(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4458 20060101AFI20241126BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20241126BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20241126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K31/4458
A61K31/4178
A61P25/32
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2023085969
(22)【出願日】2023-05-25
(62)【分割の表示】P 2021147148の分割
【原出願日】2016-01-28
【審査請求日】2023-05-25
(32)【優先日】2015-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503164937
【氏名又は名称】デューク・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】DUKE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】イ トン ヒョン
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-516284(JP,A)
【文献】Drug and Alcohol Dependence,2012年,Vol.124,p.11-18
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)メチルフェニデートまたはその薬剤学的に受容可能な塩を含む構成要素1と、
b)オンダンセトロ
ンまたはその薬剤学的に受容可能な塩を含む構成要素2と、を含む神経精神系障害を治療するための薬学的組成物であって、
前記構成要素1は、胃または腸試験管内の溶解試験条件下で、約1時間以内に約80%以上、または約2時間以内に約90%以上溶解し、
前記構成要素2は、胃または腸試験管内の溶解試験条件下で、約3時間以内に約10%以下、かつ約7時間以内に約80%以上溶解し、
前記構成要素1の薬理学的に活性な形態は、Tmax1の血漿または血清濃度Tmaxを有し、前記構成要素2の薬理学的に活性な形態は、Tmax2の血漿または血清濃度Tmaxを有し、
人体内における前記Tmax1と前記Tmax2との間の差は2~7時間の範囲であり、
前記組成物は、前記構成要素1、前記構成要素2および薬剤学的に許容可能な賦形剤、担体または他の薬剤学的に許容可能な添加剤を含む単一の剤形であり、
上記の神経精神系障害は、アルコール使用障害である薬学的組成物。
【請求項2】
前記構成要素1の薬理学的に活性な形態が、人体内で5時間以下の除去半減期を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記構成要素2の薬理学的に活性な形態が、人体内で3時間以上13時間以下の除去半減期を有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記固定された組み合せ投与形態が、メチルフェニデート塩酸塩の5mg~80mgに相当する用量のメチルフェニデートと、オンダンセトロン塩酸塩4mg~16mgに相当する用量のオンダンセトロンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国連邦政府の資金支援及び権利
【0002】
本発明は、「コカイン禁断:治療機会の窓」というタイトルのR01 DA012768;「メタンフェタミン乱用への薬剤開発」というタイトルのR01 DA14323;「シナプス前メカニズム及びパーキンソン病の治療」というタイトルのNS42124;及び「精神刺激薬乱用の組み合わせ治療のための新規なオンダンセトロン製剤」というタイトルのRC2 DA028905のNIH承認による米国連邦政府の資金を一部活用して行われた。したがって、連邦政府は、本発明について特定の権利を有することができる。
【0003】
優先権主張
【0004】
本出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照として引用される2015年1月28日付で出願された米国仮出願番号62/108,616号の優先権を主張する。
【0005】
技術分野
【0006】
本発明は、内在する機能異常神経プロセス(dysfunctional neural processes)を一時的に調節し、精神刺激薬使用障害(PUD:psychostimulant use disorder)および物質関連障害および嗜癖性障害(Substance-related and addictive disorders)、心的外傷後ストレス障害(PTSD:post-traumatic stress disorder)および外傷及びストレス関連障害(Trauma-and stressor-related disorders)及びレボドパ-誘発性ジスキネジア(LID:levodopa-induced dyskinesia)および他の形態のジスキネジア(dyskinesia)を含むが、これに制限されない神経精神系障害の症状および/または徴候を減少させることができる組み合わせ治療の組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0007】
本発明内に記述されているあらゆる障害は、精神障害の診断・統計マニュアル[第5版](the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders Version5,DSM-5)、疾病及び関連保健問題の国際統計分類[第10版](International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems version 10,ICD-10)、またはその両方に記述された基準に基づいて記述された。なお、本発明内に記述されている内容は、当該技術分野の通常の知識を有する者であれば容易に理解することができるであろう。
【0008】
神経精神系障害の治療のための多数の治療法が開発されているが、その副作用への解決策も同様に求められている。
【0009】
神経精神系障害について、いくつか例を見ることにする。
【0010】
精神刺激薬使用障害(PUD)
【0011】
コカイン(COC:cocaine)、メタンフェタミン(METH:methamphetamine)及び関連のある薬物(総称して、以下「精神刺激薬」という)の誤用は、原発性精神障害(primary psychiatric disorder)としてだけでなく、例えば、統合失調症、双極性障害、C型肝炎、HIVのような様々な他の神経精神及び疾病における有意味の併存/リスク(comorbid/risk)因子として全世界的に法的、社会経済的および医療的費用の負担となり続けている(文献Whiteford et.al., 2013(Whiteford, HA, Degenhardt, L, Rehm,J, Baxter, AJ, Ferrari,AJ, Erskine,HE,Charison,FJ, Norman,RE, Flaxman, AD, Johns, N, Burstein, R, Murray, CJL, Vos, T (2013). Global burden of diseases attributable to Mental and substance use disorders: findings from the Global Burden of Diseases Study 2010. The Lancet 382:1575-1586)参照)。
【0012】
精神刺激薬使用障害(PUD)の有効な治療に係る関連医療分野での高い未充足ニーズにもかかわらず、これまでの臨床試験が行われた20余種以上の薬物からは限られた効能のみが現れ、この適応症についていかなる薬物もFDAの承認を得ることができなかった。現在、PUD患者に用いられる薬物は、典型的に併存精神障害(comorbid psychiatric condition)の治治療法に局限される。 なお、数々の向精神薬が、精神刺激薬依存性を治療するためにFDA承認外使用( 「Off-label use」)されたが、その効果は厳密に試験が行われなかった。以前の臨床試験で試験が行われた薬物には、単独で用いられる他の精神刺激薬(例えば、d-アンフェタミン、メチルフェニデート)、選択的ドパミン(DA)またはセロトニン吸収阻害剤(例えば、フルオキセチン)、完全または部分DAアゴニスト( 「full or partial DA agonist」;例えば、アリピプラゾール)、DA拮抗薬(例えば、リスペリドン)、GABA(γ-アミノ酪酸)アゴニスト(例えば、ガバペンチン)、中枢神経興奮剤モダフィニルが含まれる。追加の薬物(例えば、ブプロピオン、n-アセチルシステイン、抗癲癇剤チアギャビン及びトピラマートなど)および他の治療方法(例えば、抗-コカインおよび抗-METHワクチンまたは経頭蓋磁気刺激)が継続して臨床的に評価されてはいるが(文献Haile et.al.,2012(Haile,CN,Mahoney,JJ,3rd,Newton,TF,De La Garza,R,2nd(2012)。Pharmacotherapeutics directed at deficiencies associated with cocaine dependence:focus on dopamine,norepinephrine and glutamate,Pharmacol Ther 134:260-277)参照)、このような臨床試験での治療結果の共通パターンは、(1)小規模の臨床試験で可能性を示す治療が、大規模な試験では、効能が立証されなかったり(例えば、ビガバトリン);(2)単なる特定のサブグループの患者からのみ効能が現れるものである(例えば、モダフィニルおよびトピラマートは、アルコール使用障害を伴わない患者にのみ有効であり、ジスルフィラムは単なる特定の遺伝子型を伴う患者と単なる有効な抗体反応が搭載された抗-コカインワクチンを受けた患者の3分の1でしか有効でなかった)。したがって、精神刺激薬の不法的な使用の減少を目的とする、精神刺激薬使用障害に持続的に有効に使用することができる薬物に対する高い未充足ニーズが、関連医療分野内に依然として存在している。
【0013】
人間を対象とした臨床試験または医療行為での次善の治療結果とは異なり、DA作用剤及び5HT2、5-HT3またはNK-1受容体拮抗剤の選択された組み合わせは、PUDの過敏反応 (sensitization)及び自己-管理(self-administration) 動物モデルから観察された行動及び神経生物学的変更を戻すことができる。したがって、最近の文献Lee et al.,2012(Lee,TH,Szabo, ST, Fowler,JC, Mannelli, P, Mangum,OB, beyer, WF, Patkar,A, Wetsel, WC(2012)。Pharmacologically-mediated reactivation and reconsolidation blockade of the psychostimulant-abuse circuit:a novel treatment strategey. Drug and alcohol dependence 124:11-18)にて検討されたように、このような治療は (1)既-樹立されたCOCまたはMETH行動過敏性を戻して;(2)進行率及び薬物-誘発回復パラダイムによる自己-投与を減少させ;(3)関連神経生物学的指標の変化を正常化させる。この調査の重要な発見には、次のものが含まれる: (1)作用剤の投与以前または一緒でない3.5時間以後に拮抗剤が投与された場合のみ、動物モデルから一貫した治療効果を果たすことができ;(2)単独で投与されるワンデーDA作用剤または5-HT拮抗剤は効果がない。
【0014】
DA作用剤の投与後3.5時間固定された遅延以後、5HT2,5-HT3またはNK-1受容体拮抗剤が動物に投与される組み合わせ治療方法は、動物PUDモデルから充分に構築されてはいるが(前記文献Lee et al.,2012参照)、実際、医療現場でこれと近い任意の治療効果が得られるためには、患者が2種の薬物を、個別処方時点に合わせて服用することを強圧する投与計画(すなわち、作用剤投与3.5時間後、拮抗剤を投与しなければならない)に全面的に頼らなければならないことに限界がある。原発性または併存精神疾患の診断を受けた患者たちは、典型的に処方された治療計画を遵守することを憚かったり、遵守することができないため、治療遵守事項を保証するための医療実務レベルの対策がない場合、PUD及び他の精神疾患の患者たちの不法薬物使用の減少を目標に、このような治療を適用すれば、失敗する可能性が高い。したがって、このような患者に対して組み合わせ治療を成功的に使用するためには、典型的に入院または居住型治療施設などのような監視できる環境が要求される。
【0015】
レボドパ-誘発性ジスキネジア(LID)
【0016】
パーキンソン病及び/または他の関連障害(通称、以下「PD」と略する)と診断された患者の場合、DA代替治療法は、脳内でのDA神経伝達を復元して、PD及び他の関連障害の症状及び徴候を緩和するために使われる。ドパミン(DA)プロドラッグレボドパ(L-3,4-dihydroxyphenylalanine)は、PD運動徴候と症状緩和にもっとも効果的な薬物の一つである。しかし、この薬物の使用による副作用、すなわち、レボドパ-誘発性ジスキネジア(LID)及び関連効能損失が誘発される傾向性により、PD患者の長期管理側面では制限された有用性ばかりを有する。さらには「最適の」レボドパ治療法ですら、パーキンソン病患者の最大 90%が、5ないし10年内にLIDへと発展する。これによりLIDは、PD患者のレボドパ(補助ドパミン作用剤の使用可否に関係なく) 治療法失敗の主要原因の一つになっている。
【0017】
レボドパ敏感化及びLID
【0018】
あらゆるメカニズムの中で、レボドパ敏感化(levodopa sensitization)は、LID発達及び維持において重要な役割をする。進行性DAニューロンの死滅及び/または5-HT末端での「異所性(ectopic)」DA合成及び放出による、DA合成、細胞の外、DAの放出及び掃除(clearance)の調節困難(dysregulation)は、レボドパ投与後、シナプスDA濃度の過度な揺動を引き起こすものと見なされる。このような揺動は、順序に基底核及び他の脳領域の機能異常、シナプス変化を誘導する。
【0019】
揺動するシナプスDAレベルの推定的役割に基いて、一貫したレボドパレベルを維持するようにデザインされたいくつかの治療戦略がLID(敏感性)発達を遮断したり、耐性の誘導を通じたレボドパ敏感性発現に対応することに活用された。このような戦略には、(1)制御-または延長-放出レボドパ剤型または「持続型(round-the-clock) 」レボドパ投与治療の使用;(2)シナプスDA濃度揺動を減少させるためのカテコール-o-メチル転移酵素(catechol-o-methyltransferase) 抑制剤の付加;(3)十二指膓内にレボドパ投入;及び(4)レボドパパッチが含まれる。残念ながら、このような「持続的な」レボドパ接近方式はもともと期待されてたほど、効果的ではなかった。このような適正以下の効能(less-than-opimal efficacy)の理由には、(1)(与えられた「等価の」投与量に比べて) 減少した最大レボドパ濃度;(2)薬物動態学的耐性発達;及び(3)直間接的なDA作用剤によって充分に立証された現象である、延長された「持続的な」レボドパ治療の間、新規で、かつ明白な神経生物学的変化の出現が含まれることもできるが、これに制限されるものではない。最大12ないし14時間/日間のDA作用剤の水準を維持することが依然、行動敏感性(behavioral sensitization)を引き起こす一方、より延長された薬物濃度の持続(例えば、18時間/日以上の投入)は、耐性を誘導するという点もまた留意すべき事実である(文献Ellinwood et al.,2002(Ellinwood,EH,Davidson,C,Yu,GZ,King,GR, Lee, TH (2002). Effect of Daily dosing duration of direct and indirect dopamine receptor agonists: cocaine cross-tolerance following chronic regimens. European neuropsychopharmacology:the journal of the European College of Neuropsychopharmacology12:407-415)参照)。延長された時間の間、有効治療範囲内での薬物濃度の維持がたびたび悪夢、睡眠障害などのような夜間副作用の発生増加を引き起こすとされている。このような考慮事項を通じて、薬物代謝での個人差、患者が処方された投与治療を守ることができる能力及び/または増加するLIDまたは他の副作用による治療未遵守を含む多くの因子が一定のレボドパ水準の持続期間における可変性を引き起こし、これにより「抗-LID」戦略としての「持続型」治療法活用が制限され得ることが提示されている。
【0020】
「持続型」レボドパ治療とともに提示されるもう一つの「抗-LID」戦略としては、レボドパの代案となる薬物に代替またはLID発達を防止する、または既存のLIDの発現を遮断するためのレボドパ及び「抗-LID薬物」の併行投与が含まれる。この他にもあらゆる開発段階にある多くの治療剤または治療候補への評価が現在進められている。最近は浸湿的属性及び長短期施術-後、合併症の危険にもかかわらず、深部脳刺激(DBS:deep brain stimulation)が増加しているが、このような施術がLIDの核心となる神経生物学的変化を直接に変更させるのか、またはレボドパの用量を減少させるのか、2次的なLID発現遮断及び/またはPD進展速度の緩和のように間接的に影響を及ぼすのかなど、まだ体系的に明らかではない。
【0021】
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
【0022】
アメリカの場合、併存症調査(NCS-R:National Comorbidity Survey Replication)によれば、PTSDに対する成人の12-ヶ月(年間)有病率は3.5%と推定される。この中、36.6%が重度であるとされている。全体的に見れば、アメリカでのPTSDの生涯有病率は8ないし9%と推定され、これと関して約$80億ドルの費用が発生し、男性より女性に2倍高く発生されている。12-ヶ月有病率の場合、男性は1.8%、女性は5.2%であり(国立精神保健研究所(National Institute of Mental Health)、2010)、青少年(13ないし18歳)の有病率は、約4%であった。このような高い有病率によりアメリカの場合、毎年有病者数の49.9%は、自発的な治療を望んであり、この中、42%が最小限の適正な治療を受けている。
【0023】
韓国の場合、国民健康保険(Korean National Health Insurance) 統計によると、総PTSD患者数(外来及び入院患者)が2014年6,981名、2013年6,741名及び2012年6,950名であるとされている。全患者の数を性別に分析してみると、男性患者の数が女性患者の数に比べてさらに1.5倍高い。10歳から60歳の間の範囲で年令別に分析してみると、すべての年代層に亘って比較的均一な患者数が存在している。
【0024】
現在「心的外傷後ストレス障害ポケットガイド」2013年(ポケットガイド)で「有意味な」または「ある程度」の利点があるとして知られた治療オプションには、心理治療(例えば、「認知(congnitive)」、「曝露(exposure)」治療) 及び薬物治療がある。薬物治療の場合、抗うつ剤、特に選択的セロトニンまたはセロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害薬の単独治療は、ランダム化比較試験で効能を示しており;このような中、セルトラリン及びパロキセチンだけがPTSDの治療のためにアメリカ食品医薬品局(FDA)で承認された。ベンゾジアゼピン、非定型抗精神病薬、抗痙攣薬も一緒に検討されたが、これらの薬物は一貫した効能を現すことができず、前述のガイドラインで勧奨される薬物リストにも登載されていない。一方、曝露治療とパロキセチンの組み合わせは、曝露治療に比べてさらなる治療効果がないと報告された。現在、別途の治療法及び試験用新薬(IND:Investigational new drug)に対して、単独治療または現存する形態のPTSD治療への拡大戦略として臨床試験評価が遂行され続けている。
【0025】
神経精神系障害の神経基盤
【0026】
PUD、LID及びPTSDを含む多様な神経精神系障害は、不適応機能異常神経回路(Maladaptive dysfunctionalneural circuit)の強化された形態(「機能異常神経可塑性(dysfunctionalneural plasticity)」または「機能異常メモリー(dysfunctional memory)」)と見なされる。障害-特異的神経可塑性は、神経メカニズム及びプロセッサ、脳領域、脳領域間連結性、脳ネットワーク及び脳内または脳を伴わないネットワーク相互作用を含むが、これに制限されない多くの水準に変化して、これは特定の障害の徴候及び症状の基底を成すものとされる(文献Headley and Pare,2013(Headley,DB, Pare,D (2013). In sync:gamma oscillations and emotional memory. front Behav Neuroschi7: 170) 参照)。したがって、このような神経可塑性変化の治療-媒介正常化(treatment-Mediated normalization)が成功的な治療結果をもたらすことができるといえる。
【0027】
図1は、機能異常神経回路への維持メカニズムを示した。
【0028】
例えば、PUDと診断された患者の場合、
図1に示すように、安定して強化された「PUD神経回路」は、精神刺激薬自体(例えば、「少量の薬物使用(drug tasting)」)、薬物使用と連関した環境信号(例えば、麻薬用品(drug paraphernalia)) または「ストレス」などのような多くの刺激への露出によって再活性化し得る(文献Childress et al.,1999(Childress,Ar,Mozley,PD, Mcelgin,W,Fitzgerald,J,Reivich,M, O'brien,CP(1999). Limbic activation during cue-induced cocaine craving. The American journal of psychiatry 156: 11-18);Shinha,2006(Shinha,R, Garcia, M, Paliwal, P, Kreek, MJ, Rounsaville, BJ(2006). Stress-induced cocaine craving and hypothalamic-pituitary-adrenal responses are predictive of cocaine relapes outcomes. Archives of general psychiatry 63: 324-331);前記文献Lee et al.,2012 など参照)。干渉を受けない限り、再活性化されたメモリーは、禁断中に再強化(reconsolidation) になる。例えば、禁断中の破滅(「crash」) 症状がここに当たる。
【0029】
LIDは、「機能異常神経可塑性変化」のもう一つの再強化形態であって、これはレボドパの治療的投与による反復的再活性化とレボドパの治療効果が薬物動態学的(PK:pharmacokinetic)及び/または薬力学(PD:pharmacodynamic)的に減少される間に後続的に成り立つ再強化によって維持される。
【0030】
機能異常PUDまたはLID神経回路とこれと同じように、PTSD患者の機能異常「PTSD神経回路」は、反復再活性化及び再強化サイクルを通じて維持されることに概念化されることができる。例えば、患者が以前に原因となる心的外傷性ストレス体験(traumatic stressful event;例えば、友達を殺害した爆弾の爆発を思い起こさせる騷音、大きい自動車事故の後、車に乗ることなど)に露出される場合、機能異常神経回路が再活性化し得る。このような再活性化は、PTSD徴候と症状の再出現を引き起こし、再活性化されたPTSD回路が安定、かつ容易に再活性化することができる状態に再強化された場合に落ち着かせることができる。再強化によって、PTSD症状及び徴候は弱化され、次回の刺激の遭遇によって再出現し得る状態になる。
[発明の詳細な説明]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、内在する機能異常神経プロセスを一時的に調節して、精神刺激薬使用障害(PUD)及び他の物質関連中毒性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)及び他の外傷及びストレス関連障害及びレボドパ-誘発性ジスキネジア(LID)及び他の形態の運動障害を含むが、これに制限されない神経精神系障害の症状及び/または徴候を減少させることができる組み合わせ治療の組成物及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記概念化に基づいて、本発明によれば、組み合わせ方法で用いられた作用剤は、安定した機能異常神経回路をその「再活性化されて不安定な」 状態で治療学的に再活性化させ、それによりこれに一時的に不安定な状態を付与する方法を提供し、それにより、作用剤投与以後、適切な時間に与えられる拮抗剤は、再強化及び後続する回路再安定化を遮断して、よって、順次に不適応メモリーを再活性化させてその再強化を遮断し、神経精神系障害の症状及び/または徴候が漸進的に無症状(subclinical)レベルまで減少し得るようにすることによって、内在する機能異常神経プロセスを一時的に調節して、精神刺激薬使用障害(PUD)及び他の物質関連中毒性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)及び他の外傷及びストレス関連障害及びレボドパ-誘発性ジスキネジア(LID)及び他の形態の運動障害を含むが、これに制限されない神経精神系障害の症状及び/または徴候を減少させることができる組み合わせ治療の組成物及び方法を提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、内在する機能異常神経プロセスを一時的に調節して、精神刺激薬使用障害(PUD)及び他の物質関連中毒性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)及び他の外傷及びストレス関連障害及びレボドパ-誘発性ジスキネジア(LID)及び他の形態の運動障害を含むが、これに制限されない神経精神系障害の症状及び/または徴候を減少させることができる組み合わせ治療の組成物及び方法を提供して、さらに(1)タバコ使用障害、アルコール使用障害及び大麻使用障害を含むが、これに制限されない他の物質関連障害;(2)常習賭博及びネット中毒を含むが、これに制限されない行動中毒障害;(3)反応性愛着障害(reactive attachment disorders)、急性ストレス障害及び適応障害を含むが、これに制限されない他の外傷及びストレス関連障害(trauma and stressor-related disorders);(4)汎不安障害(genralized anxiety disorders)、恐慌障害、アゴラフォビア、物質/薬物-誘発不安障害を含むが、これに制限されない不安障害;(5)強迫障害、身体醜形障害(body dysmorphic disorders)、溜め込み障害(hoarding disorders)、抜毛癖(trichotillomania)及び皮膚むしり症(excoriation disorders)を含むが、これに制限されない強迫障害;及び(6)神経性食欲不振症、大食症及び過食性障害を含むが、これに制限されない摂取障害を含むが、これに制限されない他の神経精神系障害を治療する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、機能異常神経回路維持のメカニズムを示す図である。
【0035】
【
図2】
図2は、本発明による組み合わせ治療のメカニズムを示す図面である。
【0036】
【
図3】
図3は、DA作用剤ペルゴリド及び5-HT2A/2C拮抗剤ケタンセリンの組み合わせがLIDの動物モデルであるラットからレボドパ-誘発非正常不随意運動(LIAIM)を有意味に減少させることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[発明の実施のための最良の形態]
下記は、組成物及び方法の詳細な説明及び発明の原理を説明する例示的な具体例である。具体例は、発明の様態を説明するために提供されるが、本発明は、任意の具体例に制限されるものではない。発明の範囲は多様な代案、変更及び等価物を含み;単に特許請求範囲によってのみ制限される。
【0038】
当該技術分野で熟練した者には、本発明が目的を実行し、言及された目標及び利点と同様にそれに固有するものを取得できるように、うまく適用することは容易に理解できるはずである。ここで記述された本詳細な説明は、現在好ましい具体例の代表に提供されて、例示的であり、本発明の範囲を制限するように意図されたものではない。本発明が属する当該技術分野で熟練した者には、この範囲内での変化及び他の用途が特許請求範囲の範囲に限定されるような本発明の精神内でなされることができる。
【0039】
多数の具体的な詳細が本発明の完全な理解のために下記で規定される。しかし、本発明は、このような特定の詳細の一部または全部でなくても特許請求範囲によって実施されることができる。明確性のために、本発明に関連した技術分野で公知された技術的資料は、発明が不要に曖昧にならないよう詳しい説明はしない。
【0040】
本発明内に記述されているあらゆる障害は、精神障害の診断及び統計マニュアル[第5版](the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders Version5、DSM-5)、疾病及び関連保健問題の国際統計分類 [第10版] (International Statistical Classification of Diseasess and Related Health Problems Version 10、ICD-10)または両方ともに記述された基準によって記述された。また、本発明内に記述されている標的適応症には、一次診断(名)または二次診断(名)または副作用または併存状態が属することができる。
【0041】
発明の背景で説明したように、PUD、LID及びPTSDを含むが、これに制限されない多様な神経精神系障害が機能異常不適応シナプス可塑性の安定した、強化された形態に概念化されることができ、これは反復される再活性化/再強化サイクルを通じて維持されると言える。たとえ薬理学的オプションが現在多くの神経精神系障害に対して使用可能ではあるが、このような治療の大部分は主に目標原発性及び/または併存障害の徴候及び症状を緩和させる程に「その場凌ぎ的」である。内在する機能異常神経回路を正常化(「疾病改良(diseases modification)」)できる、より有効な薬理学的治療に対する高い未充足ニーズが依然として存在すると言える。
【0042】
図2は、本発明による組み合わせ治療の概念モデルを示す図面である。
【0043】
図2に示すような新しい組み合わせの治療で、第1の構成要素(構成要素1)は、安定的な状態で再活性化された状態への単一実施例において機能障害神経回路を再活性化させる手段で用いられ、一時的に機能障害神経回路への不安定な状態を作る。同一の実施例において、第1の構成要素とともに任意の具体例または単一の組成物、剤型または投与形態に提供される第2の構成要素(構成要素2)は、再強化及び以後進行される安定状態での再安定化過程を遮断する。したがって、組み合わせ治療側面で最適化されて同時に患者の便宜性を取り揃えたこのような組成物または剤型は、標的障害の症状及び徴候を無症状(準臨床)水準で漸進的に減少させて、正常な神経機能が復元されるように(例えば、成功的な治療)反復的に機能障害メモリーを再活性化して、再強化を阻む役割をする。本発明内に記述された組成物、方法及び実施例は、単一投与形態としてこのような組み合わせ治療の効果的な臨床適用ができるようにする。
【0044】
2個の活性の構成要素を含み、ここで記述された組み合わせ治療の具体例は、神経精神系障害の治療に使われることができる。組み合わせ治療具体例で治療することができる障害には、PUD、LID及びPTSDが含まれる。他の障害には (1)タバコ使用障害、アルコール使用障害及び大麻使用障害を含むが、これに制限されない他の物質関連障害;(2)常習賭博及びネット中毒を含むが、これに制限されない行動中毒障害;(3)反応性愛着障害(reactive attachment disorders)、急性ストレス障害及び適応障害を含むが、これに制限されない他の外傷及びストレス関連障害(trauma and stressor-related disorders);(4)汎不安障害(genralized anxiety disorders)、恐慌障害、アゴラフォビア、物質/薬物-誘発不安障害を含むが、これに制限されない不安障害;(5)強迫障害、身体醜形障害(body dysmorphic disorders)、溜め込み障害(hoarding disorders)、抜毛癖(trichotillomania)及び皮膚むしり症(excoriation disorders)を含むが、これに制限されない強迫障害;及び(6)神経性食欲不振症、大食症及び過食障害を含むが、これに制限されない摂取障害を含むが、これに制限されるものではない。
【0045】
たとえ、互いに違う症状、徴候、特定の脳回路及び他の診断基準がこのような障害を区分はするが、これは強化された機能異常神経可塑性の形態という共通の属性を共有する。これはまたこのような個々の機能異常神経回路への形成、強化及び/または維持でのドパミン、グルタメート、脳由来神経栄養因子(BNDF:brain-derived neurotrophic factor)、ドパミン受容体のサブタイプ(dopamine receptor subtype)、α-アミノ-3-ハイドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸(AMPA:α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionate)、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA:N-methyl-D-asparate)及び代謝型グルタメート5(mGluR5:metabotropic glutamate5)グルタメート受容体及び多くのタンパク質キナーゼ及びシュードキナーゼなどのような一つ以上の同一の神経伝達物質、受容体、分子、信号経路を共有する。したがって、このような障害は、ここで記述される組み合わせ治療による治療的介入に順応することができるといえよう。
【0046】
組み合わせ治療は、当該技術分野で理解され、実行される臨床適用に互換されることができる任意の具体例、投与形態(dosage form)、方法または経路で実行されることができる。構成要素1は、不適応機能異常神経回路を安定した状態から再活性化された状態に変化させて、それによって一時的に不適応機能異常神経回路への不安定を付与する手段を提供する。構成要素1とともに任意の具体例または単一な組成物、剤型または投与形態内に含まれる構成要素2は再強化及び後続する安定した状態への再安定化を遮断する。よって、このような任意の具体例または単一な組成物、剤型または投与形態は、組み合わせ治療を最適化させ、患者の便宜性の高い形態及び方法で前記構成要素が体内に伝達することが許容され、したがって、目標とする障害の徴候及び症状を無症状の水準で減少させることができるようにする。ここで記述された組成物、剤型、方法及び例示的な具体例は単一投与形態としての組み合わせ治療の有効な使用ができるようにする。
【0047】
1,構成要素1は、小分子(small moleucule)、他の形態の分子及びこれらの変形(例えば、製剤、プロドラッグなど)から選択されることができる。他の形態の分子には小さな干渉リボ核酸(siRNA)、マイクロRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、タンパク質(例えば、抗体)、自然-発生(naturally-occurring) 有機または無機分子、化学元素(例えば、リチウム)及び小分子よりもっと大きい、または小さい任意の合成化合物が含まれるが、これに制限されず、これは好ましくは任意の安全な、受容可能で有効な投与の経路を通じて伝達して、機能異常神経回路が安定した状態から再活性化及び不安定な状態に転移される機能異常神経回路再活性化を達成させるための単一の組み合わせ治療投与形態内に内包されることができる。
【0048】
2.一つの組み合わせ治療具体例において、構成要素1はノルエピネフリン(NE:norepinephrine)及び/またはセロトニン(5-HT)作用効能(agonistic efficacy)を伴ったり、伴わなかったりする、薬理学的に-有効な間接または直接DA作用剤またはその薬剤学的に受容可能な塩である。もし、直接DA作用剤が選択される場合、この作用剤はD1-型またはD2-型DA受容体に対して好み度を示したり示さなくても良い。重要なのは、特に特定されない限り、用語「D1」及び「D1-型」は、ここでは相互互換的に使われて、D1及びD5受容体のうちの一つまたは二つともを意味するものとして使われる。これと同じように、「D2」及び「D2-型」は相互互換的に使われて、D2、D3及びD4DA受容体それぞれ及びこの中の任意を意味するものに使われる。選択された構成要素1の立体異性体が存在する場合、任意の立体異性体単独またはそれぞれの最適化された割合のこれの組み合わせが使われることができる。構成要素1はまた前記1で記述された任意の物質及びこれの変形であってもよく、これは(1)当該技術分野で熟練したた者に公知された任意の分析方法によって評価されたような、そして薬理作用団(pharmacophre)-基盤「連結(docking)」、仮想電算検索(virtual computational screenig)及び他の試験管内(Invitro)/インシリコ(In silico)分析法を含むが、これに制限されないこのような公知された生理化学的特性;及び/または(2)試験管内及び/または生体内薬理学的プロファイルに基礎する機能性DA作用剤であるものと期待される。
【0049】
2.1.構成要素1として間接DA作用剤が選択される場合(例えば、DAプロドラッグ、DA放出剤またはDA再取り込み阻害薬)、薬理学的に有効な及び/または5-HT拮抗剤(例えば、d-アンフェタミン、メチルフェニデート、選択的ドパミンノルエピネフリン再取り込み抑制剤)が薬理学的に有効なNE及び/または5-HT拮抗剤ではない間接DA作用剤(例えば、選択的DA再取り込み阻害薬)より好まれる。
【0050】
2.2.構成要素1として直接DA作用剤が選択される場合、非-選択的D1-型及びD2-型DA受容体作用剤がD1-選択的またはD2-選択的受容体作用剤に比べて好まれる。
【0051】
2.3.構成要素1として直接DA作用剤が選択される場合、また薬理学的に有効なNE及び/または5-HT作用剤として作用する作用剤がNE及び/または5-HT効能を伴わないものなどより好まれる。
【0052】
2.4.当該技術分野で熟練した者に公知された試験管内及び/または生体内試験(例えば、試験管内の溶解試験、生体内の薬物動態学的媒介変数の評価で即時で、かつ脈動性のある放出プロファイルを示す作用剤及びこれの薬剤学的に受容可能な塩及び任意の変形形態が即時性の、または遅延の、または脈動性の、延長されて/持続する放出プロファイルを示す任意の他の組み合わせ/順列に比べて好まれる。一つの好ましい試験管内の作用剤放出プロファイルは胃または腸の試験管内の溶解試験条件下で2時間以内で90%以上の溶解、より好ましいプロファイルは同じ試験条件下で1時間以内で80%以上の溶解である。
【0053】
2.5.作用剤及びこれの薬剤学的に受容可能な塩及び変形形態(いずれか一つ及び全体活性代謝産物を含んで)が人体内で20時間以下の除去半減期(terminal elimination half life;(t1/2)を有することができる。適合な除去半減期(t1/2)は、10時間以下であり、より適合する除去半減期は(t1/2)5時間以下である。
【0054】
3.構成要素2は、小分子、他の形態の分子及びこれの変形(例えば、製剤、プロドラッグなど)から選択されることができる。他の形態の分子には小さな干渉リボ核酸、マイクロRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、タンパク質(例えば、抗体)、自然-発生有機または無機分子、化学元素(例えば、リチウム)及び小分子よりもっと大きいまたは小さい任意の合成化合物が含まれるが、これに制限されず、これは好ましくは任意の安全な、受容可能で有効な投与の経路を通じて伝達され、機能異常神経回路が再活性化及び不安定な状態から安定した状態に転移される、機能異常神経回路の再強化を遮断するための単一の組み合わせ治療投与形態内に内包されることができる。
【0055】
4.一つの具体例において、構成要素2は5-HT2、5-HT3及びNK-1受容体サブタイプ(subtype)、単一-ヌクレオチド多型体及び人間で発現された個々の受容体の他の転写、翻訳及び翻訳-後変形を含んで5-HT2受容体の選択的または非-選択的受容体拮抗剤または逆作用剤(Inverse-agonist)、5-HT3受容体の選択的または非-選択的受容体拮抗剤または逆作用剤、NK-1受容体の選択的または非-選択的拮抗剤または逆作用剤である。これの具体的な例としてはケタンセリン及びこれの化学的同質体(例えば、ミアンセリン);ミルタザピン及びこれの化学的同質体(例えば、セチプチリン);オンダンセトロン、グラニセトロン、ドラセトロン、パロノセトロン及びトロピセトロンが含まれることができるが、これに制限されるものではない。
【0056】
選択された構成要素2の立体異性体が存在する場合、任意の立体異性体単独またはそれぞれの最適化された割合のこれの組み合わせが使われることができる。
【0057】
構成要素2は、また前記3で記述された任意の物質及びこれの変形であってもよく、これは(1)当該技術分野で熟練した者に公知された任意の分析方法によって評価されたような、そして薬理作用団-基盤「連結」、仮想電算検索及び他の試験管内/インシリコ分析法を含むが、これに制限されないこのような公知された生理化学的特性;及び/または(2)試験管内及び/または生体内薬理学的プロファイルに基づく5-HT2、5-HT3及び/またはNK-1作用剤での機能性拮抗剤であるものと期待される。
【0058】
4.1.構成要素2として5-HT2拮抗剤または逆作用剤が選択される場合、5-HT2A亜型単独、5-HT2C亜型単独または5-HT2A亜型及び5-HT2C亜型全てを好む拮抗剤または逆作用剤が異なる5-HT2亜型を好む他の5-HT2拮抗剤または逆作用剤より好まれる。
【0059】
4.2.構成要素2として薬理学的に有効な5-HT3拮抗剤または逆作用剤が選択される場合、拮抗剤または作用剤はアルファ7(α7)ニコチン性受容体(nicotinic receptor)から拮抗剤、逆作用剤または完全または部分作用剤として期待される生理化学的、試験管内及び生体内の薬理学的特性及び/またはプロファイルを示しても示さなくてもよい。選択的5-HT3拮抗剤は、5-HT3拮抗剤自体または薬理学的に有効なアルファ7ニコチン性拮抗剤、逆作用剤または完全または部分作用剤として期待されていたより、さらに好まれる。
【0060】
4.3.構成要素2として薬理学的で有効なNK-1拮抗剤または逆作用剤が選択される場合、拮抗剤または逆作用剤はNK-2及び/またはNK-3受容体亜型に比べてNK-1受容体亜型に対して選択的であっても選択的でなくてもよい。しかし、非-選択的NK-1拮抗剤が選択的NK-1拮抗剤より好まれる。
【0061】
4.4.当該技術分野で熟練した者に公知された試験管内及び/または生体内試験(例えば、試験管内の溶解試験、生体内の薬物動態学的媒介変数の決定)で遅延され脈動性の放出プロファイルを示す拮抗剤及びこれの薬剤学的に受容可能な塩及び任意の変形形態が即時性の、または遅延の、または脈動性の、延長され/持続する放出プロファイルを示す任意の他の組み合わせ/順列に比べて好まれる。一つの好ましい試験管内の拮抗剤放出プロファイルは、胃または腸試験管内の溶解試験条件下で3時間以上から10%以下の溶解ないし7時間以下で80%以上の溶解である。
【0062】
4.5.拮抗剤及びこれの薬剤学的に受容可能な塩及び変形形態(いずれか一つ及び全体活性代謝産物を含んで)が人体内で20時間以下の除去半減期(t1/2)を有することができる。適合する除去半減期(t1/2)は16時間以下であり、より適合する除去半減期(t1/2)は14時間以下であり、より好ましい除去半減期(t1/2)の範囲は3ないし13時間である。
【0063】
5.生体内投与の最大薬物濃度は、「Cmax」で規定し、Cmaxが到達する時間は「Tmax」と規定する。構成要素1の薬理学的に活性である形態のTmaxと構成要素2の薬理学的で活性である形態のTmax間の差は、組み合わせ治療の効能を決定するのに必須の役割をする。ここで記述されるすべての治療上の指標に対して、人間で構成要素1と構成要素2の薬理学的に活性である形態の血漿または血清濃度間のTmax分離は1ないし12時間の範囲であってもよい。適合する範囲は1ないし8時間で、より適合する分離は2ないし8時間である。より好ましくは2ないし7時間である。
【0064】
6.構成要素1及び/または構成要素2のTmaxは、(1)胃腸管、血液、肝または他の器官で活性化を遂行することを含むが、これに制限されない薬理学的に非活性であるプロドラッグの使用;または(2)薬理学的に有効な母形態(parent form)の剤型-基盤変形を含むが、これに制限されない多くの方法を通じて変更されることができる。pH-基盤、浸透圧-基盤、リポソーム-基盤変形方法を含むが、これに制限されない多くの剤型-基盤変形が用いられ、人間での生体内の薬物動態学的プロファイルで目標とすることを果たすことができる。
【0065】
7.組み合わせ治療のための組成物は、精製、カプセル、溶液、ゲル、懸濁液、フィルム、パッチ及び座薬を含むが、これに制限されない任意の投与形態に具現されることができる。前記投与形態は、薬剤学的組成物であってもよく、これは活性成分として前記構成要素1及び構成要素2を含み、そこに加えて、剤型化のための賦形剤、担体など薬剤学的に受容可能な添加剤をさらに含むことができ、前記添加剤は薬剤学的に受容可能なものであって、成形など剤型化を手助けし、摂取を手助けすることができるものであれば、どれも使用することができる。例えば、粉末として、または顆粒、溶液、または水性または非水性液体の中、懸濁液、水中油乳化液、または油中水液体乳化液で、所定量の活性成分を含む。各剤型は任意の薬学方法で調剤することができるが、すべての方法は一つ以上の必須成分で構成された担体を活性成分と会合させる段階を含む。一般に、組成物は液体担体または微分の固形担体または両方と活性成分を均一に、そして細細しく混合させることで調剤した後、必要な場合、目的とする形に生成物を成形する。例えば、精製は場合によって一つ以上の付属成分を利用して圧搾または成形によって調剤されることができる。圧搾された精製は適正な機械で場合によって賦形剤、非制限的な例として、バインダー、潤滑剤、不活性希釈剤及び/または表面活性剤または分散剤と混合された粉末または顆粒のような自由流動形態で活性成分を圧搾させることで製造することができる。成形された精製は適正な機械で不活性液体希釈剤に浸した粉末化合物の混合物を成形することで調剤することができる。
【0066】
本発明は、水が一部化合物の分解を助長することができるため、無水薬学組成物及び活性成分を含む剤型をさらに含む。例えば、軽視的に調剤物の寿命または安定性のような特徴を測定するために長期間保管を刺激する手段として薬学分野で水を添加することができる。本発明の無水薬学組成物及び剤型は、無水または低い水分含有成分及び低い水分または低い湿度状態を利用して製造することができる。乳糖を含む本発明の薬学組成物及び剤型は製造、包装及び/または保管の間、水分及び/または湿度と実質的な接触が予想される場合、無水物を製造することができる。無水薬学組成物を製造してこれの無水性質を維持するように保管することができる。よって、無水組成物は、適正な規定キットに含まれるように水に露出することを防ぐものと公知された材料を利用して包装することができる。適正な包装の例は、非制限的な例としては、密閉密封されたホイル、プラスチックなど、単位用量容器、発布剤パック及びストリップパックを含む。
【0067】
活性成分は、通常の薬学的化合技法によって薬学担体と結合混合物に配合されることができる。担体は投与に適正な調剤形態によって各種多様な形態を取ることができる。経口剤型用の組成物を調剤することにおいて、任意の通常的な薬学媒質は経口液体調剤物(例、懸濁液、溶液及びエリキシル)またはエアロゾルの場合、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、風味剤、保存剤、着色剤などのような担体を使うことができたり;または例えば、澱粉、糖類、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒剤、潤滑剤、バインダー及び崩壊剤のような担体は、乳糖使用を利用しない一部の具体例において、経口固形調剤物の場合に使うことができる。例えば、適正な担体は固形経口調剤物を有する粉末、カプセル及び精製を含む。必要に応じて、精製は標準水性または非水性技法によってコーティングすることができる。
【0068】
薬学組成物及び剤型に使うのに適正なバインダーは、非制限的な例として、とうもろこし澱粉、じゃがいも澱粉、またはその他の澱粉、ゼラチン、天然及び合成ガム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、その他アルギン酸塩、粉末化トラガカンス、グアゴム、セルロース及びこれの誘導体(例、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、糊化澱粉、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶質セルロース及びこれの混合物を含む。
【0069】
本願に開示された薬学組成物及び剤型に使うのに適正な充填剤の例は、非制限的な例として、滑石、炭酸カルシウム(例、顆粒または粉末)、微晶質セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、シリキ酸、ソルビトール、澱粉、糊化澱粉及びこれの混合物を含む。
【0070】
崩壊剤は、水性環境に露出する場合、崩壊される精製を提供するため、本発明の組成物に使うことができる。あまりにも多い崩壊剤は、病気で崩壊され得る精製を生産することができる。少なすぎると崩壊が起きるに不十分なため、剤型から活性成分(等)の放出速度及び程度が変更され得る。よって、活性成分(等)の放出が不利に変更されるように、少なからず多からず十分な量の崩壊剤を使って本願に開示された化合物の剤型を形成することができる。使われた崩壊剤の量は調剤物類型及び投与方式に従って変わることができ、当業者に容易に識別されることができる。約0.5ないし約15重量%の崩壊剤、または約1ないし約5重量%の崩壊剤を薬学組成物に使うことができる。本発明の薬学組成物及び剤型を形成するのに使うことができる崩壊剤は、非制限的な例として、寒天-寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリルリンカリウム、ナトリウム澱粉グリコレート、じゃがいもまたはタピオカ澱粉、その他澱粉、糊化澱粉、その他澱粉、粘土、その他アルギン、その他セルロース、ガムまたはこれの混合物を含む。
【0071】
本発明の薬学組成物及び剤型を形成するのに使うことができる潤滑剤は、非制限的な例として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、白色鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他グリコール、ステアリン酸、ナトリウムラリウル硫酸塩、滑石、硬化植物油(例、ピーナッツ油、綿油、ひまわりの種油、ごま油、オリーブ油、コーン油及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、エチルオレート、エチルラウレート、寒天、またはこれの混合物を含む。
【0072】
追加の潤滑剤は、例えば、サイロイドシリカゲル、合成シリカの凝固されたエアロゾル、またはこれの混合物を含む。潤滑剤は場合によって約1重量%未満の薬学組成物の量で添加されることができる。
【0073】
水性懸濁液及び/またはエリキシルが経口投与に適正な場合、これの必須活性成分は各種甘味料または風味剤、着色物質または染料及び、好ましい場合、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びこれの各種調合物のような希釈剤とともに乳化剤及び/または懸濁剤と配合されることができる。
【0074】
精製は、胃腸管で分解及び吸収を遅らすために公知された技法によって非コーティングまたはコーティングされることができ、長期間に亘った持続した作用を提供する。例えば、時間遅延材料、例えば、グリセリル モノステアレートまたはグリセリルジステアレートを使うことができる。経口使用用の剤型はまた硬質ゼラチンカプセルで存在することもでき、ここで活性成分は、不活性固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、カルシウム燐酸塩またはカオリンと混合して、または軟質ゼラチンカプセルとして、活性成分は水またはオイル媒質、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合する。精製は治療剤の迅速な放出のために精製を崩壊させることがある。
【0075】
本発明の薬学組成物及び剤型を形成するのに使うことができる界面活性剤は、非制限的な例として、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤及びこれの混合物を含む。すなわち、親水性界面活性剤の混合物を使うことができ、親油性界面活性剤の混合物を使うことができたり、または一つ以上の親水性界面活性剤及び一つ以上の親油性界面活性剤の混合物を使うことができる。
【0076】
適正な親水性界面活性剤は、通常10以上のHLB値を有することができるが、適正な親油性界面活性剤は、通常約10以下のHLB値を有することができる。非イオン性両新媒性化合物の相対的親水性及び疎水性を特性化させるのに用いられる実証的な変数は、親水性-親油性の均衡(「HLB」値)である。HLB値がもっと低い界面活性剤は、より親油性であったり疎水性であったり、オイルにおいて高い溶解度を有するのに対し、HLB値がもっと高い界面活性剤は、より親水性であり、水溶液においてより高い溶解度を有する。親水性界面活性剤は、通常HLB値が約10より大きい化合物と、一般にHLBの規模が適用できない陰イオン性、陽イオン性、または双生イオン性化合物が考慮される。これと同じように、親油性(すなわち、疎水性) 界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。
【0077】
しかし、界面活性剤のHLB値は、単に工業、薬学及び美容乳化液を調剤するのに一般に用いられる大体の指針である。
【0078】
親水性界面活性剤は、イオン性または非イオン性であってもよい。適正なイオン性界面活性剤は、非制限的な例として、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸の脂肪酸誘導体、オリゴペプチド及びポリペプチド;アミノ酸のグリセリド誘導体、オリゴペプチド及びポリペプチド;レシチン及び硬化レシチン;リゾレシチン及び硬化リゾレシチン;リン脂質及びこれの誘導体;リゾリン脂質及びこれの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ナトリウムドクセート;アシルラクチレート;モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化およびジアセチル化タルタル酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;及びこれの混合物を含む。
【0079】
前述の群内で、好ましいイオン性界面活性剤の例は、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質及びこれの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキル硫酸塩;脂肪酸塩;ナトリウムトクセート;アシルラクチレート;モノグリセリド及びジグリセリドのモノアセチル化及びジアセチル化タルタル酸エステル;スクシニル化モノグリセリド及びジグリセリド;モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステル;及びこれの混合物を含む。
【0080】
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチド酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチド酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル系エステル、ステアロイル-2-ラクチルレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化タルタル酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリスタート、パルミテート、オレエート、リシンオレエート、リノール酸塩、リノレン酸、ステアレート、ラウリル硫黄塩、テラセシル硫黄塩、ドクセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン及びこれの塩及び混合物のイオン化された形態であっても良い。
【0081】
親水性非イオン性界面活性剤は、非制限的な例として、アルキルグリコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグリコシド;ラウリルマクロゴ-ルグリセリド;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えば、ポリエチレングリコールアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、例えば、ポリエチレングリコールアルキルフェノール;ポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、例えば、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ポリオールとグリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸及びステロールからなる群の一つ以上の構成員の親水性エステル交換生成物;ポリオキシエチレンステロール、誘導体及びこれの類似体;ポリオキシエチル化されたビタミン及びこれの誘導体;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体;及びこれの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル及びポリオールとトリグリセリド、植物油及び硬化植物油からなる群の一つ以上の構成員の親水性エステル交換生成物を含むことができる。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトル、または多糖類であってもよい。
【0082】
その他、親水性-非イオン性界面活性剤は、非制限的な例として、PEG-10ラウレート、PEG-12ラウレート、PEG-20ラウレート、PEG-32ラウレート、PEG-32ジラウレート、PEG-12オレエート、PEG-15オレエート、PEG-20オレエート、PEG-20ジオレアート、PEG-32オレエート、PEG-200オレエート、PEG-400オレエート、PEG-15ステアレート、PEG-32ジステアレート、PEG-40ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-20ジラウレート、PEG-25グリセリルトリオレエート、PEG-32ジオレアート、PEG-20グリセリルラウレート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-20グリセリルステアレート、PEG-20グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルオレエート、PEG-30グリセリルラウレート、PEG-40グリセリルラウレート、PEG-40パンコネル油、PEG-50硬化ピザマー油、PEG-40ピザマー油、PEG-35ピザマー油、PEG-60ピザマー油、PEG-40硬化ピザマー油、PEG-60硬化ピザマー油、PEG-60コーン油、PEG-6カプレート/カプリレートグリセリド、PEG-8カプレート/カプリレートグリセリド、ポリグリセリル-10ラウレート、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトスロール、PEG-30ソヤステロール、PEG-20トリオレエート、PEG-40ソルビタンオレエート、PEG-80ソルビタンラウレート、ポリゾルベート20、ポリゾルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、トコフェイルPEG-100コハク酸塩、PEG-24コレステロール、ポリグリセリル-10オレエート、ツイン40(Tween40)、ツイン60、ザダンモノステアレート、ザダンモノラウレート、ザダンモノパルミテート、PEG 10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズ及びポロキサマーを含む。
【0083】
適正な親油性界面活性剤の例は、脂肪酸アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロール及びステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロール及びステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖類エステル;糖類エーテル;モノグリセリド及びジグリセリドの乳酸誘導体;ポリオールとグリセリド、植物油、硬化植物油、脂肪酸及びステロールからなる群の一つ以上の構成員の疎水性エステル交換生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;及びこれの混合物を含む。前記群内で、好ましい親油性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びこれの混合物、またはポリオールと植物油、硬化植物油及びトリグリセリドからなる群の一つ以上の構成員の疎水性エステル交換生成物を含む。
【0084】
一つの具体例において、組成物は活性成分などの溶解性を優良なものとし、沈澱を最小化させる可溶化剤を含むことができる。これは非経口用途のための組成物、例えば注射用組成物に特に重要とされ得る。可溶化剤をまた添加して親水性薬物及び/またはその他成分、例えば界面活性剤の溶解度を増加させたり、安定または均質の溶液または分散液としての組成物を維持することができる。適正な可溶化剤の例は、非制限的な例として、アルコール及びポリオール、例えばエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオル及びこれの異性体、グリセロール、ペンタエリトリトル、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;平均分子量が約200ないし約6000であるポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール)またはメトキシPEG;アミド及びその他窒素含有化合物、いわゆる2-ピロリドン、2-ピペリドン、エプシロン-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド及びポリビニルピロリドン;エステル、例えば、プロチオン酸エチル、トリブチルクエン酸塩、アセチルトリエチルクエン酸塩、アセチルトリブチルクエン酸塩、トリエチルクエン酸塩、エチルオレート、エチルカプリレート、エチルブチレート、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラククトン及びこれの異性体、δ-バレロラクトン及びこれの異性体、β-ブチロラクトン及びこれの異性体;及び当業界に公知されたその他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N-メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及び水を含む。
【0085】
可溶化剤の混合物もまた使うことができる。非制限的な例として、トリアセチン、トリエチルクエン酸塩、エチルオレート、エチルカプリレート、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200-100、グリコピロール、トランスクトール、プロピレングリコール及びジメチルイソソルビドを含む。特に好ましい可溶化剤は、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG-400、グリコピロール及びプロピレングリコールを含む。
【0086】
含まれ得る可溶化剤の量は、特に制限されない。所定量の可溶化剤は、当業者によって容易に測定されることができる生物学的に許容される量に限定することができる。一部の環境において、生物学的に許容される量を超過しない可溶化剤の量を含ませること、言い換えれば、薬物の濃度を最大化させることが有利となり得、過量の可溶化剤は、通常の技法、すなわち蒸溜または蒸発を利用して患者に組成物を提供する前に取り除かれる。したがって、存在する場合、可溶化剤は、薬物及びその他賦形剤を合わせた重量を基準で10重量%、25重量%、50重量%、100重量%、または最大約200重量%の重量比であっても良い。必要に応じて、極少量の可溶化剤、すなわち、5%、2%、1%以下もまた使用しても良い。通常、可溶化剤は、約1%ないし約100%、さらに一般に約5重量%ないし約25重量%の量で存在しても良い。
【0087】
組成物は、一つ以上の薬学的に許容される添加剤及び賦形剤をさらに含むことができる。前記添加剤及び賦形剤は、非制限的な例として、粘着減少剤、消泡剤、緩衝剤、重合体、酸化防止剤、保存剤、キレート剤、粘度調節剤、緊張剤、風味剤、着色剤、臭気剤、不透明化剤、懸濁剤、バインダー、充填剤、可塑剤、潤滑剤及びこれの混合物を含む。
【0088】
また、酸または塩基は、処理を容易にしたり、安全性を向上させるため、またはその他の理由で、組成物に取り入れることができる。薬学的に許容される塩基の例はアミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、珪酸アルミニウムマグネシウム、合成珪酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、水酸化アルミニウムマグネシウム、ジソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリゾプロパンオールアミン、トリメチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS) などを含む。また、適正なものとしては、薬学的に許容される酸、例えばアセト酸、アクリル酸、アジプ酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、ベンゾ酸、ホウ酸、ブチル酸、カルボン酸、クエン酸、脂肪酸、ホルム酸、プマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、タルタル酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などの塩である塩基を含む。ポリプロト酸の塩、例えば、ナトリウム燐酸塩、燐酸水素2ナトリウム及び燐酸2水素ナトリウムもまた使うことができる。塩基が塩である場合、陽イオンは、任意の通常的で薬学的に許容される陽イオン、すなわち、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土金属などであってもよい。非制限的な例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム及びアンモニウムを含むことができる。
【0089】
適正な酸としては、薬学的に許容される有機酸または無機酸である。適正な無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウカ水素、硫酸、窒酸、ホウ酸、燐酸などを含む。適正な有機酸の例は、アセト酸、アクリル酸、アジプ酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、ベンゾ酸、ホウ酸、ブチル酸、カルボン酸、クエン酸、脂肪酸、ホルム酸、プマル酸、グルコン酸、ヒドロキノンスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ-ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、タルタル酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などを含む。
【0090】
注射用薬学組成物の一部の具体例において、本発明は、活性成分として構成要素1及び構成要素2、特に構成要素1の副作用を減少させたり、取り除く製剤を含む注射用薬学組成物を提供する。一部の具体例において、本発明は、構成要素1の副作用を減少させたり、取り除く製剤及び注射に適正な薬学賦形剤の調合物を含む注射用薬学組成物を提供する。組成物内の製剤の成分及び量は、本願に記述されたとおりである。
【0091】
本発明の新規組成物を注射で投与するために導入できる形態は、水性または油性懸濁液、または乳化液、ごまあぶら、コーン油、綿油、またはピーナッツ油及びエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液及び類似薬学媒介体を含む。
【0092】
食塩水の中、水溶液は、さらに注射にも通常に用いられる。エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど(及びこれの適正な混合物)、シクロデキストリン誘導体及び植物油もまた使用しても良い。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散液の場合、要求された粒度の維持、且つ界面活性剤の使用によって維持されることができる。微生物作用の防止は、各種抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによって阻むことができる。
【0093】
滅菌注射可能液を要求したとおり、前記列挙したように、各種その他の成分を有する適正な溶媒中に要求量で活性成分を導入させた後、濾過された滅菌で製造する。一般に、分散液は塩基性分散液媒質及び前記列挙されたことからの要求されたその他の成分を含む滅菌媒介体で各種滅菌された活性成分を取り入れることで調剤される。滅菌注射可能液の調剤のための滅菌粉末の場合、好ましい調剤方法は、活性成分の粉末とこれの事前に滅菌濾過された溶液から任意の追加の目的とする成分を形成する真空乾燥及び凍結乾燥技法である。
【0094】
本発明の組成物は、局所または局所投与に適正な固形、半固形、または液体形態、例えば、ゲル、水溶性ゼリー、クリーム、ローション、懸濁液、発泡体、粉末、スラリー、軟膏、溶液、オイル、ペースト、坐剤、スプレー、乳化液、食塩水溶液、ジメチルスルポキシド(DMSO)系溶液で調剤物に剤型されることができる。一般に、密度の高い担体は、活性成分に長期間露出された部分を提供することができる。これとは対照的に、溶液調剤物は、選択された部分に活性成分の即刻な露出をさらに提供することができる。
【0095】
薬学組成物は、また適正な固形またはゲル状担体または賦形剤を含むことができ、これは肌の角質層透過性障壁を横切る治療的分子の透過率を増加させたり、前記分子の伝達を促進させたりすることができる化合物である。局所剤型分野で養成されたものと公知された多数の透過向上性分子が存在する。前記担体及び賦形剤の非制限的な例として、湿潤剤(例、ウレア)、グリコール(例、プロピレングリコール)、アルコール(例、エタノール)、脂肪酸(例、オレイン酸)、界面活性剤(例、イソプロピルミリステート及びナトリウムラリウル硫酸塩)、ピロリドン、グリセロールモノラウレート、スルポキシド、テルペン(例、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、カルシウム燐酸塩、各種糖類、澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン及び重合体、例えば、ポリエチレングリコールを含む。
【0096】
本発明の方法にて用いられるもう一つの剤型は、経皮的伝達手段(例、パッチまたはミニポンプ)を使う。前記経皮性手段は、制御された量で活性成分の連続または不連続の注入を提供するのに使うことができる。よって、一部の具体例において、本発明は、作用剤及び/または拮抗剤を導入させる経皮性手段を提供する。
【0097】
薬学製剤の伝達のための経皮性手段の作製及び用途は、当業界に公知されている。例えば、米国特許番号第5,023,252号、同第4,992,445号及び同第5,001,139号参照。前記手段は、薬学製剤の連続的伝達、拍動的伝達、または要求即刻、伝達に作製されることができる。
【0098】
吸入用薬学組成物、吸入または取入のための組成物は、薬学的に許容される水性または有機溶媒、またはこれの混合物及び薬学的に許容される粉末における溶液及び懸濁液を含む。液体または固形組成物は、前記記述された適正な薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。好ましくは、組成物は局所または全身効果のために経口または鼻内呼吸経路を通じて投与される。好ましくは、薬学的に許容される溶媒中、組成物は不活性気体を使って煙霧されることができる。煙霧溶液は、煙霧装置から直接吸入できたり、または煙霧装置は、フェイスマスクテント、または間歇的に陽性圧力呼吸器に附着することができる。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適正な手段で剤型を伝達する手段から、好ましくは経口または鼻内に投与されることができる。
【0099】
その他の薬学組成物は、さらに本願に記述された組成物及び舌下、頬側、直腸内、骨髓内、眼球内、鼻内、硬膜外、または脊髓内投与に適合する薬学的に許容されるが、以上の賦形剤から製造することができる。前記薬学組成物の製造は、当業界によく公知されている。例えば、文献[Anderson,philip O.;Knoben, James E.;Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990;Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 20037ybg; Goodman and Gilman, eds.,The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001;Remingtons Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000;Martindale、The Extra Pharmacopoeia,Thirty-Second Edition (The Pharmaceutical Press,London,1999)]を参照して;前記すべての文献は、その全文が本願に参照として引用される。
【0100】
8.組み合わせ治療投与形態は、経口、静脈内、鼻内(intranasal)、吸入(例えば、投与量-計量肺内)、舌下、経皮、皮下、脳内経路を含むが、これに制限されない任意の経路及び方法を通じて投与されることができる。
【0101】
9.組み合わせ治療で治療できる神経精神系障害には、PUD、LTD及びPTSDが含まれる。PUD、LTD及びPTSDに加え、適応症(indications)には (1)タバコ使用障害、アルコール使用障害及び大麻使用障害を含むが、これに制限されない他の物質関連障害;(2)常習賭博及びネット中毒を含むが、これに制限されない行動中毒障害;(3)反応性愛着障害、急性ストレス障害及び適応障害を含むが、これに制限されない他の外傷及びストレス関連障害;(4)汎不安障害、恐慌障害、アゴラフォビア、物質/薬物-誘発不安障害を含むが、これに制限されない不安障害;(5)強迫障害、身体醜形障害、溜め込み障害、抜毛癖及び皮膚むしり症を含むが、これに制限されない強迫障害;及び (6)神経性食欲不振症、大食症及び過食障害を含むが、これに制限されない摂取障害を含むが、これに制限されるのではない。
【0102】
10.組み合わせ投与形態は、他の治療及び投与形態とともに使われて単独で与えられた組み合わせ投与形態の効果に比べて付加のまたは上昇作用的な効果を果たすことができる。組み合わせ治療とともに使われることができる治療法または投与形態の例には、認知行動治療(congnitive behviroal therapy)、消去治療(extinction therapy) 及び曝露治療(exposure therapy) などのような行動治療(behaviroal therapy) 及び抗癲癇剤 (anti-epileptics)、抗精神病剤(antipsychotIcs)、抗うつ剤(antidepressants) 及びケタミン(ketamine)を使う薬物治療を含むが、これに制限されない。
【0103】
11.このような障害の多くの症状及び徴候が、併存障害、2次症状/徴候及び/またはこのような障害の治療の副作用として、他の原発性神経精神病診断の患者からたびたび観測される程度まで、組み合わせ治療が上昇作用的、付加的、改良の及び/または予防的な補助治療として使われることができる。
【0104】
12.一つの好ましい組み合わせの投与形態で、構成要素1は、メチルフェニデートの任意の無修正のまたは任意の他の即時-放出剤型であり、構成要素2は、オンダンセトロンの任意の遅延された、脈動性-放出剤型である。メチルフェニデートとオンダンセトロン投与量の任意の組み合わせ/順列が使われることができる。投与形態中のメチルフェニデートに対する好ましい投与量は、無修正のメチルフェニデート塩酸塩の0.1ないし80mgの等価物で、オンダンセトロン剤型に対する好ましい投与量の範囲は、未受精のオンダンセトロン塩酸塩の0.1ないし32mgの等価物である。投与形態中のメチルフェニデートに対するより好ましい投与量範囲は、未受精のメチルフェニデート塩酸塩の1ないし80mgの等価物であり、オンダンセトロン剤型に対するより好ましい投与量範囲は、未受精のオンダンセトロン塩酸塩の1ないし16mgの等価物である。投与形態中のメチルフェニデートに対するより好ましい投与量範囲は、未受精のメチルフェニデート塩酸塩の5ないし60mgの等価物で、オンダンセトロン剤型に対するより好ましい投与量範囲は、未受精のオンダンセトロン塩酸塩の4ないし16mgの等価物である。好ましい等価の投与量範囲以内でのメチルフェニデート及びオンダンセトロンの任意の固定-投与量順列が単一の投与形態内で具現されることができる。
【0105】
13.選択された構成要素1の立体異性体が存在する場合、任意の立体異性体単独またはそれぞれの最適化された割合のこれの組み合わせが組み合わせ治療の具体例において、使われることができる。LIDの治療のための投与形態で構成要素2として抗うつ剤ミルタザピン(Mirtazapine)(例えば、Remeron(R))のS(+)立体異性体であるエスミルタザピン(esmirtazapine)が他のものなどに比べて立体異性体の好ましい用途の一つの例である。
【0106】
13.1.ミルタザピンは4環の、ピペラジン-アゼピン化合物(tetracyclic,piperazino-azepipne compound)(1,2,3,4,10,14b-ヘキサイドロ-2-メチルピラジノ-[2,1-a]ピリド[2,3-c]ベンズアゼピン(1,2,3,4,10,14b-hexahydro-2-methylpyrazIno [2,1-a] pyrIdo [2,3-c] benzazepine);C17H19N3;分子量:265,36)で、いわゆるノ-ルアドレナリン活性化/特異的セロトニン作動性の抗うつ剤である。常用的に獲得可能なミルタザピン製剤(例えば、ReMeron(R))は、S(+)及びR(-)鏡像異性体の50:50ラセミ体混合物として試販されている。
【0107】
13.2.この薬物は、5-HT3、アドレナリン作用性α2及びヒスタミンH1受容体に対しても同様に5-HT2A及び5-HT2C受容体に対して高い親和性を有する。さらに、たとえこの薬物が5-HT1A受容体に対して最低親和性を有するが、この薬物はまたα2アドレナリン作用性自己-及び異種受容体の遮断及び後続するセロトニン放出での間接的な増加を通じて5-HT1A-依存性神経伝達を強化することができる。この薬物は、5-HT2及び5-HT3受容体拮抗剤であるため、5-HT1A-媒介セロトニン作用性伝達が優先的に向上される(機能性5-HT1A 作用剤)。
【0108】
13.3.R(-)鏡像異性体に比べて、エスミルタザピンは(1)5-HT2A及び5-HT2C(及びα2アドレナリン作用性)受容体に対して高い親和性を現わし;(2)腸壁の中における「鏡像異性体選択性(enantioselective)」輸送過程を通じてより早く(しかし、過度になりすぎないように) 吸収されることができ;(3)脳内にさらにもっと蓄積されることができる。このような発見は、相対的にもっと低い経口投与量の構成要素2がLIDの組み合わせ治療で効果的であることを暗示する。さらに、エスミルタザピンはR(-)鏡像異性体に比べてもっと短い除去半減期(terminal elimination half-life(t1/2)、約50%)を有する。よって、エスミルタザピンがラセミ体ミラトザピン(例えば、ReMeron(R)) またはR(-)鏡像異性体に比べて過度な昼間過眠症などのような有害な副作用がより低く発生することに連関するものと思われる。
【0109】
13.4.エスミルタザピンは、臨床的に有意味の遺伝的多型を示すCYP2D6に主に代謝される。よって、その掃除は、過度な代謝者に比べてより低い代謝者からは、さらに2倍低い。よって、任意の投与量のエスミルタザピンが単一の組み合わせ治療投与形態内に具現される一方で、組み合わせ治療の開示に先立って個々患者でのCYP2D6表現型の決定が個々の患者に対する薬物遺伝学的に好ましいエスミルタザピン投与量を選択することを許容することができる(「個人化された薬物」)。
【0110】
[発明の実施のための形態]
実施例1: [MPh-IR+Ond-PR2]: 臨床2A期安全性/効能の概念への検証
【0111】
Ond-PR2は、活性薬剤学的成分(API)としてオンダンセトロンから製造されたビッド剤型である。MPh-IRは、メチルフェニデートの即時-放出一般剤型である。[MPh-IR+Ond-PR2]は、構成要素1及び2としてそれぞれMPh-IR及びOnd-PR2からなる単一のカプセル化された投与形態である。試験管内の溶解試験及び普通の健康な志願者の中でのPK及び安全性評価(臨床1期)に後続し、本発明者は概念検証の、ランダム化された二重盲検法の、胃薬-制御臨床2A期安全性/効能臨床試験を遂行した。居住プログラムを通じて常住しながら、1次的な精神刺激薬濫用へのDSM-4基準を満たす全48名の患者を検索し、30名の適格対象者を[MPh-IR+Ond-PR2]または胃薬処理群の二群にランダムに分類した。
【0112】
[MPh-IR+Ond-PR2]またはデキストロース(胃薬)の中の一つを含む単一カプセルを1日1回14日間投与した。対象者は、また一番目の試験投与1ないし7日以前(処理-以前) 及びまた最後の投与後、3日目ないし7日目の間でまた単一のfMRI-基盤評価を遂行した(すなわち、完全な薬効洗滌以後に処理-以後評価が遂行される)。定着された休止-状態(resting-state)、信号-反応性(cue-reactivity)及び任務遂行/非遂行パラダイム(Go/noGO tsk paradigm)下での行動レベル尺度(behavioral rating Scale) 及び血中酸素依存性(BOLD:blood-oxygennation-level-dependent) 機能映像化結果をグループ比較(group comparIson)のための結果で測定した。
【0113】
28名の対象体が2-週間の薬物処理及び処理-以前及び処理-以後のfMRI評価を完了した。
【0114】
[MPh-IR+Ond-PR2]PK分析
【0115】
1日目及び14日目で、(1)血清メチルフェニデート及びオンダンセトロン濃度を定量化することで、2種の構成要素(すなわち、MPh-IR及びOnd-PR2)のPK媒介変数を測定し;(2)14日間1日1回投与後、これら媒介変数の変化があるのか決めるために[MPh-IR+Ond-PR2]カプセルの単一経口投与後に24-時間血液PKサンプルを収集した。毎時点での血液メチルフェニデート(MPh-IR)及びオンダンセトロン(Ond-PR2)濃度に対する技術統計が平均、標準ムラ及び変動係数に要約された。PK媒介変数の予測及び統計学的分析は、SAS9.3及びBABE SolutIonを利用して遂行された。
【0116】
表1は、処理最初日及び最終日(それぞれ1日目及び14日目)での[MPh-IR+Ond-PR2]組み合わせカプセルの単一の経口投与後、メチルフェニデート及びオンダンセトロンのPK媒介変数を示す。1日目及び14日目の間でメチルフェニデートまたはオンダンセトロンの中、いずれか一つに対するCmax、CMIn、 Tmax 、t1/2、AUC(0-24)、AUC(0-無限) 及びKel媒介変数で有意味の変化が観測されなかった。
【0117】
【0118】
PUD患者における[MPh-IR+Ond-PR2]の効能
【0119】
すべての治療-以前及び治療-以後の行動レベル及びfMRIデータは、先に事後-事前の差を点数に変換した。その結果の胃薬及び[MPh-IR+Ond-PR2]群に対する[事後-事前]点数が共変量として個々の対象体への禁断持続期間(3.0 ないし12ヶ月)に対する共変数の一元配置共分散分析(one-way analyses of covariance)(ANCOVA))を使って比較された(p≦0.05)。提供されたデータは選択され、提供された実施例である。
【0120】
精神刺激薬-連関視覚信号に対する露出以後の自己-報告された渇望点数。[MPh-IR+Ond-PR2]に対する臨床2A段階で、対象患者が神経画像スキャナ(neuroimaging scanner)内で信号-反応性作業を遂行する間、渇望レベルの点数を提供した。本発明者は、各治療群に対して渇望レベルでの変化(治療以後-治療以前)を評価した。ANCOVA(共変量として禁欲期間)は、14日間の[MPh-IR+Ond-PR2]治療が神経画像スキャナ内で自己-報告された渇望レベルが有意味に減少されたことを示す(表2)。
【0121】
【0122】
前記表2で、prob.>|t|は、実際の差が0の場合、平均群のムラの予測された値(例えば、コカイン信号反応性に対して-1.63)を取得する可能性を意味する。コカイン渇望点数に対しては、組み合わせ治療及び胃薬治療群が等しい平均点数(すなわち、ムラなし)を有することが約3.3%の可能性がある。95%CI(95%信頼区間(Confidence inverval))は組み合わせ治療及び胃薬治療の患者母集団間の正規母集団平均(true population inverval)が低い数と高い数の間(例えば、コカイン渇望点数に対しては -3.12ないし-0.14)に落ちるということを95%信頼することを意味する0を含まない信頼区間は、治療間に95%信頼で有意味のムラを宣言する。その反面、平均ムラ数(例えば、コカイン渇望点数に対しては-1.63)は、本発明者の1回実験(すなわち、n=24)で組み合わせ治療と胃薬治療患者の間の単純な平均ムラである。
【0123】
シフマン-ジャービクサブスケールスコア(Shiffman-Jarvik Subscale Scores)。PUD患者の大部分はこれらがまた併存診断としてタバコ使用障害と診断されたかどうかに関係なくタバコ製品を使う。シフマン-ジャービク離脱症状尺度(SJWS:Shiffman-Jarvik Withdrawal Scale)は、ニコチン禁断症状を評価するのに使われる心理学的試験の一つである(文献Shiffman-Jarvik 、1976参照)。SJWSの縮約版(short Version)(McClernon et al.,2005)を治療-以前及び治療-以後神経画像測定評価期間の間にPUD患者に実施された。ANCOVA(共変量として禁欲期間)は、14日間の[MPh-IR+Ond-PR2]治療がPUDと診断された患者からSJS渇望及び否定的感情のサブスケールに対する点数が有意味に減少されたことを示す(表2)。
【0124】
実施例2.ペルゴリド/ケタンセリン治療によるレボドパ-誘発異常付随運動(LIAIM:levodopa-induced abnormal involutary movement)の反転
【0125】
本発明で提示される作用剤/拮抗剤組み合わせ治療がLIDを効果的に反転させて、レボドパ効能を回復することができることを証明するために、DA作用剤ペルゴリド及び5-HT2A/2C拮抗剤ケタンセリンの組み合わせに対するLIDの動物モデル実験を実施した。この実験で組み合わせ治療によるLIDの動物モデルレットからの有意味のレボドパ-誘発異常不隨意運動(LIAIM)減少を確認した(
図3)。
【0126】
当該実験で使われた動物モデルの製造は、次のように進められた。まず、レットの右内側前脳束(right medial forebrain bundle)内へのドパミン神経毒素6-ハイドロキシドパミン(6-OHDA:6-hydroxydopamine)の1回注射によって黒質ドパミン線条体路(nigrostriatal DA pathway)の片側病変を誘発させた。以後、6-OHDA処置3週間後になって、該当のレットに対して3週間の間、毎日2回ずつレボドパメチルエステル(6.5mg/kg腹腔内ベンセラジド直前に25mg/kg)を投与してレボドパ-誘発異常不隨意運動(LIAIM)を誘発させた。この時、実験動物のLIAIM水準評価の場合、標準LIAIMレベルの尺度を使ってレボドパ投与の間、週2回3時間ずつLIAIM点数を測定して評価した。LIAIM構築後、LIAIM値が25を超過して重症度のLIAIM点数が見えられ、結合された四肢(limb)と体軸が観察される動物を選別した後、この動物たちを対象に2週間(1)ペルゴリド(0.1mg/kg)投与3.5時間後、5-HT2A/2C拮抗剤ケタンセリン(1mg/kg)投与[L_PK群];(2)ペルゴリド+塩水3.5時間後投与[L_PS群];及び(3)DMSO(塩水の中1%)+塩水3.5時間後、投与[L_SS群]の3種の投与治療中の一つで投与した。この時、すべての薬物投与は皮下注射で遂行した。
【0127】
最終L_PK、L_PSまたはL_SS投与後2日後、すべての動物に対して25Mg/kgレボドパを投与した後、LIAIM点数を再度測定した。逆転治療-以後及び逆転治療-以前点数の間の割合で表された計LIAIM点数に対して有意味の逆転治療効果が発見され(F(2,23)=8.841,p < 0.001、一元配置分散分析ANOVA;
図2、左側パネル);事後ニューマン-コイルス検定(post-hoc Newman-Keul’test)は、組み合わされたペルゴリド/ケタンセリン治療(L_P/K)がL_SSまたはL_PS治療に比べてLIAIMを有意味に減少させたことを示した(p < 0.05)。後者の二つの群の間では差異点が観測されなかった。右側パネルは、前-時間経過を示し、これはL_P/Kが減少された最大LIAIM点数と同じくもっと早いLIAIM終了を示すことを表す。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、神経精神系障害の組み合わせ治療のための組成物の製造と同じ製薬産業及びその連関産業で利用されることができる。