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特許7593926材料塗布システム、および材料塗布システムを動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】材料塗布システム、および材料塗布システムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/00 20180101AFI20241126BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241126BHJP
   H04Q 9/02 20060101ALI20241126BHJP
   B05B 7/02 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B05B12/00 Z
H04Q9/00 301B
H04Q9/02 B
B05B7/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021537499
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019074000
(87)【国際公開番号】W WO2020053153
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】102018122004.9
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】303033406
【氏名又は名称】サタ ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブロウズ イェンス
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0252771(US,A1)
【文献】特開2005-052830(JP,A)
【文献】特表2018-505779(JP,A)
【文献】特開2003-211034(JP,A)
【文献】特開2017-135647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00- 9/08,
12/00-13/06
H04Q 9/00- 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング材料の噴霧および塗布のための塗料スプレーガン(1)
前記塗料スプレーガン(1)とは別個の少なくとも2つのモジュール(30、31)であって、前記塗料スプレーガン(1)の送信および/または受信デバイス(15)との間で信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイスをそれぞれ備えた少なくとも2つのモジュール(30、31)と、
を有する材料塗布システム(28)であって、
前記塗料スプレーガン(1)は、
材料送り装置(12)を含む材料搬送部(3)と非材料搬送部(4)とを有する基体(2)と、
前記材料搬送部(3)に装着されたノズルヘッド(9)と、
前記材料送り装置(12)に送られたコーティング材料を前記ノズルヘッド(9)に供給する、前記材料搬送部(3)内に配置された材料チャネル機構(13)と、
信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイス(15)と、
を有し、
前記非材料搬送部(4)内には、前記コーティング材料を前記材料送り装置(12)から前記ノズルヘッド(9)に供給する流路が配置されておらず、
信号を無線で伝送するための前記送信および/または受信デバイス(15)が、前記材料搬送部(3)から離れて位置し、前記非材料搬送部(4)に設けられており、
前記送信および/または受信デバイス(15)が、使用周波数が1~5GHzの第1の無線規格により信号を無線で伝送するように設計され、使用周波数が800MHz代または900MHz代の第2の無線規格により信号を無線で伝送するようにさらに設計され、前記第2の無線規格が前記第1の無線規格よりも広い範囲にわたって信号を無線で伝送するのに適しており
前記モジュール(30、31)のうちの1つが、塗料スプレーブース(29)において使用するため、および前記第1の無線規格により前記塗料スプレーガン(1)の前記送信および/または受信デバイス(15)との間で信号を伝送するための近距離モジュール(30)の形態であり、ならびに/または前記モジュール(30、31)のうちの1つが、塗料スプレーブース(29)の外部で使用するため、および前記第2の無線規格により前記塗料スプレーガン(1)の前記送信および/または受信デバイス(15)との間で信号を伝送するための領域モジュール(31)の形態であり、
前記第2の無線規格が、塗料スプレーブース(29)内部からブースの壁を通して外部へ、またはその逆に信号を伝送するのに適しており、
ノズルの選択、噴霧圧縮空気の圧力の目標値、およびホーン圧縮空気の圧力の目標値の提案に関する情報が、前記塗料スプレーガン(1)の前記送信および/または受信デバイス(15)と1つ以上の前記モジュール(30、31)の1つ以上の送信および/または受信デバイスとの間で信号を伝送することによって伝送される、
ことを特徴とする材料塗布システム(28)。
【請求項2】
請求項1に記載の材料塗布システム(28)であって、前記塗料スプレーガン(1)が手持ち式塗料スプレーガン(1)の形態であり、および/または操作部の形態の前記非材料搬送部(4)がハンドル(5)を有することを特徴とする、材料塗布システム(28)
【請求項3】
請求項1または2に記載の材料塗布システム(28)であって、前記塗料スプレーガン(1)が圧縮空気接続部(7)を備え、前記圧縮空気接続部(7)から圧縮空気ラインシステムが前記ノズルヘッド(9)につながっていることを特徴とする、材料塗布システム(28)
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の材料塗布システム(28)であって、前記塗料スプレーガン(1)が、前記送信および/または受信デバイス(15)に直接または間接的に接続された電子部品、すなわち、1つ以上のセンサユニット、1つ以上のアクチュエータユニット、表示ユニット、データ記憶ユニット、データ処理ユニット、および/またはエネルギー貯蔵ユニットのうちの1つ以上を有し、前記1つ以上の電子部品が前記非材料搬送部(4)に関連付けられていることを特徴とする、材料塗布システム(28)
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の材料塗布システム(28)であって、前記送信および/または受信デバイス(15)が前記塗料スプレーガン(1)に着脱可能に接続されていることを特徴とする、材料塗布システム(28)
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の材料塗布システム(28)であって、前記塗料スプレーガン(1)に少なくとも1つの圧力測定チャネル(19、20)が設けられ、前記塗料スプレーガン(1)の前記材料搬送部(3)の圧縮空気チャンバ(17、18)から圧力センサの形態の電子部品まで通され、前記圧力センサが、前記材料搬送部(3)から離れて位置し、前記非材料搬送部(4)に関連付けられていることを特徴とする、材料塗布システム(28)
【請求項7】
請求項に記載の材料塗布システム(28)を動作させる方法であって、コーティング作業のための塗料スプレーガン(1)の機器および設定パラメータもしくは他の動作パラメータ、ならびに/または前記塗料スプレーガン(1)により実行されるコーティング作業の設定パラメータもしくは他の動作パラメータの測定値の提案に関する情報が、前記塗料スプレーガン(1)の送信および/または受信デバイス(15)と1つ以上の別個のモジュール(30、31)の1つ以上の送信および/または受信デバイスとの間で信号を伝送することによって伝送されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項に記載の材料塗布システム(28)を動作させる方法であって、前記塗料スプレーガン(1)による前記コーティング作業の設定パラメータもしくは他の動作パラメータの提案が、前記塗料スプレーガン(1)による進行中のコーティング作業のためのコーティング材料を識別することに基づいて、自動で判定され、前記送信および/または受信デバイスにより、前記1つ以上の別個のモジュール(30、31)から前記塗料スプレーガン(1)に伝送されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧、特に圧縮空気支援噴霧、およびコーティング材料、特に塗料の塗布のための塗料スプレーガンであって、塗料スプレーガンが、材料送り装置を含む材料搬送部と、ノズルヘッドと、材料送り装置に送られたコーティング材料をノズルヘッドに供給することのできる材料チャネル機構とを有し、塗料スプレーガンが、非材料搬送部と、信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイスとをさらに有する塗料スプレーガンに関する。
【0002】
本発明はまた、そのような塗料スプレーガンを有する材料塗布システム、および材料塗布システムを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最初に述べた塗料スプレーガンおよびそのような塗料スプレーガンを有する材料塗布システムが、例えば国際公開第2012/052255号に開示されている。特に、前記文献が記載している材料塗布システムは、塗料塗布システムの部品間において信号を無線で伝送するための1つ以上の受信ユニットを有する塗料塗布システムの形態であって、部品のうちの1つが塗料スプレーガンであり、塗料スプレーガンは、塗料スプレーガンの動作パラメータおよび/または環境パラメータを取り込むための取込みユニットを有し、動作パラメータおよび/または環境パラメータを受信ユニットに無線で送信するための送信ユニットを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2012/052255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、公知の塗料スプレーガンおよび公知の材料塗布システムをさらに発展させて、塗料スプレーガンおよび材料塗布システムが、高い機能信頼性、および塗料スプレーブースにおける使用に最適な操作性によって特徴付けられるようにするという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項の特徴を有する塗料スプレーガンによって実現される。
【0007】
本発明による塗料スプレーガンを使用して、コーティング材料、特に液体コーティング材料を噴霧および塗布する。塗料スプレーガンは、材料送り装置を含む材料搬送部と、ノズルヘッドと、材料送り装置に送られた(液体)コーティング材料をノズルヘッドに供給することのできる材料チャネル機構とを有する。塗料スプレーガンの材料搬送部は、好ましくは、複数部品設計である。特に、材料搬送部は、材料チャネル機構が内部に開口する、別個の交換可能な部品の形態である。
【0008】
材料チャネル機構および材料送り装置は、例えば、共通の部品、特に塗料スプレーガンの基体または基体の材料搬送部から分離不能に形成されている。
【0009】
塗料スプレーガンは、例えば、基体の材料搬送部とは異なる部分により形成された非材料搬送部をさらに有する。非材料搬送部は、好ましくは、塗料スプレーガンの材料搬送部とは別個の部品の形態であってもよい。あるいはまたは加えて、非材料搬送部を操作部として設けてもよい。このために、非材料搬送部は、操作ロボット、および/または塗装作業者のためのハンドルもしくは把持要素などの操作装置のための接続手段を有していてもよい。
【0010】
高い機能信頼性という最初に述べた目的は、塗料スプレーガンが、材料搬送部から離れて位置し、非材料搬送部に関連付けられている、信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイスを有することにより、本発明による塗料スプレーガンによって実現される。したがって、送信および/または受信デバイスは、材料搬送部に組み込まれておらず、材料搬送部に直接隣接するように配置されていない。
【0011】
送信および/または受信デバイスの配置により、コーティング材料が送信および/または受信デバイスに塗布される危険が実質的に低下するため、送信および/または受信デバイスの損傷または障害が実質的に低下する。
【0012】
塗料スプレーガンと共に従来使用されている塗料などのコーティング材料は、特に塗料スプレーガンの材料搬送部を、物理的に、かつ溶媒を使用して、入念に洗浄することを必要にする。本発明による送信および/または受信デバイスの配置により、塗料スプレーガンの洗浄時に送信および/または受信デバイスの損傷または障害の危険が低下する。
【0013】
1つの好ましい例示的な実施形態の場合、送信および/または受信デバイスが、非材料搬送部内または非材料搬送部上に配置され、特に非材料搬送部に組み込まれる、および/または封じ込められる。
【0014】
本発明による塗料スプレーガンは、好ましくは、フローカップスプレーガンであり、すなわち、材料送り装置はフローカップのための接続デバイスを有する。あるいはまたは加えて、塗料スプレーガンは、圧力支援材料送り装置(例えば、ボイラまたはロボットスプレーガン)を含む塗料スプレーガンの形態であってもよく、または材料ホースを接続するのに適した材料送り装置を有していてもよい。
【0015】
送信および/または受信デバイスは、好ましくは、双方向無線データ伝送に適している。したがって、送信および/または受信デバイスは、この場合、送受信デバイスである。
【0016】
爆発性混合ガスが塗装中に発生することがある。したがって、特に塗料スプレーブースにおいて、およびそこで使用されるすべてのデバイスについて、厳格な爆発保護要件が適用される。したがって、送信および/または受信デバイスは、好ましくは、これらの要件を満たすように構成されている。特に、これは、電子部品の適切な封込めおよび/または適切な構造によって行われる。
【0017】
塗料スプレーガンが手持ち式塗料スプレーガンの形態である本発明の例示的な一実施形態が、特に実際に関連する。非材料搬送部は、好ましくは、操作部の形態である。非材料搬送部はハンドルを有し、例えば、この場合、塗料スプレーガンの作動レバーが、好ましくは、材料搬送部に関節で連結されている。しかしながら、塗料スプレーガンを、例えば、手動で、または外部制御接続部を介して作動される圧縮空気弁により、作動させてもよい。
【0018】
好ましい例示的な一実施形態において、塗料スプレーガンは圧縮空気接続部を備え、この圧縮空気接続部から圧縮空気チャネルシステムが材料塗布ノズルにつながる。したがって、塗料スプレーガンは、特に、圧縮空気支援によりコーティング材料を噴霧する塗料スプレーガンである。塗料スプレーガンは、好ましくは、HVLP塗料スプレーガン、または準拠塗料スプレーガン、またはノズルヘッドの選択に応じてHVLP塗料スプレーガンもしくは準拠塗料スプレーガンの形態であり得る塗料スプレーガンである。
【0019】
圧縮空気接続部が非材料搬送部に配置されている一変形形態が判明している。圧縮空気は、好ましくは、非材料搬送部を介して材料搬送部へ、および材料搬送部からノズルヘッドへ案内され、圧縮空気を使用して、コーティング材料(噴霧圧縮空気)を噴霧する、および/またはスプレー噴流(例えば、ホーン圧縮空気)を形成する。
【0020】
特に好ましい例示的な一実施形態によれば、送信および/または受信デバイスに加えて、塗料スプレーガンは、送信および/または受信ユニットに直接または間接的に接続された1つ以上の電子部品を備える。例として、1つ以上のセンサユニット、1つ以上のアクチュエータユニット、1つ以上の表示ユニット、データ記憶ユニット、データ処理ユニット、および/またはエネルギー貯蔵ユニットが挙げられる。
【0021】
一変形形態は、モジュールの標準化されたネットワークに単に組み込まれることよって特徴付けられ、この変形形態において、塗料スプレーガンの1つ以上のセンサユニットが半導体設計に設けられ、標準プロトコルMQTTを使用してセンサ値を送信し、ハードウェアインターフェースICを有する。
【0022】
例として、材料、噴霧圧力もしくはノズル内圧、ホーン圧縮空気領域内の空気圧、または輸送空気圧を測定するための1つ以上のセンサユニットが設けられている。さらに、材料または圧縮空気流量を測定するためのセンサユニットが有利であり得る。さらに、塗料スプレーガンは、好ましくは、作動レバーの作動(排出)を検出するセンサユニット、あるいはガンの位置および/または移動を判定するためのセンサユニットを備えていてもよい。
【0023】
しかしながら、塗料スプレーガンの動作パラメータを判定するためのセンサユニットに加えて、環境パラメータ、例えば、空気圧、湿度、空気速度、および/または周囲温度を判定するための1つ以上のセンサユニットを、塗料スプレーガンに有利に設けてもよい。
【0024】
特に、環境パラメータを判定するためのセンサユニットを、塗料スプレーガンが組み込まれているネットワークの別のモジュールに関して、塗料スプレーガンとは別個に設けてもよい。
【0025】
1つ以上の制御可能なアクチュエータユニットが、好ましくは、塗料スプレーガンに設けられている。特に好ましい例示的な一実施形態の場合、塗料スプレーガンは、送信および/または受信デバイスに直接または間接的に接続された圧力制御弁の形態の1つ以上のアクチュエータユニットを有する。
【0026】
本発明の有利な一変形形態において、噴霧空気圧を測定するためのセンサユニットと、噴霧圧力を調節するための圧力制御弁の形態のアクチュエータユニットとが、例えば、塗料スプレーガンに設けられている。全体的に、噴霧圧縮空気の圧力の制御ループが塗料スプレーガンに形成され、これを使用して、塗料スプレーガンにおける圧力を直接測定し、圧力を所望の目標値に制御することができる。これは、特に、塗料の塗布の質が、噴霧、したがってノズルヘッドに直接加わる噴霧圧力によって決定的に決まるので、液体塗料用の塗料スプレーガンの場合に特に有利である。あるいはまたは加えて、制御ループを、別の設定パラメータ、例えばホーン圧縮空気の圧力について設けてもよい。適切であれば、3つ以上の制御ループを、さらなる設定パラメータについて設けてもよい。
【0027】
特に好ましい例示的な一実施形態の場合、塗料スプレーガンは表示ユニットを有し、表示ユニットは、送信および/または受信デバイスに直接または間接的に接続され、以下の情報、例えば、塗料スプレーガンのセンサユニットまたは他のモジュールからのセンサ測定値、設定パラメータおよび/または動作パラメータの目標値、光警告または警報信号、コーティング材料または現在のコーティング作業に関するデータなどを表示する。
【0028】
あるいはまたは加えて、塗料スプレーガンは、触覚もしくは音響警告または警報機能(例えば振動警報)を備えていてもよい。
【0029】
前述した情報およびさらなる情報を、例えば、塗料スプレーガンが組み込まれているネットワークの別のモジュールに関して表示ユニットに表示してもよい。
【0030】
塗料スプレーガンは、好ましくは、送信および/または受信デバイス、センサおよび/またはアクチュエータユニットを制御し、これらのユニットからのデータを処理するためのデータ処理ユニット(CPU)も有する。
【0031】
特に好ましい例示的な一実施形態において、エネルギー貯蔵ユニットが設けられ、エネルギー貯蔵ユニットを特に非接触で充電することかできる。
【0032】
塗料スプレーガンは、好ましくは、電子部品のうちの1つ以上または送信および/もしくは受信デバイスに直接または間接的に接続されたUSBインターフェースをさらに備えていてもよい。
【0033】
電子部品は、好ましくは、同様に材料搬送部から離れて位置し、非材料搬送部に関連付けられている。
【0034】
有利な一変形形態の場合、送信および/または受信ユニットならびに電子部品のうちの1つ以上は、電子モジュールの形態である。特に、電子モジュールは、部品の一部が配置される回路基板を備える。電子部品は、好ましくは、SMD回路基板に配置されたSMD部品の形態であり、これにより、電子モジュールの費用効果の高い省スペース設計が得られる。
【0035】
特に好ましい例示的な一実施形態において、送信および/または受信デバイスは塗料スプレーガンに解放可能に接続されている。送信および/または受信デバイスを、例えば、塗料スプレーガンの洗浄前に取り外すことができ、その後、洗浄済みの塗料スプレーガンに再び接続することができる。これにより、洗浄動作中の損傷を防ぐ。残りの部分、特に材料搬送部の洗浄は、送信および/または受信デバイスを考慮する必要がないので簡略化される。
【0036】
送信および/または受信デバイスは、好ましくは、1つ以上のさらなる電子部品を有する取外し可能な電子モジュールの一部であり、電子モジュールは、例えば、塗料スプレーガンのハンドルに組み込まれる。電子モジュールの送信および/または受信デバイスを塗料スプレーガンのハンドルに組み込んでもよく、このハンドルを、残りの塗料スプレーガン、特に塗料スプレーガンの材料搬送部から、ユニットとして全体的に取り外すことができる。
【0037】
塗料スプレーガンの一変形形態は、特に有利な空気圧測定により特徴付けられ、この変形形態において、少なくとも1つの圧力測定チャネルが設けられて、塗料スプレーガンの材料搬送部の圧縮空気チャンバから圧力センサの形態の電子部品まで通され、圧力センサは、材料搬送部から離れて位置し、非材料搬送部に関連付けられている。特に、圧力センサは、前述した特徴を有する電子モジュールに属する。
【0038】
圧力測定チャネルは、好ましくは、少なくとも部分的に、塗料スプレーガンの材料搬送部および/または非材料搬送部の穴またはチャネルにより形成されている。あるいはまたは加えて、圧力測定チャネルをホースなどにより形成してもよい。
【0039】
特に好ましい例示的な一実施形態において、塗料スプレーガンは円形/幅広噴流設定デバイスを有し、円形/幅広噴流設定デバイスを使用して、供給される圧縮空気を、ノズルヘッドにそれぞれ供給される噴霧圧縮空気とホーン圧縮空気とに可変的に分ける。少なくとも1つの噴霧圧縮空気領域および1つのホーン圧縮空気領域が、円形/幅広噴流設定デバイスの下流に生じる。
【0040】
圧力センサに通じる圧力測定チャネルの起点である圧縮空気チャンバは、好ましくは、噴霧圧縮空気領域により形成されている、または噴霧圧縮空気領域に配置されている。あるいはまたは加えて、(さらなる)圧力センサに通じる(さらなる)圧力測定チャネルの起点である(さらなる)圧縮空気チャンバが、ホーン圧縮空気領域により形成されている。
【0041】
有利なさらなる1つの発展において、圧力センサに通じる圧力測定チャネルの起点である1つ以上の圧力チャンバが、交換可能なノズルヘッドに直接隣接している。この1つ以上の圧縮空気チャンバは、好ましくは、噴霧圧縮空気領域および/またはホーン空気領域に配置されている。
【0042】
高い機能信頼性という最初に述べた目的は、送信および/または受信デバイスが、第1の無線規格、例えばブルートゥース(登録商標)により信号を無線で伝送するように設計され、第2の無線規格、例えばLoRaWAN(登録商標)により信号を無線で伝送するようにさらに設計され、第2の無線規格が、第1の無線規格よりも広い範囲にわたって、特に塗料スプレーブースの壁も通して信号を無線で伝送するのに適している、塗料スプレーガンによっても実現される。この意味で、第2の無線規格は、例えば、第1の無線規格よりも広い自由場範囲によって特徴付けられる無線規格である。特に、第2の無線規格は、塗料スプレー環境におけるより広い範囲によって特徴付けられる。第2の無線規格は、塗料スプレーブースの壁および同様の障害物をより良好に通過する。
【0043】
特に、ブルートゥースLE5.0が第1の無線規格として実際に判明しており、433/866MHzまたは910MHzのLoRaWANが第2の無線規格として判明している。さらなる可能な無線規格は、例えば、WLAN、DECT ULE、EnOcean(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)、またはZ-waveである。
【0044】
好ましい例示的な一実施形態において、送信および/または受信デバイスが、異なる無線規格のそれぞれについて信号を伝送するためのアンテナをそれぞれ有することにより、信頼性のある送信または受信能力が確保される。
【0045】
本発明はまた、前述または後述の特徴を含む塗料スプレーガンを有する材料塗布システムであって、材料塗布システムが少なくとも1つのモジュールを有し、少なくとも1つのモジュールが、塗料スプレーガンとは別個であり、塗料スプレーガンの送信および/または受信デバイスに対して信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイスを備える、材料塗布システムに関する。
【0046】
材料塗布システムは、好ましくは、塗料スプレープロセスのすべての考えられる点において関連するパラメータを取り込んで処理するためのモジュールATEX認証ネットワークを形成する。中央装置においてこのようにネットワーク化された複数のモジュールからの情報を処理する目的は、計画の可能性の拡張(予防保守、動作データおよび消費データの取込み、摩耗部分の交換の必要性の取込みなど)でもある。塗料スプレーガンおよび塗料スプレープロセスに関連するさらなる製品を組み込むことにより、情報およびデータの多数の異なる項目(例えば、フィルタ飽和状態、フィルタの圧力値、ガンの設定、材料の圧力、空気および/または材料の処理量、材料および環境の温度、湿度、ガンの動作時間、材料および/または圧縮空気の消費値、充電状態、時間、動作時間の合計など)を判定、伝送、および評価することが可能になる。
【0047】
材料塗布システムが少なくとも2つのモジュールを有し、少なくとも2つのモジュールが、塗料スプレーガンとは別個であり、塗料スプレーガンの送信および/または受信デバイスに対して信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイスをそれぞれ備えることによって、塗料スプレープロセスを行うことに有利に合わせた、無線ネットワーク化された材料塗布システムが得られる。
【0048】
この場合、モジュールのうちの一方が、塗料スプレーブースにおいて使用するため、ならびに第1の無線規格により送信および/または受信デバイスに対して信号を伝送するための近距離モジュール、特に携帯用近距離モジュールである。
【0049】
あるいはまたは加えて、モジュールのうちの他方が、塗料スプレーブースの外部で使用するため、ならびに第2の無線規格により送信および/または受信デバイスに対して信号を伝送するための領域モジュール、特に静止領域モジュールの形態である。
【0050】
言うまでもなく、第2の無線規格は第1の無線規格よりも広い範囲にわたって信号を伝送するのに適しており、特に、第2の無線規格は、塗料スプレーブース内部からブースの壁を通して外部へ、またはその逆に信号を伝送するのに適している。
【0051】
近距離モジュールの構成の好ましい例として、腕時計、掛け時計、タブレット、データグラス、スマートフォン、データロガーなどが挙げられる。場合により、近距離モジュールは、ATEX準拠ノートパソコンの形態であってもよい。しかしながら、標準的なノートパソコンはATEX準拠ではない。
【0052】
近距離モジュールを腕時計として設計することが特に好ましい。例えば、この腕時計を使用して圧力値を表示することができる。この腕時計により、好ましくは、塗料スプレーガンの設定パラメータの目標値を入力することが可能になる。この腕時計は、音響、光、もしくは触覚(振動)警報または警告機能を提供してもよい。
【0053】
領域モジュールは、特に、中央ネットワーク(場合により、インターネットインターフェースを含む)への組込みに適していることを特徴とする。特に、領域モジュールは、データ処理システム、例えばPCに接続するのに適している。このように、記憶、処理、データ入力、または特に接続されたネットワークへの(無線、ケーブル、USB、メール、SMSなどによる)データ転送などの、PCのすべての機能を材料塗布システムのネットワークのために使用することもできる。例えば、使用している場所で現在入手可能な気候データを、インターネットを介して取得して、考慮に入れることができる。
【0054】
領域モジュールの送信および/または受信デバイスは、好ましくは、第1の無線規格により信号を伝送するようにさらに設計されていてもよい。これにより、領域モジュールが、領域モジュール付近にあるネットワークのさらなるモジュールと通信することが可能になる。特に、領域モジュールは、例えば塗料スプレーブースから領域モジュール付近に入る場合に、1つ以上の近距離モジュールと通信してもよい。
【0055】
本発明はまた、材料塗布システムを動作させる方法であって、コーティング作業のための塗料スプレーガンの設定パラメータもしくは他の動作パラメータおよび/または塗料スプレーガンにより実行されるコーティング作業の設定パラメータもしくは他の動作パラメータの測定値の提案に関する情報が、塗料スプレーガンの送信および/または受信デバイスと1つ以上の別個のモジュールの1つ以上の送信および/または受信デバイスとの間で信号を伝送することによって伝送される方法に関する。例えば、使用するノズルのタイプ(HVLP、準拠など)またはノズルの大きさの提案を、伝送する情報として記載してもよい。
【0056】
特に好ましい一例の場合、塗料スプレーガンによるコーティング作業の設定パラメータもしくは他の動作パラメータの提案が、塗料スプレーガンによる進行中のコーティング作業のためのコーティング材料を、例えばバーコードリーダにより識別することに基づいて、ならびに好ましくはさらなる動作パラメータおよび/または環境パラメータに基づいて、自動で判定される。提案は、送信および/または受信デバイスにより、1つ以上の別個のモジュールから塗料スプレーガンへ、および/またはその逆に伝送される。
【0057】
以下で、例示的な実施形態に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】送信および/または受信ユニットを備える取外し可能な電子モジュールを有する塗料スプレーガンを示す図である。
図2図1による塗料スプレーガンの前部の断面図である。
図3図1による2つの塗料スプレーガンを有する、無線でネットワーク化された材料塗布システムの概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、コーティング材料の圧縮空気支援噴霧および塗布のための手持ち式塗料スプレーガン1を示す。塗料スプレーガン1は、HVLP塗料スプレーガンの形態である。あるいは、塗料スプレーガン1は、準拠塗料スプレーガンの形態であってもよい。
【0060】
塗料スプレーガン1は、材料搬送部3と、塗装作業者のためのハンドル5を含む操作部の形態である非材料搬送部4とを有する基体2を備える。作動レバー6が材料搬送部3に回動可能に装着されている。例えば、圧縮空気供給ホース(図示せず)のための圧縮空気接続部7が、ハンドル5の下端部に設けられている。圧縮空気接続部7から、塗料スプレーガン内の圧縮空気ラインシステムにより、供給された圧縮空気が、円形/幅広噴流設定デバイス8を介して塗料スプレーガン1のノズルヘッド9へ案内される。円形/幅広噴流設定デバイス8を使用して、供給された圧縮空気を、ノズルヘッド9に別々に供給される噴霧圧縮空気とホーン圧縮空気とに分ける設定をする。したがって、少なくとも1つの噴霧圧縮空気領域10と1つのホーン圧縮空気領域11(図2)とが、円形/幅広噴流設定デバイス8の下流において塗料スプレーガン1の材料搬送部3に形成されている。
【0061】
材料搬送部3は、フローカップ接続部の形態の材料送り装置12を有する。塗料スプレーガン1の材料搬送部3は、交換可能なノズルヘッド9も備える。重力の影響およびノズルヘッド9で生じる噴霧空気の吸引効果により、コーティング材料、例えば塗料が、材料チャネル機構13(図2)を介して、フローカップ接続部に接続されたフローカップからノズルヘッド9へ搬送される。
【0062】
塗料スプレーガン1は、ハンドル5に組み込まれた電子モジュール14も有する。電子モジュール14は取外し可能であるため、例えば、塗料スプレーガン1を溶媒で洗浄するために一時的に取り外すことができる。代替構成において、ハンドル5全体が、ユニットとして、材料搬送部3を備える塗料スプレーガン1の上部から取外し可能であってもよい。いずれの場合にも、電子モジュール14は、塗料スプレーガン1の材料搬送部3から離れて位置し、非材料搬送部4に関連付けられている。
【0063】
電子モジュール14は、信号を無線で伝送するための、図1に示す送信および/または受信デバイス15を特に備える。送信および/または受信デバイス15は、2つの異なる無線規格により信号を無線で伝送するように設計されている。ブルートゥースLE5.0が第1の無線規格として使用される。433/866MHzまたは910MHzのLoRaWANが第2の無線規格として使用される。第2の無線規格は、第1の無線規格よりも広い範囲にわたって、かつ存在し得る障害物(例えば、塗料スプレーブースの壁)を通して信号を無線で伝送するのに適している。送信および/または受信デバイス15は、2つの無線規格のそれぞれについて塗料スプレーガン1に収容されたアンテナをそれぞれ備える。
【0064】
送信および/または受信デバイス15に加えて、電子モジュール14は、送信および/または受信ユニット15に直接または間接的に接続された複数の電子部品を有する。したがって、電子モジュール14は、2つの圧力センサユニット、データ記憶ユニット、データ処理ユニット(CPU)、および非接触充電式バッテリの形態のエネルギー貯蔵ユニットを備える。バッテリの充電コイル16が図1に示されている。
【0065】
電子モジュール14は、SMD部品の形態の圧力センサユニット、データ記憶ユニット、およびデータ処理ユニット(CPU)が特に適用される回路基板を備える。部品、特にセンサは、回路基板に直接配置されている必要はなく、回路基板から離れていても、回路基板または回路基板上の部品に接続されていても、回路基板から離れた他の部品もしくはユニットに有線または無線で接続されていてもよい。
【0066】
前述したように、別の例示的な実施形態において、アクチュエータユニットおよび表示ユニットなどの他のまたは追加の電子部品を設けてもよい。
【0067】
複数の圧力センサユニットまたは複数の圧力センサを使用して、塗料スプレーガン1の材料搬送部3の2つの別個の圧力チャンバ17、18内の空気圧を測定する。圧力チャンバ17、18が、塗料スプレーガン1の前部の断面を示す図2に示されており、これらの圧力チャンバ17、18から、測定チャネル19、20がそれぞれ複数の圧力センサのうちの1つに通じている。
【0068】
交換可能なノズルヘッド9が、塗料スプレーガン1の基体2の前部にねじ留めされている。図2は、ノズルヘッド9内に開口する材料チャネル機構13の一部を示す。ノズルヘッド9は、空気ノズル周囲構成22によって囲まれたねじ込み式材料ノズル21を備え、空気ノズル周囲構成22は、噴霧空気の出口間隙23を形成し、ホーン空気ノズル25を含む2つの対向するホーン24を備えている。空気ノズル周囲構成22は、空気ノズルリング26により、塗料スプレーガン1の基体2に交換可能に締結されている。バッフルディスク27が材料ノズル21に恒久的に接続され、ノズルヘッド9を分解すると、それに伴って取り外される。
【0069】
図2から、第1の圧縮空気チャンバ17が噴霧圧縮空気領域10により形成されている、または噴霧圧縮空気領域10に配置されていることが明らかである。第2の圧縮空気チャンバ18は、ホーン圧縮空気領域11により形成されている、またはホーン圧縮空気領域11に配置されている。両圧縮空気チャンバ17、18は、ノズルヘッド9に直接隣接しており、すなわち、圧力チャンバ17、18の壁の一部がノズルヘッド9により形成されている。
【0070】
図2に示す圧力測定チャネル19、20は、塗料スプレーガン1の材料搬送部3および非材料搬送部4に、穴として形成され、電子モジュール14に開口している。
【0071】
噴霧プロセスのすぐ近くで噴霧圧縮空気およびホーン圧縮空気の正確な圧力測定が行われる。しかしながら、圧力センサは、塗料スプレーガン1の材料搬送部3から離れて、したがって、ハンドル5に配置された電子モジュール14内で十分に保護されるように収容されている。圧力センサの測定値を、例えば、データ記憶ユニットにより記憶し、データ処理ユニットにより処理し、送信および/または受信デバイス15により材料塗布システム28の別のモジュールに伝送することができる。
【0072】
図3に基づいて、材料塗布システム28の例示的な構造を説明する。
【0073】
材料塗布システム28は、例えば、電子モジュール14をそれぞれ備える、図1による2つの塗料スプレーガン1を有する。携帯用近距離モジュール30も塗料スプレーブース29内に設けられ、これは腕時計の形態である。2つの塗料スプレーガン1を用いて作業する塗装作業者が、この腕時計を着用することができる。この腕時計は、ブルートゥースLE5.0無線規格により塗料スプレーガン1と双方向に信号を伝送するのに適している。この腕時計は、データおよび情報の異なる項目を表示するために使用可能なディスプレイを有する。例えば、塗料スプレーガン1の圧力センサにより測定された圧力値を表示することができる。この腕時計により、例えば測定圧力の目標値を入力することも可能になり、この腕時計は、実際の測定値が予め定めた目標値と(著しく)異なる場合に、音響、光、もしくは触覚(振動)警報または警告機能を提供する。
【0074】
言うまでもなく、さらなる塗料スプレーガン1または腕時計とは異なる設計をされた、さらなる近距離モジュール30を、材料塗布システム28のモジュールの標準化されたネットワークに組み込むことができる。
【0075】
静止領域モジュール31(ゲートウェイ)が塗料スプレーブースの外部に配置され、これは、LoRaWAN無線規格により2つの塗料スプレーガン1と双方向に信号を伝送するのに適している。領域モジュール31はインターネット能力を有し、例えば、強力なCPUおよびディスプレイを有する。領域モジュール31はPC32に接続され、PC32には、塗料スプレーガン1により送信されたデータを評価し、塗料スプレーガン1に送信するためのデータを生成する種々のソフトウェアアプリケーションをインストールすることができる。
【0076】
領域モジュール31を携帯電話33、タブレットなどに接続してもよく、これらの携帯電話33、タブレットなどにも、塗料スプレーガン1により送信されたデータを評価し、塗料スプレーガン1に送信するためのデータを生成する種々のソフトウェアアプリケーションをインストールすることができる。携帯電話33などと領域モジュール31との双方向信号伝送は、第1の無線規格(ブルートゥース)により実行される。近距離モジュール30は、塗料スプレーブース29から領域モジュール31付近に入ると、第1の無線規格(ブルートゥース)により領域モジュール31からデータ/情報を受信することもでき、またはデータ/情報を領域モジュール31に送信することもできる。
【0077】
材料塗布システム28の動作中、コーティング作業のための塗料スプレーガン1の設定パラメータもしくは他の動作パラメータおよび/または塗料スプレーガン1により実行されるコーティング作業の設定パラメータまたは他の動作パラメータの測定値の提案に関する情報が、塗料スプレーガン1の送信および/または受信デバイス15、近距離モジュール、および領域モジュールの間で伝送される。
【0078】
特に、例えば、進行中の自動車の塗装修復作業のための塗料を、ネットワークに接続されたバーコードリーダにより最初に識別することができる。PC32にインストールされたソフトウェアアプリケーションが、データベースに記憶された塗料のデータシートから情報を読み取る。データシートの情報に基づいて、かつ塗料スプレーブース29において現在測定されている環境パラメータを考慮して、例えば、ノズル選択および噴霧圧縮空気またはホーン圧縮空気の圧力の提案(目標値)が決定される。提案(目標値)は、塗料スプレーガン1に送信され、場合により、塗料スプレーガン1から腕時計に送信されて表示される。
【0079】
説明した塗料スプレーガン、説明した材料塗布システム、および説明した材料塗布システムを動作させる方法を、特に工業分野で使用することができ、すなわち、これらを手持ち式でない、自動またはロボット塗料スプレーガンに組み込むことができ、またはそのために使用することができる。種々の部門または種々の階層間でデータを交換可能にするために、コンポーネントを既存のネットワーク(インダストリー4.0、デジタル化)、例えば社内ネットワークに組み込むことも可能である。あるいはまたは加えて、データを他の会社、機関、または他のデバイスもしくは人と交換可能にするために、コンポーネントを、社外のデバイスとの接続を有するネットワークに組み込むことも可能であり得る。他の会社、機関などは、例えば、供給業者、顧客、取引先、監督機関であってよい。特に、取り込んだ動作データに基づいて予防保守または予備部品の配送を可能にするために、塗料スプレー会社からのデータを、塗料、塗料スプレー器具、特に塗料スプレーガン、または予備部品、特に塗料スプレーガンのノズルセットまたはフィルタのカートリッジの供給業者に送ることができる。しかしながら、データを顧客に送信してもよく、これにより、顧客は塗料スプレーの注文状況を追跡することができる。コンポーネントを、例えば、LAN、WLAN、または他の有線もしくは無線伝送技術を介して組み込むことができる。
<付記>
[1]
噴霧、特に圧縮空気支援噴霧、およびコーティング材料、特に塗料の塗布のための塗料スプレーガン(1)であって、
材料送り装置(12)を含む材料搬送部(3)と
ノズルヘッド(9)と、
前記材料送り装置(12)に送られたコーティング材料を前記ノズルヘッド(9)に供給することのできる材料チャネル機構(13)と、
を有し、さらに
非材料搬送部(4)と、
信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイス(15)と、
を有する塗料スプレーガン(1)において、
信号を無線で伝送するための前記送信および/または受信デバイス(15)が、前記材料搬送部(3)から離れて位置し、前記非材料搬送部(4)に関連付けられていることを特徴とする塗料スプレーガン(1)。
[2]
上記[1]項に記載の塗料スプレーガン(1)であって、前記塗料スプレーガン(1)が手持ち式塗料スプレーガン(1)の形態であり、および/または操作部の形態の前記非材料搬送部(4)がハンドル(5)を有することを特徴とする塗料スプレーガン(1)。
[3]
上記[1]項または[2]項に記載の塗料スプレーガン(1)であって、前記塗料スプレーガン(1)が圧縮空気接続部(7)を備え、前記圧縮空気接続部(7)から圧縮空気ラインシステムが前記ノズルヘッド(9)につながり、前記圧縮空気接続部(7)が、好ましくは、前記非材料搬送部(4)に配置されていることを特徴とする塗料スプレーガン(1)。
[4]
上記[1]~[3]項のいずれか1項に記載の塗料スプレーガン(1)であって、
前記塗料スプレーガン(1)が、前記送信および/または受信ユニット(15)に直接または間接的に接続された電子部品、すなわち、1つ以上のセンサユニット、1つ以上のアクチュエータユニット、表示ユニット、データ記憶ユニット、データ処理ユニット、および/またはエネルギー貯蔵ユニットのうちの1つ以上を有し、前記1つ以上の電子部品が、好ましくは、前記材料搬送部(3)から離れて位置し、前記非材料搬送部(4)に関連付けられていることを特徴とする塗料スプレーガン(1)。
[5]
上記[1]~[4]項のいずれか1項に記載の塗料スプレーガン(1)であって、前記送信および/または受信デバイス(15)が前記塗料スプレーガン(1)に解放可能に接続されていることを特徴とする塗料スプレーガン(1)。
[6]
上記[1]~[5]項のいずれか1項に記載の塗料スプレーガン(1)であって、少なくとも1つの圧力測定チャネル(19、20)が設けられ、前記塗料スプレーガン(1)の前記材料搬送部(3)の圧縮空気チャンバ(17、18)から圧力センサの形態の電子部品まで通され、前記圧力センサが、前記材料搬送部(3)から離れて位置し、前記非材料搬送部(4)に関連付けられ、前記圧力測定チャネル(19、20)が、好ましくは、少なくとも部分的に、前記塗料スプレーガン(1)の前記材料搬送部(3)および/または前記非材料搬送部(4)の穴により形成されていることを特徴とする塗料スプレーガン(1)。
[7]
上記[1]項の前提部に記載の、特に上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の塗料スプレーガン(1)であって、前記送信および/または受信デバイス(15)が、第1の無線規格、例えばブルートゥース(登録商標)により信号を無線で伝送するように設計され、第2の無線規格、例えばLoRaWAN(登録商標)により信号を無線で伝送するようにさらに設計され、前記第2の無線規格が、好ましくは、前記第1の無線規格よりも広い範囲にわたって信号を無線で伝送するのに適しており、特に、前記送信および/または受信デバイス(15)が、前記第1の無線規格および前記第2の無線規格により信号を伝送するためのアンテナをそれぞれ有することを特徴とする塗料スプレーガン(1)。
[8]
上記[1]~[7]項のいずれか1項に記載の塗料スプレーガン(1)を有する材料塗布システム(28)であって、前記材料塗布システム(28)が少なくとも1つのモジュール(30、31)を有し、前記少なくとも1つのモジュール(30、31)が、前記塗料スプレーガン(1)とは別個であり、前記塗料スプレーガン(1)の送信および/または受信デバイス(15)に対して信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイスを備えることを特徴とする材料塗布システム(28)。
[9]
上記[8]項に記載の材料塗布システム(28)であって、
前記材料塗布システム(28)が少なくとも2つのモジュール(30、31)を有し、
前記少なくとも2つのモジュール(30、31)が、前記塗料スプレーガン(1)とは別個であり、前記塗料スプレーガン(1)の前記送信および/または受信デバイス(15)に対して信号を無線で伝送するための送信および/または受信デバイスをそれぞれ備え、
前記モジュール(30、31)のうちの1つが、塗料スプレーブース(29)において使用するため、および第1の無線規格により前記塗料スプレーガン(1)の前記送信および/または受信デバイス(15)に対して信号を伝送するための近距離モジュール(30)、特に携帯用近距離モジュール(30)の形態であり、ならびに/または前記モジュール(30、31)のうちの1つが、塗料スプレーブース(29)の外部で使用するため、および第2の無線規格により前記塗料スプレーガン(1)の前記送信および/または受信デバイス(15)に対して信号を伝送するための領域モジュール(31)、特に静止領域モジュール(31)の形態であり、
前記第2の無線規格が前記第1の無線規格よりも広い範囲にわたって信号を伝送するのに適しており、前記第2の無線規格が、特に、塗料スプレーブース(29)内部からブースの壁を通して外部へ、またはその逆に信号を伝送するのに適していることを特徴とする材料塗布システム(28)。
[10]
上記[8]または[9]項に記載の材料塗布システム(28)を動作させる方法であって、コーティング作業のための塗料スプレーガン(1)の機器および設定パラメータもしくは他の動作パラメータ、ならびに/または前記塗料スプレーガン(1)により実行されるコーティング作業の設定パラメータもしくは他の動作パラメータの測定値の提案に関する情報が、前記塗料スプレーガン(1)の送信および/または受信デバイス(15)と1つ以上の別個のモジュール(30、31)の1つ以上の送信および/または受信デバイスとの間で信号を伝送することによって伝送されることを特徴とする方法。
[11]
上記[10]項に記載の材料塗布システム(28)を動作させる方法であって、前記塗料スプレーガン(1)による前記コーティング作業の設定パラメータもしくは他の動作パラメータの提案が、前記塗料スプレーガン(1)による進行中のコーティング作業のためのコーティング材料を、例えばバーコードリーダにより識別することに基づいて、ならびに好ましくはさらなる動作パラメータおよび/または環境パラメータに基づいて、好ましくは自動で判定され、前記送信および/または受信デバイスにより、前記1つ以上の別個のモジュール(30、31)から前記塗料スプレーガン(1)へ、および/またはその逆に伝送されることを特徴とする方法。
図1
図2
図3