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特許7593989予測適応性の照明制御方法及び予測適応性の照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】予測適応性の照明制御方法及び予測適応性の照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/12 20200101AFI20241126BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20241126BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H05B47/12
H05B47/165
G08G1/01 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022501142
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 IB2020056305
(87)【国際公開番号】W WO2021005479
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】102019000011304
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】522010048
【氏名又は名称】レベルニグ スペルビジョーニ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】レベルニグ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ラジーニ,ダビデ
(72)【発明者】
【氏名】サモリ,ダビデ
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/210588(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/002144(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/185132(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0188102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
G08G 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測適応性の照明制御方法であって、
所定の領域(10、12)の制御可能な照明システムを提供するステップと、
音響認識人工知能(20)を提供するステップと、
音響検知動作から交通データを識別かつ区分するよう教示される、画像による人工知能の音響トレーニングステップを実施するステップであって、同じ現場の音響検知動作及び画像検知動作の間を同時に関連付け、それによってサンプルサウンドトラック(18)を作り出すことによって学習することを特徴とする、音響トレーニングを実施するステップと、
画像による前記音響トレーニングのステップ後に、
a)
a1)少なくとも前記サンプルサウンドトラック(18)と比較された音響検知動作に基づいて、その領域の過去の交通データ記録を作り出すこと、
a2)前記過去のデータ記録に基づいて、照明される領域の少なくとも照明設定制限を確定すること、
を含む、少なくとも1つの適応ステップを実施するステップと、
b)
b1)少なくとも前記サンプルサウンドトラック(18)と比較された音響検知動作に基づいて、局所的交通事象を予測すること、
b2)適応ステップによって確定された設定制限内で、予測交通事象に適応させるよう、その領域の照明システムを制御すること、
を含む、少なくとも1つの予測ステップを実施するステップと、
を特徴とする、予測適応性の照明制御方法。
【請求項2】
前記適応ステップにおいて前記設定制限を確定するステップは、照明技術等級区分を前記領域に割り当てることを含み、及び前記予測ステップにおいて前記照明システムを制御するステップは、前記割り当てられた等級区分に基づいて前記システムを制御する行動を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
画像による前記音響トレーニングステップは、全体が前記領域(10、12)よりも小さい、1つまたは複数の所定のサンプルゾーン(19)において、局所的な音響及び画像検知動作を関連付けることによって行われ、その一方で前記音響検知動作は、前記過去のデータ記録を作り出すステップにおいて、前記領域(10、12)で局所化されることができることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
画像による前記音響トレーニングステップ中に様々なサンプルゾーン(19)が存在することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
画像による前記音響トレーニングステップは、前記画像検知動作を処理し、表わされた対象物に基づいて、それらを識別かつ区分し、この区分を前記音響検知動作に移して、前記画像検知動作に対応したサンプルサウンドトラック(18)を作り出すステップを含むことを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記音響トレーニングステップは、
ビデオで撮影された場面に関する、フィルム(96)及びスペクトグラム(98)を、同時に検知するステップと、
視覚識別ソフトウェアによって、前記視覚識別、及びビデオの少なくとも一部の相対区分、を実施するステップと、
ビデオの一部をスペクトグラムの対応する部分に関連付け、この区分を移すことによって、サンプルサウンドトラック(18)と呼ばれるスペクトグラムの区分された部分を作り出すステップと、
を特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記過去の記録及び/または前記サンプルサウンドトラック(18)と比較された、1つまたは複数の音響検知動作に基づいて、交通事象を予測するステップと、前記予測に基づいて前記事象に関わる前記領域のゾーン、及び隣接したゾーンの前記照明を制御するステップと、を特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
画像による前記音響トレーニングステップは、音響データ及び画像データを関連付けることによって同じ現場の前記音響検知動作及び前記画像検知動作を同時に処理して、サンプルサウンドトラック(18)を得るステップを含むことを特徴とし、以下の情報すなわち、
対象物の通過におけるサンプル音響検知動作特性、
2つ以上の対象物の通過におけるサンプル音響検知動作特性、
対象物の所定の数におけるサンプル音響検知動作特性、
対象物の所定のタイプにおけるサンプル音響検知動作特性、
対象物の停止におけるサンプル音響検知動作特性、
所定の対象が追尾する所定の方向における、サンプル音響検知動作特性、
のうち少なくとも1つを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記過去のデータ記録を作り出すことは、前記音響検知動作のみに基づき、少なくとも以下の学習ステップすなわち、
車両または歩行者に属さない周囲雑音の音響信号をきれいにするステップと、
移動する対象物のタイプを判別するステップと、
移動する対象物の速度を判別するステップと、
移動する対象物の方向を判別するステップと、
移動する対象物の方向の変化を判別するステップと、
所与の時間間隔で、移動する対象物を数えるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
移動する対象物を数える行動は、信号をきれいにする行動、対象物のタイプを判別する行動、対象物の速度を判別する行動、対象物の方向を判別する行動、対象物の方向の変化を判別する行動、の中の複数を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記適応ステップにおいて、前記人工知能によって学習した少なくとも1つ交通特性に基づいて割り当てられた照明技術等級を用いて、対応したゾーンに分割することによって、照明される所定の領域をマッピングする動作と、
前記予測ステップにおいて、割り当てられた前記照明技術等級に基づいて、各ゾーンの当初の照明行動を補正する動作であって、前記補正は、例えば減衰、パワー、動作期間、動作スケジュール、動作期間の交代、移動事象の予想に対するオンまたは輝度の増加、ゾーン間の優先度、制御された停電のためのスイッチオフ優先度、交通の存在における要求及びリアルタイムの光フローの調節、のうち少なくとも1つを調整することを含む、補正する動作と、
を実施することを特徴とする、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
過去のデータ及び/または交通の予想を、少なくとも車両の特有の動作音響から少なくとも車両の移動を識別することによって判断し、前記特有の動作音響は、エンジンノイズ、タイヤの転がるノイズ、空気力学によるノイズ、ハイブリッド及び電気車両によって人工的に生成されたノイズ、からの音響、または音響の組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1~11のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
例えば500~4000Hzの周波数を分離するための周波数フィルタによって、特有の動作音響を識別することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
照明システムであって、
照明される領域(10、12)と、
前記領域に配分され、照明を変化させるよう制御可能な、複数の照明デバイス(15)と、
音響認識人工知能(20)であって、
a)前記照明される領域に配置され、各々がそれらを制御する1つまたは複数の照明デバイスに関連付けられ、各々は、関連付けられた前記照明デバイスのために、音響に基づいた交通データの局所的ニューラルネットワーク(21a)、及び前記局所的ニューラルネットワークと相互作用する音響検知手段(25)を備えて、局所的交通事象を予測し、所定の制限内において、その後の局所的照明命令を処理する、複数のインテリジェントデバイス(22)、
b)前記インテリジェントデバイス(22)から離され、それらの各々と通信して交通データを受信して処理し、前記照明デバイス(15)の照明設定制限について関連の適応的変更を確定する、少なくとも1つの汎用ニューラルネットワーク(21b)であって、前記人工知能は、前記設定制限の、前記インテリジェントデバイスへの送信手段を備える、少なくとも1つの汎用ニューラルネットワーク(21b)、
を備えた、音響認識人工知能(20)と、
を備え、
前記照明システムは、
画像による、前記人工知能の音響トレーニング手段(32)であって、同じ現場における画像検知手段(30)及び音響検知手段(25)を備え、ニューラルトレーニングネットワーク(21c)はそれらと協働し、画像検知動作及び音響検知動作を同時に関連付けて、サンプルサウンドトラック(18)を作り出す、人工知能の音響トレーニング手段(32)をさらに備える、照明システム。
【請求項15】
前記画像検知手段(30)は、前記システムから取り外し可能であることを特徴とする、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記画像検知手段(30)は、全体が前記領域(10、12)よりも小さい1つまたは複数のサンプルゾーン(19)において、局所的方法で配置されることを特徴とする、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項17】
照明設定制限の前記適応的変更は、
領域、またはそのゾーンに事前に割り当てられた、少なくとも1つの照明技術等級を変更するステップ、
から少なくとも1つを含み、
前記局所的照明命令は、1つまたは複数の音響検知動作と、
a)トレーニングステップ後に得られた音響検知動作の過去の記録、
b)前記トレーニングステップ中に得られた、少なくとも1つのサンプルサウンドトラック(18)、
からの少なくとも1つと、の間の比較による処理手段によって予測された、一時的交通事象の予測に基づいて、前記領域のゾーンの前記照明を一時的に変更するステップ、
を含むことを特徴とする、請求項14~16のうちいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測適応性の照明制御方法、及び関連の照明システムに関する。本発明は、公共照明、特に道路照明を詳細に参照して成されたが、例えば企業、工業、ショッピングセンタ、家庭などの民間照明への適用性も排除するものではない。全体的な目標は、エネルギー効率である。
【背景技術】
【0002】
特許文献で、照明のエネルギー効率における最も顕著な文献の1つは、欧州特許第2719258号明細書である。
【0003】
この文献は、現在または予想された気象データを介して、公共照明のパラメータを変更することを提案している。
【0004】
このシステムは興味深いが、照明システムの現在の方法及び設計法令を考慮に入れておらず、実際のエネルギー節約を本当に補助するようには見受けられない。照明システムは、同様に領域の使用強度に基づくべきである。
【0005】
現在の照明技術設計規準は、照明される領域の形状に基づいた第1の照明サイズ決めを提供し、それによって、道路の長さまたは幅などの計測パラメータが考慮される。
【0006】
例えば十字路、曲がり角などの存在など、リスク変数に基づいて変化させることによって、サイズ決めは進められる。
【0007】
最後に、実際の交通変数を考慮して設計することが望ましい。しかし、交通変数に関するデータは、なかなか入手できない。
【0008】
事実上、実際に必要とされるよりも大きく照明する傾向にある、警戒比率が適用される。
【0009】
これに加えて、多くの国において、道路照明技術等級区分法令が存在し、そのシステムは、付属照明技術等級に基づいて照らすという事実がある。これらの等級は、警戒的な手法で割り当てられる。そのため、必要より大きい照明を提供することが多い。一般的に、等級を下げるルールが、実際の交通条件に基づいて提供されるが、そのデータを得ることは困難であり、しばしば得られないので、現在までの道路におけるエネルギーの浪費は、許容できないレベルを維持している。
【0010】
当技術分野における別の文献に、米国特許出願公開第2019/0008019号明細書があり、そこでは、画像認識及び画像処理に基づく、公共照明の強度を制御するためのシステムを記載している。米国特許出願公開第2019/0008019号明細書は、照明ポイント間の最小の通信システムを目的とする。詳細には、運動が視野において認識されたとき、または隣接した街灯の強度変化が認識されたときに、照明ポイントは光強度を変化させる。このように街灯は、複雑なシステムを必要とせずに、隣接した街灯と通信する。
【0011】
このシステムは、必要のないときに低いレベルの照明を保つことを可能にするが、交通データを有することができないために、プロジェクトに当初割り当てられた照明技術等級を下げることはできない。
【0012】
上記のシステムは、他の欠点も有する。特にカメラはコストがかかり、検知区域が制限され、そのためカメラの一部しか設置されず、例えば季節によって枝葉を変える樹木、または道路標識などで視野を遮られた場合、カメラは欺かれる場合がある。さらに、説明した視覚システムは、「運動」を検知するためにのみ効果的であるが、同様に照明を必要とする、人の間における会話のために停止することを効果的に検知することはできない。
【0013】
米国特許出願公開第2019/0008019号明細書は、照明が視覚検知ではなく音響検知を介して制御される、代替のシステムも提案している。これに関して、街灯にはマイクロフォンが設けられ、システムは制御及び通信ユニットを有し、どの街灯が音源に最も近いかを確定し、その強度を増加させる。したがって、このソリューションは前述のものよりも複雑であるが、やはり交通データを提供せず、そのため予測の可能性が欠如し、プロジェクトに当初割り当てられた照明技術等級を下げることができない。
【0014】
最後に、米国特許出願公開第2019/0008019号明細書は、視覚と音響ソリューションとの間のハイブリッドを提案しており、そこでは街灯が当初オフにされ、音響検知のみがそれらをオンにするために使用され、視覚システムを動作させる。次に、他の隣接した光源が既にその現場に十分な光を提供している場合、照明ユニットを調整またはオフにするよう判断される。
【0015】
より複雑なシステム、詳細には適応性と予測性の両方が、米国特許出願公開第2016/0050397号明細書に記載されている。
【0016】
このシステムは、照明技術の等級区分を解除することを目的とするため適応性であり、かつ事象の瞬時の予測に基づいて光の流れを調整するため予測性である。これらの目的を実現するために、米国特許出願公開第2016/0050397号明細書のシステムは、視覚認識人工知能、すなわち画像に基づいて交通データを学習して等級区分する教示を利用する。
【0017】
全体的に、このシステムは、必要な主な構成要素がカメラであるため、非常にコストがかかる。さらに、その瞬時の予測性能、及び画像のみに基づく反応性は限定される。なぜなら、カメラが適切な方法で設置される一方で、行動フィールドの視覚は、障害物または車両の重複をもたらす方向性のために、最適とはならない場合がある。さらに公知のように、画像は光の投影であり、それは対象物に当たって跳ね返り、直線的に移動するだけである。そのため、交差点、または信号もしくは樹木の背後からの画像を、1台のカメラのみで認識することは不可能であり、したがって例えば車両の方向変更を予測することは不可能である。この欠点を取り除くため、カメラの台数を増やすべきであるが、これは明らかにコストを増加させる。
【0018】
米国特許出願公開第2019/0008019号明細書で記載されたシステムを用いたハイブリッド化は、音響のみが現場をオンにするために使用され、現場における視認を可能にする米国特許出願公開第2016/0050397号明細書のように、全て画像に基づく学習を伴う人工知能をもたらすだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】米国特許出願公開第2019/0008019号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0050397号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、公知の技術における欠点の全て、またはいくつかを克服することである。
【0021】
詳細には、照明の分野でエネルギー節約を増進させることが、本発明の全体的な目標である。
【0022】
本発明の別の全体的な目標は、予測適応性、すなわち交通データを自主学習でき、それらを:
-プロジェクトに割り当てられた照明技術等級など、照明設定制限を下げるための、適応性の目的と、
-局所的事象を予測し、かつその照明を設定制限に適応させるための、予測性の目的と、
のために使用できる、プロセス及び照明システムを提供することであり、全ては、公知の予測適応性システムに取って代わるものである。
【0023】
本発明の、さらに別の目標は、瞬時の予測及び反応性を、視覚人工知能を用いた公知のシステムに対して、向上させることである。
【0024】
本発明の、さらに別の目標は、視覚人工知能を用いて、予測適応性システムのコストを減少させることである。
【0025】
本発明の、さらに別の目標は、車両が方向変更するか、または停止する場合の予想において、照明の適応を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
第1の全体的態様によると、本発明は予想適応性の照明制御方法に関し、以下のステップを特徴とする:
-所定の領域の制御可能な照明システムを提供するステップ;
-音響認識人工知能を提供するステップ;
-画像による人工知能の音響トレーニングステップを実施するステップであって、人工知能は、音響検知動作から交通データを識別かつ区分するよう教示され、同じ現場、好ましくは上記の領域の少なくとも1つのゾーンにおいて、音響検知動作及び画像検知動作の間を同時に関連付け、それによりサンプルサウンドトラック(18)を作り出すことによって学習することを特徴とする、音響とレーニングを実施するステップ;
-画像による音響トレーニングのステップ後における:
a)
a1)サンプルサウンドトラック(18)と比較された音響検知動作に基づいて、その領域の過去の交通データ記録を作り出すこと;
a2)過去のデータ記録に基づいて、照明される領域の少なくとも照明設定制限を確定すること;
を含む、少なくとも1つの適応ステップを実行するステップ:
b)
b1)少なくともサンプルサウンドトラック(18)と比較された音響検知動作に少なくとも基づいて、局所的交通事象を予測すること;
b2)適応ステップによって確定された設定制限内で、予測交通事象に適応させるよう、その領域の照明システムを制御すること;
を含む、少なくとも1つの予測ステップを実行するステップ。
【0027】
有利には、視覚認識人工知能に対して、トレーニング後に、本発明の音響認識人工知能は、より長い距離の視野または視覚的に遮られた領域の、検知動作を可能にする。さらにこの方法は、より大きい予測性を有する。なぜならこの方法は、同じ画像に関連付けられた様々な状況を区別することができ、それによって同じ画像の異なるサンプルサウンドトラックを作り出し、それが、直進の継続または方向変更などの音響の多様性から区別されるからである。この方法は、視覚人工知能に対して増加するデータの収集も可能にする。なぜならこの方法は、トレーニング後の音響検知動作の比較、及び関連付けによる処理を用いて進めることができ、そこから、画像検知を逃れる場合がある状況の学習を獲得するからである。
【0028】
有利には、音響検知人工知能を利用して、車両交通データを、騒音公害レベル及び/または道路基板の損耗に関連付けることができる。
【0029】
さらに別の利点は、非限定例として、自動車事故などの道路に関連した異常事象を、自動で信号を送るのを可能にすることである。
【0030】
好ましくは、視覚及び音響検知ゾーンは、上記の領域よりも小さい。視覚及び音響検知ゾーンは、変更すること、例えば上記の領域内で動かすことができる。
【0031】
好ましくは、適応ステップにおいて設定制限を確定するステップは、照明技術等級区分を上記の領域に割り当てることを含み、及び予測ステップにおいて照明システムを制御するステップは、この割り当てられた等級区分に基づいて、上記のシステムを制御する行動を含む。
【0032】
特定の好ましい実施形態によると、音響トレーニングステップは、1つまたは複数の所定のサンプルゾーン(19)における、局所化された音響及び画像検知動作を、同時に関連付けることによって行われる。これらサンプルゾーン(19)の全ては、好ましくは領域よりも小さく、その一方で音響検知動作を、過去のデータ記録を作り出すステップにおいて、全領域で局所化することができる。
【0033】
有利には、システムの全体コストは特に低い。なぜならシステムは、少ない数の、例えばカメラなどの画像検知手段を利用し、かつ多くの数の、例えばマイクロフォンなどの音響検知手段を利用するからである。後者のコストは、前者のコストよりも大幅に低い。
【0034】
「ゾーンの全体は上記の領域よりも小さい」は、画像検知手段の視野全体が、照明される全体の領域より小さい領域をカバーすることを意味するか、または追加代替として、音響検知手段よりも少ない画像検知手段が存在することを意味する。
【0035】
好ましくは、画像による音響トレーニングステップ中に、様々なサンプルゾーンが存在する。このように、必要な画像検知手段の数はさらに減少され、同じ手段を異なるゾーンに利用して、事例のサンプル記録を増加させることが可能である。
【0036】
本発明の特定の好ましい実施形態によると、画像による音響トレーニングステップは、画像検知動作を処理して、表わされた対象物に基づいて、それらを識別かつ区分し、この区分を音響検知動作に移して、上記の画像検知動作に対応した、上記のサウンドトラックを作り出すステップを含む。
【0037】
例えば一般的に、音響トレーニングステップは、以下を含む:
-ビデオで撮影された場面に関する、フィルム(96)及びスペクトグラム(98)を、同時に検知するステップ;
-視覚識別ソフトウェアによって、視覚識別及びビデオの少なくとも一部の相対区分を実施するステップ;
-ビデオの一部をスペクトグラムの対応する部分に関連付け、この分類を移すことによって、サンプルサウンドトラック(18)と呼ばれるスペクトグラムの区分された部分を作り出すステップ。
【0038】
例えばこの区分は、車両タイプ及び/または車両が行なっている行動タイプを確認する。
【0039】
好ましくは、関連付けは、無音閾値と呼ばれる所定の音響圧の閾値を上回るスペクトグラムの部分のために成される。
【0040】
特定の好ましい実施形態によると、方法は、過去の記録及び/またはサンプルサウンドトラックと比較された1つまたは複数の音響検知動作に基づいて、(例えば直進の継続または方向変更などの通行経路の)交通事象を予測するステップと、この事象に関わる領域のゾーン、及び/またはこの予測に基づいて(例えば予想される通行経路の)隣接したゾーンの照明を制御するステップと、を特徴とする。
【0041】
好ましくは、画像による音響トレーニングステップは、音響データ及び画像データを関連付けることによって検知動作を処理して、サンプルサウンドトラックを得るステップを含み、以下の情報のうち少なくとも1つを特徴とする:
-対象物の通過のサンプル音響検知動作特性(対象物とは、一般に車両または歩行者などの生物を意味する);
-2つ以上の対象物の通過におけるサンプル音響検知動作特性;
-(いくつの対象物が、検知された音響に属するかを学習することによって確定された)対象物の所定の数における、サンプル音響検知動作特性;
-(例えば自動車、トラック、モーターバイク、または歩行者など)対象物の所定のタイプにおける、サンプル音響検知動作特性;
-(例えば歩行者が会話をするか、または自動車が信号機で停止するかなど)対象物の停止における、サンプル音響検知動作特性;
-(例えば直進の継続または方向変更など)所定の対象が追尾する所定の方向における、サンプル音響検知動作特性。
【0042】
特定の好ましい実施形態によると、過去のデータ記録を作り出すことは、音響検知動作のみに基づき、少なくとも以下の自主学習ステップを含む:
-車両または歩行者に属さない周囲雑音の音響信号をきれいにするステップ;
-移動する対象物のタイプを判別するステップ;
-移動する対象物の速度を判別するステップ;
-移動する対象物の方向を判別するステップ;
-移動する対象物の方向の変化を判別するステップ;
-所与の時間間隔で、移動する対象物を数えるステップ。
【0043】
好ましくは、移動する対象物を数える行動は、信号をきれいにする行動、対象物のタイプを判別する行動、対象物の速度を判別する行動、対象物の方向を判別する行動、対象物の方向の変化を判別する行動、の中の複数を含む。
【0044】
特定の好ましい実施形態によると、方法は、前述の請求のうち任意の1つを含み、以下の動作を実施することを特徴とする:
-適応ステップにおいて、人工知能によって学習された少なくとも1つ交通特性に基づいて割り当てられた照明技術等級を用いて、対応したゾーンに分割することによって、照明される所定の領域をマッピングする動作;
-予測ステップにおいて、割り当てられた照明技術等級に基づいて、各ゾーンの当初の照明行動を補正する動作であって、この補正は、例えば減衰、パワー、動作期間、動作スケジュール、交互の動作期間、移動事象の予測に対してオンまたは輝度を増加させること、ゾーン間の優先度、制御された停電のためのスイッチオフ優先度、交通の存在における要求及びリアルタイムの光フローの調節、のうち少なくとも1つを調整することを含む、補正する動作。
【0045】
好ましくは、方法は、過去のデータ及び/または交通の予想を、少なくとも特有の動作音響から車両の移動を少なくとも識別することによって、判断を提供する。特有の動作音響は、エンジンノイズ、タイヤの転がるノイズ、空気力学によるノイズ、ハイブリッド及び電気車両によって人工的に生成されたノイズ、からの音響、または音響の組み合わせを含む。
【0046】
ここで、例えば500~4000Hzの周波数を分離するための周波数フィルタによって、特有の動作音響を識別することができる。
【0047】
第2の全体的態様によると、本発明は、適応予測性の照明システムに関し、以下を備える:
-照明される領域(10、12);
-この領域に配分され、照明を変化させるよう制御可能な、複数の照明デバイス(15);
-以下のa)及びb)を備える音響認識人工知能(20):
a)照明される領域に配置され、各々がそれらを制御する1つまたはいくつかの照明デバイスに関連付けられた、複数のインテリジェントデバイス(22)であって、各インテリジェントデバイス(22)は、所定の制限内において、関連付けられた照明デバイスのために、音響に基づいた交通データの局所的ニューラル学習ネットワーク(21a)と、局所的ニューラルネットワークと相互作用する音響検知手段(25)と、を備えて、局所的交通事象を予測し、その後の局所的照明命令を処理する、複数のインテリジェントデバイス(22);
b)インテリジェントデバイス(22)から離され、それらの各々と通信して交通データを受信して処理し、照明手段(15)の照明設定制限について関連の適応的変更を確定する、少なくとも1つの汎用ニューラルネットワーク(21b)であって、人工知能は、この設定制限の、インテリジェントデバイスへの送信手段を備える(例えばこの汎用ニューラルネットワークは、照明技術等級の適応を判断する)、少なくとも1つの全体ニューラルネットワーク(21b);
照明システムは、さらに以下を備える:
-例えばシステムから取り外し可能なキットにおける、好ましくは一時的な画像による、人工知能の音響トレーニング手段(32)であって、同じ現場における画像検知手段(30)及び音響検知手段(25)、ならびにそれらと協働するニューラルトレーニングネットワーク(21c)を備え、画像及び音響検知動作を同時に関連付けて、サンプルサウンドトラック(18)を作り出す、人工知能の音響トレーニング手段(32)。
【0048】
好ましくは、画像検知手段は、システムから取り外すことができる。
【0049】
好ましくは、画像検知手段は、その全体が上記の領域よりも小さい、1つまたは複数のサンプルゾーンにおいて、局所的方法で配置される。例えば画像検知手段は、上記の領域の様々なゾーンで動かすことができる。
【0050】
特定の好ましい実施形態によると、照明設定制限における上記の適応的変更は、以下のうち少なくとも1つを含む;
-領域、またはそのゾーンに事前に割り当てられた、少なくとも1つの照明技術等級を変更すること;
及び上記の局所的照明命令は:
-1つまたは複数の検知動作と、以下のa)、b)のうち少なくとも1つとの比較による処理手段によって予測された、一時的な交通事象の予測に基づいて、この領域のゾーンの照明を一時的に変更することを含む:
a)トレーニングステップ後に得られた音響検知動作の過去の記録、
b)トレーニングステップ中に得られた、少なくとも1つのサンプルサウンドトラック(18)。
【0051】
適応性機能または予測的機能を得るための特性のみが存在する実施形態も、排除されない。
【0052】
本発明のさらなる特性及び利点は、添付の図面を参照し、表示及び非限定例によって提供された、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明による予測適応性の照明システムを示す図である。
図2】軽量車両が通過したときに発した音響の、周波数構成のヒストグラムを示す図である。
図3】重量車両が通過したときに発した音響の、周波数構成のヒストグラムを示す図である。
図4】スペクトグラムと呼ばれるサウンドトラックと、視覚トラックとの関連、詳細には視覚識別ソフトウェアに基づいて区分されたビデオの、連続フレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明の目的のため、用語「交通」を包括的な単語として慣例的に考慮し、それは動物などの生物または車両85などの無生物などの、連続した照明を必要とする任意の対象物の、通過または停止を含む。したがって、「交通」は、例えば道路など屋外の移動、及び家庭環境など屋内の移動の両方が意図される。したがって本発明のシステムが関わる、照明される領域は、公共及び民間の両方、屋外及び屋内の両方である。
【0055】
図1を参照すると、本発明の照明システムの使用における例及び/または事例が示され、全体が参照番号(1)で示される。
【0056】
システム(1)は、監視領域(5)を備え、そこでは例えば様々な道路(10)及び(12)が存在する。
【0057】
システム(1)は、例えば街灯など、領域内に一般的に道路に沿って配分された複数の照明デバイス(15)を備え、各々は制御手段(16)によって制御され、例えば調整可能な照明設定を変化させる。各制御手段(16)には、例えばワイヤレスネットワークLPWAN、WIFI、4G、5G、または同等のケーブルネットワークなど、任意のデータネットワークの接続状態が設けられる場合がある。
【0058】
システムは、交通データを学習するため、ならびに関連の照明及び/または照明技術等級区分設定を判断するための、音響認識人工知能(20)も備える。
【0059】
人工知能は、監視領域(5)をカバーするよう配置された複数のインテリジェントデバイス(22)を備える。各インテリジェントデバイスは、音響に基づいて交通データを学習するため、かつ局所的照明命令を処理するための、局所的ニューラルネットワーク(21a)を備える。インテリジェントデバイスは、局所的ニューラルネットワークと相互作用する、例えば1つまたは複数のマイクロフォン(25)などの音響検知手段を、さらに備える。
【0060】
好ましくは、インテリジェントデバイス(22)は照明デバイスに連結され、例えば各照明デバイス(15)に対して1つのインテリジェントデバイス(22)が存在する。しかし、より少ないコストであるが、いずれの場合でも効果的な実施形態は可能であり、そこでは照明デバイス(15)の一部のみがインテリジェントデバイス(22)に連結され、そのため少なくとも1つの局所的ニューラルネットワーク(21a)と通信するマイクロフォン(25)が、設けられる。この最後の事例において、残りの照明デバイス(15)は、好ましくは制御手段(16)に連結され、照明設定を変化させる。それらは例えば、少なくとも1つの隣接したインテリジェントデバイス(22)の指示に従って調整可能である。
【0061】
マイクロフォンは、例えばMEMSタイプまたは類似のもので、好ましくは照明デバイス(15)に一体化される。
【0062】
人工知能は、さらに以下を備える:
-好ましくはインテリジェントデバイスから離され、例えばCLOUDコンピューティング手段(32)を介して実現される、汎用処理手段;
-人工知能に関連付けられた、少なくとも1つの汎用ニューラルネットワーク(21b)。
【0063】
人工知能は、以下も備える:
-好ましくはインテリジェントデバイス(22)に含まれ、例えばFOG/EDGEコンピューティング手段(34)によって実現され、1つまたは複数の局所的ニューラルネットワーク(21a)に関連付けられた、局所的処理手段。
【0064】
詳細には、各汎用ニューラルネットワーク(21b)は、交通データを処理するのを可能にする。処理されたデータは、インテリジェントデバイス(22)からものである。それは例えば照明技術等級、またはより一般的に照明パターンを決定し、それらをインテリジェントデバイスへ送信する。そこでインテリジェントデバイスは、局所的照明設定を決定することができる。汎用ニューラルネットワークは、交通データを識別するためのトレーニング情報も受信し、それらを以下で区分されるように、インテリジェントデバイス(22)へ送信する。
【0065】
局所的処理手段を介して、インテリジェントデバイスは、汎用ニューラルネットワークから受信した上記の情報によって設定された制約内で、局所的照明設定を決定する。
【0066】
例えばこの通信は、例えばワイヤレスネットワークLPWAN、WIFI、4G、5G、または同等のケーブルネットワークなど、データネットワークの接続状態を利用し、好ましくは例えば照明デバイスの制御手段のうち1つに、インテリジェントデバイスを一体化させることができる。
【0067】
人工知能は、例えばキットにおいてトレーニング手段(99)も備える。好ましくはキットは、一時的な使用のために、システム(1)に少なくとも部分的に関連付けること、及びシステム(1)から関連を断つこと、ができる。
【0068】
詳細には、トレーニング手段は、ニューラルトレーイングネットワーク(21c)、音響検知手段、及び画像検知手段(30)を備え、それらは互いに協働する。
【0069】
音響検知手段は、インテリジェントデバイス(22)のマイクロフォンなど、例えばシステム(1)に恒久的に存在するマイクロフォン(25)とすることができる。または、トレーニングキットのみに属し、そのためシステムから取り外し可能かつ様々なポイントに動かせるマイクロフォンとすることができる。
【0070】
画像検知手段(30)は、例えば1つまたは複数のカメラを備える。それらは好ましくはシステムの様々なポイントに動かすことができ、システムに関連付けること、及びシステムから関連を断つことができる。それらは単独でトレーニングキットに属し、好ましくはシステムのマイクロフォンよりも少ない数である。
【0071】
以下で分類されるように、画像検知手段は、人工知能に交通音響を識別かつ区分するよう教示する役目を担う。そのため画像検知手段は、監視領域の代表的な1つまたは複数のポイントのみに設定するか、またはそれらのポイント間で動かすことで十分である。教示処理の最後において、それらをシステム(1)から取り外すことも可能である。したがって本発明における画像検知手段は、ネットワーク全体にわたって広げる必要はなく、または恒久的にネットワークの一部である必要はない。
【0072】
音響認識人工知能(20)は、音響データを獲得し、それらを以下の方法で交通データの中に移す。
【0073】
監視領域は、例えば各々が道路または街区に対応したゾーンに分割され、ベースの付属照明技術分類を用いて照明システムのメモリに最初に分類される。これは、実行される当初の照明設定を確定する。詳細には、スケジュール、期間、及び光フローの軽減として意図される適用可能な減衰の大きさを確定するための設定に好ましい。この当初に割り当てられた照明技術等級も、「プロジェクト等級」と呼ばれる。
【0074】
当初の学習ステップにおいて、人工知能(20)に、音響スペクトグラムから車両のタイプ及び/または交通事象を識別することを教示することが可能である。これは、視覚検知手段によって、好ましくはシステムの領域における1つまたはいくつかのサンプルゾーン(19)のみにおいて、移動する車両の画像を検知することで、成すことができる。様々な視覚識別ソフトウェアが市場に存在し、それは画像を処理して、何を示すかを識別すること、及びそれらを、例えばある車両に関連付けることによって、どの車両または他の車両が、画像の対象物であるかに基づいて区分すること、が可能である。本発明の目的のため、既に市場にあるものを含む、任意の視覚識別ソフトウェア及び画像の自動区分を使用することができる。このように区分された画像は、画像を画像区分に移すことによって、画像と同時に登録された音響スペクトルと関連付けられ、それによってサンプルサウンドトラック(18)を作り出す。
【0075】
サンプルサウンドトラックを判断することは、例えば図4に示されるように行われる場合がある。
【0076】
トレーニング手段(99)は、ビデオで撮影された場面に関するフィルム(96)及びスペクトグラム(98)を、同時に検知する。
【0077】
図4のスペクトグラムは、秒で表現された時間対して、Hzで表わされた音響の周波数構成を示す。
【0078】
次にトレーニング手段は、周波数が、無音閾値と呼ばれる所定の閾値(19)を上回るスペクトグラムの部分を分離する。この閾値を上回ると、システムは何かが発生したことを認識する。次にトレーニング手段は、スペクトグラムのこの部分を、対応したビデオの部分と関連付ける。ビデオのこの部分は、視覚識別ソフトウェアに基づいて識別かつ区分され、トレーニング手段は、この区分を対応したスペクトグラムの部分に移し、区分されたスペクトグラムの一部であるサンプルサウンドトラック(18)を得る。
【0079】
視覚と音響記録周波数とが異なり、それによってビデオ撮影の各フレームが、サウンドトラックの範囲に対応することは、注目に値する。
【0080】
このシステムは、どの車両が、どの周波数で移動しているか、なども認識することができる。それによって次に、統計的な交通データを生成することも可能である。
【0081】
一旦システムが、システムの所定のゾーンのみで検知された、区分された画像を関連付けることによって、音響を区分するよう教示されると、ニューラルネットワークの全ての領域における音響検知動作のみを使用して、過去のデータを獲得するステップに進むことが可能である。例えば、画像検知手段(30)をシステムから取り外して、異なる領域で新たに設置された、別の類似のシステムに使用することができる。それらは実際、トレーニングキットを形成し、システムに関連付けること、及びシステムから関連を断つことができる。
【0082】
過去のデータを獲得するステップにおいて、サンプルトラックであるトレーニングデータはインテリジェントデバイスに移され、それによって、音響に基づいて事象を識別すること、及び関連のデータを汎用ニューラルネットワーク(21b)へ移すこと、を自主的に可能にする。
【0083】
一旦区分された画像で教示された音響によって検知された交通データの、第1の過去の記録が確定されると、汎用ニューラルネットワーク(21b)は、それを処理し、設計された照明技術分類に対する補正を各道路に割り当て、それによって交通に応じた実際の照明要望の、正確なゾーンマッピングを確定する。次に人工知能は、例えば減衰及び/または音声プロファイルなど、新たな等級に基づいて実行されることになる照明パラメータを、インテリジェントデバイスへ送る。
【0084】
受信したトレーニングデータ(18)のおかげで、インテリジェントデバイス(22)は、交通の瞬時の挙動予測を自主的に生成すること、及び人工知能から受信した照明設定内における照明デバイス(15)の性能の適応、詳細には実際の必要に応じてそれらのゾーンに割り当てられた照明技術等級を適応させること、も可能にする。
【0085】
このシステムは、視覚認識のみを有するシステムに対して、より効果的である。なぜなら光とは異なり、音響は障害物を乗り越えることができるからである。実際、曲がり角の背後で何が生じているかを見ることはできなくても、ノイズを認識することはできる。さらに、異なるノイズを同じ動きと関連付けることができる。例えば、交差点に近づく車両を想像すると、直進を継続するか、または方向変更するかで、エンジンノイズは異なる。これは、視覚認識人工知能のみでは可能ではない識別を生成し、一般的に車両の行動の継続性に対して事前に提供される予測をもたらし、それによって曲がり角の周りを含む経路で、照明手段を制御することを可能にする。
【0086】
本発明のシステムは、停止した車両の動いているエンジン、または2人の間の会話など、停止ノイズを認識することもできる。ここで、このシステムは、視覚認識人工知能のみでは成し得ない、適切な照明を制御する。
【0087】
このシステムは、漸進的に洗練することもできる。なぜならニューラルネットワーク(21b)は、継続して過去のデータを獲得かつ処理し続けることができ、それによって照明設定を補正できるからである。
【0088】
トレーニングステップも向上させることができ、インテリジェントデバイス(22)へ送信されるトレーニングの漸進的なアップデートを生成する。
【0089】
本発明は、強度及び色調を含む、任意の照明の変動を制御するよう適応される。例えば、足音または声で人が検知されたとき、例えば冷たい光から暖かい光に切替えて、色調を変化させることが望ましい場合がある。
【0090】
図1は、主道路(10)が行き止まり道路(12)と交わる例を示す。
【0091】
これら2つの道路は、当初同じ照明技術分類を有しており、次に行き止まり道路(12)は、交通音響検知動作に基づいて再区分され、等級を下げられ、照明の優先順位を主道路(10)に与える。
【0092】
実際の動作的観点から、車両によって発生したノイズは、様々な構成要素に由来し、全てはシステムによって識別可能であり、詳細には:
1.燃焼エンジン:圧縮、点火、及び減圧の箇所。音響放出レベルは、構造特性、rpmに依存する。
1a.電気エンジン:アクチュエータによって調整されたパワー制御によって導入された「シュー」という音をたてる箇所。例えば20km/h未満の車両の存在を知らせるよう適応された、音響効果デバイスによって人工的に生成されたノイズである。例えばUN-ECE R138などの関連の法律が最近導入された。
2.転がり:タイヤのトレッドとアスファルトとの間の空洞における、空気の拘束/解放によって生じるノイズ。トレッドの設計、ならびに路面の構成及び間隙率に依存する。
3.空気力学:130km/hを超えた速度のみに関連する。
【0093】
低速におけるモータ車両のエンジンから発生するノイズは、アスファルト上でのタイヤの転がりから発生するノイズよりも大きい。速度が上がると、転がりノイズは、エンジンから発生するノイズを上回るまで強度が増加する。
【0094】
したがって、音響の転がり成分による音響寄与分の周りの中心における計測は、システムが、電気車両市場の増加にも対処すること、及び任意の速度のために意図された道路を分類すること、を可能にする。
【0095】
例えば図2及び図3それぞれの、軽量車両及び重量車両によって生成された音波の周波数スペクトルの中心化は、周波数に基づいて、いかにしてノイズ源(エンジンA、転がりB、空気力学など)を判別するのを可能にするか、において価値がある。例えば500~4000Hzの、特定の周波数帯の中への信号の変換を濾過し、それによってタイヤの転がりによる音響寄与分のみを処理することが可能であることは、価値がある。
【0096】
これは、例えば移動する車両数を数えること、または大きい交通渋滞期間を確定すること、のために有用である。
【0097】
本発明を理解する目的で、用語「備える(comprising)」及びその派生語は、本明細書で使用されるとき、言及する特性、要素、構成要素、グループ、整数、及び/またはステップの存在を指定するオープンエンドの用語を意図するが、言及されない他の特性、要素、構成要素、グループ、整数、及び/またはステップの存在を排除しない。上記は、用語「構成される(comprised)」、「有する(have)」、及びそれらの派生語など、類似の意味を有する単語にも適用される。さらに、用語「パート」、「セクション」、「部分」、「部材」、または「要素」が単数で使用されるとき、単一のパートまたは複数のパートの、二重の意味を有することができる。上記の実行上の実施形態を説明するために、本明細書で使用されるとき、以下の方向を示す用語「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「鉛直」、「水平」、「下」、及び「横断」、ならびに他の任意の類似した方向を示す用語は、動作位置において説明された実施形態を指す。最後に、「実質的に」、「約」、及び「概ね」など、程度の用語は、本明細書で使用されるとき、最終結果が著しく変わらないような妥当な量だけ逸脱した、修飾された用語を意味する。
【0098】
選択された実施形態のみが、本発明を例示するために選ばれたが、様々な変更及び変形が、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく成され得ることは、本説明から当業者には明白であろう。例えば、様々な構成要素のサイズ、形状、位置または向きを、必要及び/要望によって変えることができる。互いに直接接続されるか、または接触して示された構成要素は、それらの間に配置された中間の構造を有することができる。1つの要素の機能は2つによって、及びその逆に実行することができる。1つの実施形態の構造及び機能は、別の実施形態に採用することができる。特定の実施形態における全ての利点は、必ずしも同時に存在する必要はない。先行技術と比較して新規である任意の特徴は、それ自体または他の特徴との組み合わせで、このような特徴によって具体化された構造的及び/または機能的コンセプトを含む、本申請者による他の発明の分離した説明としても考慮されるのが望ましい。したがって、本発明による実施形態の前述の説明は、例示目的のみのために提供され、添付の特許請求の範囲及びその同等物によって定義されたように、本発明を限定する目的のためではない。
図1
図2
図3
図4