(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/365 20060101AFI20241126BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20241126BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241126BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20241126BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/06
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/44
A61K8/891
A61K8/894
A61Q1/00
A61Q1/02
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2022537590
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2019001432
(87)【国際公開番号】W WO2021123860
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】浅見 由利恵
(72)【発明者】
【氏名】端 晃一
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-172837(JP,A)
【文献】特開2018-108952(JP,A)
【文献】特開2018-076313(JP,A)
【文献】特表2019-532969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の異なる疎水性表面処理剤で表面処理されている顔料と、
HLB値が2~8であるシリコーン系界面活性剤と、
ポリヒドロキシステアリン酸と、
シリコーン樹脂と、
有機変性粘土鉱物と、
揮発性油と、
を含有する、油中水型乳化化粧料組成物であって、
前記顔料の総含有量が、前記化粧料組成物の全質量を基準として
18~38質量%であり、
前記2種以上の異なる疎水性表面処理剤が、
ジメチコン及びアシル化アミノ酸系表面処理剤の組合せを含
み、
前記アシル化アミノ酸系表面処理剤が、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、及びこれらの塩からなる群より選択され、
前記揮発性油の含有量が、前記化粧料組成物の全質量を基準として20~50質量%である、油中水型乳化化粧料組成物。
【請求項2】
前記顔料の総含有量が、前記化粧料組成物の全質量を基準として
25~35質量%である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記揮発性油の含有量が、前記化粧料組成物の全質量を基準として30~45質量%である、請求項1又は2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
粘度が600cps未満である、請求項
1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記顔料が、ジメチコンと、ステアロイルグルタミン酸
またはそのナトリウム塩との組み合わせによって表面処理されている、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記顔料が、ジメチコン及びステアロイルグルタミン酸ナトリウムの組み合わせによって表面処理されている、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記HLB値が2~8であるシリコーン系界面活性剤が、PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、PEG-3ジメチコン、PEG-9メチルエーテルジメチコン、PEG-10ジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
6のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記HLB値が2~8であるシリコーン系界面活性剤が、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンである、請求項
7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記揮発性油が、メチルトリメチコン、イソドデカン、及びこれらの混合物から選択される、請求項
1に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
炭素原子数1~3のモノアルコールをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
ファンデーションの形態である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化粧用組成物をケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための化粧方法。
【請求項13】
前記化粧料組成物が皮膚に適用される、請求項12に記載の化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、化粧料組成物に関する。
【0002】
[背景技術]
ファンデーション等の化粧料は、種々の色の顔料を配合して所望の肌色や肌質になるように調整されている。このような化粧料は、一般的に、それを顔の皮膚に塗ることによって、例えば、毛穴、シミや小皺など好ましくない部分を他者から見えにくくし肌の美観を高め、全体として好印象を与えるように使用される。そのため、ファンデーション等の化粧料では、優れた隠蔽性と持続性を備えることが求められている。
【0003】
例えば、特開2018-70516号公報では、第四級アンモニウムイオンで変性されたカチオン変性粘土鉱物、疎水化処理された着色顔料、25℃で液状のフェニル変性シリコーン、揮発性油を含有する油中水型乳化化粧料が開示されている。
【0004】
また、特開2019-147773号公報では、アミノ酸及びアシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上で表面処理された着色顔料と、25℃で液状のペンタエリスリトール脂肪酸エステル及びジペンタエリスリトール脂肪酸エステルから選ばれるエステル油と、を含有する油中水型乳化化粧料を開示している。
【0005】
[技術的課題]
しかし、市販されている液状の油中水型乳化ファンデーションの多くは、優れた隠蔽性と持続性を備えている一方、特に顔料の含有量が化粧料組成物の全質量を基準として18~40質量%以下である場合には、粘性が高く、形成される被膜が比較的厚くなる傾向がある。そのため、厚塗り感等の不自然な印象を与え、使用時に感じる快適さも達成することは難しい。
【0006】
そこで、本発明の目的は、隠蔽性と持続性に優れ、かつ薄い被膜を形成可能な油中水型乳化化粧料組成物、特にファンデーションを提供することにある。
【0007】
[発明の概要]
本発明は、(A)2種以上の異なる疎水性表面処理剤で表面処理された顔料と、(B)HLB値が2~8であるシリコーン系界面活性剤と、(C)ポリヒドロキシステアリン酸と、(E)シリコーン樹脂と、(F)有機変性粘土鉱物と、を含有する油中水型乳化化粧料組成物を提供する。本発明の油中水型乳化化粧料組成物は、連続相としての油相と、分散相としての水相を含む。油相は一般的に、少なくとも(D1)不揮発性油を含み、水相は少なくとも(G)水を含む。特定の好ましい実施形態において、本発明の化粧料組成物は、化粧料組成物の全質量を基準として12~40質量%の顔料の総含有量を含み、特に18~38質量%であり、好ましくは18~38質量%である。
【0008】
本発明において、化粧料組成物の粘度は好ましくは600cps未満、特に100~400cps、又は好ましくは150~400cpsである。化粧料組成物の粘度が低いと、皮膚上に塗り広げやすく、より薄い被膜を形成しやすい。粘度は、粘度計(装置名:Rheolab QC(Anton Paar社製))を用いて測定してもよい。粘度測定は、25℃、シリンダーST22-4V-40、回転数100rpm、3分間で行った。
【0009】
本発明の化粧料組成物は、揮発性油と不揮発性油の両方を、特に5:1~10:1の質量比でさらに含有するとより好ましい。一般的に、揮発性油の含有量が多いと、皮膚上に残る成分(揮発性油以外の成分)が相対的に少なくなるため、より薄い被膜を形成しやすくなり、塗った後のベタツキをより抑制でき、スムースな触感を与えやすい。その反面、肌の乾燥によるつっぱり感や皮膚刺激性等を与える。一方、不揮発性油の含有量が多いと、皮膚上に残る成分(揮発性油以外の成分)が相対的に多く、膜も厚くなり、閉塞感が生じるため、満足な仕上がりが得られないことがある。
【0010】
出願人は、油中水型乳化化粧料組成物において、2種以上の異なる疎水性表面処理剤で表面処理された顔料を使用することが、これまでの欠点に答えることを実証した。特定の好ましい実施形態では、顔料がシリコーン系表面処理剤及びアシル化アミノ酸系表面処理剤の組合せを含む2種以上の疎水性表面処理剤で表面処理されている。顔料が少なくともシリコーン系表面処理剤及びアシル化アミノ酸系表面処理剤の組合せで表面処理されていると、顔料粒子の油吸収性を抑制することができ、化粧料組成物の粘性を低くすることに寄与し得る。顔料が表面処理されていないと、油は顔料粒子の表面を覆ったり、顔料粒子間の間隙を埋めることにより、顔料に粘着性や凝集性を増加させ、ひいては組成物中での分散性に影響を与え得る。顔料が本発明で定義される特定の表面処理剤で表面処理されることにより、より分散性に優れたものとなる。
【0011】
本発明はまた、本発明に定義される化粧品組成物のケラチン物質、特に皮膚上へ適用することを含む、ケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法に関する。
【0012】
[発明の有利な効果]
本発明の化粧料組成物は、優れた隠蔽性と持続性を有するだけでなく、薄い被膜を形成することができ、顔等の皮膚へ塗ったときの仕上がりの快適さにも優れている。
【0013】
[発明の詳細な説明]
以下に、本発明の一実施形態について、詳述する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態は、(A)2種以上の疎水性表面処理剤で表面処理されている顔料と、(B)HLB値が2~8であるシリコーン系界面活性剤と、(C)ポリヒドロキシステアリン酸と、(D1)不揮発性油と、(E)シリコーン樹脂と、(F)有機変性粘土鉱物と、(G)水と、を含有する油中水型乳化化粧料組成物である。特定の好ましい実施形態では、顔料の含有量が、化粧料組成物の全質量を基準として38質量%以下である油中水型乳化化粧料組成物である。以下、「質量%」はまた、「重量%」ということがある。本実施形態に係る化粧料組成物は、ファンデーションとしての使用、好ましくは顔料の総含有量が化粧料組成物の全質量を基準として18~38質量%、好ましくは25~35質量%である、隠蔽性に優れたファンデーションとしての使用に特に適している。
【0014】
本実施形態の化粧料組成物は、油相を連続相とし、水相を分散相とする油中水型の乳化組成物であり、(A)顔料及び(F)有機変性粘土鉱物が分散している。低粘度の油中水型乳化化粧料は、一般的に、長期保管すると、油相の一部が上部に分離しやすく、使用前に再分散させる必要がある。本実施形態に係る化粧料組成物であれば、再分散後においても優れた隠蔽性を発揮し得る。また、消費者が売り場で化粧料を手にしたときに、それが不均一に分離した状態を目にすると、購買意欲を損なう可能性がある。本実施形態に係る化粧料組成物であれば、分散性に優れており、不均一な分離を生じにくい。不均一な分離とは、例えば、上部に分離した油相の変色(濁りや着色)、顔料が不均一に分散して生じる色むら(斑な色合い)、ケーキング(沈降した顔料が固まったままの状態になること)を生じることである。このような不均一な分離は、手による振とうでも改善されないので、隠蔽性の保持にも悪い影響を与える。
【0015】
表面処理顔料
本実施形態で使用される(A)顔料は、2種以上の異なる疎水性表面処理剤で表面処理されている。表面処理される顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、ベンガラ、紺青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、カーボンブラックが挙げられる。二酸化チタンは白色顔料として知られ、酸化鉄は赤色、黄色又は黒色の有色顔料として知られている。これらを適宜組合せることにより、所望の色調に調整することができる。
【0016】
疎水性表面処理剤は、顔料粒子の表面に結合でき、疎水性を付与し得るものであればよい。疎水性表面処理剤としては、例えば、シリコーン、アミノ酸、アシル化アミノ酸、レシチン、水添レシチン、フッ素化合物、アルキルシラン化合物、ウレタン化合物、アクリル化合物、メタクリル化合物、脂肪酸、金属アシレート及びこれらの塩が挙げられる。好ましい疎水性表面処理剤は、シリコーン処理とアシル化アミノ酸処理の組合せである。本実施形態に係る化粧料組成物では、顔料粒子が2種以上の異なる疎水性表面処理剤で表面処理されていることにより、顔料の油吸収性を抑制することができ、化粧料組成物の粘性をより低下させることができ、顔料の分散性もより向上できる。
【0017】
フッ素化合物には、パーフルオロアルキルリン酸、パーフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロポリエチレン(PTFE)、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルキルシラザン、ヘキサフルオロプロピレンポリオキシド、パーフルオロアルキルパーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルジメチコン、パーフルオロアルキルシラン、及びパーフルオロアルキルトリアルコキシシランが含まれる。
【0018】
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、サルコシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン等が挙げられる。これらのアミノ酸は、脂肪酸でアシル化されていてもよい。脂肪酸は、炭素原子数1~22の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく、炭素原子数8~20の飽和又は不飽和脂肪酸がより好ましい。炭素数8~20の飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸等が挙げられる。炭素数8~20の不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノエライジン酸、α-リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。このようなアシル化アミノ酸としては、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ミリストイルグルタミン酸、ステアロイルリジン、ラウロイルリジン、ミリストイルリジン等が挙げられる。好ましいアシル化アミノ酸は、ステアロイルグルタミン酸である。アミノ酸の塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムとの塩であってもよい。
【0019】
アルキルシラン化合物には、モノメチルポリシロキサン(メチコン)等のモノアルキルポリシロキサン;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)等のジアルキルポリシロキサン;トリメチルメトキシシラン、トリエトキシカプリリルシラン等のトリアルキルアルコキシシラン等が含まれる。
【0020】
脂肪酸には、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸が含まれる。
【0021】
金属アシレートには、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ジミリスチン酸アルミニウム、トリステアリン酸アルミニウム、トリイソステアリン酸イソプロピルチタン、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等が含まれる。
【0022】
特定の実施形態では、表面処理顔料は、ジメチコン及びステアロイルグルタミン酸二ナトリウムで処理された二酸化チタン、酸化鉄で処理されたジメチコン及びステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、並びにこれらの混合物から選択される。特に、水中油型化粧料は、以下の表面処理顔料を含有する:
ジメチコンおよびステアロイルグルタミン酸二ナトリウムで処理された二酸化チタン(二酸化チタン:ジメチコン:ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム=91:8:1(w/w/w))および
ジメチコンおよびステアロイルグルタミン酸二ナトリウムによって処理された酸化鉄(酸化鉄:ジメチコン:ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム=91:8:1(w/w/w))。
【0023】
2種以上の異なる疎水性表面処理剤で表面処理された顔料の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、好ましくは38質量%以下であり、5~38質量%であってよく、10~35質量%であることが好ましく、20~33質量%であることがより好ましい。2種類以上の疎水性表面処理剤で表面処理された顔料の含有量が上記範囲内であると、隠蔽性及び持続性がさらに高まり、より薄い膜を形成できる。
【0024】
また、疎水性表面処理剤に由来する部分の質量が、表面処理された顔料全体の質量を基準として5~25質量%であると好ましく、8~15質量%であるとより好ましく、8~13質量%であると更に好ましい。疎水性表面処理剤の含有量が上記範囲内であると、顔料の分散性がより優れたものとなり、隠蔽性及び持続性がより高まる。さらに、顔料の油吸収性を抑制して化粧料組成物の粘性を低下し、より薄い皮膜を形成することができる。
【0025】
シリコーン界面活性剤
本実施形態で使用される(B)シリコーン界面活性剤は、ポリシロキサン骨格に親水性基を導入した化学構造を有する。親水性基の種類によって、シリコーン界面活性剤のHLB値は変化する。親水性基としては、例えば、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」ともいう。)、ポリプロピレングリコール(以下、「PPG」ともいう。)等のポリエーテル基、ポリグリセリン基が挙げられる。シリコーン界面活性剤は、さらにアルキル基で変性(ポリエーテル・アルキル共変性、ポリグリセリン・アルキル共変性)されていてもよい。また、シリコーン界面活性剤のシリコーン鎖は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。親水性基によって、2つ以上のシリコーン鎖が架橋していてもよい。ポリエチレングリコールにおけるエチレンオキシド単位の数は、特に限定されず、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上又は6以上であってもよい。また、エチレンオキシド単位の数は、11以下、10以下又は9以下であってもよい。
【0026】
シリコーン界面活性剤のHLB値は2~8であり、2~7、3~7、3~6、又は4~6であってもよい。また、シリコーン界面活性剤のHLB値は、1以上、2以上、3以上であってもよい。このようなシリコーン界面活性剤としては、KF-6012(PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、HLB=7.0)、KF-6015(PEG-3ジメチコン、HLB=4.5)、KF-6016(PEG-9メチルエーテルジメチコン、HLB=4.5)、KF-6017(PEG-10ジメチコン、HLB=4.5)、KF-6028(PEG-9ポリメチルシロキシエチルジメチコン、HLB=4.0)、KF-6038(ラウリルPEG-9ポリメチルシロキシエチルジメチコン、HLB=3.0)、KF-6048(セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、HLB=3.5)、KF-6100、KF-6104、KE-6105、KF-6106(商品名、信越化学工業(株)製)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
本実施形態の化粧料組成物では、特定のHLBを有するシリコーン界面活性剤を特定の表面処理顔料とともに含有することにより、隠蔽性及び持続性がさらに高まり、より薄い被膜を形成できる。
【0028】
シリコーン界面活性剤の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、0.5~10質量%であってよく、1~8質量%であることが好ましく、2~6質量%であることがより好ましい。シリコーン界面活性剤の含有量が上記範囲内であると、乳化状態がより安定化され、隠蔽性及び持続性がさらに高まり得る。
【0029】
ポリヒドロキシステアリン酸
本実施形態で使用される(C)ポリヒドロキシステアリン酸は、ヒドロキシステアリン酸の重合体であり、分散剤として機能する。本実施形態に係る化粧料組成物では、ポリヒドロキシステアリン酸を含有することにより、表面処理顔料等の不溶成分の分散性に優れ、ケーキング及び不均一な分離も抑制しやすい。ポリステアリン酸としては、例えば、SALACOS HS-6C(商品名、日清オイリオ社製)が挙げられる。
【0030】
ポリヒドロキシステアリン酸の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、0.05~8質量%であってよく、0.5~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましい。ポリヒドロキシステアリン酸の含有量が上記範囲内であると、ケーキングや不均一な分離をより抑制でき、再分散性も向上し得る。さらに、再分散した後の隠蔽性及び持続性もより高まる。さらに、より薄い皮膜を形成することができる。
【0031】
油相
化粧品組成物は、油相を含む。油相は一般に、シリコーン油、炭化水素油、及びこれらの混合物から選択され得る油を含む。特に油相は、少なくとも(D1)不揮発性油を含む。本実施形態で使用される(D1)不揮発性油は、常温常圧(すなわち、15~25℃、1気圧)環境下において液状であり、気化しない油性成分である。不揮発性油は、(E)シリコーン樹脂又は(F)有機変性粘土鉱物に伴って導入され得る。不揮発性油としては、炭酸環状アルキレン(例えば、炭酸プロピレン)、8~22個の炭素原子の脂肪アルコール(例えば、オクチルドデカノール)、一価又は多価アルコールの脂肪酸エステル(例えば、イソプロピルミリステート、イソノニルイソノナノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ヒマシ油)、アルキルベンゾエート、脂肪族炭化水素(例えば、水素化ポリイソブテン)、液体ラノリン、オリーブ油、鉱油、スクアラン、芳香族ポリシロキサン(例えば、フェニルトリメチコン)が挙げられる。特定の実施形態では、組成物はフェニルトリメチコンを含む。
【0032】
(D1)不揮発性油の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、2~20質量%であってよく、3~14質量%であることが好ましく、4~10質量%であることがより好ましい。不揮発性油の含有量が上記範囲内であると、閉塞感や乾燥によるつっぱり感を生じにくく、より快適な仕上りになり得る。
【0033】
シリコーン樹脂
本実施形態で使用される(E)シリコーン樹脂は、主鎖としてシロキサン結合を有し、架橋構造を有するシリコーン化合物であればよい。好ましいシリコーン樹脂は、トリアルキルシリルシロキシシリケートである。アルキル基は、炭素原子数1~3のアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、1-プロピル基、又は2-プロピル基(イソプロピル基)である。
【0034】
シリコーン樹脂は、被膜形成剤として作用する。本実施形態に係る化粧料組成物では、シリコーン樹脂を含有することにより、耐水性、耐皮脂性、撥水性を付与することができ、しっかりとした被膜が形成され、隠蔽性及び持続性がより高まり、化粧崩れしにくくなる。シリコーン樹脂としては、例えば、フッ素変性シリコーン樹脂(例えば、トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシシリケート)、トリメチルシロキシシリケート、アクリルシリコーン樹脂(例えば、カルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル重合体)及びこれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、シリコーン樹脂はトリメチルシロキシシリケートである。シリコーン樹脂は、揮発性油に溶解した状態で取り扱われることがあり、この場合には揮発性油とともに利用してもよい。このような揮発性油としては、メチルトリメチコン、ジメチコン、イソドデカン、酢酸ブチル等が使用される。特定の実施形態では、シリコーン樹脂はメチルトリメチコンとともに利用される。シリコーン樹脂に伴って導入され得る揮発性油の量は、後述する揮発性油の量として加算される。このようなシリコーン樹脂としては、例えば、KF-7312T商品名、信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0035】
シリコーン樹脂の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、0.5~12質量%であってよく、1~10質量%であることが好ましく、2~8質量%であることがより好ましい。シリコーン樹脂の含有量が上記範囲であると、隠蔽性及び持続性がより向上するだけでなく、仕上がりの快適さにもより優れた化粧料となり得る。
【0036】
有機変性粘土鉱物
本実施形態で使用される(F)有機変性粘土鉱物は、有機分子で疎水性に変性された粘土(clay)であり、増粘作用を有する。粘土としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ドンバッサイト、アンチゴライト、ベルチェリン、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、バーミキュライト、タルク、スチブンサイト、ヘクトライト、サポナイト、クロライト、セピオライトが挙げられ、有機分子で疎水性に変性されている。有機分子としては、例えば、第4級アンモニウム塩が挙げられ、より具体的には、塩化ジステアルジモニウム、塩化ステアラルコニウムが挙げられる。このような有機変性粘土鉱物の具体例は、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライトが知られている。特定の実施形態では、有機変性粘土鉱物はジアステアルジモニウムヘクトライトである。有機変性粘土鉱物は、揮発性油及び/又は不揮発性油に分散した状態で取り扱われることがあり、この場合には揮発性油とともに利用してもよい。このような揮発性油としては、オクタメチルトリシロキサン、イソドデカン、イソヘキサデカン、石油揮発物、メチルトリメチコン、特にイソドデカン、メチルトリメチコン及びこれらの混合物が挙げられる。不揮発性油としては、炭酸プロピレン、ヒマシ油、オリーブ果実油、オクチルドデカノール、ミリスチン酸イソプロピル、液状ラノリン、ミネラルオイル、水素添加ポリイソブテン、フェニルトリメチコン、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、安息香酸アルキルが挙げられる。有機変性粘土鉱物に伴って導入され得る揮発性油又は不揮発性油の量はそれぞれ、後述する揮発性油又は不揮発性油の量として加算される。具体的な有機変性粘土鉱物としては、BENTON GEL ISD L等のBENTON GELシリーズ(商品名、Elementis社製)が知られている。
【0037】
有機変性粘土鉱物の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、0.05~1.5質量%であってよく、0.1~1質量%であることが好ましく、0.2~0.8質量%であることがより好ましい。
【0038】
本実施形態に係る化粧料組成物では、有機変性粘土鉱物を含有することにより、乳化状態の安定性が向上し、皮膚に塗った後の耐水性及び耐皮脂性にも優れ、皮脂等によるにじみも抑制し得る。
【0039】
(G)水の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、3~25質量%であってよく、5~22質量%であることが好ましく、7~20質量%であることがより好ましい。水の含有量が上記範囲内であると、乳化状態が不安定化しにくく、化粧料組成物の粘性をより低下させ、薄い皮膜を形成しやすくなる。
【0040】
本実施形態に係る化粧料組成物は、揮発性油をさらに含有してもよい。揮発性油も、(E)シリコーン樹脂又は(F)有機変性粘土鉱物に伴って導入され得る。揮発性油は、常温常圧(すなわち、15~25℃、1気圧)環境下において液状であり、徐々に気化する油性成分である。揮発性油としては、例えば、メチルトリメチコン、オクタメチルトリシロキサン、ジメチコン、酢酸ブチル、イソドデカン、イソヘキサデカン、石油揮発物、特にイソドデカン、メチルトリメチコン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
揮発性油の含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、15~55質量%であってよく、20~50質量%であることが好ましく、30~45質量%であることがより好ましい。揮発性油の含有量が上記範囲であると、隠蔽性及び持続性を損なうことなく、より薄い被膜を形成することができ、仕上がりの快適さにもより優れる。また、皮膚に塗った後、乾燥によるつっぱり感や皮膚刺激性又は閉塞感を生じにくく、使用感の点からより好ましい。
【0042】
揮発性油と不揮発性油の総含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、20~60質量%であってよく、20~55質量%であることが好ましく、25~45質量%であることがより好ましい。揮発性油と不揮発性油の総含有量が上記範囲であると、化粧料組成物の展延性がより優れたものとなり、より薄い被膜を形成させやすくなるとともに、隠蔽性にも優れる。
【0043】
本実施形態に係る化粧料組成物では、揮発性油と不揮発性油の質量比は、1:1~10:1であってよく、3:1~10:1であることが好ましく、5:1~10:1であることがより好ましく、5:1~7:1であることが特に好ましい。揮発性油と不揮発性油の質量比が上記範囲内であると、より薄い皮膜を形成できるとともに、仕上がりの快適さにもより優れる。
【0044】
本実施形態に係る化粧料組成物は、低級アルコール、多価アルコール、抗菌剤、酸化防止剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
【0045】
低級アルコールは、炭素原子数1~3のモノアルコールであればよい。低級アルコールの具体例は、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロパノール)である。低級アルコールの含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、1~25質量%であってよく、5~20質量%であることが好ましい。低級アルコールの含有量が上記範囲内であると、均一な皮膜を形成しやくすなり、隠蔽性と持続性がさらに高まり得る。
【0046】
多価アルコールは、2つ以上の水酸基を有する、炭素原子数1~8のアルコールであればよい。多価アルコールの具体例は、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールである。多価アルコールの含有量は、化粧料組成物の全質量基準で、1~20質量%であってよく、1~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。多価アルコールの含有量が上記範囲であると、乳化状態を不安定化することなく、保湿効果をより高めることができる。
【0047】
抗菌剤は、化粧料の分野において防腐剤として一般に使用される成分であればよい。抗菌剤は、化粧料中の菌の繁殖を防止して製品としての長期安定性を向上させる目的、又は皮膚常在菌(例えば、アクネ菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌)のバランスを維持又は改善する目的で使用され得る。抗菌剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウム、o-シメン-5-オール、オレイン酸、リノール酸等の炭素原子数12~28の飽和又は不飽和脂肪酸、アマチャエキス、イザヨイバラエキス、イソプロピルメチルフェノール、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、オウゴンオウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オリーブ葉エキス、カキタンニン、カプリリル 2-グリセリルアスコルビン酸、カミツレ花エキス、カモミラエキス、カリンエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、キシリトール、キハダ樹皮エキス、クマザサエキス、クララエキス、紅茶エキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シコンエキス、紫蘇エキス、芍薬エキス、菖蒲エキス、スイカズラエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、タイムエキス、タチジャコウソウエキス、茶エキス、チョウジエキス、ツバキ油、トウニンエキス、ドクダミエキス、ナギイカダ根エキス、ニンニクエキス、ノイバラ果実エキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ブッチャーブルームエキス、ベニバナエキス、ボタンエキス、ホップエキス、ムクロジエキス、モモ葉エキス、ユーカリエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、ローズマリーエキス等の植物抽出物が挙げられる。
【0048】
本発明はまた、本発明で定義される化粧品組成物のケラチン物質、特に皮膚への適用を含む、ケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法に関する。特定の実施形態において、組成物は、毛穴、斑点および小さなしわなどの望ましくない部分を呈する皮膚に適用される。特に、組成物は、健康な被験体(病態に罹患していない被験体を意味する)の皮膚に適用される。
【実施例】
【0049】
以下に、実施例及び比較例を示して、本発明をより詳細に説明する。
【0050】
〔化粧料組成物の調製〕
各実施例及び比較例の化粧料組成物は、表1及び表2に記載の各成分を用いて、以下に示す手順で調製した。表1及び表2中の数字は、特記しない限り、質量部を意味する。
工程1: (A)顔料、(B)シリコーン界面活性剤、(C)ポリヒドロキシステアリン酸、(D1)揮発性油、及び(D2)不揮発性油を室温にて、ホモジナイザーを用いて混合した。
工程2: 得られた混合物に、(E)シリコーン樹脂及び(F)有機変性粘土鉱物を室温にて加えた。
工程3: (G)水、グリセリン、エタノール、安息香酸ナトリウムを室温にて、ホモジナイザーを用いて混合した。
工程4: 工程3で得られた混合物を工程2で得られた混合物に加えて、ホモジナイザーを用いて乳化させた。
(E)シリコーン樹脂として、トリメチルシロキシシロケート(商品名:KF-7312T、信越化学工業(株)製、40%メチルトリメチコンを含有する。)を使用し、(F)有機変性粘土鉱物として、ジステアルジモニウムヘクトライト(商品名:BENTONE GEL ISD V MB、Elementis社製)を使用した。
【0051】
(実施例1~7)
表1の記載にしたがい、化粧料組成物を調製した。処理顔料1~4は、本発明にかかる表面処理顔料である。
処理顔料1:ジメチコン及びステアロイルグルタミン酸2ナトリウムで処理された二酸化チタン(二酸化チタン:ジメチコン:ステアロイルグルタミン酸2ナトリウム=91:8:1(w/w/w))
処理顔料2:ジメチコン及びステアロイルグルタミン酸2ナトリウムで処理された酸化鉄(黄色、酸化鉄:ジメチコン:ステアロイルグルタミン酸2ナトリウム=91:8:1(w/w/w))
処理顔料3:ジメチコン及びステアロイルグルタミン酸2ナトリウムで処理された酸化鉄(赤色、酸化鉄:ジメチコン:ステアロイルグルタミン酸2ナトリウム=91:8:1(w/w/w))
処理顔料4:ジメチコン及びステアロイルグルタミン酸2ナトリウムで処理された酸化鉄(黒色、酸化鉄:ジメチコン:ステアロイルグルタミン酸2ナトリウム=92:7:1(w/w/w))
【表1】
【0052】
(比較例1)
本発明にかかる処理顔料1~4(ダブル処理)に代えて、処理顔料5~8(シングル処理:シリコン)を使用した以外は、実施例1と同様にして、化粧料組成物を調製した。
処理顔料5:ジメチコンで処理された二酸化チタン(二酸化チタン:ジメチコン=98:2(w/w))
処理顔料6:ジメチコンで処理された酸化鉄(黄色、酸化鉄:ジメチコン=98:2(w/w))
処理顔料7:ジメチコンで処理された酸化鉄(赤色、酸化鉄:ジメチコン=98:2(w/w))
処理顔料8:ジメチコンで処理された酸化鉄(黒色、酸化鉄:ジメチコン=98:2(w/w))
【0053】
(比較例2)
本発明にかかる処理顔料1~4(ダブル処理)に代えて、処理顔料9~12(シングル処理:ミリストイルグルタミン酸ナトリウム)を使用した以外は、実施例1と同様にして、化粧料組成物を調製した。
処理顔料9:ミリストイルグルタミン酸ナトリウムで処理された二酸化チタン(二酸化チタン:ジメチコン=97:3(w/w))
処理顔料10:ミリストイルグルタミン酸ナトリウムで処理された酸化鉄(黄色、酸化鉄:ジメチコン=97:3(w/w))
処理顔料11:ミリストイルグルタミン酸ナトリウムで処理された酸化鉄(赤色、酸化鉄:ジメチコン=97:3(w/w))
処理顔料12:ミリストイルグルタミン酸ナトリウムで処理された酸化鉄(黒色、酸化鉄:ジメチコン=97:3(w/w))
【0054】
(比較例3)
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンに代えて、ソルビタンセスキオレエート(他の非イオン性界面活性剤)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化粧料組成物を調製した。
【0055】
(比較例4)
ポリヒドロキシステアリン酸に代えて、ソルビタンセスキオレエートを用いた以外は、実施例1と同様にして、化粧料組成物を調製した。
【0056】
(比較例5)
ポリヒドロキシステアリン酸に代えて、セチルジメチコンを用いた以外は、実施例1と同様にして、化粧料組成物を調製した。
【0057】
(比較例6)
(E)シリコーン樹脂を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、化粧料組成物を調製した。
【0058】
(比較例7)
(F)有機変性粘土鉱物を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、化粧料組成物を調製した。
【表2】
【0059】
次に、得られた各化粧料組成物について、粘性、隠蔽性、持続性、薄膜形成能、仕上がりの快適さを評価した。
【0060】
(1)粘性評価
各化粧料組成物の粘度を、粘度計(装置名:Rheolab QC(Anton Paar社製))を用いて評価した。粘度測定は、25℃、シリンダーST22-4V-40、回転数100rpm、3分間で行った。
【0061】
(2)隠蔽性、持続性、薄膜形成能、仕上がりの快適さの評価
化粧品専門評価パネル10人(25~55歳)の皮膚に、各化粧料組成物を塗布した際のシミと毛穴の隠蔽性、薄膜形成能及び仕上がりの快適さについて、以下の基準にしたがい、評価した。また、持続性については、塗布してから8時間後の状態を、以下の基準にしたがって評価した。「シミ」とは、肌の表面又は皮膚の内部に存在するメラニン等の色素が沈着することにより、周囲と比べて暗色を呈する部分である。この試験では、朝、皮膚に塗布した化粧料組成物について、夕方の時点での状態を評価することを想定している。
〔隠蔽性に関する評価基準〕
A:非常に優れる(例:シミと毛穴が完全に隠蔽されている。)
B:優れる(例:シミは視認できないが、1~2人は毛穴が視認できる。)
C:やや優れる(例:シミは視認できないが、3~5人は毛穴が視認できる。)
D:やや劣る(例:1~2人はシミ及び毛穴が視認できる。)
E:劣る(例:3~5人はシミ及び毛穴が視認できる。)
F:非常に劣る(例:6~10人はシミ及び毛穴が視認できる。)
【0062】
〔持続性に関する評価基準〕
A:非常に優れる(例:8時間経過しても化粧崩れしない。)
B:優れる(例:4時間後には化粧崩れしないが、8時間後には1~2人が化粧崩れする。)
C:やや優れる(例:4時間後には化粧崩れしないが、8時間後には3~5人が化粧崩れする。)
D:やや劣る(例:4時間後には1~2人が化粧崩れする。)
E:劣る(例:4時間後には3~5人が化粧崩れする。)
F:非常に劣る(例:4時間後には6~10人が化粧崩れする。)
【0063】
〔薄膜形成能に関する評価基準〕
A:非常に優れる(例:伸びが非常に良く、透明感がある。)
B:優れる(例:伸びが良く、自然な印象を与える。)
C:やや優れる(例:伸びが若干劣るが、自然な印象を与える)
D:やや劣る(例:厚塗り感はないが、不自然な印象を与える。)
E:劣る(例:厚塗り感があり、不自然な印象を与える。)
F:非常に劣る(例:厚塗り感があり、不自然な印象を与えるだけでなく、さらに粉感も感じる。)
【0064】
〔仕上がりの快適さに関する評価基準〕
A:非常に優れる(例:閉塞感がなく、表情の変化に抵抗を感じない。)
B:優れる(例:閉塞感が若干あるが、表情の変化に抵抗をほぼ感じない。)
C:やや優れる(例:閉塞感があるが、表情の変化に抵抗をほぼ感じない。)
D:やや劣る(例:閉塞感があり、表情の変化に抵抗を感じる。)
E:劣る(例:閉塞感が非常にあり、表情の変化に非常に抵抗を感じる。)
F:非常に劣る(例:閉塞感が非常にあり、表情の変化に非常に抵抗を感じる。さらに、乾燥による皮膚刺激性も感じる。)
【0065】
(3)安定性
調製した化粧料組成物を透明容器に収容し、蓋をして密閉したうえで、50℃で1か月間保管した。また、対照には、同様に、室温で1か月間保管した各化粧料組成物を使用した。保管後の各化粧料組成物の外観を目視で観察し、対照と比較して、以下に示すケーキング、粉体の凝集、分離した上部オイル相の着色のいずれか1つでも観察される場合には「不良」と判断し、対照との差がない場合には「良」と判断した。
ケーキング・・・手で10回振とうしても、沈降した顔料が固まったままの状態になること。
粉体の凝集・・・手で10回振とうしても、顔料が不均一に分散して色むらになること。
分離した油相の着色・・・静置して二層に分離したときの油相が着色すること又は反対側にある物が判別不能なレベルで濁ること。
【0066】
結果を表3及び表4に示す。実施例1~7は、本発明の化粧料の特徴の少なくとも1つを欠く他の実施例と比較して、隠蔽性、持続性、薄膜形成能の点で優れていた。これらの結果は、2種以上の異なる疎水性表面処理剤、特にシリコーン及びアシル化アミノ酸処理の組み合わせで表面処理された顔料、2~8のHLB値を有するシリコーン系界面活性剤、ポリヒドロキシステアリン酸、シリコーン樹脂、有機変性粘土鉱物の水中油型乳化物中での使用が、隠蔽性、薄膜形成能、仕上がりの快適さ、持続性及び安定性の点で最良の結果をもたらすことを実証する。
【表3】
【0067】