(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】チルトローテータからのツールの分離
(51)【国際特許分類】
E02F 3/36 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
E02F3/36 B
(21)【出願番号】P 2022544119
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2021025002
(87)【国際公開番号】W WO2021148236
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-10-06
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513055436
【氏名又は名称】キャタピラー ワーク ツールズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン コニングスブルッヘ、フランク
(72)【発明者】
【氏名】オズワルド、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】シャンクウィッツ、フィリップ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ズーンティジェンス、アルド
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/168540(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01318242(EP,A2)
【文献】特開2004-019436(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187659(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/052762(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールが連結され
たチルトローテータを含むチルトローテータ組立品からツールを分離する方法であって、
前記チルトローテータ組立品の現在の姿勢に対応する少なくとも一つの値を取得すること、
前記少なくとも一つの取得された値が所定の条件を満たすかどうかを制御ユニットで決定すること、および
前記少なくとも一つの取得された値が前記所定の条件を満たすと決定される場合、前記チルトローテータ組立品から前記ツールを分離することを可能にすること、を含む、方法。
【請求項2】
入力装置で入力を受信するステップをさらに含み、前記入力装置での前記入力の受信により、前記少なくとも一つの値が取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの取得された値が前記所定の条件を満たさないと決定される場合、前記ツールを前記チルトローテータ組立品と連結された状態に維持するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チルトローテータ組立品からの前記ツールの分離が可能である場合、ロック手段を使用して前記ツールのロックを解除するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ツールのロックを解除する前記ステップが、前記チルトローテータ組立品のさらなる作動を制限することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の条件が、前記チルトローテータ組立品がカールした姿勢にあることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記チルトローテータ組立品からの前記ツールの分離が可能である場合、前記チルトローテータ組立品から前記ツールを分離するために、前記チルトローテータ組立品を非カール化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一つの値を取得することが、前記少なくとも一つの値をセンサユニットから取得することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の条件が、閾値、上限または下限値、および/またはブール条件を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記チルトローテータ組立品が、前記ツールが連結されるピングラバカプラをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記チルトローテータ組立品が、前記チルトローテータと前記ピングラバカプラとの間に配置される回転可能なマニピュレータテーブルをさらに含み、前記チルトローテータとピングラバカプラを接続する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チルトローテータ組立品が、後向きノッチおよび下向きノッチを有するピングラバカプラを含み、前記所定の条件が、前記ツールが前記ピングラバカプラからロック解除された時に、前記ピングラバカプラからの前記ツールのスイングアウトまたは落下が防止されるように、前記ピングラバカプラの前記後向きノッチが前記下向きノッチよりも実質的に高いことをさらに含む、請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記所定の条件が、前記チルトローテータ組立品の前記姿勢が、前記ツールが実質的に水平であるようにすることを含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記所定の条件が、さらに前記ツールが地面に近接することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ツール上に提供される作業ツール識別子を読み取ること、前記作業ツール識別子をデータベースに対してチェックすること、
前記作業ツール識別子のチェックが成功した場合に、前記データベースから所定の条件を取得すること、を含む作業ツール認識のステップをさらに含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ツールが解体ツール、グラプラ、またはコンパクタのうちのいずか一つとして識別される場合、前記取得された所定の条件が、動作姿勢での前記ツールの分離を可能にする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記所定の条件が、前記ツール
が地面に近接することをさらに含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
請求項
1~17のいずれかに記載の方法を実施するように構成されるチルトローテータ組立品を含む車両。
【請求項19】
コンピュータシステムであって、
ディスプレイと、
前記コンピュータシステム上で使用するための非一時的コンピュータ可読記憶媒体であっ
て、請求項1に記載の方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を保存する、
前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含む、コンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、それに連結されたツールを有するチルトローテータを含むチルトローテータ組立品からツールを分離する方法に関する。本開示の一部の実施形態は、このような方法を実施するように構成された車両および/またはコンピュータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧掘削機、油圧ショベル、バックホウローダーなどの機械は、多くの場合、作業現場で異なる種類の作業を行うために必要となる。例えば、バケット、ハンマー、リッパー、およびグラップルなどの異なる作業ツールを、機械のアームアセンブリ(例えば、ディッパースティックおよびブームを含む)の作業端に係合することができる。近年では、いわゆるチルトローテータと呼ばれる中間ツールが広く使用されている。チルトローテータは、アームアセンブリの作業端部と連結される作業ツールとの間に配置されるリンケージとして機能する。
【0003】
全体的な機械ブレークアウト力のわずかな損失のみによって、最近のチルトローテータモデルは、360度回転と左右交互に約40度の傾斜動作を提供し、機械が単一の位置からより多くの作業領域に到達することを可能にし、機械の再配置とその後の燃料消費量を著しく低減する。チルトローテータにより、オペレータはポスト、岩盤、その他の障害物を回避し、および溝端に沿ってより容易に到達することが可能となる。こうした能力により、機械は、作業に必要な任意の取り付け具またはツールを使用して、あらゆるタイプの障害物またはインフラの上で、下で、および周辺で作業できる。
【0004】
チルトローテータは、通常、オペレータが定義した要件に従って構成され得るモジュラーシステムである。例えば、チルトローテータは、ディッパースティックをツールに接続する唯一の構成要素であってもよい。別の方法として、チルトローテータ組立品は、ツールをチルトローテータと連結するように構成される、その底部に取り付けられる連結器を含み得る。さらに、チルトローテータ組立品は、チルトローテータ組立品の一部として専用の回転可能なターンテーブル構成要素を含み得る。
【0005】
そのために、例えばWO2014/168540A1のような分離方法が既知であり、これは、チルトロータ組立品の一部でありうるクイックカプラを制御するためのシステムを説明する。システムは、制御ユニットのそれぞれによって実施されるチェック手順の基礎として、両方が入力信号を受信する第一および第二の制御ユニットを含む。制御システムは、第一および第二の制御信号の両方がロック解除位置に対する有効な信号に対応する値を示す場合、クイックカプラをロック解除位置へ制御するように配置される制御手段をさらに含む。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一部の実施形態は、それに連結されたツールを有するチルトローテータを含むチルトロータ組立品から、ツールを分離する方法を提供する。一部の実施形態は、このような方法を実施するように構成された車両およびコンピュータシステムを提供する。
【0007】
一部の実施形態では、それに連結されたツールを有するチルトローテータを含むチルトローテータ組立品から、ツールを分離する方法が提供される。方法は、チルトローテータの現在の姿勢/配向/位置に対応する値を取得することを含む。制御ユニットは、取得された値が所定の条件を満たすかどうかを決定する。コントローラは、取得された値が所定の条件を満たすと決定される場合、チルトローテータ組立品からのツールの分離を提供する。
【0008】
一部の実施形態では、プロセッサは、チルトローテータの姿勢/配向/位置、および/またはチルトローテータの姿勢/配向/位置に関連する値が所定の条件を満たすかどうかを決定するために使用され、また、チルトローテータの姿勢/配向/位置、またはチルトローテータの姿勢/配向/位置に関連する値が、所定の条件と合致する場合、コントローラを制御または動作して、チルトローテータからツールを分離しうる。
【0009】
一部の実施形態では、機械は、プロセッサおよび/または分離コントローラを含んでもよく、チルトローテータの姿勢/配向/位置、および/またはチルトローテータの姿勢/配向/位置に関連する値が所定の条件を満たす場合、チルトローテータからツールを切り離してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、添付図面に関連して考慮されるとき、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一部の実施形態による、チルトローテータからツールを分離する方法を実施するためのチルトローテータ組立品を含む車両の側面図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、チルトローテータ組立品の中立姿勢でのピングラバカプラを含むチルトローテータ組立品の側面図を概略的に示す。
【
図3】
図3は、ロックが解除されたロック手段を有するチルトローテータ組立品の中立姿勢でのピングラバカプラを含むチルトローテータ組立品の側面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、チルトローテータ組立品のカールした姿勢でのピングラバカプラを含むチルトローテータ組立品の側面図を概略的に示す。
【
図5】
図5は、ピングラバカプラを含む切り離されたチルトローテータ組立品の斜視図を示す。
【
図6】
図6は、本開示の一部の実施形態による、例えば
図2~5に図示された、チルトローテータからツールを分離する方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本開示の一部の実施形態による、例えば
図2~5に図示された、チルトローテータからツールを分離する方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本開示の一部の実施形態による、例えば
図2~5に図示された、チルトローテータからツールを分離する方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本開示の一部の実施形態による、例えば
図2~5に図示された、チルトローテータからツールを分離する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の一部の実施形態を、添付の図を参照して説明する。図では、同様の要素は同一の参照番号によって示され、その繰り返しの説明は、冗長性を避けるために省略されうる。
【0013】
本開示は、一般に、それに連結されたツールを有するチルトローテータを含むチルトローテータ組立品からツールを分離する方法に向けられる。本開示の実施形態によれば、本方法は、ツールがチルトローテータ組立品から分離され得るかどうかを制御することを含む、安全かつ単純な分離方法を提供する。この制御は、ツールおよび/またはチルトローテータ組立品が安全な分離状態/配向/姿勢ではない時に分離を防止するものであり、例えば、チルトローテータが、ツールがチルトローテータ組立品から落下する姿勢にある時に、オペレータが誤ってツールを係合解除することを防止する。また、チルトローテータが、チルトローテータ組立品からツールがスイングアウトする可能性のある姿勢にあるときに、オペレータが意図せずにツールをリリースするのを防ぐ。
【0014】
ツールをチルトローテータ組立品から分離する基本的な方法は、当業者に周知であり、したがってさらに特定されない。むしろ、本発明によるチルトローテータ組立品からツールを分離する方法の特徴を、以下に記載し、特定する。
【0015】
以下、本発明およびその根底にある原理が、ピングラバカプラを含むチルトローテータ組立品について例示的に説明される。しかしながら、ピングラバカプラに加えて、任意の他の連結器が、チルトローテータ組立品、特にS型掘削機連結器およびCWシリーズ連結器、と組み合わせて交換可能に使用されてもよく、ただし、取り付けられた連結器の特定の設計特徴を考慮に入れるように所定の条件が画定される。
【0016】
図1は、掘削用途で使用され、本明細書に記載される方法を実施することを目的とした車両200の実施形態を示す。車両200は、ブーム210およびディッパースティック220を含み、ディッパースティック220の作業端上にチルトローテータ組立品100を含む。チルトローテータ組立品100は、チルトローテータ10と、チルトローテータ10の底部に取り付けられたピングラバカプラ12とを含む。
【0017】
図1で分かるように、ツール20は、チルトローテータ組立品100に強固に連結されてもよい。連結されると、ツール20は、チルトローテータ組立品100によって作動/制御されてもよい。ツール20は、チルトローテータ組立品の構成要素であってもよいピングラバカプラ12に連結されてもよい。より具体的には、ツール20は、ピングラバカプラ12の後向きノッチ16および下向きノッチ18を介して受けられてもよい。このように、ツール20は、チルトローテータ組立品100に連結されてもよい。ピングラバカプラ12は、チルトローテータ組立品100に固定して取り付けることができるため、ツール20は、チルトローテータ組立品100に強固に連結されうる。したがって、ツール20は、遠隔で簡単にピックアップ、連結、およびロックされうる。ピングラバカプラ12を使用してツール20をピックアップ、連結、およびロックする作業原理は、後向きノッチ16および下向きノッチ18がツール20と係合し得るように、ピングラバカプラ12を整列させることを必要としうる。係合すると、ツール20は、ロック手段を用いて、後向きノッチ16および/または下向きノッチ18にてロックされ得る。
【0018】
以下では、用語「後」および「下」は、
図1に提供される車両200およびデカルト座標系XYZの表示に従って定義される。したがって、チルトローテータ組立品100が、例えば、X-Z平面で約360度回転しても、Y-Z平面で約40度傾いても、X-Y平面でカールしていてもおよびカールしていなくても、後向きノッチ16および下向きノッチは、それぞれ「後方」および「下方」を向いていると画定される。
【0019】
言い換えれば、用語「後方」および「下方」もまた、ツール20によって定義される座標系に関連して見られてもよく、後方方向は、ツールを車両200に近づけることによって活発な作業が通常実行される方向である。
【0020】
図2は、チルトローテータ組立品100の中立姿勢でのピングラバカプラ12を含むチルトローテータ組立品100の側面図を概略的に示す。
図2の破線によって示されるように、ディッパースティック220の姿勢は、以下に記載される特徴については無視されうる。むしろ、チルトローテータ組立品100の姿勢自体は、本開示に記載されるように、ツール20をチルトローテータ組立品100から分離する方法において重要である。本出願の文脈では、用語「チルトローテータ組立品100の姿勢」は、ツール20がチルトローテータ組立品100に強固に取り付けられ得るため、ツール20の姿勢を指す。
【0021】
ここで、
図2は、中立姿勢のチルトローテータ組立品100を示す。チルトローテータ組立品100は、ピングラバカプラ12がチルトローテータ10の回転可能なマニピュレータテーブル14上に取り付けられたチルトローテータ10を含む。このように、ピングラバカプラ12は、上記で識別されるように回転および傾斜され得る。ツール20は、第一のピン24および第二のピン26を含み、第一のピン24は、ピングラバカプラ12の後向きノッチ16に受けられ、第二のピン26は、ピングラバカプラ12の下向きノッチ18に受けられる。それによって、ツール20は、第一のステップで第一のピン24を後向きノッチ16と係合し、それに続くステップで下向きノッチ18で第二のピン26を係合することによって連結され得る。さらに、第二のピン26は、ロック手段22を使用して下向きノッチ18でロックされてもよい。一例として、ロック手段22は、下向きノッチ18で第二のピン26を積極的にロックしうる、油圧作動式ラッチであってもよい。一例として、非作動状態では、ラッチは、ピングラバカプラ12の内側に含まれうる。作動すると、ラッチはピングラバカプラ12から外に駆動され、それによって、ツール20の下向きノッチ18内部で第二のピン26をロックする。ツールを持ち上げるために必要な力は、ツール20の第一のピン24および第二のピン26の上に分布する。一例として、
図2で示されるように、ツール20の重心28は、ツール20の第一のピン24および第二のピン26にわたってほぼ等しくバランスのとれた重量分布をもたらす。
【0022】
図3は、ピングラバカプラ12からのツール20のスイングアウトが起こるシナリオを示す。チルトローテータ組立品100の中立姿勢において、かつロック手段22が開放されている状態では、ツール20は、ピングラバカプラ12の後向きノッチ16で受けられる第一のピン24によってのみ保持され得る。したがって、ツール20は、その重心28が第一のピン24の中心軸を通って延在する垂直平面Aと整列する姿勢に傾き得る。言い換えれば、ツール20の重心28で作用する重力Gは、スイングアウト運動量Sを引き起こし、ピングラバカプラ12の後向きノッチ16からツール20のスイングアウトを引き起し得る。理論上は、
図3に記載されたシナリオは、異なる動作中にも起こり得る。例えば、安全方法がなく、チルトローテータ組立品100の中立姿勢の間にツール20がリリースされる場合である。また、このシナリオは、制御された様式で、すなわち、その後にチルトローテータ組立品100からツール20をロック解除するステップが続く、チルトローテータ組立品100をカールさせるステップの後の、非カール化のステップの間に発生し得る。
【0023】
図2および
図3を考慮すると、ツール20の分離は、ツール20がカールした状態でのみ許容され得る。
図4を参照すると、カールした状態は、ツール20の重心28が垂直面Aに対してオフセットされる状態であってもよい。この文脈では、オフセットという用語は、下向きノッチ18が後向きノッチ16に対して位置する反対側を指す。ツール20の重心28は、後向きノッチ16が、
図4の高さ差のΔHによって示されるように、下向きノッチ18よりも実質的に高い場合、垂直面Aを越えて位置してもよい。高さの最低差ΔHが提供され、本明細書に開示の方法の所定の条件に含まれてもよい。この状態は、ツール20の第二のピン26が下向きノッチ18に力Fを適用する効果を有する。したがって、ピングラバカプラ12からのツール20のスイングアウトまたは落下が防止される。上記で論じた状態は、カールした状態と呼んでもよい。言い換えれば、カールした状態は、ツール20の第二のピン26が、ピングラバカプラ12の下向きノッチ18に対して力Fを加える状態であってもよい。したがって、チルトローテータ組立品100のカールした姿勢では、ツール20は、ロック手段22が開放位置またはロック位置にあるかどうかに関わらず、チルトローテータ組立品100に取り付けられたままとなる。別の方法として、第一のピン24と第二のピン26の地面からの高さの差が所定の値以上であるように、カールした姿勢は、第一のピン24が、ツール20の第二のピン26に対してより高い高度にあるツール20の姿勢として画定されうる。この実施形態によれば、カールした姿勢の基準に一致しない任意の姿勢は、カールしていない姿勢とみなされうる。
【0024】
チルトローテータ組立品100がカールした状態にあるかどうかの識別は、センサユニット3によって達成されうる。こうしたセンサユニット3は、広い意味で、任意の情報源または物理的媒体として理解され、それに基づいて、チルトローテータ組立品の現在の姿勢に対応する値が取得されうる。このように、センサユニット3は、チルトローテータ組立品100の姿勢に対応する少なくとも一つの値を提供しうる。
【0025】
例として、チルトローテータ組立品100を作動させるために使用される一つ、一部、またはすべての構成要素に関する姿勢情報、いわゆる「作動構成要素」、が、センサユニット3によって提供されてもよい。この文脈では、作動構成要素は、ブーム210および/またはディッパースティック220、および/またはチルトローテータ組立品100自体を作動させるための手段、特にチルトローテータ組立品100の回転および傾斜のための手段を含んでもよい。
【0026】
一実施形態によれば、センサユニット3は、バケットシリンダおよび圧力安全弁を含んでもよく、関連する作動構成要素に関する姿勢情報を提供するように構成されてもよい。より具体的には、バケットシリンダは、関連する作動構成要素の特定の姿勢で、バケットシリンダ内の圧力蓄積が圧力安全弁を介して緩和されるように構成され得る。圧力安全弁の作動は、構成要素の現在の姿勢に対応する値を物理的または論理的にもたらし得る。好ましくは、前記の特定の姿勢は、カールした姿勢であってもよい。この場合、センサユニット3は、特定の値V1に対応する値V1を提供する。チルトローテータ組立品の現在の姿勢に対応する値は、ブール型の論理値、すなわち、すなわち、「真」(1)、または「偽」(0)であってもよい。さらに、チルトローテータ組立品を作動させるためにより多くの構成要素が使用される場合、いくつかのセンサユニット3を使用してもよい。この場合、各センサユニット3は、上記に記載されるものと類似した値を提供しうる。別の方法として、センサユニット3は、チルトローテータ組立品の現在の姿勢に対応する組み合わさった値を提供する、いくつかのサブユニットを含んでもよい。
【0027】
チルトローテータ組立品100が、上記に記載のようなカールした状態にあるかどうかの識別は、下向きノッチ18に位置するセンサユニット3によって達成されうる。この実施形態によれば、センサユニット3は、力Fがツール20の第二のピン26によって下向きノッチ18に加えられるかどうか、および、好ましくはツール20の第二のピン26によって下向きノッチ18に加えられる力の量、を示す値を提供するように構成されてもよい。この姿勢では、下向きノッチ18に加えられた力は、ツール20からの落下が除外できることを示すため、潜在的なスイングアウトのみが所定の条件内で考慮されねばならない。後者は、例えば、所定の条件内で下向きノッチ18に加えられる十分な最小量の力を定義することによって遭遇しうる。
【0028】
センサユニット3から受信される少なくとも一つの値は、例えば、チルトローテータがカールした姿勢にあるか否かなど、少なくとも一つの値が所定の条件を満たすかどうかの決定に使用されうる。当然のことながら、所定の条件は、異なる方法で策定されうる。例えば、チルトローテータ組立品の現在の姿勢に対応する値が、ブール型の論理値、それゆえに「真」(1)、または「偽」(0)、である場合、値「真」が必要とされるように所定の条件は策定され得る。さらに、ブール型のいくつかの論理値が取得される場合、所定の条件は、すべての取得された値が「真」でなければならないように策定されうる。別の方法として、センサユニットが下向きノッチで測定される力に対応するデータを提供する場合、チルトローテータ組立品の姿勢に対応する少なくとも一つの値は、測定された力に対応する値であってもよい。したがって、所定の条件は、条件を満たすために到達しなければならない最小力値を含んでもよい。力を測定する代替として、他のセンサを利用してもよい。また、チルトローテータ組立品の一つまたは複数の姿勢は、十分に条件内であることが知られている所定のツールのために保存されてもよい。
【0029】
図4に記載されるカールした姿勢から開始して、ロック手段22は、ピングラバカプラ12からのツール20のスイングアウトまたは落下の危険にさらすことなく、安全に開放されうる。後続するステップでは、チルトローテータ組立品100の非カール化は、制御された様式において、チルトローテータ組立品100からツール20をリリースする可能性がある。これは、
図4に図示するチルトローテータ組立品100のカールした姿勢から、
図3に図示するチルトローテータ組立品100の中立姿勢に、チルトローテータ組立品100を非カール化させることによって達成され得る。さらに、チルトローテータ組立品100の非カール化は、ピングラバカプラ12の後向きノッチ16からのツール20のスイングアウトまたは落下が起こるように、さらに行われてもよい。
【0030】
図5は、チルトローテータ10の下端に連結されたピングラバカプラ12を有するチルトローテータ10を含むチルトローテータ組立品100の斜視図を示す。チルトローテータ10の前記下端は、回転可能なマニピュレータテーブル14を含み、それにピングラバカプラ12は固定される。チルトローテータ10は、ピングラバカプラ12を40度の角度まで傾斜させるように構成された傾斜シリンダ30をさらに含む。チルトローテータ組立品100は、例えば、油圧によって、回転可能なマニピュレータテーブル14を約360度(図示せず)作動するための手段をさらに含む。別の方法として、ピングラバカプラ12に加えて、任意の他の連結器を、チルトローテータ組立品100、特にS型掘削機連結器およびCWシリーズ連結器、と組み合わせて交換可能に使用することができる。
【0031】
チルトローテータ組立品100を含む車両200の基本的な構造および基本的な動作モードは、当業者に周知であり、したがってさらに特定されていない。むしろ、チルトローテータ組立品100からツール20を分離する方法の特徴および車両200へのその実施が、以下の節で説明および特定される。
【0032】
チルトローテータ組立品100からツール20を分離する方法の実施形態を
図6にフローチャートの形態で図示する。ステップS20では、チルトローテータ組立品100の現在の姿勢に対応する少なくとも一つの値V1が取得される。表現「チルトローテータ組立品の姿勢」はまた、チルトローテータ組立品100に連結されたツール20の姿勢を含んでもよい。値V1は、例えばセンサユニット3などの、センサおよび/または任意の他のソースからの計算信号、測定信号、または処理または未処理の信号であってもよい。取得された値V1は、さらなる処理のために制御ユニット2によって取得されてもよく、または制御ユニット2に通信されてもよい。少なくとも一つの値V1は、チルトローテータ組立品100の姿勢に関連する任意の値であってよい。少なくとも一つの値V1の取得は、一度、要求に応じて、外部条件によって、断続的にまたは連続的に、行われてもよい。
【0033】
ステップS30で、制御ユニット2は、取得された少なくとも一つの値V1が所定の条件を満たすかどうかを決定しうる。そのため、所定の条件は、少なくとも一つの取得された値V1の比較または評価のための基準として使用される、閾値、上限または下限値、および/またはブール条件を含みうる。ステップS30で少なくとも一つの取得された値V1が所定の条件を満たすと決定された場合、次に、ステップS40で、制御ユニット2はツール20の分離を可能としうる。ツール20のチルトローテータ組立品100からの分離を可能にすることは、特定の取得された変数V1に対する許容を示す変数を含み得る。
【0034】
ステップS40でツールの分離を可能にすることは、チルトローテータ組立品100の現在の姿勢がまだ有効であるかどうかをチェックするステップを含み得る。別の方法として、ステップS40においてツール20の分離を許可する決定は、所定の時間の経過後、および/または新しい変数V1がステップS30で決定されるまで、失効し得る。ステップS40でのツール20の分離を可能にすることは、チルトローテータ組立品100の現在の姿勢が所定の条件を満たすことを示すための警報または信号の発行を含み得る。
【0035】
取得された少なくとも一つの値V1が所定の条件を満たさないと決定される場合、方法は、S41を維持するステップをさらに含み、ツール20はチルトローテータ組立品100と連結された状態にある。このようにして、ツール20は依然として連結され、それによって、チルトローテータ組立品100からツール20を分離する方法が繰り返されてもよい。さらに、取得された少なくとも一つの値V1が所定の条件を満たさないと決定される場合、信号または警報が発されてもよく、少なくとも一つの値V1が所定の条件を満たさないことが示される。
【0036】
さらなる一実施形態では、
図7に示すように、チルトローテータ組立品100からツール20を分離する方法は、入力装置1で入力i1を受信するステップS10をさらに含み、入力装置1で入力i1を受信することにより、少なくとも一つの値V1であるS20が取得される。このように、入力装置1は、例えば、タッチスクリーン、ボタン、スイッチまたは類似のものを有するパネルを含む、オペレータとのインターフェースを提供するように構成されてもよく、オペレータがチルトローテータ組立品100からツール20を分離する方法を開始することを可能にする。
【0037】
さらなる実施形態では、
図8に示すように、チルトローテータ組立品100からツール20を分離する方法は、チルトローテータ組立品100からツール20の分離が許可されている場合、ロック手段22を使用して、S50のツール20をロック解除するステップをさらに含みうる。この構成では、ツール20は依然としてチルトローテータ組立品100に連結されてもよいが、ツール20は、チルトローテータ組立品100のその後の作動によって、手動分解などによって、取り外されてもよい。
【0038】
好ましくは、ツールのS50をロック解除するステップは、チルトローテータ組立品100のさらなる作動を制限することをさらに含み得る。特に、前述のさらなる動作は、所定のツール分離手順のみが従うことができるように制限されうる。代わりにまたは追加的に、チルトローテータ組立品100のさらなる作動の制限は、ツール20が分離されるまで、またはツール20が再び連結されてロックされるまで、アクティブであってもよい。これにより、ツール20が分離された後、ツール20がチルトローテータ組立品100から落下またはスイングアウトすることが防止され得る。
【0039】
所定の条件は、チルトローテータ組立品100が本開示に定義されるようなカールした姿勢にあることを含み得る。一般に、チルトローテータ組立品100のカールした姿勢は、ツール20がロック解除された時に、ツール20が、チルトローテータ組立品からのツール20の落下またはスイングアウトが起こらないようなカールした姿勢に至ることを意味する。特に、ステップS40では、必要な電気および/または油圧アクチュエータは、ツール20がチルトローテータ組立品100からロック解除されうるように、ロック手段22のロックを解除するために作動されてもよい。
【0040】
この場合、
図9に示すように、ロック手段22を使用してツール20をロック解除するステップに、チルトローテータ組立品100を非カール化するステップS60が続く場合がある。このようにして、チルトローテータ組立品100からカールしているがロック解除されたツール20を非カール化すると、ツール20のスイングアウトおよび/または落下が制御された様式で達成され、それによって、ツール20をチルトローテータ組立品100から完全に分離する点に到達する。
【0041】
当業者にとって、これらの実施形態および項目は、複数の可能性の例のみを示すことが明らかであろう。したがって、本明細書に示される実施形態は、これらの特徴および構成の限定を形成すると理解されるべきではない。説明された特徴の任意の可能な組み合わせおよび構成は、本発明の範囲に従って選択することができる。
【0042】
これは、特に、任意の技術的に実行可能な組み合わせにおいて先に言及された実施形態、品目、および/または特徴の一部またはすべてと組み合わせられ得る以下の任意の特徴に関しての事例である。
【0043】
それに連結されたツールを有するチルトローテータを含むチルトローテータ組立品からツールを分離する方法が提供され得る。方法は、チルトローテータの現在の姿勢に対応する少なくとも一つの値を取得すステップ、取得された値が所定の条件を満たすかどうかを制御ユニットにて決定するステップ、および少なくとも一つの取得された値が所定の条件を満たすと決定された場合、チルトローテータ組立品からのツールの分離を可能にするステップを含みうる。したがって、本方法は、チルトローテータの姿勢に依存する安全制御を提供する。
【0044】
結果として、チルトローテータ組立品からツールを分離する公知の方法と比較して、ツールの近傍には、原理上は必要なセンサはない。代わりに、チルトローテータ組立品の現在の姿勢に対応する変数は、例えば、チルトローテータ組立品および/または車両の電子および/油圧制御から直接取得されてもよい。例として、チルトローテータ組立品が油圧的に作動される場合、油圧シリンダの現在の位置に関する情報は、機械制御システムで既に容易に利用可能であり得る。別の方法として、前述の情報は、好都合に、ツールから遠隔で取得され、チルトローテータ組立品の現在の姿勢に対応する変数として使用されうる。このように、より信頼性が高く、より単純で、かつより安全なチルトローテータ組立品からのツールの分離方法が、実現され得る。
【0045】
さらなる開発において、本方法は、入力装置で入力を受信するステップをさらに含み、入力装置で入力を受信することにより、少なくとも一つの値が取得される。具体的には、チルトローテータ組立品からツールを分離する方法を開始することが、外部的に発動され、それによって処理資源を低減することができる。
【0046】
さらに、方法は、少なくとも一つの取得された値が所定の条件を満たさないと決定される場合、チルトローテータ組立品と連結された状態にツールを維持するステップを含んでもよい。したがって、ツールの分離が明示的に除外されるので、追加の安全機構が提供される。具体的には、ツールを連結された状態に保つことは、さらなる値が所定の条件を満たすと決定されるまで有効であり続けることができる。
【0047】
さらに、本方法は、チルトローテータ組立品からのツールの分離が許可されている場合、ロック手段を使用してツールのロックを解除するステップをさらに含みうる。具体的には、ロック手段は、例えば、電気および/または油圧作動構成要素であってもよい。特に、ロック手段は、チルトローテータ組立品にツールを積極的にロックする、油圧シリンダ作動ラッチを含み得る。
【0048】
好ましくは、ツールのロック解除するステップは、チルトローテータ組立品のさらなる作動を制限することをさらに含み得る。ツールのロックを解除すること自体は、緩く連結されたツールによる危険をもたらす。このリスクを軽減するために、例えば、組立品からツールを完全にリリースするのに妥当なチルトローテータ組立品の作動のみが許容され得る。逆の場合、ツールを完全にリリースするために不必要と識別されるチルトローテータ組立品の作動は禁止されうる。こうした制限は、個々のハードウェア構成要素、ならびにチルトローテータ組立品の作動に使用される一つの、一部のまたはすべてのハードウェア構成要素の方向または速度パラメータを含みうる。
【0049】
さらなる発展において、所定の条件は、チルトローテータ組立品がカールした姿勢にあることを含みうる。上記で定義されるように、本開示の文脈におけるカールした姿勢は、ロックが解除された場合、ツールがチルトローテータ組立品からスイングアウトまたは落下しない姿勢に関する。ツールのロックを解除するために機械をカールすることは、チルトローテータが取り付けられていない機械のオペレータが知っている手順である。したがって、本開示で開示される方法を実施するオペレータは、取り扱いの差異に気づかないであろう。
【0050】
さらに、チルトローテータ組立品からのツールの分離が許可されている場合、チルトローテータ組立品からツールを分離するために、チルトローテータを非カール化するステップを含んでもよい。具体的には、チルトローテータ組立品の非カール化は、制御された様式でチルトローテータ組立品からツールを完全にリリースするように画定されうる。好ましくは、チルトローテータ組立品の非カール化のステップは、速度、方向、および/または地面に対する姿勢関係に関して、チルトローテータ組立品の作動についてのさらなる制限を含み得る。
【0051】
さらなる発展において、少なくとも一つの値を取得することは、少なくとも一つの値をセンサユニットから取得することを含む。この場合、取得された少なくとも一つの値は、ハードウェア構成要素で測定されたハードウェアパラメータを含みうる。具体的には、ハードウェアパラメータは、例えば、シリンダの延長、シリンダ内の圧力、またはその所定のシリンダの弁を通る油圧流体の体積流量であってもよい。この場合、センサユニットは、光学センサ、圧力センサ、近接センサ、またはこれに類するものであってもよい。これにより、チルトローテータの姿勢に関する結論を引き出すことができる。こうしたハードウェアパラメータは、チルトローテータ組立品の姿勢に対応する少なくとも一つの値に置換または追加されうる。別の方法として、こうしたハードウェアパラメータは、チルトローテータの現在の姿勢に対応する値と同一であってもよい。
【0052】
所定の条件は、好ましくは、閾値、上限または下限値、および/またはブール条件を含み得る。本開示の文脈では、所定の条件は、チルトローテータの現在の姿勢に対応する、取得された値との比較を可能にする任意の情報として理解されうる。
【0053】
一実施形態によれば、チルトローテータ組立品は、チルトローテータとピングラバカプラとの間に配置される回転可能なマニピュレータテーブルをさらに含み、チルトローテータとピングラバカプラを接続する。具体的には、ピングラバカプラは、回転可能なマニピュレータテーブルの底部に取り付けられうる。特に、回転可能なマニピュレータテーブルおよびピングラバカプラは、複数の貫通穴を含んでもよく、その貫通穴内には、ピングラバカプラを取り付けるためのボルトが挿入されてもよい。
【0054】
さらに、チルトローテータ組立品は、後向きノッチおよび下向きノッチを有するピングラバカプラをさらに含んでもよく、所定の条件が、ツールがピングラバカプラからロック解除された時に、ツールのピングラバカプラからのスイングアウトまたは落下が防止されるように、ピングラバカプラの後向きノッチが下向きノッチよりも実質的に高いことをさらに含む。こうした後向きノッチと下向きノッチとの組み合わせは、ツールがオペレータによって遠隔的に便利に連結され得るという利点を有する。より具体的には、連結手順の間、オペレータに面する後向きノッチのみが、ツールのピンと係合される必要がある。したがって、ツールは、ピングラバカプラとヒンジで連結され、下向きノッチがツールの第二のピンと係合するまで、ツールを傾けることによって、便利に完全に連結され得る。最終ステップでは、ピングラバカプラの一方または両方のノッチで、係合したピンをロックするためにロック手段を作動させてもよい。
【0055】
上述の開示に記載されるように、チルトローテータ組立品のカールした姿勢は、姿勢であってもよい。下向きノッチよりも実質的に高いピングラバカプラの後向きノッチは、ツールの第二のピンが下向きノッチに力を加えるように、取り付けられたツールの重心が位置付けられる状態に関する。これにより、ツールがロック解除されていても、ピングラバカプラからのツールのスイングアウトまたは落下を防ぐことができる。ツールおよびツール内の負荷は変化する場合があるため、ツールの第二のピンがピングラバカプラの下向きノッチに力を加えるかどうかをチェックするステップを含むことが必要であり得る。別の方法として、ツールが積載されているか、または空であるかをチェックする、および/またはチルトローテータ組立品に連結されたツールのカールした状態についての情報を含む所定のデータセットに対してツールをチェックするステップを含むことが可能であり得る。
【0056】
さらなる発展において、所定の条件は、チルトローテータ組立品の姿勢がツールを実質的に水平であるようにすることを含んでもよく、好ましくは、所定の条件は、ツールが地面に近いことを含む。この文脈では、ツールを水平化することは、重力のベクトルに関連する。具体的には、ツールの水平化は、ツールのタイリング方向に関して行われてもよい。したがって、後向きノッチに関して、平行ではない様式で落下またはスイングアウトし、ツールが、ツール、チルトローテータ組立品および周囲環境を損傷しうることが防止されうる。この観点から、ツールが落下またはスイングアウトし得る高さを制限することがさらに有利であり得る。高さは、地面が車両の最低点であると仮定して決定されうる。別の方法として、高さは、センサを使用して決定されてもよい。
【0057】
さらなる発展において、方法は、ツール上に提供された作業ツール識別子を読み取ること、ツール識別子をデータベースに対してチェックすること、作業ツール識別子のチェックが成功した場合、データベースから所定の条件を取得すること、からなる作業ツールの認識のステップを含み、好ましくは、ツールが解体ツール、グラプラまたはコンパクタのいずれか一つとして識別される場合、取得された所定の条件は動作姿勢でツールの分離を可能にする。それによって、その寸法または目的のためにカールすることが不利な特定のツールが、カールする必要のない所定の条件の特定のセットを付与されてもよい。具体的には、作業ツール識別子は、作業ツール上に提供されるRFIDタグであってもよく、作業ツール認識とも呼ばれてもよい。作業ツール識別子は、制御ユニットによって読み取られてもよく、機械のソフトウェアに保存されうるデータベースに対してチェックされてもよい。これに関して、ディスプレイ上に警告を発することはさらに有利であってもよく、これは、分離が、グラップルまたはコンパクタにたいして、現在の姿勢で許容されうることを示す。さらに、取得された所定の条件が、ツールが地面に近いことを含むことが有利であり得る。
【0058】
チルトローテータ組立品からツールを分離する提案方法は、チルトローテータ組立品を含む車両に用いられてもよい。具体的には、車両は、上記の開示に従って方法を実施するように構成されうる。したがって、チルトローテータ組立品からツールを分離する上記の方法に関連して記載される技術的特徴もまた、提案される車両に関連しても、かつ適用されてもよく、その逆も同様である。
【0059】
それに加えて、ディスプレイ、コンピュータシステム上で使用するための非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含みうるコンピュータシステムが提供されてもよい。具体的には、コンピュータ可読媒体は、上記に記載の方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を保存してもよい。このように、チルトローテータ組立品からツールを分離する上記の方法に関連して、およびこのような方法を実施するように構成された車両に関連して記載される技術的特徴もまた、コンピュータシステムに関連しても、かつ適用されてもよく、その逆も同様である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
図への参照とともに、チルトローテータとそれに連結されたツールおよびこのようなチルトローテータ組立品を含む車両を含むチルトローテータ組立品を分離する方法が提案される。チルトローテータ組立品からツールを分離する方法は、掘削機などの任意の適切な車両に適用可能である。さらに、チルトローテータ組立品からツールを分離する方法は、チルトローテータ組立品からツールを分離するための従来的な方法に取って代わる場合があり、ソフトウェア更新または改良部品の形態での交換方法として機能しうる。
【0061】
本開示の実施形態と一致する方法、車両、およびシステムは、その上に連結されたツールを有するチルトロータ組立品の安全な分離動作を可能にする。さらに、提案される方法は、オペレータの視点からは、非傾斜回転リンケージを操作する際に、オペレータが行うように訓練された方法に類似している。より具体的には、提案された方法を実施することは、標準的なカールからロック解除の方法と同様の作業順序を提起する。オペレータは、提案された方法を実施するために追加の訓練を必要としないにもかかわらず、建設現場の安全性向上による利益を得る。結果として、提案された教示を適用すると、建設作業はより効率的で生産的となり得る。
【0062】
本開示の方法、車両およびコンピュータシステムに対して様々な修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。本開示のその他の実施形態は、本開示の仕様と実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。本明細書は例としてのみ考慮されることが意図され、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって示される。