(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】固定装置および機械システム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/17 20060101AFI20241126BHJP
B29C 45/42 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/42
(21)【出願番号】P 2022561865
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2021040704
(87)【国際公開番号】W WO2022102520
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2020188090
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】土屋 信篤
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-075334(JP,A)
【文献】特開2001-079856(JP,A)
【文献】特開平11-222163(JP,A)
【文献】特開2016-150692(JP,A)
【文献】特開平07-186211(JP,A)
【文献】特開2020-124840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/17
B29C 45/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の架台に対して第2の架台を固定する固定装置であって、
架台が設置される設置面に対して直交する方向に延びるピン部材を有し、前記ピン部材を用いて前記第1の架台と前記第2の架台とを連結する連結機構と、
前記第1の架台に対して前記ピン部材のピン軸を中心に前記第2の架台が回動することを
不能とする回動抑制部と、
を備え、
前記連結機構は、
前記第1の架台および前記第2の架台の一方に設けられるとともに前記ピン部材を挿通可能な挿通孔を有する第1の連結ユニットと、
前記第1の架台および前記第2の架台の他方に設けられるともに前記ピン部材を有する第2の連結ユニットと、
を備え、
前記第1の連結ユニットと前記第2の連結ユニットとは分離可能であり、前記ピン部材が前記挿通孔に挿通されることによって前記第1の架台と前記第2の架台とが連結される、固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固定装置であって、
前記回動抑制部は、前記連結機構によって前記第1の架台と前記第2の架台とが連結されているときに、前記ピン部材の軸を挟んだ両側に亘って面接触して前記回動を抑制するように、前記第1の架台および前記第2の架台の少なくとも一方に設けられる接触部材を有する、固定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固定装置であって、
前記回動抑制部は
、前記連結機構によって前記第1の架台と前記第2の架台とが連結されているときに、前記ピン部材の軸を挟んで接触して前記回動を抑制するように、前記第1の架台および前記第2の架台の少なくとも一方に設けられる突起部材を有する、固定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の固定装置であって、
前記連結機構を複数有し、
前記回動抑制部は、複数の前記連結機構の各々の前記ピン部材を含む、固定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の固定装置であって、
前記連結機構は、前記ピン部材の軸に対して交差する方向に延びる第2のピン部材を有し、前記ピン部材および前記第2のピン部材を用いて前記第1の架台と前記第2の架台とを連結する、固定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の固定装置であって、
前記第2の架台は、前記設置面からの高さを調整するアジャスターが設けられた複数の脚部を有し、
前記第2のピン部材は、前記アジャスターによって前記設置面からの高さが調整されるときに、前記第1の架台に対する前記設置面からの前記第2の架台の高さを位置決めする、固定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の固定装置であって、
前記連結機構は、
前記第2の
連結ユニットに設けられ、前記ピン部材の軸方向に沿って前記ピン部材をスライド可能に支持するピン支持部材と、
前記第1の
連結ユニットに設けられ、前
記挿通孔を有するピン受部材と、
前記第1の
連結ユニットに設けられ、前記ピン部材を前記挿通孔にガイドするガイド部材と、
を有する、固定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の固定装置であって、
前記ガイド部材は、間隔をあけて一方向に沿って延びる一対の第1のレールと、前記一対の第1のレールの端部に設けられ、前記挿通孔から離れるほど前記間隔が大きくなるように広がる一対の第2のレールとを有する、固定装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の固定装置であって、
前記連結機構は、
前記挿通孔の中心軸と一致するように回転軸が前記ピン受部材に取り付けられ、前記ピン受部材を任意の回転位置に駆動するモータと、
前記第1の架台に取り付けられ、前記モータが固定される支持部材と、
を有する、固定装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の固定装置であって、
前記第1の架台は、産業機械の機台である、固定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の固定装置であって、
前記第1の架台と前記第2の架台との間の距離を検出するセンサと、
前記連結機構によって前記第1の架台と前記第2の架台とが連結されているときの前記距離の変化量が閾値を超えた場合に、前記産業機械を停止させる信号を出力する信号処理部と、
を備える、固定装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の固定装置であって、
前記産業機械は、射出成形機または工作機械である、固定装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の固定装置と、前記第1の架台を有する産業機械と、前記第2の架台に載置されるロボットと、を備える機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定装置および機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-203484号公報には、ロボットが載置された架台(ロボット架台)を、射出成形機の架台(成形機台)に固定した射出成形システムが開示されている。ロボット架台は、成形機台に搭載された射出成形機の型締装置を囲む。ロボットは、型締装置の上方に設けられた開口から成形品を取り出している。
【発明の概要】
【0003】
しかし、成形品を取り出すための開口が型締装置の側面を覆うカバーに設けられた射出成形機の場合、上記のロボット架台を成形機台に固定しても、成形品を取り出すことができない。このため、第1の架台(成形機台(またはロボット架台))の側面から離れた位置に配置した第2の架台(ロボット架台(または成形機台))を、第1の架台に固定し得る固定装置が要求される。
【0004】
そこで本発明は、第1の架台に対して、第1の架台の側面から離れた位置に配置した第2の架台を固定し得る固定装置および機械システムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の第1の態様は、第1の架台に対して第2の架台を固定する固定装置であって、架台が設置される設置面に対して直交する方向に延びるピン部材を有し、前記ピン部材を用いて前記第1の架台と前記第2の架台とを連結する連結機構と、前記第1の架台に対して前記ピン部材のピン軸を中心に前記第2の架台が回動することを抑制する回動抑制部と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様は、機械システムであって、上記の固定装置と、前記第1の架台を有する産業機械と、前記第2の架台に載置されるロボットと、を備える。
【0007】
本発明の態様によれば、設置面に対して直交する方向に延びるピン部材を用いて、第1の架台の側面から離れた位置に配置した第2の架台を、第1の架台に対して回動することなく連結することができる。したがって、第1の架台に対して、第1の架台の側面から離れた位置に配置した第2の架台を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の機械システムを示す側面図である。
【
図2】
図2は、キャスターが設置され、脚部が非設置の状態を示す概略図である。
【
図3】
図3は、脚部が設置され、キャスターが非設置の状態を示す概略図である。
【
図5】
図5Aは、固定装置の第2の架台を示す図であり、
図5Bは、固定装置の第1の架台を示す図である。
【
図6】
図6は、ガイド部材にピン部材がガイドされる様子を示す図である。
【
図7】
図7は、ピン受部材の挿通孔の上方にピン部材が位置している様子を示す図である。
【
図8】
図8は、ピン受部材の挿通孔にピン部材が差し込まれた様子を示す図である。
【
図9】
図9は、ピン部材のピン軸に沿った方向から、ピン受部材の挿通孔にピン部材が差し込まれた様子を示す図である。
【
図10】
図10は、キャスターおよび脚部の昇降の様子を示す図である。
【
図11】
図11Aは、変形例1の第1の連結ユニットの一部を示す図であり、
図11Bは、XIB-XIB矢視断面図である。
【
図12】
図12は、変形例2の第1の連結ユニットの一部を示す図である。
【
図14】
図14は、連結機構を複数有する場合を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について、好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0010】
図1は、実施形態の機械システム10を示す側面図である。機械システム10は、第1の架台12、第2の架台14、および、第1の架台12に第2の架台14を固定する固定装置16を備える。
【0011】
第1の架台12は、産業機械の機台である。産業機械は、金型のキャビティに成形材料を射出して成形品を成形する射出成形機18(
図1)であってもよい。また、産業機械は、工具を用いて加工対象物を加工する工作機械であってもよい。本実施形態の場合、第1の架台12は、射出成形機18の機台とする。以下、第1の架台12は、成形機台12と称する。
【0012】
成形機台12には、射出成形機18の本体を保護する保護カバー20が設けられる。射出成形機18の本体は、金型を開閉する型締装置と、金型のキャビティに成形材料を射出する射出装置とを有する。射出成形機18の本体は、成形機台12の搭載面(上面)12Tに搭載される。保護カバー20の上面と成形機台12の搭載面12Tとに挟まれる保護カバー20の側面には、開閉扉22が設けられる。開閉扉22は、射出成形機18の制御装置から出力される信号に基づいて開閉する。
【0013】
第2の架台14は、産業機械と協働作業する関連装置を載置する架台である。関連装置は、ロボット24(
図1)であってもよい。また、関連装置は、産業機械に空気等の流体を供給する供給装置であってもよい。また、関連装置は、強電盤であってもよい。強電盤には、産業機械に用いられるモータのモータアンプ、産業機械に電源を供給するための電磁開閉器等が収容される。本実施形態の場合、第2の架台14は、ロボット24が載置される架台とする。以下、第2の架台14は、ロボット架台14と称する。なお、ロボット24は、射出成形機18で成形された成形品を、保護カバー20の開閉扉22を介して外部に取り出し得る。
【0014】
ロボット架台14の下面14Bには、複数の脚部28が備えられる。複数の脚部28は、ロボット架台14を支持する。複数の脚部28の各々の構成は略同一である。複数の脚部28の各々には、キャスター26が設けられる。複数のキャスター26は、ロボット架台14を動かし得る。複数のキャスター26の各々の構成は略同一である。
【0015】
図2は、キャスター26が設置され、脚部28が非設置の状態を示す概略図である。
図3は、脚部28が設置され、キャスター26が非設置の状態を示す概略図である。
【0016】
キャスター26には、アジャスター30が設けられる。アジャスター30は、ロボット架台14の下面14Bからのキャスター26の位置を調整する。アジャスター30の構造は特に限定されない。
図2および
図3では、ストッパー30Aと、ばね30Bと、ジャッキボルト30Cとを有するアジャスター30の構造の例が示されている。ストッパー30Aは、ロボット架台14の底板14BPを貫通するキャスター26の棒部材の端部に設けられる。ばね30Bは、底板14BPとストッパー30Aとの間に設けられる。ジャッキボルト30Cは、ロボット架台14の底板14BPを貫通してキャスター26に当接している。ジャッキボルト30Cが右回り(または左回り)に回転すると、ロボット架台14が設置される設置面からキャスター26が上がる。ジャッキボルト30Cが左回り(または右回り)に回転すると、設置面に向かってキャスター26が下がる。
【0017】
脚部28には、アジャスター32が設けられる。アジャスター32は、ロボット架台14が設置される設置面からの脚部28の高さを調整する。アジャスター32の構造は特に限定されない。
図2および
図3では、ナット32Aを有するアジャスター32の構造の例が示されている。ナット32Aは、脚部28の外周面に形成されるねじに螺合する。ナット32Aが右回り(または左回り)に回転すると、ロボット架台14が設置される設置面から脚部28が上がり、ナット32Aが左回り(または右回り)に回転すると、設置面に向かって脚部28が下がる。
【0018】
図4は、固定装置16を示す概略図である。固定装置16は、成形機台12とロボット架台14とを連結する連結機構34を備える。連結機構34は、成形機台12に設けられる第1の連結ユニット34Aと、ロボット架台14に設けられる第2の連結ユニット34Bとを有する。
【0019】
図5Aは、固定装置16のロボット架台14を示す図である。
図5Bは、固定装置16の成形機台12を示す図である。第2の連結ユニット34Bは、ロボット架台14の載置面14T(
図1)と、ロボット架台14の下面14B(
図1)とに挟まれるロボット架台14の側面14Sに取り付けられる(
図5A参照)。ロボット架台14の下面14Bは、ロボット架台14の載置面14Tと反対側の面である。第2の連結ユニット34Bは、基礎プレート36、ピン部材38、ピン支持部材40、第2のピン部材42および第2のピン支持部材44を有する。
【0020】
基礎プレート36は、ロボット架台14に固定される。基礎プレート36は、ロボット架台14が設置される設置面と略平行に延びる部位を有する。
【0021】
ピン部材38は、ピン38Aと、ピン頭38Bとを有する。ピン38Aは、ロボット架台14が設置される設置面に対して直交する方向に延び、基礎プレート36を貫通している。ピン頭38Bは、ロボット架台14が設置される設置面に向くピン38Aの端部とは反対側のピン38Aの端部に設けられる。なお、ピン頭38Bは、備えられていなくてもよい。
【0022】
ピン支持部材40は、基礎プレート36に固定される。ピン支持部材40は、ピン部材38のピン軸(ピン38Aの軸)に沿ってピン部材38をスライド可能に支持する。ピン部材38がピン頭38Bを有する場合、基礎プレート36に向くピン支持部材40の端部とは反対側のピン支持部材40の端部は、ピン頭38Bに対するストッパーとして機能する。
【0023】
第2のピン部材42は、ピン42Aと、ピン頭42Bとを有する。ピン42Aは、ピン部材38のピン軸に対して交差する方向に延びる。本実施形態の場合、ピン42Aは、ロボット架台14の側面14Sおよびピン部材38のピン軸の各々に対して略直交する方向に延びている。ピン頭42Bは、ロボット架台14の側面14Sに向くピン42Aの端部に設けられる。なお、ピン頭42Bは、備えられていなくてもよい。
【0024】
第2のピン支持部材44は、基礎プレート36に固定される。第2のピン支持部材44は、第2のピン部材42のピン軸(ピン42Aの軸)に沿って第2のピン部材42をスライド可能に支持する。第2のピン部材42がピン頭42Bを有する場合、ロボット架台14の側面14Sを向く第2のピン支持部材44の端部は、ピン頭42Bに対するストッパーとして機能する。
【0025】
第1の連結ユニット34Aは、成形機台12の搭載面12T(
図1)と、成形機台12の下面12B(
図1)とに挟まれる側面12Sに取り付けられる(
図5B参照)。成形機台12の下面12Bは、成形機台12の搭載面12Tと反対側の面である。第1の連結ユニット34Aは、ピン受部材46、ガイド部材48および第2のピン受部材50を有する。
【0026】
ピン受部材46は、ピン部材38を受ける部材である。ピン受部材46は、ピン部材38のピン38Aが挿通される挿通孔46Hを有する。挿通孔46Hは、成形機台12が設置される設置面に対して直交する方向に沿って延びている。挿通孔46Hは、ピン受部材46を貫通してもよい。また、挿通孔46Hは、ピン部材38が挿入される面(上面)からその反対側の面(下面)の途中までの凹みとして形成されてもよい。この挿通孔46Hに対して、ピン部材38のピン頭38Bは挿通不可能である。ピン受部材46は、支持部材52を介して成形機台12に固定される。支持部材52は、備えられていなくてもよい。支持部材52が備えられていない場合、ピン受部材46は、成形機台12に対して直に固定される。
【0027】
ガイド部材48は、ピン部材38のピン38Aを、ピン受部材46の挿通孔46Hにガイドする。ガイド部材48は、ピン受部材46に固定される。ガイド部材48は、一対の第1のレール48Aと、一対の第2のレール48Bとを有する。
【0028】
一対の第1のレール48Aは、間隔をあけて一方向に沿って延びている。一対の第1のレール48Aの一方と他方との間には、ピン受部材46の挿通孔46Hが配置される。挿通孔46Hは、一対の第1のレール48Aの端部の近くに位置している。成形機台12の側面12Sを向く一対の第1のレール48Aの端部とは反対側の一対の第1のレール48Aの端部には、一対の第2のレール48Bが設けられる。
【0029】
一対の第2のレール48Bは、ピン受部材46の挿通孔46Hから離れるほど間隔が大きくなるように広がる。一対の第1のレール48Aの端部に接続される一対の第2のレール48Bの端部とは反対側の一対の第2のレール48Bの端部は、開口している。一対の第2のレール48Bの下側に、ピン受部材46が配置されていてもよいし、配置されていなくてもよい。一対の第2のレール48Bの下側は、成形機台12が設置される設置面を向く。
図5Bでは、一対の第2のレール48Bの下側にピン受部材46が配置されていない場合の例が示されている。
【0030】
なお、一対の第1のレール48Aの間において、ピン受部材46の挿通孔46Hよりも成形機台12の側面12Sの近くに、ストッパー54が設けられてもよい。
図5Bでは、ストッパー54が設けられている場合の例が示されている。ストッパー54は、ガイド部材48にガイドされるピン部材38のピン38Aを、ピン受部材46の挿通孔46Hに挿入し得る位置で留める。ストッパー54は、ピン受部材46およびガイド部材48の少なくとも1つに固定される。
【0031】
第2のピン受部材50は、第2のピン部材42を受ける部材である。第2のピン受部材50は、第2のピン部材42のピン42Aが挿通される挿通孔50Hを有する。挿通孔50Hは、成形機台12の側面12Sに対して直交する方向に沿って延びる。挿通孔50Hは、第2のピン受部材50を貫通してもよい。また、挿通孔50Hは、第2のピン部材42が挿入される面(上面)からその反対側の面(下面)の途中までの凹みとして形成されてもよい。この挿通孔50Hに対して、第2のピン部材42のピン頭42Bは挿通不可能である。第2のピン受部材50は、支持部材52を介して成形機台12の側面12Sに固定される。第2のピン受部材50は、成形機台12の側面12Sに形成されている凹部12Cに突出する突出部位を有し、突出部位には挿通孔50Hが形成される。
【0032】
固定装置16は、上記の連結機構34に加えて、回動抑制部56(
図4参照)を備える。回動抑制部56は、成形機台12に対してピン部材38のピン軸を中心にロボット架台14が回動することを抑制する。回動抑制部56は、接触部材58(
図5B参照)を有する。接触部材58は、成形機台12に設けられる。連結機構34によって成形機台12とロボット架台14とが連結されている場合に、接触部材58は、ピン部材38のピン軸を挟んだ両側に亘ってロボット架台14と面接触する。
【0033】
接触部材58は、ロボット架台14の側面14Sと面接触してもよい。また、接触部材58は、第2の連結ユニット34Bの一部と面接触してもよい。なお、本実施形態では、接触部材58は、第2の連結ユニット34Bの基礎プレート36と面接触している(
図4参照)。また、本実施形態では、接触部材58は、第2のピン受部材50と一体に形成されているが、第2のピン受部材50とは別体に形成されていてもよい。
【0034】
次に、成形機台12に対してロボット架台14を固定する固定方法に関して説明する。なお、固定装置16の第1の連結ユニット34Aは成形機台12の側面12Sに取り付けられ、固定装置16の第2の連結ユニット34Bはロボット架台14の側面14Sに取り付けられている。
【0035】
まず、オペレータは、ロボット架台14を移動して、第2の連結ユニット34Bのピン部材38を、第1の連結ユニット34Aの一対の第2のレール48Bの間に入れる(
図6参照)。この場合、ロボット架台14における複数のキャスター26の各々は設置面に設置され、複数の脚部28の各々は設置面に非設置である(
図2参照)。
【0036】
ピン部材38が一対の第2のレール48Bの間に入ると、オペレータは、ロボット架台14を移動して、ピン受部材46に形成された挿通孔46Hの上方に、ピン部材38を配置する。この場合、ガイド部材48は、ピン部材38を挿通孔46Hにガイドする。これにより、オペレータがピン部材38を見ながらロボット架台14を移動しなくても、ピン部材38を挿通孔46Hに導くことができる。
【0037】
なお、ガイド部材48は、一対の第1のレール48Aと、一対の第2のレール48Bとを有する。一対の第2のレール48Bは、ピン受部材46の挿通孔46Hに近い一対の第1のレール48Aの端部とは反対側の一対の第1のレール48Aの端部に設けられる。さらに、一対の第2のレール48Bは、ピン受部材46の挿通孔46Hから離れるほど間隔が大きくなるように広がっている。これにより、一対の第2のレール48Bがない場合に比べて、オペレータが一対の第1のレール48Aの間にピン部材38を入れ易い。すなわち、オペレータは、ピン部材38を見ながらロボット架台14を移動しなくても、一対の第1のレール48Aの間にピン部材38を入れることができる。
【0038】
第1の連結ユニット34Aのストッパー54にピン部材38が接触すると、ピン部材38は、成形機台12に向かってロボット架台14を移動できない状態となる。この状態では、ピン受部材46の挿通孔46Hの上方にピン部材38が位置している(
図7参照)。つまり、ストッパー54が設けられていることで、オペレータは、ピン部材38を見ながらロボット架台14を移動しなくても、挿通孔46Hの上方にピン部材38を配置することができる。
【0039】
挿通孔46Hの上方にピン部材38が配置されると、挿通孔46Hにピン部材38が差し込まれる(
図8参照)。なお、挿通孔46Hへのピン部材38の差し込みは、オペレータにより実行されてもよい。また、ピン部材38をスライド駆動するモータによって、ピン部材38が挿通孔46Hに差し込まれてもよい。
【0040】
挿通孔46Hにピン部材38が差し込まれると、成形機台12とロボット架台14とが連結された状態となる。この状態では、接触部材58は、ピン部材38のピン軸を挟んだ両側に亘って、第2の連結ユニット34Bの基礎プレート36と面接触する(
図9参照)。これにより、成形機台12に対してピン部材38のピン軸を中心にロボット架台14が回動することを抑制することができる。
【0041】
挿通孔46Hにピン部材38が差し込まれた後、オペレータは、アジャスター30(
図3)およびアジャスター32(
図3)を調整して、脚部28を設置面に設置させるとともに、キャスター26を設置面から離間させる(
図10参照)。この状態において、オペレータは、ロボット架台14が設置される設置面からの高さを調整する。
【0042】
具体的には、第2のピン部材42のピン軸が、第2のピン受部材50の挿通孔50Hの中心HC(
図8)と合うように、アジャスター32によって設置面からの高さが調整される。つまり、第2のピン部材42は、成形機台12に対する設置面からの高さが目標の高さになるように、ロボット架台14の位置を決める。これにより、成形機台12に対する設置面からのロボット架台14の高さを正確に調整することができる。
【0043】
第2のピン部材42のピン軸が第2のピン受部材50の挿通孔50Hに挿通された場合、第2のピン部材42は、成形機台12とロボット架台14との高さ方向の相対的な位置ずれを抑制することができる。この場合、第2のピン部材42は、ピン部材38のピン軸を中心にロボット架台14が回動することを抑制する回動抑制部56としても機能する。つまり、回動抑制部56は、第2のピン部材42を含み、接触部材58とともに成形機台12に対するロボット架台14の回動を抑制する。これにより、接触部材58だけで成形機台12に対するロボット架台14の回動を抑制する場合に比べて、回動の抑制力を高めることができる。
【0044】
以上のように本実施形態の固定装置16は、連結機構34と、回動抑制部56と、を備える。連結機構34は、ピン部材38を用いて成形機台12とロボット架台14とを連結する。回動抑制部56は、ピン部材38のピン軸を中心にロボット架台14が成形機台12に対して回動することを抑制する。これにより、成形機台12の側面から離れた位置に配置したロボット架台14を、成形機台12に対して回動することなく連結することができる。したがって、成形機台12に対して、成形機台12の側面から離れた位置に配置したロボット架台14を固定することができる。
【0045】
上記の実施形態は、下記のように変形してもよい。
【0046】
(変形例1)
図11Aは、変形例1の第1の連結ユニット34Aの一部を示す図である。
図11Bは、XIB-XIB矢視断面図である。
図11Aおよび
図11Bでは、第1の連結ユニット34Aの第2のピン受部材50が省略される。また、
図11Aおよび
図11Bでは、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、実施形態と重複する説明は省略する。
【0047】
本変形例では、ピン受部材46の形状が実施形態と異なり、円盤状に形成される。なお、ピン受部材46の形状は円盤状以外の形状であってもよい。また本変形例では、挿通孔46Hは、ピン受部材46を貫通していない(
図11B参照)。本変形例の挿通孔46Hは、ピン部材38が挿入される面(上面)からその反対側の面(下面)の途中までの凹みとして形成されている。また本変形例では、支持部材52の大きさが実施形態に比べて大きく形成されている。
【0048】
本変形例の第1の連結ユニット34Aは、モータ60を新たに有する。モータ60は、ピン受部材46を任意の回転位置に駆動する。モータ60は、回転軸60Aを有する。回転軸60Aは、挿通孔46Hの中心軸AX(
図11B)と一致するようにピン受部材46に取り付けられる。モータ60は、不図示の固定部材によって支持部材52に固定され、支持部材52を介して成形機台12に取り付けられる。なお、本変形例の支持部材52には貫通孔52H(
図11B)が形成されており、ピン受部材46は回転可能に貫通孔52H内に配置される。
【0049】
このように本変形例のピン受部材46は、ガイド部材48およびストッパー54を回転可能に支持し、モータ60によって任意の回転位置に駆動される。これにより、ガイド部材48のガイド方向を任意の位置に変えることができる。したがって、本変形例では、成形機台12の周辺機器を避けてロボット架台14が移動し得るルートとなるように、ガイド部材48のガイド方向を設定することができる。
【0050】
(変形例2)
図12は、変形例2の第1の連結ユニット34Aの一部を示す図である。
図12では、第1の連結ユニット34Aの第2のピン受部材50および支持部材52が省略される。また、
図12では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、実施形態と重複する説明は省略する。
【0051】
本変形例では、ピン受部材46の大きさが実施形態より大きく形成される。ピン受部材46には、回転方向に間隔をあけて複数のねじ穴46SHが形成される。複数のねじ穴46SHの各々の形状および大きさは同じである。また、ピン受部材46の挿通孔46Hの中心軸AXから複数のねじ穴46SHの各々の中心までの距離は同じである。
【0052】
本変形例の第1の連結ユニット34Aは、固定部材62を新たに有する。固定部材62は、ガイド部材48をピン受部材46に固定する。固定部材62は、一対の第1のレール48Aの各々に設けられる。固定部材62には、ねじ穴46SHに螺合するボルト等の締結具が挿通される貫通孔62Hが設けられる。
【0053】
オペレータは、貫通孔62Hを挿通する締結具を複数のねじ穴46SHのいずれかに螺合させる。これにより、締結具が螺合する位置でガイド部材48がピン受部材46に固定される。
【0054】
このように本変形例では、ピン受部材46に形成される複数のねじ穴46SHのいずれかに螺合する締結具を用いて、ガイド部材48をピン受部材46に固定する固定部材62が設けられる。これにより、オペレータによりガイド部材48のガイド方向を任意の位置に変えることができる。したがって、成形機台12の周辺機器を避けてロボット架台14を移動し得るルートとなるように、ガイド部材48のガイド方向を設定することができる。
【0055】
(変形例3)
図13は、回動抑制部56の変形例を、
図9と同じ視点で示す概略図である。
図13では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、本変形例では、実施形態と重複する説明は省略する。
【0056】
回動抑制部56は、接触部材58(
図5B)に代えて突起部材64を有する。突起部材64は、成形機台12に設けられる。突起部材64は、一対の突起64Aを有する。連結機構34によって成形機台12とロボット架台14とが連結されている場合に、一対の突起64Aは、ピン部材38のピン軸を挟んでロボット架台14と点接触する。
【0057】
一対の突起64Aは、ロボット架台14の側面14Sと接触してもよい。また、一対の突起64Aは、第2の連結ユニット34Bの一部と接触してもよい。なお、
図13では、一対の突起64Aが第2の連結ユニット34Bの基礎プレート36と接触している場合が示されている。また、突起部材64は、一対の突起64Aの一方を有する第1突起部材と、一対の突起64Aの他方を有する第2突起部材とに分割されていてもよい。
【0058】
このような突起部材64であっても、接触部材58(
図5B)と同様に、成形機台12に対してピン部材38のピン軸を中心にロボット架台14が回動することを抑制することができる。
【0059】
なお、回動抑制部56は、実施形態の接触部材58(
図5B)と、本変形例の突起部材64との双方を有してもよい。このようにすれば、回動抑制部56が接触部材58(
図5B)および突起部材64の一方だけを有する場合に比べて、成形機台12に対するロボット架台14の回動の抑制力を高めることができる。
【0060】
また、突起部材64は、ロボット架台14に設けられてもよい。この場合、突起部材64は、ピン部材38のピン軸を挟んで成形機台12と点接触する一対の突起を有する。同様に、接触部材58(
図5B)は、ロボット架台14に設けられてもよい。この場合、接触部材58は、ピン部材38のピン軸を挟んだ両側に亘って成形機台12と面接触する。
【0061】
(変形例4)
図14は、連結機構34を複数有する場合を示す概略図である。
図14は、
図1の機械システム10を上側から見ている。
図14では、ロボット24が省略される。また、
図14では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、実施形態と重複する説明は省略する。
【0062】
本変形例では、固定装置16が複数の連結機構34を有する。複数の連結機構34の各々は、変形例1の第1の連結ユニット34Aと、実施形態の第2の連結ユニット34Bとを有する。
図14中の矢印は、変形例1または変形例2で述べたガイド方向を模式的に示している。なお、本変形例の場合、変形例1の第1の連結ユニット34Aは、変形例2の第1の連結ユニット34Aまたは実施形態の第1の連結ユニット34Aに変更可能である。
【0063】
固定装置16が複数の連結機構34を有する場合、連結機構34の各々のピン部材38が回動抑制部56となる。つまり、回動抑制部56は、複数の連結機構34の各々のピン部材38を含む。これにより、接触部材58、突起部材64および第2のピン部材42がなくても、成形機台12に対してピン部材38のピン軸を中心にロボット架台14が回動することを抑制することができる。なお、接触部材58、突起部材64および第2のピン部材42の少なくとも1つが設けられている場合には、成形機台12に対するロボット架台14の回動を抑制する抑制力を高めることができる。
【0064】
(変形例5)
図15は、固定装置16の変形例を、
図6と同じ視点で示す図である。
図15では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、実施形態と重複する説明は省略する。
【0065】
本変形例の固定装置16では、センサ66と、センサ66に接続された信号処理部68とが新たに備えられる。
【0066】
センサ66は、成形機台12とロボット架台14との間の距離を検出する。センサ66は、第1の連結ユニット34Aに設けられてもよいし、第2の連結ユニット34Bに設けられてもよいし、成形機台12に設けられてもよいし、ロボット架台14に設けられてもよい。
図15では、第1の連結ユニット34Aの接触部材58にセンサ66が設けられる場合の例が示されている。
【0067】
信号処理部68は、センサ66に組み込まれていてもよいし、産業機械(射出成形機18)の制御装置に組み込まれていてもよい。連結機構34によって成形機台12とロボット架台14とが連結されている場合、信号処理部68は、成形機台12とロボット架台14との距離をセンサ66から取得する。また、信号処理部68は、成形機台12とロボット架台14との距離の変化量を監視する。
【0068】
成形機台12とロボット架台14との距離の変化量が閾値を超えた場合、信号処理部68は、産業機械(射出成形機18)を停止するための信号を、産業機械の制御装置に出力する。これにより、成形機台12に対するロボット架台14の距離が大きく変化したことに起因する不慮の事故等を未然に防止することができる。
【0069】
(変形例6)
図16は、固定装置16の他の変形例を示す図である。
図16では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。本変形例では、実施形態と重複する説明は省略する。
【0070】
本変形例では、センサ70と、センサ70に接続された表示制御部72とが新たに備えられる。
【0071】
センサ70は、ロボット架台14が設置される設置面からの高さを検出する。センサ70は、第2の連結ユニット34Bに設けられてもよいし、ロボット架台14に設けられてもよい。
図16では、ロボット架台14にセンサ70が設けられる場合の例が示されている。
【0072】
表示制御部72は、センサ70に組み込まれていてもよいし、産業機械(射出成形機18)の制御装置に組み込まれていてもよい。表示制御部72は、ロボット架台14が設置される設置面からの高さをセンサ70から取得する。
【0073】
表示制御部72は、センサ70から取得した設置面からの高さに基づいて、第2のピン受部材50に形成される挿通孔50Hの高さに対する、第2のピン部材42のピン軸の高さを演算する。また、表示制御部72は、演算結果を表示部に表示させる。これにより、オペレータが挿通孔50Hに対するピン軸の位置を見ながらアジャスター32(
図3)を調整しなくても、成形機台12に対する設置面からのロボット架台14の高さを正確に調整することができる。
【0074】
(変形例7)
実施形態のガイド部材48または変形例2のガイド部材48は、成形機台12に直に設けられてもよい。なお、変形例1のガイド部材48は、ピン受部材46の回転と一緒に回転するため、成形機台12に直に設けることはできない。変形例1のガイド部材48は、上述のように、モータ60および支持部材52を介して成形機台12に設けられる。実施形態では、第1の連結ユニット34Aが成形機台12に設けられ、第2の連結ユニット34Bがロボット架台14に設けられた。しかし、第1の連結ユニット34Aがロボット架台14に設けられ、第2の連結ユニット34Bが成形機台12に設けられてもよい。
【0075】
(変形例8)
上記の実施形態および変形例は、矛盾の生じない範囲で任意に組み合わされてもよい。
【0076】
[発明]
上記の実施形態および変形例から把握しうる発明として、以下、第1の発明および第2の発明を記載する。
【0077】
(第1の発明)
第1の発明は、第1の架台(12)に対して第2の架台(14)を固定する固定装置(16)であって、架台が設置される設置面に対して直交する方向に延びるピン部材(38)を有し、ピン部材を用いて第1の架台と第2の架台とを連結する連結機構(34)と、第1の架台に対してピン部材のピン軸を中心に第2の架台が回動することを抑制する回動抑制部(56)と、を備える。これにより、設置面に対して直交する方向に延びるピン部材を用いて、第1の架台の側面から離れた位置に配置した第2の架台を、第1の架台に対して回動することなく連結することができる。したがって、第1の架台に対して、第1の架台の側面から離れた位置に配置した第2の架台を固定することができる。
【0078】
回動抑制部は、連結機構によって第1の架台と第2の架台とが連結されているときに、ピン部材の軸を挟んだ両側に亘って面接触して回動を抑制するように、第1の架台および第2の架台の少なくとも一方に設けられる接触部材(58)を有してもよい。これにより、複数の連結機構を備えていなくても、第1の架台に対してピン軸を中心に第2の架台が回動することを抑制することができる。
【0079】
回動抑制部は、第1の架台および第2の架台の少なくとも一方に設けられ、連結機構によって第1の架台と第2の架台とが連結されているときに、ピン部材の軸を挟んで接触して回動を抑制するように、第1の架台および第2の架台の少なくとも一方に設けられる突起部材(64)を有してもよい。これにより、複数の連結機構を備えていなくても、第1の架台に対してピン軸を中心に第2の架台が回動することを抑制することができる。
【0080】
固定装置は、連結機構を複数有し、回動抑制部は、複数の連結機構の各々のピン部材を含んでもよい。これにより、上記の接触部材または突起部材がなくても、第1の架台に対してピン軸を中心に第2の架台が回動することを抑制することができる。
【0081】
連結機構は、ピン部材の軸に対して交差する方向に延びる第2のピン部材(42)を有し、ピン部材および第2のピン部材を用いて第1の架台と第2の架台とを連結してもよい。これにより、第1の架台に対する第2の架台の高さ方向の位置ずれを抑制することができる。また、第1の架台に対してピン軸を中心に第2の架台が回動することを抑制することができる。
【0082】
第2の架台は、設置面からの高さを調整するアジャスター(32)が設けられた複数の脚部(28)を有し、第2のピン部材は、アジャスターによって設置面からの高さが調整されるときに、第1の架台に対する設置面からの第2の架台の高さを位置決めしてもよい。これにより、第1の架台に対する第2の架台の高さを正確に調整することができる。
【0083】
連結機構は、第2の架台に設けられ、ピン部材の軸方向に沿ってピン部材をスライド可能に支持するピン支持部材(40)と、第1の架台に設けられ、ピン部材が挿通される挿通孔(46H)を有するピン受部材(46)と、第1の架台に設けられ、ピン部材を挿通孔にガイドするガイド部材(48)と、を有してもよい。これにより、ピン部材を挿通孔に挿通して第1の架台と第2の架台とを連結することができる。
【0084】
ガイド部材は、間隔をあけて一方向に沿って延びる一対の第1のレール(48A)と、一対の第1のレールの端部に設けられ、挿通孔から離れるほど間隔が大きくなるように広がる一対の第2のレール(48B)とを有してもよい。これにより、ピン部材を見ながら第2の架台を移動することをオペレータに強要しなくても、一対の第1のレールにピン部材を入れることができる。
【0085】
連結機構は、挿通孔の中心軸(AX)と一致するように回転軸(60A)がピン受部材に取り付けられ、ピン受部材を任意の回転位置に駆動するモータ(60)と、第1の架台に取り付けられ、モータが固定される支持部材(52)と、を有してもよい。これにより、ガイド部材のガイド方向を任意の位置に変えることができる。したがって、第2の架台のピン部材が第1の架台の一対の第2のレールの間に入るように第2の架台を移動するときに、第1の架台の周辺機器を避けるルートとなるように、ガイド方向を設定することができる。
【0086】
第1の架台は、産業機械の機台であってもよい。これにより、産業機械の機台の側面から離れた位置に配置した第2の架台に、当該産業機械と協働するロボット等を設置することができる。
【0087】
固定装置は、第1の架台と第2の架台との間の距離を検出するセンサ(66)と、連結機構によって第1の架台と第2の架台とが連結されているときの距離の変化量が閾値を超えた場合に、産業機械を停止させる信号を出力する信号処理部(68)と、を備えてもよい。これにより、第1の架台に対する第2の架台の距離が大きく変化したことに起因する不慮の事故等を未然に防止することができる。
【0088】
産業機械は、射出成形機(18)または工作機械であってもよい。これにより、射出成形機または工作機械と協働するロボット等を第2の架台に設置することができる。
【0089】
(第2の発明)
第2の発明は、上記の固定装置と、第1の架台を有する産業機械と、第2の架台に載置されるロボット(24)と、を備える機械システム(10)である。この機械システム(10)では、上記の固定装置が備えられている。このため、設置面に対して直交する方向に延びるピン部材を用いて、第1の架台の側面から離れた位置に配置した第2の架台を、第1の架台に対して回動することなく連結することができる。したがって、第1の架台に対して、第1の架台の側面から離れた位置に配置した第2の架台を固定することができる。