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特許7593923水文地質学的リスクを監視するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】水文地質学的リスクを監視するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20241126BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20241126BHJP
   G01D 21/00 20060101ALI20241126BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20241126BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01L5/00 A
E02D17/20 106
G01D21/00 D
G06Q50/08
H04M11/00 301
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021529540
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 IB2019056486
(87)【国際公開番号】W WO2020026137
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】102018000007671
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】523414537
【氏名又は名称】オフィチネ マッカフェリ ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】OFFICINE MACCAFERRI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Kennedy,10,40069 Zola Predosa(BO),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】アルベルテッリ,ルカ マッフェオ
(72)【発明者】
【氏名】バッセット,ピエルルイージ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-228497(JP,A)
【文献】特開2017-91440(JP,A)
【文献】実開昭52-105837(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00 - 5/28
G01D 21/00 - 21/02
E02F 7/00 - 7/06
E02D 17/20
G06Q 50/08
H04M 11/00
G08B 21/00 - 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水文地質学的現象を監視するための、制御面(S)の応力を検出するように適合された電子装置(2)であって、
前記制御面(S)に置かれる箱型のケーシング(3)と、
機械的信号(Fi)を、前記制御面(S)に作用する機械的負荷に特徴的な電気信号(Si_ril)に変換するように構成された1つまたは複数の検出要素(4a、4b、4c、4d)と、
前記電子装置(2)の前記箱型のケーシング(3)からスポークのように延び、前記制御面(S)に平行に延在し且つ前記制御面(S)に作用する前記機械的負荷(Fi)を前記検出要素(4a、4b、4c、4d)の1つに伝達するように構成された複数の信号伝達脚(10)であって、当該複数の信号伝達脚(10)の1つまたは複数に各検出要素(4a、4b、4c、4d)が接続されている、複数の信号伝達脚(10)と、
データを送受信するように構成された信号トランシーバ(5)と、
閾値(SOG)を含むメモリユニット(6)と、
前記電子装置(2)の種々の要素に電力を供給するように構成された電源(7)と、
前記検出要素(4a、4b、4c、4d)のそれぞれおよび前記信号トランシーバ(5)に接続され、水文地質学的リスク監視データを処理するように構成された処理ユニット(20)であって、
前記検出要素(4a、4b、4c、4d)のそれぞれから前記電気信号(Si_ril)を受信するように構成された入力モジュール(21)と、
前記電気信号(Si_ril)を対応する閾値(SOG)と比較するように構成された比較モジュール(22)と、
前記比較モジュール(22)によって実行された比較から生じる一致(OK)に応じて、前記信号トランシーバ(5)に警報信号(S_all)を送信するように構成された送信モジュール(23)と、を備える処理ユニット(20)と、
を備える電子装置(2)。
【請求項2】
前記1つまたは複数の検出要素(4a、4b、4c、4d)が、前記機械的負荷を測定し且つ前記制御面(S)に作用する前記機械的負荷(Fi)に特徴的な信号(Si_mis)を生成することができる要素を備える、請求項1に記載の電子装置(2)。
【請求項3】
前記脚(10)が、少なくとも、
バー、
ケーブル、
ワイヤ、
光ファイバケーブル、のうちの1つまたは複数である、請求項1または2に記載の電子装置(2)。
【請求項4】
8つの信号伝達脚(10)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の電子装置(2)。
【請求項5】
前記電子装置(2)は、少なくとも、
落石防止バリア、
付着ネットまたはパネル、
フレキシブル土石バリア、
土石流、
地表地すべり、
雪崩、
堤防(A)、のうちの1つまたは複数に適用可能である、請求項1からのいずれか一項に記載の電子装置(2)。
【請求項6】
前記信号トランシーバ(5)が、長距離電気通信ネットワーク(30)によって対話型電子装置(40)に接続するように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の電子装置(2)。
【請求項7】
第1の電子装置(2)の前記信号トランシーバ(5)は、1つまたは複数の電子装置(2)の前記トランシーバ(5)とデータを送受信するように構成される、請求項1からのいずれか一項に記載の電子装置(2)。
【請求項8】
前記電子装置(2)の地理的位置を決定し、前記地理的位置を示す信号(S_pos)を生成するように適合された手段(8)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の電子装置(2)。
【請求項9】
土石流(C1、C2、C3)の応力を検出するように適合された、水文地質学的現象を監視するための電子装置(2)であって、
制御面(S)を規定する、土石流(C1、C2、C3)の通過によって関与される水路の側面または土手(A)に置かれる箱型のケーシング(3)と、
機械的信号(Fi)を、前記制御面(S)に作用する機械的負荷に特徴的な電気信号(Si_ril)に変換するように構成された1つまたは複数の検出要素(4a、4b、4c、4d)と、
前記電子装置(2)の前記箱型のケーシング(3)からスポークのように延び、前記制御面(S)に平行に延在し且つ前記制御面(S)に作用する前記機械的負荷(Fi)を前記検出要素(4a、4b、4c、4d)の1つに伝達するように構成された複数の信号伝達脚(10)であって、当該複数の信号伝達脚(10)の1つまたは複数に各検出要素(4a、4b、4c、4d)が接続されている、複数の信号伝達脚(10)と、
データを送受信するように構成された信号トランシーバ(5)と、
閾値(SOG)を含むメモリユニット(6)と、
前記電子装置(2)の種々の要素に電力を供給するように構成された電源(7)と、
前記検出要素(4a、4b、4c、4d)のそれぞれおよび前記信号トランシーバ(5)に接続され、水文地質学的リスク監視データを処理するように構成された処理ユニット(20)であって、
前記検出要素(4a、4b、4c、4d)のそれぞれから前記信号(Si_ril)を受信するように構成された入力モジュール(21)と、
前記信号(Si_ril)を対応する閾値(SOG)と比較するように構成された比較モジュール(22)と、
前記比較モジュール(22)によって実行された比較から生じる一致(OK)に応じて、前記信号トランシーバ(5)に警報信号(S_all)を送信するように構成された送信モジュール(23)と、を備える処理ユニット(20)と、
を備える電子装置(2)。
【請求項10】
監視対象の前記土石流(C1、C2、C3)の河床(L)まで延在する1つまたは複数の信号伝達脚(10)であって、それらのそれぞれに作用する機械的負荷(Fi)を前記検出要素(4a、4b、4c、4d)の1つに伝達するように構成される1つまたは複数の信号伝達脚(10)を備える、請求項に記載の電子装置(2)。
【請求項11】
各検出要素(4a、4b、4c、4d)が、前記1つまたは複数の信号伝達脚(10)に接続されている、請求項10に記載の電子装置(2)。
【請求項12】
前記信号伝達脚(10)の自由端(3b)が、前記土石流(C1、C2、C3)の前記河床(L)上に置かれた重い物体に接続されている、請求項11に記載の電子装置(2)。
【請求項13】
前記処理ユニット(20)が、前記1つまたは複数の検出要素(4a、4b、4c、4d)から受信した信号(S_all;S_mis;S_bat)に応じて、前記電子装置(2)の前記信号トランシーバ(5)が前記信号(S_all;S_mis;S_bat)を送信することができる通常の機能モードから、前記電子装置(2)が前記電源(7)によって生成される電気エネルギーの消費を最小化することによって機能するようなものであるスタンバイモードに、前記電子装置(2)の状態を切り替えるように構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の電子装置(2)。
【請求項14】
水文地質学的現象の監視システムであって、
請求項1から13のいずれか1項に記載の、水文地質学的現象を監視するための電子装置(2)と、
信号トランシーバを備えるモバイルまたは固定式対話型電子装置(40)であって、前記信号トランシーバが、1つまたは複数の電子装置(2)によって検出されて前記トランシーバ(5)に送信された水文地質学的危険状態を示す警報信号(S_all)を受信するように構成されている、モバイルまたは固定式対話型電子装置(40)と、を備える監視システム。
【請求項15】
前記対話型電子デバイス(40)を水文地質学的現象を監視するための前記電子装置(2)に接続するように構成された長距離電気通信ネットワーク(30)を備える、請求項14に記載の水文地質学的現象の監視システム。
【請求項16】
第1の電子装置(2)によって生成された前記警報信号(S_all)が、ポイント-トゥ-ポイント、ポイント-トゥ-マルチポイント、ポイント-トゥ-オールポイントのタイプの送信を介して、前記固定またはモバイル式対話型電子装置(40)の前記トランシーバに到達するまで、他の電子装置(2)の前記トランシーバ(5)に送信される、請求項14または15に記載の水文地質学的現象の監視システム。
【請求項17】
水文地質学的現象を監視するための方法であって、
a)請求項1から13のいずれか1項に記載された、水文地質学的現象を監視するための電子装置(2)の検出要素(4a、4b、4c、4d)に少なくとも1つの信号伝達脚(10)を適用するステップと、
b)水文地質学的現象を監視するための前記電子装置(2)および前記少なくとも1つの信号伝達脚(10)を制御面(S)に適用するステップと、
c)前記信号伝達脚(10)によって、前記面(S)に作用する機械的信号(Fi)を検出するステップと、
d)前記機械的信号(Fi)を、前記制御面(S)に作用する機械的負荷に特徴的な電気信号(Si_ril)に変換するステップと、
e)前記検出要素(4a、4b、4c、4d)から前記電気信号(Si_ril)を受信するステップと、
f)前記電気信号(Si_ril)をメモリユニット(6)に格納された対応する閾値(SOG)と比較するステップと、
g)前記比較モジュール(22)によって実行された比較から生じる検証された一致(OK)に応じて、水文地質学的リスク警報信号(S_all)を信号トランシーバ(5)に送信するステップと、
h)水文地質学的現象を監視するための第2の電子機器(2)の前記トランシーバに、または固定またはモバイル式対話型電子装置(40)のトランシーバに前記警報信号(S_all)を送信するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水文地質学的現象を監視および警告するための電子および電気機械装置、システムおよび方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、落石防止バリア、ネット、付着パネル、フレキシブル土石バリア、土石流、地表地すべり、雪崩、土手または堤防に作用する水文地質学的現象を監視および警告するための電子装置、システムおよび方法に関する。
【0003】
以下の説明では、水文地質学的現象を監視するための単一の電子および電気機械装置の特定の例が考察される。特に、本発明はまた、相互にデータ通信する、水文地質学的現象を監視するための複数の電子装置に関する。
【0004】
集水域は土地の一部として意図されており、そこから雨水や地表を流れる融雪が排水域と呼ばれる同じ水路に集まる。
【背景技術】
【0005】
現在、監視および警告のための既知のシステムは、センサ、データ送信および導入の点で頑丈で重いインフラストラクチャに基づいており、運用および実現コストが高く、高度に専門化された地盤工学、地力学、地質学の世界でのみ利用可能である。
【0006】
例えば、落石防止バリアを監視するための特定の経験や事例はわずかしかなく、これらのいくつかの既知の状況は、カメラ、構造物の制動機のひずみゲージ、傾斜計などの、構造物を検証するために設置された複数のセンサ、およびエネルギー消費量が多くデータ送信が困難なその他の装置を備えるシステムに関連する。
【0007】
したがって、これまでのところ、例えば構造物が巨礫の影響を受け、したがって、落石防止バリアの効率が低下した場合、落石防止バリアの効率に関する情報を取得することは容易ではない。
【0008】
既知のシステムは、バリアやネットに対して特有のものではないが、一般に地盤工学に典型的に適用され、特定のケースに時々適合されるセンサを使用する。
【0009】
使用の観点から、既知のシステムは非常に制限されている。なぜなら、既知のシステムは、動作のためにかなりの電力リソースと高価な無線インフラストラクチャを必要とするからであり、その不便さのために多くの用途での使用を妨げるように、それらの設置および管理に高いコストをもたらす。
【0010】
しばしば、そのようなシステムが適用される場合、それらは遠隔地でアクセスできない場所にあり、人が到達するのは困難であり、電力網および/または電気通信ネットワークが届いていない。
【0011】
さらに、リアルタイムでの情報および/または水文地質学的リスク警告の最適な収集が常に可能であるとは限らない。
【0012】
既知の監視システムの欠点は、落石防止ネット、バリアなどの保護装置の状態を常にリモートで制御できるとは限らないことである。
【0013】
既知の落石防止バリアは、それぞれ幅が約8-10メートル、高さが3-8メートルの個々のモジュールであって、全体として望ましいサイズを実現するために並べて配置された個々のモジュールで構成されている。
【0014】
これまで、落石防止バリアまたはバリアの単一モジュールに影響があった場合、または付着ネットや他の全ての適用物においても、リアルタイムで警告を提供する単純且つ特定のシステムはない。これらの適用物に時々適応され地盤工学で通常使用されるセンサが知られている。
【発明の概要】
【0015】
本発明の目的は、従来技術の欠点を取り除く、水文地質学的現象を監視するための電子装置、システム、および方法を提供することである。
【0016】
本発明の特定の目的は、安全且つ効率的な、水文地質学的現象を監視するための電子装置、システム、および方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる特定の目的は、導入、維持および管理が容易な、水文地質学的現象を監視するための電子装置、システム、および方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、電力網に接続する必要なしに、長期間にわたって自己供給電力を可能にする、水文地質学的現象を監視するための電子装置、システム、および方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、信頼性の高い、水文地質学的現象を監視するための電子装置、システム、および方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、電気通信ネットワークによってカバーされていないアクセスできない場所において警報信号を送信することもできる、水文地質学的現象を監視するための電子装置、システム、および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の態様では、上記の目的は、請求項1に記載のように、制御面上の応力を検出するように適合された、水文地質学的現象を監視するための電子および電気機械装置によって達成される。
【0022】
有利な態様は、従属請求項2から10に開示されている。
【0023】
本発明の第2の態様では、上記の目的は、請求項11に記載のように、土石流の通過による機械的応力、変位、状態の変化を検出するように適合された、水文地質学的現象を監視および警告するための電子装置によって達成される。有利な態様は、従属請求項12から15に開示されている。本発明の第3の態様では、上記の目的は、請求項16に記載のように水文地質学的現象の監視システムによって達成される。システムの有利な態様は、従属請求項17および18に記載されている。本発明の第4の態様では、上記の目的は、請求項19に記載のように、水文地質学的現象を監視するための方法によって達成される。一般に、本発明は以下の技術的効果を提供する。
【0024】
本発明は、事故が発生した場合と事故が発生した後の両方で、予防的な方法で、リアルタイムで水文地質学的現象をリモートで警告および監視することを可能にする。
【0025】
本発明は、アクセスできず、到達が困難な場所の水文地質現象を監視することを可能にする。
【0026】
本発明は、バッテリ電源の長寿命を可能にする。
【0027】
本発明は、電気通信ネットワークがない場合でも、リアルタイムで警報信号の送信を可能にする。
【0028】
本発明は、バッテリの残量や装置の異常をリモートで知ることを可能にする。
【0029】
本発明は、水文地質学的現象の監視の生産性および効率を向上させる。
【0030】
その使いやすさは、幅広い流通を可能にし、一般の人々、インフラストラクチャ、居住地、および作業の安全性を高める。
【0031】
その使いやすさは、緊急事態の管理のために、事故が発生した場合に市民保護ボランティアによるその使用を可能にする。
【0032】
(NFCタイプ(近距離無線通信)の)各機器に設置された識別システムを備える装置の導入は、装置自体、水文地質学的現象、または不安定性の制御システム(落石防止バリア、土石流止めネットまたはバリアなど)に関する情報の迅速な識別を可能にする。
【0033】
特に、本発明は、この後者の場合、例えば落石防止バリアに関して、(環境内の)現場で直接、散逸エネルギー、設置年、所有者実体などに関連するデータを持つことを可能にする。さらに、本発明は、検出された現象が発生した正確な位置を決定することを可能にし、はるかに短い時間で特定のコストで目標とされた介入を可能にする。
【0034】
言及された技術的効果/利点、および本発明の他の技術的効果/利点は、添付の図面を参照して近似的且つ非限定的な例として提供される実施形態の例の以下に提供される説明からさらに詳細に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明をより良く理解し、その利点を評価するために、いくつかの非限定的な例示的な実施形態が、添付の図を参照して、以下に説明される。
図1】本発明による水文地質学的現象を監視するためのシステムの概略ブロック図を示す。
図2図1の電子システムで使用される、本発明による水文地質学的現象を監視するための電子装置をより詳細に示す。
図3図1および2の電子装置の側面図を示す。
図4図3の装置のIV-IV断面の上面図を示す。
図5】信号伝達脚を含む電子装置の平面図を示す。
図6a図5の装置のVIa-VIa断面図を示す。
図6b図6aの装置の側面図の詳細を示し、ここでは、側上部が取り外されている。
図6c図6bの詳細の上からの図を示す。
図7a-7c】図6a、6b、および6cの装置の代替実施形態を示す。
図8a図5、6a、6b、6c、7a、7b、7cの電子装置の信号伝達脚の実施形態を示す。
図8b図8aの脚の拡大詳細を示す。
図9】本発明による電子装置を含む落石防止バリアの単一モジュールを正面図で示す。
図10図9の落石防止バリアを側面図で示す。
図11】巨礫がぶつかっているときの図9の落石防止バリアを示す。
図12図11の落石防止バリアの側面図を示す。
図13図9および10のモジュールと同様のいくつかの隣接するモジュールで構成される落石防止バリアの正面図を示す。
図14】本発明の電子装置の別の使用による、電子装置が適用された、山または丘の尾根に付着しているネットまたはパネルの正面図を示す。
図15図14のネットまたはパネルのXV-XV断面図を示す。
図16】本発明による電子装置を含む、土石流に対するフレキシブルバリアの側面図を示す。
図17図16の、土石流に対するフレキシブルバリアの正面図を示す。
図18】土石流に関する本発明の代替実施形態を備えた集水域内の小川の断面を示す。
図19図18の実施形態のプロファイルの別の図を示す。
図20】集水域の経路に沿って適用された図18および19の複数の電子装置の平面図を示す。
図21】本発明による電子装置の別の実施形態の断面側面図を示す。
図22】上部カバーのない図21の装置の上面図を示す。
図23図21および22の装置を巨礫または不安定な岩盤に適用した平面図を示す。
図24図23の適用を側面断面図で示す。
図25】地表地すべりの縁部に複数の電子機器を適用したことを示す。
図26】雪崩に適用できる電子装置の実施形態を示す。
図27】雪崩に適用された図26の複数の電子装置を示す。
図28】土手に適用可能な実施形態を示す。
図29図28の実施形態を断面で示す。
図30】落石防止バリアの警告構成において図1の電子システムで使用される、本発明による水文地質現象を監視するための電子装置の拡大図を示す。
図31】落石ネットの側面直立部に適用された電子装置の実施形態を、斜視図および平面図で示す。
図32】落石ネットの中央直立部に適用された電子装置の実施形態を、斜視図および平面図で示す。
図33】落石ネットの直立部に固定された電子装置の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明では、同一または類似のブロック、コンポーネント、またはモジュールが、本発明の異なる実施形態で示されている場合でも、同じ数値の参照符号で図に示されていることに留意されたい。
【0037】
図1を参照して、水文地質学的現象を監視するための電子システム1のブロック図が示される。
【0038】
水文地質学的現象を監視するための電子システム1は、
水文地質学的現象を監視するための電子装置2と、
無線対話型電子装置40と、
電気通信ネットワーク30と、を備える。
【0039】
水文地質学的現象を監視するための電子装置2は、土石流C1、C2、C3の通過によって影響を受ける集中チャネルの近くの制御面Sまたは側面すなわち土手Aの表面に(例えば、固定クランプによって)固定される。電子装置2は、非限定的な例によって、地面または雪上に杭で植えつけられても良く、または他の任意の手段によって固定できてもよい。これが不可能な場合、脚を固定することによってのみ作動することができる。使用中、水文地質学的現象を監視するための電子装置2は、制御面S上、または(非限定的な例として、土石流の)側面すなわち土手Aの近くに配置される。
【0040】
本発明を説明する目的で、以下、電子装置2が適用される制御面Sは、非限定的な例によって、落石防止バリア、ネット、付着パネル、土石流を阻止するためのフレキシブルバリア、地表地すべり、地すべり、雪崩、土手、斜面、堤防、または小川や川の河床によって構成できると想定される。電子装置2は、以下でより詳細に説明するように、機械的信号Fiを電気信号Si_rilに変換する機能を有する1つまたは複数のセンサすなわち検出要素4a、4b、4c、4dを備える。電気通信ネットワーク30は、ネットワーク要素(図に示されていない)によって、水文地質学的現象を監視するための電子装置2に対話型電子装置40を接続する機能を有する。ネットワーク要素は、以下「サーバプログラム」で示されるソフトウェアプログラムを実行する機能を有する。ネットワーク要素は、例えばコンピュータサーバである。
【0041】
電気通信ネットワーク30は、固定タイプ(例えば、インターネット)、モバイル(例えば、2G、3G、4G、または5Gモバイル無線)、または固定タイプとモバイルの組み合わせであり得る。電気通信ネットワーク30は、例えば、LoRa(登録商標)などのモノのインターネット(「IoT」)のアプリケーションのための低電力の無線データ通信ネットワークであり得る。さらに、各電子装置2は、対話型電子装置40に直接到達するまで、または固定タイプまたは2G、3G、4Gまたは5Gタイプのモバイル無線電気通信ネットワーク30によって到達される電子装置2に到達するまで、別の隣接する電子装置2などとデータ信号を送受信することもできる。
【0042】
対話型電子装置40上、ネットワーク要素上、および監視のための電子装置2でそれぞれ実行される3つのソフトウェアプログラムのセットは、主に機械的応力の検出を通じて(または土石流の通過によって影響を受ける集中チャネルの側面すなわち土手上、または制御面上で)水文地質学的現象を監視する機能を有し、好ましくは、以下でより詳細に説明するように、バッテリおよび電子装置2の誤動作を管理する機能も有する。
【0043】
対話型電子装置40は、対話型電子装置40の処理ユニット上で実行されるソフトウェアプログラムによって、1つまたは複数の電子監視装置2から来る任意の警報信号Si_allを受信する機能を有する。対話型電子装置40は、例えば、固定されたパーソナルコンピュータまたはサーバなどの固定タイプのものであり得る。あるいは、対話型電子装置40は、ノートブック、スマートフォン、またはタブレットなどのモバイルタイプであり、ネットワーク要素を介して水文地質学的現象を監視するための1つまたは複数の電子装置2に向けられた長距離無線信号S_Id(例えば、2G、3G、4G、5Gモバイル無線またはLoRa(登録商標))と、バッテリの残量充電状態または特定の電子装置2の機能を制御および調査するための短距離無線信号との両方を送受信することができる。
【0044】
あるいは、対話型電子装置40は、携帯型パーソナルコンピュータである。図2を参照して、水文地質学的現象を監視するための電子装置2のブロック図が示されている。電子装置2は、
箱型のケーシング3と、
1つまたは複数の検出要素4a、4b、4c、4dと、
短距離および/または長距離無線信号トランシーバ5と、
電源7と、
処理ユニット20と、を備える。
【0045】
電子装置2はまた、メモリユニット6を備えることができる。
【0046】
好ましくは、各検出要素4a、4b、4c、4dは、力Fi(水文地質学的現象によって引き起こされる機械的応力)を電気信号S_ril、S_misに変換するように構成されたセンサまたは変換器である。変換は直接的であり、導体本体14に対する押返しばね(contrast spring)12または磁石13の変位に基づく。そのような相対変位は、関連のある導体14の抵抗変化に従って、機械的応力Fiを電気信号に変換する。特に、押返しばね12または磁石13は、それが接続されている信号伝達脚10(以下、詳細に説明される)によって規定される方向に実質的に平行な方向に沿って延びる。
【0047】
この場合、水文地質学的事故が発生すると、結果として生じる機械的応力は、1つまたは複数の信号伝達脚10に衝撃を与え、当該1つまたは複数の信号伝達脚10は、機械的応力Fiを、各脚10が接続されている検出要素4a、4b、4c、4d、4iに伝達し、接点要素12、13と電気接点14との間の相対運動は、そのような事故の発生を検出する(警報または警告)。
【0048】
図6a、6b、6cおよび7a、7b、8cは、機械式の検出要素および磁気要素を示す。第1のケースでは、両端にばね12は典型的な小穴を有し、ネジとボルトで一方の側で脚10に、もう一方の側でカードの接点に固定されており(それは磁気または引き裂き(tearing)であり得)、事故が発生した場合にアクティブになる。ばね12の寸法は、好ましくは、最小の活性化エネルギーに基づいて決められている。第2のケースでは、活性化エネルギーに対して接触および較正された抵抗の両方を形成するのは磁石13である。これは、一方の側で脚10に固定され、さらにボルトを介して、もう一方の側で装置2の電子機器に固定されている。発生した水文地質学的現象の大きさに特有である(水文地質学的現象の機械的応力からの)加えられた機械的力Fiの測定信号S_misを検出する必要がある場合、各検出要素4a、4b、4c、4dは、センサまたは位置変換器、例えば、プレートまたは電気接点14上をスライドする押返しばね12または磁石13によって構成される。電気接点14に対するばねまたは磁石の変位または位置の大きさは、機械的応力Fiに特有である測定された大きさの単位S_misを決定し、それは、例えば、測定要素25(ポテンショメータ、近接センサまたはその他)によって決定される。
【0049】
電源7は、処理ユニット20、検出素子4a、4b、4c、4dおよび信号トランシーバ5などの電子装置2内の電子部品に電力を供給するための内部バッテリVbat_iのDC電圧信号を生成する機能を有する。例えば、電源7は、(一連のセルの端子で)内部バッテリ電圧Vbat_iを生成するように、直列に接続されたセルから構成されるLIPOタイプの電池(「リチウムイオンポリマ電池」)であり、内部バッテリ電圧Vbat_iは、好ましくは、接続された脚10または検出要素4a、4b、4c、4dの数、および必要な自律性または送信電力に応じて、3.3から15ボルトの間に含まれる値を有する。
【0050】
バッテリの代わりに、またはバッテリに加えて、太陽光発電パネル18を使用して、通常の使用中に一次電源7を再充電し、または装置2の誤動作または低バッテリの場合に補助充電を提供することができる。
【0051】
無線信号トランシーバ5は、長距離または短距離、あるいはその両方であり得、電源7によって電力を供給される。
【0052】
長距離無線信号トランシーバ5は、処理ユニット20に電気的に接続されており、検出要素4a、4b、4c、4dによって検出された場合に、警報信号S_allを運ぶ長距離無線信号S_w_ldを送信し、次に、処理ユニット20によって生成された前記警報信号を対話型電子装置40に向けて転送する機能を有する。さらに、トランシーバ5は、検出要素4a、4b、4c、4dによって検出された機械的力Fiに特有の信号S_ril並びに装置および/またはバッテリの動作状態および/または装置の位置に関する他の信号を運ぶ長距離無線信号S_w_ldを送信する機能を有する。
【0053】
長距離無線信号S_w_ldは、例えば2G、3G、4G、または5Gモバイル無線タイプまたはLoRa(登録商標)タイプである。
【0054】
短距離無線信号トランシーバ5は、処理ユニット20に電気的に接続されており、検出要素4a、4b、4c、4dによって検出された場合に、警報信号S_allを運ぶ短距離無線信号S_w_sdを受信し、次に、処理ユニット20によって生成された前記警報信号を対話型電子装置40に向けて転送する機能を有する。さらに、トランシーバ5は、検出要素4a、4b、4c、4dによって検出された機械的力Fiに特有の信号S_ril並びに装置および/またはバッテリの動作状態および/または装置の位置に関する他の信号を運ぶ短距離無線信号S_w_sdを送信する機能を有する。
【0055】
短距離無線信号は、例えばBluetooth(登録商標)またはWiFiタイプである。
【0056】
処理ユニット20は、通信バスによって、トランシーバ5、メモリユニット6、および1つまたは複数の検出要素4a、4b、4c、4dに電気的に接続されている。
【0057】
処理ユニット20は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能な電子回路、または統合された専用回路である。
【0058】
一般に、本文脈および後続の特許請求の範囲では、処理ユニット20は、その機能を明確且つ完全に説明することのみを目的として、別個の機能モジュール(記憶モジュールまたは動作モジュール)に分割されると見なされることに留意されたい。
【0059】
そのような処理ユニットは、説明された機能を実行するように適切にプログラムされた単一の電子装置を備えることができ、種々のモジュールは、プログラムされた装置の一部であるハードウェアエンティティおよび/またはルーチンソフトウェアに対応することができる。
【0060】
代替的に、または追加的に、これらの機能は、前述の機能モジュールを分散させることができる複数の電子装置によって実行することができる。
【0061】
処理ユニット20はまた、記憶モジュールに含まれる命令を実行するために1つまたは複数のプロセッサを利用することができる。
【0062】
前述の機能モジュールは、種々のローカルコンピュータまたはリモートコンピュータが存在するネットワークのアーキテクチャに応じて、種々のローカルコンピュータまたはリモートコンピュータに分散させることもできる。
【0063】
処理ユニット20は、水文地質学的警報、装置またはバッテリの誤動作、または低バッテリの検出データを処理するように構成される。
【0064】
各検出要素4a、4b、4c、4dは、結合要素16によって、1つまたは複数の信号伝達脚10の第1の端部に接続可能である。
【0065】
各信号伝達脚10は、実質的に細長い形状を有し、監視のための電子装置2の使用中、(例えば、固定クランプによって)制御面Sに、または土石流の側面すなわち土手Aに結合されており(例えば、第2の自由端を土石流C1、C2、C3の底部または土台(bed)に向けられた重りまたは巨礫に接続する)、それに作用する機械的応力Fiを接続されている検出要素4a、4b、4c、4dに伝達することができるように構成され、検出要素4a、4b、4c、4dは、機械的応力Fiを電気信号Si_rilに変換する。
【0066】
代替の実施形態では、信号伝達脚10は、1つまたは複数のジョイント19を備える。ジョイント19の存在は、脚10を装置2が適用される表面Sの形状またはネットの形状に適合させることを可能にする。
【0067】
特に、信号伝達脚10は、制御面Sに平行に延在しており、制御面Sに(直接的または間接的に)作用する機械的負荷Fiを前記1つまたは複数の検出要素4a、4b、4c、4dに伝達するように構成される。
【0068】
好ましくは、1つまたは複数の検出要素4a、4b、4c、4dは、機械的負荷を測定し且つ制御面Sに作用する機械的負荷Fiに特徴的な信号Si_misを生成することができる要素を備える。
【0069】
好ましくは、信号伝達脚10は、少なくともバー、ケーブル、ワイヤ、または光ファイバケーブルのうちの1つまたは複数である。
【0070】
好ましくは、監視用の電子装置2は、8つの信号伝達脚10を含む。
【0071】
好ましくは、電子装置2は、図9、10、11、12、13、14、15、16、17、23、24および26に示されるように、監視される制御面Sの実質的に中央の位置に固定される。
【0072】
本発明の代替の実施形態では、電子装置2は、ねじまたは金属バンド(図33に示される)、または同等の固定要素によって、中央および/または側面直立部11(それぞれ、図31および32に示される)に固定され、これにより、電子装置はそれにしっかりと固定される。
【0073】
落石ネットの1つまたは複数のパネルSにおいて、センサの信号伝達ワイヤまたは脚10は、最小数の2つの脚10から、使用される電子機器によるが、例えば8つの脚10の倍数であり得る最大数まで配置される。電子装置2から離れ且つネットSにそれをクランプする各信号伝達脚10の長さは、ネットSの変形係数、すなわち、エネルギーであって、それに対してネットSが様々なタイプの衝撃に耐えるようなサイズとなるエネルギー(専門用語で「エネルギークラス」)に依存する。信号伝達脚10は、確立されたエネルギークラスでネットSの予想される変形長に介在するように計算された、鋼または他の材料で作られたワイヤであって、直径が1mmから15mm、好ましくは1mmから7mmまで変化するワイヤであり得る。本発明の一実施形態では、直立部11にクランプされた、および/またはネットS内にクランプされた装置2を同じ落石ネット上に得ることが可能である。図30は、箱形のケーシング3、第1のカバー3a、シーリングガスケット3c、上部カバー3b、およびアンテナ50を備える、実質的に円筒形の形状の、一実施形態による電子装置2を示す。
【0074】
好ましくは、第1のカバー3aは、センサ12、13および電子機器を含む領域をカバーし、第2のカバー3bは、装置2の内側部分をカバーする。電子装置2の箱形のケーシング3は、実質的に円筒形または丸みを帯びているだけでなく、正方形および/または長方形の形状であってもよい。
【0075】
好ましくは、信号伝達脚10は、電子装置2からスポークのように延びる。
【0076】
好ましくは、信号伝達脚10は、制御面Sに実質的に平行である。
【0077】
各信号伝達脚10は、制御面Sに作用するあらゆるわずかな振動または機械的応力を感知する機能を有する。特に、各脚10は、当該脚に沿って直接発生する、および/または脚10が接続されている制御面S内で発生する伸長または引き裂きを感知する。
【0078】
脚10は、封じ込めネットに、直接地面に、表面に、または梁のシステムに接続することができる。
【0079】
制御面Sに作用する機械的応力または力Fiは、1つまたは複数の脚10に機械的に伝達され、(それらが接続されている)検出要素4a、4b、4c、4dによって適切に検出されて処理ユニット20によって処理される信号変動を決定し、結果として、危険または警報信号Si_allの対話型電子装置40への送信をもたらす。
【0080】
本発明による電子装置2は、少なくとも、落石防止バリア(図9、10、11、12および13)、付着ネットまたはパネル(図14および15)、土石流を止めるためのフレキシブルバリア(図16および17)、土石流の通過によって影響を受ける集水域(図18、19および20)、地表地すべり(図21、22、23、24および25)、雪崩(図26および27)、または土手A(図28および29)のうちの1つまたは複数に適用可能である。
【0081】
本発明の可能な実施形態によれば、電子装置2は、電子装置2の地球上の地理的位置の受信機8、例えば、GPSタイプ(全地球測位システム)の通信衛星の受信機8を備える。この場合、電子装置2は、対話型電子装置40に、それが設置される位置を提供することができる。
【0082】
この実施形態によれば、電源7は、地理的位置の受信機8にさらに電力を供給するようなものである。
【0083】
この実施形態では、処理ユニット20は、地理的位置の受信機8にさらに電気的に接続されている。
【0084】
無線信号トランシーバ5は、警報信号S_allに加えて、装置2の地理的位置も送信するようにさらに構成される。
【0085】
地理的位置の受信機8を使用することにより、i番目の電子装置2の信号検出器4a、4b、4c、4dから受信した警報信号Si_allを生成した電子機器2が位置する場所を決定することができる。
【0086】
好ましくは、電子装置2は、電子装置2に直接的または間接的に作用する振動および機械的衝撃を検出するように構成された加速度計9をさらに備える。この実施形態によれば、電源7は、加速度計9にさらに電力を供給するようなものである。さらに、処理ユニット20は、加速度計9にさらに電気的に接続されている。
【0087】
本発明の可能な実施形態によれば、電子装置2は、モバイルシステム(スマートフォン、タブレットまたは他のもの)が、接近したときに、装置、システム(バリア、ネットまたは他のもの)および不安定性事象の識別情報を提供することを可能にする電子装置をさらに備える。NFC技術に基づいて、このシステムは、市民保護オペレータ、作業の責任者、保守管理者などが通常入手が困難な技術データを現場で直接確認することを可能にする。この意味で、電子装置は、情報と警報の両方を提供するデータベースとしても機能する。
【0088】
第1の態様では、本発明は、封じ込め要素(例えば、落石防止バリア、ネット、付着パネル)の表面、または直接的に監視対象の水文地質現象の表面(例えば、地表地すべり、雪崩、土手)であり得る制御面S上の応力を検出するように適合された、水文地質学的現象を監視するための電子装置を説明する。
【0089】
特に図9、10、11、12、13、14、15、16、17を参照すると、制御面S上の応力を検出するように適合された水文地質学的現象を監視するための電子装置は、箱型ケーシング3内に配置されており、その下面は制御面S上に置かれている。
【0090】
本発明による電子装置2は、機械的信号Fiを制御面Sに作用する機械的負荷に特徴的な電気信号Si_rilに変換するように構成された1つまたは複数の検出要素4a、4b、4c、4dを備える。
【0091】
電子装置2はまた、データを送受信(短、中、および/または長距離)するように構成された信号トランシーバ5と、閾値SOGを備えるメモリユニット6と、装置2の様々な要素に電力を供給するように構成された電源7と、前記検出要素4a、4b、4c、4dのそれぞれおよび前記信号トランシーバ5と接続して、水文地質学的リスク監視データを処理するように構成された処理ユニット20と、を備える。処理ユニット20は、検出要素4a、4b、4c、4dのそれぞれから前記信号Si_rilを受信するように構成された入力モジュール21と、信号Si_rilを対応する閾値SOGと比較するように構成された比較モジュール22と、前記比較モジュール22によって実行された比較から生じる一致OKに応じて警報信号S_allを信号トランシーバ5に送信するように構成された送信モジュール23と、を備える。
【0092】
さらに、処理ユニット20は、有利には、場合により前記1つまたは複数の検出要素4a、4b、4c、4dから受信した信号S_bat、信号S_mis、信号S_all、に応じて、電子装置2の状態を通常の動作モードからスタンバイモードへ切り替えるように構成される。通常の動作モードでは、電子装置2の信号トランシーバ5は、信号S_all、信号S_mis、信号S_batを送信でき、スタンバイモードの間、電子装置2は、電源7によって生成される電力の消費を最小限に抑えながら動作するようになっている。この配置により、電源7の持続時間をさらに節約することができる。
【0093】
図9および11は、例えば、多くの鉄道および道路区間を覆うタイプの落石ネットに中央に適用された電子装置2を示す。ネットによって止められた落下する岩は、事故が発生した後、当該事故の識別まで影響を受けた区間に沿って歩かなければならないオペレータによって「一目見る」だけで検出される。
【0094】
本発明の電子装置を用いれば、事故が発生したときの状況を即座に把握し、現象の一貫性とバリアの損傷を評価し、非常に低コストで簡単な方法で、実質的にリアルタイムで行動を決定し、何よりもオペレータの安全を保護することができる。さもなければ、オペレータは自分で状況を確認しに行くであろう。構造物の保守および管理に従事する人々、並びにこれらの構造物によって保護されている人々、企業および社会の両方に対する安全保証である。電子装置はまた、広範囲の簡単なプログラミングと設定の組み合わせで、音響または視覚警報装置、または両方の構成を独立して直接操作することができる。
【0095】
第2の態様では、本発明は、図18、19、および20に示されるように、土石流タイプの水文地質学的現象を監視するための電子装置2に関する。本発明のこの態様では、電子装置2およびそれに接続された信号伝達脚10は、第1の態様に関して上記で説明したものと同一である。
【0096】
この態様では、電子装置2は、起こり得る土石流C1、C2、C3からの、非限定的な例によって、水文地質学的現象によって影響を受ける可能性がある集水域の流れの近くの側面すなわち土手Aに固定される。
【0097】
この代替の実施形態では、信号伝達脚10は、様々な高さで流れの河床L上に「浸漬」されて保持され、例えば、各脚10の自由端が巨礫または存在する他の物体に接続された状態で適切な位置に保持される。この代替の実施形態では、監視用の電子装置2は、本発明の他の実施形態のように制御面S上に置かれず、その外側(例えば、側面すなわち土手A)に配置され、一方、信号伝達脚10は、起こり得る土石流C1、C2、C3の表面に対して実質的に斜めまたは垂直な方向に沿って向けられている。特に、信号伝達脚10は、監視される土石流C1、C2、C3の河床Lまで延在し、それらのそれぞれに作用する機械的負荷Fiを前記検出要素4a、4b、4c4dの1つに伝達するように構成される。
【0098】
このように、電子装置2の脚10を異なる高さに配置することにより、脚10に当たる液体通過流量を知ることができる。
【0099】
図21、22、23および24に示される本発明の代替の実施形態では、水文地質学的現象を監視するための電子装置2は、2つ以上の接続要素17によって結合された箱型のケーシング3aおよび3bによって構成され、センサまたは近接トランスデューサまたは加速度計15、および図2、3および4に示される電子装置2に関連して既に説明された要素を備える。
【0100】
そのような実施形態では、使用中、下部要素3aは、制御面S(例えば、岩石の大きな塊または不安定な巨礫)に固定され、一方、信号伝達脚10は、上部要素3bから延在し、水文地質学的現象の影響を受けない、制御面Sの外側に配置された領域Tに固定される。好ましくは、下部3aは不安定な表面Sに固定され、これにしっかりと拘束されている。
【0101】
信号伝達脚10の感度および加速度計から来る最終的な信号S_accの両方が、電子装置2の起動と警報信号S_allの送信とを決定する。
【0102】
図23および24に示される電子装置2は、上部要素3bの上部外面に配置されたソーラーパネル18を備えることができ、ソーラーパネル18は、電子装置2に電力を供給するように適合され且つ場合によってはバッテリ7を再充電するように構成された追加の電気エネルギー源を提供するように構成される。これにより、バッテリ7の寿命が長くなる。ソーラーパネル18は、本明細書に記載の実施形態のそれぞれに存在することができる。
【0103】
この実施形態では、制御面Sが、例えば下流方向に、移動または変位を開始すると、下部要素3aを制御面Sと共に移動させる一方、信号伝達脚10は固定された上部要素3bの位置を維持する。すなわち、上部要素3bに対するその下部要素3aへの変位が生成される。
【0104】
図25は、水文地質学的現象の影響を受けない領域Tに各装置2のいくつかの信号伝達脚10が固定されるように、制御面Sの縁に適用される複数の電子装置2を備える、水文地質学的事象を監視するためのシステムを示す。
【0105】
図26および27に示される本発明の代替の実施形態では、監視用の電子装置2は、図2、3および4に示されるものと実質的に類似しており、電子機器2を雪崩の制御面S上に落下させて、安定して一体的にその上にしっかりと立てるように、監視用の電子機器2の(使用中の場合の)下面にしっかりと配置された細長い固定要素(ピケットまたは同様の要素など)をさらに備える。
【0106】
この代替の実施形態では、信号伝達脚10は可撓性であり、電子装置2を雪崩上に置く前に、監視対象の雪崩上に対する配置ステップ中に(通常は高地に配置)邪魔になったり損傷したりしないように、電子装置2の上面の中心に向かって折り畳まれる。
【0107】
電子装置2が監視対象の雪崩の点で重力により上から落下する瞬間、脚10は折り畳まれた位置にあり、雪崩の表面Sと衝突した瞬間、脚10は、監視対象の制御面S上にそれらの全長または伸長にわたって、すべての方向にスポークのように展開する。脚10の展開は、装置2の先端24が表面に接触すると、機械装置(図には示されていない)の解放とともに自動的に行われる。
【0108】
ばね機構は、監視対象の表面に対する装置の衝撃によって作動する。ばねは、予め組み込まれており、地面との衝突に続いて開くレバー機構によって適切な位置に保持されており、脚またはケーブルを地面に直接発つばねをスナップリリースする。各脚の端にあるアンカーフックは、信号の識別を可能にするために、雪面への固定を可能にする。
【0109】
図28および29に示される本発明の別の代替の実施形態では、電子装置2は、水路の土手すなわち側面防御の不安定性または崩壊を監視するために使用される。土手の崩壊は、しばしば、ヌートリアの存在や構造の劣化、または誤った認識のために発生する。これまで、正確にではないにしても、そのような現象のための監視システムはない。光ファイバを敷設することにより、電子装置2は、土手の長い区間について、土手側面の潜在的な変形状態を検出することを可能にし、迅速な修復動作を可能にする。本質は依然として、この場合、はるかに長く且つ斜面と土手側面Aに沿って敷設されるファイバ(光学、カーボン)でできており、土手のタイプに応じて異なる構成を持つ脚10のそれである。検出された土手の変形は、ファイバの変形に対応し、したがって警報信号s_allの送信に対応する。
【0110】
第3の態様では、本発明は、水文地質学的現象を監視するためのシステム1(図1)に関し、システム1は、
本明細書に記載の水文地質学的現象を監視するための少なくとも1つの電子装置2と、
1つまたは複数の電子装置2のトランシーバ5から送信された、検出された水文地質学的危険の状態の信号を示す警報信号Si_allを受信するように構成された信号トランシーバを備える固定またはモバイル式対話型電子装置40と、を備える。
【0111】
第1の電子装置2によって生成された警報信号S_allの送信は、ポイント-ポイント(シングルバンド)、ポイント-トゥ-マルチポイント(マルチバンド)、またはポイント-トゥ-オール(ブロードキャスト)タイプの送信を介して、前記固定またはモバイル式対話型電子装置40のトランシーバに到達するまで、他の隣接する電子装置2のトランシーバ5に送信される。
【0112】
n個の電子装置2を備えるシステムでは、水文地質学的警報信号Si_allを生成および送信したi番目の電子装置2(i)の識別は、警報信号Si_allと共に送信される一意の識別コードcod_idによって行われる。
【0113】
さらに、電子装置2(i)が、それが配置される地理的位置の受信機8を備えている場合、警報信号Si_allと共に送信される信号Si_posは、それを生成した電子装置2(i)をリモートで一意に(例えば、対話型装置40上で)識別することを可能にする。
【0114】
さらに、低バッテリの場合、電子装置2は、低バッテリ信号を対話型装置40に送信することができる。
【0115】
同様に、誤動作または故障の場合、電子装置2は、対話型電子装置40に信号を送信する。
【0116】
第4の態様では、本発明は、水文地質学的現象を監視するための方法に関し、当該方法は、
a)前述のように水文地質学的現象を監視するための電子装置2の検出要素4a、4b、4c、4dに少なくとも1つの信号伝達脚10を適用するステップと、
b)水文地質学的現象を監視するための前記電子装置2および前記少なくとも1つの信号伝達脚10を制御面S(または土手A)に適用するステップと、
c)前記信号伝達脚10によって、前記面Sに作用する機械的信号Fiを検出するステップと、
d)前記機械的信号Fiを、前記制御面Sに作用する機械的負荷に特徴的な電気信号Si_rilに変換するステップと、
e)前記検出要素4a、4b、4c、4dから前記電気信号Si_ril、S_misを受信するステップと、
f)前記信号Si_ril、S_misを、メモリユニット6に格納された対応する閾値SOGと比較するステップと、
g)前記比較モジュール22によって実行された比較から生じる検証された一致OKに応じて、水文地質学的リスク警報信号S_allを信号トランシーバ5に送信するステップと、
h)前記警報信号S_allを、水文地質学的現象を監視するための第2の電子装置2のトランシーバ、または固定またはモバイル式対話型電子装置40のトランシーバに送信するステップと、を含む。
【0117】
本発明はまた、水文地質学的現象を監視するためのキットに関し、当該キットは、本明細書に記載の監視のための少なくとも1つの電子装置2と、それに結合できる1つまたは複数の信号伝達脚10と、を備える。
【0118】
装置には、データロガーまたは単純な検出器として機能する不揮発性メモリをオプションで装備できる。
【0119】
取得システムと送信の両方は、消費を抑制し且つIoTプロトコル(SigFox、LoRa(登録商標)など)で送信を最適化するように適合された特定の機能が実装された非常に低い電力消費技術で設計されている。その結果、平均消費量がマイクロワット/ミリワットの単位である(温度範囲が拡張された)産業用電子機器が得られる。
【0120】
(データロガー機能が存在するかどうかに応じて)取得および/または処理された情報の送信は、自由周波数で数キロメートルの平均カバレッジ(例えば、イタリアでは868Mhz)で、ネットワーク(ポイント-トゥ-ネットワーク)、ポイント-トゥ-ポイント、またはポイント-トゥ-マルチポイントで直接行うことができる。
【0121】
送信はIoTネットワークの可能性を最大限に活用し、事故がない場合には1日あたり少なくとも1つの「スティルアライブ(still alive)」信号を平均的に送信し、脚の1つで事故が発生すると、周期的な送信を徐々に増加させることを可能にする。
【0122】
好ましくは、信号は、狭帯域のモノのインターネット技術によって送信され、電子装置に存在する無線モジュールは、少なくとも3-5年のバッテリの自律性を持って動作するように設計されている。
【0123】
ポイント-トゥ-ポイント接続に関しては、無線カバレッジは数キロメートルであり、インターネットネットワークでの直接接続に関しては、無制限である。
【0124】
言い換えれば、特定の無線リンクを使用せず、単純で経済的なシステムを使用して、潜在的に危険な事故をリアルタイムで監視し、ネットワークまたはアプリから直接発生した状況を管理することが可能である。この使用の可能性は、長期間エネルギーを持つことが難しく、非常に高いコストをかけない限り、しばしば送信をアクティブにするのは難しい環境内、特に山岳地帯や不安定な地域内のセンサと信号トランシーバの電力供給に関連する今日存在する問題を解決する。
【0125】
これらの電子監視装置は、低コストで使い易い、広域且つ広範の分配を可能にし、認識の状態を改善し、土地、自然、人的リスクを管理し、したがって、コミュニティ全体の生活の質を向上させる。
【0126】
装置は特定の適用に応じて配置され、スイッチがオンにされ、それ以上の必要はない。極度の緊急状態では、装置の一部の構成は、例えば雪崩や地表地滑りの制御のために、飛行機やヘリコプタからの発射または放出を可能にする。
【0127】
アプリ、パーソナルコンピュータ、または制御ユニットは、電子機器が設置されているエリアの重要な情報を直接提供する。
【0128】
装置はコンパクトな形状(直径約25cm以下の円形容器)を持ち、簡潔さのために簡単に製造可能であり、容易に輸送でき、より容易に設置さえできる。
【0129】
センシティブな要素(ばね、磁石、ファイバドライバなど)のサイズは、使用されるエネルギークラスを特定する規則によって管理されるので、生産側では特定のキャリブレーションは必要なく、むしろ、センシティブな要素を電子機器の脇に直接配置して、箱型の容器を閉じることが非常に簡単になる。設置中に行う必要があるのは、関連する脚を接続することだけである。
【0130】
本発明の電子装置は、標準のものとは異なるエネルギーで「キャリブレートされた」センサと、特定の目的のために区別された、脚を備えた敏感なセンサの両方のために、容易にカスタマイズすることができる。脚と電子装置との間の接続は、装置自体に対する特別なクランプネジによって行われる。装置は、堅い表面であろうとネットまたは他(地面)であろうと、それが設置される構造にしっかりと拘束されていても、いなくてもよい。
【0131】
使用する材料や形状は特定の適用によって異なる。例えば、流動的な容器に挿入することが可能であり、その結果、土石流や雪崩などの事故に直面したときに、信号の送信の最大確率を確保し、送信電力を最大化するために、主に地表に運ばれる。
【0132】
このタイプのハードウェアとソフトウェアの最適化により、システムは、小さなバッテリで最大何年も自律できるようにすることで、消費量をほぼゼロに減らすことができる。同時に、自己診断を提供して、故障または送信障害の識別を可能する。
【0133】
事故とその場所、およびその可能な強度(光ファイバの場合)を特定する測定に加えて、各送信は、実際には、バッテリの状態および地理的座標という2つの重要な情報のポイントも伝達する。1つ目は、システムの状態を理解するための基本情報であり、バッテリのできるだけ迅速な交換を計画することを可能にし、2つ目は、非常に重要な事故に直面した場合に、引き裂かれたり押しのけられたりしたが水没していないときに、その回復を可能にする。
【0134】
想定される電源7はバッテリであるが、小さなソーラーパネルを挿入して、内部再充電により装置を完全に自律的にすることが可能である。
【0135】
当業者が明確に理解できるように、本発明は、従来技術を参照して先に強調された欠点を克服することを可能にする。特に、本発明は、2G、3G、4Gのモバイル電気通信ネットワークまたは電力網によって到達されない、アクセスできない領域における水文地質学的現象の監視を改善することを可能にする。さらに、設置された装置のより良い管理および監視を可能にし、装置の動作ステータスを制御するために装置に到達することを必要としない。さらに、電子装置はコンパクトで頑丈である。センサの単純さとそれらの堅牢性は、保守作業を最小限に抑え、本発明の電子装置を、極端な環境条件下でも、全ての監視および警告用途に適合させる。
【0136】
ここまで説明したように、本発明による装置は、水文地質学的リスクを検出した瞬間に、警報信号と音響および視覚警報信号の両方をそれが配置された遠隔地から送信するので、監視および警報の両方のためのものである。さらに、本発明による装置は、予防だけでなく、特に、水文地質学的事象が発生した場合および事象後にも用途を見出す。最後に、装置は、水文地質学的および工学的不安定性の分野での警報管理の分野での用途があるが、緊急時の民間防衛によっても、オペレータが水文地質学的現象の進行を管理することを可能にする。特定の特徴が、例示的且つ非限定的な意図をもって、本発明の異なる実施形態に関連して説明されることは明らかである。明らかに、当業者は、偶発的且つ特定のニーズを満たす目的で、本発明にさらなる修正および変形を加えることができる。例えば、本発明の実施形態に関連して記載された技術的特徴は、そこから推定され且つ本発明の他の実施形態に適用され得る。そのような修正および変形はまた、以下の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の保護の範囲内に含まれる。
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