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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ステアリングホイール装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/04 20060101AFI20241126BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20241126BHJP
【FI】
B62D1/04
B60W50/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021205162
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2023090278
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 祐樹
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-087883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0089226(US,A1)
【文献】国際公開第2018/078740(WO,A1)
【文献】特開2017-182270(JP,A)
【文献】国際公開第2017/168540(WO,A1)
【文献】特開2010-184638(JP,A)
【文献】特開2021-079767(JP,A)
【文献】特許第6723494(JP,B1)
【文献】国際公開第2018/074249(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/048946(WO,A1)
【文献】特開2006-103467(JP,A)
【文献】米国特許第08909428(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0284304(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006023287(DE,A1)
【文献】特開2007-076491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム部(10)と運転者の手との接触を検知するセンサ(21)を備えるステアリングホイール装置(100)において、
前記センサ(21)の検知結果に基づいて、前記リム部(10)を把持する強さである把持の度合いを判定する判定部(11)と、
前記判定部(11)の判定結果を通知する通知部(22)とを備え
前記通知部(22)は、前記リム部(10)の把持を制限する制限通知を行う機能を更に有するステアリングホイール装置(100)。
【請求項2】
把持の度合い判定に用いられる、少なくとも2つの閾値(121)を記憶している記憶部(12)を備える請求項1に記載のステアリングホイール装置(100)。
【請求項3】
前記通知部(22)は、
発光部(30)を有しており、
前記発光部(30)の発光色にて前記判定部(11)の判定結果を通知する請求項1又は2に記載のステアリングホイール装置(100)。
【請求項4】
前記通知部(22)は、
発光部(30)を有しており、
前記発光部(30)は、前記判定部(11)の判定結果に応じて、予め設定された発光パターン(122)で発光する請求項1又は2に記載のステアリングホイール装置(100)。
【請求項5】
前記判定部(11)は、前記リム部(10)が設けられたステアリングホイール(2)に設けられている請求項1からの何れか一項に記載のステアリングホイール装置(100)。
【請求項6】
前記判定部(11)は、
前記センサ(21)の検知結果に基づいて把持状態非把持状態かを判定し、
把持状態であると判定した場合、把持の度合いを判定する請求項1からのいずれか一項に記載のステアリングホイール装置(100)。
【請求項7】
前記判定部(11)が、前記センサ(21)の検知結果に基づいて把持の度合いが所定閾値未満であって非把持状態であると判定した場合、前記通知部(22)が、該非把持状態から把持状態にするために必要な握る強さを示す非把持度合いを通知する請求項1からのいずれか一項に記載のステアリングホイール装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステアリングホイールに設けられたセンサを用いて運転者がリム部を把持しているか否かの把持状態を監視する技術が広く普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、運転者がリム部を把持しているか否かを監視し、斯かる監視結果に応じて、ACC(Adaptive auto cruise)機能、LKAS(車線維持支援システム)機能などを実行させる運転支援装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-120374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、センサを用いて把持状態を監視する場合、運転者がリム部を把持していても、握り方によって把持していないと検知される場合があり得る。更に、運転者は把持状態か否か、及び、把持の度合いがどの程度なのかを知ることができないため、運転者は把持しているつもりでも非把持であると判断され、又は、必要以上の力でリム部を把持し続けて運転者がすぐに疲れるおそれがある。
【0006】
特に、把持状態の監視にリム部の静電容量変化を用いる場合は、運転者が手袋をしていると、測定される静電容量値が低下するので、上述のような問題が生じる可能性が更に高くなる。
しかしながら、特許文献1の運転支援装置は、このような問題に対して工夫しておらず、解決できない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転者がリム部を把持する度合いを判定し、斯かる判定の結果を運転者に知らせることができるステアリングホイール装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るステアリングホイール装置は、リム部と運転者の手との接触を検知するセンサを備えるステアリングホイール装置において、前記センサの検知結果に基づいて前記リム部の把持の度合いを判定する判定部と、前記判定部の判定結果を通知する通知部とを備える。
【0009】
本発明にあっては、前記判定部が前記センサの検知結果に基づいて前記リム部の把持の度合いを判定し、前記判定部の判定結果を前記通知部が運転者に通知するので、運転者は把持の度合いを把握して適宜対応することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、運転者がリム部を把持する度合いを判定し、斯かる判定の結果を運転者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1に係るステアリングホイール装置の構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係るステアリングホイール装置のステアリングホイール装置の正面図である。
図3】把持度合いと、発光部の発光パターンとを対応付けて概念的に説明する表である。
図4】実施形態1のステアリングホイール装置において、把持判定の結果及び把持度合い判定の結果を運転者に通知する処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係るステアリングホイール装置を、図面に基づいて詳述する。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るステアリングホイール装置100の構成例を示すブロック図である。ステアリングホイール装置100は、ステアリングホイール2、把持判定ECU(Electronic Control Unit)1などを含む。把持判定ECU1は、車内に設けられた車内ネットワークにより、例えば、運転支援ECU3等の車載機器に通信接続されている。
【0014】
ステアリングホイール2は、静電容量センサ21及び通知部22を含む。静電容量センサ21は、例えば内部に設けられた電極に結合される静電容量を検出する。即ち、静電容量センサ21は、ステアリングホイール2に運転者の手が接触することを電気信号に変換して検出する。
【0015】
把持判定ECU1は、静電容量センサ21によって検出された静電容量の検出値を取得し、該検出値に基づき、ステアリングホイール2が把持状態であるか、非把持状態であるかを判定する。ここで、把持状態は運転者がステアリングホイール2を握っている状態であり、非把持状態は運転者がステアリングホイール2を握らず、手放しの状態である。また、ステアリングホイール2の把持状態で、把持判定ECU1は当該検出値に基づき、把持度合いを判定し、斯かる判定の結果に基づいて、通知部22を駆動させる。ここで、把持度合いは、運転者がステアリングホイール2を握る強さである。
【0016】
把持判定ECU1は、制御部11(判定部)、記憶部12、通信部13、容量測定回路14を含む。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理部(図示せず)を含む。制御部11は、把持判定ECU1に係る種々の情報処理又は制御処理等を行う。また、制御部11は、上述の如く、静電容量センサ21によって検出された静電容量の検出値に基づいて、ステアリングホイール2が把持状態であるか、非把持状態であるかを判定(以下、把持判定と称する)し、ステアリングホイール2の把持度合いを判定(以下、把持度合い判定と称する)し、該把持度合い判定の結果に基づいて、通知部22を駆動させる。
【0017】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要なプログラム又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。更に、記憶部12は、上述の把持判定及び把持度合い判定に用いられる、静電容量の閾値121を記憶する。また、記憶部12は、後述する発光パターン122を予め記憶している。
閾値121は、把持判定に用いられる第1閾値と、把持度合い判定に用いられる第2閾値及び第3閾値とが含まれる。
【0018】
第1閾値、第2閾値及び第3閾値は、車種や用いられるステアリングホイール2の形状などに応じて、個別的に所定の検出値が決められる。例えば、第1閾値、第2閾値及び第3閾値は、把持位置ズレ、把持面積及び把持強さに基づいて決められる。
「把持位置ズレ」は所定領域からのズレの大きさを示し小さい方が好ましいので、閾値の設定は、第3閾値<第2閾値<第1閾値(又は第3閾値≦第2閾値≦第1閾値)となる。「把持面積」は大きい方が好ましいので、閾値の設定は、第3閾値>第2閾値>第1閾値(又は第3閾値≧第2閾値≧第1閾値)となる。「把持強さ」は大きい方が好ましいので、閾値の設定は「把持面積」と同じで、第3閾値>第2閾値>第1閾値(又は第3閾値≧第2閾値≧第1閾値)となる。
【0019】
把持位置ズレ、把持面積及び把持強さの項目ごとに判定が行われ、例えば、把持位置ズレが第3閾値を下回り、把持面積及び把持強さが第3閾値を上回る場合はレベル3とする。また、前記3つの項目のうちどれか一つ又は二つの項目にてレベル3に相当するとしても、残りの項目にて第3閾値と第2閾値の間であればレベル2とする。すべての項目にて第3閾値と第2閾値の間である場合もレベル2とする。更に、前記3つの項目のうちどれか一つ又は二つの項目にてレベル2又はレベル3に相当しても、残りの項目にて第1閾値と第2閾値の間であればレベル1とする。すべての項目にて第1閾値と第2閾値の間である場合もレベル1とする。
【0020】
なお、また、前記3つの項目のうちどれか一つの項目でも第1閾値を超えると非把持状態とする。具体的には、把持位置ズレでは第1閾値よりも大きいズレのとき、又は、把持面積及び把持強さでは第1閾値よりも小さいときに相当する場合、非把持状態とする。
【0021】
通信部13は、車内ネットワークを介して他の車載装置との送受信を行うための通信インターフェイスである。通信部13は車内に設けられた通信線(LAN)に接続されており、運転支援ECU3等と情報の送受信を行う。通信部13は、制御部11による把持判定の結果を運転支援ECU3に送信する。
【0022】
容量測定回路14は、静電容量の検出値を測定するための電気回路である。容量測定回路14は、静電容量センサ21から取得した電気信号を処理し、静電容量の検出値を算出する。算出された静電容量の検出値は、制御部11に送られる。
【0023】
運転支援ECU3は先端運転支援システムに係る処理を実行するECUである。運転支援ECU3は、通信部13を介して、制御部11による把持判定の結果を示す信号を受信し、斯かる把持判定の結果に応じて先端運転支援システムに係る所定の処理を実行する。
【0024】
図2は、実施形態1に係るステアリングホイール装置100のステアリングホイール2の正面図である。
【0025】
静電容量センサ21は、後述のリム部10の内部に設けられた複数の電極2aを有する(図2参照)。リム部10において、周方向に三等分された夫々の部分内に、電極2aが夫々内装されている。なお、電極2aの数は3つに限定されず、2つ以下でも、4つ以上であってもよい。
【0026】
電極2aは、例えば静電容量センサ21に係るC/V変換回路(図示せず)に接続されている。C/V変換回路は、例えば電極2aに所定振幅の交流電圧を印加し、電極2aに結合される静電容量の大きさに応じた交流電圧を出力する。容量測定回路14は、出力された電圧(電気信号)を検出することにより、電極2aに結合された静電容量を検出する。
【0027】
ステアリングホイール2が非把持状態である場合、電極2aは車室内の空気を経由して車体等のGND(ground)と電気的に容量結合されている。ステアリングホイール2が把持状態である場合、即ち運転者の手がリム部10と接触している場合、運転者の手と接近することにより、電極2aは運転者の人体と容量結合される。電極2aがGNDと容量結合されている場合、接地面との間の容量結合であるため、静電容量は非常に小さくなる。これに対し人体は一定の導電性を有するため、運転者の人体と電極2aとの結合による静電容量は、GNDと電極2aとの結合による静電容量よりも大きくなる。
【0028】
更に、運転者がリム部10を強く握っている場合と、軽く握っている場合とは、運転者の手及び電極2a間の距離が変化するので、リム部10を握る強さ、即ち、把持度合いによっても静電容量が異なる。
【0029】
通知部22は、把持判定ECU1から送信される、制御部11による把持判定の結果又は把持度合い判定の結果を示す通知信号に基づき、ステアリングホイール2が把持状態であるか或いは非把持状態であるか、又は把持度合いを運転者に通知する。
【0030】
ステアリングホイール2は、円環形状のリム部10と、リム部10の中央側に配置され、エアバッグ(図示せず)が内装されているハブ部4とを備えている。また、ハブ部4は、3つのスポーク部3によって、リム部10と連結されている。
【0031】
リム部10は、皮革等の表皮材によって被覆されており、ハブ部4及びスポーク部3は例えば樹脂部材によって覆われている。上述の如く、リム部10の内側には3つの電極2aが、リム部10の周方向に沿って設けられている。
以下では、リム部10が円環形状である場合を例に挙げて説明するがこれに限定されるものではない。リム部10には非円形(例えば、D字形状、C字形状)であっても良い。
【0032】
即ち、リム部10の周方向において、時計と同じように、上,下の位置を12時,6時の方向とし、また左, 右の位置を9時,3時の方向とした場合、スポーク部3は、時計回りの3時位置、6時位置、9時位置に設けられている。
【0033】
3つのスポーク部3のうち、例えば、9時方向のスポーク部3及び3時方向のスポーク部3の前記樹脂部材には、運転者が運転中でもオーディオ等の車載装置を操作できるように、複数の操作ボタンを有する操作パネル20が設けられている。
【0034】
また、3時方向のスポーク部3に設けられた操作パネル20には通知部22が設けられている。上述の如く、通知部22は制御部11による把持判定の結果又は把持度合い判定の結果に基づき、ステアリングホイール2が把持状態であるか或いは非把持状態であるか、又は把持度合いを運転者に通知する。
【0035】
通知部22は、一列に並ぶ複数のLED31を含む発光部30を有している。発光部30は例えば6つのLED31を有している。発光部30は、制御部11による把持判定の結果又は把持度合い判定の結果に基づき、発光色を異にし、又は予め定められた発光パターンにて発光し、ステアリングホイール2が把持状態であるか或いは非把持状態であるか、又は把持度合いを運転者に通知する。
【0036】
以下では、各操作パネル20がスポーク部3に設けられている場合を例に挙げて説明するがこれに限定されるものではない。各操作パネル20は、リム部10及びスポーク部3に跨るように設けられても良く、リム部10に設けられても良く、ステアリングホイール2の中央部(ボス部)に設けられても良い。
【0037】
実施形態1に係るステアリングホイール装置100においては、把持判定ECU1(制御部11)は、静電容量センサ21からの電圧値(静電容量)に基づいて、把持判定及び把持度合い判定を行う。
【0038】
把持判定ECU1では、静電容量センサ21によって検出された静電容量を示す電気信号を容量測定回路14において処理し、静電容量の検出値を取得する。制御部11は、取得された検出値(静電容量)を、記憶部12の閾値121と比較する。
【0039】
制御部11は、当該検出値と上述の第1閾値とに基づき、ステアリングホイール2が把持状態であるか否かの把持判定を行う。制御部11は、取得した検出値が第1閾値未満である場合、非把持状態であると判定し、取得した検出値が第1閾値以上である場合、把持状態であると判定する。このような、制御部11による把持判定の結果は、通信部13によって運転支援ECU3に送られ、かつ、ステアリングホイール2の通知部22に送られる。
【0040】
また、制御部11は、検出値と上述の第2閾値及び第3閾値とに基づき、把持度合い判定を行う。制御部11は、取得した検出値が第2閾値未満である場合、把持度合いをレベル1と判定し、取得した検出値が第2閾値以上であって第3閾値未満である場合、把持度合いをレベル2と判定し、取得した検出値が第3閾値以上である場合、把持度合いをレベル3と判定する。レベル1、レベル2、レベル3は、この順に把持度合いが強くなる。このような、制御部11による把持度合い判定の結果は、ステアリングホイール2の通知部22に送られる。
【0041】
把持判定ECU1から把持判定の結果を示す信号を受信した運転支援ECU3は、受信した把持判定の結果に基づき運転支援に係る処理を実行する。例えば、自動運転中、ステアリングホイール2が非把持状態であるとの把持判定の結果を受信した場合、運転支援ECU3は自動運転を終了させる。なお、運転支援ECU3の処理は自動運転に限るものではなく、例えばレーンキープアシスト、駐車アシスト等であってもよい。
【0042】
把持判定ECU1から把持判定の結果又は把持度合い判定の結果を示す信号を受信した通知部22は、受信された把持判定の結果又は把持度合い判定の結果に基づき、発光部30(LED31)の発光色又は発光パターンを介して、ステアリングホイール2が把持状態であるか或いは非把持状態であるか、又は把持度合いを運転者に通知する。
【0043】
図3は、把持度合いと、発光部30の発光パターンとを対応付けて概念的に説明する表である。なお、図3では、比較のため、非把持状態を併せて説明している。図3において、四角形は発光部30のLED31を示しており、ハッチングがされた四角形は発光しているLED31であり、発光色毎にハッチングの模様を異にしている。
【0044】
把持状態を表す信号を受信した場合、通知部22は、例えば、青色にて発光部30のLED31を発光させる。また、非把持状態を表す信号を受信した場合、通知部22は、例えば、赤色にて発光部30の全てのLED31を発光させる。即ち、実施形態1のステアリングホイール装置100は、発光部30の発光色にて把持判定の結果を運転者に通知する。
【0045】
また、把持状態であって、把持度合いのレベル1を表す信号を受信した場合、通知部22は6つのLED31のうち2つのみを青色で発光させ、把持度合いのレベル2を表す信号を受信した場合、通知部22は6つのLED31のうち4つのみを青色で発光させ、把持度合いのレベル3を表す信号を受信した場合、通知部22は6つのLED31の全てを青色で発光させる。即ち、実施形態1のステアリングホイール装置100は、発光部30の発光パターンにて把持度合い判定の結果を運転者に通知する。
【0046】
よって、運転者は、通知部22を一目見るだけで、把持状態であるか、非把持状態であるか、及び、把持度合いを視認できる。通知部22の通知を受けた運転者は、必要に応じて素早く対応をとることができる。
【0047】
図4は、実施形態1のステアリングホイール装置100において、把持判定の結果及び把持度合い判定の結果を運転者に通知する処理を説明するフローチャートである。
【0048】
例えば、ステアリングホイール装置100では、所定の時間間隔にて、静電容量センサ21が静電容量を検出する。静電容量センサ21は、検出した静電容量を表す電気信号を容量測定回路14に送る。容量測定回路14は、静電容量センサ21から取得した電気信号を処理し、静電容量の検出値を算出する(ステップS101)。算出された静電容量の検出値は、制御部11に送られる。
【0049】
制御部11は、記憶部12に記憶された閾値121のうち、第1閾値を読み出して、静電容量の前記検出値と対比する。即ち、制御部11は、前記検出値が第1閾値未満であるか否かを判断する(ステップS102)。制御部11は、前記検出値が第1閾値未満であると判定した場合(ステップS102:YES)、非把持状態であると判定する(ステップS103)。制御部11は、非把持状態であることを表す電気信号を通知部22に送信する。
【0050】
通知部22は、制御部11から非把持状態を表す電気信号を受信した場合、パターン4にて発光部30を発光させる(ステップS104)。即ち、通知部22は、赤色にて発光部30の全てのLED31を発光させる。以降、処理は終了する。
【0051】
一方、制御部11は、前記検出値が第1閾値未満ではないと判定した場合(ステップS102:NO)、第2閾値を読み出して、前記検出値が第1閾値以上であって第2閾値未満であるか否かを判断する(ステップS105)。制御部11は、前記検出値が第1閾値以上であって第2閾値未満であると判定した場合(ステップS105:YES)、把持状態であって、かつ把持度合いがレベル1であると判定する(ステップS106)。制御部11は、把持度合いがレベル1であることを表す電気信号を通知部22に送信する。
【0052】
通知部22は、制御部11から把持度合いのレベル1を表す電気信号を受信した場合、パターン1にて発光部30を発光させる(ステップS107)。即ち、通知部22は、把持状態であることを示す青色にて、発光部30の6つのLED31のうち2つのみを発光させる。以降、処理は終了する。
【0053】
また、制御部11は、前記検出値が第1閾値以上であって第2閾値未満ではないと判定した場合(ステップS105:NO)、第3閾値を読み出して、前記検出値が第2閾値以上であって第3閾値未満であるか否かを判断する(ステップS108)。制御部11は、前記検出値が第2閾値以上であって第3閾値未満であると判定した場合(ステップS108:YES)、把持状態であって、かつ把持度合いがレベル2であると判定する(ステップS109)。制御部11は、把持度合いがレベル2であることを表す電気信号を通知部22に送信する。
【0054】
通知部22は、制御部11から把持度合いのレベル2を表す電気信号を受信した場合、パターン2にて発光部30を発光させる(ステップS110)。即ち、通知部22は、把持状態であることを示す青色にて、発光部30の6つのLED31のうち4つのみを発光させる。以降、処理は終了する。
【0055】
また、制御部11は、前記検出値が第2閾値以上であって第3閾値未満ではないと判定した場合(ステップS108:NO)、把持状態であって、かつ把持度合いがレベル3であると判定する(ステップS111)。制御部11は、把持度合いがレベル3であることを表す電気信号を通知部22に送信する。
【0056】
通知部22は、制御部11から把持度合いのレベル3を表す電気信号を受信した場合、パターン3にて発光部30を発光させる(ステップS112)。即ち、通知部22は、把持状態であることを示す青色にて、発光部30の全てのLED31を発光させる。以降、処理は終了する。
【0057】
以上においては、静電容量センサ21による静電容量の検知結果に基づいて、制御部11が把持判定及び把持度合い判定を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、圧力センサの検知結果に基づいて、制御部11が把持判定及び把持度合い判定を行うようにしても良く、運転者の手とリム部10との接触が検知でき、握る強さ、把持位置や把持範囲などが検知できればよい。
【0058】
以上においては、発光部30の発光色にて把持判定の結果を運転者に通知する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、同じ発光色であっても、把持状態及び非把持状態によって、発光部30の発光色の濃淡又は明るさが異なるようにしても良い。
【0059】
また、以上においては、発光するLED31の数を異にする発光パターンにて把持度合い判定の結果を運転者に通知する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、把持度合いのレベルが1から3に変わることにつれて、発光色の濃淡、又は明るさが変わるようにしても良い。
【0060】
更に、以上においては、把持状態の場合にのみ、把持度合いが通知される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。付加的に、記憶部12に閾値を記憶させておき、非把持状態においても非把持度合いを運転者に通知するようにしても良い。これによって、運転者は非把持状態から把持状態にするために、どの位の握る強さが適切か、握り位置やその範囲などを見計ることができる。
【0061】
そして、以上においては、把持状態では発光部30が青色にて発光され、非把持状態では発光部30が赤色にて発光する場合を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。把持状態及び非把持状態を夫々異なる発光色にて表せれば良い。
【0062】
なお、ステアリングホイール装置100においては、上述の如く、把持判定ECU1が内装されているので、車載LANを利用しない。よって、車載LANのデータ通信帯域を圧迫せず、応答性を高めることができる。
【0063】
以上においては、第1-第3閾値を用いて前記把持判定及び前記把持度合い判定を行う場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、機械学習を用いて前記把持判定及び前記把持度合い判定を行うように構成しても良い。
【0064】
(実施形態2)
静電容量センサによっては、起動時にキャリブレーションを実行するものがあり、斯かるキャリブレーションの間に運転者がリム部を把持するとエラーが発生するおそれがある。実施形態2に係るステアリングホイール装置100はこれに対応できる。
【0065】
例えば、実施形態2に係るステアリングホイール装置100においては、静電容量センサ21の起動時、即ち、静電容量センサ21がキャリブレーションを実行している間、通知部22が運転者にリム部10の把持を制限する旨の通知を行う。
具体的には、通知部22は、発光部30の全てのLED31を赤色で同時に点滅させ、又は、各LED31をその並び順に順次点滅させ、又は、各LED31を別色にて発光させる。
【0066】
このように、通知部22が発光部30を発光させることによって、リム部10の把持が制限されることを運転者が認識でき、静電容量センサ21のキャリブレーションにエラーが発生することを事前に防止できる。
【0067】
本実施形態では、静電容量センサ21で検出された電気信号を把持判定ECU1で処理し、静電容量の検出値を算出することとしたが、本実施形態はこれに限るものではない。例えば容量測定回路14をステアリングホイール2の内部に設け、静電容量の検出値を把持判定ECU1に送信する構成でもよい。
【0068】
本実施形態では、通知部22が発光部30(LED31)を有しており、把持判定の結果及び把持度合い判定の結果に応じて、発光部30を予め設定された発光パターンにて発光させる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、通知部22はスピーカであり、所定の警告音声、又は音声アナウンスを出力することにより運転者への通知を行うようにしてもよい。
【0069】
本実施形態では、スポーク部3に設けられた操作パネル20に通知部22が設けられた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、通知部22がハブ部4に設けられても良く、リム部10に周方向に沿って設けられても良い。
【0070】
実施形態1~2で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0071】
2 ステアリングホイール
10 リム部
11 制御部(判定部)
12 記憶部
21 静電容量センサ
22 通知部
30 発光部
100 ステアリングホイール装置
121 閾値
122 発光パターン
図1
図2
図3
図4