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特許7594006多層窒化ケイ素導波路ベースの集積フォトニクス光ジャイロスコープチップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】多層窒化ケイ素導波路ベースの集積フォトニクス光ジャイロスコープチップ
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/64 20060101AFI20241126BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20241126BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01C19/64 Z
G02B6/12 371
G02B6/12 301
G02B6/125 301
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022526769
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 US2020060289
(87)【国際公開番号】W WO2021097132
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】62/934,184
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/095,272
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522009972
【氏名又は名称】アネロ フォトニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】パニシア マリオ
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0101392(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0291273(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0259337(US,A1)
【文献】特表2001-517779(JP,A)
【文献】特開2008-002954(JP,A)
【文献】特開平08-288541(JP,A)
【文献】米国特許第05724462(US,A)
【文献】特開2008-089594(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0079947(US,A1)
【文献】特開2016-085215(JP,A)
【文献】米国特許第09212912(US,B1)
【文献】米国特許第06163632(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0229814(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00-19/72
G02B 6/12ー 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォーム上に作製された集積フォトニクス光ジャイロスコープであって、
回転感知素子を構成するSiN導波路を含む第1の部分と、
前記回転感知素子に光を送出し該回転感知素子から光を受け取るフロントエンドチップを構成する追加のSiN導波路ベースの光学構成要素を含む第2の部分と、
を備え
前記窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォームの前記第2の部分は、前記窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォームの前記第1の部分とは物理的に別個の層にあり、前記窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォームの前記第1の部分の前記回転感知素子と垂直に結合している、
集積フォトニクス光ジャイロスコープ。
【請求項2】
前記フロントエンドチップと突き合わせ結合又はハイブリッドに集積され、III-V族化合物半導体を含む光源を更に備える、請求項1に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項3】
前記光源及び1又は2以上の光検出器は、前記フロントエンドチップを含む前記第2の部分に位置合わせされた共通基板上に集積されている、請求項に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項4】
前記共通基板上の前記光源及び前記1又は2以上の検出器の間の物理的離隔距離は、前記フロントエンドチップ上のSiN導波路ベースの光学構成要素間の対応する離隔距離と一致することにより、前記光源が前記フロントエンドチップ上の対応するSiN導波路と整列したときに、前記1又は2以上の検出器が前記フロントエンドチップ上の対応するSiN導波路と自動的に整列される、請求項に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項5】
前記回転感知素子が、複数のターンを有するコイル又はマイクロ共振器リングを含む、請求項1に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項6】
前記窒化ケイ素(SiN導波路プラットフォームの前記第1の部分と前記第2の部分は、互いに対して垂直方向にスタックされている、請求項1に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項7】
光が、前記窒化ケイ素(SiN導波路プラットフォームの前記第1の部分と前記第2の部分との間でエバネセント結合する、請求項に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項8】
前記回転感知素子の部分が、2以上のサブ層間で分散されている、請求項1に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項9】
前記回転感知素子の前記2以上のサブ層間で光がエバネセント結合する、請求項に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項10】
あるサブ層におけるSiN導波路は、垂直クロストークを最小にするために別のサブ層におけるSiN導波路から横方向にオフセットされている、請求項に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項11】
SiN導波路を含む前記回転感知素子の第1の端部と第2の端部と、
前記回転感知素子の前記第1の端部及び前記第2の端部の少なくとも一方に結合された位相シフタと、
を更に備える、請求項1に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項12】
前記位相シフタは、SiN以外の材料から作られた別個の層上に作製され、前記位相シフタを有する前記別個の層は、前記回転感知素子を含む前記第1の部分にハイブリッドに集積される、請求項11に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項13】
前記位相シフタは、前記回転感知素子を含む前記第1の部分上に金属又は圧電セラミック材料(PZT)を堆積することによって作製される、請求項12に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項14】
前記位相シフタは、前記回転感知素子を含む前記第1の部分上にIII-V族化合物半導体材料を成長、ウェーハ結合又は付着させることによって作製される、請求項12に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項15】
前記位相シフタは、前記回転感知素子を含む前記第1の部分上にシリコンフォトニクスウェーハを成長、ウェーハ結合又は付着させることによって作製される、請求項12に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項16】
前記位相シフタは、前記回転感知素子にエバネセント結合される、請求項11に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項17】
前記位相シフタを有する前記別個の層が、SiN導波路プラットフォームにエッチングされたキャビティ内に配置される、請求項12に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項18】
前記光源及び前記1又は2以上の光検出器を有する前記共通基板が、前記フロントエンドチップを構成する前記追加のSiN導波路ベースの光学構成要素を含む前記窒化ケイ素(SiN導波路プラットフォームの前記第1の部分にエッチングされたキャビティに配置される、請求項に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項19】
前記光源及び前記1又は2以上の光検出器を有する前記共通基板が、前記フロントエンドチップを構成する前記追加のSiN導波路ベースの光学構成要素を含む前記窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォームの前記第1の部分にウェーハ結合されるか又は前記第1の部分の上に成長される、請求項に記載の光ジャイロスコープ。
【請求項20】
窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォーム上に作製された集積フォトニクス光ジャイロスコープであって、
回転感知素子を構成するSiN導波路を含むSiN導波路プラットフォームの第1の部分と、
前記回転感知素子に光を送出し且つ前記回転感知素子から光を受け取るフロントエンドチップを構成する追加のSiN導波路ベースの光学構成要素を含む前記SiN導波路プラットフォームの第2の部分であって、前記窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォームの前記第2の部分が、前記窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォームの前記第1の部分とは物理的に別個の層にあり、前記窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォームの前記第1の部分の前記回転感知素子と垂直に結合している、前記SiN導波路プラットフォームの第2の部分と、
前記SiN導波路プラットフォーム以外の材料プラットフォームを使用して作製された光学素子を含む、前記SiN導波路プラットフォームに集積された1又は2以上の追加のチップと、
を備える、集積フォトニクス光ジャイロスコープ。
【請求項21】
前記1又は2以上の追加のチップのうちの少なくとも1つは、前記フロントエンドチップと突き合わせ結合、成長、付着、ウェーハ結合、又はハイブリッドに集積された光源を備え、前記光源は、III-V化合物半導体を含む、請求項20に記載の集積フォトニクス光ジャイロスコープ。
【請求項22】
前記1又は2以上の追加のチップのうちの少なくとも1つは、前記回転感知素子と結合、成長、付着、ウェーハ結合、又はハイブリッドに集積された位相シフタを備える、請求項21に記載の集積フォトニクス光ジャイロスコープ。
【請求項23】
前記位相シフタは、金属、PZT、III-V化合物半導体、又はシリコンフォトニクス構成要素から作られる、請求項22に記載の集積フォトニクス光ジャイロスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化ケイ素導波路をベースとする集積フォトニクス光ジャイロスコープのシステムレベルの集積に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジャイロスコープ(「ジャイロ」とも呼ばれることがある)は、角速度を感知することができるデバイスである。ジャイロスコープは、機械式又は光学式であり、精度、性能、コスト及びサイズが異なる場合がある。用途としては、限定ではないが、軍事、航空機のナビゲーション、ロボット工学、自律走行車両、仮想現実、拡張現実、ゲーム、その他が挙げられる。光ジャイロスコープは、典型的には、最も高い性能を有し、干渉計測とサニャック効果(干渉分光法で遭遇する、回転によって引き起こされる現象)に基づいている。光ジャイロは、可動部品を有していないので、可動部品を備えた機械式ジャイロに比べて、衝撃、振動、及び温度変化の影響に堪えることができる、機械式ジャイロに優る利点を有する。最も一般的な光ジャイロスコープは、光ファイバジャイロスコープ(FOG)である。FOGの構成は、典型的には、偏波保持(PM)ファイバの複数回ループ/ターンを含むコイルを含む。レーザ光は、PMファイバコイルの両端に送出され、反対方向に進む。コイルが動いている場合、反対方向に進む光ビームは、互いに対して異なる光路長を生じる。干渉計システムを設定することにより、囲まれたループの面積と回転ファイバコイルの角速度に比例した小さな光路長差を測定することができる。
【0003】
光ジャイロの位相信号は、次式で示されるように、サニャック効果と回転角速度を乗算したものに比例する。
Δφ=(8πNA/λc)Ω
ここで、N=ジャイロの巻数、A=囲まれた面積、Ω=回転角速度、Δφ=光位相差信号、λ=光の波長、c=光の速度である。
【0004】
これらのFOGは、極めて高い精度を有することができるが、同時に寸法が大きく、極めて高価であり、これらのデバイスが正確に位置合わせする必要のある別個の光学構成要素に基づいて構築されていることに起因して、組み立てが困難である。多くの場合、手作業による位置合わせが伴い、大量生産のためにスケールアップすることが困難である。
【発明の概要】
【0005】
以下は、本開示の幾つかの態様の基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要である。この概要は、本開示の広範な概説ではない。この概要は、本開示の主要な又は必須の要素を特定することを意図せず、また本開示の特定の実施構成の範囲又は特許請求の範囲の何れかの範囲を正確に記述することも意図していない。その唯一の目的は、以下で提示されるより詳細な説明の前段階として、本開示の幾つかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0006】
本開示の一態様では、窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォーム上に作製された集積フォトニクス光ジャイロスコープは、回転感知素子を構成する窒化ケイ素(SiN)導波路を有する第1の部分と、回転感知素子に光を送出し回転感知素子から光を受け取るフロントエンドチップを構成する追加の窒化ケイ素(SiN)導波路を有する光学構成要素を有する第2の部分とを備えている。回転感知素子は、複数のターンを有するコイル又はマイクロ共振器リングを備える。外部素子(例えば、レーザ、検出器、位相シフタ、その他)は、SiNとは異なる材料プラットフォームで作ることができ、SiN導波路プラットフォームとハイブリッドに集積することができる。
【0007】
2つの部分は、互いに結合された多層構成を有するように共にスタックすることができる。本明細書及び図面における「層」という用語は、デバイスプラットフォームの機能部分又はセクションを包含するように広範に定義されている点に留意されたい。同じ物理層は、複数の部分を有することができる。例えば、フロントエンドチップは「層1」として記述され、回転感知コイルは「層2」として記述されるが、これらは両方とも同じ物理層において存在することができる。実際、幾つかの実施形態では、回転感知素子の一部は、フロントエンドチップを含むSiN導波路プラットフォームの第2の部分に物理的に配置することができる。
【0008】
幾つかの実施形態において、SiN導波路プラットフォームの第1の部分及び第2の部分は、2つの別個の物理層において互いに対して垂直にスタックすることができ、光は、SiN導波路プラットフォームの第1の部分と第2の部分との間でエバネセント結合される。特定の実施形態では、回転感知素子の部分は、2以上のサブ層間に分配することができ、光は、回転感知素子の垂直サブ層間でエバネセント結合する。あるサブ層におけるSiN導波路は、垂直クロストークを最小化するために、別のサブ層におけるSiN導波路から横方向にオフセットすることができる。
【0009】
本開示の別の態様では、窒化ケイ素(SiN)導波路プラットフォーム上に作製された集積フォトニクス光ジャイロスコープが開示され、ここで、ジャイロスコープは、回転感知素子を構成するSiN導波路を含むSiN導波路プラットフォームの第1の部分と、回転感知素子に光を送出し回転感知素子から光を受け取るフロントエンドチップを構成する追加のSiN導波路ベースの光学構成要素を含むSiN導波路プラットフォームの第2の部分と、SiN導波路プラットフォーム以外の材料プラットフォームを使用して作製された光学要素を含む、SiN導波路プラットフォームに集積された1又は2以上の追加のチップと、を備える。
【0010】
追加の態様において、請求項1の光ジャイロスコープは更に、回転感知素子の第1の端部及び第2の端部を備え、回転感知素子の第1の端部及び第2の端部は、SiN導波路を含み、位相シフタは、回転感知素子の第1の端部及び第2の端部の少なくとも1つに結合される。
【0011】
位相シフタは、SiN以外の材料から作られた別個の層上に作製することができ、位相シフタを有する別個の層は、回転感知素子を含む第1の部分に対してハイブリッドに集積されている。例えば、回転感知素子を含む第1の部分上に金属又は圧電セラミック材料(PZT)を堆積させることによって、位相シフタを作製することができる。或いは、位相シフタは、回転検知要素を含む第1の部分上にIII-V化合物半導体材料を成長、ウェーハ結合、又は付着させることによって作製することができる。更に別の代替的な実施形態では、位相シフタは、回転感知要素を含む第1の部分上にシリコンフォトニクスウェーハを成長、ウェーハ結合、又は付着させることによって作製することができる。
【0012】
幾つかの実施形態では、位相シフタは、回転感知素子にエバネセント結合される。位相シフタを有する別個の層は、SiN導波路プラットフォームにエッチングされたキャビティに配置することができる。
【0013】
幾つかの態様において、光源及び1又は2以上の検出器を有する共通基板は、フロントエンドチップを構成する追加のSiN導波路ベースの光学構成要素を含むSiN導波路プラットフォームの第1の部分にエッチングされたキャビティに配置することができる。
【0014】
光源及び検出器を有する共通基板は、SiN導波路プラットフォームの第1の部分にウェーハ結合されるか、又はその上に成長させることができる。
【0015】
本開示は、以下で与えられる詳細な説明と、本開示の様々な実施構成の添付図面とからより完全に理解されるであろう。図示の寸法は、例示の目的のものであり、縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態による、別個のSiN導波路ベースの感知チップに結合する集積フォトニクスフロントエンドチップの概略図である。
図2】本開示の一実施形態による、オフチップレーザが集積フォトニクスフロントエンドチップに結合され、これが別個のSiN導波路ベースの感知チップに結合される光ジャイロスコープの簡易概略図である。
図3】本開示の一実施形態による、導波路コイルが2つの層の間に分配される、多層窒化ケイ素導波路ベースの集積フォトニクス光ジャイロスコープの異なる層の概略等角図である。
図4】本開示の一実施形態による、多層窒化ケイ素導波路ベースの集積フォトニクス光ジャイロスコープの概略長手方向断面図(すなわち、側面図)である。
図5A】本開示の一実施形態による、集積フォトニクス光ジャイロスコープの2つの層のうちの第1の層における窒化ケイ素導波路構成要素の分布を概略的に示す図である。
図5B図5Aに示される本開示の実施形態による、集積フォトニクス光ジャイロスコープの2つの層のうちの第2の層における窒化ケイ素導波路構成要素の分布を概略的に示す図である。
図6A】レーザ及びサニャック検出器が、第1の層における集積フォトニクス構成要素と自己整合結合するために共通の基板上に収容されている、本開示の別の実施形態による、集積フォトニクス光ジャイロスコープの3つの層のうちの第1の層における窒化ケイ素導波路構成要素の分布を概略的に示す図である。
図6B図6Aに示される本開示の実施形態による、集積フォトニクス光ジャイロスコープの3層のうちの第2の層及び第3の層における窒化ケイ素導波路構成要素の分布を概略的に示す図である。
図7】本開示の一実施形態による、最上層にシリコン窒化物導波路ベースの感知コイルを示し、他のフォトニクス構成要素は最上層の下の最下層にある、集積フォトニクス光ジャイロスコープの上面図を概略的に示す図である。
図8A】本開示の一実施形態による、レーザ及び検出器モジュールが窒化ケイ素の第1の層上のフォトニクス構成要素に結合され、感知コイルを有する窒化ケイ素の第2の層が第1の層の下方にある、集積フォトニクス光ジャイロスコープの上面図を示す。
図8B図8Aの実施形態に示される集積フォトニクス光ジャイロスコープの側面図である。
図8C】本開示の一実施形態による、フォトニクス構成要素を有する窒化ケイ素の第1の層にエッチングされたキャビティにレーザ及び検出器モジュールが挿入され、感知コイルを有する窒化ケイ素の第2の層が第1の層の下方にある、集積フォトニクス光ジャイロスコープの側面図である。
図8D図8Cに示される集積フォトニクス光ジャイロスコープの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の態様は、光ジャイロスコープ用途のための他のシステムレベル集積フォトニクス構成要素とコンパクトな超低損失窒化ケイ素導波路ベースの角回転感知構成要素の集積に向けられる。システム集積は、集積フォトニクス光ジャイロスコープの大量生産を容易にするために、大規模製造を念頭に置いて行われる。
【0018】
集積光ジャイロスコープは、回転感知素子からの光を送出し及び受け取ることができる集積フォトニクス構成要素から作られるフロントエンドチップを有することができる。光ジャイロスコープの回転感知要素は、ファイバループ又は別の集積フォトニクス導波路チップ(例えば、窒化ケイ素導波路ベースのコイル又はマイクロ共振器リング)を備えることができる。図1は、回転感知要素として作用している別個の及び異なる導波路ベースの感知チップに結合する集積フォトニクスフロントエンドチップ100の一実施形態の概略図である。導波路ベースの感知チップと結合した集積フォトニクスフロントエンドチップは、慣性測定ユニット(IMU)パッケージの一部とすることができる集積フォトニクス光ジャイロスコープモジュールを構成する。尚、IMUは、光ジャイロスコープモジュール以外に、加速度計など他の構成要素を有することができる点に留意されたい。このため、光ジャイロスコープモジュールを小型化することで、IMU全体のサイズ、重量、電力、コストを軽減することができる。この重量軽減は、例えば、軽量無人航空機など特定の用途では極めて重要である。IMUは、LiDAR(Light Detection and Ranging:光検出及び測距)、レーダー及びカメラなど、次世代の自律走行車(地上及び航空の両方)で使用されることになる、自律走行車のより確立された感知技術にとって切望される技術要素とすることができる。
【0019】
導波路ベースの感知チップ(「ジャイロチップ」とも呼ばれることがある)において、低損失導波路コアは、窒化ケイ素(Si34)で作ることができ、導波路クラッドは、溶融シリカ又は酸化物で作ることができる。この導波路構造はまた、単にSiN導波路とも呼ばれ、SiN導波路を含むチップは、図においてSiN導波路チップと呼ばれる。両方の構成(すなわち、溶融シリカ中のSiNコア又は酸化物中のSiNコア)の製造プロセスは、2020年6月5日に出願された「集積シリコンフォトニクス光ジャイロスコープ用の単層及び多層構造」と題する米国特許出願第16/894,120号、及び2020年9月17日に出願された「集積フォトニクス光ジャイロスコープを製造するための化学的-機械的研磨」と題する米国特許仮出願第63/079,928号に記載されており、これらの両方は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0020】
図1及び2に示される設計において、フロントエンドチップ100上の導波路ベースの構成要素は、Si又はIII-V族化合物半導体、又はこれらの組み合わせに基づくことできる。以下で図5A及び5Bと共に示されるように、フロントエンドチップ100の導波路ベースの構成要素は、SiNを使用することもできる。
【0021】
図1に戻って、光源(図1には示されていないが、図2のレーザ201と同様)は、ファイバを介して集積フォトニクスフロントエンドチップ100に結合され、又はレンズと整列され、又は突き合わせ結合することができる。光源は、III-V族化合物半導体から作られた半導体レーザとすることができる。ファイバとレーザを結合する場合、典型的には、シングルモード(SM)ファイバが用いられる。SMファイバのコアサイズは、典型的には、8~10μmの範囲である。集積フォトニクスフロントエンドチップ100上の入力導波路は、レーザ光源から集積フォトニクスフロントエンドチップに光信号を伝送するSMファイバと効率的に結合するために、フレア端部(入力カプラ102)を用いて設計しなければならない場合がある。光タップ(例えば、0.5~1%又は他の目標量の光パワー)は、光信号の一部を検出器に送り、レーザ光源と集積フォトニクスフロントエンドチップとの間の結合効率を測定することができる(光タップは、簡単にするために図に示されていない)。任意選択的に、光位相変調器を、最終的には2×2光スプリッタ106及び108につながる光路に挿入することができる。尚、特定の設計においては、2×2スプリッタの代わりにYカプラ/Yスプリッタが使用されてもよい。
【0022】
スプリッタ及び/又は方向性結合器は、感知チップから戻ってくる光を検出器138に導くようにオンチップで設計されている。検出器138は、サニャック検出器と呼ばれることがあり、これは、位相測定のための集積フォトニクスフロントエンドチップ100における重要な検出器である。検出器138は、迷光を遮断するために、その周りにインプラント(図示せず)により隔離されなければならない場合がある。サニャック検出器138に加えて、追加の検出器136及び137が、集積シリコンフォトニクスチップに沿った様々な場所での伝播損失及び結合損失を測定(試験及び/又は監視のために)するため、並びに集積シリコンフォトニクスチップとSiN導波路チップとの間の結合効率を測定するために組み込むことができる。検出器は、光を電気信号に変換するPINフォトダイオード又はアバランシェフォトダイオードとすることができる。尚、チップ内で跳ね回る迷光を最小限に抑えるために、(サニャック検出器に加えて)スプリッタ、カプラ、その他などの他の導波路ベースの構成要素の周りにインプラント領域を作成することもできることに留意されたい。
【0023】
位相変調器は、感知コイル/リング共振器を有するSiN導波路ベースの感知チップにカップリングアウトするために最適化された出力カプラ132a及び132bにつながる導波路の2つの出力ブランチの一方又は両方に組み込むことができる。図1に示す非限定的な実施形態では、出力ブランチの両方に位相変調器/位相シフタ120及び122が存在する。各ブランチは、高速変調器(120a及び122a)及び熱変調器(120b及び122b)の両方を有してもよいし、高速変調器だけ、又は熱変調器だけを有することもできる。また、幾つかの実施形態では、1つのブランチのみが位相変調器(高速、熱、又は高速と熱の組み合わせ)を有し、他のブランチは、位相変調器を有していない。更に、モード選択フィルタ(横磁界(TM)モードの大部分をフィルタ除去する一方で横電界(TE)モードを通過させるTMフィルタなど)は、光ビームの経路に沿って様々な位置(例えば、160、162、164及び166)に配置することができる。TMフィルタは、TEモードとTMモードの間の消光比を改善するために、多段に配置することができる。モード選択フィルタ及び導波路構造の詳細は、2019年9月23日に出願された「モード選択導波路を有するシリコンフォトニクス光ジャイロスコープのシステムアーキテクチャ」と題する同時係属の共同所有である米国特許仮出願第62/904,443号で取り上げられており、2019年10月21日に出願された「集積フォトニクス光ジャイロスコープのシステムアーキテクチャ」と題する米国特許本出願第16/659,424号に変更され、米国特許として発行されている。
【0024】
図2は、オフチップレーザ201が入力カプラ202(102のようなファイバカプラとすることができ、又は突き合わせ結合に最適化することができる)を介して集積フォトニクスフロントエンドチップ100に結合される光ジャイロスコープの簡易概略図である。尚、レーザはまた、オンチップ、すなわちボンディング又はハイブリッドレーザ手法を介してフロントエンドチップ100上に集積できる点に留意されたい。フロントエンドチップ100は、本開示の一実施形態による、別個のSiN導波路ベースの感知チップ200に結合する。尚、簡略化のために、図1に示されるフロントエンドチップ100の幾つかの構成要素は、図2には示されていない点に留意されたい。感知チップ200は、図2に示すように、導波管ベースの感知コイル205を有することができ、又は特定の実施形態においてリング共振器を有することができる。
【0025】
感知チップ200におけるSiN導波路の非限定的で例示的な寸法は、90nmの高さ(すなわち、パターン化された導波路コア層の厚さ)及び2.8μmの横方向幅である。当業者であれば、明細書に記載されたこれらの例示的な寸法値は、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されるであろう。導波管損失を低減するために、SiNコアの周りに対称的な上部及び下部クラッディングを有することが有用である場合がある。この構造は、溶融シリカウェーハ又は酸化物のような他の適切な材料のウェーハ結合を介して得ることができる。導波路SiN層の厚さは、60~100nmの間で変化することができ、幅は、所望の光学モードに応じて2~5μmの間で変化することができる。出力カプラ132a及び132bの設計は、SiN導波路ベース感知チップ200上の導波路寸法に基づいて変化する。
【0026】
本発明者らは、SiN導波路ベースの感知コイル205を異なる層(例えば、2以上の層)に分配することが、フォームファクタを増加させることなくより良い性能につながることを認識している。図4のSiNチップの断面に示すように、多層設計は、最下層の入力導波路460で結合された光が、最下層から最上層(導波路ベースの感知コイルの部分475及び480が存在する)へカップルアップし、その後再び最上層から最下層へカップルダウンして、出力導波路470にて結合できることが必要とされる。尚、多層構成は、ダイスタックを介して、又は多層の材料の成長及び加工を介して達成することができることに留意されたい。
【0027】
多層ジャイロ構成の詳細は、2019年6月7日に出願された、「溶融シリカプラットフォーム上の集積シリコンフォトニクス光ジャイロスコープ」と題する同時係属の共同所有である米国特許仮出願第62/858,588号において取り上げられている。2019年9月5日に出願された「集積シリコンフォトニクス光ジャイロスコープ用の単層及び多層構造」と題する後続の米国特許仮出願第62/896,365号には、追加の実施形態が記載されている。これら2つの仮出願は、2020年6月5日に出願された「Single-layer and Multi-layer Structures for Integrated Silicon Photonics Optical Gyroscopes」と題する米国特許出願第16/894,120号に変更されている。これらの出願は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0028】
図3は、出力SiN導波路が導波路ベースの感知コイルのターンと交差しない、スパイラル導波路ベースのSiN感知チップ300の分解透視図である。上面と下面の両方にコイルの部分があり、出力SiN導波路は、入力SiN導波路と同じ平面から出る。外部構成要素(例えば、レーザ、検出器、その他)との効率的な結合は、出力SiN導波路と入力SiN導波路が同一平面上にあることによって決まるので、このことは重要な設計態様である。また、感知コイルの全長を2つの層(上及び下)間で分配することで、従来のフォトニックジャイロの問題であった光の伝播方向が感知コイル内で同じであるSiN導波路の交差を回避することができる。更に、導波路の交差は散乱損失を増加させるが、図3の設計ではこれを回避することができる。
【0029】
図3において、基板320は、溶融シリカであるか、又は他の材料処理(例えば、Si及び酸化物)を通じて達成することができる。例えば、層310、330、340、390及び395はまた、酸化物及び窒化物成長を介して製造される(感知コイルの螺旋導波路は、酸化物クラッドによって囲まれた窒化物コードである)。光信号を受け取る感知コイルの入力端部は、360として表記され、出力端部は370として表記される。導波管ベースの感知コイルは、テーパー付き先端部355に向かって内側に螺旋状になった底部350を有し、ここで導波管ベースの感知コイルの残りの部分(頂部399)を有する最上層395まで結合される。層390の厚さ(典型的には層340と395の間の酸化物層)が結合ギャップを設定する。導波路型感知コイルの頂部399は、テーパー付き先端部375から始まり、他方のテーパー付き先端部380まで外側に螺旋状になり、ここから光が、低面上の導波路のテーパー付き先端部385に結合して出力ポート370を介して外に出る(検出器又は他の光学系構成要素に向かう)。矢印付きの破線は、2つの平面におけるテーパー付き先端部の間のカップリングアップとカップリングダウンを示している。テーパー設計と導波路を有する2つの層間の垂直方向の離隔は、2つの平面間の結合効率を決定付ける。光が2つの垂直平面間で結合するためには、テーパー付き先端部355及び375が、ある程度の重なり合いを有する必要があり、また、テーパー付き先端部380と385が、ある程度重なり合いを有する必要がある。
【0030】
図5A及び図5Bは、本開示の実施形態による、多層構成における2以上の層における窒化ケイ素導波路構成要素の分布を概略的に示す図である。簡単に言えば、フロントエンドチップ及び導波路ベースの感知コイル505において典型的である集積フォトニクス導波路ベースの光構成要素は全て、同じSiN導波路製造技術を使用して製造されたSiN導波路から構成され、2以上のSiN層の間に分布されている。レーザ501及び検出器536、537、538は、異なる材料系(すなわち、SiNではない)を用いて作製されるので、これらは、多層SiNダイの外側にある唯一の構成要素となるであろう。レーザ501、入力カプラ502、スプリッタ506及び508、TMフィルタ564、出力カプラ532a及び532b、並びに検出器536、537、538は、図2に示す要素201、202、106、108、132a、132b、136、137及び138と機能的に等価である。
【0031】
具体的には、図5Aは、2層SiNダイ構成を示す。この実施形態では、SiNの第1の層500Aは、入力及び出力カプラ、方向性カプラ、スプリッタ、及びフィルタを備えるが、導波路の出力ブランチ上の位相変調器は備えない。代わりに、位相シフタ520が、SiNの第2の層500Bの感知コイル505の一方の端部と集積されている。任意選択として、感知コイルの他方の端部にも追加の位相シフタ522が存在することができることに留意されたい。位相シフタは、金属ヒーター(熱位相シフタ)又は圧電ベースの位相シフタとすることができる。これは、金属又はPZT材料を堆積することによって、又はIII-Vウェーハ又はシリコンフォトニクスウエーハのウェーハ結合を介して達成することができる。この実施例では、感知コイル505全体が第2の層500B上に示されているが、当業者は、感知コイル505の一部が、図3に示されているものと同様の代替の実施形態において第1の層500Aにも存在できることを理解するであろう。また、出力カプラ532a及び532bは、1つの層における伝播方向に沿ったモード整合を支援するのではなく、(図3で議論したように)SiNの2つの層間の垂直結合を可能にすることができる。尚、レーザ501及び検出器はSiNチップの外側であるので、これらは、SiN層500A上の対応する導波路構成要素と位置合わせする必要がある点に留意されたい。図6Aは、レーザ及びサニャック検出器538が、モジュール600において同じ基板によって支持することができ、モジュール600における同じ基板は、SiNダイの層500Aに整列されることを示している。レーザ501と検出器538との間の物理的離隔距離は、SiN層500A上の導波路の物理的離隔距離に一致すべきである。レーザが入力カプラ502に位置合わせされると、検出器は、レーザとサニャック検出器を別々に位置合わせする必要もなく、検出器が方向性カプラ503に自動的に位置合わせされる。この設計はまた、層500Aの基板に漏れる可能性のある不要な迷光からサニャック検出器を自動的に離隔する。
【0032】
図6Aは、幾つかの実施形態において、検出器536及び537を有する代わりに、導波路端部が、光を吸収するためのインプラント領域601及び602につながることができることを示している。尚、インプラント領域は、チップ内で跳ね回る迷光を最小限にするために、他の導波路ベースの集積フォトニクス構成要素(例えば、スプリッタ、カプラ、その他)の周りに作成できることに留意されたい。迷光は、導波路部品(スプリッタ/カプラ、その他)からも、他の層からも発生する可能性がある。導波路ベースの集積フォトニクス構成要素の周りのインプラントの例は、2019年10月21日に出願された「集積フォトニクス光ジャイロスコープのためのシステムアーキテクチャ」と題する共同所有の米国特許出願第16/659,424号(現在は米国特許第10,731,988号として発行)に記載されており、当該米国特許出願は、2019年7月10日に出願された「シリコンフォトニクス光ジャイロスコープのシステムアーキテクチャ」と題する米国仮特許出願第62/872,640号、及び2019年9月23日に出願された「モード選択導波路を有するシリコンフォトニクス光ジャイロスコープのシステムアーキテクチャ」と題する米国特許仮出願第62/904,443号からの優先権を主張し、これらの全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0033】
図6Bは、図3に示された概念に従って、図5Bに示された導波路ベースの感知コイル505が、2以上の垂直層の間に分布することができることを示す。これにより、感知コイルのフットプリントを増加させることなく、1つの層ではなく2以上の層により多くの導波管ターンを収容することができるので、光位相差に対するより大きな信号が可能になる。具体的には、図6Bは、SiNチップの第1の層500Aが、感知コイル505の部分505cを有する層500C(層2 SiN)に垂直に結合されることを示す。感知コイルの部分505cは、感知コイル505の部分505dを有する層500D(層3 SiN)に垂直に結合される。尚、部分505cと505dの光の方向は同じであることが必要である点に留意されたい。位相シフタ520(及び任意選択的に位相シフタ522)は、層500D上に作製することができる。尚、例示的に明瞭にするために、2つの層500D及び500Cは、互いにわずかに横方向にオフセットして示されているが、実際には、感知コイル部分505c及び505dは、上から見たときに、層500Cが層500Dによって視界から遮断されるように垂直方向に整列することができる点に留意されたい。
【0034】
図7は、本開示の実施形態による、集積フォトニクス光ジャイロスコープ700の上面図を概略的に示し、最上層にある窒化ケイ素導波路ベースの感知コイル505(又はその部分505d)を示し、他のSiN導波路ベースの集積フォトニクス構成要素は最上層の下方の底層(従って、上からは見えない)であることを示している。
【0035】
尚、特定の実施形態において、レーザ及び検出器モジュール600は、図8A~8Dに示すように、上からSiN光ジャイロスコープチップに結合されてもよい点に留意されたい。レーザ及び検出器モジュール600は、SiN光ジャイロスコープチップに接着/成長されるか、又はSiN光ジャイロスコープチップにエッチングされたスロットに挿入することができる。
【0036】
具体的には、図8A~8Bは、レーザ及び検出器モジュール600が、典型的には全てSiN導波路に基づく入力及び出力カプラ、方向性カプラ、スプリッタ、及びフィルタを有する第1のSiN層500Aの上部に接着又は成長されることを(それぞれ上部ビュー800A及び側面ビュー800Bで)示している。光は、エバネセント的に(又は物理的な導波路を介して)第1のSiN層500Aへの入力カプラに結合され、第1のSiN層500Aから検出器に結合される。感知コイル(破線で示す)は、第1のSiN層500Aの下方の第2のSiN層500Bに少なくとも部分的に存在する。位相シフタ520(及び任意選択的に522)は、第1のSiN層500A上にあってもよい。図8Bに示すように、第1のSiN層500A及び第2のSiN層500Bは、層500A及び500Bの間のエバネセント結合に役立つ層802によって垂直方向に離隔することができる。また、幾つかの実施形態では、層500Bは、複数のサブ層(例えば、層500C及び500D、ただし3又はそれ以上の層も可能)に細分化することができ、各サブ層は、感知コイルの一部を有する。
【0037】
図8C~8Dは、レーザ及び検出器モジュール600が、SiN層500Aにエッチングされたキャビティに挿入されることを示す(それぞれ側面図800C及び上面図800D)。エッチングされたキャビティは、レーザ及び検出器モジュール600と、SiN層500A内の対応するSiN集積フォトニクス導波路構成要素との自己整列を容易にする。図8C及び図8Dでは、感知コイルは示されていないが、図8Bと同様に、感知コイルは、感知コイルの部分を有するサブ層500C及び500Dに細分化することができる層500Bに存在することができる。
【0038】
上述の明細書において、本開示の実施構成は、その具体的な例示的な実施構成を参照して説明されている。添付の特許請求の範囲に記載される本開示の実施構成のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得ることは明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきものである。更に、方向性の用語、例えば、「上」、「下」、その他は、本開示の範囲を任意の固定された方向に限定するものではなく、方向性の様々な並び替え及び組み合わせを包含する。
【符号の説明】
【0039】
501 レーザ
505 感知コイル
520 位相シフタ
538 レーザ及びサニャック検出器
600 モジュール
700 集積フォトニクス光ジャイロスコープ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D