(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】薄膜トランジスタおよびそれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
H01L29/78 618C
H01L29/78 617K
H01L29/78 618B
H01L29/78 618E
(21)【出願番号】P 2022154387
(22)【出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0135019
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】姜 旻 求
(72)【発明者】
【氏名】高 永 賢
(72)【発明者】
【氏名】崔 承 燦
(72)【発明者】
【氏名】張 宰 滿
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0157464(US,A1)
【文献】特開2010-039413(JP,A)
【文献】特表2017-531322(JP,A)
【文献】米国特許第07550331(US,B2)
【文献】特開2019-067791(JP,A)
【文献】特開平10-270699(JP,A)
【文献】特開2018-098364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 29/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光遮断層と、
前記光遮断層の上に配されたバッファ層と、
前記バッファ層の上に配されたアクティブ層と、
前記アクティブ層に少なくとも一部重畳するゲート電極と
を含み、
前記アクティブ層が、
前記ゲート電極に重畳するチャネル部と、
前記チャネル部の一側に接触する第1連結部と、
前記チャネル部の他側に接触する第2連結部と
を含み、
前記第1連結部および前記第2連結部は、選択的に導体化されることにより形成され、
前記チャネル部は、第1チャネル領域および第2チャネル領域を含み、
前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域は導体化されておらず、
前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域は、それぞれ前記第1連結部から前記第2連結部までつながり、
前記第1チャネル領域の長さが前記第2チャネル領域の長さより短く、
前記第1チャネル領域に重畳する前記ゲート電極の幅が、前記第2チャネル領域に重畳する前記ゲート電極の幅よりも狭く、
前記第1チャネル領域に重畳する前記ゲート電極と前記第2チャネル領域に重畳する前記ゲート電極とが、一体に構成されて
おり、
前記アクティブ層が、
平面視において矩形の前記第1チャネル領域、前記第1チャネル領域の一側に接触する第1連結部および前記第1チャネル領域の他側に接触する第2連結部を含む第1アクティブ層と、
平面視において矩形の前記第2チャネル領域、前記第2チャネル領域の一側に接触する第1連結部および前記第2チャネル領域の他側に接触する第2連結部を含む第2アクティブ層と
を含み、
平面視において、前記第1アクティブ層および前記第2アクティブ層が、前記ゲート電極と重畳する領域、前記第1連結部および前記第2連結部にて互いから離隔されている、
薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記ゲート電極が、前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域の境界で段階的(stepwise)に変化する幅を有する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記ゲート電極が、前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域の間で段階的に変化する幅を有する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記ゲート電極が、前記第1チャネル領域から前記第2チャネル領域に向かう方向に沿って徐々に変化する幅を有する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記第1アクティブ層および前記第2アクティブ層が、互いに同一層に配置さ
れている、請求項
1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記アクティブ層が、酸化物半導体物質を含む、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記酸化物半導体物質が、IZO(InZnO)系、IGO(InGaO)系、ITO(InSnO)系、IGZO(InGaZnO)系、IGZTO(InGaZnSnO)系、GZTO(GaZnSnO)系、GZO(GaZnO)系、ITZO(InSnZnO)系およびFIZO(FeInZnO)系酸化物半導体物質の中の少なくとも1つを含む、請求項
6に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記アクティブ層が、
第1酸化物半導体層と、
前記第1酸化物半導体層上の第2酸化物半導体層と、
を含む、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記アクティブ層が、前記第2酸化物半導体層上に第3酸化物半導体層をさらに含む、請求項
8に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載の薄膜トランジスタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、sファクタ(s-factor)とオン(ON)電流を同時に向上させることができる薄膜トランジスタとそれを含む表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランジスタは、電子機器分野でスイッチング素子(switching device)や駆動素子(driving device)として広く使用されている。特に、薄膜トランジスタ(thin film transistor)は、ガラス基板やプラスチック基板上に製造することができるため、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device)または有機発光装置(Organic Light Emitting Device)などの表示装置のスイッチング素子として広く利用されている。
【0003】
表示装置は、例えば、スイッチング薄膜トランジスタと駆動薄膜トランジスタを含むことができる。このうち、駆動薄膜トランジスタは、階調(gray scale)表現のために大きなsファクタを有することが有利である。
【0004】
一般に、オンオフ(on-off)特性を確保するために、薄膜トランジスタが小さなsファクタを有することが多い。このような薄膜トランジスタを表示装置の駆動薄膜トランジスタに適用した場合、表示装置の階調を表現することが困難である。
【0005】
したがって、表示装置の駆動薄膜トランジスタに適用して階調を容易に表現するためには、大きなsファクタを有する薄膜トランジスタが求められている。また、薄膜トランジスタが大きなsファクタを有するとしても、オン(ON)状態では優れた電流特性を有することが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施例は、大きなsファクタを有し、オン状態で優れた電流特性を有する薄膜トランジスタを提供することを目的とする。本発明の一実施例は、大きなsファクタを有し、オン状態で大きな電流値を有する薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の一実施例は、チャネル部の第1チャネル領域と第2チャネル領域の長さが異なるように設計され、sファクタとオン電流が同時に向上した薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の一実施例は、チャネル部の第2チャネル領域の長さが第1チャネル領域の長さよりも長く設計され、sファクタが増加した薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【0009】
本発明の一実施例は、チャネル部の第1チャネル領域の長さが第2チャネル領域の長さより短く設計され、優れたオン電流特性を有する薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【0010】
本発明のまた他の実施例は、大きなsファクタを有するとともに大きなオン電流特性を有する駆動薄膜トランジスタを含み、優れた階調表現能力および優れた電流特性を有する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の技術的課題を達成するための本発明の一実施例は、アクティブ層と、アクティブ層に少なくとも一部重畳するゲート電極とを含み、前記アクティブ層は、前記ゲート電極と重畳するチャネル部と、前記チャネル部の一側に接触する第1連結部と、前記第1チャネル領域に接触する第2連結部を含み、前記チャネル部は、第1チャネル領域および第2チャネル領域を含み、前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域は、それぞれ前記第1連結部から前記第2連結部までつながり、前記第1チャネル領域の長さが、前記第2チャネル領域の長さより短い薄膜トランジスタを提供する。
【0012】
前記第1チャネル領域に重畳する前記ゲート電極の幅は、前記第2チャネル領域に重畳する前記ゲート電極の幅よりも小さい。
【0013】
前記第1チャネル領域に重畳するゲート電極と前記第2チャネル領域に重畳する前記ゲート電極とは、一体に構成され得る。
【0014】
前記ゲート電極は、前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域の境界で段階的(stepwise)に変化する幅を有することができる。
【0015】
前記ゲート電極は、前記第1チャネル領域および前記第2チャネル領域の間で段階的に変化する幅を有することができる。
【0016】
前記ゲート電極は、前記第1チャネル領域から前記第2チャネル領域に向かう方向に沿って徐々に(gradually)に変化する幅を有することができる。
【0017】
前記アクティブ層は、前記第1チャネル領域を含む第1アクティブ層、および前記第2チャネル領域を含む第2アクティブ層とを含むことができる。
【0018】
前記第1アクティブ層および前記第2アクティブ層は、互いに同一層に配置され、互いに離隔することができる。
【0019】
前記第1アクティブ層および前記第2アクティブ層は、前記ゲート電極と重畳する領域で互いに離隔することができる。
【0020】
前記アクティブ層は、平面上で前記ゲート電極に重畳し、空領域(vacant area)を囲むように配置することができる。
【0021】
前記空領域には、前記アクティブ層が配置されことがあり得る。
【0022】
前記アクティブ層は、酸化物半導体物質を含むことができる。
【0023】
前記酸化物半導体物質は、IZO(InZnO)系、IGO(InGaO)系、ITO(InSnO)系、IGZO(InGaZnO)系、IGZTO(InGaZnSnO)系、GZTO(GaZnSnO)系、GZO(GaZnO)系、ITZO(InSnZnO)系およびFIZO(FeInZnO)系酸化物半導体物質の中の少なくとも一つを含むことができる。
【0024】
前記アクティブ層は、第1酸化物半導体層および前記第1酸化物半導体層上の第2酸化物半導体層とを含むことができる。
【0025】
前記アクティブ層は、前記第2酸化物半導体層上の第3酸化物半導体層をさらに含むことができる。
【0026】
本発明の他の一実施例は、前記薄膜トランジスタを含む表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施例による薄膜トランジスタは、大きなsファクタを有し、同時に優れたオン(ON)電流特性を有する。
【0028】
本発明の一実施例による薄膜トランジスタは、チャネル部の第2チャネル領域の長さが、第1チャネル領域の長さより長く設計され、大きなsファクタを有することができる。
【0029】
本発明の一実施例による薄膜トランジスタは、チャネル部の第1チャネル領域の長さが、第2チャネル領域の長さより短く設計され、優れたオン(ON)電流特性を有することができる。
【0030】
本発明の一実施例による薄膜トランジスタを含む表示装置は、優れた階調表現能力および優れた電流特性を有することができる。
【0031】
上記の効果に加えて、本発明の他の特徴および利点は、以下に記載されるか、またはそのような記載および説明から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの平面図である。
【
図1B】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図1C】本発明の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図2A】本発明の他の一実施例による薄膜トランジスタの平面図である。
【
図2B】本発明の他の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図2C】本発明の他の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図2D】本発明の他の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図3A】本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタの平面図である。
【
図3B】本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図3C】本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図4】本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタの平面図である。
【
図5】本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタの平面図である。
【
図6】本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタの平面図である。
【
図7A】本発明のまた他の実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図7B】本発明のまた他の実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図8】本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタの断面図である。
【
図9】薄膜トランジスタのしきい値電圧グラフである。
【
図10】本発明のまた他の一実施例による表示装置の概略図である。
【
図14】本発明のまた他の一実施例による表示装置のいずれか一つの画素に対する回路図である。
【
図15】本発明のまた他の一実施例による表示装置のいずれか一つの画素に対する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の利点および特徴、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図と共に詳細に後述される実施例を参照することによって明らかになるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、様々な形態で具現されるものであり、本発明の開示が完全になるように、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を知らせるために提供されるものである。本発明は、特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0034】
本発明の実施例を説明するための図に開示された形状、大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであるため、本発明が図に示された事項に限定されるものではない。本明細書を通じて、同じ構成要素は同じ参照番号と付与することができる。なお、本発明の説明において、関連する公知技術の詳細な説明が、本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0035】
本明細書で言及される「含む」、「有する」、「からなる」などが使用される場合、「~のみ」という表現が使用されない限り、他の部分を追加することができる。構成要素が単数で表される場合、特に明示的な記載がない限り複数を含む。
【0036】
構成要素を解釈する際には、別途明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0037】
例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~横に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されていない場合は、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することができる。
【0038】
空間的に相対的な用語である「下(below,beneath)」、「下部(lower)」、「上(above)」、「上部(upper)」などは、図に示されるように、1つの要素または構成要素である他の要素または構成要素との相関を容易に説明するために使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中の要素の異なる方向を含む用語として理解されなければならない。例えば、図に示されている要素を反転する場合、他の要素の「下(below)」または「下(beneath)と記載された要素は、他の要素の「上」に置くことができる。したがって、例示的な用語「下」は、下方向と上方向の両方を含み得る。同様に、例示的な用語「上」または「上方」は、上下の方向の両方を含むことができる。
【0039】
時間関係の説明である場合、例えば、「~後に」、「~に続き」、「~次に」、「~前に」などで時間的先後関係が説明される場合、「すぐ」または「直接」という表現が使用されない限り、連続的でない場合も含むことができる。
【0040】
第1、第2などは様々な構成要素を説明するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、1つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用されるだけである。したがって、以下で言及される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素であり得る。
【0041】
「少なくとも1つ」という用語は、1つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むことを理解しなければならない。例えば、「第1項目、第2項目および第3項目の中の少なくとも1つ」の意味は、第1項目、第2項目または第3項目のそれぞれ、ならびに第1項目、第2項目および第3項目の中の2つ以上から提示できるすべての項目の組み合わせを意味することができる。
【0042】
本発明の様々な実施例のそれぞれの特徴は、部分的または全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動および駆動が可能であり、各実施例は互いに独立して実施可能であり、関連して一緒に実施することもできる。
【0043】
以下では、本発明の一実施例による薄膜トランジスタおよびそれを含む表示装置を添付の図を参照して詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を追加する際に、同一の構成要素については、異なる図面に表示されていても、可能な限り同一の符号を有することができる。
【0044】
本発明の実施例では、ソース電極とドレイン電極が区別されているが、ソース電極とドレイン電極は、互いに入れ替えることができる。詳細には、いずれか一つの実施例において、ソース電極と名付けられた電極は、ドレイン電極として使用することもでき、ドレイン電極と名付けられた電極は、ソース電極として使用することもできる。また、いずれか一つの実施例によるソース電極は、他の実施例ではドレイン電極になり得、いずれか一つの実施例によるドレイン電極は、他の実施例ではソース電極になり得る。
【0045】
本発明の実施例では、説明の便宜上、ソース領域とソース電極を区別し、ドレイン領域とドレイン電極を区別したが、本発明の実施例はこれに限定されるものではない。ソース領域がソース電極になり得、ドレイン領域がドレイン電極になり得る。また、ソース領域がドレイン電極になることでき、ドレイン領域がソース電極になることもできる。
【0046】
図1Aは、本発明の一実施例による薄膜トランジスタ100の平面図であり、
図1Bおよび
図1Cはそれぞれ、本発明の一実施例による薄膜トランジスタ100の断面図である。
【0047】
本発明の一実施例による薄膜トランジスタ100は、アクティブ層130、およびアクティブ層130と少なくとも一部重畳するゲート電極150を含む。アクティブ層130は、チャネル部130n、チャネル部130nの一側と接触する第1連結部130s、およびチャネル部130nの他側と接触する第2連結部130dを含む。
【0048】
本発明の一実施例によれば、チャネル部130nは、第1チャネル領域131nおよび第2チャネル領域132nを含み、第1チャネル領域131nおよび第2チャネル領域132nは、それぞれ第1連結部130sから第2連結部130dまで続く。本発明の一実施例によれば、第1チャネル領域131nの長さ(L1)は、第2チャネル領域132nの長さ(L2)よりも短い(L1<L2)。本発明の一実施例によれば、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nを平行に配置することができる。第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nは、互いに接触することもでき、互いに離隔して配置することもできる。
【0049】
以下、
図1A~
図1Cを参照して、本発明の一実施例による薄膜トランジスタ100をより詳細に説明する。
【0050】
図1Aは、本発明の一実施例による薄膜トランジスタ100の平面図であり、
図1Bは、
図1AのIa-Ia’を切断した断面図、
図1Cは、
図1AのIb-Ib’を切断した断面図である。
【0051】
図1A~
図1Cを参照すると、薄膜トランジスタ100は、基板110上に配置される。
【0052】
基板110の種類に特別な制限があるわけではない。薄膜トランジスタ100を支持する支持体であれば、制限なく基板110とすることができる。基板110として、例えばガラスまたはプラスチックを使用することができる。プラスチックとしてフレキシブルな特性を有する透明プラスチック、例えばポリイミドを使用することができる。ポリイミドが基板110として使用される場合、基板110上で高温蒸着工程が行われることを考慮すると、高温に耐えることができる耐熱性ポリイミドを使用することができる。
【0053】
基板110上に下部バッファ層220を配置することができる。下部バッファ層220は、基板110の上部を平坦にし、空気および水分遮断性を有し、絶縁性を有し、薄膜トランジスタ100を保護することができる。下部バッファ層220は、省略することができる。
【0054】
下部バッファ層220上に、光遮断層111が配置される。光遮断層111は、光を遮断する特性を有する。光遮断層111は、外部から入射する光を遮断してチャネル部130nを保護することができる。光遮断層111は、また導電性を有することもできる。
【0055】
光遮断層111は、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などのアルミニウム系の金属、銀(Ag)や銀合金などの銀系の金属、銅(Cu)や銅合金などの銅系の金属、モリブデン(Mo)やモリブデン合金などのモリブデン系列の金属、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ネオジウム(Nd)、チタン(Ti)および鉄(Fe)の中の少なくとも一つを含むことができる。光遮断層111は、物理的特性が異なる少なくとも2つの導電膜を含む多層膜構造を有することもできる。
【0056】
光遮断層111上に、バッファ層120が配置される。バッファ層120は、酸化シリコン、窒化シリコンおよび金属系酸化物から選択される少なくとも1つの絶縁物質を含むことができる。本発明の一実施例によれば、バッファ層120は、酸化シリコンおよび窒化シリコンの中の少なくとも1つを含むことができる。バッファ層120は、単一膜構造を有することもでき、多層膜構造を有することもできる。
【0057】
バッファ層120は、空気と水分を遮断してアクティブ層130を保護する。また、バッファ層120は、光遮断層111とチャネル部130nが離隔、および絶縁されるようにする。
【0058】
アクティブ層130は、バッファ層120上に配置される。
【0059】
アクティブ層130は、半導体物質によって形成することができる。アクティブ層130は、例えば、アモルファスシリコン半導体物質、多結晶シリコン半導体物質、および酸化物半導体物質の中のいずれか一つを含むことができる。
【0060】
本発明の一実施例によれば、アクティブ層130は、酸化物半導体物質を含むことができる。酸化物半導体物質は、例えば、IZO(InZnO)系、IGO(InGaO)系、ITO(InSnO)系、IGZO(InGaZnO)系、IGZTO(InGaZnSnO)系、GZTO(GaZnSnO)系、GZO(GaZnO)系、ITZO(InSnZnO)系およびFIZO(FeInZnO)系酸化物半導体物質の中の少なくとも一つを含むことができる。しかしながら、本発明の一実施例はこれに限定されるものではなく、当業界で知られている他の酸化物半導体物質でアクティブ層130を作ることもできる。
【0061】
アクティブ層130は、チャネル部130n、第1連結部130sおよび第2連結部130dを含む。チャネル部130nの一側は、第1連結部130sと接触し、チャネル部130nの他側は、第2連結部130dと接触する。チャネル部130nは、ゲート電極150と重畳し、薄膜トランジスタ100のチャネルの役割をする。
【0062】
アクティブ層130の第1連結部130sおよび第2連結部130dは、ゲート電極150と重畳しない。第1連結部130sおよび第2連結部130dは、半導体物質の選択的導体化によって形成することができる。本発明の一実施例によれば、アクティブ層130の中の選択された部分に対して、導電性を付与することを選択的導体化という。選択的導体化は、ドーピング、プラズマ処理などによって行うことができる。
【0063】
本発明の一実施例によれば、アクティブ層130の第1連結部130sは、ソース領域になり、第2連結部130dは、ドレイン領域になることができる。本発明の一実施例によれば、第1連結部130sをソース電極とし、第2連結部130dをドレイン電極とすることもできる。
【0064】
しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、第1連結部130sがドレイン領域になり、第2連結部130dがソース領域になることもでき、また、第1連結部130sをドレイン電極とし、第2連結部130dをソース電極とすることができる。
【0065】
本発明の一実施例によれば、チャネル部130nは、第1チャネル領域131nおよび第2チャネル領域132nを含む。第1チャネル領域131nは、第2チャネル領域132nと平行に配置され得る。
図1Aおよび
図1Bを参照すると、第1チャネル領域131nおよび第2チャネル領域132nは、それぞれ第1連結部130sから第2連結部130dまで続く。
【0066】
本発明の一実施例によれば、第1チャネル領域131nの長さ(L1)は、第2チャネル領域132nの長さ(L2)よりも短い。例えば、第1チャネル領域131nの長さ(L1)は約5μmであり得、第2チャネル領域132nの長さ(L2)は約8μmであり得る。第1チャネル領域131nの長さ(L1)の最小値は、約1.5μmであり得、第2チャネル領域132nの長さ(L2)の最大値は、約12μmであり得る。
【0067】
第1チャネル領域131nの長さ(L1)が短いため、薄膜トランジスタ100がオン(ON)状態のとき、第1チャネル領域131nを通じて電流が円滑に流れることができる。第1チャネル領域131nは、薄膜トランジスタ100のオン(ON)電流を増加させ、薄膜トランジスタ100のオン(ON)電流特性を向上させることができる。
【0068】
第2チャネル領域132nの長さ(L2)は、相対的に長いため、薄膜トランジスタ100が完全にターンオン(turn-on)する前、薄膜トランジスタ100を通じて流れる電流が、急激に増加することを抑制することができる。その結果、第2チャネル領域132nにより、薄膜トランジスタ100のsファクタ(s-factor)が増加することができる。
【0069】
アクティブ層130上にゲート絶縁膜140が配置される。ゲート絶縁膜140は、シリコン酸化物、シリコン窒化物および金属系酸化物の中の少なくとも一つを含むことができる。ゲート絶縁膜140は、単一膜構造を有することもでき、多層膜構造を有することもできる。
【0070】
図1Bおよび
図1Cを参照すれば、ゲート絶縁膜140を基板110上の全面に一体に形成することができる。詳細には、ゲート絶縁膜140は、アクティブ層130のチャネル部130n、第1連結部130sおよび第2連結部130dを覆うことができる。
【0071】
しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、ゲート絶縁膜140をパターニングすることもできる。例えば、ゲート絶縁膜140は、ゲート電極150に対応する形状にパターニングすることができる。
【0072】
ゲート電極150は、ゲート絶縁膜140上に配置される。ゲート電極150は、アクティブ層130と少なくとも一部重畳する。ゲート電極150は、アクティブ層130のチャネル部130nと重畳することができる。
【0073】
ゲート電極150は、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などのアルミニウム系の金属、銀(Ag)や銀合金などの銀系の金属、銅(Cu)や銅合金などの銅系の金属、モリブデン(Mo)またはモリブデン合金などのモリブデン系の金属、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ネオジウム(Nd)およびチタン(Ti)の中の少なくとも一つを含むことができる。ゲート電極150は、物理的特性が異なる少なくとも2つの導電膜を含む多層膜構造を有することもできる。
【0074】
本発明の一実施例によれば、ゲート電極150の幅および形状を調整して、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nの長さを調整することができる。例えば、
図1Aを参照すると、第1チャネル領域131nと重畳するゲート電極150の幅(w1)は、第2チャネル領域132nと重畳するゲート電極の幅(w2)より狭くすることができる(w1<w2)。その結果、第1チャネル領域131nが第2チャネル領域132nよりも短い長さ(L1<L2)を有するようにすることができる。
【0075】
本発明の一実施例によれば、1つのゲート電極150が、第1チャネル領域131nおよび第2チャネル領域132nと重畳することができる。詳細には、
図1Aに示すように、第1チャネル領域131nと重畳するゲート電極150と、第2チャネル領域132nと重畳するゲート電極150を一体に構成することができる。
【0076】
図1Aを参照すると、ゲート電極150は、段階的(stepwise)に変化する幅(w1、w2)を有することができる。詳細には、ゲート電極150は、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nの境界で、段階的に変化する幅(w1、w2)を有することができる。その結果、1つのゲート電極150によって、互いに異なるチャネル長さを有する第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nを形成することができる。
【0077】
また、
図1Aにおいて、ゲート電極150の幅(w1、w2)が段階的に変化する部分が、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nの境界となり得る。
【0078】
ゲート電極150上に層間絶縁膜180が配置される。層間絶縁膜180は、絶縁物質からなる絶縁層である。層間絶縁膜180は、有機物からなることもでき、無機物からなることもでき、有機物層と無機物層の積層体からなることもできる。
【0079】
層間絶縁膜180上に、ソース電極161およびドレイン電極162が配置される。
【0080】
ソース電極161は、コンタクトホール(CH1)を介して、光遮断層111と連結することができる。また、ソース電極161は、コンタクトホール(CH2)を介して、アクティブ層130と連結する。ソース電極161は、コンタクトホール(CH2)を介して、アクティブ層130の第1連結部130sと電気的に連結することができる。その結果、光遮断層111をアクティブ層130の第1連結部130sと連結することができる。光遮断層111がソース電極161と連結するため、光遮断層111がフローティング(floating)されず、光遮断層111にソース電極161と同じ電圧を印加することができる。
【0081】
ドレイン電極162は、ソース電極161と離隔し、コンタクトホール(CH3)を介して、アクティブ層130と連結する。詳細には、ドレイン電極162は、コンタクトホール(CH3)を介して、アクティブ層130の第2連結部130dと電気的に連結することができる。
【0082】
ソース電極161およびドレイン電極162は、それぞれモリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジウム(Nd)、銅(Cu)、およびそれらの合金の中の少なくとも1つを含むことができる。ソース電極161およびドレイン電極162は、それぞれ金属または金属の合金からなる単一層からなることができ、2層以上の多重層からなることもできる。
【0083】
図1Aおよび
図1Bには、第1連結部130sとソース電極161を区別して示している。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、第1連結部130sがソース電極になり得、指示符号「161」で示された電極が連結電極またはブリッジになり得る。
【0084】
図1Aおよび
図1Bには、第2連結部130dとドレイン電極162を区別して示している。しかし、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、第2連結部130dがドレイン電極になり得、指示符号「162」で示された電極が連結電極またはブリッジになり得る。
【0085】
以下、sファクタ(s-factor)を説明する。
【0086】
sファクタ(sub-threshold swing: s-factor)は、薄膜トランジスタ100のゲート電圧(Gate Voltage)に対するドレイン-ソース電流(Drain-Source Current)グラフにおいて、しきい値電圧(Vth)でのグラフの傾きの逆数値で求められる。sファクタは、例えば、薄膜トランジスタ100のしきい値電圧(Vth)で、ゲート電圧に対するドレイン-ソース電流の変化の程度を示す指標として用いることができる。
【0087】
sファクタが大きくなると、ゲート電圧に対するドレイン-ソース電流(IDS)変化率が緩慢になる。
【0088】
sファクタは、例えば、
図9に示す電流変化グラフによって説明することができる。
図9は、薄膜トランジスタのしきい値電圧のグラフである。詳細には、
図9は、ゲート電圧(V
GS)に対するドレイン-ソース電流(I
DS)を示している。
【0089】
図9に示すグラフのしきい値電圧(Vth)で、ゲート電圧(V
GS)に対するドレイン-ソース電流(I
DS)のグラフの傾きの逆数(reciprocal)がsファクタである。グラフの傾きが急な場合は、sファクタが小さく、グラフの傾きが小さい場合はsファクタが大きい。sファクタが大きいと、ゲート電圧に対するドレイン-ソース電流(I
DS)変化率が緩慢である。
【0090】
sファクタが大きくなると(
図9において「実施例1」で示されたグラフの左側、Long channel部分)、ゲート電圧に対するドレイン-ソース電流(I
DS)変化率が緩慢になるため、ゲート電圧(V
GS)を調整することにより、ドレイン-ソース電流(I
DS)の大きさを調整することが容易になる。
【0091】
電流によって駆動する表示装置、例えば有機発光表示装置では、画素の階調は、駆動薄膜トランジスタのドレイン-ソース電流(IDS)の大きさを調整することによって制御することができる。駆動薄膜トランジスタのドレイン-ソース電流(IDS)の大きさは、ゲート電圧によって決定される。したがって、電流によって駆動する有機発光表示装置において、駆動薄膜トランジスタ(Driving TR)のsファクタが大きいほど画素の階調を調整することが容易である。
【0092】
図1Aを参照すると、チャネル部130nの中の第2チャネル領域132nの長さ(L2)が相対的に長い。したがって、薄膜トランジスタ100を通じて流れる電流が急激に増加することが抑制され、薄膜トランジスタ100のsファクタが増加することができる。
【0093】
従来、薄膜トランジスタのsファクタを増加させるために、ゲート電極とチャネル部の距離を増加させる方法が適用されてきた。この場合、sファクタは増加するが薄膜トランジスタのオン(ON)電流が減少するという問題があった。
【0094】
しかしながら、本発明の一実施例によれば、第2チャネル領域132nによって薄膜トランジスタ100のsファクタを増加させることができるので、ゲート電極150とチャネル部130nの距離を増やす必要はない。
【0095】
本発明の一実施例によれば、チャネル部130nとゲート電極150との間隔を増加させないので、薄膜トランジスタ100がオン(ON)の状態で薄膜トランジスタ100のオン(ON)電流が減少しない。また、第1チャネル領域131nの長さ(L1)が短いため、薄膜トランジスタ100がオン状態のとき、第1チャネル領域131nを通じて電流が円滑に流れ得る。詳細には、薄膜トランジスタ100のオン(ON)において、特に、チャネル部130nの第1チャネル領域131nがメイン電流領域になり、薄膜トランジスタ100のオン(ON)電流を改善することができる。
【0096】
したがって、本発明の一実施例による薄膜トランジスタ100は、優れたsファクタ特性およびオン(ON)電流特性を有することができる。本発明の一実施例による薄膜トランジスタ100は、大きなsファクタを有するため、表示装置の駆動トランジスタとして用いることができる。
【0097】
図2Aは、本発明の他の一実施例による薄膜トランジスタ200の平面図であり、
図2B、
図2C、および2Dはそれぞれ、本発明の他の一実施例による薄膜トランジスタ200の断面図である。詳細には、
図2Bは、
図2AのIIa-IIa’を切断した断面図であり、
図2Cは、
図2AのIIb-IIb’を切断した断面図であり、
図2Dは、
図2AのIIc-IIc’を切断した断面図である。
【0098】
図2Aの薄膜トランジスタ200は、
図1Aの薄膜トランジスタ100と比較して、アクティブ層130が第1アクティブ層131と第2アクティブ層1320に分離されている。以下、重複を避けるために既に説明した構成に対する説明は省略する。
【0099】
図2Aを参照すると、本発明の他の一実施例による薄膜トランジスタ200において、アクティブ層130は、第1アクティブ層131および第2アクティブ層132を含む。第1アクティブ層131および第2アクティブ層132は、互いに同一層に配置されていて、互いに離隔している。第1アクティブ層131および第2アクティブ層132は、平面上で互いに離隔している。この場合、第1チャネル領域131n及び第2チャネル領域132nが、それぞれ第1アクティブ層131及び第2アクティブ層132が平行に配置されるので、製造過程において有利な点がある。また、所定のsファクタ及びオン電流(Ion)特性を付与する上で、有利な点がある。
【0100】
図2Aおよび
図2Bを参照すると、第1アクティブ層131は、第1チャネル領域131nを含み、第2アクティブ層132は、第2チャネル領域132nを含む。
【0101】
第1アクティブ層131は、第1チャネル領域131n、第1連結部131s、および第2連結部131dを含む。第1チャネル領域131nが、第1アクティブ層131のチャネル部になる。
【0102】
図2Aおよび
図2Cを参照すると、第2アクティブ層132は、第2チャネル領域132n、第1連結部132s、および第2連結部132dを含む。第2チャネル領域132nが、第2アクティブ層132のチャネル部になる。
【0103】
第1アクティブ層131の第1連結部131sと第2アクティブ層132の第1連結部132sは、アクティブ層130の第1連結部131s、132sを構成する。第1アクティブ層131の第1連結部131sと第2アクティブ層132の第1連結部132sは、それぞれコンタクトホール(CH21、CH22)を介して、ソース電極161と連結することができる。
【0104】
第1アクティブ層131の第2連結部131dと第2アクティブ層132の第2連結部132dは、アクティブ層130の第2連結部131d、132dを構成する。第1アクティブ層131の第2連結部131dと第2アクティブ層132の第2連結部132dは、それぞれコンタクトホール(CH31、CH32)を介して、ドレイン電極162と連結することができる。
【0105】
図2Aおよび
図2Dを参照すると、第1アクティブ層131と第2アクティブ層132は、ゲート電極150と重畳する領域で互いに離隔している。その結果、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nが互いに離隔する。
【0106】
ゲート電極150は、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nの間で段階的に変化する幅(w1、w2)を有する。したがって、
図2Aに示すように、第1チャネル領域131nの長さ(L1)は、第2チャネル領域132nの長さ(L2)よりも短い(L1<L2)。
【0107】
第1チャネル領域131nの長さ(L1)が短いため、薄膜トランジスタ200がオン(ON)状態で第1チャネル領域131nを介して電流が円滑に流れることができるため、薄膜トランジスタ200が優れたオン(ON)電流特性を有することができる。以下、他の一実施例においても同様である。
【0108】
また、第2チャネル領域132nの長さ(L2)は、相対的に長いため、電流が急激に増加することが抑制され、薄膜トランジスタ200が大きいsファクタ(s-factor)を有することができる。以下、他の一実施例においても同様である。
【0109】
図3Aは、本発明のまた他の実施例による薄膜トランジスタ300の平面図であり、
図3Bおよび
図3Cは、それぞれ本発明のまた他の実施例による薄膜トランジスタ300の断面図である。詳細には、
図3Bは、
図3AのIIIa-IIIa’を切断した断面図であり、
図3Cは、
図3AのIIIb-IIIb’を切断した断面図である。
【0110】
図3A~
図3Cを参照すると、アクティブ層130と同じ層に、アクティブ層130によって囲まれた空領域(vacant area)135が位置する。本発明の一実施例によれば、空領域135は、アクティブ層130と同じ層でアクティブ層130によって囲まれており、ゲート電極150と重畳し、アクティブ層130が配置されていない領域を指す。この場合、第1チャネル領域131n及び第2チャネル領域132nが、それぞれ第1アクティブ層131及び第2アクティブ層132が平行に配置され、製造過程において有利な点がある。また、所定のsファクタ及びオン電流(Ion)特性を付与する上で、有利な点がある。
【0111】
図3Aを参照すると、アクティブ層130は、平面上でゲート電極150と重畳し、空領域(vacant area)を囲むように配置することができる。空領域135には、アクティブ層130が配置されない。
【0112】
図3Aを参照すると、ゲート電極150と重畳する領域に空領域135が位置するため、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nが互いに離隔する。空領域135の外側で、アクティブ層130は、一体に構成することができる。
【0113】
第1連結部130sは、第1チャネル領域131nおよび第2チャネル領域132nとそれぞれ接触し、空領域135の外側で一体となって1つの第1連結部130sとなり得る。第2連結部130dは、第1チャネル領域131nおよび第2チャネル領域132nとそれぞれ接触し、空領域135の外側で一体となって1つの第2連結部130dとなり得る。
【0114】
ゲート電極150は、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nの間で段階的に変化する幅(w1、w2)を有する。第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nは、互いに異なる長さ(L1<L2)を有することができる。
【0115】
図4は、本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタ400の平面図である。
【0116】
図4を参照すると、ゲート電極150がアクティブ層130と重畳する領域で、徐々に(gradually)変化する幅を有する。詳細には、ゲート電極150が、アクティブ層130と重畳する領域において、小さな幅(w1)と大きな幅(w2)を有することができる。
【0117】
本発明の一実施例によれば、ゲート電極150のうち、小さな幅(w1)を有する部分と重畳するアクティブ層130を第1チャネル領域131nとし、大きな幅(w2)を有する領域と重畳するアクティブ層130を第2チャネル領域132nとすることができる。
【0118】
本発明のまた他の実施例によれば、ゲート電極150が、第1チャネル領域131nから第2チャネル領域132nに向かう方向に沿って徐々に変化する幅(w1、w2)を有することができる。それにより、チャネル部130nは、第1チャネル領域131nから第2チャネル領域132nに向かう方向に沿って、徐々に(gradually)変化するチャネル長(L1、L2)を有することができる。その結果、第1チャネル領域131nは、第2チャネル領域より短い長さを有することができる(L1<L2)。
【0119】
図5は、本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタ500の平面図である。
【0120】
図5を参照すると、アクティブ層130は、第1アクティブ層131および第2アクティブ層132を含み、第1アクティブ層131と第2アクティブ層132は、平面上で互いに離隔している。第1アクティブ層131は、第1チャネル領域131nを含み、第2アクティブ層132は、第2チャネル領域132nを含む。
【0121】
また、ゲート電極150は、アクティブ層130と重畳する領域で、徐々に変化する幅(w1、w2)を有する。
図5に示すように、ゲート電極150が、第1チャネル領域131nから第2チャネル領域132nに向かう方向に沿って徐々に大きくなる幅を有するため、第2チャネル領域132nは、第1チャネル領域131nよりもさらに長いチャネル長を有することができる。
【0122】
図6は、本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタ600の平面図である。
【0123】
図6を参照すると、アクティブ層130と同じ層に、アクティブ層130によって囲まれた空領域135が位置する。本発明の一実施例によれば、空領域135は、アクティブ層130と同じ層でアクティブ層130によって囲まれていて、ゲート電極150と重畳する。空領域135には、アクティブ層130が配置されない。
【0124】
また、
図6を参照すると、ゲート電極150は、アクティブ層130と重畳する領域で徐々に変化する幅を有する。ゲート電極150が、第1チャネル領域131nから第2チャネル領域132nに向かう方向に沿って徐々に大きくなる幅を有するため、第2チャネル領域132nが、第1チャネル領域131nより長いチャネル長を有することができる。
【0125】
図7Aおよび
図7Bは、それぞれ本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタ701、702の断面図である。
図7Aおよび
図7Bに示すアクティブ層130の構造は、例えば、
図1A、1B、1C、2A、2B、2C、2D、3A、3B、3C、4、5および6に示す薄膜トランジスタ100、200、300、400、500、600のアクティブ層130に適用することができる。
【0126】
図7Aを参照すると、薄膜トランジスタ701のアクティブ層130が、多層構造を有する。詳細には、
図7Aを参照すると、アクティブ層130は、基板110上の第1酸化物半導体層1301、および第1酸化物半導体層1301上の第2酸化物半導体層1302を含む。第1酸化物半導体層1301と第2酸化物半導体層1302は、同じ半導体物質を含むこともでき、互いに異なる半導体物質を含むこともできる。
【0127】
第1酸化物半導体層1301は、第2酸化物半導体層1302を支持する。したがって、第1酸化物半導体層1301を「支持層」ともいう。チャネル部130nは、第2酸化物半導体層1302に形成することができる。したがって、第2酸化物半導体層1302を「チャネル層」ともいう。しかしながら、本発明の一実施例はこれに限定されるものではなく、チャネル部130nは、第1酸化物半導体層1301にも形成することができる。
【0128】
アクティブ層130は、第1酸化物半導体層1301と第2酸化物半導体層1302とからなる構造であり、バイレイヤ(bi-layer)構造ともいう。
【0129】
図7Bの薄膜トランジスタ702は、
図7Aの薄膜トランジスタ701と比較して、アクティブ層130が、第2酸化物半導体層1302上の第3酸化物半導体層1303をさらに含む。
【0130】
図7Bを参照すると、アクティブ層130は、第1酸化物半導体層1301、第2酸化物半導体層1302、および第3酸化物半導体層1303を含む。しかしながら、本発明のまた他の一実施例は、これに限定されるものではなく、アクティブ層130は、他の半導体層をさらに含むことができる。3層の酸化物半導体層を配置する場合、製造過程で中間層である第2酸化物半導体層1302を保護することができる。例えば、製造工程において、下部の第1酸化物半導体層1301は、ガス(gas)などから中間層である第2酸化物半導体層1302を保護することができ、上部の第3酸化物半導体層1303は、エッチング液またはガスなどから中間層である第2酸化物半導体層1302を保護することができる。
【0131】
図8は、本発明のまた他の一実施例による薄膜トランジスタ800の断面図である。
図8に示すゲート絶縁膜140の構造は、例えば、
図1A、1B、1C、2A、2B、2C、2D、3A、3B、3C、4、5、6、7A、および7Bに示す薄膜トランジスタ100、200、300、400、500、600、701、702のゲート絶縁膜140に適用することができる。
【0132】
図8を参照すると、ゲート絶縁膜140をパターニングすることができる。ゲート絶縁膜140は、例えば、チャネル部130nを覆うようにパターニングすることができる。ゲート絶縁膜140をパターニングする過程で、アクティブ層130を選択的に導体化して、第1連結部130sおよび第2連結部130dを形成することができる。
【0133】
図9は、薄膜トランジスタのしきい値電圧グラフである。薄膜トランジスタに対するしきい値電圧グラフは、ゲート電圧(V
GS)に対するドレイン-ソース電流(I
DS)のグラフで表される。
【0134】
図9に「実施例1」で示すのは、
図1の薄膜トランジスタ100と同じ構造を有する薄膜トランジスタのしきい値電圧グラフである。
【0135】
図9において、「Short channel」と示しているのは、短い長さのチャネル部130nのみを有する薄膜トランジスタのしきい値電圧グラフである。
図9において、「Long channel」と示しているのは、長いチャネル部130nのみを有する薄膜トランジスタのしきい値電圧グラフである。
図9において、矢印で示した「sファクタの増加」は、sファクタが増加する方向を示す。また、
図9に矢印で示した「Ion増加」は、オン電流(On-Current、Ion)の増加方向を示す。
【0136】
図9を参照すると、短い長さのチャネル部130nを有する「Short channel」薄膜トランジスタは、優れた(ON)電流特性を有するが、薄膜トランジスタが完全にターンオン(turn-on)する前、薄膜トランジスタを流れる電流が急激に増加し、小さなsファクタを有するということを確認することができる。
【0137】
一方、長いチャネル部130nを有する「Long channel」薄膜トランジスタは、大きなsファクタを有するが、小さい(ON)電流値を有することが確認できる。
【0138】
本発明の一実施例による薄膜トランジスタ(実施例1)は、「Short channel」に該当する短い長さ(L1)の第1チャネル領域131nを有し、優れたオン(ON)電流特性を有し、「Long channel」に該当する長さが長い(L2)第2チャネル領域132nを有し、優れたsファクタ特性を有することができる。
【0139】
以下、上述した薄膜トランジスタ100、200、300、400、500、600、701、702、800を含む表示装置について詳細に説明する。表示装置は、例えば、LED、OLED、LCD、PDP、micro-LED、またはmini-LED表示装置を含むことができる。
【0140】
図10は、本発明のまた他の一実施例による表示装置900の概略図である。
【0141】
本発明のまた他の一実施例による表示装置900は、
図10に示すように、表示パネル310、ゲートドライバ320、データドライバ330、および制御部340を含む。
【0142】
表示パネル310にゲートライン(GL)およびデータライン(DL)が配置され、ゲートライン(GL)とデータライン(DL)の交差領域に、画素(P)が配置される。画素(P)の駆動により映像が表示される
【0143】
制御部340は、ゲートドライバ320とデータドライバ330を制御する。
【0144】
制御部340は、外部システム(未図示)から供給される信号を用いて、ゲートドライバ320を制御するためのゲート制御信号(GCS)およびデータドライバ330を制御するためのデータ制御信号(DCS)を出力する。また、制御部340は、外部システムから入力する入力映像データをサンプリングした後、それを再整列して、再整列したデジタル映像データ(RGB)をデータドライバ330に供給する。
【0145】
ゲート制御信号(GCS)は、ゲートスタートパルス(GSP)、ゲートシフトクロック(GSC)、ゲート出力イネーブル信号(GOE)、スタート信号(Vst)、およびゲートクロック(GCLK)などを含む。また、ゲート制御信号(GCS)には、シフトレジスタを制御するための制御信号を含むことができる。
【0146】
データ制御信号(DCS)は、ソーススタートパルス(SSP)、ソースシフトクロック信号(SSC)、ソース出力イネーブル信号(SOE)、極性制御信号(POL)などを含む。
【0147】
データドライバ330は、表示パネル310のデータライン(DL)に、データ電圧を供給する。詳細には、データドライバ330は、制御部340から入力した映像データ(RGB)をアナログデータ電圧に変換し、データ電圧をデータライン(DL)に供給する。
【0148】
ゲートドライバ320は、シフトレジスタ350を含むことができる。
【0149】
シフトレジスタ350は、制御部340から伝送されたスタート信号およびゲートクロック等を用いて、1フレームの間、ゲートライン(GL)にゲートパルスを順次に供給する。ここで、1フレームとは、表示パネル310を介して、1つのイメージが出力される期間をいう。ゲートパルスは、画素(P)に配置されたスイッチング素子(薄膜トランジスタ)をターンオンさせることができるターンオン電圧を有している。
【0150】
また、シフトレジスタ350は、1フレームのうち、ゲートパルスが供給されない残りの期間には、ゲートライン(GL)に、スイッチング素子をターンオフさせることができるゲートオフ信号を供給する。以下、ゲートパルスとゲートオフ信号を総称して、スキャン信号(SSまたはScan)という。
【0151】
本発明の一実施例によれば、ゲートドライバ320を基板110上に実装することができる。このように、ゲートドライバ320が基板110上に直接に実装されている構造をゲートインパネル(Gate In Panel:GIP)構造という。
【0152】
【0153】
図11の回路図は、表示素子710として有機発光ダイオード(OLED)を含む表示装置900の画素(P)に対する等価回路図である。
【0154】
画素(P)は、表示素子710、および表示素子710を駆動する画素駆動部(PDC)を含む。
【0155】
図11の画素駆動部(PDC)は、スイッチングトランジスタである第1薄膜トランジスタ(TR1)および駆動トランジスタである第2薄膜トランジスタ(TR2)を含む。例えば、第2薄膜トランジスタ(TR2)として、上記実施例で説明した薄膜トランジスタ100、200、300、400、500、600、701、702、800の中の1つを用いることができる。
【0156】
第1薄膜トランジスタ(TR1)は、ゲートライン(GL)およびデータライン(DL)に連結していて、ゲートライン(GL)を介して供給されるスキャン信号(SS)によって、ターンオン又はターンオフする。
【0157】
データライン(DL)は、画素駆動部(PDC)にデータ電圧(Vdata)を提供し、第1薄膜トランジスタ(TR1)は、データ電圧(Vdata)の印加を制御する。
【0158】
駆動電源ライン(PL)は、表示素子710に駆動電圧(Vdd)を提供し、第2薄膜トランジスタ(TR2)は、駆動電圧(Vdd)を制御する。駆動電圧(Vdd)は、表示素子710である有機発光ダイオード(OLED)を駆動するための画素駆動電圧である。
【0159】
ゲートドライバ320からゲートライン(GL)を介して印加されたスキャン信号(SS)によって、第1薄膜トランジスタ(TR1)がターンオンされると、データライン(DL)を介して供給されたデータ電圧(Vdata)が、表示素子710に連結した第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)に供給される。データ電圧(Vdata)は、第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)とソース電極(S2)の間に形成された第1キャパシタ(C1)に充電される。第1キャパシタ(C1)は、ストレージキャパシタ(Cst)である。
【0160】
データ電圧(Vdata)によって、第2薄膜トランジスタ(TR2)を介して、表示素子710である有機発光ダイオード(OLED)に供給される電流の量が制御され、これにより、表示素子710から出力される光の階調を制御することができる。
【0161】
図12および
図13を参照すると、第1薄膜トランジスタ(TR1)および第2薄膜トランジスタ(TR2)が基板110上に配置される。
【0162】
基板110は、ガラスまたはプラスチックからなり得る。基板110として、フレキシブル特性を有するプラスチック、例えばポリイミド(PI)を使用することができる。
【0163】
基板110上に下部バッファ層220が配置され、下部バッファ層220上に光遮断層111が配置される。
【0164】
光遮断層111上にバッファ層120が配置される。バッファ層120は、絶縁性物質からなり、外部から流入する水分や酸素などからアクティブ層(A1、A2)を保護する。
【0165】
バッファ層120上に、第1薄膜トランジスタ(TR1)のアクティブ層(A1)および第2薄膜トランジスタ(TR2)のアクティブ層(A2)が配置される。
【0166】
アクティブ層(A1、A2)は、例えば、アモルファスシリコン半導体物質、多結晶シリコン半導体物質、および酸化物半導体物質の中の少なくとも一つを含むことができる。アクティブ層(A1、A2)は、例えば、酸化物半導体物質からなる酸化物半導体層からなり得る。
【0167】
第1薄膜トランジスタ(TR1)において、アクティブ層(A1)は、チャネル部、第1連結部および第2連結部を含むことができる。アクティブ層(A1)のチャネル部は、ゲート電極(G1)と重畳する。アクティブ層(A1)の第1連結部を第1ソース電極(S1)とし、第2連結部を第1ドレイン電極(D1)とすることができる。
【0168】
第2薄膜トランジスタ(TR2)において、アクティブ層(A2)は、チャネル部、第1連結部および第2連結部を含むことができる。アクティブ層(A2)のチャネル部は、ゲート電極(G2)と重畳する。アクティブ層(A2)の第1連結部を第2ソース電極(S2)とし、第2連結部を第2ドレイン電極(D2)とすることができる。
【0169】
図12および
図13を参照すると、第1薄膜トランジスタ(TR1)のアクティブ層(A1)の中の一部が導体化されて、第1キャパシタ(C1)の第1キャパシタ電極(C11)となり得る。
【0170】
アクティブ層(A1、A2)上に、ゲート絶縁膜140が配置される。ゲート絶縁膜140は、アクティブ層(A1、A2)の上面全体を覆うこともでき、アクティブ層(A1、A2)の一部のみを覆うこともできる。
【0171】
ゲート絶縁膜140上に、第1薄膜トランジスタ(TR1)のゲート電極(G1)および第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)が配置される。
【0172】
図12を参照すると、第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)は、段階的に変化する幅を有することができる。詳細には、ゲート電極(G2)は、第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nの境界で段階的に変化する幅(w1、w2)を有することができる。その結果、ゲート電極(G2)によって異なるチャネル長を有する第1チャネル領域131nと第2チャネル領域132nを形成することができる。
【0173】
ゲート電極(G1、G2)上に、層間絶縁膜180が配置される。
【0174】
層間絶縁膜180上に、データライン(DL)と駆動電源ライン(PL)が配置される。
【0175】
データライン(DL)は、第1コンタクトホール(H1)を介して、第1薄膜トランジスタ(TR1)のアクティブ層(A1)に形成された第1ソース電極(S1)と接触する。本発明のまた他の一実施例によれば、第1薄膜トランジスタ(TR1)のアクティブ層(A1)と重畳するデータライン(DL)の一部を、第1ソース電極(S1)とすることもできる。
【0176】
駆動電源ライン(PL)は、第5コンタクトホール(H5)を介して、第2薄膜トランジスタ(TR2)のアクティブ層(A2)に形成された第2ドレイン電極(D2)と接触する。本発明のまた他の一実施例によれば、第2薄膜トランジスタ(TR2)のアクティブ層(A2)と重畳する駆動電源ライン(PL)の一部を、第2ドレイン電極(D2)とすることもできる。
【0177】
図12および
図13を参照すると、層間絶縁膜180上に第1キャパシタ(C1)の第2キャパシタ電極(C12)、第1ブリッジ(BR1)および第2ブリッジ(BR2)が配置される。
【0178】
第2キャパシタ電極(C12)が、第1キャパシタ電極(C11)と重畳し、第1キャパシタ(C1)が形成される。
【0179】
第1ブリッジ(BR1)は、第2キャパシタ電極(C12)と一体に形成することができる。第1ブリッジ(BR1)は、第2コンタクトホール(H2)を介して、光遮断層111に連結し、第3コンタクトホール(H3)を介して、第2ソース電極(S2)に連結する。その結果、光遮断層111を第2薄膜トランジスタ(TR2)の第2ソース電極(S2)に連結することができる。
【0180】
第2ブリッジ(BR2)は、第4コンタクトホール(H4)を介して、第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)に連結し、第7コンタクトホール(H7)を介して、第1キャパシタ(C1)の第1キャパシタ電極(C11)と連結する。
【0181】
また、
図12を参照すると、層間絶縁膜180上に第3ブリッジ(BR3)が配置される。第3ブリッジ(BR3)は、第8コンタクトホール(H8)を介して、ゲートライン(GL)と連結することでゲート電極(G1)に連結し、第9コンタクトホール(H9)を介して、第1薄膜トランジスタ(TR1)の光遮断層111ト連結する。
図12ニ、光遮断層111がゲート電極(G1)と連結する構成が開示されているが、本発明の一実施例がこれに限定されるものではなく、光遮断層111は、第1ソース電極(S1)、または、第1ドレイン電極(D1)とも連結することができる。
【0182】
データライン(DL)、駆動電源ライン(PL)、第2キャパシタ電極(C12)、第1ブリッジ(BR1)、第2ブリッジ(BR2)、および第3ブリッジ(BR3)上に平坦化層175が配置される。平坦化層175は、第1薄膜トランジスタ(TR1)および第2薄膜トランジスタ(TR2)の上部を平坦化し、第1薄膜トランジスタ(TR1)および第2薄膜トランジスタ(TR2)を保護する。
【0183】
平坦化層175上に表示素子710の第1電極711が配置される。表示素子710の第1電極711は、平坦化層175に形成された第6コンタクトホール(H6)を介して、第1ブリッジ(BR1)と一体に形成された第2キャパシタ電極(C12)と接触する。その結果、第1電極711が、第2薄膜トランジスタ(TR2)の第2ソース電極(S2)に連結することができる。
【0184】
第1電極711の端にバンク層750が配置される。バンク層750は、表示素子710の発光領域を定義する。
【0185】
第1電極711上に有機発光層712が配置され、有機発光層712上に第2電極713が配置される。これにより、表示素子710が完成する。
図13に示す表示素子710は、有機発光ダイオード(OLED)である。したがって、本発明の一実施例による表示装置900は、有機発光表示装置である。
【0186】
図14は、本発明のまた他の一実施例による表示装置1000のいずれか一つの画素(P)の回路図である。
図14は、有機発光表示装置の画素(P)に対する等価回路図である。
【0187】
図14に示す表示装置1000の画素(P)は、表示素子710である有機発光ダイオード(OLED)、および表示素子710を駆動する画素駆動部(PDC)を含む。表示素子710は、画素駆動部(PDC)と連結する。
【0188】
画素(P)には、画素駆動部(PDC)に信号を供給する信号ライン(DL、GL、PL、RL、SCL)が配置されている。
【0189】
データライン(DL)にデータ電圧(Vdata)が供給され、ゲートライン(GL)にスキャン信号(SS)が供給され、駆動電源ライン(PL)に画素を駆動する駆動電圧(Vdd)が供給され、リファレンスライン(RL)にはリファレンス電圧(Vref)が供給され、センシング制御ライン(SCL)にセンシング制御信号(SCS)が供給される。
【0190】
図14を参照すると、n番目の画素(P)のゲートラインを「GL
n」とすると、隣り合うn-1番目の画素(P)のゲートラインは「GL
n-1」であり、n-1番目の画素(P)のゲートライン「GL
n-1」は、n番目の画素(P)のセンシング制御ライン(SCL)の役割をする。
【0191】
画素駆動部(PDC)は、例えば、ゲートライン(GL)およびデータライン(DL)に連結した第1薄膜トランジスタ(TR1)(スイッチングトランジスタ)、第1薄膜トランジスタ(TR1)を介して伝送されたデータ電圧(Vdata)によって表示素子710に出力される電流の大きさを制御する第2薄膜トランジスタ(TR2)(駆動トランジスタ)、第2薄膜トランジスタ(TR2)の特性を感知するための第3薄膜トランジスタ(TR3)(リファレンストランジスタ)を含む。
【0192】
第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)と表示素子710の間に、第1キャパシタ(C1)が位置する。第1キャパシタ(C1)をストレージキャパシタ(Cst)ともいう。
【0193】
第1薄膜トランジスタ(TR1)は、ゲートライン(GL)に供給されるスキャン信号(SS)によってターンオンされ、データライン(DL)に供給されるデータ電圧(Vdata)を、第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)に伝送する。
【0194】
第3薄膜トランジスタ(TR3)は、第2薄膜トランジスタ(TR2)と表示素子710の間の第1ノード(n1)およびリファレンスライン(RL)に連結し、センシング制御信号(SCS)によってターンオン又はターンオフされ、センシング期間に駆動トランジスタである第2薄膜トランジスタ(TR2)の特性を感知する。
【0195】
第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)に連結した第2ノード(n2)は、第1薄膜トランジスタ(TR1)に連結する。第2ノード(n2)と第1ノード(n1)の間に第1キャパシタ(C1)が形成される。
【0196】
第1薄膜トランジスタ(TR1)がターンオンすると、データライン(DL)を介して供給されたデータ電圧(Vdata)が、第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)に供給される。データ電圧(Vdata)は、第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)とソース電極(S2)の間に形成された第1キャパシタ(C1)に充電される。
【0197】
第2薄膜トランジスタ(TR2)がターンオンすると、画素を駆動する駆動電圧(Vdd)により、電流が第2薄膜トランジスタ(TR2)を介して表示素子710に供給され、表示素子710から光が出力される。
【0198】
図15は、本発明のまた他の一実施例による表示装置1100のいずれか一つの画素(P)に対する回路図である。
【0199】
図15に示す表示装置1100の画素(P)は、表示素子710である有機発光ダイオード(OLED)、および表示素子710を駆動する画素駆動部(PDC)を含む。表示素子710は、画素駆動部(PDC)と連結する。
【0200】
画素駆動部(PDC)は、薄膜トランジスタ(TR1、TR2、TR3、TR4)を含む。
【0201】
画素(P)には、画素駆動部(PDC)に駆動信号を供給する信号ライン(DL、EL、GL、PL、SCL、RL)が配置されている。
【0202】
図15の画素(P)は、
図14の画素(P)と比較して、発光制御ライン(EL)をさらに含む。発光制御ライン(EL)に発光制御信号(EM)が供給される。
【0203】
また、
図15の画素駆動部(PDC)は、
図14の画素駆動部(PDC)と比較して、第2薄膜トランジスタ(TR2)の発光時点を制御するための発光制御トランジスタである第4薄膜トランジスタ(TR4)をさらに含む。
【0204】
図15を参照すると、n番目の画素(P)のゲートラインを「GL
n」とすると、隣り合うn-1番目の画素(P)のゲートラインは「GL
n-1」であり、n-1番目の画素(P)のゲートライン「GL
n-1」は、n番目の画素(P)のセンシング制御ライン(SCL)の役割をする。
【0205】
第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)と表示素子710の間に、第1キャパシタ(C1)が位置する。また、第4薄膜トランジスタ(TR4)の端子のうち、駆動電圧(Vdd)が供給される端子と、表示素子710の一電極との間に第2キャパシタ(C2)が位置する。
【0206】
第1薄膜トランジスタ(TR1)は、ゲートライン(GL)に供給されるスキャン信号(SS)によってターンオンされ、データライン(DL)に供給されるデータ電圧(Vdata)を第2薄膜トランジスタ(TR2)のゲート電極(G2)に伝送する。
【0207】
第3薄膜トランジスタ(TR3)は、リファレンスライン(RL)に連結し、センシング制御信号(SCS)によってターンオンまたはターンオフされ、センシング期間に駆動トランジスタである第2薄膜トランジスタ(TR2)の特性を感知する。
【0208】
第4薄膜トランジスタ(TR4)は、発光制御信号(EM)によって、駆動電圧(Vdd)を第2薄膜トランジスタ(TR2)に伝達するか、または駆動電圧(Vdd)を遮断する。第4薄膜トランジスタ(TR4)がターンオンされると、第2薄膜トランジスタ(TR2)に電流が供給され、表示素子710から光が出力される。
【0209】
本発明のまた他の一実施例による画素駆動部(PDC)は、以上で説明した構造以外の他の様々な構造で形成することができる。画素駆動部(PDC)は、例えば、5個以上の薄膜トランジスタを含むこともできる。
【0210】
以上説明した本発明は、上述した実施例および添付の図によって限定されるものではなく、本発明の技術的事項から逸脱しない範囲内で種々の置換、変形および変更が可能であることが本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとっては明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味、範囲、およびその等価概念から導出される全ての変更または変形された形態が、本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0211】
100、200、300、400、500、600、701、702 800:薄膜トランジスタ
900、1000、1100:表示装置
110:基板
111:光遮断層
120:バッファ層
130:アクティブ層
130n:チャネル部
130s:第1連結部
130d:第2連結部
140:ゲート絶縁膜
150:ゲート電極
710:表示素子
711:第1電極
712:有機発光層
713:第2電極