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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】制御可能なベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/10 20060101AFI20241126BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A47C27/10 Z
A47C27/08 A
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2022538793
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021014931
(87)【国際公開番号】W WO2021151084
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】62/965,775
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522248674
【氏名又は名称】ペイシェンテック・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ジェイ・フランク
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-322610(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105909499(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108056627(CN,A)
【文献】特開2016-016151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0211829(US,A1)
【文献】特開2017-080252(JP,A)
【文献】特表2011-514230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/10
A47C 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体を支えるための支持構造であって、
複数のゾーンであって、該複数のゾーンの各々が人体の少なくとも一部を支持する構成で互いに隣接している複数のゾーンと、
前記複数のゾーンの各々に配置された少なくとも1つのエアブラダーセルであって、各々が中空の内部空間及び入口ポートを有する密閉された本体を形成しているエアブラダーセルと、
複数のエアポンプを含む空気圧コントローラであって、前記複数のエアポンプの各々は単一のL字形を有する柔軟なマニホルドに流体的に接続されており、前記単一のL字形を有する柔軟なマニホルドは複数の電磁弁のうちの1つまたは複数に流体的に接続されており、前記空気圧コントローラは更に複数の入口管を含み、該複数の入口管の各々は、第1の端部で前記複数の電磁弁のうちの1つに流体的に接続され、第2の端部で前記少なくとも1つのエアブラダーセルの前記入口ポートに流体的に接続された、空気圧コントローラと、
該空気圧コントローラに接続された電源と、を含み、
前記複数のエアポンプが第1のエアポンプと第2のエアポンプとを含み、前記複数の電磁弁が第1の電磁弁と第2の電磁弁とを含み、前記第1の電磁弁は前記複数のゾーンの第1のゾーンに配置された第1のエアブラダーセルと流体的に連通しており、前記第2の電磁弁は前記複数のゾーンの第2のゾーンに配置された第2のエアブラダーセルと流体的に連通しており、
前記空気圧コントローラは、
(i)前記第1のエアポンプを駆動し、前記第1の電磁弁を動作させて、空気を、前記第1のゾーンで前記第1のエアブラダーセルに方向付け、
(ii)前記第1及び第2のエアポンプを駆動し、前記第1及び第2の電磁弁を動作させて、空気を、前記第1のゾーンでは前記第1のエアブラダーセルに、前記第2のゾーンでは前記第2のエアブラダーセルに方向付けている、
支持構造。
【請求項2】
前記複数のゾーンの各々が、股関節部ゾーン、腰部ゾーン及び肩部ゾーンの1つである、請求項1に記載の支持構造。
【請求項3】
前記腰部ゾーンが更に上側腰部ゾーン及び下側腰部ゾーンを含む、請求項2に記載の支持構造。
【請求項4】
前記複数のエアポンプが低電圧直流電源により駆動される、請求項1に記載の支持構造。
【請求項5】
前記単一のL字形を有する柔軟なマニホルドがシリコーンを含む、請求項1に記載の支持構造。
【請求項6】
前記空気圧コントローラが支持構造内に配置されている、請求項1に記載の支持構造。
【請求項7】
前記電源が変圧器を含む、請求項1に記載の支持構造。
【請求項8】
前記空気圧コントローラが更に排出電磁弁を備え、該排出電磁弁が前記少なくとも1つのエアブラダーセルの1つまたは複数と流体的に連通している、請求項1に記載の支持構造。
【請求項9】
前記空気圧コントローラが更に、前記複数のエアポンプの1つまたは複数及び前記複数の電磁弁の1つまたは複数を選択的に制御するための電子制御ボードを含む、請求項1に記載の支持構造。
【請求項10】
エアブラダーセルの数はゾーンの数より大きい、請求項1に記載の支持構造。
【請求項11】
人体を支えるための支持構造であって、
複数のゾーンであって、該複数のゾーンの各々が複数のサイド・バイ・サイドの列の1つで互いに隣接しており、各々の複数のサイド・バイ・サイドの列が人体の少なくとも一部を支持するように構成された、複数のゾーンと、
前記複数のゾーンの各々に配置された少なくとも1つのエアブラダーセルであって、各々が中空の内部空間及び入口ポートを有する密閉された本体を形成しているエアブラダーセルと、
複数のエアポンプを含む空気圧コントローラであって、前記複数のエアポンプの各々は単一の柔軟なマニホルドの第1の管部分に流体的に接続されており、前記単一の柔軟なマニホルドは、前記第1の管部分に垂直に結合された第2の管部分を有しており、該第2の管部分は複数の相互接続された電磁弁のうちの1つまたは複数に流体的に接続されており、前記空気圧コントローラは更に複数の入口管を含み、該複数の入口管の各々は、第1の端部で前記複数の相互接続された電磁弁のうちの1つに流体的に接続され、第2の端部で前記少なくとも1つのエアブラダーセルの前記入口ポートに流体的に接続された、空気圧コントローラと、
前記複数のエアポンプの各々のエアポンプと、前記複数の電磁弁の各々の電磁弁とを選択的に制御するための電子制御ボードと、
該空気圧コントローラに接続された電源と、
を含む支持構造。
【請求項12】
前記少なくとも1つのエアブラダーセルの量は前記複数のゾーンの量より大きい、請求項11に記載の支持構造。
【請求項13】
前記電子制御ボードが前記空気圧コントローラ内に収容されている、請求項11に記載の支持構造。
【請求項14】
前記電子制御ボードは無線通信回路を含み、該無線通信回路は、前記支持構造と、スマートフォン、タブレット、仮想アシスタント、スピーカ、照明、窓覆い及びリモートコンピューティングサーバーの1つまたは複数との間の通信チャネルを確立するためのものである、請求項13に記載の支持構造。
【請求項15】
前記複数のエアポンプが第1のエアポンプと第2のエアポンプとを含み、前記複数の電磁弁が第1の電磁弁と第2の電磁弁とを含み、前記第1の電磁弁は前記複数のゾーンの第1のゾーンに配置された第1のエアブラダーセルと流体的に連通しており、前記第2の電磁弁は前記複数のゾーンの第2のゾーンに配置された第2のエアブラダーセルと流体的に連通しており、
前記空気圧コントローラは、
(i)前記第1のエアポンプを駆動し、前記第1の電磁弁を動作させて、空気を、前記第1のゾーンで前記第1のエアブラダーセルに方向付け、
(ii)前記第1及び第2のエアポンプを駆動し、前記第1及び第2の電磁弁を動作させて、空気を、前記第1のゾーンでは前記第1のエアブラダーセルに、前記第2のゾーンでは前記第2のエアブラダーセルに方向付けている、
請求項11に記載の支持構造。
【請求項16】
前記単一の柔軟なマニホルドがシリコーンを含む、請求項11に記載の支持構造。
【請求項17】
前記空気圧コントローラが支持構造内に配置されている、請求項11に記載の支持構造。
【請求項18】
前記複数のエアポンプの1つまたは複数が直流電源により駆動されており、前記電源がAC-DC変圧器を含む、請求項11に記載の支持構造。
【請求項19】
前記空気圧コントローラが更に排出電磁弁を備え、該排出電磁弁が前記少なくとも1つのエアブラダーセルの1つまたは複数と流体的に連通している、請求項11に記載の支持構造。
【請求項20】
人体を支えるための支持構造であって、
複数のゾーンであって、該複数のゾーンの各々が人体の少なくとも一部を支持する構成で互いに隣接していると共に、前記複数のゾーンの各々が、股関節部ゾーン、腰部ゾーン及び肩部ゾーンの1つである、複数のゾーンと、
前記複数のゾーンの各々に配置された少なくとも1つのエアブラダーセルであって、各々が中空の内部空間及び入口ポートを有する密閉された本体を形成しているエアブラダーセルと、
前記支持構造の近位端に配置された頭部ゾーン及び前記支持構造の遠位端に配置された足部ゾーンであって、各々が非膨張のクッションを含む、頭部ゾーン及び足部ゾーンと
複数のエアポンプを含む空気圧コントローラであって、前記複数のエアポンプの各々は単一の柔軟なマニホルドの第1の管部分に流体的に接続されており、前記単一の柔軟なマニホルドは更に、前記第1の管部分に垂直に結合された第2の管部分を有しており、該第2の管部分は複数の電磁弁のうちの第1の電磁弁に流体的に接続されており、前記複数の電磁弁は、前記第1の電磁弁に流れた空気が前記柔軟なマニホルドとは異なる閉経路を介して残りの複数の電磁弁のうちの1つまたは複数を通って移動するように相互接続されており、前記空気圧コントローラは更に複数の入口管を含み、該複数の入口管の各々は、第1の端部で前記複数の電磁弁のうちの1つに流体的に接続され、第2の端部で前記少なくとも1つのエアブラダーセルの前記入口ポートに流体的に接続された、空気圧コントローラと、
前記複数のエアポンプの各々のエアポンプと、前記複数の電磁弁の各々の電磁弁とを選択的に制御するための電子制御ボードと、
該空気圧コントローラに接続された電源と、
を含む支持構造。
【請求項21】
前記単一の柔軟なマニホルドがシリコーンを含む、請求項20に記載の支持構造。
【請求項22】
前記空気圧コントローラが支持構造内に配置されている、請求項20に記載の支持構造。
【請求項23】
前記空気圧コントローラが減衰材内に封入されている、請求項22に記載の支持構造。
【請求項24】
前記空気圧コントローラが支持構造の前記足部ゾーン内に配置されている、請求項22に記載の支持構造。
【請求項25】
前記電子制御ボードは無線通信回路を含み、該無線通信回路は、前記支持構造と、スマートフォン、タブレット、仮想アシスタント、スピーカ、照明、窓覆い及びリモートコンピューティングサーバーの1つまたは複数との間の通信チャネルを確立するためのものである、請求項20に記載の支持構造。
【請求項26】
前記空気圧コントローラが更に排出電磁弁を備え、該排出電磁弁が前記少なくとも1つのエアブラダーセルの1つまたは複数と流体的に連通している、請求項20に記載の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/965,775号の優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願技術の実施形態は、一般に、膨張可能なブラダー(inflatable bladder)を組み込んだベッドを含むが、これに限定されない制御可能なベッドに関連する。
【背景技術】
【0003】
腹臥位の人体をサポートするための膨張可能なブラダーを備えたマットレスを備えたベッドは、より良い睡眠状態を支援する。しかしながら、騒音や振動を最小限に抑えながら効果的なブラダーの膨張制御を提供することは困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2014/0026327号明細書
【文献】中国特許出願公開第105909499号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0211829号明細書
【文献】中国特許出願公開第108056627号明細書
【文献】米国特許第5249319号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0125905号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0125095号明細書
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】支持構造の実施形態の概略側面図である。
図2】別の支持構造の実施形態の概略側面図である。
図3】空気圧コントローラの実施形態の斜視図である。
図4図3の空気圧コントローラの底面斜視図である。
図5図3の空気圧コントローラの右後面の斜視図である。
図6図3の空気圧コントローラの上部ハウジング部分を取り外した状態での斜視図である。
図7図3の空気圧コントローラの上部ハウジング部分を取り外した状態での平面図である。
図8図6の線8-8に沿った空気圧コントローラの断面図である。
図9図7の線9-9に沿った空気圧コントローラの背面図である。
図10図3の空気圧コントローラの背面パネルを取り外し、典型的な足部(representative foot)を示す実施形態の部分斜視断面図である。
図11】代替的な足部(alternative feet)を示す図3の空気圧コントローラの実施形態の部分斜視図である。
図12】代替的な足部を示す図3の空気圧コントローラの実施形態の別の部分斜視図である。
図13】代替的な足部を示す図3の空気圧コントローラの実施形態の別の部分斜視図である。
図14】センチメートルでの代表的な寸法を示している図3の空気圧コントローラの実施形態である。
図15】本明細書に開示されている空気圧コントローラのマニホルドの斜視図である。
図16図15のマニホルドの左下の斜視図である。
図17図15のマニホルドの平面図である。
図18図15のマニホルドの背面図である。
図19図15のマニホルドを回転させた右側面図である。
図20図19の線20-20に沿ったマニホルドの断面図である。
図21】本願で開示したシステムの実施形態の概略図である。
図22】本願で開示したシステムの実施形態の概略図である。
図23】本願で開示したシステムの実施形態の概略図である。
図24】本願で開示したシステムの実施形態の概略図である。
図25】本願で開示したシステムの実施形態の概略図である。
図26】支持構造の実施形態の概略図である。
図27】支持構造の実施形態の概略図である。
図28】支持構造の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
特定の実施形態は、添付の図面と併せて行われる以下の説明からより良く理解され、同様の参照符号は類似の要素を示している。
【0007】
次に、ここで開示している様々な非限定的な実施形態を説明して、本明細書に開示される装置、システム、方法、及びプロセスの構造、機能、及び使用の原理の全体的な理解を提供する。これらの非限定的な実施形態の1つまたは複数の例が、添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示されているシステム及び方法が非限定的な実施形態であることを理解するであろう。1つの非限定的な実施形態に関連して図示または説明された特徴は、他の非限定的な実施形態の特徴と組合せることができる。そのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。
【0008】
本明細書全体を通して、「様々な実施形態(various embodiments)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」、「一実施形態(one embodiment)」、「いくつかの例示的な実施形態(some example embodiments)」、「一例の実施形態(one example embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、任意の実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。従って明細書の全体を通して、「様々な実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「一実施形態において」、「いくつかの例示的な実施形態において」、「一実施形態において」または「実施形態において」という句の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に言及している訳ではない。更に、特定の特徴、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組合せることができる。
【0009】
本明細書で論じられる例は単なる例示であり、本明細書に記載された装置、デバイス、システム及び方法の説明を支援するために提供される。図面に示されている、または以下で説明されている機能またはコンポーネントは、特に必須として指定されていない限り、装置、デバイス、システムまたは方法の特定の実装のために必須と見なされるべきではない。読みやすく明確にするために、特定のコンポーネント、モジュールまたは方法は、特定の図に関連してのみ説明されている場合がある。コンポーネントのコンビネーションまたはサブコンビネーションを具体的に説明しなかった場合でも、コンビネーションまたはサブコンビネーションが可能でないことを示すものとして理解されるべきではない。また、記載されている方法については、その方法がフローチャートと関連して説明されているかどうかに関係なく、文脈によって別段の指定または要求が無い限り、方法の実行に際して行われるステップの明示的または黙示的な順序は、当該ステップが提示された順序で実行されなければならないことを意味するものではなく、代わりに別の順序で、または並行して実行できることを意味している。
【0010】
ブラダーの膨張の効果的な制御及びベッドコンポーネントの制御に関連する問題の解決策は、本明細書に開示されているブラダー制御装置、方法及びシステムの実施形態を用いて達成することができる。一般に、本開示の装置、方法及びシステムは、ベッド用のマットレス等の支持構造に組み込まれた1つまたは複数のブラダーの比較的速く、静かで、適応可能な膨張、収縮及び膨張制御を提供する。本開示のブラダー制御装置は、ベッド用マットレスの文脈で説明されるが、本明細書で説明される構造、特徴及び利点は、他のブラダー制御に適用できることが理解される。
【0011】
ここで図1を参照すると、支持構造10の実施形態の概略側面図が示され、これは、人30が横たわることができるベッド20用のマットレスを含むことができる。支持構造10はエアブラダーセル(air bladder cell)22A~22F等の1つまたは複数のエアブラダーセル22を組み込むことができ、それぞれのエアブラダーセルが適応クッション(adaptive cushion)として機能し、変化する条件及び制御命令に適応可能である、る。支持構造10は、標準的なシングルベッド、ダブルベッド、クイーンサイズベッド、キングサイズベッドまたは病院用ベッドで使用するのに適切なサイズ及び形状にすることができる。しかしながら、支持構造10のサイズ及び形状は、固定椅子または車椅子での使用等、異なる用途に適合するように変えることができる。もちろん、支持構造10はまた、任意のタイプのベッド、プラットフォームまたは家具で使用するためのサイズ及び形状とできることを理解されたい。
【0012】
支持構造10は、1つまたは複数のエアブラダーセル22の圧力を調整することによって、ベッドに横たわっている人30の身体の力の集中(body force concentrations)を調整することができる。各エアブラダーセル22は、その縁で密封的に接合されて、密閉された本体を形成することができる。各々のエアブラダーセル22は、横方向に細長い長方形の形状であって良く、約0.014インチの厚さを有するネオプレン(商標)ゴムまたはポリウレタン等の可撓性のエラストマー材料の薄いシートで作製され得る。各々のエアブラダーセル22のサイドパネル及びエンドパネルは、その縁部で密封的に接合されて、中空の内部空間を有する密閉された本体を形成することができる。任意選択で、各々のエアブラダーセル22は、各エンドパネルが管状プリフォームの反対側の横方向端部に密封的に接合されている管状プリフォームから製造され得る。いずれの実施形態においても、個々のエブラダーセル22の隣接するパネルは、超音波接合、RF溶接または接着接合等の適切な方法によって密封的に接合することができる。
【0013】
エアブラダーセル22の数、サイズ、形状、厚さ、相対的な位置及び間隔は、必要に応じて変えることができる。図1に示されるように、エアブラダーセル22(22A~22E)は、人30の脚、腰、腰部、肩及び頭の領域の1つまたは複数をそれぞれ支持するために配置することができる。
【0014】
支持構造10は、個別の支持ゾーン内の人に支持を提供することができ、各ゾーンは、人の体のターゲット部分に関連付けられている。一例では、支持構造10は、頭部ゾーン、肩部ゾーン、腰部ゾーン(上側及び/または下側)、股関節部ゾーン(hip zone)及び足部ゾーンのうちの1つまたは複数で調整可能な支持を提供することができる。エアブラダーセル22の各列は、複数のゾーンにまたがることができる。例えば、典型的な人体の縦方向に配置された中間セクション(medial section)の主曲率に沿った位置に対応して、3つ~6つのゾーンを配置することができる。図1の例示的な実施形態に示されるように、支持構造10は、6つのエアブラダーセル22及び4つの支持ゾーン50、例えば、エアブラダーセル22A、22B及び22Fを含む結合された頭脚支持ゾーン(combined head and leg support zone)50A、 エアブラダーセル22Eを含む肩部支持ゾーン50B、エアブラダーセル22Dを含む腰部支持ゾーン50C、及びエアブラダーセル22Cを含む股関節支持ゾーン50Dを有するベッド20であって良い。従って、図1に示される実施形態では、 図1に示されるように、支持構造10は、6つのエアブラダーセル22及び4つの支持ゾーン50を有するが、一般に、支持構造は、6つを超えるエアブラダーセル、及びエアブラダーセルの数と同等またはそれ以下の支持ゾーンを有していて良い。一実施形態では、エアブラダーセル22は、隣接するエアブラダーセルが互いに物理的に接触するように、それぞれ無視できる程に小さい最小の縦方向及び横方向の間隔で、前及び後及び横に並べて密接に配置することができる。
【0015】
別の代表的な実施形態では、図2に示されるように、支持構造10は、エアブラダーセル22及びクッション部材42の組合せを含むことができ、これらは、発泡クッション等の非膨張のクッション(non-inflated cushions)であって良い。図示の実施形態では、2つのクッション部材42が提供され、脚部支持ゾーン50Eに配置された脚部ゾーンクッション42Aと、頭部支持ゾーン50Fに配置された頭部ゾーンクッション42Bとである。更に図2を参照すると、一実施形態では、支持構造10は、3つの支持ゾーン、すなわち股関節支持ゾーンであり得る第1の支持ゾーン50G、腰部支持ゾーンであり得る第2の支持ゾーン50H、及び肩部支持ゾーンであり得る第3の支持ゾーン50Iを有していて良く、各支持ゾーンは1つまたは複数のエアブラダーセルを有している。支持構造は、任意の数のエアブラダーセル22及び/または支持ゾーン50、あるいは支持ゾーン50とエアブラダーセル22の組合せを含み得ることが理解されるべきである。
【0016】
支持ゾーン50ごとに少なくとも1つのエアブラダーセル22を含む1つまたは複数のエアブラダーセル22は、側壁、例えば、左側壁または右側壁を通って突出することができる空気入口ポート24を備えることができ、 エアブラダーセル22内の中空の内部空間との流体連絡を提供する。エアブラダーセル22の空気入口ポート24を通って中空内部空間に流入または排出される空気は、エアブラダーセルを、選択された、所定の、または適応的に変更された圧力まで膨張または収縮させることを可能にする。
【0017】
エアブラダーセル22の形状は、長方形のブロックまたは平行六面体の形状であり得るが、エアブラダーセル22は、クッションの基部から上方に突出する凸状の半球等、任意選択で異なる形状を有し得る。
【0018】
次に図3を参照すると、1つまたは複数のエアブラダーセル22内の空気圧を制御するための空気圧コントローラ100の例が示されている。
【0019】
エアブラダーセル22の各空気入口ポート24は、空気圧コントローラ100に動作可能に接続することができ、空気圧力コントローラ100は、図3に示された入口管110A~110D等の1つまたは複数の入口管110を介して、流体、例えば、空気をエアブラダーセル22に連通させることができる。一実施形態では、単一ゾーン用のエアブラダーセル22は、単一の入口管110に接続することができる。従って、一実施形態では、単一の入口管110は、2つ以上のエアブラダーセル22への空気通路を提供することができる。各入口管110は、空気入口ポート24上の嵌合部(mating feature)または空気入口ポート24に接続された延長管(図示せず)に接続している、クイックディスコネクトコネクタ(quick disconnect connector)であり得るコネクタ118を有することができる。各入口管110は、空気圧コントローラ100のハウジング112から出ており、これは、上部ハウジング部分112Aと、嵌合可能に接続可能な下部ハウジング部分112Bとを含むことができる。空気圧コントローラ100への電力は、図21の例示的な実施形態に示される電源コード170によって提供することができ、 これは、図5に示されるバレルコネクタ等の電源接続142に差し込むことができる。ユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)ケーブル115は、図3及び図5に示されるように、USBポート146で空気圧コントローラ100に接続することができる。USBケーブル115は、空気圧コントローラ100から支持構造上の複数のセンサのうちの1つまたは複数に配線することができ、本明細書で以下に説明するエアブラダーセルの空気圧を制御するための複数の圧力センサのうちの当該1つまたは複数からデータを送信することができる。電力は、空気圧コントローラ100に電力を供給するための他の任意の適切なメカニズム(例えば、PoE、バスバー、ワイヤ及び導管、外部電力貯蔵ユニット等)を介して提供できることを理解されたい。
【0020】
次に図4を参照すると、空気圧コントローラ100の下側は、床に取り付けられた構成または表面に取り付けられた構成のために、1つまたは複数の脚部114を含むことができる。一般に、脚部114は、ゴムまたはネオプレン(商標)等の比較的柔らかく滑りにくい材料(または材料の組合せ)で作ることができ、空気圧コントローラ100からの振動の伝達、または空気圧コントローラ100と、ユーザの寝室の床、テーブル、ナイトスタンド等の取り付け面等との間の振動の伝達を低減するのに寄与している。通気孔116は、空気が1つまたは複数のエアポンプ120を介してエアブラダーセル22との間で最終的に伝達するためにハウジング112に入るのを可能にし、これらは図6に関連して以下に説明される。1つまたは複数のチャネル117は、安全でひずみが軽減された動作のために、USBケーブル115等の固定コード(securing cords)を提供することができる。
【0021】
次に図5を参照すると、空気圧コントローラ100は、入口管110の反対側のエンドパネルまたはリアパネル等の制御パネル部分を含むことができる。例えば、エンドパネルは、接続及び制御パネル140を含むことができ、これは、様々な制御コンポーネント、並びにユーザ入力コンポーネント(例えば、トグルスイッチ、タッチスクリーン、ボタン等)及び/または動作状態、選択されたオプション及び/またはユーザ固有の設定またはデータを示す視覚信号をユーザに提供するためのインジケータ(例えば、LEDライト、ディスプレイパネル等)が含まれる。例えば、接続及び制御パネル140は、電源接続142、オン/オフスイッチ、電源状態インジケータ144、USBポート146、Wi-Fi及び/またはブルートゥース(登録商標)接続状態インジケータ148、リセットボタン等を含んでいて良い。
【0022】
次に図6を参照すると、様々な例示的な構成要素及び特徴を示すために、上部ハウジング部分112Aが取り外された代表的な空気圧コントローラ100の斜視図が示されている。一般に、空気圧コントローラ100は、複数のエアポンプ120を含むことができ、そのそれぞれは、柔軟な(pliable)マニホルド122に動作可能に接続することができ、それを通して、エアポンプ120からの空気は、それぞれが複数の電磁弁124に流れることができる。各々の電磁弁は入口管110に接続されている。一例では、図6及び図7に示されるように、柔軟なマニホルドは、相互接続された複数のソレノイド124の第1のソレノイドバルブ124への適切な接続によって接続されることができ、相互接続は、空気流が第1のソレノイドバルブを通って最後のソレノイドバルブ124まで続くための閉経路を含む。従って、1つまたは複数のエアポンプ120からの空気は、第1の電磁弁124に流れ、次に、残りの電磁弁124の1つまたは複数を通って流れて、電磁弁124のいずれかまたは全てに空気流を提供することができる。柔軟なマニホルド122は、剛性ポリマー、金属、複合材料等のような剛性材料で作られたマニホルドと比べて柔軟である。一実施形態では、柔軟なマニホルドはシリコーンを含む。エアポンプ120は、24VDCまたは12VDCポンプ等の低電圧直流電源により駆動可能であって良い。動作中、空気は、空気圧コントローラ100の外側から、1つまたは複数のエアポンプ120によって選択的に圧送され得、圧送されたそれぞれの空気は、柔軟なマニホルド122との間で供給され、そして1つまたは複数の電磁弁124を介して選択的に圧送され、次いで 入口管110を通り、支持ゾーン50の1つまたは複数のエアブラダーセル22に入る。ポンプ、ソレノイド及び他の動作コンポーネントの動作は、多機能プロセッサであるかまたはそれを含むことができる電子制御ボード126の様々なコンポーネントを介して選択的且つ個別に制御することができる。電子制御ボード126は、データのシリアル通信のためのRS-232接続、CANバス、イーサネット機能、USBのための接続、ブルートゥース(登録商標)接続、マルチチャネルWi-Fi、並びに受信、分析、報告、またはそれ以外の場合は、一つまたは複数のゾーンの一つまたは複数のセンサからの圧力の入力からのデータを処理するためのI/O機能を有している。電子制御ボード126は、制御の分野で知られている方法で、制御パネル140の機構(features)に動作可能に接続されている。
【0023】
次に図7を参照すると、上部ハウジング部分112Aが取り外された空気圧コントローラ100の平面図において、4つのエアポンプ120が存在する実施形態の一例が示されており、エアポンプそれぞれが単独で、または1つまたは複数の他のエアポンプと組合せて空気を柔軟なマニホルド122へ圧送することができる。柔軟なマニホルド122は、図示の実施形態では、4つのソレノイドバルブ124に空気流を向けている。第5の電磁弁124Aは、1つまたは複数のエアブラダーセル22から空気を放出するためのベントとして作動させることができる。一般に、任意の数のエアポンプ120及び任意の数の電磁弁124を選択的に利用することができる。各ソレノイドバルブ124は、対応する圧力変換器134への流体連通を提供する戻りホース132を有することができ、ゾーンからの圧力フィードバックを利用して、ゾーンの関連するエアブラダーセル22における適切な圧力制御を容易にすることができる。動作中、制御盤126からの手動またはプログラムされた信号は、1つまたは複数のエアブラダーセル22への所望の空気流の量及び速度に応じて、1つまたは複数のエアポンプ120を選択的に作動させることができる。一実施形態では、例えば、エアブラダーセル22内の比較的小さな体積変化のために最小限の空気流が望まれるかまたは必要とされる場合、1つのエアポンプ120を作動させることができる。しかしながら、例えば、エアブラダーセル22の1つまたは全ての初期充填のために最大の空気流が望まれる場合、4つ全てのエアポンプ120を作動させることができる。特定のエアブラダーセル22が所望の圧力まで満たされると、それらのそれぞれのソレノイド124は、空気流が他のエアブラダーセル22に留まる間、空気流を遮断するために選択的に作動され得る。
【0024】
従って、本明細書の説明から理解できるように、本開示の支持構造10のシステム及び装置を利用するベッドは、複数の支持ゾーン50を有する支持構造10を含むことができ、当該ゾーンは、頭部、肩部、腰部、臀部、足部等の人体の一部に関連付けられている。ゾーン50の数は、例えば、2~10の間または3~6の間であり得る。各ゾーン50は、1つまたは複数のエアブラダーセル22とそれに関連し得る。一実施形態では、単一ゾーン50の全てのエアブラダーセルは、入口管110によって空気圧コントローラ100に動作可能に接続されている。従って、一般に、各ゾーン50に対して1つの入口管110が存在することができる。一実施形態では、本開示のベッドは、5つのエアブラダーセル22及び4つのゾーン50、または10個のエアブラダーセル22及び6個のゾーン50を有していて良い。
【0025】
図8は、空気圧コントローラ100の断面斜視図であり、様々な取り付け機構の例が示されている。エアポンプ120のそれぞれは、上部ハウジング部分112Aと下部ハウジング部分112Bとの間にクランプされることによって強固に取り付けることができる。一実施形態では、クッション部材128は、騒音及び振動を減衰させるために、エアポンプ120の外部ハウジングとハウジング112コンポーネントとの間に配置される。各エアポンプ120は、図9に示されるように、電気コネクタ130を介して電力を供給され得る。
【0026】
次に図10を参照すると、足部114の1つの代表的な設計が示されている。図11図13は、足部114の他の非限定的な設計例を示している。
【0027】
図14は、センチメートル単位で寸法を表している代表的な空気圧コントローラ100を示している。例として、空気圧コントローラ100は、約150cmから350cmの間の幅寸法Wを有することができ、約210cmであり得る。空気圧コントローラ100は、約150cmから約350cmの間の長さLを有することができ、約218cmであり得る。空気圧コントローラ100は、約50cmから約150cmの間の高さ寸法Hを有することができ、約91cmであり得る。空気圧コントローラ110は、特定の用途に応じて他の任意の寸法を有することができることを理解されたい(例えば、シングルベッド対キングサイズベッドでのエアブラダーの制御、または追加のエアブラダーセルを制御する必要がある実施形態)。
【0028】
柔軟なマニホルド122は、図15図20に更に詳細に示されている。図15及び図16は、それぞれ、柔軟なマニホルド122の上面及び底面の斜視図を示している。図17は柔軟なマニホルド122の上面図を示し、図18は背面図を示している。図19は回転させた右側面図を示し、図20は、図19の線20-20に沿った断面を示している。様々な特徴は、図14及び図15に関して説明されており、同様の特徴が図16図19で明らかとなっている。図示されるように、柔軟なマニホルド122は、二次管部分152に供給される一次管部分150を備えた、略L字形を有することができる。第1の端部154は、動作中に接続される(plugged)ことができ、第2の端部156は、動作上、電磁弁に接続することができる。第3の端部158は、上記のように、その中に統合された、またはそれに結合された緊急逃し弁を有することができる。上記のように、エアポンプ120のそれぞれは、エアポンプとの漏れの無い接合を行うのを助けるフランジ部分162を有することができるマニホルド入口管160に接合することができる。複数の入口管160の間のウェビング(webbing)164は、寸法安定性を提供することができ、同様に、柔軟なマニホルドを所定の位置に接続または固定するために使用できる穴166を形成する部分を有することができる。
【0029】
上記の説明から理解できるように、支持構造10は、空気圧コントローラ100の特徴及び構成要素によって利点をもたらすことができ、これは、騒音及び振動を最小限に抑えながら、効果的なエアブラダーセルの膨張を提供する。複数のエアポンプ120を単一のマニホルドに「連結(ganging)」することにより、例えば、柔軟なマニホルド122を通過してソレノイドバルブ124に至る有効量の空気(例えば、毎分立方フィートで測定される)を、可変且つ静粛なやり方で移動させることができる。例えば、エアブラダーセル22を最初に充填するとき、複数のエアポンプ120の全てを駆動させて利用することができる。使用中、任意の所与のエアブラダーセル22内の圧力を維持、変更または他の方法で変更するために利用できるのは、1つのエアポンプ120を含む複数のエアポンプ120の全てよりも少ない。各エアポンプ120は、単一の柔軟なマニホルド122に供給されるので、エアポンプ120のいずれかまたは全てを使用して、ソレノイドバルブ124のいずれかに空気を供給することができる。低電圧DCエアポンプを使用すると、騒音や振動が減少するだけでなく、ユーザの安全性も向上する。更に、上記のように、エアポンプ120の使用が可変的に減少すること、並びにハウジング112に統合されたときの騒音及び振動を隔離する取り付け(isolation mounting)により、騒音及び振動を低減することができる。更に、エアポンプ120のそれぞれを電磁弁124のいずれかに本質的に「相互接続」することによって、入口管110のいずれかまたは全てへの空気の流れ、そして最終的にはエアブラダーセル22を最適化及び/または能力を最大限に発揮させることができる。
【0030】
柔軟なマニホルド122は、空気圧コントローラ100の動作に多くの利点を提供する。一実施形態では、柔軟なマニホルド122は、ゴム、可撓性プラスチック及び/またはシリコーンで作ることができる。柔軟なマニホルド122は、騒音及び振動を低減し、水または化学物質による損傷を最小化または排除し、製造及び使用のコストを低減することができる。柔軟なマニホルド122は、その中にまたはその上に圧力逃し弁136を組み込むことができる。圧力逃し弁は、過圧状態の場合に緊急逃し弁として機能できる安全機能である。圧力逃し弁136は、そこを通って空気を放出することを可能にすることに加えて、作動または動作時に口笛の音等の可聴信号も提供するベンチュリ弁であって良い。
【0031】
いくつかの実施形態では、空気圧コントローラ100は、支持構造10の足部または遠位部分に取り付けられるか、さもなければ近接して配置され得る。しかしながら、空気圧コントローラ100は、支持構造10に対して他の場所に取り付けまたは配置することができることを理解されたい(例えば、側部、支持構造10のヘッド部分、床、壁への取り付け等)。空気圧コントローラ100は、発泡体または他の減衰材で封入する(encapsulate)ことができる。いくつかの実施形態では、空気圧コントローラ100は、支持構造10の片側または支持構造10の複数の側にある1つまたは複数のエアブラダーセル22に(及びいくつかの実施形態では)空気を選択的にポンプ輸送することができる。例えば、第1の空気圧コントローラ100が、支持構造10の第1の側に配置されたエアブラダーセル22に空気を選択的に圧送する実施形態(図示せず)では、第2の空気圧コントローラ100を利用して、支持構造10の第2の側に位置するエアブラダーセル22に空気を選択的に圧送することができる。
【0032】
一実施形態では、ベッドの形態の支持構造10は、図21を参照して説明したように構成することができる。上で説明した様々な特徴及び利点に加えて、 前述の全ての部材が存在することができる図2を参照すると、例示的な構成では、空気圧コントローラ100は、支持構造10の内部、例えば、脚部ゾーンクッション42A内等のクッション部材42の内部に配置することができる。USBケーブル115等の1つまたは複数のケーブルは、1つまたは複数のセンサ、例えば、センサ192のマトリックスに動作可能に接続することができ、そのうちの2つは、感知層190に概略的に示され、この感知層190は支持構造の表面10の全部または一部に延在することができる。一実施形態では、複数のセンサ192、例えば、50~5000のセンサ192を、ベッドの表面上に延びる布地に組み込むことができる。複数のセンサ192は、1つまたは複数のゾーン内の圧力を検出するために感知層190に均等に分配された抵抗要素または容量要素であり得る。この圧力データを利用して、空気圧コントローラ100内に1つまたは複数のエアポンプ120を生じさせ、ゾーン50の1つまたは複数に空気を送り込むか、あるいは、そこに含まれるそれぞれのエアブラダーセル22を介してゾーン50の1つまたは複数から空気を排出する。一実施形態では、複数のセンサ192のうちの1つまたは複数は、圧力変化が圧力調整をトリガーする閾値または基準値を有することができるように、感度について設定または調整することができる。一実施形態では、空気圧コントローラ100は、それ自体がクッション部材42の内部に構成されているコントローラハウジング(図示せず)によって収容及び支持され得る。コントローラハウジングは、例えば、成形フォームピース等の1つまたは複数のピースで構成されたマルチピース部材であり得、これらは、空気圧コントローラ100の周りに適合してしっかりと所定の位置に保持し、適切な空気循環とケーブルアクセスのために開口部を提供するように協働している。
【0033】
複数のセンサ192は、局所圧力を検出し、局所圧力データを空気圧コントローラの制御盤に送信して、必要に応じて、検出された局所圧力のゾーン内の1つまたは複数のエアブラダーセル内の空気量を変化させる命令を実行することによって応答することができる。一実施形態では、人30は、事前プログラミング等によって、支持構造10のための1つまたは複数の所望の圧力プロファイルを事前に決定することができる。圧力プロファイルは、背中や側面等、さまざまな睡眠位置ごとに設定することができる。開示されたシステムによって、1つまたは複数のエアブラダーセル22内の空気の量を増加または減少させるための空気圧コントローラのリアルタイムのフィードバック制御された応答は、例えば、後ろから自分の側に向きを変える人に応答してベッドを再形成するために空気圧を再分配することができる。例えば、人が自身の後ろから自身の上に転がるとき、背部ゾーン50におけるエアブラダーセル22のより多くの膨張が望ましく、臀部ゾーン50及び肩部ゾーン50のそれぞれにおけるエアブラダーセル22のより少ない膨張が望ましい場合がある。エアブラダーセル22の膨張のそのような再分配は、複数のセンサ192を空気圧コントローラ100の制御構成要素と適切にリンクして、所定の膨張レベルを提供するように動作するループ内で感知、応答及びフィードバックを提供することによって達成することができる。従って、エアブラダーセル22の膨張の分布は、各ゾーンについて常に監視することができ、人30が眠っている間に自動的に調整が行われる。
【0034】
空気圧コントローラ100は、例えば、任意のフォームパッドを含む、ベッドの外側に開口部を有する空気ダクト119を含む、任意の適切な経路を介して、ベッドの外側から空気を引き込むことができる。同様に、空気圧コントローラ100は、図21に示されるように、制御パネル140がベッドの外側を向くように配置することができる。空気圧コントローラ100は、上記のように、複数のエアブラダーセル22のそれぞれにつながる1つまたは複数の入口管110を有することができる(そのうちの1つは、図21に代表的に示されている)。空気圧コントローラ100は、例えば、電源コード170及びプラグ174を介して120VAC壁コンセントからAC電源によって電力を供給され得る。電力は、変圧器172によって、例えば、120VACから12VDCに変換されて、エアポンプに電力を供給することができる。一実施形態では、変圧器172は、支持構造10が載置されている床等、支持構造10の外側に配置することができる。この構成では、全ての比較的高い電圧及び全てのAC電圧が支持構造10から分断され(decoupled)、従って、支持構造10上に横たわっている人30から物理的に分離されている。
【0035】
図21の例示的な実施形態から理解できるように、いくつかの有益な利点が支持構造10において達成され得る。低電圧のDCモーターは、人の近くにあるが見えない場所に目立たないように配置でき、外部の影響による不注意な衝撃の影響を受けない安全な電力を提供している。更に、発泡クッションは振動と音を減衰させるのに役立ち、静かで非振動の動作を提供する。最後に、変圧器172は、支持構造10に対して安全に外部に配置され、一方のコードのみが外部に配置される。
【0036】
図22図24に記載された例示的な実施形態から理解できるように、ベッドの形態等の支持構造10は、1つまたは複数の有線及び/または無線通信チャネルを介して、任意の数の他の電子デバイス(例えば、スマートデバイス、IoTデバイス、コンピュータ、スマートフォン等)に通信可能に結合することができる。例えば、図22に例示的に示されるように、支持構造10は、スマートフォン200と無線通信し、接続された「アプリ」を実行し、そこから様々な制御及び設定を管理し、様々なデータを受信及び分析することができる。同様に、図23及び図24に例示的に示されるように、支持構造10は、1つまたは複数の無線通信チャネル(例えば、WiFi通信チャネル、ブルートゥース(登録商標)通信チャネルまたは任意の他の無線通信)を介して、任意の数の電子デバイス240と無線通信することができる。一例では、本開示のシステムは、仮想アシスタント(例えば、ALEXA(登録商標)、GOOGLE(登録商標))、ノイズ発生器(例えば、スピーカ)、触覚フィードバック発生器(例えば振動装置)、ノイズキャンセリングスピーカ、照明、窓覆い(window coverings)、ガレージドアを含むドア、警報システム、スマートサーモスタット及び支持構造10の環境に影響を与えるその他の装置を含んでいて良い。更に、図25に示されるように、生体認証モニタリングを、動きや呼吸等のパラメータを監視するために利用でき、睡眠の質、呼吸、動き及び/または組織圧の分布と管理を、記録、分析及び/または報告するために分析することができる。生体認証データは、ラップトップ、タブレット、スマートフォン等のデバイスに表示することができる。接続及び制御パネル140が表示画面を含む実施形態では、そのような生体認証データは、空気圧コントローラ100自体でユーザに表示することができる。
【0037】
上記の構成要素及び特徴に加えて、空気圧コントローラ100は、睡眠時間、睡眠の快適さ及び睡眠の質に関連するデータ及びレポートを、生成、収集及び/または送信するように動作可能に構成することができる。例えば、睡眠活動に関連するデータを収集して、クラウドベースのストレージに保存できる。そのようなデータは、例えば、睡眠の快適さ、睡眠サイクル、圧力分布、呼吸、心拍数、体温等に関連するデータを含むことができる。同様に、例えば、室内照明、室温、ベッド温度、騒音レベル等を含む、睡眠環境に関連する他のデータを収集、分析及び/または送信することができる。いくつかの実施形態では、そのようなデータは処理され得、レポートは、空気圧コントローラ100によって局所的に生成され、次いで、表示のためにユーザの接続されたデバイスに送信され得る。他の実施形態では、データ処理及びレポート生成は、1つまたは複数のリモートコンピューティングデバイス(例えば、リモートサーバー等)またはリモートコンピューティングサービス(例えば、クラウドサービス)によって実行され、表示のためにユーザの接続されたデバイスに配信され得る。そのような実施形態では、空気圧コントローラ100は、分析及びレポート生成のために、センサデータ及び動作データをリモートコンピューティングデバイス/サービスに送信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、データ処理及びレポート生成の一部は、空気圧コントローラ100とリモートコンピューティングデバイス/サービスとの組合せによっても実行できることを理解されたい。
【0038】
次に図26図28を参照すると、一実施形態では、支持構造10は、エアブラダーセル(図示せず)のゾーン50の左右(例えば、サイド・バイ・サイドで)の列を特徴としており、各列12は、例えば、人30がゾーン50の一列に横になるようにベッドの左側または右側に配置されている。図26図28に示されるように、支持構造10は、L1、L2及びL3として示されるゾーン50の左列12A、並びにR1、R2及びR3として示されるゾーン50の右列12Bを含むことができる。単一の空気圧コントローラ100は、列12のいずれかまたは両方の1つまたは複数の選択ゾーン50にある1つまたは複数のエアブラダーセルに選択的に空気を供給することができる。空気圧コントローラは、エアポンプ120の任意の組合せから(上記のように)ソレノイドバルブの任意の組合せ、並びにゾーン50の任意の組合せに空気を選択的に供給することができる。例として図26に示されるように、空気圧コントローラ100は、6つの電磁弁のうちの4つから、ベッドの左側に横たわっている人(図示せず)のL1及びL2、並びにベッドの右側に横たわっている人(図示せず)のR2及びR3として示される4つのゾーン50に空気を選択的に供給することができる。同様に図27に示されるように、空気圧コントローラ100は、6つのソレノイドのうちの5つから、ベッドの左側に横たわっている人(図示せず)のL1及びL3、並びにベッドの右側に横たわっている人(図示せず)のR1、R2及びR3として示される5つのゾーン50に空気を選択的に供給することができる。同様に図28に示されるように、空気圧コントローラ100は、6つの電磁弁のうちの2つから、ベッドの左側に横たわっている人(図示せず)のL3、及びベッドの右側に横たわっている人(図示せず)のR2として示される2つのゾーン50に空気を選択的に供給することができる。事前に決定されたものを含め、空気供給の任意の組合せを決定することができ、空気圧コントローラ100の構成要素は、必要に応じて、ありとあらゆるエアブラダーセル内の空気圧を調整することができる。一実施形態では、選択されたゾーン内の空気の選択的調整は、手動で調整することができる。一実施形態では、選択ゾーン内の空気の選択的調整は、ユーザ設定及び/または他のシステム設定、並びにフィードバックベースの動的調整を含む、複数のセンサ92からの感知された必要性及び/またはフィードバックに基づいて自動的に調整され得る。一実施形態では、図26図28に記載されているような支持構造10の複数列構成(multi-column configuration)は、2つ以上の空気圧コントローラから供給することができる。一実施形態では、図26図28に記載されているような支持構造10の複数列構成は、ゾーン及びエアブラダーセルの任意の数及び配置、並びに図26図28に示される脚部クッション42A及び/または頭部クッション42B等のクッションの任意の数及び配置を有することができる。
【0039】
実施形態及び例の前述の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。説明されている形式を網羅したり、限定したりすることを意図したものではない。上記の教示に照らして、多くの修正が可能である。それらの修正のいくつかは議論されており、他のものは当業者によって理解されるであろう。企図される特定の用途に適した様々な実施形態の原理を最もよく説明するために、実施形態が選択され、説明された。もちろん、その範囲は、本明細書に記載の例に限定されるものではなく、当業者によって、任意の数の用途及び同等の装置に使用することができる。むしろ、本開示の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義されることが意図されている。
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