(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】アーム状構造体およびロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 18/00 20060101AFI20241126BHJP
F16B 7/20 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B25J18/00
F16B7/20 A
(21)【出願番号】P 2023511161
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2022014264
(87)【国際公開番号】W WO2022210329
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2021058980
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021074937
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】中山 一隆
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-015127(JP,A)
【文献】特開2010-115732(JP,A)
【文献】米国特許第02712950(US,A)
【文献】特開2021-091151(JP,A)
【文献】特開2016-043575(JP,A)
【文献】特開2020-082311(JP,A)
【文献】特開2020-023045(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1805304(KR,B1)
【文献】米国特許第05242721(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00- 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状の本体部と、
該本体部の少なくとも一方の端部に接合され、他部品に固定可能な取付インタフェース部とを備え、
前記本体部および前記取付インタフェース部の少なくとも一部が、連続の強化繊維を含む樹脂により構成され、
前記本体部と前記取付インタフェース部とは、一方に設けられた凹部と他方に設けられた凸部との嵌合により、前記本体部の長手軸方向および該長手軸回りの相対移動を係止された状態に接合され
、
前記凹部の周辺および前記凸部の少なくとも一方が前記強化繊維を含む樹脂により構成され、
前記強化繊維の少なくとも一部の繊維の方向が、前記凹部および前記凸部のせん断方向に対し垂直な方向に配向されているアーム状構造体。
【請求項2】
前記取付インタフェース部の少なくとも一部が樹脂により構成されている請求項
1に記載のアーム状構造体。
【請求項3】
前記本体部の少なくとも一部が樹脂により構成されている請求項1
または請求項2に記載のアーム状構造体。
【請求項4】
前記本体部をインサート部品として前記取付インタフェース部をインサート成形した請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のアーム状構造体。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のアーム状構造体を少なくとも1つ備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アーム状構造体およびロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットのアームとして、軽量化を図りながら強度を保持するために、樹脂製の長尺のアーム本体の両端に取付インタフェース部を接着剤により接合した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アーム本体と取付インタフェース部とを接着剤によって接合するだけでは、産業用ロボットのアームのように、強度や剛性が要求される用途に対する十分な接合強度を得ることが難しい場合がある。したがって、簡易な方法で、高い接合強度で接合され、強度や剛性が要求される用途にも適用できるアーム状構造体が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、パイプ状の本体部と、該本体部の少なくとも一方の端部に接合され、他部品に固定可能な取付インタフェース部とを備え、前記本体部および前記取付インタフェース部の少なくとも一部が、連続の強化繊維を含む樹脂により構成され、前記本体部と前記取付インタフェース部とは、一方に設けられた凹部と他方に設けられた凸部との嵌合により、前記本体部の長手軸方向および該長手軸回りの相対移動を係止された状態に接合されているアーム状構造体である。
ここでの連続の強化繊維の定義は、一般的に強化繊維の長さが10mm以上であり、射出成形法では成形が困難な強化繊維のことと定義する。射出成形用の樹脂ペレットに含まれる強化繊維の長さは、一般的に短繊維と言われるもので1mm前後、長繊維と言われるもので2mm前後と言われている。10mm以上の長さになると、射出成形機のスクリューに強化繊維が絡まってしまい、射出成形機を破損させる要因となってしまう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態に係るアーム状構造体を示す正面図である。
【
図2】
図1のアーム状構造体を示す縦断面図である。
【
図3】
図1のアーム状構造体の取付インタフェース部を示す部分的に拡大した縦断面図である。
【
図4】
図1のアーム状構造体の本体部および取付インタフェース部を構成する強化繊維を示す斜視図である。
【
図5】
図1のアーム状構造体を製造するための金型の一例を示す縦断面図である。
【
図6】
図1のアーム状構造体の製造過程においてプリフォームに樹脂注入口を押し込んでいる状態を示す拡大縦断面図である。
【
図7】
図1のアーム状構造体の製造過程においてプリフォームから樹脂注入口を離した状態を示す拡大縦断面図である。
【
図8】
図1のアーム状構造体の第1の変形例を示す取付インタフェース部の部分的な縦断面図である。
【
図9】
図1のアーム状構造体の第2の変形例を示す取付インタフェース部の部分的な縦断面図である。
【
図10】
図1のアーム状構造体の第3の変形例を示す取付インタフェース部の部分的な縦断面図である。
【
図11】
図1のアーム状構造体の第4の変形例を示す取付インタフェース部の部分的な縦断面図である。
【
図12】
図1のアーム状構造体の第5の変形例を示す取付インタフェース部の部分的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の一実施形態に係るアーム状構造体1およびロボットについて、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るアーム状構造体1は、例えば、ロボットアームである。
本実施形態に係るロボットは、アーム状構造体1を少なくとも1つ備えている。
本実施形態に係るアーム状構造体1は、
図1および
図2に示されるように、内孔2aを有する円筒のパイプ状の本体部2と、本体部2の長手軸方向の両方の端部に接合された一対の取付インタフェース部3とを備えている。
【0008】
本体部2は、例えば、少なくとも一部が、連続の強化繊維30を含む炭素繊維強化樹脂(CFRP)により構成されている。
取付インタフェース部3も、少なくとも一部が、連続の強化繊維30を含む炭素繊維強化樹脂により構成され、本体部2の内孔2aに連絡する中空部4を有している。
【0009】
また、取付インタフェース部3には、ロボットを構成する他部品、例えば、減速機の出力軸に固定するための円環状のフランジ部5が設けられている。一対の取付インタフェース部3のフランジ部5は、本体部2の長手軸に平行な同一平面上に配置されるフランジ面5aを備えている。
【0010】
フランジ部5は、中央に中空部4を開口させる中央孔6を有し、中央孔6の周囲に、周方向に間隔をあけて配置された複数の貫通孔7を備えている。一方のフランジ部5の中央孔6を経由してケーブル等の線条体を本体部2の内孔2aに通し、他方のフランジ部5の中央孔6から取り出す経路に沿って線条体を配線することができる。フランジ部5はアームの外観向上のために中空部4内に設けられ、開口11は内部に工具や人の手が入るよう、比較的大きなサイズとなっている。
【0011】
また、取付インタフェース部3は、フランジ部5に埋め込まれた平板状の金属プレート41を備えている。
金属プレート41は、
図1から
図3に示されるように、中央孔42を有するリング板状に形成されている。金属プレート41には、板厚方向に貫通する複数の貫通孔43が、周方向に間隔をあけて設けられている。
【0012】
金属プレート41は、板厚方向の一面を取付面41aとして、取付面41a全体を露出させている。また、金属プレート41の板厚方向の他の面は、幾つかの貫通孔43の周囲をフランジ部5の貫通孔7内に部分的に露出させた状態で、フランジ部5を構成する樹脂によって部分的に覆われている。貫通孔43の周囲に露出している金属プレート41の表面は、貫通孔43に挿入される取付ネジ(図示略)の座面として機能する。
【0013】
本体部2と一対の取付インタフェース部3とは、以下の構造により接合されている。
すなわち、本体部2は、
図2および
図3に示されるように、長手軸方向の両方の端部から所定距離だけ離れた位置に、径方向に貫通する貫通孔(凹部)8を備えている。貫通孔8は、円形の横断面形状を有し、各端部近傍に、周方向に間隔をあけて複数、例えば、4個ずつ設けられている。
【0014】
取付インタフェース部3には、本体部2の両方の端部の外周面を嵌合させる円筒状の嵌合部9と、嵌合部9の内面から径方向内方に突出し、本体部2の貫通孔8にぴったりと嵌合する相補的な形状の凸部10とが設けられている。
本体部2および取付インタフェース部3を構成する樹脂内の強化繊維30の配向方向は、
図4に示されるように、強化繊維30の少なくとも一部が貫通孔8および凸部10におけるせん断方向に対し垂直な方向に配向されている。具体的には、強化繊維30の少なくとも一部が、貫通孔8の内面に沿う中心軸方向および凸部10の外周面に沿う中心軸方向に配向されていることが好ましい。
【0015】
このように構成された本実施形態に係るアーム状構造体1の製造方法について以下に説明する。
本実施形態に係るアーム状構造体1は、
図5に示される金型100を用いて、樹脂をRTM(レジン・トランスファー・モールディング)法を用いて成形することにより製造される。
【0016】
金型100は上下方向に開閉される上型110および下型120と、鉛直方向に直線移動可能に支持された円柱状の第1可動型125と、第1可動型125を貫通して水平方向に直線移動可能に支持された円柱状の第2可動型130とを備えている。上型110は、樹脂を注入するための貫通孔111が設けられた樹脂注入部150を備えている。第2可動型130の先端部には、本体部2の内孔2aに隙間なく嵌合可能な嵌合凸部131が備えられている。
【0017】
本実施形態に係る製造方法は、まず、本体部2の両方の端部近傍に貫通孔8を形成する。また、金型100内部には、中間基材としてプリフォーム31が配置される。プリフォーム31は、連続の強化繊維30によって事前に成形された製品形状に予備賦形された状態のものである。
プリフォーム31の強化繊維30は、あらゆる方向に対して強い強度にするため、例えば、一方向のものを繊維の配向角度を45度ずつずらして配置して4層重ねてもよい。また、角度を小さく刻む程、より多くの方向に対して強くすることが可能となる。
【0018】
そして、
図5に示されるように、上型110と下型120とを閉鎖することにより間に形成される空間に、本体部2の一方の端部を水平方向一方向から挿入した状態に収容する。これとともに、第1可動型125の先端に金属プレート41を取り付けた状態で、鉛直上方から第1可動型125を挿入し、本体部2とは逆方向から水平方向に第2可動型130を挿入して、嵌合凸部131を本体部2の内孔2aに嵌合させる。
【0019】
これにより、上型110、下型120、第1可動型125、第2可動型130および本体部2の外面によって、取付インタフェース部3に相当するキャビティ140が形成される。
【0020】
次に、上型110の樹脂注入部150を金型100内部に移動させ、金型100内部に配置されているまだ柔らかいプリフォーム31に樹脂注入部150の先端面を突き当てる。そして、
図6に示されるように、樹脂注入部150をさらに金型100内部に移動させて貫通孔8内にプリフォーム31を押し込んで、プリフォーム31を変形させる。その後、
図7に示されるように、樹脂注入部150を金型100内部から少し引き上げて樹脂注入部150とプリフォーム31とを離間させ、樹脂注入部150に設けられた貫通孔111を介してキャビティ140内に溶融樹脂Pを射出することにより、本体部2の一方の端部に取付インタフェース部3を成形することができる。
【0021】
すなわち、本体部2をインサート部品として、取付インタフェース部3をインサート成形することにより、アーム状構造体1が製造される。
貫通孔111の位置は、
図5の位置に限るものではない。樹脂内の強化繊維30の配向を考慮して、最適な位置に配置すればよい。
また、金属プレート41は下型120に取り付けた状態で取付インタフェース部3を成形してもよい。
【0022】
この取付インタフェース部3の成形過程において、キャビティ140内に溶融樹脂Pが射出されていくと、本体部2の一端部を、貫通孔8を含む長手軸方向範囲にわたって取り囲む円筒状の嵌合部9が本体部2の外周面に密着する位置に形成される。これとともに、嵌合部9の溶融樹脂Pの一部が、貫通孔8に流入して嵌合部9の内面から径方向内方に延びていき、貫通孔8と相補的な形状を有する円柱状の凸部10が形成される。
【0023】
すなわち、本実施形態に係るアーム状構造体1は、溶融樹脂Pを射出する際に成形されていく凸部10を本体部2に形成された貫通孔8に嵌合させている。これにより、本体部2の両方の端部に接合される一対の取付インタフェース部3を、本体部2の軸方向および周方向の相対移動を規制、すなわち、本体部2の長手軸方向および長手軸回りの相対移動を係止した状態に、本体部2に固定することができる。
【0024】
つまり、本体部2と取付インタフェース部3とは、取付インタフェース部3が成形される際に形成される凸部10を本体部2の貫通孔(凹部)8に嵌合させることにより、本体部2の長手軸方向および長手軸回りの相対移動を係止した状態に接合される。
本体部2と取付インタフェース部3とを接着剤のみによって固定する場合と比較して、貫通孔8と凸部10との嵌合によって、せん断方向の接合強度を向上することができる。
【0025】
そして、本体部2および取付インタフェース部3を樹脂により一体的に成形しないので、金型100を比較的容易に構成することができる。特に、長尺の本体部2を金属製のパイプ状に構成したので、取付インタフェース部3の成形時に本体部2の全長にわたって中子を配置する必要がなく、容易に製造することができるという利点がある。
【0026】
また、本体部2の内孔2aに嵌合する嵌合凸部131を有する第2可動型130によって、本体部2の貫通孔8を内側から閉塞するので、溶融樹脂Pが本体部2内に漏れ出ることを防止することができる。
また、上下方向に開閉する上型110および下型120に対して移動する第1可動型125および第2可動型130を設けた。これにより、第1可動型125および第2可動型130の経路に位置する取付インタフェース部3に内側の中空部4に連通する作業用の開口11を形成することができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、取付インタフェース部3を、本体部2を構成する樹脂と同じ、炭素繊維強化樹脂により構成しているので、本体部2と取付インタフェース部3との樹脂どうしの融着により、接合強度を向上することができる。
そして、少なくとも一部の強化繊維30を、貫通孔8および凸部10のせん断方向に対し垂直な方向に配向させることにより、凸部10に本体部2の軸方向あるいは周方向に作用するせん断力に対する強度を大幅に向上することができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、取付インタフェース部3をRTM(レジン・トランスファー・モールディング)法で成形する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、オートクレーブを用いて、強化繊維30に樹脂が含侵されたプリプレグと呼ばれるシート状の中間材料を使用し、加熱、加圧、真空引きしながら樹脂を硬化させるオートクレーブ法により取付インタフェース部3を成形してもよい。
【0029】
また、上型110を使用せず下型120だけを使用し、上面はフィルムパックで覆い、圧力ではなく真空吸引の力を利用して樹脂を含侵させるVaRTM(バキューム・アシスト・レジン・トランスファー・モールディング)法を用いてもよい。
また、上型110および下型120が閉じることで、加圧しながらプリプレグやSMC(シート・モールディング・コンパウンド)基材を硬化させるプレス成形法を用いてもよい。プレス成形の一種であるSMC(シート・モールディング・コンパウンド)とは、シート状に重ねられたSMC基材を金型100内に配置してプレス機によって加圧流動させる成形方法であり、この成形方法を用いてもよい。
いずれの場合にも、成形により凸部10となる部分に、凸部10に加わるせん断方向に対し垂直な方向に配向されるよう、連続の強化繊維30を配置して成形すればよい。
【0030】
また、本実施形態においては、本体部2を炭素繊維強化樹脂により構成したが、これに限定されるものではない。本体部2の材料として、アルミニウム合金やマグネシウム合金等の金属を採用してもよい。もちろん、本体部2を、強化繊維30を含まない樹脂によって構成してもよい。また、取付インタフェース部3をアルミニウム合金やマグネシウム合金等の金属で構成し、金属インサートとして金型100にセットし、本体部2を炭素繊維樹脂で成形してもよい。
【0031】
また、本体部2に設ける貫通孔8として、横断面円形のものを例示したが、これに代えて、任意の横断面形状のものを採用してもよい。また、横断面形状の大きさも任意でよい。貫通孔8および凸部10の形状としては、応力集中を避けるために、角の立っていない形状であることが好ましい。
また、本体部2に設ける貫通孔8の数は1以上であればよい。本体部2に対し、凸部10あるいは凹部12がせん断破壊して、嵌合部9が抜けたり回ったりしないような十分な強度を確保できる数を設けることが望ましい。高い強度を確保するために、貫通孔8を複数とし、本体部2の周上に均等に配置してもよい。
【0032】
また、本実施形態においては、本体部2に設ける凹部を貫通孔8としたが、これに限定されるものではなく、
図8に示されるように、本体部2の外周面から径方向内方に延びる、貫通していない凹部12を採用してもよい。この構成により、第2可動型130によって貫通孔8を閉塞する必要がなく、金型100をさらに簡易な構成にすることができる。
【0033】
凹部12は、本体部2の外周面から径方向内方に凹んでいてもよいし、本体部2の内周面から径方向外方に凹んでいてもよい。内周面に凹部12が設けられる場合には、取付インタフェース部3の嵌合部9は、
図9に示されるように、本体部2の内周面に嵌合する円筒状に形成されればよい。
【0034】
また、凹部12に代えて、
図10に示されるように、本体部2の外周面または内周面に径方向に延びる凸部13を採用してもよい。この場合には、
図10に示されるように、取付インタフェース部3には、凸部13と相補的な形状を有し凸部13を収容する凹部14が形成される。
【0035】
また、取付インタフェース部3の嵌合部9として、
図11に示されるように、本体部2の内周面に嵌合する内側嵌合部15と外周面に嵌合する外側嵌合部16の両方を有する形状のものを採用してもよい。この場合には、本体部2の貫通孔8内に形成される凸部10が、内側嵌合部15と外側嵌合部16とを連結する柱状に形成される。これにより、取付インタフェース部3と本体部2とをより強固に接合することができる。
【0036】
また、
図12に示すように、本体部2や取付インタフェース部3とは異なる別の部材(金属や繊維強化樹脂など)20をインサートとして、本体部2と一緒に金型100にセットした後に、取付インタフェース部3を成形することにしてもよい。
また、図示しないが、本体部2の内側に金属や繊維強化樹脂製の貫通孔を備える補強部材を本体部2と一緒にインサートとした構造としてもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、本体部2の両方の端部に取付インタフェース部3を有するアーム状構造体1を例示したが、これに代えて、一端のみに取付インタフェース部3を有するものを採用してもよい。また、アーム状構造体1の長手軸に平行なフランジ部5を有する場合を例示したが、アーム状構造体1の長手軸に交差する方向に延びるフランジ部5を有する場合に適用してもよい。また、アーム状構造体1としてロボットアームを例示したが、これに代えて、他の任意のアーム状構造体に適用してもよい。
【0038】
また、両端部の取付インタフェース部3を別工程で予め成形しておき、本体部2側の射出成形型にセットした上で、本体部2を射出成形することにより、本体部2と取付インタフェース部3とを一体化してもよい。
また、本体部2はストレートの丸パイプ形状に限定されるものではなく、両端部に向かって直径が大きくなる形状でもよく、あるいは、角パイプ形状であってもよい。
【0039】
また、炭素繊維強化樹脂からなる本体部2あるいは取付インタフェース部3には、強化繊維30を含まない樹脂部分が存在していてもよい。
また、炭素繊維強化樹脂を例示したが、強化繊維30としては、炭素繊維のみならず、ガラス繊維あるいはアラミド繊維等の任意の材質のものを採用してもよい。また、母材の樹脂材料も熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれでもよい。
【0040】
また、貫通孔8と凸部10との嵌合による接合の機械的強度は、基本的にはせん断強度によって決まる。貫通孔8と凸部10との間に隙間ができてしまうと、使用中に両者が相対移動してしまい、ロボットアームの位置決め精度を悪化させることになる。そこで、貫通孔8と凸部10との隙間を接着剤によって埋めることにしてもよい。加熱することにより溶解して、隙間を完全に埋める接着剤等を併用してもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態を説明したが、後述する請求の範囲の開示範囲から逸脱することなく様々な修正および変更を為し得ることは、当業者なら理解することができる。また、上記で説明した実施形態の幾つかを適宜組み合わせることや、記載の無い製造手法による実施についても、本開示の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 アーム状構造体
2 本体部
2a 内孔
3 取付インタフェース部
8 貫通孔(凹部)
9 嵌合部
10 凸部
12 凹部
13 凸部
14 凹部
15 内側嵌合部
16 外側嵌合部
30 強化繊維
100 金型
125 第1可動型(内型)
130 第2可動型(内型)
140 キャビティ