(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】バラ詰めミネラルウールを有する絶縁製品
(51)【国際特許分類】
D04H 1/4218 20120101AFI20241126BHJP
D04H 1/732 20120101ALI20241126BHJP
F16L 59/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
D04H1/4218
D04H1/732
F16L59/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023115263
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2021165653の分割
【原出願日】2016-12-23
【審査請求日】2023-08-03
(32)【優先日】2015-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ドゥベッタ
(72)【発明者】
【氏名】マチルド シバン
(72)【発明者】
【氏名】フーコー ドゥ フランクビユ
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-501154(JP,A)
【文献】特開平02-182956(JP,A)
【文献】特開2010-155733(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187081(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0354113(US,A1)
【文献】特開2009-228284(JP,A)
【文献】米国特許第2808929(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0116307(US,A1)
【文献】特開2006-097203(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221567(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0266429(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0193365(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2511586(EP,A1)
【文献】特表2019-502835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00 - 18/04
F16L 59/00 - 59/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
kg/m
3単位の密度d及びmW・m
-1・K
-1単位の熱伝導率λを示し、これらが、50~80kg/m
3である密度dにおいて、以下の関係を満たすことを特徴とする、ダウン、小塊、又はフレークの形態のロックウールを含む絶縁製品:
λ<-0.1d+45;
好ましくは、
λ<-0.1d+44.5;
λ<-0.1d+44;
λ<-0.1d+43。
【請求項2】
以下である通気抵抗を示すことを特徴とする、ダウン、小塊、又はフレークの形態のロックウールを含む絶縁製品:
- 40~50kg/m
3である密度において、3kPa・s/m
2以上、及び/又は、
- 60~80kg/m
3である密度において、10kPa・s/m
2以上。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラルウールを有する絶縁製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウールは、多孔性及び弾性構造を与える絡み合ったミネラルファイバーを備えることから、非常に良好な熱及び音の絶縁材(遮断材)である。そのような構造は、空気をトラップし、騒音を吸収するか、又は弱めることができる。さらに、ミネラルウールは、本質的に、鉱物材料から、特に、天然材料又は再生品(再生ガラス)から製造され、したがって、環境上のバランスという観点から、魅力的である。そして、ミネラルウールは、元々が不燃性である材料をベースとしていることから、火を燃やしたり、炎を広げたりすることがない。好ましくは、ミネラルウールは、グラスウール及びロックウールから選択される。
【0003】
一方では、繊維同士を特有の点接着によって結合するバインダー(サイズとも称される)によって結束が確保されている繊維のシート又はマットの形態で得られるパネル又はロールタイプの絶縁製品(遮断製品)、及び他方では、センチメートルスケールの粒子を形成する絡み合った繊維の小さい束の形態を取り、束における繊維の結束を確保する結合剤は存在しない、バラ詰めタイプの製品、という区別が成される。
【0004】
いわゆるバラ詰めミネラルウールの製造は、少なくとも以下の工程を含む:
- ガラスなどの原材料を溶融炉中で溶融する工程、
- 繊維化する工程、
- ミネラルウールのマットを形成する工程、
- グラインディング加工を用いて小塊形成(nodulation)する工程。
【0005】
バラ詰めミネラルウールの製造は、さらに、以下の工程を含んでいてもよい:
- 小塊形成の前、それと同時、若しくはその後に、帯電防止剤及び/若しくは結束剤などの剤でコーティングする工程、並びに/又は
- 袋詰めする工程。
【0006】
小塊形成工程の後で、小塊又はフレークの形態であるミネラルウールを、そのまま、それを広げることにより、それを吹きつけることにより、又はキャビティにそれを充填することにより、バラ詰め絶縁製品として、又はバラ詰め絶縁材として用いてよい。バラ詰め絶縁材は、建築の分野において、小粒子の形態で提供される様々な材料に相当し、そのテクスチャは、粒状からフレーク状まで様々である。
【0007】
ミネラルウールは、有利には、小塊又はフレークの形態で、バラ詰め絶縁製品の主構成成分として、開発が成されていないか又はアクセスが困難である改装に適していない屋根裏スペースの床など、アクセスが困難であるスペースのために用いられる。
【0008】
これらのバラ詰め絶縁製品は、一般的に、絶縁製品を出口管から表面にスプレーするか又はキャビティ中に注入することができる吹き付け機を用いる機械的な吹き付けによって、適用される。これらのバラ詰め絶縁製品は、したがって、主として、屋根裏スペースなどの絶縁されるべきスペース中に直接それらをスプレーすることにより、又は壁のキャビティ中にそれらを注入することにより、敷設される。これらのバラ詰め絶縁製品は、吹き付け絶縁製品とも称される。
【0009】
吹き付けられた絶縁製品は、熱橋を回避し、それにより熱性能を向上させるために、できる限り均質である必要がある。しかし、絶縁製品が吹き付けられる際、出口管の径に関わらず、小塊又はフレークの形態のミネラルウールは、完全には均質ではない。得られる絶縁製品の熱伝導率は、最適化されない。
【0010】
バラ詰め絶縁製品のその空気式搬送中の均質性を改善するために、多くの解決手段が考慮されてきた。
【0011】
特許文献1及び特許文献2の特許出願には、敷設するに従ってバラ詰め絶縁材を広げることができる機械的手段を有する可撓性の管が開示されている。これらの機械的手段は、管の内表面にわたって広がっている突起部である。
特許文献3の特許出願には、貯蔵タンクに貯蔵する前にロックウールを広げるための複雑な方法が開示されており、この方法は、繊維の凝集塊が、200000よりも高いレイノルズ数で限定される乱流気流によって、複数ある一連の針状部及び凹凸領域を備えたダクトの内部を、それと衝突する凝集塊が機械的解繊を受けるように運ばれる工程を、含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許第1165998号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0266429号明細書
【文献】特開2006-328609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これらの解決手段は、多くの場合過剰に複雑であり、まったく満足のいくものではない。
【0014】
我々は、熱性能が改善されたミネラルウールを有する絶縁製品を得ることが可能となる新規な作製方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の方法は、チャンバー、及び乱流ガス流を発生させることができる少なくとも1つの手段を備えた装置の内部において通気処理を行う工程を、含む。
【0016】
この通気処理工程の過程で、キャリアガスの流れがチャンバー中へ導入され、小塊又はフレークの形態のミネラルウールは、1つの向きの方向Aへの、及び方向Aに対して反対である逆向きの方向Bへの同伴を伴うこのキャリアガスの乱流に掛けられ、それによって、チャンバー内には、方向Aへ同伴されるミネラルウールが方向Bへ同伴されるミネラルウールと交差する、方向Aに対して垂直である少なくとも1つの面が存在する。
【0017】
方向Aの流れにあるミネラルウールの平均速度のプロファイルは、方向Aに対して平行である速度成分が負であり方向Bの流れを発生させることが可能である、少なくとも1つの再循環点を備える。好ましくは、複数の再循環点が存在し、それによって、1又は複数の再循環ループ又はバブルが、流れの中に形成される。
【0018】
本発明の方法が非定常状態の乱流を用いることに、留意されたい。流れの速度プロファイルに関して本出願で与えられる説明は、観察される現象を特徴付けるのに充分な時間にわたって平均された時間平均速度に関する。
【0019】
この通気処理工程は、小塊又はフレークの形態のミネラルウールの密度を大きく低下させるが、とりわけ、その構造を均質化する。驚くべきことに、本発明の通気処理工程を受けたミネラルウールの広がり及び/又は均質化は、公知の均質化法によって得ることができるよりも遥かに良好である。得られる絶縁製品は、より均質である構造を維持した状態で、通気処理工程の後に圧縮されてもよい。
【0020】
熱性能の改善は、特に、本発明の方法に従う通気処理がされていないミネラルウールに対して、同じ密度における熱伝導率の低下によって、又は同じ熱伝導率における密度の低下によって、示される。得られる絶縁製品は、同じ密度において、遥かにより高い通気抵抗も有する。
【0021】
この方法が既存のミネラルウール小塊に適用される場合、本発明により、その個々の寸法を特定することが事実上不可能となるように、小塊又はフレークを広げることができる。このことは、絶縁製品を単に目視検査することによって実証され得る。
【0022】
したがって、本発明に従うバラ詰めミネラルウールは、動物のダウン被覆材料と非常に類似していることから、ダウンと称され得る、新規な形態を取る。したがって、本出願における「ダウン」とは、ミネラルウールを構成している繊維がほぼ個別化され、フレークの束ねられた構造が事実上破壊されているバラ詰めミネラルウール製品を意味する。
【0023】
ミネラルウールは、グラスウール又はロックウールから選択される。
【0024】
グラスウールは、一般的に、ガラス化可能原材料の混合物から誘導される溶融ミネラル材料から得られ、通常は遠心紡糸である方法によって繊維に変換された製品であるとして、定義される。ガラスを溶融して比較的粘稠な液体形態とすることにより、比較的長く細い繊維が得られる。
【0025】
ロックウールは、一般的に、天然岩石から誘導される溶融ミネラル材料から得られ、一連の回転するホイールが関与する方法によって繊維に変換された製品であるとして、定義される。天然岩石を溶融して流動性の高い液体の形態とすることにより、比較的短く太い繊維が得られる。
【0026】
ロックウールを用いる場合、ダウン形態を得ることが難しい可能性があり、本発明は、新規な構造のロックウールのフレークも含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、それぞれ、以下を示す写真を含む:-
図1A:本発明に従う通気処理工程を経ていない小塊又はフレークの形態のグラスウール、及び-
図1B:本発明に従う通気処理工程を経たダウンの形態のグラスウール。
【
図2】
図2は、それぞれ、以下を示す写真を含む:-
図2A:本発明に従う通気処理工程を経ていない小塊又はフレークの形態のロックウール、及び-
図2B:本発明に従う通気処理工程を経た小塊又はフレークの形態の「広げられた」ロックウール。
【
図3】
図3の断層撮影画像は、それぞれ以下を示す:-
図3A:本発明に従う通気処理工程を経ていない小塊又はフレークの形態のグラスウール、密度は10kg/m
3、-
図3B:本発明に従う通気処理工程を経たダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品、密度は4kg/m
3、-
図3C:本発明に従う通気処理工程及び圧縮工程を経たダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品、密度は10kg/m
3。
【
図4】
図4は、体積によるグレースケールレベルの変動を表すグラフを示しており、これは、
図3の画像を処理したものである。横座標軸は、強度のプロットであり、縦座標軸は、その強度を示すピクセルの数のプロットである。曲線上の点は、任意のグレースケールレベルの画像に見出されるピクセルの数に相当する。曲線(a)、(b)、及び(c)は、それぞれ、
図3A、3B、及び3Cの絶縁製品に相当する。
【
図5】
図5は、本発明に従う通気処理工程の実施を可能とする装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の方法によって得られるより良好な均質性は、絶縁製品を単に目視検査することから明確に明らかである。対照的に、これらの新規な製品の、その巨視的及び微視的構造を用いることによる特徴付けは、確立することが困難である。
【0029】
この目的のために、本出願者は、以下に示されるように、振動スクリーンを用いた凝集塊サイズ分布を測定するための方法を開発した。
【0030】
本発明の方法により、グラスウール及びロックウールを広げることが可能となる。
【0031】
本発明は、複数層のスクリーン及び3mmの最大振動振幅を備え、振動振幅を1.5~2.5mmに、好ましくは1.8~2.2mmに、なおより良好には、2mmに設定した振動ふるい振とう器を5分間用いて、2~5gの絶縁製品をスクリーニングすることによって得られる凝集塊の質量分布が、以下であることを特徴とする、バラ詰めグラスウールを備えたダウンの形態の絶縁製品に関する:
- 6mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、5質量%未満、好ましくは3質量%未満であること、及び/又は
- 13mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、50質量%未満、好ましくは40質量%未満、若しくはさらには、35質量%未満であること。
【0032】
本発明は、複数層のスクリーン及び3mmの最大振動振幅を備え、振動振幅を1.5~2.5mmに、好ましくは1.8~2.2mmに、なおより良好には、2mmに設定した振動ふるい振とう器を5分間用いて、2~5gの絶縁製品をスクリーニングすることによって得られる凝集塊の質量分布が、以下の関係、(%凝集塊6~13)-(%凝集塊<6)≧5%、を満たすことを特徴とする、ダウン、小塊、又はフレークの形態のバラ詰めロックウールを含む絶縁製品に関し、ここで:
- (%凝集塊6~13)は、6mm及び13mmの両方のスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントに相当し、かつ
- (%凝集塊<6)は、6mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントに相当する。
【0033】
本発明に従う絶縁製品は、遥かにより低い熱伝導率及び遥かにより高い通気抵抗を有する。本発明に従う製品を特徴付ける別の考え得る方法は、「熱伝導率/密度」の組み合わせ、又は「通気抵抗/密度」の組み合わせに基づくものであり得る。
【0034】
本発明はまた、kg/m3単位の密度「d」及びmW・m-1・K-1単位の熱伝導率「λ」を有し、熱伝導率λが、7~14kg/m3である密度dにおいて、以下の関係を満たすことを特徴とする、ダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品にも関する:
λ<A+0.3d+205/d
(式中、Aは両端の値を含んで17~23を含む)。
【0035】
上記の式において、Aは、より好ましくなる順序で、22、21、20、19、18、又は17の値を有し、それによって、
λ<23+0.3d+205/d、
λ<20+0.3d+205/d、又は
λ<18+0.3d+205/d
となる。
【0036】
本発明はまた、9.5~10.5kg/m3である密度「d」において、42mW・m-1・K-1未満、好ましくは41mW・m-1・K-1未満の熱伝導率「λ」を示すことを特徴とする、ダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品にも関する。
【0037】
本発明はまた、10~20kg/m3、好ましくは10~15kg/m3である密度において、1kPa・s/m2以上、好ましくは2kPa・s/m2以上、好ましくは5kPa・s/m2以上の(規格EN29053に従う)通気抵抗を示すことを特徴とする、ダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品にも関する。
【0038】
本発明はまた、kg/m3単位の密度「d」及びmW・m-1・K-1単位の熱伝導率「λ」を示し、これらが、50~80kg/m3である密度dにおいて、以下の関係を満たすことを特徴とする、ダウン、小塊、又はフレークの形態のロックウールを含む絶縁製品にも関する:
λ<-0.1d+45、
好ましくは、
λ<-0.1d+44.5、
λ<-0.1d+44、
λ<-0.1d+43。
【0039】
本発明はまた、(規格EN29053に従う)通気抵抗が以下であることを特徴とする、ロックウールを含む絶縁製品にも関する:
- 40~50kg/m3である密度において、1kPa・s/m2以上、好ましくは2kPa・s/m2以上、若しくはさらには、3kPa・s/m2以上、及び/又は
- 60~80kg/m3である密度において、10kPa・s/m2以上、好ましくは15kPa・s/m2以上。
【0040】
そして、本発明は、本発明に従う絶縁製品を表面上に直接スプレーするか又はキャビティ中にそれを注入することによる、断熱の方法に関する。
【0041】
本明細書の残りの部分での主要部分となる好ましい特徴は、該当する場合、絶縁の方法に対して適用可能であるのとまったく同様に、グラスウール又はロックウールを含有する様々な絶縁製品に対して適用可能である。
【0042】
本発明に従う絶縁製品は、本質的に、広げられたミネラルウールをベースとしている。本明細書において:
- 小塊又はフレークの形態の通気処理されていないミネラルウールは、本発明に従う通気処理工程後に得られ得る新規な構造的特徴を有しないミネラルウールに与えられる名称であり、
- 広げられた若しくは通気処理された小塊若しくはフレークの形態、又はダウンの形態のミネラルウールは、本発明に従う通気処理工程後に得られ得る新規な構造的特徴を有するミネラルウールに与えられる名称である。
【0043】
ミネラルウールは、グラスウール及びロックウールから選択される。
【0044】
ミネラルウールの小塊又はフレークは、紡織用ガラス繊維のような個別化された繊維ではなく、束状の繊維である。これらのミネラルウールの小塊又はフレークは、0.05~5cm、特に、0.1~1cmを含む長さを有する。これらのフレーク又は小塊は、小さい束、小さいロービング、又は「ピリング」の形態に絡み合った繊維から形成されている。本明細書において、フレーク又は小塊の長さとは、これらの束の最も長い寸法の長さを意味する。
【0045】
理想的には、ミネラルウールは、小塊及びフレークをもはや容易に区別することができないように充分に広げられる。
【0046】
絶縁製品がグラスウールを備える場合、フレーク又は小塊は、もはや区別することができない。絶縁製品は、ダウンの形態を取り、すなわち、繊維が(結合するのではなく)単に絡み合って緩い綿毛状構造となっている繊維ウェブに類似する形態に一緒に集められた状態、又はまとめられた状態が維持された不連続繊維の層の形態である製品の形態を取る。ダウン又はウェブの一部分を、体積構造に影響を与えることなく、取り出すことができる。
【0047】
グラスウールは、ガラス繊維を備える。遠心機又は遠心紡糸機及びバスケットを特に備えた装置を用いてガラスの繊維化によって得られるグラスウールの小塊又はフレークは、例えば、欧州特許第2511586号明細書の特許に記載されている。溶融ガラスの流れが、遠心機に供給され、バスケットへと流れ出される。グラスウール繊維は、仏国特許出願公開第2661687(A1)号明細書に説明されているようにして小塊へと成形される。これらのガラス繊維は、互いに絡み合っている。
【0048】
グラスウール繊維は、溶融ガラスの高速機械延伸によって、サイジングされたフィラメントの形態で得られるいわゆる「紡織用」ガラス繊維とは、異なる。
【0049】
グラスウールは、より好ましくなる順序で、以下のマイクロネア値を示す:
- 20L/min未満、15L/min未満、12L/min未満、10L/min未満、
- 2L/min超、3L/min超、4L/min超、5L/min超。
【0050】
マイクネア値は、国際公開第03/098209(A)号パンフレットに記載されている方法に従って測定される。
【0051】
グラスウールのガラス繊維は、不連続である。それらは、好ましくは5μm未満の、又はさらには4μm未満の、平均径を有する。
【0052】
グラスウールの小塊又はフレークは、例えば、吹き付けウール絶縁に用いられるタイプのグラスウールでできているフレークであり、例えば、Saint-Gobain Isover社によりComblissimo(商標)若しくはKretsull(商標)の商品名で、又はCertainteed社によりInsulsafe(商標)の商品名で市販されているタイプのウールでできているフレークである。これらのフレークは、一般的に、バインダーを有しておらず、オイルなどの抗ダスト剤及び/又は静電防止剤を含有し得る。特定の実施形態によると、グラスウールを含む絶縁製品は、以下の特徴のうちの1又は複数を満たす:
- 25mmスクリーン及び32mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の、32mmスクリーンを通過する凝集塊に対する質量パーセントが、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、又はさらには、3質量%未満であること、
- 19mmスクリーン及び25mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の、32mmスクリーンを通過する凝集塊の質量に対する質量パーセントが、10質量%超、好ましくは20質量%超、30質量%超、又はさらには、40質量%超であること、
- 13mmスクリーン及び25mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の、32mmスクリーンを通過する凝集塊の質量に対する質量パーセントが、50%超、好ましくは55%超、60%超、70%超であること、
- 13mmスクリーン及び32mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の、32mmスクリーンを通過する凝集塊の質量に対する質量パーセントが、60%超、好ましくは65%超、70%超、80%超であること、
- 絶縁製品の合計質量に対して、少なくとも75%、好ましくは少なくとも95%のグラスウールを備えること。
【0053】
ロックウールは、岩石繊維を備える。ロックウールは、少なくとも250のファソネア(fasonaire)値を有する。このパラメータは、繊度指数とも称され、ロックウールの分野において慣用される方法によって測定される。ファソネア値は、以下の様にして特定される:オイル及びバインダーを含まないが非繊維構成成分(非繊維又は「スラグ」又は「ショット」)を含有し得る1ふさのミネラルウールから成る試験体(5g)を秤量する。この試験体を、所定の体積まで圧縮し、それに、一定流量に維持されたガス流(乾燥空気又は窒素)を通す。続いて、ファソネア値の測定は、試験体を通した圧力水頭の低下であり、従来単位で目盛り付けされた水柱によって評価される。慣用的に、ファソネア値の結果は、10個の試験体にわたって観察された圧力水頭の低下の平均である。
【0054】
特定の実施形態によると、ロックウールを含む絶縁製品は、以下の特徴のうちの1又は複数を満たす:
- 以下の関係:(%凝集塊6~13)-(%凝集塊<6)≧10%、を満たすこと、
- 6mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが:
- 40%未満、45%未満、30%未満、及び/又は
- 10%超、20%超であること、
- 13mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが:
- 95%未満、90%未満、80%未満、及び/又は
- 50%超、60%超、70%超であること、
- 6mm及び13mmの両方のスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、40%超、好ましくは45%超、50%超、60%超であること、
- 6mm及び19mmの両方のスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、50%超、好ましくは55%超、60%超、70%超であること、
- 25mmスクリーン又は34mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、100%であること、
- ロックウールが、少なくとも250のファソネア値を有する絡み合ったミネラル繊維を備えること。
【0055】
絶縁製品は、より好ましくなる順序で、絶縁製品の合計質量に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%のミネラルウールを備え、好ましくは、ミネラルウールが、グラスウール及びロックウールから選択される。
【0056】
絶縁製品は、より好ましくなる順序で、絶縁製品の合計質量に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の、ミネラル繊維、好ましくはガラス繊維又は岩石繊維、を備える。
【0057】
絶縁製品は、より好ましくなる順序で、絶縁製品の合計質量に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%のミネラル材料を備える。
【0058】
そして、本発明はまた、本発明に従う絶縁製品を、直接、絶縁されるべきスペース中にスプレー若しくは吹き付けることによる、断熱の方法、又は、本発明に従う絶縁製品を、キャビティ中に、特には壁のキャビティ中に、若しくは絶縁されるべき他の任意の中空壁形状中に注入することによる、断熱の方法にも関する。
【0059】
《I.凝集塊サイズの質量分布を測定するためのプロトコル》
この測定により、ミネラルウール、特に、グラス又はロックミネラルウールを有する絶縁製品の構造を特徴付けることが可能となる。測定の背景となる原理は、径の異なる複数層のスクリーンを振動させ、凝集塊(又は固体粒子)を、そのサイズに応じて、振動工程の結果として分級することである。
【0060】
スクリーンは、凝集塊の分級に用いられ、かつフレームに固定されており、比較的大きい又は比較的小さいメッシュサイズのグリッドに、相当する。スクリーンは、ふるい振とう器を用いて振動され、これは、スクリーンが設置される振動装置に相当する。
【0061】
通気処理工程の後、特に絶縁製品がグラスウールを備える場合には、小塊又はフレークのサイズを特定することができないことがある。その場合、絶縁製品は、ダウンの形態、すなわち、通気処理された綿毛状のテクスチャを有するウェブ(
図1B参照)の形態に一緒に集められた不連続繊維の層の形態である製品の形態を取る。
【0062】
質量分布測定法は、振動がダウンを分離して凝集塊とする傾向にあることから、破壊的である。
【0063】
同様に、ロックウールの場合に起こり得るように、通気処理工程後に依然として小塊又はフレークが存在している場合であっても、振動は、その寸法を変化させ得る。
【0064】
本発明によると、「凝集塊」の用語は、スクリーニングの過程で各スクリーン上に又は下方の容器中に回収された物質を示すために、用いられる。したがって:
- ミネラルウールの製造方法の結果である、又は通気処理工程後にも残存している、小塊又はフレーク、及び
- 振動後に得られる凝集塊、
の間での区別が成される。
【実施例】
【0065】
〈1.装置及び機器〉
この測定に必要とされる装置は:
- 好ましくは吹き付けられたものである、ミネラルウールの試験体、
- ±0.05gまでの精度の精密天秤、
- およそ500mLの容量のプラスチックビーカー、
- スクリーン及び下部容器(孔なし)、
- 自動ふるい振とう器「Retsch Sieve Shaker」モデルRX-24、
を備える。
【0066】
以下に定める孔サイズを有する20cm径(8インチ)のスクリーン:
- 6mm(0.25インチ)、
- 13mm(0.5インチ)、
- 19mm(0.75インチ)、
- 25mm(1インチ)、
- 32mm(1.25インチ)、
- 38mm(1.5インチ)、
- 44mm(1.75インチ)、
を用いた。
【0067】
〈2.手順〉
以下の工程を行う:
- 通気処理されたミネラルウール又は絶縁製品の代表的試験体(以降、サンプルと称する)を、およそ40×40×40cm又はそれ以上の寸法の箱に集める。ミネラルウールは、取扱い又は輸送の間に圧縮されてはならない。
- 3.0~3.5+/-0.1gの製品を、プラスチックビーカー中に秤量する。
- 最小メッシュサイズ(6mm)から最大メッシュサイズまで、ふるい振とう器にスクリーンを積み重ねる。
- 一番上のスクリーン、すなわち、最大メッシュサイズのスクリーン上に、試験体を静かに載せる。大きい凝集塊が、より小さい凝集塊が通過して落ちることを邪魔することのないように、覆われる表面積を最大とすることが重要である。
- 複数層のスクリーンに蓋をして、堅く締める。スクリーンが、適切に中心に合わされていなかったり、及び/又はしっかり固定されていないと、振動が非常に強すぎて、測定が正しく行われないことになる。
- ふるい振とう器を起動し、その出力を設定し、次に、測定時間を5分間に設定する。
- 振動の完了後、各スクリーン上の物質を秤量する。該当するスクリーン上の物質の質量をすべてのスクリーンの質量の合計で除することによって、質量パーセントを算出する。
【0068】
振動ふるい振とう器は、複数層のスクリーン、及び3mmの最大振動振幅を備える。振動振幅は、1.5~2.5mm、好ましくは1.8~2.2mm、さらにより良好には、2mmに設定される。振動は、5分間継続される。所望される振動振幅を得る目的で、ふるい振とう器の出力が設定される。例えば、ふるい振とう器の出力は、同じレベルの振動を得る目的で、4スクリーンが用いられる場合は、65%に設定され、7スクリーンが用いられる場合は、45%~65%に設定される。
【0069】
〈3.結果の表現〉
結果は、スクリーンあたりの質量パーセントとして表される。新しいサンプルで、少なくとも5回の測定が行われる。続いて、平均及び標準偏差が算出される。
【0070】
《II.例》
これらの例では、いずれも通気処理されておらず、小塊又はフレークの形態であるグラスウール及びロックウールを用いた。
【0071】
通気処理工程の前、小塊又はフレークの形態のグラスウールは、5.6L/minのマイクロネア値を有するガラス繊維を備えている。それは、11.6kg/m3の密度を示す。
【0072】
通気処理工程の前、小塊又はフレークの形態のロックウールは、250のファソネア値を有する岩石繊維を備えている。それは、74kg/m3の密度を示す。
【0073】
本発明に従う通気処理工程の実施を可能とする装置を、
図5に示す。この装置は:
- 第一のエアジェットを発生させるエアインジェクションシステム1、
- チャンバー2、
- 出口開口部3、
を備える。
【0074】
この装置の寸法は、以下のとおりである:30cm×30cm×40cm、最も長い側をジェットの方向に配置する。
【0075】
グラスウールの場合、第一のエアジェットは、入口部圧力が約4バールの「高圧」ジェットである。
【0076】
ロックウールの場合、第一のエアジェットは、充分な入口部圧力を提供する吹き付け機から得られるジェットである。
【0077】
小塊又はフレークの形態のミネラルウールは、図示されていない手段によってチャンバー2に導入される。例えば、およそ100gのグラスウールが、一般的には導入される。ロックウールの場合、およそ同じ体積量が導入される。
【0078】
小塊又はフレークの形態のミネラルウールは、次に、エアインジェクションシステム1によって発生される第一の高圧エアジェットの補助により、方向Aのキャリアガスで同伴されることによって乱流に掛けられる。
【0079】
チャンバーの構成は、方向Aに対して反対である、反対向きの方向Bのキャリアガスでミネラルウールを同伴することができる乱流設定の条件が確立され、それによって、チャンバー内には、方向Aへ同伴されるミネラルウール及び反対の向きの方向Bへ同伴されるミネラルウールが互いに交差する、方向Aに対して垂直である少なくとも1つの面が存在するように、成される。
図5において、A及びBは、同じ方向及び反対の向きの2つの速度ベクトルを表す。慣例により、ベクトルAに沿う速度は、正と称され、ベクトルBに沿う速度は、負と称される。
【0080】
方向Aに対して反対である方向Bのキャリアガスでの同伴は、第一のジェットの断面とチャンバーのサイズとの間の比を適切に選択した結果である。
【0081】
平均速度のプロファイルを表すと、チャンバー内に少なくとも1つの、(好ましくは)複数の再循環点が存在し、再循環点では、方向Aの速度成分が負であり、このことは、方向Bへの流れに相当し、したがって、再循環の動きは、Aに対して向流となる。
【0082】
この再循環ゾーンは、任意の瞬間において方向Aに対して反対の向きに戻り、同じ地点を少なくとも2回通ることになるある量「q」のミネラルウールに相当する。
図5に描かれた流線は、ある量のミネラルウールが、同じ地点を複数回通る複数のループを成していることを示唆するものである。
【0083】
さらに、チャンバーの寸法は:
- 初期ジェットの方向に対して垂直である寸法は、チャンバーの面内に再循環点を発生させるのに充分に大きく、及び
- ジェットの方向に対して平行である寸法は、再循環の動きを繰り返すのに充分に小さい
ように調整される。
【0084】
ミネラルウールが充分に通気処理されると、絶縁製品は、開放機構の作動によって、又は、ミネラルウールの投入と出口開放との間の滞留時間が所望される均質度を実現するのに必要とされる時間に相当するようにチャンバーのサイズが決定されていることによって、出口開口部3を通してチャンバーから排出される。
【0085】
このようにして:
- ダウンの形態のグラスウール、又は
- ダウン、若しくは広げられた小塊若しくはフレークの形態のロックウール、
を備えた本発明に従う絶縁製品が得られる。
【0086】
この装置は、1時間あたり、グラスウールを含む絶縁製品の3kgを通気処理することができる。
【0087】
本発明に従う絶縁製品は、通気処理工程後、低い密度を有し、特に、グラスウールをベースとする製品の場合は約4kg/m3、ロックウールをベースとする製品の場合は約50kg/m3という低い密度を、有する。これらの製品は、必要に応じて、圧縮工程を受けてもよい。圧縮工程は、2つのプレート間で製品をプレスすることによって行われ得る。
【0088】
通気処理前密度の通気処理後密度に対する比は、好ましくは2よりも大きく、好ましくは2.5よりも大きい。吹き付け絶縁製品において、密度は非常に重要であり、それは、密度によって、所定質量の製品で規定深さまで覆うことができる面積に相当する製品の被覆率が決まるからである。
【0089】
〈1.目視観察及び断層撮影法による観察(トモグラフィー観察)〉
図1及び2は、それぞれ:
-
図1A:本発明に従う通気処理工程を経ていない小塊又はフレークの形態のグラスウール、
-
図1B:本発明に従う通気処理工程を経たダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品、
-
図2A:本発明に従う通気処理工程を経ていない小塊又はフレークの形態のロックウール、及び
-
図2B:本発明に従う通気処理工程を経た小塊又はフレークの形態の「広げられた」ロックウールを含む絶縁製品、
を示す写真を備える。
【0090】
これらの写真は、本発明に従って得られた絶縁製品の均質性がより良好であることを示している。
【0091】
図3の断層撮影画像は、ぞれぞれ:
-
図3A:本発明に従う通気処理工程を経ていない小塊又はフレークの形態のグラスウール、密度は10kg/m
3、
-
図3B:本発明に従う通気処理工程を経たダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品、密度は4kg/m
3、
-
図3C:本発明に従う通気処理工程及び圧縮工程を経たダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品、密度は10kg/m
3、
を示す。
【0092】
これらの画像を処理したものが、体積によるグレースケールレベルの変動を表す
図4のグラフで示される。横座標軸は、強度のプロットであり、縦座標軸は、その強度を示すピクセルの数のプロットである。曲線上の点は、任意のグレースケールレベルの画像に見出されるピクセルの数に相当する。曲線(a)、(b)、及び(c)は、それぞれ、
図3A、3B、及び3Cの絶縁製品に相当する。
【0093】
これらの画像及びこれらの画像の処理も、本発明に従う絶縁製品のより良好な均質性を示す。そのことは、グレースケールレベルに関する分布がより良好であることに現れている。本発明に従う絶縁製品は、より広くかつガウス分布に近いピークを有する。一方で、通気処理されていないグラスウールは、より狭くかつ非対称の分布を有している。
【0094】
そして、画像3Cに示される通気処理工程後に圧縮工程を経た絶縁製品は、均質性に関する有利な特性を維持している。したがって、本発明により、密度が可変である均質な絶縁製品を得ることが可能である。
【0095】
〈2.凝集塊サイズの質量分布の測定〉
振動スクリーン法を用いて、以下の製品について凝集塊サイズの分布を特定した:
- PI LV A:ダウンの形態の通気処理されたグラスウールを含む絶縁製品、
- PI LV NA:小塊又はフレークの形態の通気処理されていないグラスウールを含む絶縁製品、
- PI LR A:小塊又はフレークの形態の通気処理されたロックウールを含む絶縁製品、
- PI LR NA:小塊又はフレークの形態の通気処理されていないロックウールを含む絶縁製品。
【0096】
グラスウールを含む絶縁製品は、バラ詰めウールダウンの形態である。ここで、振動スクリーンを用いた分布測定によって、ダウンが凝集塊に分離される。しかし、32mm以上の孔サイズを有する上側スクリーン上、すなわち、32mm、38mm、及び44mmスクリーンの上に、多量の、場合によっては非常に多量の物質が見られる。これらのスクリーン上の凝集塊の存在及び分布は、ランダムである。このため、通気処理されたグラスウールをベースとする絶縁製品において、0~32mmのサイズの凝集塊に関する質量分布も算出された。この目的のために、該当するスクリーン上の物質の質量を、孔サイズが32mmに等しいスクリーンの下に存在するすべての物質の質量の合計で除することにより、質量パーセントが算出される。
【0097】
他の絶縁製品では、32mmよりも小さいスクリーンを通過する凝集塊が100%である。質量パーセントに関する分布は、0~32mmの範囲である。
【0098】
表1は、グラスウールをベースとする絶縁製品において:
- サイズが0~44mm超までの種々の値を有する凝集塊、
- サイズが0~32mmまでの種々の値を有する凝集塊、
に関する質量パーセントとしての分布の結果を示す。
【0099】
表2は、0~44mm超のスクリーンを通過する凝集塊を有するグラスウールをベースとする絶縁製品に関する、累積質量パーセント及び逆累積質量パーセントを含む。
【0100】
表3は、0~32mmのスクリーンを通過する凝集塊を有するグラスウールをベースとする絶縁製品に関する、累積質量パーセント及び逆累積質量パーセントを含む。
【0101】
表4は、サイズが0~32mmまでの種々の値を有する凝集塊を含むロックウールをベースとする絶縁製品における:
- 質量パーセントとしての分布の結果、
- 累積質量パーセント、
を含む。
【0102】
質量分布がグラフとして表される場合、横座標軸は、増加する順序での通過するスクリーンに応じた凝集塊のサイズのプロットであり、縦座標軸は、質量比率のプロットであり、1又は2つのピークを示す曲線が得られる。最も高いピークが、主ピークと見なされる。
【0103】
通気処理工程は、このピークを右側へシフトし、平坦化するという効果を有する。このことは、通気処理工程が、凝集塊のサイズを増加させ、分布を、特に0~32mmにおいて、より均一とすることを意味する。
【0104】
この分布の相違が、熱性能に関して得られるより良好な特性に寄与するものと考えられる。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
〈3.熱伝導率及び通気抵抗の測定〉
熱伝導率測定を、絶縁製品で行った。製品の熱伝導率λは、製品中に熱フラックスを通過させる製品の能力であり、W/(m・K)で表される。この伝導率が低いほど、製品はより絶縁性であり、したがって、断熱性がより良好となる。密度の関数としての熱伝導率の値を、規格EN14064に従って測定した。
【0110】
絶縁製品の試験体を、23℃、約50%の相対湿度(RH)でコンディショニングして、質量を安定させた。測定は、590×590mm、押しつぶした測定厚さ108mmの寸法の製品のケースに対して、10℃の平均温度で、R-maticタイプの装置上で行った。実際の測定ゾーンは、254×254mmで測定した。絶縁製品の平均熱伝導率を、以下の表に示す。
【0111】
規格EN29053(方法A)に従う通気抵抗測定は、熱伝導率の測定に用いたものと同じ試験体に対して行った。
【0112】
これらの試験には、複数のグラスウール、及び1つのロックウールを用いた。
【0113】
以下に定める絶縁製品の試験体の熱伝導率及び通気抵抗を測定した:
- PI LV1 NA:タイプ1のグラスウールを含む絶縁製品、通気処理なし、
- PI LV1 A タイプ1のグラスウールを含む絶縁製品、通気処理あり、
- PI LV2 NA:タイプ2のグラスウールを含む絶縁製品、通気処理なし、
- PI LV2 A:タイプ2のグラスウールを含む絶縁製品、通気処理あり、
- PI LV3 A:タイプ3のグラスウールを含む絶縁製品、通気処理あり、
- PI LV4 A:タイプ4のグラスウールを含む絶縁製品、通気処理あり、
- PI LR NA:ロックウールを含む絶縁製品、通気処理なし、
- PI LR A:ロックウールを含む絶縁製品、通気処理あり。
【0114】
【0115】
性能に関して、通気処理工程後に得られた本発明に従う絶縁製品は、非常に有意により低い熱伝導率を有する。
【0116】
本発明に従うグラスウールをベースとする絶縁製品はすべて、9.5~10.5kg/m3である密度において、43mW・m-1K-1よりも遥かに低い熱伝導率、又はさらには41mW・m-1K-1よりも低い熱伝導率を有している。
【0117】
通気処理されたグラスウールを含む絶縁製品は、通気処理されていないグラスウールを同じ密度で備えた絶縁製品と比較して、15%超の、好ましくは20%超の熱伝導率の改善を示す。任意の性能に対して、同じ耐熱性を得るのに必要とされるグラスウールは半分となる。
【0118】
実質的には、小塊又はフレークの形態の通気処理されていないグラスウールは、10kg/m3の密度において、約53mW・m-1K-1の熱伝導率を示す。
【0119】
本発明に従う絶縁製品は、同じ密度において、約37mW・m-1K-1の熱伝導率を示す。これは、同じ吹き付け厚さにおいて、16mW・m-1K-1の低下、及び30%の耐熱性の増加に相当する。
【0120】
本発明に従う絶縁製品は、同じ熱伝導率において、4.8kg/m3の密度を示す。これは、5.2kg/m3の低下に相当し、52%の材料節約を表している。
本開示に係る発明は、下記の態様を含む:
<態様1>
ダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品であって、複数層のスクリーン及び3mmの最大振動振幅を備え、前記振動振幅を1.5~2.5mmに、好ましくは1.8~2.2mmに、なおより良好には2mmに設定した振動ふるい振とう器を5分間用いて2~5gの絶縁製品をスクリーニングすることによって得られる凝集塊の質量分布が、以下であることを特徴とする、絶縁製品:
- 6mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、5質量%未満、好ましくは3質量%未満であること、及び/又は
- 13mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、50質量%未満、好ましくは40質量%未満、若しくはさらには、35質量%未満であること。
<態様2>
32mmスクリーンを通過する凝集塊に対する、25mmスクリーン及び32mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の質量パーセントが、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、又はさらには3質量%未満であることを特徴とする、態様1に記載のダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品。
<態様3>
32mmスクリーンを通過する凝集塊の質量に対する、19mmスクリーン及び25mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の質量パーセントが、10質量%超、好ましくは20質量%超、30質量%超、又はさらには40質量%超であることを特徴とする、態様1又は2に記載のダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品。
<態様4>
32mmスクリーンを通過する凝集塊の質量に対する、13mmスクリーン及び25mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の質量パーセントが、50%超、好ましくは55%超、60%超、70%超であることを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載のダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品。
<態様5>
32mmスクリーンを通過する凝集塊の質量に対する、13mmスクリーン及び32mmスクリーンの両方を通過する凝集塊の質量パーセントが、60%超、好ましくは65%超、70%超、80%超であることを特徴とする、態様1~4のいずれか一項に記載のダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品。
<態様6>
kg/m
3
単位の密度d及びmW・m
-1
・K
-1
単位の熱伝導率λを有し、熱伝導率λが、7~14kg/m
3
である密度dにおいて、以下の関係を満たすことを特徴とする、ダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品:
λ<A+0.3d+205/d
(Aは、両端の値を含んで17~23である)。
<態様7>
9.5~10.5kg/m
3
である密度dにおいて、42mW・m
-1
・K
-1
未満、好ましくは41mW・m
-1
・K
-1
未満の熱伝導率λを有することを特徴とする、ダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品。
<態様8>
10~20kg/m
3
である密度、好ましくは10~15kg/m
3
である密度において、1kPa・s/m
2
以上、好ましくは2kPa・s/m
2
以上、好ましくは5kPa・s/m
2
以上の通気抵抗を有することを特徴とする、ダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品。
<態様9>
前記グラスウールが、以下のマイクロネア値を有することを特徴とする、態様1~8のいずれか一項に記載のダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品:
- 20L/min未満、好ましくは10L/min未満、
- 2L/min超、好ましくは4L/min超、5L/min超。
<態様10>
前記絶縁製品の合計質量に対して、少なくとも75%、好ましくは少なくとも95%のグラスウールを含むことを特徴とする、態様1~9のいずれか一項に記載のダウンの形態のバラ詰めグラスウールを含む絶縁製品。
<態様11>
ダウン、小塊、又はフレークの形態のロックウールを含むバラ詰め絶縁製品であって、複数層のスクリーン及び3mmの最大振動振幅を備え、前記振動振幅を1.5~2.5mmに、好ましくは1.8~2.2mmに、なおより良好には2mmに設定した振動ふるい振とう器を5分間用いて2~5gの絶縁製品をスクリーニングすることによって得られる凝集塊の質量分布が、以下の関係、(%凝集塊6~13)-(%凝集塊<6)≧5%、を満たすことを特徴とする、絶縁製品:
ここで、
- (%凝集塊6~13)は、6mm及び13mmの両方のスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントに相当し、かつ
- (%凝集塊<6)は、6mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントに相当する。
<態様12>
以下の関係を満たすことを特徴とする、態様11に記載のロックウールを含む絶縁製品:
(%凝集塊6~13)-(%凝集塊<6)≧10%
<態様13>
6mmスクリーンを通過する凝集塊の前記質量パーセントが、以下であることを特徴とする、態様11及び12のいずれか一項に記載のロックウールを含む絶縁製品:
- 40%未満、45%未満、30%未満、及び/又は
- 10%超、20%超。
<態様14>
13mmスクリーンを通過する凝集塊の前記質量パーセントが、以下であることを特徴とする、態様11~13のいずれか一項に記載のロックウールを含む絶縁製品:
- 95%未満、90%未満、80%未満、及び/又は
- 50%超、60%超、70%超。
<態様15>
6mm及び13mmの両方のスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、40%超、好ましくは45%超、50%超、60%超であることを特徴とする、態様11~14のいずれか一項に記載のロックウールを含む絶縁製品。
<態様16>
6mm及び19mmの両方のスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、50%超、好ましくは55%超、60%超、70%超であることを特徴とする、態様11~15のいずれか一項に記載のロックウールを含む絶縁製品。
<態様17>
25mmスクリーン又は34mmスクリーンを通過する凝集塊の質量パーセントが、100%であることを特徴とする、態様11~16のいずれか一項に記載のロックウールを含む絶縁製品。
<態様18>
前記ロックウールが、少なくとも250のファソネア値を有する絡み合ったミネラル繊維を備えることを特徴とする、態様11~17のいずれか一項に記載のロックウールを含む絶縁製品。
<態様19>
kg/m
3
単位の密度d及びmW・m
-1
・K
-1
単位の熱伝導率λを示し、これらが、50~80kg/m
3
である密度dにおいて、以下の関係を満たすことを特徴とする、ダウン、小塊、又はフレークの形態のロックウールを含む絶縁製品:
λ<-0.1d+45;
好ましくは、
λ<-0.1d+44.5;
λ<-0.1d+44;
λ<-0.1d+43。
<態様20>
以下である通気抵抗を示すことを特徴とする、ダウン、小塊、又はフレークの形態のロックウールを含む絶縁製品:
- 40~50kg/m
3
である密度において、3kPa・s/m
2
以上、及び/又は、
- 60~80kg/m
3
である密度において、10kPa・s/m
2
以上。