(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】半導体バーンイン工程用装置、移送方法、チャンバ、及びフレーム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20241126BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241126BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01R31/26 H
B65G1/00 501C
G01R31/28 H
(21)【出願番号】P 2021561039
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 SG2020050791
(87)【国際公開番号】W WO2022146225
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2021-10-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521450252
【氏名又は名称】エムエスブイ システムズ アンド サービシズ プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タン、テック フアット
(72)【発明者】
【氏名】ロウ、チュン ホン
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-177056(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0379033(US,A1)
【文献】中国実用新案第206387749(CN,U)
【文献】中国実用新案第206710573(CN,U)
【文献】特開2020-060400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0208721(US,A1)
【文献】特開2004-286499(JP,A)
【文献】米国特許第05317257(US,A)
【文献】中国特許出願公開第111289877(CN,A)
【文献】特開平07-260879(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111551839(CN,A)
【文献】特開2006-184044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0235005(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0049804(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0254076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26-31/27、
31/28-31/3193、
B65G 1/00-1/133、
1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス又は集積回路に対してバーンイン工程を実行するバーンイン装置であって、前記バーンイン装置が、
少なくとも1つの側部開口と、少なくとも1つの基部開口と、当該基部開口に少なくとも部分的に沿って配置された少なくとも1つの断熱側部要素とを有するバーンイン・チャンバと、
前記側部開口を閉じるよう適合された、少なくとも1つの扉又は覆いと、
少なくとも1つの交換可能なフレームであって、各フレームが、第2の側部を形成する断熱基部と、当該断熱基部の第1の側部に配置されたラックとを備える、少なくとも1つの交換可能なフレームと
を備え、
前記断熱基部が前記基部開口を徐々に閉じて前記断熱側部要素に当接する間に、前記断熱基部を前記側部開口を通して徐々に移動させることによって、前記少なくとも1つの交換可能なフレームは、前記側部開口を通って移動可能であり、各フレームが前記チャンバに取外し可能にドッキングされて、前記断熱基部が前記チャンバの前記基部開口内に嵌め込まれて前記チャンバに当接することにより、前記断熱基部が閉じられて前記基部開口が断熱されるように構成されており、
前記側部開口が閉じられたときに前記チャンバの断熱が完全な状態になり、前記ラック及び前記断熱基部の前記第1の側部が前記チャンバの内側にあり、前記断熱基部の前記第2の側部が前記チャンバの外側にある、バーンイン装置。
【請求項2】
各フレームが、手動若しくは動力補助付き車輪、又は自律型誘導車両(AGV)と共に使用するよう適合された装備をさらに備え、前記車輪又は前記装備が、前記断熱基部の前記第2の側部に配置される、請求項1に記載のバーンイン装置。
【請求項3】
前記断熱基部の前記第2の側部に配置された電子回路をさらに備え、前記電子回路が、通信回路、センサ、メモリ格納部、及びマイクロプロセッサからなる群から選択される1つ又は複数を含み、少なくとも、前記少なくとも1つの交換可能なフレームが前記チャンバに取外し可能にドッキングされ、前記チャンバ内でバーンイン工程が行われている間に、信号を送信及び/又は受信するよう構成される、請求項1又は2に記載のバーンイン装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの交換可能なフレームが、2つ以上のフレームを含み、前記2つ以上のフレームのうちの少なくとも1つに、バーンイン・ボードが積載され、前記2つ以上のフレームのうちの少なくとも別のフレームには、バーンイン・ボードがない、請求項1から3までのいずれか一項に記載のバーンイン装置。
【請求項5】
前記チャンバの外側に配置された複数の第2のフレームをさらに備え、前記少なくとも1つの交換可能なフレームが、前記第2のフレームのうちの少なくとも1つと交換可能である、請求項1から4までのいずれか一項に記載のバーンイン装置。
【請求項6】
バーンイン・ボードのセットを有する少なくとも1つのフレームをチャンバ内に移送して、少なくとも1つの側部開口、少なくとも1つの基部開口、および当該基部開口に少なくとも部分的に沿って配置された少なくとも1つの断熱側
部要素を有するチャンバ内に、少なくとも1つのフレームを取り外し可能にドッキングするステップであって、前記少なくとも1つのフレームの各フレームが第2の側部を形成する断熱基部と当該断熱基部の第1の側部に配置されて前記バーンイン・ボードのセットを支持するラックとを備え、前記断熱基部が徐々に前記基部開口を閉じて前記断熱側部要素に当接する間に、前記断熱基部を前記側部開口を通して徐々に移動させることによって、チャンバの側部開口を通して前記チャンバ内に移送させて前記少なくとも1つのフレームを前記チャンバにドッキングすることにより、前記チャンバの前記基部開口内に嵌め込まれて前記チャンバに当接することにより、前記断熱基部が閉じられて前記基部開口が断熱する、ステップと、
前記チャンバの断熱を完全な状態にするステップであって、
前記側部開口を閉じることにより、前記ラック及び前記断熱基部の前記第1の側部が前記チャンバの内側に配置され、前記断熱基部の前記第2の側部が前記チャンバの外側に配置されるステップ
を含む、断熱を完全な状態にするステップと、
前記バーンイン・ボードのセットに配置された半導体デバイスに対してバーンイン工程を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
前記チャンバの断熱を不完全な状態にするステップであって、
前記側部開口を開くステップ、及び
前記チャンバから前記少なくとも1つのフレームをドッキング解除することにより、前記基部開口を開くステップであって、前記少なくとも1つの断熱側
部要素から前記断熱基部の当接を解除するステップを含む、前記基部開口を開くステップと、
を含む、断熱を不完全な状態にするステップと、
前記少なくとも1つのフレームを、前記側部開口を通して前記チャンバの外へ移動させることにより、前記バーンイン・ボードのセットを前記チャンバの外へ移送するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ドッキングするステップが、
手動若しくは動力補助付きの車輪、又は自律型誘導車両(AGV)と共に使用するよう適合された装備を配置するステップ
を含み、前記車輪又は前記装備が、前記断熱基部の前記第2の側部に、また前記チャンバの外側に配置される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記バーンイン・ボードに配置された、前記半導体デバイスに対してバーンイン工程を実行するステップの間に、前記方法が、
前記断熱基部の前記第2の側部に配置された電子回路を動作させるステップ、並びに/又は
前記断熱基部の前記第2の側部に配置された通信回路を動作させるステップであって、前記通信回路によって信号を送信及び/若しくは受信するステップを含む、通信回路を動作させるステップ
をさらに含む、請求項6から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ドッキングするステップが、前記バーンイン・ボードのセットを前記ラック又は前記フレームから取り出すことなく、前記フレームをバーンイン積み降ろし装置から前記チャンバに移動させるステップを含み、
前記ドッキングするステップの前に、前記方法が、
前記バーンイン・ボードのセットを備える前記フレームを、前記バーンイン積み降ろし装置内に移送するステップと、
前記バーンイン積み降ろし装置によって、前記半導体デバイスを前記バーンイン・ボードのセット上に積載するステップと
をさらに含む、請求項6から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記バーンイン・ボードのセットを前記チャンバの外へ移送するステップが、前記バーンイン・ボードのセットを前記ラック又は前記フレームから取り出すことなく、前記フレームをバーンイン積み降ろし装置内に移送するステップを含み、前記方法が、
前記バーンイン工程を完了した前記半導体デバイスを、前記バーンイン積み降ろし装置によって、前記バーンイン・ボードのセットから取り出すステップ
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記バーンイン・ボードのセットを前記チャンバ内に又は前記チャンバの外へ移送するステップが、バーンイン装置と、バーンイン積み降ろし装置、バーンイン・ボード事前チェック装置、バーンイン・ボード格納装置、バーンイン・ボード洗浄装置からなる群から選択される、バーンイン領域の少なくとも1つの他の装置との間で、前記バーンイン・ボードのセットを前記ラック又は前記フレームから取り出すことなく、前記フレームを移送するステップを含む、請求項7から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの側部開口と、当該側部開口と交差する少なくとも1つの基部開口と、当該基部開口に少なくとも部分的に沿って配置された少なくとも1つの断熱側部要素とを有するチャンバを含む、バーンイン・チャンバであって、
前記少なくとも1つの基部開口が閉じられていないときに、前記チャンバの内部と前記チャンバの外部との間の流体連通を可能にし、前記チャンバの断熱を不完全にするように構成されており、
前記基部開口は、前記チャンバ内の少なくとも1つのフレームが取り外し可能にドッキングされるときに閉じることが可能であり
、断熱基部が前記基部開口を徐々に閉じて前記断熱側
部要素に当接する間に、前記断熱基部を前記側部開口を通して徐々に移動させることによって、前記基部開口は、前記少なくとも1つのフレームの底部を形成する断熱基部によって徐々に閉じられるように構成され、当該取り外し可能にドッキングされることは前記断熱基部を前記チャンバに当接するように前記基部開口内に嵌め込むことであり、
前記チャンバの断熱は、前記側部開口が閉じられ、前記基部開口が、前記チャンバ内に取外し可能にドッキングされた前記少なくとも1つのフレームの前記断熱基部によって閉じられたときに完了するように構成されている、バーンイン・チャンバ。
【請求項14】
複数のバーンイン・ボードを収納するラックと、
第1の面と第2の面を有する断熱基部と、
を備えたフレームであって、
前記ラックは、前記断熱基部の前記第1の面に配置されており、
前記断熱基部が基部開口を徐々に閉じてバーンイン・チャンバの断熱側部要素に当接する間に、前記断熱基部を前記バーンイン・チャンバの側部開口を通して徐々に移動されて、前記断熱側部要素が前記基部開口に少なくとも部分的に沿って配置されることにより、前記フレームが前記バーンイン・チャンバにドッキングされるときに前記断熱基部が前記バーンイン・チャンバの基部開口に嵌め込まれて前記バーンイン・チャンバに当接し、前記バーンイン・チャンバの前記側部開口が閉じられたときに、前記バーンイン・チャンバの断熱を完了することにより、前記ラック、前記複数のバーンイン・ボード、および前記断熱基部の前記第1の面は、前記バーンイン・チャンバの内部にあって前記バーンイン・チャンバの温度条件にさらされ、前記断熱基部の前記第2の面は、前記バーンイン・チャンバの外部にあって前記温度条件にさらされないように構成される、フレーム。
【請求項15】
手動若しくは動力補助付き車輪、又は自律型誘導車両(AGV)と共に使用するよう適合された装備をさらに備え、前記車輪又は前記装備が、前記断熱基部の前記第2の面に配置される、請求項14に記載のフレーム。
【請求項16】
前記断熱基部の前記第2の面に配置された電子回路をさらに備え、前記電子回路が、通信回路、センサ、メモリ格納部、及びマイクロプロセッサからなる群から選択される1つ又は複数を含み、少なくとも、前記フレームが前記バーンイン・チャンバに取外し可能にドッキングされているときに、信号を送信及び/又は受信するよう構成される、請求項14又は15に記載のフレーム。
【請求項17】
前記フレームが、前記バーンイン・チャンバ、及びバーンイン積み降ろし装置、バーンイン・ボード事前チェック装置、バーンイン・ボード格納装置、バーンイン・ボード洗浄装置からなる群から選択される、バーンイン領域の少なくとも1つの他の装置用の、前記複数のバーンイン・ボードの共通搬送台を備え、前記ラック、前記複数のバーンイン・ボード、および前記断熱基部を含む前記フレームは、前記バーンイン領域の前記少なくとも1つの他の装置に、取外し可能にドッキングされる、請求項14から16までのいずれか一項に記載のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス又は集積回路に対してバーンイン工程を実行するバーンイン装置、詳細には、チャンバの断熱を完全にするために、1つ又は複数の交換可能なフレームと協働して動作可能なバーンイン・チャンバを備える、バーンイン装置、少なくとも1つのフレームを、チャンバの断熱を完全な状態にしてチャンバ内に移送し、チャンバの断熱を不完全な状態にしてチャンバから取り出す方法、フレームに支持されているバーンイン・ボードのセットを、バーンイン装置とバーンイン領域の少なくとも1つの他の装置との間で移送する方法、並びにバーンイン・チャンバ及び1つ又は複数の交換可能なフレームを組み込んだバーンイン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バーンインは、半導体デバイスが刺激電源及び/又は刺激信号と共に高温及び/又は低温に曝され、使用前に早期に故障を排除する工程である。
【0003】
この工程では、自動化された機械であるバーンイン積み降ろし装置を使用して、半導体デバイスをバーンイン・ボード上に積載する。次いで、バーンイン・ボードはバーンイン・システム内に積載され、バーンイン・ボードは、バーンイン・システム内で、半導体デバイスに刺激電源及び刺激信号を供給するバーンイン・ドライバに接続される。その後、バーンイン・ボードはバーンイン・システムから取り出され、次いで半導体デバイスは、バーンイン積み降ろし装置によってバーンイン・ボードから取り出される。
【0004】
一般に、バーンイン・ボードをバーンイン・システム内に積載するか又はバーンイン・システムから取り出す、2つの既存の方法がある。
【0005】
第1の方法では、バーンイン・ボードは、車輪付きラックを使用して搬送される。操作者は、積載するために、バーンイン・ボードを運ぶ車輪付きラックをバーンイン積み降ろし装置からバーンイン・システムまで移動させ、バーンイン・チャンバの扉を開き、車輪付きラックからチャンバ内のラックへ、ボードごとに手作業で移送する。ボードの移送が完了した後、バーンイン・ボードは、バーンイン・ドライバに接続されたそれぞれのコネクタに、操作者によって手作業で挿入されるか、又はチャンバ・ボード挿入機構を使用して自動的に挿入される。ボードの挿入が完了した後、すなわちバーンイン・ボードがバーンイン・ドライバに接続された後、操作者はチャンバの扉を閉じ、バーンイン工程を開始し、空の車輪付きラックを運び去り、指定場所に置く。
【0006】
バーンイン工程が完了すると、操作者は、取り出すために、空の車輪付きラックをバーンイン・システムに移動させ、チャンバの扉を開き、手作業で又はチャンバ・ボード抜取り機構を使用して自動的に、それぞれのコネクタからボードを抜き取る。ボードの抜取りが完了すると、すなわちバーンイン・ボードがバーンイン・ドライバとの接続を切られると、操作者は、ボードごとにチャンバ・ラックから車輪付きラックに手作業で移送する。ボードの移送が完了すると、操作者はチャンバの扉を閉じ、バーンイン・ボードを運ぶ車輪付きラックを、バーンイン・システムからバーンイン積み降ろし装置まで運び去る。
【0007】
この方法では、バーンイン・ボードの積載及び/又は取出しは手作業であり、したがって、操作者に物理的負担をかける。これは、時間の経過と共に操作者を疲労させ、その結果、手作業での移送中に、車輪付きラック又はチャンバ・ラックに過失による衝撃を与えることにより、バーンイン・ボードの損傷をもたらす可能性がある。バーンイン積み降ろし装置でのバーンイン・ボードの積載及び/又は取出しも手作業で行われる場合、操作者の疲労はさらに増大し、より多くのバーンイン・ボードの損傷すらもたらすであろう。さらに、バーンイン・ボードが車輪付きラックからバーンイン・システムに移送された後、空のラックを指定場所に置く必要があるため、貴重な生産床空間が無駄になる。
【0008】
第2の方法では、バーンイン・ボードは、少なくとも1つのバーンイン・ボード用ラック内に配置される。バーンイン・ボード用ラックは、動力補助の有無に関わらず、嵩張るトロリーによって搬送される。操作者は、積載するために、バーンイン・ボード用ラックを運ぶトロリーをバーンイン・システムまで移動させ、バーンイン・チャンバの扉を開き、ラックごとにトロリーからチャンバに手作業で移送する。ラックの移送が完了した後、ラック内のバーンイン・ボードは、バーンイン・ドライバに接続されたそれぞれのコネクタに、操作者によって手作業で挿入されるか、又はチャンバ・ボード挿入機構を使用して自動的に挿入される。挿入が完了した後、すなわちバーンイン・ボードがバーンイン・ドライバに接続された後、操作者はチャンバの扉を閉じ、バーンイン工程を開始し、空のトロリーを運び去り、指定場所に置く。
【0009】
バーンイン工程が完了すると、操作者は、取り出すために、空のトロリーをバーンイン・システムに移動させ、チャンバの扉を開き、手作業で又はチャンバ・ボード抜取り機構を使用して自動的に、それぞれのコネクタからボードを抜き取る。ボードの抜取りが完了した後、すなわちバーンイン・ボードがバーンイン・ドライバとの接続を切られた後に、操作者は、ラックごとにチャンバからトロリーに手作業で移送する。ラックの移送が完了した後、操作者はチャンバの扉を閉じ、バーンイン・ボードが積載されたラックを運ぶトロリーを、バーンイン積み降ろし装置まで運び去る。
【0010】
この方法では、トロリーのサイズ、重量、及び面倒な操作、並びにバーンイン・システムとトロリーとの間のラックの手作業での移送は、安全及び衝突に対する危険をもたらす。嵩張るトロリーは、動力補助付きの場合、より嵩張り、操作がより面倒になり、所有し保守するのによりコストがかかるであろう。さらに、嵩張るトロリーの回転半径は、生産領域でより広い通路を必要とし、したがって貴重な生産床空間を犠牲にする。さらに、トロリーとバーンイン積み降ろし装置との間でバーンイン・ラックを手作業で移送すると、安全及び衝突に対する危険性がさらに高まる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様によれば、半導体デバイス又は集積回路に対してバーンイン工程を実行するバーンイン装置であって、この装置は、少なくとも1つの側部開口及び少なくとも1つの基部開口を有するバーンイン・チャンバと、側部開口を閉じるよう適合された少なくとも1つの扉又は覆いと、側部開口を通って移動可能であり、チャンバに取外し可能にドッキングでき、基部開口を閉じる、少なくとも1つの交換可能なフレームであって、各フレームが、第1及び第2の側部を有する断熱基部と、断熱基部の第1の側部に配置されたラックとを備える、少なくとも1つの交換可能なフレームとを備え、側部開口が閉じられ、各フレームがチャンバに取外し可能にドッキングされると、断熱基部が、基部開口に配置され、チャンバに当接して、チャンバの断熱を完全な状態にし、ラック及び断熱基部の第1の側部がチャンバの内側にあり、一方断熱基部の第2の側部がチャンバの外側にある。
【0012】
別の態様によれば、方法は、少なくとも1つのフレームを、チャンバの側部開口を通してチャンバ内に移動させることにより、バーンイン・ボードのセットをチャンバ内に移送するステップであって、各フレームが、断熱基部、及び断熱基部の第1の側部に配置され、バーンイン・ボードのセットを支持する、ラックを備える、ステップと、チャンバの断熱を完全な状態にするステップであって、少なくとも1つのフレームをチャンバにドッキングすることによって、各フレームの断熱基部を基部開口に配置し、断熱基部をチャンバに当接することで、チャンバの基部開口を閉じるステップであって、その結果、ラック及び断熱基部の第1の側部が、チャンバの内側にあり、一方断熱基部の第2の側部が、チャンバの外側にある、ステップ、並びに側部開口を閉じるステップを含む、断熱を完全な状態にするステップと、バーンイン・ボードのセットに配置された半導体デバイスに対してバーンイン工程を実行するステップとを含む。
【0013】
この方法は、チャンバの断熱を不完全な状態にするステップであって、側部開口を開くステップ、及びチャンバから少なくとも1つのフレームをドッキング解除することにより、基部開口を開くステップを含む、断熱を不完全な状態にするステップと、少なくとも1つのフレームを、側部開口を通してチャンバの外へ移動させることにより、バーンイン・ボードのセットをチャンバの外へ移送するステップとをさらに含むことができる。
【0014】
この方法は、フレーム上のバーンイン・ボードのセットを、バーンイン装置と、バーンイン領域の少なくとも1つの他の装置、たとえばバーンイン積み降ろし装置、バーンイン・ボード事前チェック装置、バーンイン・ボード格納装置、バーンイン・ボード洗浄装置との間で移送するステップであって、少なくとも1つのフレームを、上記の識別された装置又はバーンイン領域の他の装置のうちの1つに移動させて取外し可能にドッキングすることにより、移送するステップをさらに含むことができる。
【0015】
別の態様によれば、上記のバーンイン装置のバーンイン・チャンバが提供される。
【0016】
別の態様によれば、上記のバーンイン装置のフレームが提供される。
【0017】
フレームは、バーンイン・チャンバ及びバーンイン領域の少なくとも1つの他の装置、たとえばバーンイン積み降ろし装置、バーンイン・ボード事前チェック装置、バーンイン・ボード格納装置、バーンイン・ボード洗浄装置用の、バーンイン・ボードの共通搬送台であり得る。
【0018】
いくつかの実施例では、バーンイン・チャンバは、少なくとも部分的に基部開口に沿って配置され、各フレームがチャンバに取外し可能にドッキングされると、断熱基部に当接するよう適合された、少なくとも1つの断熱側部要素を備える。
【0019】
いくつかの実施例では、側部開口が閉じられ、各フレームがバーンイン・チャンバに取外し可能にドッキングされるとき、断熱基部は、基部開口に配置される。
【0020】
いくつかの実施例では、各フレームは、手動若しくは動力補助付きであり得る車輪、又は自律型誘導車両(AGV:autonomous guided vehicle)と共に使用するよう適合された装備をさらに備え、車輪又は装備は、断熱基部の第2の側部に配置される。
【0021】
いくつかの実施例では、電子回路が、断熱基部の第2の側部に配置され、電子回路は、通信回路、センサ、メモリ格納部、及びマイクロプロセッサのうちの少なくとも1つを含むことができ、少なくとも、少なくとも1つのフレームがチャンバに取外し可能にドッキングされ、チャンバ内でバーンイン工程が行われている間に、且つ/又は少なくとも1つのフレームが、チャンバからドッキング解除されているときに、信号を送信及び/又は受信するよう構成される。
【0022】
いくつかの実施例では、少なくとも1つのフレームは、2つ以上のフレームを含み、2つ以上のフレームのうちの少なくとも1つにバーンイン・ボードが積載され、2つ以上のフレームのうちの少なくとも別のフレームにはバーンイン・ボードがない。
【0023】
いくつかの実施例では、複数の第2のフレームが、チャンバの外側に配置され、少なくとも1つのフレームが、第2のフレームのうちの少なくとも1つと交換可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例によるバーンイン・チャンバを示す図である。
【
図2】
図1のバーンイン・チャンバ内に移動するよう適合されたフレームを示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による、バーンイン・ボードをバーンイン・チャンバから出し入れする方法に関する流れ図である。
【
図4】
図1のバーンイン・チャンバ及び
図2のフレームを備える、不完全な状態のバーンイン装置を示す斜視図である
【
図5A】
図2のフレームが
図1のバーンイン・チャンバに取外し可能にドッキングされたときの、完全な状態のバーンイン装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明において、本発明の様々な例示的実施例の完全な理解を可能にするために、多数の具体的な詳細を示す。しかし当業者には、本発明の実施例が、こうした具体的な詳細の一部又はすべてがなくても実施され得ることが理解されよう。他の例では、説明されている実施例の関連する態様を不必要に不明瞭にしないために、よく知られた工程の操作は、詳細に説明されていない。
【0026】
方法、装置、又はシステムのうちの1つに関連して説明されている実施例は、他の方法、装置、又はシステムに同様に適用可能である。同様に、方法に関連して説明されている実施例は、装置又はシステムに同様に適用可能であり、逆も可能である。
【0027】
一実施例に関連して説明されている特徴は、他の実施例における同じ又は類似の特徴にも同様に適用可能であり得る。一実施例に関連して説明されている特徴は、他の実施例では明示的に説明されていなくても、こうした他の実施例にも同様に適用可能であり得る。さらに、一実施例に関連する特徴について説明されている追加、組合せ、及び/又は代替形態は、他の実施例における同じ又は類似の特徴にも同様に適用可能であり得る。
【0028】
図面において、同様の参照番号は、いくつかの図全体を通して、同じ又は類似の機能又は特徴を指す。図面に示されている特定の配置構成は、限定的なものと見なされるべきではない。他の実施例は、所与の図に示されている、だいたいの各要素を備えることができることを理解されたい。例示されている要素の一部は、組み合わされるか、又は省略され得る。
【0029】
実例及び特許請求の範囲を含む様々な実施例に関連して、特徴又は要素に関して使用される「a」、「an」及び「the」という冠詞は、1つ又は複数の特徴又は要素への言及を含む。「備える」、「含む」、「有する」という用語、及びそれらの変形は、制限がないことを意図し、また、列挙されたもの以外のさらなる特徴又は要素が存在する可能性があることを意味する。「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の、ありとあらゆる組合せを含む。「第1」、「第2」、及び「第3」などの識別子は、単にラベルとして使用され、識別子の対象物に数値要件を課すことを意図するものではなく、限度値間のいかなる相対的な位置又は時系列も、課すように解釈されるものではない。「結合された」という用語は、物理的結合、電気的結合、及び/又は通信可能な結合を指す場合がある。「結合された」という用語は、2つの対象物に適用される場合に、直接的に又は第3の対象物を介して間接的に結合されている、2つの対象物を指す場合がある。「配置された」という用語は、「結合された」への言及を含むことができる。「支持する」という用語は、2つの対象物に適用される場合に、第1の対象物が第2の対象物によって直接支持されているか、又は第3の対象物を介して間接的に支持されていることを指す場合がある。
【0030】
本発明の態様は、半導体デバイス又は集積回路に対して、バーンイン工程を実行するバーンイン装置であって、バーンイン・チャンバ、及びそれぞれが取外し可能に移動されてバーンイン・チャンバにドッキングされるよう適合された、1つ又は複数の交換可能なフレームを備える装置と、バーンイン・チャンバの断熱を完全な状態にして、バーンイン・ボードを中に移送し、また不完全な状態にして、バーンイン・ボードを外へ移送する方法とを提供する。
【0031】
バーンイン装置は、バーンイン・チャンバ内に取外し可能に移動され、バーンイン・チャンバにドッキングされるよう適合された、少なくとも1つの交換可能なフレームの断熱基部と協働して、完全な状態になり断熱されるよう適合された、不完全な状態の基部を備えるバーンイン・チャンバを備える。より具体的には、バーンイン装置は、少なくとも1つの側部開口及び少なくとも1つの基部開口を有するバーンイン・チャンバ(或いは「チャンバ」と呼ばれる)と、側部開口を閉じるか又は密封し、側部開口に断熱性をもたらすよう適合された、少なくとも1つの扉又は覆いとを備える。基部開口は、フレームがチャンバ内に移動され、チャンバにドッキングされるとき、フレームの断熱基部によって閉じることができるか又は密封することができる。側部開口と基部開口との両方が閉じられると、バーンイン・チャンバの断熱が完全な状態になる。チャンバの残りの部分、すなわち前述の側部開口及び基部開口以外は、断熱され得る。
【0032】
バーンイン装置は、バーンイン・ボードに接続され、バーンボードに配置及び/又は接続された半導体デバイスに、電力及び/又は電気信号を供給及び/又は受信するよう適合された、少なくとも1つのバーンイン・ドライバ又は試験装置と、結合されるか又は協働することができる。バーンイン・ドライバは、チャンバの外部に配置されてもよい。チャンバは、バーンイン・ボードを支持する、少なくとも1つのフレームを収めるよう適合されている。チャンバ及びフレームを備えるバーンイン装置と、バーンイン・ドライバとの完全な組立体が、バーンイン・システムを形成する。
【0033】
フレームは、バーンイン・ボード及び半導体デバイスの搬送台を備える。フレームは、バーンイン・チャンバ内に取外し可能に移動されドッキングされるように、適切に構築及び寸法決めされている。フレームは、少なくとも1つのラック、フレームに、たとえばフレームの底部に適切に配置された少なくとも1つの断熱基部(或いは「遮断基部」と呼ばれる)を備え、その結果、フレームがチャンバにドッキングされると、遮断基部が、基部開口を少なくとも部分的に画定するチャンバの少なくとも一部分に当接し、それにより、基部開口を閉じて、チャンバの基部開口に断熱性をもたらす。遮断基部は、第1の側部、及び第1の側部に対して反対側、横、又はその他の方向、たとえば同じ方向又は異なる方向に適切に向けられ得る、第2の側部を有する。ラックは、遮断基部の第1の側部に配置される。すなわち、遮断基部及び/又はフレームに結合されている。その結果として、遮断基部がチャンバの基部開口に配置されると、遮断基部の第1の側部及びラックは、チャンバの内側に配置されるため、バーンイン工程中のチャンバの温度状況に曝され、一方遮断基部の第2の側部は、チャンバの外側、たとえば周囲環境又はチャンバの外部にあるバーンイン装置の筐体内に配置されるため、バーンイン工程中にチャンバの温度状況に曝されない。
【0034】
図1及び
図4は、本発明の一実施例によるバーンイン装置100を示している。バーンイン装置100は、バーンイン・チャンバ110と、バーンイン・チャンバ110に隣接して配置され得るバーンイン・ドライバ区域150とを備える。バーンイン・ドライバ区域150は、バーンイン・ドライバ又は試験装置、及び関連する構成要素又は回路を収容することができる。チャンバ110は、少なくとも2つの開口、たとえば基部開口112及び側部開口114を設けている。基部開口112は、チャンバ110の底部に設けられ得る。チャンバは、基部開口112に沿って、少なくとも部分的に沿って設けられる、少なくとも1つの断熱側部要素116を備えることができる。側部要素116は、チャンバ110と一体の部分であるか、又はチャンバ110に結合された少なくとも1つの別個の要素として設けられ得る。遮断側部要素116及び基部開口112によって画定される寸法は、フレームがチャンバ110内に移動してドッキングされたときに、遮断側部要素116が整合するフレーム200の遮断基部212に確実に当接し、基部開口112を閉じるよう適合される。側部開口114は、チャンバ110の横面に設けることができ、基部開口112と流体連通するよう配置することができる。すなわち、基部開口112と側部開口114とが交差する。横面は、上面でも底面でもない面を指すことができ、底面に対して横にあり得る。側部開口114は、フレーム、たとえばチャンバ110に出入りする、バーンイン・ボードが積載されたフレームの移送を可能にする。側部開口114は、たとえばヒンジを使ってチャンバ110若しくはバーンイン装置100に可動結合され得る、少なくとも1つの扉120若しくは覆いによって、又はチャンバ110若しくはバーンイン装置100から取り外されるか若しくは別個の、少なくとも1つの扉若しくは覆いによって、閉じることができる。扉120は、閉じられたときに、側部開口114に断熱性をもたらすよう適合されているが、整合するフレーム200がチャンバ110にないか又はチャンバ110から出ている間は、側部開口114が扉120によって閉じられていても、基部開口112が空いているか又は覆われていないため、チャンバ110の断熱は依然として不完全な状態である。基部開口112及び側部開口114は、開口のうちの少なくとも一方が閉じられていないときに、チャンバ110の内部とチャンバ110の外部又は周囲環境との間の流体連通を可能にする。
【0035】
図2及び
図4は、
図1のバーンイン装置100に取外し可能にドッキングされるよう適合された、フレーム200を示している。フレーム200は、積み重ねられるか又は他の構成で配置され得る、1枚又は複数枚のバーンイン・ボード220を支持するラック210を備える。ラック210は、バーンイン・ボードを直接的又は間接的に支持する、他の構造要素を備えてもよい。フレーム200は、ラック210又はフレーム200の底部を部分的又は完全に形成することができる、断熱基部212をさらに備える。
図2に関連して、断熱基部212は、第1の側部、たとえば上面と、第2の側部、たとえば底面とを有する。
図2に示されているように、第1の側部及び第2の側部は、互いに反対側にあり得るが、他の実例では、バーンイン工程の間又はフレーム200がチャンバ110にドッキングされているときに、第1の側部がチャンバ110内側に配置され、一方第2の側部がチャンバ110の外側に配置される限りにおいて、第1の側部及び第2の側部は、互いに横にあるか又は反対側に配置されていなくてもよい。フレーム200は、遮断基部212の第2の側部に配置され、たとえば、遮断基部212及び/又はラック210に回転可能に結合されている、車輪230をさらに備えることができる。したがって、バーンイン工程中、又はフレーム200がチャンバ110にドッキングされているとき、車輪230は、チャンバ110の外側に配置されている。車輪230は、手動、動力補助付きであり得る、静電気放電(ESD:electrostatic discharge)安全車輪であり得るか、又は自律型誘導車両(AGV)と共に使用されるよう適合された装備である。フレーム200とフレームの車輪230との組合せは、トロリーとも呼ばれ得る。
【0036】
図2のフレーム200は、遮断基部212の第2の側部に配置された電子回路(図示せず)をさらに備えることができる。したがって、バーンイン工程中又はフレーム200がチャンバ110にドッキングされているとき、電子回路はチャンバ110の外側に配置され、したがって、少なくともバーンイン工程中のチャンバ110の温度状況には影響されないか又は曝されない。電子回路は、1つ又は複数の遠隔デバイス、たとえば有線又は無線接続による通信デバイスに、信号を送信及び/又は受信するよう適合された通信回路、たとえば送信機、受信機を備えることができる。電子回路は、少なくとも1つのセンサ、コンピュータ処理プロセッサ若しくはマイクロプロセッサ、並びに/又は通信回路、センサ、及び/若しくはメモリ・デバイスに通信可能に結合され得る、コンピュータ処理プロセッサ若しくはマイクロプロセッサによって実行可能な命令を格納する、メモリ・デバイスをさらに備えることができる。信号は、チャンバ110にドッキングされているフレーム200、個々のフレーム200によって支持されている、バーンイン・ボード及び/又は半導体デバイスに関する情報を与えることができる。かかる情報には、個々のフレーム200、個々のフレーム200によって支持されているバーンイン・ボード及び/又は半導体の、場所及び/又は特性が含まれ得る。
【0037】
図3は、バーンイン・ボードをバーンイン・チャンバから出し入れする、本発明の一実施例による方法に関する流れ
図300を示している。
【0038】
図3のブロック302において、少なくとも1つのフレームに、バーンイン・ボードのセット及び半導体デバイスが積載される。バーンイン・ボードのセットへ半導体デバイスを積載するステップは、バーンイン積み降ろし装置(図示せず)によって、フレームがバーンイン積み降ろし装置にドッキングされているときに、実行され得る。
【0039】
図3のブロック304において、バーンイン・ボードを支持するラックを備える、積載されたフレームは、バーンイン・チャンバ内へ移送される。この搬入行程中に、積載されたフレームは、フレームの断熱基部がチャンバの基部開口を徐々に閉じながら、チャンバの側部開口を通ってチャンバ内に徐々に移動し、遮断基部が基部開口を閉じると、フレームがチャンバにドッキングされる。ドッキング位置では、遮断基部が基部開口を閉じ、基部開口に断熱性をもたらす。断熱基部の第1の側部及びラックは、チャンバの内側にあり、一方断熱基部の第2の側部は、チャンバの外側にある。バーンイン・ボードのセットのチャンバ内へのこの移送は、バーンイン・ボードのセットをラック又はフレームから取り出すことなく、フレームをバーンイン積み降ろし装置からチャンバに移動させるステップを含むことができる。
【0040】
フレーム200がトロリーである
図2の実施例では、積載されたフレーム200の移送は、積載されたトロリーをチャンバ110内へ移動させる、たとえば押し込むステップを含む。基部開口を閉じるステップは、少なくとも部分的に基部開口に沿って配置された少なくとも1つの断熱側部要素に、断熱基部を当接するステップを含む。
【0041】
図3のブロック306において、側部開口は、この目的のために選定された少なくとも1つ又は複数の扉又は覆いを使用するか又は作動させることによって、閉じられる。
【0042】
フレームをチャンバにドッキングすることによって基部開口が閉じられ、側部開口も閉じられると、チャンバの断熱は完全な状態になる。たとえば、完全な断熱性を有するバーンイン・システムを示す、
図5Aから
図5Cを参照されたい。
【0043】
図3のブロック308において、バーンイン工程がチャンバ内で行われるか又は実行される。チャンバ内の温度は、所望の温度に設定されている。フレームによって支持されているバーンイン・ボードばかりでなく、フレームの遮断用基部の第1の側部が、チャンバの温度に曝される。遮断用基部の第2の側部は、すべての車輪並びに/又はすべての通信回路及び電子回路と共にチャンバの外側にあり、したがって、チャンバ温度に曝されておらず、よって、周囲温度で保持される。バーンイン工程中、電子回路は動作する場合がある。たとえば通信回路は、信号を1つ又は複数のデバイス、たとえばバーンイン装置から遠隔にある通信デバイスに、送信及び/又は受信するよう動作することがある。
【0044】
図3のブロック310において、バーンイン工程が完了する。側部開口が、開かれる。たとえば、扉又は覆いが開かれ、側部開口を通ってチャンバにアクセスすることが可能になる。
【0045】
ブロック312において、積載されたフレームがチャンバの外へ移送される。この搬出工程中に、積載されたフレームをチャンバからドッキング解除するステップ、及びフレームが基部開口の外側に出るか又は離れるまで、側部開口を通してチャンバの外へ徐々に移動させるステップにより、基部開口は開かれるか、又は露出される。ドッキング解除位置では、遮断基部が基部開口を開くか又は露出させ、したがって、側部開口が閉じていても、チャンバの基部の断熱は不完全な状態である。フレームは、バーンイン・ボードのセットをラック又はフレームから取り出すことなく、バーンイン積み降ろし装置内に移送され得る。バーンイン積み降ろし装置では、バーンイン工程を完了した半導体デバイスが、バーンイン・ボードのセットから取り出され得る。
【0046】
図4及び
図5Aの実施例において、基部開口を開くステップは、少なくとも部分的に基部開口に沿って配置された少なくとも1つの断熱側部要素への、断熱基部の当接を解除するステップを含む。
【0047】
図3のブロック314において、ブロック304を参照して説明されたのと同様に、バーンイン・ボードの第2のセット及び半導体デバイスを支持する、少なくとも1つの第2の積載されたフレームが、チャンバ内に移送され、ブロック306を参照して説明されたように、側部開口が閉じられ、ブロック308を参照して説明されたように、バーンイン工程及び任意選択の電子及び/又は通信動作が実行され、バーンイン工程が完了した後、ブロック310を参照して説明されたように、側部開口が開かれ、ブロック312を参照して説明されたように、第2のフレームは、チャンバの外に移送される。ブロック314で使用される第2のフレームと、ブロック304で使用されるフレームとは、相異なるものであるが交換可能であり得る。すなわち、ブロック304で使用されるフレームが、バーンイン工程中にチャンバにドッキングされているとき、ブロック314で使用される第2のフレームは、チャンバの外側に配置される。
【0048】
図5Aから
図5Cは、
図1のバーンイン装置100及び
図2のフレーム200を組み込んだ、完全なバーンイン・システム500を示している。システム500は、開いていると断熱性がない、少なくとも1つの側部開口及び少なくとも1つの基部開口を有するチャンバ110を備える、バーンイン装置100を備える。システム500は、側部開口を通って移動可能であり、チャンバ110に取外し可能にドッキングすることができる、少なくとも1つのフレーム200をさらに備え、フレーム200は、第1の側部及び第2の側部を有する断熱基部212を備える。フレーム200がチャンバ110にドッキングされると、遮断基部212は、基部開口112に配置されて、たとえば基部開口112内に嵌め込まれるか又は係合されて、チャンバ及び/又はチャンバの遮断側部要素116に当接し、それによって基部開口112を閉じ、基部開口に断熱性をもたらす。フレーム200がチャンバ110にドッキングされ、側部開口114が閉じられると、チャンバ110の断熱が完全な状態になり、遮断基部212の第1の側部は、チャンバ110の内側に配置され、一方第2の側部は、チャンバ110の外側に配置される。システム500は、バーンイン・ドライバ区域150内に収容された少なくとも1つのバーンイン・ドライバ又は試験装置(図示せず)をさらに備える。
【0049】
上記の、且つ/又は例示された実施例は、以下で説明されているように、修正又は変更され得ることを理解されたい。
【0050】
一実施例では、チャンバは、2つ以上のフレームを収め、それによって、1つ又は複数の基部開口及び1つ又は複数の側部開口を有することができる。したがって、基部開口は、チャンバに2つ以上のフレームをドッキングして閉じることが可能であり得る。各フレームは、遮断基部の組合せがチャンバ及び/又はチャンバの遮断側部要素に当接して基部開口部を閉じるように、断熱基部を備える。一実例では、複数のフレームが隣接して配置されて単一の基部開口を閉じ、一方別の実例では、複数のフレームがそれぞれ複数の基部開口を閉じるよう配置される。一実例では、すべてのドッキングされるフレームが、バーンイン・ボードを積載され、一方別の実例では、少なくとも1つのドッキングされるフレームは、バーンイン・ボードがないか又は積載されていないが、基部開口を閉じてチャンバの断熱を完全な状態にするために、必ずチャンバにドッキングされる。
【0051】
図に示されている実施例では、基部開口の3つの側部に沿って、断熱側部要素が設けられ得る。いくつかの他の実施例(図示せず)では、遮断側部要素は、基部開口の1つ又は複数の側部に沿って、連続的又は断続的に配置されるよう設けられ得る。さらにいくつかの他の実施例では、基部開口のいずれの側部に沿っても、遮断側部要素が設けられていない場合がある。言い換えれば、フレームの遮断基部は、チャンバと、相互に直接接触して当接するよう構成されている。
【0052】
図に示されている実施例では、フレームの遮断基部の寸法は、チャンバの基部開口の寸法と実質的に同じであるか、又はわずかに小さくてもよい。そのため、ドッキング位置では、遮断基部が基部開口に嵌め込まれるか、又は係合される。いくつかの他の実施例(図示せず)では、フレームの遮断基部の寸法は、チャンバの基部開口の寸法よりも大きくてもよい。かかる実施例の一実例では、フレームがチャンバにドッキングされるとき、遮断基部を基部開口に嵌め込むのではなく、断熱基部は、チャンバ及び基部開口の両方の下に又は隣接して配置されるが、基部開口を覆うか又は閉じるために、チャンバに当接することができる。かかる実施例の別の実例では、フレームがチャンバにドッキングされるとき、遮断基部の少なくとも一部分が基部開口に嵌め込まれるか又は係合され、一方遮断基部の少なくとも別の部分は、基部開口の外側に配置される。前述の実施例及び他の実施例では、基部開口を覆うか又は閉じるために、断熱基部をチャンバに当接することは、基部開口に遮断基部を配置することを含み、かかる配置構成は、基部開口内に、基部開口の下に、又は基部開口に隣接して配置することを含むことを理解されたい。
【0053】
一実施例では、遮断基部は、バーンイン・チャンバから切り出されるか又は取り外され、フレーム及び/又はラックに結合される。
【0054】
一実施例では、複数のフレームが、バーンイン装置と整合し得る。複数のフレームは、様々な種類のバーンイン・ボードに対応するため、様々な配置構成を有し得るが、フレームの遮断基部を含めたフレームの全体的な構造及び寸法は、チャンバへのドッキングを、すなわち完全なチャンバの断熱を可能にするために、バーンイン装置と整合するよう適合される。
【0055】
一実施例では、フレームに車輪が設けられていないことがある。そのため、バーンイン・チャンバにフレームを出し入れするために車両が必要になる場合がある。車両は、人間が操作するか、且つ/又は自動化された、たとえば自律型誘導車両(AGV)、自律型ロボット車両(ARV:autonomous robot vehicle)であり得る。
【0056】
1つ又は複数の実施例では、フレームの車輪は、手動若しくは動力補助付きであり得るか、又は代替的若しくは追加的に、フレームが、装備、たとえば自律型誘導車両(AGV)と共に使用するよう適合された、結合要素又は係合要素を備えることができる。フレームは、これらの構成要素がバーンイン工程中にチャンバの外側に配置されるように、遮断基部の第2の側部に配置され得る、電源及びモータを備えることができる。
【0057】
一実施例では、車輪は、静電気放電(ESD)安全車輪ではない場合がある。
【0058】
上記の実施例は、選択的に組み合わされ得ることを理解されたい。上記の修正又は変形及び組合せは、
図3を参照して説明されている方法に適用することができることも理解されたい。
【0059】
本発明の実施例は、以下を含むがこれらに限定されるものではない、いくつかの利点を提供する。
【0060】
(i)本発明は、バーンイン・ボード又はバーンイン・ボード用ラックの、バーンイン・チャンバへの/バーンイン・チャンバからの手作業での移送を不要にする。本発明は、バーンイン・ボード又はバーンイン・ボード用ラックをバーンイン・チャンバに手作業で出し入れするのではなく、バーンイン・ボードを運ぶ交換可能なフレームを、バーンイン・チャンバ内に又はバーンイン・チャンバの外へ、直接移動させることを可能にする。
【0061】
本発明は、「背景技術」に記載された最初の既存の方法と比較して、操作者の疲労を最小限に抑え、手作業で扱うことによるバーンイン・ボードへの損傷を低減する。
【0062】
本発明は、「背景技術」に記載された第2の既存の方法と比較して、嵩張るトロリー又はバーンイン・ボード用ラックの手動での移送を必要とせず、それによって安全及び衝突に対する危険性を最小限に抑える。
【0063】
本発明のフレームの占有面積は、バーンイン・ボード用ラックを備えた嵩張るトロリーと比較して、はるかに小さく、軽く、安価で、操作が容易であり、必要な保守が少ないことを理解されたい。フレームはさらに、回転半径がより小さいため、生産領域の通路をより狭くすることができ、したがって貴重な床空間を節約することができる。
【0064】
本発明において、フレームがチャンバにドッキングされた後に、運び去って指定場所に置くべき空のホイール・ラック又は空のトロリーがもはや存在せず、したがって操作者を追加のステップから解放し、さらに貴重な生産床空間を節約することも理解されたい。
【0065】
(ii)本発明は、シームレスな統合、簡素化された移送を可能にし、バーンイン装置とバーンイン領域の少なくとも1つの他の装置との間の自動化を容易にする。
【0066】
本発明において、チャンバ内に移動される同じフレームが、バーンイン領域の様々な作業用である少なくとも1つの他の装置、たとえば、バーンイン積み降ろし装置、バーンイン・ボード事前チェック装置、バーンイン・ボード格納装置、バーンイン・ボード洗浄装置内にも移動され得ることを理解されたい。言い換えれば、バーンイン装置からバーンイン領域の少なくとも1つの他の装置へ、又はその逆へバーンイン・ボードを搬送する間に、フレームから/フレームへバーンイン・ボードを取り出すか又は積載することはない。
【0067】
バーンイン工程中、自律型誘導車両(AGV)と共に使用するよう適合された車輪又は装備と共に、遮断用基部の第2の側部又は下面がチャンバの外側で保持され、周囲の状況にしか曝されないことも理解されたい。これにより、フレームの下側に自動駆動部、センサ、及び/又は電子回路を取り付けることが可能となり、移送が簡素化され、バーンイン装置とバーンイン領域の少なくとも1つの他の装置との間の自動化が容易になる。
【0068】
(iii)本発明は、さもなければ既存の方法では実行不可能なはずである、バーンイン・ボードの位置追跡を可能にする。「背景技術」で説明された既存の方法では、バーンイン・ボードばかりでなくバーンイン・ボード用ラックも、バーンイン・チャンバの金属構造体の中に完全に密閉されて、高温/低温に曝され、この環境により、電源が入っているか若しくは入っていない無線位置追跡デバイスが使用できないか、又は非常に高価なデバイスが必要となる。
【0069】
本発明では、バーンインの際に、遮断用基部の第1の側部、ラック、及びバーンイン・ボードだけがチャンバ内に保持されて、高温/低温の状況に曝され、一方遮断用基部の第2の側部、及び自律型誘導車両(AGV)と共に使用するよう適合された車輪又は装備は、チャンバの外側に保持され、周囲の状況にしか曝されない。これにより、電源が入っているか若しくは入っていない位置追跡デバイス、センサ、及び電子回路を、フレームの第2の側部に取り付けることが可能となり、バーンイン・ボードがバーンイン装置の金属構造体内に完全に密閉され、高温/低温に曝されているときでも、全バーンイン領域でのフレーム及びバーンイン・ボードの位置追跡が容易になる。
【0070】
上記の実施例及び特徴は、例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであることを理解されたい。本発明の明細書及び実施を考慮することによって、他の多くの実施例が、当業者には明らかであろう。さらに、一部の用語は、説明を明確にする目的で使用されており、本発明の開示された実施例を限定するものではない。