(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】香り送達を改善するための装置及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20241126BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20241126BHJP
C11B 9/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61L9/01 H
A61L9/12
C11B9/00 C
C11B9/00 S
(21)【出願番号】P 2022575196
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021039752
(87)【国際公開番号】W WO2022006198
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-06
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアス、ラフル
(72)【発明者】
【氏名】ング、デスモンド
(72)【発明者】
【氏名】チャウハン、ガリマ
(72)【発明者】
【氏名】サイニ、ゴーラブ
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529992(JP,A)
【文献】特表2019-525788(JP,A)
【文献】特開2001-104462(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0180391(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
C11B 1/00 - 15/00
C11C 1/00 - 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性組成物であって、
(i)前記揮発性組成物の30重量%超
の1つ以上の非機能性香料原
料と、
(ii)前記揮発性組成物の
30重量%~80重量%の香り強度調節(RIS)組成物であって、
前記RIS組成物の
5重量%~30重量%の第1の香り強度調節成分(RIS成分)、
前記RIS組成物の
20重量%~50重量%の第2のRIS成分、及び
前記RIS組成物の
10重量%~45重量%の第3のRIS成分を含む、香り強度調節(RIS)組成物と、
を含み、
前記非機能性香料原料が、環状エチレンドデカンジオエート、4-三級ブチルシクロヘキシルアセテート又はvertenex(商標)、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アリルヘプタノエート、amber xtreme、ambrox、イソアミルアセテート、イソアミルプロピオネート、アネトールusp、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、cis-3-ヘキセン-1-オール、β-ナフトールメチルエーテル又はネロリン、カラメルフラノン、カリオフィレンエキストラ、cinnamalva(商標)又はシンナミルニトリル、シンナミルアセテート、シンナミルニトリル、cis-3-ヘキセニルブチレート、cis-3-ヘキセニルアセテート、cis-3-ヘキセニル-α-メチルブチレート、cis-6-ノネン-1-オール、citrathal又はシトラールジエチルアセタール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルブチレート、クロナール又はドデカンニトリル、コラノール又は2,2-ジメチルシクロヘキサンプロパノール、クマリン、クミンニトリル、クミンアルコール、トリシクロデセニルイソブチレート又はcyclabute、シクロヘキシルエチルアセテート、ジヒドロミルセノール、ジメチルアントラニレート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチル-2,6-ヘプタン-2-オール又はfreesiol、サンダルペンテノール又はエバノール、エチル-2-メチルペンタノエート、エチルアセトアセテート、エチルリナロール、エチルマルトール、エチルフェニルグリシデート、エチルバニリン、エチル-2-メチルブチレート、オイカリプトール、オイゲノール、酢酸フロール(floracetate)、オゾンプロパナール又はfloralozone、fructalate(商標)又はラズベリージカルボキシレート、ゲラニオール又はトランス-3,7-ジメチル-2,7-オクタジエン-1-オール、grisalva(商標)又はアンバーフラン、habanolide(商標)又は(E)-12-ムスクデセノン、helvetolide(商標)又はムスクプロパノエート、ヘキシルアセテート、ヘキシル-2-メチルブチレート、indocolore(商標)又は1-フェニルビニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソオイゲニルアセテート、イソプロピルミリステート、イソアミルブチレート、イソオイゲノール、koumalactone(商標)又はジヒドロミントラクトン、laevo trisandol又はサンドラノール(sandranol)、lemonile(商標)又はホモゲラニルニトリル(homogeranylnitrile)、levistamel(商標)又はメシテンラクトン(mesitenelactone)、リナロール、リナリルアセテート、リナリルイソブチレート、リモレン又はジヒドロミルセノール、メントール、メチルジオキソラン又はfructone(商標)、メチルイソブテニルテトラヒドロピラン、methyl pamplemousse(商標)又はグレープフルーツアセタール、メチルフェニルカルビニルアセテート又はスチラリルアセテート、メチルサリチレート、montaverdi(商標)又はグリーンシクロプロピオネート(greencyclopropionate)、mugetanol(商標)又はミュゲエタノール、neocaspirene、neofolione又はメロンノネエートネロリドール(melonnonenoatenerolidol)、オレンジテルペン、orcinyl-3又は3-メトキシ-5-メチルフェノール、oxane(商標)又はcis-ガルバヌムオキサチアン、パラクレシルメチルエーテル又はパラメチルアニソール、パチョリ、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、polysantol(商標)又はサントールペンテノール、プレニルアセテート、sauvignone(商標)又は5-メルカプト-5-メチル-3-ヘキサノン、sclareolate(商標)又はクラリープロピオネート(clarypropionate)、shisolia、strawberiff(商標)又は2-メチル-2-ペンテン酸、terpinolene又は4-イソプロピリデン-1-メチルシクロヘキセン、tetrahydro muguol(商標)又はシトラスオシメノール、thesaron(商標)(1R,6S)-2,2,6-トリメチル-シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル、tobacarol(商標)又は5-テトラメチルオキサトリシクロドデカン、undecavertol(商標)又はバイオレットデセノール、verdox(商標)又はグリーンアセテート(greenacetate)、verdural B(商標)又は(Z)-3-ヘキセン-1-イルイソブチレート、violettyne(商標)又はバイオレットジエニン(violetdienyne)、violiff(商標)又はバイオレットメチルカーボネート、Adoxal(商標)(2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール)、Bourgeonal(商標)(4-t-ブチルベンゼンプロピオンアルデヒド)、Lilestralis 33(商標)(2-メチル-4-t-ブチルフェニル)プロパナール)、ケイ皮アルデヒド、シンナムアルデヒド(フェニルプロペナール、3-フェニル-2-プロペナール)、シトラール、ネラール(ジメチルオクタジエナール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール)、Cyclal C(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド)、Florhydral(商標)(3-(3-イソプロピル-フェニル)-ブチルアルデヒド)、シトロネラール(3,7-ジメチル6-オクテナール)、サイマール(2-メチル-3-(パラ-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド)、シクラメンアルデヒド、ライムアルデヒド(α-メチル-p-イソプロピルフェニルプロピルアルデヒド)、メチルノニルアセトアルデヒド、アルデヒドC12 MNA(2-メチル-1-ウンデカナール)、ヒドロキシシトロネラール、シトロネラール水和物(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール)、Helional(商標)(3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール);2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール)、イントレレベンアルデヒド(ウンデカ-10-エン-1-アール)、Ligustral(商標)(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド)、Trivertal(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、Jasmorange(商標)又はサテンアルデヒド(2-メチル-3-トリルプロピオンアルデヒド、4-ジメチルベンゼンプロパナール)、Lyral(商標)(4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、Melonal(商標)(2,6-ジメチル-5-ヘプテナール)、メトキシメロナール(6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール)、メトキシシンナムアルデヒド(trans-4-メトキシシンナムアルデヒド)、Myrac aldehyde(商標)(イソヘキセニルテトラヒドロベンズアルデヒド)、trifernal(商標)((3-メチル-4-フェニルプロパナール、3-フェニルブタナール)、リリアール(3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール)、ベンゼンプロパナール(4-tert-ブチル-α-メチル-ヒドロシンナムアルデヒド)、Dupical(商標)(ミュゲブタナール)、トリシクロデシリデンブタナール(4-トリシクロ5210-2,6-デシリデン-8-ブタナール)、Melafleur(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、メチルオクチルアセトアルデヒド、アルデヒドC-11 MOA(2-メチルデカ-1-アール)、Onicidal(商標)(2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、Muguet aldehyde50(商標)(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、Mefranal(商標)(3-メチル-5-フェニルペンタナール)、ジメチルテトラヒドロベンゼンアルデヒド(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、2-フェニルプロプリオンアルデヒド、ヒドロトロープアルデヒド(2-フェニルプロピオンアルデヒド)、Canthoxal(商標)(パラ-アニシルプロパナール)、アニシルプロパナール4-メトキシ-α-メチルベンゼンプロパナール(2-アニシリデンプロパナール)、Cyclemone A(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、及びPrecyclemone B(商標)(1-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、イソジャスモン、メチルβナフチルケトン、ムスクインダノン、tonalid(商標)又はムスクテトラリン(musktetralin)、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソ-ダマスコン、ダマセノン、メチル-ジヒドロジャスモネート、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、ジヒドロ-β-イオノン、γ-メチルイオノン、α-メチルイオノン、n-βメチルイオノン異性体、fleuramone(商標)又は2-ヘプチルシクロペンタン-1-オン、ジヒドロジャスモン、cis-ジャスモン、iso-e-super(商標)又はパチョリエタノン、メチルセドリルケトン又はメチルセドリロン、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-β-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラ-ヒドロキシ-フェニル-ブタノン、セロリケトン又はlivescone(商標)、6-イソプロピルデカヒドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、freskomenthe(商標)又は2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5,テトラメチル-シクロヘキサノン、メチル-ヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボルナン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5h)-インダノン、4-damascol(商標)又はペッパーヘキサノン(pepperhexanone)、dulcinyl(商標)又は4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)ブタン-2-オン、gelsone(商標)又はエチル-2-アセチルオクタノエート、hexalon(商標)又はアリルαイオノン、methyl cyclocitrone(商標)又は1-(3,5,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)エタノン、methyl-lavender-ketone(商標)又は3-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、orivone(商標)又は4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、パラ-三級ブチル-シクロヘキサノン、verdone(商標)又は2-tert-ブチルシクロヘキサン-1-オン、delphone(商標)又は2-ペンチルシクロペンタン-1-オン、ムスコン、neobutenone(商標)又は1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセニル)ペンタ-4-エン-1-オン、plicatone(商標)又はオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オン、veloutone(商標)又は2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、2,4,4,7-テトラメチル-オクト-6-エン-3-オン、tetrameran(商標)又はフローラルウンデセノン、hedione(商標)又はメチルジヒドロジャスモネート、γ-ウンデカラクトン、γ-デカラクトン、γ-オクタラ
クトン、エチレンブラシレート、ペンタデカノリド、メチルノニルケトン、シクロペンタデカノン、3,4,5,6-テトラヒドロプソイドイオノン、8-ヘキサデセノリド(hexadecenolide)、ジヒドロジャスモン、5-シクロヘキサデセノン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記第1のRIS成分が、3-メトキシ-3-メチルブタン-1-オール(MMB)、3-メチルブタン-2-オール、ブタン-1-オール、2,3-ジメチルブタン-2-オール、1-メトキシプロパン-2-オール、2-メチルブタン-2-オール、3-メチルブタン-1-オール、ヘキサ-1-エン-3-オール、2-エチルブタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール、エチル2-ヒドロキシプロパノエート、2-ブトキシエタノール、エチル3-ヒドロキシブタノエート、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記第2のRIS成分が、ジメチルヘキサンジオエート(DMA)、エチル3,5,5-トリメチルヘキサノエート、ジメチルブタンジオエート、ジエチルプロパンジオエート、エチル3-アセチルオキシヘキサノエート、メチル5-アセチルオキシヘキサノエート、3-O-ブチル1-O-エチルプロパンジオエート、ジプロパン-2-イルヘキサンジオエート、(4-メトキシフェニル)メチルホルメート、エチル3-ヒドロキシヘキサノエート、及びそれらの混合物からなる群から選択され、
前記第3のRIS成分が、1-(3-メトキシプロポキシ)プロパン-1-オール(DPM)、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、メチル2-ヒドロキシベンゾエート、6,8-ジメチルノナン-2-オール、2-フェノキシエタノール、4-オキサ-1,6-ヘキサンジオール、1-(1-メチル-2-プロポキシエトキシ)プロパン-2-オール、1-(2-ブトキシ-1-メトキシ)プロパン-2-オール、及びそれらの混合物からなる群から選択され
、
前記の1つ以上の非機能性香料原料の各々の
蒸気圧(VP
)が、同じ温度で、前記第1のRIS成分
のVP、前記第2のRIS成分
のVP、及び前記第3のRIS成分
のVPのうちの少なくとも1つよりも低い、揮発性組成物。
【請求項2】
前記揮発性組成物が、35℃で少なくとも10%のMOI低減効率
を達成する、請求項1に記載の揮発性組成物。
【請求項3】
前記MOI低減効率が、35℃で10%~100%である、請求項2に記載の揮発性組成物。
【請求項4】
前記第1のRIS成分が、MMB、2-エチルブタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
3のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項5】
前記第2のRIS成分が、DMA、エチル3-アセチルオキシヘキサノエート、メチル5-アセチルオキシヘキサノエート、3-O-ブチル1-O-エチルプロパンジオエート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項6】
前記第3のRIS成分が、DPM、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-フェノキシエタノール、4-オキサ-1,6-ヘキサンジオール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項7】
前記第1のRIS成分が、3-メトキシ-3-メチルブタン-1-オール(MMB)であり、前記第2のRIS成分が、ジメチルヘキサンジオエート(DMA)であり、前記第3のRIS成分が、1-(3-メトキシプロポキシ)プロパン-1-オール(DPM)である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項8】
前記揮発性組成物が、香料組成物である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の揮発性組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の揮発性組成物を内部空間内に送達するための装置であって、前記装置が、
前記揮発性組成物を収容するためのリザーバであって、開口部を含み、前記揮発性組成物は液相を含む、リザーバと、
前記揮発性組成物の前記液相を含有し、かつそこから前記揮発性組成物の前記液相を蒸発させるように構成された送達部材と、
を備え、前記内部空間が、車両内部空間、住宅環境の内部空間、トイレ、商業環境の内部空間のうちの1つである、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間内の香り送達を改善するための香り強度調節組成物を含む、装置及び揮発性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性物質を分配するためのデバイスはよく知られており、部屋のような家庭及び商業施設の空間、又はトイレや車両の車室空間のような密閉空間の空気のフレッシュニング、悪臭除去、又は香り付けなどの様々な利点を提供するために一般的に使用される。
【0003】
例えば、芳香油のような1つ以上の揮発性材料を含む揮発性組成物などの揮発性物質を分配するために、エアフレッシュニング製品が設計されている。揮発性組成物は、膜系、芯系、及びゲル系システムに含有された上で、それらから揮発性組成物を蒸発させることなどを介して、分配され得る。しかしながら、このようなエアフレッシュニング製品の問題は、製品寿命にわたる揮発性組成物の蒸発速度に一貫性がない、すなわち、製品使用開始時の揮発性組成物の高い蒸発速度、及び製品寿命の終了に向かう低い蒸発速度であることが多い。
【0004】
具体的には、揮発性組成物は典型的に、高揮発性化合物と、揮発性がより低い他の揮発性化合物(「より低い揮発性化合物」)との混合物を含む。高揮発性化合物は、一般に、より低い揮発性化合物よりも高い蒸気圧を有する。具体的には、所与の温度では、より高い蒸気圧を有する高揮発性化合物は、より低い蒸気圧を有するより低い揮発性化合物よりも容易に蒸発する。使用中、高揮発性化合物は、このような製品の使用の開始時により迅速に蒸発する傾向があり、その一方で、より低い揮発性化合物が後に蒸発すると、製品寿命にわたって揮発性組成物の全体的な一貫性のない香り強度及び芳香特性をもたらす。初期蒸発率が高いと、初期の香り強度が圧倒的に強くなり、これは、製品寿命にわたってエアフレッシュニング製品が異なる香り強度を有している、又は初期の香り強度が存在しなくなった後に製品が効果を失ったという認識が生じ得る。
【0005】
更に、蒸発速度における一貫性の欠如の問題は、内部空間内の空気とのユーザの最初の相互作用が発生した際(以下、「最初のタッチ点」)により激しいものとなる。内部空間は、車両、住宅用建物、商業用建物、又は住宅/商業用建物の任意の一部又は部屋であり得る。
【0006】
典型的には、最初のタッチ点の空気は、内部空間内の既存の又は優勢な臭気の混合物である。これにより、ユーザが入ってきた際、すなわち内部空間の入口に、不快な最初のタッチ点をユーザに対して作り出す可能性があるということである。更に、特に訪問者が内部空間に入ると、不快な最初のタッチ点を得ることで、内部空間内でのその後の会合及び活動にも、好ましくない印象を生じてしまう。
【0007】
場合によっては、例えば揮発性フレッシュニング組成物のような揮発性組成物の蒸発速度を低下させるために、溶媒及び希釈剤などの担体が用いられる。揮発性の高いフレッシュニング組成物では、フレッシュニング組成物の蒸発を減速させるために高濃度の担体を使用してよい。フレッシュニング組成物の蒸発速度を低下させるために担体及び他の材料を添加すると、フレッシュニング組成物中の香料原料の濃度が著しく低下する場合もあり、フレッシュニング組成物の特徴及び香り強度が変化する場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、揮発性組成物に使用されて、最初のタッチ点での揮発性組成物の香り送達を改善することができ、かつ/又は揮発性組成物の配合又は特徴を著しく変化させることなく、揮発性組成物の蒸気圧に関係なく長持ちする香りを提供することができる香り強度調節組成物を提供することが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、揮発性組成物に関し、この揮発性組成物は:
(i)揮発性組成物の30重量%超の香り疎水性材料であって、1つ以上の揮発性化合物を含む、香り疎水性材料と、
(ii)揮発性組成物の20重量%超の香り強度調節(RIS)組成物であって、
高い平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分)、
中程度の平均VPを有する第2のRIS成分、及び
低い平均VPを有する第3のRIS成分、のうちの少なくとも2つを含む香り強度調節(RIS)組成物と、を含み、
上記の1つ以上の揮発性化合物の各々の平均VPが、同じ温度で、第1、第2、及び第3のRIS成分の高い平均VP、中程度の平均VP、及び低い平均VPのうちの少なくとも1つよりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の構成要素の斜視図である。
【
図2】装置が支持体上に配置されているとき、
図1に示される装置の水平配向における側断面図である。
【
図3】装置が支持体上に配置されているとき、
図1に示される装置の垂直配向における側断面図である。
【
図4】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の変形例の前方斜視図である。
【
図8】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の変形例である。
【
図9A】作動前の、本発明による揮発性組成物を送達するための装置の変形例の側断面図である。
【
図10】本発明による、揮発性組成物を送達するための装置の変形例を示す図である。
【
図11】住宅環境の内部空間に、その入口で使用される、本発明による揮発性組成物を送達するための装置の正面斜視図である。
【
図12】比較組成物(香料混合物Xのみ)及び発明組成物(RIS組成物及び香料混合物X)の、香料蒸発結果を時間の関数としてプロットしたグラフである。
【
図13】比較組成物(香料混合物Yのみ)及び本発明の組成物(RIS組成物及び香料混合物Y)の香料蒸発結果を時間の関数としてプロットしたグラフである。
【
図14A】駐車条件の車両内部空間内の本発明の試料10及び比較試料9から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【
図14B】駐車条件の車両内部空間内の本発明の試料10及び比較試料9から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【
図15A】ドライブ条件の車両内部空間内の本発明の試料11及び比較試料12から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【
図15B】ドライブ条件の車両内部空間内の本発明の試料11及び比較試料12から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【
図16A】ドライブ条件の車両内部空間内の本発明の試料13及び比較試料14から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【
図16B】ドライブ条件の車両内部空間内の本発明の試料13及び比較試料14から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【
図17A】周囲空気流条件下で、住宅内部空間における、本発明の試料15及び比較試料16から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【
図17B】周囲空気流条件下で、住宅内部空間における、本発明の試料15及び比較試料16から蒸発した香料原料(PRM)のパーセンテージをプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、内部空間内の香り送達を改善するための香り強度調節組成物(以後、「RIS組成物」)を含む、装置及び揮発性組成物に関する。
【0012】
香料原料(以下、「PRM」)は、典型的には、揮発性組成物中に香りを提供するために使用される。具体的には、揮発性組成物は、典型的には、高揮発性PRMと、揮発性がより低い他の揮発性RPMとの混合物を含む。高揮発性PRMは、一般に、より低い揮発性RPMよりも高い蒸気圧を有する。具体的には、所与の温度では、より高い蒸気圧を有する高揮発性PRMは、より低い蒸気圧を有するより低い揮発性化合物よりも容易に蒸発する。しかしながら、RPMの蒸気圧のため、高揮発性RPMは、より迅速に、このような製品の使用の開始時に蒸発する傾向があり、その一方で、より低い揮発性RPMはより後で蒸発し、その製品の製品寿命にわたって揮発性組成物の、全体として一貫性に欠ける、香り強度と芳香特性とをもたらす結果となる。初期蒸発率が高いと、初期の香り強度が圧倒的に強くなり、これは、エアフレッシュニング製品が、その製品寿命にわたって変化する香り強度を有しているという認識、又は初期の香り強度が存在しなくなった後には、その製品がその効果を失ったという認識をもたらし得る。
【0013】
本発明は、揮発性組成物の30重量%超の香り疎水性材料であって、1つ以上の揮発性化合物を含む香り疎水性材料と、揮発性組成物の約20%を超える香り強度調節(RIS)組成物とを含む揮発性組成物が、上記の1つ以上の揮発性化合物を、低減された初期の蒸発速度と香り強度とで、環境(すなわちその揮発性組成物が配置された内部空間)からの温度及び/又は空気流効果によって影響を受けることなく、長期にわたって送達することができるという驚くべき発見に基づく。主張されるレベルの香り疎水性材料とRIS組成物との組み合わせを有する、本発明の揮発性組成物は、以下の実施例で説明されるような結果で示されるように、低減された強度の香りを送達しつつ揮発性組成物の香り特性を有意に変化させず、それによって、改善された香り送達を実現する。
【0014】
RIS組成物は、高い平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分)、中程度の平均VPを有する第2のRIS成分、及び低い平均VPを有する第3のRIS成分のうちの少なくとも2つを含み、
上記の1つ以上の揮発性化合物の各々の平均VPが、同じ温度で、第1、第2、及び第3のRIS成分の高い平均VP、中程度の平均VP、及び低い平均VPのうちの少なくとも1つよりも低い。
【0015】
本発明のRIS組成物は:25℃で40.0Pa(0.3トール)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分);25℃で9.33~40.0Pa(0.07~0.3トール)の平均VPを有する第2のRIS成分;及び25℃で1.3199~9.33Pa(0.0099~0.07トール)の平均VPを有する第3のRIS成分(ただしその第1、第2、及び第3のRIS成分の各々が、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)により特徴づけられている)のうちの少なくとも2つを含み、PRMを含む揮発性組成物に添加され、PRMを、環境(すなわち、揮発性組成物が配置される内部空間)からの温度及び/又は空気流効果によって影響を受けることなく、低減された初期の蒸発速度と香り強度とで長期にわたって送達し得る。
【0016】
単一のRIS成分の代わりに、25℃で異なる平均蒸気圧を有する、第1、第2、及び第3のRIS成分のうちの少なくとも2つを有するRIS組成物の技術的効果は、少なくとも2つのRIS成分の各々が、個別に作用して、揮発性組成物中の、異なる個々の蒸気圧を有する個々の揮発性化合物の、それぞれ対応する蒸発速度を遅くし得るということである。具体的には、第1のRIS成分は、25℃で40.0Pa(0.3トール)未満の蒸気圧を有する第1の揮発性化合物よりも速く蒸発することができ、それにより、第1の揮発性化合物の蒸発速度を遅くすることができる。同様に、第2のRIS成分は、25℃で9.33Pa(0.07トール)未満の蒸気圧を有する第2の揮発性化合物よりも速く蒸発することができ、第3のRIS成分は、25℃で1.3199Pa(0.0099トール)未満の蒸気圧を有する第3の揮発性化合物よりも速く蒸発することができる。
【0017】
揮発性化合物は、蒸発して内部空間に利益を提供するように設計され得る。揮発性化合物のうちの1つ以上は、内部空間において利益を送達するための有益剤であり得る。有益剤は、香りの利益を提供するための香料、悪臭を除去するための悪臭中和剤を含み得るが、これらに限定されない。揮発性化合物の蒸発速度を遅延させる技術的効果は、揮発性成分の利益の制御された放出を可能にすることである。更に、RIS成分の各々は、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)を有することによって、非臭気性であるように設計されている。
【0018】
本発明を詳細に説明する目的で、以下に記載されるRIS組成物は、内部空間に香りの利益を送達するための香料原料(PRM)を用いて揮発性組成物を配合するために使用され、したがって、揮発性組成物は、香料組成物として記載される。RIS組成物はまた、PRMを用いて揮発性組成物を配合して、連続エネルギー非印加式に、内部空間において空気をフレッシュニングするために使用され得るので、揮発性組成物は、エアフレッシュニング組成物としても記載される。しかしながら、RIS組成物は、内部空間に利益をもたらすために、様々な用途で使用するように構成され得るということが企図される。本発明を詳細に説明するのに先立ち、説明を分かりやすくために以下の用語を定義する。定義されない用語には、関連する技術分野の当業者によって理解される通常の意味が与えられるべきである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「臭気検出閾値(ODT)」は、ヒトの鼻によって検出され得る材料の最小濃度を指し、2017年11月28日に公開された、The Procter & Gamble Companyの名称で発行された、米国特許第9,827,342B2号(以下、米国特許第9,827,342号)に記載されているODT法に従って決定される。具体的には、個々の香料原料(PRM)又は個々のRIS成分のODTは、所与のPRM又は所与のRIS成分の分子構造に直接基づいて、米国特許第9,827,342号に概説されている試験方法を使用して計算し、ppb単位で表すことができる。ODTは、「winMolconn」と題されたソフトウェアのリリースバージョン-1.0.1.3(ソフトウェアプロバイダであるHall Associates Consulting(米国マサチューセッツ州クインシー、www.molconn.com)によって、市販され提供されている)により決定することができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「モル臭気指数(MOI)」は、材料の臭気強度を、以下に記載される式に基づく値に定量化した指数を指す。より高いMOI値を有する組成物は、より低いMOI値を有する別の組成物と比較して、より高い臭気強度と相関する。したがって、より高いMOI値を有する香料組成物は、より低いMOI値を有する別の香料組成物と比較して、より高い香り強度に対応する。
【0021】
「ClogP」は、本明細書で使用される場合、PRMのlogP計算値(「ClogP」)を指す。PRMのオクタノール/水分配係数は、オクタノール中の平衡濃度と水中の平衡濃度との間の比である。フレッシュニング組成物において使用されるPRMの分配係数は、より簡便には、底が10の対数の形態であるlogPで示すことができる。ClogPは、分子構造に直接基づいて、一般的な有機分子についてのオクタノール-水分配係数(logP又はlogKow)を計算するモデルによって求められる。LogPは、2つの不混和性液相であるオクタノールと水との間の溶質の分布の尺度であり、溶質の疎水性の相対的尺度として一般に使用される。PRMのLogPを計算する1つの方法は、Advanced Chemistry Development,Inc.製のACD/Labs LogPソフトウェアモジュールを使用している。logPの計算の詳細は、ACD/Labsウェブサイト(https: //www.acdlabs.com/products/percepta/predictors/logp/)で見出すことができる。ACD/Labs LogPソフトウェアモジュールを使用して計算するPRMのLogP値及びPRMのLogP値は、以下の実施例に記載される本発明において有用なPRMの選択において使用される。しかしながら、LogPを測定する別の好適な方法は、BioByte Corp製の「ClogP」プログラム(例えば、ClogPバージョン4.0及びマニュアル1999)を使用することであることが理解されるであろう。CLOG P USER GUIDE、バージョン4.0、BioByte Corp(1999)(http: //www.bio-byte.com/bb/prod/clogp40.html)。LogPを測定する更なる好適な方法は、Daylight Chemical Information Systems,Inc.(Alison Viejo,CA)製のCLOGPプログラムを使用する。CLOGP Referenceマニュアル、Daylightバージョン4.9、リリース日2008年2月1日。
【0022】
本明細書で使用される場合、「水平方向」は、膜が上向き又は下向きの位置で環境に面する、本発明に基づくエアフレッシュニング製品の位置を指す。
【0023】
「内部空間」とは、住宅環境、商業環境、又は車両環境を含むがこれらに限定されない、環境における有限容積の空間を指す。内部空間は、住宅環境又は商業環境内の部屋、例えば、衛生施設などであり得る。衛生施設としては、浴室、トイレ、トイレを含む浴室、ロッカー室を挙げることができる。内部空間はまた、例えば、シューキャビネット、ワードローブ、ジムロッカーを含むがそれらに限定されない個人用品目を保管するための家具などの密閉空間でもあり得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「膜」は、物質の特定の成分は通過させるが、他の成分は止める、半透過性材料を指す。膜を通過する成分について、膜は、成分の透過性を調節する(すなわち、特定の成分を他の成分よりも速く透過させる)。かかる成分としては、分子、イオン、又は粒子を挙げることができる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「微多孔膜」は、細孔の網状組織を有する材料を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「自然対流」とは、水などの液体又は空気などの気体の流れや動きを指し、その中で流体の運動が、(ポンプ、ファン、吸引デバイスなどのような)いかなる外部のソースによっても生成されず、流体のうち、他の部分よりも重い一部によって生成されるものを指す。
【0027】
「エネルギー非印加式」は、製品が受動的であり、外部のエネルギー源によって動力を付与される必要がないことを意味する。特に、製品は、熱源、ガス、又は電流によって動力を付与される必要はない。製品は、エネルギー印加式デバイスとして構成されてもよい。例示的なエネルギー印加式デバイスは、電気式デバイスであってよい。エネルギー印加式デバイスは、フレッシュニング組成物を輸送し、かつ/又はフレッシュニング組成物をそこから蒸発させるための、以下の説明文で述べるような芯及び/又は膜を有する、自動車の電気コンセント又は電池で動作するエアフレッシュナー、あるいは他の加熱デバイス(例えば、触媒燃料システムなどの化学反応により動力付与されるデバイス、太陽光により動力付与されるデバイスなど)であってよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「透過性材料」とは、液体又は気体が通過することを可能にする任意の材料を指し、乾燥壁、壁紙、木材、ビニル、プラスチック、プラスタ、ウォールボード、布地、室内装飾材料、紙、織布、天然ポリマー、合成ポリマー及び無機材料、並びにこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されるものではない。透過性材料はまた、無生物表面上に形成された残留物を含んでもよく、無生物表面上の粉塵粒子又はグリースを含むが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「無生物表面」という用語は、限定されるものではないが、布地、カーペット、また床、壁、カーペットパッド、タオルなどの家庭内にある表面を含む表面を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「垂直方向」は、膜が前方に面する位置又は後方に面する位置で環境に面する、本発明によるエアフレッシュニング製品の位置を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「揮発性組成物」は、更なるエネルギー源を必要とすることなく室温及び大気圧で揮発可能な材料を指す。組成物は、これらに限定されるものではないが、エアフレッシュニング、脱臭、臭気除去、悪臭中和、害虫防除、殺虫、防虫、薬剤/薬、消毒剤、殺菌、気分向上効果、アロマセラピー助剤、香り組成物、香りではない組成物、又はその場所の空気若しくは環境を調整、改質、又は他の形で変化させるように作用するフレッシュニング組成物を必要とする他の任意の使用法を含む、様々な用途に合わせて構成することができる。更に、組成物の成分物質の全てが揮発性である必要はない。任意の好適な組成物を、任意の量、又は液体、固体、ゲル、若しくはエマルションを含む任意の形態で使用することができる。本明細書での使用に好適な材料には、担体物質(例えば、水、溶媒など)のような不揮発性化合物が含まれてもよい。本明細書において組成物が、「送達される」、「発散される」、又は「放出される」ものとして述べられる場合、これは、組成物の揮発性成分の揮散を指し、組成物の不揮発性成分が発散される必要はない点も理解されるべきである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「香料組成物」は、悪臭を処理する(例えば、排除又は低減/最小化する)こと、心地よい香りを送達すること、及び/又は内部空間内の空気をフレッシュニングすることを意図する、1つ以上の香料原料(PRM)を含む、香料組成物を含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「フレッシュニング組成物」は、香料組成物を含む組成物を意味する。フレッシュニング組成物は、フレッシュニング組成物を送達するためのデバイスとともに用いられても、又はそのようなデバイスなしで使用されてもよい。
【0034】
本明細書で使用される場合、「タッチ点」は、揮発性組成物とその揮発性組成物の消費者との間の接触点又は相互作用点を指す。
【0035】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。列挙されている成分に関するとき、こうした重量は全て、活性レベルに基づき、このため、特に指定されない限り、市販の材料に含まれている可能性のある溶媒又は副生成物を含まない。「重量百分率」という用語は、本明細書では「重量%」として表示されてもよい。本明細書で使用される全ての分子量は、別途記載のない限り、グラム/モルで表される重量平均分子量である。
【0036】
I.揮発性組成物
本発明による揮発性組成物は、香り疎水性材料とRIS組成物とを含む。好ましくは、揮発性組成物は、担体を実質的に含まない。
【0037】
RIS組成物と香り疎水性材料との総重量比は有効重量比で定式化され、所望の香り強度プロファイルを達成し得る。
【0038】
揮発性組成物は、香料組成物、好ましくは、フレッシュニング組成物、より好ましくは、内部空間に香りを送達するためのエアフレッシュニング組成物であり得る。エアフレッシュニング組成物は、好ましくは、エネルギー非印加エアフレッシュナー、より好ましくは、連続エネルギー非印加エアフレッシュナーに含まれ得る。
【0039】
揮発性組成物は、香り強度を調節するように適合された有効量のRIS組成物を含み得る。揮発性組成物は、揮発性組成物の少なくとも20重量%、好ましくは、20重量%~90重量%、より好ましくは、30重量%~80重量%のRIS組成物を含み得る。
【0040】
揮発性組成物中にRIS組成物を提供する技術的効果は、香り疎水性材料の香り強度が低減されて、全ての温度及び空気流量で、内部空間内、特に最初のタッチ点における、香りの体験を改善することである。
【0041】
具体的には、RIS組成物が香料ノートグループ(トップ、ミドル、ボトムノート)の混合物を含む香料組成物で使用するように設計されている場合、RIS成分の各々は、平均蒸気圧に従って選択され、それぞれの標的香料ノートグループよりも速く蒸発することによって、それぞれ対応する標的香料ノートグループの蒸発速度を遅くすることができる。以下の表1は、例示的なRIS成分を、そのそれぞれ対応する標的香料ノートグループ及び蒸気圧とともに示す。
【0042】
【0043】
第1、第2、又は第3のRIS成分のうちの少なくとも2つを含むRIS組成物は、香料原料のそれぞれ対応する群の蒸発速度を測定可能に低減し、しかも香料組成物中のPRMの蒸気圧にのみ依存すること、香料組成物に担体を追加すること、又は香料組成物の量を減らしてPRMの蒸発速度を低減させかつ香り強度を低減させることと比べて、PRMの対応するグループ内の1つ以上のPRMよりも速く蒸発することができるRIS組成物を主として介して、香料組成物の蒸気放出速度を低下させることを可能にする。これにより、内部空間における、香料組成物のより一貫した蒸発プロファイルが可能となり(例えば、実施例の下で以下に記載される結果で示される、内部環境内の内部空間の環境をシミュレートすることによるインヘッド空間試験によって)それによって、香り送達が改善される。
【0044】
具体的には、RIS組成物は、RIS組成物を含まない香料組成物と比較して、低い香りが付いた又は香りが付いていないように構成され得る。具体的には、RIS組成物は、香料組成物と比較してより低いモル臭気指数(MOI)を有し得る。本明細書で使用される場合、「モル臭気指数(MOI)」は、材料の臭気強度を、以下に記載されるMOI式に従って値に定量化した指数を指す。より高いMOI値を有する揮発性組成物は、より低いMOI値を有する別の組成物と比較して、より高い臭気強度と相関する。したがって、より高いMOI値を有する揮発性組成物は、より低いMOI値を有する別の揮発性組成物と比較して、より高い香り強度に対応する。
【0045】
揮発性組成物のモル臭気指数(MOI)は、例えば、連続エネルギー非印加エアフレッシュナー、具体的には蒸発性エアフレッシュナーにおいて使用するための、エアフレッシュニング組成物の所望の香りプロファイルを特定するように決定され得る。
具体的には、揮発性組成物のMOIは、以下の式(I)によって定義されるモル臭気指数(MOI)を特徴とし得る。
【0046】
【数1】
(式中、
i=RIS組成物中のRIS成分;
x
i=RIS成分iのモル分率;
【0047】
【数2】
y℃でのRIS成分iの飽和蒸気圧;
ODT
i=RIS成分Iの臭気検出閾値(ppb);
j=香料混合物中の成分;
x
i=成分jのモル分率;
【0048】
【数3】
y℃での成分jの飽和蒸気圧;
ODT
i=成分jの臭気検出閾値(ppb);
y=具体的な温度の数値。
【0049】
揮発性組成物は、35℃で少なくとも10%のモル臭気指数(MOI)低減効率を特徴とし得る。揮発性組成物は、35℃で、10%~100%、好ましくは、25%~65%、又は上記の上限及び下限パーセンテージの異なる組み合わせ、又は上記の範囲の任意の整数の組み合わせのMOIによって特徴づけられ得る。
【0050】
揮発性組成物のMOI低減効率は、以下の式(II)に従って決定される。
【0051】
【0052】
具体的には、MOI低減効率は、香り疎水性材料を含むがRIS組成物を含まない揮発性組成物と比較しての、RIS組成物及び香り疎水性材料を含む揮発性組成物の香り強度の低下を決定する。RIS組成物のMOIを決定するための方法は、揮発性組成物中のそれぞれの成分に従って、以下に記載される。
【0053】
RIS組成物はまた、揮発性組成物のMOIを変化させるために有効な量で添加され得る。具体的には、RIS組成物の90%を添加するとMOIが減少し、85%のMOI低減効率が達成される。より高い香り強度が好ましい場合、RIS組成物は、それに応じて調整することもできる。したがって、RIS組成物の使用により、広い範囲の香り強度を配合して、消費者の好みに基づいて、低い香りが付いたエアフレッシュニング組成物及び/又はより高い香り強度を有するエアフレッシュニングという、広い範囲の製品を提供する際の柔軟性が実現される。
【0054】
理論に拘束されることを望まないが、香り強度を低減するために、以下の表2に列挙される、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール 及び4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン-4-オールといった、従来の希釈剤の使用することと比較して、RIS組成物を使用することは、第1/第2/第3のRIS成分のうちの少なくとも2つの組み合わせを有するRIS組成物が、香り特性に影響を与えることなく、トップ/ミドル/ボトムノートのうちの少なくとも2つの蒸発を遅延させる。
【0055】
【0056】
表2を参照すると、希釈剤である3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート及び3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オールは、個別に又は組み合わせて、35℃で、1×104以下のMOIを有さない。3,5,5-トリメチルヘキシルアセテートの単一の希釈剤として使用は、トップノートのみの蒸発速度を遅らせるが、ミドル及びボトムノートの蒸発速度を遅らせることはないが、それは、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテートは、トップノートより前に、使用開始時に揮発性組成物から蒸発し、ミドル及びボトムノートの蒸発は制御されないためである。同様に、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール及び4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン-4-オールの使用は、単一の希釈剤として、蒸気圧の観点から、それぞれミドルノート及びボトムノートに対処するだけである。3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール、及び4-メチル-2-(2-メチルプロピル)オキサン-4-オールの組み合わせは、35℃で、1×104を超えるMOI(4.00×104)をもたらすが、これが意味するのは、この組み合わせが、トップ、ミドル、及びボトムノートを有する香料混合物に添加される場合、この組み合わせの香り強度は、香料混合物の香り特性に影響を与え得るということである。
【0057】
本発明による香料組成物は、香料混合物と;25℃で40.0Pa(0.3トール)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1の香り強度調節成分(RIS成分)を含む香り強度調節組成物(RIS組成物)と、
25℃で9.33~40.0Pa(0.07~0.3トール)の平均VPを有する第2のRIS成分、及び
25℃で1.3199~9.33Pa(0.0099~0.07トール)の平均VPを有する第3のRIS成分、のうちの少なくとも1つと、を含み、
第1、第2、及び第3のRIS成分の各々が、20ppbを超える臭気検出閾値(ODT)によって特徴づけられる。
【0058】
第1のRIS成分と、第2のRIS成分又は第3のRIS成分との組み合わせの技術的効果は、第1のRIS成分が、急速に蒸発して香料組成物に対する人の最初の印象を形成する、トップノートよりも速く蒸発することによって、「ちょうど良い」香り強度の送達を改善しながらも、圧倒的にならない(「強すぎる香りとならない」)ことができる(このことは、例えば、以下に説明されるように、香料組成物を含む装置が、
図11に示されるような住宅内部空間の入口に配置される場合など、最初のタッチ点で非常に重要である)ということである。
【0059】
更に、揮発性組成物の香り特性、具体的には香料組成物の香料特性は、異なる季節において、異なる温度で変化し得る。
【0060】
好ましくは、本発明の揮発性組成物は、香り疎水性香り材料を含み、香り疎水性材料は、1つ以上のトップノート、1つ以上のミドルノート、及び1つ以上のボトムノートを含む非機能性香料混合物である。非機能性香料混合物中の1つ以上のトップノート、1つ以上のミドルノート、及び1つ以上のボトムノートのうちのいずれかの少なくとも5%は、20未満の臭気検出閾値(ODT)を含み得るが、揮発性組成物は、5~35℃の温度範囲内で、10%未満の香り特性の一貫性変動(「SCC変動」)によって特徴づけられ得る。SCC変動は、以下の式(III):
【0061】
【数5】
(式中、
Max%は、5~35℃の温度範囲内での最も高い%であり、
Min%は、5~35℃の温度範囲内での最も低い%である)によって特徴づけられ、
1つ以上のトップノートが、25℃で40.0Pa(0.3トール)超の平均蒸気圧(VP)を含み;
1つ以上のミドルノートが、25℃で4.00~40.0Pa(0.03~0.3トール)の平均VPを含み;かつ
1つ以上のボトムノートが、25℃で4.00Pa(0.03トール)未満の平均VPを含む。
【0062】
1つ以上のトップノート、ミドルノート、及びボトムノートの少なくとも25%~65%は、20未満の臭気検出閾値(ODT)を含み得る。
【0063】
これにより、内部空間における、香料組成物のより一貫した香り特性プロファイルが可能となり(例えば、実施例の下で以下に記載される結果で示される、内部環境内の内部空間の環境をシミュレートすることによるインヘッド空間試験によって)それによって、香り送達が改善される。具体的には、実施例III~VIは全て、本発明による組成物及びフレッシュニング製品は、(10%未満のSCC変動値を有することによって)香り特性の変動が小さく、ユーザにとっての改善された感覚印象を可能にするということを示す。
【0064】
A.RIS組成物
RIS組成物は、35℃で1×104以下のモル臭気指数(MOI)を特徴とし得る。なお、MOIは、以下の式(IV)によって定義される。
【0065】
【数6】
(式中、iは、それぞれのRIS成分であり;
x
i=RIS成分iのモル分率;
【0066】
【数7】
35℃でのRIS成分iの飽和蒸気圧;
ODT
i=RIS成分iのODT(ppb))。
【0067】
高い蒸気圧を有する高度に揮発性の化合物は、より低い温度下と比較して、高温下でより迅速に気化する。具体的には、35℃で1×104以下のMOIを有するRIS組成物は、RIS組成物の蒸発が、内部空間内で送達される全体的な香りに影響しないか、又は最小の影響しか及ぼさないということを意味する。その結果、香り特性に影響を与えることなく、より高い温度で香料組成物においてノート抑制が改善され、同時に香り強度が低下する。本発明による本発明の香料組成物は、以下の実施例の見出しの下で、具体的には実施例Iの見出しの下で記載の結果で示される、RIS組成物を含まない香料組成物に対して、(香り強度の低下に対応する)低減されたMOIを有する。以下の表3は、本発明による例示的なRIS組成物を列挙する。
【0068】
【0069】
第1のRIS成分対第2のRIS成分の総重量比は、35℃で1×104以下のMOIを達成するために、有効重量比で定式化され得る。更に、第1のRIS成分、第2のRIS成分、及び第3のRIS成分の総重量比は、35℃で1×104以下のMOI未満のMOIを達成するために、有効重量比で定式化され得る。
【0070】
第1のRIS成分
RIS組成物は、25℃で40.0Pa(0.3トール)超の平均蒸気圧(VP)を有する第1のRIS成分を、RIS組成物の重量に対して有効量含み得る。具体的には、第1のRIS成分は、トップノートを含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な有効量で構成され得る。具体的には、第1のRIS成分は、RIS組成物の少なくとも5重量%、5重量%~30重量%、10重量%~25重量%、15重量%~25重量%、20重量%~25重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。第1のRIS成分は、アルコールを含むアルコール含有化合物であり得る。具体的には、第1のRIS成分は、C4~C8アルコールであり得る。
【0071】
第1のRIS成分は、3-メトキシ-3-メチルブタン-1-オール(MMB)、3-メチルブタン-2-オール、ブタン-1-オール、2,3-ジメチルブタン-2-オール、1-メトキシプロパン-2-オール、2-メチルブタン-2-オール、3-メチルブタン-1-オール、ヘキサ-1-エン-3-オール、2-エチルブタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール、エチル2-ヒドロキシプロパノエート、2-ブトキシエタノール、エチル3-ヒドロキシブタノエート、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよく、好ましくは、MMB、2-エチルブタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよく、更により好ましくは、MMBである。
【0072】
第1のRIS成分に好適な化合物の物理化学的特性を、以下の表4に列挙する。
【0073】
【0074】
第2のRIS成分
RIS組成物は、25℃で約9.33~約40.0Pa(約0.07~約0.3トール)の平均蒸気圧(VP)を有する第2のRIS成分を、RIS組成物の重量に対して有効量含み得る。具体的には、第2のRIS成分は、ミドルノートを含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な有効量で構成され得る。具体的には、第2のRIS成分は、RIS組成物の少なくとも20重量%、20重量%~50重量%、25重量%~50重量%、30重量%~45重量%、40重量%~45重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。第2のRIS成分は、エステル含有化合物であり得る。本明細書で使用される場合、「エステル含有化合物」という用語は、1つ以上のアシル基を含む化合物を指し、その化合物は、以下の構造を含み得る:
【0075】
【化1】
(式中、
R1及びR2は、置換若しくは非置換の飽和又は不飽和アルキル鎖、置換若しくは非置換シクロアルキル、及び置換若しくは非置換アリールの群から選択され、好ましくは、置換又は非置換の飽和又は不飽和アルキル鎖の群から選択される。
【0076】
具体的には、第2のRIS成分は、C6~C12エステル含有化合物であり得る。
【0077】
第2のRIS成分は、ジメチルヘキサンジオエート(DMA)、エチル3,5,5-トリメチルヘキサノエート、ジメチルブタンジオエート、ジエチルプロパンジオエート、エチル3-アセチルオキシヘキサノエート、メチル5-アセチルオキシヘキサノエート、3-O-ブチル1-O-エチルプロパノエート、ジプロパン-2-イルヘキサンジオエート、(4-メトキシフェニル)メチルホルメート、エチル3-ヒドロキシヘキサノエート、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよく、より好ましくは、DMA、エチル3-アセチルオキシヘキサノエート、メチル5-アセチルオキシヘキサノエート、3-O-ブチル1-O-エチルプロパンジオエート及びそれらの混合物からなる群から選択されてよく、更により好ましくは、DMAであってよい。
【0078】
第2のRIS成分の好適な化合物の物理化学的特性を、以下の表5に列挙する。
【0079】
【0080】
第3のRIS成分
RIS組成物は、25℃で約1.3199~約9.33Pa(約0.0099~約0.07トール)の平均蒸気圧(VP)を有する第3のRIS成分を、RIS組成物の重量に対して有効量含み得る。具体的には、第3のRIS成分は、ボトムノートを含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な有効量で構成され得る。第3のRIS成分は、RIS組成物の少なくとも10重量%、10重量%~45重量%、15重量%~45重量%、20重量%~40重量%、30重量%~40重量%、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、又は上記の範囲内の任意の整数の組み合わせの量であってよい。第3のRIS成分は、アルコール含有化合物であってよく、好ましくは、第3のRIS成分は、C5~C10アルコールである。第3のRIS成分は、1-(3-メトキシプロポキシ)プロパン-1-オール(DPM)、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、メチル2-ヒドロキシベンゾエート、6,8-ジメチルノナン-2-オール、2-フェノキシエタノール、4-オキサ-1,6-ヘキサンジオール、1-(1-メチル-2-プロポキシエトキシ)プロパン-2-オール、1-(2-ブトキシ-1-メトキシ)プロパン-2ーオール、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよく、より好ましくは、DPM、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール、2-フェノキシエタノール、4-オキサ-1,6-ヘキサンジオール、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよく、更により好ましくは、DPMであってよい。
【0081】
第3のRIS成分の好適な化合物の物理化学的特性を以下の表6に列挙する。
【0082】
【0083】
B.香り疎水性材料
揮発性組成物は、所望の香り特性を提供し、揮発性組成物中に均一に可溶化されて一貫した香りプロファイルを提供し得るような有効量で配合された、香り疎水性材料を含む。
香り疎水性材料は、0.01超、好ましくは、0.01~6.5、より好ましくは、0.5~5.5のClogPを有し得る。
【0084】
香り疎水性材料は、1つ以上の機能性香料原料を含む香料混合物を含み得る。非機能性香料原料(「非機能性PRM」)は、その芳香、香り、又は快楽的利益のみに利用され、上述の第1、第2、及び第3のRIS成分のいずれも含まない。
【0085】
RIS組成物のMOIを決定するための上述した式(IV)は、例えば、連続エネルギー非印加エアフレッシュナー、具体的には蒸発性エアフレッシュナーにおいて使用される、芳香のトップ、ミドル、ボトムノートを含む香料混合物のためのPRMを選択する際に使用するように修正され得る。
【0086】
具体的には、1つ以上のPRMを有する香料混合物などの香り疎水性材料のMOIは、以下の式(V)によって定義されるモル臭気指数(MOI)によって特徴づけられ得る。
【0087】
【数8】
(式中、
j=香料混合物中の成分;
x
i=成分jのモル分率;
【0088】
【数9】
y℃での成分jの飽和蒸気圧;
ODT
i=成分jの臭気検出閾値(ppb);
y=具体的な温度の数値。
【0089】
1つ以上の非機能性PRMは、環状エチレンドデカンジオエート、4-三級ブチルシクロヘキシルアセテート又はvertenex(商標)、アリルアミルグリコレート、アリルカプロエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アリルヘプタノエート、amber xtreme、ambrox、イソアミルアセテート、イソアミルプロピオネート、アネトールusp、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、cis-3-ヘキセン-1-オール、β-ナフトールメチルエーテル又はネロリン、カラメルフラノン、カリオフィレンエキストラ、cinnamalva(商標)又はシンナミルニトリル、シンナミルアセテート、シンナミルニトリル、cis-3-ヘキセニルブチレート、cis-3-ヘキセニルアセテート、cis-3-ヘキセニル-α-メチルブチレート、cis-6-ノネン-1-オール、citrathal又はシトラールジエチルアセタール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルブチレート、クロナール又はドデカンニトリル、コラノール又は2,2-ジメチルシクロヘキサンプロパノール、クマリン、クミンニトリル、クミンアルコール、トリシクロデセニルイソブチレート又はcyclabute、シクロヘキシルエチルアセテート、ジヒドロミルセノール、ジメチルアントラニレート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチル-2,6-ヘプタン-2-オール又はfreesiol、サンダルペンテノール又はエバノール、エチル-2-メチルペンタノエート、エチルアセトアセテート、エチルリナロール、エチルマルトール、エチルフェニルグリシデート、エチルバニリン、エチル-2-メチルブチレート、オイカリプトール、オイゲノール、酢酸フロール(floracetate)、オゾンプロパナール又はfloralozone、fructalate(商標)又はラズベリージカルボキシレート、ゲラニオール又はトランス-3,7-ジメチル-2,7-オクタジエン-1-オール、grisalva(商標)又はアンバーフラン、habanolide(商標)又は(E)-12-ムスクデセノン、helvetolide(商標)又はムスクプロパノエート、ヘキシルアセテート、ヘキシル-2-メチルブチレート、indocolore(商標)又は1-フェニルビニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソオイゲニルアセテート、イソプロピルミリステート、イソアミルブチレート、イソオイゲノール、koumalactone(商標)又はジヒドロミントラクトン、laevo trisandol又はサンドラノール(sandranol)、lemonile(商標)又はホモゲラニルニトリル(homogeranylnitrile)、levistamel(商標)又はメシテンラクトン(mesitenelactone)、リナロール、リナリルアセテート、リナリルイソブチレート、リモレン又はジヒドロミルセノール、メントール、メチルジオキソラン又はfructone(商標)、メチルイソブテニルテトラヒドロピラン、methyl pamplemousse(商標)又はグレープフルーツアセタール、メチルフェニルカルビニルアセテート又はスチラリルアセテート、メチルサリチレート、montaverdi(商標)又はグリーンシクロプロピオネート(greencyclopropionate)、mugetanol(商標)又はミュゲエタノール、neocaspirene、neofolione又はメロンノネエートネロリドール(melonnonenoatenerolidol)、オレンジテルペン、orcinyl-3又は3-メトキシ-5-メチルフェノール、oxane(商標)又はcis-ガルバヌムオキサチアン、パラクレシルメチルエーテル又はパラメチルアニソール、パチョリ、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルジメチルカルビノール、polysantol(商標)又はサントールペンテノール、プレニルアセテート、sauvignone(商標)又は5-メルカプト-5-メチル-3-ヘキサノン、sclareolate(商標)又はクラリープロピオネート(clarypropionate)、shisolia、strawberiff(商標)又は2-メチル-2-ペンテン酸、terpinolene又は4-イソプロピリデン-1-メチルシクロヘキセン、tetrahydro muguol(商標)又はシトラスオシメノール、thesaron(商標)(1R,6S)-2,2,6-トリメチル-シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル、tobacarol(商標)又は5-テトラメチルオキサトリシクロドデカン、undecavertol(商標)又はバイオレットデセノール、verdox(商標)又はグリーンアセテート(greenacetate)、verdural B(商標)又は(Z)-3-ヘキセン-1-イルイソブチレート、violettyne(商標)又はバイオレットジエニン(violetdienyne)、violiff(商標)又はバイオレットメチルカーボネート、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよく、好ましくは、1つ以上の非機能性香料原料は、ホモゲラニルニトリルである。
【0090】
1つ以上の非機能性香料原料は、揮発性のアルデヒド、ケトン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0091】
1つ以上の非機能性PRMは、少なくとも1つの揮発性アルデヒドを含み、その少なくとも1つの揮発性アルデヒドは、
Adoxal(商標)(2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール)、Bourgeonal(商標)(4-t-ブチルベンゼンプロピオンアルデヒド)、Lilestralis 33(商標)(2-メチル-4-t-ブチルフェニル)プロパナール)、ケイ皮アルデヒド、シンナムアルデヒド(フェニルプロペナール、3-フェニル-2-プロペナール)、シトラール、ネラール(ジメチルオクタジエナール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール)、Cyclal C(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド)、Florhydral(商標)(3-(3-イソプロピル-フェニル)-ブチルアルデヒド)、シトロネラール(3,7-ジメチル6-オクテナール)、サイマール(2-メチル-3-(パラ-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド)、シクラメンアルデヒド、ライムアルデヒド(α-メチル-p-イソプロピルフェニルプロピルアルデヒド)、メチルノニルアセトアルデヒド、アルデヒドC12 MNA(2-メチル-1-ウンデカナール)、ヒドロキシシトロネラール、シトロネラール水和物(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール)、Helional(商標)(3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール);2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール)、イントレレベンアルデヒド(ウンデカ-10-エン-1-アール)、Ligustral(商標)(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-カルバルデヒド)、Trivertal(商標)(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、Jasmorange(商標)又はサテンアルデヒド(2-メチル-3-トリルプロピオンアルデヒド、4-ジメチルベンゼンプロパナール)、Lyral(商標)(4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、Melonal(商標)(2,6-ジメチル-5-ヘプテナール)、メトキシメロナール(6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール)、メトキシシンナムアルデヒド(trans-4-メトキシシンナムアルデヒド)、Myrac aldehyde(商標)(イソヘキセニルテトラヒドロベンズアルデヒド)、trifernal(商標)((3-メチル-4-フェニルプロパナール、3-フェニルブタナール)、リリアール(3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール)、ベンゼンプロパナール(4-tert-ブチル-α-メチル-ヒドロシンナムアルデヒド)、Dupical(商標)(ミュゲブタナール)、トリシクロデシリデンブタナール(4-トリシクロ5210-2,6-デシリデン-8-ブタナール)、Melafleur(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、メチルオクチルアセトアルデヒド、アルデヒドC-11 MOA(2-メチルデカ-1-アール)、Onicidal(商標)(2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、Muguet aldehyde50(商標)(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシアセトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、Mefranal(商標)(3-メチル-5-フェニルペンタナール)、ジメチルテトラヒドロベンゼンアルデヒド(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、2-フェニルプロプリオンアルデヒド、ヒドロトロープアルデヒド(2-フェニルプロピオンアルデヒド)、Canthoxal(商標)(パラ-アニシルプロパナール)、アニシルプロパナール4-メトキシ-α-メチルベンゼンプロパナール(2-アニシリデンプロパナール)、Cyclemone A(商標)(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド)、及びPrecyclemone B(商標)(1-シクロヘキセン-1-カルボキサルデヒド)、及びそれらの混合物からなる群から選択されてもよく、好ましくは、1つ以上の非機能性香料原料は、からなる群から選択される。Melonal(商標)(2,6-ジメチル-5-ヘプテナール)、メトキシメロナール(6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナール)、Florhydral(商標)(3-(3-イソプロピル-フェニル)-ブチルアルデヒド)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。1つ以上の非機能性香料原料は、イソジャスモン、メチルβナフチルケトン、ムスクインダノン、tonalid(商標)又はムスクテトラリン(musktetralin)、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソ-ダマスコン、ダマセノン、メチル-ジヒドロジャスモネート、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-イオノン、β-イオノン、ジヒドロ-β-イオノン、γ-メチルイオノン、α-メチルイオノン、n-βメチルイオノン異性体、fleuramone(商標)又は2-ヘプチルシクロペンタン-1-オン、ジヒドロジャスモン、cis-ジャスモン、iso-e-super(商標)又はパチョリエタノン、メチルセドリルケトン又はメチルセドリロン、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-β-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラ-ヒドロキシ-フェニル-ブタノン、セロリケトン又はlivescone(商標)、6-イソプロピルデカヒドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、freskomenthe(商標)又は2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5,テトラメチル-シクロヘキサノン、メチル-ヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボルナン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5h)-インダノン、4-damascol(商標)又はペッパーヘキサノン(pepperhexanone)、dulcinyl(商標)又は4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)ブタン-2-オン、gelsone(商標)又はエチル-2-アセチルオクタノエート、hexalon(商標)又はアリルαイオノン、methyl cyclocitrone(商標)又は1-(3,5,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-3-エニル)エタノン、methyl-lavender-ketone(商標)又は3-(ヒドロキシメチル)ノナン-2-オン、orivone(商標)又は4-(2-メチルブタン-2-イル)シクロヘキサン-1-オン、パラ-三級ブチル-シクロヘキサノン、verdone(商標)又は2-tert-ブチルシクロヘキサン-1-オン、delphone(商標)又は2-ペンチルシクロペンタン-1-オン、ムスコン、neobutenone(商標)又は1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセニル)ペンタ-4-エン-1-オン、plicatone(商標)又はオクタヒドロ-7-メチル-1,4-メタノナフタレン-6(2H)-オン、veloutone(商標)又は2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタン-1-オン、2,4,4,7-テトラメチル-オクト-6-エン-3-オン、tetrameran(商標)又はフローラルウンデセノン、hedione(商標)又はメチルジヒドロジャスモネート、γ-ウンデカラクトン、γ-デカラクトン、γ-オクタラクトン、エチレンブラシレート、ペンタデカノリド、メチルノニルケトン、シクロペンタデカノン、3,4,5,6-テトラヒドロプソイドイオノン、8-ヘキサデセノリド(hexadecenolide)、ジヒドロジャスモン、5-シクロヘキサデセノン、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのケトンを含んでいてもよく、好ましくは、1つの非機能性香料原料は、2-ブタン-2-イルシクロヘキサン-1-オンである。
【0092】
C.活性剤
揮発性組成物は、活性剤を含み得る。活性剤は、洗浄、表面ケア保護、布地コンディショニング若しくは柔軟化、布地リフレッシュニング、しわ取り、エアフレッシュニング、空気脱臭、悪臭除去、又は内部空間における同様の効果をもたらす。活性剤は、水又は脱イオン水を含まない。フレッシュニング組成物では、活性剤は真の悪臭除去効果をもたらし得る。真の悪臭除去効果は、感覚的及び分析的の両方により(例えばGCにより)測定可能な悪臭低下として定義される。したがって、エアフレッシュニング組成物が真の悪臭除去効果をもたらす場合、エアフレッシュニング組成物は、単に臭気を隠す又はマスキングするために香料を用いることにより機能するわけではない。エアフレッシュニング製品が悪臭制御剤とともに提供される場合、エアフレッシュニング製品は、数種の臭気制御メカニズムのうちの1つ以上を用いてよい。1つの好適な悪臭制御剤は、シクロデキストリンである。
【0093】
また、活性剤は、界面活性剤、乳化剤、可溶化剤、ポリマー、シクロデキストリンなどの悪臭中和剤、過酸化水素、緩衝剤、亜鉛イオンを含んでいてもよい。
【0094】
D.任意成分
揮発性組成物は、任意選択的に、臭気マスキング剤、臭気遮断剤を含むことができる。「臭気遮断」は、人の嗅覚を鈍らせる化合物の能力を指す。「臭気マスキング」は、悪臭化合物をマスキングする又はその臭いを隠す化合物の能力を指す。臭気マスキングは、悪臭化合物を感知する能力を制限するように投与される、不快ではない匂い又は心地よい匂いを有する化合物を含むことができる。臭気マスキングは、予期される悪臭と協調することで臭気化合物の組み合わせによって与えられる全体的な香りの知覚を変化させる化合物の選択を伴い得る。
【0095】
II.装置
本発明の組成物は、エアフレッシュニング装置などの装置を使用して内部空間に送達することができる。以下の説明では、説明される装置1は、車両の内部占有空間、住宅内部空間内に位置する住宅への入口に近いエリア(
図11に示されるようなもの)、トイレを含む浴室内でフレッシュニング組成物を蒸発させて、細菌の繁殖の防止、フレッシュニング、悪臭除去、若しくは浴室内の空気への香りの付与などの様々な利点をもたらすための、エアフレッシュナー製品などの消費者製品である。しかしながら、製品は、様々な用途で使用されてフレッシュニング組成物を送達することで、家庭内及び商業施設内の部屋又は家庭用品保管用家具などの内部環境に効果をもたらすように構成され得るということが考えられ、エアフレッシュニング製品としては、例えば、エアフレッシュニング製品、エアフレッシュナーなどの消費者製品が挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0096】
装置は、揮発性組成物が装置から蒸発する限り、揮発性組成物を内部空間の大気及び/又は表面に送達する様々な用途向けに構成され得ることが想到される。本開示の目的として、本発明の範囲を限定することを意図するものではないが、説明される装置は、エネルギー非印加式装置である。
【0097】
装置はまた、組成物の液相を収容し、組成物の液相を蒸発させるように構成された送達部材を含んでもよい。送達部材としては、芯、膜、ゲル、フェルトパッドを含む多孔質又は半多孔質基材が挙げられ得る。例示的な送達部材は、物質の特定の成分を通過させるが他の成分は止める、半透過性材料である膜であってよい。膜を通過する成分について、膜は、成分の透過性を調節する(すなわち、特定の成分を他の成分よりも速く透過させる)。かかる成分としては、分子、イオン、又は粒子を挙げることができる。
【0098】
本発明を詳細に説明する目的で、本発明を、トイレ環境及び自動車環境との関連で以下に述べる。しかしながら、本発明は、透過性材料を有し、しかも細菌が付着した表面を含む任意の内部環境において実施され得るということが理解されよう。
【0099】
図1は、揮発性組成物13を収容するためのデバイス2の構成要素の斜視図であり、組み立てられ、組成物13が充填されると、本発明による揮発性組成物を送達するための装置1(例示的な実施例を
図2に示す)を画定する。デバイス2は、揮発性組成物カートリッジであり得る。
図1及び
図2を参照すると、デバイス2は、揮発性組成物13を収容するためのリザーバ11を含む容器10を備える。容器10は、組成物13の気相の拡散に抗するように設計された、実質的に蒸気不透過性の材料で形成することができる。例えば、容器10は、これらに限定されるものではないが、熱可塑性材料、並びに熱成形、射出成形、及びブロー成形に好適な他の既知の材料を含む、金属、ガラス、セラミック、磁器、タイル、及びプラスチックで形成することができる。例えば、膜12のような送達部材12は、容器10内に配設されて、組成物13と流体連通するように構成されてもよい。
【0100】
図2は、容器10内に配設された揮発性組成物13を有する、水平配向における
図1の組み立てられた装置1の概略図を示す。
図2を参照すると、容器10は、リザーバ11を画定する、側壁102の周辺部104に端壁101、側壁102、及び開口部103を備えてもよい。例えば、容器12が熱可塑性材料で作製される場合、膜12は、リザーバ11内に揮発性組成物13を収容するための従来の熱かしめ方法を使用して、容器10の周辺部104に取り付けられてもよい。
【0101】
装置1は、
図3に示されるような、垂直方向を含むがそれに限定されない任意の所望の方向で使用されるように構成することができる。
図3は、
図1の装置1の側面概略図を示し、装置1は、膜12が、揮発性組成物13と流体連通するように配設された第1の表面121と、環境に面し、揮発性組成物13から離れる第2の表面122と、を含むことを除いて、
図1の装置1と実質的に同じである。
【0102】
図4は、本発明による装置1の更なる実施例の前方斜視図を示し、
図5は、使用前の装置1の後方斜視図を示す。
図6は、
図4及び
図5の装置1の内部構成要素を示す。
図4、
図5、及び
図6の装置1は、
図1の装置1と実質的に同じ特徴を備え、更なる構成部品について以下に述べる。
【0103】
図4及び
図5を参照すると、装置1は、フロントカバー401及びリアフレーム402を有するハウジング40を備え、フロントカバー401とリアフレーム402とが、内部空間を画定している。リアフレーム402には、リアフレーム402の実質的に中央に位置しているフレーム開口部403(以下、「開口部」)が設けられている。ハウジング40に対して移動可能なアクチュエータ404が、装置1を作動させるために提供される。アクチュエータ404は、開口部403内部に配設されている押しボタン404(以降「ボタン」)であってもよく、リアフレーム402に対して移動可能で、装置1をユーザが起動するのを可能にする。揮発性組成物13を含有する容器10は、ハウジング40内に位置している。フロントカバー401は、容器10を表示するように構成されているウインドウ405を備える。
【0104】
図6を再び参照すると、揮発性組成物13が液体揮発性組成物であるとき、装置1は、装置1が起動されるまで、揮発性組成物13が放出されることを防止するためにリザーバ11に封止可能に取り付けられ、かつリザーバ11を覆う、破裂可能な基材60を備えることができる。破裂可能な基材60は、破裂されて、破裂可能な基材60に隣接して位置している破裂機構61を作動することにより、揮発性組成物13を放出することができる。破裂機構61は、弾性部材64によって外側フレーム63に移動可能に取り付けられた移動可能部材62を備えている。弾性部材64は、1つ以上のばね65から形成することができる。1つ以上の破裂要素66は、破裂可能な基材60に穴を空けるための破裂機構61内に配置される。破裂要素66は、ピンであってよい。
図1に関して上述されたように、膜12は、容器10の外周104に位置するフランジ67に封止可能に取り付けることができる。膜12は、容器10、揮発性組成物13、破裂可能な基材60、及び破裂機構61を取り囲んでいる。膜12は、ボタン404を通して圧力又は作動力が膜12上に加えられるときに、屈曲するように構成することができる。2m
3の内部空間容積を有するトイレなどの住宅内部空間で、膜12は、15cm
2~35cm
2の蒸発表面積を含み、装置1のコンパクトな設計を達成するように構成され得るが、膜12は、27cm
2の蒸発表面積を含んでいてもよい。装置1のサイズ及び寸法は、内部空間内の表面上に配置するように構成され得る。
【0105】
図7を参照すると、装置1を起動するために、ユーザは、(容器の前端部に向かう方向Xにおける膜12の偏位を通じて)破裂機構61と接触するまでボタン404を押下し、破裂機構61上の破裂要素66が破裂可能な基材60を貫通する。破裂可能な基材60に一旦、貫通されると、揮発性組成物13は、容器10から流れ出して膜12を濡らし、次に、膜12からの蒸発により、周囲の大気に送達される。具体的には、膜12が濡れるのは、揮発性組成物13の液相が膜12の第1の表面121の少なくとも一部と接触して広がる時に起こる。膜12は、揮発性組成物13の液相が膜12から流出することを防ぐように構成されるが、揮発性組成物13の気相が第2の表面122から蒸発することを可能にし、そのため揮発性組成物13が、環境に供給される。
【0106】
揮発性組成物13は、芯を通して供給されてもよく、芯は、様々な異なる形状及びサイズを有するように構成され得る。例えば、芯は、円筒形状又は直方体形状を有してもよい。芯は、その形状に応じて、長さと、直径又は幅とによって規定され得る。芯は、様々な長さを有し得る。例えば、芯の長さは、約1ミリメートール(「mm」)~約100mm、又は約5mm~約75mm、又は約10mm~約50mmの範囲であり得る。芯は、様々な直径又は幅を有し得る。例えば、芯の直径又は幅は、少なくとも1mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mmであり得る。芯は、ある密度を呈し得る。芯密度は、約0.100グラム/cm3(「g/cc」)~約1.0g/ccの範囲であってよい。芯は、多孔質又は半多孔質の基材を含み得る。芯は、様々な材料及び構築方法で構成され得るが、例としては、オーバーラップ(例えば、不織布シートオーバーラップ)を介して様々な形状に圧縮及び/若しくは形成される束ね繊維、又はPE、HDPE、若しくは他のポリオレフィンなどの焼結プラスチックで作製される束ね繊維が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、芯は、ポリエチレン又はポリエチレンブレンドなどのプラスチック材料から作製され得る。
【0107】
図8は、本発明による、揮発性組成物を送達するための装置1の変形例を示す。
図8の装置1は、ハウジング設計を除いて、
図4の装置1と実質的に同じ構成要素を備える。具体的には、
図8の装置1は、押しボタンを備えず、
図8のハウジング40は、容器10を封入する膜12を解放可能に係合するように構成されているため(膜12及び容器10は、供給エンジンを画定する)装置1が、送達エンジンの挿入により起動するという点で、装置1のハウジング40とは異なるハウジング設計を有する。
【0108】
また更に、
図9A及び
図9Bは、起動前の第1の位置(
図9A)及び起動後の第2の位置(
図9B)において、本発明による揮発性組成物を送達するための装置1の変形例を示す。
図9A及び
図9Bの装置1は、アクチュエータ404が、
図9Cに示されるような車両環境内の空気ベント900に取り付けるための移動可能クリップ404であるという点で、
図4の装置1とは異なる。移動可能クリップ404は、ハウジング40に対して回転して、膜12及び破裂要素66の少なくとも一部を破裂可能な基材60に向かって移動させ、破裂可能な基材60に穿孔し、揮発性組成物13の少なくとも一部分を容器10から放出して、揮発性組成物13の一部分を装置1から蒸発させることができる。アクチュエータ404は、膜12及び破裂要素66の少なくとも一部分を破裂可能な基材60に向かって移動させ、かつ破裂可能な基材に穿孔するように、直線的に又は回転運動で移動させるための既知の機械的方法を用いて構成することができる点は理解されよう。2m
3の容積を有する車両内部空間で、膜12は、7cm
2~15cm
2の蒸発表面積を含み得る。装置1のコンパクトな設計を達成するために、膜12は、11cm
2の蒸発表面積を含み得る。
【0109】
図9Cは、車両環境内で使用される、
図9A及び
図9Bの装置1の正面斜視図であり、装置1は、車両環境内の最初のタッチ点に、すなわち車両環境内の車両内部空間に入るために開放される車両ドアに近接して配置されている。装置1は、カーエアフレッシュナー製品であってもよく、本発明によるRIS組成物とともに揮発性組成物13を有するカーエアフレッシュナー製品の利点は、急速に蒸発して、最初のタッチ点において非常に重要な、香料組成物に対する人の第一印象を形成するトップノートよりも速く蒸発することによって、ユーザが圧倒的にならない(「強すぎる香りとならない」)「ちょうど良い」の香り強度を経験することである。
【0110】
図10は、本発明による、揮発性組成物を送達するための装置1の変形例を示す。
図10の装置1は、
図6の装置1の実質的に同じ構成要素を備えるが、例外は、
図10の装置1が、プッシュボタン404、フロントカバー401、及び後部フレーム402を備えていないことである。
図10の装置1は、ディスク状の形状のハウジング40を備え、ハウジング40は、ハウジング40の側方に、ハウジング側方開口部44を有しており、揮発性組成物13が、ハウジング40の側方からハウジング側開口部44を通って送達され得る。例えば内部空間などの内部環境における、装置1のこの構成の利点は、テーブルトップの空間が限られている場合、装置1は、従来の真空吸引カップを介して壁表面に取り付けることができ、装置1を壁面の近くに配置できることである。あるいは、装置1は、ハウジング40のハウジング底面42上に配置することによって、内部環境内において、支持体上で水平方向に支持され得る。
【0111】
図11は、住宅環境の内部空間110に、その入口(以後、「入口内部空間」)で使用される、本発明による揮発性組成物を送達するための装置の正面斜視図である。入口内部空間110は、2m
3の容積を備え得るため、前述の装置1は、入口内部空間110で使用するための任意のサイズ及び形状で構成され得る。入口内部空間110はまた、ユーザが最初に装置1と相互作用し、揮発性組成物13を経験する最初のタッチ点である。装置1は、部屋用エアフレッシュナー製品であってもよく、そのため、本発明によるRIS組成物とともに揮発性組成物13を有する部屋用エアフレッシュナー製品の利点は、急速に蒸発して、最初のタッチ点において非常に重要な、香料組成物に対する人の第一印象を形成するトップノートよりも速く蒸発することによって、ユーザが圧倒的にならない(「強すぎる香りとならない」)「ちょうど良い」の香り強度を経験することである。
【0112】
本発明の装置1は、揮発性組成物13が膜12から内部空間内に蒸発することができる限り、揮発性組成物13を連続エネルギー非印加様式で大気及び/又は表面に送達する、様々な用途で使用されるように構成することができる。したがって、膜12の特定の物理的特性は、蒸気不透過性基材14を剥離することによって又は蒸気不透過性基材14を破断させることによって作動されるように設計された装置1の特定の所望の用途に基づいて選択することができる。着脱可能に取り付けられるように設計された膜及び蒸気不透過性基材は周知のものであり、更に説明することはしない。蒸気不透過性基材14を破断させることによって作動されるように設計された装置1に適した膜12及び蒸気不透過性基材14の適当な物理的パラメータの例を以下に述べる。
【0113】
膜12は微多孔質膜とすることができ、約0.01~約1ミクロン、約0.01~約0.06ミクロン、約0.01~約0.05ミクロン、約0.01~約0.04ミクロン、約0.01~約0.03ミクロン、約0.02~約0.04ミクロン、又は約0.02ミクロンの平均孔径を有することができる。更に、膜12は、技術分野で周知の任意の好適な充填剤及び可塑剤で充填されてもよい。充填剤としては、微粉砕シリカ、クレイ、ゼオライト、カーボネート、活性炭、及びこれらの混合物を挙げることができる。充填された膜の一例としては、米国特許第7,498,369号に記載のものなどの、シリカで充填された超高分子量ポリエチレン(ultra-high molecular weight polyethylene、UHMWPE)膜がある。任意の好適な充填材料及び重量%を使用することができるが、シリカの一般的な充填率(%)は、膜の総重量の約50%~約80%、約60%~約80%、約70%~約80%、又は約70%~約75%とすることができる。好適な膜厚の例としては、限定されるものではないが、約0.01mm~約1mm、約0.1mm~0.4mm、約0.15mm~約0.35mm、若しくは約0.25mmが挙げられ、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、若しくは上記の範囲内の任意の整数の組み合わせも挙げられる。また更に、膜12の蒸発表面積としては、約2cm2~約100cm2、約2cm2~約25cm2、約10cm2~約50cm2、約10cm2~約45cm2、約10cm2~約35cm2、約15cm2~約40cm2、約15cm2~約35cm2、約20cm2~約35cm2、約30cm2~約35cm2、約35cm2、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、若しくは上記の範囲の任意の整数の組み合わせが挙げられる。膜12は、2cm2~80cm2、5cm2~54cm2、6cm2~27cm2、7cm2~15cm2、又は上記の上限及び下限の割合の異なる組み合わせ、若しくは上記の範囲の任意の整数の組み合わせの蒸発表面積を含み得る。
【0114】
蒸気不透過性基材14は、所定の力を加えることによって破断させることができる(かかる破断を助ける破断要素などの要素の有無によらず)任意の材料で形成することができる。装置1が使用されていないときに蒸気不透過性基材40が組成物13を含有することが意図された実施形態では、蒸気不透過性基材14は、組成物13の蒸発を低減又は防止する、任意の好適なバリア材料で形成してよい。かかる材料は、蒸気及び液体に対して不透過性とすることができる。蒸気不透過性基材14に好適なバリア材料としては、ポリマーフィルム、ウェブ、箔、及び箔/ポリマーフィルム積層体などの複合材料などの、コーティングされた又はコーティングされないフィルムが挙げられるが、それらに限定されない。バリア材料として使用することが可能な箔の例としては、ニトロセルロース保護ラッカー、ポリウレタンプライマー、及びAlcan Packaging社より販売される15g/m2のポリエチレンコーティング(Lidfoil 118-0092)を含む、ミクロン単位のアルミニウム箔がある。好適なポリマーフィルムとしては、限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephtalate、PET)フィルム、アクリロニトリルコポリマーバリアフィルム(例えば、INOES社より商標名Barex(登録商標)で販売されるものなど)、エチレンビニルアルコールフィルム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。コーティングされたバリアフィルムを蒸気不透過性基材14として使用することも考えられる。かかるコーティングされたバリアフィルムとしては、限定されるものではないが、金属化PET、金属化ポリプロピレン、シリカ又はアルミナコーティングフィルムが挙げられる。
【0115】
以下の実施例は、本発明をより完全に説明することを意図しており、本発明の範囲から逸脱することなく、その多くの変形例が可能であるので、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。本明細書における全ての部、割合、及び比率は、別途指定されない限り、重量パーセントとして表される。
【実施例】
【0116】
試験機器/材料及び試験組成物を、まず見出し「材料」の下において説明し、次いで、「試験方法」を示し、最後に結果を論じる。本発明の組成物が、内部環境において改善された香り強度調節を有するということを実証するデータが提供される。以下に説明する「試験方法」で使用する機器及び材料を、下記表4に列挙する。本発明の組成物の配合を、下記表5に示す。各組成物は従来の方法を用いて調製される。
【0117】
以下の実施例では、試験組成物及び本発明の組成物の各々が評価される装置は、消費者製品として設計されている。消費者製品は、車両内部空間の香り強度制御などの様々な利点を送達するために、車両内部空間内でフレッシュニング組成物を蒸発させるための、自動車用エアフレッシュナー製品(
図9A、
図9Bに示すようなもの)であり得る。消費者製品はまた、トイレなどの家庭施設内の室内でフレッシュニング組成物を蒸発させるための、部屋用エアフレッシュナー製品(
図4に示すようなもの)であり得る。したがって、装置及び材料は、車両内部空間及び部屋内部空間内の状態を模倣するように設計されている。しかしながら、装置は、揮発性組成物を送達する様々な用途で使用され、家庭内及び商業施設内の個人用品目保管用家具などの内部環境に利益をもたらすように構成されてよく、製品としては、例えば、エアフレッシュニング製品、エアフレッシュナー、消臭剤などの消費者製品が挙げられ得るが、それらに限定されないことが想定される。したがって、内部環境がシューキャビネットなどの、異なる容積を有する様々に異なる用途では、機器、材料、及び方法をそれに応じて修正することができ、本発明のフレッシュニング組成物が、異なる容積の内部環境内で、改善された香り強度の調節を有していることを実証できるということが理解されよう。
【0118】
(複数の)試験方法
A.香り特性の一貫性変動試験方法(「SCC変動試験方法」)
本明細書で定義されるトップ、ミドル、及びボトムのノートを有する香料混合物を含む揮発性組成物の、香り特性の一貫性変動(「SCC変動」)は、5℃~35℃の温度範囲内での香料混合物の香料特性の変動を指す。5℃~35℃の温度範囲は、異なる季節(すなわち、夏、秋、冬)の間の内部空間における温度範囲に対応することができる。揮発性組成物のSCC変動を決定するための試験方法は、以下の:
1)本明細書に記載のヘッドスペース収集試験方法に従って、揮発性原料を収集するステップと;
2)本明細書に記載のヘッドスペース分析法に従って、収集された揮発性原料を分析するステップと、
3)上述し、ここに再度記載した式(IV):
【0119】
【数10】
(式中、
Max%は、5~35℃の温度範囲内での最も高い%であり;
Min%は、5~35℃の温度範囲内での最も低い%である)による揮発性組成物のSCC変動を計算するステップと、を含み、
1つ以上のトップノートが、25℃で40.0Pa(0.3トール)超の平均蒸気圧(VP)を含み;
1つ以上のミドルノートが、25℃で4.00~40.0Pa(0.03~0.3トール)の平均VPを含み;かつ
1つ以上のボトムノートが、25℃で4.00Pa(0.03トール)未満の平均VPを含む。
【0120】
B.ヘッドスペース収集試験方法
ヘッドスペース収集試験方法は、以下に定義される内部空間又は環境内に蒸発した揮発性原料を収集するために行われ、以下の:
1)デバイスを作動させ、香料を放出できるようにするステップと;
2)選択された密閉環境にデバイスを配置するステップであって、
a.車のシミュレーション:室内容積は2m3で、5、21、又は35℃の3つの異なる温度で、室内にオンにされていないヒータ、ファン又はエアコンユニットを備えている、
b.トイレのシミュレーション:室内体積は2m3であり、5、21、又は35℃の3通りの異なる温度である、ステップと;
3)デバイスを1時間放置するステップと;
4)異なるタッチ点でTenex管を使用して、室内のヘッドスペースを収集するステップであって、
a.車のシミュレーション:収集時間は2分、タッチ点は2つの別個の点(室内に入った時、ヒータ、クーラー又はファンをオンにして7分後)である、
b.トイレシミュレーション:収集時間は1分、タッチ点は1個(室内に入った時)である、ステップと、に従って行われる。
【0121】
C.ガスクロマトグラフィー-質量分析による、ヘッドスペース分析(GC-MS)
収集されたヘッドスペースを、GC-MSセットアップを使用して分析して、蒸発した異種の香料原料(PRM)の特定(特徴的な保持時間及びm/z値に基づいて)と定量化(正規化されたピーク積分領域に基づく)とを行う。PRMは、トップノート、ミドルノート、ボトムノート、又はバルク材料のいずれかに分類される。トップ、ミドル、及びボトムのノートは、25℃で、40.0Pa(0.3トール)超、4.00~40.0Pa(0.03~0.3トール)、及び4.00Pa(0.03トール)未満の飽和蒸気圧をそれぞれ有するPRMとして定義される。7%超の重量パーセントで存在し、11超の臭気検出閾値を有するPRMは、蒸気圧に関係なくバルク材料として分類される。
【0122】
全てのPRMから蒸発するトップノートのパーセンテージは、以下の式(VI)に基づいて計算される:
【0123】
【0124】
同様の計算を行って、ミドルノート及びボトムノートの百分率を見つけることができる。
【0125】
D.香料重量損失測定法
本発明の装置は、ひとたび装置が起動された後、そしてその後長期間にわたる、揮発性組成物からの香料混合物の損失を特徴とする。香料混合物の送達を改善する際のRIS組成物の有効性を決定するために、装置から放出された香料混合物の量に注目することができる。したがって、この値を測定することが重要である。膜を濡らす任意の揮発性組成物について、その組成物の理想的な蒸発量は、完全に露出した状態の膜で生じる。RIS組成物の有効性を決定するために、(RIS組成物とともに香料混合物を有する)第1の揮発性組成物及び第2の揮発性組成物(RIS組成物を含まないが、上のものと同じ香料混合物を有する)における、香料混合物の重量損失のパーセンテージに注目する。しかしながら、揮発性組成物は、任意の数の材料で構成し得る。
【0126】
本明細書で詳述される値の計算については、以下のアイテムを必要とする:
1.秤(スケール:Ohaus AA210 シリアル番号11131122540)又は同等物。
2.第1の壁及び第2の壁を含む、本発明のハウジング。
3.5.5mLの香料組成物を含有する装置(
図4に示されるようなものであって、27cm
2の蒸発表面積を有する微多孔膜を有する)。2mLの香料組成物を含有する装置(
図9Aに示されるようなものであって、蒸発表面積11cm
2の微多孔質膜を有する)。(重量によって香料組成物を添加する場合、測定された密度に5.5mL又は2mLを掛けて、正確な充填重量を得る。)
4.3M製Scotch Weld アプリケータTC及びグルー、#3797-TC又は同等物。
5.上部を覆われ、15cm以上互いに離間させた棚板付きの、蒸発ラック又は同等のオープントレイ(パン焼き用)ラック。
6.以下の測定値、空気流、温度/相対湿度を有する、蒸発ラックを収容するための部屋又は同等の部屋:
a)ラボの寸法:32フィート4インチの長さ×72インチの幅×108インチの高さ、又は1,730立法フィートの容積;
b)空気流(吸気及び排気):
・ノーマルモード:平均吸気供給量=103.75立法フィート/分±6%
・平均排気量:149.25立法フィート/分±6%
・差分の結果生じる負圧:-45.5
・負圧が示すものは、隣接する廊下又は部屋からラボへ供給される空気が、換気システムによって排出されているということである。
c)温度及びパーセント相対湿度
・平均温度:23℃±0.1℃
・平均パーセント相対湿度:45%±0.5%
【0127】
香料混合物の累積重量損失の割合の決定
1.まだ濡れていない封止されたカートリッジを提供するように、装置に揮発性組成物を充填する。例えば、18ゲージの針の挿入を可能にする穴を切り開くことによって、揮発性組成物カートリッジに穿孔すればよい。
2.
図4の装置に、5.5mLの香料組成物を充填する。これは、標準的な香料組成物の5024mgに相当する。
図9Aの装置に、2mLの香料組成物を充填するが、ここで2mLは、1.9gに相当する。体積は、目的の組成物の密度に基づいて調整する必要があり得る。
3.挿入穴をホットメルト接着剤で封止する。
4.装置の重量を測定して、3桁の有効数字で記録する。
5.カートリッジをハウジングに挿入し、カートリッジをハウジング内に確実に正しくセットし、そこを通る適切な空気流を確保する。
6.装置を起動して、その膜を濡らす。本明細書では、
図4の装置の場合に、上記のような起動は、
図4の起動ボタンを押すことによって実現される。
図9Aの装置の場合、装置は、作動前の第1の位置(
図9A)から作動後の第2の位置(
図9B)までクリップを動かすことによって、例えば、第1の位置に対して90度回転することによって起動される。しかしながら、装置を起動して膜を濡らすために、他の同等の手段もあり得る。
7.時間を決め、少なくとも30日間同時刻に毎日、カートリッジ重量を測定(mg)し、記録する。
8.記録した時間とそれらの対応する重量を使用し、揮発性組成物の累積重量損失のパーセンテージを、既に詳しく説明したようにして決定する。
【0128】
実施例I-比較香料組成物及び本発明の香料組成物
表8に示される、PRMの香料混合物(「香料混合物A」)を、表9に示される例示的なRIS組成物と組み合わせて、本発明組成物Bを形成して、上に説明した式(I)による揮発性組成物のMOIの評価を行った。しかしながら、固体相及び/又は液相から気相に移行することができる任意のPRMが用いられ得ることが理解されよう。
【0129】
【0130】
【0131】
以下の表10は、本発明の香料組成物B及び比較香料組成物Cのそれぞれの、35℃でのMOIを列挙する。
【0132】
【0133】
35℃で1.70×104のMOIを有する本発明の香料組成物Bは、組成物の90重量%の量のRIS組成物の添加が、香り強度(MOI)を約85%低減させること(すなわち、85%のMOI低減効率(比較香料組成物AのMOI(1.09×105)に対してより低いMOI値をもたらすこと)、それにより、内部空間内で、特に最初のタッチ点において、香りの送達を改善することが可能になることを実証している。
【0134】
実施例II
実施例IIは、RIS組成物及びPRMが、本発明によるPRMの低減された蒸気放出速度を提供するのにどのように作用するかを実証する。第1、第2、及び第3のRIS成分は、RIS組成物中に、任意の濃度で配合され得ることが理解されよう。具体的には、第1、第2、又は第3のRIS成分の各々は、香料混合物を含む揮発性組成物の香り強度を調節するのに好適な、任意の有効量であり得る。
【0135】
具体的には、実施例IIの結果は、同じ濃度の第1、第2、及び第3のRIS成分を有するRIS組成物で揮発性組成物を配合するために、異なる香料混合物が使用され、RIS組成物が揮発性組成物の重量に対して同じ濃度であったとしても、改善された香りプロファイルという同じ技術的結果が、同様の
図12の傾きL及び
図13の傾きPに基づいて達成されるということを示す。更に、グラフの傾きの異なる勾配からは、蒸発が蒸気圧に基づいて促されるので、RIS成分を含む本発明の組成物は、それらのそれぞれ対応する標的よりも、優先的に蒸発し、その結果、蒸発速度を低減し、その結果、香料のみを有する比較組成物と比較して、全ての温度及び空気流下で、香り強度を低下させるということがわかる。
【0136】
以下の表11は、連続した4週間の期間にわたって試験方法Eで評価した、比較試料及び本発明の試料中の成分を列挙し、香料の蒸発結果は、表12にまとめられ、
図12のグラフに示される。以下の表13は、連続した4週間の期間にわたって試験方法Dで評価した、比較試料及び本発明の試料中の成分を列挙し、香料の蒸発結果は、表14にまとめられ、
図13のグラフに示される。
【0137】
図12及び
図13は、連続した4週間の期間にわたる時間に対して、比較試料及び本発明の試料の香料重量損失測定値をプロットしたグラフである。比較試料及び本発明の試料の各々について第1週の香料重量損失のピークと第4週の香料重量損失とをつなぐ線を引いて、勾配を有する傾きを定義し、
図12及び
図13並びに以下の表において標識する。以下に示すように、傾き勾配を、各傾きについて計算する。より高い傾き勾配値を有する傾きは、より低い傾き勾配値を有する傾きと比較して、より急な傾きに対応する。
【0138】
【0139】
【0140】
図12を参照すると、比較試料1の傾きJは、比較試料2が、50%減少した濃度の香料混合物Xを有しているとしても、比較試料2の傾きKと同様の急勾配を有する。具体的には、勾配Jの傾き勾配は145であり、勾配の傾き勾配は135である。その急な勾配は、比較試料2の香り強度が、有意には低減されていないことを示す。対照的に、本発明の試料3の傾きLは、傾きJの勾配及び傾きKの勾配と比較して、よりなだらかな勾配(傾き勾配=89)を有し、RIS組成物が揮発性組成物の30重量%の量で揮発性組成物に添加される場合、当該期間にわたって香り強度が減少していることを示す。更に、本発明の試料4中には、揮発性組成物の60重量%の量でRIS組成物が添加されているが、その場合、傾きMの勾配は、本発明の試料3と比較して、減少する(傾き勾配=42)。
【0141】
【0142】
【0143】
図13を参照すると、比較試料5及び6の傾きN及び傾きOは、比較試料1及び2と同様の勾配パターン、すなわち急峻な勾配を示す。すなわち、香料混合物Yのレベルが比較試料5で低減されても、傾斜勾配の変化が比較的少ないということを示す。対照的に、本発明の試料7及び8のそれぞれの傾きP及び傾きQは、穏やかな勾配を有し、香料重量損失の減少と、それに対応する香り強度の低下とを示す。更に、本発明の試料8中には、揮発性組成物の60重量%の量でRIS組成物が添加されているが、その場合、傾きQの勾配(傾き勾配=27)は、本発明の試料7の傾きの勾配(=62)と比較して、減少する)。
【0144】
全体として、本発明による本発明の組成物の上記の結果は、本発明による本発明のエアフレッシュニング製品を内部環境に提供することにより、高温での香り強度の低減によって改善された香り送達を提供するという技術的効果が達成されることを示す。結果として、最初のタッチ点での高い香り強度を防止することによって、香り特性がより一貫し、それに応じてエアフレッシュニング組成物の寿命が改善され、それによって、内部環境におけるフレッシュニング及び製品寿命という二重の利点を得ることが可能になる。香料混合物X及びYを製造する際に使用されるPRMは、製造業者によって開示されていない。しかしながら、香料混合物X及びYは、PRMの異なる組み合わせを含み、比較試料の傾きどうしがその勾配で類似しているため、固体及び/又は液相から気相に移行することができる任意のPRMが用いられ得るということが理解されるであろう。
【0145】
実施例III
実施例IIIは、RIS組成物及びPRMがどのように作用して、車両(自動車)の内部空間内での周囲空気流条件下で、すなわち駐車条件の車で、本発明による揮発性組成物に、PRMの改善された香り特性の一貫性変動(「SCC変動」)を提供するかを実証する。以下の表15は、1年のうちの、連続した季節、つまり夏から秋更に冬という試験期間にわたって、SCC試験方法に従って評価された、比較試料及び本発明の試料で使用された香料混合物Bの非機能性香料原料を列挙する。以下の表16は、比較試料及び本発明の試料の各々の成分を列挙し、そのSCC変動結果を以下の表17に示す。
【0146】
要約すると、実施例IIIの結果は、RIS組成物及び非機能性香料原料を含む自動車用エアフレッシュニング組成物が、以下に記載されるように、より低いSCC変動を有することによって、RIS組成物を含まない揮発性比較組成物と比較して、どの季節においても、駐車条件下において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
表17を参照すると、本発明の試料10は、10%未満であって、比較試料9のSCC変動(15.6%)よりも低い、9.7%のSCC変動を有する。本発明の試料10のSCC変動の改善も、以下に記載される
図14Bと比較した場合、
図14Aに視覚的に示されている。
【0151】
図14Aは、表17の本発明の試料10の結果の、対応するグラフである。
図14Bは、表17の比較試料9の結果の、対応するグラフである。
図14Aに示されるように、本発明の試料10は、トップノートプロファイル10T、ミドルノートプロファイル10M、及びボトムノートプロファイル10Bを有し、それらは、比較サンプル9のトップノートプロファイル9T、ミドルノートプロファイル9M、及びボトムノートプロファイル9Bと比較して、お互いが近く離間している。
【0152】
本発明の試料10は、8.6%のSCC変動、すなわち比較試料9の15.6%のSCC変動よりも少ないSCC変動を有し、RIS組成物を含む揮発性組成物が、RIS組成物を含まない揮発性組成物に比較して、どの季節においても、駐車条件において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0153】
実施例IV
実施例IVは、RIS組成物及びPRMがどのように作用して、車両(自動車)の内部空間内での移動している空気流条件下で、すなわちドライブ条件の車で、本発明による揮発性組成物に、PRMの改善された香り特性の一貫性変動(「SCC変動」)を提供するかを実証する。表9のRIS組成物及び表15の香料混合物Bを使用して、比較試料及び本発明の試料を、1年のうちの、連続した季節、つまり夏から秋更に冬という試験期間にわたって、SCC試験方法に従って評価する。以下の表18は、比較試料及び本発明の試料の各々の成分を列挙し、そのSCC変動結果を以下の表19に示す。
【0154】
要約すると、実施例IVの結果は、RIS組成物及び非機能性香料原料を含む自動車用エアフレッシュニング組成物が、以下に記載されるように、より低いSCC変動を有することによって、RIS組成物を含まない揮発性比較組成物と比較して、どの季節においても、ドライブ条件において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0155】
【0156】
【0157】
表18を参照すると、本発明の試料11は、10%未満であって、比較試料12のSCC変動(10.1%)よりも低い、8.6%のSCC変動を有する。本発明の試料11のSCC変動の改善も、以下に記載される
図15Bと比較した場合、
図15Aに視覚的に示されている。
【0158】
図15Aは、表19の本発明の試料11の結果の、対応するグラフである。
図15Bは、表19の比較試料12の結果の、対応するグラフである。
図15Aに示されるように、本発明の試料11は、トップノートプロファイル11T、ミドルノートプロファイル11M、及びボトムノートプロファイル11Bを有し、それらは、比較サンプル12のトップノートプロファイル12T、ミドルノートプロファイル12M、及びボトムノートプロファイル12Bと比較して、お互いが近く離間している。
【0159】
本発明の試料11は、8.6%のSCC変動、すなわち比較試料12の10.1%のSCC変動よりも少ないSCC変動を有し、そのことは、RIS組成物を含む揮発性組成物が、RIS組成物を含まない揮発性組成物に比較して、どの季節においても、ドライブ条件において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0160】
実施例V
実施例Vは、RIS組成物及びPRMがどのように作用して、車両(自動車)の内部空間内での移動している空気流条件下で、すなわち実施例IVでのドライブ条件と実質的に同じドライブ条件の車で、本発明による揮発性組成物に、PRMの改善された香り特性の一貫性変動(「SCC変動」)を提供するかを実証する。以下の表20は、香料混合物Bとは異なる香料混合物Cの非機能性香料原料を列挙している。香料混合物Cは、1年のうちの、連続した季節、つまり夏から秋更に冬という試験期間にわたって、SCC試験方法に従って評価された、比較試料及び本発明の試料で使用され、RIS組成物が、改善された香り特性の一貫性変動を提供するために、非機能性香料原料の任意のPRM混合物に添加され得ることを示す。以下の表21は、比較試料及び本発明の試料の各々の成分を列挙し、そのSCC変動結果を以下の表22に示す。
【0161】
要約すると、実施例IVの結果は、RIS組成物と、非機能性香料原料の異なる混合物とを含む自動車用エアフレッシュニング組成物もまた、以下に記載されるように、より低いSCC変動を有することによって、RIS組成物を含まない揮発性比較組成物と比較して、どの季節においても、ドライブ条件において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
表22を参照すると、本発明の試料13は、10%未満であって、比較試料14のSCC変動(11.1%)よりも低い、6.5%のSCC変動を有する。本発明の試料13のSCC変動の改善も、以下に記載される
図16Bと比較した場合、
図16Aに視覚的に示されている。
【0166】
図16Aは、表22の本発明の試料13の結果の、対応するグラフである。
図16Bは、表22の比較試料14の結果の、対応するグラフである。
図16Aに示されるように、本発明の試料13は、トップノートプロファイル13T、ミドルノートプロファイル13M、及びボトムノートプロファイル13Bを有し、それらは、比較サンプル14のトップノートプロファイル14T、ミドルノートプロファイル14M、及びボトムノートプロファイル14Bと比較して、お互いが近く離間している。
【0167】
本発明の試料13は、6.5%のSCC変動、すなわち比較試料14の11.1%のSCC変動よりも少ないSCC変動を有し、そのことは、RIS組成物を、非機能性香料原料の任意の香料混合物とともに有する揮発性組成物が、RIS組成物を含まない揮発性組成物に比較して、どの季節においても、ドライブ条件において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0168】
実施例VI
実施例VIは、RIS組成物及びPRMがどのように作用して、住宅(部屋、トイレ)の内部空間内での周囲空気流条件下で、本発明による揮発性組成物に、PRMの改善された香り特性の一貫性変動(「SCC変動」)を提供するかを実証する。以下の表23は、1年のうちの、連続した季節、つまり夏から秋更に冬という試験期間にわたって、SCC試験方法に従って評価された、比較試料及び本発明の試料で使用された香料混合物Bの非機能性香料原料を列挙する。以下の表24は、比較試料及び本発明の試料の各々の成分を列挙し、そのSCC変動結果を以下の表25に示す。
【0169】
要約すると、実施例VIの結果は、RIS組成物及び非機能性香料原料を含む部屋用エアフレッシュニング組成物が、以下に記載されるように、より低いSCC変動を有することによって、RIS組成物を含まない揮発性比較組成物と比較して、どの季節においても、2m
3の容積を有する住宅内部空間(例えば、トイレ、
図11の入口の内部空間)の周囲環境条件下において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
表22を参照すると、本発明の試料15は、10%未満であって、比較試料16のSCC変動(10.9%)よりも低い、6.5%のSCC変動を有する。本発明の試料15のSCC変動の改善も、以下に記載される
図17Bと比較した場合、
図17Aに視覚的に示されている。
【0174】
図17Aは、表25の本発明の試料15の結果の、対応するグラフである。
図17Bは、表25の比較試料16の結果の、対応するグラフである。
図17Aに示されるように、本発明の試料15は、トップノートプロファイル15T、ミドルノートプロファイル15M、及びボトムノートプロファイル15Bを有し、それらは、比較サンプル16のトップノートプロファイル16T、ミドルノートプロファイル13M、及びボトムノートプロファイル16Bと比較して、お互いが近く離間している。
【0175】
本発明の試料15は、6.5%のSCC変動、すなわち比較試料16の10.9%のSCC変動未満のSCC変動を有するが、そのことは、RIS組成物を任意の香料混合物とともに有する揮発性組成物が、RIS組成物を含まない揮発性組成物に対して、どの季節においても、内部空間において、香り特性の一貫性が改善されていることを示す。
【0176】
上記の全体的な結果は、RIS組成物を有するエアフレッシュニング製品が、(温度変化によって影響を受ける可能性がある)香り特性の一貫性を改善し、香り強度を低下させ、異なる季節において、内部空間内で5~35℃の温度範囲中に、SCC変動が小さくなっていることを示す。結果はまた、任意の装置設計、任意の膜の蒸発表面積サイズ、任意の香料混合物、及び異なる空気流条件下(車両中)について、技術的効果が達成されることを示す。
【0177】
本明細書に開示されている寸法及び値は、記載される正確な数値に厳密に限定されるものとして理解すべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0178】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0179】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。