(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】非燃焼性エアロゾル供給デバイスを備えるシステム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20241126BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20241126BHJP
A24F 15/01 20200101ALI20241126BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20241126BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/51
A24F15/01
A24F40/65
(21)【出願番号】P 2023512719
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 GB2021052256
(87)【国際公開番号】W WO2022049373
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-04-04
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブルートン, コナー
(72)【発明者】
【氏名】ベニング-ロッサー, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ベーカー, ダリル
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/007726(WO,A1)
【文献】特開2017-035097(JP,A)
【文献】特表2017-518042(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03581519(EP,A1)
【文献】特表2021-528095(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0017267(KR,A)
【文献】特表2021-516538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/53
A24F 40/51
A24F 15/01
A24F 40/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品とともに使用するための非燃焼性エアロゾル供給デバイスを備えるシステムであって、
1つ以上のコントローラと、
1つ以上の消耗品に関連付けられた識別子を読み取るように構成された識別子読取器と
を備え、
前記1つ以上のコントローラが、前記識別子の読み取り回数を記録し、前記記録された読み取り回数が予め定められた値に達したことに応答して動作を実行するように構成された、システム。
【請求項2】
前記1つ以上のコントローラが、指令信号の受信に応答して、前記識別子の読み取りを記録するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ユーザが操作可能な制御要素をさらに備え、前記制御要素が、前記
指令信号を生成するように構成された、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
消耗品と前記デバイスとの係合を検出し、消耗品の前記係合を検出することに応答して前記指令信号を生成するように構成されたセンサを前記デバイスが備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のコントローラが、前記識別子を最初に読み取って受け取ったデータに基づいて、パッケージ内に入っている消耗品の数を決定するように構成された、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のコントローラが、前記決定された消耗品の数を前記予め定められた値として設定するように構成された、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記識別子読取器が、複数の識別子を読み取るように構成され、前記識別子のそれぞれが、対応するタイプの消耗品に関連付けられ、
前記1つ以上のコントローラが、前記識別子のそれぞれの読み取り回数を記録し、前記記録された読み取り回数のいずれかが前記予め定められた値に達したことに応答して前記動作を実行するように構成された、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ以上のコントローラが、前の読み取りから予め定められた時間内に実行されるいかなる読み取りも記録しないように構成された、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記デバイスが、電源と、前記電源に接続された加熱アセンブリとを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のコントローラが、前記識別子の読み取りが記録されるまで、前記電源が前記加熱アセンブリに電力を供給しないように構成された、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上のコントローラが、前記記録された読み取り回数が前記予め定められた値に達したことに応答して、前記電源が前記加熱アセンブリに電力を供給しないように構成された、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
フィードバック要素を備え、
前記1つ以上のコントローラが、前記識別子の読み取りを記録することに応答してユーザにフィードバックを提供するように、前記フィードバック要素を制御するように構成された、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のコントローラが、前記記録された読み取り回数が前記予め定められた値より少ないときには第1のモードで動作し、前記記録された読み取り回数が前記予め定められた値以上であるときには第2のモードで動作するように前記フィードバック要素を制御するように構成された、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記フィードバック要素が光源を備える、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
前記識別子読取器が、無線通信を使用して前記識別子を読み取るように構成された、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記デバイスが、前記1つ以上のコントローラ及び前記識別子読取器を備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムがユーザ端末及び複数のコントローラを備え、
前記デバイスが前記複数のコントローラの1つを備え、前記ユーザ端末が前記複数のコントローラの別の1つを備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記デバイスが前記識別子読取器を備える、又は、前記ユーザ端末が前記識別子読取器を備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
消耗品とともに使用するための非燃焼性エアロゾル供給デバイスの制御方法であって、
1つ以上の消耗品に関連付けられた識別子の読み取りを行うステップと、
前記読み取り回数を記録するステップと、
前記読み取り回数が予め定められた値に達したことに応答して動作を実行するステップと
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスを備えるシステム、非燃焼性エアロゾル供給デバイス、パッケージ、及び非燃焼性エアロゾル供給デバイスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品パッケージは、製品パッケージに関する情報を含むことができるRFIDタグなどの電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体を備えることができる。RFID読取器を使用して、タグ内のアンテナ又は誘導コイルで受信される無線周波数信号を送信することによってRFIDタグに問い合わせることができる。次いで、RFIDタグは、製品パッケージに関する情報を含む信号をRFID読取器に返す。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で説明するいくつかの実施形態によれば、第1の態様では、消耗品とともに使用するための非燃焼性エアロゾル供給デバイスを備えるシステムが提供され、本システムは、1つ以上のコントローラと、1つ以上の消耗品に関連付けられた識別子を読み取るように構成された識別子読取器とを備え、1つ以上のコントローラは、識別子の読み取り回数を記録し、記録された読み取り回数が予め定められた値に達したことに応答して動作を実行するように構成される。
【0004】
本明細書で説明するいくつかの実施形態によれば、第2の態様では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための消耗品用のパッケージが提供され、本パッケージは、識別子を記憶する電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体を備え、識別子はパッケージを識別し、パッケージ内に入っている消耗品の数に関するデータを含む。
【0005】
本明細書で説明するいくつかの実施形態によれば、第3の態様では、消耗品とともに使用するための非燃焼性エアロゾル供給デバイスの制御方法が提供され、本方法は、1つ以上の消耗品に関連付けられた識別子の読み取りを行うステップと、読み取り回数を記録するステップと、読み取り回数が予め定められた値に達したことに応答して動作を実行するステップとを含む。
【0006】
次に、単なる例として添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】消耗品のパッケージとともに示す、非燃焼性エアロゾル供給デバイスを備えるシステムの斜視図である。
【
図2】
図1に示した非燃焼性エアロゾル供給デバイス及びパッケージの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示した非燃焼性エアロゾル供給デバイスの詳細な構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示したシステムに使用するためのユーザ端末の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図5】非燃焼性エアロゾル供給デバイスの斜視図である。
【
図6】外側カバーが取り除かれた状態の
図5のデバイスの図である。
【
図8】外側カバーが省略された状態の
図5のデバイスの分解図である。
【
図10】消耗品とともに使用するための非燃焼性エアロゾル供給デバイスの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[詳細な説明]
本開示によれば、「非燃焼性」エアロゾル供給システムは、ユーザへの少なくとも1つの物質の送達を容易にするために、エアロゾル供給システムのエアロゾル生成構成材料(又はその成分)が燃焼されない又は燃やされないシステムである。
【0009】
いくつかの実施形態では、送達システムは、電力式非燃焼性エアロゾル供給システムなどの非燃焼性エアロゾル供給システムである。
【0010】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END:electronic nicotine delivery system)としても知られている電子タバコであるが、エアロゾル生成材料内のニコチンの存在は必要条件ではないことに留意されたい。
【0011】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているエアロゾル生成材料加熱システムである。そのようなシステムの一例としては、タバコ加熱システムがある。
【0012】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、エアロゾル生成材料(それらのうちの1つ又は複数は加熱される場合がある)の組合せを使用してエアロゾルを生成するためのハイブリッドシステムである。エアロゾル生成材料のそれぞれは、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含んでもよいし含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル生成材料と、固体のエアロゾル生成材料とを備える。固体のエアロゾル生成材料は、例えば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。
【0013】
典型的には、非燃焼性エアロゾル供給システムは、非燃焼性エアロゾル供給デバイスと、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための消耗品とを備えることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、エアロゾル生成材料を備え、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用されるように構成された消耗品に関する。これらの消耗品は、本開示全体を通して、物品と呼ばれることもある。消耗品はパッケージで提供される場合がある。
【0015】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システム、例えば、その非燃焼性エアロゾル供給デバイスは、パワー源及び制御器を備えてもよい。パワー源は、例えば、電気パワー源又は発熱パワー源であってもよい。いくつかの実施形態では、発熱パワー源は、発熱パワー源の近傍のエアロゾル生成材料又は熱伝達材料にパワーを熱の形態で分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給システムは、消耗品、エアロゾル生成器、エアロゾル生成領域、ハウジング、吸い口、フィルター、及び/又はエアロゾル改質剤を受け入れるための領域を備えてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、非燃焼性エアロゾル供給デバイスとともに使用するための消耗品は、エアロゾル生成材料、エアロゾル生成材料収納領域、エアロゾル生成材料移送構成要素、エアロゾル生成器、エアロゾル生成領域、ハウジング、ラッパー、フィルター、吸い口、及び/又はエアロゾル改質剤を備えてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、送達される物質は、エアロゾル生成材料、又はエアロゾル化されることを意図されない材料であってもよい。必要に応じて、どちらの材料も、1つ以上の活性成分、1つ以上の香料、1つ以上のエアロゾル形成材料、及び/又は1つ以上の他の機能材料を含んでもよい。
【0019】
エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成された装置である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料に熱エネルギーを受けさせ、その結果、エアロゾル生成材料から1つ以上の揮発成分を放出させてエアロゾルを形成するように構成されたヒーターである。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成器は、加熱することなくエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成させるように構成される。例えば、エアロゾル生成器は、エアロゾル生成材料に、振動、圧力上昇、又は静電エネルギーのうちの1つ以上を受けさせるように構成されてもよい。
【0020】
エアロゾル生成材料は、例えば、加熱される、照射される、又は任意の他の方法でエネルギーを与えられると、エアロゾルを生成することができる材料である。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、活性物質及び/又は香味料を含んでもよいし含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、「非晶質固体」(これに代えて、「モノリシック固体」(すなわち、非繊維状)と呼ばれることがある)を含んでもよい。いくつかの実施様態では、非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その中に液体などの何らかの流体を保持することができる固体材料である。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、例えば、約50重量%、60重量%、又は70重量%~約90重量%、95重量%、又は100重量%の非晶質固体を含んでもよい。
【0021】
エアロゾル生成材料は、1つ以上の活性物質及び/又は香料、1つ以上のエアロゾル形成材料、並びに、任意選択で、1つ以上の他の機能材料を含んでもよい。
【0022】
エアロゾル形成材料は、エアロゾルを形成することができる1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0023】
1つ以上の他の機能材料は、pH調整剤、着色剤、保存剤、結合剤、充填剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0024】
材料は、支持体上に、又はその中に存在して基材を形成してもよい。支持体は、例えば、紙、カード、段ボール、厚紙、再生材料、プラスチック材料、セラミック材料、複合材料、ガラス、金属、若しくは合金であってもよい、又はそれらを含んでもよい。いくつかの実施形態では、支持体はサセプタを備える。いくつかの実施形態では、サセプタは、材料内に埋め込まれる。いくつかの代替の実施形態では、サセプタは、材料の片側又は両側にある。
【0025】
エアロゾル改質剤は、典型的には、エアロゾル生成領域の下流に配置され、例えば、エアロゾルの味、香味、酸味、又は別の特性を変えることによって、生成されたエアロゾルを改質するように構成された物質である。エアロゾル改質剤は、エアロゾル改質剤を選択的に放出するように動作可能な、エアロゾル改質剤放出構成要素で提供されてもよい。
【0026】
エアロゾル改質剤は、例えば、添加剤又は吸着剤であってもよい。エアロゾル改質剤は、例えば、香味料、着色剤、水、及び炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル改質剤は、例えば、固体、液体、又はゲルであってもよい。エアロゾル改質剤は、粉末、糸、又は顆粒の形態であってもよい。エアロゾル改質剤は、濾過材がなくてもよい。
【0027】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が誘導加熱される。加熱材料は、磁性体であってもよく、その結果、変動磁場がそれに侵入することによって、加熱材料が磁気ヒステリシス加熱される。サセプタは、導電性と磁性の両方を有してもよく、その結果、サセプタは両方の加熱メカニズムによって加熱可能である。変動磁場を生成するように構成されたデバイスは、本明細書では磁場生成器と呼ばれる。
【0028】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体が加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを備えることができる。電磁石と加熱される物体とが、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するように適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が生成される。この物体は電流の流れに対して抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が生成されると、物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体はサセプタとして知られている。
【0029】
一実施形態では、サセプタは閉回路の形態である。サセプタが閉回路の形態のときは、使用時のサセプタと電磁石との間の磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが判明した。
【0030】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによってその物体が加熱されるプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石、すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場(例えば、電磁石によって生じたもの)などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0031】
物体が導電性と磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱と磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0032】
上記のプロセスのそれぞれでは、熱は、外部熱源によって熱伝導で生成されるのではなく、物体自体の内部で生成されるので、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布とを達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを下げることができる。
【0033】
物品、例えばロッド状の物品は、製品の長さに従って、「レギュラー」(典型的には、68~75mm、例えば約68mm~約72mmの範囲)、「ショート」又は「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(典型的には、75~91mm、例えば約79mm~約88mmの範囲)、「ロング」又は「スーパーキング」(典型的には、91~105mm、例えば約94mm~約101mmの範囲)、及び「ウルトラロング」(典型的には、約110mm~約121mmの範囲)と命名されることが多い。
【0034】
物品はまた、製品の円周に従って、「レギュラー」(約23~25mm)、「ワイド」(25mm超)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、及び「マイクロスリム」(約16mm未満)と命名される。
【0035】
したがって、キングサイズでスーパースリム形式の物品は、例えば約83mmの長さ及び約17mmの円周を有する。
【0036】
各形式は、異なる長さの吸い口を有して作製することができる。吸い口の長さは、約30mm~50mmとなる。チップペーパーは、吸い口をエアロゾル生成材料に接続し、通常、吸い口より長く、例えば3~10mm長く、その結果、チップペーパーは吸い口を覆い、例えば基材のロッドの形態のエアロゾル生成材料に重なって、吸い口をロッドに接続する。
【0037】
本明細書で説明する物品及びそのエアロゾル生成材料並びに吸い口は、限定するものではないが、上記の形式のいずれかで作ることができる。
【0038】
本明細書で使用する「上流」及び「下流」という用語は、使用時、物品又はデバイスを通って引き込まれる主流エアロゾルの方向に関連して定められる相対的な用語である。
【0039】
本明細書で説明するフィラメントトウ材料は、酢酸セルロースの繊維トウを含むことができる。フィラメントトウはまた、ポリビニルアルコール(PVOH:polyvinyl alcohol)、ポリ乳酸(PLA:polylactic acid)、ポリカプロラクトン(PCL:polycaprolactone)、ポリ(1-4ブタンジオールスクシネート)(PBS:poly(1-4butanediol succinate))、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT:poly(butylene adipate-co-terephthalate))、デンプン系材料、綿、脂肪族ポリエステル材料、及び多糖ポリマー、又はこれらの組合せなど、繊維を形成するために使用される他の材料を使用して形成することができる。フィラメントトウは、材料が酢酸セルローストウである場合はトリアセチンなど、トウにとって好適な可塑剤によって可塑化されてもよく、又はトウは非可塑化されてもよい。トウは、「Y」形、「X」形、又は「O」形の断面を有する繊維など、任意の好適な仕様を有することができる。トウの繊維は、フィラメントあたり2.5~15デニール、例えば、フィラメントあたり8.0~11.0デニールの単繊度値、及び5,000~50,000デニール、例えば10,000~40,000デニールの総繊度値を有する。繊維の断面は、25以下の等周比L2/Aを有してもよく、それは、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。ここで、Lは、断面の周囲長さ、Aは断面の面積である。そのような繊維は、所与の単繊度の値に対して比較的小さな表面積を有し、消費者へのエアロゾルの送達を改善する。
【0040】
本明細書で使用するとき、「タバコ材料」という用語は、タバコ又はその派生品若しくは代替品を含む任意の材料を指す。「タバコ材料」という用語は、タバコ、タバコ派生品、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでもよい。タバコ材料は、挽きタバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコ茎、タバコ葉柄、再生タバコ、及び/又はタバコ抽出物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、送達される物質は活性物質を含む。
【0042】
本明細書で使用するとき、活性物質は、生理学的反応を達成又は強化するように意図された材料である生理学的活性材料であってもよい。活性物質は、例えば、栄養補助食品、向知性薬、及び向精神薬から選択されてもよい。活性物質は、自然に発生したものでも、又は合成して得られるものでもよい。活性物質は、例えば、ニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、ビタミン(B6又はB12又はCなど)、メラトニン、カンナビノイド、又はその成分、誘導体、若しくは組合せを含んでもよい。活性物質は、タバコ又は別の植物性物質の1つ以上の成分、誘導体、又は抽出物を含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、活性物質はニコチンを含む。いくつかの実施形態では、活性物質は、カフェイン、メラトニン、又はビタミンB12を含む。
【0044】
本明細書で説明したように、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含んでもよい、或いはそれらに由来してもよい。本明細書で使用するとき、「植物性物質」という用語は、限定するものではないが、抽出物、葉、樹皮、繊維、葉柄、根、種子、花、果実、花粉、殻、皮などを含む、植物に由来した任意の材料を含む。これに代えて、この材料は、植物性物質中に天然に存在する、又は合成により得られる活性化合物を含んでもよい。この材料は、液体、気体、固体、粉末、粉塵、破砕粒子、顆粒、ペレット、断片、細片、シートなどの形態であってもよい。植物性物質の例は、タバコ、ユーカリノキ、スターアニス、麻、カカオ、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カモミール、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、甘草、抹茶、マテ、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、クローブ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、ベイリーフ、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモンピール、ミント、ジュニパー、ニワトコの花、バニラ、ウィンターグリーン、シソ、ウコン、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、オレンジの花、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、マルベリー、チョウセンニンジン、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブ、又はそれらの任意の組合せである。ミントは、ヨウシュハッカ(Mentha Arventis)、グレープフルーツミント(Mentha c.v.)、エジプトミント(Mentha niliaca)、ペパーミント(Mentha piperita)、ライムミント(Mentha piperita citrata c.v.)、チョコレートミント(Mentha piperita c.v.)、カーリーミント(Mentha spicata crispa)、ワイルドミント(Mentha cardifolia)、ホースミント(Mentha longifolia)、パイナップルミント(Mentha suaveolens variegata)、ペニーロイヤルミント(Mentha pulegium)、イングリッシュスペアミント(Mentha spicata c.v.)、及びアップルミント(Mentha suaveolens)のミント品種から選択されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質はタバコである。
【0046】
いくつかの実施形態では、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質は、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、及び麻から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態では、活性物質は、1つ以上の植物性物質、又はその成分、誘導体、若しくは抽出物を含み、或いはそれらに由来し、その植物性物質は、ルイボス及びウイキョウから選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、送達される物質は香料を含む。
【0049】
本明細書で使用するとき、「香料」及び「香味料」という用語は、成人消費者用の製品において、現地の規制によって許可される場合に、所望の味、香り、又は他の体性感覚を作り出すために使用することができる材料を指す。それらは、自然に発生した香味材料、植物性物質、植物性物質の抽出物、合成して得られる材料、又はそれらの組合せ(例えば、タバコ、大麻、甘草、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メープル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インディアンスパイス、アジアンスパイス、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、レッドベリー、クランベリー、ピーチ、アップル、オレンジ、マンゴー、クレメンティン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ルバーブ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、マルベリー、柑橘類、ドランブイ(Drambuie)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエベラ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、カート(khat)、ナスワール(naswar)、キンマ(betel)、シーシャ(shisha)、パイン、はちみつエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、オレンジの花、サクラの花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピーマン、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、麻、ハッカ属の任意の品種から得られるミント油、ユーカリノキ、スターアニス、カカオ、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、ローレル、マテ、オレンジの皮、バラ、茶(緑茶又は紅茶など)、タイム、ジュニパー、エルダーフラワー、バジル、ベイリーフ、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモンピール、ミント、シソ、クルクマ、シラントロ、マートル、カシス、バレリアン、ピメント、メース、ダミアン、マジョラム、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、カルヴィ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性化剤、又は刺激剤、糖類及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに他の添加剤、例えば、チャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質、又は息清涼剤を含んでもよい。それらは、模造成分、合成成分、若しくは天然成分、又はそれらのブレンドであってもよい。それらは、任意の適切な形態、例えば、液体(油など)、固体(粉末など)、又は気体であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、香料は、メンソール、スペアミント、及び/又はペパーミントを含む。いくつかの実施形態では、香料は、キュウリ、ブルーベリー、柑橘類、及び/又はレッドベリーの香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料はオイゲノールを含む。いくつかの実施形態では、香料は、タバコから抽出された香味成分を含む。いくつかの実施形態では、香料は、大麻から抽出された香味成分を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、香料は、嗅神経又は味覚神経に加えて、又はその代わりに、第5脳神経(三叉神経)を刺激することによって通常化学的に誘起され、知覚される体性感覚を達成するように意図された感覚剤を含んでもよく、これらは、加熱効果、冷却効果、ひりつき効果、麻痺効果を提供する薬剤を含んでもよい。適切な熱効果剤は、限定するものではないが、バニリルエチルエーテルであってもよく、適切な冷却剤は、限定するものではないが、ユーカリプトール、WS-3であってもよい。
【0052】
本明細書で説明する図では、同等の特徴、物品、又は構成要素を示すために類似の参照符号が使用される。
【0053】
図1は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスを備えるシステムを、本システムとともに使用するために提供される消耗品のパッケージとともに示す。概略的に述べると、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100は、エアロゾル生成媒体を備える交換可能な物品、例えば本明細書で説明する消耗品400の1つを加熱して、デバイス100のユーザによって吸引されるエアロゾル又は他の吸引可能な媒体を生成するために使用することができる。デバイス100及び消耗品400は一緒に非燃焼性エアロゾル供給システムを形成する。
【0054】
図1に示すように、パッケージ300は、電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310を含む。電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310は、消耗品400及び/又はパッケージ300に関するデータを記憶する。このようなデータは、本明細書では識別子と呼ばれる。本例では、電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310は、パッケージを識別するデータを記憶する。電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310に記憶された識別子は、デバイス100の識別子読取器などの識別子読取器によって読み取ることができる。この動作は、以下でより詳細に説明される。いくつかの例では、識別子はまた、製造されたときにパッケージ内に入っている消耗品の数に関するデータを含む。
【0055】
電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310は、パッケージ300の外側に配置されてもよいし、又は包装体の層間、例えば、外側包装体層と内側包装体層との間に配置されてもよい。これに代えて、電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310は、最も内側の包装体層によって画定される内部空間の内側に配置されてもよい。内部空間に挿入されるとき、電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310は、カード又はフィルムなどの物品上に配置されてもよい。そのようなさらなる物品は、例えば、包装体壁内に締り嵌めによって、パッケージ300内に嵌るように設計されてもよい。
【0056】
本例では、電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶装置310はRFIDタグである。RFIDタグは、一般に、アンテナ又は誘導コイルに接続された集積回路(IC:integrated circuit)チップを有する。ICチップは、コードを記憶する不揮発性メモリを含む。RFID読取器(例えば、本明細書で説明するRFID読取器)を使用して、アンテナ又は誘導コイルで受信される無線周波数信号を送信することによってタグに問い合わせることができる。次いで、RFIDタグは、記憶されたコードを含む信号をRFID読取器に返す。RFIDタグは、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)規格に従って動作するように構成することができる。NFC通信は、任意の適切な規格(ECMA-340及びISO/IEC18092など)に準拠してもよい。
【0057】
RFIDタグ310は、RFIDタグ310からの最大距離内でのみ読み取り可能であるように構成することができる。本例では、最大距離は約20cmである。いくつかの例では、最大距離は、約10cm、約5cm、約4cm、又は約3cmとすることができる。
【0058】
他の例では、電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310は、バーコード、例えば、2Dバーコード又は3Dバーコードであってもよい。
【0059】
図2は、
図1に示した非燃焼性エアロゾル供給デバイス及び消耗品のパッケージの構成を示すブロック図である。
【0060】
デバイス100は、コントローラ110及び識別子読取器120を備える。コントローラ110は、デバイス100の動作を制御して本明細書で説明する機能を提供するように構成される。特に、コントローラ110は、識別子読取器120を制御して、パッケージ300の電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310内に記憶された識別子を読み取るように構成される。識別子読取器120は、無線通信(例えば、無線周波数通信)を使用して識別子を読み取るように構成されてもよい。識別子読取器120は、いくつかの例では省略されてもよい。
【0061】
本例では、識別子読取器120はRFIDタグ読取器であり、パッケージ300の電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310はRFIDタグである。識別子読取器120は、ユーザがデバイス100をパッケージ300に近接するように持ってくると、従来の技法に従ってRFIDタグを読み取るように構成される。
【0062】
他の例では、識別子読取器は、パッケージ300上のバーコード又はQRコードなどのコードをスキャンするように構成されたカメラ又はバーコード読取器などのデバイスであってもよい。
【0063】
コントローラ110は、識別子の読み取り回数を記録し、記録された読み取り回数に基づいて動作を実行するように構成される。コントローラは、例えば、
図3に関連して以下に説明するメモリなど、デバイス内のメモリに読み取り回数を記録することができる。これにより、デバイスは、各消耗品にRFIDタグを配置する必要なく、識別子の読み取り回数を、所与のパッケージから使用された消耗品の数と関連付けることができる。これにより、製造コストが削減される。
【0064】
コントローラ110は、記録された識別子の読み取り回数が予め定められた値に達したことに応答して動作を実行するように構成される。予め定められた値は、デバイス100内のメモリに記憶された値であってもよい。
【0065】
本例では、コントローラ110は、電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310内に記憶された識別子を最初に読み取って受け取ったデータに基づいて、パッケージ300内に最初に入っていた消耗品400の数(すなわち、購入時にパッケージ内に入っていた消耗品の数)を決定するように構成される。コントローラ110は、パッケージ300内に最初に入っていた消耗品400の数を予め定められた値として設定する。例えば、コントローラ110は、パッケージ内に最初に入っていた消耗品の数が20であると決定し、予め定められた値として数値「20」を設定してもよい。
【0066】
コントローラ110は、識別子の読み取り回数(最初の読み取りを含む)を記録する。識別子の読み取り回数が予め定められた値に達したとコントローラ110が判定したとき、コントローラ110は、パッケージ300に最初にあった消耗品400のすべてがそのとき使用されたと決定することができる。言い換えれば、コントローラ110は、パッケージ300に残っている消耗品の数がゼロであると決定することができる。
【0067】
いくつかの例では、予め定められた値は、デバイス100が製造されるときにデバイスのメモリに記憶された値であってよい。例えば、デバイス100は、パッケージ内に標準的な数、例えば20本入っている消耗品とともに使用されるように構成されてもよい。この消耗品の数は、デバイス100の製造時に予め定められた値として設定されてもよい。
【0068】
いくつかの例では、識別子読取器120は、それぞれが、対応するタイプの消耗品に関連付けられた複数の識別子を読み取るように構成される。例えば、1つの識別子は「標準の」消耗品のパッケージに関連付けられ、別の識別子は加香された消耗品のパッケージに関連付けられてもよい。このような例では、コントローラ110は、それぞれの識別子の読み取り回数を記録し、記録された読み取り回数のいずれかが予め定められた値に達したことに応答して動作を実行するように構成される。いくつかの例では、各識別子は、それ自体の対応する予め定められた値を有してもよい。
【0069】
いくつかの例では、コントローラ110は、識別子の読み取りのいくつかを考慮しないように構成される。すなわち、コントローラ110は、識別子の読み取りのいくつかを無視するように構成されてもよい。コントローラ110は、前の読み取りから予め定められた時間内に実行されるいかなる読み取りも考慮しないように構成されてもよい。例えば、コントローラは、前の読み取りから2分後に実行される読み取りを無視してもよい。予め定められた時間は、任意の適切な時間の値、例えば、1分、2分、3分、4分、5分、10分、又は30分として設定されてもよい。
【0070】
この構成により、コントローラ110は、例えば、ユーザが新しい消耗品400を選択するためにデバイス100をパッケージ300に近接するように持ってきてから、新しい消耗品400を選択せずにデバイス100をパッケージ300に近接するように持ってきたときの場合、新しい消耗品を使用することに対応しない場合がある識別子の読み取りを無視することができる。このような読み取りを無視することにより、コントローラ110は、所与のパッケージから使用された消耗品の数をより良く決定することができる。
【0071】
図3は、
図2に示した非燃焼性エアロゾル供給デバイスの詳細な構成を示すブロック図である。
【0072】
図3に示すように、デバイス100は、
図2に示したコントローラ110及び識別子読取器120に加えて、メモリ111、制御要素112、センサ115、電源118、加熱アセンブリ130、及びフィードバック要素140を備えてもよい。これらの特徴のいくつかは、いくつかの例では省略されてもよい。
【0073】
メモリ111は、コントローラ110に接続されており、コントローラ110によってアクセスすることができる。メモリ111は不揮発性メモリであってもよい。本例では、メモリ111はフラッシュメモリデバイスである。メモリ111は、プロセッサ110によって実行されてデバイス100を制御することができる命令など、デバイス100の動作情報を記憶する。特に、メモリ111は、識別子の読み取り回数に関連する予め定められた値を記憶することができる。
【0074】
いくつかの例では、デバイス100は制御要素112を備える。制御要素112は、コントローラ110に指令信号を送信するためにユーザによって操作可能である。制御要素は、例えば、ボタン又はスイッチであってもよい。コントローラ110は、制御要素112からの指令信号の受信に応答して、識別子の読み取りを記録することができる。これにより、ユーザは、パッケージ300からの新しい消耗品がデバイス100に挿入されたことを確認することができる。
【0075】
いくつかの例では、デバイス100はセンサ115を備える。センサ115は、消耗品とデバイス100との係合を検出するように構成される。いくつかの例では、消耗品は、デバイスに挿入されることによってデバイスと係合する。
【0076】
本例では、センサ115は、消耗品がデバイス100と係合するときに、消耗品を検出する光学センサである。他の例では、センサ115は、消耗品がデバイスと係合するときに作動するスイッチであってもよい。
【0077】
センサ115は、消耗品とデバイス100との係合を検出することに応答して指令信号を生成することができ、コントローラ110は、センサ115から指令信号を受信することに応答して識別子の読み取りを記録することができる。これにより、パッケージ300からの新たな消耗品がデバイス100と係合したことをデバイスが自動的に決定することができる。
【0078】
電源118は、例えば、再充電可能なバッテリー又は再充電不可のバッテリーなどのバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例には、例えば、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、及びアルカリバッテリーが含まれる。本例では、電源118は再充電可能なバッテリーである。
【0079】
電源118は、加熱アセンブリ130に電気的に接続されて、デバイス100と係合する消耗品のエアロゾル生成材料を加熱するために、必要なときに、コントローラ110の制御下で電力を供給する。
【0080】
いくつかの例では、コントローラ110は、識別子の読み取りが記録されるまで、電源118が加熱アセンブリ130に電力を供給しないように電源118を制御する。言い換えれば、コントローラ110が識別子の読み取りを記録しない場合、加熱アセンブリ130は作動されない。これにより、ユーザが意図せずに加熱アセンブリを作動させる可能性を低減する。
【0081】
いくつかの例では、識別子の読み取り回数がメモリ111に記憶された予め定められた値に達したとコントローラ110が判定すると、コントローラ110は、電源118が加熱アセンブリ130に電力を供給しないように電源118を制御する。
【0082】
フィードバック要素140は、電源118に電気的に結合され、コントローラ110によって制御される。コントローラ110は、識別子の読み取りを記録することに応答してユーザにフィードバックを提供するように、フィードバック要素140を制御するように構成される。フィードバック要素140は、いくつかの例では省略されてもよい。
【0083】
いくつかの例では、フィードバック要素140は、可視光を生成することが可能な光源(例えば、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)デバイス)である。本例では、フィードバック要素140は、複数色の可視光(例えば、緑色光及び赤色光)を発することができるLEDデバイスである。他の例では、フィードバック要素140は、音声出力デバイス(例えば、スピーカー)又は触覚フィードバックデバイスなどの別の形態のフィードバック要素であってもよい。
【0084】
コントローラ110は、記録された読み取り回数が予め定められた値より少ないときには第1のモードで動作し、記録された読み取り回数が予め定められた値以上であるときには第2のモードで動作するようにフィードバック要素140を制御するように構成されてもよい。フィードバック要素は、第1のモードと第2のモードとで異なる形態のフィードバックを提供することができることによって、パッケージ300内に最初に入っていた消耗品400のすべてが今まさに使用されたことをユーザに示すことができる。
【0085】
本例では、コントローラ110は、識別子の最初の読み取りを記録することに応答して、及び、その後の読み取りを記録することに応答して、発光ダイオードデバイス140が第1の色(例えば緑)の光を発する第1のモードで動作するように発光ダイオードデバイス140を制御するよう構成される。識別子の読み取り回数がメモリ111に記憶された予め定められた値に達したとコントローラ110が判定すると、コントローラ110は、識別子の読み取りを記録することに応答して、発光ダイオードデバイスが第1の色とは異なる第2の色(例えば赤)の光を発する第2のモードで動作するよう発光ダイオードデバイス140を制御することができる。これにより、パッケージ300内に最初に入っていた消耗品400のすべてがそのときに使用されたことをユーザに視覚的に示すことができる。
【0086】
図4は、
図1に示したシステムに使用するためのユーザ端末の詳細な構成を示す。本例では、ユーザ端末は携帯電話機である。
【0087】
ユーザ端末200は、コントローラ210、メモリ211、制御要素212、電源218、及びフィードバック要素240を備える。本例では、ユーザ端末200はまた、識別子読取器220を備える。ユーザ端末200が識別子読取器を備える例では、識別子読取器120は、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100から省略されてもよい。非燃焼性エアロゾル供給デバイス100が識別子読取器を備える例では、識別子読取器220は、ユーザ端末200から省略されてもよい。
【0088】
コントローラ210は、ユーザ端末200の動作を制御するように構成される。コントローラ210は、デバイス100のコントローラ110と同様の機能を行うように構成される。特に、コントローラ210は、識別子読取器220を制御して、パッケージ300の電磁気的に問い合わせ可能なデータ記憶媒体310内に記憶された識別子を読み取るように構成される。識別子読取器220は、無線通信(例えば、無線周波数通信)を使用して識別子を読み取るように構成されてもよい。
【0089】
本例では、識別子読取器220はRFIDタグ読取器であり、ユーザが端末200をパッケージ300に近接するように持ってくると、従来の技法に従ってRFIDタグ310を読み取るように構成される。
【0090】
他の例では、端末200の識別子読取器は、パッケージ300上のバーコード又はQRコードなどのコードをスキャンするように構成されたカメラ又はバーコード読取器などのデバイスであってもよい。
【0091】
コントローラ210は、上記のデバイス100のコントローラ110と同様に、識別子の読み取り回数を記録するように構成される。コントローラ210は、メモリ211に読み取り回数を記録することができる。
【0092】
本例では、記録された識別子の読み取り回数が予め定められた値に達したとコントローラ210が判定した場合、コントローラ210は、この情報をデバイス100に送信することができる。これは、無線通信(例えば、ブルートゥース(Bluetooth)通信)を用いて達成されてもよい。この情報を受信すると、次いで、デバイス100のコントローラ110は、上記の予め定められた動作のいずれかなどの予め定められた動作を実行することができる。
【0093】
他の例では、コントローラ210は、識別子の読み取り回数を記録し、この情報をデバイス100に送信することができる。次いで、デバイスのコントローラ110は、記録された識別子の読み取り回数が予め定められた値に達したかどうかを判定し、それに応じて動作を実行することができる。
【0094】
制御要素212は、コントローラ210に指令信号を送信するためにユーザによって操作可能である。制御要素212は、例えば、ボタン又はタッチスクリーンであってもよい。コントローラ210は、制御要素112からの指令信号の受信に応答して、識別子の読み取りを記録することができる。
【0095】
電源218は、携帯電話機用に当技術分野で一般的に使用されている任意の再充電可能なバッテリーであってもよい。
【0096】
フィードバック要素240は、電源218に電気的に結合され、コントローラ210によって制御される。コントローラ210は、識別子の読み取りを記録することに応答してユーザにフィードバックを提供するように、フィードバック要素240を制御するように構成される。フィードバック要素240は、いくつかの例では省略されてもよい。
【0097】
本例では、フィードバック要素240はタッチスクリーンである。他の実施例では、フィードバック要素240は、光源(例えば、デバイス100に関連して上述したLEDデバイスなどのLEDデバイス)、音声出力デバイス(例えば、スピーカー)、又は触覚フィードバックデバイスであってもよい。
【0098】
表示画面は、識別子の読み取りが記録されたことを視覚的に示してもよい。例えば、表示画面は、識別子の読み取りが記録されると、通知を表示してもよい。識別子の読み取り回数がメモリ211に記憶された予め定められた値に達したとコントローラ210が判定すると、コントローラ210は、パッケージ300内に最初に入っていた消耗品400のすべてがそのときに使用されたことをユーザに知らせる通知を表示するよう表示画面を制御してもよい。
【0099】
図5は、上記の非燃焼性エアロゾル供給デバイス100の斜視図である。
【0100】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を取り囲んで収容するハウジング102(外側カバーの形態)を備える。デバイス100は、一端に開口104を有しており、物品400は、加熱アセンブリによる加熱のために開口104を通して挿入することができる。使用時、物品400は、加熱アセンブリに完全又は部分的に挿入することができ、ヒーターアセンブリの1つ以上の構成要素によって加熱することができる。物品400がデバイス100に挿入されるとき、ヒーターアセンブリの1つ以上の構成要素と物品400の管状要素との間の最小距離は、例えば3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mmなど3mm~10mmの範囲であってもよい。
【0101】
この例のデバイス100は、第1の端部部材106を備えており、第1の端部部材106は、物品400が定位置にないときは開口104を閉じるように第1の端部部材106に対して可動の蓋108を備える。
図5で、蓋108は開構成で示されているが、蓋108は閉構成へ動かすことができる。例えば、ユーザは、矢印「B」の方向に蓋108をスライドさせることができる。
【0102】
本例では、デバイス100は、ボタンの形態のユーザが操作可能な制御要素112を含む。ボタン112は、押されたときにデバイス100を動作させる。例えば、ユーザは、ボタン112を押すことによって、デバイス100をオンにすることができる。
【0103】
デバイスをオンにすること、及び識別子の読み取りを記録することに、制御要素112の異なる操作がそれぞれ必要であってもよい。例えば、ボタン112を1回押すとデバイス100をオンにしてもよく、2回押すとデバイス100に識別子の読み取り値を記録させてもよい。
【0104】
デバイス100はまた、デバイス100のバッテリーを充電するためにケーブルを受け入れることができるソケット/ポート114などの電気構成要素を備えてもよい。例えば、ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。
【0105】
図6は、外側カバー102が取り除かれており、物品400が存在しない状態の
図5のデバイス100を示す。デバイス100は、長手方向軸線101を定める。
図6に示すように、第1の端部部材106は、デバイス100の一端に配置され、第2の端部部材116は、デバイス100の反対側の端部に配置される。第1の端部部材106及び第2の端部部材116はともに、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外側カバー102の縁部も、端面の一部分を画定してもよい。この例では、蓋108も、デバイス100の上面の一部分を画定する。
【0106】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用時にユーザの口に最も近くなるため、デバイス100の近位端(又は口側端部)として知られていることがある。使用時、ユーザは、物品400を開口104に挿入し、ユーザが操作可能な制御要素112を操作して、物品400のエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイス100内で生成されたエアロゾルを引き込む。これによって、エアロゾルは、流路に沿ってデバイス100を通ってデバイス100の近位端の方へ流れる。
【0107】
開口104から最も遠いデバイス100の他端は、使用時にユーザの口から最も遠い端部であるため、デバイス100の遠位端として知られていることがある。ユーザがデバイス100内で生成されたエアロゾルを引き込むと、エアロゾルは、デバイス100の遠位端から離れる方へ流れる。
【0108】
デバイス100は、上記のバッテリー118をさらに備える。この例では、バッテリーは、バッテリー118を定位置で保持する中央支持体119に接続されている。
【0109】
デバイス100は、少なくとも1つの電子モジュール109をさらに備える。電子モジュール109は、例えばプリント回路基板(PCB:printed circuit board)を備えてもよい。PCB109は、上記のコントローラ110及び/又はメモリ111を支持することができる。PCB109はまた、デバイス100の様々な電子構成要素を一緒に電気的に接続するための1つ以上の電気トラックを備えてもよい。例えば、デバイス100全体にわたって電力を分配することができるように、バッテリー端子はPCB109に電気的に接続されてもよい。ソケット114も、電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0110】
例示的なデバイス100では、加熱アセンブリ130は誘導加熱アセンブリであり、物品400のエアロゾル生成材料を誘導加熱プロセスによって加熱するために様々な構成要素を備える。誘導加熱は、電磁誘導によって導電体(サセプタなど)を加熱するプロセスである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、例えば1つ以上のインダクタコイルと、交流などの変動電流を誘導要素に通すためのデバイスとを備えることができる。誘導要素内の変動電流は、変動磁場を生じさせる。変動磁場は、誘導要素に対して好適に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内に渦電流を生成する。サセプタは、渦電流に対して電気抵抗を有し、したがってこの抵抗に逆らって渦電流が流れることによって、サセプタがジュール加熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合、サセプタの磁気ヒステリシス損失によっても、すなわち、磁性材料内の磁気双極子の向きが、変動磁場と向きを合わせる結果として変動することによっても、熱を発生させることができる。誘導加熱では、例えば、伝導による加熱と比較すると、熱はサセプタ内部で発生し、それによって急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒーターとサセプタとの間のいかなる物理的な接触も必要なく、それによって、構造及び用途の自由度を大きくすることができる。
【0111】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリ130は、サセプタ構成体132(本明細書では、「サセプタ」と呼ぶ)、第1のインダクタコイル134、及び第2のインダクタコイル134を備える。第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は、導電性材料から作られる。この例では、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は、螺旋形インダクタコイル134、136を提供するように螺旋形に巻かれたリッツ線/ケーブルから作られる。リッツ線は、複数の個別のワイヤを含み、これらのワイヤは個々に絶縁されており、これらが撚り合わされて単一のワイヤを形成する。リッツ線は、導体の表皮効果損失を低減させるように設計されている。例示的なデバイス100では、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は、矩形の断面を有する銅のリッツ線から作られる。他の例では、リッツ線は、円形などの他の形状の断面を有することもできる。
【0112】
第1のインダクタコイル134は、サセプタ132の第1のセクションを加熱するための第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル136は、サセプタ132の第2のセクションを加熱するための第2の変動磁場を生成するように構成される。この例では、第1のインダクタコイル134は、デバイス100の長手方向軸線101に沿う方向に第2のインダクタコイル136に隣り合っている(すなわち、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は重なっていない)。サセプタ構成体132は、単一のサセプタ、又は2つ以上の別々のサセプタを備えてもよい。第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136の隣り合う端部134a、136aは、PCB109に接続することができる。
【0113】
いくつかの例では、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は、互いに異なる少なくとも1つの特性を有してもよいことが理解されよう。例えば、第1のインダクタコイル134は、第2のインダクタコイル136とは異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。より詳細には、一例では、第1のインダクタコイル134は、第2のインダクタコイル136とは異なるインダクタンス値を有してもよい。
図6では、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は異なる長さのものであり、その結果、第1のインダクタコイル134は、第2のインダクタコイル136よりサセプタ132の小さいセクションに巻かれている。したがって、第1のインダクタコイル134は、(個々の巻き間の間隔は実質的に同じであると仮定すると)第2のインダクタコイル136とは異なる数の巻き数を備えてもよい。さらに別の例では、第1のインダクタコイル134は、第2のインダクタコイル136とは異なる材料から作られてもよい。いくつかの例では、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は実質的に同一であってもよい。
【0114】
この例では、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は、反対の方向に巻かれている。これは、インダクタコイルが異なる時点で動作しているときに有用となり得る。例えば、最初、第1のインダクタコイル134が物品400の第1のセクション/部分を加熱するように動作していることがあり、その後、第2のインダクタコイル136が物品400の第2のセクション/部分を加熱するように動作してもよい。コイルを反対方向に巻くことは、特定のタイプの制御回路とともに使用されるとき、動作していないコイルに誘導される電流を低減する助けになる。
図6では、第1のインダクタコイル134は右巻き螺旋であり、第2のインダクタコイル136は左巻き螺旋である。しかしながら、別の実施形態では、インダクタコイル134及びインダクタコイル136は同じ方向に巻かれてもよいし、第1のインダクタコイル134は左巻き螺旋であってもよく、第2のインダクタコイル136は右巻き螺旋であってもよい。
【0115】
この例のサセプタ132は中空であり、したがって、内部にエアロゾル生成材料を受け入れる受け部を画定する。例えば、物品400は、サセプタ132内に挿入することができる。この例では、サセプタ132は、断面が円形の管状である。
【0116】
サセプタ132は1つ以上の材料から作られてもよい。サセプタ132は、ニッケル又はコバルトをコーティングされた炭素鋼を含むことが好ましい。
【0117】
いくつかの例では、サセプタ132は、少なくとも2つの材料を選択的にエアロゾル化するために2つの異なる周波数で加熱することができる少なくとも2つの材料を含んでもよい。例えば、(第1のインダクタコイル134によって加熱される)サセプタ132の第1のセクションは第1の材料を含んでもよく、第2のインダクタコイル136によって加熱されるサセプタ132の第2のセクションは異なる第2の材料を含んでよい。別の例では、第1のセクションは、第1及び第2の材料を含んでもよく、第1のインダクタコイル134の動作に基づいて、第1及び第2の材料を異なるように加熱することができる。第1の材料及び第2の材料は、サセプタ132によって定められた軸線に沿って隣り合っていてもよいし、サセプタ132内で異なる層を形成してもよい。同様に、第2のセクションは、第3及び第4の材料を含んでもよく、第2のインダクタコイル136の動作に基づいて、第3及び第4の材料を異なるように加熱することができる。第3の材料及び第4の材料は、サセプタ132によって定められた軸線に沿って隣り合っていてもよいし、サセプタ132内で異なる層を形成してもよい。例えば、第3の材料は第1の材料と同じであってもよく、第4の材料は第2の材料と同じであってもよい。これに代えて、材料のそれぞれは異なっていてもよい。例えば、サセプタは炭素鋼又はアルミニウムを含んでもよい。
【0118】
図6のデバイス100は絶縁部材138をさらに備え、絶縁部材138は、概ね管状でサセプタ132を少なくとも部分的に取り囲むことができる。絶縁部材138は、例えば、プラスチックなどの任意の絶縁材料から構成されてもよい。この特定の例では、絶縁材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)から構成される。絶縁部材138は、サセプタ132で生成される熱からデバイス100の様々な構成要素を絶縁する助けとなり得る。
【0119】
絶縁部材138はまた、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136を完全に、又は部分的に支持することができる。例えば、
図6に示すように、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は、絶縁部材138の周りに配置され、絶縁部材138の半径方向外向きの表面と接触している。いくつかの例では、絶縁部材138は、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136と当接しない。例えば、絶縁部材138の外面と、第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136の内面との間にはわずかな隙間があってもよい。
【0120】
特定の例では、サセプタ132、絶縁部材138、並びに第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136は、サセプタ132の中央長手方向軸線の周りに同心である。
【0121】
図7は、デバイス100の部分断面の側面図である。この例では外側カバー102が存在している。第1のインダクタコイル134及び第2のインダクタコイル136の矩形断面形状をより明瞭に見ることができる。
【0122】
デバイス100は、サセプタ132の一端と係合してサセプタ132を定位置に保持する支持部166をさらに備える。支持部166は第2の端部部材116に接続される。
【0123】
デバイスはまた、制御要素112内に、関連する第2のプリント回路基板113を備えてもよい。
【0124】
デバイス100は、デバイス100の遠位端の方に配置された第2の蓋/キャップ150及びばね152をさらに備える。ばね152によって第2の蓋150を開くことができて、サセプタ132にアクセスすることができる。ユーザは、サセプタ132及び/又は支持部166を清浄にするために第2の蓋150を開くことができる。
【0125】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れるようにデバイスの開口104の方へ延在する拡張チャンバ164をさらに備える。物品400がデバイス100内に受け入れられたときに物品400に当接して保持するために、拡張チャンバ164内に保持クリップ176が少なくとも部分的に配置される。拡張チャンバ164は端部部材106に接続される。
【0126】
図8は、外側カバー102を省いた、
図7のデバイス100の分解図である。
【0127】
図9Aは、
図7のデバイス100の一部分の断面を示す。
図9Bは、
図9Aの1つの領域の拡大図である。
図9A及び
図9Bは、デバイス100のサセプタ132内に受け入れられた物品400を示す。
【0128】
物品400は、物品400の外面がサセプタ132の内面と当接するような寸法である。これは、加熱が最も効率的になることを確実にする。この例の物品400はエアロゾル生成材料400aを備える。エアロゾル生成材料400aはサセプタ132内に配置される。物品400はまた、フィルター、包装材料、及び/又は冷却構造体などの他の構成要素を備えてもよい。
【0129】
図9Bは、サセプタ132の外面が、インダクタコイル134、136の内面から、サセプタ132の長手方向軸線133に垂直な方向に測って距離D1だけ間隔を空けて配置されていることを示す。1つの特定の例では、距離D1は、約3mm~4mm、約3~3.5mm、又は約3.25mmである。
【0130】
図9Bは、絶縁部材138の外面が、インダクタコイル134、136の内面から、サセプタ132の長手方向軸線133に垂直な方向に測って距離D2だけ間隔を空けて配置されていることをさらに示す。1つの特定の例では、距離D2は約0.05mmである。別の例では、距離D2は実質的にゼロであり、その結果、インダクタコイル134、136は絶縁部材138と当接して接触する。
【0131】
一例では、サセプタ132は、約0.025mm~1mm、又は約0.05mmの壁厚D3を有する。
【0132】
一例では、サセプタ132は、約40mm~60mm、約40mm~45mm、又は約44.5mmの長さを有する。
【0133】
一例では、絶縁部材138は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mm、又は約0.5mmの壁厚D4を有する。
【0134】
使用時、本明細書で説明した物品400は、
図1~
図9を参照して説明したデバイス400などの非燃焼性エアロゾル供給デバイスに挿入することができる。物品400の吸い口の少なくとも一部分は、非燃焼性エアロゾル供給デバイス100から突出しており、ユーザの口に入れることができる。エアロゾルは、デバイス100を使用して物品400のエアロゾル生成材料を加熱することによって生成される。エアロゾル生成材料によって生成されるエアロゾルは、物品400の吸い口を通ってユーザの口に届く。
【0135】
図10は、非燃焼性エアロゾル供給デバイスの制御方法を示すフローチャートである。
【0136】
本方法は、1つ以上の消耗品に関連付けられた識別子の読み取りを行うステップ(S101)と、識別子の読み取り回数を記録するステップ(S102)と、記録された読み取り回数が予め定められた値に達したことに応答して動作を実行するステップ(S103)とを含む。
【0137】
いくつかの例では、制御方法のステップのすべては、非燃焼性エアロゾル供給デバイスによって実行されてもよい。いくつかの例では、制御方法のステップのいくつかは、携帯電話機などのユーザ端末によって実行されてもよく、いくつかのステップは、非燃焼性エアロゾル供給デバイスによって実行されてもよい。
【0138】
いくつかの例では、識別子は消耗品のパッケージに関連付けられる。
【0139】
本明細書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は、実施形態のうちの単なる代表的な例として提供されており、すべての実施形態を網羅したものでもなければ、他の実施形態を排除するものでもない。本明細書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本発明の範囲を限定するもの、又は特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本明細書で詳細に説明したもの以外の、開示された要素、構成要素、特徴、部品、ステップ、手段などの適切な組合せを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよい。加えて、本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含む可能性がある。