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特許7593931電池モジュールとこの電池モジュールを備える電動車両及び蓄電装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電池モジュールとこの電池モジュールを備える電動車両及び蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/284 20210101AFI20241126BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20241126BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241126BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241126BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241126BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20241126BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241126BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20241126BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241126BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20241126BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241126BHJP
   H01M 50/35 20210101ALN20241126BHJP
【FI】
H01M50/284
H01M50/569
H01M50/262 Z
H01M50/262 M
H01M50/249
H01M10/44 P
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H01M50/262 S
H01M50/593
H01M50/588
H01M50/251
H01M50/209
H01M50/35 101
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021550367
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2020028032
(87)【国際公開番号】W WO2021065160
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2019180640
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 準也
(72)【発明者】
【氏名】國光 智徳
(72)【発明者】
【氏名】中山 正人
(72)【発明者】
【氏名】濱田 泰輔
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/042913(WO,A1)
【文献】特開2012-256521(JP,A)
【文献】特開2013-179094(JP,A)
【文献】特開2013-140055(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0042463(KR,A)
【文献】特開平11-283590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/392
H01M50/50-50/598
H01M10/42-10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを積層してなる電池積層体と、
前記電池積層体の積層方向の両端部に配置してなる一対のエンドプレートと、
一対の前記エンドプレートを連結してなるバインドバーと、
前記電池セルの電圧を検出する電圧検出回路を実装してなる電子回路ブロックと、
を備える電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが前記エンドプレートの表面に配置されており、
前記電子回路ブロックが、無線通信回路を備え、
前記エンドプレートが、前記電子回路ブロックの外周縁をシールドするシールド凸部を一体構造に備えることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載する電池モジュールであって、
前記電池モジュールが、
前記電池セルの端子面に対向してガスダクトを配置してなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが、
前記エンドプレートの外側表面に熱結合状態で固定されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載する電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックの外形が、
前記エンドプレートの外形よりも小さく、
前記電子回路ブロックが、前記エンドプレートの外周縁から突出することなく表面に配置されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載する電池モジュールであって、
前記エンドプレートが金属製であることを特徴とする電池モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載する電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが、
前記エンドプレートに絶縁状態で固定されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載する電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが、
前記電池セルの均等化回路を備えることを特徴とする電池モジュール。
【請求項8】
複数の電池セルを積層してなる電池積層体と、
前記電池積層体の積層方向の両端部に配置してなる一対のエンドプレートと、
一対の前記エンドプレートを連結してなるバインドバーと、
前記電池セルの電圧を検出する電圧検出回路を実装してなる電子回路ブロックと、
を備える電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが、前記エンドプレートの表面に配置されており、
前記エンドプレートを固定してなるベースプレートを備え、
前記ベースプレートが、前記エンドプレートの外側表面から突出してなるブラケットを有し、
前記電子回路ブロックが、平面視において、前記ブラケットの先端縁から外側面に突出しない形状であり、
前記電子回路ブロックが下部が前記ブラケットに固定されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項9】
請求項に記載する電池モジュールであって、
前記ブラケットが、
固定穴を有し、
前記電子回路ブロックが、
平面視において前記固定穴と異なる位置に配置されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項10】
請求項又はに記載される電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが、
上縁部の一部が局部的に前記エンドプレートに固定されて、
下部が前記ブラケットに固定されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項11】
請求項1ないしのいずれかに記載する電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが、
前記エンドプレートに局部的に固定されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載する電池モジュールであって、
前記電子回路ブロックが、
ゴム状弾性体を介して前記エンドプレートの表面に固定されてなることを特徴とする電池モジュール。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の電池モジュールを備える電動車両であって、
前記電池モジュールと、
該電池モジュールから電力供給される走行用のモータと、
前記電池モジュール及び前記モータを搭載してなる車両本体と、
前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪と
を備えることを特徴とする電動車両。
【請求項14】
請求項1ないし12のいずれかに記載の電池モジュールを備える蓄電装置であって、
前記電池モジュールと、
該電池モジュールへの充放電を制御する電源コントローラと
を備え、
前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記電池セルへの充電を可能とすると共に、該電池セルに対し充電を行うよう制御することを特徴とする蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを複数接続した電池モジュールとこの電池モジュールを備える電動車両及び蓄電装置に関し、特にハイブリッド車、燃料電池自動車、電気自動車、電動オートバイ等の電動車両に搭載されて車両を走行させるモータの電池モジュール、あるいは家庭用、工場用の蓄電用途等に使用される大電流用の電源に電力を供給する電池モジュールとこの電池モジュールを備える電動車両及び蓄電装置に関する。
本明細書において「電池モジュール」は、複数の電池セルの両端面にエンドプレートを配置して一対のエンドプレートをバインドバーで連結し、電池セルの電圧を検出する電圧検出回路を備える全ての電池モジュール、たとえば電池の充放電回路等、電池の制御回路を内蔵しない「電池パック」等を含む広い意味に使用する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池セルを備える電池モジュールは、ハイブリッド自動車や電気自動車など車両用の電池モジュールや、工場用、家庭用などの蓄電システムの電源などに利用されている
(例えば特許文献1参照)。
このような電池モジュールの一例を図12の分解斜視図に示す。この図に示す電池モジュール900は、複数の電池セル901を積層して電池積層体902とし、この電池積層体902の両端面にエンドプレート903を配置して、一対のエンドプレート903をバインドバー904で締結して電池セル901を固定している。各電池セル901は、正負一対の電極端子911を上面の端子面910に配置している。正負の電極端子911はバスバー914を介して電気的に接続して、電池セル901を直列や並列に接続している。
【0003】
また、電池積層体902の上面には、電池セル901の上面の端子面910の排気弁901aからの排出ガスを案内するためのガスダクト905を配置している。ガスダクト905は、各電池セル901の排気弁901aから噴出される排出ガスを内部に流入させる流入穴(図示せず)を設けている。さらに、ガスダクト905の上面には、各電池セル901に接続している回路基板906を配置している。
【0004】
ガスダクトは、電池セルの排気弁から排出される高温・高圧の排出ガスを外部に排気するために設けられる。排気弁は、内圧が設定値まで上昇すると開弁して、電池ケースの破裂を防止する。この排気弁は、電池の内圧が異常に高くなることを検出して開弁するが、電池セルの内圧は、過充電や過放電、さらに内部短絡などが発生して、電池セル内部で燃焼事象が発生して異常に高くなるので、排出ガスは高温・高圧となる。電池セルから噴出される高温・高圧の排出ガスは、周辺部材を燃焼する等の悪影響を与える。ガスダクトは、排出ガスを外部にスムーズに排気するために電池セルの端子面に配置されるが、電池セルの端子面には、電子部品を実装する回路基板も配置され、この回路基板も高温・高圧の排出ガスで基板が燃焼するなどの悪影響を受ける。さらに回路基板は、電池セルの保護回路を実現する電圧検出回路も実装しているが、これ等の電子部品も高温・高圧の排出ガスによる悪影響を受ける。さらにまた、電池セルの端子面には、電池セルを回路基板に接続するコネクタやリード線も配置されるが、高温・高圧の排出ガスは、コネクタやリード線を燃焼し、これ等の燃焼熱が電池セルを連鎖的に発煙、発火させて、安全性を低下させる原因となる。
【0005】
排出ガスが異常な高温・高圧であることから、ガスダクトが完全にガスを外部に排出することは難しい。回路基板は、ガスダクトによって電池セルの端子面から分離されているが、ガスダクトから漏れる排出ガスによって、回路基板を燃焼させる等、熱傷害をさらに大きくする可能性がある。さらに、排出ガスには、電池セル内部の金属片などの異物が含まれ、これ等が回路基板の電子回路をショート故障させるなどの原因ともなる。
【0006】
さらに、電池モジュールは、全ての用途においてほとんど例外なく全体を小型化することが要望される。単位容積に対する充放電の容量を大きくして高性能化するためである。ところが、電池セルの端子面には、多数の部品が配置されるため、端子面からの高さを低くすることが難しい。具体的には、端子面に配置される部品としては、排出ガスを排出するためのガスダクト、端子面から突出する電極端子、隣接する電極端子同士を接続するための金属板のバスバー、電子部品を実装する回路基板、回路基板と電池セルを接続するリード線、高電圧な電池積層体から部品を絶縁するための絶縁材などがある。これらの部品の多くは、互いに干渉しないように配置する必要がある。
【0007】
電池セルの端子面に、ガスダクト、回路基板、リード線等の多数の部品を配置する電池モジュールは、部品配置の改良だけでは、電池モジュールの高さを低くして小型化することが難しく、回路基板が実質的に電池モジュールの体積、とくに高さを大きくする弊害となっている。一方、回路基板を薄く小型化すると、回路基板に実装する発熱部品の熱エネルギーを効率よく放熱できない欠点が顕著になる。回路基板には、半導体素子や放電抵抗などの発熱部品が実装されるので、熱エネルギーを効率よく放熱して、発熱部品の温度上昇を設定温度よりも低くすることは極めて大切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2014/024452号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の弊害を防止することを目的に開発されたもので、本発明の目的の一は、高温・高圧の排出ガスから、電圧検出回路を備える電子回路ブロックを保護して高い安全性を実現し、さらに電子回路ブロックを効率よく放熱できる電池モジュールと、この電池モジュールを備える電動車両及び蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様に係る電池モジュールは、複数の電池セルを積層してなる電池積層体と、電池積層体の積層方向の両端部に配置してなる一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結して電池セルを固定してなるバインドバーと、電池セルの電圧を検出する電圧検出回路を実装してなる電子回路ブロックとを備えており、電子回路ブロックをエンドプレートの表面に配置している。
【0011】
本発明のある態様に係る電動車両は、上記電池モジュールと、電池モジュールから電力供給される走行用のモータと、電池モジュール及びモータを搭載してなる車両本体と、モータで駆動されて車両本体を走行させる車輪とを備えている。
【0012】
本発明のある態様に係る蓄電装置は、上記電池モジュールと、電池モジュールへの充放電を制御する電源コントローラとを備えて、電源コントローラでもって、外部からの電力により電池セルへの充電を可能とすると共に、電池セルに対し充電を行うよう制御している。
【発明の効果】
【0013】
以上の電池モジュールは、高温・高圧の排出ガスから電圧検出回路を備える電子回路ブロックを保護して高い安全性を実現して、電子回路ブロックを効率よく放熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態にかかる電池モジュールの斜視図である。
図2図1に示す電池モジュールの分解斜視図である。
図3図1に示す電池モジュールを下側から見た分解斜視図である。
図4図1に示す電池モジュールのIV-IV線断面図である。
図5図1に示す電池モジュールの端部を示す平面図である。
図6図5に示す電池モジュールのVI-VI線断面図である。
図7】電子回路ブロックの一例を示す回路図である。
図8】エンドプレートと電子回路ブロックの連結構造の他の一例を示す拡大平面である。
図9】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電池モジュールを搭載する例を示すブロック図である。
図10】モータのみで走行する電気自動車に電池モジュールを搭載する例を示すブロック図である。
図11】蓄電装置に電池モジュールを使用する例を示すブロック図である。
図12】従来の電池モジュールの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0016】
本発明の第1の実施態様の電池モジュールは、複数の電池セルを積層してなる電池積層体と、電池積層体の積層方向の両端部に配置してなる一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結してなるバインドバーと、電池セルの電圧を検出する電圧検出回路を実装してなる電子回路ブロックとを備え、電子回路ブロックをエンドプレートの表面に配置している。
【0017】
以上の電池モジュールは、電池セルの排気弁が噴出する高温・高圧の排出ガスから回路基板を保護しながら、電池モジュールを小型化して単位容積に対する充放電の容量を大きくでき、さらに、電圧検出回路を実装する電子回路ブロックの熱エネルギーをエンドプレートや外部に効率よく放熱して、電子回路ブロックの温度上昇を少なくできる特長がある。とくに、以上の構造は、電子回路ブロックを垂直姿勢でエンドプレートの表面に配置できるので、電子回路ブロックの表面をスムーズに空気が対流して効率よく放熱できる特長がある。また、エンドプレートで、高温・高圧の排出ガスから遮断される電子回路ブロックは、排気弁が開弁する電池セルの異常な使用状態においても、正常な動作状態として高い安全性を確保する。電子回路ブロックの熱エネルギーを効率よく放熱できる特性は、電子回路ブロックを小型化しながら温度上昇を小さくできる特長も実現する。電子回路ブロックが実装する電子部品の温度上昇も小さくして、電子部品の安定な動作が保証できる特長も実現する。
【0018】
本発明の第2の実施態様の電池モジュールは、電池セルの端子面に対向してガスダクトを配置している。
【0019】
以上の電池モジュールは、電圧検出回路を実装する電子回路ブロックを電池セルの端子面に配置する必要がないので、電池セルの端子面にはガス流路を大面積とするガスダクトを配置して、高温・高圧の排出ガスをより速やかに排気できる特長がある。排出ガスを内部にスムーズに流動できるガスダクトは、排出ガスの漏れも防止して、ダクト外に漏れるガスによる弊害、すなわち、漏れガスによるコネクタやリード線の燃焼を阻止し、このことによる電池セルの連鎖的な発煙や発火を阻止して、高い安全性を角保できる特長も実現する。さらに、電子回路ブロックがガスダクトの近傍に配置されないので、排出ガスに含まれる金属片などの異物による電子回路ブロックのショート故障の発生を抑制することができる。
【0020】
本発明の第3の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックを、エンドプレートの外側表面に熱結合状態で固定している。
【0021】
以上の電池モジュールは、電子回路ブロックの発熱エネルギーを効率よくエンドプレートに熱伝導して、電子回路ブロックの温度上昇を少なくできる特長がある。とくに、エンドプレートは、複数の電池セルを固定する強靭な構造が要求されることから、重くて熱容量が大きく、電子回路ブロックの発熱エネルギーの吸収量が大きい。このため、電子回路ブロックの熱エネルギーを効率よく吸熱して温度上昇を小さくする。
【0022】
本発明の第4の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックの外形が、エンドプレートの外形よりも小さく、電子回路ブロックを、エンドプレートの外周縁から突出することなく表面に配置している。
【0023】
以上の電池モジュールは、電子回路ブロックをエンドプレートに配置しながら、これがエンドプレートの外周が突出しないので、電子回路ブロックが、電池モジュールの外形を大きくすることがない。
【0024】
本発明の第5の実施態様の電池モジュールは、エンドプレートを金属製としている。
この電池モジュールは、金属製のエンドプレートによって電子回路ブロックの熱エネルギーをより効率よく放熱できる特長がある。それは、金属製のエンドプレートが優れた熱伝導特性と大きな熱容量を有し、電子回路ブロックの熱エネルギーを効率よく吸収して放熱するからである。
【0025】
本発明の第6の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックを、エンドプレートに絶縁状態で固定している。
【0026】
本発明の第7の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックが、電池セルの均等化回路を備えている。
【0027】
以上の電池モジュールは、電子回路ブロックの均等化回路の発熱部品をエンドプレートで効率よく放熱できるので、均等化回路で速やかに電池セルを均等化できる特長がある。それは、均等化回路の消費電力を大きくして、電池セルを大電流で放電して、高電圧の電池セルの電圧を速やかに低下できるからである。均等化回路は、高電圧の電池セルを放電して電圧のアンバランスを解消し、あるいは高電圧の電池セルで低電圧の電池セルを充電して均等化する。高電圧の電池セルを放電して均等化する回路は高電圧の電池セルを放電抵抗で放電し、高電圧の電池セルで低電圧の電池セルを充電する均等化回路は、高電圧の電池セルから低電圧の電池セルに電力を供給して均等化する。放電抵抗で電池セルを放電して均等化する回路は、電池セルを放電する放電抵抗と、この放電抵抗の放電電流をコントロールする半導体素子が発熱する。この回路は、放電抵抗と半導体素子の熱エネルギーを効率よく放電する構造として、放電抵抗と半導体素子の放電電流を大きくして均等化する時間を短縮できる。放電電流を大きくすると発熱量も大きくなるので、効率よく放電して放電電流は大きくできる。また、高電圧の電池セルで低電圧の電池セルを充電する均等化回路は、高電圧の電池セルから低電圧の電池セルへ充電する電流をコントロールする半導体素子が発熱するので、この半導体素子の電流を大きくして、均等化する時間を短縮できる。
【0028】
本発明の第8の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックが、無線通信回路を備えている。
【0029】
本発明の第9の実施態様の電池モジュールは、エンドプレートが、電子回路ブロックの外周縁をシールドするシールド凸部を一体構造に備えている。
【0030】
本発明の第10の実施態様の電池モジュールは、エンドプレートを固定してなるベースプレートを備え、ベースプレートが、エンドプレートの外側表面から突出してなるブラケットを有し、電子回路ブロックが、平面視において、ブラケットの先端縁から外側面に突出しない形状としている。
【0031】
以上の電池モジュールは、エンドプレートに電子回路ブロックを固定しながら、平面視の外形はベースプレートよりも大きくならない。したがって、この電池モジュールは、小型化しながら電子回路ブロックを理想的な位置に配置できる特長がある。
【0032】
本発明の第11の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックが、下部をブラケットに固定している。
以上の電池モジュールは、小型化しながら、電子回路ブロックを確実にベースプレートに固定できる特長がある。
【0033】
本発明の第12の実施態様の電池モジュールは、ブラケットが固定穴を有し、電子回路ブロックを、平面視において固定穴と異なる位置に配置している。
以上の電池モジュールは、エンドプレートに電子回路ブロックを固定しながら、ベースプレートを使用機器に簡単で確実に固定できる特長がある。
【0034】
本発明の第13の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックが、上縁部の一部を局部的にエンドプレートに固定し、下部をブラケットに固定している。
【0035】
以上の電池モジュールは、電池セルが膨張してエンドプレートが変形しても、その変形が電子回路ブロックに悪影響を与えない。複数の電池セルを積層している電池モジュールは、電池セルの膨張がエンドプレートを変形させる。複数の電池セルを積層している電池モジュールは、充放電を繰り返すと電池セルが膨張してエンドプレートが変形する。エンドプレートは両側にバインドバーを固定しているので、電池セルの膨張は、エンドプレートを中央凸に湾曲させる。エンドプレートに固定された電子回路ブロックがエンドプレートと一緒に変形すると、変形による歪みが電子回路ブロックに悪影響を与える。たとえば、回路基板に電子部品を固定する電子回路ブロックは、回路基板が湾曲して導電部が破損する等の弊害が発生する。以上の電池モジュールは、電子回路ブロックの上縁部の一部を局部的にエンドプレートに固定しているので、エンドプレートが湾曲しても一緒には変形しない。また、電子回路ブロックは、下部をベースプレートのブラケットに固定しているので、上部と下部とで確実に固定される。すなわち、電子回路ブロックは、エンドプレートの変形による悪影響を受けることなく、エンドプレートとベースプレートとに強固に固定される。
【0036】
本発明の第14の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックを、エンドプレートに局部的に固定している。
【0037】
本発明の第15の実施態様の電池モジュールは、電子回路ブロックを、ゴム状弾性体を介してエンドプレートの表面に固定している。
【0038】
以上の電池モジュールは、ゴム状弾性体を介して電子回路ブロックをエンドプレートに固定しているので、エンドプレートの変形による悪影響を防止しながら、電子回路ブロックをエンドプレートに確実に固定できる。また、ゴム状弾性体を介して電子回路ブロックを広い面積でエンドプレートに密着して、電子回路ブロックとエンドプレートとを好ましい熱結合状態で固定して、電子回路ブロックの放熱特性を向上できる。
【0039】
(実施の形態1)
以下の実施例に示す電池モジュールは、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、モータのみで走行する電気自動車、モータで走行する電動バイクなどの電動車両の電源に最適である。ただし、本発明の電池モジュールは、電動車両以外の大出力が要求される用途である蓄電装置用の電源にも適している。
【0040】
図1図6に示す電池モジュールは、複数の電池セル1を厚さ方向に積層している電池積層体2と、電池積層体2の電池セル1の積層方向の両端部に配置された一対のエンドプレート3と、電池積層体2の両端部のエンドプレート3に連結されたバインドバー4と、電池積層体2の電池セル1にリード線19を介して接続している電子回路ブロック6とを備えている。さらに、図に示す電池モジュールは、各々の電池セル1の排気弁1aに連結されて排気弁1aから噴出される排出ガスを外部に排気するガスダクト5と、電池積層体2の上方であって、ガスダクト5の上に配置された上面カバー8と、電池積層体の下方に配置されて、エンドプレート3を固定しているベースプレート9とを備えている。
【0041】
(電池セル1)
電池セル1は、図2に示すように、厚さに比べて幅が広い、言い換えると幅よりも薄い角形の二次電池で、厚さ方向に積層されて電池積層体2としている。電池セル1はリチウムイオン二次電池である。ただし、電池セルは、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等、充電できる他の全ての二次電池とすることもできる。電池セル1は、密閉構造の外装缶に正負の電極板を電解液と共に収容している。外装缶は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属板を角形にプレス成形され、開口部を封口板で気密に密閉している。封口板は、外装缶と同じアルミニウムやアルミニウム合金で、正負の電極端子11を固定して、電極端子11の間に排気弁を設けている。なお、正負の電極端子11は、少なくとも一方の電極端子11が封口板と絶縁された状態とされている。この電池セル1は、封口板を端子面10として正負の電極端子11を設けている。さらに、電池セル1は、外装缶の底面及び側面が絶縁フィルムにより被覆されている。
【0042】
複数の電池セル1は、各電池セル1の厚み方向が積層方向となるように積層されて電池積層体2を構成している。電池セルは、四角形のひとつの外周面を、正負の電極端子11を設けている端子面10として、端子面10を同一平面に配置して、複数の電池セル1を積層して電池積層体2としている。
【0043】
(電池積層体2)
電池積層体2は、図2に示すように、積層している電池セル1の間に絶縁スペーサ12を挟着している。図の絶縁スペーサ12は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状またはシート状に製作されている。図に示す絶縁スペーサ12は、電池セル1の対向面とほぼ等しい大きさのプレート状としており、この絶縁スペーサ12を互いに隣接する電池セル1の間に積層して、隣接する電池セル1同士を絶縁している。なお、隣接する電池セル1間に配置されるスペーサとしては、電池セルとスペーサの間に冷却気体の流路が形成される形状のスペーサを用いることもできる。
【0044】
電池積層体2は、隣接する電池セル1の正負の電極端子11に金属製のバスバー14を接続して、バスバー14でもって複数の電池セル1を直列又は並列に、あるいは直列と並列に接続している。電池積層体2は、積層する電池セル1の個数で出力電圧と、充放電できる容量を設定値としている。電池積層体2は、直列に接続する電池セル1の個数で出力電圧を高くでき、電池セル1の個数で充放電の容量を大きくできる。電池モジュールは、電池積層体2を構成する電池セル1の個数とその並列と直列に接続する接続状態で、出力電圧と容量を設定値とするので、電池セル1の個数と接続状態は用途を考慮して最適な状態とされる。
【0045】
バスバー14は、電極端子11に接続するための接続部(図示せず)を設けている。バスバー14は、この接続部と電極端子11とを接続する境界にレーザービームを照射して電極端子11に溶接して接続される。ただ、バスバーは、電極端子に雄ネジを設けて、この電極端子を挿通するための貫通孔を開口すると共に、この貫通孔に挿通された電極端子の雄ネジにナットをねじ込んで電極端子に連結することも、電極端子に雌ネジ孔を設け、この雌ネジ孔にバスバーを貫通する止ネジをねじ込んで電極端子に連結することもできる。電池モジュールは、電池積層体2の上面に樹脂製の絶縁カバー(図示せず)を設けることができる。絶縁カバーは、開口部を設けて、この開口部から電極端子11を表出し、絶縁カバーの上面側で、絶縁カバーの開口部から表出する電極端子11に金属板のバスバー14を接続して、複数の電池セル1を所定の配列で接続することができる。
【0046】
(端面スペーサ13)
電池積層体2は、金属製のエンドプレート3と絶縁するために、両端面には端面スペーサ13を挟んでエンドプレート3を配置することができる。端面スペーサ13は、電池積層体2とエンドプレート3との間に配置されてエンドプレート3を電池積層体2から絶縁する。端面スペーサ13は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状またはシート状に製作されている。端面スペーサ13は、電池セル1の対向面全体をカバーできる大きさのプレート部を設けて、このプレート部を電池積層体2の両端に配置された電池セル1とエンドプレート3との間に積層している。
【0047】
(エンドプレート3)
エンドプレート3は、電池積層体2の電池セル1の積層方向における両端面にあって、電池積層体2を固定している。エンドプレート3は金属製の板材で、外形が電池セル1の外形にほぼ等しく、あるいは電池セル1よりも僅かに大きい四角形の板材である。エンドプレート3は、高張力綱で製作して強靭な構造にできる。エンドプレート3は、1枚の金属板とし、あるいは複数の金属板を積層する構造とし、あるいは金属板とプラスチックとの積層体とすることができる。1枚の金属板からなるエンドプレート3は熱容量が大きく、電子回路ブロック6の熱エネルギーを効率よく吸収できる。また、複数の板材を積層するエンドプレートは、電子回路ブロックを固定する表面側を少なくとも金属製の板材とする。電子回路ブロックが熱結合状態に固定されて、放熱特性を向上するためである。さらに、エンドプレートは、アルミニウム板と高張力綱板の積層構造とすることができる。このエンドプレートは、表面側をアルミニウム板として電子回路ブロックを固定し、アルミニウム板と高張力綱板とを面接触状態に積層して、アルミニウム板から高張力綱板に効率よく熱伝導できる構造とすることもできる。ただし、エンドプレートは必ずしも金属製とすることなく、たとえばエンジニアリングプラスチック等の優れた強度のプラスチック製とすることもできる。
【0048】
(バインドバー4)
バインドバー4は、電池セル1の積層方向に伸びて両端部をエンドプレート3に固定して、一対のエンドプレート3で電池積層体2を固定している。バインドバー4は、電池積層体2の側面に沿う所定の上下幅と所定の厚さを有する金属板で、電池積層体2の両側面に対向して配置されている。バインドバー4は、電池積層体2の両端面を強い圧力で加圧して、充放電して膨張しようとする電池セル1を定位置に配置する。バインドバー4の金属板は、好ましくは高張力綱を使用する。金属板のバインドバー4は、プレス成形して所定の形状に形成される。
【0049】
バインドバー4は、図2及び図3の分解斜視図に示すように、両端を一対のエンドプレート3に固定するために、電池積層体2の積層方向の両端において、その両端部をエンドプレート3の外側面に沿うように折曲加工して固定部4Aを設けている。バインドバー4は、この固定部4Aをエンドプレート3に螺合するなどして、一対のエンドプレート3を締結している。
【0050】
さらに、バインドバー4は、図2図4に示すように、下端部をL字状に折曲して、下側連結片4Bを形成している。この下側連結片4Bは、ベースプレートの両側部の下面側に積層されて、ベースプレートに連結される。さらに、バインドバー4は、上端部を折曲して、電池積層体2の上面の端部を押圧する押圧片4Cを形成している。この押圧片4Cは、電池積層体2の電池セル1の上面を個別に押圧できるように、電池セル1毎に分離されている。これにより、各押圧片4Cは隣接する押圧片4Cから独立して電池セル1をベースプレート9側に押圧することができる。このようにして、各電池セル1がベースプレート9から浮き上がることを阻止して高さ方向に保持し、振動や衝撃等が電池積層体2に印加されても、各電池セル1が上下方向に位置ずれしないように維持できる。このようにバインドバー4は、電池積層体2の左右の両側部において、電池積層体2の上下面の隅部を覆って保持している。
【0051】
なお、バインドバー4の形状や、エンドプレート3との締結構造は、既知の構造を適宜利用できる。例えばバインドバーの両端部をL字状に折曲させることなく平板状とし、エンドプレートの側面と螺合するよう構成してもよい。あるいはバインドバーがエンドプレートの側面と対向する部分を、段差状に係合する係合構造として、バインドバーをエンドプレートの側面に係止構造でもって係止した状態で、さらに螺合させる構造としてもよい。
【0052】
また、バインドバー4と電池積層体2の間には、絶縁シートを介在させてもよい。絶縁シートは絶縁性を備える材質、例えば樹脂などで構成され、金属製のバインドバー4と電池セル1との間を絶縁する。
【0053】
(ベースプレート9)
ベースプレート9は、図4及び図6に示すように、電池積層体2とエンドプレート3の底面に配置される。ベースプレート9は、エンドプレート3が固定され、さらに好ましくはバインドバー4の下端部も固定される。エンドプレート3やバインドバー4は、固定ネジ15、16を介してベースプレート9に固定される。エンドプレート3を固定する固定ネジ15は、エンドプレート3を上下方向に貫通して、エンドプレート3をベースプレート9に固定する。また、バインドバー4を固定する固定ネジ16も、バインドバー4の下端部である下側連結片4Bを貫通して、ベースプレート9に固定される。
【0054】
ベースプレート9は、電池モジュール100を車両等の搭載装置に固定するためのブラケット17を両端部に設けている。ブラケット17は、図5及び図6に示すように、エンドプレート3の外側に突出して設けられる。ブラケット17は、止ネジ(図示せず)を挿通するための固定穴17Aを開口しており、止ネジを介して搭載装置である車両のシャーシーなどに固定される。止ネジはブラケット17を貫通して車両のシャーシー等にねじ込まれて、電池モジュール100を定位置に固定する。
【0055】
電池積層体2は、各々の電池セル1をベースプレート9に接触させて、ベースプレート9と熱結合状態に配置する。ベースプレート9に熱結合する電池セル1は、熱エネルギーをベースプレート9に放熱する。さらに、ベースプレート9を強制冷却して、電池セル1の熱エネルギーをさらに効率よく放熱することもできる。強制冷却されるベースプレート9は、図示しないが、内部に冷媒や冷却液を循環して強制冷却することができる。また、ベースプレートは、下面に放熱フィンを設けて強制冷却することもできる。さらに、ベースプレートの下面に面接触状態に冷却プレートを積層して、冷却プレートで強制冷却することもできる。冷却プレートは、内部に冷媒や冷却液を循環して強制冷却することができる。
【0056】
(ガスダクト5)
図4に示すように、電池セル1の上面、すなわち電池セル1の端子面10に対向する位置にガスダクト5が配置される。ガスダクト5は、排気弁1aの開口部から排出される吐き出し物をスムーズに排出する内容積の筒状で、下面を開口して、各々の電池セル1の排気弁1aの開口部に連結している。ガスダクト5は、電池積層体2の上面に、排気弁1aから排出される排出ガスを外部に排気するように、電池セル1の端子面10との間に隙間ができないように電池積層体2の上面に密着して配置されて、下面に開口する開口部5aを各々の電池セル1の排気弁1aに連結している。ガスダクト5は、端子面10との間にパッキンやシール材等を配置して、排出ガスを漏れないように配置することもできる。
【0057】
さらに、図示しないが、ガスダクトは、電池積層体の上面に電池セルの積層方向に伸びる姿勢で配置している集合ダクトと、集合ダクトに連結されて、先端を排気弁に連結している分岐ダクトとで構成することもできる。このガスダクトは、集合ダクトを端子面から離して配置して、分岐ダクトの先端を排気弁の開口部に連結することができる。
【0058】
(電子回路ブロック6)
電子回路ブロック6は、図7に示すように、各々の電池セル1にリード線を介して接続されて、電池セル1の電圧を検出する電圧検出回路22を備える。電子回路ブロック6は、電圧検出回路22を実現する電子部品を回路基板20(図5及び図6参照)に実装している。ただ、電子回路ブロック6は、電圧検出回路22を含む全ての電子回路を集積回路として、集積回路を絶縁材のパッケージに埋設するブロックとすることもできる。電子回路ブロック6は、図5及び図6に示すように、放熱器21の金属プレートを表面に配置するブロックとすることができる。放熱器21は、電子回路ブロック6が内蔵する発熱部品、たとえば、均等化回路の放電抵抗、電流をコントロールするFETなどの半導体素子等に熱結合されて、これ等の発熱部品の熱エネルギーを外部に放熱する。電子回路ブロック6は、回路基板20に電子部品を実装して全体の形状を板状とし、あるいは集積回路をパッケージに埋設して板状としている。
【0059】
電圧検出回路22を備える電子回路ブロック6は、充放電して電圧が変動する電池セル1の電圧を検出して、各々の電池セル1の過充電や過放電を防止する。電池モジュールは、電池積層体2の充放電電流をコントロールする制御回路30を備えてもよい。この制御回路30は充放電の電流をコントロールして、電池セル1の過充電と過放電を防止する。電圧検出回路22は、この制御回路30に電池セル1の電圧データを伝送する。
【0060】
電圧検出回路22は、好ましくは、全ての電池セル1の電圧を検出する。ただ、電圧検出回路22は、必ずしも全ての電池セル1の電圧を検出することなく、たとえば、電池積層体2を構成する電池セル1を複数の電池ユニットに分割して、各々の電池ユニットの電圧を検出することもできる。複数の電池セル1を並列に接続している電池ユニットは、電池ユニットの電圧を検出して、全ての電池セルの電圧を検出できる。複数の電池セルを直列に接続している電池ユニットは、電池ユニットの電圧を検出して、直列接続している電池セルのトータル電圧を検出する。複数の電池セルを直列接続している電池ユニットは、2~5個の電池セルで構成される。この電池ユニットは、電池ユニットの電圧を検出して、2~5個の電池セル1のトータル電圧を検出するので、電池セルの電圧は検出するトータル電圧の1/2~1/5となる。電池セル1の電圧は残容量で変化する。電池セル1の電圧は、過充電されるとあらかじめ設定している最高電圧よりも高くなり、過放電されると最低電圧よりも低くなる。電池セル1は、過充電され、あるいは過放電されると電気特性が低下して劣化し、安全性も低下する。電圧検出回路22は、電池セル1の電圧を検出して、制御回路に伝送し、制御回路は電池セル1の電圧を設定範囲となるように充放電の電流をコントロールする。
【0061】
電池モジュールは、充放電を繰り返すにしたがって、各々の電池セル1の残容量がアンバランスとなる。直列に接続された電池セル1は、同一電流で充放電される。同一電流で充放電されるが、各々の電池セル1の電気特性は完全に同一でない。したがって、複数の電池セル1を直列に接続している電池モジュールにおいても、各々の電池セル1の電圧はアンバランスになる。電池セル1のアンバランスは、特定の電池セル1を過充電し、あるいは過放電する原因となる。電池モジュールは、全ての電池セル1を同時に充放電するので、電池セル1のアンバランスは、特定の電池セル1を過充電し、あるいは過放電する原因となる。電池セル1の過充電と過放電は、電池セル1の電気特性を低下して、劣化させる原因となり、また電池モジュールの安全性を低下する。均等化回路23は、電池セル1の電圧のアンバランスを解消する。
【0062】
電子回路ブロック6は、電池セル1の電圧を均等化する均等化回路23も実装する。均等化回路23は、電池セル1の電圧を均等化してアンバランスを解消する。均等化回路23の回路図の一例を図7に示す。この図に示す均等化回路23は、電圧が高い電池セル1を放電抵抗25で放電して、アンバランスを解消する。ただ均等化回路は、放電抵抗で電池を放電する回路には特定しない。例えば、均等化回路は、電圧の高い電池セルをコンデンサや蓄電用電池等の蓄電器に放電して蓄電器に蓄電し、この蓄電器の電荷を電圧の低い電池セルに放電して、電池セルの電圧差を解消することもできる。また、均等化回路は、電圧の高い電池セルの電圧をDC/DCコンバータで電圧変換し、電流をコントロールしながら低電圧の電池セルを充電して電圧を均等化することもできる。
【0063】
図7の均等化回路23は、放電抵抗25にスイッチング素子26を直列に接続している放電回路24を備え、各々のセル電圧を検出して、スイッチング素子26をON/OFFに制御するコントロール回路27と、各々の電池セル1のセル電圧を検出する電圧検出回路22を接続している。放電抵抗25とスイッチング素子26の放電回路24は、各々の電池セル1と並列に接続している。この均等化回路23は、電池セル1のセル電圧が高くなるときに、コントロール回路27でスイッチング素子26をONに切り変えて、放電抵抗25で電池セル1を放電させて電池セル1の電圧を低下して均等化する。
【0064】
さらに、均等化回路23は、電池積層体2から電力の供給を受けて駆動される。図の均等化回路23は、電池積層体2から電力供給を受けている電源回路28の出力電圧(Vcc)によって動作している。電池積層体2の電圧は、例えば電源回路28であるDC/DCコンバータで降圧して、均等化回路23に供給することができる。この回路構成によると、電池積層体2の電圧が高くても、均等化回路23に最適電圧として供給できる。
【0065】
コントロール回路27は、各々の電池セル1のセル電圧を比較して、全ての電池セル1のセル電圧を均等化するようにスイッチング素子26を制御する。このコントロール回路27は、高すぎる電池セル1に接続している放電回路24のスイッチング素子26をONに切り変えて放電させる。電池セル1は放電するにしたがって電圧が低下する。スイッチング素子26は、電池セル1の電圧が他の電池セル1とバランスするまで低下すると、ONからOFFに切り変えられる。スイッチング素子26がOFFになると、電池セル1の放電は停止される。このように、コントロール回路27は、高いセル電圧の電池セル1を放電して、全ての電池セル1のセル電圧をバランスさせる。
【0066】
以上の均等化回路23は、全ての電池セル1の電圧を均等化するが、電池モジュールは、全ての電池セルを複数の電池ユニットに区画し、電池ユニットを構成する電池セルの電圧をセル均等化回路で均等化した後、電池ユニット全体の電圧をユニット均等化回路で均等化することもできる。ユニット均等化回路は、各々の電池ユニットのユニット電圧を検出し、ユニット電圧の高い電池ユニットを放電して、各々の電池ユニットの電圧を均等化する。
【0067】
電子回路ブロック6はエンドプレート3に固定されてエンドプレート3に放熱する。電子回路ブロック6は、電流を制御するFET等の半導体素子や放電抵抗などの発熱素子を備える。電子回路ブロック6は、発熱素子の熱エネルギーをエンドプレート3に放熱して温度上昇を小さくできる。電子回路ブロック6の温度上昇は、内蔵する発熱素子などに悪影響を与える。とくに、均等化回路23は、電池セル1を放電抵抗25で放電して電圧を低下させるが、放電抵抗25は放電電流のジュール熱で発熱する。放電抵抗25は、電流を大きくして、電池セル1の電圧を短時間で速やかに低下できるが、放電抵抗25を発熱させるジュール熱は、放電電流の二乗に比例して大きくなるので、速やかに電池セル1の電圧を低下して、均等化時間を短縮できる均等化回路23は、発熱する熱エネルギーが大きくなる。均等化回路23は、電池セル1が充放電されないタイミングで電池セル1を均等化するので、均等化時間はより短くすることが要求される。均等化時間の短縮は、放電抵抗25の電流を増加して実現できるので、放電抵抗25の発熱エネルギーをいかに効率よく放熱できるかは、均等化時間を特定する大切な要因となる。
【0068】
発熱部品の発熱エネルギーによる温度上昇は、部品の故障につながることから、発熱部品が異常に温度上昇しないように全体を大きくしたり、放電抵抗などの単位時間の発熱量を小さくするなどの設計が行われる。電子回路ブロック6は、狭いスペースに配置できるように小型化すると、放熱面積が減少し、放熱エネルギーが減少して温度上昇が大きくなる。このため、従来の電池モジュールのように、ガスダクトとバスバーのわずかなスペースに配置できるように小型化した電子回路ブロックは、放熱面積が小さくなるので、放熱エネルギーを小さくする必要がある。したがって、狭いスペースに配置する電子回路ブロックは、放熱エネルギーを小さくする必要があって、電池セルを均等化する時間が長くなる。多数の電池セルを積層している電池モジュールは、大容量の用途である、車両用のモータを駆動する電池モジュールや、蓄電装置の電源などに使用されることから、電池セルの容量も相当に大きい。大容量の電池モジュールは、電池セル容量の拡大に従って、電池セル電圧のアンバランスによる容量のアンバランスが相対的に拡大する。したがって、この種の電池モジュールは、電池セルの均等化時間をできる限り短縮して速やかに均等化することから、放電電流を大きくすることが能力されるが、放電抵抗の増加は発熱エネルギーが大きくなるので、放熱面積を大きくすることが要求される。したがって、電子回路ブロックは、狭いスペースに配置するためには、小型化が要求され、大電流で放電して均等化時間を短縮するには、放熱面積を大きくして大型化する必要がある。このため、電子回路ブロックにおいて、小型化と均等化時間の短縮とは互いに相反する特性であって両特性を満足することができず、限られたスペースに配置するために要求される小型化と、高い放電能力もつための大型化との相反する課題が要求される。
【0069】
電子回路ブロック6をエンドプレート3に熱結合状態に固定して、エンドプレート3を電子回路ブロック6の放熱に併用する電池モジュールは、電子回路ブロック6の発熱エネルギーをエンドプレート3で効率よく放熱できる。とくに、このエンドプレート3は、熱容量が極めて大きく、吸収する熱エネルギーに対する温度上昇が小さく、電池セル1の均等化時間を短縮できる。さらに、エンドプレート3は表面積も大きく表面からの放熱エネルギーも大きく、このことからも温度上昇は小さくなる。さらに、エンドプレート3をベースプレート9に固定する構造は、エンドプレート3からベースプレート9に熱エネルギーを伝導してさらに温度上昇は小さくなる。また、ベースプレート9を強制冷却し、あるいはベースプレート9に冷却プレートを積層する構造は、ベースプレート9でエンドプレート3が強制冷却されて温度上昇はさらに小さくなり、電子回路ブロック6の冷却効果はさらに増大して、電子回路ブロック6の温度上昇は理想的な状態まで小さくなる。
【0070】
図5及び図6の電池モジュール100は、電子回路ブロック6をエンドプレート3の外側表面に固定している。この電池モジュール100は、電子回路ブロック6の発熱エネルギーを固定しているエンドプレート3に伝導して放熱できると共に、露出する表面からも外気に放熱してより効率よく放熱できる特長がある。エンドプレート3の表面に固定している電子回路ブロック6は、その外形がエンドプレート3の外形よりも小さく、エンドプレート3の外周縁から突出しない。この電池モジュール100は、電子回路ブロック6をエンドプレート3に配置しながら、電子回路ブロック6が電池モジュール100の外形を大きくすることがなく、小型化しながら電子回路ブロック6を効率よく放熱できる。
【0071】
さらに、図5の電池モジュール100は、電子回路ブロック6の厚さを、平面視においてベースプレート9のブラケット17の先端縁から外側面に突出しない寸法としている。この電池モジュール100は、エンドプレート3に電子回路ブロック6を固定しながら、平面視の外形はベースプレート9よりも大きくならず、全体を小型化しながら電子回路ブロック6を理想的な位置に配置できる。
【0072】
エンドプレート3は、充放電すると膨張する物性を示す電池セル1で内側から強い圧力で押圧される。電池積層体2に押圧され、両側縁をバインドバー4で固定しているエンドプレート3は、電池積層体2の圧力で湾曲する。湾曲するエンドプレート3で電子回路ブロック6が変形すると、電子回路ブロック6の構成部品に悪影響がある。たとえば、回路基板に電子部品を固定している電子回路ブロック6は、回路基板が湾曲して導電部が破損する等の弊害が発生する。図6の電子回路ブロック6は、上縁部の一部、好ましくは中央部を局部的にエンドプレート3に固定して、下部をブラケット17に固定している。この電池モジュール100は、電池セル1が膨張してエンドプレート3が変形しても、その変形が電子回路ブロック6に悪影響を与えない。以上の電池モジュール100は、電子回路ブロック6の上縁部の一部を局部的にエンドプレート3に固定しているので、エンドプレート3が湾曲しても一緒には変形しない。また、電子回路ブロック6は、下部をベースプレート9のブラケット17に固定しているので、上部と下部とで確実に固定される。すなわち、電子回路ブロック6は、エンドプレート3の変形による悪影響を受けることなく、エンドプレート3とベースプレート9とに強固に固定される。
【0073】
電子回路ブロック6をベースプレート9のブラケット17に固定する電池モジュール100は、電子回路ブロック6を、平面視において固定穴17Aと異なる位置に配置することで、エンドプレート3に電子回路ブロック6を固定しながら、ベースプレート9を車両のシャーシーなどの使用機器に簡単で確実に固定できる特長がある。図5の電池モジュール100は、ブラケット17の両側部に固定穴17Aを設けて、ブラケット17の固定穴17Aの内側に配置できる横幅としている。
【0074】
電子回路ブロック6は、好ましくは、エンドプレート3に絶縁して固定される。この電子回路ブロック6は、エンドプレート3との間に絶縁シート18を配置して固定される。絶縁シート18はゴム状弾性体からなる弾性シートとして、湾曲するエンドプレート3と電子回路ブロック6とを常に熱結合状態に保持できる。エンドプレート3に絶縁して固定される電子回路ブロック6は、金属製の放熱器21などを表面に露出して効率よく放熱できる構造としながら、エンドプレート3の内側に配置している電池積層体2に対して絶縁特性を向上して信頼性を高くできる。電池積層体2の両端面にエンドプレート3を配置している電池モジュール100は、エンドプレート3をグランドラインから絶縁することで、感電や漏電を防止できる。グランドラインから絶縁されたエンドプレート3は、内側には高電圧の電池積層体2を配置している。電池積層体2から絶縁されたエンドプレート3は、電池積層体2との漏電抵抗が高く保持されるが、漏電抵抗は種々の要因で低下することがある。たとえば、エンドプレート3と電池積層体2との間の結露水は漏電抵抗を低下させる原因となる。エンドプレート3から絶縁して配置される電子回路ブロック6は、エンドプレート3と電池積層体2との接触抵抗が低下しても、エンドプレート3から絶縁して、漏電や感電などの弊害を防止して高い安全性と信頼性を確保する。ただし、エンドプレートは電池積層体から絶縁しているので、エンドプレートをグランドラインに接続することもできる。
【0075】
以上の電池モジュール100は、電子回路ブロック6の均等化回路23の発熱部品をエンドプレート3で効率よく放熱できるので、均等化回路23で速やかに電池セル1を均等化できる特長がある。それは、均等化回路23の消費電力を大きくして、電池セル1を大電流で放電して、高電圧の電池セル1の電圧を速やかに低下できるからである。均等化回路23は、高電圧の電池セル1を放電して電圧のアンバランスを解消し、あるいは高電圧の電池セル1で低電圧の電池セル1を充電して均等化する。高電圧の電池セル1を放電して均等化する回路は高電圧の電池セル1を放電抵抗25で放電し、高電圧の電池セル1で低電圧の電池セル1を充電する均等化回路23は、高電圧の電池セル1から低電圧の電池セル1に電力を供給して均等化する。放電抵抗25で電池セル1を放電して均等化する回路は、電池セル1を放電する放電抵抗25と、この放電抵抗25の放電電流をコントロールするスイッチング素子26である半導体素子が発熱する。この回路は、放電抵抗25と半導体素子の熱エネルギーを効率よく放電する構造として、放電抵抗25と半導体素子の放電電流を大きくして均等化する時間を短縮できる。放電電流を大きくすると発熱量も大きくなるので、効率よく放電して放電電流は大きくできる。また、高電圧の電池セルで低電圧の電池セルを充電する均等化回路は、高電圧の電池セルから低電圧の電池セルへの充電する電流をコントロールする半導体素子が発熱するので、この半導体素子の電流を大きくして、均等化する時間を短縮できる。
【0076】
エンドプレート3に固定している電子回路ブロック6は、図7の鎖線で示すように、無線通信回路31を設けて、この無線通信回路31でもって電圧検出回路22が検出する電池電圧等の情報を、中央制御回路30に無線伝送することができる。この電子回路ブロック6は、中央制御回路30とリード線で接続する必要がなく、配線を簡単にできる特長がある。とくに、車両に搭載する電池モジュールにおいては、電子回路ブロック6が無線伝送して、車両の走行モータを制御する中央制御回路30に情報を伝送することができる。この構造の電池モジュールは、車両の特有の複雑なワイヤーハーネスを簡素化して、ワイヤーハーネスに避けることができない接触不良などの弊害を防止して、長期間にわたって高い信頼性を実現できる。
【0077】
無線通信回路31を備える電子回路ブロック6は、外部ノイズによる伝送誤差を解消する特性が要求される。金属製のエンドプレート3は、電子回路ブロック6の表面をシールドして外部ノイズの影響を少なくできる。とくに、図8に示すように、電子回路ブロック6の外周縁をシールドするシールド凸部32を一体構造に備えるエンドプレート3は、無線通信回路31が安定して正確に情報を無線伝送できる。さらに、エンドプレートはグランドラインに接続することで、シールド効果を向上して外部ノイズの影響をより少なくできる。
【0078】
以上の電池モジュールは、電動車両を走行させるモータに電力を供給する車両用の電源として利用できる。電池モジュールを搭載する電動車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、車両を駆動する電力を得るために、上述した電池モジュールを直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電池モジュールを構築して搭載することもできる。
【0079】
(ハイブリッド自動車用電池モジュール)
図9は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車に電池モジュールを搭載する例を示す。この図に示す電池モジュールを搭載した車両HVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、これらのエンジン96及び走行用のモータ93で駆動される車輪97と、モータ93に電力を供給する電池モジュール100と、電池モジュール100の電池を充電する発電機94とを備えている。電池モジュール100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電池モジュール100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電池モジュール100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電池モジュール100の電池を充電する。なお、車両HVは、図に示すように、電池モジュール100を充電するための充電プラグ98を備えてもよい。この充電プラグ98を外部電源と接続することで、電池モジュール100を充電できる。
【0080】
(電気自動車用電池モジュール)
また、図10は、モータのみで走行する電気自動車に電池モジュールを搭載する例を示す。この図に示す電池モジュールを搭載した車両EVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93で駆動される車輪97と、このモータ93に電力を供給する電池モジュール100と、この電池モジュール100の電池を充電する発電機94とを備えている。電池モジュール100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電池モジュール100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電池モジュール100の電池を充電する。また車両EVは充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続して電池モジュール100を充電できる。
【0081】
(蓄電装置用の電池モジュール)
さらに、本発明は、電池モジュールの用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。実施形態に係る電池モジュールは、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。図11は、電池モジュール100の電池を太陽電池82で充電して蓄電する蓄電装置を示す。
【0082】
図11に示す蓄電装置は、家屋や工場等の建物81の屋根や屋上等に配置された太陽電池82で発電される電力で電池モジュール100の電池を充電する。この蓄電装置は、太陽電池82を充電用電源として充電回路83で電池モジュール100の電池を充電した後、DC/ACインバータ85を介して負荷86に電力を供給する。このため、この蓄電装置は、充電モードと放電モードを備えている。図に示す蓄電装置は、DC/ACインバータ85と充電回路83を、それぞれ放電スイッチ87と充電スイッチ84を介して電池モジュール100と接続している。放電スイッチ87と充電スイッチ84のON/OFFは、蓄電装置の電源コントローラ88によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ88は充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をOFFに切り替えて、充電回路83から電池モジュール100への充電を許可する。また、充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で、電源コントローラ88は充電スイッチ84をOFFに、放電スイッチ87をONにして放電モードに切り替え、電池モジュール100から負荷86への放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をONにして、負荷86への電力供給と、電池モジュール100への充電を同時に行うこともできる。
【0083】
さらに、電池モジュールは、図示しないが、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電池モジュールは、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電池モジュールは、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電池モジュールは、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0084】
以上のような蓄電装置は、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電池モジュール、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電池モジュール、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機や道路用の交通表示器などのバックアップ電源用などの用途に好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る電池モジュールは、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電池モジュールとして好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電池モジュール、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電池モジュール、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0086】
100…電池モジュール、1…電池セル、1a…排気弁、2…電池積層体、3…エンドプレート、4…バインドバー、4A…固定部、4B…下側折曲片、4C…押圧片、5…ガスダクト、5a…開口部、6…電子回路ブロック、8…上面カバー、9…ベースプレート、10…端子面、11…電極端子、12…絶縁スペーサ、13…端面スペーサ、14…バスバー、15…固定ネジ、16…固定ネジ、17…ブラケット、17A…固定穴、18…絶縁シート、19…リード線、20…回路基板、21…放熱器、22…電圧検出回路、23…均等化回路、24…放電回路、25…放電抵抗、26…スイッチング素子、27…コントロール回路、28…電源回路、30…制御回路、31…無線通信回路、32…シールド凸部、81…建物、82…太陽電池、83…充電回路、84…充電スイッチ、85…DC/ACインバータ、86…負荷、87…放電スイッチ、88…電源コントローラ、91…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、900…電池モジュール、901…電池セル、901a…排気弁、902…電池積層体、903…エンドプレート、904…バインドバー、905…ガスダクト、906…回路基板、910…端子面、911…電極端子、914…バスバー、HV、EV…車両
図1
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図12