(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】侵食防止の改善および侵食防止に関連する改善
(51)【国際特許分類】
E02B 3/08 20060101AFI20241126BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
E02B3/08 301
E02D17/20 103G
(21)【出願番号】P 2022569598
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 GB2021051111
(87)【国際公開番号】W WO2021229205
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2024-04-19
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522445321
【氏名又は名称】ショア ディフェンス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHORE DEFENCE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,マーカス ポール
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス,ウィリアム ポール
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-256343(JP,A)
【文献】特開平11-093132(JP,A)
【文献】特開2001-107366(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0755754(KR,B1)
【文献】特開平05-195520(JP,A)
【文献】特開平11-061835(JP,A)
【文献】特開平09-310322(JP,A)
【文献】特開2003-232024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 1/00-17/08
E02D 1/00-37/00
E02C 1/00- 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
侵食防止システム用のセルアセンブリであって、セルアセンブリは、対向する上面と下面、対向する第1の端面と第2の端面、および対向する第1の側面と第2の側面を有し、
セルアセンブリは、岩石片を収容するための複数のセルを含み、各セルは、底
部、第1および第2の対向する起立した側
部、第1および第2の対向する起立した端
部、および
頂部をそれぞれ菱形金網から形成され、
該菱形金網の連続長は、セルアセンブリの対向する上面および下面ならびに対向する端面の周囲を包んで画定し、菱形金網の連続長は、セルアセンブリの上面、第1の端面および/または第2の端面に位置する重複結合部を形成するために、重なり合って固定された第1端と第2端を有する菱形金網の単一の連続シートであり、
菱形金網の連続長は、セルアセンブリの少なくとも1つの側面を超えて延び、それによって、セルアセンブリが第2のセルアセンブリに隣接して配置されたときに、対応する第2のセルアセンブリの下面、上面、第1の端面および第2の端面の少なくとも一部を重ねるように構成される、セルアセンブリ。
【請求項2】
重複結合部の重なりは、少なくとも80mm、例えば少なくとも150mmであり、及び/又は
各重なりは、金網開口部の少なくとも1行、例えば金網開口部の少なくとも2行であり、
菱形金網の連続長は、少なくとも150mm、任意選択で少なくとも250mmだけセルアセンブリの少なくとも一方の側面を越えて延びる、ことを特徴とする請求項1に記載のセルアセンブリ。
【請求項3】
複数のセルの各々の少なくとも1つの側
部が、隣接するセルの側
部を画定する菱形金網の側面パネルによって画定され、及び/又は、
複数のセルの各々の少なくとも1つの端
部が、隣接するセルの端
部を画定する菱形金網の端面パネルによって画定され、
任意選択で、菱形金網の連続長が各々のセルの少なくとも底
部及び頂
部を形成する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のセルアセンブリ。
【請求項4】
セルアセンブリの少なくとも1つの側面が、
菱形金網の第2の連続長によって画定され、該菱形金網の第2の連続長は、セルアセンブリの
少なくとも1つの側面に隣接する面の周りを少なくとも部分的に
取り囲み、第2の連続長の少なくとも一部が、セルアセンブリの
下面、第1及び第2の端
面並びに
上面を画定する金網の連続長の一部
の上または下に重なり、
任意選択で、
セルアセンブリの第1
の側面と反対側の第2
の側面が共に菱形金網の第2の連続長によって画定されて、第2の連続長の反対端
の端と端と
が結合されている、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセルアセンブリ。
【請求項5】
1つ以上のセルの内部に配置された強化格子を備え、強化格子は、それぞれが少なくとも8mmの直径を有するステンレス鋼ロッドから形成された溶接金網であり、強化格子は、セルの第1の内部幅の少なくとも75%にわたって、および第2の内部幅の少なくとも75%にわたって延び、第1の内部幅は、セルの、対向する端部の間の距離であり、第2の内部幅は、対向する側
部の間の距離である、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のセルアセンブリ。
【請求項6】
金網が、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm
2の引張強度を有する高張力ステンレス鋼線から形成され、
任意選択で、金網のシート及び/又はパネル
同士が、タイワイヤー及び/又は複数のクリップ
で固定され、タイワイヤー及び/又は複数のクリップが、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm
2の引張強度を有する高張力ステンレス鋼線から形成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のセルアセンブリ。
【請求項7】
菱形金網の連続長を形成する菱形金網のシートが、一方の側縁から対向する側縁に平行な方向に延びる
織り合わされたワイヤーから形成され、ワイヤーの端が、隣接するワイヤーの端の対応するループとかみ合うループに結ばれる、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のセルアセンブリ。
【請求項8】
各セルが、
セルの底
部を形成する金網をセルの頂部を形成する金網に結び付ける少なくとも1つの垂直ブレースアセンブリであって、各垂直ブレースアセンブリが、セルの底
部の金網の下に配置された下部ブレースプレート、頂部の金網の上に配置された上部ブレースプレート、および下部ブレースプレートと上部ブレースプレートとを結合する張力ケーブルを含む、少なくとも1つの垂直ブレースアセンブリ、および/または、
セルの側
部または端部を形成する金網を、セルの対向する側
部または端部を形成する金網に結びつける少なくとも1つの水平ブレースアセンブリであって、各水平ブレースアセンブリが、セルの側
部の金網の外側に配置された第1ブレースプレートと、対向側面の金網の外側に配置された第2ブレースプレートと、第1ブレースプレートと第2ブレースプレートとを結びつける張力ケーブルとを含む、水平ブレースアセンブリ、を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のセルアセンブリ。
【請求項9】
各セルが、金網開口部の断面サイズよりも大き
い断面サイズを
すべての寸法において有する岩石片で充填されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のセルアセンブリ。
【請求項10】
各セルが、粒状物質の通過を防止するための水透過性の微粉バリアを含み、微粉バリアは、セルの頂部を形成する金網の下に配置され、任意選択で、微粉バリアは、頂部を形成する金網に隣接する前記セルの頂部を裏打ちし、
微粉バリアが羊毛またはココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成され、
任意選択で、微粉バリアは、側
部および端
部を形成する金網に隣接するセルの側
部および
端部、ならびに任意選択で、底
部を形成する金網に隣接するセルの底
部を裏打ちし、
任意選択で、微粉バリアは、セルの底
部を裏打ちする底
部と、セルの側
部および端
部を裏打ちする側
部、ならびにセルの
頂部を裏打ちする
頂部フラップを有する袋状である、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のセルアセンブリ。
【請求項11】
各セルが、砂および/または土などの粒状材料、ならびに任意選択で、金網開口部の断面サイズよりも大き
い断面サイズを
すべての寸法において有する岩石片を含み、
粒状材料は、微粉バリアの下に配置されるか、または微粉バリアによって囲まれた空間に位置し、
任意選択で、各セルは、生きた草植物などの複数の生きた植物、および/または草の種子などの植物の種子を含み、複数の生きた植物は、少なくとも部分的に微粉バリアの下に配置されたか、少なくとも部分的にそれによって囲まれた空間に位置する根を持っており、および/または植物の種子は微粉バリアの下に配置されたか、それによって囲まれた空間に位置している、ことを特徴とする請求項10に記載のセルアセンブリ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のセルアセンブリを複数個含む侵食防止装置であって、各セルアセンブリの下面、第1
の端
面及び第2の端
面並びに上面を画定する菱形金網の連続長が、隣接する第2のセルアセンブリの下面、第1の端
面及び第2の端面並びに上面を画定する菱形金網の別の連続長
の上または下に重な
る、侵食防止装置。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載のセルアセンブリを形成するための部品のキットであって、該部品のキットは、
セルアセンブリの下面、第1及び第2の端面、並びに上面を画定する連続長の菱形金網を形成するための菱形金網シート、
セルアセンブリの第1及び第2の側面を形成し、セルアセンブリの一つ以上のセルの側面/端部を画定するための複数の金網パネル、
重複結合部を形成するために金網シートの端部
同士を固定し、金網パネルをシートに固定するための固定具、および、
セルアセンブリの
下面を画定する金網と
上面を画定する金網とを結合するため、および/または、第1の側
面/端
面を画定する金網と第2の側
面/端
面を画定する金網とを結合するための複数の垂直および/または水平ブレースアセンブリ、を含んでおり、
各ブレースアセンブリは、下部/第1のブレースプレート、上部/第2のブレースプレートおよび下部/第1のブレースプレートを上部/第2のブレースプレートに結合するための張力ケーブルならびに任意にケーブル上の所定の位置に上部/第2のブレースプレートを保持するワンウェイクリップを含んでいる、部品のキット。
【請求項14】
請求項13に記載の部品のキットであって、砂の通過を防止するための複数の水透過性
の微粉バリア
を含み、
それぞれの該微粉バリアは、各セル内部での廃棄のためにサイズ設定され
るように構成され、任意選択で、各前記微粉バリアは、セルの
頂部、
底部、側
部及び/又は端部
を裏打ちするようにサイズ設定され
るように構成され、任意選択で、各微細バリアは、羊毛、またはココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成され、任意選択で、部品のキットは、さらに、生きた草植物などの複数の生きた植物、および/または草種子などの植物種子、および任意選択でセル
アセンブリの下に
配置する洗掘防止層から構成されている、ことを特徴とす
る部品のキット。
【請求項15】
侵食防止システムを構築する方法であって、
請求項1から11のいずれか1項に記載のセルアセンブリを複数個組み立てるステップであって、各セルアセンブリを組み立てることが、セルアセンブリの下
面、第1および第2の端
面、および上
面を画定するための菱形金網の連続長を、セルアセンブリの第1および第2の側
面ならびにセルアセンブリの一つまたは複数のセルの側
部/端
部を画定するための複数の金網パネルに固定するスッテプと
、
各セルが開放された
頂部を有し、各セルアセンブリの下面を画定する菱形金網の連続長が隣接するセルアセンブリの下面を画定する菱形金網の連続長と重なるようにセルアセンブリ
同士を固定するステップと、
各セルに充填材を挿入するステップと、
菱形金網の連
続長の
端部同士を固定
することによって、セルアセンブリの上面を横切って菱形金網の連
続長を固定
し、菱形金網の連続長を前記金網パネルに固定して、各セルアセンブリの第1および第2の端
面並びに上面を画定する菱形金網の連続長が、隣接するセルアセンブリの第1および第2の端
面および上面を画定する菱形金網の連続長
の上および/または下に重なるように
、各セルを閉じる、ステップと、を含み、
セルアセンブリ
同士を固定するステップは、セルアセンブリの各セルに充填
材を挿入するステップの前、間または後に実行される、方法。
【請求項16】
充填材をセルに挿入するステップの前に、1つ以上のブレースアセンブリの少なくとも一部を各セルに設置し、セルを閉じるステップの後にブレースアセンブリを完成させて各セルの底
部を画定する金網を、
頂部を画定する金網に結合させることを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記セルに充填
材を挿入するステップの直前、途中、または直後のいずれかに、砂および/または土の通過を防止するための透水性
の微粉バリアを各セルに挿入することを含み、任意
選択で、各微粉バリアが袋の形態であり、この方法は
、充填
材を挿入するステップの前に各微粉バリアをセル内に挿入すること
、袋の底面および側面がセルの底
部および側
部を裏打ちするように袋を配置
すること、各袋に充填
材を充填し、それによって充填
材をセルに挿入
すること、
および、セルを閉じるステップの前に充填
材の上で袋の
頂部フラップを閉
じること、を含んでおり、任意選択的
で、この方法はさらに、1)充填
材に植物種子を加えるステップを含み、および/または2)セルを閉じるステップの前または後に、複数の生きた植物、例えば生きた草の植物の根、および/または草の種などの植物の種を、微粉バリアの
頂部の開口部を通して挿入するステップ、を含むことを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、侵食防止システムおよび侵食防止システムを設置する方法に関する。より詳細には、本発明は、海岸侵食(例えば、砂浜および砂丘の侵食)、海底侵食(例えば基礎のような人工設備の周囲)、および内陸侵食(例えば、川岸および湖岸線の侵食)などのような、水による地表侵食を防止するために使用する侵食防止システムに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
海岸侵食は、波、潮流、暴風雨が海岸線に作用することによって、海岸線から土砂、岩石、堆積物が失われたり、移動したりすることである。特に暴風雨は、堤防を崩し、海岸の一部を押し流し、重さ数トンにもなる大きな岩や巨石を移動させる強力な波を発生させるため、海岸線に大きな被害を与える。海岸侵食は、土地や財産が海に流失するため、沿岸の地域社会を荒廃させ、経済的にも大きな打撃を与える。また、淡水域に汽水域が流入するなど、地域の生態系に被害を与えることもある。気候変動により暴風雨が激しくなり、その頻度も増しているため、海岸侵食の軽減策を講じなければ、海岸侵食は増加すると予想されている。
【0003】
海岸の防護方法としてよく使われるのが岩石護岸(rock armour)である。岩石護岸は、通常、傾斜した海岸線に配置された大きな岩石からなり、重なり合った岩石が波の侵入を防ぐ障壁となる。多くの海岸では、岩石護岸は美観に欠け、環境に溶け込むことができない。また、個々の岩石は、たとえ何トンもの岩石であっても、特に冬の嵐時には波で移動してしまうという大きな欠点がある。さらに、海岸線は絶えず変化する動的な環境である。波によって海岸の高さや勾配が変化すると、岩石護岸が損なわれて不安定になり、位置がずれて水際まで移動してしまうことがよくある。このような岩石の移動は、海岸の防護に隙間を作り、嵐の間、激しい侵食にさらされやすいという弱点となる。岩石護岸を元の位置に戻すことは可能であるものの、その作業にはコストと時間がかかる。そのため、このような海岸の防護方法には、継続的なメンテナンスが必要となる。
【0004】
岩石護岸のもう1つの欠点は、固い岩肌を波にさらしていることである。この固い岩肌に波が当たると、波のエネルギーは岩肌に容易には吸収されず、岩肌からの水しぶきや水の反射として消散する。この水しぶきや反射した表面の水は、岩石護岸を越えて海岸上に高くそらされ、他のインフラや財産に損害を与える可能性のある場所に大量の水を堆積させる可能性がある。さらに、このようにそらされた水は、しばしば海に戻る際に岩石護岸の下の物質を侵食する。
【0005】
コンクリート護岸(concrete armour)は、海岸および沿岸の構造物を保護するために、岩石護岸と同様の方法で使用される。コンクリート護岸は、波のエネルギーを消散させるように形成することができるものの、海岸線の広い範囲に設置するには不体裁であり、甚大な費用がかかる場合がある。さらに、コンクリート護岸の自然劣化により、セメント系材料が環境中に放出され、内部の鉄筋が露出し、急速に腐食して汚染物質を放出し、さらに不体裁な設備になる可能性がある。いわゆる「防波堤」は、コンクリート製の海岸防護の一種であり、通常、海側に凸面を持つ連続した大きなコンクリート壁で構成され、高波を海に反射するような形状をしている。このような形状は、コンクリート護岸よりも魅力的な仕上がりになり、海水が壁の上や後ろに跳ね上がるのを防ぐことができる。しかし、防波堤は、明らかに人工的な外観を呈し、非常に高価である。また、冬の嵐で海岸の水位が下がっても壁が崩れないように深い基礎が必要となる。100mの防波堤の設計と設置には、150万ポンド以上の費用がかかる場合もある。
【0006】
いくつかの海岸防護設備では、比較的小さな岩で満たされた金網の籠である蛇籠(gabion)が利用されている。海岸防護用の蛇籠は、2m×1m×1m(すなわち2m
3)のサイズで約3トンの質量(岩を満たしたとき)を与えるものであってもよい。
図1aは、このような寸法の従来の蛇籠101を示しており、この蛇籠101は、内部仕切り102によって小分けされて、2つの1m
3のセル103a、103bが形成されている。各セルは、底面部104、4つの側面部105(
図1aでは1つの側面のみがラベル付けされている)、および蓋面部106を有する。蓋面部106と底面部104は、両方のセル103a、103bにまたがっている。蛇籠では、岩のサイズの小ささが波のエネルギーの消散の助けとなり得るが、個々の蛇籠の質量が比較的低いため、波によって動かされることの影響を受けやすくなる。蛇籠は、より伸長された(例えば、長さと幅が高さよりもかなり大きい)形状に形成されてもよく、および/または、海岸侵食から岸または崖を安定させるために、保護構造または「マットレス」を形成するように連続して連結されるものであってもよい。
図1bには、より大きな横方向の断面積を持つ代替的な従来の蛇籠の形状110が示されている。しかしながら、個々の蛇籠の間の結合部は、波の衝撃の下で破壊されやすい弱点となる。蛇籠の間の結合部の負荷は、各蛇籠の構造が比較的剛性かつ柔軟性がないことによって増幅される。十分にメンテナンスされない場合、これらの結合部の不具合は、海の作用によってマットレスが引き裂かれる結果を引き起こし得る。このような蛇籠構造を設置することは、大きな岩の輸送の必要性がないため比較的簡単である一方、各蛇籠を組み立ててその隣の蛇籠に(例えば、隣接する構造物に溶接または締結することによって)結合する必要があるため、設置には非常に時間がかかる傾向がある。蛇籠マットレスは、織られた鋼製の金網から形成されるものであってもよい。蛇籠および蛇籠マットレスは、典型的には、金網から製造される。金網を構成するワイヤーは、亜鉛、亜鉛/アルミニウム合金、および/またはプラスチック (たとえば、PVC)でコーティングされた軟鋼であり、2.0~3.0mmの直径と350~550N/mm
2の引張強度を有する。蛇籠は、海岸防護の比較的低コストの形を提供することができるが、過酷な海洋環境にさらされた場合、5~10年の低寿命しか有しない場合がある。蛇籠マットレスの例は、Maccaferri(登録商標)社から市販されているReno Mattress(登録商標)である。蛇籠の劣化は多くの問題を示す。まず、防護設備の取り替えは高価であり、防護の失敗は土地への深刻な損傷の原因となる。また、メンテナンスにもコストがかかる傾向があり、侵襲的な対策が必要になることも多く、非常に破壊的で、現場の生態系にダメージを与えることになります。最後に、蛇籠の部材の分解により汚染物質が放出され、自然環境を汚染する可能性がある。
【0007】
ジオチューブまたはジオテキスタイルチューブは、別の侵食防止装置である。ジオチューブは、柔軟で引張強度の高い繊維で形成された丈夫な筒状の構造物であり、砂や土が充填されてる。ジオチューブの長さや直径は、特定の場所や用途に合わせて調整することができ、連続的で質量の高い防護を形成することができる。ジオチューブは、波の侵入を防ぐだけでなく、流出した砂や土砂を集めて砂浜の流失を防ぐことにも利用できる。ジオチューブは合成繊維でできているため、覆わないと自然環境になじまず、また、故意による損壊または紫外線による劣化など、露出すると損傷を受けやすい。太陽光や損壊行為から十分に保護されていても、ジオチューブを形成する材料は自然に劣化することが多く、その結果、海防壁の一部が破損し、大量の見苦しく部分的に劣化したジオテキスタイル材料が露出することがある。冬の嵐の間にジオチューブが露出したり移動したりすると、チューブ材を損傷することなく防壁を修復することは非常に困難である。ジオチューブは一度破損すると、波も作用によって土砂が急激に削られるため、完全に破損するおそれがある。
【0008】
同様に、河川氾濫水は河岸侵食の原因となり、堤防を弱め、将来的に洪水を繰り返す可能性を高めている。河岸侵食は、いくつかの方法で発生する可能性がある。まず、河川の水位や流速が過大になると、周辺に洪水が発生していなくても河岸が侵食されることがある。また、周辺に洪水が発生した場合、河川に戻った洪水が引くときに河岸を損傷することがある。河川の水位が通常の高さであれば侵食から守られている、河岸上部や背後の柔らかい材料は、特に傷つきやすい。洪水が繰り返し発生すると、侵食によって局所的に河岸段丘が低下し、自然に洪水流 が被害箇所を横切るという悪循環を引き起こす可能性がある。さらに、河岸背後の柔らかい土砂がゆっくりと侵食され、やがて堤防が弱体化し、最終的には一部が崩壊し、河川が堤防を決壊させることになる。
【0009】
河川敷の保護には、護岸工事で使用されるものと同様の侵食防止製品が採用されてきた。しかし、河川敷が受ける力は海岸線ほど激しくないものの、過剰な水流による洗掘や侵食の問題は依然として残っている。そのため、岩石護岸、蛇籠、ジオチューブなどの設置は、早期の破損を招きやすい。さらに、多くの河川敷は海岸線よりもアクセスしにくく、生態学的にもろいことが多い。そのため、メンテナンスはしばしば不可能である。
【0010】
欧州特許出願公開1308562号には、PVCでコーティングされた二重撚り線金網から作られた蛇籠が開示され、この蛇籠の底面は、隣接する蛇籠と重なる突出したスカート部を有する。蛇籠の蓋部は、隣接する蛇籠と重なっていない。韓国特許第100755754号、韓国特許第101244710号、および韓国特許第100950248号には、重なり合う底面スカート部を有する同様のシステムが開示されている。韓国特許公開第1020090086795号には、溶接金網のパネルから作られ、斜面に突出した拡張底面を持つ蛇籠が開示されている。米国特許第5076735号、韓国特許出願公開第1020040038036号、特開2016-084608号、および特開平07-189229号には、さらに斜面に延びる底面延長部とオフセット積層セルを備えた蛇籠システムが開示されている。二重撚り線金網から構築された蛇籠は、米国特許出願公開第2015/0071708号および韓国特許第100666908号にも開示されている。米国特許出願公開第20008/0264546号には、土壌、堆積物、または水中の汚染物質を制御するための蛇籠システムが開示され、この蛇籠は、反応性ジオテキスタイルマットで裏打ちされている。英国特許第845863号、韓国特許第101897064号、および特開2008-180069号には、金網の各パネルが堅いフレームワイヤーによって境界付けられている、菱形金網から形成された蛇籠が開示され、これらの開示では、セルは、重なり合う蓋または底面を持たない別々のユニットである。特開2016-020577号には、隣接する蛇籠を互いに連結するための装置が開示されている。連結装置は、隣接する蛇籠の側面を跨ぐ金網のシートであり、蛇籠と連結装置の両方は、溶接金網、または各パネルの外周を囲む補強ワイヤーを備える菱形金網から作られてもよい。金網シート連結具は、蛇籠を形成する金網シートとは別体であり、左右に重なるように配置される。組み立てにおいて、開いた頂部セルが、底面、側面、前面、および後面を一緒に結合することによって形成され、次いで、セルは、隣接したセルの底面、前面、および後面並びに端面をつなぐ連結装置によって一緒に結合される。最後に、各セルに岩石が充填され、上部パネルが各セルを閉じるように追加され、また、隣接するセルの上部をまたぐ別の連結装置が追加される。このような既知の蛇籠のデザインで発生した問題には、蛇籠自体および/または蛇籠同士の連結部の早期の構造損傷、および、現場(しばしば困難な環境)における構築が厄介で時間がかかること、が含まれる。従来の蛇籠のデザインでは、蛇籠が現場から離れた場所で完全に組み立て可能であること、または現場でテンプレートから展開可能であること、および、充填を容易にするために蛇籠が自立すること、が要求される。したがって、蛇籠は、剛性/弾性の金網から構築されるか、または剛性フレームワークワイヤーを利用し、パネルは、既定のサイズに形成される。金網は、交差部を溶接することによって(ただし、固有の弱点が導入される)、またはメッシュ形状を絡み合わせる (例えば、二重撚り線)ことによって(ただし、比較的低強度、可鍛性のワイヤーを要し、破損に対してより脆弱になる)、強化することができる。事前にサイズが決められた蛇籠に充填するには、次のような注意が必要である。すなわち、過充填によって、蛇籠が歪む可能性があり、それを閉じることおよび結合することが難しくなる。充填不足によって、設置後に望ましくない座屈/移動が引き起こされる可能性がある。さらに、事前にサイズが決められた蛇籠は、平坦ではない地面に設置することが困難である。
【0011】
海岸および河川の侵食に対して、長期的で、環境に配慮した、メンテナンスの少ない解決策を提供する必要性が残っている。本発明は、上記の欠点を緩和し、耐久性があり、費用対効果が高く、目立たない侵食防止システム、およびその製造方法を提供しようとするものである。
【発明の概要】
【0012】
本発明の侵食防止システムは、設置された後、金網から構築された複数の岩石充填セル含み得る。本発明の態様は、迅速、便利、かつ柔軟な設置、厳しい環境下での長期的な回復力、および自然環境に調和した目立たない外観を提供する、改良された侵食防止システムを提供する。このような利点を達成するために役立つ本発明の様々な態様に共通する特徴には、隣接するセルの対応するパネルを横切って延びるセルの底面パネルおよび蓋パネル(厳しい波にさらされてもモノリシック構造として挙動し得る、確実に連結されたセルを提供する)、菱形金網(応力下で曲がり、変形し、結果として弱まる剛性構造ではなく、菱形金網は、柔軟で自己張力のある構造を提供し、不均一で時に変化する地面を横切って延びるときに強化される柔軟な自己張力構造を提供する)、および金網のシート間の重なり結合(各セルの正確な位置、および設置場所に適した、利用できる岩石充填材の量と性質に合わせて、セルのサイズを調整することが可能である)、が含まれる。本発明のいくつかの態様は、従来公知のシステムの問題に対する代替的な解決策を提供することができる。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、対向する上面および下面と、対向する第1および第2の端面と、対向する第1および第2の側面とを有するセルアセンブリが提供される。任意選択で、セルアセンブリは、特許請求の範囲に記載のセルアセンブリである。セルアセンブリは、岩石片を収容するための少なくとも1つのセルを備える。好ましくは、セルは、底部、第1及び第2の起立した側部、少なくとも第1の起立した端部、及び頂部を有する。セルアセンブリの面、および任意でセルの底部、頂部、側部および端部(複数可)は、菱形金網(スチール金網など)から形成される。菱形金網(チェーンリンク金網)の連続長は、セルアセンブリの対向する上下の面および対向する端面を画定する。金網の長さが面全体を横切って延びるとき、金網の長さがセルアセンブリの面を「画定」することが理解されよう。連続的な長さの菱形金網がセルアセンブリの下面、端面、及び上面を形成するとき、金網の長さはセルアセンブリの周囲を包み、特に強力かつ効果的なセル構造を提供することが理解されよう。金網の織り合わせられたチェーンリンク構造は、金網のワイヤーを曲げる(従って、弱める危険性がある)ことなく、このようなラップアラウンド構造を促進することがさらに理解されよう。好ましくは、セルアセンブリの側面はそれぞれ、セルアセンブリの下面、第1の端面、及び上面を画定する金網の長さに固定された1つ以上の金網の側面パネルにより画定されている。任意選択で、金網の側面パネルと金網の長さは、1つ以上のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによってセルアセンブリの面の縁部で一緒に固定される。任意選択で、金網の側面パネルの少なくとも1つは、金網の長さの側縁から少なくとも150mm、任意選択で少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm、内側に間隔をあけて配置される。任意選択で、金網シートの長さは、セルアセンブリの少なくとも1つの側面を超えて延び、隣接するセルアセンブリの下面、端面、及び/又は上面と重なるように構成される。
【0014】
岩石護岸のもう1つの欠点は、固い岩肌を波にさらしていることである。この固い岩肌に波が当たると、波のエネルギーは岩肌に容易には吸収されず、岩肌からの水しぶきや水の反射として消散する。この水しぶきや反射した表面の水は、岩石護岸を越えて海岸上に高くそらされ、他のインフラや財産に損害を与える可能性のある場所に大量の水を堆積させる可能性がある。さらに、このようにそらされた水は、しばしば海に戻る際に岩石護岸の下の物質を侵食する。
【0015】
好ましくは、連続的な長さの金網は、第1の端面と第2の端面を有し、第1の端面と第2の端面は、例えばセルアセンブリの上面、第1の端面又は第2の端面、好ましくは少なくとも部分的に上面(例えば、上面)に位置する結合部で一緒に固定される。任意選択で、結合部は、第1の端面が第2の端面に重なる重複結合部である。
【0016】
任意選択で、金網の連続長は、例えば、シートの対向する端部が端から端まで結合された、金網の単一の連続シートから形成される。単一のシートから長さを形成することにより、端から端まで一貫したメッシュ形状が得られ(例えば、メッシュパターンの過度のずれを回避する)、設置が容易になり、構造的完全性が向上することが判明している。菱形金網の単一の連続シートでは、メッシュ本体の各ワイヤー(すなわち、シートの対向する端部のワイヤーを除くすべてのワイヤー)は、2つの隣接するワイヤー(各側に1つ)と交錯している。通常、菱形金網は、あらかじめ製造されたロールとして提供されます。金網のロールが必要な連続長の金網を形成するのに十分な長さがない場合、2つ以上のロールを端のワイヤーを織り合わせることによってつなぎ合わせ、それによって金網の単一の連続シートを形成することができる。エンドワイヤーは、互いに直接織り合わせてもよく(例えば、少なくとも1つのシート(任意選択で、両方のシート)からエンドワイヤーの織りを解き、次にエンドワイヤーを両方のシートに織り合わせし直すことによって)、形状、材料、及び寸法の点でロールのものと実質的に同一の菱形金網のストランドを1または複数(好ましくは2)挿入することによって行うこともできる。このような配置では、ワイヤーが交錯すると、ロール間の連結がメッシュ全体で識別できなくなり、メッシュパターンや、金網を形成するワイヤーの形状/寸法に変化がなくなる。これに対して、例えば、ループやスパイラル(ヘリコイル締結具など)により端から端までまたは横から横へと結合された金網の別々のシートは、単一の連続シートとはみなされない。
【0017】
代替的に、金網の連続長は、金網の複数の別々のシートから形成され、例えば、各シートは端と端が結合されている。例えば、金網シートが、第1の金網の端縁と第2の金網の端縁とを平行にして結合される場合など、シートが同じ方向を有するとき、金網の別々のシートが連続長を形成することが理解されよう。第1及び第2の菱形金網シートは、織り合わせられたワイヤーが第1のシートの平面を横切って延びる結合の一般的な方向が、織り合わせられたワイヤーが第2のシートの平面を横切って延びる一般的な方向と平行であるとき、同じ配向を有する。
【0018】
任意選択で、シート端間の1つ以上またはすべての端間結合部は、セルアセンブリの面間の端部、任意選択で上面と端面の間に位置する端に配置される。加えてまたは代替的に、1つまたは複数、またはすべての端間の結合部は、セルアセンブリの端面から間隔を空けて配置されるなど、セルアセンブリの面上に配置される。セルの面に結合部を配置することで、組立時にセルのより便利な閉鎖を可能にすることができる。任意選択で、1つ以上の、またはすべての、結合部はセルアセンブリの上面に位置する。任意選択で、1つ以上の、またはそれぞれの、端から端への結合は、例えば、1つのシートの端が別のシート端に重なるような重複結合である。重複結合部は、シート間のより強い固定を促進することができる。加えて又は代替的に、重複結合部は、セルの組立中により便利な締結を提供し、例えば、充填中のセル寸法の変動に対してより良い許容範囲を提供し、及び/又は金網のシートを張って引っ張ることができ、セルアセンブリの強度及び弾力性をさらに向上させることができる。重複結合部は、セルアセンブリの面上に完全に位置してもよく、又は重複結合部が2つの隣接する面の少なくとも一部を横切って延びるように縁にまたがって位置してもよいことが理解されよう。任意選択で、重なりは、少なくとも80mm、例えば少なくとも150mm、例えば少なくとも200mmである。重なりは、シートの端縁を分離する重なりを横切る距離であることが理解されよう。任意選択で、重なりは、少なくとも1列の金網(メッシュ)開口部、例えば少なくとも2列の金網開口部、例えば少なくとも3列の金網開口部である。一方のシート端部の開口部のx列が他方のシート端部の開口部のx列と重なるとき、重なりは金網開口部のx列であることが理解されよう。
【0019】
任意選択で、セルアセンブリは、ほぼ立方体の形状を有する。任意選択で、セルの側部は、対向する起立した側部であり、セルは、第1の起立した端部に対向する第2の起立した端部を備える。例えば、セルは立方体の形状を有していてもよい。
好ましくは、セルの底部は、セルアセンブリの下面の少なくとも一部と整列され、及び/又はそれによって形成される。さらに、または代替的に、セルの少なくとも1つの端部は、セルアセンブリの端面の少なくとも一部と整列し、および/またはそれによって形成される。
さらに、または代替的に、セルの少なくとも1つの側部は、セルアセンブリの側面の少なくとも一部と整列し、および/またはそれによって形成されている。
【0020】
任意選択で、セルアセンブリの少なくとも1つの側面は、セルアセンブリの1つ又は2つの隣接する面(複数可)を少なくとも部分的に包む菱形金網の第2の連続長によって画定される。この文脈では、セルアセンブリの下面、第1及び第2の端面並びに上面を画定する金網の連続長さは、金網の第1の長さであることが理解されよう。好ましくは、第2の連続長の少なくとも一部(例えば、一方又は両方の端部)は、金網の第1の連続長の一部と重なり、例えば、連続長が、隣接する面(複数可)に配置された重複結合部によって一緒に固定された状態である。第2の連続長さは、任意に、第1の連続長さに関連して説明した任意の特徴を組み込んでよく、例えば、単一の連続した金網のシートから形成されるか、又は端と端を結合した複数の別々の金網のシートから形成される。任意選択で、第1の側面の面は、第2の連続長のチェーンリンク金網によって画定され、第2の対向する側面の面は、第3の連続長の菱形金網によって画定され、又は第1及び第2の対向する側面の両方は、セルアセンブリの下面、端面又は上面(好ましくは下面)にわたって延びる第2の連続長によって画定されてよく、それによってその面で第1の連続長と重なり合う。このような一方の面上のメッシュの二重層は強度を増加させることが分かっており、底部への強度の追加は、セルが持ち上げを必要とする場合に特に有用である(例えば、設置が、組立現場又は浮遊船上など、1箇所でセルの充填及び閉鎖を行い、次に水中など、最終場所にセルの持ち上げ/下降を行う場合などである)。任意選択で、第2の連続長の一方または両方の端部は、第1の連続長に再び重なりながら、第1および第2の対向する面の間のさらなる面の周りに少なくとも部分的に巻き付き、例えば、第2の連続長の対向する端部が端から端まで結合される。端から端への結合は、第1の連続長に関連して説明したような任意の結合であってもよく、及び/又は、結合は任意の面(例えば、側面、端面及び上面のうちの1つ以上、好ましくは上面)に位置してもよいことが理解されるであろう。任意選択的に、第1の結合部で端と端を結合された単一のシートから形成された第1の連続菱形金網は、セルアセンブリの下面、対向する端面及び上面を画定し、第2の結合部で端と端を結合された単一のシートから形成された第2の連続菱形金網は、セルアセンブリの対向する側面を画定する。任意選択的に、第1及び第2の結合部はそれぞれ重複結合部であり、及び/又はセルアセンブリの対向する端面及び/又は上面、例えば上面等の同じ面上に位置する。任意選択的に、第2(及び任意選択的に第3、存在する場合)連続長は、第1の連続長の内側に位置し(第2/第3の連続長が内側メッシュ層を形成する)、又は外側に位置し(外側メッシュ層を形成する)、又はある面では第1連続長の内側に、別の対向面では第1の連続長の外側に配置される。このような内側/外側のラップは、特に高いセル強度を付与することが判明している。「内側」および「外側」は、セルアセンブリの内部に関する用語であることが理解されよう。
【0021】
好ましくは、金網の側面パネルは、2つの対向する端縁2つの対向する側縁を有し、菱形金網を形成するワイヤーの切断端は、側縁に位置し、菱形金網を形成する織り合わせられたワイヤーは、1つの側縁から対向する側縁まで、各シートの平面を横切って、対向端縁と平行に一般方向に延びている。任意に、切断端は、例えば、金網の各側縁に沿って走る金網開口部を閉じるために一緒に結ばれている。任意選択で、各ワイヤーの切断端は、隣接するワイヤーの切断端の対応するループと相互ロックするループに結ばれる。特に有用なのは、GEOBRUGG(登録商標)社製のTECCO(登録商標)金網である。金網のロールが金網の単一の連続したシートを形成するために端のワイヤーを織り合わせることによって一緒に張られるとき、織り合わせられた端のワイヤー上の結び目ループは、例えばワイヤー端をインターロックするための装置が利用できない場合、インターロックするよりもむしろ一緒にクリップされるものであってもよい。端部ワイヤーはその長さに沿って完全に交差しているので、このような配置はシートの形状を変えないことが理解されるであろう。
【0022】
任意選択で、セルアセンブリは複数のセルを備え、各セルは底部、第1及び第2の起立した側部、少なくとも第1の起立した端部、及び頂部を有し、底部、側部及び頂部は菱形金網から形成されている。複数のセルを提供することにより、特定の高質量のセル集合体を形成することができる一方、セル集合体内の材料の不当な移動を回避することもできる。任意選択で、各セルの少なくとも1つの側部は、隣接するセルの側部を画定する菱形金網の側面パネルによって画定される。さらに、または代替的に、各セルの少なくとも1つの端部は、隣接するセルの端部を画定する菱形金網の端面パネルによって画定される。したがって、セルアセンブリは、任意に、横に並べられた、及び/又は端と端を並べられた複数のセルから構成されてもよいことが理解されよう。複数のセルを提供することにより、密接にかつ弾力的に連結されたセルを有するマルチセル構造体が提供され得る。エンドツーエンドに配置されたセルは、任意に、2つ以上のセルに共通の側面パネルによって画定される側部を有してもよい(すなわち、1つの側面パネルが2つの隣接するセルの側部を画定する)ことが理解されよう。同様に、横並びに配置されたセルは、任意に、2つ以上のセルに共通の端面パネルによって画定された端部(すなわち、1つの端面パネルが2つの隣接するセルの端部を画定する)を有してもよい。任意選択で、複数のセルの各々は、ほぼ立方体の形状を有する。任意選択で、各セルの側部は、対向する起立した側部であり、各セルは、第1の起立した端部に対向する第2の起立した端部を含む。例えば、各セルは、立方体形状を有していてもよい。好ましくは、各セルの底部は、セルアセンブリの下面の少なくとも一部と整列し、及び/又はそれによって形成される。加えて又は代替的に、各セルの少なくとも1つの端部は、セルアセンブリの端面の少なくとも一部と整列し、及び/又はそれによって形成される。さらに、または代替的に、各セルの少なくとも1つの側部は、セルアセンブリの側面の少なくとも一部と整列し、及び/またはそれによって形成される。
【0023】
任意選択で、セルアセンブリは、1つのセルからなる単一セルアセンブリである。セルアセンブリが単一セルアセンブリである場合、セルアセンブリの下面、端面、および上面を画定する菱形金網の連続長が、セルの底部、端部、および頂部を形成することが理解されるであろう。
【0024】
任意選択的に、菱形金網の連続延長は、セルアセンブリの少なくとも1つの側面(例えば、両方の側面、好ましくは1つの側面)を超えて延在する。任意選択的に、前記長さの金網は、前記第2のセルアセンブリがセルアセンブリに隣接して及び/又は隣接するように配置される場合など、第2のセルアセンブリの少なくとも一部と重なるように構成されてもよい。例えば、前記長さの金網は、前記第2のセルアセンブリの下面及び上面の各々の少なくとも一部と、任意に前記第2のセルアセンブリの第1の端面の少なくとも一部とも、任意に前記第2のセルアセンブリの第2の端面の少なくとも一部とも重なり合うように構成されてもよい。
任意選択で、セルアセンブリは、第2のセルアセンブリと入れ子になるように構成される。セルアセンブリの下面、端面、及び上面を形成する金網が、第2のセルアセンブリの下面、端面及び上面の少なくとも一部の周りに延びて重なるとき、セルアセンブリは第2のセルアセンブリを入れ子にすることが理解されよう。このような配置は、例えば、伸縮式と表現することもできる。
【0025】
本発明の第1の態様のセルアセンブリは、以下に記載される本発明の任意の態様、特に本発明の第5または第6の態様に関連して記載される任意の特徴を組み込んでよく、その逆もまた同様であることが理解されるであろう。特に、金網は、任意に、少なくとも2mmの直径と少なくとも1,000N/mm2の引張強度を有するワイヤーなどの高張力鋼線から形成され、任意選択で、金網が少なくとも75kN/mの引張強度を有し、任意選択で、タイワイヤー及び/又は複数のクリップが、存在すれ場合、少なくとも2mmの直径と少なくとも1,000N/mm2の引張強度を有する高張力鋼線から形成されている。任意選択で、金網、及び任意選択で、タイワイヤー及び/又は複数のクリップが存在する場合、オーステナイト系ステンレス鋼ワイヤーなどのステンレス鋼ワイヤーから形成される。さらなる例として、本発明の第1の態様のセルアセンブリは、本発明の第5の態様に関連して説明したブレースアセンブリ、洗掘防止層、遮水層、及び/又は微粉バリアを含むものであってもよいことが理解されるであろう。例えば、各セルは、セルの底部を画定する金網をセルの頂部を画定する金網に結びつける少なくとも1つのブレースアセンブリを含んでもよく、例えば、各ブレースアセンブリが、セルの底部の金網の下に配置された下部ブレースプレート、頂部の金網の上に配置された上部ブレースプレート、及び下部ブレースプレートを上部ブレースプレートと結合する張力ケーブル(例えば垂直ブレースアセンブリ)からなる場合である。加えて又は代替的に、各セルは、セルの第1の側部を画定する金網をセルの第2の対向する側部を画定する金網に結びつける少なくとも1つの水平ブレースアセンブリを含んでもよく、例えば、各ブレースアセンブリは、セルの第1の側部の金網の外側に配置された第1のブレースプレート、第2の側部の金網の外側に配置された第2のブレースプレート、及び第1のブレースプレートを第2のブレースプレートと結合する張力ケーブルから構成される。ブレースアセンブリは、例えば、セルアセンブリの2つ以上のセルにまたがっていてもよいことが理解されよう。任意選択で、各セルは、粒状材料の通過を防止するための透水性微粉バリアを備え、微粉バリアは、セルの頂部を画定する金網の下に配置され、任意選択で、微粉バリアは、頂部を画定する金網に隣接してセルの頂部を裏打ちする。任意選で、微粉バリアは、側部および端部を画定する金網に隣接してセルの側部および端部を裏打ちし、任意選択で、底部を画定する金網に隣接してセルの底部を裏打ちする。任意選択で、微粉バリアは、セルの底部を裏打ちする底部、セルの側部および端部を裏打ちする側部、およびセルの頂部を裏打ちする頂部フラップを有する袋の形態である。任意選択で、微粉バリアは、羊毛またはココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成される。セルアセンブリのセルは、例えば、本発明の第1及び/又は第6の態様に関連して説明したような大きさであってよいことがさらに理解されよう。
【0026】
任意選択で、セルアセンブリは、1つ以上のセルの内部、例えば各セルに配置された強化格子を含む。任意選択で、強化格子は、溶接金網(例えば、一般に補強メッシュと呼ばれるような)のような剛性金網である。好ましくは、剛性メッシュは、平行に間隔を空けて配置されたロッド(「縦線」)の第1の層が、平行に間隔を空けて配置されたロッド(「横線」)の第2の層によって重ねられたスチールロッド(リブ付きスチールロッドなど)の格子であり、第2の層のロッドは第1の層のロッドに対して垂直に配向され、各交点で第1の層のロッドに溶接される。好ましくは、ロッドは少なくとも8mm、例えば少なくとも10mm、例えば少なくとも12mmの直径を有し、及び/又は平行なロッドは250mm以下、例えば200mm、例えば150mm、任意に100mmの間隔を有している。適切な金網の例としては、A393金網が挙げられる。好ましくは、金網は、ステンレス鋼(例えば、オーステナイト系ステンレス鋼)金網である。強化格子は、セルアセンブリを剛性化するのに役立ち、例えば、岩石片で完全にまたは部分的に満たされるとセルアセンブリをより都合よく持ち上げることができるようにすることができる。任意選択で、強化格子は、セルアセンブリの内部の少なくとも一部を横切って、例えば、下面に平行な平面で延びる。任意選択で、強化格子は、セルの第1及び/又は第2の幅の少なくとも50%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも90%を横切って延び、第1の内部幅は、セルの対向する端部の間の距離であり、第2の内部幅は、セルの対向する側部の間の距離である。加えて又は代替的に、強化格子は、セルアセンブリの下面に平行な平面において、セルの内部面積の少なくとも25%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも90%を横切って延在する。
任意選択で、強化格子は、セルアセンブリの上面及び/又は下面から、例えば、充填材(例えば、岩石片)によって分離され、例えば、セルアセンブリの上面及び下面を分離する平均距離の少なくとも25%、例えば、少なくとも40%、例えば、約50%だけ分離して配置される。あるいは、強化格子は、セルアセンブリの下面又は上面(好ましくは下面)の内側に対して位置決めされる。好ましくは、セルアセンブリは、単一のセルからなる。任意選択的に、セルアセンブリは、1つ以上の(例えば少なくとも2つの)ブレースアセンブリ、例えば本明細書に記載の垂直及び/又は水平ブレースアセンブリをさらに備え、例えば各ブレースアセンブリは、例えば本明細書に記載のセル持ち上げ装置(クレーンなど)に取り付けるために構成される。任意選択で、セルアセンブリは、強化格子の下方(例えば、直下)に配置された、又は強化格子を通して通された1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)水平ブレースアセンブリ、及び又は強化格子を通るように配置された1つ以上の(例えば、少なくとも2つの)垂直ブレースアセンブリから構成されている。強化格子は、セルアセンブリがたるみ/歪む傾向を低減することによって、岩石片で完全にまたは部分的に満たされたときに、ブレースアセンブリによるセルアセンブリの持ち上げを都合よく容易にし得ることが見出された。さらにまたは代替的に、各ブレースアセンブリは、隣接するセルアセンブリのブレースアセンブリに取り付けるように構成されてもよく、セルを一緒に固定する別の手段(例えば、セルパネルが隣接するセルのパネルと重ならない場合に特に有用である)を提供する。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に係る複数のセルアセンブリを備える侵食防止システムが提供される。例えば、侵食防止システムは、第1セルアセンブリと第2セルアセンブリとを備える。好ましくは、セルアセンブリは、1つ以上のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによって互いに固定される。好ましくは、第1セルアセンブリを形成する1つ以上のセルは、第2セルアセンブリを形成する1つ以上のセルと並んで配置される。
セルアセンブリは、例えば、セルアセンブリの隣接する側面を形成する独立した側面パネルを有していてもよく、例えば、第1のセルアセンブリの側面パネルが隣接するセルアセンブリの側面パネルに隣接していることが理解されるであろう。好ましくは、隣接するセルアセンブリの側面パネルは、1つ以上のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによって互いに固定される。代替的に、セルアセンブリは共通の側面パネルを共有してもよく、例えば、単一の側面パネルが第1セルアセンブリの側面の少なくとも一部と第2セルアセンブリの側面の少なくとも一部とを形成する。このような配置は、侵食防止システムを形成するために使用されるメッシュの量を減少させることが理解されよう。好ましくは、侵食防止システムは、特許請求の範囲に記載された侵食防止システムである。
【0028】
任意選択で、各セルアセンブリの下面、端面、及び上面を画定する金網シートは、隣接するセルアセンブリの下面、端面、及び上面を画定する菱形金網の別の連続長によって重なる(例えば、オーバーラップする)。好ましくは、セル集合体は、例えば、セル集合体の金網シートが1つ又は複数のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによって一緒に固定される、重複結合部によって重なり合う部分で一緒に結合される。好ましくは、セルアセンブリの少なくとも1つの側面を形成する1つ以上の金網パネルは、セルアセンブリの下面、端面、及び上面を画定する菱形金網の連続長さの側縁から少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm、内側に間隔をあけて配置される。例えば、金網の長さは、セルアセンブリの少なくとも1つの側面を超えて延び、及び/又は第2のセルアセンブリの下面及び上面(及び任意の一方又は両方の端面)の少なくとも一部と重なるように構成される。任意選択で、セルアセンブリは互いに入れ子になっている。第1のセルアセンブリの周辺部の周りに延びる金網が第2のセルアセンブリの周辺部の周りに延び、第2のセルアセンブリの金網に重なるとき、セルアセンブリは一緒に入れ子になっていることが理解されよう。本発明の第2の態様の侵食防止システムは、以下に記載される本発明の任意の態様、特に本発明の第5及び第6の態様に関連して記載される任意の特徴を組み込んでよく、その逆もまた同様であることが理解されよう。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様のセルアセンブリを形成するための部品のキットが提供される。部品のキットは、セルアセンブリの下面、端面、及び上面を画定する菱形金網の連続長を形成するための1以上の菱形金網シート、並びにセルアセンブリの第1及び第2の側面を形成するための少なくとも2つの金網の側面パネルのセットを備える。任意選択で、部品キットは、1つ以上の金網シートと少なくとも2つの金網側面パネルとを一緒に固定するための留め具、例えば、タイワイヤー及び/又はクリップを備える。任意選択で、部品のキットは、セルアセンブリを形成する1つ以上のセルの側部及び/又は端部を画定するための複数の金網パネルを備える。任意選択で、部品キットは、底部を画定する金網を各セルの頂部を画定する金網に結びつけるための複数のブレースアセンブリを備え、任意選択で、各ブレースアセンブリは、下部ブレースプレート、上部ブレースプレート、および下部ブレースプレートと上部ブレースプレートとを結合するための張力ケーブル、ならびに任意選択で上部ブレースプレートをケーブル上の位置に保持するためのワンウエイクリップから構成される。任意選択で、部品のキットは、その中を砂が通過するのを防止するための複数の水透過性微粉バリアであって、各微粉バリアは、各セル内に処分するためのサイズおよび構成であり、任意選択で、それぞれの前記微粉バリアは、セルの頂部、底部、側部および/または端部(複数も可)に並ぶようにサイズおよび構成され、任意選択で、各微粉バリアが羊毛、またはココナッツ繊維ベースの材料などの生分解性材料から形成されて、部品キットがさらに複数の生きた植物、たとえば生きた草植物および/または草種などの植物種を含む、複数の生植物を備える、部品を構成する。任意選択で、部品のキットは、セルアセンブリの下方に配置するための洗掘防止層を含んでいる。好ましくは、部品のキットは、特許請求の範囲に記載の部品のキットである。
【0030】
本発明の第3の態様の部品のキットは、以下に記載される本発明の任意の態様、特に本発明の第7および第8の態様に関連して記載される任意の特徴を組み込んでもよく、その逆もまた同様であることが理解されるであろう。
【0031】
本発明の第4の態様によれば、侵食防止システムを構築する方法が提供され、この方法は、本発明の第1の態様に従ったセルアセンブリを組み立てることを含む。任意選択的に、セルアセンブリを組み立てることは、セルアセンブリの下面、端面および上面を画定するための連続した長さの金網を、セルアセンブリの各セルの側部を画定するための複数の金網パネルに、任意選択で、各セルの側部および/または端部を形成するための複数の金網パネルに固定し、各セルが開いた頂部を有するようにすることを含む。本方法はさらに、各セルに充填材を挿入し、連続長の菱形金網シートの端部を固定し、菱形金網の連続長を金網パネルに固定することによってセルアセンブリの上面を横切って固定し、それによって各セルを閉鎖することを含む。好ましくは、金網シート及びパネルは、複数のクリップ及び/又はタイワイヤーを用いて一緒に固定される。任意選択で、本方法は、充填材をセルに挿入するステップの前に、1つ以上のブレースアセンブリの少なくとも一部を各セルに設置し、セルを閉じるステップの後にブレースアセンブリを完成させて、各セルの底部を画定する金網を、頂部を画定する金網に結びつけることを含む。任意選択で、本方法は、充填材を前記セルに挿入するステップの直前、途中、または直後のいずれかに、砂および/または土の通過を防止するための透水性微粉バリアを各セル部分に挿入することを含む。任意選択で、各微粉バリアは袋の形態であり、本方法は、充填材を挿入するステップの前に各微粉バリアをセル内に挿入することと、袋の底面および側面がセルの底部および側部に裏打ちされるように袋を配置することと、それによって充填材をセル内に挿入することによって各袋に充填材を充填することと、セルを閉じるステップの前に充填材の上に袋の頂部フラップを閉じることを含む。任意選択で、本方法は、1)充填材に植物種子を加えること、及び/又は2)セルを閉じるステップの前又は後に、生きた草植物などの複数の生きた植物の根、及び/又は草種子などの植物種子を、微粉バリアの頂部の開口部を通して挿入することを含む。任意選択で、本方法は、同じ方法に従って1つ以上の追加のセルアセンブリを組み立てることと、セルアセンブリを一緒に固定することとを含んでいる。セルアセンブリを一緒に固定するステップは、各セルに充填材を挿入するステップの前、間、または後に実施されてもよいことが理解されよう。例えば、各セルは、アセンブリが一緒に固定される前に充填されてもよい(そして、任意選択で、閉じられてもよい)。あるいは、第1のアセンブリのセルが充填され(および任意選択で、閉じられ)、第2のアセンブリのセルが充填される(および、任意選択で、閉じられる)前に、第2のアセンブリが第1のアセンブリに固定されてもよい。あるいは、第1のアセンブリは、いずれかのアセンブリのセルが充填される前に、第2のアセンブリに固定されてもよい。任意の組立方法によれば、アセンブリが互いに固定される前に、1つまたは複数のアセンブリの1つまたは複数のセルが任意に部分的に充填されてもよいことがさらに理解されよう。好ましくは、侵食防止システムを構築する方法は、特許請求の範囲による方法である。
【0032】
本発明の第4の態様の方法は、以下に記載される本発明の任意の態様、特に本発明の第10の態様に関連して記載される任意の特徴を組み込んでよく、その逆もまた同様であることが理解されよう。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、岩石片を収容するための複数のセルを含む侵食防止システムであって、各セルは、底面パネルによって画定される底部と、側面パネルによってそれぞれ画定される少なくとも3つの起立した側部と、蓋パネルによって画定される頂部を有し、底面パネル、側面パネル、及び蓋パネルはそれぞれメッシュから形成され、好ましくはセルの端に沿って互いに固定される、侵食防止システムを提供する。好ましくは、各セルは、1~5mの長さ、1~5mの幅、0.5~2mの高さ、および0.5~50m3の内部容積を有する。さらに、または代替的に、各セルは、少なくとも0.5mの長さおよび少なくとも0.5 mの幅として、各セルは、最大10 m、例えば最大5 mの長さを有する。加えて又は代替的に、各セルは、最大5m、例えば最大4mの幅を有する。加えて又は代替的に、各セルは、少なくとも0.1m3、例えば少なくとも1m3、例えば少なくとも4m3、任意選択で少なくとも9m3の内部容積を有する。加えてまたは代替的に、各セルは、最大8m3、例えば最大10m3、例えば最大30m3の内部容積を有する。メッシュの第1の底面パネルは、第1のセルの底部の少なくとも一部を横切って延び、第1のセルに隣接する第2のセルの底部の少なくとも一部を横切って延びている。好ましくは、第1の底面パネルは、第1のセルの底部を画定する。好ましくは、第1の底面パネルは、第2のセルの少なくとも2つの側面パネル、例えば少なくとも3つの側面パネル、例えば少なくとも4つの側面パネルに、例えば第2のセルの縁部に沿って少なくとも部分的に固定される。加えて又は代替的に、第1の底面パネルは、好ましくは、第2のセルの底面の少なくとも一部を横切って(例えば、画定して)延びる第2の底面パネルに重なり、固定される。このような固定具により、第1のセルは第2のセルに固定される。メッシュの第1の蓋パネルは、第1のセルの頂部の少なくとも一部を横切って延び、第1のセルに隣接する第3のセルの頂部の少なくとも一部を横切って延びてる。任意選択で、第1の蓋パネルは、第1のセルの頂部を画定する。好ましくは、第1の蓋パネルは、第3のセルの少なくとも2つの側面パネル、例えば少なくとも3つの側面パネル、例えば少なくとも4つの側面パネルに、例えば第3のセルの縁部に沿って少なくとも部分的に固定される。さらにまたは代替的に、第1の蓋パネルは、好ましくは、第3のセルの頂部の少なくとも一部を横切って(例えば、画定して)延びる第3の蓋パネルに重なり、締結される。それらの締結は、第1のセルを第3のセルに固定する。第3のセルは、第2のセルと異なる。第1の蓋パネルとは異なる第2の蓋パネルが、第2のセルの頂部の少なくとも一部を横切って延びる。任意選択で、第2の蓋パネルは、第2のセルの頂部を画定する。第1の底面パネルとは異なる第3の底面パネルは、第3のセルの底部の少なくとも一部を横切って延びる。好ましくは、第3の底面パネルは、第3のセルの底部を画定する。任意選択で、メッシュは金網である。
【0034】
各セルは、任意の都合の良い形状であってよい。例えば、各セルは、三角柱(三角形の面がセルの頂部及び底部であり、直線の面が側部である)、立方体及び六角柱(六角形の面がセルの頂部及び底部であり、直線の面が側部である)から選択される形状を有していてもよい。セルはすべて同じ形状である必要はない。例えば、セルは、立方体と直方体の組み合わせであってもよい。あるいは、セルは、複数の形状の混合物であってもよい。好ましくは、各セルは立方体である。
【0035】
各セルは、セル縁部で交差する複数の面を有することが理解されよう。各セルは、セルの頂部、底部、および少なくとも3つの側部からなる少なくとも5つの面を有している。
各セルは、岩石片を格納するための、密閉されたセルである。したがって、セルのすべての面は、金網パネルによって画定され、側面パネルがセルのすべての側部を画定することを意味する。その結果、セルの内部容積は、セルのすべての面の金網パネルによって囲まれている。
【0036】
第1のセルの底部を画定する底面パネルの延長が第2の隣接するセルの底部の少なくとも一部を横切り、第1のセルの蓋パネルの延長が第3の隣接するセルの頂部の少なくとも一部を横切ることにより、隣接するセル間に特に確実で堅牢な結合部を形成することができる。より詳細には、第1のセルの底面パネルを第2のセルの少なくとも3つの側面パネルに締結すること、及び/又は、底面パネルを第2のセルの底面パネルに重ねて締結することは、セルの底部において緊密かつ堅牢な結合を提供する。同様に、第1のセルの蓋パネルの第3のセルの少なくとも3つの側面パネルへの締結、及び/又は、蓋パネルの第3のセルの蓋パネルへの重ね合わせ及び締結は、セルの頂部で密接かつ堅牢な連結を可能にする。さらに、セル間の特に堅牢な連結の独自の構成は、セルが一体的な塊として挙動する結果となり、セル間の結合部における弱点を回避するのに役立つ、確実な結合部を提供する。
【0037】
本書で使用する場合、パネルがセルの面の内面全体を覆うとき、パネルはセルの面を「画定」する。例えば、セルの頂部を画定するパネルは、セルの頂部の全方向にわたって延在し、セル内部に面する頂部の内面を形成する。本明細書で使用されるように、パネルが、パネルによって共有されるセルの縁部に沿って少なくとも部分的に一緒に締結されるとき、パネルは、セルの縁部において別のパネルに締結される。あるパネルについては、そのような締結は、パネルの周辺縁部であってよく、他のパネルについては、そのような締結は、パネルの中間部分を横切っていてよい。本明細書で使用する場合、金網「パネル」は、金網の連続シートである。言い換えれば、各パネルは、金網の単一の連続シートから作られ、識別可能な結合部によって一緒に結合された2つ以上のシートから構成されない。ただし、セルのどの面でも、パネルが別の別のパネルと重なっていてもよく、重なっていなくてもよい。
【0038】
識別可能な第1のパネルと識別可能な第2のパネルとを結合する識別可能な結合部があるとき、第1のパネルが第2のパネルに対して分離されていることが理解されよう。例えば、パネルは、パネル自体とは異なる外観及び/又は材料の留め具によって結合されてもよい。結合部を形成するために使用される留め具は、結合部に沿って連続的であってもなくてもよく、そのように結合された2つのパネルが連続的な材料のシートから形成されたかのように動作するように固定されていてもよく、されていなくてもよい。
【0039】
セルの2つ以上の隣接する面を形成するパネルは、別個のパネルであると明示的に記載されていない場合、例えば、金網の単一の連続シートから形成されてもよいことが理解されよう。例えば、セルの2つの隣接する側面パネルは、例えば、パネルによって画定される側部によって共有されるセル端部での曲げを有する、単一の金網のシートから形成されてもよい。任意選択で、各セルの側面パネルの少なくとも2つ、例えば全ての側面パネルは、単一の連続した金網のシートから形成される。追加的又は代替的に、各セルの底面パネルと少なくとも1つの側面パネル、及び/又は蓋パネルと少なくとも1つの側面パネルは、任意選択で、例えば、パネルによって画定される底部/頂部及び側部(複数可)によって共有されるセルの縁部で曲げられた、単一の連続した金網のシートから形成されている。
【0040】
本明細書で使用されるように、セルは分割されていない内部容積を有していてもよい。例えば、各セルは、セルを複数のサブセルに細分化する金網パネルから自由であってよい。セル内に配置されたブレースアセンブリが存在する場合、セルの内部容積を細分化しないことが理解されよう。
【0041】
好ましくは、侵食防止システムは、海岸侵食防止システムであり、例えば、侵食防止を必要とする海岸線に設置するために構成され、例えば、海岸に設置するために構成される。さらに、または代替的に、侵食防止システムは、水路侵食防止システムであり、例えば、河川、運河、または河口に隣接する河岸および/または堤防に沿って設置するように構成されるなど、水路の側方に沿って設置するように構成される。
【0042】
好ましくは、第1の底面パネルとは異なる第2の底面パネルが、第2のセルの底部を画定し、第1の底面パネルは、第2のセルの底部を横切って第2の底面パネルと重なり合う。パネルが重なる領域(すなわち、少なくとも1つの金網パネルが別の、同一平面上のパネルに対して横たわる領域)は、本明細書において「重なり領域」と呼ばれる。任意選択で、底面パネルは、重なり領域において一緒に固定される。重なり合って固定されたパネルは、セル間の特に安全で堅牢な連結を提供することが判明している。
【0043】
好ましくは、第1のセルの側部は第1セットの側面パネルによって画定され、第2のセルの側部は第2セットの側面パネルによって画定され、第3のセルの側部は第3セットの側面パネルによって画定される。任意選択で、第1セットの側面パネルの1つは第2セットの側面パネルの1つに重なって固定され、第1セットの側面パネルの別の1つは第3セットの側面パネルの1つに重なって固定される。このように、セルは、任意に、それらの隣接する側部、ならびにそれらの頂部および底部において一緒に固定される。このような固定具の配置は、セル同士を強固に結合し、結合されたセルが、例えば波の衝撃などから生じる応力の方向にかかわらず、モノリシック構造として挙動することに特に有効であることが判明している。
【0044】
金網パネルは、任意の適切な連結システムによって一緒に固定されてもよい。連結システムは、連続的(複数の点連結が単一の装置によって形成される)であっても、不連続的(点連結がそれぞれ離散的な装置によって形成される)であってもよい。点連結は、ある金網のワイヤーが別の金網のワイヤーに固定される単一の位置である。適切な連続的な固定装置には、タイワイヤーが含まれる。好適なタイワイヤーの例としては、可撓性ワイヤー(例えば、固定されたパネルのメッシュ開口部を通してジグザグパターンで織られたもの)及び剛性ワイヤー(例えば、固定されたパネルの金網を一緒に縫い合わせるように構成されたジグザグ又はヘリコイル形の剛性ワイヤー)が含まれる。連続的な連結装置は、装置の長さに沿って、メッシュ開口部ごとに少なくとも1つの点連結を提供してもよい。好適な離散的締結装置には、ワイヤークリップなどのクリップが含まれる。例示的なワイヤークリップには、隣接するパネルのワイヤーの周囲で閉じることができるCクリップが含まれ、好ましくは、ワイヤーが互いに対向している場所である。さらに、ワイヤークリップの例としては、クロークリップ(Geobrugg(登録商標)が市販するT1プレスドクロークリップなど)およびスプリングクリップ(Geobrugg(登録商標)が市販するT3スプリングクリップなど)などがあります。
【0045】
任意選択で、各セルの底面パネル、側面パネル、及び蓋パネルは、1つ又は複数のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによってセル縁部で一緒に固定される。任意選択で、セルのパネルは、縁の長さの50%以上、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも90%、に沿って延びる連続的な締結装置によって、セルの縁に沿って締結される。加えて又は代替的に、パネルは、複数の離散的な締結装置によってセル縁に沿って締結され、任意に、締結装置は、隣接する締結装置間及び縁の各端と最も近い締結装置との間の間隔が縁の長さの30%以下、例えば25%以下、例えば20%以下となるように縁に沿って間隔を空けて配置される。さらに、または代替的に、離散的な締結装置は、メッシュ開口部の長さおよび/または幅に等しい距離だけ離間される。セルの縁の大部分に沿って分布する点連結を提供するように配置された締結装置は、特に強力な結合を提供する。連続的な締結装置と離散的な締結装置の組み合わせが同じ縁に使用され得ることが理解されよう。
【0046】
任意に、重なり合うパネルは、1つ以上のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによって互いに固定される。任意選択で、隣接するセルの重なり合うパネルは、少なくとも1つの連続的な締結装置、及び/又は少なくとも1列の離散的な締結装置によって締結される。任意選択的に、そのような連続的な締結装置は、重なり領域の幅の50%以上、例えば少なくとも75%、例えば90%にわたって延在する。加えて又は代替的に、重なり合うするパネルは、複数の離散的な締結装置によって締結され、任意に、締結装置は、隣接する締結装置間の間隔及び重なり領域の対向する縁部と最も近い締結装置との間の間隔が重なり領域の幅の30%以下、例えば25%以下、例えば20%以下となるように重なり領域の幅を越えて間隔を空けて配置される。重なり領域の幅の大部分に沿って分布する点連結を提供するように配置された締結装置は、特に強力な結合を提供する。任意に、隣接するセルの重なり合うパネルは、少なくとも2つの連続的な締結装置、または少なくとも2列の離散的な締結装置によって締結され、任意に、少なくとも2つの連続的な締結装置、または少なくとも2列の締結装置は、重なり合う領域の長さにわたって間隔をあけて配置される。点連結の間隔をあけた平行なアレイを提供することは、点連結の数が増加するためだけでなく、間隔をあけたアレイが、1つの点連結アレイに沿って他のパネルから離れるように一方のパネルがねじれることを避けるのに役立つため、結合部を強化する。連続的な締結装置と離散的な締結装置の組み合わせが、同じ重なり領域で使用され得ることが理解されよう。
【0047】
第2のセルは第1のセルの第1の側部に接し、第3のセルは第1のセルの第2の側部に接する。任意選択で、第1のセルの第1の側部及び第2の側部は、第1のセルの隣接する側部である。例えば、第1のセルの第1の側部及び第2の側部は、共通のセル縁部を共有する。第1のセルの底面パネルを第1の方向に隣接するセルまで横断的に延在させる一方、第1のセルの蓋パネルを第1の方向と非平行な(例えば垂直な)第2の方向に別の隣接するセルまで延在させると、セル間の特に強い相互連結が得られることが判明している。
【0048】
金網パネルを形成するために、任意の適切なワイヤーを使用することができる。オプションとして、ワイヤーは、高張力鋼線などの高張力ワイヤーである。パネルを一緒に固定するためのタイワイヤー及び/又はクリップを形成するために使用されるワイヤーは、任意に、高張力鋼線などの高張力ワイヤーである。本明細書で使用されるように、高張力鋼線は、少なくとも1,000N/mm2、任意選択で少なくとも1,500N/mm2、例えば少なくとも1,650N/mm2、少なくとも2、200N/mm2、又は少なくとも2,700N/mm2の引張強さを有する。任意に、高張力鋼線は、最大3,200N/mm2の引張強度を有する。任意選択で、高張力鋼線は、少なくとも2mm、例えば少なくとも3mm、例えば少なくとも4mmの直径を有する。任意で、高張力ワイヤーは、8mm以下、例えば6mm以下、例えば5mm以下の直径を有する。このようなワイヤーは、強度と柔軟性との間の効果的なバランスを提供する。任意選択で、パネルを形成するために使用される金網は、少なくとも75kN/m、例えば少なくとも100kN/m、例えば少なくとも130kN/mの引張強度を有する。メッシュの引張強度は、European Assessment Document 230025-00-0106に記載されているように測定される。好ましくは、高張力ワイヤーは、耐腐食性鋼ワイヤーである。任意選択で、高張力ワイヤーは、オーステナイト系、フェライト系、または二相ステンレス鋼、好ましくは二相ステンレス鋼などのステンレス鋼から形成される。ステンレス鋼は、少なくとも約11重量%のクロム含有量を有する鉄ベースの合金であることが理解されよう。二相ステンレス鋼は、オーステナイトとフェライトの混合ミクロ構造を有し、オーステナイト系ステンレス鋼と比較して改善された降伏強度を提供する。任意選択で、金網パネルの高張力ワイヤー、及び/又はタイワイヤー/ワイヤークリップは、AISI316又はAISI318ステンレス鋼から形成される。任意選択で、高張力鋼線は、アルミニウム-亜鉛合金コーティング、例えば、約95%のZnと5%のAlからなるコーティングなどの耐腐食性コーティングを有する。任意選択で、そのようなコーティングは、少なくとも90g/m2、例えば少なくとも100g/m2、例えば少なくとも125g/m2の量で存在する。耐食性ワイヤー、特にステンレス鋼ワイヤーは、厳しい屋外環境、例えば沿岸部において特に有用である。ステンレス鋼製部品は、卓越した耐久性を提供し、侵食防止システムの環境への影響を軽減させる。特に、ステンレス鋼は長寿命であるため、砂防インフラの頻繁なメンテナンスおよび/または交換を避けることができ、自然環境の撹乱を避けることができる。さらに、ステンレス鋼の耐食性は、従来の建設材料(コンクリートおよび/または従来の鋼材など)の分解中に放出される汚染物質による自然環境の汚染を回避するのにも役立つ。
【0049】
任意選択で、金網は、幅40~120mm、長さ60~200mm、例えば、幅60~100mm、長さ80~150mmの開口部を有する。開口部の長さは、開口部の最大直径を横切って測定され、幅は、メッシュの平面を横切って長さに垂直に測定される。
【0050】
好ましくは、金網は織物またはニット網である。溶接金網とは対照的に、織物および編物の金網は、より大きな内部柔軟性を提供する。従来の蛇籠の形成に使用される溶接金網では、金網を形成するワイヤーが格子状に配置され、重なりごとに溶接される傾向がある。このような金網シートは、非常に高い剛性を有している。そのため、個々の蛇籠を複数箇所で結合しても、個々の剛体ブロックとして挙動することが分かっている。そこで、より柔軟な金網を用いることで、外力を受けた際にセル形状にある程度の歪みが生じることが判明した。特に、織物または編物の金網を使用してセルを形成した場合、含まれる岩石片や地盤の動きによるセルの歪みによって、システム全体の金網の張力が増加し、さらなる外力に対する強度と弾力性が高まることが分かってきた。強度と復元力が高いほど、侵食防止システムの効果は高くなり、メンテナンスの必要性も低くなる。メンテナンスの低減は、コストを節約し、かつ、設置場所の生態系を混乱させ、損傷させる可能性のある侵襲的な介入を低減するのに役立つ。好ましくは、金網は、菱形金網である。菱形金網は、チェーンリンク金網とも呼ばれ、金網の平面を横切って全て同じ一般的方向に延びる複数の織り合わせられたワイヤーで構成される。ワイヤーはジグザグパターンに曲げられており、各「ジグ」はすぐ一方の側のワイヤーと引っ掛かり、各「ザグ」はすぐ他方のワイヤーと引っ掛かり、四辺形の開口部を形成する。交錯したワイヤーの各対は、金網の幅を横切って延びるメッシュ開口部の列を画定することが理解されよう。任意選択で、開口部は細長い菱形またはダイヤモンド形の形状を有している。菱形金網は、ワイヤーが各交差箇所で1つ以上の完全なターンによって互いの周りにラップするために一緒にねじられている他のタイプの織物メッシュと区別される。そのような金網の例は六角形パターンの金網で、一般に「鶏舎用の金網」と呼ばれる網に構造で類似している。このような金網の例としては、Maccaferri(登録商標)社から市販されているPVCコーティングされたスチール金網がある。このような六角形パターンの金網は、本発明のセルを形成する金網として使用することができるが、菱形金網は、シート内の柔軟性をより良くし、高張力ワイヤーからより容易に作ることができることが判明している。任意選択で、金網が織物または編物の金網である場合、各ワイヤーの切断端は、例えば、金網の縁に沿って走るメッシュ開口部の列を閉じるために一緒に結ばれている。任意選択で、各ワイヤーの切断端は、隣接するワイヤーの切断端にある対応するループと相互ロックするループに結びつけられる。任意選択で、セルの側面パネルを形成する金網は、側面パネルと蓋パネルの間、および側面パネルと底面パネルの間の縁に沿って走る結び目のあるワイヤー端を有するメッシュ縁を有するように配向される。特に有用な金網は、GEOBRUGG(登録商標)社製のTECCO(登録商標)金網である。
【0051】
好ましくは、各セルの少なくとも3つの側面パネルのうちの少なくとも1つは、セルの底部を画定する底面パネルの周縁から少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ内側に間隔をあけて配置される。好ましくは、第1のセルの底部を画定する底面パネルは、隣接する第2のセルの底部を画定する底面パネルの下方に少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm延びて重なり合っている。任意選択で、各セルの底面パネルは、セルの少なくとも一辺から、当該辺と対向する辺又は縁との間で測定したセルの幅の少なくとも5%、例えば少なくとも7%、例えば少なくとも10%、外側に延在する。任意選択で、各セルは少なくとも4つの起立した側部を有し、各セルの側面パネルの少なくとも2つは、セルの底部を画定する底面パネルの周縁から少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ内側に間隔をあけて配置される。任意選択で、第1のセルの底部を画定する底面パネルは、隣接する第2のセルの底部を画定する底面パネルの下に少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm延びて重なり合っている。さらに、第1のセルの底部を画定する底面パネルは、少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ、さらなるセルの底部を画定する底面パネルの下方に延び、かつオーバーラップしている。更なるセルは、第1のセルに隣接し、第2のセルとは異なる。さらなるセルは、第2のセルに隣接していてもよいし、隣接していなくてもよい。任意選択で、さらなるセルは第3のセルである。代替的に、更なるセルは第4のセルである。任意選択で、各セルの底面パネルは、パネルが延びる側と対向する側又は縁との間で測定したセルの幅の少なくとも5%、例えば少なくとも7%、例えば少なくとも10%、セルの少なくとも2つの側から外側に延びている。任意選択で、底面パネルは対向する側部から延びる。さらに、または代替的に、底面パネルは隣接する側部、言い換えれば共通の縁を共有する側部から延びている。任意選択で、各セルはX個の起立した側部を有し、X個の起立した側部のX/2を形成する側面パネルは、前記底面パネルの周縁から少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ内側に間隔をあけ、起立した側部のX/2は底面パネルの周縁に配置される。任意選択で、各セルの底面パネルは、パネルが延びる側と対向する側又は縁との間で測定されるセルの幅の少なくとも5%、例えば少なくとも7%、例えば少なくとも10%、セルのX/2の側部から外側に延び、底面パネルはセルのX/2の側部で終端している。任意選択で、Xは4または6であり、例えば4である。任意選択で、X=4のとき、底面パネルは、対向する側部または隣接する側部(言い換えれば、共通の縁を共有する側部)、好ましくは隣接する側部から延在する。任意選択で、X=6のとき、底面パネルは、交互に並ぶ側部から延びる。任意選択的に、複数のセルは、複数の第1の拡張ベースセルと、複数の第2のクロップドベースセルとから構成される。拡張ベースセルは、底面パネルの周縁から内側に間隔をあけて配置されたすべての側面パネル、及び/又は、セルのすべての側部から外側に延びるように底面パネルを有する。底面パネルは、セルの底部と同じ全体形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、底面パネルの延長は、フラップ(セルの各側部に対するフラップ)の形態であってもよく、又は底面パネルは、セルの底部における頂点からだけでなく、セルの底部における縁部からも外側に延びてもよい。クロップド(切り取られた)ベースセルは、底面パネルの周縁に配置された全ての側面パネル、及び/又は、セルの各側部で終端する底面パネルを有する。一緒に組み立てたとき、他のセルに接する拡張ベースセルの各側部はクロップドベースセルの側部に接し、他のセルに接するクロップドベースセルの各側部は拡張ベースセルの側部に接する。
【0052】
任意選択で、1つ以上の側面パネルが底面パネルの周辺エッジから間隔をあけて配置され、及び/又は底面パネルがセルの1つ以上の側部から外側に延びるとき、側面パネルはそのように間隔をあけて配置され、及び/又は底面パネルはそのように少なくとも75%、例えば少なくとも90%に沿い、例えば当該側面全長にわたって延びる。
【0053】
任意選択で、第1の底面パネルは、第1のセル及び第2のセルとは異なる1つ以上のセル、例えば第3のセルとは異なる1つ以上のセルの底部の少なくとも一部を横切って延在する。任意選択的に、第1の底面パネルは、第2のセルの底部を画定し、任意選択的に、第1及び第2のセルとは異なる1つ以上のセルの底部を画定する。任意選択で、第1の蓋パネルは、第1及び第3のセルとは異なる1つ又は複数のセル、例えば第2のセルとは異なる1つ又は複数のセルの頂部の少なくとも一部を横切って延在する。任意選択的に、第1の蓋パネルは、第3のセルの頂部を画定し、任意選択的に、第1及び第3のセルとは異なる1つ又は複数のセルの頂部を画定する。任意選択で、1つ以上の側面パネルが隣接するセルによって共有され、各セルの側部を形成する。例えば、各セルは、任意に、単一の側面パネルが隣接するセル間の唯一の分離を提供するように、隣接するセルと側面パネルを共有してもよい。
【0054】
任意選択的に、各セルは、セルの底部を画定する底面パネルをセルの頂部を画定する蓋パネルに結びつける少なくとも1つのブレースアセンブリ(例えば、垂直ブレースアセンブリ)を備える。任意選択的に、各そのようなブレースアセンブリは、前記底面パネルの下方に配置された下部ブレースプレートと、前記蓋パネルの上方に配置された上部ブレースプレートと、下部ブレースプレートを上部ブレースプレートに結合する張力ケーブルと、を備える。好ましくは、ブレースアセンブリは、ケーブルを緊張させることができるように構成され、ブレースプレートを一緒に引っ張る正の力を提供する。好ましくは、ケーブルは、任意の適切な固定方法によって下部ブレースプレートにしっかりと取り付けられる。オプションとして、張力調整ケーブルは、上部ブレースプレートの穴を通過し、上部プレートの上でケーブルに固定されたクリップ(クリップは穴を通過できないような大きさである)によって固定される。オプションとして、各セルは、セルの第1の側部を画定する第1の側面パネルとセルの対向する第2の側部を画定する第2の側面パネルとを結びつける少なくとも1つの対応する水平ブレースアセンブリを含む。ブレースアセンブリのクリップは、上部/第2プレートが下部/第1プレートに向かって押されると、クリップがケーブルに沿って下/内側にスライドし、上部/第2プレートを押す力が除去されると、クリップがケーブルに沿って上/外側に戻るのを防止できるワンウェイクリップであってもよい。あらゆるブレースアセンブリの両方のブレースプレートは、張力ケーブルがブレースプレートの穴を通過し、ワンウェイクリップで所定の位置に保持されるように配置されてもよいことが理解されよう。このような配置では、ケーブルはセルの頂部と底部、または対向する両側部から外側に伸びていてもよい。適切なブレーシングアセンブリには、Platipus(登録商標)社製のものが含まれる。追加的または代替的に、ブレースアセンブリは、例えば、張力ケーブルを上部/第2のブレースプレートに連結するためのネジ付きバーおよび保持ナットを任意に含んでいてもよい。ここで、張力ケーブルの一端は、下部/第1のブレースプレートに取り付けられ、他端は、ねじ付きバーの一端をねじ込み可能に受ける大きさのねじ付きソケットに取り付けられ、上部/第2のブレースプレートは、上部/第2のブレースプレートの外側でバーにねじ込むときに保持ナットの通過を許容せずにねじ付きバーの他端を受ける大きさの貫通孔から構成される。任意選択で、ブレースアセンブリの1つ以上は、例えば、セルのための便利な持ち上げおよび/またはアンカーポイントを提供するために、アンカー装置(グラウンドアンカーおよび/または別の対応するセルアセンブリなど)および/または持ち上げ装置(クレーン取り付け具など)に取り付けるように構成される。セルが対応するセルに固定されるとき、セルのブレースアセンブリは、例えば、重なり合うメッシュパネルによって結合されないとき(例えば、セルが水中場所に設置されるとき)セルの便利な固定を可能にするように、互いに取り付けるように構成されてもよい。任意選択的に、セルは、部分的に又は完全に岩石片で充填されたときに、1つ以上のブレースアセンブリによって吊り下げ可能及び/又はアンカリング可能である。任意選択的に、張力ケーブルの端部(例えば、ブレースプレートの穴を通して突出するように構成された端部)は、アンカー装置及び/又は吊り上げ装置のために構成され、又はそれに取り付けられる。追加的または代替的に、ブレースアセンブリがねじ付きバーからなる場合、ブレースアセンブリは、例えばテーブルに固定された別のねじ付きソケットによって、ねじ付きバーに取り付けられたアンカーおよび/または持ち上げケーブルをさらに含んでもよく、このケーブルは、アンカー装置および/または持ち上げ装置に取り付けられるように構成される。
【0055】
好ましくは、各セルは、金網(メッシュ)の開口部の断面サイズよりも大きなすべての寸法の断面サイズを有する岩石片などの岩石片で充填される。岩石片は不規則な形状を有することが多いので、岩石片で充填されていても、セルの内部には岩石間に多数の空隙が含まれることがあることが理解されよう。このような空隙は、より小さな岩石片および/または砂および/または土などの粒状物質で充填することができる。また、コンクリート破片を再利用するために、各セルをコンクリート破片で充填してもよい(そのような材料が設置場所での使用に適している場合)。岩片間の空隙、及び任意に小さい岩片と粒状材料との間の空隙は、波エネルギーが放散され得る多孔質構造を提供し得る。例えば、波が侵食防止システムに衝突したとき、水は岩石と粒状材料との間の空隙に落ちることができる。これにより、侵食防止システムによって偏向される水の量を減らすことができ、例えば、侵食防止システムの上部を越えて/後方へ流れる水によって引き起こされる洗掘の量を減らすことができる。また、多孔質であるため、自然の構造物と同じような挙動を示し、自然環境に溶け込むことができます。また、柔軟性(特にチェーンリンク)と耐久性(特にステンレス鋼線)に優れた金網を使用することで、岩石を充填することにより、時間の経過とともに砂防設備が移動し、自然環境に溶け込み、植生や砂などの粒状物質が堆積して構造物が補強されます。
【0056】
任意選択で、侵食防止システムは、さらに、セルの下に配置された少なくとも1つの洗掘防止層を含む。任意選択で、洗掘防止層は、ジオテキスタイル材料からなる。例えば、そのようなジオテキスタイル材料は、セルと侵食防止を必要とする地表との間に挟まれてもよい。洗掘防止層と地盤との間に1つ以上の追加の構造物が配置されてもよいことは理解されよう。例えば、侵食防止システムは、1つ以上のジオチューブなどの既存の侵食防止構造物の上に敷設されてもよい。侵食防止システムのセルの下にジオテキスタイル材料の層を組み込むと、水がセルを通って及び/又はセルの上を流れるときに、セルの下から地面が洗掘されるのを回避するのに役立つことが分かっている。透水性ジオテキスタイルは水を通しますが、ジオテキスタイルの上に落ちた大量の水はジオテキスタイルを通らず横切るように流れ、土や砂、小さな岩や板などの地面を洗い流さずにセル下の地面から水を迂回させる傾向があります。透水性ジオテキスタイル材料は、水を通す孔を設けるために織られるものであってもよく、ニードルパンチされるものであってもよい。
【0057】
任意選択で、侵食防止システムは、セルの下に配置された遮水層を含む。任意選択で、遮水層は、半透水性又は不透水性のバリア材料からなる。任意選択で、バリア材料は、不透水性ジオテキスタイル材料からなる。さらに、または代替的に、水バリアは、ジオテキスタイル材料の層の間に挟まれた粘土層など、粘土層からなる。適切な粘土の例は、ベントナイトである。粘土層と組み合わせて使用されるジオテキスタイル材料は、それ自体が透水性であってもよい。侵食防止システムが河川や運河などの水路で使用される場合、遮水層が特に有用であることが判明している。このような環境では、侵食防止システムは、土手を侵食から保護すると同時に、水路の内張りを防水するという2つの機能を提供する。
【0058】
ジオテキスタイル材料層が侵食防止システムに組み込まれる場合、任意の適切なジオテキスタイル材料を使用することができる。例えば、ポリオレフィン、例えばポリプロピレン、又はポリエステルベースの材料などの高分子材料である。任意選択で、ジオテキスタイル材料は、水透過性ジオテキスタイルである。水透過性ジオテキスタイル材料は、水を通過させながら、土、砂、小さな岩または板材、または他の細かい材料を保持するために使用できる布地である。不透水性ジオテキスタイルとは、水を通さない布のことである。Geosynthetics(登録商標)社から適切なジオテキスタイルが市販されている。
【0059】
任意選択で、各セルは、土及び/又は砂などの粒状物質の通過を防止するための透水性微粉バリアからなる。任意選択で、微粉バリアは、5mm未満、例えば2mm未満、例えば1mm未満の直径を有する粒状物質を保持するように構成される。任意選択で、微粉バリアは、少なくとも0.07mm、例えば少なくとも0.1mmの直径を有する粒状物質を保持するように構成されている。任意選択で、微粉バリアは、より小さい材料が通過することを可能にする。したがって、微粉バリアは、土および/または砂バリアであってよく、任意にシルトバリアでなくてもよい。存在する場合、微粉バリアは、セルの内部に位置し、セルの頂部と底部の中間の位置でセルの断面全体にわたって延在する。したがって、任意選択の微粉バリアは、各セルの蓋パネルの下に配置される。好ましくは、微粉バリアがある場合、セルの頂部にある蓋パネルのすぐ下に配置され、それによって、隣接する蓋パネルの上部を裏打ちする。微粉バリアは、砂および/または土のような粒状材料をセル内に保持するのを助けるために使用できることが見出されている。砂および/または土を含むセルは、侵食防止を必要とする現場での要求に応じて、任意に、砂および/または土だけでなく、岩石片を含むことができる。任意選択的に、各セルは、砂及び/又は土などの粒状材料、並びに任意選択的に、金網開口部の断面サイズよりも大きい全ての寸法の断面サイズを有する岩石片などを含み、粒状材料は、微粉バリアの下に配置されるか、微粉バリアで囲まれた空間内に配置される。微粉バリアが、上部に向かってセルを横切って延びる層の形態であるとき、微粉はバリアの下に配置されてもよいことが理解されよう。微粉バリアが例えば袋の形態である場合、微粉は微粉バリアによって囲まれた空間(したがって袋の内側)に配置されることがある。任意選択で、微粉バリアは、側面パネルに隣接する前記セルの少なくとも3つの側部、及び任意選択で底面パネルに隣接する前記セルの底部を裏打ちする。微粉バリアがセルの頂部、底部及び側部を裏打ちすることは、セル間で粒状物質が移動することを防ぐのに役立ち、これは、時間の経過とともに、侵食防止システムの局所的な部分における微粉の集中につながる可能性がある。任意選択的に、微粉バリアは、前記セルの底部を裏打ちする底部、前記セルの少なくとも3つの側部を裏打ちする側部、及び前記セルの頂部を裏打ちする頂部フラップを有する袋の形態である。袋は、セル内に位置決めされ、一旦所定の位置に置くと材料で充填するのに特に便利であることが判明している。好ましくは、蓋は、例えば、少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm、各側で袋の側面に重なるようにサイズ設定され構成される。任意選択で、蓋はセルの頂部より大きく、蓋の縁を側部と一緒に押し下げることができるようにする。さらに、または代替的に、袋の側面は、セルの頂部に折り畳むことができるように、セルの側部よりも高い。好ましくは、微粉バリアは、合成または天然の生分解性材料などの生分解性材料から形成される。好適な合成生分解性材料には、生分解性プラスチックが含まれる。好ましいのは天然の生分解性材料であり、これは一般的に環境への影響が少ない。好適な天然生分解性材料には、ジュート繊維、麻繊維、ココナッツ繊維、わら、および羊毛が含まれる。任意選択で、生分解性材料は羊毛からなる。任意選択的に、各セルは、複数の生きた植物、例えば生きた草の植物、及び/又は植物の種子、例えば草の種子からなる。生きた植物の選択は、システムが配置される環境に依存することが理解されよう。特に有用な植物は、比較的短時間で広範な根系を確立することができるものである。広範な根系は、例えば人工砂丘および/または川岸の確立を助けるなど、設置物の安定化に役立つと考えられている。細胞が生きた植物からなる場合、生きた植物は、根が少なくとも部分的に微粉バリアの下に配置されるか、または微粉バリアで囲まれた空間に配置されることが好ましい。例えば、そのような根は、最初はそのように配置されるか、または配置されてもよいが、時間の経過とともに、植物が成長するにつれて、根がバリアを貫通してもよいことが理解されよう。好ましくは、微粉バリアは、根がバリアを貫通することを可能にするように構成される。好適な植物の例としては、ハーブ及び草、例えばアンモフィラ(マラム草として知られる草の属)が挙げられる。任意選択的に、微粉バリアは、生きた植物を挿入することができる複数の開口部、好ましくはスリット開口部を含む。そのようなスリット開口部は、細胞がファイルされて閉じられた後に、植物が細胞に加えられるための便利な方法を提供し得る。細胞が植物の種子からなる場合、種子は、好ましくは、微粉バリアの下に配置される。さらに、または代替的に、種子は、微粉バリア自体に組み込まれてもよく、例えば、微粉バリアが種子を含浸させる場合である。侵食防止システムに植物及び/又は種子を供給することにより、侵食防止システムを覆う自然な保護カバーの形成が促進される。生分解性の微粉末バリアを利用すると、植物が定着している間は微粉末バリアが粒状充填物を保持する働きをするので、バリアが自然に崩壊する頃には、植物が細胞内の粒状物質を保持する役割を引き継ぐ。このようなシステムは、特に環境に配慮した砂丘の形成を促進するのに有効である。ステンレス金網、生分解性天然微粉末バリア、植物・植物の活着という組み合わせの砂防システムは、特に環境に優しく、長期的な砂防を実現します。
【0060】
任意選択で、侵食防止システムは、つま先部及び傾斜部を備え、つま先部は、少なくとも1つの下部のセル列の上に直接積層された少なくとも1つの上部のセル列を備え、傾斜部は、並んで配置された少なくとも第1のセル列、及び任意選択で第1のセル列と並んで配置された少なくとも第2のセル列から構成される。好ましくは、侵食防止システムは、斜面に設置されたとき、つま先部を形成する積層されたセル列が斜面の底面または下部を横切って延び、傾斜部を形成する各セル列がつま先部の上方の斜面を横切って延びるように構成される。積層されたつま先部は、斜面の基部に追加の質量を提供するのに役立ち、侵食防止システムの全体的な安定性を改善することが見出された。より詳細には、つま先部に大きな質量を有することは、つま先部の下の地面が侵食された場合に、つま先部が地面に対して下方に傾斜することを促すことが判明している。特に、沿岸部に設置される場合、つま先部の下の地盤は、通常、波浪の影響を最も受けやすいため、侵食されやすいことが多い。つま先部分を地盤に浸すことは、侵食防止システムがそれ自体を埋め、将来の侵食を回避するのに役立ち、また、セル全体の張力を増加させ、それによってシステム全体としての強度と剛性を増加させるのに役立つ。好ましくは、つま先部の上部列の各セルは、蓋パネル及び/又は底面パネルによって傾斜部の少なくとも1つのセルに固定され、つま先部の各セルは、底面パネル又は蓋パネルによってつま先部の同じ列における別のセルに固定される。好ましくは、傾斜部の各セルは、1)底面パネルまたは蓋パネルによって傾斜部の同じ列の別のセルに固定され、2)蓋パネルまたは底面パネルによって傾斜部の異なる列の別のセルおよび/またはつま先部の上部の列の別のセルに固定されている。蓋パネルおよび/または底面パネルの相互連結は、セル間の特に強固な連結を提供し、システムがモノリシックスラブとして機能することを支援する。任意選択で、侵食防止システムは、さらにヘッドセクションを備え、ヘッドセクションは、少なくとも1つの下部セル列の上に積み重ねられた少なくとも1つの上部セル列を備える。好ましくは、侵食防止システムは、斜面に設置されたとき、頭部を形成する積層されたセル列が斜面の上部又は高い部分を横切って延び、傾斜部を形成する各列セルが頭部の下方の斜面を横切って延びるように構成される。任意選択で、頭部の上部の列の各セルは、蓋パネル及び/又は底面パネルによって傾斜部の少なくとも1つのセルに固定され、頭部の各セルは、底面パネル又は蓋パネルによって頭部の同じ列の別のセルに固定されている。傾斜部の各セルは、1)底面パネルまたは蓋パネルによって傾斜部の同じ列の他のセルに固定され、2)蓋パネルまたは底面パネルによって傾斜部の異なる列の他のセルおよび/または頭部の上部の列の他のセルに固定されていることを特徴とする、積層型ヘッドセット。積層された頭部は、傾斜部の上方にアンカーポイントを提供することによって、侵食防止システムの全体的な安定性を向上させることもできることが判明した。任意選択で、傾斜部は、少なくとも2列のセルの上に積み重ねられた1列以上の追加のセル列から構成される。好ましくは、傾斜部がこのような垂直に積み重ねられたセル列からなる場合、つま先部(及び存在する場合には頭部)は、傾斜部に存在するよりも少なくとも1層多いセルから構成される。例えば、傾斜部が2層の積層されたセルからなる場合、つま先部は好ましくは少なくとも3層からなる。好ましくは、セルの複数の層が存在する場合、セルブレースアセンブリは、存在する場合、垂直に積み重ねられたすべての層にまたがり、それによって、セルを一緒に圧縮する。好ましくは、侵食防止システムがセルの積層された層からなるとき、上層のセルの底面パネルが下層のセルの蓋パネルを形成する。あるいは、下層のセルは、上層のセルの底面パネルとは別の蓋パネルを備えている。任意選択で、積層された層のセルは、例えば、1つのセルがその真上又は真下のセルと正確に整列しないように、オフセットパターンで配置される。侵食防止システムが複数の層のセルからなる場合、微粉バリア及び/又は生きた植物/植物の種は、例えば、各セクションの最上層のセルにのみ含まれてもよいことが理解されよう。
【0061】
任意選択で、各セルは2~4mの長さを有し、任意選択で、各セルは2~4mの幅を有し、任意選択で、各セルは0.7~1mの高さを有し、任意選択で、各セルは2.8~16m3の内部容積を有する。任意選択で、底面パネルは、1~5m、例えば2~4mの幅、及び20~50m、例えば25~35mの長さを有する金網の連続シート(例えば、そのような金網のシートの一部)から形成されている。代替的に、底面パネルは、1~5mの幅、及び1~5mの長さを有する金網のシートであり、このような底面パネルは、任意に、単一のセルの底部を画定することが理解されよう。任意選択で、蓋パネルは、1~5m、例えば2~4mの幅、及び20~50m、例えば25~35mの長さを有する連続的な金網のシート(例えば、そのような金網のシートの一部)から形成され、そのような蓋パネルは任意選択で複数のセル、例えば少なくとも5つのセル、例えば少なくとも10個のセルの頂部を画定することが理解されよう。代替的に、蓋パネルは、1~5mの幅、および1~5mの長さを有する金網のシートであり、このような蓋パネルは、任意に、単一のセルの頂部を画定することが理解されよう。好ましくは、蓋パネルが単一のセルの頂部を画定するとき、底面パネルは複数のセルの底部を画定する。あるいは、底面パネルが単一のセルの底部を画定するとき、蓋パネルは複数のセルの頂部を画定する。好ましくは、蓋パネルは、複数のセルの頂部を画定し、底面パネルは、単一のセルの底部を画定する。複数のセルの頂部を画定するために、複数のセルの上にシートを引くことは、特に便利であると考えられる。
【0062】
任意選択で、侵食防止システムは、セルの第2の層の上に積み重ねられたセルの第1の層を備える。任意選択で、このような配置において、セルの下層の蓋パネルは、セルの下層のすぐ上に積層されたセルの上層の底面パネルを形成してもよい。代替的に、セルの下層の蓋パネルは、セルの下層のすぐ上に積層されたセルの上層の底面パネルに対して別個であってもよい。
【0063】
侵食防止システムは、本明細書において上述した第1、第2、第3、第4、及び第5のセルとは異なる追加のセルを任意に含んでいてもよいことが理解されよう。例えば、侵食防止システムは、本明細書で上述したセルとは異なる構造及び/又は配置を有する1つ又は複数のセルを追加的に含んでいてもよい。特に、侵食防止システムの周縁部にあるセルは、任意に、システムの内部に位置するセルとは異なる構造を有していてもよい。加えて又は代替的に、侵食防止システムは、任意選択で、本明細書で上述したセルとは異なる構造及び配置を有するセルの層を含む複数の層を含んでもよい。代替的に、侵食防止システムの全てのセルは、本明細書において上述したような構造及び配置を有する。
【0064】
本発明の第6の態様によれば、侵食防止システムのためのセル部分が提供される。セル部分は、他のセルに付着していない、個々の部分として識別可能であることが理解されよう。例えば、本発明の第6の態様に係るセル部分は、他のセル部分から分離可能な、又は、他のセル部分に対して分離可能な、個々のセル部分である。セル部分は、底面パネルから立設された少なくとも3つの側面パネルから構成される。セル部分は、頂部が開いたセルの形態であってもよいことが理解されよう。側面パネルと底面パネルは、それぞれ金網から形成され、セル端部で互いに固定される。側面パネルの少なくとも1つは、底面パネルの周縁から少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ内側に間隔をあけて配置されている。底面パネルは、少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm、セル部分の少なくとも一辺を越えて延在する。追加的又は代替的に、底面パネルは、セル部分の少なくとも一辺から、当該辺と対向する辺又は縁との間で測定したセル部分の幅の少なくとも5%、例えば少なくとも7%、例えば少なくとも10%、外側に延在する。好ましくは、セル部分の底面パネルは、少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ隣接部分の底部を画定する底面パネルの下に延びて重なり合うように構成される。任意選択で、セル部分は、底面パネルから起立した少なくとも4つの側面パネルを備え、側面パネルの少なくとも2つは、底面パネルの周縁から少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ内側に間隔を空けて配置される。したがって、底面パネルは、セル部分の少なくとも2つの側部を超えて、少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mm、延在していてもよい。好ましくは、底面パネルは、少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ、隣接するセル部分の底部を画定する底面パネルの下に延び、重なるように構成されている。任意選択で、底面パネルは、パネルが延びる側と対向する側又は縁との間で測定されるセル部分の幅の少なくとも5%、例えば少なくとも7%、例えば少なくとも10%、セル部分の少なくとも2つの側から外側に延びている。任意選択で、底面パネルは対向する側面から延びる。さらに、または代替的に、底面パネルは、隣接する側面、言い換えれば、共通の縁を共有する側部から延びている。任意選択的に、各セル部分はX個の起立した側面パネルを有し、起立した側面パネルのX/2は底面パネルの周縁から少なくとも150mm、例えば少なくとも200mm、例えば少なくとも250mmだけ内側に間隔を空けており、直立した側部のX/2は底面パネルの周縁に配置される。任意選択で、底面パネルは、パネルが延びる側と対向する側又は縁との間で測定したセル部の幅の少なくとも5%、例えば少なくとも7%、例えば少なくとも10%、セル部分のX/2辺から外側に延び、底面パネルはセル部のX/2辺で終端している。任意に、Xは4又は6であり、例えば4である。任意選択的に、X=4のとき、底面パネルは、対向する側部から、または隣接する側部(言い換えれば、共通の縁を共有する側部)から、好ましくは隣接する側部から延在する。任意選択で、X=6のとき、底面パネルは、交互の側部から延びる。任意選択で、セル部分は、拡張ベースセル部分であり、底面パネルの周縁部から内側に間隔をあけて配置された全ての側面パネルを有し、及び/又は底面パネルがセル部分の全ての側部から外側に延びるように配置されたものである。底面パネルは、セル部分の底部と同じ全体形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、底面パネル拡張部は、フラップ(セル部分の各側部に対するフラップ)の形態であってもよく、又は底面パネルは、セル部分の底部における頂点からだけでなく、セル部分の底部における縁部から外側に延在してもよい。任意選択的に、拡張ベースセル部分は、全ての側面パネルが底面パネルの周縁部に配置されているクロップドベースセル部分、及び/又はセル部分の各側部で終端する底面パネルと連動するように構成される。一緒に組み立てられたとき、他のセルに接する拡張ベースセル部分の各側部は、クロップドベースセルの側部に接し、他のセルに接するクロップドベースセルの各側部は、拡張ベースセルの側部に接することが好ましい。
【0065】
任意選択で、底面パネル及び側面パネルは、例えば本発明の第5の態様に関連して以下に説明するように、1つ以上のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによってセルエッジで一緒に固定される。任意選択で、金網、及び/又は、存在する場合にはタイワイヤー/クリップは、本発明の第5の態様に関連して上述したように、高張力ワイヤーから形成されている。好ましくは、セル部分は、本発明の第5の態様の侵食防止システムの一部のセルの少なくとも一部を形成するのに適している。したがって、本発明の第6の態様のセル部は、例えばセルの配置、構造および組立の詳細を含む、本発明の第5の態様の侵食防止システムのセルの任意の特徴を組み込んでよい。
【0066】
本発明の第7の態様によれば、また、本発明の第6の態様に係るセル部を形成するための部品のキットが提供される。部品のキットは、底面パネルと、セル部分の底部及び側部を画定するように構成された金網の少なくとも3つの側面パネルと、底面パネルと側面パネルとを一緒に締結するための複数の締結具と、を備える。
【0067】
本発明の第8の態様によれば、また、本発明の第5の態様の侵食防止システムを形成するための部品のキットが提供される。部品のキットは、侵食防止システムのセルの底部、側部および頂部を画定するように構成された金網の複数の底面パネル、側面パネルおよび蓋パネルと、底面パネル、側面パネルおよび蓋パネルを一緒に固定するための複数の留め具とを備え、任意選択で、部品のキットは、本発明の第7の態様の部品のキットを含むことを特徴とする。
【0068】
任意選択で、部品のキットは、各セルの底面パネルを各セルの蓋パネルに結びつけるための複数のブレースアセンブリを含む。任意選択で、各ブレースアセンブリは、底面パネルの下方に処分するように構成された下部ブレースプレートと、蓋パネルの上方に処分するように構成された上部ブレースプレートと、下部ブレースプレートを上部ブレースプレートに結合するための張力ケーブルとを含む。このようなブレースアセンブリは、各セルの第1の側面パネルを第2の対向する側面パネルに結びつけるのにも適していることが理解されるであろう。例えば、1つ以上のブレースアセンブリは、第1の側面パネルの外側に処分するように構成された第1のブレースプレートと、第2の側面パネルの外側に処分するように構成された第2のブレースプレートと、第1のブレースプレートを第2のブレースプレートに結合するための張力ケーブルとを含んでいてもよい。任意選択的に、部品のキットは、複数の垂直および/または水平ブレースアセンブリを含む。任意選択的に、ブレースアセンブリは、本発明の第5の態様に関連して説明した通りである。
【0069】
任意選択的に、部品のキットは、例えば、本発明の第5の態様に関連して説明されるような複数の微粉バリアからなる。例えば、微粉バリアは、本発明の第5の態様に関連して説明される構造及び/又は形態をとり、材料から形成されてもよい。
【0070】
任意選択的に、部品のキットは、例えば、本発明の第5の態様に関連して記載されるように、セルの下に処分するための洗掘防止層を含む。例えば、洗掘防止層は、本発明の第5の態様に関連して記載される構造及び/又は形態をとり、材料から形成されてもよい。
【0071】
部品のキットは、任意に、本発明の第5の態様に関連して説明された任意の構成要素からなることが理解されよう。
【0072】
本発明の第9の態様によれば、本発明の第5の態様によるような、侵食防止システムを設置する方法が提供される。この方法は、好ましくは、複数のセルの底部および側部を画定するために、セル縁に沿って底面パネルおよび側面パネルを組み立て、一緒に固定することを含み、それによって複数のセル部分が形成される。セル部分は、好ましくは、各第1のセルの底面パネルを、隣接する第2のセルの少なくとも3つの側部、例えば、隣接する第2のセルの縁部に沿って、及び/又は隣接する第2のセルの底部を画定する別の底面パネルに固定することによって一緒に固定される。セル部分を一緒に固定するステップは、セル部分を形成するステップの間又は後に実施されてもよいことが理解されよう。次に、充填材がセル部分に挿入されてもよい。任意選択で、そのように挿入された充填材は、金網(メッシュ)開口部の断面サイズよりも大きい全ての次元の断面サイズを有する岩石材料からなる。任意選択で、セル部分を閉じるステップの後に、金網開口部を通過する大きさの岩石片および/または粒状材料など、さらなる充填材がセルに加えられる。少なくともいくつかの充填材の挿入に続いて、本方法は、好ましくは、蓋パネルをセル部分に固定することによって、複数のセル部分を閉じることを含む。好ましくは、蓋パネルを固定するステップは、蓋パネルの各々が、第1のセルの頂部の少なくとも一部を横切って(例えば、全体的に)、かつ第1のセルに隣接する第3のセルの少なくとも一部を横切って(例えば、全体的に)延びるように複数の蓋パネルを配置し、蓋パネルの各々を第1及び第3のセルの他のパネルに固定することを含む。任意選択で、本方法は、蓋パネルの各々を、a)第1のセルの少なくとも2つの側面パネル、例えば少なくとも3つの側面パネル、例えば全ての側面パネル、および隣接する第3セルの少なくとも2つの側面パネル、例えば少なくとも3つの側面パネル、例えば全ての側面パネルに、例えばセルの縁部に沿って固定すること、および/またはb)隣接する第3のセルの上面の少なくとも一部(例えば、完全にわたって)延びる別の蓋パネルに固定することを含む。したがって、各蓋パネルは、好ましくは、隣接するセルの少なくとも3つの側部、例えば隣接するセルの縁部に沿って、および/または隣接するセルの頂部を画定する別の蓋パネルに固定される。
【0073】
任意選択で、セル部分を一緒に固定するステップの前に、本方法は、侵食保護を必要とする地面の上に洗掘防止層、及び/又は遮水層を敷設し、その後、セル部分を上に配置することを含む。任意選択的に、本方法は、洗掘防止層/遮水層(存在する場合)を敷設する前に、保護すべき地面を整地し、地面の上にセル部分を一緒に固定することを含む。
【0074】
任意選択で、本方法は、セル部分に充填材を挿入するステップの前に、1つ以上のブレースアセンブリの少なくとも一部を各セル部分に設置し、複数のセル部分を閉じて底面パネルを各セルの蓋パネルに結びつけるステップの後にブレースアセンブリを完成させることを含む。ブレースアセンブリは、本発明の第5の態様に関連して説明したようなものであってもよい。任意選択的に、ブレースアセンブリを完成させるステップは、上部ブレースプレートを下部ブレースプレートへ向けて押しながらケーブルを緊張させることと、上部ブレースプレートを所定の位置に保持するためにクリップをケーブルに固定することとを含み、任意選択的に、方法は、ワンウェイクリップを通してワイヤーを引き抜くことを含む。
【0075】
任意選択で、本方法は、充填材を前記セルに挿入するステップの直前、途中、または直後のいずれかに、粒状材料の通過を防止するための透水性微粉バリアを各セル部分に挿入することを含む。任意選択で、微粉バリアは、本発明の第5の態様に関連して説明される通りである。任意選択的に、各微粉バリアは袋の形態であり、方法は、充填材を挿入するステップの前に各微粉バリアをセル部分に挿入することと、袋の底および側面がセル部分の底部および側部を裏打ちするように袋を配置することと、それによって充填材をセル部分に挿入して各袋に充填材を入れることと、複数のセル部分を閉じるステップの前に充填材の上に袋の頂部フラップを閉じることと、を含む。任意選択で、頂部フラップを閉じるステップは、頂部フラップを袋の側面と重ねることからなる。任意選択的に、本方法は、1)充填材に植物種子を加えること、及び/又は2)生きた草植物などの複数の生きた植物の根、及び/又は草の種子などの植物種子を、微粉バリアの頂部の開口部を通して挿入することを含む。任意選択で、生きた植物及び/又は植物種子は、複数のセル部分を閉じるステップの前又は後、好ましくは後に、そのように挿入される。生きた植物/種子は、本発明の第5の態様に関連して説明したようなものであってもよい。
【0076】
任意選択的に、本方法は、セル部分の第1の層を一緒に組み立てて固定し、セル部分に充填材を充填し、第1の層の上にセル部分のさらなる層を追加することからなる。任意選択的に、本方法は、セル部分の上層の底面パネルを下層の上部に固定して、下層の蓋部分を形成することを含む。このようなステップは、必要なだけの層について反復可能であることが理解されよう。
【0077】
本発明の第10の態様によれば、格子状に配置された複数の岩石及び/又は粒状物収容セルを含む侵食防止システムであって、各セルは内部容積を囲む少なくとも5つの面を有し、該面は頂部、底部及び少なくとも3つの側部を含み、各面は少なくとも一つの金網のパネルから形成されている。複数のセルは複数の結合セルを含み、複数のセルは、以下の通り、提供されている。すなわち、各結合セルが、1)結合セルの頂部を形成する少なくとも1つの金網パネルとは別の1つ以上の金網パネルのみから形成された頂部を有する隣接セルであって、結合セルの底部を形成する少なくとも1つの金網パネルが隣接セルの底部の少なくとも一部を横切って延びているもの、または2)結合セルの底部を形成する少なくとも一つのパネルとは別の1つ以上の金網パネルのみから形成された底部を有する隣接セルであって、結合セルの頂部を形成する少なくとも一つの金網パネルが隣接セルの頂部の少なくとも一部を横切って延びているもの、を備え、ここで、各セルは、以下のような条件を満たすことができる。すべてのセルが、1)結合セルの頂部の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの金網パネルによって少なくとも部分的に形成された頂部、または2)結合セルの底部の少なくとも一部を形成する少なくとも1つの金網パネルによって少なくとも部分的に形成された底部を有する、ことを特徴とする。任意選択で、すべてのセルが結合セルである。本発明の第10の態様に係る侵食防止システムは、本発明の第5の態様に関連して説明した任意の特徴を組み込んでよいことが理解されよう。例えば、セルは、本発明の第5の態様に関連して説明されたように構成され、配置されてもよい。特に、金網パネルを形成する金網は、任意に、高張力鋼線から形成され、及び/又は、菱形金網などの織物又は編物金網である。さらなる例として、本発明の第10の態様の侵食防止システムは、本発明の第5の態様に関連して説明したブレースアセンブリ、洗掘防止層、遮水層、及び/又は微粉バリアから構成されてもよいことが理解されよう。本発明の第10の態様の侵食防止システムは、本発明の第6の態様のセル部分、及び/又は本発明の第7又は第8の態様の部品のキットから組み立てられ、及び/又は本発明の第9の態様の方法に従って構築されてもよいことが更に理解されよう。
【0078】
本発明の任意の態様は、本発明の別の態様に関連して説明した任意の特徴を任意に組み込んでもよいことが理解されよう。例えば、本発明の第6、第7、第8、第9、及び第10の態様のセル/セル部分の底面パネル及び少なくとも1つの側面パネルは、任意選択で、本発明の第1、第2、第3、及び第5の態様に関連して説明したように、連続した長さの金網から形成されてもよい。任意選択的に、セル/セル部分の頂面パネルも、底面パネルおよび少なくとも1つの側面パネルを形成する連続的な長さの金網から形成されてもよい。同様に、本発明の第6の態様のセルの底部および少なくとも1つの側部(および任意に頂部)を形成する金網パネルは、任意に、本発明の第1、第2、第3、および第4の態様に関連して説明したように、連続した長さの金網から形成されてもよい。さらに、本発明の第1の態様のセルアセンブリは、任意にセルのスタックの一部を形成してもよく、例えば、セルアセンブリは、スタックの最上層より下の層の各セルの頂部が、すぐ上のセルの底部を形成する金網によって閉じられるセルのスタックの上に置かれることが理解されよう。同様に、セルアセンブリは、任意に、セルアセンブリの下面及び上面を画定する金網の連続長が、スタックの最下部にある任意のセル(複数可)の底部及びスタックの最上部にある任意のセル(複数可)の頂部を形成する、スタックセルの複数の層を含んでもよいことが理解されよう。
【0079】
以下、本発明の実施形態について、添付の概略図面を参照して例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1a】
図1aおよび
図1bは、先行技術の蛇籠のデザインを示す図である。
【
図1b】
図1aおよび
図1bは、先行技術の蛇籠のデザインを示す図である
【
図2a】
図2aは、本発明の第1実施形態に係る侵食防止システムの透視図である。
【
図2b】
図2bは、
図2aの侵食防止装置を、5枚の蓋パネルのうち3枚を追加した状態を示す透視図である。
【
図4a】
図4aは、二重層型侵食防止システムの側断面図である。
【
図5a】
図5aは、別の侵食防止システムの側断面図である。
【
図6a】
図6aは、
図2aのシステムを形成するためのセル部分の透視図である。
【
図7a】
図7aは、
図2aのシステムを形成するための別のセル部分の透視図である。
【
図8a】
図8aは、
図2aのシステムを形成するための別のセル部分の透視図である。
【
図9a】
図9aは、
図2aのシステムを形成するための別のセル部分の透視図である。
【
図11】
図11は、
図9および
図10のセル部分と共に使用するのに適した、
クロップドベースセル部分の透視図である。
【
図13a】
図13aは、六角プリズム形状のセル部分を示す透視図である。
【
図14】
図14および
図15aは、それぞれ
クロップドベースセルおよび
三角柱形状の拡張
ベースセル部分の透視図である。
【
図15a】
図14および
図15aは、それぞれ
クロップドベースセルおよび
三角形状の拡張
ベースセル部分の透視図である。
【
図17a】
図17aは、金網のパネル同士を固定するためのヘリコイル留め具1701を示す図である。
【
図17b】
図17bは、金網のパネル同士を固定するためのCクリップ1702を示す図である。
【
図17c】
図17cは、金網のパネル同士を固定するのに適したスプリングクリップ1703を示す図である。
【
図18】
図18は、透水性ファインバリアを有するセルの側断面図である。
【
図19】
図19は、
図18のセルの底
部および側
部を形成するものと同様の別のセル部分であって、再びファインバリアを含むセル部分の透視図である。
【
図22a】
図22aは、本発明の第1の態様に係るセルアセンブリの透視図である。
【
図23a】
図23aは、本発明の第1の態様に係る別のセルアセンブリの透視図である。
【
図24a】
図24aは、本発明の第1の態様に係る別のセルアセンブリの透視図である。
【
図25】
図25は、本発明の第1の態様に係る別のセルアセンブリの透視図である。
【
図26a】
図26a~26cは、本発明の第1の態様に係る別のセルアセンブリの分解・組立透視図である。
【
図26b】
図26a~26cは、本発明の第1の態様に係る別のセルアセンブリの分解・組立透視図である。
【
図26c】
図26a~26cは、本発明の第1の態様に係る別のセルアセンブリの分解・組立透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図2aは、本発明の第1の実施形態に係る侵食防止システム201を示す透視図である。
図2aに示す実施形態では、侵食防止システム201は、4つのセルが2行(raw)(上行203a、下行203b)積み重ねられて構成された水平なつま先部202と、4つのセルが2行(上行205a、下行205b)積み重ねられて構成された水平な頭部204と、3行207a、207b、207cが横に並べられて構成されてつま先部202と頭部204の間に配設された傾斜部206から構成されている。明確のために、
図2aには、各セルの
底部、
側部、および
頂部の位置のみが示されており、対応する底面パネル、側面パネル、および蓋パネル(これらは、以下の図を参照して後述する)の位置は示されていない。また、
図2aでは、各セルに充填された岩石片は省略されている。各セルは、立方体形状(したがって4つの側
部を有する)を有し、これによってセルを格子状に配置することができる。格子の各列(column)は、つま先部202、頭部204、および傾斜部206を画定する行に対して垂直な方向に延び、1つの上部つま先部セル、3つの横並びの傾斜部セル、および1つの上部頭部セルで構成される。
図2aは、傾斜部206の各セルの
頂部から
底部に延び、つま先部202及び頭部204の各積層セル対の頂部から底
部に延びるブレースアセンブリ208の位置も示している。各セルは、4つのブレースアセンブリ208によって一緒に保持される。
【0082】
図2bは、
図2aの侵食防止システム201を、セルの頂部を画定する5つの蓋パネル210b、210d、210eのうちの3つを備えた状態で示している。各蓋パネル210は、セルの各列の全長に沿って延び、つま先部202および頭部204の積層セル対の頂部セルの側面パネルに重なる。
【0083】
図3aは、
図2aの侵食防止システム201の側断面図である。
図3aには、蓋パネル210のうちの1つが示されている。各蓋パネル210は、セルの各列の全長に沿って延び、つま先部202及び頭部204の積層セル対の頂部セルの側面パネルに重なっている。分かりやすくするために、
図3aは、蓋パネル210とその下のセルの側面パネルとの間、および隣接するセルの側面パネルの間の間隔を誇張して示している。構築されるとき、セルの側面パネルと蓋パネルは、可撓性ワイヤー、剛性ワイヤー、Cクリップ、クロークリップ(pressed claw clip)、またはスプリングクリップを含み得る固定システムを用いて互いに密に接触させられ、セルからの岩石片の脱落を防止する。また、
図3aには、セルの下にあるジオテキスタイル材料で形成された洗掘防止層211が示されている。明確にするために、
図3aは、洗掘防止層211とその上にあるセルとの間の間隔を誇張して示している。構築されるとき、セルは、洗掘防止層211のジオテキスタイルの上に直接載せることができる。侵食防止システム201は、中程度の力の波の衝撃にさらされる海岸の設置に特に適している。
【0084】
図3bは、
図2aの侵食防止装置201の傾斜部206におけるセルの配置を拡大した図である。
図3aと同様に、
図3bでは、隣接するセル220a、220b、220cの間、セルと蓋パネル210の間、セルとジオテキスタイル層211の
間の間隔を誇張して示している。2つの側面パネルが、底面パネル222の一部はセルの側
部から突出させたまま、底面パネルの端から内側に間隔をあけて配置される(
図3aではそのような側面パネル221が1つだけ示されている)。底面パネル222のこの突出した部分は、隣接するセルの底
部の下に延びて重なり合っている。この重なり部分は、ワイヤー結合クリップ(
図3bには示されていない)によって隣接するセルの底面パネルに結合され、侵食防止システム全体がモノリシック構造として挙動する結果となる、強固かつ柔軟な連結が提供される。
【0085】
図4aは、二重層型侵食防止システム401の側断面図である。侵食防止システム401は、
図3aのシステムと同様に、3つのセル行(上行403a、中間行403b、下行403c)を積層して構成された水平なつま先部402と、3つのセル行(上行405a、中間行405、下行405c)を積層して構成された水平な頭部404と、3つの上セル行(405a、407b、407c)および3つの下セル行(408a、408b、408c)を並べて配置して形成され、つま先部402と頭部404との間に配設された傾斜部406と、を有している。蓋パネル410は、各列のセルの全長に沿って延び、つま先部402および頭部404の積層セルにおける頂部のセルの側面パネルと重なっている。分かりやすくするために、
図3aと同様に、
図4aは、蓋パネル410とその下側のセルの側
部との間、および隣接するセルの側面パネルの間の間隔を誇張して示している。また、
図4aには、セルの下にあるジオテキスタイル材料で形成された洗掘防止層411が示されており、洗掘防止層411とその上にあるセルとの間の間隔も誇張されている。侵食防止システム401は、高い力の波の衝撃にさらされ、および/またはより急な斜面を有する海岸の設置に特に適している。
【0086】
図4bは、
図4aの侵食防止装置401の傾斜部406におけるセルの配置を拡大した図である。
図4bでも、間隔が誇張されて示されている。個々のセルは、
図2、
図3a、
図3bに示す侵食防止システム201と同じであり、各行内に同じように配置されている。セルの上行407と下行408は、例えば、中央の上行407bが中央の下行408bと外側の下行408aの1つの上に部分的に乗るように、千鳥状に配置されている。その結果、下行の各セルの頂部は、単一の蓋パネル410によって画定されず、代わりに、上行の底面パネルの組み合わせによって画定される。ただし、上行のセル中のセルは、侵食防止システム201のセルと同じ蓋の配置を有する。
【0087】
図5aは、他の侵食防止システム501の側断面図である。侵食防止システム501におけるセルの配置は、
図2、
図3a、および
図3bの侵食防止システム201と同様である。
図3aおよび
図3bのシステムと同じ特徴には、対応する参照数字が付与され、ただし「2」の代わりに「5」が前置されている。また、
図5aでは、ジオテキスタイル材料の下層532と上層533の間に挟まれたベントナイト粘土531の層で形成された遮水層530が示されている。遮水層530は、セルの下に配置され、やはり上にあるセルとの間に誇張された間隔を有している。水路の側面を並べるために使用できる
図5aに示す設置では、頭部504は、既存の水路堤防540の頂部の切り込み内に配置され、遮水層530は、頭部504の外側まで延びている。
図5aに示すように、頭部504の頂
部は、水路堤防540の頂
部と同一平面上にある。
【0088】
図5bは、
図5aの侵食防止システム501の傾斜部506におけるセル配置の拡大図である。
図5bに示される侵食防止システム501のそれらの部分には、
図5aで使用されるのと同じ参照数字が付されている。
【0089】
図6aは、
図3a、
図4a、または
図5aのいずれかの侵食防止システム201、401、501を形成するのに適したセル部分601の透視図である。セル部分601は、ワイヤー留め具(
図6aには示されていない)によって4つの起立した側面パネル603a~603dに
結合された底面パネル602を有する。任意選択で、側面パネル603a~603dは、パネル間の縁部に屈曲部を有しており、例えばパネル603aと603dの間に、側
部を閉じるための
結合部を有する金網の単一シートから形成され得る。パネル間の
結合部は、剛性のヘリコイル締結ワイヤーを用いて形成されるが、可撓性ワイヤーまたはワイヤーループ(例えば、Cクリップ、クロークリップ、またはスプリングクリップ)締結を用いることも可能である。側面パネル603dは、底面パネルの縁部603eの内側に間隔を置いて配置され、それによって底面パネル602の一部分602fがセルの側面を越えて延びることができる。
図6aには蓋パネルは示されていないが、セルが組み立てられるとそれらの位置の指標を与えるために、4つのブレースアセンブリ610のセットが示されている。セルのパネルは、ダイヤモンドパターンのメッシュから形成され、このパターンは、分かりやすくするために側面パネル603aにのみ示されている。他のメッシュ形状を使用することも可能である。メッシュのダイヤモンド形状の開口部は、その幅よりも大きな長さを有し、細長いダイヤモンドを形成する。このメッシュは、ダイヤモンドの長さ軸がセル部分の底
部に平行となるように配向されているが、他の配向も使用可能である。
【0090】
図6bは、
図6aのセル部分601の平面図である。この平面図には、底面パネル602上の側面パネル603a~603dの配置、及びセル内の4つのブレースアセンブリ610の位置決めを明確に示している。
【0091】
図7aは、
図2a、
図3a、
図4a、または
図5aのいずれかの侵食防止システムを形成するのに適した別のセル部分701の透視図である。セル部分701は、
図6aのセル部分601と同様であり、
図6aのシステムに対応する特徴には、
図6aで使用されたものと同じ参照数字が付され、ただし「6」ではなく「7」が前置される。セル部分は、底面パネル702の縁702eの内側に間隔をあけて配置された2つの側面パネル703c、703dを有し、それによって底面パネル702のセクション702fがセルの2つの側面を越えて延びることを可能にする。2つの差込側パネル703c、703dは、セルの垂直縁を共有する隣接する側
部である。
図7bは、
図7aのセルの平面図である。平面図は、底面パネル702上の側面パネル703a~703の配置、及びセル内の4つのブレースアセンブリ710の位置決めを明確に示している。
【0092】
図8aは、
図3a、
図4a、または
図5aのいずれかの侵食防止システムを形成するのに適した別のセル部分801の透視図である。セル部分801は、内側に間隔をあけた側面パネル803b、803dが、垂直縁を共有しないセルの対向する側面であることを除いて、
図7aのセル部分701と非常に類似している。その代わりに、内側に間隔をあけた側面パネル803b、803dは、底面パネル802の縁802eに配置される側面パネル803a、803cによって分離される。
図7aのシステムに対応する特徴には、
図7aで使用したものと同じ参照数字が付され、ただし「7」ではなく「8」が前置されて、付されている。
図8bは、
図8aのセルの平面図である。この平面図は、底面パネル802上の側面パネル803a~803dの配置、及びセル内の4つのブレースアセンブリ810の位置決めを明確に示している。
【0093】
図9aは、
図3a、
図4a、または
図5aのいずれかの侵食防止システムを形成するのに適した別のセル部分901の透視図である。セル部分901は、
図6aのセル部分601と同様であり、
図6aのシステムに対応する特徴は、
図6aで使用されるのと同じ参照数字が、ただし「6」ではなく「9」が前置されて、付されている。セル部分は、底面パネル902の縁902
eの内側に間隔をあけて配置された4つ全ての側面パネル903a~903dを有し、それによって底面パネル902のセクション902fがセルの4つの側
部を超えて延在することを可能にする。底面パネルの延在部902fは、縁902
eがセルの底
部の頂点で終了するように、セルの側
部から延在するフラップの形態である。底面パネル902の全体形状は正方形であり、角には四角い切り込みがある。
図9bは、
図9aのセルの平面図である。この平面図には、底面パネル902上の側面パネル903a~903dの配置、およびセル内の4つのブレースアセンブリ910の位置関係が明確に示されている。侵食防止システムを形成するために使用される場合、各セル部分901(「拡張ベース」セル部分である)は、
図11に示されるような4つの「クロップドベース」セル部分によって囲まれることが好ましい。クロップドベースセル部分は、拡張ベースセル部分901の側
部903a~903dの各々に隣接していることが好ましい。拡張ベースセル部分とクロップドベースセル部分とは、市松模様に配置されることが好ましい。
【0094】
図10aは、
図3a、
図4a、または
図5aのいずれかの侵食防止システムを形成するのに適した別のセル部分1001の透視図である。セル部分1001は、
図6aのセル部分601と同様であり、
図6aのシステムに対応する特徴は、
図6aで使用されるのと同じ参照数字、ただし「6」ではなく「10」が前置されて、付されている。セル部分は、底面パネル1002の縁部1002eの内側に間隔をあけて配置された4つ全ての側面パネル1003a~1003dを有し、それによって底面パネル1002のセクション1002fがセルの4つの側
部を超えて延びることを可能にする。底面パネル1002はセルの底
部と同じ形状(ただし大きい)を有するので、延在するセクション1002fはセルの全周にわたって延在し、セルの底
部の頂点も縁部1002eから内側に間隔をあけて配置される。
図10bは、
図10aのセルの平面図である。平面図は、底面パネル1002上の側面パネル1003a~1003dの配置、及びセル内の4つのブレースアセンブリ1010の位置決めを明確に示している。侵食防止システムを形成するために使用される場合、侵食防止システムの内部(すなわち、周辺部ではない)に位置する各セル部分1001(「拡張ベース」セル部分である)は、
図11に示されるような8つの「クロップドベース」セル部分によって囲まれることが好ましい。8つのクロップドベースセル部分は、拡張ベースセル部分1001の側
部1003a~1003dに隣接し、4つは側
部1003a~1003dの間の角部に隣接していることが好ましい。このように、拡張ベースセル部分及びクロップドベースセル部分は、各拡張ベース部がクロップドベースセル部分のリングによって囲まれるように配置されることが好ましい。周縁部では配置が異なっていてもよいことは理解されよう。
【0095】
図6a~
図10aのセル部分は、幅3.25m、長さ3.25m、高さ0.75mを有するセルの底
部と側
部を画定するのにそれぞれ適している。底面パネルは、隣接するセルの底
部と0.25m重なるようにセル部分の側
部から0.25m延在する。パネルを形成する金網は、Geobrugg(登録商標)社のTECCO(登録商標)高張力スチール金網G65/3ステンレスであり、AISI 318ステンレス鋼から形成され、直径3.0mm、少なくとも1650N/mm
2のワイヤー引張強度を有している。金網の引張強度は少なくとも140kN/mである。菱形の開口部は、長さ143mm、幅83mmである。他のGeobrugg(登録商標)社のTECCO(登録商標)の金網製品のようなAl/Znコーティングされたスチール金網など、他の金網を使用することも可能である。
【0096】
図11は、
図9および
図10の拡張ベースセル部分901、1001と共に使用するのに適した、クロップドベースセル部分の透視図である。セル部分1101は、全ての側
部1103a~1103dが底面パネルの端部に配置されることを除いて、
図6aのセル部分601と非常に類似している。
図6aのシステムに対応する特徴は、
図6aaで使用されるのと同じ参照数字が、ただし「6」ではなく「11」が前置されて、付されている。
【0097】
図12は、
図7aおよび
図7bによるセル部分701を含む
図2aの侵食防止システムにおけるセルの配置を示す透視図である。第1のセル部分701aは実線で、第2のセル部分701bは点線で、第3のセル部分701cは破線で示されている。セル部分701a~701cは、
図2aの侵食防止システムの傾斜部206の一部を形成する。第2のセル部701bは、第1のセル部701aと同じ行で第1のセル部分701aに隣接して配置され、第3のセル部701cは、第1のセル部701aと同じ列で第1のセル部701aに隣接して配置される。各セル部分701a~701cは、隣接する2つの側
部から延出する底面パネル702a~702cを有する。第1のセル701aの延出する底面パネル702aは、隣接する第2のセル部分701bの底面パネル702b、隣接する第3のセル部分701cの底面パネル702c、および第2のセル701bの列および第3セル701cの行にある径方向に位置するセル部分(この他のセル部分は
図5では示されていない)と重なっている。この配置により、第1のセル部分701aは、第1のセル部分の底
部を画定し、隣接する第2のセル部分701bの底
部の一部を横切って延びる第1の底面パネル702aを有する。その隣接する第2のセル部分701bの底
部は、そのセル自身の底面パネル702bによって画定される。
図5には示されていないが、第1のセルの
頂部は、第1のセルを含むセルの列全体にわたって延びる蓋パネルによって画定され、したがって、第3のセルの蓋も画定される。セルの
頂部及び底
部の両方における重なり合うパネルのこの架橋配置は、特に堅牢で柔軟な締結を提供し、侵食防止システムをモノリシックで柔軟な構造として動作させる。
【0098】
図13aは、本発明による侵食防止システムを形成するのに適した六角柱形状のセル部分1301の透視図である。構造的に、セル部分1301は、
図8aのセル部分801と類似しており、
図8aのものに対応する特徴には、
図8aで使用したものと同じ参照数字が、ただし「8」ではなく「13」が前置されて、付されている。セル部分1301は、6つの起立した側面パネル1303a~1303fを有し、そのうちの3つは、底面パネル1302の縁部1302eから内側に間隔をあけて配置される。内側に間隔をあけた側面パネル1303b、1303d、1303fは、垂直な縁を共有しないセルの側面である。その代わりに、内側に間隔をあけた側面パネル1303b、1303d、1303fは、底面パネル1302の縁部1302eに配置される側面パネル1303a、1303c、1303eによって分離されている。
図13bは、
図13aのセル部分1301の平面図である。この平面図は、底面パネル1302上の側面パネルの配置、及びセル内の4つのブレースアセンブリ1310の位置決めを明確に示している。
【0099】
図14および
図15aは、それぞれ、クロップド(切り取られた)ベース及び拡張されたベースの三角柱形セル部分1401、1501の透視図を示す。各拡張ベースセル部分1501が3つのクロップドベースセル部分1401によって囲まれた状態で、拡張ベースセル部分1501およびクロップドベースセル部分1401を一緒に組み立てることによって、侵食防止システムを形成することができる。構造的に、セル部分1401および1501は、それぞれ
図11および
図9のセル部分1101および901と類似している。
図11および
図9のセル部分1101および901のものに対応する特徴は、
図11および
図9で使用されるのと同じ参照数字が、ただし「11」および「9」ではなく、「14」および「15」が前置されて、付されている。セル部分1401は、3つの起立した側面パネル1403a~cを有し、その全てが底面パネル1402の縁部1402eに配置される。セル部分1501は、3つの起立した側面パネル1503a~1503cを有し、これらのすべては、底面パネル1502の縁部1502eから内側に間隔を空けて配置されている。底面パネル1502の延出部1502fは、
図9のセル部分901と同様に、フラップ状である。
図15bは、
図15aのセルの平面図である。この平面図は、底面パネル1502上の側面パネル1503a~1503cの配置、及びセル内の3つのブレースアセンブリ1510の位置決めを明確に示している。
【0100】
図16aは、
図2aの侵食防止システムで使用するのに適した金網の上面図である。
図6aに示されているのは、Geobrugg(登録商標)社のTECCO(登録商標)金網である。任意選択で、金網は、G65/3 ステンレス TECCO(登録商標)金網である。金網は、菱形(ダイアモンド形)パターンを有する菱形金網であり、各菱形開口部は幅Wよりも大きい長さLを有する。
図16aに示すメッシュ部分は、6つのジグザグに交錯したワイヤー1601~1606から構成されている。各ワイヤー1601a、1602bの切断端は、隣接するワイヤー1602a、1602bの切断端と結び付けられ、絡み合っている。
図16bは、
図16aの金網の側面図である。
【0101】
図17aは、金網パネルを一緒に固定するのに適したヘリコイル留め具1701を示す。使用時には、ヘリコイル留め具1701は、2つの隣接する金網パネルのワイヤーの周りに巻かれ、パネルを一緒に連結する。
図17bは、金網パネルを一緒に固定するのに適したCクリップ1702を示す。Cクリップは、開いた状態(パネルを一緒に固定するために使用される前、クリップが「C」の形状を有する場合)と、閉じた状態(ワイヤーを一緒に固定するために一対の隣接するワイヤーの周りに固定された後、クリップがそれ自体重なって「O」の形状を形成する場合)の2つの構成で示されている。
図17bでは、閉じた状態のクリップを平面図と側面図で示し、重なり合うクリップの端部を示している。
図17cは、金網パネルを一緒に固定するのに適したスプリングクリップ1703を示す。図示のクリップは、Geobrugg(登録商標)社から市販されているT3クリップである。
【0102】
図18は、透水性微粉バリア1820を装着したセル1801の側断面図である。微粉バリアは、セル1801の底
部、側
部、および
頂部を裏打ちする袋の形態である。微粉バリア袋1820は、生分解性であり、羊毛材料から形成されているが、他の生分解性材料を使用することもできる。微粉バリアバッグ1820は、セルの底
部および側
部を画定するパネルに対してバッグを押し出しながら、砂で充填される。
図18は、明確にするために、侵食防止システム内の位置に示された、単一のセル1801の概略図である。また、
図18には、(生分解性または非生分解性)ジオテキスタイル材料からなる洗掘防止層1803が示されている。洗掘防止層1803は任意であるが、水が微粉バリアバッグ1820の下のセルの底
部に沿って追跡する場合に、セルの損壊の回避を支援することができる。洗掘防止層1803は、侵食防止を必要とするセル1801と地面1804との間に挟まれる。セル1801の
頂部は、セルの
頂部および隣接するセル(
図18には示されていない)にまたがる蓋パネル1805によって画定される。セルの底
部を画定する底面パネル1806の延長部は、少なくとも一辺から突出して、1つ以上の隣接するセルの底面パネル(
図18には示されていない)の下に重なるようになっている。セル1801は、蓋パネル1805を底面パネル1806と整列させるのを助ける複数のブレースアセンブリ1807を含む。
図18は、定着された多数の生きた植物1808を有するセル1801を示す。この植物は、セル全体に、隣接するセル(図には示されていない)に、そして地面1804の中に、延びる重要な根系1808を成長させたマラム草である。根系は、セルを充填する砂を安定させ、微粉バリアバッグ1820が自然に分解するにつれて、それを所定の位置に保持する。時間が経つにつれて、マラム草1808は、侵食防止システムによって提供される堅牢な基盤の上に、砂丘システムの形成を刺激する。
【0103】
図19は、
図18のセル1801の底
部および側
部を形成するものと同様のセル部分1901を示す透視図である。セル1901は、
図7のセル部分701に微粉バリアバッグ1920を取り付けたものである。セル部分701の特徴と同等のセル部分1901の特徴には、
図7で使用されるのと同じ参照数字が、ただし「7」の代わりに「19」が前置されて、付されている。明確にするために、
図19には、蓋パネルは示されていない。
図19は、16本のマラム草1908の位置を示す(図では、植物の上部のみが示されている)。植物は、微粉バリア袋1920の上部に設けられたスリット(
図19には示されていない)を通じて突出している。微粉バリア袋1920には、砂、土、岩石、またはそれらの混合物が充填される。セル部分1901は、セル部分701と同様に、他のセル部分と一緒に配置することができる。先行する図に示されたセル部分のいずれにも、微粉バリア袋を設けることができることは理解されよう。
【0104】
図20は、
図18のセル部分1801を3つ並べた状態を示す図である。
図20は、
図18で使用したのと同じ参照数字を使用している。
図20は、セルの底面パネルが隣接するセルとどのように重なり合うか(
図20の2090と記された位置)、およびマラム草の根系が隣接するセルを通ってどのように広がるかをより明確に示すものである。
【0105】
図21aは、
図18の微粉バリア袋1820をセル部分に挿入する前であり、その
頂部フラップを開いた状態を示している。袋1820は、底
部1822と、4つの起立した側
部1823と、
頂部フラップ1824とから構成される。
頂部フラップ1824は、閉じたときにフラップ1824を袋の側
部1823に折り畳むことができるように、袋の
頂部開口部より大きくなっている。
袋1820は、セル部分にぴったりと収まる大きさである。セルのパネルの圧力により、
袋自体に留め具を必要とせずに、
袋を閉じた状態に保つことができる。好適な袋は、全体が羊毛などの生分解性材料で作られている。
図21bは、
頂部フラップ1824が閉じられ、側
部1823の上に折り畳まれた状態の
図21aの
袋1820を示す。
図21bに示すように、
頂部フラップ1824は、複数のスリット1825を備え、袋がセル内に充填されて閉じられたときに、生きた植物および/または植物種子を挿入することができる。
【0106】
図22aは、本発明の第1の態様に係るセルアセンブリ2201の透視図である。セルアセンブリ2201は、1つのセルを含む単一セルアセンブリである。セルアセンブリ2201は、下面2202と、2つの対向する側面2203bおよび2203
dと、2つの端面2203aおよび2203cとを有する。セルアセンブリは、
図22aに部分的に組み立てられた状態で示されており、セルの
頂部が開かれている。セルアセンブリの上面は、セルアセンブリの下面および端面2202、2203a、2203cをも形成する連続長の菱形金網シートのセクション2204によって形成される。
図22aのセルアセンブリ2201では、連続長の金網は単一のシートから形成されているが、複数のシートを端から端まで結合して形成することもできる。2つの側面2203bおよび2203dは、別々の金網パネルから形成される。金網シートパネルは、剛性ヘリコイル締結ワイヤーからなるワイヤー締結具(
図6aには示されていない)によって一緒に固定されるが、柔軟なワイヤーまたはワイヤーループ(例えば、Cクリップ、クロークリップ、またはスプリングクリップ)締結具が使用され得る。
図22aは、セルの
頂部が開いた状態、すなわち、セクション2204が折り返され、セルに岩石片が充填される準備ができた状態のセルアセンブリ2201を示す。セルを形成する金網は、菱形のパターンを有する菱形金網であり、明確にするために端面2203aにのみ示されている。他のメッシュ形状を使用することも可能である。金網の菱形の開口部は、その幅よりも大きな長さを有し、細長いダイヤモンドを形成する。金網は、ダイヤモンドの長手軸がセルの底
部に平行になるように配向される。
【0107】
図22bは、
図22aのセルアセンブリ2201の平面図である。平面図は、セルを閉じるためにセクション2204が折り畳まれ、4つのブレースアセンブリ2210が定位置にあるセルアセンブリ2201を示す。底面220
2、端面2203aおよび2203c、並びに上面2204を形成する金網のシートは、上面2204と端面2203
aとの間の縁に沿ってそれ自身に結合する。
【0108】
図23aおよび
図23bは、
図22aおよび
図22bのセルアセンブリ2201に類似する別のセルアセンブリ2301を示し、「22」の代わりに「23」が前置されることを除いて、対応する特徴に同じ参照数字が付与されている。セルアセンブリ2301は、下面2302、端面2303aおよび上面を形成する金網シートの端面間の
結合部が、セルが閉じられたときにセルアセンブリの上面に位置する重複
結合部である点のみが異なっている。
図23aおよび
図23bに示すように、セルの
頂部が閉じられると、金網シートの2つのセクション2304aおよび2304bが重なり合って、重なり合う重複
結合部2330を形成する。このような
結合部は、重ならない
結合部よりも便利であり、より強い場合がある。
結合部2330は、セルアセンブリの上面に位置するが、別の面に位置することもできる、または、2つの隣接する面およびそれらの間の縁部にまたがって位置することもできる。
【0109】
図24は、
図22aおよび
図22bのセルアセンブリ2201に類似する別のセルアセンブリ2401を示し、「22」の代わりに「24」が前置されることを除いて、対応する特徴には同じ参照数字が付与されている。セルアセンブリ2401は、側面2403dを形成する金網の側面パネルが、セルアセンブリ2401の下面2402、端面2403aおよび2403c、並びに上面を画定する金網シートの側縁部2402eから内側に間隔を置いている点のみが異なる。
図22aのように、セルアセンブリは、セルの
頂部が開いた状態で示されている。その結果、金網シートは、セルアセンブリの側面から延び、セルアセンブリ2401は、2つが並んで一緒に置かれたときに、隣接するセルアセンブリを入れ子にすることができるようになる。入れ子になったとき、セルアセンブリ2401の下面2402、端面2403aおよび2403c、並びに上面を形成する連続長の金網シートは、入れ子になった隣接セルアセンブリ(
図24に示されていない)の下面、端面、及び上面を形成する金網と重なり合う。
【0110】
図25は、
図24のセルアセンブリ2401と同様の別のセルアセンブリ2501を示し、「24」の代わりに「25」が前置されていることを除いて、対応する特徴には同じ参照数字が付されている。セルアセンブリ2501は、3つのセル2520a、2520b
、2520cから構成されている点で異なっている。セルアセンブリの下面2502、端面2503a、2503c、および上面を画定する連続長の菱形金網は、3つのセル2520a、2520b、2520cの底
部および頂
部、並びにセル2520a、2520cの各々の一端も形成する。セル2520a、2520cの他端は、セル2520a、2520cの間に配置されるセル2520bの端
部も形成する別々の菱形金網パネルによって形成されている。菱形金網の連続長は、セルアセンブリの上面において端と端が
結合された2枚の金網のシートから形成されている。
図25は、セルの
頂部が開放され、それらの金網のシートのうちの1つだけが存在するセルアセンブリ2501を示す。セルを閉じるために、セルアセンブリ2501の上面および端面2503aに配置された重複
結合部を有するセルアセンブリの
下面2502および端面2503
a、2503cを既に形成しているシートに第2のシートを
結合することによって、金網の連続長が完成される。
図25は、セル2520a、2520b、2520cが同一平面上に横たわっていることを示しているが、例えば、セル2520aおよび2520cがつま先部および頭部を形成し、セル2520bが傾斜部を形成するように、セルが互いに対して角度を付けられることが理解されよう。そのような変形例及び他の変形例では、セルアセンブリの側面の各々は、金網の共通のパネルではなく、金網の複数の別々のパネルによって形成されてもよい。菱形金網の連続長はまた、重複
結合部によって端から端まで
結合された単一のシートから形成され得ることが理解されるであろう。
【0111】
図26a~
図26cは、
図23aおよび
図23bのセルアセンブリ2301と同様の別のセルアセンブリ2601の分解透視図及び組立透視図であり、「23」の代わりに「26」が使用されていることを除いて、対応する特徴には同じ参照数字が付与されている。セルアセンブリ2601は、
図26aおよび
図26bにそれぞれ別々に示される、金網の2つの重なり合う連続シート2610、2620から形成されている点でセルアセンブリ2301と異なる。2つのシート2610、2620を一緒にしてセルアセンブリ2601を形成すると、シート2610は下面2602および2つの対向する側面2603b、2603dの周りに巻き付けられ、シート2620は下面2602および2つの端面2603a、2603cの周りに巻き付けられている。セルアセンブリは、
図26cに部分的に組み立てられた状態で示されており、セルの
頂部が開いている。セルを閉じるために、シート2610の端面2614a、2614b、及びシート2620の端面2624a、2624bがセルの
頂部の上に折り込まれ、シート2610および2620の対向する端面が途中で重なり合うようにされる。シート2610は、シート2620の内側、シート2620の外側、または下面のシート2620の内側と上面のシート2620の外側(およびその逆)に配置されてもよいことが理解されるであろう。セル2601の構造は、下面2602にわたって金網の二重層を有し、上面にわたって少なくとも二重層を有する(上面の少なくとも一部にわたって金網の四重層を有する)。
図26dは、セルの
頂部を閉じて重複
結合部2630を形成するときに生じる四方の重なりを示し、重なり合うシートは、ヘリコイル締結具などの適切な締結装置によって
結合される。締結具、例えばヘリコイル締結具は、セルの端部におけるシートの側面の間で使用されてもよい。ブレースアセンブリ2610は、四方の重複
結合部2630を通過するように配置され、重複
結合部を強化する。
図26a~
図26dは、セルの
頂部に両方の連続シートが重なっているセル2601を示す。2つのシートが同じ面上で重なる必要はないことが理解されよう。例えば、シート間の重なりは、代わりに側
部または端
部に形成され得る。
図26a~
図26dにおいて、セルを形成する金網は、菱形(ダイヤモンド形)のパターンを有する菱形金網であり、分かりやすくするために端面2603aおよび側面2603dにのみ示されている。他のメッシュ形状を使用することも可能である。メッシュの菱形形状の開口部は、その幅よりも大きな長さを有し、細長い菱形を形成している。
図26a~
図26dにおいて、両シート2610、2620のメッシュは、菱形の長手軸がセルの底
部に平行となるように配向されている。
図26a~
図26dは、シート2610、2620がセルの
底部および
頂部に二重層を形成しているセル2601を示している。代替的な構造は、金網2610が下面および側面の間だけ(上面ではなく)延びること、およおび/または金網261
0が下面、側面、及び上面ではなくセルの側
部及び端
部を包むように巻かれていることを含む。
【0112】
図に描かれた任意のセル設計は、例えば、対向する側部/端部を結合するための1つ以上の水平ブレースアセンブリ、及び/又は例えばA393金網などの溶接補強金網パネルの形態の補強金網など、本明細書に記載された追加の特徴を任意に含み得ることが理解されるであろう。
【0113】
海岸侵食防止システムは、一般的に岩石護岸材として使用される大きな岩石でさえも移動させるような極端な力にさらされることがよくある。従来の海岸防壁では、このような力は損傷を与え、時間の経過とともにシステムを弱体化させる傾向がある。しかし、本発明のシステムの完全に統合された構造の結果、システムの歪みが金網の張力を増加させ、構造を強化する。これは、金網が高張力ステンレス鋼線から形成されている場合に特に当てはまる。
【0114】
本発明は、特定の実施形態を参照して説明および図示されてきたが、当業者であれば、本発明は、本明細書に具体的に図示されていない多くの異なる変形に適していることが理解されるであろう。
【0115】
前述の説明において、既知の、明白な、または予見可能な等価物を有する整数または要素が言及されている場合、そのような等価物は、個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するためには、特許請求の範囲を参照する必要があり、そのような等価物を包含するように解釈される必要がある。また、好ましい、有利な、便利な等と記載されている本発明の整数または特徴は、任意であり、独立請求項の範囲を限定するものではないことは、読者に理解されよう。さらに、そのような任意の整数または特徴は、本発明のいくつかの実施形態において可能な限り有益である一方で、他の実施形態においては望ましくなく、したがって、存在しない可能性があることが理解されよう。
【0116】
本発明の特定の態様は、以下の番号付けされた項に記載されている。
第1項:特許請求の範囲の請求項18に記載の侵食防止システム。
第2項:第2セルは第1セルの第1側部に接しており、第3セルは第1セルの第2側部に接しており、第1セルの第1側部および第2側部は第1セルの隣接側部である、第1項に記載の侵食防止システム。
第3項:各セルの底面パネル、側面パネルおよび蓋パネルが、1つ以上のタイワイヤーおよび/または複数のクリップによってセルの縁部で互いに固定されている、第1項または第2項に記載の侵食防止システム。
第4項:底面パネル、側面パネル、及び蓋パネルを形成する金網が、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm2の引張強度を有する高張力鋼線から形成されており、任意に、金網が少なくとも75kN/mの引張強度を有する、任意の前項に記載の侵食防止システム。
第5項:タイワイヤー及び/又は複数のクリップが、直径2mm以上、引張強度1000N/mm2以上の高張力鋼線から形成されている、第3項又は第4項に記載の侵食防止装置。
第6項:底面パネル、側面パネル、及び蓋パネル、並びに任意にタイワイヤー及び/又は複数のクリップ(存在する場合)を形成する金網が、オーステナイト系ステンレス鋼線などのステンレス鋼線から形成されている、任意の前項に記載の侵食防止システム。
第7項:各セルの少なくとも3つの側面パネルのうちの少なくとも1つが、前記セルの底部を画定する底面パネルの周縁から少なくとも150mmだけ内側に間隔をあけて配置され、第1のセルの底部を画定する底面パネルが、隣接する第2のセルの底部を画定する底面パネルの下に延び、少なくとも150mmだけ重なっている、任意の前項に記載の侵食防止装置。
第8項:各セルが少なくとも4つの起立した側部を有し、各セルの側面パネルのうちの少なくとも2つが、セルの底部を画定する底面パネルの周縁から少なくとも150mmだけ内側に間隔を空けており、ここで、第1のセルの底部を画定する底面パネルが、隣接する第2のセルの底部を画定する底面パネルの下方に少なくとも150mm延び、かつ、さらなるセルの底部を画定する底面パネルの下方に少なくとも150mm延びて重なっており、さらなるセルが第1のセルに隣接し、第2のセルとは異なり、任意選択で、さらなるセルが第3のセルである、第7項に記載の侵食防止システム。
第9項:複数のセルが、複数の第1の拡張ベースセルと複数の第2のクロップドベースセルとを備え、各拡張ベースセルの全ての前記側面パネルが、前記拡張ベースセルの底部を画定する底面パネルの周縁から少なくとも150mmだけ内側に間隔を空けて配置され、各クロップドベースセルの全ての側面パネルが、前記クロップドベースセルの底部を画定する底面パネルの周縁に配置されており、別のセルに隣接する拡張ベースセルの各側部が、クロップドベースセルの側部に隣接し、別のセルに隣接するクロップドベースセルの各側部が、拡張ベースセルの側部に隣接し、そして各拡張ベースセルの拡張底面パネルが、少なくとも150mmだけ隣接するクロップドベースセルの底部を画定する底面パネルの下に延び、重なり合うことを特徴とする、第1項から第6項のいずれか1項に記載の侵食防止システム。
第10項:第1の底面パネルが、第1及び第2のセルとは異なる1つ以上のセルの底部の少なくとも一部を横切って延在し、任意に、第1の底面パネルが第2のセルの底部を画定し、任意に、第1及び第2のセルとは異なる1つ以上のセルの底部を画定する、第1項から第8項のいずれか1項に記載の侵食防止システム。
第11項:第1蓋パネルは、第1セル及び第3セルとは異なる1つ以上のセルの頂部の少なくとも一部を横切って延びている、任意の前項に記載の侵食防止システム。
第12項:各セルが、セルの底部を画定する底面パネルとセルの頂部を画定する蓋パネルとを結びつける少なくとも1つのブレースアセンブリを備え、例えば、各ブレースアセンブリが、底面パネルの下に配置された下部ブレースプレートと、前記蓋パネルの上に配置された上部ブレースプレートと、下部ブレースプレートを上部ブレースプレートに結合する張力ケーブルとを含む、任意の前項に記載の侵食防止装置。
第13項:各セルは、金網の開口部の断面サイズよりも全ての寸法において大きな断面サイズを有する岩石片などで充填されている、任意の前項に記載の侵食防止システム。
第14項:各セルが、その中を粒状物質が通過するのを防止するための透水性微粉バリアを備え、微粉バリアは、各セルの蓋パネルの下に配置され、任意選択で、微粉バリアは、蓋パネルに隣接するセルの頂部に並ぶ、任意の先行条項の侵食防止システム。
第15項:微粉バリアが、側面パネルに隣接する前記セルの少なくとも3つの側部、および任意に底面パネルに隣接する前記セルの底部を並べ、任意選択で、微粉バリアが、セルの底部を裏打ちする底部と、セルの少なくとも3つの側部を裏打ちする側部と、セルの頂部を裏打ちする頂部フラップを有する袋の形態にある、第14項に記載の侵食防止システム。
第16項:微粉バリアが生分解性材料から形成され、任意選択で、生分解性材料が羊毛、またはココナッツ繊維ベースの材料のうちの1つ以上である、第14項または第15項に記載の侵食防止システム。
第17項:各セルが、砂および/または土などの粒状物、ならびに任意選択で、金網開口部の断面サイズよりも大きい全寸法の断面サイズを有する岩石片などを含み、粒状物が、微粉バリアの下に配置されているか、または微粉バリアで囲まれた空間に位置している、第14項から第16項のいずれか1項に記載の侵食防止システム。
第18項:各セルが、生きた草花などの複数の生きた植物、および/または草花の種子などの植物の種子を含み、複数の生きた植物が、根を少なくとも部分的に微粉バリアの下に配置し、または微粉バリアによって囲まれた空間内に少なくとも部分的に位置し、および/または植物の種子が微粉バリアの下に配置し、または微粉バリアによって囲まれた空間内に位置している、第14項から第17項の7いずれか1項に記載の侵食防止装置。
第19項:つま先部および傾斜部を備え、つま先部が、少なくとも1つの下部セル列の上に積層された少なくとも1つの上部セル列を備え、傾斜部が、少なくとも第1セル列および任意に第1セル列と並んで配置された少なくとも第2セル列を備え、任意に、侵食防止システムが、斜面に設置するために構成されて、つま先部を形成する積層セル列が斜面の底部および/または下部にわたって延在するように、斜面への設置を行う、任意の先行節による侵食防止システムである。および、傾斜部を形成するセルの各列が、つま先部の上の斜面を横切って延び、任意選択で、つま先部の上部の列の各セルが、蓋パネルまたは底面パネルによって傾斜部の少なくとも一つのセルに固定され、つま先部の各セルが、底面パネルまたは蓋パネルによってつま先部の同じ列の別のセルに固定され、傾斜部の各セルは、1)底面パネルまたは蓋パネルによって傾斜部の同じ列の他のセルに固定され、2)蓋パネルまたは底面パネルによって傾斜部の異なる列の他のセルおよび/またはつま先部の上の列の他のセルに固定されている。システム。
第20項:底面パネルから起立した少なくとも3つの側面パネルを備え、側面パネルと底面パネルはそれぞれ金網から形成され、セル端部で互いに固定されており、側面パネルの少なくとも1枚は、底面パネルの周縁から少なくとも150mmだけ内側に間隔が設けられており、底面パネルがセル部の少なくとも1辺を超えて少なくとも150mm延在する、侵食防止装置用セル部分。
第21項:底面パネルを形成して起立した少なくとも4つの側面パネルを含み、側面パネルの少なくとも2つは、底面パネルがセル部分の少なくとも2つの側部を超えて少なくとも150mm延びるように、底面パネルの周縁から少なくとも150mmだけ内側に間隔をあけている、第20項に記載のセル部分。
第22項:各側面パネルは、底面パネルがセル部分の各側部を超えて少なくとも150mm延びるように、底面パネルの周縁から少なくとも150mmだけ内側に間隔をあけている、第20項または第21項に記載のセル部分。
第23項:底面パネル及び側面パネルが、1つ以上のタイワイヤー及び/又は複数のクリップによってセル端部で一緒に固定されている、第20項から第22項のいずれか1項に記載のセル部分。
第24項:金網が、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm2の引張強度を有する高張力鋼線から形成され、任意に、金網が少なくとも75kN/mの引張強度を有し、任意に、タイワイヤー及び/又は複数のクリップが、存在すれば、少なくとも2mmの直径及び少なくとも1,000N/mm2の引張強度を有する高張力鋼線から形成されている、第20項から第23項のいずれか1項に記載のセル部分。
第25項:金網が、オーステナイト系ステンレス鋼線などのステンレス鋼線から形成されており、任意選択で、タイワイヤー及び/又は複数のクリップが、存在する場合、オーステナイト系ステンレス鋼線などのステンレス鋼線から形成されている、第20項から第24項のいずれか1項に記載のセル部分。
第26項:セル部分が、第1項から第19項のいずれか1項に記載の侵食防止システムの少なくとも一部のセルを形成するのに適している、第20項から第25項のいずれか1項に記載のセル部分。
第27項:第20項から第26項のいずれか1項に記載のセル部分を形成するための部品のキットであって、部品のキットは、底面パネルと、セル部分の底部及び側部を画定するように構成された金網の少なくとも3つの側面パネルと、底面パネル及び側面パネルを一緒に固定するための複数の固定具とを含む、部品のキット。
第28項:特許請求の範囲の請求項19に記載の部品のキットであって、任意選択で、部品のキットが、第37項に記載の部品のキットを含んでいる、部品のキット。
第29項:底面パネルを各セルの蓋パネルに結びつけるための複数のブレースアセンブリを含み、任意選択で、各ブレースアセンブリが、底面パネルの下方に処分するように構成された下部ブレースプレート、蓋パネルの上方に処分するように構成された上部ブレースプレート、および下部ブレースプレートを上部ブレースプレートに結合するための張力ケーブル、ならびに任意に上部ブレースプレートをケーブル上の位置に保持するためのワンウェイクリップを含む、第28項に記載の部品のキット。
第30項:その中を砂が通過するのを防止するための複数の水透過性微粉バリアであって、各微粉バリアは、組み立てられたときに蓋パネルの下のセルの1つの内部に処分するためのサイズおよび構成であり、任意選択で、それぞれの微粉バリアは、組み立てられたときに蓋パネルに隣接するセルの上部に並ぶためのサイズおよび構成である、第28項または第29項に記載の部品キット。
第31項:各微粉バリアが、側面パネルに隣接する前記セルの少なくとも3つの側部、および任意に底面パネルに隣接するセルの底部を裏打ちするようにサイズ設定および構成され、任意選択で、微粉バリアが、セルの底部を裏打ちするための底部と、セルの少なくとも3つの側部を裏打ちするための側部と、セルの頂部を裏打ちするための頂部フラップを有する袋の形態にある、第30項に記載の部品キット。
第32項:各微粉バリアが生分解性材料から形成され、任意選択で、生分解性材料が羊毛、またはココナッツ繊維ベースの材料のうちの1つ以上である、第30項または第31項に記載の部品のキット。
第33項:複数の生きた植物、例えば生きた草植物、及び/又は植物の種子、例えば草の種子を含む、第30項から第32項のいずれか1項に記載の部品のキット。
第34項:セルの下に処分するための洗掘防止層を含む、第28項から第33項のいずれか1項に記載の部品のキット。
第35項:特許請求の範囲に記載の請求項20に記載された方法。
第36項:セル部分に充填材を挿入するステップの前に、1つ以上のブレースアセンブリの少なくとも一部を各セル部分に設置し、複数のセル部分を閉じて底面パネルを各セルの蓋パネルに結びつけるステップの後にブレースアセンブリを完了することを含む、第35項に記載の方法。
第38項:セルに充填材を挿入するステップの直前、最中、または直後のいずれかに、砂および/または土の通過を防止するための透水性微粉バリアを各セル部分に挿入することを含む、第35項または第36項に記載の方法。
第38項:各微粉バリアが袋の形態であり、充填材を挿入するステップの前に各微粉バリアをセル部分に挿入することと、袋の底および側面がセル部分の底部および側部を裏打ちするように袋を配置することと、それによってセル部分に充填材を挿入することによって各袋に充填材を詰めることと、複数のセル部分を閉じるステップの前に充填材上で袋の頂部フラップを閉じることとを含む、第37項に記載の方法。
第39項:1)充填材に植物種子を加えること、および/または2)複数のセル部分を閉じるステップの前または後に、生きた草植物などの複数の生きた植物の根、および/または草種子などの植物種子を、微粉バリアの頂部の開口部から挿入することを含む、第37項または第38項に記載の方法。