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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】姿勢保持具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20241126BHJP
   A47C 7/40 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61F5/01 K
A47C7/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023094596
(22)【出願日】2023-06-08
(62)【分割の表示】P 2021138275の分割
【原出願日】2014-11-27
(65)【公開番号】P2023115052
(43)【公開日】2023-08-18
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2013248359
(32)【優先日】2013-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2014083170
(32)【優先日】2014-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04911502(US,A)
【文献】特開2011-254878(JP,A)
【文献】特表2012-515629(JP,A)
【文献】特開2009-160195(JP,A)
【文献】米国特許第04047757(US,A)
【文献】米国特許第05076646(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 3/12,3/16,7/40
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の臀部を支持可能な臀部支持部と、着座者の腰部の両側を後方から支持可能な一対の腰部支持部とを有する本体を備え、前記両腰部支持部は、内側前方を指向する膨出形状に形成されており、
前記一対の腰部支持部の付け根部の幅は同付け根部の上方よりも狭い姿勢保持具。
【請求項2】
前記本体を硬質の板材によって構成した請求項1に記載の姿勢保持具。
【請求項3】
前記両腰部支持部は、着座者の腰部の骨盤部分の両側を、着座者の背骨を避けて後方から内側前方に向かって押すことができるように、内側前方を指向する膨出形状に形成されている請求項1又は2に記載の姿勢保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば椅子の座部に載せて使用されるものである
【背景技術】
【0002】
従来、この種の姿勢保持具としては、例えば特許文献1に開示される構成が提案されている。この従来構成においては、姿勢保持具全体が発泡ポリウレタン等の厚手のクッション材により一体に成形されている。この姿勢保持具には、着座者の体重の大部分を負担する座部が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-254878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
の発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、この姿勢保持具は、着座者の臀部を支持可能な臀部支持部と、着座者の腰部の両側を後方から支持可能な一対の腰部支持部とを有する本体を備え、前記両腰部支持部は、内側前方を指向する膨出形状に形成されている
【0006】
また、前記本体を硬質の板材によって構成した。
【発明の効果】
【0007】
前記の姿勢保持具によれば、着座者の臀部を支持可能な臀部支持部と、着座者の腰部の両側を後方から支持可能な一対の腰部支持部とを有する本体を備え、前記両腰部支持部は、内側前方を指向する膨出形状に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の姿勢保持具を示す斜視図。
図2図1の姿勢保持具の正面図。
図3図1の姿勢保持具の平面図。
図4】人体の骨格とあわせて使用状態を示す図2の4-4線の位置における側断面。
図5】使用状態を示す臀部支持部の位置における正断面図。
図6】使用状態を示す太腿支持部の位置における正断面図。
図7図2の7-7線断面図。
図8図2の8-8線断面図。
図9】使用状態を斜め後方から見た図。
図10】本体の正面図。
図11】姿勢保持具の積層構造を示す断面図。
図12図10の12-12線における断面図。
図13】第2実施形態の本体の正面図。
図14】第3実施形態の姿勢保持具を示す斜視図。
図15図14の姿勢保持具の背面側の斜視図。
図16図14の姿勢保持具の分解斜視図。
図17図14の姿勢保持具の正面図。
図18図17の18-18線における拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の姿勢保持具を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
まず、図1図12に基づいて、第1実施形態について説明する。
【0010】
図1図3に示すように、この実施形態の姿勢保持具21は、全体としてほぼ花弁形状に形成されている。姿勢保持具21は、ポリプロピレン等の硬質合成樹脂製の板材よりなる本体22(図4及び図5参照)を含んで構成されている。ここで、硬質合成樹脂とは、発泡材あるいは発泡されていない充実材であって、自重で変形することなく自立可能な硬度を有し、例えば、ロックウェル硬度でR50~110の値の硬度を有する。
【0011】
図4及び図5に示すように、姿勢保持具21の前後方向の中央部には、着座者41の臀部42を支持する凹状湾曲形状の臀部支持部23が形成されている。姿勢保持具21の一端側である前部下側には前方に向かって前部突出部24が形成されている。姿勢保持具21の他端側である後部上側には上方へ向かって上部突出部25が形成されている。図1及び図2に示すように、前記上部突出部25の付け根部の左右の両側部には、上部突出部25の後傾方向への適度な撓曲を可能にするために、一対の第1抉り部30が形成されている。
【0012】
図4及び図5に示すように、前記臀部支持部23は、着座者41の臀部42を前後方向及び左右方向から安定に支持するように、上面が前後方向及び左右方向において曲面状に形成され、全体としてほぼ球状曲面の凹状に形成されている。臀部支持部23の下面も球状曲面形状に形成されている。そして、臀部支持部23及び前部突出部24の下面は連続する球状曲面形状に形成されている。図1及び図3に示すように、前部突出部24の中央部前側には、第2抉り部26が形成されている。図6に示すように、前部突出部24の左右両側には、つまり第2抉り部26の両側には、着座者41の下肢45をほぼ平行に揃えた状態に支持できるように、前方から見て凹状に湾曲した形状の左右一対の太腿支持部27が形成されている。これらの太腿支持部27は、太腿43をその下側から包み込むように支持する。また、太腿支持部27は凹状湾曲形状になっているため、太腿43が左右に開くことを規制する。
【0013】
図2図7及び図8に示すように、前記上部突出部25には、上部281が凸状湾曲形状をなすとともに、下部282が凹状湾曲形状をなす左右一対の腰部支持部28が形成されている。各腰部支持部28には凸状湾曲形状をなす上部281が内側前方を指向するように斜め前方に向かって膨出形成されている。そのため、図4及び図5に示すように、着座者41の腰部44の骨盤151部分の両側を、背骨152を避けて後方から内側前方に向かって押すことができるようになっている。一対の腰部支持部28の間には、第3抉り部29が形成されている。
【0014】
図12に示すように、第1抉り部30の奥部における本体22の縁部301の肉厚t1は、本体22の他の部分の肉厚t2よりも厚く形成されている。すなわち、腰部支持部28の撓曲時に、本体22の第1抉り部30の奥部の縁部301に集中応力が作用する。そして、この応力により縁部301及びその近傍部分にクラック等の発生のおそれがある。この場合、このクラック等は肉厚t1の増加によって抑止されるようになっている。
【0015】
図2及び図7に示すように、姿勢保持具21の臀部支持部23の下面両側には、一対の脚31が突設されている。そして、姿勢保持具21を椅子100の座部等の設置面上に載置したとき、この脚31を介して姿勢保持具21が設置面上において滑りをあまり生じることなく、安定状態に支持されるようになっている。特に、この脚31は姿勢保持具21の左右方向の動きを規制し、着座者41の上体が左右に傾斜しにくいようにする。
【0016】
図11に示すように、前記本体22の着座側の面には、連泡性の発泡ポリウレタン等よりなるクッション材32が貼着されている。本体22及びクッション材32を含む姿勢保持具21全体には、外装シート34が被覆されている。この外装シート34は、外側の織布あるいは編布よりなる表皮シート341と、その表皮シート341の裏面にラミネートされた連泡性のEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)等の弾性材よりなる裏シート342とによって構成されている。
【0017】
図10に示すように、本体22における上部突出部25の下部には複数の第1孔33が相互間隔をおいた位置において貫設されている。このようにすれば、第1孔33により発汗にともなう湿気を逃がすことができる。また、クッション材32の成形の際に、図11に示す通り、第1孔33内にクッション材32の一部が進入する。クッション材32の一部が、第1孔33内に進入することで、本体22の表面からのクッション材32の剥離や、その表面上におけるクッション材32の移動が抑止される。
【0018】
本体22の全体には、複数の小さな第2孔221が形成されている。この第2孔221は前記第1孔33とともに、着座者の発汗にともなう湿気を逃がすためのものである。この第2孔221内にもクッション材32の成形の際にその一部が進入される。
【0019】
次に、前記のように構成された姿勢保持具21の作用を説明する。
例えばオフィスにおいて、椅子に着座してデスクワークを行う際に、この姿勢保持具21を使用する場合には、姿勢保持具21を椅子の座部上に載置する。この状態で、図4図6及び図9に示すように、着座者41が姿勢保持具21上に着座すると、臀部支持部23から前部突出部24に跨る位置の下面が球状曲面形状に形成されているため、着座者41の体重により姿勢保持具21がわずかに前傾状態になり、この状態で着座者41の臀部42が球面凹状の臀部支持部23上に支持される。このとき、臀部支持部23は左右の脚31によって左右方向への傾斜が規制されるため、左右方向においては、臀部支持部23は比較的安定している。
【0020】
このように、姿勢保持具21のわずかな前傾とともに着座者41の臀部42もわずかに前傾することで、着座者41の骨盤151が立った状態となり、その状態で着座者41の臀部42が臀部支持部23上に支持されることとなる。なお、骨盤151が立つことで背筋(せすじ)が自然に伸びる状態になるので、姿勢保持具21が前傾しても、着座者の上体が前傾することはない。また、着座者41の両太腿43が前部突出部24上の凹状湾曲形状の太腿支持部27によりほぼ平行状態に支持される。従って、着座者の下肢45が揃えた状態でサポートされる。
【0021】
さらに、姿勢保持具21の前傾により、上部突出部25の一対の腰部支持部28も前方に移動することで、図3及び図4に示すように、着座者41の腰部44における腸骨を含む骨盤151部分が左右から包み込まれるように支持される。このとき、図8に示すように、腰部44の両側が上部突出部25の一対の腰部支持部28における凸状湾曲形状の上部281により、後方から内側前方に向かって押されて支持される。これによって、着座者41の背筋が無理なく自然に伸びて、良好な座り心地を得た状態で姿勢が正しい状態にサポートされる。従って、着座者41は、ほとんど疲労を感じることなく、正しい姿勢を長時間維持できる。
【0022】
この場合、姿勢保持具21の上部突出部25の付け根部の両側部に、一対の第1抉り部30が形成されている。このため、着座者41が着座状態で、後方にもたれかかった場合、上部突出部25が第1抉り部30によって幅狭にされた部分において後傾方向へ適度に撓曲されて、着座者41の動きが許容される。また、着座者41が太り気味の場合や大きな体形の場合には、その体形による窮屈さが第1抉り部30によって軽減されて、快適な座り心地を確保することができる。つまり、第1抉り部30によって、上部突出部25の付け根部の両側部、すなわち臀部支持部23と上部突出部25との間の両側部が開放されているため、着座者の窮屈感が軽減される。
【0023】
なお、この姿勢保持具21は椅子の座部上で使用されるだけではなく、床面上に設置して使用することもできる。すなわち、本体22が硬質材で構成されているため、姿勢を保持可能な座椅子として使用することが可能である。
【0024】
前記姿勢保持具21は、例えば、前部突出部24を設けないように構成することも可能である。この場合、例えば、図3に1点鎖線101で示す位置が姿勢保持具21の前端になる。このように構成した場合、例えば、床に置いて座椅子として使用する場合には、太腿支持部27により下肢45が規制されることが無くなるので、胡坐等任意の姿勢で座りやすくなる等、着座者41の下肢45の自由度が増える。ただし、太腿支持部27による下肢45の支えが無くなるので、太腿43を水平に保つ効果は若干薄れるが、床上であるため、ほとんど問題はない。そして、左右方向において脚31が形成されている臀部支持部23により、臀部42をほぼ水平に保つことが可能となる。この為、太腿支持部27を設けない場合であっても、臀部支持部23によって臀部42が前後方向及び左右方向において安定に、かつ自然に無理なく支持され、腰部44の両側が腰部支持部28における凸状湾曲形状の上部281により、後方から内側前方に向かって押されて支持されるため、着座者41の上体を正しい姿勢の状態でサポートすることができる。
【0025】
上記した実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記した実施形態によれば、着座者41の臀部42を支持する臀部支持部23が前後方向及び左右方向において凹状湾曲形状に形成されている。従って、臀部支持部23によって臀部42を前後方向及び左右方向において安定に、かつ自然に無理なく支持することができるだけではなく、臀部42を支持する面積が広くなって、体圧が分散される。このため、着座者41は疲労や不快さをあまり感じることなく着座状態を維持できる。
【0026】
(2)前部突出部24の凹状湾曲形状をなす左右2箇所の太腿支持部27により、着座者41の両太腿43が下側から広い面積で安定に支持されて、下肢45が自然に揃えられる。また、太腿支持部27は凹状湾曲形状になっている為に、両太腿43が左右に開くことを規制する。従って、前記と同様に、体圧が分散されて、疲労等を感じることなく着座状態を維持できるとともに、着座者41の骨盤151が傾くことなく、骨盤151を水平に保つことが可能になる。このため、図5に示すように、背骨152を左右方向において自然に直立させることができる。
【0027】
(3)姿勢保持具21の本体22が硬質の板材によって形成されている。このため、姿勢保持具21全体をクッション材等の厚手の弾性材により形成した従来構成とは異なって、太腿43及び腰部44を腰部支持部28において、前記厚手の弾性材のような大きな弾性変形を生じることなくしっかりとサポートすることができて、姿勢の保持効果を高めることができる。仮に、着座者41が姿勢を崩した場合、姿勢保持具21はほとんど変形しないため、着座者41は直ちに正しい姿勢に戻ることができる。そして、姿勢が正しく保持されることにより、姿勢を維持する筋肉が使用されて、その筋肉を鍛えることができ、その結果、姿勢保持具21を使用しない場合も自然に正しい姿勢を保つことができる。また、姿勢保持具全体をクッション材で形成した前記従来構成では、姿勢保持具を椅子に載せた場合、その厚みのために座面が高くなって使用しにくいものとなる。これに対し、本実施形態では本体22が硬質樹脂で形成されているため、従来構成とは異なり、姿勢保持具21の厚みを薄くできて、姿勢保持具21を椅子100上に載せて用いることにおいて支障が生じることはほとんどない。
【0028】
(4)臀部支持部23から前部突出部24にかけてその下面が前後方向において大きな曲率半径の球状曲面状をなしているため、着座者41の着座状態において、姿勢保持具21が前傾状態になる。従って、着座者41の骨盤151が立った状態でサポートされ、着座者41が、背筋が自然に伸びた姿勢となる。その着座者41は、その状態で上部突出部25の腰部支持部28により腰部44における背骨152の両側において、腸骨を含む骨盤151の部分が左右両側の斜め後ろから前方に向かって押されるように支持されて、腰部44が包み込まれるようにサポートされる。
【0029】
このため、着座者41の腰椎の部分も前方に向かって押されて、図4及び図5に示すように、着座者41は、臀部42と両太腿43が安定支持されることも相俟って、上体、すなわち背骨152が左右に傾くことなく、正しい姿勢となるように自然に理想的なSカーブ形状となって起立される。しかも、脚31によって姿勢保持具21の左右方向の安定性を得ることができて、上体の傾きを抑制でき、さらに正しい姿勢を得ることができる。従って、仮に着座者41の背骨152に左右方向への歪みがあっても、あるいは猫背気味であっても、体が正しい状態でサポートされて、着座者41の上体が左右中立状態の適正な姿勢で自然に伸びる。
【0030】
このため、着座者41の腰への負担も軽減できて、着座者41は、リラックスしながら背筋が伸びて正しい姿勢を無理なく維持でき、長時間着座していても、腰部44や下肢45に対する負担を少なくできて、疲労感を少なくすることができる。ちなみに、姿勢保持具21を使用することなく、着座者41の背骨152や、腰椎を直接前方へ押した場合も背筋を伸ばすことは可能であるが、このような場合、着座者41は痛みや不快さを感じるため、長時間の着座維持は難しい。なお、着座者41が、腰部44が前方に湾曲する反り腰であっても、腰部44を腰部支持部28に支持することにより、骨盤151や背骨152が包み込まれるようにサポートされるため、腰部44に対する負担を軽減できて、リラックスすることができる。
【0031】
(5)臀部支持部23及び前部突出部24の下面が左右方向においても大きな曲率半径の球状曲面形状に形成されているため、姿勢保持具21の左右方向へのある程度の傾動が許容される。従って、着座者41は左右に上体を軽く傾けることができて、窮屈さを避けることができる。
【0032】
(6)姿勢保持具21における臀部支持部23の下面の両側に脚31が突設されている。このため、姿勢保持具21を例えば椅子100の座部上において滑りを生じたり、左右方向に過度に傾いたりすることを抑制して、安定状態で載置することができる。
【0033】
(7)上部突出部25の付け根部の両側部に第1抉り部30が形成されている。このため、姿勢保持具21の本体22が硬質の合成樹脂によって形成されていても、着座者41が臀部支持部23に着座した状態で、仰け反ったりして上部突出部25に対して後傾方向への荷重をかけた場合、上部突出部25を撓曲させることができる。このため、着座者41の正しい姿勢維持と、疲れにくさとに貢献できる。すなわち、姿勢保持具21の本体22が硬質の合成樹脂によって形成されているため、姿勢保持具21が剛性と硬さとを備え、形状変化が小さいものの、所要部分の変形を確保できる。従って、姿勢保持具21の本来の機能を有効に発揮するとともに、無理なくリラックスした姿勢保持に貢献できる。
【0034】
(8)そして、これに加えて、臀部支持部23が凹状の球状曲面形状に形成されているため、臀部支持部23から上方に連続する上部突出部25の付け根部も臀部支持部23と同様な凹状の球状曲面形状に形成されている。従って、本実施形態と異なり、第1抉り部30が形成されていない場合にあっては、上部突出部25は、硬く、後方へ撓曲しにくい形状となるが、本実施形態では前記のように、上部突出部25の付け根部の両側部に第1抉り部30が形成されているため、撓曲しにくさが解消されて、上部突出部25は着座者41の体の動きに適切に対応できる。
【0035】
(9)上部突出部25の付け根部の両側に第1抉り部30が形成されて、同部分が開放されているため、着座者41が窮屈感を感じることを抑えることができる。これに対し、前記抉り部30が形成されていない場合は、着座者41は体形が大きい場合、臀部がこの部位に当たることもあり、このような場合は窮屈感を覚えることになる。
【0036】
(10)第1~第3抉り部30,26,29の形成によって姿勢保持具21全体の軽量化を図ることができる。
(11)前記のように、腰部支持部28の間に第3抉り部29が形成されている。このため、着座者41が後方へ仰け反るようにした場合や、後ろに大きく凭れかかった場合に、着座者41の背骨の部分が上部突出部25に当たることを回避できる。従って、このような場合における不快さを避けることができる。
【0037】
(12)第1抉り部30,第2抉り部26,第3抉り部29によって4箇所に抉り部が形成されている。このため、姿勢保持具21全体が花弁形状を呈し、デザイン性に優れたものとすることができる。
【0038】
(13)前記第1抉り部30の縁部301が他の部分より肉厚になるように形成されている。このため、上部突出部25の傾動による変形により、第1抉り部30に大きな応力が加わった場合でも、第1抉り部30の縁部301が破損するおそれを抑制することができる。
【0039】
(14)前記本体22の着座側の面にクッション材32が設けられている。このため、クッション材32の弾性作用及び緩衝作用により座り心地を良好に保つことができる。
(15)全体が外装シート34により被覆されている。このため、姿勢保持具21全体の外観を美しく保つことができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図13に基づいて説明する。なお、この第2実施形態以降の実施形態及び変更例においては、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0041】
第2実施形態では、図13に示すように、第1実施形態のような本体22の第1孔33及び第2孔221が設けられていない。従って、第2実施形態においては、本体22の成形が容易になる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図14図18に基づいて説明する。
本実施形態においては、前記第1実施形態と比較して、第2抉り部26及び第3抉り部29の抉り度合いが浅く形成されている。
【0043】
また、ポリプロピレン等の硬質材よりなる本体22上の着座面側にはEVAよりなる単層の外装シート51がエラストマ系の接着剤を用いて接着されている。図16及び図18に示すように、外装シート51の周縁部には折り返し511が形成され、この折り返し511が本体22の周縁部に嵌められた状態で外装シート51が本体22の着座側の面に接着されている。本体22の背面及び下面は露出されている。外装シート51は柔軟性と弾力性とを有するとともに、通気性を有する多孔質材で構成されている。
【0044】
上部突出部25には複数の孔52が形成されている。各孔52は図18に示すように、本体22の孔521と外装シート51の孔522とにより構成され、外装シート51の孔521が本体22の孔521より大きく形成されている。このため、外装シート51の孔522の内周縁が本体22の孔521の内周縁より孔中心側に突出して、着座者41に対して本体22の孔521の内周縁が当たらないようになっている。
【0045】
図15に示すように、前部突出部25の底面及び脚31の下端には摩擦係数の高い材質のものよりなる複数の滑り止め53が貼着されている。
第3実施形態においては、以下の効果がある。
【0046】
(16)姿勢保持具21が本体22の着座面側に単層の外装シート51を被せて構成されているため、部品点数が少なく、構成が簡単である。また、本体22の背面及び下面が露出されているため、外装シート51は小さなものでよく、しかも、外装シート51を本体22に被せることは容易である。従って、姿勢保持具21を安価に製作できる。
【0047】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・姿勢保持具21の臀部支持部23を球状曲面形状以外の形状、例えば平面や、円筒状凹形状、凹状湾曲形状等にすること。この場合、臀部支持部23により、臀部42が前後方向及び左右方向から安定に支持される効果は薄れる。しかし、左右方向については、太腿43が凹状湾曲形状の太腿支持部27により規制を受けることになるため、その影響を受けて、臀部42も安定することになる。よって、着座者41は、骨盤151を水平に保った状態で、腰部44の両側が腰部支持部28により、後方から内側前方に向かって押されて支持される。以上のように、姿勢保持具21の臀部支持部23を球状曲面形状以外の形状に形成した場合であっても、着座者41の姿勢を正しい状態でサポートすることが可能である。
【0048】
・クッション材32を本体22の着座側とその反対側との両方の面に設けること。
・クッション材32を省略すること。
・外装シート34を省略すること。
【0049】
・クッション材32及び外装シート34の双方を省略すること。つまり、姿勢保持具21を本体22のみを含んで構成すること。
・姿勢保持具21の下面の脚31を省略し、その下面をフラットにすること。
【0050】
・腰部支持部28の付け根部の第1抉り部30を左右の一側のみに設けること。
・第1抉り部30以外の抉り部を形成しないようにすること。第3抉り部29が形成されない場合、一対の腰部支持部28が連続して外観上ひとつになるが、腰部支持部28が前方に突出しているため、中央の連続部分が背骨152やその両側に当たることなく、腰部44の両側を押さえることができるため、実質的には一対存在することになる。
【0051】
・臀部支持部23を前後方向または左右方向の一方向において直線状に形成すること。
・本体22を樹脂をガラス繊維によって強化したFRP(ガラス繊維強化樹脂)により構成すること。
(0001)
この発明は、例えば椅子の座部に載せて使用されるものであって、着座者の正しい姿勢を維持することが可能な姿勢保持具に関するものである。
(0004)
この従来構成においては、着座者を安定して支持することが難しい。この結果、着座者は正しい姿勢をとりにくい。この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、着座者の正しい姿勢を維持することにある。課題を解決するための手段
(0005)
上記の目的を達成するために、この姿勢保持具は、着座者の臀部を支持可能な臀部支持部と前記臀部支持部の上方に位置する上部突出部とを備え、前記上部突出部の左右の幅は、前記臀部支持部との付け根である付け根部より同付け根部の上方が広く、前記上部突出部は左右方向の中央部より左右両側部が前方に位置している。
(0006)
この構成によれば、着座者の正しい姿勢を維持することができる。
発明の効果
(0007)
前記の姿勢保持具によれば、着座者の正しい姿勢を維持することができる。
【符号の説明】
【0052】
21…姿勢保持具、22…本体、23…臀部支持部、24…前部突出部、25…上部突出部、26…第2抉り部、27…太腿支持部、28…腰部支持部、29…第3抉り部、30…第1抉り部、301…縁部、31…脚、32…クッション材、34…外装シート、41…着座者、42…臀部、43…太腿、44…腰部、45…下肢、52…背骨、t1…縁部の肉厚、t2…他の部分の肉厚。
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