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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】中空容器製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/20 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
B29C65/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023503833
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008338
(87)【国際公開番号】W WO2022186147
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2021032256
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】マザーサンヤチヨ・オートモーティブシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 潤也
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 教純
(72)【発明者】
【氏名】福田 敬子
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
(72)【発明者】
【氏名】内藤 章弘
(72)【発明者】
【氏名】上村 孝志
(72)【発明者】
【氏名】須佐 圭呉
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 孝治
(72)【発明者】
【氏名】西田 正三
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-221608(JP,A)
【文献】特開2010-247409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを備えた固定成形型と、
キャビティを備えるとともに、前記固定成形型に対して近接又は離間する方向に移動する可動成形型と、
前記固定成形型と前記可動成形型との間に配置されることで前記固定成形型及び前記可動成形型のキャビティにあるワークを加熱する加熱部と、
前記可動成形型に対向する前記固定成形型の対向面に形成した溝部の底部又は前記固定成形型に対向する前記可動成形型の対向面に形成した溝部の底部に一部が配置されている加熱部移動用ガイドレールと、
前記加熱部移動用ガイドレールに沿って前記固定成形型又は前記可動成形型に対して前記加熱部を進退させる駆動機構と、を備え、
前記加熱部で一対の前記ワークを加熱した後、両者を溶着させることを特徴とする中空容器製造装置。
【請求項2】
一対の前記ワークは、底部と、前記底部から立ち上がる周壁部と、を少なくとも備え、
前記固定成形型の前記キャビティ及び前記可動成形型の前記キャビティにある一対の前記ワークの一部を前記固定成形型及び可動成形型にそれぞれ押え付ける保持機構と、を有することを特徴とする請求項1に記載の中空容器製造装置。
【請求項3】
前記保持機構は、シリンダと、前記シリンダによって進退する部分コアとを有し、
シリンダで前記部分コアを前進させ、前記部分コアで前記ワークの一部を前記固定成形型及び可動成形型にそれぞれ押え付けることを特徴とする請求項2に記載の中空容器製造装置。
【請求項4】
前記保持機構は、前記ワークの側面に向けて外側から付勢する付勢手段と、前記付勢手段の先端に設けられた押圧部とを有し、
前記付勢手段の付勢力によって前記ワークの一部を前記固定成形型及び前記可動成形型にそれぞれ押え付けることを特徴とする請求項2に記載の中空容器製造装置。
【請求項5】
前記加熱部が前記固定成形型と可動成形型との間に配置された後、前記加熱部と前記固定成形型との距離と、前記加熱部と前記可動成形型との距離とを同一にするセンタリング機構を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の中空容器製造装置。
【請求項6】
前記センタリング機構は、前記加熱部の外側に張り出す中間板と、前記中間板と前記固定成形型との間に介設された第1ばねと、前記中間板と前記可動成形型との間に介設され前記第1ばねと同じばね定数を備えた第2ばねとを備えていることを特徴とする請求項5に記載の中空容器製造装置。
【請求項7】
前記センタリング機構は、前記加熱部の外側に張り出すガイドプレートと、前記ガイドプレートが嵌合するセンタリング用ガイドレールと、前記固定成形型及び前記可動成形型の各々に取り付けられており、前記可動成形型の移動方向に延在する一対のラックと、一対の前記ラックと噛合するギヤと、前記ギヤ及び一対の前記ラックの一部を収納し、前記センタリング用ガイドレールに取り付けられているギヤボックスと、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の中空容器製造装置。
【請求項8】
前記センタリング機構は、前記加熱部の外側に張り出すガイドプレートと、前記ガイドプレートが嵌合するセンタリング用ガイドレールと、中心が前記センタリング用ガイドレールに回転可能に固定されている第1リンクと、第1端部がそれぞれ前記第1リンクの端部に回転可能に固定されており、第2端部が前記固定成形型及び前記可動成形型にそれぞれ回転可能に取り付けられている一対の第2リンクとを備えていることを特徴とする請求項5に記載の中空容器製造装置。
【請求項9】
溶着時に前記加熱部を一対の前記ワークに接触させる場合、
前記固定成形型又は前記可動成形型は外部に連通する第1連通孔を備え、
前記加熱部は、前記第1連通孔に連通する第2連通孔を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の中空容器製造装置。
【請求項10】
溶着時に前記加熱部を一対の前記ワークに接触させる場合、
前記加熱部は、前記固定成形型及び前記可動成形型内の空気を外部に排出する加熱部連通孔を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の中空容器製造装置。
【請求項11】
溶着時に前記加熱部を一対の前記ワークに接触させない場合、
前記加熱部の周囲を覆う保護フレームを有し、
前記保護フレームは、前記加熱部とともに前記加熱部移動用ガイドレールに沿って前記固定成形型に対して進退することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の中空容器製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空容器製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、燃料を貯留する燃料タンクのように内部に中空部を備えた中空容器製造装置が知られている(特許文献1)。従来の中空容器製造装置は、一次成形で半中空成形品(ワーク)を一対成形した後、これらの周壁部の端部をヒータなどの加熱部で加熱し、例えば、振動溶着などで両者を溶着するというものである。従来の中空容器製造装置は、加熱部の一端部を保持し、成形型に対して進退させるヒータ装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6657280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワーク溶着用の加熱部を備えた従来の中空容器製造装置は、加熱部が片持ち構造であった。このため、加熱部を支持している一端側に対して他端側(進行方向先端側)が下方に傾いたり、振動したりするおそれがある。加熱部が傾いたり、振動したりすると、加熱部の位置調整が困難になるため、ワークの端部において温度のばらつきが生じ、溶着不良になるおそれがあることを出願人は見出した。また、大型の中空容器を製造する場合、それに伴って加熱部も大型化するため、前記問題がより顕在化するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、一対のワークに対する加熱部の位置調整を容易に行うことができるとともに、溶着強度を高めることができる中空容器製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、キャビティを備えた固定成形型と、キャビティを備えるとともに、前記固定成形型に対して近接又は離間する方向に移動する可動成形型と、前記固定成形型と前記可動成形型との間に配置されることで前記固定成形型及び前記可動成形型のキャビティにあるワークを加熱する加熱部と、前記可動成形型に対向する前記固定成形型の対向面に形成した溝部の底部又は前記固定成形型に対向する前記可動成形型の対向面に形成した溝部の底部に一部が配置されている加熱部移動用ガイドレールと、前記加熱部移動用ガイドレールに沿って前記固定成形型又は前記可動成形型に対して前記加熱部を進退させる駆動機構と、を備え、前記加熱部で一対の前記ワークを加熱した後、両者を溶着させることを特徴とする。
【0007】
従来の中空容器製造装置は、加熱部を備えたヒータ装置と、成形型とが別々に稼働していた。これに対し、本発明によれば、加熱部移動用ガイドレールの一部が固定成形型又は可動成形型に設けられているため、加熱部が進退しても加熱部と固定成形型又は可動成形型との距離は一定である。また、加熱部は加熱部移動用ガイドレール上を進退するため振動することもない。これにより、一対のワークに対する加熱部の位置調整を容易に行うことができ、一対のワークの端部を均等に加熱することができる。これにより、加熱ムラを無くすか、少なくすることができ、溶着強度を高めることができる。
【0008】
また、一対の前記ワークは、底部と、前記底部から立ち上がる周壁部と、を少なくとも備え、前記固定成形型の前記キャビティ及び前記可動成形型の前記キャビティにある一対の前記ワークの一部を前記固定成形型及び可動成形型にそれぞれ押え付ける保持機構と、を有することが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、1次成形により、ワークに冷却収縮やゆがみがあったとしても、キャビティにあるワークを確実に固定できる。これにより、ワークがキャビティからの浮き上がるのを防止でき、固定成形型と可動成形型との間に移動した加熱部にワークが接触することを回避できるとともに、一対のワークに対する加熱部の位置調整の精度を高めることができる。
【0010】
また、前記保持機構は、シリンダと、前記シリンダによって進退する部分コアとを有し、シリンダで前記部分コアを前進させ、前記部分コアで前記ワークの一部を前記固定成形型及び可動成形型にそれぞれ押え付けることが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、キャビティにあるワークを確実に固定する機構を簡易に構成することができる。
【0012】
また、前記保持機構は、前記ワークの側面に向けて外側から付勢する付勢手段と、前記付勢手段の先端に設けられた押圧部とを有し、前記付勢手段の付勢力によって前記ワークの一部を前記固定成形型及び前記可動成形型にそれぞれ押え付けることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、キャビティにあるワークを確実に固定する機構を簡易に構成することができる。
【0014】
また、前記加熱部が前記固定成形型と可動成形型との間に配置された後、前記加熱部と前記固定成形型との距離と、前記加熱部と前記可動成形型との距離とを同一にするセンタリング機構を備えることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、一対のワークの端部を均等にかつ確実に加熱することができる。これにより、加熱ムラを無くすか、少なくすることができ、溶着強度を高めることができる。
【0016】
また、前記センタリング機構は、前記加熱部の外側に張り出す中間板と、前記中間板と前記固定成形型との間に介設された第1ばねと、前記中間板と前記可動成形型との間に介設され前記第1ばねと同じばね定数を備えた第2ばねとを備えていることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、一対のワークの端部を均等にかつ確実に加熱するための機構を簡易に構成することができる。
【0018】
また、前記センタリング機構は、前記加熱部の外側に張り出すガイドプレートと、前記ガイドプレートが嵌合するセンタリング用ガイドレールと、前記固定成形型及び前記可動成形型の各々に取り付けられており、前記可動成形型の移動方向に延在する一対のラックと、一対の前記ラックと噛合するギヤと、前記ギヤ及び一対の前記ラックの一部を収納し、前記センタリング用ガイドレールに取り付けられているギヤボックスと、を備えていることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、一対のワークの端部を均等にかつ確実に加熱するための機構を簡易に構成することができる。
【0020】
また、前記センタリング機構は、前記加熱部の外側に張り出すガイドプレートと、前記ガイドプレートが嵌合するセンタリング用ガイドレールと、中心が前記センタリング用ガイドレールに回転可能に固定されている第1リンクと、第1端部がそれぞれ前記第1リンクの端部に回転可能に固定されており、第2端部が前記固定成形型及び前記可動成形型にそれぞれ回転可能に取り付けられている一対の第2リンクとを備えていることが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、一対のワークの端部を均等にかつ確実に加熱するための機構を簡易に構成することができる。
【0022】
また、溶着時に前記加熱部を一対の前記ワークに接触させる場合、前記固定成形型又は前記可動成形型は外部に連通する第1連通孔を備え、前記加熱部は、前記第1連通孔に連通する第2連通孔を備えていることが好ましい。
【0023】
かかる構成によれば、第1連通孔及び第2連通孔を介して外部に空気を逃がすことができるため、熱膨張によって各ワークの端部と加熱部との接触部分に作用する圧力の低下を防ぐことができる。これにより、ワーク同士の溶着強度をより向上させることができる。
【0024】
また、溶着時に前記加熱部を一対の前記ワークに接触させる場合、前記加熱部は、前記固定成形型及び前記可動成形型内の空気を外部に排出する加熱部連通孔を備えていることが好ましい。
【0025】
かかる構成によれば、加熱部連通孔を介して外部に空気を逃がすことができるため、熱膨張によって各ワークの端部と加熱部との接触部分に作用する圧力の低下を防ぐことができる。これにより、ワーク同士の溶着強度をより向上させることができる。
【0026】
また、溶着時に前記加熱部を一対の前記ワークに接触させない場合、前記加熱部の周囲を覆う保護フレームを有し、前記保護フレームは、前記加熱部とともに前記加熱部移動用ガイドレールに沿って前記固定成形型に対して進退することが好ましい。
【0027】
かかる構成によれば、型間に加熱部を移動する際、加熱部と、固定成形型又は前記可動成形型、あるいはワークとの接触を確実に防止できる。このため、加熱部の破損を防止できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る中空容器製造装置によれば、一対のワークに対する加熱部の位置調整を容易に行うことができるとともに、溶着強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1、第5実施形態における中空容器製造装置の後面図である。
図2図1の固定成形型の側面図である。
図3図1のA-A線矢視平面図である。
図4図1のB-B線矢視平面図である。
図5】第2実施形態における保持機構の説明図(1)である。
図6】第2実施形態における保持機構の説明図(2-1)であり、(a)が伸長時、(b)が収縮時である。
図7】第2実施形態における保持機構の説明図(2-2)である。
図8】第3実施形態における中空容器製造装置の説明図(1)である。
図9】第3実施形態における中空容器製造装置の説明図(2)である。
図10】第4実施形態におけるばね式のセンタリング機構の側面図である。
図11図10のC方向から見た後面図である。
図12図10のD-D線矢視平面図である。
図13】ばね式のセンタリング機構の動作例の説明図である。
図14】第4実施形態におけるラックピニオン式のセンタリング機構の側面図である。
図15図14のラックピニオン式のセンタリング機構の後面図である。
図16図14のE-E線矢視平面図である。
図17図16のF-F線矢視断面図である。
図18図14で型開状態になったときの後面図である。
図19】第4実施形態におけるリンク式のセンタリング機構の側面図である。
図20図19のリンク式のセンタリング機構の後面図である。
図21図19で型開状態になったときの後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
各実施形態の説明の際、特段の説明が無い限り、固定成形型に対する可動成形型の開閉方向を上下とし、固定成形型及び可動成形型の間に加熱部が進退する方向を左右とする(図1等参照)。前後方向は、図3に示すとおりである。
【0031】
[第1実施形態]
第1実施形態の中空容器製造装置について図1図4を参照して説明する。図1は、中空容器製造装置の後面図である。図2は、固定成形型の側面図である。図3は、図1のA-A線矢視平面図である。図4は、図1のB-B線矢視平面図である。
【0032】
[構成]
第1実施形態の中空容器製造装置100は、固定成形型1と、可動成形型2と、加熱部3と、駆動機構4を備えている。
固定成形型1は、2次成形用の固定式の成形型である。固定成形型1は、キャビティ11と、溝部12,12と、ガイドレール13,13と、ブラケット14,14を備えている。
【0033】
キャビティ11は、ワークw1が配置される部位である。ワークw1は、1次成形品としての半中空成形品である。ワークw1は、専用の搬送装置(図示せず)により、固定成形型1と可動成形型2との間に搬送され、キャビティ11に配置される。
溝部12,12は、固定成形型1の上面(可動成形型2との対向面)、かつ、キャビティ11の前後方向の外側にそれぞれ形成され、左右方向に延在する凹条部である。
【0034】
ガイドレール13,13は、加熱部3の移動方向をガイドする加熱部移動用ガイドレールである。ガイドレール13,13は、左右方向に延在するレール部材であり、一部が溝部12,12の底部に配置されており、残りがブラケット14,14に配置されている。つまり、ガイドレール13,13は、固定成形型1のうち可動成形型2に対向する対向面に一部が設けられている。
ブラケット14,14は、ガイドレール13,13のうち、固定成形型1の溝部12,12から左方向に延出する部分を支持する部材である。ブラケット14,14は、固定成形型1の側面に取り付けられている。
【0035】
可動成形型2は、2次成形用の上下可動式の成形型である。可動成形型2は、キャビティ21を備えている。可動成形型2の上方向は、固定成形型1から離間する方向であり、可動成形型2の下方向は、固定成形型1に対して近接する方向である。
キャビティ21は、ワークw2が配置される部位である。ワークw2は、1次成形品としての半中空成形品である。ワークw2は、専用の搬送装置(図示せず)により、固定成形型1と可動成形型2との間に搬送され、キャビティ21に配置される。
【0036】
加熱部3は、ワークw1、w2の各々の溶着面を加熱溶融する熱源である、第1実施形態の加熱部3は、例えば、非接触式(加熱部3がワークw1、w2に接触しない)のIRヒータである。IRヒータとしては、ハロゲンヒータ、カーボンヒータなどを用いることができるが、赤外線、近赤外線などを照射して加熱部3を非接触で加熱できるヒータであれば、制限はない。加熱部3の形状は、ワークw1、w2の溶着面の形状に対応している。また、加熱部3は溶着面を全面的に加熱するように複数の棒状ヒータあるいは折り返し構造のヒータを配置した構造としても良い。加熱部3は、保護フレーム31(図3のドットで示す部分)を備えている。加熱部3は保持部311で保護フレーム31に固定されているが、保持部311は複数個所設ける方が、加熱部3のブレが少なくなるため、保持部311は複数個所設けるように加熱部3と保護フレーム31の形状を工夫しても良い。保護フレーム31の詳細については後記する。第1実施形態では、加熱部3を、保護フレーム31を含めた部位として説明する。
【0037】
駆動機構4は、固定成形型1と可動成形型2との間において加熱部3を左右方向に進退させる機構である。駆動機構4は、ガイドレール13,13に沿って固定成形型1に対して加熱部3を進退させることができる。駆動機構4は、モータMと、カップリング41と、ボールねじ42と、ボールねじナット43と、ベアリングケース44,44と、プレート45と、ブラケット46と、ガイドレール47,47と、スライドブロック48,48と、ガイドロッド49,49と、プレート50と、4つのスライドブロック51を備えている。
【0038】
モータMは、例えば、サーボモータである。カップリング41は、モータMとボールねじ42を連結する部材である。ボールねじ42は、左右方向に延在している。ボールねじナット43は、モータMの駆動に応じてボールねじ42に沿って左右方向に移動する。ベアリングケース44,44は、ベアリング(図示せず)を備え、ボールねじ42の両端部を支持する部材である。
【0039】
プレート45は、ボールねじナット43と連結している板状体である。プレート45は、スライドブロック48,48を介してガイドレール47,47に沿って移動することができる。
ブラケット46は、ガイドレール47,47を支持する部材である。ブラケット46は、側面視略コ字状を呈しており、左右方向に延在している。ブラケット46は、固定成形型1の側面に取り付けられている。
【0040】
ガイドレール47,47は、左右方向に延在するレール部材であり、ブラケット46の上面に前後方向に間をあけて配置されている。
スライドブロック48,48は、ガイドレール47,47に嵌合し、ガイドレール47,47に沿って左右に摺動する摺動体である。プレート45は、スライドブロック48,48の上に固定されている。ガイドレール47,47は、プレート45の移動をガイドする部材である。
【0041】
ガイドロッド49,49は、プレート45の上面に取り付けられ、上方に延在する棒状体である。ガイドロッド49,49は、プレート50に貫通しており、プレート50に取り付けられている。
プレート50は、ガイドロッド49,49を介してプレート45と連結している板状体である。プレート50の端部は、加熱部3の端部に取り付けられている。
4つのスライドブロック51は、ガイドレール13,13に嵌合し、ガイドレール13,13に沿って左右に摺動する摺動体である。スライドブロック51の上面は、加熱部3の4隅にそれぞれ固定されている。以上により、モータMの駆動により、加熱部3は、ガイドレール13,13に沿って左右方向に移動することができる。
【0042】
[作用]
2次成形の開始前、ボールねじナット43は、ボールねじ42の最も左側に待機している。これに伴い、プレート45も、ガイドレール47,47の最も左側に待機している。さらに、プレート50及び加熱部3も、ガイドレール13,13の最も左側、すなわち金型と干渉しない位置に待機している。
【0043】
2次成形の開始時、固定成形型1及び可動成形型2は型開しており、ワークw1,w2がそれぞれ、キャビティ11,21に配置される。次に、可動成形型2が下方に移動し、加熱部3が挿入できるスペースを残して停止する。
【0044】
その後、モータMが正回転して、ボールねじナット43を右方向に移動させる。すると、ボールねじナット43と連結しているプレート45が、スライドブロック48,48の摺動に伴い、ガイドレール47,47上を摺動し、右方向に移動する。また、ガイドロッド49,49を介してプレート45と連結しているプレート50及び加熱部3が、4つのスライドブロック51の摺動に伴い、ガイドレール13,13上を摺動し、右方向に移動する。その結果、加熱部3がワークw1,w2に近接した位置に配置され、加熱部3がワークw1,w2の端面を加熱する。加熱後、モータMが逆回転して、ボールねじナット43を左方向に移動させる。すると、ボールねじナット43と連結しているプレート45が、スライドブロック48,48の摺動に伴い、ガイドレール47,47上を摺動し、左方向に移動する。また、ガイドロッド49,49を介してプレート45と連結しているプレート50及び加熱部3が、4つのスライドブロック51の摺動に伴い、ガイドレール13,13上を摺動し、左方向に移動し退避する。その後、可動成形型2が下方に移動し、ワークw1,w2が加圧され、溶着する。溶着後、型開して、ワークw1,w2が取り出され、2次成形が完了する。
【0045】
従来の中空容器製造装置は、加熱部を備えたヒータ装置と、成形型とが別々に稼働していた。これに対し、第1実施形態の中空容器製造装置100によれば、ガイドレール13,13の一部が固定成形型1に設けられているため、加熱部3が進退しても加熱部3と固定成形型1との距離は一定である。また、加熱部3はガイドレール13,13上を進退するため振動することもない。これにより、一対のワークw1,w2に対する加熱部3の位置調整を容易に行うことができ、一対のワークw1,w2の端部を均等に加熱することができる。これにより、加熱ムラを無くすか、少なくすることができ、溶着強度を高めることができる。換言すると、本実施形態によれば、固定成形型1と加熱部3との距離が確定されているため、固定成形型1と加熱部3との距離に合わせて、可動成形型2と加熱部3との距離を調整するだけでよいため、加熱部3の位置調整を容易に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態では、ガイドレール13をキャビティ11の前後両側に一対設けたため、加熱部3が振動することなく安定して支持することができる。
また、加熱部3は、固定成形型1に設けられたガイドレール13,13上を移動するだけであるため、仮に、ガイドレール47,47等の設置精度が悪くても、固定成形型1と加熱部3との距離は一定にすることができる。この場合、例えば、ガイドロッド49とプレート50との間はクリアランスを設けて係合させるようにすることで、ガイドレール47,47等の設置誤差を吸収させることができる。
【0047】
[第2実施形態]
第2実施形態の中空容器製造装置について図5図7を参照して説明する。図5は、第2実施形態における保持機構の説明図(1)である。図6は、第2実施形態における保持機構の説明図(2-1)であり、(a)が伸長時、(b)が収縮時である。図7は、第2実施形態における保持機構の説明図(2-2)である。
【0048】
[構成(その1)]
図5は、固定成形型1のキャビティ11に設置されたワークw1の断面図を示している。まず、ワークw1について説明する。ワークw1は、底部w11と、周壁部w12と、フランジ部w13と、溶着部w14を備えている。
【0049】
底部w11は、キャビティ11の底部に密着する部位である。周壁部w12は、底部w11の周縁から立ち上がる部位であり、キャビティ11の周壁部に密着する。
【0050】
フランジ部w13は、周壁部w12から周方向に亘って外側に張り出す部位である。図5に示すフランジ部w13は、第1フランジ部w131と、第2フランジ部w132を備えている。
第1フランジ部w131は、周壁部w12から外側に張り出す部位である。第1フランジ部w131の高さ位置は、周壁部w12の端部の高さ位置と同じである。
第2フランジ部w132は、第1フランジ部w131から外側に張り出す部位である。
【0051】
第1フランジ部w131と第2フランジ部w132との間には段差が形成されている。図5に示すように、ワークw1がキャビティ11に設置された場合、第2フランジ部w132の高さ位置は、第1フランジ部w131の高さ位置より低くなっている。
【0052】
溶着部w14は、フランジ部w13から底部w11とは反対側に突出する部位である。溶着部w14は、加熱部3により、端部が加熱溶融する。ワークw1がキャビティ11に設置された場合における溶着部w14の位置は、固定成形型1の対向面より上方に位置している。これにより、突出している溶着部w14と加熱部3との距離を近づけることができるため、加熱効率を高めることができる。
【0053】
また、固定成形型1は、周縁部15を備えている。周縁部15は、キャビティ11の上部の外周に周方向全体に亘って隆起した部位である。周縁部15は、第1周縁部151と、第2周縁部152を備えている。
第1周縁部151は、キャビティ11の上部の外周に周方向全体に亘って隆起した部位である。キャビティ11に設置したワークw1の第1フランジ部w131は、第1周縁部151に嵌合する。
【0054】
第2周縁部152は、第1周縁部151の外周に周方向全体に亘って隆起した部位である。図5に示すように、ワークw1がキャビティ11に設置された場合、第2周縁部152の高さ位置は、第1周縁部151の高さ位置より低くなっている。キャビティ11に設置したワークw1の第2フランジ部w132は、第2周縁部152に載置される。
【0055】
また、固定成形型1は、保持機構16を備えている。保持機構16は、部分コア161と、シリンダ162を備えている。
【0056】
部分コア161は、固定成形型1の対向面(上面)を摺動する摺動体である。部分コア161の形状は、第2周縁部152及び第2周縁部152に載置された第2フランジ部w132と係合可能な形状になっている。部分コア161は、本実施形態では側面視してクランク形状になっている。
【0057】
シリンダ162は、部分コア161をワークw1に向けて前進させたりワークw1から後退させたりする駆動手段である。シリンダ162は、例えば、空気式、油圧式、電動式とすることができるがこれらに限定されない。また、シリンダ162には、部分コア161の動作を確認するためのリミットスイッチなどを設けることが好ましい。これにより、部分コア161がワークw1を確実に固定していることを確認でき、動作不良による不具合を防止することができる。なお、図5に示すように、部分コア161の一部は固定成形型1の上部に埋設されている。このため、ワークw1に対し進退する部分コア161が固定成形型1から浮き上がることを防止することができる。
【0058】
[作用]
1次成形によって成形されたワークw1がキャビティ11に配置された後、シリンダ162が部分コア161を固定成形型1の上面を摺動するように前進させる。すると、部分コア161の先端が、第2周縁部152に載置された第2フランジ部w132の上に配置される。これにより、部分コア161が、第2フランジ部w132を上方から固定成形型1に押え付けることができる。型間に移動した加熱部3は、部分コア161に押え付けられたワークw1の溶着部w14を加熱溶融することができる。
【0059】
1次成形によって成形されたワークは、冷却収縮したりゆがみを有していたりする。このため、従来では、成形型を変えて2次成形によるワークの加熱溶着を行う場合、成形型のキャビティに対してワークが不一致になりキャビティから浮き上がったり、飛び出たりするおそれがあった。ワークが成形型に適切に設置されないと、加熱部とワークとの距離にばらつきが発生したり、型間に移動した加熱部にワークが接触したりするおそれがあった。
【0060】
これに対し、第2実施形態の中空容器製造装置100によれば、1次成形により、ワークw1に冷却収縮やゆがみがあったとしても、キャビティ11に設置されたワークw1を固定成形型1に確実に固定できる。これにより、固定成形型1のキャビティ11に対して適切にワークw1を設置できるため、加熱部3とワークw1との距離にばらつきが発生するのを防ぐことができる。また、ワークw1のキャビティ11からの浮き上がりを防止でき、固定成形型1と可動成形型2との間に移動した加熱部3にワークw1が接触することを回避できる。
【0061】
また、部分コア161及びシリンダ162を保持機構16に用いるため、キャビティ11に設置されたワークw1を確実に固定する機構を容易に構成することができる。
なお、部分コア161及びシリンダ162を用いた保持機構16は、ワークw1のフランジ部w13の周方向全体に均等の間隔で複数配置することが好ましい。
【0062】
上記では、固定成形型1に保持機構16を設ける場合について説明したが、可動成形型2に保持機構16を設けてもよい。1次成形により、ワークw2に冷却収縮やゆがみがあったとしても、可動成形型2のキャビティ21の周囲に保持機構16を設けることでキャビティ21に設置されたワークw2を確実に固定できる。これにより、固定成形型1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
[構成(その2)]
保持機構の他の形態として、図6図7に示す保持機構17がある。保持機構17は、例えば、固定成形型1の上面に凹部を形成し、形成した凹部に収納される。保持機構17は、押圧部171と、付勢手段172と、基部173を備えている。
【0064】
押圧部171は、保持機構17の頭部を構成し、付勢手段172の先端に設けられている。押圧部171の先端は、例えば、半球状とすることができ、ワークw1のフランジ部w13に当接する。図6に示すように押圧部171の半球状の表面形状をギザギザにすることで、ワークw1との摩擦抵抗が大きくなり、ワークw1をより確実に押えることができる。
【0065】
付勢手段172は、ワークw1の周壁部w12に向けて外側から付勢するばね部材(コイルスプリング)である。具体的には、付勢手段172は、押圧部171を付勢し、ワークw1のフランジ部w13を周壁部w12側(周壁部w12の側面側)に押圧することができる。
基部173は、保持機構17の根元部を構成し、付勢手段172の後端に設けられている。基部173の端部は、保持機構17を収納する凹部に係止可能に固定されている。
【0066】
[作用]
図7に示すように、固定成形型1は、キャビティ11の上部の外周に周方向全体に亘って隆起した周縁部15を備えている。キャビティ11に設置したワークw1のフランジ部w13は、周縁部15に嵌合する。なお、図7に示すように、保持機構17は固定成形型1の上部に埋設されている。このため、ワークw1に対し進退する保持機構17が固定成形型1から浮き上がることを防止することができる。
【0067】
図6(a)は、ワークw1がキャビティ11に設置されていない場合を示している。つまり、付勢手段172は最も延びた状態になっている。図6(b)及び図7に示すように、ワークw1がキャビティ11に設置される場合、ワークw1のフランジ部w13が押圧部171を付勢手段172の収縮方向に押し戻す。つまり、付勢手段172の付勢に抗してキャビティ11にワークw1が設置される。よって、保持機構17は、付勢手段172の付勢力によってフランジ部w13を固定成形型1に押え付けることができる。型間に移動した加熱部3は、押圧部171に押え付けられたワークw1の溶着部w14を加熱溶融できる。
【0068】
保持機構17についても、保持機構16と同様、1次成形により、ワークw1に冷却収縮やゆがみがあったとしても、キャビティ11に設置されたワークw1を確実に固定できる。これにより、固定成形型1のキャビティ11に対して適切にワークw1を設置できるため、加熱部3とワークw1との距離にばらつきが発生するのを防ぐことができる。また、ワークw1のキャビティ11からの浮き上がりを防止でき、固定成形型1と可動成形型2との間に移動した加熱部3にワークw1が接触することを回避できる。
【0069】
また、押圧部171と、付勢手段172と、基部173を保持機構17に用いるため、キャビティ11に設置されたワークw1を確実に固定する機構を簡易に構成することができる。
なお、押圧部171と、付勢手段172と、基部173を用いた保持機構17は、ワークw1のフランジ部w13の周方向全体に均等の間隔で複数配置することが好ましい。
【0070】
上記では、固定成形型1に保持機構17を設ける場合について説明したが、可動成形型2に保持機構17を設けてもよい。1次成形により、ワークw2に冷却収縮やゆがみがあったとしても、可動成形型2のキャビティ21の周囲に保持機構17を設けることでキャビティ21に設置されたワークw2を確実に固定できる。これにより、固定成形型1と同様の効果を得ることができる。
【0071】
なお、押圧部171の先端の形状は半球状の表面形状をギザギザにしたものを例示したが、ワークw1,w2をキャビティ11,21にそれぞれ設置する際に、ワークw1,w2を設置し易く、かつ、確実に保持することができれば他の形状であってもよい。
【0072】
なお、構成(その1、その2)では、固定成形型1あるいは可動成形型2に保持機構16あるいは保持機構17を設け、ワークw1あるいはw2がキャビティ11,21に配置された後、固定する例を示したが、本発明はこれに限定されない。保持機構16、あるいは保持機構17は固定成形型1と可動成形型2の双方に設けても良い。さらに、より好ましくは、固定成形型1と可動成形型2にそれぞれワークw1、w2を配置した後、可動成形型2を下方に移動させ、ワークw1とw2の溶着部同士が軽く接触した状態で保持機構16、あるいは保持機構17でワークw1およびw2を固定するのが良い。このようにすることで固定成形型1と可動成形型2にワークw1、w2が確実に嵌合した状態となるので、さらに確実にワークw1,w2を固定することができる。
【0073】
[第3実施形態]
第3実施形態の中空容器製造装置について図8図9を参照して説明する。図8は、第3実施形態における中空容器製造装置の説明図(1)である。図9は、第3実施形態における中空容器製造装置の説明図(2)である。
【0074】
[構成(その1)]
図8に示すように、第3実施形態の加熱部3は、板状を呈しており、溶着時に、ワークw1,w2に接触する接触式の加熱部である。加熱部3は、キャビティ11,21に設置されたワークw1,w2の端面を加熱溶融することができる。
【0075】
固定成形型1は、キャビティ11の底部に第1連通孔18を備えている。第1連通孔18は、固定成形型1の外部に連通する孔である。なお、ワークw1は、第1連通孔18に対応する孔を備えている。一方、可動成形型2は、キャビティ21にて外部に連通する孔を備えていない。
【0076】
加熱部3は、第2連通孔32を備えている。第2連通孔32は、加熱部3の略中央に板厚方向に貫通する孔である。よって、溶着時、第2連通孔32は、第1連通孔18に連通している。
【0077】
[作用]
ここで、従来、加熱部3は第2連通孔32を備えていなかったため、加熱溶融により熱膨張したワークw1の内部の空気を外部に排出することができなかった。そのため、ワークw2の内部の圧力が増大するとともに、ワークw2の内部の温度も上昇していた。その結果、ワークw2の内部の空気の熱膨張により、加熱部3がワークw2に十分密着できず、ワークw2側の接触熱抵抗が増大し、加熱溶着不良が生じていた。
【0078】
これに対し、図8の構成によれば、加熱部3が第2連通孔32を備えるとともに、固定成形型1が第1連通孔18を備えているため、第1連通孔18及び第2連通孔32を介して、ワークw1,w2内の空気を外部に排出することができる。これにより、ワークw1,w2内の熱膨張を抑制することができ、ワークw1,w2の端部と加熱部3との接触部分にかかる圧力が低下することなく、接触熱抵抗を低減できる。その結果、ワークw1,w2同士を均等に溶融し、溶着強度をより向上させることができる。なお、ワークw1には開口が形成されることになるが、当該開口は、例えば、ポンプなどの内蔵部品を配置する部位として利用することができる。
【0079】
また、上記した構成は、固定成形型1に第1連通孔18を設けたが、可動成形型2に第1連通孔18を設けてもよい。また、加熱部3の第2連通孔32は、ワークw1、w2の端部より内側であれば、どこに形成してもよい。
【0080】
[構成(その2)]
図9に示すように、第3実施形態の加熱部3は、板状を呈しており、溶着時に、固定成形型1及び可動成形型2に接触する接触式の加熱部である。加熱部3は、キャビティ11,21に設置されたワークw1,w2の端面を加熱溶融できる。
固定成形型1は、キャビティ11から外部に連通する孔を備えていない。また、可動成形型2も、キャビティ21から外部に連通する孔を備えていない。
【0081】
加熱部3は、第2連通孔32を備えている。第2連通孔32は、加熱部3の略中央に板厚方向に貫通する孔である。また、加熱部3は、第3連通孔33(加熱部連通孔)を備えている。第3連通孔33は、第2連通孔32の板厚方向の略中央から加熱部3の側面にまで、板面と平行に貫通する孔である。つまり、第2連通孔32及び第3連通孔33を通った空気は外部に排出される。
【0082】
[作用]
図9の構成によれば、加熱部3が第2連通孔32を及び第3連通孔33を備えることで、ワークw1,w2の空気を外部に排出することができる。これにより、加熱部3の加熱によりワークw1,w2の空気が熱膨張しても、各ワークw1,w2の端部と加熱部3との接触部分にかかる圧力が低下することなく、接触熱抵抗を低減できる。その結果、ワークw1,w2同士の溶着強度をより向上させることができる。また、図9の構成によれば、固定成形型1及び可動成形型2に外部に空気を逃がす孔を形成しなくてよい。
なお、第2連通孔32の位置は中央に限定されない。第2連通孔32は、ワークw1、w2の端部より内側で、かつ第3連通孔33を通じて外部に連通していれば、どこに形成しても良い。
【0083】
[第4実施形態]
第4実施形態の中空容器製造装置について図10図21を参照して説明する。図10は、第4実施形態におけるばね式のセンタリング機構の側面図である。図11は、図10のC方向から見た後面図である。図12は、図10のD-D線矢視平面図である。図13は、ばね式のセンタリング機構の動作例の説明図である。
【0084】
[構成(その1)]
図10図13は、固定成形型1及び可動成形型2の間に加熱部3が移動した状態の図であり、図10は断面図である。第4実施形態では、加熱部3が板状を呈する接触式であるとして説明するが、加熱部3がIRヒータなどの非接触式であってもよい。
【0085】
第4実施形態の中空容器製造装置100は、センタリング機構60を備える。センタリング機構60は、加熱部3の前後外側に合計4つ設けられており、図10図13では一方側のみ図示する。それぞれのセンタリング機構60は同じ機能を有するため、以降の説明では、一つのみについて説明を続ける。なお、センタリング機構60は、最低2個以上、より好ましくは、3個あるいは4個以上を設けることが望ましい。
【0086】
センタリング機構60は、中間板61と、第1ばね62と、第2ばね63と、軸部64と、軸下端部65と、軸上端部66と、スペーサ67を備えている。
【0087】
中間板61は、加熱部3の側面から外側に張り出す板状体である。中間板61は、加熱部3の側面にネジ止め等で取り付けられている。
【0088】
第1ばね62は、中間板61を付勢する付勢手段である。第1ばね62は、中間板61と固定成形型1との間に介設されており、より詳細には、軸下端部65の上面と中間板61の下面に当接するように設けられている。
【0089】
第2ばね63は、中間板61を付勢する付勢手段である。第2ばね63は、中間板61と可動成形型2との間に介設されており、より詳細には、中間板61の上面とスペーサ67の下面に当接するように設けられている。第1ばね62,62のばね定数と第2ばね63,63のばね定数は同一である。また、第1ばね62の寸法と第2ばね63の寸法は同一である。
【0090】
軸部64は、第1ばね62の中空部、中間板61が備える板厚方向に貫通した孔、第2ばね63,63の中空部、スペーサ67が備える板厚方向に貫通した孔に挿通される棒状体である。
【0091】
軸下端部65は、軸部64の下端部であり、第1ばね62の当接部である。軸下端部65は、スライドブロック51に配置されている。図11に示すように左側の軸下端部65は、後面視L字状を呈しており、当該軸下端部65の側面に駆動用ステー52の端部をネジ止め等で取り付けられている。また、右側の軸下端部65は、板状を呈している。
【0092】
駆動用ステー52は、センタリング機構60の補強部材である。図12に示すように、駆動用ステー52は、平面視コ字状を呈している(一部図示略)。駆動用ステー52の端部がセンタリング機構60の軸下端部65の側面にネジ止め等で取り付けられている。また、駆動用ステー52は、ガイドロッド49を挿通するための孔を備えている。よって、センタリング機構60を介して駆動用ステー52が取り付けられた加熱部3は、駆動機構4によって、型間に移動したり退避したりできる。つまり、第1実施形態の駆動機構4は、第4実施形態に適用することができる。
【0093】
また、駆動用ステー52の上面には、端子台521が配置されている。端子台521と加熱部3の端子との間で複数のヒータ線34が接続されており、加熱部3に電力を供給することができる。
【0094】
図10図11に示すように、可動成形型2の対向面(下面)には、穴22が設けられている。軸上端部66は、軸部64の上端部であり、第2ばね63によって付勢されるスペーサ67を係止する係止部として機能する。軸上端部66は、穴22よりも小さくなっており、穴22内に配置される。スペーサ67は、第2ばね63の当接部として機能する部材である。スペーサ67は穴22よりも大きくなっている。可動成形型2の下方への移動量に対し、中間板61が取り付けられた加熱部3の下方への移動量は、常に半分になる。
【0095】
[作用]
駆動機構4により、加熱部3及び各センタリング機構60は、固定成形型1及び可動成形型2の間に移動する。移動完了時、センタリング機構60の上方に、可動成形型2の穴22が位置する。型閉動作が開始すると、可動成形型2が固定成形型1に近接する。図10に示すように、可動成形型2の対向面のうち穴22の周縁部分が、スペーサ67の上面に当接する。このとき、軸上端部66は、穴22内部に位置する。可動成形型2が固定成形型1にさらに近接すると、図13に示すように、穴22の周縁部分が、スペーサ67を下方に押圧する。このため、第1ばね62及び第2ばね63が縮み、中間板61が下方に移動する。
【0096】
第1ばね62のばね定数及び第2ばね63のばね定数は同一である。よって、可動成形型2がスペーサ67に最初に当接した後、可動成形型2が最も下方へ移動するまでの間、中間板61の上面とスペーサ67の下面との距離と、中間板61の下面と軸下端部65の上面との距離は同一となる。また、可動成形型2の対向面と加熱部3の上面の距離と、固定成形型1の対向面と加熱部3の下面の距離も同一となる。また、可動成形型2のキャビティ21に設置されたワークw2の溶着部w24と加熱部3の上面の距離と、固定成形型1のキャビティ11に設置されたワークw1の溶着部w14と加熱部3の下面の距離も同一となる。
【0097】
従来、例えば、非接触式の加熱部を用いる場合、固定成形型と可動成形型との間に加熱部を挿入した後、加熱部と固定成形型及び可動成形型との位置調整(主に高さの位置調整)を行っていた。この位置調整が不均一になると、ワーク同士の加熱も不均一になってしまい、溶着強度に悪影響が出てしまう。しかし、この位置調整は容易でなく、熟練を要するととともに、作業時間が長期化していた。
【0098】
これに対し、第4実施形態の中空容器製造装置100によれば、4つのセンタリング機構60は、加熱部3が固定成形型1と可動成形型2との間に配置された後、加熱部3と固定成形型1との距離と、加熱部3と可動成形型2との距離とを同じにすることができる。加熱部3とワークの接触熱抵抗は押付け圧力によって変わってくるが、この方法では加熱部3とワークw1、w2とが同時に同じ圧力で接触する。よって、一対のワークw1,w2の端部を均等にかつ確実に加熱することができる。これにより、加熱ムラを無くすか、少なくすることができ、溶着強度を高めることができる。また、加熱部3自体の位置合わせの調整は不要となり、作業時間を短縮できる。また、センタリング機構60をばね式で構成できるので、一対のワークw1,w2の端部を均等にかつ確実に加熱するための機構を簡易に構成することができる。
【0099】
また、センタリング機構60だけで、加熱部3と固定成形型1との距離、及び、加熱部3と可動成形型2との距離を同一にすることができるが、ワークw1,w2が各キャビティ11,21から浮き上がってしまうと加熱時の温度差が発生してしまう。
そこで、図13に示すように、例えば、保持機構17を設置することで、ワークw1,w2が固定成形型1及び可動成形型2から浮き上がるのを防ぐことができるため、ワークw1,w2と加熱部3との距離も同一にすることができる。つまり、保持機構16,17とセンタリング機構60を併用することで相乗的に位置調整の精度を高めることができる。
【0100】
[構成(その2)]
第4実施形態の他の実施例の中空容器製造装置について図14図18を参照して説明する。図14は、第4実施形態におけるラックピニオン式のセンタリング機構の側面図である。図15は、図14のラックピニオン式のセンタリング機構の後面図である。図16は、図14のE-E線矢視平面図である。図17は、図16のF-F線矢視断面図である。図18は、図14で型開状態になったときの側面図である。
【0101】
第4実施形態の他の実施例の中空容器製造装置100は、センタリング機構70を備える。センタリング機構70は、加熱部3の前後方向の外側に設けられており、図14図18では一方のみ図示する。前後外側のセンタリング機構70の各々は同じ機能を有するため、以降の説明では、一方のみについて説明を続ける。
【0102】
センタリング機構70は、ガイドレール(センタリング用ガイドレール)71と、ガイドプレート72と、連結ブロック73と、ラック74,74と、ギヤ75と、ギヤボックス76を備えている。また、センタリング機構70に対し、既に説明した駆動機構4のモータMと、カップリング41と、ボールねじ42と、ボールねじナット43と、ベアリングケース44,44が設けられている。
【0103】
ガイドレール71は、左右方向に延在し、加熱部3に対向する面に溝部を備える凹条部である。ガイドレール71の一部は、固定成形型1及び可動成形型2の左右方向寸法全体に及び、残りは、固定成形型1及び可動成形型2の左側面から所定量だけ左側に延在している。ガイドレール71は、加熱部3の移動方向をガイドする部材である。また、図15に示すように、ボールねじ42は、左右方向に延在しており、右端部がガイドレール71の右端部の少し手前まで延在しており、左端部がガイドレール71の左端部の少し手前まで延在している。
【0104】
図15に示すように、固定成形型1の四隅に、上下方向に立設するガイドピン19が設けられている。ガイドレール71は、上下方向に貫通し、ガイドピン19,19を挿通させるための孔を備えている。ガイドレール71は、ガイドピン19に案内されて上下方向に可動する。
【0105】
ガイドプレート72は、加熱部3の側面から外側に張り出す板状体である。図16に示すように、ガイドプレート72は、加熱部3の側面にネジ止め等で取り付けられている。また、ガイドプレート72の、加熱部3側とは反対側の一辺は、ガイドレール71の溝部内に嵌合している(図17参照)。
【0106】
連結ブロック73は、ガイドプレート72及びボールねじナット43に連結する部材である。よって、ボールねじナット43の移動に応じてガイドプレート72及びガイドプレート72が取り付けられている加熱部3が移動できる。
【0107】
ラック74,74は、歯切りされた平板状を呈し、上下方向に延在している部材である。ラック74,74は、固定成形型1及び可動成形型2の各々に取り付けられている。ギヤ75は、ラック74,74と噛合する歯車である。ギヤボックス76は、ギヤ75及びラック74,74の一部を収納する。ギヤボックス76は、ガイドレール71のうち、加熱部3と反対側の面に取り付けられている。可動成形型2の下方への移動量に対し、ガイドプレート72が取り付けられた加熱部3の下方への移動量は、常に半分になる。
【0108】
[作用]
図18に示すように、型開状態では、ラック74,74の先端側とギヤ75が噛み合っており、固定成形型1と可動成形型2とは最も離間した位置にある。図示しないが、この状態でワークw1、w2が固定成形型1と可動成形型2にそれぞれ設置される。その後、駆動機構4により、ガイドプレート72は、ガイドレール71の溝部に沿って、型開状態の固定成形型1及び可動成形型2に向かって右方向に移動する。これにより、ガイドプレート72に取り付けられている加熱部3は、固定成形型1及び可動成形型2の間に移動する。
【0109】
移動完了後、図15に示すように、型閉動作が開始すると、可動成形型2が固定成形型1に近接する。すると、ラック74,74がギヤ75を回転させることで、ギヤ75を収納するギヤボックス76が下方に移動する。これに伴い、ギヤボックス76に取り付けられているガイドレール71が下方に移動し、ガイドレール71に嵌合しているガイドプレート72及びガイドプレート72が取り付けられている加熱部3が下方に移動する。
【0110】
ばね式のセンタリング機構60と同様、型閉動作により、可動成形型2が最も下方へ移動するまでの間、可動成形型2の対向面と加熱部3の上面の距離と、固定成形型1の対向面と加熱部3の下面の距離は同一となる。また、可動成形型2のキャビティ21に設置されたワークw2の溶着部w24と加熱部3の上面の距離と、固定成形型1のキャビティ11に設置されたワークw1の溶着部w14と加熱部3の下面の距離は同一となる。
【0111】
ラックピニオン式のセンタリング機構70を用いた中空容器製造装置100の効果は、ばね式のセンタリング機構60を用いた中空容器製造装置100の効果と同じであるため説明を省略する
【0112】
[構成(その3)]
第4実施形態のさらに他の実施例の中空容器製造装置について図19図21を参照して説明する。図19は、第4実施形態におけるリンク式のセンタリング機構の側面図である。図20は、図19のリンク式のセンタリング機構の後面図である。図21は、図19で型開状態になったときの後面図である。
【0113】
第4実施形態のさらに他の実施例の中空容器製造装置100は、センタリング機構80を備える。センタリング機構80は、加熱部3の前後方向の外側に設けられており、図19図21では一方のみ図示する。前後方向の外側のセンタリング機構80の各々は同じ機能を有するため、以降の説明では、一方のみについて説明を続ける。
【0114】
センタリング機構80は、ガイドレール71と、ガイドプレート72と、連結ブロック73と、長リンク(第1リンク)81と、短リンク(第2リンク)82,82を備えている。ガイドレール71と、ガイドプレート72と、連結ブロック73はすでに説明したものと同じである。また、センタリング機構70に対し、すでに説明した駆動機構4のモータMと、カップリング41と、ボールねじ42と、ボールねじナット43と、ベアリングケース44,44が設けられている。
【0115】
長リンク81は、板状体であって、ガイドレール71のうち、加熱部3と反対側の面に配置されている。長リンク81の中心は、ピン811により、回転可能にガイドレール71に固定されている。また、長リンク81の両端部は、ピン812,812により、回転可能かつ固定成形型1及び可動成形型2に対して移動可能に短リンク82,82の各々の第1端部に固定されている。
【0116】
短リンク82,82は、長リンク81に連結される板状体である。短リンク82,82の各々の第2端部は、ピン821,821により回転可能に固定成形型1の側面及び可動成形型2の側面に取り付けられている。短リンク82,82の各々の長さ寸法は同一である。可動成形型2の下方への移動量に対し、ガイドプレート72が取り付けられた加熱部3の下方への移動量は、常に半分になる。なお、本実施形態では、長リンク81(第1リンク81)を短リンク82(第2リンク82)よりも長くしたが、これらの長さは型開閉ストロークにより適宜設定すればよい。
【0117】
[作用]
図21に示すように、型開状態では、長リンク81と、短リンク82,82は最も伸びた状態にあり、固定成形型1と可動成形型2とは最も離間した位置にある。図示しないが、この状態でワークw1、w2が固定成形型1と可動成形型2にそれぞれ設置される。その後、駆動機構4により、ガイドプレート72は、ガイドレール71の溝部に沿って、型開状態の固定成形型1及び可動成形型2に向かって右方向に移動する。これにより、ガイドプレート72が取り付けられている加熱部3は、固定成形型1及び可動成形型2の間に移動する。
【0118】
移動完了後、図20に示すように、型閉動作が開始すると、可動成形型2が固定成形型1に近接する。すると、長リンク81と短リンク82,82の各々との角度が小さくなり、短リンク82,82同士が近づくことで、長リンク81が下方に移動する。また、長リンク81に取り付けられているガイドレール71が下方に移動し、ガイドレール71に嵌合しているガイドプレート72及びガイドプレート72が取り付けられている加熱部3が下方に移動する。
【0119】
ばね式のセンタリング機構60やラックピニオン式のセンタリング機構70と同様、型閉動作により、可動成形型2が最も下方へ移動するまでの間、可動成形型2の対向面と加熱部3の上面の距離と、固定成形型1の対向面と加熱部3の下面の距離は同一となる。また、可動成形型2のキャビティ21に設置されたワークw2の溶着部w24と加熱部3の上面の距離と、固定成形型1のキャビティ11に設置されたワークw1の溶着部w14と加熱部3の下面の距離は同一となる。
【0120】
リンク式のセンタリング機構80を用いた中空容器製造装置100の効果は、ばね式のセンタリング機構60やラックピニオン式のセンタリング機構70を用いた中空容器製造装置100の効果と同じであるため説明を省略する。
【0121】
[第5実施形態]
第5実施形態の中空容器製造装置について主に図3を参照して説明する(適宜他の図を参照)。第5実施形態は、すでに述べた加熱部3及び保護フレーム31に関するものである。第5実施形態の加熱部3は、例えば、非接触式のIRヒータである。
【0122】
図3に示すように、加熱部3は、平面視略環状を呈しており、ワークw1,w2の溶着部の形状に対応するように形成されている。加熱部3の両端部は、加熱部3の略環状部の左側から左方向に延在しており、保護フレーム31に形成された保持部311の孔を貫通している。また、加熱部3の両端部は、加熱部3に電力供給するためのヒータ線(図示せず)と接続している。なお、プレート50に端子台を備え、ヒータ線を端子台に接続する構成でもよい。
【0123】
保護フレーム31(図3のドットで示す部分)は、加熱部3の周囲を覆うとともに、ワークw1,w2よりも一回り大きく形成されており、加熱部3よりも上下方向の厚みが大きくなっている。保護フレーム31は、保持部311を備えている。保持部311は、保護フレーム31の左側中央に位置する。保持部311は、加熱部3の両端部が貫通する孔を備えており、加熱部3を保護フレーム31に保持できる。また、保護フレーム31の左側部分の上面に対し、プレート50の右端が配置されており、ネジ止め等で取り付けられている(図1も参照)。また、保護フレーム31下面には、4つのスライドブロック51がネジ止め等で取り付けられている(図1も参照)。
【0124】
[作用]
駆動機構4は、型開している固定成形型1及び可動成形型2の間に加熱部3及び保護フレーム31を移動する。保護フレーム31の厚みは加熱部3よりも大きくなっている。また、保護フレーム31は、加熱部3とともにガイドレール13,13に沿って固定成形型1に対して進退することができる。このため、固定成形型1及び可動成形型2の間に移動する加熱部3と、固定成形型1及び可動成形型2との接触を確実に防止できる。その結果、固定成形型1、可動成形型2及びワークw1、w2との接触に起因する加熱部3の破損を防止できる。もし保護フレーム31が固定成形型1、可動成形型2、あるいはワークw1、w2と接触した場合、例えば、モータのトルクの変化などを検知して動作を停止することなどにより、加熱部3を確実に保護できる。なお、固定成形型1及び可動成形型2の間に移動する保護フレーム31が固定成形型1にも可動成形型2にも接触しないように、保護フレーム31を適宜設計することが好ましい。
【0125】
従来、IRヒータ等の加熱部を保護する機構は設けていなかった。このため、型閉動作において、加熱部と成形型との距離を意図的に大きくすることで、加熱部と成形型との接触を回避していた。しかし、この方法は、加熱部をワークに近づけることができなくなるため、加熱効率が低下するという問題があった。加熱時間の短縮やワークの加熱の溶着性に鑑みると、加熱部をワークにできる限り近づけた方が好ましい。
【0126】
これに対し、第5実施形態の中空容器製造装置100によれば、保護フレーム31を用いるため、固定成形型1及び可動成形型2と加熱部3とが接触せず、かつ、加熱部3をワークw1,w2に容易に近づけることができる。よって、加熱時間を短縮できるとともに、ワークの加熱効率を向上させることができる。さらに、固定成形型1と可動成形型2を近付けられるため、加熱部3が退避した後、型閉までの時間を短縮できる。これにより、ワークの温度低下を防止できるので、溶着部の品質向上も期待できる。
【0127】
また、第5実施形態の中空容器製造装置100によれば、保護フレーム31の前後部分は、4つのスライドブロック51が取り付けられている。このため、保護フレーム31がガイドレール13,13上を進退するため、加熱部3が振動するのを防ぐことができる。加熱部3の振動は、高さ方向の位置合わせが困難になるだけでなく、加熱部3の耐久性を低下させ、加熱部3の寿命を短くする可能性がある。しかし、第5実施形態の中空容器製造装置100によれば、加熱部3の振動がほぼ無いため、高さ方向の位置合わせが容易になるとともに、加熱部3の耐久性の低下を抑制でき、加熱部3の寿命を長くすることができる。
【0128】
[変形例]
(a):第1実施形態において、駆動機構4の高さ位置を、ガイドレール13,13の高さ位置と同じにするように構成してもよい。具体的には、ガイドレール13,13間に駆動機構4を配置し、ガイドロッド49,49の軸方向寸法を短くしてもよい。また、駆動機構4が備えるガイドロッド49は1本でもよい。
(b):第1実施形態において、加熱部3は、非接触式に限らず、接触式でもよい。接触式の場合、例えば、板状を呈してもよい。
(c):第1実施形態において、ガイドレール13,13の一部が可動成形型2に設けられた構成であってもよい。つまり、ガイドレール13,13の一部が、固定成形型1に対向する可動成形型の対向面に設けられていてもよい。
(d):第1~第5実施形態において、固定成形型1及び可動成形型2は、上下可動式の成形型に限らず、水平方向可動式の成形型であってもよい。つまり、加熱部3の進退方向が上下方向(天地方向)であってもよい。また、前記した実施形態では、一次成形と二次成形とを別の成形型で成形する場合を例示し、本発明を二次成形用の成形型として用いることについて説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、一次成形と二次成形とを両方行うことができる成形型に対しても適用することができる。
【0129】
(e):第2実施形態の保持機構16に対してインターロック機構を導入してもよい。つまり、保持機構16の部分コア161がシリンダ162によって所定位置に移動するまでは、次の動作に進まないように制御してもよい。
(f):第2実施形態では、図6に示す保持機構17において、押圧部171の先端を半球状としたが、押圧部171の先端を鋸刃形状としてもよい。この場合、鋸刃の向きを、ワークw1,w2をそれぞれキャビティ11,21に設置する向きと同じにすることで、ワークw1,w2の設置を円滑にできる。また、鋸刃形状とすることで、ワークw1,w2を確実に保持することができる。
【0130】
(g):第2実施形態の保持機構17において、付勢手段172がワークw1の周壁部w12に向けて外側から付勢する構成を説明した。しかし、周壁部w12に限らず、例えば、フランジ部w13に向けて外側から付勢する構成でもよい。より一般的には、ワークw1の側面に向けて外側から付勢する構成でもよい。
(h):第2実施形態の保持機構16,17の双方を組み合わせて用いてもよい。
(i):第2実施形態において、加熱部3は、非接触式に限らず、接触式でもよい。接触式の場合、例えば、板状を呈してもよい。
(j):第2実施形態の保持機構16,17は、フランジ部を備えていないワークw1,w2を保持することができる。つまり、保持機構16,17は、底部と当該底部から立ち上がる周壁部とを少なくとも備えたワークw1,w2の一部を固定成形型1及び可動成形型2にそれぞれ押え付けることができる。
(k):第2実施形態の保持機構16,17は、成形型の種類によらず、成形型のキャビティに設置されている(若しくはキャビティにある)ワークw1,w2を成形型に押え付けることができる。つまり、第2実施形態のように、1次成形によって成形されたワークw1,w2を一旦取り出し、2次成形用の固定成形型1及び可動成形型2のキャビティ11,21にそれぞれ設置した後、ワークw1,w2の一部を固定成形型1及び可動成形型2にそれぞれ押え付ける保持機構16,17であってもよい。また、1次成形によって成形されたワークを取り出すことなく、2次成形も可能な成形型に対しても、当該成形型のキャビティにあるワークを押え付ける保持機構16,17であってもよい。
【0131】
(l):第3実施形態の加熱部3は、板状を呈していなくてもよい。例えば、加熱部3は、3次元曲面形状を呈していてもよい。
(m):第4実施形態のセンタリング機構60,70,80は、加熱部3の前後外側から加熱部3を支持する両持ち構造として説明したが、前後いずれかの外側から加熱部3を支持する片持ち構造でもよい。
(n):第4実施形態におけるばね式のセンタリング機構60において、第1ばね62のばね定数と第2ばね63のばね定数の比率を変えることで、可動成形型2の移動量に対する加熱部3の移動量を変更可能としてもよい。
【0132】
(o):第4実施形態のセンタリング機構70,80において、ガイドレール71を凸条部とし、凸条部にスライドブロックを摺動可能とし、スライドブロックを加熱部3に取り付けることで、加熱部3を移動させるようにしてもよい。
(p):第5実施形態の保護フレーム31は、上下方向の厚みが加熱部3と同等以下であってもよい。つまり、保護フレーム31は、少なくとも加熱部3の周囲を覆う形状であればよい。かかる形状であっても、加熱部3を載置した状態でガイドレール13,13上を進退させることができる。
(q):各実施形態で説明した発明特定事項は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0133】
100 中空容器製造装置
1 固定成形型
2 可動成形型
3 加熱部
4 駆動機構
11 キャビティ
12 溝部
13 ガイドレール(加熱部移動用ガイドレール)
14 ブラケット
15 周縁部
151 第1周縁部
152 第2周縁部
16 保持機構
161 部分コア
162 シリンダ
17 保持機構
171 押圧部
172 付勢手段
173 基部
18 第1連通孔
19 ガイドピン
21 キャビティ
22 穴
31 保護フレーム
311 保持部
32 第2連通孔
33 第3連通孔(加熱部連通孔)
41 カップリング
42 ボールねじ
43 ボールねじナット
44 ベアリングケース
45 プレート
46 ブラケット
47 ガイドレール
48 スライドブロック
49 ガイドロッド
50 プレート
51 スライドブロック
52 駆動用ステー
521 端子台
60 センタリング機構
61 中間板
62 第1ばね
63 第2ばね
64 軸部
65 軸下端部
66 軸上端部
67 スペーサ
70 センタリング機構
71 ガイドレール(センタリング用ガイドレール)
72 ガイドプレート
73 連結ブロック
74 ラック
75 ギヤ
76 ギヤボックス
80 センタリング機構
81 長リンク(第1リンク)
82 短リンク(第2リンク)
811,812,821 ピン
w1,w2 ワーク
w11 底部
w12 周壁部
w13 フランジ部
w131 第1フランジ部
w132 第2フランジ部
w14,w24 溶着部
M モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21