(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/08 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2021130262
(22)【出願日】2021-08-06
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】泉 博之
(72)【発明者】
【氏名】廣實 康裕
(72)【発明者】
【氏名】新井 知広
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-015688(JP,A)
【文献】特開2020-182160(JP,A)
【文献】特開2019-068176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0次共振を利用したミリ波帯のアンテナ装置(100,110,120)であって、
平板状の導体部材である地板(P2)と、
前記地板から離間して前記地板と対向するように設置された導体部材であるパッチ部(P1,P1a,P1b)と、
前記パッチ部に接続され、前記パッチ部に信号を供給する給電部(20,50)と、
前記地板と前記パッチ部とを接続する短絡ビア(30)と、を備え、
前記パッチ部は、第1辺と前記第1辺よりも長い第2辺とを有する長方形の全ての辺に内接し、且つ、前記短絡ビアの直径に沿った中心線(CL)に対して非線対称な形状を有する、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記給電部(20)は、前記地板を貫通し、前記パッチ部に接続された給電ビアを含む、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記給電部(50)は、前記地板を貫通し、前記パッチ部に接続された同軸芯線を含む、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記給電ビアの径φa、前記短絡ビアの径φb、及び、前記給電ビアを介して前記パッチ部へ給電される高周波信号の実効波長λeは、
0.05λe<φa<0.3λe
0.2λe<φb<0.4λe
の条件を満たす、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1辺の長さDa、前記第2辺の長さDb、及び前記実効波長λeは、
0.4λe<Da<0.6λe
0.5λe<Db<0.9λe
の条件を満たす、
請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記パッチ部(P1)は、台形形状を有する台形部(P11)を含み、
前記台形部は、前記第1辺に平行な2つの辺を有し、
前記給電部は、前記台形部に接続されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記アンテナ装置は、移動体に搭載され、
前記アンテナ装置から放射される放射波は、前記移動体の進行方向に指向性を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のアンテナ装置は、導電部材の地板と、地板と対向する正方形状のパッチ部と、地板を貫通し先端がパッチ部に接続された給電ビアと、地板とパッチ部とに接続された短絡ビアと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記アンテナ装置において、給電ビアと短絡ビアとのビア間距離が短いほど、放射波の周波数が高くなる。しかしながら、ビア間距離が所定値よりも短くなると、短絡ビアのランドを形成できなくなる。一方で、短絡ビアのランドを形成できるようにビア間距離を広げると、アンテナ装置は高周波帯域で共振しなくなる。
【0005】
本開示は、製造性を高めた高周波用のアンテナ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面は、0次共振を利用したミリ波帯のアンテナ装置(100,110,120)であって、地板(P2)と、パッチ部(P1,P1a,P1b)と、給電部(20,50)と、短絡ビア(30)と、を備える。地板は、平板状の導体部材である。パッチ部は、地板から離間して地板と対向するように設置された導体部材である。給電部は、パッチ部に接続され、パッチ部に信号を供給する。短絡ビアは、地板とパッチ部とを接続する。パッチ部は、第1辺と第1辺よりも長い第2辺とを有する長方形の全ての辺に内接し、且つ、短絡ビアの直径に沿った中心線(CL)に対して非線対称な形状を有する。
【0007】
本開示の1つの局面のアンテナ装置は、パッチ部が、短絡ビアの直径に沿った中心線に対して非線対称な形状を有することにより、中心線に対して線対称な形状を有する場合よりも、パッチ部の面積を低減することができる。ひいては、ビア間距離を大きくしつつ、パッチ部と地板との間の静電容量を低減することができる。そのため、給電部と短絡ビアとのビア間距離を大きくしても、共振周波数を高くすることができる。したがって、製造性を高めた高周波用のアンテナ装置を実現できる。さらに、パッチ部が非線対称な形状を有することにより、電界の分布が中心線に対して非線対称になることを利用して、放射波の指向性を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るアンテナ装置の外観の概略を示す図である。
【
図2】
図1に示すアンテナ装置をII-II線で切断した断面図である。
【
図3】第1実施形態に係るアンテナ装置のパッチ部と給電ビアと短絡ビアの配置を示す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係るアンテナ装置の利得を示す図である。
【
図6】参考例に係るアンテナ装置の裏面を示す図である。
【
図7】参考例に係るアンテナ装置の利得を示す図である。
【
図8】参考例に係るアンテナ装置の周波数に対する電圧定在波比を示すグラフである。
【
図9】第1実施形態に係るパッチ部の縦方向の長さに対する平均放射電力を示すグラフである。
【
図10】第1実施形態に係るパッチ部の横方向の長さに対する平均放射電力を示すグラフである。
【
図11】第1実施形態に係る給電ビアのビア径に対する平均放射電力を示すグラフである。
【
図12】第1実施形態に係る短絡ビアのビア径に対する平均放射電力を示すグラフである。
【
図13】第1実施形態に係るパッチ部の別例を示す図である。
【
図14】第1実施形態に係るパッチ部の他の別例を示す図である。
【
図15】第2実施形態に係るアンテナ装置の断面図である。
【
図16】第3実施形態に係るアンテナ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
(1.第1実施形態)
<1-1.構成>
本実施形態に係るアンテナ装置100について、図面を参照して説明する。アンテナ装置100は、移動体、例えば車両に搭載される。アンテナ装置100は、電波の送信及び/又は受信を行う。アンテナ装置100は、0次共振を利用した、高周波用のアンテナ装置である。アンテナ装置100は、例えば、同軸ケーブルを介して無線機と接続される。本実施形態では、アンテナ装置100は、79GHzの動作周波数を有する、ミリ波帯のアンテナ装置である。
【0010】
アンテナ装置100は、無線機から供給される高周波の電気信号を電波に変換して空間に放射する。また、アンテナ装置100は、受信した電波を電気信号に変換して無線機へ出力する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、アンテナ装置100は、パッチ部P1と、地板P2と、支持板L1と、給電ビア20と、短絡ビア30と、を備える。
パッチ部P1は、板状に構成された銅などの導体である。パッチ部P1は、後述する中心線CLに対して非線対称な形状を有する。パッチ部P1の形状の詳細については、後述する。パッチ部P1は、箔などの薄い部材でもよい。すなわち、パッチ部P1は、プリント配線板等の樹脂製の板の表面に形成された導体パターンでもよい。
【0012】
地板P2は、平板状に構成された銅などの導体である。地板P2は、アンテナ装置100におけるグランド電位を形成する。なお、地板P2は、箔などの薄い部材でもよい。すなわち、地板P2は、プリント配線板等の樹脂製の板の表面に形成された導電パターンでもよい。
【0013】
支持板L1は、ガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料である。パッチ部P1は、支持板L1を介して、地板P2から離間して、地板P2に対向するように配置される。パッチ部P1は、支持板L1の表面に配置され、地板P2は、支持板L1の裏面に配置される。
【0014】
支持板L1は、矩形平板形状を有し、地板P2と略同じ大きさを有する。地板P2は、パッチ部P1以上の大きさを有する。支持板L1の形状は、板形状に限らない。支持板L1は、パッチ部P1を地板P2から離間して、地板P2に対向するように支持する複数の
柱であってもよい。また、パッチ部P1と地板P2との間は、樹脂(すなわち支持板L1)で充填する構造に限らず、中空や真空の構造でもよい。また、パッチ部P1と地板P2との間は、所定の誘電比率を有する誘電体で充填された構造でもよい。さらに、パッチ部P1と地板P2との間の構造は、これらの構造の組み合わせであってもよい。
【0015】
なお、アンテナ装置100をプリント配線基板により構成する場合、プリント配線基板が備える複数の導体層を、地板P2やパッチ部P1として利用するとともに、導体層を隔てる樹脂層を支持板L1としてもよい。
【0016】
給電ビア20は、銅などの導体材料でメッキされた円柱形状の部材であり、ビア径φaを有する。給電ビア20は、地板P2及び支持板L1を貫通し、パッチ部P1に接続している。給電ビア20は、パッチ部P1及び地板P2に対して垂直な軸心を有する。給電ビア20は、第1ランド21と第2ランド22とを備える。第1ランド21は、給電ビア20の上端に設けられ、パッチ部P1に接触し、パッチ部P1と導通している。第2ランド22は、給電ビア20の下端に設けられている。第1ランド21及び第2ランド22は、円柱形状の本体部の外縁から径方向に延伸している。本実施形態では、第2ランド22の外径は、第1ランド21の外径よりも大きい。
【0017】
第2ランド22は、パッチ部P1に給電する同軸ケーブルが接続され、第2ランド22の給電点23からパッチ部P1へ高周波信号が給電される。ここで、地板P2は、グランド電位を形成する。そのため、第2ランド22と地板P2とが導通しないように、地板P2に、第2ランド22及びその周囲を収容する穴が形成されている。したがって、地板P2と第2ランド22との間に隙間が形成され、地板P2は、第2ランド22と導通していない。
【0018】
短絡ビア30は、銅などの導体材料でメッキされた円柱形状の部材であり、ビア径φbを有する。短絡ビア30は、支持板L1を貫通し、パッチ部P1と地板P2とに接続している。短絡ビア30は、パッチ部P1及び地板P2に対して垂直な軸心を有する。短絡ビア30は、2つのランド31を備える。2つのランド31は、短絡ビア30の上端と下端に設けられている。上端のランド31は、パッチ部P1に接触してパッチ部P1と導通し、下端のランド31は、地板P2に接触して地板P2と導通している。
【0019】
給電ビア20は、第1ランド21及び第2ランド22が2つのランド31と干渉しないように、短絡ビア30から離間して配置されている。
次に、パッチ部P1の形状について、
図3を参照して説明する。
図3に示す平面で、互いに直交する2方向を、第1方向と第2方向とする。給電ビア20と短絡ビア30は、第2方向に沿って並べて配置されている。第2方向において、給電ビア20が配置されている側を左側、短絡ビア30が配置されている側を右側とする。
【0020】
パッチ部P1は、中心線CLに対して非線対称な形状を有し、第1ランド21とランド31を覆う。中心線CLは、短絡ビア30の直径に沿った線であり、詳しくは、短絡ビア30の中心を通り、第1方向に沿った線である。
【0021】
パッチ部P1は、台形部P11と、方形部P12と、半円部P13とを備える。半円部P13が左側に配置され、方形部P12が右側に配置されている。台形部P11は、半円部P13と方形部P12の間に配置されている。
【0022】
半円部P13は、半円形状に構成されており、第1ランド21の半分と略同一の面積を有し、第1ランド21の左側半分を覆う。台形部P11は、台形形状に構成されており、第1方向に沿った平行な短辺と長辺を有する。台形部P11の短辺は、半円部P13の直
線部分に接続されており、台形部P11の長辺は、方形部P12に接続されている。台形部P11は、第1ランド21の右半分を覆う。方形部P12は、正方形状に構成されており、ランド31を覆う。
【0023】
パッチ部P1は、長さDaの第1辺と、長さDbの第2辺とを有する長方形の全ての辺に内接する。また、Da<Dbである。すなわち、方形部P12の第1方向の辺の長さはDaである。また、第2方向において、半円部P13の端部から、方形部P12の端部までの長さはDbである。
【0024】
<1-2.動作>
短絡ビア30は、短絡ビア30の長さ及びビア径φbに応じたインダクタンスLを提供する。また、パッチ部P1は、静電容量Cを提供する。パッチ部P1に供給された高周波信号は、主に短絡ビア30の側面上を流れ、短絡ビア30の内部はほとんど流れないため、パッチ部P1のうち短絡ビア30の外側部分と地板P2との間が、静電容量Cの形成に寄与する。短絡ビア30の長さやビア径φbは、インダクタンスLが静電容量Cと並列共振する値となるように調整されている。
【0025】
アンテナ装置100では、静電容量Cと、インダクタンスLと、給電点23とが並列に接続された0次並列共振回路が形成される。アンテナ装置100の動作周波数は、この並列共振回路が共振する周波数により定まる。
【0026】
パッチ部P1は、中心線CLの右側の面積よりも、中心線CLの左側の面積の方が大きい。そのため、パッチ部P1に供給される電流の分布は左側へ偏り、パッチ部P1から放射される放射波の電界ベクトルは左側へ偏る。したがって、
図4に示すように、アンテナ装置100は、左方向に指向性を有し、左方向の電力は、右方向の電力に対して9dB大きい。また、アンテナ装置100の最大利得は、3.4dBiになる。
【0027】
アンテナ装置100は、移動体の進行方向と指向性を有する方向とが一致するように、移動体に搭載されている。例えば、移動体が車両である場合は、アンテナ装置100は、車両の前方方向と指向性を有する方向とが一致するように、車両に搭載されている。
【0028】
ここで、静電容量Cは、パッチ部P1の面積が増加すると大きくなる。静電容量Cが大きくなると、アンテナ装置100に形成される0次並列共振回路の共振周波数が低くなる。したがって、動作周波数を高くするためには、パッチ部P1の面積を低減する必要がある。
【0029】
図5に、参考例に係るアンテナ装置400を示す。アンテナ装置400は、パッチ部P100と、地板P200と、支持板L11と、給電ビア200と、短絡ビア300と、を備える。パッチ部P100は、正方形状に構成されている。
【0030】
ここで、パッチ部P100の面積を低減するために、給電ビア200と短絡ビア300とのビア間距離を小さくすると、ランドを設けられなくなる。すなわち、
図6に示すように、ビア間距離を小さくすると、給電ビア200のランド210と短絡ビア300のランド310が干渉する。
【0031】
そのため、アンテナ装置400では、給電ビア200と短絡ビア300のビア間隔を、ランドが設けられる程度に大きくしている。パッチ部P100は、正方形状に形成されているため、ビア間隔を大きくすると、パッチ部P100の面積が増大し、静電容量Cが増大する。ひいては、
図8に示すように、79GHzでは0次共振せず、67GHzで0次共振する。その結果、
図7に示すように、アンテナ装置400は、79GHzでの最大利
得が-1.1dBiとなる。
【0032】
これに対して、アンテナ装置100のパッチ部P1では、給電ビア20と短絡ビア30との間に、台形部P11を配置して、ビア間距離を大きくしつつパッチ部P1の全体の面積を低減している。これにより、静電容量Cを小さくして、共振周波数を高くしている。これにより、アンテナ装置100は、79GHzでの最大利得が、アンテナ装置400の最大利得よりも12dBi大きい。
【0033】
<1-3.設計>
次に、アンテナ装置100の放射効率を最大化した0次共振が可能となるパッチ部P1の寸法(具体的には、第1辺の長さDa及び第2辺の長さDb)と、給電ビア20のビア径φaと、短絡ビア30のビア径φbについて、
図9~12を参照して説明する。
【0034】
図9に、第1辺の長さDa/λeに対する放射電波の平均電力のグラフを示す。λeは、波長λを実効誘電率の平方根で除算した実効波長である。グラフから、長さDaは、0.4λe<Da<0.6λeの範囲が望ましい。ただし、波長λにより、0.9mm<Da<0.583λeの制約がある。そこで、長さDaは、0.458λe(すなわち、1.1mm)を設計値とする。
【0035】
図10に、第2辺の長さDb/λeに対する放射電波の平均電力のグラフを示す。グラフから、長さDbは、0.5λe<Da<0.9λeの範囲が望ましい。ただし、波長λにより、0.625λe<Dbの制約がある。そこで、長さDbは、0.688λe(すなわち、1.65mm)を設計値とする。
【0036】
図11に、ビア径φaに対する放射電波の平均電力のグラフを示す。グラフから、ビア径φaは、0.05λe<Da<0.3λeの範囲が望ましい。ただし、波長λにより、φa<0.208λeの制約がある。そこで、ビア径φaは、0.125λe(すなわち、0.3mm)を設計値とする。
【0037】
図12に、ビア径φbに対する放射電波の平均電力のグラフを示す。グラフから、ビア径φbは、0.2λe<Da<0.4λeの範囲が望ましい。ただし、波長λにより、φa<0.375λeの制約がある。そこで、ビア径φbは、0.25λe(すなわち、0.6mm)を設計値とする。
【0038】
<1-4.別例>
アンテナ装置100は、パッチ部P1の代わりに、
図13に示すパッチ部P1aを備えていてもよい。パッチ部P1aは、多角形状を有し、長さDaの第1辺と、長さDbの第2辺とを有する長方形の全ての辺に内接する。また、アンテナ装置100は、パッチ部P1の代わりに、
図14に示すパッチ部P1bを備えていてもよい。パッチ部P1bは、楕円形状を有し、長さDaの第1辺と、長さDbの第2辺とを有する長方形の全ての辺に内接する。すなわち、アンテナ装置100は、長さDaの第1辺と、長さDbの第2辺とを有する長方形の全ての辺に内接する形状を有するパッチ部を備えていればよい。
【0039】
<1-4.効果>
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)パッチ部P1が、中心線CLに対して非線対称な形状を有することにより、中心線CLに対して線対称な形状を有する場合よりも、パッチ部P1の面積を低減できる。ひいては、ビア間距離を大きくしつつ、パッチ部P1と地板P2との間の静電容量を低減できる。そのため、給電ビア20と短絡ビア30とのビア間距離を大きくしても、共振周波数を高くすることができる。したがって、製造性を高めた高周波用のアンテナ装置100
を実現できる。
【0040】
(2)パッチ部P1が非線対称な形状を有することにより、電界ベクトルの分布が中心線CLに対して非線対称になることを利用して、放射波の指向性を制御することができる。
(3)給電ビア20の径φa、短絡ビア30の径φb、及び実効波長λeが、0.05λe<φa<0.3λe及び0.2λe<φb<0.4λeの条件を満たすことにより、製造性を高めつつ、放射効率を最大化した0次共振を実現できる。
【0041】
(4)長さDa、長さDb、及び実効波長λeが、0.4λe<a<0.6λe及び0.5λe<b<0.9λeの条件を満たすことにより、製造性を高めつつ、放射効率を最大化した0次共振を実現できる。
【0042】
(5)ビア間距離を大きくしつつ静電容量Cを低減するパッチ部P1の形状として、給電ビア20に接続するパッチ部P1を台形形状にすることにより、製造性を更に高めることができる。
(6)放射波の指向性を移動体の進行方向に向けることで、移動体の前方に存在する物体の検知性能を高めることができる。
【0043】
(2.第2実施形態)
<2-1.第1実施形態との相違点>
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0044】
前述した第1実施形態では、アンテナ装置100は、給電ビア20を備えていた。これに対し、
図15に示すように、第2実施形態では、アンテナ装置110は、給電ビア20の代わりに同軸芯線50を備える点で、第1実施形態と相違する。
【0045】
同軸芯線50は、地板P2及び支持板L1を貫通し、パッチ部P1に接続している。同軸芯線50と共に同軸線路を構成する同軸グランド40は、地板P2に導通している。第2実施形態では、同軸芯線50を介して、パッチ部P1へ高周波信号を供給する。
【0046】
<2-2.効果>
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)~(6)と同様の効果を奏する。
【0047】
(2.第3実施形態)
<3-1.第1実施形態との相違点>
第3実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0048】
前述した第1実施形態では、アンテナ装置100は、給電ビア20を備えていた。これに対し、
図16に示すように、第3実施形態では、アンテナ装置120は、何も備えていない点で、第1実施形態と相違する。
【0049】
すなわち、第3実施形態では、パッチ部P1と地板P2との間の容量結合により、高周波信号をパッチ部P1へ供給する。
<3-2.効果>
以上詳述した第3実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1)~(6)と同様の効果を奏する。
【0050】
(3.他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0051】
(a)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0052】
20…給電ビア、23…給電点、30…短絡ビア、40…同軸グランド、50…同軸芯線、100,110,120…アンテナ装置、CL…中心線、P1,P1a,P1b,…パッチ部、P2…地板、P11…台形部、P12…方形部、P13…半円部。