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特許7594085ブラシシルバリネートエシレートを含有するクリーンリンスヘアコンディショナー組成物
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  • 特許-ブラシシルバリネートエシレートを含有するクリーンリンスヘアコンディショナー組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ブラシシルバリネートエシレートを含有するクリーンリンスヘアコンディショナー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20241126BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241126BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/34
A61Q5/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023503407
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021071144
(87)【国際公開番号】W WO2022036352
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】63/064,253
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジーン ジエンチュン ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヘザー リン フォフト
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ リン カリザース
(72)【発明者】
【氏名】スザンネ ウィル
(72)【発明者】
【氏名】リーナ オーロラ ウィッテ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン トーマス ウェバー
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-532108(JP,A)
【文献】Gala, Italy,Detox Scrub Mask,Mintel GNPD [online],2020年03月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID7297113,[検索日:2023.12.8], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアコンディショナー組成物であって、
a.水性担体と、
b.1重量%~12重量%のBVEと、
c.1重量%~12重量%の少なくとも2つの脂肪族アルコールと、
を含み、
第1の脂肪族アルコールが、C16以下の平均アルキル鎖を有し、第2の脂肪族アルコールが、C18以上の平均アルキル鎖を有し、前記組成物の最大1.0重量%が、C22の平均アルキル鎖を有する脂肪族アルコールであり、
前記第1の脂肪族アルコールの前記第2の脂肪族アルコールに対するモル比が、20:80から99:1であり、
BVEの総脂肪族アルコールに対するモル比が、20:80~45:55であり、
前記組成物が、均一なLβゲルネットワークを含み、
ラメラゲルネットワーク試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って測定したとき、前記組成物が、15nm~40nmのd-間隔を有し、
前記組成物が、950 1/sで45Pa~800Paの剪断応力を有し、
前記ゲルネットワーク含有量が、0.01~0.06モルである
ヘアコンディショナー組成物。
【請求項2】
前記第1の脂肪族アルコールが、ラウリルアルコール(C12)、トリデシルアルコール(C13)、ミリスチルアルコール(C14)、ペンタデシルアルコール(C15)、セチルアルコール(C16)、イソセチルアルコール(C16)、パルミトレイルアルコール(C16)、ヘプタデシルアルコール(C17)、セトステアリルアルコール(C16~C18)、セテアリルアルコール(C16~C18)、セチルステアリルアルコール(C16~C18)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第2の脂肪族アルコールが、ヘプタデシルアルコール(C17)、ステアリルアルコール(C18)、イソステアリルアルコール(C18)、オレイルアルコール(C18)、ノナデシルアルコール(C19)、アラキジルアルコール(C20)、ヘンエイコシルアルコール(C21)、ベヘニルアルコール(C22)、エルシルアルコール(C22)、リグノセリルアルコール(C24)、セリルアルコール(C26)、ブラシカアルコール(C18~C22)、セトステアリルアルコール(C16~C18)、セテアリルアルコール(C16~C18)、セチルステアリルアルコール(C16~C18)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の脂肪族アルコールが、セチルアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2の脂肪族アルコールが、ブラシカアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
BVEの総脂肪族アルコールに対するモル比が、20:80~40:60である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
50Pa~700Paの剪断応力を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
本明細書に記載のpH試験法に従って測定したとき、2.5~5.5のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
i.0.1重量%~1.5重量%の第1の保存剤と、
ii.0.2重量%~2.0重量%の第2の保存剤と、
を含む、保存系を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1の保存剤の前記第2の保存剤に対する重量比が、1:10~8:1である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の保存剤が、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及びこれらの混合物から選択され、前記第2の保存剤が、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、及びこれらの混合物から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記保存系が、前記組成物の0.2重量%~1.5重量%の前記第2の保存剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
細菌及び真菌微生物感受性試験法に従って測定したとき、微生物のレベルが2日間で検出不可能になる、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
0.1重量%~0.8重量%のブラシカアルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアコンディショナー組成物に関し、より詳細には、ブラシシルバリネートエシレート(brassicyl valinate esylate)バイオ系カチオン性アミノ脂質を含むヘアコンディショナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のコンディショニングのために、様々な手法が開発されてきた。これらの手法は、リーブオン製品及びリンスオフ製品などのヘアコンディショナーをシャンプー後に適用することから単一の製品で毛髪の洗浄及びコンディショニングの両方を行おうとするヘアコンディショニングシャンプーまでにわたる。
【0003】
一部の消費者は、コンディショナーを含むシャンプーの容易さ及び利便性を好むが、かなりの割合の消費者は、通常シャンプー後にシャンプーすることとは別個のステップとして毛髪に適用する、より従来的なコンディショナー配合物を好む。コンディショニング配合物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態であり得、エマルジョン、クリーム、ジェル、スプレー、及びムースの形態であり得る。従来的なコンディショナー配合物を好むこのような消費者は、比較的高いコンディショニング効果、又は毛髪の状態若しくは毛髪の量に応じてコンディショニングの量を変更する利便性を重視する。
【0004】
ヘアケア製品における特定の界面活性剤及び保存剤など、特定の成分を低減又は除外することに対する一般の消費者からの要求が高まっている。一部の消費者は、ヘアケア製品中の成分が、EWG VERIFIED(商標)であること、Whole Foods(登録商標)によってボディケアには許容できないとリストアップされている成分をいずれも含まないこと、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」(緑色の点)として分類されていることなど、ナチュラル認証基準を満たすことを望んでいる。ヘアケア製品もCOSMOS基準(2019年1月1日)を満たし得る。COSMOS基準の最終的な目的は、地球上の人間の環境及び福祉に不可欠な主要な問題に対処することである。
【0005】
しかし、ヘアケア製品に使用される材料を変更することにより、製品に悪影響を与える恐れがある。例えば、コンディショナーでは、カチオン性界面活性剤を変更すると、コンディショニング性能が低下する恐れがあり、保存系を変更すると、微生物学的安全性要件に悪影響を及ぼす恐れがある。したがって、COSMOS及び他のナチュラル認証基準を満たすとともに、消費者が期待し、望む性能を依然としてもたらすコンディショナー組成物が必要とされている。
【0006】
加えて、コンディショナーの配合者は、どの程度の頻度で、良好な湿潤感をもたらし得るコンディショナーが、洗い流しに長い時間を要し、洗髪後の清潔感をなくし、また髪を垂れ下がらせて乾燥時のボリュームを失わせる残留物を毛髪上に引き続き残し得るかなどのトレードオフが存在し得ることを考慮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、コンディショニングと清潔感のトレードオフを解消することができ、重い残留物を残さず、良好な毛髪のボリュームを提供するコンディショナーを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ヘアコンディショナー組成物であって、
a.水性担体と、
b.約1重量%~約12重量%のBVEと、
c.約1重量%~約12重量%の少なくとも2つの脂肪族アルコールと、
を含み、
第1の脂肪族アルコールが、C16以下の平均アルキル鎖を有し、第2の脂肪族アルコールが、C18以上の平均アルキル鎖を有し、組成物の最大約1.0重量%が、C22の平均アルキル鎖を有する脂肪族アルコールであり、
第1の脂肪族アルコールの第2の脂肪族アルコールに対するモル比が、少なくとも約20:80であり、
BVEの総脂肪族アルコールに対するモル比が、約20:80~約45:55であり、
組成物が、均一なLβゲルネットワークを含み、
ラメラゲルネットワーク試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)に従って測定したとき、組成物が、約15nm~約40nmのd-間隔を有し、
組成物が、950 1/sで約45Pa~800Paの剪断応力を有する、
ヘアコンディショナー組成物。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書は、本発明の主題を具体的に指摘して明確に特許請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面と関連させた次の説明によってより容易に理解することができると考えられる。
図1】ブラシシルバリネートエシレート(BVE)の化学構造を示す。
図2図2A及び2Bのチャートがどのように見られるべきかを示す。
図2A】カチオン性界面活性剤の化学構造比較及びそれらのナチュラル認証を示す。
図2B】カチオン性界面活性剤の化学構造比較及びそれらのナチュラル認証を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書は、本発明を具体的に指摘し、かつ明確に特許請求する、「特許請求の範囲」をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0011】
ヘアコンディショナーは、毛髪の感触、外観、及び扱いやすさを改善するために使用される。ヘアコンディショニング組成物は、概して、カチオン性界面活性剤と、25℃超、いくつかの例では40℃~85℃の融点を有する高融点脂肪族化合物と、水性担体と、を含む。カチオン性界面活性剤及び保存系を含む現在のヘアコンディショナー中の成分は、全般的に安全かつ有効であると認識されている。
【0012】
しかし、以下の基準のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つ全てを満たすコンディショナー製品及び/又は保存系に対する一般の消費者からの要求が高まっている。
・ EWG’s Licensing Criteria:Personal Care Products (2019)に記載されている他の基準に加えて、Environmental Working Group(EWG)基準を満たすこと、EWGの懸念成分を回避すること、完全に透明な標識を有すること、及び優良製造規範を使用することを含む、EWG VERIFIED(商標)(2019年11月25日時点で基準に準拠)。
・ Whole Foods(登録商標)がそのPremium Body Care Unacceptable Ingredients(2018年7月)において許容できない(非許容)としてリストアップしている成分のいずれも含有していないこと
・ Yuka(登録商標)Application(2019年3月)によって「リスクなし」(緑色の点)として分類されていること
・ COSMOS基準(2019)。
【0013】
しかし、製品性能及び抗微生物有効性を維持しながら、2019年11月25日時点で化粧品における使用がEnvironmental Working Group (EWG)によって制限されている塩化ベヘントリモニウム(BTMAC)及び/又はWhole Foods(登録商標)Premium Body Care Unacceptable Ingredients(2018年7月)にリストアップされている許容できない成分であるステアラミドプロピルジメチルアミン(SAPDMA)などの従来のカチオン性界面活性剤、並びに保存剤を、上にリストアップした基準を満たす成分で代替することは、困難であり得る。ベヘントリモニウムクロリド(BTMAC)及びベヘントリモニウムメトサルフェート(BTMS)からなる四級化アンモニウム塩、並びに、ステアラミドプロピルジメチルアミン(SAPDMA)、ブラシカミドプロピルジメチルアミン(BrassAPDMA)及びベヘナミドプロピルジメチルアミン(BAPDMA)からなる第三級アミドアミンなどのヘアコンディショナーで通常使用されるカチオン性界面活性剤のほとんどは、図2に示すように、COSMOSナチュラル又はEcocertナチュラル認証を受けていない。
【0014】
図1に示される構造を有するブラシシルバリネートエシレート(BVE)が、上記の基準を満たすことができるカチオン性界面活性剤として特定された。これは、COSMOSナチュラル又はEcocertナチュラルの認証を受けている。BVEに関する更なる詳細は、米国特許第8,287,844号及び同第8,105,569号に見出すことができ、その両方の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
しかし、図2の構造比較チャートに示されるように、BVEは従来のカチオン性界面活性剤よりもはるかに疎水性であるため、BVEを含有する有効なコンディショナー組成物を配合することは難しい場合がある。BVEは、より小さい親水性頭部基(陰影によって示されるように)と、頭部基に接続された立体障害のイソプロピルアルキル鎖とを有し、これは、溶融段階中に界面活性剤及び脂肪族アルコールがパッキングして良好なゲルネットワークを形成するのを防止する。形成されたゲルネットワークは、従来のものよりも疎水性が高く、毛髪への広がり容易性が悪い、濡れた毛髪の絡まりが悪い、すすぎ落ちの迅速性が悪い、使用後の清潔感がないなど、湿潤コンディショニング性能が低いコンディショナーとなる。
【0016】
これは、現在市販されている天然コンディショナーを使用する際の共通の欠点である。天然コンディショナーのほとんどは、以下の表に示すように、特にCOSMOSにリストアップされた成分を含む良好なゲルネットワークを有していない。
【0017】
表1は、BTMACを含有するHerbal Essences(登録商標)Honey&Vitamin Bコンディショナー、及びSAPDMAを含有するHerbal Essens(登録商標)Refresh Blue Gingerコンディショナーを示す。両方とも、良好に画定されたd-間隔をもつ良好なLβゲルネットワークを有する。
【0018】
Kerastase(登録商標)Aura Botanicaは、COSMOS認証を受けていないカチオン性界面活性剤ブラシカミドプロピルジメチルアミン(BrassAPDMA)を含有する市販の天然コンディショナーである。これは、43の大きなLβd-間隔を有し、X線によって検出されるような追加の組み込まれていない材料を有し、良好なゲルネットワークではないことを意味する。
【0019】
カチオン性界面活性剤を含有しないWeleda(登録商標)Oat Replenishingコンディショナー、及びCOSMOSナチュラル認証カチオン性界面活性剤のBrassicyl Isoleucinate Esylate(BIE)を含有するAvalon Organic(登録商標)コンディショナーでは、LβゲルネットワークはX線で検出されなかった。
【0020】
【表1】
【0021】
驚くべきことに、本発明のコンディショナー組成物においてLβゲルネットワークが良好に形成されていることが見出された(以下の表6~表9を参照のこと)。Lβゲルネットワークの存在は、広角X線散乱(WAXS)によって確認された。本発明のコンディショナー組成物についてのラメラゲルネットワークのd-間隔(Lβ-基底間隔)は、小角X線散乱(SAXS)によって測定して、約15nm~約40nmである。コンディショナーは、良好な湿潤コンディショニング、清潔感、ボリューム、及び消費者が好むレオロジー(剪断応力)を提供する。
【0022】
理論に束縛されるものではないが、BVEの脂肪族アルコールに対するモル比及び短鎖(C16以下)脂肪族アルコールの長鎖(C18以上)脂肪族アルコールに対するモル比は、コンディショナー組成物ゲルネットワーク及び15~40nmの良好なd-間隔をもたらすことができ、これは、良好な滑り感及び濡れたもつれの解消を含む良好なコンディショニング性能を提供すると考えられる。
【0023】
更に、実施例1~実施例15(表6~表9)は、均一なゲルネットワークを有し、安定であり、相分離がないことを意味する。Lβゲルネットワークの熱挙動は、示差走査熱量測定試験法によって測定された。
【0024】
また、良好な湿潤コンディショニングをもたらすコンディショナー組成物は、毛髪を垂れ下がらせて、乾いた状態の毛髪のボリュームを減少させる場合があり、並びに/又は早期に毛髪が不潔である及び/若しくは油っぽいと感じられるようになる場合があり、消費者がより頻繁に毛髪を洗浄するようになる場合がある。実施例1~実施例15のヘアコンディショナー組成物は、良好なヘアコンディショニングをもたらすことができるだけでなく、良好な毛髪のボリュームを与えることができる、及び/又は清潔な感触を長続きさせることができるので、スタイリングを容易にすることができる。
【0025】
更に、以下の表6~9は、保存剤として安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウムを有する実施例を含み、これは微生物増殖を制御するための基準を満たす。しかし、本発明者らは、コンディショナー組成物が滑らかでクリーム状の稠度を有していた場合、安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウムの濃度が低すぎ、微生物の増殖を有効に阻害できないことを発見した。安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウムの濃度を増加させると、コンディショナー組成物の濃度が薄くなりすぎ、消費者の手で容易に適用することができず、製品性能及び使用体験に大きな影響を与える恐れがある。表6に示され、添付文書に記載されているように、安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、及びカプリリルグリコールなどのグリコール、又はカプリル酸/カプリン酸グリセリル及びカプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリルなどのグリセリルエステルを含む保存系は、適切な濃度の各成分が添加された場合、より有効であり得る。
【0026】
安息香酸ナトリウムと、グリコール、グリセリルエステル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の保存組成物とを含有する保存系は、3以下のEWG評価スコアを有する成分の全てを含有しており、EWG VERIFIED(商標)であり得、Whole Foods(登録商標)Marketによって許容できないとリストアップされている成分のいずれも含有し得ず、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」と分類され得、COSMOS基準(2019年1月1日)も満たすことができ、抗菌効果を維持しながら、優れたコンディショニング性能を提供することができることが見出された。
【0027】
第2の保存組成物は、グリコール及び/又はグリセリルエステルを含有し得る。グリコール及びグリセリルエステルは、両方とも、分子上に2つの-OH基を有する。グリコールの非限定的な例としては、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、デシレングリコール(1,2-デカンジオール)、及びこれらの混合物を挙げることができる。一例では、グリコールは、カプリリルグリコールであってよい。グリセロールエステルの非限定的な例としては、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0028】
この保存系を含有するコンディショナー組成物は、均一で滑らかなクリーム状の外観を有し得、本明細書に記載のとおり細菌及び真菌微生物感受性試験法によって求めたときに微生物のレベル(細菌及び真菌の両方)が検出不能である(>99.99%減少)、有効な保存系を有し得る。
【0029】
コンディショナー組成物及び/又は保存系は、特定の保存剤、特に要件のうちの1つ以上を満たさない保存剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Dow(登録商標)からKathon(商標)CGとして市販されている)などのイソチアゾリノン、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、シクロヘキシルグリセリン、及び/又はパラベンを含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよい。
【0030】
カチオン性界面活性剤及び保存系の基準を満たすことに加えて、一部の消費者は、以下を含まないか、又は実質的に含まないコンディショナー組成物を好む:シリコーン、噴射剤、フタレート、パラベン、イソチアゾリノン(例えば、Kathon(商標))、フェノキシエタノール、染料、サルフェート、及び/又はホルムアルデヒド供与体。コンディショナー組成物はまた、ビーガンであってもよい。
【0031】
コンディショナー組成物は、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、セトリモニウムクロリドなどの四級化アンモニウム塩を含んでいなくてもよく、又は実質的に含んでいなくてもよく、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、及びベヘナミドプロピルジメチルアミンなどのアミドアミンを含んでいなくてもよい。
【0032】
コンディショナー組成物は、少なくとも約1.0重量%のBVE、あるいは少なくとも約1.1重量%のBVE、あるいは少なくとも約1.2重量%のBVEを含有し得る。コンディショナー組成物は、約1.0~約15重量%のBVE、あるいは約1.0~約14重量%、あるいは約1.0~約12重量%、あるいは約1.1~約10重量%のBVEを含有し得る。
【0033】
コンディショナー組成物は、約1重量%~約12重量%の少なくとも2つの脂肪族アルコールを含有し得る。総脂肪族アルコール量は、組成物の約1重量%~約12重量%、あるいは組成物の約1.1重量%~約11重量%、又は組成物の1.2重量%~約10重量%であり得る。ブラシカアルコールは、脂肪族アルコールの1つであり得、コンディショナー組成物中に約0重量%~約1.0重量%で存在し得る。いくつかの実施形態では、C18~C22の平均アルキル鎖を含むブラシカアルコールは、約0.1重量%~約1重量%、約0.1重量%~約0.9重量%、あるいは約0.1重量%~約0.8重量%で存在し得る。第1の脂肪族アルコールは、C16以下の平均アルキル鎖を有し得、第2の脂肪族アルコールは、C18以上の平均アルキル鎖を有し得る。第1の脂肪族アルコールの第2の脂肪族アルコールに対するモル比は、少なくとも約20:80、あるいは約15:85~約100:0、あるいは少なくとも25:75、約20:80~99:1、あるいは約25:75~約95:5であり得る。
【0034】
脂肪族アルコールは、ラウリルアルコール(C12)、トリデシルアルコール(C13)ミリスチルアルコール(C14)、ペンタデシルアルコール(C15)、セチルアルコール(C16)、イソセチルアルコール(C16)、パルミトレイルアルコール(C16)、ヘプタデシルアルコール(C17)、ステアリルアルコール(C18)、イソステアリルアルコール(C18)、オレイルアルコール(C18)、ノナデシルアルコール(C19)、アラキジルアルコール(C20)、ヘンエイコシルアルコール(C21)、ベヘニルアルコール(C22)エルシルアルコール(C22)、リグノセリルアルコール(C24)、セリルアルコール(C26)、ブラシカアルコール(C18~C22)、セトステアリルアルコール(C16~C18)、セテアリルアルコール(C16~C18)、セチルステアリルアルコール(C16~C18)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0035】
第1の脂肪族アルコールはセチルアルコールであり得る。
【0036】
第2の脂肪族アルコールは、ブラシカアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0037】
コンディショナー組成物は、約20:80~約45:55、あるいは約20:80~約35:65、又は約20:80~約40:60のBVEの総脂肪族アルコールに対するモル比を有し得る。
【0038】
コンディショナー組成物は、BVE及び脂肪族アルコールを含むゲルネットワークを含有し得る。組成物は、約0.01モル~約0.06モル、あるいは約0.012モル~約0.055モル、あるいは約0.012モル~約0.055モル、又はあるいは約0.013~約0.05モルの、BVE及び脂肪族アルコール(FAOH)の合計である総ゲルネットワーク(GN)含有量を有し得る。
【0039】
コンディショナー組成物は、約15nm~約40nm、あるいは15nm~38nm、あるいは15nm~35nmのd-間隔を有し得る。d-間隔は、本明細書に記載のラメラゲルネットワーク試験法のd-間隔(Lβ-基底間隔)によって求められる。
【0040】
コンディショナー組成物は、約0.1重量%~約2.5重量%の保存系、あるいは約0.15重量%~約1.5重量%の保存系、あるいは約0.2重量%~約1.4重量%の保存系、あるいは0.2重量%~約1.8重量%の保存系、あるいは約0.3重量%~約1.6重量%の保存系を含有し得る。
【0041】
第1の保存成分は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、酢酸カリウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0042】
コンディショナー組成物は、約0.05重量%~約0.8重量%の第1の保存剤を含有し得る。
【0043】
コンディショナー組成物は、約0.05重量%~約0.8重量%の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、あるいは0.1重量%~約0.5重量%の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、あるいは約0.2重量%~約0.4重量%の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウムを含有し得る。コンディショナー組成物は、安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウムを含有し得、2%未満の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、あるいは1.5%未満の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、あるいは1%未満の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、あるいは0.8%未満を含み得る。安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、あるいは0.6重量%未満の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウム、あるいは0.5%未満の安息香酸ナトリウム又はソルビン酸カリウムを含有し得る。
【0044】
コンディショナー組成物は、約0.2重量%~約2.5重量%、あるいは約0.3重量%~約2重量%、あるいは約0.4重量%~約1.5重量%、あるいは約0.4重量%~約1.3重量%、あるいは約0.3重量%~約1.2重量%、あるいは約0.3重量%~約1.1重量%、あるいは約0.35重量%~約1.1重量%の第2の保存組成物を含有し得る。コンディショナー組成物の含有するグリコール及び/又はグリセリルエステルが多すぎる場合、ゲルネットワーク構造が破壊される恐れがあり、コンディショナーが、消費者が許容できるレオロジー及び/又は性能を有していないものになる。
【0045】
第2の保存成分は、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリセリルエステル、又はブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、デシレングリコール及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコール、並びにこれらの組み合わせであり得る。
【0046】
コンディショナー組成物は、約45Pa~約800Pa、あるいは約60Pa~約700Pa、あるいは70Pa~650Paの剪断応力を有し得る。剪断応力は、以下に記載される剪断応力試験方法を使用して決定され得る。
【0047】
コンディショナー組成物は、5.5未満のpHを有し得る。あるいは、コンディショナー組成物は、約2.5~約5.5、あるいは約3.0~約5.0のpHを有し得る。pHは、以下に記載するpH試験法を使用して決定され得る。
【0048】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲で使用する場合、特許請求又は記載されているもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
【0049】
本明細書で使用するとき、「含む」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程/ステップ及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include、includes、及びincluding)」は非限定的であることを意味し、それぞれ「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」を意味すると理解される。
【0051】
本明細書で使用するとき、「含まない」という用語は、0%の成分がコンディショナー組成物に意図的に添加された、又はコンディショナー組成物が、当該組成物の総重量に対して0%の成分を含み、したがって、検出可能な量の指定成分が存在しないことを意味する。
【0052】
本明細書で使用するとき、「実質的に含まない」という用語は、組成物の総重量に対して0.5%未満、0.3%未満、0.1%未満、0.05%未満、0.01%未満、又は微量未満の指定成分を意味する。
【0053】
本明細書で使用するとき、「混合物」は、材料の単純な組み合わせ、及びそのような組み合わせから得ることができる任意の化合物を含むことを意味する。
【0054】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。全てのこのような重量は、列挙された成分に関する場合、活性物質濃度に基づいており、したがって市販材料に含まれ得る担体又は副生成物を含まない。
【0055】
別段の注記がない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、このような成分又は組成物の市販の供給源に存在する場合のある不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0056】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているのと同様に含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、かかるより大きい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているのと同様に含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているのと同様に含む。
【0057】
カチオン性界面活性剤
本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤を含み得る。カチオン性界面活性剤は、本発明の効果をもたらすことを考慮して、組成物の約0.1重量%、あるいは約0.5重量%、あるいは約0.8重量%、あるいは約1.0重量%、あるいは約1.5重量%から、約20重量%、あるいは約18重量%、あるいは約15重量%、あるいは約12重量%の濃度で組成物中に含まれ得る。
【0058】
界面活性剤は、水不溶性であってもよい。本発明では、「水不溶性界面活性剤」とは、界面活性剤が、25℃の水に、あるいは0.5g/水100g未満(0.5g/100gは含まない)、あるいは0.3g/水100g以下の溶解度を有することを意味する。
【0059】
カチオン性界面活性剤は、1つのカチオン性界面活性剤であってもよく、又は2つ以上のカチオン性界面活性剤の混合物であってよい。あるいは、カチオン性界面活性剤は、モノ長鎖アルキルアミン;ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩;モノ長鎖アルキルカチオン性中和アミノ酸エステル;モノ長鎖アルキルアミンとジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ;及びモノ長鎖アルキルアミンとモノ長鎖アルキルカチオン性中和アミノ酸エステルとの組み合わせから選択される。
【0060】
いくつかの例では、コンディショナー組成物は、四級化アンモニウム塩を有するカチオン性界面活性剤を実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0061】
モノ長鎖アルキルアミン
モノ長鎖アルキルアミンは、あるいは19~30個の炭素原子、あるいは19~24個の炭素原子、あるいは20~24個の炭素原子の1本の長鎖アルキル鎖、あるいは20~22のアルキル基を有するものを含み得る。モノ長鎖アルキルアミンは、モノ長鎖アルキルアミドアミンを含み得る。第一級、第二級、及び第三級の脂肪族アミンを使用してよい。
【0062】
約19~約22個の炭素のアルキル基を有する第三級アミドアミン。例示的な第三級アミドアミンとしては、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、ブラシカミドプロピルジエチルアミン、ブラシカミドエチルジエチルアミン、ブラシカミドエチルジメチルアミンが挙げられる。本発明におけるアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。
【0063】
いくつかの例では、コンディショナー組成物は、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、及び/又はジエチルアミノエチルステアラミドを実質的に含んでいなくてもよく、又は含んでいなくてもよい。
【0064】
これらのアミンは、L-グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L-グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物などの酸;λあるいは、乳酸、クエン酸と、約1:0.3~約1:2、あるいは約1:0.4~約1:1の、アミンの酸に対するモル比で組み合わせて使用される。コンディショナー組成物は、約0.25重量%~約6重量%の酸、あるいは約0.4重量%~約5重量%の酸、約0.5重量%~約4重量%の酸、あるいは約0.6重量%~約3重量%の酸を含有し得る。
【0065】
いくつかの例では、コンディショナー組成物は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩を含んでいなくてもよい。
【0066】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
使用される場合、ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、あるいは、レオロジーの安定性及びコンディショニング効果を考慮して、1:1~1:5、あるいは1:1.2~1:5、あるいは1:1.5~1:4の重量比で、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩及び/又はモノ長鎖アルキルアミン塩と組み合わせられる。
【0067】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子の2本の長鎖アルキル鎖を有し得る。このようなジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、式(I):
【0068】
【化1】
(式中、R71、R72、R73、及びR74のうちの2つは、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子の脂肪族基、又は最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R71、R72、R73、及びR74の残りは、独立して、1~約8個の炭素原子、あるいは1~3個の炭素原子の脂肪族基、又は最大約8個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは、ハライド(例えば、クロリド及びブロミド)、C1~C4アルキルサルフェート(例えば、メトサルフェート及びエトサルフェート)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される塩形成アニオンである)を有し得る。脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であっても不飽和であってもよい。あるいは、R71、R72、R73、及びR74のうちの2つは、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子のアルキル基から選択され、R71、R72、R73、及びR74の残りは、独立して、CH、C、COH、CH、及びこれらの混合物から選択される。
【0069】
ジ長鎖アルキルカチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジ水素添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0070】
高融点脂肪族化合物
本発明の組成物は、高融点脂肪族化合物を含む。高融点脂肪族化合物は、本発明の効果をもたらすことを考慮して、組成物の約0.5重量%、あるいは約0.8重量%、あるいは約1.0重量%、あるいは約1.2重量%、更には約1.5重量%から、約30重量%、あるいは約25重量%、あるいは約20重量%、あるいは約15重量%、あるいは約12重量%の濃度で組成物中に含まれ得る。
【0071】
高融点脂肪族化合物は、エマルジョン、特にゲルネットワークの安定性を考慮して、25℃以上、あるいは40℃以上、あるいは45℃以上、あるいは47℃以上、あるいは49℃以上の融点を有し得る。あるいは、このような融点は、より容易な製造及びより容易な乳化を考慮して、最高約90℃、あるいは最高約80℃、あるいは最高約75℃、あるいは最高約71℃である。本発明では、高融点脂肪族化合物は、単一化合物として使用してもよく、少なくとも2つの高融点脂肪族化合物のブレンド若しくは混合物として、使用してもよい。このようなブレンド又は混合物として使用されるとき、上記融点は、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0072】
高融点脂肪族化合物は、脂肪族アルコール、脂肪酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。更に、当業者は、二重結合の数及び位置、並びに分枝の長さ及び位置に応じて、特定の必須炭素原子を有する特定の化合物が、上記の本発明において好ましい融点未満の融点を有する場合があることを理解している。低融点のこのような化合物は、この項に含まれることが意図されない。高融点化合物の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0073】
あるいは、様々な高融点脂肪族化合物の中でも、脂肪族アルコールが本発明の組成物において使用される。脂肪族アルコールは、約14~約30個の炭素原子、あるいは約16~約22個の炭素原子を有し得る。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖であっても分枝アルコールであってもよい。
【0074】
脂肪族アルコールとしては、例えば、セチルアルコール(約56℃の融点を有する)、ステアリルアルコール(約58~59℃の融点を有する)、ベヘニルアルコール(約71℃の融点を有する)、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、上記の融点を有することが知られている。しかし、これらは多くの場合、供給されたときはより低い融点を有しており、その理由は、このような供給された製品が、多くの場合、アルキル主鎖がセチル基、ステアリル基、ブラシカ基、又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるためである。
【0075】
コンディショナー組成物は、約1重量%~約12重量%の少なくとも2つの脂肪族アルコールを含有し得る。総脂肪族アルコール量は、組成物の約1重量%~約12重量%、あるいは組成物の約1.1重量%~約11重量%、又は組成物の1.2重量%~約10重量%であり得る。C18~C22の平均アルキル鎖を含むブラシカアルコールは、約0.0重量%~約1.0重量%、約0.1重量%~約1.0重量%、約0.1重量%~約0.9重量%、あるいは約0.1重量%~約0.8重量%であり得る。第1の脂肪族アルコールは、C16以下の平均アルキル鎖を有し得、第2の脂肪族アルコールは、C18以上の平均アルキル鎖を有し得る。第1の脂肪族アルコールの第2の脂肪族アルコールに対するモル比は、少なくとも約20:80、あるいは約15:85~約85:15、あるいは少なくとも約25:75、約20:80~99:1、又はあるいは約25:75~約95:5であり得る。
【0076】
より短鎖の脂肪族アルコールを有することで、洗浄中のすすぎが迅速になり、洗浄後の清潔感と重さを軽減し、清潔で豊かな毛髪のボリュームが長持ちする。組成物は、最大で1.0重量%の、C22の平均鎖長を有する脂肪族アルコールを含み得る。
【0077】
脂肪族アルコールは、ラウリルアルコール(C12)、トリデシルアルコール(C13)、ミリスチルアルコール(C14)、ペンタデシルアルコール(C15)、セチルアルコール(C16)、イソセチルアルコール(C16)、パルミトレイルアルコール(C16)、ヘプタデシルアルコール(C17)、ステアリルアルコール(C18)、イソステアリルアルコール(C18)、オレイルアルコール(C18)、ノナデシルアルコール(C19)、アラキジルアルコール(C20)、ヘンエイコシルアルコール(C21)、ベヘニルアルコール(C22)、エルシルアルコール(C22)、リグノセリルアルコール(C24)、セリルアルコール(C26)、ブラシカアルコール(C18~C22)、セトステアリルアルコール(C16~C18)、セテアリルアルコール(C16~C18)、セチルステアリルアルコール(C16~C18)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0078】
第1の脂肪族アルコールは、セチルアルコール(C16)であり得る。
【0079】
第2の脂肪族アルコールは、ブラシカアルコール(C18~C22)、ステアリルアルコール(C18)、ベヘニルアルコール(C22)、及びこれらの混合物であり得る。
【0080】
このような比にすることで、コンディショナーが濃すぎてのびを良好にできないことを避け、また、ダメージを受けた毛髪のどの部分にもより多くのコンディショニングを提供する。
【0081】
水性担体
本発明の組成物は、水性担体を含み得る。担体の濃度及び種は、他の成分との相溶性及び製品の他の所望の特性に従って選択され得る。
【0082】
担体としては、水、及び低級アルキルアルコールの水溶液を挙げることができる。低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、あるいはエタノール及びイソプロパノールであってよい。
【0083】
あるいは、水性担体は実質的に水である。あるいは、脱イオン水が使用される。ミネラルカチオンを含む天然供給源からの水もまた、製品の所望の特性に応じて使用することができる。概して、本発明の組成物は、約40%~約99%、あるいは約50%~約95%、あるいは約70%~約93%、あるいは約70%~約92%の水を含む。
【0084】
ゲルネットワーク
コンディショナーをすすいだ後の毛髪の濡れた感触の改善を含むコンディショニング効果をもたらすために、コンディショナー組成物中にゲルネットワーク組成物が含まれてよい。本明細書中で使用するとき、「ゲルネットワーク」という用語は、以下に指定されるような、脂肪族アルコールなどの少なくとも1つの高融点脂肪族化合物、少なくとも一種の界面活性剤、特に、以下に指定されるようなカチオン性界面活性剤、及び水又は他の好適な溶媒を含む、層状又は小胞状の固体を指す。層状又は小胞状の相は、高融点脂肪族化合物及び界面活性剤を含む第1の層と、それと交互の、水又は他の好適な溶媒を含む第2の層とから構成される2重層を含む。ゲルネットワークについては、全般的に、G.M.Eccleston,「Functions of Mixed Emulsifiers and Emulsifying Waxes in Dermatological Lotions and Creams」,Colloids and Surfaces A:Physiochem.and Eng.Aspects 123-124 (1997) 169-182、及びG.M Eccleston,「The Microstructure of Semisolid Creams」,Pharmacy International,Vol.7,63-70 (1986)に更に記載されている。
【0085】
ゲルネットワークは、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性担体によって形成され得る。ゲルネットワークは、濡れた毛髪に適用している際の滑り感、乾いた毛髪における柔らかさ及びしっとりとした感触などの様々なコンディショニング効果をもたらすのに好適である。
【0086】
あるいは、ゲルネットワークを形成する場合、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、湿潤コンディショニング効果を改善することを考慮して、カチオン性界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対する重量比が、約5:1~約1:20、あるいは約3:1~約1:15、あるいは約2:1~約1:12、あるいは約1:1~約1:10、あるいは約1:1~約1:9の範囲となるような濃度で含有される。
【0087】
カチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコールが充填してゲルネットワークを形成することを正確に予測するために、分子レベルの計算を行う。組成物中のカチオン性界面活性剤のモル数は、カチオン性界面活性剤の重量%をその分子量で割ることによって計算される。組成物中の脂肪族アルコールのモル数も同様に計算され、これは、脂肪族アルコールの重量%を脂肪族アルコールの分子量で割ったものである。
【0088】
ゲルネットワーク含有量の総モル数は、組成物中のカチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコールのモル数の合計である。
【0089】
カチオン性界面活性剤の脂肪族アルコールに対するモル比は、組成物中のカチオン性界面活性剤の総モル数の組成物中の脂肪族アルコールの総モル数に対する比である。
【0090】
あるいは、ゲルネットワークを形成する場合、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、湿潤コンディショニング効果を改善することを考慮して、カチオン性界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対するモル比が、約5:1~約1:20、あるいは約3:1~約1:15、あるいは約2:1~約1:12、あるいは約1.5:1~約1:10、あるいは約1.2:1~約1:9、あるいは約1:1~約1:9の範囲となるような濃度で含有される。
【0091】
あるいは、特にゲルネットワークを形成する場合、本発明の組成物は、ゲルネットワークの安定性を考慮して、アニオン性界面活性剤を実質的に含まない。本発明では、「組成物がアニオン性界面活性剤を実質的に含まない」とは、組成物がアニオン性界面活性剤を含まないこと、又は、組成物がアニオン性界面活性剤を含む場合、このようなアニオン性界面活性剤の濃度が非常に低いことを意味する。本発明では、このようなアニオン性界面活性剤が含まれている場合の総濃度は、あるいは当該組成物の1重量%以下、あるいは0.5重量%以下、あるいは0.1重量%以下である。あるいは、ほとんどの場合、このようなアニオン性界面活性剤の総濃度は、組成物の0重量%である。
【0092】
シリコーン化合物
本発明の組成物は、シリコーン化合物を更に含有してよい。シリコーン化合物は、乾いた毛髪に滑らかさ及び柔らかさをもたらすことができると考えられる。本明細書のシリコーン化合物は、好ましくは組成物の約0.1重量%~約20重量%、より好ましくは約0.5重量%~約10重量%、更により好ましくは約1重量%~約8重量%の濃度で使用され得る。
【0093】
好ましくは、シリコーン化合物は、組成物中、約0.01マイクロメートル~約50マイクロメートルの平均粒径を有する。
【0094】
単一化合物として、少なくとも2つのシリコーン化合物のブレンド若しくは混合物として、又はなくとも1つのシリコーン化合物及び少なくとも1つの溶媒のブレンド若しくは混合物として、本明細書で有用なシリコーン化合物は、25℃において、好ましくは約1~約2,000,000mPa・s、より好ましくは約100~約2,000,000mPa・sの粘度を有する。
【0095】
粘度は、Dow Corning Corporateの試験方法CTM0004(1970年7月20日)に記載されているガラスキャピラリー粘度計により測定することができる。好適なシリコーン流体としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、アミノ置換シリコーン、四級化シリコーン、及びこれらの混合物が挙げられる。コンディショニング特性を有する他の不揮発性シリコーン化合物も使用することができる。
【0096】
好ましいポリアルキルシロキサンとして、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが、特に好ましい。
【0097】
上記ポリアルキルシロキサンは、例えば、より低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として利用可能である。このような混合物は、好ましくは約1,000mPa・s~約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s~約50,000mPa・sの粘度を有する。このような混合物は、好ましくは、(i)25℃で約100,000mPa・s~約30,000,000mPa・s、好ましくは約100,000mPa・s~約20,000,000mPa・sの粘度を有する第1のシリコーンと、(ii)25℃で約5mPa・s~約10,000mPa・s、好ましくは約5mPa・s~約5,000mPa・sの粘度を有する第2のシリコーンとを含む。本明細書で有用なこのような混合物としては、例えば、GE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコンと200mPa・sの粘度を有するジメチコンとのブレンド、及びGE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコンとシクロペンタシロキサンとのブレンドが挙げられる。
【0098】
本明細書で有用なシリコーン化合物としてはまた、シリコーンゴムが挙げられる。用語「シリコーンゴム」は、本明細書で使用するとき、25℃において1,000,000センチストーク以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン材料を意味する。本明細書に記載されるシリコーンゴムが、上に開示されたシリコーン化合物といくらかの重複を有する場合もあることが認識される。この重複は、これら材料のいずれにおいても限定を意図しない。「シリコーンゴム」は、典型的には、約200,000超、概して、約200,000~約1,000,000の質量分子量を有する。具体的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサンジフェニルシロキサンメチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。シリコーンゴムは、例えば、より低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として入手可能である。本明細書で有用なこのような混合物としては、例えば、Shin-Etsuから入手可能なゴム/シクロメチコンブレンドが挙げられる。
【0099】
本明細書で有用なシリコーン化合物としてはまた、アミノ置換材料が挙げられる。好ましいアミノシリコーンとしては、例えば、次の一般式(I):
(R-a-Si-(-OSiG-(-OSiG(R_-0-SiG-a(i)a[式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ又はC1~C8アルキル、好ましくはメチルであり、aは、0、又は1~3の値を有する整数、好ましくは1であり、bは、0、1、又は2、好ましくは1であり、nは、0~1,999の数であり、mは、0~1,999の整数であり、nとmとの合計は、1~2,000の数であり、a及びmのいずれもが0であることはなく、Rは、一般式CqH2qLに従う一価基であり、式中、qは、2~8の値を有する整数であり、Lは、-N(R)CH-CH-N(R)2、-N(R、-N(R;-N(R)CH-CH-NR、の基から選択され、Rは、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素基、好ましくは約C~約C20のアルキル基であり、Aは、ハライドイオンである]に一致するものが挙げられる。
【0100】
非常に好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約1500~約1700、より好ましくは約1600であり、Lは、-N(CH又は-NH、より好ましくは-NHである)に対応するものである。別の非常に好ましいアミノシリコーンは、式(I)(式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは、好ましくは約400~約600、より好ましくは約500であり、Lは、-N(CH又は-NH、より好ましくは-NHである)に対応するものである。シリコーン鎖の一端又は両端が、窒素含有基を末端としているため、このような非常に好ましいアミノシリコーンを、末端アミノシリコーンと呼ぶことができる。上述のアミノシリコーンを組成物中に組み込む場合、より低い粘度を有する溶媒と混合することができる。このような溶媒としては、例えば、極性又は非極性の揮発性又は不揮発性油が挙げられる。このような油としては、例えば、シリコーン油、炭化水素、及びエステルが挙げられる。このような各種溶媒のうち、好ましいものは、非極性、揮発性炭化水素、揮発性環状シリコーン、不揮発性線状シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものである。本明細書で有用な不揮発性直鎖シリコーンは、25℃において、約1~約20,000センチストークス、好ましくは約20~約10,000センチストークスの粘度を有するものである。好ましい溶媒のうち、極めて好ましいのは、アミノシリコーンの粘度を低下させ、乾燥した毛髪の摩擦が低減するなどの改善されたヘアコンディショニング効果を提供するという観点から、非極性で揮発性の炭化水素、特に非極性で揮発性のイソパラフィンである。かかる混合物の粘度は、好ましくは約1,000mPa・s~約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s~約50,000mPa・sである。
【0101】
他の好適なアルキルアミノ置換シリコーン化合物としては、シリコーン主鎖のペンダント基としてアルキルアミノ置換を有するものが挙げられる。非常に好ましいものは、「アモジメチコン」として知られているものである。本明細書で有用な市販のアモジメチコンとしては、例えば、Dow Corningから入手可能なBY16-872が挙げられる。
【0102】
シリコーン化合物は更に、機械的混合によるか、又はエマルジョン重合による合成段階で、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される界面活性剤を用いて又は用いないで製造されたエマルジョンの形態で本発明の組成物に組み入れることができる。本明細書で有用な市販のシリコーンエマルジョンとしては、例えば、Wackerから入手可能なBelsil ADM 8301E、Belsil ADM 6300E、Momentiveから入手可能なSilsoft 253が挙げられる。
【0103】
第四級基を含有するシリコーンポリマー
本明細書で有用なシリコーン化合物としては、例えば、末端エステル基を含み、最大100,000mPa・sの粘度及びD単位200超のDブロック長さを有する、第四級基を含有するシリコーンポリマーが挙げられる。理論に束縛されるものではないが、この低粘度シリコーンポリマーは、滑らかな感触、摩擦の低減、及びヘアダメージの防止などの改善されたコンディショニング効果を提供するとともに、シリコーンブレンドの必要性を排除する。
【0104】
構造的に、シリコーンポリマーは、1つ以上の第四級アンモニウム基、200個を超えるシロキサン単位を含む少なくとも1つのシリコーンブロック、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド構造単位、及び少なくとも1つの末端エステル基を含むポリオルガノシロキサン化合物である。1つ以上の実施形態では、シリコーンブロックは、300~500個のシロキサン単位を含んでもよい。シリコーンポリマーは、組成物の約0.05重量%~約15重量%、好ましくは約0.1重量%~約10重量%、より好ましくは約0.15重量%~約5重量%、なおより好ましくは約0.2重量%~約4重量%の量で存在する。
【0105】
好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、一般式(Ia)及び(Ib):
M-Y-[-(N-T-N)-Y-]-[-(NR-A-E-A’-NR)-Y-]-M (la) M-Y-[-(N-T-N)-Y-]-[-(N2-A-E-A’-NR3/4-Y-]-M (lb)[式中、
mは、0超、好ましくは0.01~100、より好ましくは0.1~100、なおより好ましくは1~100、具体的には1~50、より具体的には1~20、なおもより具体的には1~10であり、
kは0であるか、又は平均値0超~50、又は好ましくは1~20、又はなおより好ましくは1~10であり、
Mは、以下から選択される末端エステル基を含む末端基を表し、
- OC(0)-Z
- OS(0)-Z、
- OS(0)0-Z
- OP(0)(0-Z)OH
- OP(0)(0-Z)
式中、Zは、最大40個の炭素原子を有する一価の有機残基から選択され、任意に1つ以上のヘテロ原子を含み、
A及びA’はそれぞれ互いに独立して、単結合、又は最大10個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価有機基から選択され、
Eは、次の一般式:
-[CHCHO]-[CHCH(CH)O]-[CHCH(C)O]-
(式中、qは0~200であり、rは0~200であり、sは0~200であり、q+r+sは1~600である)のポリアルキレンオキシド基である。
は、水素又はRから選択され、
Rは、最大22個の炭素原子、及び任意選択的に1つ以上のヘテロ原子を有する一価の有機基から選択され、窒素原子におけるフリーの原子価は炭素原子に結合され、
Yは、式:
-K-S-K-及び-A-E-A’-又は-A’-E-A-:
(式中、R1は、C1~C22-アルキル、C1~C22-フルオロアルキル又はアリールであり、nは、200~1000であり、ポリオルガノシロキサン化合物中にいくつかのS基が存在する場合、これらは同一であっても又は異なっていてもよく、
Kは、二価又は三価の直鎖、環状、及び/又は分枝状のC2~C40炭化水素残基であり、これは、任意に、-O-、-NH-、三価のN、-NR-、-C(O)-、-C(S)-によって中断され、-OHで任意に置換され、Rは、上記のとおりに定義され、
Tは、最大20個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価の有機基から選択される)の基であり、
残基Kは、互いに同一であっても又は異なっていてもよい]を有する。-K-S-K-部分中、残基Kは、C-Si-結合を介して残基Sのケイ素原子に結合される。
【0106】
ポリオルガノシロキサン化合物中は、アミン基(-(NR-A-E-A’-NR)-)が存在することが可能であることに起因し、有機又は無機酸によるこのようなアミン基のプロトン化によりもたらされる、プロトン化アンモニウム基を有する場合がある。このような化合物は、ポリオルガノシロキサン化合物の酸付加塩と称されることもある。
【0107】
好ましい実施形態では、第四級アンモニウム基b)と末端エステル基c)とのモル比は、100:20未満であり、更により好ましくは100:30未満であり、最も好ましくは100:50未満である。この比は、13C-NMRによって求めることができる。
【0108】
更なる実施形態では、ポリオルガノシロキサン組成物は、
A)a)少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、b)少なくとも1つの第四級アンモニウム基、c)少なくとも1つの末端エステル基、及びd)少なくとも1つのポリアルキレンオキシド基(上記で定義したとおり)を含む、少なくとも1つのポリオルガノシロキサン化合物と、
B)化合物A)とは異なる少なくとも1つの末端エステル基を含む少なくとも1つのポリオルガノシロキサン化合物と、を含んでもよい。
【0109】
成分A)の定義において、本発明のポリオルガノシロキサン化合物の記載を参照することができる。ポリオルガノシロキサン化合物B)は、ポリオルガノシロキサン化合物A)とは異なり、好ましくは、ポリオルガノシロキサン化合物B)は第四級アンモニウム基を含まない。好ましいポリオルガノシロキサン化合物B)は、一官能性有機酸、特にカルボン酸と、ビスエポキシドを含有するポリオルガノシロキサンとの反応から生じる。ポリオルガノシロキサン組成物において、化合物B)に対する化合物A)の重量比は好ましくは90:10未満である。すなわち換言すれば、成分B)の含量は少なくとも10重量%である。化合物A)中のポリオルガノシロキサン組成物の更に好ましい実施形態では、末端エステル基c)に対する第四級アンモニウム基b)のモル比は100:10未満であり、更により好ましくは100:15未満であり、かつ最も好ましくは100:20未満である。
【0110】
シリコーンポリマーは、20℃及び剪断速度0.1s-1(プレート-プレートシステム、プレート直径40mm、間隙幅0.5mm)において、100,000mPa・s(100Pa・s)未満の粘度を有する。更なる実施形態では、ニートシリコーンポリマーの粘度は、500~100,000MPa・s、又は好ましくは500~70,000MPa・s、又はより好ましくは500~50,000MPa・s、又は更により好ましくは500~20,000MPa・sの範囲であり得る。更なる実施形態では、ニートポリマーの粘度は、20℃及び0.1s-1の剪断速度で測定して、500~10,000mPa・s、又は好ましくは500~5000mPa・sの範囲であり得る。
【0111】
上で列挙したシリコーンポリマーに加え、以下の好ましい組成物が以下に提供される。例えば、次の一般式のポリアルキレンオキシド基では:
-[CHCHO]-[CHCH(CH)O]-[CHCH(C)O]
式中、q、r、及びsは、以下のように定義することができる:
qは0~200であり、又は好ましくは0~100、又はより好ましくは0~50、又はなおより好ましくは0~20であり、
rは0~200であり、又は好ましくは0~100、又はより好ましくは0~50、又はなおより好ましくは0~20であり、
sは0~200であり、又は好ましくは0~100、又はより好ましくは0~50、又はなおより好ましくは0~20であり、
並びにq+r+sは1~600であり、又は好ましくは1~100、又はより好ましくは1~50、又はなおより好ましくは1~40である。
【0112】
一般式Sを有するポリオルガノシロキサン構造単位では、
式中、Rは、C~C22アルキル、C~C22フルオロアルキル又はアリールであり、nは200~1000、又は好ましくは300~500であり、K(-K-S-K-基中)は、好ましくは二価又は三価の直鎖、環状、又は分枝C~C20炭化水素残基であり、任意に、-O-、-NH-、三価のN、-NR-、-C(O)-、-C(S)-により中断され、任意に-OHで置換される。
【0113】
具体的な実施形態では、Rは、C~C18アルキル、C~C18フルオロアルキル、及びアリールである。更に、Rは、好ましくはC~C18アルキル、C~Cフルオロアルキル、及びアリールである。更に、Rは、より好ましくはC~Cアルキル、C~Cフルオロアルキル、なおより好ましくはC~Cフルオロアルキル、及びフェニルである。最も好ましくは、Rは、メチル、エチル、トリフルオロプロピル、及びフェニルである。
【0114】
本明細書で使用するとき、「C1~C22アルキル」という用語は、直鎖又は分枝状であってもよい、1~22個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を意味する。メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル、ウンデシル、イソプロピル、ネオペンチル、及び1,2,3-トリメチルヘキシル部分が例になる。
【0115】
更に、本明細書で使用するとき、「C1~C22フルオロアルキル」という用語は、直鎖又は分枝状であってもよく、少なくとも1つのフッ素原子で置換された、1~22個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素化合物を意味する。モノフルオロメチル(Monofluormethyl)、モノフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロエチル(trifluorethyl)、ペルフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロプロピル、1,1,2,2-トリフルオロブチルが好適な例である。
【0116】
更に、「アリール」という用語は、置換されていない、又はOH、F、Cl、CF、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cシクロアルキル、C~Cアルケニル若しくはフェニルで1回又は数回フェニル置換されたものを意味する。アリールは、ナフチルも意味する場合がある。
【0117】
ポリオルガノシロキサンの実施形態に関し、アンモニウム基に由来する正電荷は、クロリド、ブロミド、水素サルフェート、サルフェートなどの無機アニオン、又はC~C30カルボン酸に由来するカルボキシレート、例えば、アセテート、プロピオネート、オクテート、特にC10~C18カルボン酸に由来するカルボキシレート、例えば、デカノエート、ドデカノエート、テトラデカノート、ヘキサデカノエート、オクタデカノエート、及びオレエート、アルキルポリエーテルカルボキシレート、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルポリエーテルサルフェート、リン酸モノアルキル/アリールエステル及びリン酸ジアルキル/アリールエステルに由来するホスフェートのような有機アニオンにより中和される。ポリオルガノシロキサン化合物の特性は、特に使用する酸の選択に応じて変更され得る。
【0118】
第四級アンモニウム基は、通常、モノカルボン酸及び二官能性ジハロゲンアルキル化合物の存在下で、第三級ジアミンと、特にジエポキシド(ビスエポキシドと称される場合もある)から選択されるアルキル化剤とを反応させることにより生成される。
【0119】
好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、以下の一般式(Ia)及び(Ib):
M-Y-[-(N-T-N)-Y-]-[-(NR-A-E-A’-NR)-Y-]-M (la) M-Y-[-(N-T-N)-Y-]-[-(N2-A-E-A’-N )-Y-]-M (lb) [式中、各基は上で定義したとおりであり;しかし、繰返し単位は、統計的配列である(すなわち、ブロック様配列ではない)]のものである。
【0120】
更に好ましい一実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、一般式(IIa)又は(IIb):
M-Y-[-N-Y-]-[-(NR-A-E-A’-NR)-Y-]-M (IIa)
M-Y-[-N-Y-]-[-(N -A-E-A’-N )-Y-]-M (IIb)
(式中、各基は上で定義したとおりである)のものであり得る。また、そのような式中、繰返し単位は通常、統計的配列である(すなわち、ブロック様配列ではない)。
式中、上で定義したとおり、Mは、
- OC(O)-Z、
- OS(O)-Z、
- OS(0)0-Z
- OP(0)(0-Z)OH
- OP(0)(0-Z)
であり、Zは、直鎖、環状、又は分枝の飽和若しくは不飽和のC~C20、又は好ましくはC~C18であり、又はなおより好ましくは、1つ以上の-O-若しくは-C(O)-により中断され、-OHで置換されている場合がある、炭化水素基である。具体的な実施形態では、Mは、ノルマルのカルボン酸から生じる-OC(O)-Zであり、特に、例えば、ドデカン酸のように10個超の炭素原子を有する。
【0121】
更なる実施形態では、ポリオルガノシロキサン含有繰り返し基-K-S-K-とポリアルキレン繰り返し基-A-E-A’-又は-A’-E-A-とのモル比は100:1~1:100、又は好ましくは20:1~1:20、又はより好ましくは10:1~1:10である。
【0122】
-(N-T-N)-基中、Rは、1つ以上の-O-、-C(O)-により中断されている場合があり、-OHにより置換されている場合がある、一価の直鎖、環状、又は分枝C~C20炭化水素基を表す場合があり、Tは、-O-、-C(O)-により中断されている場合があり、ヒドロキシルにより置換されている場合がある、二価の直鎖、環状、又は分枝C~C20炭化水素基を表す場合がある。
【0123】
第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む上記のポリオルガノシロキサン化合物はまた、1)第四級アンモニウム官能基を含み、エステル官能基を含まない個々の分子、2)第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む分子、並びに3)エステル官能基を含み、第四級アンモニウム官能基を含まない分子、も含み得る。構造に限定されはしないものの、第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む、上記のポリオルガノシロキサン化合物は、両方の部分についてある特定の平均量及び比を含む、分子の混合物として理解される。
【0124】
エステルを得るために様々な一官能性有機酸を使用することができる。例示的な実施形態としては、C~C30カルボン酸、例えば、C、C、C酸、C10~C18カルボン酸、例えば、C12、C14、C酸、飽和、不飽和、及びヒドロキシル官能化C18酸、アルキルポリエーテルカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルポリエーテル硫酸、リン酸モノアルキル/アリールエステル及びリン酸ジアルキル/アリールエステルが挙げられる。
【0125】
追加の成分
本発明の組成物は、他の追加の成分を含んでもよく、それは最終製品の所望の特性によって当業者により選択されてもよく、また組成物をより美容的若しくは審美的に許容可能なものにするために、又は付加的な使用による効果を組成物にもたらすために好適なものである。このような他の追加の成分は、概して、組成物の約0.001重量%~約10重量%、あるいは最大5重量%の濃度で個別に使用される。
【0126】
多種多様な他の追加の成分を本発明の組成物に配合することができる。これらには以下:
a)他のコンディショニング剤、例えば、アロエベラゲル;アロエ・バーバデンシス(aloe barbadensis)の葉汁;エクロニア・ラジアタ(ecklonia radiata)抽出物;天然油及びワックス、例えば、シアバター、ベニバナ油、カカオバター、橙皮ワックス、オリーブ油、マカダミア種子油、メマツヨイグサ(oenothera biennis)油、クランベ・アビシニカ(crambe abyssinica)種子油、アルゴン油、ツバキ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アルガニア・スピノサ(argania spinosa)核油、グレープシード油、ホホバ油、ココナツ油、メドウフォーム種子油、ニーム油、亜麻仁油、ヒマシ油、大豆油、ゴマ油、ミツロウ、ヒマワリワックス、キャンデリラワックス、米ぬかワックス、カルナウバワックス、シロヤマモモワックス、及びダイズワックス;芳香剤で使用することができるライム皮油、ラベンダー油、ペパーミント油、シダーウッド油、ティーツリー油、イランイラン油、及びコエンサージ(coensage)油などの精油;Hormelから入手可能な商標名Peptein 2000の加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名Emix-dのビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパンテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素;pH調節剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム);塩全般(例えば、酢酸カリウム及び塩化ナトリウム)、着色剤(例えば、FD&C又はD&C染料のいずれか);香料;並びにエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどの金属イオン封鎖剤;並びに、サリチル酸オクチルなどの紫外線及び赤外線の遮断及び吸収剤;ローズマリー、トコフェロール、ビタミンE、ビタミンA及び茶抽出物を含む抗酸化剤;ヒスチジン、l-アルギニン、及びその他を含むアミノ酸が挙げられる。
【0127】
b)フケ防止活性物質
本発明の組成物はまた、フケ防止剤を含有してもよい。フケ防止活性物質の好適な非限定的な例としては、抗菌活性物質、ピリジンチオン塩、アゾール、硫化セレン、微粒子イオウ、角質溶解性酸、サリチル酸、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、コールタール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、フケ防止活性物質は、典型的にはピリジンチオン塩である。かかる抗フケ微粒子は、組成物の必須成分と物理的及び化学的に適合する必要があり、そうでなければ製品の安定性、審美性又は性能を過度に損なわない必要がある。
【0128】
ピリジンチオンフケ防止剤は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。本明細書の組成物において、ZPTをフケ防止粒子として使用する際、毛髪の成長又は再生が刺激されるか、又は調節されるか、若しくはその両方が行われるか、又は脱毛が低減されるか又は阻害されるか、若しくは毛髪がより濃く若しくは豊かに見える可能性があると想到される。
【0129】
c)保湿剤
本発明の組成物は、保湿剤が含有され得る。本明細書における保湿剤は、多価アルコール、水溶性アルコキシル化非イオン性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。保湿剤は、本明細書で使用されるとき、典型的には、約0.1%~約20%、又は更には約0.5%~約5%の濃度で使用される。
【0130】
d)水混和性溶媒
本明細書に記載のヘアケア組成物は、ヘアケア組成物の約0.1重量%~約15重量%、又は約0.2重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約5重量%の水混和性溶媒を含んでもよい。あるいは、本明細書に記載のヘアケア組成物は、ヘアケア組成物の約0.5重量%~約10重量%、又は約0.75重量%~約7.5重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約1.25重量%~約3重量%の水混和性溶媒を含んでもよい。
【0131】
本明細書に記載の加圧ヘアケア組成物は、加圧ヘアケア組成物の約0.1重量%~約14重量%、又は約0.2重量%~約9重量%、又は約0.3重量%~約5重量%の水混和性溶媒を含んでもよい。あるいは、本明細書に記載の加圧ヘアケア組成物は、加圧ヘアケア組成物の約0.5重量%~約9重量%、又は約0.75重量%~約7重量%、又は約1重量%~約5重量%、又は約1.25重量%~約3重量%の水混和性溶媒を含んでいてもよい。
【0132】
好適な水混和性溶媒の非限定例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びアルコールが挙げられる。
【0133】
有用なポリオールの更なる例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(200~600)、ソルビトール、マンニトール(manitol)、ラクチトールなどの糖アルコール、並びに他の一価及び多価低分子量アルコール(例えば、C~Cアルコール);フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトースなどの、モノ、ジ、及びオリゴ-糖類、並びに高フルクトース固形コーンシロップ、及びアスコルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
ポリカルボン酸の例としては、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びポリマレイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
好適なポリエステルの例としては、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
他の好適な水混和性溶媒としては、アルキル及びアリルフタレート;ナフタレート;ラクテート(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びカリウム塩);ソルベス-30;尿素;乳酸;ピロリドンカルボン酸ナトリウム(pyrrolidone carboxylic acid、PCA);ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸;可溶性コラーゲン;変性タンパク質;L-グルタミン酸モノナトリウム;グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸及びサリチル酸などの、α及びβヒドロキシル酸;ポリメタクリル酸グリセリル;ポリクオタニウムなどのポリマー可塑剤;タンパク質、並びに、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びリシンなどのアミノ酸;水素デンプン加水分解産物;その他低分子量エステル(例えば、C~C10アルコールと酸とのエステル);及び、食品及びプラスチック業界の当業者に既知である任意の他の水溶性可塑剤;並びに、それらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0137】
水混和性溶媒は、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。欧州特許第0283165(B1)号は、プロポキシル化グリセロールなどのグリセロール誘導体をはじめとする他の好適な水混和性溶媒を記載している。水混和性溶媒は、グリセリンから選択されてもよい。
【0138】
製品形態
本発明の組成物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態であってよく、クリーム、ジェル、エマルジョン、ムース、及びスプレーを含むがこれらに限定されない、多種多様な製品形態で配合されてよい。
【0139】
本発明のコンディショニング組成物は、リンスオフヘアーコンディショナに特に好適である。あるいは、このような組成物は、以下のステップ:
(i)毛髪をシャンプーした後、毛髪をコンディショニングするために有効な量のコンディショニング組成物を、毛髪に適用するステップ、及び
(ii)その後、毛髪をすすぐステップ、によって使用される。
【0140】
試験方法
細菌微生物感受性試験法
細菌微生物感受性試験を使用して、化粧用リンスオフコンディショナーにおける保存系の抗微生物有効性を評価する。
【0141】
試験で使用される曝露生物の細菌プール(等体積の混合物)は、化粧品から単離された以下の菌株の標準化溶液で構成される:大腸菌(Escherichia coli)(ATCC#8739)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(ATCC#6538)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC#9027)、セパシア菌(Burkholderia cepasia)(ATCC#25416)、並びに肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・ゲルゴビエ(Enterobacter gergoviae)、及び霊菌(Serratia marcescens)株。約6~8対数cfu/mLの濃度を有するように、細菌プールを調製する。試験を開始するために、細菌プール0.1mLを試験コンディショナー10.0gに添加する。次いで、試験コンディショナーを20~25℃で2日間インキュベートする。インキュベートした後、微生物の回収/計数を支援するために、製品のアリコート1.0gを、1.5%ポリソルベート80(Croda(商標)からTween(登録商標)80として市販)及び1%レシチンを含有する改変Letheenブロスを使用して中和する。次いで、複数の希釈濃度のこの試料を、1.5%Tween(登録商標)80を含む改変Leteen寒天を収容しているペトリ皿に移し、寒天プレートを30~35℃で少なくとも2日間インキュベートする。次いで、細菌コロニー形成単位(cfu)を数え、出発対数cfu/g曝露レベルからの細菌の対数減少を報告する。
【0142】
1対数cfu/gの減少は、約90%の細菌減少と等しい。2対数cfu/gの減少は、約99%の細菌減少と等しい。3対数cfu/gの減少は、約99.9%の細菌減少と等しい。4対数cfu/gの減少は、約99.99%の細菌減少と等しい。対数cfu/gの減少値がより大きいことは、保存系からの抗微生物堅牢性(antimicrobial robustness)がより大きいことを示す。
【0143】
真菌微生物感受性試験法:
真菌微生物感受性試験を使用して、化粧用リンスオフコンディショナーにおける保存系の抗真菌有効性を評価する。
【0144】
酵母のカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)(ATCC#10231)及びカビのアスペルギルス・ブラシリエンシス(Aspergillus brasiliensis)(以前はniger) (ATCC#16404)の標準化ATCC株を1:1(v:v)比で混合し、この真菌プールを試験において接種材料として使用する。真菌プールの濃度は、約6~8対数cfu/mLである。試験を開始するために、真菌プール0.1mLを試験コンディショナー10.0gに添加する。接種された試料を20~25℃で2日間インキュベートした後、微生物の回収/計数を支援するために、製品のアリコート1.0gを、1.5%Tween(登録商標)80及び1%レシチンを含有する改変Letheenブロスを使用して中和する。次いで、複数の希釈濃度のこの試料を、1.5%Tween(登録商標)80を含む改変Leteen寒天を収容しているペトリ皿に移し、寒天プレートを20~25℃で少なくとも5日間インキュベートし、次いで、その時点で、真菌コロニー形成単位(cfu)を数え、出発対数cfu/g曝露レベルからの真菌の対数減少を計算する。
【0145】
1対数cfu/gの減少は、約90%の真菌減少と等しい。2対数cfu/gの減少は、約99%の真菌減少と等しい。3対数cfu/gの減少は、約99.9%の真菌減少と等しい。4対数cfu/gの減少は、約99.99%の真菌減少と等しい。対数cfu/gの減少値がより大きいことは、保存系からの抗真菌堅牢性がより大きいことを示す。
【0146】
示差走査熱量測定
ゲルネットワークの融解転移挙動及び温度は、以下の方法に従って示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)を使用して得ることができる。TA Instruments Q2000 DSCを使用して、約15mgのゲルネットワークプレミックス又はゲルネットワークを含有する最終コンディショナー組成物を、Tzeroアルミニウム気密DSCパンに入れる。空の基準パンとともに試料を装置に入れる。試料を、以下の条件/温度プログラムを用いて分析する:50.0mL/分の速度で窒素パージ;20.00℃で平衡化;60秒毎に+/-1.00℃/分で調節する;等温が5.00分間に達するまで;温度を2.00℃/分の速度で90.00℃に上昇させる。得られたDSCデータを、TA Instruments Universal Analysis Softwareを使用して分析する。
【0147】
ゲルネットワークの融解転移挙動及び温度を測定するためのDSCの使用は、T.de Vringer et al.,Colloid and Polymer Science,vol.265,448-457(1987)、及びH.M.Ribeiro et al.,Intl.J.of Cosmetic Science,vol.26,47-59 (2004)に更に記載されている。
【0148】
pH法
まず、Mettler Toledo SevenコンパクトpHメータを較正する。これは、pHメータをオンにし、30秒間待機することによって行う。次いで、電極を保存溶液から取り出し、電極を蒸留水ですすぎ、Kimwipe(登録商標)などの科学用洗浄ワイプで電極を慎重に拭き取る。電極をpH4のバッファに浸漬し、較正ボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、2回目の較正ボタンを押す。電極を蒸留水ですすぎ、電極を科学用洗浄ワイプで慎重に拭き取る。次いで、電極をpH7のバッファに浸漬し、2回目の較正ボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、3回目の較正ボタンを押す。電極を蒸留水ですすぎ、電極を科学用洗浄ワイプで慎重に拭き取る。次いで、電極をpH10のバッファに浸漬し、3回目の較正ボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、測定ボタンを押す。電極を蒸留水ですすぎ、科学用洗浄ワイプで慎重に拭き取る。
【0149】
電極を試験試料に浸漬し、読み取りボタンを押す。pHアイコンの点滅が停止するまで待ち、値を記録する。
【0150】
剪断応力
TA InstrumentsからARG2のモード名で入手可能なレオメーターを用いて、剪断応力を剪断速度掃引条件で測定する。幾何学的形状は、直径40mm、円錐角2℃、及び間隙49μmを有する。剪断速度は、1分間で0から1200/sまで対数的に上昇し、温度は26.7℃に維持される。950/sの高剪断速度で剪断応力を、上述のように測定し、特定する。
【0151】
コーン/プレート粘度測定
実施例の粘度は、Brookfield Engineering Laboratories(Stoughton,MA)製のCone/Plate Controlled Stress Brookfield Rheometer R/S Plusで測定した。使用したコーン(Spindle C-75-1)は、75mmの直径及び1°の角度を有する。液体粘度は、一定の剪断速度2s-1及び温度26.5℃で定常状態の流動実験を使用して測定する。試料寸法は2.5mLであり、全測定読み取り時間は3分である。
【0152】
X線回折法
SAXS(小角X線散乱)を使用して多重ラメラ相の存在を確認し、WAXS(広角X線散乱)を使用して、Lα(液体)とLβ(固体)とを区別し、結晶構造を使用して、パーソナルコンディショニング組成物の特徴的な分散ゲルネットワーク相の存在を検証した。
【0153】
ラメラゲルネットワークのd-間隔(Lβ-基底間隔):
メソ相における周期的構造を分解するために使用される小角X線散乱(「SAXS」)は、本質的にX線回折技術である。それは、ミセル、ゲルネットワーク、ラメラ、ヘキサゴナル及びキュービック液晶などの凝集構造を特徴付けるために、従来的な広角X線散乱(「WAXS」)と併せて使用される。周期的構造を示す異なるメソ相は、ブラッグの式(d=λ/2Sinθ)(式中、dは面間間隔を表し、λは放射線波長を表し、θは散乱(回折)角を表す)から導出される反射の相対位置(d-間隔)によって特徴付けることができる。
【0154】
一次元ラメラゲルネットワーク相は、SAXS領域(長距離秩序)において1:2:3:4:5等の値を有する面間隔の比d/d、d/d、d/d、d/d、d/d、及び広いハロバックグラウンドにわたって約3.5及び4.5Åを中心とするWAXS領域(短距離)の1つ又は2つの不変反射によって特徴付けられる。他のメソ相(例えば、ヘキサゴナル六方又はキュービック)は、特徴的に異なるd-間隔比を有するであろう。
【0155】
Bruker NanoSTAR小角X線散乱装置を用いて、SAXSデータを収集した。マイクロフォーカスCu x線管を、550umのScanTex Pinholeで50kV、0.60mAで操作した。試料から検出器までの距離は107.39cmであり、検出器はVantec2K二次元領域検出器であった。試料をキャピラリーに密封し、分析時間600秒で真空下において分析した。
【0156】
ここで報告するラメラゲルネットワークのd-間隔((Lβ-基底間隔)の値は、d間隔である一次のSAXS反射で得られる。
【0157】
Lβゲルネットワークの存在の(SAXSと組み合わせた)WAXSによる確認
広角データ(WAXS)をStoe STADI-MP回折計で収集した。発電機を40kV/40mAで動作させ、銅アノードロングファインフォーカス銅X線管に電力供給した。回折計には、入射ビーム湾曲ゲルマニウム結晶モノクロメータ、標準入射ビームスリットシステム、及びMythen PSD検出器を組み込んでいる。データを3° 2θのステップサイズ及び15秒/ステップで0°~50°2θの範囲にわたって伝送モードで収集した。
【0158】
4.2Å付近の反射を伴うWAXSパターンは、SAXSに見られるラメラ反射と組み合わせて、Lβゲルネットワークの存在を示す。
【0159】
髪房の評価方法:
1mLシリンジを使用して、リーブインコンディショナー1mLを、8インチの一般集団の髪房4gに適用する。製品を適用するとき、製品を髪房の中間に置き、房の端に向かって下方に置くことによって開始する。1mLの製品を髪房上に置いてから、髪房全体にわたって均一に製品を擦る。製品が均一に塗布され、白い残留物が見えなくなってから、髪房を24時間以上完全に空気乾燥させる。次いで、髪房を、視覚的な毛髪のボリューム評価及びドライコーミング評価によって評価した。
【0160】
視覚的毛髪ボリューム評価:
髪房が完全に乾燥してから、髪房のボリュームを目視で確認し評価する。各髪房のボリューム感の程度を1~10の尺度で評価する(10が最もボリュームがあり、1が最もボリュームがない)。
【0161】
ドライコーミング評価:
髪房が完全に乾燥してから、目の細かい櫛を使用して、各髪房を2回(1回は房の前から、もう1回は房の後ろから)とかす。櫛が髪房を通過するのに必要な力の大きさを評価する。髪をとかすのに感じる力の強さについて、各髪房を1~10の尺度で評価する(10が最も容易であり、1が最も硬い)。
【実施例
【0162】
以下は、本明細書に記載のコンディショナー組成物の非限定的な実施例である。当業者の技術範囲内での本発明の他の修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されよう。
【0163】
本明細書における全ての部、百分率(%)、及び比は、別途指定されない限り、重量基準である。いくつかの成分は、供給元から希釈溶液として供給され得る。明記されている量は、別途指定されない限り、添加された材料の重量%を表す。
【0164】
表2~表9の実施例は、以下のように作製した:BVE、脂肪族アルコール及び油/ワックスを油相として一緒に80℃に加熱した。安息香酸ナトリウム、グリセリン、グリセリルエステル及び他の水溶性成分を、水相として水とともに80℃に加熱した。熱水相を熱油相に注ぎ、十分に混合し続ける。次に、混合物を冷却した。次いで、温度が45℃未満になったときに香料を添加した。組成物を室温に冷却して、コンディショナー組成物を作製した。
【0165】
以下の表2~表5は、比較例1~15を示す。これらの組成物は、EWG VERIFIED(商標)の有効な界面活性剤系を含有し、Whole Foods(登録商標)Marketが許容できない成分としてリストアップされているものを一切含まず、Yuka(登録商標)Applicationによって「リスクなし」と分類され、COSMOS-基準(2019年1月1日)も満たすことができる場合であっても、安定しないか、消費者に好まれないかのいずれかである。
【0166】
【表2】
【0167】
比較例1~2では、ゲルネットワーク含有量が低すぎ、組成物が安定していないことを意味する。組成物は相分離を示し、50℃の部屋に1週間置いた後に2相になる。本発明のコンディショナー組成物は、約0.01~約0.06モルのゲルネットワーク含有量を有する。
【0168】
【表3】
【0169】
比較例3~4では、BVEの脂肪族アルコールに対するモル比は低すぎるものであり、また存在するBVEが少なすぎるため、十分な脂肪族アルコールがゲルネットワークに組み込まれなかった。実施例は、粒状で不均一であるように見える。本発明のコンディショナー組成物は、約20:80~約45:55の、BVEの総脂肪族アルコールに対するモル比を有し得る。
【0170】
【表4】
【0171】
比較例5~8では、BVEの脂肪族アルコールに対するモル比が高すぎ、BVEが多すぎることを意味する。X線散乱法を用いて、Lβゲルネットワークは検出されなかった。当該例は、消費者が望む良好な湿潤コンディショニング感を提供しない。本発明のコンディショナー組成物は、約20:80~約45:55のBVEの総脂肪族アルコールに対するモル比を有し得る。
【0172】
【表5】
【0173】
比較例9~13では、BVEの脂肪族アルコールに対するモル比が高すぎ、過剰のBVEが存在するため、X線散乱法を使用して追加の微細構造が検出され、ゲルネットワークは形成されなかった。当該例は、消費者が望む良好な湿潤コンディショニング感を提供しない。本発明のコンディショナー組成物は、約20:80~約45:55の、BVEの総脂肪族アルコールに対するモル比を有し得る。
【0174】
以下の表5及び表6において、2日間の細菌微生物及び2日間の真菌微生物は、本明細書に記載の細菌及び真菌微生物感受性試験法によって求められる。保存系が有効であるために、微生物(細菌及び真菌)のレベルは検出不能である必要があり、これは、細菌及び真菌微生物感受性試験法によって求めたときに2日間で微生物が99.99%超減少することを意味する。
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
比較例14は、保存系を全く含有せず、細菌及び真菌に対して2日目に十分な微生物低減をもたらさない。
【0178】
比較例15は、1重量%のカプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリル(グリセリルエステル)を含有する、すなわち、1種の保存剤のみを含む。当該例では、2日間で検出不能レベル(>99.99%の減少)の細菌を有する。しかし、当該例では約90%しか減少していないため、2日目では十分な菌の減少が得られない。
【0179】
表6において、実施例1及び2は、0.2重量%の安息香酸ナトリウム及び1.0重量%のカプリル酸グリセリル(及び)ウンデシレン酸グリセリルを含有する。表6中の実施例は全て、有効である(すなわち、細菌及び真菌が2日間で検出不能(>99.99%減少)になる)保存系を有し、均一であり、消費者が好むクリーム状で滑らかな外観を有する。
【0180】
以下の表7~表9の実施例、実施例3~15の全ては、0.2重量%の安息香酸ナトリウム及び1.0重量%のグリセリルエステルを含む、実施例1及び2と同じ有効な天然保存系を含有する。実施例1~15は本発明の実施例である。
【0181】
【表8】
【0182】
【表9】
【0183】
【表10】
【0184】
実施例1~15は本発明の実施例である。実施例1~15の剪断応力は、消費者が許容可能であり、45Pa~800Paの範囲である。剪断応力が低すぎるか又は高すぎる場合、消費者が自身の手でコンディショナー組成物を毛髪全体に適用することが困難になる恐れがある。剪断応力が低すぎる場合、コンディショナー組成物が手及び毛髪から滴り落ちる恐れがあり、剪断応力が高すぎる場合、広がることが困難になる恐れがある。
【0185】
ゲルネットワークのd-間隔は、実施例1~15で15nm~40nmである。このd-間隔のレベルは、コンディショナー組成物が、湿潤時の感触が良好であり、湿潤時のほぐれが良好である、良好なコンディショニングをもたらすことができることを示す。
【0186】
実施例1~15は、BVEのFAOHに対するモル比が20:80以上かつ45:55以下である。
【0187】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0188】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本出願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0189】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図2A
図2B