して設けられている。内部電極6は、接続端(接続端面)6aと、先端部6bと、一対の側縁部6c,6dと、第一面6eと、第二面6fとを有している。
【0031】
接続端6aは、端面2bに露出し、外部電極4と接続されている。先端部6bは、第一方向D1において外部電極4と反対側の端部を構成している。先端部6bは、素体2の外表面から離間している。先端部6bは、先端面だけでなく、先端面の近傍部分も含む領域として規定される。先端部6bは、第一面6e、第二面6f、側縁部6c及び側縁部6dそれぞれの先端面寄りの端部を含む。先端部6bは、内部電極6の延在方向(第一方向D1)において所定の厚みを有する。
【0032】
側縁部6c,6dは、第二方向D2において互いに対向している。側縁部6cは、側面2e寄りに配置され、側縁部6dは側面2f寄りに配置されている。側縁部6c,6dは、第一方向D1に沿って延在している。側縁部6c,6dは、内部電極6の第二方向D2の両端(第二方向D2を向く側面)だけでなく、両端の近傍部分も含む領域として規定される。側縁部6c,6dは、第一面6e及び第二面6fそれぞれの第二方向D2の端部を含む。側縁部6c,6dは、第二方向D2において所定の厚みを有する。側縁部6cは、後述のギャップ領域Sgに臨んでいる。
【0033】
第一面6eは、放電補助部7に接している。第二面6fは、第三方向D3において第一面6eと対向している。第二面6fは、空洞部Sのギャップ領域Sg以外の領域に臨んでいる。
【0034】
内部電極5は、内部電極6と対向している角部5gを有している。本実施形態では、内部電極5は、一つの角部5gを有している。角部5gは、第三方向D3から見て、内部電極5の四隅に位置する四つの角部のうちの一つである。角部5gは、先端部5bの内部電極6寄りの端部に位置している。角部5gは、側縁部5cの先端面寄りの端部に位置しているとも言える。角部5gは、素体2の外表面から離間した位置に設けられている。角部5gは、第一面5eの対応する角部と、第二面5fの対応する角部とを含む領域として規定される。角部5gは、側縁部6cと第二方向D2で対向している。角部5gと側縁部6cとの間の第二方向D2における距離は、内部電極5,6間の最短距離と等しい。
【0035】
内部電極6は、内部電極5と対向している角部6gを有している。本実施形態では、内部電極6は、一つの角部6gを有している。角部6gは、第三方向D3から見て、内部電極6の四隅に位置する四つの角部のうちの一つである。角部6gは、先端部6bの内部電極5寄りの端部に位置している。角部6gは、側縁部6cの先端面寄りの端部に位置しているとも言える。角部6gは、素体2の外表面から離間した位置に設けられている。角部6gは、第一面6eの対応する角部と、第二面6fの対応する角部とを含む領域として規定される。角部6gは、側縁部5cと第二方向D2で対向している。角部6gと側縁部5cとの間の第二方向D2における距離は、内部電極5,6間の最短距離と等しい。
【0036】
外部電極3,4及び内部電極5,6は、例えば、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、Wを含有する導体材料によって構成される。外部電極3,4及び内部電極5,6は、例えば、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、Ag/Pt合金などを用いることができる。外部電極3,4及び内部電極5,6は、互いに同じ材料によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料によって構成されていてもよい。
【0037】
外部電極3,4は、例えば、上記導電材料を含む導体ペーストを素体2の外表面に付与した後、導体ペーストを焼き付けることにより形成される。外部電極3,4は、めっき層を有していてもよい。内部電極5,6は、例えば、上記導電材料を含む導体ペーストを印刷により絶縁体グリーンシート上に付与した後、絶縁体グリーンシートと共に導体ペーストを焼成することにより形成される。
【0038】
放電補助部7は、素体2内に設けられている。放電補助部7は、平面視で(すなわち、第三方向D3から見て)、第一方向D1を長手方向とする矩形状を呈している。放電補助部7の長さ(放電補助部7の第一方向D1の長さ)は、例えば、0.4mm以上1.5mm以下である。放電補助部7の幅(放電補助部7の第二方向D2の長さ)は、例えば、0.15mm以上0.95mm以下である。放電補助部の厚さ(放電補助部の第三方向D3の長さ)は、例えば、3μm以上20μm以下である。
【0039】
放電補助部7は、素体2から露出しないように、素体2の外表面から離間して設けられている。放電補助部7は、内部電極5,6に接していると共に、内部電極5,6を互いに接続している。放電補助部7は、第二方向D2において、内部電極5,6の外側まで延在している。放電補助部7は、内部電極5,6から露出し、ギャップ領域Sgに臨んでいる部分を有している。
【0040】
放電補助部7は、絶縁体及び金属粒子(金属)を含んでいる。絶縁体は、例えば、セラミック材料により構成されている。セラミック材料としては、例えば、Fe、NiO、CuO、ZnO、MgO、SiO、TiO、MnCO、SrCO、CaCO、BaCO、Al、ZrO、又はBが挙げられる。放電補助部7は、これらのセラミック材料のうちの一種類のみを含んでもよいし、二種類以上を混合させて含んでもよい。金属粒子は、例えば、Ag、Pd、Au、Pt、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag/Au合金、又はAg/Pt合金により構成されている。放電補助部7は、RuOなどの半導体粒子を含んでもよい。放電補助部7は、ガラスを含んでもよい。
【0041】
放電補助部7は、少なくとも第一領域R1及び第二領域R2を有している。第一領域R1の金属濃度は、第二領域R2の金属濃度よりも高い。一対の第二領域R2の金属濃度は互いに同等であるが、互いに異なっていてもよい。放電補助部7の金属濃度は、例えば、SEM-EDS(走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光)分析によって求められる。第一領域R1の金属濃度は、例えば、第二領域R2の金属濃度の1.1倍以上である。
【0042】
本実施形態では、放電補助部7は、一つの第一領域R1と、第一方向D1において互いに離間している一対の第二領域R2とを有している。第一領域R1は、一対の第二領域R2の間に位置し、一対の第二領域R2を第一方向D1において接続している。一対の第二領域R2は、第一領域R1を第一方向D1において挟むように、第一領域R1の第一方向D1の両側に配置されている。第二方向D2において、第一領域R1の両端の位置は、第二領域R2の両端の位置と一致している。放電補助部7は、第一方向D1において先端部5b,6bの外側まで延在している。
【0043】
第一領域R1は、角部5g,6gから離間すると共に、側縁部5c,6cの第一方向D1の一部分と接するように設けられている。側縁部5c,6cの第一方向D1の一部分とは、側縁部5c,6cのうち、第一方向D1において角部5g,6gのそれぞれから離間した部分である。第三方向D3から見て、第一領域R1は、側縁部5c,6cの第一方向D1の一部分と重なっている。
【0044】
第二領域R2は、角部5g,6gと接するように設けられている。一方の第二領域R2は、角部5gと接するように設けられている。一方の第二領域R2は、先端部5bの角部5g以外の角部とも接している。一方の第二領域R2は、第一面5eのうち、先端部5bに含まれる部分の全体と接している。第三方向D3から見て、一方の第二領域R2は、先端部5bの全体と重なるように配置されている。
【0045】
他方の第二領域R2は、角部6gと接するように設けられている。他方の第二領域R2は、先端部6bの角部5g以外の角部とも接している。他方の第二領域R2は、第一面6eのうち、先端部6bに含まれる部分の全体と接している。第三方向D3から見て、他方の第二領域R2は、先端部6bの全体と重なるように配置されている。
【0046】
放電補助部7は、例えば、上記セラミック材料及び金属粒子などを含むスラリーを印刷により絶縁体グリーンシート上に付与した後、絶縁体グリーンシートと共にスラリーを焼成することにより形成される。金属濃度が互いに異なる二種類のスラリーを用いることで、第一領域R1及び第二領域R2を形成することができる。
【0047】
空洞部Sは、内部電極5,6と接するように、素体2内に設けられている。内部電極5,6は、空洞部Sに臨んでいる。空洞部Sは、第二方向D2において内部電極5,6間に位置しているギャップ領域Sgを含んでいる。ギャップ領域Sgの幅(ギャップ領域Sgの第二方向D2の長さ)、すなわち、内部電極5,6の間隔は、例えば、10μm以上70μm以下である。空洞部Sは、素体2の外表面から離間して設けられている。空洞部Sを画成する面は、内部電極5の第二面5f及び側縁部5cの表面と、内部電極6の第二面6f及び側縁部6cの表面と、放電補助部7のうち、内部電極5,6から露出した面とを含んでいる。
【0048】
第三方向D3から見て、空洞部Sは、放電補助部7の外縁の内側に位置している。第三方向D3から見て、空洞部Sは、第一領域R1の外縁の内側に位置し、第二領域R2から離間している。空洞部Sは、角部5g,6gからも離間している。空洞部Sは、第一方向D1及び第二方向D2のそれぞれにおいて、放電補助部7よりも短い。空洞部Sの第二方向D2の両端は、第三方向D3から見て、側縁部5d,6dと重なっているか、側縁部5d,6dよりも内側に位置している。空洞部Sは、例えば、有機溶剤及び有機バインダを含む有機ラッカーを印刷により絶縁体グリーンシート上に付与した後、絶縁体グリーンシートと共に有機ラッカーを焼成することにより、有機ラッカーが焼失して形成される。
【0049】
以上説明したように、過渡電圧保護デバイス1では、放電補助部7は、少なくとも第一領域R1及び第二領域R2を有し、第一領域R1の金属濃度は、第二領域R2の金属濃度よりも高い。放電の生じ易さは、放電補助部7の金属濃度に応じて変化する。金属粒子の濃度が高いほど、クランプ電圧が低下し、過渡電圧吸収性能が向上する。したがって、第一領域R1及び第二領域R2の配置を制御することにより、放電を生じさせる領域を制御することができる。例えば、放電を促進したい部分に第一領域R1を配置し、放電を抑制したい部分に第二領域を配置することができる。金属濃度が高いほど、放熱効果が向上するので、第一領域R1を配置した部分では、放熱をより促進することができる。
【0050】
角部5gは、最短距離で内部電極6と対向しており、電界が集中し易い。角部6gは、最短距離で内部電極5と対向しており、電界が集中し易い。第二領域R2は、角部5g,6gと接するように設けられている。これにより、角部5g,6gにおける放電を抑制することができる。よって、内部電極5,6の劣化が抑制される。第二領域R2にも金属粒子が含まれているので、角部5g,6gにおいても、第二領域R2による放熱効果が得られる。よって、角部5g,6gを保護することができる。
【0051】
内部電極5,6は、第一方向D1に沿って延在している側縁部5c,6c同士が第一方向D1に交差する第二方向D2において対向するように設けられている。第一領域R1は、角部5g,6gから離間すると共に、側縁部5c,6cと接するように設けられている。このため、角部5g,6gにおける放電を抑制しながら、側縁部5cと側縁部6cとの間における放電を促進させることができる。よって、内部電極5,6の劣化を抑制しながら、高ESD耐量を実現することができる。過渡電圧保護デバイス1によれば、長寿命化及び高ESD耐量を両立することができる。
【0052】
内部電極5,6は、素体2内に設けられた空洞部Sに臨んでいる。このため、空洞部Sにより放電が生じ易い。よって、高ESD耐量を容易に実現することができる。空洞部Sは、内部電極5,6の間に位置しているギャップ領域Sgを含んでいる。このため、ギャップ領域Sgにより確実に放電を生じさせることができる。
【0053】
放電補助部7は、内部電極5,6に接していると共に、内部電極5,6を互いに接続している。このため、内部電極5,6間で放電を確実に生じさせることができる。放電補助部7は、内部電極5,6から露出し、ギャップ領域Sgに臨む部分を有している。このため、内部電極5,6間で放電を更に確実に生じさせることができる。内部電極5,6の第二面5f,6fは、空洞部Sに臨んでいるので、第二面5f,6fでも放電が生じ易い。よって、高ESD耐量を一層確実に実現できる。
【0054】
外部電極3,4は、第一方向D1において互いに対向するように素体2に配置されている。つまり、外部電極3,4は、素体2の第一方向D1の両端に配置されるので、外部電極3,4間で短絡が生じることを抑制できる。
【0055】
本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0056】
図5に示されるように、第一変形例に係る過渡電圧保護デバイス1Aは、第二領域R2の形状の点で過渡電圧保護デバイス1(図3参照)と相違している。ここでは、過渡電圧保護デバイス1Aについて、過渡電圧保護デバイス1との相違点を中心に説明し、一致点の説明を適宜省略する。
【0057】
過渡電圧保護デバイス1Aでは、各第二領域R2の第二方向D2の長さは、第一領域R1の第二方向D2の長さよりも短い。角部5gと接している一方の第二領域R2は、第二方向D2において内部電極5の外側まで延在する部分を含むが、第二方向D2において内部電極6の外側に延在する部分を含まない。一方の第二領域R2の第二方向D2の一端は、第三方向D3から見て、側縁部6dと重なっている。角部6gと接している他方の第二領域R2は、第二方向D2において内部電極6の外側まで延在する部分を含むが、第二方向D2において内部電極5の外側に延在する部分を含まない。他方の第二領域R2の第二方向D2の一端は、第三方向D3から見て、側縁部5dと重なっている。
【0058】
図6に示されるように、第二変形例に係る過渡電圧保護デバイス1Bは、放電補助部7が第二方向D2において内部電極5,6の外側に延在していない点で、過渡電圧保護デバイス1(図3参照)と相違している。ここでは、過渡電圧保護デバイス1Bについて、過渡電圧保護デバイス1との相違点を中心に説明し、一致点の説明を適宜省略する。
【0059】
過渡電圧保護デバイス1Bでは、第三方向D3から見て、放電補助部7の第二方向D2の一端は、側縁部5cと側縁部5dとの間に位置している。第三方向D3から見て、放電補助部7の第二方向D2の他端は、側縁部6cと側縁部6dとの間に位置している。一方の第二領域R2は、角部5gと接しているが、先端部5bの角部5g以外の角部とは接していない。他方の第二領域R2は、角部6gと接しているが、先端部6bの角部6g以外の角部とは接していない。放電補助部7は、第二方向D2において、空洞部Sの内側に位置している。
【0060】
図7に示されるように、第三変形例に係る過渡電圧保護デバイス1Cは、放電補助部7が、第一領域R1、一対の第二領域R2に加えて、一対の第三領域R3を有している点で、過渡電圧保護デバイス1(図3参照)と相違している。ここでは、過渡電圧保護デバイス1Cについて、過渡電圧保護デバイス1との相違点を中心に説明し、一致点の説明を適宜省略する。
【0061】
過渡電圧保護デバイス1Cでは、第三領域R3の金属濃度は、第一領域R1の金属濃度よりも低く、第二領域R2の金属濃度よりも高い。一対の第三領域R3の金属濃度は互いに同等であるが、互いに異なっていてもよい。第三領域R3は、第一領域R1と第二領域R2との間に配置されている。第三領域R3は、角部5g,6gから離間している。第二方向D2において、第三領域R3の両端の位置は、第一領域R1の両端の位置と一致していると共に、第二領域R2の両端の位置と一致している。過渡電圧保護デバイス1Cでは、放電を抑制したい角部5g,6gと、放電を促進したい側縁部5c,6cとの間で、金属濃度が二段階で変化しているが、三段階以上で変化していてもよい。
【0062】
図8に示されるように、第四変形例に係る過渡電圧保護デバイス1Dは、放電補助部7の角部が丸められている点と、第一領域R1及び第二領域R2の形状の点とで、過渡電圧保護デバイス1(図3参照)と相違している。ここでは、過渡電圧保護デバイス1Dについて、過渡電圧保護デバイス1との相違点を中心に説明し、一致点の説明を適宜省略する。
【0063】
過渡電圧保護デバイス1Dでは、第一領域R1は、第二方向D2において内部電極5,6の外側に延在する部分を含まない。第一領域R1の第二方向D2の両端は、第三方向D3から見て、側縁部5d,6dと重なっている。第二領域R2は、第三方向D3から見て矩形枠状を呈し、矩形状の第一領域R1を略均一の幅で取り囲んでいる。
【0064】
図9に示されるように、第五変形例に係る過渡電圧保護デバイス1Eは、第一領域R1及び第二領域R2の形状の点(図3参照)で、過渡電圧保護デバイス1(図3参照)と相違している。ここでは、過渡電圧保護デバイス1Eについて、過渡電圧保護デバイス1との相違点を中心に説明し、一致点の説明を適宜省略する。
【0065】
過渡電圧保護デバイス1Eでは、第一領域R1が角部5g,6gと接している。第一領域R1は、第二方向D2において内部電極5,6の外側まで延在すると共に、第一方向D1において先端部5b,6bの外側まで延在している。第二領域R2は、第三方向D3から見て矩形枠状を呈し、矩形状の第一領域R1を略均一の幅で取り囲んでいる。
【0066】
図10に示されるように、第六変形例に係る過渡電圧保護デバイス1Fは、内部電極5,6、放電補助部7、及び空洞部Sの形状の点で、過渡電圧保護デバイス1(図3参照)と相違している。ここでは、過渡電圧保護デバイス1Fについて、過渡電圧保護デバイス1との相違点を中心に説明し、一致点の説明を適宜省略する。
【0067】
過渡電圧保護デバイス1Fでは、内部電極5,6は、第一方向D1に沿って延在し、第一方向D1の先端部5b,6b同士が第一方向D1において対向するように設けられている。先端部5b,6bは、ギャップ領域Sgを介して互いに対向している。先端部5b,6bは、ギャップ領域Sgに臨んでいる。内部電極5,6は、平面視で(すなわち、第三方向D3から見て)、第一方向D1を長手方向とする矩形状を呈している。内部電極5,6は、例えば、互いに同じ形状を呈している。内部電極5,6は、素体2の第二方向D2の略中央に設けられている。
【0068】
内部電極5は、内部電極6と対向している一対の角部5gを有している。一対の角部5gは、第三方向D3から見て、内部電極5の四隅に位置する四つの角部のうち、先端部5b側の一対の角部である。一対の角部5gは、先端部5bの第二方向D2における一対の端部に位置している。一対の角部5gは、素体2の外表面から離間した位置に設けられている。
【0069】
内部電極6は、内部電極5と対向している一対の角部6gを有している。一対の角部6gは、第三方向D3から見て、内部電極6の四隅に位置する四つの角部のうち、先端部6b側の一対の角部である。一対の角部6gは、先端部6bの第二方向D2における一対の端部に位置している。一対の角部6gは、素体2の外表面から離間した位置に設けられている。
【0070】
一対の角部5gは、一対の角部6gと第一方向D1において対向している。一方の角部5gと一方の角部6gとは、第一方向D1において互いに対向している。一方の角部5gと一方の角部6gとの間の第一方向D1における距離は、内部電極5,6間の最短距離と等しい。他方の角部5gと他方の角部6gとは、第一方向D1において互いに対向している。他方の角部5gと他方の角部6gとの間の第一方向D1における距離は、内部電極5,6間の最短距離と等しい。
【0071】
放電補助部7は、平面視で第二方向D2を長手方向とする矩形状を呈している。放電補助部7は、内部電極5,6に接していると共に、内部電極5,6を互いに接続している。放電補助部7は、第二方向D2において、内部電極5,6の外側まで延在している。放電補助部7は、内部電極5,6から露出し、ギャップ領域Sgに臨んでいる部分を有している。
【0072】
第一領域R1は、第二方向D2において互いに離間している一対の第二領域R2の間に位置し、一対の第二領域R2を第二方向D2において接続している。一対の第二領域R2は、第一領域R1を第二方向D2において挟むように、第一領域R1の第二方向D2の両側に配置されている。第一方向D1において、第一領域R1の両端の位置は、第二領域R2の両端の位置と一致している。
【0073】
第一領域R1は、一対の角部5g及び一対の角部6gから離間すると共に、先端部5bの第二方向D2の中央部分、及び先端部6bの第二方向D2の中央部分と接するように設けられている。先端部5bの第二方向D2の中央部分とは、一対の角部5gの間の部分である。先端部6bの第二方向D2の中央部分とは、一対の角部6gの間の部分である。第一領域R1は、先端部5bの第二方向D2の中央部分と、先端部6bの第二方向D2の中央部分とを第一方向D1において接続している。第三方向D3から見て、第一領域R1は、先端部5bの第二方向D2の中央部分、及び先端部6bの第二方向D2の中央部分と重なっている。
【0074】
第二領域R2は、一対の角部5g及び一対の角部6gと接するように設けられている。一方の第二領域R2は、一方の角部5g及び一方の角部6gと接し、一方の角部5gと一方の角部6gとを第一方向D1において接続している。他方の第二領域R2は、他方の角部5g及び他方の角部6gと接し、他方の角部5gと他方の角部6gとを第一方向D1において接続している。
【0075】
空洞部Sは、第三方向D3から見て、放電補助部7の外縁の内側に位置している。空洞部Sは、第三方向D3から見て、第一領域R1及び一対の第二領域R2と重なっている。空洞部Sは、第三方向D3から見て、先端部5b,6bの全体と重なっている。ギャップ領域Sgの幅(ギャップ領域Sgの第一方向D1の長さ)、すなわち、内部電極5,6の間隔は、例えば、10μm以上70μm以下である。
【0076】
過渡電圧保護デバイス1,1A,1B,1C,1D,1E,1Fでは、内部電極5,6は互いに同形状を呈しているが、互いに異なる形状を呈していてもよい。内部電極5,6は、全体的に第一方向D1に沿って延在しているが、例えば、湾曲又は屈曲し、第一方向D1に沿わない部分を含んでいてもよい。過渡電圧保護デバイス1,1A,1B,1C,1D,1Eでは、内部電極5,6は、二つ以上の角部5g,6gを有していてもよい。
【0077】
過渡電圧保護デバイス1Fでは、内部電極5,6の第二方向D2の長さが互いに異なっていてもよい。例えば、先端部5bは、第二方向D2において先端部6bよりも長く、先端部5bの第二方向D2の両端部が、第一方向D1において先端部6bと対向してなくてもよい。この場合、内部電極5は、内部電極6と対向する角部を有さないので、第二領域R2は、内部電極6の一対の角部6gのみと接していてもよい。また、例えば、先端部5bの第二方向D2に一端部は、第一方向D1において先端部6bと対向し、他端部は、第一方向D1において先端部6bと対向していなくてもよい。この場合、内部電極5は、内部電極6と対向する一つの角部5gしか有さないので、第二領域R2は、内部電極6の一対の角部6gと、内部電極5の一つの角部5gのみと接してもよい。
【0078】
過渡電圧保護デバイス1,1A,1B,1C,1D,1E,1Fは、空洞部Sを備えなくてもよい。放電補助部7は、金属濃度が互いに異なる領域を少なくとも二つ以上有していればよく、その数は限定されない。内部電極5,6、放電補助部7、及び空洞部Sは、積層方向(第三方向D3)の略中央に設けられているが、積層方向の中央より側面2c側又は側面2d側に設けられていてもよい。
【0079】
上記実施形態及び変形例は、適宜組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F…過渡電圧保護デバイス、2…素体、3,4…外部電極、5,6…内部電極、5b,6b…先端部、5c,5d,6c,6d…側縁部、5g,6g…角部、7…放電補助部、R1…第一領域、R2…第二領域、D1…第一方向、D2…第二方向、S…空洞部、Sg…ギャップ領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10