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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】モータ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241126BHJP
   H02M 3/00 20060101ALI20241126BHJP
   H02P 5/00 20160101ALI20241126BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H02M7/48 M
H02M3/00 C
H02P5/00
H02P27/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023508957
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2022010163
(87)【国際公開番号】W WO2022202304
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021047074
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】松平 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】坂井 美則
(72)【発明者】
【氏名】工藤 修司
(72)【発明者】
【氏名】田辺 義清
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊祐
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-154642(JP,A)
【文献】特開2018-129910(JP,A)
【文献】特開2014-124090(JP,A)
【文献】特開平08-205531(JP,A)
【文献】特開2021-027646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 3/00
H02P 27/08
H02P 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源を用いて平滑コンデンサを充電し、該平滑コンデンサを用いてモータの駆動を制御するモータ制御装置であって、
前記直流電源の出力電圧を、前記平滑コンデンサへの突入電流を制限しながら昇圧又は降圧して、前記平滑コンデンサを充電するDC/DCコンバータと、
前記DC/DCコンバータの出力が発生しているか否かをモニタし、モニタ信号を出力するモニタ回路と、
前記DC/DCコンバータの動作を開始又は維持するON信号又は動作を停止するOFF信号を出力すると共に、前記モニタ信号が入力される制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ON信号を出力してから所定時間を経過しても前記モニタ信号前記DC/DCコンバータの出力が発生していることを示していない場合には、前記DC/DCコンバータに前記OFF信号を出力する
モータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置において、
入力側が前記平滑コンデンサに接続され、出力側が前記モータに接続されて該モータを駆動するインバータと、
該インバータの作動又は停止を制御するインバータ制御部と、
を有するサーボアンプを備える、
モータ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記制御部と前記サーボアンプとが交信可能に構成され、
前記制御部は、
前記モニタ信号により前記DC/DCコンバータの異常を検出した場合には、前記DC/DCコンバータに前記OFF信号を出力すると共に、前記サーボアンプを通じて前記インバータの作動を停止させる
モータ制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記制御部と前記サーボアンプとが交信可能に構成され、
前記制御部は、
前記サーボアンプに前記インバータの作動又は停止を指令する指令信号を送出したときに、前記サーボアンプから前記指令信号に応じた応答信号を受信しなかった場合には、前記DC/DCコンバータに前記OFF信号を出力する
モータ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流電源を用いて平滑コンデンサを充電し、該平滑コンデンサを用いてモータの駆動を制御するモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、WO2011/161925A1の図1には、直流電源(電源11とDC/DCコンバータ18)と、3相モータ14を駆動するインバータ19との間に、電力部品からなる接続回路30が設けられた電気自動車用電力供給装置が開示されている。
【0003】
前記接続回路30は、WO2011/161925A1の図2に示すように、並列接続された第1スイッチ31及び突入防止用抵抗器33に第2スイッチ32が直列に接続された電力部品から構成される電力回路である。
【0004】
前記接続回路30は、前記インバータ19に前記DC/DCコンバータ18の出力の直流高電圧を印加する場合には、第1スイッチ31が開状態に接続され、第2スイッチ32が閉状態に接続される。このように接続されることで、インバータ19の入力側へ流れ込む電流が前記突入防止用抵抗器33により制限されて、過大な突入電流がインバータ19に流れ込むことが防止される。
【発明の概要】
【0005】
ところで、一般に、直流電源の電圧が直流300[V]程度以上の高電圧になると、各々が、高耐圧で大電力用の大型の電力部品が必要となり、広いスペースの実装エリアを確保する必要がある。
【0006】
大型の電力部品は、突入防止用抵抗器(プリチャージ抵抗器)、該プリチャージ抵抗器に直列に接続される電磁接触器、及び前記プリチャージ抵抗器と電磁接触器の直列回路に並列に接続される電磁開閉器等である。
【0007】
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであって、プリチャージ抵抗器、電磁接触器及び電磁開閉器を含む電力部品に代替可能で且つ小さなスペースの実装エリアへの配設を可能とするDC/DCコンバータを備えるモータ制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
この発明の一態様に係るモータ制御装置は、直流電源を用いて平滑コンデンサを充電し、該平滑コンデンサを用いてモータの駆動を制御するモータ制御装置であって、前記直流電源の出力電圧を、前記平滑コンデンサへの突入電流を制限しながら昇圧又は降圧して、前記平滑コンデンサを充電するDC/DCコンバータと、前記DC/DCコンバータの出力が発生しているか否かをモニタし、モニタ信号を出力するモニタ回路と、前記DC/DCコンバータの動作を開始又は維持するON信号又は動作を停止するOFF信号を出力すると共に、前記モニタ信号が入力される制御部と、を備え、前記制御部は、前記モニタ信号により前記DC/DCコンバータの異常を検出した場合には、前記DC/DCコンバータに前記OFF信号を出力する。
【0009】
この発明によれば、プリチャージ抵抗器、電磁接触器及び電磁開閉器を含む電力部品を、DC/DCコンバータと、モニタ回路と、制御部とを含む電力・電子部品(電力・電子回路)で代替可能であるので実装エリアのスペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るモータ制御装置が組み込まれたサーボ制御システムの構成の一例を示す回路ブロック図である。
図2図2は、実施形態に係るモータ制御装置の動作説明に供されるタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明に係るモータ制御装置について実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0012】
[構成]
図1は、実施形態に係るモータ制御装置10が組み込まれたサーボ制御システム12の構成の一例を示す回路ブロック図である。
【0013】
サーボ制御システム12は、基本的には、モータ制御装置10と、モータ制御装置10の入力側に接続される直流電源16と、モータ制御装置10の出力側に接続されるサーボモータ(以下、モータという)14と、を備える。
【0014】
モータ14は、例えば、図示しない6軸ロボットの各軸をそれぞれ回転駆動する6個の3相誘導モータ等から構成される。
【0015】
直流電源16は、この実施形態では、600[V]の直流電圧(出力電圧)Vdcを出力する。
【0016】
モータ制御装置10は、基本的には、制御部20と、DC/DCコンバータユニット22と、サーボアンプ24とから構成される。
【0017】
DC/DCコンバータユニット22は、DC/DCコンバータ30とPFM制御部28とモニタ回路32とから構成される。
【0018】
制御部20は、PFM制御部28にON(動作開始又は動作維持)・OFF(動作停止)信号(ON・OFF信号)を出力する。
【0019】
DC/DCコンバータ30は、スイッチングトランジスタ、スイッチングトランス等を有する、例えば、絶縁型又は非絶縁型で構成され、昇圧型としてもよく、降圧型としてもよい。
【0020】
PFM制御部28は、制御部20からON指令であるON信号が供給されたとき、DC/DCコンバータ30で検出されるフィードバック信号(FB信号)を参照しながら、前記スイッチングトランジスタを駆動するPFM信号の周波数を調整する。
【0021】
DC/DCコンバータ30は、この実施形態では、600[V]の直流電圧Vdcを300[V]の直流電圧(出力電圧)Voutに降圧する。
【0022】
モニタ回路32は、出力電圧Voutのモニタ信号Smを制御部20に供給する。モニタ回路32は、電圧センサでもよいが、この実施形態では、ヒステリシスコンパレータを採用している。
【0023】
この実施形態において、モニタ回路32は、出力電圧Voutが、基準電圧Vref(図2の(d)参照)を上回っているときにはハイレベルのモニタ信号Sm(図2の(e)参照)を生成し、基準電圧Vrefを下回っているときにはローレベルのモニタ信号Sm(図2の(e)参照)を生成して制御部20に出力する。
【0024】
この実施形態において、制御部20からPFM制御部28に供給されるON・OFF信号(図2の(b)参照)は、PFM制御部28を能動状態とするハイレベルのON信号と、PFM制御部28を遮断状態とするローレベルのOFF信号とから構成される。
【0025】
サーボアンプ24は、平滑コンデンサ46と、残留電荷除去回路80と、モータ14を駆動するインバータ48と、インバータ48を駆動するドライバ50、52と、インバータ制御部54と、から構成される。
【0026】
残留電荷除去回路80は、サーボアンプ24の動作終了時に平滑コンデンサ46の残留電荷を除去する。
【0027】
インバータ制御部54は、ドライバ50、52にPWM信号のインバータ駆動信号Sdを供給する。
【0028】
この場合、サーボアンプ24の入力側には、DC/DCコンバータユニット22の出力電圧Voutが印加され、サーボアンプ24の出力側には、モータ14が接続されている。
【0029】
インバータ48は、それぞれ、例えば、6個のIGBT等の電力用のトランジスタがフルブリッジ型に接続された構成とされる。
【0030】
インバータ制御部54からのPWM信号であるインバータ駆動信号Sdに基づき、ドライバ50は、インバータ48を構成する前記フルブリッジ型接続のトランジスタのハイサイド側をON・OFF駆動し、ドライバ52は、前記フルブリッジ型接続のトランジスタのローサイド側をON・OFF駆動する。
【0031】
前記した制御部20は、さらに、いわゆるセーフトルクオフ信号として、ドライバ50、52の動作の有効、無効を指示するドライバ有効信号Se(図3の(f)参照)を出力し、サーボアンプ24のドライバ50、52の一方の入力端子に供給する。
【0032】
ドライバ有効信号Seは、ローレベルのOFF状態でドライバ50、52の無効を指示し、ハイレベルのON状態でドライバ50、52の有効を指示する。
【0033】
ドライバ有効信号SeがハイレベルのON状態になっているとき、ドライバ50、52はスタンバイ状態とされる。スタンバイ状態のドライバ50、52は、インバータ制御部54から他方の入力端子に供給されるインバータ駆動信号Sdにより能動状態とされ、インバータ48を制御する。
【0034】
この場合、インバータ48を介してモータ14の回転が制御される。すなわち、モータ14は、インバータ48から供給される3相交流電流により回転制御され、モータ14に軸支される図示しないロボットの軸が回転制御される。
【0035】
一方、ドライバ有効信号SeがローレベルのOFF状態になっているとき、ドライバ50、52は遮断状態とされて動作が停止され、インバータ48が停止状態にされるので、モータ14は回転しない。
【0036】
この場合、たとえ、インバータ制御部54からドライバ50、52にインバータ駆動信号Sdが供給されていたとしても、ローレベルのOFF状態のドライバ有効信号Seがドライバ50、52に供給されたときには、ドライバ50、52の動作が停止されて、インバータ48の動作が停止される。すなわち、モータ14の回転が止められる。
【0037】
換言すれば、ドライバ50、52の2つの入力端子は、ドライバ50、52を、2入力のAND回路的な動作を可能にしている。
【0038】
このように、制御部20から送出されるドライバ有効信号Seは、サーボアンプ24に対してインバータ48の作動又は停止を指令する指令信号として機能する。
【0039】
さらに、インバータ制御部54(サーボアンプ24)は、制御部20からハイレベルのON状態のドライバ有効信号Seを受信したとき、及びON状態のドライバ有効信号Seの受信を継続しているときには、ON状態のドライバ有効信号Seに対応するハイレベルのドライバフィードバック信号Sefbを応答信号として制御部20に返送する。
【0040】
また、インバータ制御部54(サーボアンプ24)は、制御部20からローレベルのOFF状態のドライバ有効信号Seを受信したとき、及びOFF状態のドライバ有効信号Seの受信を継続しているときには、OFF状態のドライバ有効信号Seに対応するローレベルのドライバフィードバック信号Sefbを応答信号として制御部20に返送する。
【0041】
このように、制御部20とインバータ制御部54(サーボアンプ24)は、ドライバ有効信号Se(指令信号)とドライバフィードバック信号Sefb(応答信号)により交信可能に構成されている。
【0042】
サーボアンプ24の残留電荷除去回路80は、インバータ48を通じてのモータ14の駆動が停止または終了したとき、平滑コンデンサ46に蓄積されている電荷を、内部の放電抵抗器を通じて放電させ、平滑コンデンサ46の端子間電圧であるコンデンサ電圧Vcを一定電圧以下にする。
【0043】
制御部20、PFM制御部28及びインバータ制御部54は、それぞれ1以上のプロセッサ(CPU)と、メモリ(ROM、RAM)と、タイマと、入出力インタフェースとを備えるマイクロコンピュータにより構成される。CPUがメモリに記録されたソフトウエア(制御プログラム)を実行することで各種機能部として動作する。これらの機能はハードウエアにより実現することもできる。
【0044】
[動作]
基本的には以上のように構成される、サーボ制御システム12に組み込まれたモータ制御装置10の動作について、図2に示すタイムチャートに基づき、以下詳細に説明する。
【0045】
図2の(a)に示すように、モータ14の駆動開始時(時点t4)の所定時間前の時点t0にて、直流電源16から直流電圧Vdc(Vdc=600[V])が、入力電圧VinとしてDC/DCコンバータユニット22のDC/DCコンバータ30の1次側に印加される。
【0046】
図2の(b)に示すように、時点t0から所定時間経過後の時点t1にて、制御部20からPFM制御部28に動作開始を指令するローレベルからハイレベルに遷移するON信号が供給される。
【0047】
図2の(c)に示すように、ON信号が供給された時点t1から時点t3までの間、PFM制御部28は、周波数が徐々に高くなるPFM信号をDC/DCコンバータ30に出力する。
【0048】
図2の(d)に示すように、前記周波数が徐々に高くなるPFM信号に対応して、DC/DCコンバータ30の2次側には、時点t1から、平滑コンデンサ46へコンデンサ電流を供給するための出力電圧Vout(Vc)が発生する。この出力電圧Vout(Vc)は、時点t1から、平滑コンデンサ46への突入電流を制限しながら平滑コンデンサ46を徐々に充電し、平滑コンデンサ46の端子間電圧であるコンデンサ電圧Vcを徐々に高くする。
【0049】
図2の(d)、図2の(e)に示すように、モニタ回路32は、出力電圧Voutと基準電圧Vrefとを連続的に比較し、比較電圧である出力電圧Voutが基準電圧Vrefを上回った値になっている間、DC/DCコンバータ30の出力電圧Voutが正常に出力されているとみなすハイレベルのモニタ信号Smを制御部20に出力する。
【0050】
すなわち、図2の(e)に示すように、モニタ回路32から出力されるモニタ信号Smは、時点t2にて、ローレベルからハイレベルに遷移する。
【0051】
図2の(d)に示すように、出力電圧Voutが目標の直流300[V]の電圧(目標電圧)になった時点t3にて、PFM制御部28は、PFM信号の周波数を、DC/DCコンバータ30からのFB信号に応じて出力電圧VoutがVout=300[V]を維持するように微調整する。
【0052】
時点t3にて、PFM制御部28は、出力電圧Voutが目標電圧になったことを制御部20に通知する。なお、モニタ回路32を電圧センサで構成した場合には、制御部20は、モニタ回路32のモニタ信号Smの電圧値により出力電圧Voutが目標電圧になったことを認識する。
【0053】
制御部20は、前記PFM制御部28からの前記通知を受けた時点t3で、サーボアンプ24のインバータ制御部54の動作を可能とするために、図2の(f)に示すように、ローレベルのOFF状態からハイレベルのON状態に遷移するドライバ有効信号Seをサーボアンプ24のインバータ制御部54とドライバ50、52に供給する。
【0054】
時点t3にてドライバ50、52は、OFF状態からスタンバイ状態に遷移する。
【0055】
図2の(g)に示すように、時点t3から若干のタイムラグ後の時点t4以降、サーボアンプ24のインバータ制御部54は、予め定められたシーケンスに沿うPWM信号であるインバータ駆動信号Sdをドライバ50、52に供給し、ドライバ50、52を能動状態としてインバータ48を駆動し、インバータ48を通じてモータ14を駆動制御する。
【0056】
次いで、図2の(f)に示すように、時点t5で、制御部20は、ハイレベルのON状態のドライバ有効信号SeをローレベルのOFF状態に遷移させてドライバ50、52及びインバータ制御部54に供給する。
【0057】
その時点t5において、ローレベルのOFF状態のドライバ有効信号Seにより瞬時にドライバ50、52は遮断状態とされ、インバータ48の駆動が停止されて、モータ14が停止する。
【0058】
図2の(g)、(h)に示すように、時点t5から若干のタイムラグ後の時点t6にて、インバータ制御部54は、PWM信号であるインバータ駆動信号Sdのドライバ50、52への供給を停止すると共に、ローレベルのドライバ有効信号Seに対応する応答信号として、ローレベルのドライバフィードバック信号Sefbを制御部20に返送する。
【0059】
次いで、図2の(b)に示すように、制御部20は、時点t7にて、ON・OFF信号をハイレベルのON信号からローレベルのOFF信号に遷移させて、PFM制御部28を遮断状態にする。
【0060】
これによりDC/DCコンバータ30のスイッチング動作による降圧動作が停止される。
【0061】
時点t7にて、能動状態とされた残留電荷除去回路80は、平滑コンデンサ46に蓄積されている電荷を、図示しない放電抵抗器を介して所定の時定数で消滅(放電)させる。
【0062】
図2の(d)、図2の(e)に示すように、放電中の時点t8にて、コンデンサ電圧Vc(DC/DCコンバータ30の出力電圧Vout)が基準電圧Vrefを下回る電圧になるとモニタ回路32のモニタ信号Smがハイレベルからローレベルに遷移し、制御部20により検出される。
【0063】
その後、時点t9にて、直流電源16からの直流電圧Vdcの印加が停止される。これにより、DC/DCコンバータユニット22の入力電圧Vinは、0Vになり、モータ制御装置10を含むサーボ制御システム12の動作が終了する。なお、制御部20からのモータ14の動力遮断指令として、DC/DCコンバータユニット22のOFF指令であるOFF信号の発出時点t7と、ドライバ有効信号SeのローレベルのOFF指令(OFF状態)の発出時点t5を同時としてもよい。
【0064】
[実施形態の作用効果の説明]
制御部20は、時点t1にてON信号を供給後に、所定時間{(t2-t1)+Δt:Δtは冗長分}を経過しても、モニタ信号Smがハイレベルにならなかった場合には、DC/DCコンバータ30が異常状態になったとして、PFM制御部28にOFF信号を出力し、PFM制御部28によるPFM信号の生成を停止させ、DC/DCコンバータ30(DC/DCコンバータユニット22)の動作を停止させる。
【0065】
また、制御部20は、時点t4~時点t5の間で、DC/DCコンバータ30の故障等を原因としてモニタ信号Smがハイレベルからローレベルに遷移した場合には、DC/DCコンバータ30が異常状態になったとして、PFM制御部28にOFF信号を出力し、PFM制御部28によるPFM信号の生成を停止させ、DC/DCコンバータ30(DC/DCコンバータユニット22)の動作を停止させる。
【0066】
この場合、制御部20は、DC/DCコンバータ30の故障等を原因としてモニタ信号Smがハイレベルからローレベルに遷移したことを検出した場合には、DC/DCコンバータ30にOFF信号を出力すると同時に、ドライバ有効信号SeをローレベルのOFF状態に遷移させることで、サーボアンプ24のドライバ50、52を遮断状態にし、インバータ48の駆動を直ちに停止し、モータ14の回転を停止させる。
【0067】
また、制御部20は、時点t3にてサーボアンプ24のインバータ制御部54にOFF状態からON状態に遷移するドライバ有効信号Seを送出したにも拘わらず、所定時間内に、インバータ制御部54から返送予定のローレベルからハイレベルに遷移するドライバフィードバック信号Sefbを検出できなかった場合にも、OFF信号をPFM制御部28に供給し、DC/DCコンバータ30の動作を停止させる。
【0068】
さらに、制御部20は、時点t5にてサーボアンプ24のインバータ制御部54にON状態からOFF状態に遷移するドライバ有効信号Seを送出したにも拘わらず、所定時間内に、インバータ制御部54から返送予定のハイレベルからローレベルに遷移するドライバフィードバック信号Sefbを検出できなかった場合にも、OFF信号をPFM制御部28に供給し、DC/DCコンバータ30の動作を停止させる。
【0069】
このようにしてこの実施形態に係るモータ制御装置10では、従来技術に比較して、プリチャージ抵抗器と電磁接触器と電磁開閉器を、DC/DCコンバータユニット22とこれを制御する制御部20とにより代替可能であり、実装エリアのスペースを小さくすることができる。
【0070】
さらに、DC/DCコンバータユニット22またはサーボアンプ24(インバータ制御部54)に故障が発生した場合でも、制御部20によりDC/DCコンバータ30及びモータ14の回転を停止させるので、モータ14により駆動されるロボット(不図示)を停止させることができる。
【0071】
[実施形態から把握し得る発明]
ここで、上記実施形態から把握し得る発明について、以下に記載する。なお、理解の便宜のために構成要素の一部には上記実施形態で用いた符号を付けているが、該構成要素は、その符号を付けたものに限定されない。
【0072】
この発明に係るモータ制御装置10は、直流電源16を用いて平滑コンデンサ46を充電し、該平滑コンデンサを用いてモータ14の駆動を制御するモータ制御装置10であって、前記直流電源の出力電圧Vdcを、前記平滑コンデンサへの突入電流を制限しながら昇圧又は降圧して、前記平滑コンデンサを充電するDC/DCコンバータ30と、該DC/DCコンバータの出力が発生しているか否かをモニタし、モニタ信号Smを出力するモニタ回路32と、前記DC/DCコンバータの動作を開始又は維持するON信号又は動作を停止するOFF信号を出力すると共に、前記モニタ信号が入力される制御部20と、を備え、該制御部は、前記モニタ信号により前記DC/DCコンバータの異常を検出した場合には、前記DC/DCコンバータに前記OFF信号を出力する。
【0073】
この構成により、プリチャージ抵抗器、電磁接触器及び電磁開閉器を含む電力部品を、DC/DCコンバータと、モニタ回路と、制御部とを含む電力・電子部品(電力・電子回路)で代替可能であるので実装エリアのスペースを小さくすることができる。
【0074】
また、モータ制御装置においては、入力側が前記平滑コンデンサに接続され、出力側が前記モータに接続されて該モータを駆動するインバータ48と、該インバータの作動又は停止を制御するインバータ制御部54と、を有するサーボアンプ24を備える。
【0075】
これにより、DC/DCコンバータと、インバータからモータに交流電力を供給するサーボアンプと、を含むモータ制御装置を小型化することができる。
【0076】
さらに、モータ制御装置においては、前記制御部と前記サーボアンプとが交信可能に構成され、前記制御部は、前記モニタ信号により前記DC/DCコンバータの異常を検出した場合には、前記DC/DCコンバータに前記OFF信号を出力すると共に、前記サーボアンプを通じて前記インバータの作動を停止させるようにしてもよい。
【0077】
このように、制御部は、モニタ信号によりDC/DCコンバータの異常を検出した場合には、DC/DCコンバータにOFF信号を出力すると共に、サーボアンプを通じてインバータを停止させるようにしている。
【0078】
これにより、DC/DCコンバータの停止動作とインバータの停止動作とを直列的に実施できる。このため、モータの保護に対する安全性を二重に確保することができる。つまり、DC/DCコンバータとサーボアンプのいずれか一方が故障した場合でも、モータ制御装置(制御部)によりモータの駆動を停止させることができる。
【0079】
さらにまた、モータ制御装置においては、前記制御部と前記サーボアンプとが交信可能に構成され、前記制御部は、前記サーボアンプに前記インバータの作動又は停止を指令する指令信号を送出したときに、前記サーボアンプから前記指令信号に応じた応答信号を受信しなかった場合には、前記DC/DCコンバータに前記OFF信号を出力するようにしてもよい。
【0080】
これにより、制御部を、サーボアンプの動作を応答信号によりモニタする、サーボアンプの上位制御部として動作させることができる。
【0081】
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得る。
図1
図2