(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】癌治療のための電気刺激機器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20241126BHJP
A61N 1/05 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
(21)【出願番号】P 2021562795
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2020028508
(87)【国際公開番号】W WO2020219336
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-12-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-03
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ブライアン エル.
(72)【発明者】
【氏名】アーンホルト、デボン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】スタイン、ベンジャミン キース
(72)【発明者】
【氏名】マイレ、キース アール.
(72)【発明者】
【氏名】リンダー、ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バルツェウスキ、ロン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】カラム、アレクサンドラ
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】安井 寿儀
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0096584(US,A1)
【文献】特表2014-533130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 - 1/44
A61B 17/068
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のワイヤ及び第2のワイヤを含む第1のリード;
第3のワイヤ及び第4のワイヤを含む第2のリード;
前記第1のワイヤと電気通信する第1の電極、前記第2のワイヤと電気通信する第2の電極、前記第3のワイヤと電気通信する第3の電極、及び前記第4のワイヤと電気通信する第4の電極
;
10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つの電界を発生させるように構成された電界発生回路であって、前記1つの電界は癌細胞における細胞の有糸分裂を中断するのに有効である、電界発生回路;
前記電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、前記電界発生回路からの前記1つの電界の届きを制御するように構成された制御回路構成部品
を含む、
前記癌性腫瘍を治療するための医療機器であって、
前記制御回路構成部品は、前記電界発生回路に、1V/cm~10V/cmの範囲から選択された1つの印加電界強度において、前記1つの電界を発生させるように指示するように構成され;
前記第1の電極及び前記第3の電極は、前記癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つの電界
を届けるように構成された供給電極対を形成し;及び
前記第2の電極及び前記第4の電極は、前記第1の電極、前記第1のワイヤ、前記第3の電極、前記第3のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素のインピーダンスとは無関係に、前記癌性腫瘍のインピーダンスを測定するように構成された検知電極対を形成
し、前記第2の電極及び前記第4の電極の間のインピーダンスの低下は、腫瘍の進行を示す、医療機器。
【請求項2】
前記第1のリード及び前記第2のリードは、それぞれ、前記電界発生回路と電気通信する、
請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記1つの電界が、100kHz~300kHzの範囲から選択される周波数で前記癌性腫瘍へ届く、
請求項1又は2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記第2の電極、前記第2のワイヤ、前記第4の電極、前記第4のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素を通る電流フローは、100pA未満である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の医療機器。
【請求項5】
前記第1のリードの前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記第1のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ、空間的に離れており;及び前記第2のリードの前記第3の電極及び前記第4の電極は、前記第2のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ、空間的に離れている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全指定国に対する出願人としてボストン・サイエンティフィック・サイムド(Boston Scientific Scimed,Inc.)(米国企業)、並びに全指定国の発明人としてブライアン・L.シュミット(Brian L.Schmidt)(米国民)、デボン・N.アーンホルト(Devon N.Arnholt)(米国民)、ベンジャミン・キース・ステイン(Benjamin Keith Stein)(米国民)、キース・R.メイル(Keith R.Maile)(米国民)、ウィリアム・J.リンダー(William J.Linder)(米国民)、ロン・A.バルチェウスキ(Ron A.Balczewski)(米国民)及びアレクサンドラ・カラム(Aleksandra Kharam)(米国民)の名義で2020年4月16日にPCT国際特許出願として出願されている。本出願は、2019年4月22日出願の米国仮特許出願第62/837,125号明細書の優先権を主張し、その内容全体を参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
本明細書の実施形態は、癌を治療するための電気刺激機器及び方法に関する。より具体的には、実施形態は、限定されるものではないが、癌性腫瘍の部位における又はその近くの、インピーダンス、静電容量、又は電圧を含む、1つ以上の電気的特性を測定することに関連する特徴を含み得る、電気刺激リード及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物は、細胞並びに細胞内液及び細胞外液によって取り囲まれている細胞外マトリックスを含む生物学的組織の複雑な三次元アーキテクチャで構成されている。生物の細胞の内部に見られる細胞内液は、一般的にイオン性であり、且つイオン、タンパク質、多量養素、及び核酸などの、様々な電気的に活性の分子を含む。細胞外液は、生物の細胞の外側に見られる様々な流体を含む。細胞外液の例は、数例を挙げると、血漿、リンパ、脳脊髄液、眼液(ocular fluid)、滑液、及び唾液を含み得る。細胞外液は、一般的に、イオン性であり、且つイオン、糖、脂肪酸、及び代謝老廃物などの、電気的に活性の多量養素を含み得る。生物の細胞膜は、リン脂質及びタンパク質を含み、ここでは、疎水性の脂質尾部(hydrophobic lipid tails)は、2層の親水性のリン酸頭部群(hydrophilic phosphate headgroups)間に挟まれており、且つ様々なタンパク質がそれに関連している。
【0004】
生物内の生物学的組織は、交番電界内に置かれたときに電気インピーダンスを有する。生物の生物学的組織の電気インピーダンスは、組織型、組織の健康又は病的状態、及び印加電界の周波数に依存し得る。生物学的組織の各型の電気インピーダンスは、各特定組織の細胞型、細胞内液、及び細胞外液組成によって決定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様では、癌性腫瘍を治療するための医療機器が含まれる。医療機器は、第1のワイヤ及び第2のワイヤを含む第1のリード;第3のワイヤ及び第4のワイヤを含む第2のリード;及び第1のワイヤと電気通信する第1の電極、第2のワイヤと電気通信する第2の電極、第3のワイヤと電気通信する第3の電極、及び第4のワイヤと電気通信する第4の電極を含み得る。第1の電極及び第3の電極は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つ以上の電界が届くように発生するように構成された供給電極対を形成し得る。第2の電極及び第4の電極は、第1の電極、第1のワイヤ、第3の電極、第3のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素のインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍のインピーダンスを測定するように構成された検知電極対を形成し得る。
【0006】
第2の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得る。
【0007】
第3の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、第1のリード及び第2のリードは、それぞれ、電界発生回路と電気通信する。
【0008】
第4の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。
【0009】
第5の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、制御回路構成部品が、電界発生回路に、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つ以上の電界を発生させるようにし得る。
【0010】
第6の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、完全に対象者の体内に植え込まれるように構成され得る。
【0011】
第7の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、部分的に対象者の体内に植え込まれるように構成され得る。
【0012】
第8の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、1つ以上の電界が、100kHz~300kHzの範囲から選択される周波数で癌性腫瘍へ届く。
【0013】
第9の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、第2の電極、第2のワイヤ、第4の電極、第4のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素を通る電流フローは、100pA未満である。
【0014】
第10の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、第1のリードの第1の電極及び第2の電極は、第1のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ、空間的に離れており;及び第2のリードの第3の電極及び第4の電極は、第2のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ、空間的に離れている。
【0015】
第11の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、1つ以上の電界は、0.25V/cm~1000V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
【0016】
第12の態様では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれる。方法は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード及び第2のリードを植え込むことを含み得、第1のリードは、第1のワイヤ及び第2のワイヤを含み、及び第2のリードは、第3のワイヤ及び第4のワイヤを含む。第1のワイヤは第1の電極と電気通信し得;第2のワイヤは第2の電極と電気通信し得;第3のワイヤは第3の電極と電気通信し得;及び第4のワイヤは第4の電極と電気通信し得る。第1の電極及び第3の電極は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生するように構成された第1の供給電極対を形成し得、且つ第2の電極及び第4の電極は、第1の検知電極対間のインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍のインピーダンスを測定するように構成された第1の検知電極対を形成し得る。方法は、第1の供給電極対を使用して、予め決められた期間、癌性腫瘍の部位に又はその近くに治療電界を印加することを含み得る。方法は、第1の検知電極対を使用して、癌性腫瘍のインピーダンスを測定することを含み得る。
【0017】
第13の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、方法は、癌性腫瘍の治療開始前に癌性腫瘍の初期インピーダンスを測定することを含み得、初期インピーダンスを測定することは、癌性腫瘍の部位に又はその近くに診断電界を印加すること、及び初期インピーダンスを記録することを含む。
【0018】
第14の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、癌性腫瘍のインピーダンスを測定することは、予め決められた時間にわたって複数の測定値を得ることを含む。
【0019】
第15の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、方法は、予め決められた期間にわたってインピーダンスの上昇を検出することによって、癌性腫瘍の退縮を決定することを含み得る。
【0020】
第16の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、方法は、予め決められた期間にわたってインピーダンスの低下を検出することによって、癌性腫瘍の進行を決定することを含み得る。
【0021】
第17の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、方法は、治療電界を調整することを含み得る。
第18の態様では、癌性腫瘍を治療するための医療機器が含まれる。医療機器は、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路、及び電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている制御回路構成部品を含み得る。制御回路構成部品は、電界発生回路に、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で、癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つ以上の電界を発生させるようにし得る。医療機器は、電界発生回路と電気通信する1本以上の供給リードを含み得、1本以上の供給リードはそれぞれ、電界発生回路と電気通信する1つ以上の供給電極を含む。医療機器は、制御回路構成部品と電気通信する1本以上の検知リードを含み得、1本以上の検知リードはそれぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る。1つ以上の検知電極は、1つ以上の供給電極のインピーダンスを測定するように構成され得る。
【0022】
第19の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、電界発生回路及び制御回路構成部品が内部に配置されるハウジングを含み得、ハウジングは、ハウジングが供給電極の機能を果たすように、電界発生回路と電気通信する部分を含み、及び1つ以上の電界は、供給電極としての機能を果たすハウジングの部分を含む少なくとも1つのベクトルに沿って、発生されて届く。
【0023】
第20の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、1つ以上の検知電極は、各供給電極のインピーダンスを識別するために、単極インピーダンス測定を行うように構成されている。
【0024】
この概要は、本出願の教示の一部の要旨であり、且つ本主題の排他的又は包括的な扱いを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、且つその一部をなす図面を見れば、当業者には明らかであり、それらはそれぞれ、限定ととられるべきではない。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な等価物によって定義される。
【0025】
態様は、以下の図面と併せて、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本明細書の様々な実施形態による概略的な回路図である。
【
図2】本明細書の様々な実施形態による概略的な回路図である。
【
図3】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図4】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図5】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図6】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図7】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図8】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図9】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図10】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略的な断面図である。
【
図11】本明細書の様々な実施形態による医療機器の構成要素の概略図である。
【
図12】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図13】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図14】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図15】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図16】本明細書の様々な実施形態による例示的な電界のプロットである。
【
図17】本明細書の様々な実施形態による例示的な電界のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施形態は、様々な修正例及び代替形態の影響を受けやすいが、その詳細は、例として図面に示されており、且つ詳細に説明される。しかしながら、本明細書の範囲は、説明の特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。それどころか、本明細書の趣旨及び範囲内にある修正例、等価物、及び代替例を網羅することを意図する。
【0028】
上述の通り、生物内の生物学的組織は、交番電界内に置かれたときに電気インピーダンスを有する。いずれの健康な組織のように、少なくとも1つの癌細胞集団を含む癌性腫瘍も、電界内に置かれたときに、その腫瘍の細胞型、細胞内液、及びその腫瘍に関連する細胞外液による影響を受けた電気インピーダンスを示し得る。しかしながら、癌組織のインピーダンスは、健康な組織と比較して異なるものになり得る。さらに、癌組織のインピーダンスは、癌組織の治療の結果、変わり得る。そのようなものとして、治療前、治療中及び治療後(治療モダリティに関わらず)に組織のインピーダンスを測定及び監視することは、さらなる治療法の指針となるための、価値のある臨床上の洞察を提供し得る。さらに、治療前、治療中及び治療後(治療モダリティに関わらず)の機器の構成要素自体(限定されるものではないが、電極、リード、及びそれらと電気通信する構成要素を含む)のインピーダンスは、さらなる治療法の指針となるための、価値のある臨床上の洞察を提供し得る。
【0029】
インピーダンスは、2線式インピーダンス測定又は4線式インピーダンス測定を含むいくつもの方法を使用して生物学的組織内で測定され得る。ここで
図1を参照すると、生物学的組織内のインピーダンスを測定するための2線式回路
図100が、本明細書の実施形態に従って示されている。2線式回路
図100は、第1のワイヤ抵抗104を有する第1のワイヤ102、及び第1のワイヤ102と電気通信する第1の電極106を含む。2線式回路
図100はまた、第2のワイヤ抵抗112を有する第2のワイヤ114、及び第2のワイヤ114と電気通信する第2の電極110を含む。第1の電極106及び第2の電極110は、治療される組織108にごく接近して置かれる。例として、治療される組織108は、健康な身体組織、又は癌性腫瘍などの病変した身体組織を含み得る。
【0030】
2線式回路
図100はまた、電流源116及び電圧計118を含む。回路を通る電流フローの方向は、電流フロー矢印120及び122によって示されている。第1の電極106及び第2の電極110は、それぞれ、治療される組織108の部位に又はその近くに電界を及ぼすように発生する機能を果たし且つ治療される組織108の部位における又はその近くのインピーダンスを検知するように構成されている。それゆえ、このシナリオでは、既知の電流が組織108に供給され、且つ電圧降下が同じ電極対を使用して測定される(又はその電極対の2つの電極間の電位差)。その後、インピーダンスは、オームの法則(V=IR又はV=IZ)に従って計算され得る。しかしながら、このようにして測定されるとき、回路を通る電流は、第1のワイヤ抵抗104の両端間及び第2のワイヤ抵抗112の両端間で電圧降下を生じる。回路を通る電流フローは、ワイヤ、電極、及びそれらと電気通信する任意の他の構成要素内のインピーダンスに起因する電圧降下を生じ得る。それゆえ、電圧計118によって測定された、組織108を通る電圧124は、2線式回路100の構成要素内の電圧降下の干渉を含み、且つ組織108の両端間での実際の電圧降下126とは異なる。そのようなものとして、組織108を通して測定されるようないずれのインピーダンスも、2線式回路100の構成要素のインピーダンスを含む。理論に縛られることを意図としないが、組織108のインピーダンスの測定へのこの干渉は、組織108インピーダンスの測定及び/又は監視の臨床的価値に害を及ぼし、且つ治療法の指針となる価値を下げてしまい得ると考えられている。
【0031】
インピーダンスを測定するための4線式システムは、正確さを高めることができ、具体的には、2線式システムに関連付けられるインピーダンス測定に対する干渉を軽減させ得る又はなくし得る。ここで
図2を参照すると、生物学的組織内のインピーダンスを測定するための例示的な4線式回路
図200が、本明細書の実施形態に従って示されている。4線式回路
図200は、4線式回路図が別個の供給電極及び別個の検知電極を含む点で、2線式回路図とは異なる。4線式回路
図200は、第1のワイヤ抵抗204を有する第1のワイヤ202、及び第1のワイヤ202と電気通信する第1の供給電極206を含む。4線式回路
図200はまた、第2のワイヤ抵抗212を有する第2のワイヤ214、及び第2のワイヤ214と電気通信する第2の供給電極210を含む。第1の供給電極206及び第2の供給電極210は、治療される組織108にごく接近して置かれる。例として、治療される組織108は、健康な身体組織、又は癌性腫瘍などの病変した身体組織を含み得る。第1の供給電極206及び第2の供給電極210は、組織108の部位に又はその近くに1つ以上の電界を及ぼすように発生するように構成されている。
【0032】
4線式回路
図200は、さらに、第3のワイヤ抵抗226を有する第3のワイヤ224、及び第3のワイヤ224と電気通信する第1の検知電極228を含む。4線式回路
図200はまた、第4のワイヤ抵抗232を有する第4のワイヤ234、及び第4のワイヤ234と電気通信する第2の検知電極230を含む。第1の検知電極228及び第2の検知電極230は、治療される組織108にごく接近して置かれ、且つそれらは、組織108内のインピーダンスを測定するように構成されている。
【0033】
4線式回路
図200はまた、電流源116及び電圧計118を含む。回路を通る電流フローの方向は、電流フローの矢印220及び222によって示されている。電流は、第1の供給電極206、組織108、及び第2の供給電極210、及びいずれかのワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素を流れるように構成されている。2線式回路100とは対照的に、4線式回路200は、無視できるほどの電流が、検知電極及びワイヤ及びそれらと電気通信する構成要素を流れるように、構成されている。そのようなものとして、電圧計118によって測定される電圧236は、組織108を通る電圧238と実質的に同一である。第1のワイヤ、第1の供給電極、第2のワイヤ、第2の供給電極、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素内のいずれのインピーダンスも、組織108の両端間でのみ検知されるインピーダンスと一緒には測定されない。
【0034】
癌性腫瘍のインピーダンスは、本明細書で説明した医療機器のいずれかを使用して測定され得、且つ2線式、4線式、又は他のシステムを使用して行われ得る。ここで
図3及び
図4を参照すると、癌性腫瘍310がある対象者301の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。
図3では、対象者301は、医療機器300が、対象者301の体内の、癌性腫瘍310の部位に又はその近くに、完全に植え込まれている。例えば四肢、胴部上方、腹部、頭部などの領域を含め、様々な植え込み部位が使用され得る。
図4では、対象者301は、医療機器400が、対象者301の体内の、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、少なくとも部分的に植え込まれている。いくつかの実施形態では、医療機器は、完全に対象者の体外にあるとし得る。いくつかの実施形態では、医療機器は、部分的に対象者の体外にあるとし得る。いくつかの実施形態では、医療機器は、部分的に植え込まれ、且つ部分的に対象者の体外にあるとし得る。他の実施形態では、部分的に植え込まれている医療機器は、体内に配置された構成要素と体外に配置された構成要素との間の経皮的な接続を含み得る。部分的に又は全体的に植え込まれた医療機器は、医療機器の部分的に又は全体的に外部にある部分と、無線接続によって無線通信し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、医療機器の一部分は、完全に植え込まれ得、及び医療機器の一部分は、完全に外部にあるとし得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の電極又はリードは、体内に完全に植え込まれ得るが、電界を発生させる医療機器の部分、例えば電界発生器は、完全に体外にあるとし得る。本明細書で説明するいくつかの実施形態では、説明する電界発生器は、パルス発生器と同じ構成要素の多くを含み得、且つパルス発生器と同じ機能の多くを果たすように構成され得ることが認識される。医療機器の一部分が完全に植え込まれており、及び医療機器の一部分が完全に外部にある実施形態では、完全に外部にある医療機器の部分は、完全に内部にある医療機器の部分と無線通信し得る。しかしながら、他の実施形態では、有線接続が使用され得る。
【0036】
医療機器300は、ハウジング302と、ハウジング302に結合されたヘッダー304とを含み得、及び医療機器400は、ハウジング302を含み得る。様々な材料が使用され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、ハウジング302は、例えば金属、セラミック、ポリマー、複合材などの材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング302、又はその1つ以上の部分は、チタンで形成され得る。ヘッダー304は、様々な材料で形成され得るが、いくつかの実施形態では、ヘッダー304は、エポキシ材料などの半透明のポリマーで形成され得る。いくつかの実施形態では、ヘッダー304は中空とし得る。他の実施形態では、ヘッダー304は、構成要素及び/又はエポキシや別の材料などの構造材料でいっぱいにされて、非中空となるようにし得る。
【0037】
医療機器300又は400の一部分が部分的に外部にあるいくつかの実施形態では、ヘッダー304及びハウジング302は、耐久性のあるポリマー材料製の保護用ケーシングによって取り囲まれ得る。医療機器300又は400の一部分が部分的に外部にある他の実施形態では、ヘッダー304及びハウジング302は、ポリマー材料、金属材料、及び/又はガラス材料の組み合わせで作製された保護用ケーシングによって取り囲まれ得る。
【0038】
ヘッダー304は、リード306などの1本以上のリードに結合され得る。ヘッダー304は、1本以上のリード306の基端部の固定を行い且つ1本以上のリード306をハウジング302内にある1つ以上の構成要素に電気的に結合する働きをし得る。1本以上のリード306は、リード306の長さ部分に沿って配置された電極308などの、1つ以上の電極を含み得る。いくつかの実施形態では、電極308は、本明細書では「供給電極」とも呼ばれる電界発生電極を含み得、及び他の実施形態では、電極308は電界検知電極を含み得る。いくつかの実施形態では、リード306は、電界発生電極及び電界検知電極の双方を含み得る。他の実施形態では、リード306は、電界検知及び電界発生の双方である、任意の数の電極を含み得る。本明細書の医療機器の多くの実施形態は、リードによって機能するように設計されているが、電界を発生させる、リードなし医療機器も本明細書では考えられることが認識される。いくつかの実施形態では、電極308は、リード306の最先端部にあるチップ電極とし得る。
【0039】
医療機器内にある構成要素は、リード、電極、及び電気回路の一部を形成する上述のもののいずれかと電気通信するいずれの構成要素も含め、医療機器内にインピーダンスを生じ得ることが認識される。4本のワイヤ及び4つの電極を有する医療機器は、癌性腫瘍内のインピーダンスを測定するように構成され得、且つ医療機器の構成要素のインピーダンスを、癌性腫瘍の両端間のインピーダンスとは区別できるため、癌性腫瘍自体に関連付けられるインピーダンスをより正確に測定できるようにする。ここで
図5を参照すると、癌性腫瘍310を治療するための医療機器500が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器500は、第1のワイヤ504(実線で示す)及び第2のワイヤ506(破線で示す)を含む第1のリード502を含み得る。医療機器500は、第3のワイヤ510(実線で示す)及び第4のワイヤ512(破線で示す)を含む第2のリード508を含み得る。第1のワイヤ504及び第3のワイヤ510は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を及ぼすように発生するための供給ワイヤとして構成され得る。第2のワイヤ506及び第4のワイヤ512は、癌性腫瘍の部位の又はその近くのインピーダンスを測定するための検知ワイヤとして構成され得る。
【0040】
医療機器500の第1のリード502は、第1のワイヤ504と電気通信する第1の電極514、及び第2のワイヤ506と電気通信する第2の電極516を含み得る。医療機器500の第2のリード508は、第3のワイヤ510と電気通信する第3の電極518、及び第4のワイヤ512と電気通信する第4の電極520を含み得る。第1の電極514及び第3の電極518は、癌性腫瘍310の部位に又はその近くに電界522が届くように発生することができる供給電極対を形成するために、供給電極として構成され得る。第2の電極516及び第4の電極520は、癌性腫瘍310のインピーダンス524を測定するように構成された検知電極対を形成するために、電界検知電極として構成され得、ここで、インピーダンス524は、第1の電極514、第1のワイヤ504、第3の電極518、第3のワイヤ510、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素によって形成される任意の回路のインピーダンスと無関係である。
【0041】
いくつかの実施形態では、本明細書の医療機器のリードに2つ以上の電極が存在する場合、各電極は、リードの長手方向軸に沿って、少なくとも0.1、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.75、1、2、3、4、5、又は10cmだけ(又は、上述のいずれか間の範囲内にある量だけ)、空間的に離れ得る。例として、第1のリード502の第1の電極514及び第2の電極516は、第1のリード502の長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ空間的に離れている;及び第2のリード508の第3の電極518及び第4の電極520は、第2のリード508の長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ空間的に離れている。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する電極は、本明細書で説明するリードの長手方向軸に沿って、1mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、又は100mm、150mm、200mm、又は250mm以上とし得る距離だけ、空間的に離れ得る。いくつかの実施形態では、本明細書の電極は、隣接する電極から2つ以上の次元において、1mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、又は100mm、150mm、200mm、又は250mm以上とし得る距離だけ、空間的に離れ得る。
【0043】
第1の電極514及び第3の電極518を通る電流フローは、第2の電極516及び第4の電極520を含む検知電極対を検知されるほどには通らないことが認識される。それゆえ、第2の電極516、第2のワイヤ506、第4の電極520、第4のワイヤ512、及びそれらと電気通信する構成要素を通る電流フローは、無視できる程度である。いくつかの実施形態では、第2の電極516、第2のワイヤ506、第4の電極520、第4のワイヤ512、及びそれらと電気通信する構成要素を通る電流フローは、2000、1000、750、500、250、100、50、又は10pA未満である。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書の医療機器の4本のワイヤは、それぞれ、別々のリードに存在し得、互いに空間的に離れ得る。ここで
図6を参照すると、癌性腫瘍310を治療するための医療機器600が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器600は、第1のワイヤ604を含む第1のリード602、第2のワイヤ608を含む第2のリード606、第3のワイヤ612を含む第3のリード610、及び第4のワイヤ616を含む第4のリード614を含み得る。第1のワイヤ604及び第3のワイヤ612は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を及ぼすように発生するための供給ワイヤとして構成され得る。第2のワイヤ608及び第4のワイヤ616は、癌性腫瘍の部位の又はその近くのインピーダンスを測定するための検知ワイヤとして構成され得る。
【0045】
第1のリード602は、第1のワイヤ604と電気通信する第1の電極618を含み得る。第2のリード606は、第2のワイヤ608と電気通信する第2の電極620を含み得る。第3のリード610は、第3のワイヤ612と電気通信する第3の電極622を含み得る。第4のリード614は、第4のワイヤ616と電気通信する第4の電極624を含み得る。第1の電極618及び第3の電極622は、癌性腫瘍310の部位に又はその近くに電界が届くように発生するように構成された供給電極対を形成するために、供給電極として構成され得る。第2の電極620及び第4の電極624は、癌性腫瘍310のインピーダンス524を測定するように構成された検知電極対を形成するために、検知電極として構成され得、ここで、インピーダンス524は、第1の電極618、第1のワイヤ604、第3の電極622、第3のワイヤ612、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素のインピーダンスとは無関係である。いくつかの実施形態では、第1のワイヤ、第2のワイヤ、第3のワイヤ、第4のワイヤなどは、互いに電気的に絶縁され得る。他の実施形態では、5本以上のリード及び/又は5本以上のワイヤが用いられ得る。
【0046】
供給電極対を形成する第1の電極618及び第3の電極622は、第1のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生させ得、並びに検知電極対を形成する第2の電極620及び第4の電極624は、第2のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位の又はその近くの癌性腫瘍のインピーダンス524を測定し得る。第1のベクトル及び第2のベクトルは、互いに空間的及び/又は方向的に離れ得る。いくつかの実施形態では、第1のベクトル及び第2のベクトルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80又は90度の角度だけ、空間的及び/又は方向的に離れ得る(例えば、それらベクトルは、互いに対して角度をなして配置され得る)。供給電極対は、複数のベクトルに沿って癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生させ得、並びに検知電極対は、同様に、電界が届くように使用されたベクトルとは空間的に離れている複数のベクトルに沿って、インピーダンスを測定し得ることが認識される。いくつかの実施形態では、検知電極は、非治療法によるベクトルである1つ以上のベクトルに沿って、癌性腫瘍内のインピーダンス524を検知するように構成され得る。
【0047】
本明細書の医療機器は、癌性腫瘍の部位の又はその近くのインピーダンスを測定するために、4本ワイヤを2組以上使用する追加的な形態を含み得る。例えば、本明細書の医療機器は、癌性腫瘍内のインピーダンスを測定するために2組の4本ワイヤを含み得る。ここで
図7を参照すると、癌性腫瘍310を治療するための医療機器700が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器700は、第1のリード602、第2のリード606、第3のリード610、及び第4のリード614を含む。第1のリード602は、第1の電極618及び第5の電極702を含み得る。第2のリード606は、第2の電極620及び第6の電極704を含み得る。第3のリード610は、第3の電極622及び第7の電極706を含み得る。第4のリード614は、第4の電極624及び第8の電極708を含み得る。図示しないが、第5の電極は第5のワイヤと電気通信し、第6の電極は第6のワイヤと電気通信し、第7の電極は第7のワイヤと電気通信し、及び第8の電極は第8のワイヤと電気通信することが認識される。それぞれのリード内にあるワイヤのそれぞれは、互いに電気的に絶縁され得る。
【0048】
第1の電極618及び第3の電極622は、癌性腫瘍310の部位に又はその近くに電界が届くように発生するように構成された第1の供給電極対を形成する供給電極として構成され得る。第2の電極620及び第4の電極624は、癌性腫瘍310のインピーダンス524を測定するように構成された第1の検知電極対を形成する検知電極として構成され得、ここで、インピーダンス524は、第1の電極618、第3の電極622、及びいずれかのワイヤ、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素のインピーダンスとは無関係である。第5の電極702及び第7の電極706は、癌性腫瘍310の部位に又はその近くに電界が届くように発生するように構成された第2の供給電極対を形成する供給電極として構成され得る。第6の電極704及び第8の電極708は、癌性腫瘍310のインピーダンス524を測定するように構成された第2の検知電極対を形成する検知電極として構成され得、ここで、インピーダンス524は、第5の電極702、第7の電極706、及びいずれかのワイヤ、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素のインピーダンスとは無関係である。
【0049】
第1の供給電極対を形成する第1の電極618及び第3の電極622は、第1のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生させ得、並びに第1の検知電極対を形成する第2の電極620及び第4の電極624は、第2のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位の又はその近くのインピーダンス524を測定し得る。第2の供給電極対を形成する第5の電極702及び第7の電極706は、第3のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生させ得、並びに第2の検知電極対を形成する第6の電極704及び第8の電極708は、第4のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位の又はその近くのインピーダンス524を測定し得る。
【0050】
電界は、第1のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、第1の供給電極対によって届き得る一方で、第1の検知電極対は、第1のベクトルから空間的及び/又は方向的に離れている第2のベクトルに沿ってインピーダンスを検知し得る。いくつかの実施形態では、第1のベクトル及び第2のベクトルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80又は90度の角度だけ、空間的及び/又は方向的に離され得る(例えば、それらベクトルは、互いに対して角度をなして配置され得る)。同様に、電界は、第3のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、第2の供給電極対によって届き得る一方で、第2の検知電極対は、第3のベクトルから空間的に離れている第4のベクトルに沿ってインピーダンスを検知し得る。いくつかの実施形態では、第3のベクトル及び第4のベクトルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80又は90度の角度だけ、空間的及び/又は方向的に離され得る(例えば、それらベクトルは、互いに対して角度をなして配置され得る)。第1又は第2の供給電極対は、複数のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生させ得、及び第1又は第2の検知電極対は、同様に、電界が届くように使用されたベクトルから空間的及び/又は方向的に離れている複数のベクトルに沿って、インピーダンスを測定し得ることが認識される。
【0051】
医療機器700の第1及び第2の供給電極対は、第1のリード602及び第3のリード610に配置され、且つ第1及び第2の検知電極対は、第2のリード606及び第4のリード614に配置されていると見られるが、電極対の任意の形態が、本明細書の医療機器のリードに実装され得ることが認識される。例として、
図7では、第1のリード602及び第3のリード610は、それぞれ、第1の供給電極対及び第1の検知電極対を含み得、並びに第2のリード606及び第4のリード614も、第1の供給電極対及び第1の検知電極対を含み得る。
【0052】
本明細書のいくつかの実施形態では、医療機器は、内部構成要素及び外部構成要素の双方を含み得る。ここで
図8を参照すると、医療機器800の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器800は、対象者の体の内側850に内部部分、及び対象者の体の外側852に外部部分を含み得る。医療機器800の内部部分は、内部リード線801を含み得、並びに外部部分は、ハウジング302及び外部リード線802を含み得る。医療機器800はまた、1本以上のリード又はカテーテルを受け入れるのに好適な、癌性腫瘍の部位にある又はその近くにある対象者の体の外面822に広がる経皮的アクセスポート820を含み得る。例として、経皮的アクセスポート820は、内部リード線801、1種以上の化学療法薬を送達するための薬物送達カテーテル、光エネルギーを伝達するための1つ以上の光エミッターを含む光リード、癌性腫瘍から生検標本を得るための生体検査装置、又は癌性腫瘍の部位から老廃物や体液を洗い流すための灌注カテーテルのうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され得る。
【0053】
内部リード線801は、内部リード線801の長さ部分に沿って配置された、検知電極804及び808、並びに供給電極806及び810などの、1つ以上の電極を含み得る。外部リード線802は、外部リード線802の長さ部分に沿って配置された、検知電極812及び816、並びに供給電極814及び818を含み得る。いくつかの実施形態では、電極804、806、808、810、812、814、816、及び818は、電界発生電極(すなわち供給電極)及び電界検知電極の任意の形態を含み得る。いくつかの実施形態では、内部リード線801又は外部リード線802は、電界発生電極及び電界検知電極の双方を任意の形態で含み得る。
【0054】
内部リード線801又は外部リード線802の基端部は、ハウジング302内に配置される。内部リード線801の先端部は癌性腫瘍310を取り囲み、電極804、806、808、及び810が癌性腫瘍310の近くにもたらされるようにする。外部リード線802は、癌性腫瘍の部位の近くの対象者の体の外面上に置かれ得、電極812、814、816、及び818が、内部リード線801にある電極804、806、808、及び810と電気通信するようにする。いくつかの実施形態では、内部リード線801は、脈管構造内に位置決めされ得、電極804、806、808、及び810が、癌性腫瘍310に隣接されて又はその内部に位置決めされるようにする。しかしながら、内部リード線801は、癌性腫瘍310内又はその周囲の様々な箇所に配置され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、内部リード線801は、癌性腫瘍310を直接通過し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、内部リード線801は、腫瘍に対する電極の正確な場所の決定に使用するために、内部リード線801の長さ部分に沿って1つ以上の追跡マーカ826を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の追跡マーカは、内部リード線801に配置された1つ以上の電極のすぐ先端側に又はすぐ基端側に配置され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカは磁性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカはX線撮影材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカは蛍光撮影材料(fluorographic material)から形成され得る。
【0056】
複数の電界ベクトルが、内部リード線801及び外部リード線802に沿って配置された供給電極806、810、814、又は818の様々な組み合わせ間に生成され、電界を生じ得ることが認識される。例えば、1つ以上の電界ベクトルは、供給電極806と814との間に生成され得る。同様に、1つ以上の電界ベクトルは、供給電極810と818との間に生成され得る。1つ以上の電界ベクトルは、供給電極806、810、814、又は818のいずれかの組み合わせ間に生成され得ることも認識される。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界ベクトルは、供給電極806、810、814、又は818と医療機器800のハウジング302とのいずれかの組み合わせの間で生成され得る。
【0057】
検知電極804、808、812、及び816は、検知電極804、808、812、及び816のいずれかの組み合わせ間の1つ以上のベクトルに沿って癌性腫瘍310内のインピーダンス524を検知でき、ここで、癌性腫瘍のインピーダンス524の検知は、供給電極806、810、814、若しくは818、又はいずれかのワイヤ、又はそれらと電気通信する構成要素のいずれかに存在するいずれのインピーダンスとも無関係とし得ることが認識される。各検知電極は、供給電極、リード、ワイヤ、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素のいずれかによって生じたインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍310のインピーダンスを測定するように構成され得る。
【0058】
検知電極804、808、812、及び816は、検知電極804、808、812、及び816と供給電極806、810、814、又は818とのいずれかの組み合わせの間の1つ以上のベクトルに沿って、供給電極のいずれかのインピーダンス824を検知し得ることが認識される。いくつかの実施形態では、電極804、808、812、及び816は、1つ以上の非治療法によるベクトルに沿って供給電極のいずれかのインピーダンス824を検知できる検知電極とし得る。各検知電極は、さらに、供給電極とし得る電極806、810、814、又は818のいずれかのインピーダンスを測定するように構成され得、ここで、その測定されたインピーダンスは、他の供給電極、リード、ワイヤ及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素のいずれかによって生じたインピーダンスとは無関係である。いくつかの実施形態では、供給電極806、810、814、又は818は、単極インピーダンス測定を行って、各供給電極のインピーダンスを識別し得る。「単極」インピーダンス測定は、植え込まれた機器自体のハウジング(又はケース又は缶)が、電圧降下を測定し且つインピーダンスを導き出すために電流を通すことが要求される、対を形成する2つの電極の一方の機能を果たすシナリオを指す。「双極」インピーダンス測定は、植え込まれた機器自体のハウジング(又はケース又は缶)が、電圧降下を測定し且つインピーダンスを導き出すために電流を通すことが要求される、対を形成する2つの電極の一方の機能を果たさないシナリオを指す(例えば、2つの電極は、植え込まれた機器のハウジングの外部にあるリード又は他の構造上に配置される)。いくつかの実施形態では、本明細書の様々なインピーダンス測定は単極インピーダンス測定とし得るが、他の実施形態では、本明細書の様々なインピーダンス測定は双極インピーダンス測定とし得る。
【0059】
癌性腫瘍を治療するための、本明細書で説明する医療機器はまた、所与の治療法の最中に電極の質を監視するために1つ以上の供給電極のインピーダンスを測定するように構成され得る1つ以上の検知電極を含み得る。ここで
図9を参照すると、医療機器900が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器900は、癌性腫瘍310の部位に又はその近くに1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得る。医療機器900は、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。制御回路構成部品は、電界発生回路に、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、10kHz~1MHzの範囲から選択される周波数で1つ以上の電界を発生させるようにし得る。
【0060】
医療機器900は、電界発生回路と電気通信する1本以上の供給リードを含み得、1本以上の供給リードは、それぞれ、電界発生回路と電気通信する1つ以上の供給電極を含み得る。医療機器900はまた、制御回路構成部品と電気通信する1本以上の検知リードを含み得、1本以上の検知リードは、それぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書のリードは、癌性腫瘍の部位に若しくはその近くに電界をもたらすための供給リードとして、癌性腫瘍、健康な組織、若しくは供給電極のいずれかのインピーダンスを測定するための検知リードとして、又は指示される場合には供給及び検知リードの双方としてのいずれかの機能を果たし得る、コンビネーションリードを含み得る。
【0061】
医療機器900は、第1のリード902、第2のリード908、第3のリード922、及び第4のリード928を含む。医療機器900の第1のリード902は、第1のワイヤ904と電気通信する第1の電極914、及び第2のワイヤ906と電気通信する第2の電極916を含み得る。医療機器900の第2のリード908は、第3のワイヤ910と電気通信する第3の電極918、及び第4のワイヤ912と電気通信する第4の電極920を含み得る。第1の電極914及び第3の電極918は、癌性腫瘍310の部位に又はその近くに電界が届くように発生させ得る供給電極対を形成するために供給電極として構成され得る。第2の電極916及び第4の電極920は、第1の電極914、第1のワイヤ904、第3の電極918、第3のワイヤ910、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素によって形成された回路のインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍310のインピーダンス524を測定するように構成された検知電極対を形成するために、検知電極として構成され得る。第2の電極916及び第4の電極920は、個別に、又は対として一緒に、供給電極914又は918のいずれかのインピーダンス824を測定し得る検知電極として構成され得、ここで、供給電極のいずれかのインピーダンス824は、第1の電極914、第1のワイヤ904、第3の電極918、第3のワイヤ910、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素によって形成された回路のインピーダンスとは無関係である。
【0062】
第3のリード922は、第5のワイヤ924と電気通信する第5の電極926を含み得、及び第4のリード928は、第5のワイヤ930と電気通信する第6の電極932を含み得る。第5の電極926及び第6の電極932は、癌性腫瘍のインピーダンス524を測定するように構成された検知電極対を形成する検知電極として構成され得、ここで、インピーダンス524は、第1の電極914、第1のワイヤ904、第3の電極918、第3のワイヤ910、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素によって形成された回路のインピーダンスとは無関係である。第5の電極926及び第6の電極932は、1つ以上の供給電極のインピーダンス824を測定する検知電極として構成され得、ここで、供給電極のいずれかのインピーダンス824は、第1の電極914、第1のワイヤ904、第3の電極918、第3のワイヤ910、及びそれらと電気通信するいずれかの構成要素によって形成された回路のインピーダンスとは無関係である。いくつかの実施形態では、検知電極926及び932は、単極インピーダンス測定を行って、各供給電極のインピーダンスを識別し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、1つ以上の供給電極のインピーダンスの上昇は、電極が壊れていること又は電極の故障を示し得る。いくつかの実施形態では、供給電極が壊れている又は故障していると判断される場合、医療機器900のハウジング302は、供給電極として使用され得る。ハウジング302は、電界発生回路と電気通信する部分を含み得、ハウジング302が供給電極の機能を果たし得るようにする。1つ以上の電界は、供給電極の機能を果たすハウジングの部分を含む少なくとも1つのベクトルに沿って届き得る。
【0064】
医療機器900は、第1のベクトルに沿って1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得、ここで、第1のベクトルは、非治療法によるベクトルを含み得ることが認識される。医療機器900はまた、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、ここで、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。電界発生回路及び制御回路構成部品については、本明細書の他の箇所で詳細に説明する。制御回路構成部品は、電界発生回路に、癌性腫瘍の部位に、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で1つ以上の電界を発生させるようにし得る。
【0065】
医療機器900の1本以上の供給リードは、電界発生回路と電気通信し得、1本以上の供給リードはそれぞれ、電界発生回路と電気通信する1つ以上の供給電極をそれぞれ含み得る。医療機器900の1本以上の検知リードは、制御回路構成部品と電気通信し得、ここで、1本以上の検知リードはそれぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る。1つ以上の検知電極は、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルとは異なる第2のベクトルに沿って、1つ以上の供給電極におけるインピーダンス変化を測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、医療機器900の1つ以上の検知電極は、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルとは異なる第2のベクトルに沿って、癌性腫瘍におけるインピーダンス変化を測定するように構成され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、医療機器900は、電界発生回路及び制御回路構成部品が配置されるハウジング302を含み得、ここで、ハウジングは、供給電極としての機能を果たすために、電界発生回路と電気通信する部分を含む。1つ以上の電界は、供給電極としての機能を果たすハウジングの部分を含む少なくとも1つのベクトルに沿って、届き得る。医療機器900のいくつかの実施形態では、1つ以上の検知電極は、単極インピーダンス測定を行って、各供給電極のインピーダンスを識別するように構成され得る。医療機器900のいくつかの実施形態では、各供給電極及び各検知電極は、1本以上のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも0.1、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、0.75、1、2、3、4、5、又は10cmだけ(又は、上述のいずれか間の範囲内にある量だけ)、空間的に離れている。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する電極は、本明細書で説明するリードの長手方向軸に沿って、1mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、又は100mm、150mm、200mm、又は250mm以上とし得る距離だけ、空間的に離れ得る。いくつかの実施形態では、本明細書の電極は、隣接する電極から2つ以上の次元において、1mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mm、90mm、95mm、又は100mm、150mm、200mm、又は250mm以上とし得る距離だけ、空間的に離れ得る。
【0068】
医療機器900のいくつかの実施形態では、第2のベクトルに沿って1つ以上の供給電極におけるインピーダンス変化を測定することは、少なくとも30度の角度だけ、少なくとも60度の角度だけ、又は少なくとも90度の角度だけ、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルから空間的に離れている第2のベクトルに沿って、インピーダンス変化を測定することを含む。いくつかの実施形態では、第1のベクトル及び第2のベクトルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80又は90度の角度だけ、空間的に離れ得る(例えば、それらベクトルは、互いに対して角度をなして配置され得る)。供給電極対は、複数のベクトルに沿って癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生させ得ること、及び検知電極対は、同様に、電界が届くように使用されたベクトルとは空間的に離れている複数のベクトルに沿ってインピーダンスを測定し得ることが認識される。
【0069】
本明細書の様々な医療機器は、1つ以上の形態にある追加的な構成要素を含み得る。医療機器は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得る。医療機器のリード、例えば第1のリード、第2のリード、第3のリード、第4のリードなどは、それぞれ、電界発生回路と電気通信し得る。医療機器はまた、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、ここで、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成され得る。制御回路構成部品は、電界発生回路に、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に又はその近くに、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で1つ以上の電界を発生させるようにし得る。電界発生回路及び制御回路構成部品は、ハウジング302内に配置され得る。いくつかの実施形態では、電界発生回路及び制御回路構成部品は、ハウジング302内に配置される。
【0070】
いくつかの実施形態では、本明細書の様々な医療機器は、10kHz~1MHzの範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍へ1つ以上の電界が届くようにし得る。いくつかの実施形態では、本明細書の様々な医療機器は、300kHz~500kHzの範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍へ1つ以上の電界が届くようにし得る。いくつかの実施形態では、本明細書の様々な医療機器は、100kHz~300kHzの範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍へ1つ以上の電界が届くようにし得る。いくつかの実施形態では、本明細書の様々な医療機器は、0.25V/cm~1000V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を有する1つ以上の電界が届くようにし得る。いくつかの実施形態では、本明細書の様々な医療機器は、1V/cm~10V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を有する1つ以上の電界が届くようにし得る。いくつかの実施形態では、本明細書の様々な医療機器は、2V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を有する1つ以上の電界が届くようにし得る。本明細書の様々な医療機器によって届くための好適な電界の追加的な特性は、下記でより詳細に説明する。
【0071】
本明細書で図示する実施形態は、ワイヤ及び長手方向軸に沿って配置された電極を有するリードによる実施形態を含み、他の医療機器はまた、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を発生させるための電極を含み得ることが認識される。いくつかの実施形態では、本明細書のワイヤ及びそれぞれの電極は、機器の基体に配置され得る。いくつかの実施形態では、機器の基体は、剛体、ステント本体、鈍端の解剖プローブ(blunt dissection probe)などを含み得る。
【0072】
ここで
図10を参照すると、例示的な医療機器1000の概略的な断面図が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器1000の特徴は、本明細書で説明した医療機器のいずれかに含まれ得ることが認識される。ハウジング1002は、内部体積部1003を画成し得、この内部体積部は、中空とし得、且ついくつかの実施形態では、医療機器1000の外部の区域1005から密封されている。他の実施形態では、ハウジング1002は、構成要素及び/又は構造材料でいっぱいにされて、非中空となるようにされ得る。医療機器1000は、ハウジング1002内に配置される様々な構成要素1008、1010、1012、1014、1016、及び1018を含み得る制御回路構成部品1006を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの構成要素は統合されることができ、及び他の実施形態では、これらの構成要素は別個とし得る。さらに他の実施形態では、統合された構成要素及び別個の構成要素の双方の組み合わせもあるとし得る。医療機器1000はまた、アンテナ1024を含み得、一方向又は双方向の無線データ通信を可能にする。いくつかの実施形態では、医療機器1000の構成要素は、それに通信式に結合されるか又は取り付けられる誘導エネルギー受信コイル(図示せず)を含み得、再充電回路構成部品による医療機器の経皮的な再充電を容易にする。
【0073】
制御回路構成部品1006の様々な構成要素1008、1010、1012、1014、1016、及び1018は、限定されるものではないが、特に、マイクロプロセッサー、メモリ回路(ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はリードオンリーメモリ(ROM)など)、レコーダ回路構成部品、コントローラ回路、テレメトリー回路、電力供給回路(バッテリーなど)、タイミング回路、及び特定用途向け集積回路(ASIC)、再充電回路を含み得る。制御回路構成部品1006は、1つ以上の電界を生み出すために電流を発生させるように構成され得る電界発生回路1020と通信し得る。電界発生回路1020は、制御回路構成部品1006と統合され得るか、又は制御回路構成部品1006とは別個の構成要素とし得る。制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020からの電流の送りを制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電界発生回路1020は、体外にある医療機器の部分に存在し得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、10kHz~1MHz内の範囲から選択される1つ以上の周波数を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、300kHz~500kHz内の範囲から選択される1つ以上の周波数で電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、100kHz~300kHz内の範囲から選択される1つ以上の周波数で電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、1MHzを上回る1つ以上の周波数を使用して電界が周期的に届くように指示するように構成され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、電界は、癌細胞における細胞の有糸分裂を中断するのに有効とし得る。電界は、2つ以上のベクトルに沿って癌性腫瘍の部位に届き得る。いくつかの例では、電界は、リード電極のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのベクトルに沿って、届き得る。いくつかの実施形態では、2つのベクトル間に空間的多様性のある少なくとも2つのベクトルが使用され得る。それらベクトルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80又は90度の角度だけ、空間的に離れ得る(例えば、それらベクトルは、互いに対して角度をなして配置され得る)。
【0076】
所望の電界強度は、2つの電極間に電流を流すことによって、達成され得る。電界が届く特定の電流及び電圧は、治療される組織の部位において所望の電界強度を達成するように、変化し得、且つ調整され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、1mAmp~1000mAmpの範囲の電流を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、20mAmp~500mAmpの範囲の電流を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、30mAmp~300mAmpの範囲の電流を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、1mAmp、2mAmp、3mAmp、4mAmp、5mAmp、6mAmp、7mAmp、8mAmp、9mAmp、10mAmp、15mAmp、20mAmp、25mAmp、30mAmp、35mAmp、40mAmp、45mAmp、50mAmp、60mAmp、70mAmp、80mAmp、90mAmp、300mAmp、125mAmp、150mAmp、175mAmp、400mAmp、225mAmp、250mAmp、275mAmp、300mAmp、325mAmp、350mAmp、375mAmp、400mAmp、425mAmp、450mAmp、475mAmp、500mAmp、525mAmp、550mAmp、575mAmp、600mAmp、625mAmp、650mAmp、675mAmp、700mAmp、725mAmp、750mAmp、775mAmp、800mAmp、825mAmp、850mAmp、875mAmp、900mAmp、925mAmp、950mAmp、975mAmp、又は1000mAmpを含む電流を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。制御回路構成部品は、電界発生回路1020に、ある範囲内に入る電流で電界が届くように発生するように指示するように構成され得、上述の電流のいずれかは、その範囲の下限値がその範囲の上限値を下回る値であることを条件に、その範囲の下限値又は上限値の機能を果たし得ることが認識される。
【0078】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、1Vrms~50Vrmsの範囲の電圧を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、5Vrms~30Vrmsの範囲の電圧を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、10Vrms~20Vrmsの範囲の電圧を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、1Vrms、2Vrms、3Vrms、4Vrms、5Vrms、6Vrms、7Vrms、8Vrms、9Vrms、10Vrms、15Vrms、20Vrms、25Vrms、30Vrms、35Vrms、40Vrms、45Vrms、又は50Vrmsを含む1つ以上の電圧を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。制御回路構成部品は、電界発生回路1020に、ある範囲内に入る電圧を使用して電界が届くように発生するように指示するように構成され得、上述の電圧のいずれかは、その範囲の下限値がその範囲の上限値を下回る値であることを条件に、その範囲の下限値又は上限値の機能を果たし得ることが認識される。
【0080】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHz、80kHz、90kHz、300kHz、125kHz、150kHz、175kHz、400kHz、225kHz、250kHz、275kHz、300kHz、325kHz、350kHz、375kHz、400kHz、425kHz、450kHz、475kHz、500kHz、525kHz、550kHz、575kHz、600kHz、625kHz、650kHz、675kHz、700kHz、725kHz、750kHz、775kHz、800kHz、825kHz、850kHz、875kHz、900kHz、925kHz、950kHz、975kHz、1MHzを含む1つ以上の周波数を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。電界発生回路1020は、ある範囲内に入る周波数を使用して、電界が届くように発生させ得、上述の周波数のいずれかは、上限値が下限値を上回ることを条件に、その範囲の上限値又は下限値の機能を果たし得ることが認識される。
【0081】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、0.25V/cm~1000V/cmの範囲から選択された1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、3V/cm超の1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、1V/cm~10V/cmの範囲から選択された1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、2V/cm~5V/cmの範囲から選択された1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。
【0082】
他の実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、0.25V/cm、0.5V/cm、0.75V/cm、1.0V/cm、2.0V/cm、3.0V/cm、5.0V/cm、6.0V/cm、7.0V/cm、8.0V/cm、9.0V/cm、10.0V/cm、20.0V/cm、30.0V/cm、40.0V/cm、50.0V/cm、60.0V/cm、70.0V/cm、80.0V/cm、90.0V/cm、300.0V/cm、125.0V/cm、150.0V/cm、175.0V/cm、400.0V/cm、225.0V/cm、250.0V/cm、275.0V/cm、300.0V/cm、325.0V/cm、350.0V/cm、375.0V/cm、400.0V/cm、425.0V/cm、450.0V/cm、475.0V/cm、500.0V/cm、600.0V/cm、700.0V/cm、800.0V/cm、900.0V/cm、1000.0V/cmを含む1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。電界発生回路1020は、治療部位に、ある範囲内に入る電界強度を有する電界を発生させ得、上述の電界強度のいずれかは、上限値が下限値を上回ることを条件に、その範囲の上限値又は下限値としての機能を果たし得ことが認識される。
【0083】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、リード1007によって、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。他の実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、医療機器1000のハウジング1002によって、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。他の実施形態では、制御回路構成部品1006は、電界発生回路1020に、リード1007と医療機器1000のハウジング1002との間に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1本以上のリード1007は、電界発生回路1020と電気通信し得る。いくつかの実施形態では、1本以上のリード1007は、リード1007の長さ部分に沿って配置された1つ以上の電極(
図10には図示せず)を含み得、電極は、電界発生回路1020と電気通信し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、医療機器1000内の様々な構成要素は、検知した電界に対応する信号を生成するように構成された電界検知回路1022を含み得る。電界検知回路1022は、制御回路構成部品1006と一体化され得るか、又は制御回路構成部品1006とは別個とし得る。
【0085】
検知電極は、医療機器のハウジング上に若しくはそれに隣接して、ハウジングに接続された1本以上のリード上に、腫瘍の近くに若しくはその内部に植え込まれた別個の機器上に、又はこれらの箇所のいずれかの組み合わせで、配置され得る。いくつかの実施形態では、電界検知回路1022は、第1の検知電極1032及び第2の検知電極1034を含み得る。他の実施形態では、ハウジング1002自体が、電界検知回路1022用の検知電極の機能を果たし得る。検知電極1032及び1034は、電界検知回路1022と通信し得る。電界検知回路1022は、第1の検知電極1032と第2の検知電極1034との間の電位差(電圧)を測定し得る。いくつかの実施形態では、電界検知回路1022は、第1の検知電極1032又は第2の検知電極1034と、1本以上のリード1007の長さ部分に沿って配置された電極との間の電位差(電圧)を測定し得る。いくつかの実施形態では、電界検知回路は、検知した電界を測定し且つ電界強度をV/cmで記録するように構成され得る。
【0086】
電界検知回路1022は、さらに、第1の検知電極1032又は第2の検知電極1034と、ハウジング1002自体との間の電位差を測定し得ることが認識される。他の実施形態では、医療機器は、電界検知電極又は電界発生電極とし得る第3の電極1036を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の検知電極が、リード1007に沿って配置され得、且つ電界を検知するための追加的な箇所の機能を果たし得る。多くの組み合わせが、本明細書の実施形態に従って、1本以上のリード1007の長さ部分に沿って配置された電極とハウジング1002との間の電位差を測定するために想像され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、1本以上のリード1007は、電界発生回路1020と電気通信し得る。1本以上のリード1007は、長手方向軸に沿って配置された又はリードのチップに配置された1つ以上の電極を含み得る。いくつかの実施形態では、様々な導電体、例えば導電体1026及び1028が、ヘッダー1004からフィードスルー構造1030を通って、医療機器1000の内部体積部1003内へ通過し得る。そのようなものとして、導電体1026及び1028は、1本以上のリード1007と、ハウジング1002の内部体積部1003内に配置された制御回路構成部品1006との間に電気通信を提供する働きをし得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、レコーダ回路構成部品は、電界検知回路1022によって生じたデータを記録し且つそれに関するタイムスタンプを記録するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1006は、様々な機能を実行するように配線で接続され得るが、他の実施形態では、制御回路構成部品1006は、マイクロプロセッサー又は他の外部計算装置で実行する命令を実装するように指示され得る。テレメトリー回路はまた、外部計算装置、例えばプログラマー、家庭用ユニット(home-based unit)、及び/又は携帯機(mobile unit)(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)と通信するように提供され得る。
【0089】
本明細書で説明した医療機器の様々な実施形態の要素は、
図11に示されている。しかしながら、いくつかの実施形態は、
図11に示すものを越えて追加的な要素を含み得ることが認識される。さらに、いくつかの実施形態は、
図11に示すいくつかの要素がなくてもよい。本明細書で実装されるような医療機器は、1つ以上の検知チャンネルによって情報を集め得、且つ1つ以上の電界発生チャンネルによって情報を出力し得る。マイクロプロセッサー1102は、双方向データバスによってメモリ1104と通信し得る。マイクロプロセッサー1102は、電力供給回路1120と電気通信し得る。メモリ1104は、プログラム記憶用のリードオンリーメモリ(ROM)又はランダムアクセスメモリ(RAM)、及びデータ記憶用のRAMを含み得る。マイクロプロセッサー1102はまた、外部機器、例えばプログラマー、家庭用ユニット及び/又は携帯機(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)と通信するためにテレメトリーインターフェース1118に接続され得るか、又はセルラー若しくは他のデータ通信ネットワークによって容易にされ得るように、クラウド若しくは別の通信ネットワークに直接接続され得る。いくつかの実施形態では、医療機器は、通信式に結合されるか又はそれに取り付けられる誘導エネルギー受信コイルインターフェース(図示せず)を含み、医療機器の経皮的な再充電を容易にし得る。
【0090】
医療機器は、1つ以上の電界検知電極1108、及びマイクロプロセッサー1102のポートと通信し得る1つ以上の電界センサーチャンネルインターフェース1106を含み得る。医療機器はまた、1つ以上の電界発生電極1112、及び1つ以上の電界発生チャンネルインターフェース1110、及びマイクロプロセッサー1102のポートと通信し得る1つ以上の電界発生回路1109を含み得る。医療機器はまた、1つ以上の他のセンサー1116、例えば生理的センサー、呼吸センサー、又は化学センサー、及びマイクロプロセッサー1102のポートと通信し得る1つ以上の他のセンサーチャンネルインターフェース1114を含み得る。センサーチャンネルインターフェース1106、1110、及び1114は、様々な構成要素、例えば信号入力をデジタル化するためのアナログデジタル変換器、センスアンプ、制御回路構成部品によって書き込まれ得るレジスターを含み得、センスアンプ、ソースドライバ、変調器、復調器、マルチプレクサーなどのためのゲイン及び閾値を調整する。
【0091】
いくつかの実施形態では、生理的センサーは、体温、血流、血圧などを監視するセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、呼吸センサーは、呼吸数、呼吸頂点の振幅(respiration peak amplitude)などを監視するセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、化学センサーは、センサーの周りの治療部位に存在する分析物、限定されるものではないが、例えば血中尿素窒素、クレアチニン、フィブリン、フィブリノゲン、免疫グロブリン、デオキシリボ核酸、リボ核酸、カリウム、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ヒドロニウム、リン酸水素、重炭酸塩などを含む分析物の量を測定し得る。しかしながら、任意の他の分析物も本明細書では考えられる。例示的な化学/分析物センサーは、共同所有されたケーン(Kane)らへの米国特許第7,809,441号明細書に開示されており、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
【0092】
他のセンサー1116を、
図11に医療機器の一部として示すが、いくつかの実施形態では、他のセンサーの1つ以上は、医療機器とは物理的に別個とし得ることが分かる。様々な実施形態では、他のセンサーの1つ以上は、テレメトリーインターフェース1118を介して医療機器に通信式に結合された別の植え込まれた医療機器内にあるとし得る。さらに他の実施形態では、他のセンサーの1つ以上は、体外にあり、且つテレメトリーインターフェース1118を介して医療機器に結合され得る。いくつかの実施形態では、他のセンサーは、薬物送達センサー、生体検査装置センサー、光センサー、又は潅注センサーを含み得る。
方法
様々な方法は、本明細書で説明する機器によって実施され得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍を治療するための方法は、治療法を指示するために4線式インピーダンス測定を使用することを含み得る。ここで
図12を参照すると、癌性腫瘍を治療するための例示的な方法1200の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。方法1200は、1202において、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード及び第2のリードを植え込むことを含む。第1のリードは、第1のワイヤ及び第2のワイヤを含み得、並びに第2のリードは、第3のワイヤ及び第4のワイヤを含み得る。第1のワイヤは第1の電極と電気通信し得、第2のワイヤは第2の電極と電気通信し得、第3のワイヤは第3の電極と電気通信し得、及び第4のワイヤは第4の電極と電気通信し得る。第1の電極及び第3の電極は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生するように構成された第1の供給電極対を形成し得、並びに第2の電極及び第4の電極は、検知電極対間のインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍のインピーダンスを測定するように構成された第1の検知電極対を形成し得る。方法1200は、1204において、第1の供給電極対を使用して、予め決められた期間、癌性腫瘍の部位に又はその近くに治療電界を印加することを含み得る。方法1200は、1206において、第1の検知電極対を使用して、癌性腫瘍のインピーダンスを測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び第4のワイヤ並びにそれぞれの第1、第2、第3、及び第4の電極は、1本のリード又は機器の基体上に存在し得る。いくつかの実施形態では、機器の基体は、剛体、ステント本体、鈍端の解剖プローブなどを含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、方法1200は、予め決められた時間にわたって複数の測定値を得ることによって、癌性腫瘍のインピーダンスの変化を測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法1200は、予め決められた期間にわたってインピーダンスの上昇を検出することによって、癌性腫瘍の退縮を決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法1200は、予め決められた期間にわたってインピーダンスの低下を検出することによって、癌性腫瘍の進行を決定することを含み得る。いずれの特定の理論にも縛られたくはないが、癌性腫瘍は、健康な周囲の組織と比較して、その構造内により大量の流体、例えば血液、リンパ、及び/又は細胞外液を含むと考えられている。水性流体は電流の良好な導体であるため、流体の量が多い部位、例えば癌性腫瘍は、健康な組織内のインピーダンスを下回るインピーダンスを示す。いくつかの実施形態では、方法1200は、癌性腫瘍が進行していると判断される場合、治療電界を調整することを含み得る。いくつかの実施形態では、治療電界を調整することは、電界強度を上昇させること、治療持続期間を長くすること、電界の周波数を増加させること、又は電界療法を化学療法薬と組み合わせることを含み得る。
【0094】
ここで
図13を参照すると、癌性腫瘍を治療するための例示的な方法1300の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。方法1300は、1302において、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード及び第2のリードを植え込むことを含み得る。第1のリード及び第2のリードは、それぞれ、1つ以上の供給電極及び1つ以上の検知電極を含み得る。方法1300は、1304において、1つ以上の供給電極によって、予め決められた期間、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を印加することを含み得る。方法1300は、1306において、1つ以上の検知電極を使用して各供給電極のインピーダンスを測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法1300は、単極インピーダンス測定を行って、各供給電極のインピーダンスを識別することを含み得る。
【0095】
ここで
図14を参照すると、癌性腫瘍を治療するための例示的な方法1400の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。方法1400は、1402において、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード、第2のリード、第3のリード、及び第4のリードを植え込むことを含み得る。第1のリード及び第3のリードはそれぞれ、1つ以上の供給電極を含み得、並びに第2のリード及び第4のリードはそれぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る。方法1400は、1404において、供給電極によって、予め決められた期間、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を印加することを含み得る。方法1400は、1つ以上の検知電極を使用して各供給電極のインピーダンスを測定することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法1400は、1406において、さらに、供給電極間の静電容量を測定することを含み得、ここで、その測定された静電容量は、供給電極の質を決定するために使用され得る。供給電極のいずれかが故障していると判断される実施形態では、故障している電極の使用は中止され得る。
【0096】
ここで
図15を参照すると、癌性腫瘍を治療するための例示的な方法1500の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。方法1500は、1502において、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード、第2のリード、第3のリード、及び第4のリードを植え込むことを含み得る。第1のリード及び第3のリードはそれぞれ、1つ以上の供給電極を含み得、並びに第2のリード及び第4のリードはそれぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る。方法1500は、1504において、1つ以上の供給電極によって、予め決められた期間、第1のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を印加することを含み得る。方法1500は、1506において、1つ以上の検知電極を使用して、第2のベクトルに沿って、各供給電極のインピーダンスを測定することを含み得る。第2のベクトルに沿って各供給電極のインピーダンスを測定することは、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルから空間的に離れている第2のベクトルに沿って、各供給電極のインピーダンスを測定することを含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、方法1500は、単極インピーダンス測定を行って、各供給電極のインピーダンスを識別することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法1500は、自然の身体開口部又は管を通して、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、第1のリード、第2のリード、第3のリード、又は第4のリードのいずれかを植え込むことを含み得る。自然の身体開口部は、鼻腔、外耳道、口、食道、気管、尿道、膣、小腸、肛門、又は結腸のうちのいずれかから選択され得る。管は、総胆管、胆管、膵管、総肝管、尿管、エウスターキオ管(Eustachian tubes)、又はファローピウス管のうちのいずれかから選択され得る。
【0098】
本明細書で説明する様々な方法では、1つ以上の電界を印加することは、少なくとも様々な電界強度で電界を印加することを含み得る。例として、1つ以上の電界は、0.25V/cm~1000V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、1V/cm~10V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、2V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、電界強度は、0.25V/cm、0.50V/cm、0.75V/cm、1.00V/cm、1.25V/cm、1.50V/cm、1.75V/cm、2.00V/cm、2.25V/cm、2.50V/cm、2.75V/cm、3.00V/cm、3.25V/cm、3.50V/cm、3.75V/cm、4.00V/cm、4.25V/cm、4.50V/cm、4.75V/cm、5.00V/cm、5.25V/cm、5.50V/cm、5.75V/cm、6.00V/cm、6.25V/cm、6.50V/cm、6.75V/cm、7.00V/cm、7.25V/cm、7.50V/cm、7.75V/cm、8.00V/cm、8.25V/cm、8.50V/cm、8.75V/cm、9.00V/cm、9.25V/cm、9.50V/cm、9.75V/cm、10V/cm、20V/cm、30V/cm、40V/cm、50V/cm、60V/cm、70V/cm、80V/cm、90V/cm、300V/cm、150V/cm、400V/cm、250V/cm、300V/cm、350V/cm、400V/cm、450V/cm、500V/cm、550V/cm、600V/cm、650V/cm、700V/cm、750V/cm、800V/cm、850V/cm、900V/cm、950V/cm、若しくは1000V/cm以上とし得るか、又は上述のいずれかの範囲内に入る量とし得る。
【0099】
本明細書で説明する様々な方法では、1つ以上の電界を印加することは、様々な周波数で少なくとも電界を印加することを含み得る。1つ以上の電界は、10キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、300kHz~500kHzの範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、100kHz~300kHzの範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の印加電界の周波数は、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHz、80kHz、90kHz、300kHz、125kHz、150kHz、175kHz、400kHz、225kHz、250kHz、275kHz、300kHz、325kHz、350kHz、375kHz、400kHz、425kHz、450kHz、475kHz、500kHz、525kHz、550kHz、575kHz、600kHz、625kHz、650kHz、675kHz、700kHz、725kHz、750kHz、775kHz、800kHz、825kHz、850kHz、875kHz、900kHz、925kHz、950kHz、975kHz、若しくは1MHz以上とし得るか、又は上述のいずれかの範囲内に入る量とし得る。
【0100】
本明細書で説明する様々な方法では、1つ以上の電界を印加することは、様々な予め決められた期間、少なくとも電界を印加することを含み得る。1つ以上の電界は、1分~24時間の予め決められた期間の範囲から選択された予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位に又はその近くに印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、1、10、20、30、40、若しくは50分、若しくは1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、20.5、21.0、21.5、22.0、22.5、23.0、23.5、24.0、若しくは48時間以上とし得るか、又は上述のいずれかの範囲内に入る量とし得る予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位に又はその近くに印加され得る。
【0101】
本明細書で説明する様々な方法では、化学療法薬を投与することは、様々な予め決められた期間、化学療法薬を投与することを含み得る。化学療法薬は、1分未満から600分の予め決められた期間の範囲から選択された予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位に又はその近くに投与され得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、1秒、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、若しくは60秒、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、120分、180分、240分、300分、360分、420分、480分、540分、若しくは600分以上とし得るか、又は上述のいずれかの範囲内に入る量とし得る予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位に又はその近くに投与され得る。
【0102】
本明細書で説明する様々な方法では、癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つ以上の電界を印加することは、対象者の体外又は体内に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位の又はその近くの、完全に対象者の体外に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位で又はその近くで、完全に対象者の体内に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位の又はその近くの、少なくとも部分的に対象者の体外に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位で又はその近くで、少なくとも部分的に対象者の体内に1つ以上の電界を印加することを含み得る。他の実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位で又はその近くで、対象者の部分的に体内及び部分的に体外に1つ以上の電界を印加することを含み得る。
インピーダンス測定
電界療法中に得られたフィードバックは、治療法によって癌性腫瘍を治療する有効性を監視するために使用され得る。データが、例えばインピーダンス、静電容量、電界強度などのパラメータに関して測定されて、特定の治療過程を指示し得る。いずれの特定の理論にも縛られないが、癌性腫瘍は、それに関連付けられる特定のインピーダンスを有すると考えられている。腫瘍に関連付けられるインピーダンスは、腫瘍のサイズ又は細胞構成が変化するときに、変化し得る。それゆえ、インピーダンスは、電界療法の過程中に監視されて、癌性腫瘍が治療法に反応しているかどうかを決定し得る。場合によっては、癌性腫瘍を含む治療部位にある組織のインピーダンスの上昇は、腫瘍の退縮を示し得る。他の場合には、治療部位における組織のインピーダンスの低下又は変化が観察されないことは、腫瘍の進行又は腫瘍の変化がないことをそれぞれ示し得る。癌性腫瘍に関連付けられる他の生理的特性、例えば血流、代謝物濃度、全身性の癌マーカ、及び体温も、電界療法に反応した癌性腫瘍の進行又は退縮を監視するために、インピーダンス分析と共に使用され得る。
【0103】
オームの法則によれば、電位、電流及びインピーダンスが相互に関連づけられる(V=IR又はV=IZ)。それゆえ、1つの変数(例えば、供給された電流など)が分かっていて、且つ別の変数を測定すること(例えば、電圧降下を測定するなど)によって、第3の変数が計算され得る。本明細書のいくつかの実施形態では、インピーダンス(Z)は、電圧を電流で割ることによって、測定され得る。体内では、インピーダンスは、限定されるものではないが、電界と接触する構成部分、例えば筋肉、脂肪、結合組織、及び骨を含む細胞型;細胞密度、細胞のサイズ;電解質濃度などを含む、いくつかの要因による影響を受け得る。いくつかの実施形態では、電界検知電極又は電界発生電極は、インピーダンス監視電極の機能を果たし得る。異なる組織は、所与の周波数で異なるインピーダンスを有することが認識される。そのようなものとして、いくつかの実施形態では、任意の所与の箇所において1つ以上の周波数でインピーダンスを測定することが考えられる。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、治療周波数の範囲内の周波数で測定され得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、治療周波数の範囲外の周波数で測定され得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、治療周波数の範囲内の周波数及び治療周波数の範囲外の周波数の双方で測定され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、インピーダンスは癌性腫瘍内で変化するため、癌性腫瘍に電界を与えることは、実測インピーダンスに基づいて、変化し得る。いずれの特定の理論にも縛られないが、癌性腫瘍内のインピーダンスは、非癌性又は壊死組織と比較すると、比較的低いと考えられている。この現象は、治療の持続期間に応じてインピーダンスを監視できるようにし、且つ腫瘍が電界療法に反応しているかどうかを評価する際の診断ツールの機能を果たすことができるようにする。治療部位内のインピーダンスが上昇する場合(低インピーダンス腫瘍組織の収縮及び残りの空間を占有する非癌組織の結果として、一定の距離又は部位(area)にわたって)、これは、電界療法が、効果的に癌性腫瘍のサイズを小さくしたことを示すとみなされ得る。しかしながら、治療部位内のインピーダンスが、一定距離又は部位にわたって低下するか、又は同じままである場合、これは、電界療法が癌性腫瘍のサイズを小さくしないことを示すとみなされ得る。そのようなものとして、電界療法は、癌性腫瘍のサイズを効果的に小さくするために、特定の癌性腫瘍に合わせられ得る。例として、電界療法の振幅、周波数、パルス幅、波形、方向性、及び/又はデューティサイクルのうちの1つ以上が、変調及び/又は変更され得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、特定の癌性腫瘍の低周波インピーダンスは、腫瘍の導電率を測定するために使用され得、且つ、組織の進行又は退縮のインジケータとして使用され得る。いくつかの実施形態では、特定の癌性腫瘍の高周波インピーダンスは、腫瘍の誘電率及び容量特性を測定するために使用され得、且つまた組織の進行又は退縮のインジケータとして使用され得る。いくつかの実施形態では、低周波インピーダンスは、約1Hz~約10Hzの周波数で測定され得る。いくつかの実施形態では、高周波インピーダンスは、約10Hz~約1Mzの周波数で測定され得る。いくつかの実施形態では、高周波インピーダンスは、約300kHz~約300kHzの周波数で測定され得る。様々な実施形態では、
図3~10に関して本明細書で説明する1つ以上の構成要素を含む医療機器は、
図12~15で実施される方法に関して説明したような1つ以上の動作を実行するように構成され得る。
印加電界
本明細書の方法を使用して癌性腫瘍に印加された電界は、様々なモダリティを使用して印加され得る。例示的な治療パラメータセットは、以下の概念を実施するものを含み得る:ある範囲の周波数の掃引;1つ以上の周波数の同時スタッキング;1つ以上の周波数の逐次ステッピング;届くための1つ以上の電界の空間的又は時間的な発生;ある範囲の電界強度の掃引;有効回転電界の印加;電圧制御モード又は電流制御モードの変調;1つ以上のデューティサイクルの実施;パルス幅変調;電気波形形状及び/又はパルスシーケンスの操作;並びに高周波又は高電界強度パルスの時折の使用。
【0106】
治療パラメータセットは、医療機器に、自律的に動作するようにプログラムされ得るか、又は外部計算装置、例えばプログラマー、家庭用ユニット、及び/又は携帯機(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)を使用して、対象者若しくは臨床医によってクエリーが行われ且つ操作され得る。他の実施形態では、治療パラメータセットは、外部計算装置から医療機器に無線通信され得る。本明細書の治療パラメータセットのいずれかにおいて使用するのに好適な周波数及び/又は電界強度は、電界発生回路に関して説明される。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療パラメータセットは、同時に実行され得る。他の実施形態では、1つ以上の治療パラメータセットは、交互に実行され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、癌細胞における細胞の有糸分裂を防止及び/又は中断するのに有効とし得る。
【0107】
例として、電界は、ある範囲の周波数を掃引することによって、癌性腫瘍の部位に印加され得る。ここで
図16を参照すると、例示的なプロット1602は交番電界を示し、ここで、周波数は、時間と共に増加する。同様に、
図17は、プログラムされた治療法パラメータの最中の、例示的なプロット1702における時間に応じた周波数の変化を示す。いくつかの実施形態では、周波数掃引は、最小周波数から最大周波数までを掃引することを含み得る。いくつかの実施形態では、周波数掃引は、最大周波数から下がって最小周波数までを掃引することを含み得る。他の実施形態では、最小周波数から上がって最大周波数まで掃引すること、及び最大周波数から下がって最小周波数掃引することは、電界発生回路から電界が届く持続時間にわたって所望の回数繰り返され得る。
【0108】
周波数掃引の最中に治療が進行するので、集団内の細胞のサイズ及び数が治療法に反応して変化するため、より多くの細胞を標的にできるように、周波数範囲を交互にすることが望ましいとし得る。例えば、いくつかの実施形態では、周波数掃引は、約100kHz~300kHzの範囲を網羅する第1の周波数掃引と、約200kHz~500kHzの範囲を網羅する第2の周波数とを交互にすることを含み得る。上述の通り第1及び第2の周波数範囲を掃引することは、治療法の過程において無制限に実行され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、第2の周波数(範囲)は、第1の周波数掃引(範囲)よりも高い周波数とし得る。いくつかの実施形態では、第1の周波数掃引(範囲)は、第2の周波数(範囲)よりも高い周波数とし得る。
【0109】
第1及び第2の周波数範囲のための周波数範囲は、各範囲の下限が各範囲の上限を下回る値であることを条件に、電界発生回路に関して上記に列挙した特定の周波数を含む任意の範囲とし得る。ときには、第1及び第2の周波数掃引の周波数範囲がある程度重なっていることが有益とし得る。
リード及び電極
本明細書で説明するリードは、いくつかの技術を使用して、体内の、癌性腫瘍の部位に又はその近くに配置され得る。1本以上のリードの配置は、皮下腔までトンネルのように進む経血管的な配置(transvascular placement)、及び/又は外科的な配置などの技術を使用することを含み得る。いくつかの実施形態では、1本以上のリードの配置は、1つ以上の自然の身体開口部を経由する配置を含み得る。本明細書の医療機器は、自然の身体開口部又は管を通って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、第1のリード、第2のリード、第3のリード、第4のリードなどのいずれかを植え込むように構成され得る。いくつかの実施形態では、自然の身体開口部は、鼻腔、外耳道、口、食道、気管、尿道、膣、小腸、肛門、又は結腸のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、好適な管は、総胆管、胆管、膵管、総肝管、尿管、エウスターキオ管、又はファローピウス管を含む、胃腸系又は泌尿生殖系を経由して、アクセス可能なものを含み得る。リードは、癌性腫瘍に隣接して又はその内部に配置され得る。いくつかの実施形態では、複数のリードは、癌性腫瘍の近くで又はそこから離れて使用され得る。
【0110】
本明細書で説明する医療機器では、1本以上の単極又は多極のリードが、本明細書の実施形態に従って使用され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、単極リードと多極リードの組み合わせが、使用され得る。他の実施形態では、円形リード、クランプリード(clamp lead)、カフリード(cuff lead)、パドルリード(paddle lead)、又はパッチリードが使用され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する1本以上のリードは、皮下腔に配置され得る。皮下腔に配置されたリード上の電極は、主近接場発生電極として又は非近接場発生電極として使用され得る。いくつかの実施形態では、皮下腔に配置されたリード上の電極は、医療機器のハウジングと併せて、主近接場発生電極として、又は非近接場発生電極として、使用され得る。同様に、1本以上のリードは、癌性腫瘍の部位に又はその近くにある電極と併せて、又は医療機器のハウジングと併せて、非近接場発生電極としての機能を果たすために、経血管的に(transvascularly)配置され得る。
【0112】
本明細書で説明するリード及び電極は、追加的な機能的及び構造的な特徴を含み得る。いくつかの実施形態では、リードは、限定されるものではないが、MRI(磁気共鳴画像法)、X線画像化、脳深部刺激技術、及び/又は放射線療法を含む、撮像技術及び治療技術に適合するものを含み得る。いくつかの実施形態では、リードは、導電性材料製の1本以上の導体芯線を含み得る。導体芯線は、金属及び/又は他の導電性材料を含む導電性材料から形成され得る。金属は、限定されるものではないが、パラジウム、白金、銀、金、銅、アルミニウム、様々な合金、例えばステンレス鋼、MP35N(登録商標)などのニッケルーコバルト合金などを含み得る。いくつかの実施形態では、導体芯線は、限定されるものではないが、バイファイラーコイル、トライファイラーコイル、及びクワッドファイラーコイル(quadfilar coil)を含む、マルチファイラーコイル(multifilar coil)とし得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、電極は、本明細書で説明されるように、1本以上のリードの長さ部分に沿って配置され得る。本明細書で説明する電極に使用するのに好適な材料は、パラジウムなどの金属を含み得、磁界中でのカップリング及びアーチファクト発生を最小限にする。いくつかの実施形態では、電極は、他の金属及び/又は他の導電性材料から作製され得る。金属は、限定されるものではないが、パラジウム、白金、白金-イリジウム合金などの白金合金、金、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼を含む様々な合金などを含み得る。いくつかの実施形態では、電極は、電極の可撓性を損なうことなく、表面積の増加という付加価値をもたらし得る巻きコイルの形態にあるとし得る。いくつかの実施形態では、植え込み可能な機器ハウジングは、電極の機能を果たし得る。
【0114】
本明細書で説明するリードはまた、リードの長さ部分に沿って配置された1つ以上の電極を含み得る。リードは、リードの長さ部分に沿って配置された2つ以上の電極を含み得る。いくつかの実施形態では、電極は、リードの先端部に見られるチップ電極とし得る。他の実施形態では、電極は、リードのチップにおいてではなくリードに沿って見られるリング電極とし得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、電極はコイル電極とし得る。いくつかの実施形態では、リング又はチップ電極は、腫瘍又は癌組織内に又はそれに隣接して位置決めされ得、及びコイル電極は、腫瘍又は癌組織から離れて位置決めされて、発生した電界に空間的多様性をもたらすのを支援し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極は、長さ方向の軸(例えば、基端から先端への軸)に沿って、約0.5、1、1.5、2、3、4、5、7.5、10、15、20、30、40、50、75、100mm以上の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、電極の1つ以上は、ある範囲内に入る長さを有し得、上述の距離のいずれかは、上限値が下限値を上回ることを条件に、その範囲の上限値又は下限値としての機能を果たし得る。
【0116】
リードは、単極、双極、又は多極とし得る。いくつかの実施形態では、単極リードは、1つの電極と医療機器のハウジングとの間に電界を発生させるリードを含み得る。いくつかの実施形態では、双極リードは、リードに沿って配置された2つの電極間に、又は両電極と医療機器のハウジングとの間に、電界を発生させ得るリードを含み得る。いくつかの実施形態では、多極リードは、リードに沿って配置された3つ以上の電極間に、3つ以上の電極と医療機器のハウジングとの間に、又は電極と医療機器のハウジングの形態の任意の数の組み合わせで、電界を発生させ得るリードを含み得る。
【0117】
本明細書のリードは、リードの長さ部分に沿って1つ以上の光エミッターを含み得る。本明細書で使用するのに好適な光エミッターは、約350nm~950nmの可視スペクトル内のどこかの波長の光を発するものを含み得る。好適な光エミッターは、発光ダイオード又はレーザダイオードを含み得る。好適なLEDは、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ガリウムインジウム(GaInN)のうちの1つ以上から作製され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で使用するのに好適なLEDは、一色のみ発することができるLED、すなわち単色LED;二色発することができるLED、すなわち二色LED;三色発することができるLED、又は三色LED;又は四色以上発することができるLEDを含み得る。LEDは、本明細書で説明した医療機器のハウジング内にある制御回路構成部品と電気通信し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のレーザダイオードは、本明細書のリードに沿って含まれ得、及びレーザダイオードは、リード内に配置され且つレーザ源からレーザダイオードへ光を伝送するために使用される1本以上の光ファイバーと光通信し得る。
【0118】
ここで使用するのに好適な電極は、導電性ポリマー、例えばカーボン充填シリコーン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン(polyfuran)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリパラフェニレンなどで作製され得る。他の実施形態では、電極は絶縁され得る。いくつかの実施形態では、電極を囲む絶縁材は、気泡の並置を防止するが、依然として電流フローを可能にする微孔性絶縁体を含み得る。微孔性絶縁体は、限定されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエテン(ETFE)、ポリウレタン、シリコーン、パリレンポリマーなどのポリ(p-キシリレン)ポリマー、PEBAX(登録商標)などのポリエーテルブロックアミド、ナイロン、又はそれらの誘導体を含む、本明細書で説明するいくつかの絶縁材から作製され得る。いくつかの実施形態では、電極は、限定されるものではないが、ヒドロゲル、又はフラクタルコーティング、例えば酸化イリジウム、酸化チタン、五酸化タンタル、他の金属酸化物、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、例えばパリレンなどを含む様々な材料でコーティングされ得る。
【0119】
いくつかのリードの固定(lead fixation)技術及び形態は、本明細書の実施形態に従って使用され得る。リードの固定技術のいくつかの非限定的な例は、生体適合性グルー固定、かぎ爪固定、へリックスコイル固定、脈管系内でのリードの受動的なセンタリング、局所的な脈管系内でのタイン固定、局所的な脈管系内でのらせん形バイアス固定、圧縮固定、縫合スリーブ(suture sleeve)固定などを含み得る。いくつかの例では、本明細書で供されるリードは、癌性腫瘍の部位を取り囲むか又はそれに隣接する脈管系内に配置され得る。他の実施形態では、本明細書で供されるリードは、癌性腫瘍の部位に又はその内部に又はそれを取り囲んで、外科的に配置され得る。
【0120】
本明細書で使用するのに好適なリードはまた、リードの長手方向全長に、又は長手方向の選択された長さ部分に延びる1つ以上の開口ルーメンを含み得る。いくつかの実施形態では、開口ルーメンは、疾患の進行及び/又は退縮を監視するために、周期的に癌性腫瘍部位から生検標本を得るのに好適な統合生体検査装置を含み得る。開口ルーメンを有するリードはまた、単回ボーラスで又は定量ポンプによって周期的に、ステロイドや化学療法薬剤などの1種以上の薬物を腫瘍の部位へ送り得る統合薬物送達ルーメンを含むように構成され得る。リードは、癌性腫瘍の部位に又はその近くに薬物送達用の出口を提供するために、リードの長さ部分に沿って配置された1つ以上のポータルを含み得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、リードの一部分又はリード全体は、薬物溶出コーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、薬物溶出コーティングは、ステロイドなどの抗炎症剤を含み得る。いくつかの実施形態では、ステロイドはデキサメタゾンとし得る。他の実施形態では、薬物溶出コーティングは、化学療法薬剤を含み得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬剤は、限定されるものではないが、パクリタキセル、ドセタキセルなどを含む、タキサン又はそれらの誘導体を含み得る。他の実施形態では、薬物溶出コーティングは、追加的な種類の化学療法薬剤、限定されるものではないが、例えばアルキル化剤、植物性アルカロイド、例えばビンカアルカロイド、細胞毒性抗生物質(cytotoxic antibiotics)、トポイソメラーゼ阻害薬などを放出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、薬物溶出コーティングは、コーティングから薬物を徐放式で放出するように構成され得る。
【0122】
本明細書のリードは、いくつかの形状又は形態を採用し得る。いくつかの実施形態では、リードは線形にでき、及び他の実施形態では、リードは円形にできる。円形リードは、完全な閉ループとしても、又は半閉ループとしてもよい。いくつかの実施形態では、リードは、限定されるものではないが、U字形状、S字形状、らせん形、半円、卵形などを含む多くの形態にリードを形作ることができる曲げることができる芯線を含み得る。
【0123】
さらに他の例では、本明細書で使用するのに好適なリードは、臨床医が癌性腫瘍の部位に又はその近くに正確に配置するのを支援し得る蛍光定量マーカ又は磁気マーカを含み得る。リードはまた、癌性腫瘍の若しくはその近くでのpHの変化を検出できる統合pHセンサー、又は対象の化学分析物の濃度を分析するための好適な他の化学センサーを含み得る。
電界発生器
本明細書で供される医療機器は、癌性腫瘍の治療の過程中に使用される、治療及び診断技術に特に好適な電界発生器を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で使用するのに好適な電界発生器は、癌性腫瘍の主な治療として処方されることが多い放射線療法の治療の悪影響に対して抵抗性のある構成要素を作製するために、放射線硬化によって処理されたものを含み得る。電界発生器は、上記で
図3及び
図5を参照して説明したものなどの構成要素を含み得る。
【0124】
本明細書で供される電界発生器は、上述の通り、任意の数の治療パラメータセットがプログラムされ得る。電界発生器は、植え込み前にプログラムされ得るか、又は臨床医によって、外部計算装置、例えばプログラマー、家庭用ユニット、及び/又は携帯機(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)を使用して、プログラムされ得る。いくつかの実施形態では、治療法パラメータは、テレメトリー回路によって電界発生器へ送られ得る。いくつかの実施形態では、電界発生器は、受信コイルと通信式に結合された再充電回路を含み、医療機器の経皮的な再充電を容易にし得る。いくつかの実施形態では、電界発生器は、受信コイルと外部充電機器との間で無線通信し得る。
さらなる実施形態
ある実施形態では、第1のワイヤ及び第2のワイヤを含み得る第1のリード;第3のワイヤ及び第4のワイヤを含み得る第2のリード;第1のワイヤと電気通信する第1の電極、第2のワイヤと電気通信する第2の電極、第3のワイヤと電気通信する第3の電極、及び第4のワイヤと電気通信する第4の電極を有する、癌性腫瘍を治療するための医療機器であって;第1の電極及び第3の電極は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに1つ以上の電界が届くように発生するように構成された供給電極対を形成し;及び第2の電極及び第4の電極は、第1の電極、第1のワイヤ、第3の電極、第3のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素のインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍のインピーダンスを測定するように構成された検知電極対を形成する、医療機器が含まれる。
【0125】
ある実施形態では、医療機器は、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得る。
ある実施形態では、第1のリード及び第2のリードはそれぞれ、電界発生回路と電気通信する。
【0126】
ある実施形態では、医療機器は、さらに、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。
【0127】
ある実施形態では、制御回路構成部品は、電界発生回路に、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に又はその近くに、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で、1つ以上の電界を発生させるようにする。
【0128】
ある実施形態では、医療機器は、対象者の体内に完全に植え込まれるように構成されている。
ある実施形態では、医療機器は、対象者の体内に部分的に植え込まれるように構成されている。
【0129】
ある実施形態では、1つ以上の電界が、100kHz~300kHzの範囲から選択される周波数で癌性腫瘍へ届く。
ある実施形態では、第1のリード及び第2のリードはそれぞれ、電界発生回路と電気通信する。
【0130】
ある実施形態では、第1のワイヤ、第2のワイヤ、第3のワイヤ、及び第4のワイヤは、互いに電気的に絶縁されている。
ある実施形態では、第2の電極、第2のワイヤ、第4の電極、第4のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素を通る電流フローは、無視できるほどである。
【0131】
ある実施形態では、第2の電極、第2のワイヤ、第4の電極、第4のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素を通る電流フローは、100pA未満である。
ある実施形態では、第1のリードの第1の電極及び第2の電極は、第1のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ空間的に離れており;及び第2のリードの第3の電極及び第4の電極は、第2のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも1mmだけ、空間的に離れている。
【0132】
ある実施形態では、1つ以上の電界は、癌細胞における細胞の有糸分裂を防止及び/又は中断するのに効果的である。
ある実施形態では、医療機器は、対象者の体内に完全に植え込まれるように構成されている。
【0133】
ある実施形態では、医療機器は、対象者の体内に部分的に植え込まれるように構成されている。
ある実施形態では、医療機器は、完全に対象者の体外にあるように構成されている。
【0134】
ある実施形態では、1つ以上の電界が、10kHz~1MHzの範囲から選択される周波数で癌性腫瘍へ届く。
ある実施形態では、1つ以上の電界は、100kHz~500kHzの範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍に印加される。
【0135】
ある実施形態では、1つ以上の電界が、100kHz~300kHzの範囲から選択される周波数で癌性腫瘍へ届く。
ある実施形態では、1つ以上の電界は、0.25V/cm~1000V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
【0136】
ある実施形態では、1つ以上の電界は、1V/cm~10V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
ある実施形態では、1つ以上の電界は、3V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
【0137】
ある実施形態では、第1のワイヤを含み得る第1のリード、第2のワイヤを含み得る第2のリード、第3のワイヤを含み得る第3のリード、及び第4のワイヤを含み得る第4のリード;第1のワイヤと電気通信する第1の電極、第2のワイヤと電気通信する第2の電極、第3のワイヤと電気通信する第3の電極、及び第4のワイヤと電気通信する第4の電極を有する、癌性腫瘍を治療するための医療機器であって;第1の電極及び第3の電極は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生するように構成された供給電極対を形成し;及び第2の電極及び第4の電極は、第1の電極、第1のワイヤ、第3の電極、第3のワイヤ、及びそれらと電気通信する構成要素のインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍のインピーダンスを測定するように構成された検知電極対を形成する、医療機器が含まれる。
【0138】
ある実施形態では、医療機器は、さらに、第5のワイヤと電気通信する第5の電極、第6のワイヤと電気通信する第6の電極、第7のワイヤと電気通信する第7の電極、及び第8のワイヤと電気通信する第8の電極を含み得る。
【0139】
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード及び第2のリードを植え込むことであって、第1のリードは、第1のワイヤ及び第2のワイヤを含み得;及び第2のリードは、第3のワイヤ及び第4のワイヤを含み得;第1のワイヤは第1の電極と電気通信し;第2のワイヤは第2の電極と電気通信し;第3のワイヤは第3の電極と電気通信し;及び第4のワイヤは第4の電極と電気通信し;及び第1の電極及び第3の電極は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界が届くように発生するように構成された第1の供給電極対を形成し、及び第2の電極及び第4の電極は、第1の検知電極対間のインピーダンスとは無関係に、癌性腫瘍のインピーダンスを測定するように構成された第1の検知電極対を形成すること;第1の供給電極対を使用して、予め決められた期間、癌性腫瘍の部位に又はその近くに治療電界を印加すること;第1の検知電極対を使用して、癌性腫瘍のインピーダンスを測定することを含む。
【0140】
ある実施形態では、癌性腫瘍は、癌細胞集団を含み得る。
ある実施形態では、方法は、さらに、癌性腫瘍の治療開始前に癌性腫瘍の初期インピーダンスを測定することを含み得、初期インピーダンスを測定することは、癌性腫瘍の部位に又はその近くに診断電界を印加すること、及び初期インピーダンスを記録することを含む。
【0141】
ある実施形態では、癌性腫瘍のインピーダンスを測定することは、予め決められた時間にわたって複数の測定値を得ることを含む。
ある実施形態では、方法は、さらに、予め決められた期間にわたってインピーダンスの上昇を検出することによって、癌性腫瘍の退縮を決定することを含み得る。
【0142】
ある実施形態では、方法は、さらに、予め決められた期間にわたってインピーダンスの低下を検出することによって、癌性腫瘍の進行を決定することを含み得る。
ある実施形態では、方法は、さらに、治療電界を調整することを含み得る。
【0143】
ある実施形態では、癌性腫瘍のインピーダンスを測定することは、予め決められた時間にわたって複数の測定値を得ることを含む。
ある実施形態では、方法は、さらに、予め決められた期間にわたってインピーダンスの上昇を検出することによって、癌性腫瘍の退縮を決定することを含み得る。
【0144】
ある実施形態では、方法は、さらに、予め決められた期間にわたってインピーダンスの低下を検出することによって、癌性腫瘍の進行を決定することを含み得る。
ある実施形態では、方法は、さらに、治療電界を調整することを含み得る。
【0145】
ある実施形態では、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されており;電界発生回路に、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で1つ以上の電界を発生させるようにする、制御回路構成部品;電界発生回路と電気通信する1本以上の供給リードであって、それぞれ、電界発生回路と電気通信する1つ以上の供給電極を含み得る、1本以上の供給リード;及び制御回路構成部品と電気通信する1本以上の検知リードであって、それぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る1本以上の検知リードを有する、癌性腫瘍を治療するための医療機器であって;1つ以上の検知電極は、1つ以上の供給電極のインピーダンスを測定するように構成されている、医療機器が含まれる。
【0146】
ある実施形態では、医療機器は、さらに、電界発生回路及び制御回路構成部品が内部に配置されるハウジングを含み得、ハウジングは、ハウジングが供給電極の機能を果たすように、電界発生回路と電気通信する部分を含み、1つ以上の電界は、供給電極としての機能を果たすハウジングの部分を含む少なくとも1つのベクトルに沿って、発生されて届く。
【0147】
ある実施形態では、1つ以上の検知電極は、各供給電極のインピーダンスを識別するために、単極インピーダンス測定を行うように構成されている。
ある実施形態では、1つ以上の検知電極は、各供給電極のインピーダンスを識別するために、単極インピーダンス測定を行うように構成されている。
【0148】
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード及び第2のリードを植え込むことであって;第1のリード及び第2のリードはそれぞれ、1つ以上の供給電極及び1つ以上の検知電極を含むこと;1つ以上の供給電極によって、予め決められた期間、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を印加すること;1つ以上の検知電極を使用して各供給電極のインピーダンスを測定することを含む。
【0149】
ある実施形態では、方法は、さらに、各供給電極のインピーダンスを識別するために、単極インピーダンス測定を行うことを含み得る。
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード、第2のリード、第3のリード、及び第4のリードを植え込むことであって;第1のリード及び第3のリードはそれぞれ、1つ以上の供給電極を含み、及び第2のリード及び第4のリードはそれぞれ、1つ以上の検知電極を含むこと;供給電極によって、予め決められた期間、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を印加すること;1つ以上の検知電極を使用して各供給電極のインピーダンスを測定することを含む。
【0150】
ある実施形態では、方法は、さらに、供給電極間の静電容量を測定することを含み得;実測静電容量は、供給電極の質を決定するために使用され得る。
ある実施形態では、第1のベクトルに沿って1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されており;電界発生回路に、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で、癌性腫瘍の部位に1つ以上の電界を発生させるようにする、制御回路構成部品;電界発生回路と電気通信する1本以上の供給リードであって、それぞれ、電界発生回路と電気通信する1つ以上の供給電極を含み得る1本以上の供給リード;及び制御回路構成部品と電気通信する1本以上の検知リードであって、それぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る1本以上の検知リードを有する、癌性腫瘍を治療するための医療機器であって;1つ以上の検知電極は、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルとは異なる第2のベクトルに沿って、1つ以上の供給電極におけるインピーダンス変化を測定するように構成されている、医療機器が含まれる。
【0151】
ある実施形態では、機器は、さらに、電界発生回路及び制御回路構成部品が内部に配置されるハウジングを含み得、ハウジングは、供給電極としての機能を果たすために、電界発生回路と電気通信する部分を含み、1つ以上の電界は、供給電極としての機能を果たすハウジングの部分を含む少なくとも1つのベクトルに沿って、発生されて届く。
【0152】
ある実施形態では、1つ以上の検知電極は、各供給電極のインピーダンスを識別するために、単極インピーダンス測定を行うように構成されている。
ある実施形態では、第2のベクトルに沿って1つ以上の供給電極におけるインピーダンス変化を測定することは、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルから少なくとも30度の角度だけ空間的に離れている第2のベクトルに沿って、インピーダンス変化を測定することを含む。
【0153】
ある実施形態では、第2のベクトルに沿って1つ以上の供給電極におけるインピーダンス変化を測定することは、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルから少なくとも60度の角度だけ空間的に離れている第2のベクトルに沿って、インピーダンス変化を測定することを含む。
【0154】
ある実施形態では、第2のベクトルに沿って1つ以上の供給電極におけるインピーダンス変化を測定することは、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルから少なくとも90度の角度だけ空間的に離れている第2のベクトルに沿って、インピーダンス変化を測定することを含む。
【0155】
ある実施形態では、各供給電極及び各検知電極は、1本以上のリードの長手方向軸に沿って、少なくとも0.25cmだけ、空間的に離れている。
ある実施形態では、第1のベクトルに沿って1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、制御回路構成部品は、電界発生回路からの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されており;電界発生回路に、10kHz~1MHzの範囲から選択された周波数で、癌性腫瘍の部位に1つ以上の電界を発生させるようにする、制御回路構成部品;電界発生回路と電気通信する1本以上の供給リードであって、それぞれ、電界発生回路と電気通信する1つ以上の供給電極を含み得る1本以上の供給リード;及び制御回路構成部品と電気通信する1本以上の検知リードであって、それぞれ、1つ以上の検知電極を含み得る1本以上の検知リードを有する、癌性腫瘍を治療するための医療機器であって;1つ以上の検知電極は、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルとは異なる第2のベクトルに沿って、癌性腫瘍におけるインピーダンス変化を測定するように構成されている、医療機器が含まれる。
【0156】
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌性腫瘍の部位に又はその近くに第1のリード、第2のリード、第3のリード、及び第4のリードを植え込むことであって;第1のリード及び第3のリードはそれぞれ、1つ以上の供給電極を含み、及び第2のリード及び第4のリードはそれぞれ、1つ以上の検知電極を含むこと;1つ以上の供給電極によって、予め決められた期間、第1のベクトルに沿って、癌性腫瘍の部位に又はその近くに電界を印加すること;1つ以上の検知電極を使用して、第2のベクトルに沿って、各供給電極のインピーダンスを測定することを含み;及び第2のベクトルに沿って各供給電極のインピーダンスを測定することは、1つ以上の電界が癌性腫瘍へ届く第1のベクトルから空間的に離れている第2のベクトルに沿って、各供給電極のインピーダンスを測定することを含む。
【0157】
ある実施形態では、方法は、さらに、各供給電極のインピーダンスを識別するために、単極インピーダンス測定を行うことを含み得る。
ある実施形態では、癌性腫瘍の部位に又はその近くに、第1のリード、第2のリード、第3のリード、又は第4のリードのいずれかを植え込むことは、自然の身体開口部又は管を通して、第1のリード、第2のリード、第3のリード、又は第4のリードのいずれかを送ることを含む。
【0158】
ある実施形態では、自然の身体開口部は、鼻腔、外耳道、口、食道、気管、尿道、膣、小腸、肛門、又は結腸のうちのいずれかから選択され得る。
ある実施形態では、管は、総胆管、胆管、膵管、総肝管、尿管、エウスターキオ管、又はファローピウス管のうちのいずれかから選択され得る。
【0159】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、内容的に明白に他の意味を指示する場合を除いて、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」は、複数形を含むことに留意すべきである。それゆえ、例えば、「ある化合物」を含む組成物への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。内容的に明白に他の意味を指示する場合を除いて、用語「又は」は、一般的に、「及び/又は」を含む意味で用いられることにも留意すべきである。
【0160】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、語句「構成される」は、特定のタスクを実行する又は特定の形態を採用するように構築又は構成されるシステム、装置、又は他の構造を説明することにも留意すべきである。語句「構成される」は、例えば、配置され且つ構成される、構築され且つ配置される、構築され、製造され、且つ配置されるなどの、他の同様の語句と同じ意味で使用され得る。
【0161】
本明細書における全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する当業者の水準を示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個別の刊行物又は特許出願が参照することにより具体的且つ個別に示されたのと同程度に、参照することにより本明細書に援用する。
【0162】
本明細書で説明した実施形態は、徹底的であることも、又は本発明を、以下の詳細な説明に開示した正確な形態に限定することも意図していない。むしろ、実施形態は、当業者が原理及び実施を認識し且つ理解するように、選択され且つ説明されている。そのようなものとして、態様は、様々な特定の好ましい実施形態及び技術を参照して説明した。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲内に留まりながら、多くの変形及び修正がなされ得ることを理解されるべきである。