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特許7593927地下縦型シャフトおよびそれを用いた原子炉
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】地下縦型シャフトおよびそれを用いた原子炉
(51)【国際特許分類】
   G21C 13/00 20060101AFI20241126BHJP
   G21C 13/02 20060101ALI20241126BHJP
   E02D 23/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G21C13/00 300
G21C13/00 750
G21C13/02 200
E02D23/08 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021538365
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019069083
(87)【国際公開番号】W WO2020142500
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】16/237,637
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100186831
【弁理士】
【氏名又は名称】梅澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】ダールグレン,クリスター・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,ダグラス・ビー
(72)【発明者】
【氏名】カービー,タジャナ・ビー
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー,ゲリー エム
(72)【発明者】
【氏名】ハント,ブライアン,エス.
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/204081(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0007589(US,A1)
【文献】特開2013-002838(JP,A)
【文献】特開平09-015360(JP,A)
【文献】特開昭50-032391(JP,A)
【文献】特表2020-518823(JP,A)
【文献】Franklyn C. Rogers,Underground nuclear power plants: environmental and economic aspects,NUCLEAR NEWS,1971年,p.36-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 1/00-1/32
5/00-5/22
11/00-13/10
15/00-15/28
19/00-19/50
23/00
G21D 1/00-9/00
E02D 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
市販の軽水炉(142)用の原子力施設の構築方法であって、
地面よりも高く、かつ内径が10乃至22mであるシャフト(5)の頂部にコンクリートを直接流し込むことによって、原子炉格納容器(143)を作製するステップと、
前記地面を掘削して前記シャフト(5)の底部よりも下方に空間を作製するステップと、
前記シャフト(5)を前記空間内に下ろすステップと、
を含み、
前記シャフト(5)は、運転時及び過渡的な原子炉の状態に曝されたときに物理的特性を保持し、前記シャフト(5)内に収容された前記市販の軽水炉(142)からの漏洩を受けない連続した不透過性のバリアを形成する規制/耐震グレードの連続打設鉄筋コンクリートである、方法。
【請求項2】
前記シャフト(5)は、下側の縦縁に楔(4)を有し、掘削時には前記シャフト(5)に水が供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
地面よりも上方で補助建屋(120、130)用のシャフト(5)の頂部にコンクリートを直接流し込むことによって、補助建屋(120、130)を作製するステップと、
前記補助建屋(120、130)用の前記シャフト(5)の底部よりも下方に地面を掘削して空間を作製するステップと、
前記補助建屋(120、130)用の前記シャフト(5)を前記空間内に下ろすステップであって、前記補助建屋(120、130)用の前記シャフト(5)は、運転時及び過渡的な原子炉の状態に曝されたときに物理的特性を保持する連続したコンクリートである、前記シャフト(5)を前記空間内に下ろすステップと、
前記原子炉格納容器(143)用の前記シャフト(5)と前記補助建屋(120、130)用の前記シャフト(5)とを、前記補助建屋(120、130)と前記原子炉格納容器(143)との間の地下に延在する横接続部(125、126、135、136)で接続するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
各フロアを前記補助建屋(120、130)用の前記シャフト(5)に縦に下ろし、各フロアを前記補助建屋(120、130)用の前記シャフト(5)に取り付けることにより、前記補助建屋(120、130)用の前記シャフト(5)に複数のフロア(115)を設置するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のフロア(115)は、前記複数のフロア(115)を設置する前に、各フロアに設置された異なる設備でモジュール化されており、前記異なる設備は、いずれも耐火等級を共有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シャフト(5)の鉛直下方にベースマット(6)を流し込むステップをさらに含み、
前記ベースマット(6)は、放射性成分の前記地面への更なる再配置を防止するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シャフト(5)に前記市販の軽水炉(142)を設置するステップをさらに含み、
前記市販の軽水炉(142)の外径が22m未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記市販の軽水炉(142)は、受動冷却系として隔離用凝縮器を用いる簡易型沸騰水型原子炉、ナトリウム冷却高速炉、小型モジュール炉のうちの少なくとも1つである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記設置するステップは、前記市販の軽水炉(142)を地面よりも完全に下方に設置する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記シャフト(5)によって形成されるとともに10乃至22mの内径を有する原子炉格納容器(143)と、
前記原子炉格納容器(143)内に収容された原子炉(142)であって、前記シャフト(5)が、運転中および過渡的な原子炉の状態に曝されたときにその物理的特性を保持し、前記シャフト(5)内に収容された原子炉(142)からの漏出を受けない連続した不透過性のバリアを形成する規制/耐震グレードの連続打設鉄筋コンクリートであり、前記原子炉格納容器(143)が、前記原子炉格納容器(143)を包囲する地面(90)よりも鉛直下方に延びている、原子炉(142)と、
を備える、請求項1に記載の方法によって構築された原子力施設(100)。
【請求項11】
前記原子炉格納容器(143)が、前記シャフト(5)の鉛直方向の底部を封止するベースマット(6)を含む、請求項10に記載の原子力施設(100)。
【請求項12】
前記原子炉(142)が全体的に前記地面(90)よりも下にある、請求項10に記載の原子力施設(100)。
【請求項13】
縦型シャフト(5)に含まれる補助建屋(120、130)と、
前記補助建屋(120、130)と前記原子炉格納容器(14)との間に設けられる横方向接続部(125、126、135、136)と、
をさらに備える、請求項10に記載の原子力施設(100)。
【請求項14】
前記補助建屋(120、130)は、互いに縦に分離されるとともに前記補助建屋(120、130)の前記縦型シャフト(5)に接合された複数のフロア(115)を含み、前記補助建屋(120、130)内の全ての設備は、耐火等級を共有する、請求項13に記載の原子力施設(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
地下縦型シャフトおよびそれを用いた原子炉
【背景技術】
【0002】
図1は、縦型シャフト沈み込み機(VSM)のような、従来の深軸施工システム1の模式図である。また、図1に示すように、支持コンクリート用リングビーム2は、縦型シャフトに求められる領域の頂部に形成されていてもよい。次に、リングビーム2の途中で切断加工機10を下降させる。そして、回転可能なカッタブーム11及びカッタドラム12は、地面のエッジ及び底、土砂、岩石、クレー等を掘削することができる。シャフト用空間5を形成する。
【0003】
同時に、シャフト5の積層体の頂部に、プリキャストシャフトセグメント3または本来の場所の(in situ)コンクリートを配置してもよい。このように、掘削機10が下降して掘削することにより、シャフト5も伸縮する。なお、シャフト5の底部に設けられた一体の切れ刃4は、地面を分割し、シャフト5の上下方向の変位を許容するものであってもよい。ストランドジャック40は、切れ刃4によってシャフト5を昇降させ、シャフト5の下降を制御する。ウインチ20は、同様に、機械10を所望の掘削深さにリフトさせるとともに、機械10に動力及び制御を与えることができる。スラリーステーション30は、シャフト5から第1の材料を吸引して処理してもよい。
【0004】
掘削時には、シャフト5に水が充填されており、カッタブーム11及びドラム12は水中である。これにより、掘削採取や加工の補助と、空気が充填された場合に発生するシャフト5への地水漏れを防止することができる。このように、機械10で空間を形成しつつ、シャフト5を連続的に形成して下降させることができ、より迅速にコンクリートライニングを有する深さの深い軸を形成することができる。シャフト5は、直径4.5~22m、深さ80 mまでとすることができる。従来の深軸施工システム1の一例としては、「Herrenknect VSM」で説明したように、ハーネニーグリップ(Herrenknect)VSMであり、ここにはその全体を参照して組み込まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、原子炉を用いた発電プラントのように、シャフトを上下に形成し、シャフトを下降させて鉛直下方に立設された1本以上の縦型シャフトを用いて発電プラント等の原子力プラントを構成することも可能である。前記シャフト作成工程は、前記シャフトの下で地面を掘削し、前記シャフトを地面として鉛直方向に下降させる縦軸型のものを用いてもよい。シャフト上のブレードやウェッジは、この垂直降下を容易にすることができる。このシャフトの底部にベースマットを流し込むことで、くさびを覆い、反応器の部品を支持することができる。また、上記ベースマットは、上記ベースマット上に落下し得る過熱状態の原子炉デブリスによる上記ベースマットの劣化を防止するための材料で被覆されていてもよい。これにより、シャフトによって形成される原子炉及び建物全体を地下にすることができる。また、掘削及び下降によって形成される縦型シャフトは、直径が22 m以下と小さくてもよいので、原子炉格納構造に沿った小型の反応器、例えば、進角反応器、小型モジュール反応器、プリズム、BWDX-300等、このような軸に嵌合可能なものであってもよい。また、追加のプラントシステムは、さらに軸に配置され、軸を通る水平トンネルを介して連結されていてもよい。例えば、1つのシャフトが特定のクラスの安全機器を含み、他のシャフトが安全区分のない発電設備を含み、他のシャフトが他の機器の安全クラスに基づいて外嵌されてもよい。
【0006】
縦型シャフトによって形成された建物は、予めインストールされて出荷された機器とモジュール化されて設置される可能性があるモジュールフロアを利用することができる。各フロアは、適宜のシャフト内に鉛直方向に下降してシャフトの壁に取り付けられていてもよい。軸壁に沿って連結を行うことで、フロア間に機器を接続することができる。フロアは、モジュール化や製造が可能であるため、製造、出荷、フロアの設置などは、それを収容する縦型シャフトの構成と干渉しない場合がある。VSM等の安価な方法を用いて、シャフトを速やかに作製し、連結した縦型シャフトの一連のフロアに全てのプラント設備を速やかに設置することができる。また、実施の形態は、添付図面を参照しながら詳細に説明されるが、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来の深軸構築システムの説明図である。
図2】縦型シャフトを用いた原子力施設の一例を示す平面図である。
図3】縦型シャフトを用いた原子力施設の一例のプロファイル図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
これは、特許文献であるため、一般的には、読み出し時に構築の広いルールを適用する必要がある。なお、この文献に記載されている説明は、特許請求の範囲に記載された事項の一例であって、以下の特許請求の範囲に記載の主題の一例である。なお、本明細書に開示される具体的な構成および機能の詳細は、あくまで例示であって、例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。ここに開示されていない幾つかの実施形態及び方法は、請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0009】
なお、順序は、「第1」、「第2」等である。本明細書では、種々の要素を説明する場合があるが、これらの要素は、これらの観点から何ら限定されるものではない。なお、これらの用語は、1つの要素を区別するために用いられるものであり、「第2」以上の規則が存在する場合には、その要素の数は、特に限定されるものではなく、多くの要素を必要とする。例えば、第1の素子を第2の素子と称し、同様に第2の素子を第1の素子と称することもできる。本明細書において、「AND」、「OR」及び「AND/OR」とは、1つの項目、又は、複数の項目、又は、全ての項目が存在することが明示されていない限り、対応する1つ以上の項目の全ての組み合わせを含む。「ETC」とは、「ET 1」と定義されており、「AND/OR」の組み合わせにおいて、同じグループに属する他の全ての要素が包含されていることを示す。
【0010】
なお、要素を「接続」、「嵌合」、「装着」、「固定」等という。他の元素には、他の元素と直接結合していてもよいし、介在元素が存在していてもよい。一方、要素を「直接接続」、「直結」等と呼ぶ。他の元素には介在元素が存在しない。また、要素間の関係を説明するために用いる他の用語は、同様に解釈されるべきものである(例えば、「間」-「直接間」、「隣接」-「直接隣接」等)。同様に、「通信可能に接続されている」等の用語には、無線で接続されている仲介装置やネットワーク等を含む、2つの電子機器間での情報交換やルーティングのバリエーションが全て含まれる。
【0011】
本明細書において、「A」、「AN」、「THE」は、特にそうでない旨明示した場合を除き、単数又は複数の態様を含むものとする。「A」、「AN」のような不定冠詞は、いずれも先に導入されたものであり、「THE」のような定冠詞は先のものと同一のものを意味する。このように、「A」又は「AN」は、以前に導入したものと同じものを改変し、定冠詞は、直前に提示したものと同じものを改変したものであることが理解される。また、本明細書において、「含む」等とは、記載された構成、特徴、工程、構成要素、及び/又は、構成要素の存在を特定するものであり、1つ以上の他の特徴、工程、動作、構成要素、及び/又は、それらのグループの存在の有無を意味するものとする。
【0012】
なお、以下に説明する構成及び動作は、図面に記載された順序に沿って行われてもよいし、異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つの動作および/または図形は、その機能・機能に応じて、同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよい。同様に、以下に説明する実施例の各動作は、以下に説明する1つの動作とは別に、ループ等の一連の動作を行うために、繰り返し実行されてもよいし、逐次的に実行されてもよい。なお、以下で説明する特徴や機能を有する実施形態や方法は、いずれの実施形態も本発明の範囲に含まれるものとする。
【0013】
本明細書において、「軸方向」及び「垂直」方向は、原子炉の長軸に沿った上下方向が同一であり、重力方向を向いている場合が多い。「横」方向は、「軸方向」と直交し、特定の軸方向高さでは、第1方向である。
【0014】
発明者らは、地上構造の大きな従来の反応器は、航空機が当たることによる事故ベクトル、天候、アクセス可能な位置によって促進される攻撃、周囲の雰囲気への放射性漏洩を示すことを新たに認識した。本発明者らは、上記のようなリスクを回避するために、地下のトンネリングや縦型施工に伴う極コストをさらに認識した。図1で説明した軸構成を有する従来のVSMは、より経済的であるが、従来の商業用原子力プラントでは、全てのプラント部品を1本の縦型シャフトに配置することで、分離安全ガード及び/又はVSMで使用可能なスペースよりも多くのスペースを必要とし、また、地上で数感応システムを稼働させなければならず、プラントのさらなる小型化を図ることができる。以下に説明する実施の形態は、本発明者らが見出した課題等を解決するために独自に解決可能なものである。
【0015】
本発明は、縦型シャフトを用いた原子力施設及びその構築方法である。なお、以下に説明する幾つかの実施形態及び実施例は、本発明に係る種々の異なる構成の部分集合を例示したものである。
図2は、原子力プラント等の原子力施設100の一例を示す図である。図2に示すように、複数の縦型シャフト5は、各種の植物部品を収容するために用いられる。シャフト5は、従来の図1の深軸構成体1を用いて作製されており、例えば、図1で説明したように、シャフト5を、VSMを用いて平行移動させてもよい。このように、シャフト5は、地下に10~22 m程度、深さが50~80 m程度の大きさであってもよく、多くのプラント部品を収容することができる。シャフト5は、シャフト5を形成するように順に積層された1つのセグメントから構成されていてもよいし、原子炉または感温性の核部品を収容する場合には、連続した非通気性のバリアを形成する連続的に注入された連続的に注入されたリバーを構成していてもよい。例えば、図2に示すように地下であれば、極めて小さな打撃対象を提示したり、表面の衝撃や爆発に対して硬化させたりすることができる。また、地下であれば、実施の形態設備100は、放射性の開放を抑制し、緊急冷却の場合にフラッディングを容易にすることができる。
【0016】
中央原子炉建屋110は、シャフト5とベースマット6とで構成され、原子炉142と、原子炉格納容器143と、制御棒や関連する駆動装置などの近接に関連する安全クラスI機器とを収容している。原子炉建屋110内のシャフト5は、原子炉環境に適合する材料、例えば、ステンレス鋼や鉄合金等の高温材料や放射線に曝された際に、その物性を維持する材料、アルミニウム合金、ジルコニウム合金、高品質コンクリート等を含んで構成されている。シャフト5は、シャフト5を挟んで任意の方向に微小な漏れを確保するメータ等の厚さで作製されてもよい。例えば、原子炉建屋110は、VSM等を用いて掘削を行っている間に、強震のシャフト5と防漏コンクリートとを連続して連続的に注湯し、下降している弁輪に鉄筋を入れてもよい。シャフト5には、施工時又は施工後に、ステンレス鋼板及び/又は追加の放射線遮蔽材が順次付加されていてもよい。
【0017】
原子炉142は、建屋110内に収まる大きさのものであればどのようなものであってもよく、総直径が22 m以下である可能性がある。例えば、原子炉142は、次に記載されているような単純な沸騰水型原子炉であってもよい。「市販の発電のための非常に簡略化された沸騰水型原子炉」、2017年5月2日、米国共同特許出願番号15/585,162、HUNT、DAHLGREGN、Marquino。「非常に簡便な沸騰水型原子炉のためのアイソレーション凝縮器システム」、2017年6月28日、15/635,400、HUNT、DAHLGREGN、Marquino。15/677,380、HUNT、DAHLGREGN、Marquino、2017年8月15日に記載されている。
このような簡素化された反応器およびそれに付随する積分弁は、シャフト5で囲まれた小型の建屋110に、深軸施工システムで形成された22 m径まで嵌め込まれていてもよい。もちろん、小型のシャフト5の反応器142には、他のプリズムやLWRの小さいモジュール反応器が用いられてもよく、さらに、ESBWRのような従来の大型の反応器は、シャフト5が大きい設備100に使用可能であり、22 mを超えてしまう可能性がある。
【0018】
原子炉建屋110内のベースマット(BaseMAT)6は、シャフト5の底部にコンクリートを流し込むことができる。なお、シャフト5作成するVSMとの接続では、ベースマット6を直接、シャフト5の掘削・下降に追従させるようにしてもよい。また、ベースマット6には、5月23日公表第2011/0150165号公報に記載されているような反応器142外への炉心再配置の起こりにくく、図2に示すように2011/0150165号公報、2011年6月23日に記載されているような炉142外への炉心再配置を緩和するための特徴や、追加体積が不要な反応器142の下方に、ベースマット6までの一部が充填されていてもよい。原子炉建屋110のベースマット6及びシャフト5は、いずれも地下又は部分的に埋設されていてもよい。
【0019】
原子炉格納容器143は、建屋110内の反応器142を囲むことで、反応器142の更なる保護を図ることができる。原子炉格納容器143は別構造として示されているが、弾性材料と非浸透性の規格とを用いて作製した場合には、シャフト5の壁自体が原子炉の格納境界(または追加格納境界)となっていてもよい。原子炉建屋110及び/又は原子炉格納容器143を収容する原子炉建屋110及び/又は原子炉格納容器143の周囲には、コンクリート製の蓋体、表面建築物等の面シールド層が設けられていてもよい。なお、反応器142は、この蓋を介してメンテナンスや施工時にアクセス可能であってもよい。また、建屋100の上方には、図2に示すように、非常時及び/又はパッシブアイソレーション用のコンデンサシステム300や、緊急用の冷却プール等の冷却水やオペレーティングシステムが配置されていてもよいし、後述する他の補助建屋120、130内に配置されて、反応器142と接続されていてもよい。
【0020】
また、1つの縦孔およびシャフト5は、原子炉に関連する全ての系統、特にVSMを用いて22メートル径以下に限定される場合に、限定されてもよい。この場合には、他の反応器部品を設置して地上で動作させてもよい。また、本実施の形態の設備100では、複数のシャフト5を用いて、各種の反応器と発電設備とを全て収納して接続可能な複数の個別の建物110、120、130、140を作成してもよい。勿論、上述したように、より大きな軸を作成することで、実施例設備100では、単一の軸に全ての反応器部品とプラント設備を収容することができる。
【0021】
また、幾つかの機器は、補助ビル120、130内に位置していてもよいし、原子炉建屋110を中心としてシャフト5、地下で形成されていてもよい。例えば、1つの補助建屋120は、原子炉冷却水浄化システム及び制御棒駆動ポンプを収容していてもよいし、他の補助建屋130は、主冷却水ループのための発電タービン及び凝縮器を備えていてもよい。制御建屋140は、同様に形成され、使用済みの燃料プール、制御室等を収容してもよい。あるいは、補助ビル120、130および制御ビル140は、機器の任意の分割を含んでもよいし、原子炉建屋110に関する任意の数および配置であってもよい。建物120、130、140は、核規制や設備特性に定義されているように、核安全要件および/または危険度に基づいて装備されていてもよい。例えば、補機建屋120は、耐火設備を備えていてもよく、そのような設備には、広範な火災保護システムが設置されていてもよいし、補助ビル130は、そのようなシステムを備えていない。また、震度、放射線制御、透過率等の同様の区分も、異なる建物120、130、140、・・・で利用されてもよい。
【0022】
横貫通軸125、126、135、136は、シャフト5の孔を介して建物110、120、140、140間に必要な接続を設けることができる。あるいは、図2に示すように、制御建物140のように、水平方向にはなく、建物の一部が隔離されていてもよい。一例として、横貫通軸125は、主蒸気脚を反応器142から補助建屋120内のタービン及び復水器に接続してもよい。また、例えば、横貫通軸126は、原子炉142の下方の制御棒を補助建屋130内の動力源に接続してもよい。横貫通軸125、126、135、136は、シャフト5と同様の工程を経て形成されてもよいし、地下であってもよい。これらの軸は、他の水平ボーリングおよび/またはトンネルによって形成されていてもよいし、垂直ボーリングよりもはるかに小さく、または困難となり、例えば3メートル径の流路を形成してもよい。横貫通軸125、126、135、136は、原子炉建屋110のアイソレーションおよび原子炉格納を維持するために、鋼ライニングその他の放射線制御を含む調整系シールや安全系を用いてもよい。
【0023】
図3は、地上90の下の建物110、120、130の部分集合を示すプラント100の一例のプロファイル図である。また、図4に示すように、補助ビル120、130は、特定の軸方向高さに複数の段やフロア115を有していてもよい。各フロア115は、その軸方向に適した機器を収容して支持することができる。例えば、横貫通部125は、建屋130内において、主蒸気脚とフロア115に収容されたタービンとを同じ軸方向に連結してもよい。隣接フロア115は、低圧タービン及び/又は凝縮器を収容していてもよい。このように、複数のフロア115を挟んで1つの建屋内に特定のプラント部品と、第2の発電システムとが上下に配置されていてもよい。
【0024】
フロア115は、モジュール化された後、1つの片に設置されてもよい。例えば、機器がプリインストールされた全フロアをシャフト5を構成する地面90に出荷し、天井クレーン等のように各フロア115を順次下降させて、設置されたシャフト5に取り付けるようにしてもよい。このように、フロア115は、全体として構成されていてもよいし、必要な全ての機器や接続部であってもよいし、シャフト5内の部位に1つのピースとして設置されるシャフト5とされていてもよい。あるいは、フロア115は、シャフト5と平行に構成されていてもよいし、同一であってもよいし、最終的な仰角で完成するように構成されていてもよい。フロア115は、シャフト5に直接固定されたキー溝、バットレス、押し出し成形品116にシート状に固定されており、フロア115の周囲の幾つかの周縁に潜在的に形成されている。このような押出材116は、フロア115とシャフト5とを免震することができる。フロア115は、固体であってもよいし、隣接するフロア115上の人流路や設備接続のための流路であってもよい。また、フロア115は、かなり同一であってもよいし、モジュール化されたものであってもよいし、大規模な第2の構成をさらに補助するものであってもよい。
【0025】
各種建物のシャフト5は、VSMを用いた掘削と並行して構成することができるので、電気的接続、配管、データ線等の追加的なシステムを構築することができる。また、施工時又は後下降時にシャフト5の壁に添加してもよい。例えば、シャフト5の壁に沿ったフロア115と、隣接する2つのフロア115上のシステムとの間に、HVAC、電気、冷水を配管してもよい。なお、隣り合うフロア115間の配管は、シャフト5自体を上下に昇降させて掘削と並行して下降させるようにして、シャフト5に沿って昇降させるようにしてもよい。このように、フロア115間の全てのシステムがシステムとして接続され、フロア115自体が設置されてもよい。
【0026】
このように、本実施の形態の設備100を構成するVSMを用いることにより、複数のシャフト5や関連する建物を比較的安価に作成することができる。これらの建物は、適切な接続により、地上露光の少ない分割型原子力発電プラントとして動作することができる。シャフト5の小型化及び全体の上下方向の向きは、平行構造を阻害することがなく、シャフト5にフロア115を組み付けてモジュール化することができる。
当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または置換例に想到し得ることは明らかである。例えば、地上の異なる建物の数は、例えば、施設であれば何台であってもよい。このような変形は、特許請求の範囲から逸脱するとは限らない。
図1
図2
図3