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特許7594066情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20241126BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023150356
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2024-04-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年10月18日に、″2022 IEEE 11th Global Conference on Consumer Electronics(GCCE 2022)″のAbstract Bookにて、″Wallpaper Dataset for Image Classification″に関する研究を公開 〔刊行物等〕 令和4年10月19日に、″2022 IEEE 11th Global Conference on Consumer Electronics(GCCE 2022)″という国際会議にて、″Wallpaper Dataset for Image Classification″に関する研究を公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521510648
【氏名又は名称】コマツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】豊永 晴斗
(72)【発明者】
【氏名】小松 智
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107443(JP,A)
【文献】特開2021-140445(JP,A)
【文献】特開2021-128388(JP,A)
【文献】特開2002-216133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、
画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え
前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む、情報出力システム。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、一の建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を問題データとし、前記一の建築材料を特定する情報を正解データとした、教師あり学習により構築されたものである、請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項3】
前記一の建築材料に関する前記複数のサンプル画像は、第1の光を前記一の建築材料に照射した状態で前記一の建築材料を撮影した画像である第1の照明画像と、前記第1の光の色温度とは異なる色温度を有する第2の光を前記一の建築材料に照射した状態で前記一の建築材料を撮影した画像である第2の照明画像とを含む、請求項2に記載の情報出力システム。
【請求項4】
前記一の建築材料に関する前記複数のサンプル画像は、前記一の建築材料を撮影した画像における第1の部分を切り出すことで得られた第1の切出画像と、前記一の建築材料を撮影した画像における前記第1の部分とは異なる部分である第2の部分を切り出すことで得られた第2の切出画像とを含む、請求項3に記載の情報出力システム。
【請求項5】
前記一の建築材料を撮影した画像に占める前記第1の切出画像の割合は、前記一の建築材料を撮影した画像に占める前記第2の切出画像の割合よりも大きく、かつ前記第1の切出画像の画素数は、前記第2の切出画像の画素数と同じである、請求項4に記載の情報出力システム。
【請求項6】
前記学習済みモデルはニューラルネットワークを含む、請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項7】
前記情報出力システムは、撮影装置をさらに備え、
前記撮影装置は、
画像を撮影する撮影部と、
前記撮影部にて撮影した画像を前記画像取得部に送信する送信部と、
前記出力部にて出力した情報を受信する受信部とを含む、請求項1に記載の情報出力システム。
【請求項8】
建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムの制御プログラムであって、
画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記画像取得ステップにて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力ステップとをコンピューターに実行させるものであり、
前記建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む、情報出力システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラムに関する。より特定的には、本発明は、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築材料には、壁紙、絨毯、フロアシート、タイル、石材、カーテン、および化粧フィルムなどが含まれる。従来の建築材料の発注方法は、次の通りであった。建築材料のメーカーは、多岐にわたる製品の写真が掲載されたカタログを提供している。建築材料を用いた施工の施工主などの建築材料の購入者は、これらのカタログに掲載された多数の製品の写真の中から、実際にその製品を使用した状態を頭の中に浮かべながら、所望の製品を選択する。購入者は、製品を特定する情報(製品番号など)を、建築会社の社員や建築材料の販売業者の仲介の下でメーカーに伝えることで、その製品を発注する。
【0003】
しかし、従来の建築材料の発注方法では、購入者は、カタログに掲載された膨大な製品の中から製品を選択しなければならず、利便性が低かった。また、カタログに掲載された写真と実際の製品との間には乖離があるため、実際の製品が想像したものと違ったという不満を購入者が持つことが多く、利便性が低かった。さらに、購入者が正式の発注の前に製品のサンプルを取り寄せた場合には、製品のサンプルが購入者の元に届くまでに時間を要し、利便性が低かった。
【0004】
なお、下記特許文献1などには、オンラインによる建材の受発注システムが開示されている。このシステムは、電話回線、インターネット等の通信手段を介して行う建材の受発注システムである。このシステムでは、発注者側端末の表示画面に発注メニュー欄、見積メニュー欄、伝票管理メニュー欄などが設けられる。このシステムでは、発注に際して発注メニュー欄の発注枠が選択された場合に、さらに詳細な項目枠を表示する。そして、これらの項目枠に商品コード、又は商品の色、木目、サイズ、加工条件、使用条件、発注数、希望納品日などの発注情報が入力される。このシステムでは、受注者側のコンピューター処理により発注情報に対応する受注可能の可否、納期、価格等が発注者側端末に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-269175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、購入者はしばしば、外出先の建造物などで実際に使用されている建築材料を偶然気に入り、その建築材料の購入を希望することがある。実際に見て気に入った建築材料と同じものを購入者が容易に購入できるのであれば、上述の従来の建築材料の発注方法における利便性の低さを解消することができる。
【0007】
しかし、多くの場合、購入者、建築会社、または建築材料の販売業者などが必要な建築材料を特定することは困難であった。これは、施工済の建築材料には、その建築材料を特定する情報が表示されていないためである。たとえば壁紙の場合、壁への貼付面である裏面に製品番号が表示されており、表面からは見えない。加えて、建築材料については、全体の明度、ならびに模様の色、凹凸の段差の大きさ、および形状などがわずかに異なる多数の製品が市場に存在しているため、類似した多数の製品同士を目視にて見分けることは容易ではない。
【0008】
したがって、購入者、建築会社、または建築材料の販売業者などは、カタログに掲載された膨大な製品の中から、必要な建築材料を目視にて探す必要があった。またその結果、必要な製品を発見できないことも多かった。一般的に、建築材料のカタログは、2年に1回程度の短い周期で新しいバージョンのものに切り替わり、新しいバージョンのカタログでは、古いバージョンのカタログに掲載されている製品の2~4割のものが廃番になる傾向にある。このような状況で、必要な建築材料が最新版のカタログに掲載されていない可能性が高いことも、必要な製品を発見できない理由の一つであった。
【0009】
購入者、建築会社、または建築材料の販売業者などは必要な製品を探すことに多大な労力を要し、利便性は依然として低かった。
【0010】
図14は、壁紙の市場に存在する4つの互いに異なる製品の写真を示す図である。
【0011】
建築材料の一例である壁紙についても、全体の明度、ならびに模様の色、凹凸の段差の大きさ、および形状などがわずかに異なる多数の製品が市場に存在している。図14(a)~図14(d)の各々には、壁紙の市場に存在する4つの互いに異なる製品の各々が示されている。しかし、これらを目視にて見分けることは容易ではない。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、利便性を向上することのできる情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一の局面に従う情報出力システムは、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムであって、画像を取得する画像取得部と、画像取得部にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部とを備え、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む。
【0014】
上記情報出力システムにおいて好ましくは、学習済みモデルは、一の建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を問題データとし、一の建築材料を特定する情報を正解データとした、教師あり学習により構築されたものである。
【0015】
上記情報出力システムにおいて好ましくは、一の建築材料に関する複数のサンプル画像は、第1の光を一の建築材料に照射した状態で一の建築材料を撮影した画像である第1の照明画像と、第1の光の色温度とは異なる色温度を有する第2の光を一の建築材料に照射した状態で一の建築材料を撮影した画像である第2の照明画像とを含む。
【0016】
上記情報出力システムにおいて好ましくは、一の建築材料に関する複数のサンプル画像は、一の建築材料を撮影した画像における第1の部分を切り出すことで得られた第1の切出画像と、一の建築材料を撮影した画像における第1の部分とは異なる部分である第2の部分を切り出すことで得られた第2の切出画像とを含む。
【0017】
上記情報出力システムにおいて好ましくは、一の建築材料を撮影した画像に占める第1の切出画像の割合は、一の建築材料を撮影した画像に占める第2の切出画像の割合よりも大きく、かつ第1の切出画像の画素数は、第2の切出画像の画素数と同じである。
【0019】
上記情報出力システムにおいて好ましくは、学習済みモデルはニューラルネットワークを含む。
【0020】
上記情報出力システムにおいて好ましくは、情報出力システムは、撮影装置をさらに備え、撮影装置は、画像を撮影する撮影部と、撮影部にて撮影した画像を画像取得部に送信する送信部と、出力部にて出力した情報を受信する受信部とを含む。
【0021】
本発明の他の局面に従う情報出力システムの制御プログラムは、壁紙である建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムの制御プログラムであって、画像を取得する画像取得ステップと、画像取得ステップにて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、画像取得部にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力ステップとをコンピューターに実行させるものであり、建築材料を特定する情報は、建築材料の製品を特定する情報、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURL(Uniform Resource Locator)のうち少なくともいずれか1つを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、利便性を向上することのできる情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施の形態における情報出力システム1の構成を概念的に示す図である。
図2】本発明の一実施の形態における情報出力システム1の機能的構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態におけるモデル121および221の各々のニューラルネットワーク500を模式的に示す図である。
図4】本発明の一実施の形態における情報出力システム1の動作を説明するフローチャートである。
図5】本発明の一実施の形態において、携帯端末300の操作表示部303に表示される操作画面を示す第1の図である。
図6】本発明の一実施の形態において、携帯端末300の操作表示部303に表示される操作画面を示す第2の図である。
図7】本発明の一実施の形態において、携帯端末300の操作表示部303に表示される操作画面を示す第3の図である。
図8】本発明の一実施の形態において、携帯端末300の操作表示部303に表示される操作画面を示す第4の図である。
図9】建築材料601の構造を示す図である。
図10】本発明の一実施の形態における、建築材料601についてのサンプル画像IM1~IM3の作成方法を説明する図である。
図11】本発明の一実施の形態におけるサンプル画像IM1を用いた学習データの増補方法を説明する図である。
図12】増補された後の建築材料601に関する学習データDSを示す図である。
図13】本発明の一実施の形態におけるモデル221の学習に関する情報出力システム1の動作を示すフローチャートである。
図14】壁紙の市場に存在する4つの互いに異なる製品の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0025】
[情報出力システムの構成および動作]
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態における情報出力システム1の構成を概念的に示す図である。
【0027】
図1を参照して、本実施の形態における情報出力システム1(情報出力システムの一例)は、建築材料を特定する情報を出力する情報出力システムである。対象となる建築材料は任意の種類のものであればよく、壁紙、絨毯、フロアシート、タイル、石材、カーテン、または化粧フィルムなどである。情報出力システム1は、情報出力装置100と、学習装置200と、複数の携帯端末300(撮影装置の一例)とを備えている。情報出力装置100と、学習装置200と、複数の携帯端末300とは、インターネット400を通じて相互に接続されており、相互に通信を行う。情報出力装置100、学習装置200、および複数の携帯端末300の各々は、コンピューターであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、およびネットワークインターフェースなどにより構成されている。
【0028】
なお、情報出力装置100および学習装置200は、1つの装置よりなっていてもよい。この場合、モデル121および221は同一のものであってもよい。
【0029】
図2は、本発明の一実施の形態における情報出力システム1の機能的構成を示すブロック図である。情報出力システム1の各機能は、情報出力装置100、学習装置200、および携帯端末300の各々のROMに記憶されたプログラムを、情報出力装置100、学習装置200、および携帯端末300の各々のCPUが実行することにより実現されてもよい。
【0030】
図2を参照して、情報出力装置100は、建築材料を特定する情報を出力する。情報出力装置100は、画像取得部101(画像取得部の一例)と、出力部102(出力部の一例)と、送受信部103と、操作表示部104と、記憶部105とを含んでいる。
【0031】
画像取得部101は、携帯端末300などから分析対象となる建築材料の画像を取得する。
【0032】
出力部102は、画像取得部101にて取得した画像を入力として、モデル121を用いて、画像取得部101にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する。
【0033】
送受信部103は、学習装置200および携帯端末300の各々との間でデータの送受信を行う。
【0034】
操作表示部104は、各種操作を受け付け、各種情報を表示する。
【0035】
記憶部105は、モデル121(学習済みモデルの一例)などの各種情報を記憶する。
【0036】
モデル121は、入力された画像の内容を分析し、分析結果として建築材料を特定する情報を出力する。モデル121は、機械学習により生成された学習済みモデルである。本実施の形態では、モデル121は、教師あり学習により生成されたものであり、ニューラルネットワークとパラメーターとを含む。モデル121は、マスターである学習装置200のモデル221と同一の内容となるように、必要なタイミングでモデル221と同期される。
【0037】
学習装置200は、学習モデルの学習を行う。学習装置200は、学習データ取得部201と、学習データ増補部202と、学習部203と、送受信部204と、記憶部205とを含んでいる。
【0038】
学習データ取得部201は、モデル221の学習に使用するデータを取得する。学習データ取得部201は、インターネット400を通じて図示しないデータサーバーなどからデータを取得してもよいし、学習装置200に接続可能な外部記憶媒体などからデータを取得してもよい。
【0039】
学習データ増補部202は、モデル221の学習に使用するデータを増補する。学習データ増補部202は、学習データ取得部201にて取得したデータに対して、サイズ変換、トリミング、または反転などの加工を施すことにより、増補するデータを作成する。
【0040】
学習部203は、モデル221に対する学習を行う。
【0041】
送受信部204は、情報出力装置100との間でデータの送受信を行う。
【0042】
記憶部205は、モデル221などの各種情報を記憶する。
【0043】
なお、記憶部205は、学習データ222をさらに記憶していてもよい。学習データ222は、モデル221の学習に使用するデータであり、学習データ取得部201にて取得したデータおよび学習データ増補部202にて増補したデータを含んでいる。
【0044】
複数の携帯端末300の各々は、複数のユーザーの各々によって所持されている。ユーザーは、建築材料を用いた施工の施工主などの建築材料の購入者、建築会社の社員、または建築材料の販売業者などである。複数の携帯端末300の各々は、ほぼ同一の構成を有しおり、撮影部301(撮影部の一例)と、送受信部302(送信部および受信部の一例)と、操作表示部303と、記憶部304とを含んでいる。
【0045】
撮影部301は、建築材料などの各種画像を撮影する。
【0046】
送受信部302は、情報出力装置100との間でデータの送受信を行う。送受信部302は、撮影部301にて撮影した画像を情報出力装置100の画像取得部101に送信し、情報出力装置100の出力部102にて出力した情報を受信する。
【0047】
操作表示部303は、各種操作を受け付け、各種情報を表示する。
【0048】
記憶部304は、アプリ321などの各種情報を記憶する。アプリ321は、情報出力システム1が提供するサービスを携帯端末300のユーザーが利用する際に必要となるプログラムなどを含むアプリケーションである。
【0049】
次に、モデル121および221の各々のニューラルネットワークについて説明する。
【0050】
図3は、本発明の一実施の形態におけるモデル121および221の各々のニューラルネットワーク500を模式的に示す図である。
【0051】
図3を参照して、モデル121および221の各々のニューラルネットワーク500は、いわゆる階層型ニューラルネットワークであり、多数の人工ニューロン(図3中円形で示されるもの)が階層を形成しつつ連結されている。階層型ニューラルネットワークは、入力用の人工ニューロン、処理用の人工ニューロン及び出力用の人工ニューロンを備える。ニューラルネットワーク500は、「Efficient Net」などの畳み込みニューラルネットワークであることが好ましい。
【0052】
問題データ510は、ニューラルネットワーク500の処理対象である。問題データ510は、入力層501における入力用の人工ニューロンで取得される。入力用の人工ニューロンは、並列配置されることで入力層501を構成している。問題データ510は、処理用の人工ニューロンへ分配される。
【0053】
処理用の人工ニューロンは、入力用の人工ニューロンに接続される。処理用の人工ニューロンは、並列配置されることで中間層502を構成している。中間層502は、複数の層であってもよい。なお、中間層502を備えた3階層以上のニューラルネットワークをディープニューラルネットワークという。
【0054】
ニューラルネットワークは、いわゆる畳み込みニューラルネットワークであってもよい。畳み込みニューラルネットワークは、畳み込み層とプーリング層とが交互に連結されて構成されるディープニューラルネットワークである。畳み込み層とプーリング層とで順次処理が行われることにより、問題データ510の画像はエッジなどの特徴を保持しつつ縮小される。畳み込みニューラルネットワークを画像解析に応用した場合、この抽出された特徴に基づいて画像の分類を高精度に行うことができる。
【0055】
出力用の人工ニューロンは、正解データ511を外部へ出力する。出力用の人工ニューロンは、出力層503を構成している。学習部203は、問題データ510を入力した場合に正解データ511が出力されるように、ニューラルネットワーク500の学習を行う(具体的には、モデル221のパラメーターを調整する)。
【0056】
図4は、本発明の一実施の形態における情報出力システム1の動作を説明するフローチャートである。
【0057】
図4を参照して、携帯端末300は、建築材料を撮影し(S1)、撮影した画像を情報出力装置100に送信する(S3)。ステップS1においては、建築材料から所定の距離(たとえば20cm~40cm)だけ離れた位置で、建築材料が撮影されることが好ましい。
【0058】
情報出力装置100は、携帯端末300から画像を取得(受信)すると(S5)、取得した画像を入力として、モデル121を用いて、取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を携帯端末300に出力(送信)する(S9)。ステップS9において、情報出力装置100は、可能性のある複数の建築材料の各々を特定する情報を出力してもよい。この場合、情報出力装置100は、特定した複数の建築材料の各々についての、可能性が高い順序や正確である確率などを合わせて出力してもよい。
【0059】
携帯端末300は、情報出力装置100から情報を受信すると(S11)、受信した情報を表示し(S13)、処理を終了する。
【0060】
情報出力装置100は、携帯端末300から画像を取得する代わりに、インターネット400を通じて図示しない外部端末などから画像を取得してもよいし、情報出力装置100に接続可能な外部記憶媒体やデジタルカメラなどから画像を取得してもよい。情報出力装置100は、取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を、携帯端末300に送信する代わりに、インターネット400を通じて図示しない外部端末などに送信してもよいし、自機の操作表示部104に出力(表示)してもよい。
【0061】
[携帯端末での表示および操作]
【0062】
次に、携帯端末300での表示および操作について説明する。
【0063】
図5図8は、本発明の一実施の形態において、携帯端末300の操作表示部303に表示される操作画面を示す図である。
【0064】
図5を参照して、ユーザーによってアプリ321(図1)が起動されると、携帯端末300は、メッセージM1と、カメラのモニターM2と、キーKY1とを含む操作画面を操作表示部303に表示する。メッセージM1は、建築材料から所定の距離(たとえば20cm~40cm)だけ離れた位置で撮影することを指示するメッセージである。キーKY1は撮影する際に押下されるキーである。
【0065】
ユーザーは、建築材料から所定の距離だけ離れた位置で、分析対象となる建築材料に携帯端末300のカメラを向ける。ユーザーは、モニターM2で建築材料の画像を確認し、キーKY1を押下する。
【0066】
図6を参照して、携帯端末300は、キーKY1が押下されると、メッセージM3と、画像M4と、キーKY2およびKY3とを含む操作画面を操作表示部303に表示する。メッセージM3は、撮影した画像を情報出力装置100に送信するか否かを問い合わせるメッセージである。画像M4は、キーKY1の押下により撮影された画像である。キーKY2は、送信する際に押下されるキーである。キーKY3は、送信をキャンセルする際に押下されるキーである。
【0067】
ユーザーは、画像M4を確認し、キーKY2またはKY3を押下する。キーKY2が押下された場合、撮影された画像を携帯端末300は情報出力装置100に送信し、図7に示す操作画面を操作表示部303に表示する。キーKY3が押下された場合、携帯端末300は図5に示す操作画面を操作表示部303に表示する。
【0068】
図7を参照して、携帯端末300は、キーKY2が押下されると、画像を送信した旨および情報出力装置100にて画像を解析中である旨のメッセージM5を含む操作画面を操作表示部303に表示する。建築材料を特定する情報を情報出力装置100から受信するまで、携帯端末300は、図7に示す操作画面を表示し続ける。
【0069】
図8を参照して、建築材料を特定する情報を情報出力装置100から受信すると、携帯端末300は、建築材料を特定した旨のメッセージM6と、建築材料を特定する情報M7と、キーKY4とを含む操作画面を操作表示部303に表示する。
【0070】
図8に示す操作画面では、建築材料を特定する情報M7として、可能性が高い順序に複数(ここでは3つ)の建築材料を特定する情報の各々が、可能性の高い順序で上から下に向かって並べて表示されている。それぞれの建築材料を特定する情報は、建築材料の製品番号、建築材料の製造者、および建築材料を購入可能なウェブサイトのアドレスなどを含んでいる。キーKY4が押下されると、携帯端末300は図5に示す操作画面を操作表示部303に表示する。
【0071】
[撮影した画像における建築材料の見え方]
【0072】
次に、撮影した画像における建築材料の見え方について説明する。以降の説明では、分析対象となる建築材料が壁紙である場合について説明する。
【0073】
図9は、建築材料601の構造を示す図である。図9(a)は平面図であり、図9(b)は図9(a)中IXB-IXB線に沿う断面図であり、建築材料601における模様の列611の断面図である。図9(c)は図9(a)中IXC-IXC線に沿う断面図であり、建築材料601における模様の列612の断面図である。列612と列611とは互いに隣接しており、上下方向に交互に配置されている。
【0074】
図9を参照して、建築材料の模様の種類に関わらず、建築材料の表面には一般的に凹凸が存在し、この凹凸に起因する影が生じる。建築材料601は、建築材料の一例であり、市松模様を有している。市松模様を構成する互いに隣接する2つの四角形のうち、一方は凸部613を構成しており、他方は凹部614を構成している。凸部613の周囲の一部には、凹凸に起因する影が生じる。したがって、影が生じる位置は、建築材料601に光を照射する照明の位置に依存する。影の長さおよび濃さは、照明の光の強さおよび凹凸の段差の程度などに依存する。
【0075】
また、建築材料601の表面の色は、照明の光の色温度に依存する。たとえば、照明の光がいわゆる「電球色」である場合、建築材料601の表面は暖色系の色味になる。照明の光がいわゆる「昼白色」である場合、建築材料601の表面は自然の状態に近い色味になる。照明の光がいわゆる「昼光色」である場合、建築材料601の表面は寒色系の色味になる。
【0076】
また、建築材料601までの距離が近い場合には、建築材料601凹凸や影などが明確に見えるが、建築材料までの距離が近い場合には凹凸や影などが見えにくくなる。
【0077】
さらに、撮影したカメラの性能や、建築材料における撮影される部分によって、撮影した画像における建築材料の見え方は変化する。
【0078】
したがって、一の建築材料であっても、照明の位置、照明の光の強さ、凹凸の段差の程度、照明の光の色温度、建築材料までの距離、カメラの性能、建築材料における撮影される部分などの種々の条件によって、撮影した画像における建築材料の見え方は変化する。このような種々の条件による見え方の変化は、壁紙のみならず、建築材料全般において生じ得る。
【0079】
[学習部によるモデルの学習方法]
【0080】
上述のように、種々の条件によって、撮影した画像における建築材料の見え方は変化する。撮影した画像における建築材料の見え方の変化は、情報出力システムが出力する建築材料を特定する情報の精度を低下させる。
【0081】
そこで学習部203は、一の建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を問題データとし、一の建築材料を特定する情報を正解データとした、教師あり学習によりモデル221を構築することが好ましい。これにより、情報出力装置100のモデル121は、条件の違いによる建築材料の見え方の変化を学習したものとなるため、情報出力システムが出力する建築材料を特定する情報の精度を向上することができる。
【0082】
次に、学習部203が行うモデル221の学習方法の一例について説明する。
【0083】
図10は、本発明の一実施の形態における、建築材料601についてのサンプル画像IM1~IM3の作成方法を説明する図である。なお、図10および図12では、照明の光の色温度の違いに起因する建築材料の色の違いが、細いハッチングの種類の違いにより表現されている。また、建築材料の左上の方向から光が照射しているものとして、凸部の周囲に生じる影が、太いハッチングで表現されている。これらのハッチングにより、サンプル画像IM1~IM3の各々における建築材料601の見え方が様々な条件によって変化することが、明らかにされている。
【0084】
図10を参照して、ここでは、複数の建築材料のうち一の建築材料601に関する入力データIDの作成方法を説明する。情報出力システム1の管理者は、所定の位置(ここでは建築材料の左上の位置)に照明を固定する。建築材料601から所定の距離だけ離れた位置で、建築材料601のサンプル画像を撮影する。サンプル画像を撮影する際の距離は、情報出力システム1の利用時に携帯端末300で建築材料を撮影する際の、携帯端末300から建築材料までの距離と等しいことが好ましい。
【0085】
サンプル画像の撮影の際、管理者は、互いに異なる色温度を有する複数の光の各々を照射した状態で、建築材料601に関する複数のサンプル画像の各々を撮影する。ここでは電球色の光を建築材料601に照射した状態でサンプル画像IM1が撮影され、昼白色の光を建築材料601に照射した状態でサンプル画像IM2が撮影され、昼光色の光を建築材料601に照射した状態でサンプル画像IM3が撮影される。その結果、建築材料601に関する互いに異なる3つのサンプル画像IM1~IM3(第1および第2の照明画像の一例)が得られる。
【0086】
管理者は、建築材料601に関するサンプル画像IM1~IM3と、建築材料601を特定する情報IF1とを、建築材料601に関する入力データIDとして学習装置200に入力する。建築材料601に関する入力データIDは、建築材料601に関する学習データDS(図12)の一部となる。情報IF1は、建築材料の製品番号、建築材料の購入方法、および建築材料を販売するウェブサイトのURLのうち少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。入力データIDに含まれるサンプル画像の数は任意であり、複数であることが好ましい。
【0087】
なお、管理者は、建築材料601と同様の方法で、複数の建築材料のうち他の建築材料602、603・・・の各々に関する入力データIDも作成し、学習装置200に入力する。
【0088】
学習装置200は、建築材料601に関する入力データIDを取得すると、必要なタイミングで建築材料601に関する学習データを増補する。学習データの増補は、サンプル画像についての色の変換、コントラストの変更、ノイズの追加、サイズ変換、トリミング、および反転のうち少なくともいずれか1つの加工方法を用いて行われることが好ましい。ここでは、学習データの増補は、次の方法で行われる。
【0089】
図11は、本発明の一実施の形態におけるサンプル画像IM1を用いた学習データの増補方法を説明する図である。
【0090】
図11(a)を参照して、学習装置200は、サンプル画像IM1における互いに異なる複数(ここでは7つ)の部分を切り出すことで、切出画像CM11~CM17(第1および第2の切出画像の一例)の各々を得る。サンプル画像IM1に占める切出画像CM11~CM13(第1の切出画像の一例)の各々の割合は互いに等しく、切出画像CM11~CM13の各々の画素数は互いに等しい。また、サンプル画像IM1に占める切出画像CM14~CM17(第2の切出画像の一例)の各々の割合は互いに等しく、切出画像CM14~CM17の各々の画素数は互いに等しい。サンプル画像IM1に占める切出画像CM11~CM13の各々の割合は、サンプル画像IM1に占める切出画像CM14~CM17の各々の割合よりも大きい。
【0091】
図11(b)を参照して、小さい方の切出画像CM14~CM17の各々は、そのままの画素数で、建築材料601に関するサンプル画像IM14~IM17の各々とされる。一方、大きい方の切出画像CM11~CM13の各々の画素数は、切出画像CM14~CM17の各々の画素数と同じになるように減少され(言い換えれば、切出画像CM11~CM13の各々は粗い画像に加工され)、サンプル画像IM11~IM13の各々とされる。このようにして、サンプル画像IM1を加工することでサンプル画像IM11~IM17が得られる。なお、1つのサンプル画像の加工により作成されるサンプル画像の数は任意である。
【0092】
図12は、増補された後の建築材料601に関する学習データDSを示す図である。
【0093】
図12を参照して、学習装置200は、サンプル画像IM1と同様の方法で、サンプル画像IM2およびIM3の各々を加工することで、サンプル画像IM21~IM27およびIM31~37の各々を得る。サンプル画像IM21~IM27の各々は、サンプル画像IM2を加工することで作成され、サンプル画像IM11~IM17の各々に対応するものである。サンプル画像IM31~IM37の各々は、サンプル画像IM3を加工することで作成され、サンプル画像IM11~IM17の各々に対応するものである。
【0094】
学習装置200は、建築材料601に関する学習データDSとして、サンプル画像IM1およびIM11~IM17、IM2およびIM21~27、ならびにIM3およびIM31~IM37(複数のサンプル画像の一例)と、情報IF1とを学習データ222に追加する。サンプル画像IMIおよびIM11~IM17、IM2およびIM21~27、ならびにIM3およびIM31~IM37は学習データDSの問題データとされ、情報IF1は学習データDSの正解データとされる。このようにして、建築材料601に関する学習データDSは、サンプル画像IM11~IM17、IM21~27、およびIM31~IM37の分だけ増補される。
【0095】
図13は、本発明の一実施の形態におけるモデル221の学習に関する情報出力システム1の動作を示すフローチャートである。
【0096】
図13を参照して、学習装置200は、n(nは自然数)個の建築材料に関する入力データIDを取得すると(S101)、変数kを1に設定し(S103)、k番目の建築材料に関する入力データIDを抽出する(S105)。続いて学習装置200は、抽出した入力データを用いて、k番目の建築材料に関する学習データを増補し(S107)、学習データ222に追加する(S109)。ついに学習装置200は、変数kがnと等しいか否かを判別する(S111)。
【0097】
ステップS111において、変数kがnと等しくないと判別した場合(S111でNO)、学習装置200は、変数kをインクリメントし(S113)、ステップS105の処理へ進む。
【0098】
ステップS111において、変数kがnと等しいと判別した場合(S111でYES)、n個の建築材料に関する学習データが全て学習データ222に追加された状態にある。この場合、学習装置200は、学習データ222を用いて自機のモデル221に対する学習を行う(S115)。その後、学習装置200は、自機のモデル221のデータを情報出力装置100に送信する(S117)。情報出力装置100は、学習装置200のモデル221のデータを受信すると(S119)、自機のモデル121が学習装置200のモデル221と同一の内容となるように、モデル121をモデル221と同期させ(S121)、処理を終了する。
【0099】
[実施の形態の効果]
【0100】
本実施の形態においては、購入者、建築会社、または建築材料の販売業者などであるユーザーは、必要な建築材料の画像を撮影することで、その建築材料を特定する情報を得ることができる。これにより、カタログに掲載された膨大な製品の中から、必要な建築材料を目視にて特定する必要がなくなり、利便性を向上することができる。また、必要な建築材料が最新版のカタログに掲載されていない状況であっても、必要な製品を発見することができ、利便性を向上することができる。
【0101】
また、一の建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を問題データとし、一の建築材料を特定する情報を正解データとした、教師あり学習により学習済みモデルが構築されている。これにより、学習済みモデルは、条件の違いによる建築材料の見え方の変化を学習したものとなるため、建築材料を特定する情報の精度を向上することができる。
【0102】
また、一の建築材料に関する複数のサンプル画像は、互いに異なる色温度を有する複数の光の各々を一の建築材料に照射した状態で撮影した複数の照明画像の各々を含んでいる。これにより、学習済みモデルは、照明の光の色温度による一の建築材料の見え方の変化を学習したものとなるため、建築材料を特定する情報の精度を向上することができる。
【0103】
また、一の建築材料に関する複数のサンプル画像は、一の建築材料を撮影した画像における互いに異なる複数の部分の各々を切り出すことで得られた複数の切出画像の各々を含んでいる。これにより、学習済みモデルは、建築材料における撮影される部分による建築材料の見え方の変化を学習したものとなるため、建築材料を特定する情報の精度を向上することができる。
【0104】
さらに、一の建築材料を撮影した画像に占める第1の切出画像の割合は、一の建築材料を撮影した画像に占める第2の切出画像の割合よりも大きく、かつ第1の切出画像の画素数は、第2の切出画像の画素数と同じである。これにより、学習済みモデルは、建築材料までの距離による建築材料の見え方の変化を学習したものとなるため、建築材料を特定する情報の精度を向上することができる。
【0105】
[その他]
【0106】
モデル121および221の各々は、教師なし学習により生成されたものであってもよい。モデル121および221の各々が教師なし学習により生成されたものである場合、モデル121および221の各々は、建築材料を特定する情報に基づかず、建築材料に関する互いに異なる複数のサンプル画像に基づく機械学習により生成されたもの(言い換えれば、正解データの無い機械学習)であってもよい。モデル121および221の各々は、任意の学習モデルであればよく、Vision Transformer(ViT)のような一部にのみニューラルネットワークを含むものや、ニューラルネットワークを含まないものであってもよい。
【0107】
上述の実施の形態では、管理者が、所定の位置(建築材料の左上の位置)に照明を固定し、互いに異なる色温度を有する複数の光の各々を照射した状態で、建築材料601に関する複数のサンプル画像IM1~IM3の各々を撮影する例について説明した。この例に加えて、またはこの例の代わりに、管理者は、互いに異なる複数の位置の各々に照明を配置した状態で、建築材料601に関する互いに異なる複数のサンプル画像の各々を撮影してもよい。これにより、照明の光が様々な角度から建築材料601に照射した状態で撮影された複数のサンプル画像に基づいて、モデル121および221の各々の学習を行うことができ、建築材料を特定する情報の精度を向上することができる。
【0108】
上述の実施の形態および変形例における処理は、ソフトウェアにより行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD-ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0109】
上述の実施の形態および変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0110】
上述の実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
1 情報出力システム(情報出力システムの一例)
100 情報出力装置
101 画像取得部(画像取得部の一例)
102 出力部(出力部の一例)
103,204,302 送受信部(送信部および受信部の一例)
104,303 操作表示部
105,205,304 記憶部
121,221 モデル(学習済みモデルの一例)
200 学習装置
201 学習データ取得部
202 学習データ増補部
203 学習部
222,DS 学習データ
300 携帯端末(撮影装置の一例)
301 撮影部(撮影部の一例)
321 アプリ
400 インターネット
500 ニューラルネットワーク
501 入力層
502 中間層
503 出力層
510 問題データ
511 正解データ
601,602,603 建築材料
611,612 建築材料における模様の列
613 建築材料における凸部
614 建築材料における凹部
CM11~CM17 切出画像(第1および第2の切出画像の一例)
ID 入力データ
IF1 建築材料を特定する情報
IM1~IM3,IM11~IM17,IM21~IM27,IM31~IM37 サンプル画像(複数のサンプル画像、ならびに第1および第2の照明画像の一例)
KY1~KY4 キー
M1,M3,M5,M6 メッセージ
M2 モニター
M4 画像
M7 情報
【要約】
【課題】利便性を向上することのできる情報出力システムおよび情報出力システムの制御プログラムを提供する。
【解決手段】情報出力システム1は、画像を取得する画像取得部101と、画像取得部101にて取得した画像を入力として、機械学習により生成された学習済みモデル121を用いて、画像取得部101にて取得した画像に関連する建築材料を特定する情報を出力する出力部102とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14